特許訂正審判
2017-390058
変形性関節症のバイオマーカー
- 審判番号
- 2017-390058
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 訂正審判(訂正の審決)
- 出願番号
- 特願2012-556266外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2017年06月30日
- 審決日
- 2017年09月12日
- 公報発行日
- 2017年12月28日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【請求人】ザ・キュレーターズ・オブ・ザ・ユニバーシティ・オブ・ミズーリ
- 【請求人代理人】鮫島 睦
- 【請求人代理人】森本 靖
- 【請求人代理人】新田 昌宏
- 分類
- P141 .852-Y (G01N)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第126条第1項、特許法第36条第6項第1号、特許法第184条の19第1項、特許法第126条第5項、特許法第126条第6項、特許法第126条第7項、特許法第126条第3項、特許法第126条第4項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特許第5877799号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
特許第5877799号の明細書及び特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔3-13〕について訂正することを認める。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本件特許第5877799号に係る出願は、2011年(平成23年)3月4日(パリ条約による優先権主張 2010年3月5日 米国)に国際出願され、平成28年2月5日に特許権の設定登録がされたものであって、平成29年6月30日に本件訂正審判が請求されたものである。
第2 請求の趣旨
本件訂正審判の趣旨は、本件審判請求書の「5.請求の趣旨」に記載されるとおり、本件特許第5877799号の明細書及び特許請求の範囲を、本件審判請求書に添付した訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項3~13について訂正することを認める、との審決を求めるものである。
第3 訂正の内容
1 訂正事項1
本件特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲及び図面(以下、「特許明細書等」という。)の特許請求の範囲の請求項3に「c)前記第1のOAバイオマーカー発現プロファイルと前記第2のOAバイオマーカー発現プロファイルとを比較することと、を含み、前記第1のOAバイオマーカー発現プロファイルにおける前記OAポリペプチドの発現レベルが、前記イヌ対象由来の前記第2の生物学的流体試料中の前記OAポリペプチドの発現レベルより低い場合は」と記載されているのを、「c)前記第1のOAバイオマーカー発現プロファイルと前記第2のOAバイオマーカー発現プロファイルとを比較することと、を含み、前記第2のOAバイオマーカー発現プロファイルにおける前記OAポリペプチドの発現レベルが、前記イヌ対象由来の前記第1の生物学的流体試料中の前記OAポリペプチドの発現レベルより低い場合は」に訂正する。
なお、下線は、訂正箇所を示すものであり、請求人が付与したものである。以下同様。
2 訂正事項2
特許明細書等の明細書の段落【0010】に「c)第1のOAバイオマーカー発現プロファイルと第2のOAバイオマーカー発現プロファイルとを比較することと、を含み、第1のOAバイオマーカー発現プロファイルにおける2つ以上の選択されたOAポリペプチドのそれぞれの発現レベルが、対象由来の第2の生物学的試料中の選択された2つ以上のOAポリペプチドの発現レベル以下である場合は」と記載されているのを、「c)第1のOAバイオマーカー発現プロファイルと第2のOAバイオマーカー発現プロファイルとを比較することと、を含み、第2のOAバイオマーカー発現プロファイルにおける2つ以上の選択されたOAポリペプチドのそれぞれの発現レベルが、対象由来の第1の生物学的試料中の選択された2つ以上のOAポリペプチドの発現レベル以下である場合は」に訂正する。
3 訂正事項3
特許明細書等の明細書の段落【0060】に「c)第1のOAバイオマーカー発現プロファイルと第2のOAバイオマーカー発現プロファイルとを比較することと、を含んでもよく、第1のOAバイオマーカー発現レベルにおける2つ以上の選択されたOAポリペプチドのそれぞれの発現レベルが、対象由来の第2の生物学的試料中の選択された2つ以上のOAポリペプチドの発現レベル以下である場合は」と記載されているのを、「c)第1のOAバイオマーカー発現プロファイルと第2のOAバイオマーカー発現プロファイルとを比較することと、を含んでもよく、第2のOAバイオマーカー発現レベルにおける2つ以上の選択されたOAポリペプチドのそれぞれの発現レベルが、対象由来の第1の生物学的試料中の選択された2つ以上のOAポリペプチドの発現レベル以下である場合は」に訂正する。
第4 当審の判断
1 訂正の目的について
(1)訂正事項1について
ア 特許明細書等の記載
特許明細書等には、以下の記載がある。
(ア)「【請求項3】
イヌの変形性関節症の治療の効果を監視するための方法であって、a)上記変形性関節症の治療が前記イヌ対象に施される前に、前記イヌ対象から得られる第1の生物学的流体試料中の、以下のOAポリペプチド:1)MCP1ポリペプチド;2)IL8ポリペプチド;および3)KCおよびMMP1から選ばれる少なくとも1つのポリペプチド;の発現レベルを測定することを含む、第1のOAバイオマーカー発現プロファイルを得ることと、b)前記変形性関節症の治療が前記イヌ対象に施された後またはその間に、前記イヌ対象から得られる第2の生物学的流体試料中の、(a)の前記OAポリペプチドの発現レベルを測定することを含む、第2のOAバイオマーカー発現プロファイルを得ることと、c)前記第1のOAバイオマーカー発現プロファイルと前記第2のOAバイオマーカー発現プロファイルとを比較することと、を含み、前記第1のOAバイオマーカー発現プロファイルにおける前記OAポリペプチドの発現レベルが、前記イヌ対象由来の前記第2の生物学的流体試料中の前記OAポリペプチドの発現レベルより低い場合は、前記イヌ対象における前記変形性関節症治療の治療効果を示す、方法。」
(イ)「【0027】
本明細書で使用される「OAバイオマーカー」は、バイオマーカーの発現レベルもしくは数または構造が、OAを伴わない、または同じ程度、重篤性、型、もしくは病期のOAを有する対象よりも、OAが存在する、または同じ程度、重篤性、型、もしくは病期のOAを有する対象において著しく頻繁に見られる時の、OAを示す。対照と比較した時のOAマーカーの発現レベル、数、または構造の有意性は、許容される信頼性のレベル(例えば、最低で95%)を適用することによって、通常の統計的方法を使用して判定される。例えば、各OAバイオマーカーの発現レベルのカットオフまたは閾値を、発現レベルの臨床的または亜臨床OA指標との相関度を含む、多数の因子に従って設定してもよい。例えば、OAを示すバイオマーカーの発現レベルは、例えば、疾患を有する患者の少なくとも60%で見ることができ、疾患を有しない対象では10%未満でしか見られない。より好ましくは、発現レベルは、疾患を有する患者の少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%以上で見られた場合にOAを示し、疾患を有しない対象では20%未満、10%未満、8%未満、5%未満、2.5%未満、または1%未満でしか見られない。」
(ウ)「【0056】
OAバイオマーカーは、例えば変形性関節症を治療するための治療薬として候補物質を特定するための、種々のスクリーニング方法に容易に適用することができる。そのような方法は、例えば、a)候補物質を、自然発症変形性関節症であると診断された対象に投与することと、b)対象由来の生物学的試料中の、MCP1、IL8、KC、MMP2、MMP3、IL6、MMP1、RANTES、MMP9、IL1B、アポリポタンパク質A1、アポリポタンパク質E、DCN、CILP、およびCOMPから成る群から選択される、2つ以上のOAポリペプチドの発現レベルを測定することと、c)生物学的試料中の2つ以上のOAポリペプチドのそれぞれの発現レベルが、試験物質を投与していない対照対象由来の生物学的試料中の選択された2つ以上のOAポリペプチドの発現レベル以下である場合に、変形性関節症を治療するための候補治療薬として、前記候補物質を選択することと、を含んでもよい。」
(エ)「【0061】
本明細書で同じ意味で使用される「OA治療」および「変形性関節症治療」という用語は、本明細書で説明されるOAバイオマーカーの2つ以上の任意の組み合わせの対象における発現レベルを低減する、および/または対象におけるOAの臨床的症状を低減または排除する、任意の治療用デバイスまたは薬剤を適用すること、または施すことを指す。」
(オ)「【0079】
実施例2:自発的に発生するOAを伴うイヌにおける滑液、血清サイトカイン、ケモカイン、およびマトリクスメタロプロテイナーゼ(MMP)の評価
方法:この研究に含まれる各イヌについて、クライアントのインフォームドコンセントを得た。血液および滑液は、10匹の中型種および大型種の成犬から得て、片側の膝関節(膝)OA(術前OA;n=10)の外科的介入のためにUMC-VMTHに提出した。これらのイヌは、3~8歳の範囲であった(平均5.15歳という中央値の方がよいかもしれない)。滑液は、通常の無菌関節穿刺を介して、罹患した膝関節から得て、血液は、頸静脈静脈穿刺を介して採取した。臨床膝OAは、有資格の獣医学的整形外科医が各イヌにおいて確認した。OAの放射線学的証拠は、有資格の獣医学的放射線科医が確認した。全てのイヌは、膝の十字靭帯不全手術を受けて、問題なく回復した。8~12週間後に、術後の再確認のためにイヌを返し、再度血液および滑液を採取して、外科的介入後のマーカーの変化を評価した。対照群は、2~5歳の範囲(平均2.9歳)の9匹の中型種および大型種の成犬で構成した。これらのイヌは、いかなる関節外傷の病歴もなく、足が不自由でなく、また、有資格の獣医学的整形外科医によって臨床OAを含まないとみなされた。肩、膝、および股関節の放射線学的評価は、OAがないことを検証した。血液および滑液は、クライアントに都合のよい時間でOAのイヌと同じような様式で採取した。滑液試料は、製造業者の指示を通じて、IL-2、IL-4、IL-6、IL-7、IL-8、IL-10、IL-15、IL-18、IP-10、INF-γ、TNF-α、MCP1、KC、およびGM-CSFについて、xMAPプラットフォーム(Qiagen,Inc.)に基づいて、多重イヌサイトカインおよびケモカイン免疫測定法(Millipore Corp.St.Louis,MO,USA)を使用して、二重に分析した。別の25μLを、MMP1、MMP2、MMP3、MMP9、およびMMP13について、xMAPプラットフォーム(Qiagen,Inc)に基づいて、多重ヒトマトリクスメタロプロテイナーゼ(MMP)免疫測定法(R&D Systems,Minneapolis,MN,USA)を使用して、二重に分析した。このアッセイは、発明者らの実験室によって、イヌ起源の試料と交差反応することが以前に示されている。結果を、有意性をp<0.05に設定した、対応のないt-検定またはMann-Whitney Rank Sum試験(SigmaStat 3.5;Systat Software,Incorporated,San Jose,CA,USA)で統計的に評価した。
【0080】
結果:前述した方法に従って得られた結果を、図2Aおよび図2B、ならびに表3(下記)に要約する。 ・・・
【0081】
滑液において、IL8およびKCは、正常なイヌと比較して、術前のOAのイヌにおいて、大幅に高く(p<0.001;p=0.01)、また、正常なイヌと比較して、術後のOAのイヌにおいて、大幅に高かった(p=0.002;p=0.03)。どちらの分析も、術前のOAのイヌと比較して、術後のOAのイヌにおいて低かったが、この減少は、統計的に有意ではなかった。MCP-1は、正常なイヌと比較して、術前のOAのイヌおよび術後のOAのイヌにおいて、大幅に高く(p<0.001;P=0.009)、また、術前の値と比較して、術後のMCP-1が大幅に減少した(p=0.01)。IL8は、正常なイヌと比較して、術前のOAのイヌにおいて、大幅に高かったが(p=0.02)、残りのサイトカインおよびケモカインは、検出限度よりも低かった。MMP2は、術後のOAのイヌにおいて最も高く、これは、正常なイヌよりも大幅に高かった(p=0.010)。MMP3は、術前のOAのイヌにおいて最も高く、術後のOAのイヌにおいて最も低かったが、これらの変化に統計的有意性は認められなかった(図2Aおよび図2B)。
・・・
【0085】
したがって、ROC曲線分析は、骨液を測定するバイオマーカーパネルMCP1、IL8、KC、MMP2、およびMMP3が、自発的に発生する臨床OAを伴うイヌの膝から正常で健康な膝を一貫して区別する能力を有することを初めて実証している。加えて、MCP1は、それらの術前のOAの値と比較して、術後のOAのイヌにおいて大幅に低く、IL8およびKCは、治療後も減少し、これは、この新しいバイオマーカーパネルが、診断および治療監視の両応用において臨床的使用に対して大きな潜在性を有することを示している。3つのサイトカインは、それらを滑液で測定した時に、単独の術前のOAと術後のOAとの間で繰り返し判別することが可能であるが(AUC=0.9)、パネルへのMMP2およびMMP3の添加は、性能を向上させ(AUC=1.0)、これは、このパネルまたは任意の診断バイオマーカーパネルへのMMPの添加が、治療の監視または予後に有用となり得ることを示している。したがって、この結果は、滑液バイオマーカーの使用が、試料を得る際の相対的な容易さ、関連するコスト、これらの評価の関節固有の性質に基づいて、重要な臨床応用を有することを示している。バイオマーカーパネルへのMMPの添加は、特に治療の監視に関してその能力を高める。」
イ 訂正の目的の検討
(ア)特許明細書等の記載から自明な事項
特許明細書等の用語の定義に関する記載である上記「ア(イ)」及び上記「ア(エ)」から、特許明細書等において、「OAバイオマーカー」とは、その発現レベルが、OAを伴わない対象よりも、OAが存在する対象において著しく頻繁に見られるものであり、「治療」とは、OAバイオマーカーの発現レベルを低減することであることが記載されている。
また、治療候補物質を特定するための方法に関する上記「ア(ウ)」及びイヌに関する治験データを示す上記「ア(オ)」から、特許明細書等においては、「治療」することによって、請求項3に規定されているバイオマーカーである「1)MCP1ポリペプチド;2)IL8ポリペプチド;および3)KCおよびMMP1から選ばれる少なくとも1つのポリペプチド」の発現レベルは、治療前に比べて減少していることが示される。
そして、特許明細書等には、請求項3及び請求項3の記載と同内容である【0010】及び【0060】段落以外に、「治療」によってOAバイオマーカーの発現レベルが上昇することは、記載も示唆もされていない。
したがって、上記「ア(イ)」ないし「ア(オ)」の記載を参酌すれば、特許明細書等において「治療効果を示す」といえるのは、治療が施された後又はその間の対象から得られたOAバイオマーカーの発現レベルが、治療が施される前の対象から得られたOAバイオマーカーの発現レベルよりも低い場合を指すことは自明である。
(イ)訂正前の請求項3の記載
訂正前の請求項3に記載された工程c)は、治療が施される前の対象から得られた「第1のOAバイオマーカー発現プロファイルにおける前記OAポリペプチドの発現レベル」が、治療が施された後又はその間の対象から得られた「第2の生物学的流体試料中の前記OAポリペプチドの発現レベル」より低い場合に、治療効果を示すとするものである。
したがって、訂正前の請求項3の工程c)の記載は、上記「イ(ア)」で認定した特許明細書等から自明な事項と整合していない。
そして、特許法第36条第6項第1号の要請から発明の詳細な説明に記載されていない発明を特許請求の範囲に記載することを意図していたとは考えられないから、請求項3の工程c)の「前記第1のOAバイオマーカー発現プロファイルにおける前記OAポリペプチドの発現レベルが、前記イヌ対象由来の前記第2の生物学的流体試料中の前記OAポリペプチドの発現レベルより低い場合」との記載には誤記があり、正しい記載が、「前記第2のOAバイオマーカー発現プロファイルにおける前記OAポリペプチドの発現レベルが、前記イヌ対象由来の前記第1の生物学的流体試料中の前記OAポリペプチドの発現レベルより低い場合」であることは、明らかである。
(ウ)小括
以上のとおり、訂正事項1は、誤記の訂正を目的とするものであるから、特許法第126条第1項ただし書き第2号に掲げる誤記又は誤訳の訂正を目的とするものに該当する。
(2)訂正事項2について
上記「(1) 訂正事項1について」で検討したのと同様に、段落【0010】の工程c)の「第1のOAバイオマーカー発現プロファイルにおける2つ以上の選択されたOAポリペプチドのそれぞれの発現レベルが、対象由来の第2の生物学的試料中の選択された2つ以上のOAポリペプチドの発現レベル以下である場合」との記載には誤記があり、正しい記載が「第2のOAバイオマーカー発現プロファイルにおける2つ以上の選択されたOAポリペプチドのそれぞれの発現レベルが、対象由来の第1の生物学的試料中の選択された2つ以上のOAポリペプチドの発現レベル以下である場合」であることは、明らかである。
したがって、訂正事項2は、誤記の訂正を目的とするものであるから、特許法第126条第1項ただし書き第2号に掲げる誤記又は誤訳の訂正を目的とするものに該当する。
(3)訂正事項3について
上記「(1) 訂正事項1について」で検討したのと同様に、段落【0060】の工程c)の「第1のOAバイオマーカー発現レベルにおける2つ以上の選択されたOAポリペプチドのそれぞれの発現レベルが、対象由来の第2の生物学的試料中の選択された2つ以上のOAポリペプチドの発現レベル以下である場合」との記載には誤記があり、正しい記載が「第2のOAバイオマーカー発現レベルにおける2つ以上の選択されたOAポリペプチドのそれぞれの発現レベルが、対象由来の第1の生物学的試料中の選択された2つ以上のOAポリペプチドの発現レベル以下である場合」であることは、明らかである。
したがって、訂正事項3は、誤記の訂正を目的とするものであるから、特許法第126条第1項ただし書き第2号に掲げる誤記又は誤訳の訂正を目的とするものに該当する。
2 その他の要件について
(1)新規事項の追加について
上記1(1)ア(イ)-同ア(オ)で摘記した事項は、国際出願日における国際出願の明細書、請求の範囲又は図面(以下、「国際出願明細書等」という。)の明細書にも記載されている。
してみると、上記1(1)イ(ア)で検討したのと同様に、国際出願明細書等においても、「治療効果を示す」といえるのは、治療が施された後又はその間の対象から得られたOAバイオマーカーの発現レベルが、治療が施される前の対象から得られたOAバイオマーカーの発現レベルよりも低い場合を指すことは自明の事項である。
したがって、訂正事項1-3による訂正後の明細書及び特許請求の範囲の記載は、国際出願明細書等から自明な事項の範囲内のものであるから、訂正事項1-3は、国際出願明細書等に記載した事項の範囲内でするものであり、新たな技術的事項を導入するものではない。
したがって、訂正事項1-3は、特許法第184条の19第1項によって読み替えられた特許法第126条第5項の規定に適合する。
(2)特許請求の範囲の拡張又は変更について
訂正前の記載は誤記があることが明らかであって、当業者であれば、訂正前の記載を、その記載どおりにではなく、訂正後の記載の趣旨に理解するのが当然であるから、そのような当業者の理解を前提とするならば、本件訂正の前後で特許請求の範囲は同一である。
よって、訂正事項1-3は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものということはできない。
したがって、訂正事項1-3は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第126条第6項の規定に適合する。
(3)独立特許要件について
訂正後の特許請求の範囲に記載されている事項により特定される請求項3-13に係る発明(以下、「訂正発明」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否かについて検討するに、訂正発明が特許出願の際独立して特許を受けることができないとする理由を発見しない。
したがって、訂正発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるから、訂正事項1-3は、特許法第126条第7項の規定に適合する。
(4)特許法施行規則に基づく一群の請求項について
請求項4-13は、いずれも、請求項3を引用するものであるから、請求項3-13は、特許法施行規則第46条の2第2号に掲げる関係を有する一群の請求項である。
そして、訂正事項1は、請求項3-13からなる一群の請求項ごとに、訂正請求するものであり、訂正事項2、3は、一群の請求項3-13に関係する訂正であって、請求項1、2、14-20に関係しないものである。
したがって、訂正事項1は特許法第126条第3項の規定に適合し、訂正事項2、3は特許法第126条第4項の規定に適合する。
第5 むすび
したがって、本件訂正審判の請求に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第3項ないし第7項の規定に適合するものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2017-390058