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特許拒絶査定不服審判

2017-009146

非接触電圧測定器

審判番号
2017-009146
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2013-031752外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2017年06月22日
審決日
2018年03月19日
公報発行日
2018年06月29日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-Z (G01R)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特願2013-31752「非接触電圧測定器」拒絶査定不服審判事件〔平成26年9月8日出願公開、特開2014-163672〕について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

【理 由】 1 手続の経緯 この審判事件に関する特許出願(以下、「本願」という。)は、平成25年2月21日にされたものである。その後、平成29年3月6日に特許請求の範囲及び明細書についての補正がされ、同17日付けで拒絶査定(以下、「原査定」という。)がされ、同28日に査定の謄本が送達された。 これに対して、同年6月22日に拒絶査定不服審判が請求され、それと同時に、特許請求の範囲及び明細書についての補正がされた。 2 本願発明 本願の請求項1ないし請求項5に係る発明は、本願の特許請求の範囲の請求項1ないし請求項5に記載された事項により特定されるものである。特に、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、以下のとおりのものである。 「【請求項1】 各々が電圧検出回路を備え、互いに接続ケーブルにて電気的に接続された一対の測定プローブを有し、 前記各測定プローブは、前記電圧検出回路を構成する電圧検出用の検知電極が内部に配置された電圧検出部を備え、 対をなす前記測定プローブの一方の測定プローブは、前記各電圧検出回路に電力を供給するための電源を備えた電源回路を備え、他方の測定プローブは、前記電源回路をオン・オフする電源スイッチを有し、 前記各測定プローブの前記電圧検出部の先端部を測定対象電線に押し当てることにより、前記測定対象電線に通電されている電圧を非接触にて測定することのできる非接触電圧測定器において、 前記各測定プローブの前記電圧検出部は、先端部を測定対象電線に押し当てることにより移動してオンとなる測定開始のための測定開始スイッチを備え、 前記各測定プローブの前記各測定開始スイッチと前記電源スイッチとは直列に接続されており、 前記測定開始スイッチと前記電源スイッチの全てのスイッチがオンとされることにより測定可能とされることを特徴とする非接触電圧測定器。」 3 原査定の概要 本願の請求項1ないし請求項5に係る発明は、後記の引用文献1に記載された発明と例えば後記の引用文献2ないし引用文献4に記載された周知技術とに基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 引用文献1:特開2009-244131号公報 引用文献2:特開2008-185434号公報 引用文献3:特開昭50-108966号公報 引用文献4:特開2004-28736号公報 4 引用文献に記載された発明等 (1)引用文献1 ア 引用文献1の記載 引用文献1には、以下の記載がある。下線は、当審が付した。 「【技術分野】 【0001】 本発明は、2つの電線の間の線間電圧を非接触で測定する線間電圧測定装置に関するものである。」 「【発明を実施するための最良の形態】 【0025】 以下、本発明に係る線間電圧測定装置の最良の形態について、添付図面を参照して説明する。 【0026】 最初に、線間電圧測定装置1の構成について説明する。図1に示す線間電圧測定装置1は、本発明に係る非接触型の線間電圧測定装置の一例であって、測定対象の2つの電線(例えば、図3に示す被覆電線100a,100b(以下、区別しないときには「被覆電線100」ともいう))の間の線間電圧Vd(図2参照)を非接触で測定可能に構成されている。具体的には、線間電圧測定装置1は、図1,2に示すように、一対の測定ユニット2a,2b(以下、区別しないときには「測定ユニット2」ともいう)を備えて構成されている。 【0027】 測定ユニット2aは、図1,2に示すように、ケース本体3a、検出部4a、測定部5aおよびランプ6a(本発明における照明部)を備えて、片手で保持可能な(大きさや重さが片手で保持可能に規定された:後述する測定ユニット2bでも同様)全体として円柱状に構成されている。また、測定ユニット2aの先端部22(図1における上端部)は、測定時において被覆電線100に当接される当接面が凹状に湾曲する湾曲面に形成されている(図3も参照)。一方、測定ユニット2bは、図1,2に示すように、ケース本体3b、検出部4b、測定部5b、ランプ6b(本発明における照明部)、操作部7、表示部8および制御部9を備えて、片手で保持可能でかつ全体として測定ユニット2aと同様の形状に構成されている。なお、検出部4aおよび検出部4b、測定部5aおよび測定部5b、ランプ6aおよびランプ6bは、互いに同じ機能を有している。したがって、以下の説明において、検出部4a,4bを区別しないときには単に「検出部4」ともいい、測定部5a,5bを区別しないときには単に「測定部5」ともいい、ランプ6a,6bを区別しないときには単に「ランプ6」ともいう。 【0028】 ケース本体3aは、検出部4a、測定部5aおよびランプ6aを収容または配設可能に構成されている。また、ケース本体3aには、図1,2に示すように、バッテリー10(本発明における電源部)を収容するバッテリー収容部31(本発明における電源収容部)が形成されている。ケース本体3bは、上記したバッテリー収容部31を備えていない点を除いて、全体としてケース本体3aとほぼ同じ形状に形成されて、検出部4b、測定部5bおよびランプ6b、操作部7、表示部8および制御部9を収容または配設可能に構成されている。また、両ケース本体3a,3bの基端部21(図1における下側端部)には、接続端子51(図2参照)がそれぞれ取り付けられており、各接続端子51は、ケーブル52で接続されている。この場合、ケーブル52は、後述する電圧データDvを送信する導線、制御部9から出力される制御信号を送信する導線、測定ユニット2aの接続端子51と測定ユニット2bの接続端子51とを同電位に維持するための導線、およびバッテリー10からの電力を測定ユニット2a,2bの各構成要素に供給するための導線等で構成されている。 【0029】 検出部4は、例えば、図2に示す検出電極41(本発明における電極)、並びに図外の可変容量回路、電流検出回路および増幅回路を備えて構成され、被覆電線100との間の静電容量に基づき、被覆電線100に供給されている交流電圧を、一例として、特開2007-132926号公報において出願人が開示した公知の検出方法によって検出して、検出信号Sdを出力する。この場合、検出電極41は、測定ユニット2a,2bの先端部22に収容されている。測定部5は、検出部4から出力された検出信号Sdと基準電位(例えば接続端子51の電位Vref)とに基づいて被覆電線100に供給されている交流電圧(具体的には、被覆電線100と電位Vrefとの間の電圧)の値を、例えば、同公報において出願人が開示した公知の測定方法によって測定して、その測定値についての電圧データDvを出力する。 【0030】 ランプ6は、図1に示すように、ケース本体3a,3bの先端部側にそれぞれ配設されて、後述する操作部7における照明ボタン73の操作に応じて発光して測定ユニット2a,2bの前方を照明する。操作部7は、ケース本体3bに配設された電源スイッチ71(本発明における接断操作部)、測定ボタン72(本発明における測定操作部)および照明ボタン73(いずれも図1参照)を備えて構成されている。この場合、電源スイッチ71が操作されたときには、ケーブル52の導線が接続されて、バッテリー10からの電力が測定ユニット2a,2bの各構成要素に供給される。また、測定ボタン72が操作されたときには、制御部9による測定が開始される。さらに、照明ボタン73が操作されたときには、ランプ6a,6bに対する電力の供給開始および供給停止が行われる。 【0031】 表示部8は、例えば、液晶ディスプレイで構成されて、図1に示すように、ケース本体3bに配設されている。制御部9は、検出部4a,4bおよび測定部5a,5bを制御する。また、制御部9は、測定部5a,5bから出力された電圧データDvによって特定される(つまり、各測定ユニット2a,2bによって検出された)2つの被覆電線100a,100bの各電圧(被覆電線100aと電位Vrefとの間の電圧、および被覆電線100bと電位Vrefとの間の電圧)の差分電圧を線間電圧Vdとして測定(算出)すると共に、その線間電圧Vdの値を表示部8に表示させる。 【0032】 次に、線間電圧測定装置1を用いて測定対象としての被覆電線100a,100bの間の線間電圧Vdを測定する方法について、図面を参照して説明する。 【0033】 まず、操作部7の電源スイッチ71(図1参照)を操作する。この際に、バッテリー10からの電力が、測定ユニット2aの各構成要素に供給されると共に、接続端子51を介して測定ユニット2bの各構成要素に供給される。次いで、各々の中央部23(本発明における把持部:同図参照)を把持して測定ユニット2a,2bを両手で1つずつ保持し、続いて、図3に示すように、各々の先端部22の当接面を被覆電線100a,100bにそれぞれ当接させる。この際に、各測定ユニット2a,2bの検出部4が、被覆電線100との間の静電容量に基づいて被覆電線100に供給されている交流電圧を検出して、検出信号Sdを測定部5にそれぞれ出力する。この場合、先端部22の当接面が凹状に湾曲する湾曲面に形成されているため、当接面の全域またはほぼ全域と被覆電線100の外周面とが面的に当接する結果、先端部22と被覆電線100との位置ずれが防止される。次いで、各測定ユニット2a,2bの測定部5が、検出部4から出力された検出信号Sdおよび接続端子51の電位Vrefに基づいて各被覆電線100a,100bに供給されている交流電圧(被覆電線100aと電位Vrefとの間の電圧、および被覆電線100bと電位Vrefとの間の電圧)の値を測定して、その測定値についての電圧データDvをそれぞれ出力する。」 【図1】 【図2】 【図3】 イ 引用文献1に記載された発明 引用文献1の前記アの記載によれば、以下のことが認められる。 (ア)引用文献1には、2つの電線の間の線間電圧を非接触で測定する線間電圧測定装置が記載されている(【0001】)。 (イ)線間電圧測定装置1は、測定対象となる2つの被覆電線100a、100bの間の線間電圧Vdを非接触で測定可能に構成され、一対の測定ユニット2a、2bを備える(【0026】、図1ないし図3)。 (ウ)測定ユニット2aは、ケース本体3a、検出部4a、測定部5a及びランプ6aを備え、測定ユニット2bは、ケース本体3b、検出部4b、測定部5b、ランプ6b、操作部7、表示部8及び制御部9を備える(【0027】、図1、図2)。 (エ)ケース本体3aは、検出部4a、測定部5a及びランプ6aを収容又は配設可能に構成され、バッテリー10を収容するバッテリー収容部31が形成され、ケース本体3bは、バッテリー収容部31を備えていない点を除いて全体としてケース本体3aとほぼ同じ形状であり、検出部4b、測定部5b、ランプ6b、操作部7、表示部8及び制御部9を収容又は配設可能に構成される(【0028】、図1、図2)。 (オ)両ケース本体3a、3bの基端部21には、接続端子51がそれぞれ取り付けられ、各接続端子51は、ケーブル52で互いに接続され、ケーブル52は、バッテリー10からの電力を測定ユニット2a、2bの各構成要素に供給するための導線等で構成される(【0028】、図1、図2)。 (カ)検出部4は、検出電極41、可変容量回路、電流検出回路及び増幅回路を備えて構成され、被覆電線100に供給されている交流電圧を検出し、検出電極41は、測定ユニット2a、2bの先端部22に収容される(【0029】、図2)。 (キ)操作部7は、ケース本体3bに配設された電源スイッチ71を備え、電源スイッチ71が操作されると、ケーブル52の導線が接続され、バッテリー10からの電力が測定ユニット2a、2bの各構成要素に供給される(【0030】、図1)。 (ク)線間電圧測定装置1を用いて測定対象となる2つの被覆電線100a、100bの間の線間電圧Vdを測定するときは、測定ユニット2a、2bを両手で1つずつ保持し、それぞれの先端部22の当接面を被覆電線100a、100bにそれぞれ当接させる(【0032】、【0033】、図3)。 (ケ)以上のことをまとめると、引用文献1には、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。 「測定対象となる2つの被覆電線100a、100bの間の線間電圧Vdを非接触で測定可能に構成され、一対の測定ユニット2a、2bを備える線間電圧測定装置1であって、 測定ユニット2aは、ケース本体3a、検出部4a、測定部5a及びランプ6aを備え、 測定ユニット2bは、ケース本体3b、検出部4b、測定部5b、ランプ6b、操作部7、表示部8及び制御部9を備え、 ケース本体3aは、検出部4a、測定部5a及びランプ6aを収容又は配設可能に構成され、バッテリー10を収容するバッテリー収容部31が形成され、 ケース本体3bは、バッテリー収容部31を備えていない点を除いて全体としてケース本体3aとほぼ同じ形状であり、検出部4b、測定部5b、ランプ6b、操作部7、表示部8及び制御部9を収容又は配設可能に構成され、 両ケース本体3a、3bの基端部21には、接続端子51がそれぞれ取り付けられ、各接続端子51は、ケーブル52で互いに接続され、ケーブル52は、バッテリー10からの電力を測定ユニット2a、2bの各構成要素に供給するための導線等で構成され、 検出部4は、検出電極41、可変容量回路、電流検出回路及び増幅回路を備えて構成され、被覆電線100に供給されている交流電圧を検出し、検出電極41は、測定ユニット2a、2bの先端部22に収容され、 操作部7は、ケース本体3bに配設された電源スイッチ71を備え、電源スイッチ71が操作されると、ケーブル52の導線が接続され、バッテリー10からの電力が測定ユニット2a、2bの各構成要素に供給され、 測定対象となる2つの被覆電線100a、100bの間の線間電圧Vdを測定するときは、測定ユニット2a、2bを両手で1つずつ保持し、それぞれの先端部22の当接面を被覆電線100a、100bにそれぞれ当接させる線間電圧測定装置1。」 (2)引用文献2及び引用文献3 ア 引用文献2の記載 引用文献2には、以下の記載がある。下線は、当審が付した。 「【請求項1】 筒状の本体部と、当該本体部に対して移動可能に当該本体部の先端部に連結された可動部と、当該可動部に配設されて検査対象体の活電状態を検出するセンサと、駆動用電源を投入させる電源スイッチとを備えた検電器であって、 前記可動部は、コイルばねを介して前記本体部に連結されて、当該本体部に対して傾斜する向きおよび当該本体部に対して接離する向きに移動可能に構成され、 前記電源スイッチは、前記可動部が前記本体部に対して所定角度で傾斜する向きで移動したときおよび当該可動部が当該本体部に対して所定距離まで近接する向きで移動したときに前記駆動用電源を投入可能に構成されている検電器。」 「【発明の効果】 【0010】 請求項1記載の検電器によれば、本体部に対して傾斜する向きおよび接離する向きに移動可能にコイルばねを介して可動部を本体部に連結し、可動部が本体部に対して所定角度で傾斜したときおよび所定距離まで近接したときに駆動用電源を投入可能な電源スイッチを備えたことにより、軸線に沿って押し当てなければ駆動用電源が供給されない従来の検電装置とは異なり、軸線に沿って押し当てる操作に加えて、検電器の軸線に対して交差する向きに沿って移動させる操作によっても駆動用電源を供給させることができる。したがって、この検電器によれば、検査対象体の位置やその周囲の状態の如何に関わらず、例えば障害物が存在して検電器(本体部)をその軸線方向に沿って移動させる操作が困難なときにおいても、検査対象体の活電状態を確実に検査することができる。」 「【0016】 最初に、検電器1の構成について、図面を参照して説明する。図1に示す検電器1は、本発明に係る検電器の一例であって、検査対象体に所定電圧値以上の交流電圧が供給されているか否か(活電状態)を検査(検出)可能に構成されている。具体的には、検電器1は、同図に示すように、本体部2および可動部3を備えて構成されている。本体部2は、樹脂等の非導電性材料によって全体として円筒状(筒状の一例)に構成されている。この場合、図2に示すように、本体部2の先端部2aは、先端部2aを除く他の部分よりも小径に形成されて、本体部2の先端部2aよりも大径に形成された可動部3の基端部3bに対して嵌合可能に構成されている。 【0017】 また、図2に示すよう、本体部2の先端部2aよりもやや基端部側に位置する部位の内側には、非導電性材料で形成された円板状の第1仕切板21(図3も参照)が取り付けられている。この場合、図2に示すように、第1仕切板21の一面21a(同図における下面)には、電池50のプラス側端子を接触させるためのプラス側電極22が取り付けられている。また、第1仕切板21の他面21b(同図における上面)における中心部には、コイルばね23の一端部が固定されている。また、第1仕切板21の他面21bには、コイルばね23を取り囲むようにして円筒状の第1電極24(図3も参照)が取り付けられている。この場合、図2に示すように、コイルばね23の一端部が第1仕切板21を貫通してプラス側電極22に電気的に接続されている。また、第1電極24は、後述するキャップ26に取り付けられている図外のマイナス側電極とリード線24aを介して電気的に接続されている。 【0018】 また、図1に示すように、本体部2における先端部2a側の外周には、本体部2(検電器1)を握る際の滑り止めとして機能する樹脂製またはゴム製のグリップ25が取り付けられている。さらに、同図に示すように、本体部2の基端部2bには、本体部2に対して着脱可能で、かつ装着状態において本体部2に対して回動可能に構成されたキャップ26が取り付けられている。この場合、キャップ26は、所定の角度だけ回転させることによってオン/オフを切り替えるメインスイッチとして機能する。また、キャップ26の内側には、仕切板21とキャップ26とによって仕切られた本体部2の内部空間に、収容された電池50(図2参照)のマイナス側端子を接触させるためのマイナス側電極(図示せず)が取り付けられている。 【0019】 可動部3は、図3に示すように、先端部3aがやや小径に形成された円筒状に構成されている。また、可動部3は、図2に示すように、基端部3bと本体部2の先端部2aとを互いに嵌合した状態で後述するように本体部2に連結されている。さらに、可動部3の先端部3aには、内部に空間を有する板状の突起部3cが形成されている。この場合、突起部3cは、後述する商用電源のコンセントの差込口(一例として、図5に示すコンセント70の差込口72)に挿入可能にその大きさが規定されている。また、突起部3cにおける内部の空間には、同図に示すように、センサ41が収容されている。ここで、センサ41は、検査対象体に交流電圧が供給されているときに、検査対象体との間の静電容量に基づくセンサ信号(例えば交流電流)を出力する。 【0020】 また、図2に示すように、可動部3における基端部3bよりもやや先端部3a側に位置する部位の内側には、非導電性材料で形成された円板状の第2仕切板31(図3も参照)が取り付けられている。また、図2に示すように、第2仕切板31によって仕切られた可動部3の内部空間には、回路基板4が配設されている。この場合、回路基板4には、センサ41からのセンサ信号に基づいて電圧を検出する検出回路、検出回路によって検出された電圧の検出値が予め設定された設定値以上のときにブザー音を出力するブザー、および検出値が設定値以上のときに発光するLED(いずれも図示せず)などが配設されている。 【0021】 さらに、図2に示すように、第2仕切板31の一面31a(同図における下面)における中心部には、コイルばね23の他端部が固定されている。つまり、可動部3は、本体部2の第1仕切板21および可動部3の第2仕切板31にコイルばね23の両端部がそれぞれ固定された上記の構成により、コイルばね23を介して本体部2に連結されて、本体部2に対して揺動可能にコイルばね23によって支持されている。このため、可動部3は、本体部2に対して傾斜する向き(同図に示す矢印Aの向き)、および本体部2に対して接離する向き(同図に示す矢印Bの向き)に沿って移動可能となっている。また、可動部3は、基端部3bと本体部2の先端部2aとが嵌合した状態で連結されているため、上記した各向きに所定の長さ以上移動したときには、基端部3bが本体部2の先端部3aに当接して、それ以上の移動が制限させられる。 【0022】 また、図2に示すように、第2仕切板31の一面31aには、コイルばね23を取り囲むようにして円環状の第2電極32(図3も参照)が取り付けられている。この場合、図2に示すように、コイルばね23の他端部は、回路基板4のプラス側電源入力端子42aにリード線23aを介して電気的に接続され、第2電極32は、回路基板4のマイナス側電源入力端子42bにリード線32aを介して電気的に接続されている。 【0023】 ここで、上記した第1電極24および第2電極32は、本発明における電源スイッチとして機能する。具体的には、図2に示すように、可動部3に対して外力が加えられていない状態においては、両電極24,32が互いに離間して、回路基板4に対する駆動用電源の供給が停止した状態が維持される。一方、図4に示すように可動部3が本体部2に対して傾斜する向きに所定角度だけ移動させられた(傾けられた)とき、および図5に示すように可動部3が本体部2に対して近接する向きに所定距離だけ移動させられたときには、可動部3に取り付けられている第2電極32が、本体部2に取り付けられている第1電極24に接触して両電極24,32が電気的に接続され、これによって回路基板4に対する電池50からの駆動用電源の供給が開始される。この場合、この検電器1では、円筒状の第1電極24、および円環状の第2電極32が採用されている。このため、可動部3がどの向きに傾けられたとしても、その傾斜角度が所定角度となったときに、両電極24,32を互いに確実に接触させることが可能となっている。 【0024】 次に、検電器1を用いて検査対象体に電圧が供給されているか否か(活電状態)を検査する方法について、図面を参照して説明する。 【0025】 最初に、検電器1を用いて、図4に示す検査対象体としての電線60の活電状態を検査する方法について説明する。まず、図1に示す状態から、キャップ26を回動させてメインスイッチを「ON」に切り替える。次いで、本体部2におけるグリップ25の取付部分を握り、図4に示すように、検電器1を同図に示す矢印Cの向き、つまり検電器1(本体部2)の軸線に対して交差(例えば直交)する向きに沿って移動させることにより、電線60に対して突起部3cの側面を押し当てる。この際に、押し当ての反力が可動部3に作用して、コイルばね23の変形による引っ張り力に抗して、可動部3が同図に示す矢印Dの向き、つまり本体部2に対して傾斜する向きに沿って移動させられる(傾けられる)。次いで、可動部3が所定の角度だけ移動させられたときに、同図に示すように、第1電極24と第2電極32とが接触して両電極24,32が電気的に接続されて、回路基板4に対する駆動用電源の供給が開始される。」 「【0028】 次に、検電器1を用いて、図5に示す検査対象体としての商用電源のコンセント70(具体的にはコンセント70の端子片71)の活電状態を検査する方法について説明する。この検査では、上記したように、メインスイッチを「ON」に切り替えた状態でグリップ25の取付部分を握り、同図に示すように、突起部3cをコンセント70の差込口72に挿入する。次いで、同図に示す矢印Eの向き、つまり検電器1の軸線に沿った向きに検電器1を押し当てる。この際に、差込口72の奥側に配設されている2枚の端子片71の先端部に突起部3cの先端部が当接して、押し当ての反力が可動部3に作用する。このため、コイルばね23の押圧力に抗して可動部3が同図に示す矢印Fの向き、つまり本体部2に近接する向きに沿って移動させられる。続いて、可動部3が所定の距離だけ移動させられたときに、第1電極24と第2電極32とが接触して両電極24,32が電気的に接続されて、回路基板4に対する駆動用電源の供給が開始される。」 【図1】 【図2】 【図4】 【図5】 イ 引用文献3の記載 引用文献3には、以下の記載がある。下線は、当審が付した。 (ア)(第1ページ左下欄第10行ないし第2ページ左上欄第6行) 「本発明は測定器に係り、特に電池を内蔵した装置に於いて、電池の消耗を抑制すると共に電池の寿命を延長して装置の経済的な運用を行うに好適な測定器に関する。 最近、回路にLSI等の集積回路を用いると共に電源として電池を内蔵した、携帯可能な電圧計、抵抗計等の小型測定器が実現されている。上述の如き測定器は、機動性に優れ、有用性の大きなものであるが、測定精度を高める為には、必然的に消費電力を犠牲にする必要があり、電池の寿命を縮めて、経済的な保守運用を妨げるという欠点を有する他、電池の交換周期を長くする為に大容量の電池を適用した場合、小型化された回路に比して、電池部だけが大型となり、測定器の小型化、軽量化を妨げるという欠点を有するものである。 一般に電池は連続して電流を流してやるよりも、電源の開閉を頻繁に行う方が電池の復元作用により寿命が延びるという事は、よく知られた事であるが、本発明はこの点に着目してなされたもので、上記従来技術の欠点に比して、電池の小型化及び小容量、化を可能ならしめた新規の測定器を提供するものである。 更に詳細には、本発明は、測定器が測定使用状態にある時のみ、測定子の被測回路に対する接触押圧、曲げ、引つ張り等の力や姿勢の変化、載置状態等を検出する事に依り、測定器が使用状態にある事を検出して、電源を投入してやる事に依つて電源を有効に利用する如く構成した測定器を提供するものである。」 (イ)(第2ページ左上欄第9行ないし右上欄第13行) 「第1図は本発明の測定器を適用するに好適なマルチフアンクシヨンメータの外観図で、1はメーター本体、2は測定子、3は測定子ベース、4は測定値を表示する表示器、5は被測回路の接地側に接続されるクリツプ、6は電源の断続を行う主電源スイツチ、7は直流・交流電圧、抵抗値等の被測値を選択するフアンクシヨンスイツチをそれぞれ示すものである。 第2図は本発明の一実施例に係る測定器の部分切欠図で、測定子ベース3をその長手方向に可動に構成し、スプリング8で矢印a方向に弾性押圧している。なおメータ本体1には、固定接点9が設けられ、測定子ベース3には可動接点10が設けられており、通常は前記可動、固定の両接点9,10は離れているが、使用状態にある時は、測定子2の先端が、被測回路に押接される為、測定子ベース3はスプリング8の付勢力に抗して矢印b方向に移動し、従つて可動接点10と固定接点9は当接状態となる。ここで、前記可動接点10と固定接点9を電源に直列に挿入する事に依り、測定器が使用状態にある時のみ電源が投入される。」 (ウ)(第1図) (エ)(第2図) ウ 引用文献2及び引用文献3に記載された周知技術 引用文献2の前記アの記載によれば、引用文献2には、メインスイッチであるキャップ26をオンに切り替えた後、先端部3aに設けられた突起部3cを検査対象体である電線60又はコンセント70の端子片71に押し当てて活電状態を検査する検電器1において、第1電極24と、突起部3cが検査対象体に押し当てられると移動して第1電極24に接触し、電池50からの駆動用電源の供給を開始する第2電極32とで構成されるスイッチを設けることが記載されている。ここで、メインスイッチをオンに切り替えた後、第2電極32が移動し、第1電極24に接触して初めて電池50からの駆動用電源の供給が開始されることから、第1電極24及び第2電極32で構成されるスイッチがメインスイッチに直列に挿入されていることは明らかである。 引用文献3の前記イの記載によれば、引用文献3には、主電源スイッチ6を備え、測定子2の先端を被測回路に押接して直流・交流電圧、抵抗等を測定する測定器において、固定接点9と、測定子2の先端が被測回路に押接されると移動して固定接点9と当接状態となり、内蔵した電池による電源が投入される可動接点10とで構成されるスイッチを、主電源スイッチ6に直列に設けることが記載されている。 すなわち、引用文献2及び引用文献3のいずれにも、電源スイッチ(キャップ26、主電源スイッチ6)を備え、先端部(先端部3a、測定子2の先端)を測定対象(検査対象体、被測回路)に押し当てて測定を行う測定器(検電器1、測定器)において、固定接点(第1電極24、固定接点9)と、先端部が測定対象に押し当てられると移動して固定接点に接触し、内蔵電池(電池50、内蔵した電池)による電源の供給を開始する移動接点(第2電極32、可動接点10)とで構成されるスイッチを、電源スイッチに直列に設けることが記載されている。したがって、これは、当業者にとって周知の技術である。 5 本願発明と引用発明との一致点及び相違点 (1)対比 本願発明と引用発明とを対比すると、以下のとおりである。 ア 引用発明の「測定対象となる2つの被覆電線100a、100b」は、本願発明の「測定対象電線」に相当するから、引用発明の「測定対象となる2つの被覆電線100a、100bの間の線間電圧Vd」は、本願発明の「測定対象電線に通電されている電圧」に相当し、したがって、引用発明の「測定対象となる2つの被覆電線100a、100bの間の線間電圧Vdを非接触で測定可能に構成され」る「線間電圧測定装置1」は、本願発明の「測定対象電線に通電されている電圧を非接触にて測定することのできる非接触電圧測定器」に相当する。 イ 引用発明の「一対の測定ユニット2a、2b」は、「測定対象となる2つの被覆電線100a、100bの間の線間電圧Vdを測定するときは、」「両手で1つずつ保持し、それぞれの先端部22の当接面を被覆電線100a、100bにそれぞれ当接させる」ものであるから、本願発明の「一対の測定プローブ」に相当し、したがって、前記アを踏まえると、引用発明の「一対の測定ユニット2a、2bを備える線間電圧測定装置1」は、本願発明の「一対の測定プローブを有」する「非接触電圧測定器」に相当する。 ウ 引用発明の「検出部4」は、「検出電極41、可変容量回路、電流検出回路及び増幅回路を備えて構成され、被覆電線100に供給されている交流電圧を検出」するから、引用発明の「検出電極41、可変容量回路、電流検出回路及び増幅回路」は、「被覆電線100に供給されている交流電圧を検出」する回路であることが明らかであり、したがって、本願発明の「電圧検出回路」に相当する。 エ 前記イ及びウを踏まえると、引用発明の「検出部4a」「を備え」る「測定ユニット2a」及び「検出部4b」「を備え」る「測定ユニット2b」は、本願発明の「各々が電圧検出回路を備え」る「一対の測定プローブ」に相当する。 オ 引用発明の「測定ユニット2a」が「ケース本体3a」「を備え、」「測定ユニット2b」が「ケース本体3b」「を備え、」「ケース本体3aは、」「バッテリー10を収容するバッテリー収容部31が形成され、」「ケース本体3bは、バッテリー収容部31を備えていない点を除いて全体としてケース本体3aとほぼ同じ形状であり、」「両ケース本体3a、3bの基端部21には、接続端子51がそれぞれ取り付けられ、各接続端子51は、ケーブル52で互いに接続され、ケーブル52は、バッテリー10からの電力を測定ユニット2a、2bの各構成要素に供給するための導線等で構成され」ることは、「測定ユニット2a」の「ケース本体3a」に収容された「バッテリー10からの電力」が「測定ユニット2a」だけでなく、「ケーブル52」を介して「測定ユニット2b」にも供給されることを意味する。すなわち、引用発明の「一対の測定ユニット2a、2b」は、互いに「ケーブル52」で電気的に接続されている。したがって、前記イを踏まえると、引用発明の「ケーブル52」は、本願発明の「接続ケーブル」に相当し、引用発明の「一対の測定ユニット2a、2b」は、本願発明の「互いに接続ケーブルにて電気的に接続された一対の測定プローブ」に相当する。 カ 前記ウを踏まえると、引用発明の「検出電極41」は、本願発明の「前記電圧検出回路を構成する電圧検出用の検知電極」に相当する。そして、前記エを踏まえると、引用発明の「検出電極41」が「測定ユニット2a、2bの先端部22に収容され」ることから、引用発明の「測定ユニット2a、2bの先端部22」は、本願発明の「各測定プローブ」の「電圧検出回路を構成する電圧検出用の検知電極が内部に配置された電圧検出部」に相当する。 キ 引用発明の「バッテリー10」は、本願発明の「電源」に相当するから、引用発明の「測定ユニット2aは、ケース本体3a」「を備え、」「ケース本体3aは、」「バッテリー10を収容するバッテリー収容部31が形成され、」「バッテリー10からの電力が測定ユニット2a、2bの各構成要素に供給され」ることと、本願発明の「対をなす前記測定プローブの一方の測定プローブは、前記各電圧検出回路に電力を供給するための電源を備えた電源回路を備え」ることとは、「対をなす前記測定プローブの一方の測定プローブは、前記各電圧検出回路に電力を供給するための電源を備え」る点で共通する。 ク 引用発明の「電源スイッチ71」は、本願発明の「電源スイッチ」に相当するから、前記キを踏まえると、引用発明の「測定ユニット2bは、」「操作部7」「を備え、」「ケース本体3bは、」「操作部7」「を収容又は配設可能に構成され、」「操作部7は、ケース本体3bに配設された電源スイッチ71を備え、電源スイッチ71が操作されると、ケーブル52の導線が接続され、バッテリー10からの電力が測定ユニット2a、2bの各構成要素に供給され」ることと、本願発明の「他方の測定プローブは、前記電源回路をオン・オフする電源スイッチを有」することとは、「他方の測定プローブは、前記電源をオン・オフする電源スイッチを有」する点で共通する。 ケ 前記ア、イ及びカを踏まえると、引用発明の「測定対象となる2つの被覆電線100a、100bの間の線間電圧Vdを測定するときは、測定ユニット2a、2bを両手で1つずつ保持し、それぞれの先端部22の当接面を被覆電線100a、100bにそれぞれ当接させる」は、本願発明の「前記各測定プローブの前記電圧検出部の先端部を測定対象電線に押し当てることにより、前記測定対象電線に通電されている電圧を非接触にて測定する」に相当する。 (2)一致点及び相違点 前記(1)の対比の結果をまとめると、本願発明と引用発明との一致点及び相違点は、以下のとおりである。 ア 一致点 「各々が電圧検出回路を備え、互いに接続ケーブルにて電気的に接続された一対の測定プローブを有し、 前記各測定プローブは、前記電圧検出回路を構成する電圧検出用の検知電極が内部に配置された電圧検出部を備え、 対をなす前記測定プローブの一方の測定プローブは、前記各電圧検出回路に電力を供給するための電源を備え、他方の測定プローブは、前記電源をオン・オフする電源スイッチを有し、 前記各測定プローブの前記電圧検出部の先端部を測定対象電線に押し当てることにより、前記測定対象電線に通電されている電圧を非接触にて測定することのできる非接触電圧測定器。」 イ 相違点 (ア)相違点1 本願発明は、「対をなす前記測定プローブの一方の測定プローブ」が「電源を備えた電源回路を備え」、「電源スイッチ」が「電源回路をオン・オフする」のに対し、 引用発明は、「測定ユニット2a」の「ケース本体3a」に「バッテリー10を収容するバッテリー収容部31が形成され」、したがって、「測定ユニット2a」(本願発明の「対をなす前記測定プローブの一方の測定プローブ」に相当する。)が「バッテリー10」(本願発明の「電源」に相当する。)を備えるものの、その「バッテリー10」を備える電源回路までは備えず、これに対応して、「電源スイッチ71」(本願発明の「電源スイッチ」に相当する。)は、「操作されると、ケーブル52の導線が接続され、バッテリー10からの電力が測定ユニット2a、2bの各構成要素に供給され」るものであり、電源回路をオン・オフするものではない点。 (イ)相違点2 本願発明の「前記各測定プローブの前記電圧検出部は、先端部を測定対象電線に押し当てることにより移動してオンとなる測定開始のための測定開始スイッチを備え、」「前記各測定プローブの前記各測定開始スイッチと前記電源スイッチとは直列に接続されており、」「前記測定開始スイッチと前記電源スイッチの全てのスイッチがオンとされることにより測定可能とされる」のに対し、 引用発明の「測定ユニット2a、2bの先端部22」(本願発明の「各測定プローブの電圧検出部」に相当する。)は、測定開始スイッチを備えていない点。 6 相違点についての判断 (1)相違点1について 電池をそのまま電源とするのではなく、電池を電源回路に組み込み、その電源回路から必要な電圧を取り出して電源とすることは、例示するまでもなく、電子機器の技術分野において周知の技術である。 引用発明に係る「線間電圧測定装置1」は、「検出部4b、測定部5b、ランプ6b、操作部7、表示部8及び制御部9」並びに「検出部4a、測定部5a及びランプ6a」を備えており、明らかに電子機器であるから、引用発明の「バッテリー10」を電源回路に組み込み、その電源回路から必要な電圧を取り出して電源とすることは、周知技術の単なる適用にすぎない。その際、もともと、「操作されると、ケーブル52の導線が接続され、バッテリー10からの電力が測定ユニット2a、2bの各構成要素に供給され」るものである「電源スイッチ71」の動作を、「バッテリー10」を組み込んだ電源回路のオン・オフとして具体化することは、当業者が適宜行い得ることである。 その結果、引用発明に係る「線間電圧測定装置1」が相違点1に係る本願発明の構成を備えるようになることは、明らかである。 (2)相違点2について 前記4(2)ウのとおり、電源スイッチを備え、先端部を測定対象に押し当てて測定を行う測定器において、固定接点と、先端部が測定対象に押し当てられると移動して固定接点に接触し、内蔵電池による電源の供給を開始する移動接点とで構成されるスイッチを、電源スイッチに直列に設けることは、当業者にとって周知の技術である。 一方、引用発明に係る「線間電圧測定装置1」は、「電源スイッチ71」を備え、「測定対象となる2つの被覆電線100a、100bの間の線間電圧Vdを測定するときは、測定ユニット2a、2b」「それぞれの先端部22の当接面を被覆電線100a、100bにそれぞれ当接させる」ものであるから、前記周知の技術の前提である「電源スイッチを備え、先端部を測定対象に押し当てて測定を行う測定器」にほかならない。 また、前記周知の技術は、引用文献3に記載されているとおり(前記4(2)イ(ア))、測定器が測定使用状態にあるときだけ電源を投入することで、電池の寿命を延ばすという効果を奏するから、引用発明に係る「線間電圧測定装置1」に適用すれば、「バッテリー10」の寿命を延ばす効果が期待できることは当業者にとって明らかである。 したがって、当業者には、引用発明に係る「線間電圧測定装置1」に前記周知の技術を適用し、固定接点と、「測定ユニット2a、2b」「それぞれの先端部22の当接面」が「測定対象となる2つの被覆電線100a、100b」に押し当てられると移動して固定接点に接触し、内蔵電池である「バッテリー10」による電源の供給を開始する移動接点とで構成されるスイッチを、電源スイッチである「電源スイッチ71」に直列に設ける動機付けがあるということができる。 そして、前記周知の技術が電池の寿命を延ばすという効果を奏するのは、測定器が測定使用状態にあるときだけ電源を投入することによるものであるから(前記4(2)イ(ア))、引用発明に前記周知の技術を適用したものにおいても、引用発明に係る「線間電圧測定装置1」が測定使用状態にあるときだけ、すなわち、「測定ユニット2a、2bの先端部22」の両方が「測定対象となる2つの被覆電線100a、100b」に押し当てられたときだけ、電源が投入されるように、固定接点及び移動接点で構成されるスイッチを「測定ユニット2a、2b」の両方に設けることは、当業者が適宜行い得ることである。 その結果、引用発明に係る「線間電圧測定装置1」が相違点2に係る本願発明の構成を備えるようになることは、明らかである。 (3)本願発明の効果について 本願発明は、「測定プローブを正確に測定対象電線に押し当てることによって始めて電圧測定が可能とされ、それによって、測定者に不安感を抱かせることなく、正確に測定対象電線の電圧を測定することができる」という効果を奏するものである(明細書【0019】)。 引用発明に前記周知の技術を適用したものにおいても、電圧測定が可能となるのは、「測定ユニット2a、2b」「それぞれの先端部22の当接面」の両方が「測定対象となる2つの被覆電線100a、100b」に押し当てられたときだけである。したがって、「2つの被覆電線100a、100bの間の線間電圧Vd」が得られれば、測定者はそのこと自体から測定が正常に行われたと、不安感を抱くことなく判断するであろうことは、当業者が当然に理解することである。 本願発明が奏する効果は、引用発明及び前記周知の技術から当業者が予測し得る程度のものであり、格別なものではない。 (4)判断のまとめ 以上のとおりであるから、本願発明は、引用文献1に記載された発明(引用発明)と周知技術とに基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 7 請求人の主張について (1)請求人は、相違点2に関し、引用文献1ないし引用文献3に記載された発明は本願発明とは異なる課題を有し、かつ、それぞれが互いに異なる課題を有しており、本願発明の課題を解決するために引用文献1ないし引用文献3に記載された発明を組み合わせる動機付けとなり得るものは引用文献1ないし引用文献3に示されていないから、引用文献1ないし引用文献3に記載された発明を組み合わせること自体極めて困難であると主張する(審判請求書、第16ページ第28行ないし第17ページ第3行)。 しかし、引用文献2及び引用文献3は、「電源スイッチを備え、先端部を測定対象に押し当てて測定を行う測定器において、固定接点と、先端部が測定対象に押し当てられると移動して固定接点に接触し、内蔵電池による電源の供給を開始する移動接点とで構成されるスイッチを、電源スイッチに直列に設ける」という当業者にとって周知の技術を示すものである。そして、引用発明は、前記周知の技術の前提である「電源スイッチを備え、先端部を測定対象に押し当てて測定を行う測定器」にほかならないし、前記周知の技術の適用により「バッテリー10」の寿命の延長という効果が期待できることは当業者にとって明らかであるから、当業者には、前記周知の技術を引用発明に適用する動機付けがあるということができる。 したがって、請求人の主張は、採用することができない。 (2)請求人は、引用文献1ないし引用文献3に記載された発明を組み合わせることができたとしても、相違点2に係る本願発明の構成は達成されず、「測定プローブを正確に測定対象電線に押し当てることによって始めて電圧測定が可能とされ、それによって、測定者に不安感を抱かせることなく、正確に測定対象電線の電圧を測定することができる」という本願発明の効果を得ることはできないと主張する(審判請求書、第17ページ第4行ないし第8行)。 しかし、前記周知の技術が電池の寿命を延ばすという効果を奏するのは、測定器が測定使用状態にあるときだけ電源を投入することによるものであるから、当業者であれば、引用発明に適用するに際し、引用発明に係る「線間電圧測定装置1」における測定使用状態とは何かを当然考慮する。そして、引用発明に係る「線間電圧測定装置1」が測定使用状態にあるときだけ、すなわち、「測定ユニット2a、2b」「それぞれの先端部22の当接面」の両方が「測定対象となる2つの被覆電線100a、100b」に押し当てられたときだけ、電源が投入されるように、移動接点及び固定接点で構成されるスイッチを「測定ユニット2a、2b」の両方に設けることは、当業者が適宜行い得ることである。その結果、本願発明の効果が得られることは、既に述べたとおりである。 したがって、請求人の主張は、採用することができない。 8 むすび 以上に述べたとおり、本願発明は、引用文献1に記載された発明と周知の技術とに基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、他の請求項に係る発明について審理するまでもなく、本願は拒絶するべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2017-009146

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