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特許拒絶査定不服審判

2022-012718

スルーホール及び表面実装のためのサーマルリリーフ

審判番号
2022-012718
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2020-104969
請求日
2022年08月12日
審決日
2023年10月16日
公報発行日
2024年04月26日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】ウェスタン デジタル テクノロジーズ インコーポレーテッド
  • 【請求人代理人】弁理士法人平木国際特許事務所
審判長/審判官
  • 審判長 井上 信一
  • 審判官 山本 章裕
  • 審判官 須原 宏光
分類
P18 .121-Z (H05K) / P18 .575-Z (H05K)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第17条の2第6項、特許法第17条の2第5項第2号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2020-104969「スルーホール及び表面実装のためのサーマルリリーフ」拒絶査定不服審判事件〔令和 3年 9月 2日出願公開、特開2021-129098〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、令和2年6月18日(パリ条約による優先権主張 2020年2月11日 米国)を出願日とする出願であって、令和3年8月27日付けで拒絶理由が通知され、同年11月30日に意見書及び手続補正書が提出され、令和4年4月4日付けで拒絶査定されたところ、同年8月12日に拒絶査定不服審判が請求され、同時に手続補正書が提出されたものである。 第2 令和4年8月12日にされた手続補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 令和4年8月12日にされた手続補正を却下する。 [理由] 1.補正の概要 令和4年8月12日にされた手続補正(以下、「本件補正」という。)は、令和3年11月30日に手続補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された発明特定事項により特定される、 「多層プリント回路基板であって、 前記多層プリント回路基板の第1の表面上に配置された導電性接合表面と、 前記プリント回路基板の前記第1の表面上に配置されており、かつ前記導電性接合表面を少なくとも部分的に取り囲む、第1のサーマルリリーフパッドと、 前記第1の表面上に配置されており、かつ前記第1のサーマルリリーフパッドを少なくとも部分的に取り囲む、第1の導電面と、 前記第1の導電面を前記導電性接合表面に接続する少なくとも1つの第1のスポークであって、前記第1のスポークが、前記第1のサーマルリリーフパッドを通って延在する、少なくとも1つの第1のスポークと、 前記第1の表面上に配置されており、かつ前記第1の導電面及び前記第1のサーマルリリーフパッドを少なくとも部分的に取り囲む、第2のサーマルリリーフパッドと、 前記第1の表面上に配置されており、かつ前記第2のサーマルリリーフパッドを少なくとも部分的に取り囲む、第2の導電面と、 前記第2の導電面を前記第1の導電面に接続する少なくとも1つの第2のスポークであって、前記第2のスポークが、前記第2のサーマルリリーフパッドを通って延在する、少なくとも1つの第2のスポークと、を備え、 スルーホールが、前記導電性接合表面から前多層プリント回路基板を通って、前記導電性接合表面に垂直に延在する、 、多層プリント回路基板。」 との発明(以下、「本願発明」という。)を、 「多層プリント回路基板であって、 前記多層プリント回路基板の第1の表面上に配置された導電性接合表面と、 前記プリント回路基板の前記第1の表面上に配置されており、かつ前記導電性接合表面を少なくとも部分的に取り囲み、電気的及び熱的な絶縁を与える第1のサーマルリリーフパッドと、 前記第1の表面上に配置されており、かつ前記第1のサーマルリリーフパッドを少なくとも部分的に取り囲む、第1の導電面と、 前記第1の導電面を前記導電性接合表面に接続する少なくとも1つの第1のスポークであって、前記第1のスポークが、前記導電性接合表面から前記第1の導電面に向かって外向きに、前記第1のサーマルリリーフパッドを通って延在する、少なくとも1つの第1のスポークと、 前記第1の表面上に配置されており、かつ前記第1の導電面及び前記第1のサーマルリリーフパッドを少なくとも部分的に取り囲み、電気的及び熱的な絶縁を与える第2のサーマルリリーフパッドと、 前記第1の表面上に配置されており、かつ前記第2のサーマルリリーフパッドを少なくとも部分的に取り囲む、第2の導電面と、 前記第2の導電面を前記第1の導電面に接続する少なくとも1つの第2のスポークであって、前記第2のスポークが、前記第1の導電面から前記第2の導電面に向かって外向きに、前記第2のサーマルリリーフパッドを通って延在する、少なくとも1つの第2のスポークと、を備え、 スルーホールが、前記導電性接合表面から前多層プリント回路基板を通って、前記導電性接合表面に垂直に延在する、 、多層プリント回路基板。」(下線は補正箇所を示す。) との発明(以下、「本件補正発明」という。)とする補正を含むものである。 2.補正の適否 (1)補正の目的要件 上記補正の内容は、以下の「ア.」ないし「エ.」のとおりである。 ア.「前記プリント回路基板の前記第1の表面上に配置されており、かつ前記導電性接合表面を少なくとも部分的に取り囲む第1のサーマルリリーフパッド」との記載を「前記プリント回路基板の前記第1の表面上に配置されており、かつ前記導電性接合表面を少なくとも部分的に取り囲み、電気的及び熱的な絶縁を与える第1のサーマルリリーフパッド」と補正することにより、「第1のサーマルリリーフパッド」が「電気的及び熱的な絶縁を与える」ものであることの特定(限定)を付加する補正。 イ.「前記第1のスポークが、前記第1のサーマルリリーフパッドを通って延在する」との記載を「前記第1のスポークが、前記導電性接合表面から前記第1の導電面に向かって外向きに、前記第1のサーマルリリーフパッドを通って延在する」と補正することにより、「第1のスポーク」が延在する向きの特定(限定)を付加する補正。 ウ.「前記第1の表面上に配置されており、かつ前記第1の導電面及び前記第1のサーマルリリーフパッドを少なくとも部分的に取り囲む、第2のサーマルリリーフパッド」との記載を「前記第1の表面上に配置されており、かつ前記第1の導電面及び前記第1のサーマルリリーフパッドを少なくとも部分的に取り囲み、電気的及び熱的な絶縁を与える第2のサーマルリリーフパッド」と補正することにより、「第2のサーマルリリーフパッド」が「電気的及び熱的な絶縁を与える」ものであることの特定(限定)を付加する補正。 エ.「前記第2のスポークが、前記第2のサーマルリリーフパッドを通って延在する」との記載を「前記第2のスポークが、前記第1の導電面から前記第2の導電面に向かって外向きに、前記第1のサーマルリリーフパッドを通って延在する」と補正することにより、「第2のスポーク」が延在する向きの特定(限定)を付加する補正。 そうしてみると、上記補正の内容「ア.」ないし「エ.」はいずれも構成を限定する補正であり、上記補正の前後で産業上の利用分野及び解決しようとする課題は同一であるから、特許請求の範囲の減縮を目的とする補正に該当し、特許法第17条の2第5項第2号に規定された事項を目的とするものである。 (2)独立特許要件について 上記補正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、本件補正後の特許請求の範囲に記載されている事項により特定される発明が、特許法第17条の2第6項で準用する同法第126条第7項の規定に適合するか否か、すなわち、特許出願の際に独立して特許を受けることができるものか否かについて検討する。 ア.本件補正発明 本件補正発明は、上記「1.補正の概要」の項の「本件補正発明」のとおりのものと認める。 イ.引用発明 (ア)引用文献の記載事項 原査定の拒絶の理由で引用された、本願出願前に公開された文献である米国特許第6235994号明細書(以下、「引用文献」という。)には、以下の記載がある。なお、当審による仮訳を付記する。下線は当審で付した。 a.「The present inventions provides a solution to thermal management problems known to exist in circuit board and circuit card rework processes. Accordingly, the present invention provides means to prevent heat needed by the assembly and/or rework processes from dissipating away from components being attached to the circuit board or circuit card. Some through holes in the circuit board or circuit card may not be plated. Additionally, some of the through holes may extend only through certain layers of the circuit board or circuit card. Furthermore, pins extending from components to be attached to the circuit board or circuit card may be inserted in any type of hole, whether plated or not and whether or not they extend entirely through the circuit board or circuit card. As stated above, to control dissipation of heat between the through hole and one or more layers of the multi-layer circuit board or circuit card, the present invention includes at least one thermal break provided in at least (in the) one layer of electrically conducting material in the multi-layer circuit board or circuit card. The at least one thermal break may be curvilinear in shape. Alternatively, the at least one thermal break may be comprised of the plurality of curvilinear and/or straight segments. FIG. 2 illustrates one embodiment of the present invention that includes a single thermal break. The thermal break illustrated in FIG. 2a extends almost twice around the circumference of the plated through hole. The through hole illustrated in FIG. 2a is not readily discernable in this view because FIG. 2a is intended to illustrate a condition in which a pin attached to a component is in place in the through hole. The thermal break illustrated in FIG. 2a includes a first curvilinear portion 17 that extends almost entirely around the through hole. The thermal break illustrated in FIG. 2a also includes a second curvilinear portion 21 that also extends almost entirely around the through hole. The two curvilinear portions are connected by a shorter connecting section 19. The free ends of the thermal break illustrated in FIG. 2a are rounded. The connecting section illustrated in FIG. 2a is curvilinear. The connecting section is connected to the first curvilinear section 17 through an angled connection 23. On the other hand, connecting section 19 is connected to second curvilinear section 21 through a curved connection 25. Of course, as discussed in greater detail below, the curvature, number of sections, shape of the free ends, number of thermal breaks, configuration of any connecting sections, and all other variables related to the thermal breaks may vary. Such variables may be altered without departing from the concept of the present invention. A curvilinear thermal break may minimize the amount of electrically conducting material removed from the layer of electrically conducting material. A thermal break according to the present invention may be filled with an electrically insulating material, such as any common dielectric typically used in semiconductor applications. Alternatively, the thermal break may be an empty space. A thermal break according to the present invention may be formed utilizing typical photolithographic techniques. FIG. 2b, FIG. 2c and FIG. 2d illustrate alternative embodiments of the present invention and include, respectively, two, three and four thermal breaks. The thermal breaks illustrated in FIG. 2b, FIG. 2c and FIG. 2d, do not extend entirely around the through hole more than once as in the embodiment shown in FIG. 2 a. However, each of the thermal breaks illustrated in FIG. 2b, FIG. 2c and FIG. 2d, include two curvilinear sections connected by at least one connecting section as in the embodiment shown in FIG. 2a. Regardless of whether the thermal break of the present invention is entirely curvilinear, or curvilinear at all or include one, two, three, four or more individual thermal breaks, the thermal break or breaks preferable are configured such that a line extending from the center of the through hole must pass through at least a portion of at least one of the thermal breaks. Therefore, heat passing between the through hole and the plane electrically conducting material must pass through the thermal break or breaks. As can be seen in FIG. 2b, FIG. 2c, FIG. 2d and FIG. 4, the present invention may include a plurality of thermal breaks 35 and 37; 39, 41, and 43; 45, 47, 49, and 51; and 53, 55, 57, and 59, respectively, symmetrically and concentrically arranged about a through hole. The thermal breaks need not be symmetrically or concentrically arranged. In FIGS. 2a-2d, a pin 50 is arranged in the through hole. On the other hand, FIGS. 3 and 4 illustrate an empty through hole. The boundary between the pin and the soldering material exists in FIGS. 2a-2d in substantially a similar position as the edge of the material in the through hole shown in FIGS. 3 and 4, but is not easily visible in FIGS. 2a-2d.」(5欄58行ないし7欄15行) (当審仮訳: 本発明は、回路基板及び回路カードの再加工プロセスに存在することが知られている熱管理問題に対する解決策を提供する。したがって、本発明は、組立プロセス及び/または再加工プロセスに必要な熱が、回路基板または回路カードに取り付けられる部品から放散するのを防ぐ手段を提供する。 回路基板または回路カードの一部のスルーホールにはメッキが施されていない場合がある。さらに、スルーホールの一部は、回路基板または回路カードの特定の層を通ってのみ延在する場合がある。さらに、回路基板または回路カードに取り付けられる部品から延びるピンは、めっきされているか否か、また回路基板または回路カードを完全に貫通しているかどうかに関係なく、任意のタイプの穴に挿入することができる。 上述したように、スルーホールと、多層回路基板または回路カードの1つまたは複数の層との間の熱の放散を制御するために、本発明は、多層回路基板または回路カード内の導電性材料の少なくとも1つの層に設けられた少なくとも1つのサーマルブレークを含む。少なくとも1つのサーマルブレークは、形状が曲線であってもよい。あるいは、少なくとも1つのサーマルブレークは、複数の曲線セグメント及び/または直線セグメントから構成されてもよい。 図2は、単一のサーマルブレークを含む本発明の一実施形態を示す。図2aに示すサーマルブレークは、めっきされたスルーホールの円周のほぼ2倍に伸びている。図2aに示されるスルーホールは、部品に取り付けられたピンが貫通孔内の所定の位置にある状態を示すことを意図しているため、この図では容易に識別できない。 図2aに示されるサーマルブレークは、スルーホールのほぼ全体に延びる第1の曲線部分17を含む。 図2aに示されるサーマルブレークはまた、スルーホールのほぼ全体に延びる第2の曲線部分21を含む。2つの曲線部分は、より短い接続部19によって接続されている。図2aに示されているサーマルブレークの自由端は丸められている。 図2aに示される接続部は曲線である。接続部は、接続角部23を介して第1曲線部17に接続されている。一方、接続部19は、曲線接続部25を介して第2曲線部21に接続されている。 もちろん、以下でより詳細に説明するように、曲率、セクションの数、自由端の形状、サーマルブレークの数、接続セクションの設定、及びサーマルブレークに関連する他のすべての変数は変化し得る。このような変数は、本発明の概念から逸脱することなく変更することができる。曲線状のサーマルブレークは、導電性材料の層から除去される導電性材料の量を最小限に抑えることができる。 本発明によるサーマルブレークは、半導体用途で典型的に使用される任意の一般的な誘電体などの電気絶縁材料で充填することができる。あるいは、サーマルブレークは空きスペースであってもよい。本発明によるサーマルブレークは、典型的なフォトリソグラフィ技術を利用して形成することができる。 図2b、図2c、及び図2dは、本発明の代替実施形態を示しており、それぞれ、2つ、3つ、及び4つのサーマルブレークを含む。図2b、図2c、及び図2dに示されるサーマルブレークは、図2aに示される実施形態のように、スルーホールの周囲全体に複数回延びるわけではない。しかしながら、図2b、図2c、及び図2dに示すサーマルブレークのそれぞれは、図2aに示す実施形態と同様に、少なくとも1つの接続部によって接続された2つの曲線セクションを含む。 本発明のサーマルブレークが完全な曲線であるか、または全くの曲線であるか、または1つ、2つ、3つ、4つ、もしくはそれ以上の独立したサーマルブレークを含むかどうかに関係なく、サーマルブレークは、好ましくは、スルーホールの中心から延びる線が、少なくとも1つのサーマルブレークの少なくとも一部を通過するように構成される。したがって、スルーホールと平面導電性材料の間を通過する熱は、サーマルブレークを通過しなければならない。 図2b、図2c、図2d及び図4からわかるように、本発明は、貫通孔の周りに対称かつ同心円状に配置されている複数のサーマルブレーク35・37、39・41・43、45・47・49・51、53・55・57・59を含むことができる。サーマル ブレークは対称的または同心円状に配置する必要はない。図2a~2dでは、ピン50が貫通孔内に配置されている。一方、図3及び図4は、空の貫通孔を示している。 ピンと半田材との間の境界は、図2a~2dにおいて、図3及び4に示されるスルーホール内の材料の端と実質的に同様の位置に存在するが、図2a~2dでは容易には見えない。) b.図面として以下の図2a、図2d、図3が記載されている。 [図:0001408400000001.jpg] [図:0001408400000002.jpg] (イ)上記記載a.b.によれば、図2dに記載された態様に関して、以下の事項が記載されている。 ・上記(ア)a.の記載において、図2dの態様と共通する部分については図2aの態様に関する記載も参照すると、図2dの態様は多層回路基板であり、当該多層回路基板はスルーホールを有し、また、上記b.の図2dも参照すれば、多層回路基板の片側表面上の導電性材料にサーマルブレークが設けられているといえる。 ・上記(ア)a.の記載及び(ア)b.の図2dによれば、多層回路基板の片側表面上に4つのサーマルブレーク45、47、49、51が中央のピン50を取り囲むように形成されている。そして、ピン50はスルーホール内に位置していることは明らかであることを踏まえると、各サーマルブレークはスルーホールに近い位置でスルーホールを約1/4円周囲う略半分と、スルーホールから離れた位置でスルーホールを約1/4円周囲う略半分とで構成されて、スルーホールに近い略半分と、スルーホールから遠い略半分とは接続部19(符号は図2aによる。)によって接続されている。 ・上記(ア)b.の図2dによれば、前記各サーマルブレークのスルーホールに近い方の略半分と、当該サーマルブレークと隣り合うサーマルブレークのスルーホールから遠い方の略半分とは、導電性材料15を挟んで対峙していることが見て取れる。 ・上記(ア)b.の図2dによれば、前記各サーマルブレークのスルーホールに近い方の略半分と当該サーマルブレークと隣り合うサーマルブレークのスルーホールから遠い方の略半分とに挟まれた導電性材料15は、隣り合うサーマルブレークのスルーホールから近い方の略半分同士の間を通ってスルーホール側に延在し、また、隣り合うサーマルブレークのスルーホールから遠い方の略半分同士の間を通ってサーマルブレークの外側の導電性材料15に接続されていることが見て取れる。 ・上記(ア)a.に「回路基板または回路カードに取り付けられる部品から延びるピンは、メッキされているか否か、また回路基板または回路カードを完全に貫通しているかどうかに関係なく、任意のタイプの穴に挿入することができる。」と記載されており、当該記載はスルーホールが回路板を完全に貫通するものを含んでいることを示している。また、スルーホールは回路板に垂直に設けるのが技術常識であり、(ア)b.の図2dと矛盾するところはない。 (ウ)引用発明 以上を総合すると、引用文献には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。 「スルーホールを有する多層回路基板であって、 多層回路基板の片側表面上の導電性材料に4つのサーマルブレークがスルーホールを取り囲むように形成されており、 各サーマルブレークはスルーホールに近い位置でスルーホールを約1/4円周囲う略半分と、スルーホールから離れた位置でスルーホールを約1/4円周囲う略半分とで構成され、スルーホールに近い略半分と、スルーホールから遠い略半分とは接続部によって接続され、 各サーマルブレークのスルーホールに近い方の略半分と、当該サーマルブレークと隣り合うサーマルブレークのスルーホールから遠い方の略半分とは、導電性材料を挟んで対峙しており、 各サーマルブレークのスルーホールに近い方の略半分と、当該サーマルブレークと隣り合うサーマルブレークのスルーホールから遠い方の略半分とに挟まれた導電性材料は、隣り合うサーマルブレークのスルーホールから近い方の略半分同士の間を通ってスルーホール側に延在し、 各サーマルブレークのスルーホールに近い方の略半分と当該サーマルブレークと隣り合うサーマルブレークのスルーホールから遠い方の略半分とに挟まれた導電性材料は、隣り合うサーマルブレークのスルーホールから遠い方の略半分同士の間を通ってサーマルブレークの外側の導電性材料に接続され、 スルーホールが多層回路基板を垂直に完全に貫通している、 多層回路基板。」 ウ.対比 (ア)本件補正発明と引用発明とを対比する。 a.引用発明の「多層回路基板」「多層回路基板の片側表面」が、本件補正発明の「多層プリント回路基板」「多層プリント回路基板の第1の表面」にそれぞれ相当する。 b.本件補正発明の「導電性接合表面」は「前記多層プリント回路基板の第1の表面上に配置され」、「第1のサーマルリリーフパッド」により「少なくとも部分的に取り囲」まれているから、「多層プリント回路基板の第1の表面上」の「第1のサーマルリリーフパッド」よりもスルーホール側に位置する構成といえるところ、引用発明においては、図2dを参照してもサーマルブレークとピン50との間の構成には符号も付されておらず、対応する構成が明確ではない。したがって、本件補正発明の「導電性接合表面」について、引用発明では対応する構成が明確ではない点で相違する。 c.引用文献に「曲線状のサーマルブレークは、導電性材料の層から除去される導電性材料の量を最小限に抑えることができる。本発明によるサーマルブレークは、半導体用途で典型的に使用される任意の一般的な誘電体などの電気絶縁材料で充填することができる。あるいは、サーマルブレークは空きスペースであってよい。」と記載されているように、引用発明における「サーマルブレーク」は、導電性材料が除去され、誘電体などの電気絶縁材料で充填された構成、あるいは空きスペースであるから、電気的及び熱的な絶縁を与えることは明らかである。 そして、引用発明において、「各サーマルブレークのスルーホールに近い方の略半分」と、当該サーマルブレークと「隣り合うサーマルブレークのスルーホールに近い方の略半分」とを合わせた構成である「隣り合うサーマルブレークのスルーホールから近い方の略半分同士」(以下、「構成A」という。)の間を通って、「各サーマルブレークのスルーホールに近い方の略半分と、当該サーマルブレークと隣り合うサーマルブレークのスルーホールから遠い方の略半分とに挟まれた導電性材料」(以下、「構成B」という。)が「スルーホール側に延在し」ている。そうしてみると、引用発明において、「導電性接合表面」に相当する構成は明らかでないため、引用発明の構成Aは本件補正発明のように「導電性接合表面を少なくとも部分的に取り囲」んでいるとはいえないものの、本件補正発明の「第1のサーマルリリーフパッド」と引用発明の構成Aとはスルーホールを少なくとも部分的に取り囲んでいるといえる点では一致するから、引用発明の構成Aは本件補正発明の「第1のサーマルリリーフパッド」に相当する。そして、引用発明の構成Bは、構成Aを少なくとも部分的に取り囲んでいるから、本件補正発明の「前記第1のサーマルリリーフパッドを少なくとも部分的に取り囲む」「第1の導電面」に相当する。 d.引用発明において、「各サーマルブレークのスルーホールに近い方の略半分と、当該サーマルブレークと隣り合うサーマルブレークのスルーホールから遠い方の略半分とに挟まれた導電性材料(すなわち構成B)は、隣り合うサーマルブレークのスルーホールから近い方の略半分同士(すなわち構成A)の間を通ってスルーホール側に延在し」ている。そうしてみると「構成Bのスルーホール側に延在する部分」は、構成Bをスルーホール側に接続し、また、スルーホール側から構成Bに向かって外向きに構成Aを通って延在しているといえ、本件補正発明の第1のスポークと「前記第1の導電面をスルーホール側に接続する少なくとも1つの第1のスポークであって、前記第1のスポークが、前記スルーホール側から前記第1の導電面に向かって外向きに、前記第1のサーマルリリーフパッドを通って延在する、少なくとも1つの第1のスポーク」といえる点で一致する。しかしながら、本件補正発明では第1のスポークが接続される具体的な構成が「導電性接合表面」であるのに対して、引用発明では対応する構成が不明である点で相違する。 e.上記c.で述べたように引用発明における「サーマルブレーク」は、電気的及び熱的な絶縁を与えることは明らかである。 また、引用発明において、「各サーマルブレークのスルーホールから遠い方の略半分」と、当該サーマルブレークと「隣り合うサーマルブレークのスルーホールから遠い方の略半分」とを合わせた構成である「隣り合うサーマルブレークのスルーホールから遠い方の略半分同士」(以下、「構成C」という。)の間を通って構成Bが延在し、「サーマルブレークの外側の導電性材料に接続されている」。そうしてみると、引用発明の構成Cが本件補正発明の「第2のサーマルリリーフパッド」に相当し、引用発明の「サーマルブレークの外側の導電性材料」はサーマルブレークを取り囲んでいるといえるから、本件補正発明の「第2の導電面」に相当する。 また、引用発明の構成Cの略半分同士の間に延在した構成Bは、構成B(本件補正発明の「第1の導電面」に相当。)を「サーマルブレークの外側の導電性材料」(本件補正発明の「第2の導電面」に相当。)に接続しており、構成Bから「サーマルブレークの外側の導電性材料」に向かって外向きに構成Cを通って延在しているといえるから、本件補正発明の「前記第2の導電面を前記第1の導電面に接続する少なくとも1つの第2のスポークであって、前記第2のスポークが、前記第1の導電面から前記第2の導電面に向かって外向きに、前記第2のサーマルリリーフパッドを通って延在する、少なくとも1つの第2のスポーク」に相当する。 f.引用発明は「スルーホールは多層回路基板を垂直に完全に貫通して」おり、スルーホールは多層回路基板の片側表面から多層回路基板を通って、多層回路基板の片側表面に垂直に延在することは明らかであり、引用文献の図2dをみても、矛盾するところはない。したがって、本件補正発明と引用発明とは「スルーホールが、多層プリント回路基板の第1の表面から前多層プリント回路基板を通って、多層プリント回路基板の第1の表面に垂直に延在する」といえる点で共通するものの、引用発明では「導電性接合表面」に相当する構成が不明であり、「スルーホールが、前記導電性接合表面から前多層プリント回路基板を通って、多層プリント回路基板の第1の表面に延在」しているかが不明である点で相違する。 そうしてみると、本件補正発明と引用発明とは以下の点で一致ないし相違する。 (一致点) 「多層プリント回路基板であって、 前記プリント回路基板の第1の表面上に配置されており、かつスルーホールを少なくとも部分的に取り囲み、電気的及び熱的な絶縁を与える第1のサーマルリリーフパッドと、 前記第1の表面上に配置されており、かつ前記第1のサーマルリリーフパッドを少なくとも部分的に取り囲む、第1の導電面と、 前記第1の導電面をスルーホール側に接続する少なくとも1つの第1のスポークであって、前記第1のスポークが、前記スルーホール側から前記第1の導電面に向かって外向きに、前記第1のサーマルリリーフパッドを通って延在する、少なくとも1つの第1のスポークと、 前記第1の表面上に配置されており、かつ前記第1の導電面及び前記第1のサーマルリリーフパッドを少なくとも部分的に取り囲み、電気的及び熱的な絶縁を与える第2のサーマルリリーフパッドと、 前記第1の表面上に配置されており、かつ前記第2のサーマルリリーフパッドを少なくとも部分的に取り囲む、第2の導電面と、 前記第2の導電面を前記第1の導電面に接続する少なくとも1つの第2のスポークであって、前記第2のスポークが、前記第1の導電面から前記第2の導電面に向かって外向きに、前記第2のサーマルリリーフパッドを通って延在する、少なくとも1つの第2のスポークと、を備え、 スルーホールが、多層プリント回路基板の第1の表面から多層プリント回路基板を通って、多層プリント回路基板の第1の表面に垂直に延在する、 、多層プリント回路基板。」 (相違点) 導電性接合表面に関連して、 (a)本件補正発明では「前記多層プリント回路基板の第1の表面上に配置された導電性接合表面」を有しているのに対して、引用発明においては当該構成が明らかではない点。 (b)「第1のサーマルリリーフパッド」が「スルーホールを少なくとも部分的に取り囲」む点で一致するとした点について、本件補正発明では「第1のサーマルリリーフパッド」は「導電性接合表面を少なくとも部分的に取り囲」むのに対して、引用発明では「導電性接合表面」に係る構成が明らかではなく、「導電性接合表面」を取り囲む構成に相当する構成を有しているか明らかではない点。 (c)「第1のスポーク」に関し、本件補正発明では、第1の導電面を前記導電性接合表面に接続し、導電性接合表面から前記第1の導電面に向かって延在しているところ、引用発明では「導電性接合表面」に係る構成が明らかではなく、第1の導電面を前記導電性接合表面に接続し、導電性接合表面から前記第1の導電面に向かって延在する構成に相当する構成を有しているか明らかではない点。 (d)本件補正発明と引用発明とは「スルーホールが、多層プリント回路基板の第1の表面から前多層プリント回路基板を通って、多層プリント回路基板の第1の表面に垂直に延在する」といえる点で一致するものの、引用発明では「導電性接合表面」に相当する構成が不明であり、「スルーホールが、前記導電性接合表面から前多層プリント回路基板を通って、前記導電性接合表面に垂直に延在」する構成に相当する構成を有しているか明らかではない点。 エ.判断 上記相違点について検討する。 引用発明においては、本件補正発明の「前記多層プリント回路基板の第1の表面上に配置された導電性接合表面」に相当する構成が明らかではない。 一方で、例えば引用文献の図3(上記(2)イ.(ア)b.参照)に記載の多層回路基板ではスルーホールとサーマルブレークの間には導体層が形成されていることが見て取れ、当該構成は本件補正発明の導電性接合表面に相当する構成といえる。そうしてみると、引用発明において各サーマルブレークとスルーホールとの間の構成を、例えば同じ文献に示された図3に係る構成を参照して、多層回路基板の片側表面上に導電層を設け、相違点(a)に係る構成とすることは、当業者が容易に想到できる事項にすぎず、図3に係る事項の適用を阻害する要因も存在しない。 そして、引用発明において相違点(a)とした構成を設けることにより、相違点(b)とした構成は第1のサーマルリリーフパッドが「導電性接合表面」を取り囲んでいる構成となり、相違点(c)とした構成は、第1の導電面を前記導電性接合表面に接続し、導電性接合表面から第1の導電面に向かって延在している構成となり、相違点(d)とした構成は「スルーホールが、前記導電性接合表面から前多層プリント回路基板を通って、前記導電性接合表面に垂直に延在」する構成となる。 オ 請求人の主張について 審判請求人は、審判請求書において以下のように主張している。 「・・・引用文献1の例えば図2aに記載の熱遮断部17、21は、スルーホール(ピン50)を略全周に亘って囲う螺旋状に形成され、複数の熱遮断部17、21の間の導電材料部(図2aの符号27等)も、スルーホールを囲う周方向に延びるものであり、この点、請求項1に記載の発明では、第1及び第2のスポークが、それぞれ「前記導電性接合表面から前記第1の導電面に向かって外向きに、」、前記第1の導電面から前記第2の導電面に向かって外向きに、」延びるのとは異なっている。スルーホールからの熱は、中心付近から周囲に向けて放射状に拡散することから、請求項1に記載の如く、第1/第2のスポークが、スルーホールの方向から外向きに形成されることにより、熱放散に対する所望の抵抗を達成することが容易になる。引用文献1の場合、熱放散経路は、明らかにスルーホールと交差する方向(周方向、螺旋状)となっていることから、熱の放散の調整が容易ではないと思われる。」(審判請求書6ページ1ないし12行) しかしながら、本件補正発明においても本願の図3Bや図4(下図)を参照すれば明らかなように、スルーホール(302)からの熱はサーマルリリーフパッド(322、326)に遮られ、スポーク(324、328)に至るまで周方向に伝導することになるから、審判請求人が引用文献に対して「熱放散経路は、明らかにスルーホールと交差する方向(周方向、螺旋状)となっていることから、熱の放散の調整が容易ではない」と主張している構成と何ら変わるところがない。また、引用発明は図2a.に係るものではなく図2d.に係るものであり、引用発明においても、本件補正発明の第1及び第2のスポークに相当する「サーマルブレークのスルーホールから近い方の略半分同士の間」及び「サーマルブレークのスルーホールから遠い方の略半分同士の間」を通ってスルーホールからの熱は外向きに伝導しており、この点においても本件補正発明と引用発明とに差異はない。 したがって、上記請求人の主張を採用することはできない。 [図:0001408400000003.jpg] カ 本件補正発明の独立特許要件についてのまとめ 以上のとおり,本件補正発明は,引用文献に記載された発明及び記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができない。 (3)本件補正についてのまとめ したがって,本件補正は,特許法第17条の2第6項で準用する同法第126条第7項の規定に違反するので,同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 よって,前記補正の却下の結論のとおり決定する。 第3 本願発明について 1.本願発明 令和4年8月12日にされた手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1ないし16に係る発明は、令和3年11月30日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし16に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(本願発明)は、その請求項1に記載された事項により特定される、上記「第2[理由]1.」に記載のとおりのものである。 2.原査定の拒絶の理由の概要 原査定の拒絶の理由3は、請求項1に係る発明が、本願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった米国特許第6235994号明細書に記載された発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。 3.引用文献、引用発明 引用文献に記載された発明(引用発明)は、上記「第2[理由]2.(2)イ.(ウ)」に記載したとおりである。 4.引用発明との対比 本願発明は、前記「第2[理由]2.(2)」で検討した本件補正発明から、 ・第1のサーマルリリーフパッド及び第2のサーマルリリーフパッドが「電気的及び熱的な絶縁を与える」とする限定、 ・第1のスポークについて、「前記導電性接合表面から前記第1の導電面に向かって外向きに」延在するとの限定、 ・第2のスポークについて、「前記第1の導電面から前記第2の導電面に向かって外向きに」延在するとの限定、 を削除したものに相当する。 そうすると、本願発明と引用発明とは、上記相違点(a)(b)(d)で相違し、その余の点で一致する。 5.判断 相違点(a)(b)(d)についての判断は、上記「第2[理由]2.(2)エ.」に記載したとおりであるから、相違点(c)に係る構成が削除された本願発明も同様の理由により、引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 第4 むすび 以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、その余の請求項に論及するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2022-012718

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