特許訂正審判
2017-390005
搬送コンベヤ及び搬送設備
- 審判番号
- 2017-390005
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 訂正審判(訂正の審決)
- 出願番号
- 特願2011-088170外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2017年01月20日
- 審決日
- 2017年03月23日
- 公報発行日
- 2017年06月30日
- 結論
- 訂正認容
- 分類
- P141 .852-Y (B65G) / P141 .121-Y (B65G)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第126条第1項、特許法第126条第5項、特許法第126条第6項、特許法第126条第7項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特許第5733569号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
特許第5733569号の明細書及び特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔6、7〕について訂正することを認める。
理由
【理 由】
1 手続の経緯
本件特許第5733569号に係る出願は、平成23年4月12日に特許出願され、平成27年4月24日に特許権の設定登録がされたものであって、平成29年1月20日に本件訂正審判が請求されたものである。
2 請求の趣旨
本件訂正審判の請求の要旨は、特許第5733569号の明細書及び特許請求の範囲を、本件審判請求書に添付した明細書及び特許請求の範囲のとおり、すなわち下記(1)および(2)のとおり訂正することを求めるものである(なお、下線は訂正箇所を示すため請求人が付したものである。)。
(1)訂正事項1
本件特許に係る特許請求の範囲の請求項6に「曲率半径が小さくなる状態」と記載されているのを、「曲率半径が大きくなる状態」と訂正する。
(2)訂正事項2
本件特許に係る明細書の段落【0022】、【0024】、【0048】、【0065】にそれぞれ「曲率半径が小さくなる状態」記載されているのを、「曲率半径が大きくなる状態」と訂正する。
3 当審の判断
以下、訂正事項1及び2について検討する。また、検討に際し、以下、本件特許の願書に添付した明細書及び図面を「本件明細書等」という。また、本件特許の願書に最初に添付した明細書及び図面を「当初明細書等」という。
(1)訂正事項1について
本件訂正事項1は、本件特許に係る特許請求の範囲の請求項6における発明特定事項である「曲率半径が小さくなる状態」とあるのを、「曲率半径が大きくなる状態」と訂正しようとするものである。
ア 訂正の目的
本件訂正事項1は、本件特許に係る特許請求の範囲の請求項6において、「搬送コンベヤと、直線状に設定された仮想経路線に沿って物品を載置搬送する直線コンベヤ」とを備え、「前記直線コンベヤが当該直線コンベヤの横幅方向に間隔を隔てた状態で並ぶ一対の搬送部を備え」るものであり、「前記搬送コンベヤが、前記直線コンベヤにおける前記一対の搬送部の間に位置する接続部分と、前記直線コンベヤの横側方に位置する側方部分」とで構成される「搬送設備」において、「前記直線コンベヤにおける前記一対の搬送部の間に位置する接続部分」に設けられて「駆動手段にて回転駆動される複数の駆動ローラ」のうちの「前記側方部分の近くに位置する駆動ローラ群」について、「当該複数の駆動ローラのうちの前記側方部分から遠くに位置する駆動ローラ群」より「曲率半径が小さくなる状態」とあるのを「曲率半径が大きくなる状態」と訂正しようとするものである。
訂正事項1に関連する記載として、本件明細書等及び当初明細書等の図1において、「一対の搬送部の間に位置する接続部分」に設けられた、それぞれ4つの駆動ローラ17からなる2つの「駆動ローラ群」が看取できる。
また、本件明細書等の図1及び3において、2つの「駆動ローラ群」のうち、「側方部分11」に近い側の「駆動ローラ群」の曲率半径が、「側方部分11」から遠い側の「駆動ローラ群」の曲率半径より大きく形成されていることが看取できる。
さらに、本件明細書等の段落【0024】(当初明細書等の段落【0028】)には、「・・・接続部分に設けられる複数の駆動ローラは、一対の搬送部の間に設けるという制約があるため、駆動ローラの全てを同じ曲率半径で設けた場合は、仮想経路線に沿って広範囲に駆動ローラを設けることができないが、・・・(後略)・・・」と記載されている。
当該記載における「仮想経路線に沿って」とは、仮想経路線の円弧と同心の円弧の上であることを意味すると解され、また、「広範囲に駆動ローラを設けることができない」とは、当該円弧の上であり且つ一対の搬送部の間には駆動ローラを広範囲に設けることができないことを意味すると解される。すなわち、「駆動ローラの全てを同じ曲率半径で設けた場合は、広範囲に駆動ローラを設けることができない」とは、同じ曲率半径で設けようとすると、「一対の搬送部の間」である「接続部分」から駆動ローラが逸脱してしまうため、一対の搬送部の間には配置することができないことを意味するものと解される。
ところで、直線コンベヤの直線方向に対し、仮想経路線は、直線コンベヤの直線方向から外れる曲線の経路を描くものであるから、「接続部分」、すなわち一対の搬送部の間から逸脱せずに、仮想経路線の広範囲に駆動ローラを配置するには、下流側に配置する駆動ローラ群の曲率半径を仮想円弧線の中心点Pから遠ざかる分だけ大きくすることを要することは自明であり、逆に駆動ローラ群の曲率半径を小さくすると、駆動ローラ群が一対の搬送部の間から逸脱するため、駆動ローラ群の曲率半径を小さくすることは、広範囲に駆動ローラを配置するには不合理なことであることもまた自明である。
してみれば、本件明細書等の段落【0024】(当初明細書等の段落【0028】)の上記記載並びに図1及び3から、「曲率半径が小さくなる状態」という本件訂正前の請求項1における記載は「曲率半径が大きくなる状態」の誤記であることは明らかであり、当業者であれば当該誤記に気付いて「曲率半径が大きくなる状態」という趣旨に理解することが当然であるといえる。
したがって、訂正事項1は、誤記の訂正を目的とするものであるから、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる誤記の訂正を目的とするものに該当する。
イ 新規事項の有無
上記アにおいて検討したとおり、当初明細書等の図1及び3には、2つの「駆動ローラ群」のうち、「側方部分11」に近い側の「駆動ローラ群」の曲率半径が、「側方部分11」から遠い側の「駆動ローラ群」の曲率半径より大きく形成されていることが看取できる。
してみれば、訂正事項1は、当初明細書等に記載された事項の全てを総合して導かれる技術的事項の範囲内でするものであり、新たな事項を導入するものではない。
したがって、訂正事項1は、特許法第126条第5項の規定に適合する。
ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
上記アにおいて検討したとおり、訂正前の特許請求の範囲の請求項6の「曲率半径が小さくなる状態」という記載は誤記であることが明らかであり、当業者であれば「曲率半径が大きくなる状態」という趣旨に理解することが当然であるといえるから、訂正事項1は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
したがって、訂正事項1は、特許法第126条第6項の規定に適合する。
エ 独立特許要件
(ア)本件発明
本件訂正後の特許請求の範囲の請求項6及び7に係る発明(以下、「本件発明6」及び「本件発明7」という。)は、訂正特許請求の範囲に記載された請求項6及び7に記載された事項により特定されるとおりのものと認める。
(イ)文献
特許第5733569号公報に参考文献として記載された文献は、以下のとおりである。
(イ-1)特開2010-024045(JP,A)
(イ-2)特開2007-223683(JP,A)
(イ-3)特開2005-280868(JP,A)
(イ-4)国際公開第2010/061546(WO,A1)
(イ-5)特開昭47-028677(JP,A)
(ウ)判断
本件発明6における「前記接続部分に設けられて駆動手段にて回転駆動される複数の駆動ローラが、それが設けられた前記上流側コンベヤ部分の前記上流側仮想経路線又は前記下流側コンベヤ部分の前記下流側仮想経路線に沿って円弧状に設けられ、且つ、当該複数の駆動ローラのうちの前記側方部分の近くに位置する駆動ローラ群が、当該複数の駆動ローラのうちの前記側方部分から遠くに位置する駆動ローラ群より曲率半径が小さくなる状態で設けられている」との発明特定事項は、上記各文献のいずれにも記載されていない。そして、本件発明6は、当該発明特定事項を備えることにより、接続部分に広範囲に駆動ローラを配置することが可能となるという作用効果を奏するものである。
してみれば、本件発明6は、上記各文献記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたということはできない。
また、他に本件発明6について特許を受けることができないとする理由を発見しない。
本件発明7は、本件発明6の構成を置換えることなく引用し、さらに特定事項を付したものであるから、本件発明6と同様に、上記各文献記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたということはできず、また、他に本件発明7について特許を受けることができないとする理由を発見しない。
したがって、本件発明6及び7について、特許出願の際独立して特許を受けることができない発明であるとはいえないから、訂正事項1は、特許法第126条第7項の規定に適合する。
オ 小括
よって、訂正事項1は、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる誤記の訂正を目的とするものに該当し、かつ、同条第5項ないし第7項の規定に適合する。
(2)訂正事項2について
訂正事項2は、本件特許に係る明細書の段落【0022】、【0024】、【0048】及び【0065】にそれぞれ「曲率半径が小さくなる状態」と記載されているのを、「曲率半径が大きくなる状態」と訂正しようとするものである。
ア 訂正の目的
上記(1)アにおいて検討したのと同様に、本件明細書等において「曲率半径が小さくなる状態」という記載は「曲率半径が大きくなる状態」の誤記であることは明らかであり、当業者であれば当該誤記に気付いて「曲率半径が大きくなる状態」という趣旨に理解することが当然であるといえる。
したがって、訂正事項2は、誤記の訂正を目的とするものであるから、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる誤記の訂正を目的とするものに該当する。
イ 新規事項の有無
上記(1)イにおいて検討したのと同様に、訂正事項2は、当初明細書等に記載された事項の全てを総合して導かれる技術的事項の範囲内でするものであり、新たな事項を導入するものではない。
したがって、訂正事項2は、特許法第126条第5項の規定に適合する。
ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
上記(1)ウにおいて検討したのと同様に、本件明細書等において、「曲率半径が小さくなる状態」という記載は誤記であることが明らかであり、当業者であれば「曲率半径が大きくなる状態」という趣旨に理解することが当然であるといえるから、訂正事項2は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
したがって、訂正事項2は、特許法第126条第6項の規定に適合する。
エ 独立特許要件
上記(1)エにおいて検討したのと同様に、本件訂正後の特許請求の範囲の請求項6に係る発明及び請求項7に係る発明について、特許出願の際独立して特許を受けることができない発明であるとはいえないから、訂正事項2は、特許法第126条第7項の規定に適合する。
オ 小括
よって、訂正事項2は、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる誤記の訂正を目的とするものに該当し、かつ、同条第5項ないし第7項の規定に適合する。
4 まとめ
したがって、本件訂正審判の請求に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる事項を目的とし、かつ、同条第5項ないし第7項の規定に適合するので、当該訂正を認める。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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