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特許拒絶査定不服審判

2025-007889

プリント回路基板及びこれを含む電子素子パッケージ

審判番号
2025-007889
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2023-117442
請求日
2025年05月21日
審決日
2026年01月27日
公報発行日
2026年07月31日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
  • 【請求人代理人】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
審判長/審判官
  • 審判長 土居 仁士
  • 審判官 丸山 高政
  • 審判官 行武 哲太郎
分類
P18 .121-Z (H05K) / P18 .575-Z (H05K)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条、特許法第17条の2第6項、特許法第17条の2第5項
データ出所
審決公報(XML)

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特願2023-117442「プリント回路基板及びこれを含む電子素子パッケージ」拒絶査定不服審判事件〔令和5年10月3日出願公開、特開2023-139109〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、平成30年5月2日(パリ条約による優先権主張 2017年11月8日 (KR)大韓民国)の出願である特願2018-88888号の一部を令和5年7月19日に新たな特許出願としたものであって、その手続の経緯の概要は以下のとおりである。 令和 6年 8月 5日付け 拒絶理由通知書 11月 6日 意見書・手続補正書 令和 7年 2月10日付け 拒絶査定 5月21日 審判請求書・手続補正書 6月 6日 前置報告書 以下では、令和7年2月10日付け拒絶査定を「原査定」といい、同年5月21日の手続補正書による補正を「本件補正」という。 第2 補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 本件補正を却下する。 [理由] 1 本件補正の内容 本件補正は、本件補正前の請求項17を、本件補正後の請求項12とする補正を含むものである。 本件補正前の請求項17(本件補正後の請求項12)に係る本件補正の内容を明らかにするため、以下の(1)に本件補正前の請求項17の記載を示し、以下の(2)に本件補正後の請求項12の記載を示す。 (1)本件補正前の請求項17の記載 本件補正前の令和6年11月6日の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項17の記載は次のとおりである。 【請求項17】 電子素子が実装されるプリント回路基板と、 前記プリント回路基板に接合されるパッケージ基板と、を含み、 前記プリント回路基板は、 絶縁層と回路層とで構成された積層体と、 前記積層体の一面に積層された第1ソルダーレジスト層と、 前記第1ソルダーレジスト層を貫通して前記積層体の一面上に形成され、前記回路層に電気的に接続するバンプと、 前記第1ソルダーレジスト層上に積層され、前記バンプの一面を露出する開口部を備えた第2ソルダーレジスト層と、を含み、 前記第2ソルダーレジスト層の厚さは、前記第1ソルダーレジスト層の厚さよりも大きく、 前記第2ソルダーレジスト層は、前記バンプより高く形成され、前記バンプの上面の少なくとも一部を覆う、電子素子パッケージ。 (2)本件補正後の請求項12の記載 本件補正後の特許請求の範囲の請求項12の記載は、以下のとおりである。なお、下線は補正箇所を示す。 【請求項12】 電子素子が実装されるプリント回路基板と、 前記プリント回路基板に接合されるパッケージ基板と、を含み、 前記プリント回路基板は、 絶縁層と回路層とで構成された積層体と、 前記積層体の一面に積層された第1ソルダーレジスト層と、 前記第1ソルダーレジスト層を貫通して前記積層体の一面上に形成され、前記回路層に電気的に接続するバンプと、 前記第1ソルダーレジスト層上に積層され、前記バンプの一面を露出する開口部を備えた第2ソルダーレジスト層と、を含み、 前記第2ソルダーレジスト層の厚さは、前記第1ソルダーレジスト層の厚さよりも大きく、 前記第2ソルダーレジスト層は、前記バンプより高く形成され、前記バンプの上面の少なくとも一部を覆い、 前記第1ソルダーレジスト層を貫通する第1キャビティと、 前記第2ソルダーレジスト層を貫通し、前記第1キャビティに対応する第2キャビティと、をさらに含み、 前記電子素子は、前記第1キャビティ及び前記第2キャビティ内に挿入され、 前記第1キャビティの横断面積は、前記第2キャビティの横断面積よりも小さい、電子素子パッケージ。 2 補正の目的 本件補正は、本件補正前の請求項17に係る発明を特定するために必要な事項である「プリント回路基板」について、「前記第1ソルダーレジスト層を貫通する第1キャビティ」及び「前記第2ソルダーレジスト層を貫通し、前記第1キャビティに対応する第2キャビティ」を「さらに含む」との限定を付加し、加えて、「前記電子素子は、前記第1キャビティ及び前記第2キャビティ内に挿入され」「前記第1キャビティの横断面積は、前記第2キャビティの横断面積よりも小さい」との限定を付加するものを含み、本件補正前の請求項17に係る発明と本件補正後の請求項12に係る発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法17条の2第5項2号に掲げる特許請求の範囲の減縮(いわゆる限定的減縮)を目的とするものに該当する。 3 補正の適否 前記2のとおり、本件補正には限定的減縮を目的とするものが含まれるので、本件補正後の請求項12に係る発明(以下「本件補正発明」という。)が特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項に規定する要件(いわゆる独立特許要件)に適合するかについて、以下、検討する。 (1)本件補正発明 本件補正発明は、前記1(2)に示した請求項12に記載された事項により特定されるとおりのものである。なお、後の参照の便宜のため、請求項12に記号A~Nを付して次のように分説し、「発明特定事項A」のようにして参照する。 【請求項12】 A 電子素子が実装されるプリント回路基板と、 B 前記プリント回路基板に接合されるパッケージ基板と、を含み、 C 前記プリント回路基板は、 D 絶縁層と回路層とで構成された積層体と、 E 前記積層体の一面に積層された第1ソルダーレジスト層と、 F 前記第1ソルダーレジスト層を貫通して前記積層体の一面上に形成され、前記回路層に電気的に接続するバンプと、 G 前記第1ソルダーレジスト層上に積層され、前記バンプの一面を露出する開口部を備えた第2ソルダーレジスト層と、を含み、 H 前記第2ソルダーレジスト層の厚さは、前記第1ソルダーレジスト層の厚さよりも大きく、 I 前記第2ソルダーレジスト層は、前記バンプより高く形成され、前記バンプの上面の少なくとも一部を覆い、 J 前記第1ソルダーレジスト層を貫通する第1キャビティと、 K 前記第2ソルダーレジスト層を貫通し、前記第1キャビティに対応する第2キャビティと、をさらに含み、 L 前記電子素子は、前記第1キャビティ及び前記第2キャビティ内に挿入され、 M 前記第1キャビティの横断面積は、前記第2キャビティの横断面積よりも小さい、 N 電子素子パッケージ。 (2)引用文献1の記載 原査定の拒絶の理由で引用された特開2010-109104号公報(以下「引用文献1」という。)には、以下の事項が記載されている。なお、下線は強調のために当審で付した。 ア 「【0018】 図1、図2および図3に示すように、本発明にかかる配線基板10はコア用の絶縁基板1aの上下面にビルドアップ用の絶縁層1bが積層されて成る絶縁基体1の内部および表面にコア用の配線導体2aとビルドアップ用の配線導体2bとが被着されているとともに、その上面側の最表面にソルダーレジスト層3aおよび下面側の最表層にソルダーレジスト層3bが被着されて成る。また、絶縁基体1の上面中央部には半導体集積回路素子E1が搭載される半導体素子搭載部1Aおよび上面外周部には半導体素子搭載基板E2が搭載される電子部品搭載部1Bを有している。」 イ 「【0028】 このようなビルドアップ用の配線導体2bは、厚みが5~20μm程度であり、セミアディティブ法といわれる方法により形成される。セミアディティブ法は、例えば、ビアホール6が形成されたビルドアップ用の絶縁層1bの表面に、電解めっき用の下地めっき層を無電解銅めっきにより形成し、その上に配線導体2bに対応した開口を有するめっきレジスト層を形成し、次に、下地めっき層を給電用の電極として、開口から露出する下地めっき層上に電解銅めっきを施すことで配線導体2bを形成し、めっきレジストを剥離した後、露出する下地めっき層をエッチング除去することによって、各配線導体2bを電気的に独立させる方法である。」 ウ 「【0029】 ビルドアップ用の配線導体2bのうち、配線基板10の上面側における最外層の絶縁層1b上に被着された一部は、半導体素子搭載部1Aにおいて半導体集積回路素子E1の電極に半田等の導電バンプB1を介して電気的に接続される円形の半導体素子接続パッド2Aを形成しており、これらの半導体素子接続パッド2Aは格子状の並びに複数並んで形成されている。さらに、ビルドアップ用の配線導体2bのうち、配線基板10の上面側における最外層の絶縁層1b上に被着された他の一部は、電子部品搭載部1Bにおいて半導体素子搭載基板E2の電極端子に半田ボールB2を介して半田ボール接続により電気的に接続される円形の電子部品接続パッド2Bを形成しており、複数並んで形成されている。そしてこれらの半導体素子接続パッド2Aいくつかと電子部品接続パッドの2Bのいくつかとは、配線基板10の上面側における最外層の絶縁層1b上を半導体素子搭載部1Aから電子部品搭載部1Bにかけて延在する配線導体2bの一部から成る帯状配線導体2Cにより互いに接続されている。また、配線基板10の下面側における最外層の絶縁層1b上に被着された一部は、外部電気回路基板の配線導体に半田ボールB3を介して電気的に接続される外部接続用の外部接続パッド2Dを形成しており、複数並んで形成されている。」 エ 「【0047】 なお、本発明の配線基板およびその製造方法は、上述した一実施形態例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲であれば、種々の変更は可能であり、例えば上述の一実施形態例の配線基板10においては、半導体素子接続パッド2A、電子部品接続パッド2Bおよび帯状配線導体2Cはいずれも下地めっき層51および主めっき層52とから成り、実質的同じ厚みで形成されていたが、図11に断面図で示す他の実施形態例による配線基板20のように、ソルダーレジスト層3aから露出する電子部品接続パッド2Bの上面に追加のめっき層53から成る導電突起7を半導体素子接続パッド2Aの上面を超える厚みで設けるとともに、この導電突起7の上面を露出させるオーバーソルダーレジスト層3cを設け、導電突起7の露出した上面に半導体素子搭載基板E2の電極を半田ボールB2を介して接続するようにしてもよい。この場合、導電突起7により配線基板20とこれに実装される半導体素子搭載基板E2との間隔を半田ボールB2の高さよりも大きくすることができ、それにより例えば電子部品接続パッド2Bの配列ピッチが500μm未満の狭いものであったとしても、配線基板20と半導体素子搭載基板E2との間に半導体集積回路素子E1を収容するために十分な隙間を確保して半導体集積回路素子E1および半導体素子搭載基板E2をそれぞれフリップチップ接続および半田ボール接続により良好に実装することが可能となる。」 オ 「【0054】 また、上述した他の実施形態例の配線基板20においては、導電突起7の上面の全面がオーバーソルダーレジスト層3cから露出していたが、図17に示す更に他の実施形態例による配線基板30のように、オーバーソルダーレジスト層3cが導電突起7の上面を超える厚みで被着されているとともに導電突起7に対応する位置に導電突起7の上面中央部を露出させる開口3Dを有していてもよい。この場合、導電突起7の上面中央部はオーバーソルダーレジスト層3cの開口3Dとで形成される凹部の底面を形成しており、それにより、半導体素子搭載基板E2を配線基板30上に実装する際に、半導体素子搭載基板E2の電極端子と導電突起7とを接続する半田ボールB2が導電突起7上に良好に位置決めされ、半導体素子搭載基板E2を配線基板30に搭載することが容易になる。」 カ 図11 [図:0001437125000001.jpg] キ 図14(部分) [図:0001437125000002.jpg] ク 図17 [図:0001437125000003.jpg] 図17によれば、ソルダーレジスト層3aの上にオーバーソルダーレジスト層3cが積層されていると解される。 図17によれば、配線基板30の上面の中央部分の半導体集積回路素子E1が搭載される部分には、ソルダーレジスト層3a及びオーバーソルダーレジスト層3cが存在しないと解される。 ケ 図18 [図:0001437125000004.jpg] (3)引用発明の認定 引用文献1には、「上述した他の実施形態例の配線基板20においては、導電突起7の上面の全面がオーバーソルダーレジスト層3cから露出していたが、図17に示す更に他の実施形態例による配線基板30のように、…(略)…有していてもよい。」(【0054】)との記載がある。 当審では、引用文献1に記載された発明(以下「引用発明」という。)として、「図17に示す更に他の実施形態例による配線基板30」を認定する。その際、「配線基板30」に特有の構成以外は、「配線基板20」と同様であると解されるから、「配線基板20」の説明も参照して引用発明を認定する。 さらに、引用文献1には、「上述の一実施形態例の配線基板10においては、半導体素子接続パッド2A、電子部品接続パッド2Bおよび帯状配線導体2Cはいずれも下地めっき層51および主めっき層52とから成り、実質的同じ厚みで形成されていたが、図11に断面図で示す他の実施形態例による配線基板20のように、…(略)…してもよい。」(【0047】)との記載があり、「配線基板20」に特有の構成以外は、「配線基板10」と同様であると解されるから、「配線基板10」の説明も参照して引用発明を認定する。 「配線基板10」及び「配線基板20」の説明を参照して「配線基板30」を認定する際には、「配線基板10」及び「配線基板20」を「配線基板30」と読み替える。 以上を踏まえると、前記(2)の記載によれば、引用文献1には、次に示す引用発明が記載されていると認められる。なお、後の参照の便宜のため、引用発明に記号a~gを付して分説し、「構成a」のようにして参照する。 〈引用発明〉 a オーバーソルダーレジスト層3cが導電突起7の上面を超える厚みで被着されているとともに導電突起7に対応する位置に導電突起7の上面中央部を露出させる開口3Dを有する配線基板30であって、(【0054】) b1 配線基板30はコア用の絶縁基板1aの上面にビルドアップ用の絶縁層1bが積層されて成る絶縁基体1の表面にビルドアップ用の配線導体2bが被着されているとともに、その上面側の最表面にソルダーレジスト層3aが被着され、(【0018】) b2 絶縁基体1の上面中央部には半導体集積回路素子E1が搭載される半導体素子搭載部1Aを有し、(【0018】) c ビルドアップ用の配線導体2bは、セミアディティブ法といわれる方法により形成され、(【0028】) d 配線導体2bのうち、配線基板30の上面側における最外層の絶縁層1b上に被着された一部は、電子部品接続パッド2Bを形成し、(【0029】) e1 ソルダーレジスト層3aから露出する電子部品接続パッド2Bの上面に導電突起7を半導体素子接続パッド2Aの上面を超える厚みで設け、(【0047】) e2 導電突起7の上面を露出させるオーバーソルダーレジスト層3cを設け、(【0047】) e3 導電突起7の露出した上面に半導体素子搭載基板E2の電極を半田ボールB2を介して接続し、(【0047】) f1 ソルダーレジスト層3aの上にオーバーソルダーレジスト層3cが積層され、(図17) f2 配線基板30の上面の半導体集積回路素子E1が搭載される部分には、ソルダーレジスト層3a及びオーバーソルダーレジスト層3cが存在しない、(図17) g 配線基板30。 (4)対比 以下、本件補正発明と引用発明とを対比する。 ア 発明特定事項Aについて 発明特定事項Aは「電子素子が実装されるプリント回路基板と、」というものである。 引用発明の「配線基板30」(構成a)は、「絶縁基体1の表面にビルドアップ用の配線導体2bが被着されて」おり(構成b1)、「絶縁基体1の上面中央部には半導体集積回路素子E1が搭載される」(構成b2)から、半導体集積回路素子E1が実装される回路基板である。 そして、引用発明の「配線基板30」の「ビルドアップ用の配線導体2b」(構成b1)は、「セミアディティブ法といわれる方法により形成され」(構成c)、セミアディティブ法はプリント回路基板を作成するために広く用いられている方法であるから、引用発明の「配線基板30」は、プリント回路基板であると解され、本件補正発明の「プリント回路基板」に相当する。 また、引用発明の「半導体集積回路素子E1」は、本件補正発明の「電子素子」に相当する。 そうすると、本件補正発明と引用発明とは、「電子素子が実装されるプリント回路基板」を含む点で一致する。 イ 発明特定事項Bについて 発明特定事項Bは「前記プリント回路基板に接合されるパッケージ基板と、を含み、」というものである。 引用発明の「半導体素子搭載基板E2」(構成e3)は、半導体素子等を基板に搭載してひとまとめにしたものと解されるから、本件補正発明の「パッケージ基板」に相当する。 そして、引用発明の「配線基板30」は、「半導体素子搭載基板E2の電極を半田ボールB2を介して接続」される(構成e3)から、「半導体素子搭載基板E2」は「配線基板30」に接合されると解される。 よって、本件補正発明と引用発明とは、「前記プリント回路基板に接合されるパッケージ基板と、を含」む点で一致する。 ウ 発明特定事項Cについて 発明特定事項Cは「前記プリント回路基板は、」というものであり、発明特定事項D~Mがプリント回路基板に関するものであることを特定していると解される。 そして、発明特定事項D~Mについては、以下のエ~シのとおりである。 エ 発明特定事項Dについて 発明特定事項Dは「絶縁層と回路層とで構成された積層体と、」というものである。 引用発明の「絶縁基体1」(構成b1)は、本件補正発明の「絶縁層」に相当する。 また、引用発明の「ビルドアップ用の配線導体2b」(構成b1)は、本件補正発明の「回路層」に相当する。 そして、引用発明の「回路基板30」は、「絶縁基体1の表面にビルドアップ用の配線導体2bが被着されている」(構成b1)から、「絶縁基体1」と「ビルドアップ用の配線導体2b」とで構成された積層体であると解される。 よって、本件補正発明と引用発明とは、「絶縁層と回路層とで構成された積層体」を含む点で一致する。 オ 発明特定事項Eについて 発明特定事項Eは「前記積層体の一面に積層された第1ソルダーレジスト層と、」というものである。 前記エのとおり、引用発明の「回路基板30」は積層体であり、「その上面」(構成b1)を「一面」と呼ぶことは任意である。 そして、引用発明の「回路基板30」は、「その上面側の最表面にソルダーレジスト層3aが被着され」る(構成b1)から、「回路基板20」の一面には「ソルダーレジスト層3a」が積層されると解され、引用発明の「ソルダーレジスト層3a」は、本件補正発明の「第1ソルダーレジスト層」に相当する。 よって、本件補正発明と引用発明とは、「前記積層体の一面に積層された第1ソルダーレジスト層」を含む点で一致する。 カ 発明特定事項Fについて 発明特定事項Fは「前記第1ソルダーレジスト層を貫通して前記積層体の一面上に形成され、前記回路層に電気的に接続するバンプと、」というものである。 引用発明では、「ソルダーレジスト層3aから露出する電子部品接続パッド2Bの上面に導電突起7を」「設け」る(構成e1)から、「導電突起7」は、「ソルダーレジスト層3a」を貫通して「電子部品接続バッド2B」に電気的に接続している。 引用発明では、「配線導体2bのうち」「一部は、電子部品接続パッド2Bを形成」する(構成d)から、「電子部品接続パッド2B」は、「ビルドアップ用の配線導体2b」である。引用発明の「ビルドアップ用の配線導体2b」が本件補正発明の「回路層」に相当することは、前記エで触れたとおりである。 英語の「bump」に「突起」の意味があることに鑑みれば、引用発明の「導電突起7」は、本件補正発明の「バンプ」に相当する。 そうすると、本件補正発明と引用発明とは、「前記第1ソルダーレジスト層を貫通して前記積層体の一面上に形成され、前記回路層に電気的に接続するバンプ」を含む点で一致する。 キ 発明特定事項Gについて 発明特定事項Gは「前記第1ソルダーレジスト層上に積層され、前記バンプの一面を露出する開口部を備えた第2ソルダーレジスト層と、を含み、」というものである。 引用発明では、「ソルダーレジスト層3aの上にオーバーソルダーレジスト層3cが積層され」る(構成f1)から、引用発明の「オーバーソルダーレジスト層3c」は、本件補正発明の「前記第1ソルダーレジスト層上に積層され」た「第2ソルダーレジスト層」に相当する。 引用発明の「オーバーソルダーレジスト層3c」は、「導電突起7に対応する位置に導電突起7の上面中央部を露出させる開口3Dを有する」(構成a)。引用発明の「開口3D」は、本件補正発明の「開口部」に相当し、「開口3D」から「導電突起7の上面中央部」が「露出」する。 よって、本件補正発明と引用発明とは、「前記第1ソルダーレジスト層上に積層され、前記バンプの一面を露出する開口部を備えた第2ソルダーレジスト層と、を含」む点で一致する。 ク 発明特定事項Hについて 発明特定事項Hは「前記第2ソルダーレジスト層の厚さは、前記第1ソルダーレジスト層の厚さよりも大きく、」というものである。 これに対し、引用発明では、「オーバーソルダーレジスト層3c」の厚さが「ソルダーレジスト層3a」の厚さよりも大きいことは特定されていない。 ケ 発明特定事項Iについて 発明特定事項Iは「前記第2ソルダーレジスト層は、前記バンプより高く形成され、前記バンプの上面の少なくとも一部を覆い、」というものである。 引用発明では、「オーバーソルダーレジスト層3cが導電突起7の上面を超える厚みで被着されている」(構成a)から、「オーバーソルダーレジスト層3c」は「導電突起7」よりも高く形成されている。 引用発明の「オーバーソルダーレジスト層3c」は、「導電突起7の上面中央部を露出させる開口3Dを有する」(構成a)から、「開口3D」から露出する「上面中央部」以外の「導電突起7の上面」の部分(上面の辺縁部)は、「オーバーソルダーレジスト層3c」によって覆われていると解される。 よって、本件補正発明と引用発明とは、「前記第2ソルダーレジスト層は、前記バンプより高く形成され、前記バンプの上面の少なくとも一部を覆」う点で一致する。 コ 発明特定事項J及びKについて 発明特定事項Jは「前記第1ソルダーレジスト層を貫通する第1キャビティと、」というものであり、発明特定事項Kは「前記第2ソルダーレジスト層を貫通し、前記第1キャビティに対応する第2キャビティと、をさらに含み、」というものである。 引用発明の「配線基板30の上面」は、「半導体集積回路素子E1が搭載される部分には、ソルダーレジスト層3a及びオーバーソルダーレジスト層3cが存在」しない(構成f2)から、半導体集積回路素子E1が搭載される部分は、層3a及び層3cが存在しない空洞となっている。 そうすると、上記空洞は、ソルダーレジスト層3a及びオーバーソルダーレジスト層3cを貫通していると解され、該空洞のうちソルダーレジスト層3aを貫通する部分を「第1キャビティ」と呼び、該空洞のうちオーバーソルダーレジスト層3cを貫通する部分を「第2キャビティ」と呼ぶことは任意である。 そして、引用発明における第1キャビティと第2キャビティとは重なっているため、両者はその位置が対応しているといえる。 以上によれば、本件補正発明と引用発明とは、「前記第1ソルダーレジスト層を貫通する第1キャビティと」「前記第2ソルダーレジスト層を貫通し、前記第1キャビティに対応する第2キャビティと、をさらに含」む点で一致する。 サ 発明特定事項Lについて 発明特定事項Lは「前記電子素子は、前記第1キャビティ及び前記第2キャビティ内に挿入され、」というものである。 引用発明の空洞(第1キャビティ及び第2キャビティ)には半導体集積回路素子E1が搭載される(前記コ)から、本件補正発明と引用発明とは、「前記電子素子は、前記第1キャビティ及び前記第2キャビティ内に挿入され」る点で一致する。 シ 発明特定事項Mについて 発明特定事項Mは「前記第1キャビティの横断面積は、前記第2キャビティの横断面積よりも小さい、」というものである。 これに対し、引用発明の第1キャビティと第2キャビティとは、図17によれば、横断面積が等しい。 ス 発明特定事項Nについて 発明特定事項Nは「電子素子パッケージ。」というものである。 引用発明の「配線基板30」には、「半導体素子搭載基板E2の電極を半田ボールB2を介して接続し」(構成e3)、「絶縁基体1の上面中央部」に「半導体集積回路素子E1」を「搭載」する(構成b2)から、引用発明の「配線基板30」、「半導体集積回路素子E1」及び「半導体素子搭載基板E2」は、これらをひとまとめにした電子素子パッケージであるといえる。 よって、本件補正発明と引用発明とは、「電子素子パッケージ」である点で一致する。 セ 一致点及び相違点 前記ア~スによれば、本件補正発明と引用発明との一致点及び相違点は、以下のとおりである。 〈一致点〉 「電子素子が実装されるプリント回路基板と、 前記プリント回路基板に接合されるパッケージ基板と、を含み、 前記プリント回路基板は、 絶縁層と回路層とで構成された積層体と、 前記積層体の一面に積層された第1ソルダーレジスト層と、 前記第1ソルダーレジスト層を貫通して前記積層体の一面上に形成され、前記回路層に電気的に接続するバンプと、 前記第1ソルダーレジスト層上に積層され、前記バンプの一面を露出する開口部を備えた第2ソルダーレジスト層と、を含み、 前記第2ソルダーレジスト層は、前記バンプより高く形成され、前記バンプの上面の少なくとも一部を覆い、 前記第1ソルダーレジスト層を貫通する第1キャビティと、 前記第2ソルダーレジスト層を貫通し、前記第1キャビティに対応する第2キャビティと、をさらに含み、 前記電子素子は、前記第1キャビティ及び前記第2キャビティ内に挿入される、 電子素子パッケージ。」である点。 〈相違点1〉 本件補正発明では、「前記第2ソルダーレジスト層の厚さは、前記第1ソルダーレジスト層の厚さよりも大き」いのに対し、引用発明では、オーバーソルダーレジスト層3c」の厚さが「ソルダーレジスト層3a」の厚さよりも大きいことは特定されていない点。(発明特定事項H) 〈相違点2〉 本件補正発明では、「前記第1キャビティの横断面積は、前記第2キャビティの横断面積よりも小さい」のに対し、引用発明では、第1キャビティと第2キャビティとは横断面積が等しい点。(発明特定事項M) (5)相違点についての判断 相違点1及び相違点2に係る構成の容易想到性について検討する。 ア 相違点1について 引用文献1の図14及び図18を参照すると、オーバーソルダーレジスト層3cの厚さは、ソルダーレジスト層3aの厚さよりも厚く描かれており、引用文献1には、オーバーソルダーレジスト層3cの厚さを、ソルダーレジスト層3aの厚さよりも大きくすることを妨げる事情は記載されていない。 よって、引用文献1に触れた当業者は、引用発明のオーバーソルダーレジスト層3cの厚さを、ソルダーレジスト層3aの厚さよりも大きくするよう動機付けられる。 加えて、原査定の拒絶の理由で引用された特開2013-115145号公報(以下「引用文献2」という。)には、「さらに配線基板10の上面には、…(略)…ソルダーレジスト層5が形成されている。ソルダーレジスト層5は、…(略)…第1のソルダーレジスト層5aと、この第1のソルダーレジスト5a上の…(略)…第2のソルダーレジスト層5bとを積層した2層構造を有しており、…(略)…第1のソルダーレジスト層5aの厚みは5~20μm程度である。また第2のソルダーレジスト層5bの厚みは10~30μm程度である。」(【0015】)との記載がある(以下に掲げる図1も参照)。 引用文献2図1 [図:0001437125000005.jpg] 引用文献2の上記記載によれば、引用文献2には、基板に2層のソルダーレジスト層を設け、基板の上側のソルダーレジスト層5bの厚さは、下側のソルダーレジスト層5aの厚さよりも厚くする技術(以下「文献2技術」という。)が記載されていると認められる。 引用発明と文献2技術とは、共に基板に2層のソルダーレジスト層を設ける点で共通しているから、引用発明のオーバーソルダーレジスト層3c及びソルダーレジスト層3aに対して、文献2技術を適用することにより、オーバーソルダーレジスト層3cの厚さを、ソルダーレジスト層3aの厚さよりも大きくすることは、当業者が容易に想到し得たと認められる。 以上によれば、相違点1に係る構成は、引用発明及び文献2技術から容易に想到し得たと認められる。 イ 相違点2について 技術常識によれば、引用発明において、半導体集積回路素子E1を配線基板30に搭載する際には、半導体集積回路素子E1を把持具で把持し、空洞部分に上から挿入して搭載し、把持具を上に引き抜く作業が想定される。 上記搭載の作業において、半導体集積回路素子E1及び把持具の挿入側である上面側の空洞部分が広ければ、把持具の挿抜における作業性の向上が期待できることは明らかである。 そうすると、半導体集積回路素子E1の作業性を向上させるために、オーバーソルダーレジスト層3cの空洞の横断面積を、ソルダーレジスト層3aの空洞の横断面積よりも大きくすることは、当業者の通常の創作能力の発揮に過ぎない。 (6)効果についての判断 本件補正発明の効果は、引用発明に比して格別とは認められない。 (7)請求人の主張についての判断 請求人は、本件補正発明について、引用発明との間に発明特定事項Iに係る相違点が存在すること(意見書)、及び、発明特定事項J~Mに係る相違点が存在すること(審判請求書)を主張するのみである。 しかしながら、前記(4)ケのとおり、発明特定事項Iについては相違点は存在せず、発明特定事項J~Mにおける相違点2については前記(5)イのとおりであるから、請求人の主張は採用できない。 (8)小括 以上によれば、本件補正発明は、当業者が引用発明及び文献2技術に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。 よって、本件補正発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができるものではない。 4 本件補正についてのむすび 前記3によれば、本件補正は、特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に違反するので、同法159条1項の規定において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。 よって、前記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。 第3 本願発明 本件補正は上述のとおり却下されたため、本願の請求項17に係る発明(以下「本願発明」という。)は、前記第2[理由]1(1)のとおりである。 第4 原査定の概要 原査定の概要は、以下のとおりである。 1.(進歩性)この出願の請求項1~8及び17~23に係る発明は、以下の文献1に記載された発明、文献2に記載された技術並びに文献3、6及び7に示される周知技術に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。 この出願の請求項9~14及び24~30に係る発明は、以下の文献1に記載された発明、文献2に記載された技術、文献4に記載された技術並びに文献3、6及び7に示される周知技術に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。 この出願の請求項15、16及び31~34に係る発明は、以下の文献1に記載された発明、文献2に記載された技術、文献4及び5に記載された技術並びに文献3、6及び7に示される周知技術に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。 文献1.特開2010-109104号公報 文献2.特開2013-115145号公報 文献3.特開2016-207958号公報 文献4.特開2013-102143号公報 文献5.特開2002-290031号公報 文献6.米国特許出願公開第2017/0019989号明細書 文献7.特開2017-34109号公報 第5 文献の記載事項 原査定の拒絶の理由で引用された文献1(この審決における引用文献に対応)の記載事項は、前記第2[理由]3(2)に示したとおりである。 第6 本願発明と引用発明との対比・判断 本願発明は、前記第2[理由]3で検討した本件補正発明から、その発明特定事項である「プリント回路基板」について、「前記第1ソルダーレジスト層を貫通する第1キャビティ」及び「前記第2ソルダーレジスト層を貫通し、前記第1キャビティに対応する第2キャビティ」を「さらに含む」との限定を削除し、さらに、「前記電子素子は、前記第1キャビティ及び前記第2キャビティ内に挿入され」「前記第1キャビティの横断面積は、前記第2キャビティの横断面積よりも小さい」との限定を削除したものである(前記第2[理由]2を参照)。 そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに他の事項を付加したものに相当する本件補正発明が、前記第2[理由]3に示したとおり、引用発明及び文献2技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、引用発明及び文献2技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 第7 むすび 以上のとおり、本願発明は、当業者が引用発明及び文献2技術に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2025-007889

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