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特許拒絶査定不服審判

2017-012169

空冷式筐体

審判番号
2017-012169
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2014-512479外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2017年08月16日
審決日
2018年10月02日
公報発行日
2019年01月25日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-Z (H05K) / P18 .575-Z (H05K)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第6項
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特願2014-512479「空冷式筐体」拒絶査定不服審判事件〔平成25年10月31日国際公開、WO2013/161617〕について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

【理 由】 第1 手続の経緯 本願は、2013年(平成25年)4月16日(優先権主張 平成24年4月26日)を国際出願日とする出願であって、平成29年2月16日付け拒絶理由通知に対して同年4月21日に手続補正がなされたが、同年6月20日付けで拒絶査定がなされた。これに対し、同年8月16日に拒絶査定不服審判が請求されるとともに手続補正がなされたものである。 第2 平成29年8月16日にされた手続補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 平成29年8月16日にされた手続補正を却下する。 [理由] 1.補正の内容 平成29年8月16日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)は、特許請求の範囲及び明細書についてするもので、特許請求の範囲については、 本件補正前に、 「【請求項1】 天面を含む複数の面によって囲まれた空間に発熱体及び冷却ファンを収容するとともに前記複数の面のうち前記天面及び当該天面を挟んで対向する二つの側面の三面にのみ通気口が設けられた空冷式筐体であって、 前記発熱体の真上の前記天面に形成された天面通気口と、 前記二つの側面にそれぞれ形成された第一側面通気口及び第二側面通気口と、 前記天面通気口に設けられ当該天面通気口を開閉する複数のシャッタとを備え、 前記複数のシャッタは、 前記冷却ファンで発生する強制冷却風が無い場合は、それぞれ独立に自重で前記天面通気口を開き、 前記強制冷却風が有る場合は、それぞれ独立に当該強制冷却風の圧力で前記天面通気口を閉じる、 ことを特徴とする空冷式筐体。 【請求項2】 前記冷却ファンは前記第一側面通気口の近傍に設置され、 前記発熱体は前記第二側面通気口の近傍に設置された、 請求項1記載の空冷式筐体。 【請求項3】 前記シャッタは、 前記強制冷却風が無い場合は、自重で前記発熱体側へ垂れ下がることにより前記天面通気口を開き、 前記強制冷却風が有る場合は、当該強制冷却風が前記第一側面通気口から前記第二側面通気口へ流れる圧力で、前記シャッタが前記天面通気口側へ持ち上がることにより当該天面通気口を閉じる、 請求項2記載の空冷式筐体。 【請求項4】 前記シャッタは、自重で垂れ下がりかつ前記強制冷却風の圧力で持ち上がる板部と、この板部を回動自在に支持する軸部とを有する、 請求項3記載の空冷式筐体。 【請求項5】 前記板部はアルミニウムからなる、 請求項4記載の空冷式筐体。 【請求項6】 前記発熱体は電子部品である、 請求項1乃至5のいずれか一つに記載の空冷式筐体。」 とあったところを、 本件補正により、 「【請求項1】 天面を含む複数の面によって囲まれた空間に発熱体及び冷却ファンを収容するとともに前記複数の面のうち前記天面及び当該天面を挟んで対向する二つの側面の三面にのみ通気口が設けられた空冷式筐体であって、 前記発熱体の真上の前記天面に形成された天面通気口と、 前記二つの側面にそれぞれ形成された第一側面通気口及び第二側面通気口と、 前記天面通気口に設けられ当該天面通気口を開閉する複数のシャッタとを備え、 前記冷却ファンは前記第一側面通気口の近傍に設置され、 前記発熱体は前記第二側面通気口の近傍に設置され、 前記複数のシャッタは、 自重で垂れ下がりかつ前記強制冷却風の圧力で持ち上がる板部と、この板部を回動自在に支持する軸部とを有し、 前記冷却ファンで発生する強制冷却風が無い場合は、それぞれ独立に自重で前記発熱体側へ垂れ下がることにより前記天面通気口を開き、 前記強制冷却風が有る場合は、それぞれ独立に、当該強制冷却風が前記第一側面通気口から前記第二側面通気口へ流れる圧力で、前記シャッタが前記天面通気口側へ持ち上がることにより前記天面通気口を閉じるとともに、前記板部の先端が隣接する前記軸部に重なる、 ことを特徴とする空冷式筐体。 【請求項2】 前記板部はアルミニウムからなる、 請求項1記載の空冷式筐体。 【請求項3】 前記発熱体は電子部品である、 請求項1又は2記載の空冷式筐体。」 とするものである。(下線部は、補正箇所である。) 2.補正の適否 請求項1についての本件補正は、本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「冷却ファン」、「発熱体」、及び「シャッタ」について、それぞれ上記「1.」のとおり限定を付加するものであって、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 そこで、本件補正後の請求項1に記載される発明(以下「本件補正発明」という。)が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。 (1)本件補正発明 本件補正発明は、 「天面を含む複数の面によって囲まれた空間に発熱体及び冷却ファンを収容するとともに前記複数の面のうち前記天面及び当該天面を挟んで対向する二つの側面の三面にのみ通気口が設けられた空冷式筐体であって、 前記発熱体の真上の前記天面に形成された天面通気口と、 前記二つの側面にそれぞれ形成された第一側面通気口及び第二側面通気口と、 前記天面通気口に設けられ当該天面通気口を開閉する複数のシャッタとを備え、 前記冷却ファンは前記第一側面通気口の近傍に設置され、 前記発熱体は前記第二側面通気口の近傍に設置され、 前記複数のシャッタは、 自重で垂れ下がりかつ前記冷却ファンで発生する強制冷却風の圧力で持ち上がる板部と、この板部を回動自在に支持する軸部とを有し、 前記冷却ファンで発生する強制冷却風が無い場合は、それぞれ独立に自重で前記発熱体側へ垂れ下がることにより前記天面通気口を開き、 前記強制冷却風が有る場合は、それぞれ独立に、当該強制冷却風が前記第一側面通気口から前記第二側面通気口へ流れる圧力で、前記シャッタが前記天面通気口側へ持ち上がることにより前記天面通気口を閉じるとともに、前記板部の先端が隣接する前記軸部に重なる、 ことを特徴とする空冷式筐体。」 であると認める。(なお、下線は当審で付与した。これ以降の下線も同じ。) なお、上記下線部については、平成29年8月16日に提出された手続補正書の請求項1(上記「1.」参照。)には「前記強制冷却風」と記載されているが、当該記載よりも前に「前記」に対応する「強制冷却風」の記載がないことや、同請求項1の「前記冷却ファンで発生する強制冷却風が無い場合は、それぞれ独立に自重で前記発熱体側へ垂れ下がることにより前記天面通気口を開き、」という記載からみて、「前記冷却ファンで発生する強制冷却風」の誤記であることは明らかであるから、上記のように認定した。 (2)引用発明等 ア.引用文献2に記載された発明 原査定の拒絶の理由に引用文献2として引用された実願昭58-48639号(実開昭59-161695号)のマイクロフィルムには、「装置放熱構造」に関して、図面とともに以下の事項が記載されている。 (ア)「本考案の実施例を図面を参照して説明する。第1図は筐体の強制空冷時の態様を示し、第2図は自然空冷時の態様を示す。図において1は電動ファン、2は筐体天井の固定板、3は4の引懸け具により固定板2に懸吊される可動板である。5は固定板に設けられた孔、6は可動板に設けられた孔、6aは受風突出部で6の孔の切欠部を適当な角度で切り起して曲げたもの、7はトランジスタやダイオードなどの発熱部品、8は放熱フィンで9は筐体の下面側板である。」(第3頁第15行~第4頁第4行) (イ)「第1図の強制空冷時は突出部6aに受ける風圧により天井の可動板3は固定板2の方に押しやられ相重り、孔5と6は互いに塞ぎ合う。従って筐体は天井板、下面側板および前後両側板とで風路に対し水平方向の筒状構造となる。図では左が送風口で右が排気口となる。」(第4頁第5~10行) (ウ)「第2図に示したように電動ファンが停止した場合には、可動板3は重力により両端の引懸け具4に支持されて平行に垂下し固定板2と可動板3の間に間隙が形成され固定板2の孔5と可動板3の孔6の位置がほぼ合致して天井方向に自然空冷の通気口が形成され発熱により加熱された空気が排出される。」(第4頁第10~16行) (エ)「以上説明したように本考案の放熱構造によれば電動ファンによる強制空冷時にはダクト効果により、自然空冷時には通気孔による排熱によって冷却効果の良い筐体構造がえられるから、電動ファンの停止時にも蓄熱することなく適当な冷却がなされて実用的な効果は著しい。」(第4頁第18行~第5頁第3行) ここで、上記(イ)によれば、筐体は天井板、下面側板及び前後両側板からなる筒状構造であり、第1図及び第2図も参照すると、その左側の側面は送風口に、右側の側面は排気口になる。 また、上記(ア)と第1図及び第2図の記載によれば、前記筐体の内部に発熱部品7が設けられており、前記送風口の外側に電動ファン1が設けられている。 また、上記(ア)によれば、筐体天井には、上記天井板を構成する固定板2が設けられ、当該固定板2には、孔5が設けられている。ここで、第1図及び第2図を参照すると、上記孔5は固定板2に複数設けられており、それらの孔5は前記発熱部品7の真上に位置している。 また、上記(ア)によれば、上記固定板2には可動板3が懸吊されている。そして、上記(ウ)によれば、電動ファン1が停止した場合には、上記可動板3は重力により垂下し、上記固定板2に設けられた上記複数の孔5が自然空冷の通気口になり、上記発熱部品7の発熱により加熱された空気が排出される。一方、上記(イ)及び(エ)によれば、電動ファン1による強制空冷時には、風圧により上記可動板3は上記固定板2の方に押しやられ、上記固定板2に重なって、上記固定板2の上記複数の孔5を塞ぐ。 そうすると、上記(ア)ないし(エ)及び図面の記載を総合勘案すると、引用文献2には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。 「天井の固定板2、下面側板9及び前後両側板からなり、左右の側面に送風口及び排気口を有する筒状構造の筐体であって、 筐体内部に発熱部品7を備え、 前記送風口の外側に電動ファン1を備え、 前記天井の固定板2には複数の孔5が設けられ、 前記孔5は前記発熱部品7の真上に位置し、 前記固定板2には可動板3が懸吊され、 前記電動ファン1による強制空冷時には、前記可動板3は風圧により固定板2の方に押しやられ、前記固定板2に重なって前記固定板2の前記複数の孔5を塞ぎ、 前記電動ファン1が停止した場合には、前記可動板3は重力により前記発熱部品7側へ垂下し、前記固定板2の前記複数の孔5からなる自然空冷の通気孔が形成される 筐体。」 イ.引用文献1に記載された技術事項 原査定の拒絶の理由に引用文献1として引用された国際公開第2003/067949号には、「冷却機構及びこの冷却機構を用いた情報処理装置」に関して、図面とともに以下の事項が記載されている。 (オ)「図6に、図2に示すファンモータ18とヒートシンク14及び発熱素子26と受熱ブロック20が、コンピュータ本体3を構成する筐体6内に収容されている様子を示している。」(第8頁第9行~第11行) (カ)「コンピュータ本体3を構成する筐体6には、熱放出部50が設けられている。熱放出部50は、上部筐体ハーフ6a、側部筐体ハーフ6c及び下部筐体ハーフ6bに形成されている。この熱放出部50は、CPU26が発生する熱量に応じてファンモータ18を駆動してヒートシンク14に対して冷却風40を当てて強制冷却を行う強制冷却時と、ファンモータ18を作動させないでヒートシンク14に対して強制的に冷却風を当てることがない自然冷却を行なう自然冷却時に、CPU26の熱を筐体6の外部に排出するために設けられている。熱放出部50は、具体的には、複数の空気放出穴60と、複数の空気穴70及び他の複数の空気穴75を有している。 空気放出穴60は、筐体6の上部筐体ハーフ6aに形成されている。これらの空気放出穴60は、コンピュータ本体3の上面側に設けられるキーボード5に近い位置であってヒートシンク14に対向する位置に形成されている。空気放出穴60は、グリッド状に形成してもよいし、円形あるいは楕円形状、さらには四角形状の穴として分散し、例えば均等の間隔をおいて配列するようにしてもよい。」(第8頁第18行~第9頁第2行) (キ)「図9と図10に示す冷却機構10が、前述した図6に示す冷却機構10と異なる点は、熱放熱部50の空気放出穴60に各々開閉部80が設けられていることである。 この開閉部80は、空気放出穴60を開閉自在にするものである。図9に示すようにファン18aが回転している強制冷却している状態では、その発生する冷却風41により自動的に開閉部80が空気放出穴60を閉じる。これに対して、図10に示すようなファン停止時である自然冷却状態では、開閉器80は自重により中心85を中心として筐体6の内方に向かって回転して下がり、これによって空気放出穴60を自動的に開くことができる。 図9に示すように強制冷却状態では、ファン18aが回ると、冷却風40が放熱フィン33の間を通りヒートシンク14を冷却する。このときに、空気放出穴60は開閉部80により閉鎖されているので、冷却風41は上部筐体ハーフ6aと平行に流れて、空気穴75から筐体6の外部に排出される。空気穴70からも、図9中矢印Y5方向に沿ってヒートシンク14の熱が放出される。 これに対して、図10に示す自然冷却状態では、開閉部80が自重で下がって空気放出穴60が開放されるので、ヒートシンク14の熱は空気放出穴60を通じて図10中矢印Y6方向に沿って流通して筐体6の外部に放出されるとともに、外部の空気が空気穴70を通じて図10中矢印Y7方向に沿って筐体6の内部に入り込み、さらに空気穴75を通じて図10中矢印Y8方向に沿って外部の空気が筐体6内に入り込む。 これによってヒートシンク14は外部の空気を用いて効率良く自然冷却することができる。図9と図10に示す冷却機構10においても、強制冷却モードと自然冷却モードの切り換えができ、ヒートシンク14に蓄熱された熱を効率良く冷却することができる。」(第11頁第10行~第12頁第4行) そして、上記(オ)ないし(キ)及び図面の記載を総合勘案すると、引用文献1には、次の技術事項が記載されている。 「強制冷却モードと自然冷却モードの切り換えができるようにするために、筐体6の上部に設けられた複数の空気放出穴60の各々に開閉部80を設け、ファン18aが回転している強制冷却状態では、その冷却風により自動的に開閉部80が空気放出穴60を閉じ、ファン停止時である自然冷却状態では、開閉器80は自重により中心85を中心として筐体6の内方に向かって回転して下がり、これによって空気放出穴60を自動的に開くようにすること。」 (3)対比 本件補正発明と引用発明とを対比する。 ア.引用発明の「天井の固定板2」及び「左右の側面」は、本件補正発明の「天面」及び「天面を挟んで対向する二つの側面」に相当する。 イ.引用発明の上記天井の固定板2に設けられた「複数の孔5」は、本件補正発明の「天面通気口」に相当する。また、引用発明の上記左右の側面が有する「送風口」及び「排気口」は、本件補正発明の「第一側面通気口」及び「第二側面通気口」にそれぞれ相当する。そして、引用発明の「下面側板9及び前後両側板」には通気口が設けられていないことも勘案すると、本件補正発明の空冷式筐体と引用発明の筐体は、「天面及び当該天面を挟んで対向する二つの側面の三面にのみ通気口が設けられた」ものである点で共通する。 ウ.引用発明の「発熱部品7」及び「電動ファン1」は、本件補正発明の「発熱体」及び「冷却ファン」にそれぞれ相当する。そして、引用発明は「筐体内部に発熱部品7を備え」ているから、引用発明の筐体は、本件補正発明の空冷式筐体と同様に、「天面を含む複数の面によって囲まれた空間に発熱体を収容する」ものである。ただし、本件補正発明の空冷式筐体は、冷却ファンも収容しているのに対して、引用発明の筐体は、その側面の送風口の外側に電動ファン1を備えているから、冷却ファンを収容しているとはいえない。 エ.引用発明の「可動板3」は、自然空冷時に通気孔となる上記複数の孔5を、強制空冷時に塞ぐものであることからみて、上記複数の孔5を「開閉する」もの、すなわち、「シャッタ」であるということができる。また、引用発明の上記「可動板3」は、「前記電動ファン1による強制空冷時には、前記可動板3は風圧により固定板2の方に押しやられ、前記固定板2に重なって前記固定板2の前記複数の孔5を塞」ぐものであるから、本件補正発明の「シャッタ」と、「前記強制冷却風が有る場合は、当該強制冷却風が前記第一側面通気口から前記第二側面通気口へ流れる圧力で、前記シャッタが前記天面通気口側へ持ち上がることにより前記天面通気口を閉じる」点で共通する。さらに、引用発明の上記「可動板3」は、「前記電動ファンが停止した場合には、前記可動板3は重力により前記発熱部品7側へ垂下し、前記固定板2の前記複数の孔5からなる自然空冷の通気孔が形成される」から、本件補正発明の「シャッタ」と、「前記冷却ファンで発生する強制冷却風が無い場合は、自重で前記発熱体側へ垂れ下がることにより前記天面通気口を開」く点でも共通する。 ただし、本件補正発明においては、「複数のシャッタ」によって天面通気口を開閉しているのに対して、引用発明においては、「可動板3」という1つのシャッタによって開閉している点で相違する。 オ.引用発明の「筐体」は、強制空冷及び自然空冷を用いるものであるから、「空冷式筐体」ということができる。 以上を勘案すると、本件補正発明と引用発明との一致点及び相違点は次のとおりである。 <一致点> 「天面を含む複数の面によって囲まれた空間に発熱体を収容するとともに前記複数の面のうち前記天面及び当該天面を挟んで対向する二つの側面の三面にのみ通気口が設けられた空冷式筐体であって、 前記発熱体の真上の前記天面に形成された天面通気口と、 前記二つの側面にそれぞれ形成された第一側面通気口及び第二側面通気口と、 当該天面通気口を開閉するシャッタとを備え、 冷却ファンは前記第一側面通気口の近傍に設置され、 前記発熱体は前記第二側面通気口の近傍に設置され、 前記シャッタは、 前記冷却ファンで発生する強制冷却風が無い場合は、自重で前記発熱体側へ垂れ下がることにより前記天面通気口を開き、 前記強制冷却風が有る場合は、当該強制冷却風が前記第一側面通気口から前記第二側面通気口へ流れる圧力で、前記シャッタが前記天面通気口側へ持ち上がることにより前記天面通気口を閉じる、 空冷式筐体。」 <相違点1> 本件補正発明においては、天面を含む複数の面によって囲まれた空間に発熱体及び冷却ファンを収容するのに対し、引用発明においては、上記空間に発熱体は収容しているものの、冷却ファンは収容はしていない点。さらに、上記空間内における発熱体と冷却ファンの配置に関して、本件補正発明は、「前記冷却ファンは前記第一側面通気口の近傍に設置され、前記発熱体は前記第二側面通気口の近傍に設置され」ているのに対して、引用発明は上述のとおり冷却ファンを収容していないので、そのような位置関係の特定はなされていない点。 <相違点2> シャッタについて、本件補正発明においては、「複数のシャッタ」が天面通気口に設けられ、各シャッタは、それぞれ独立に自重で垂れ下がり、かつ、それぞれ独立に冷却ファンで発生する強制冷却風の圧力で持ち上がる板部と、この板部を回動自在に支持する軸部とを有し、天面通気口を閉じる際には、前記板部の先端が隣接する前記軸部に重なるものであるのに対し、引用発明においては、「可動板3」という1つのシャッタを天面をなす固定板2に懸吊している点。 (4)判断 上記各相違点について検討する。 ア.相違点1について 冷却ファンを備えた冷却式筐体において、冷却ファンを筐体内に収容することは、例えば、引用文献1(上記「(2)」の「イ.」の(オ)を参照のこと。)に記載されているように周知技術にすぎないから、引用発明においても、電動ファン1(冷却ファン)を送風口(第一側面通気口)の外側ではなく、内側に備えるようにすることによって、当該電動ファン1(冷却ファン)を筐体内に収容することは、当業者にとって格別の創意工夫を要することではない。そして、電動ファン1(冷却ファン)を収容する際に、送風口(第一側面通気口)の近傍に冷却ファンを設置するとともに、その風下である排気口(第二側面通気口)の近傍に発熱体を設置することは、当業者がごく普通になし得ることである。 イ.相違点2について 上記「(2)」の「イ.」において説示したとおり、引用文献1には、「強制冷却モードと自然冷却モードの切り換えができるようにするために、筐体6の上部に設けられた複数の空気放出穴60の各々に開閉部80を設け、ファン18aが回転している強制冷却状態では、その冷却風により自動的に開閉部80が空気放出穴60を閉じ、ファン停止時である自然冷却状態では、開閉器80は自重により中心85を中心として筐体6の内方に向かって回転して下がり、これによって空気放出穴60を自動的に開くようにすること。」という技術事項が記載されている。 ここで、上記「ファン18a」「空気放出穴60」「開閉器80」及び「中心85」は、本件補正発明の「冷却ファン」「天面通気口」「板部」及び「軸部」にそれぞれ相当するものであるから、引用文献1には、自然冷却モードではそれぞれ独立に自重で垂れ下がり、かつ、強制冷却モードではそれぞれ独立に冷却ファンで発生する強制冷却風の圧力で持ち上がる板部と、この板部を回動自在に支持する軸部とを有する複数のシャッタを設けることによって、天面通気口を開閉するという技術事項が記載されているということもできる。 そして、引用発明の可動板3(シャッタ)も、引用文献1に記載の複数のシャッタも、天面通気口を開閉し、かつ、強制冷却と自然冷却の切り換えを可能とするためのものであるから、引用発明の可動板3(シャッタ)に代えて、引用文献1に記載の上記複数のシャッタを用いるようにすることは、当業者が適宜なし得ることである。また、複数のシャッタを用いて開口を閉じるための具体的構造として、各シャッタを構成する板部の先端が隣接するシャッタの軸部に重なるシャッタ構造は周知である(例えば、実願昭53-165923号(実開昭55-82796号)のマイクロフィルム(特に、第2図及び第3図)、実願昭54-36164号(実開昭55-137886号)のマイクロフィルム(特に、第1図)を参照のこと。)から、引用発明において、複数のシャッタを用いるようにする際に、具体的なシャッタ構造として、上記周知のシャッタ構造を採用することは、当業者が適宜なし得る設計的事項にすぎない。 また、審判請求人が審判請求書において主張する「本願発明は、複数のシャッタ40を備えることにより、可動部分に一か所不具合が生じても、多くのシャッタ40が動くことにより、冷却を維持できます」という効果は、引用文献1の記載事項から当業者が予測し得る範囲内のものである。さらに、審判請求人は審判請求書において、引用文献1に記載の開閉部80について、「開閉部80は空気放出穴60に嵌る構造になっています。そのため、開閉部80が空気放出穴60に引っ掛かって、自重によって下がらなくなるおそれがあります。仮に、開閉部80が空気放出穴60に引っ掛からないように、開閉部80と空気放出穴60とに隙間を設ければ、その隙間から冷却風41が漏れ出して冷却効果が下がってしまいます。」と主張しているが、引用文献1に記載の開閉部80がそのような問題を有するか否かは引用文献1の記載からは定かでは無いが、少なくとも上述した周知のシャッタ構造においては、そのような問題が生じないことは明らかである。したがって、上記相違点2に係る本件補正発明の発明特定事項による効果も、引用文献1及び周知技術から当業者が予測し得る範囲内のものであって、格別のものではない。 以上のとおりであるから、本件補正発明は、引用文献2に記載された発明、引用文献1に記載された技術事項及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 (5)補正の適否についてのむすび 以上のとおり、本件補正発明は、引用文献2に記載された発明、引用文献1に記載された技術事項及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 よって、本件補正は、特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に違反するものであるから、同法159条1項の規定において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。 第3 本願発明について 1.本願発明 平成29年8月16日にされた手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1ないし6に係る発明は、平成29年4月21日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし6に記載された事項により特定されたものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、上記「第2」の「1.」に本件補正前の請求項1として記載したとおりのものである。 2.原査定の拒絶の理由 原査定の拒絶の理由は、この出願の請求項1ないし6に係る発明は、下記の引用文献2に記載された発明、引用文献1に記載された発明、及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。 引用文献1:国際公開第2003/067949号 引用文献2:実願昭58-48639号(実開昭59-161695号)のマイクロフィルム 3.引用発明等 原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1ないし2及びその記載事項等は、上記「第2」の「2.」に記載したとおりである。 4.対比・判断 本願発明は、上記「第2」で検討した本件補正発明から「前記冷却ファンは前記第一側面通気口の近傍に設置され、前記発熱体は前記第二側面通気口の近傍に設置され」という発明特定事項を削除し、さらに、「複数のシャッタ」に関して、「自重で垂れ下がりかつ前記冷却ファンで発生する強制冷却風の圧力で持ち上がる板部と、この板部を回動自在に支持する軸部とを有し」との限定を削除するとともに、「前記天面通気口を開き」について「前記発熱体側へ垂れ下がることにより」との限定を削除し、「圧力」について「前記第一側面通気口から前記第二側面通気口へ流れる」との限定を削除し、「前記天面通気口を閉じる」について、「前記シャッタが前記天面通気口側へ持ち上がることにより」との限定を削除し、さらに「前記板部の先端が隣接する前記軸部に重なる」との限定を削除したものである。 そうすると、本願発明の特定事項を全て含み、さらに他の特定事項を付加したものに相当する本件補正発明が、上記「第2」の「3.」及び「4.」に記載したとおり、引用文献2に記載された発明、引用文献1に記載された技術事項及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、引用文献2に記載された発明、引用文献1に記載された技術事項及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 第4 むすび 以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。 したがって、本願は、その余の請求項について論及するまでもなく拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2017-012169

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