特許拒絶査定不服審判
2019-016747
一体的強磁性材料を有する磁場センサ集積回路
- 審判番号
- 2019-016747
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2017-244777
- 請求日
- 2019年12月11日
- 審決日
- 2020年09月14日
- 公報発行日
- 2021年03月26日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】アレグロ・マイクロシステムズ・エルエルシー
- 【請求人代理人】小野 新次郎
- 【請求人代理人】山本 修
- 【請求人代理人】宮前 徹
- 【請求人代理人】中西 基晴
- 【請求人代理人】鳥居 健一
- 審判長/審判官
- 審判長 岡田 吉美
- 審判官 中澤 真吾
- 審判官 濱野 隆
- 分類
- P18 .121-Z (G01R)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2017-244777「一体的強磁性材料を有する磁場センサ集積回路」拒絶査定不服審判事件〔平成30年 8月 2日出願公開、特開2018-119955〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
【理 由】
第1 本願の経緯
本願は、平成29年12月21日にされた特許出願(遡及出願平成25年2月13日、パリ条約に基づく優先権主張、外国庁受理2012年3月20日及び2013年1月24日、いずれも米国)である。そして、平成31年3月4日付けで特許請求の範囲についての補正がされ、令和1年8月19日付けで拒絶査定(以下「原査定」という。原査定の謄本の送達日:同月28日)がされ、これに対して、同年12月11日に拒絶査定不服審判が請求されたものである。
第2 本願発明
本願の請求項1~15に係る発明は、平成31年3月4日付けで補正された特許請求の範囲の請求項1~15に記載された事項により特定されるとおりのものであり、そのうち、請求項6に係る発明(以下「本願発明6」という。)は、次のとおりのものである。
「 【請求項6】
第1の表面及び第2の対向する表面を有するリードフレームと、
磁場感知素子が中に配設された第1の表面と、前記リードフレームの前記第1の表面に取り付けられた第2の対向する表面とを有する半導体ダイと、
前記ダイ及び前記リードフレームの少なくとも一部分を封入する非導電性モールド材料と、
前記非導電性モールド材料に固定された導電性コイルと、
前記非導電性モールド材料の一部分に固定され、前記コイルを封入する、第2のモールド材料と
を備える、磁場センサ。」
第3 本願発明6についての原査定の拒絶の理由の概要
本願発明6は、以下に示すとおり、引用文献1に記載された発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献1には、磁気センサ10をパッケージする硬質樹脂23において、磁気センサ10が配置されている側とは反対側に永久磁石15を固定すること([0027]を参照。)、及び、動作層12に垂直に磁界を加える手段として永久磁石15ではなく電磁石24を用いても良いこと([0025]及び図14を参照。)が記載されており、上記永久磁石15をモールド樹脂16により保持すること([0012]を参照。)も記載されているから、上記永久磁石15に代えて上記電磁石24を採用するに際し、上記電磁石24のコイルを上記硬質樹脂23とは別の樹脂に封入させる程度のことは、当業者であれば容易に行い得た事項にすぎない。
引用文献1:特開2005-327861号公報
第4 引用文献に記載された発明等
1 引用文献
以下に掲げる引用文献1~7は、いずれも公開日が本願の優先日より前である。また、引用文献1は、原査定の拒絶の理由に引用された文献であり、引用文献2~7は、技術常識を示すために当合議体が新たに引用する文献である。
引用文献1:特開2005-327861号公報
引用文献2:実願昭57-109598号(実開昭59-14313号)のマイクロフィルム
引用文献3:実願昭58-1437号(実開昭59-107113号)のマイクロフィルム
引用文献4:実願平1-32711号(実開平2-125311号)のマイクロフィルム
引用文献5:特開昭61-203606号公報
引用文献6:特開平1-199414号公報
引用文献7:特開昭64-53404号公報
2 引用文献に記載された発明等
(1)引用文献1
ア 引用文献1には、以下の記載がある。下線は、当合議体が付した(引用文献2~7の下線についても同様である。)。
「【0012】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づき説明する。
[実施の形態1]
図1は、本実施の形態1に係る強磁性微粒子検出装置1の構成を示す断面図で、図2はこの強磁性微粒子検出装置1に用いられる磁気抵抗効果型の磁気センサ10の構成を示す図である。本発明の強磁性微粒子検出装置1は、センサ部1Aと駆動検出部1Bとから成り、センサ部1Aは、絶縁性の基板11上に形成された化合物半導体薄膜から成る2個の磁気抵抗素子12a,12bと、複数の端子電極13(13a,13b,13c)と、多数の短絡電極14とを備えた3端子の磁気抵抗素子から成る磁気センサ10と、この磁気センサ10の検出対象物である磁気印刷物2の表面に印刷された強磁性微粒子3側とは反対側に設けられ、感磁部となる磁気抵抗素子12a,12bに垂直にバイアス磁界を印加するための永久磁石15と、この永久磁石15を保持するモールド樹脂16と、端子電極13に接続された、磁気センサ10に電圧を供給したり磁気センサ10の出力を外部に取出したりするための端子ピン17と、磁気センサ10を保護するための金属ケース18とを備えており、駆動検出部1Bは、磁気センサ10を駆動する駆動回路19aと磁気センサ10からの出力を増幅する増幅回路19bとを備えている。
なお、磁気抵抗素子12a,12bのような、化合物半導体薄膜から成る磁気抵抗素子を、以下、総称して、動作層12という。この動作層12は磁気センサ10の、感磁部(抵抗値が磁界によって変化する部位)を構成するもので、この動作層12を構成する化合物半導体薄膜の膜面を感磁部面という。
短絡電極14は、必要に応じ、磁界検出時の抵抗変化を大きくする(磁界に対する高感度化)目的で設置されもので、図2に示すように、磁気抵抗素子12a,12bの電流の流れる電流の流れる方向(磁気抵抗素子12a,12bの延長方向)に直交する方向に形成される。本例のように、短絡電極14を設置した場合は、短絡電極14,14間にある化合物半導体の形状としては、電流に直交する方向の幅Wに対し、電流方向の長さLが小さいこと、すなわち、L/Wを1.0以下とすることが好ましく、0.3以下であれば、更に、磁界での抵抗変化が大きくなるので実用上のメリットが大きくなり好ましい。」
「【0019】
次に、3端子の磁気抵抗素子から成る磁気センサ10の作製方法について説明する。
図4及び図5は、磁気センサ10の作製プロセスフローを示す図で、プロセスとしては、通常のフォトリソグラフィーの技術を用いることができる。
はじめに、図4(a)に示すように、絶縁性基板であるGaAs基板11上に、動作層12を構成するためのInSb薄膜12Fを形成する。具体的には、分子線エピタキシー(MBE)法を用いて、半絶縁性のGaAs単結晶基板の(100)面上に、化合物半導体薄膜としてSnドープInSb薄膜12Fをエピタキシャル成長させる。
次に、図4(b)に示すように、InSbのメサエッチング用のフォトマスクを用いて、動作層12のパターンを露光・現像した後に、InSb薄膜12Fを塩酸・過酸化水素系のエッチング液で所望の形状にメサエッチングして、前2個の磁気抵抗素子12a,12bを形成する。
その後、図5(a)に示すように、磁気抵抗素子12a,12b上に、複数の短絡電極14を形成し、更に、図5(b)に示すように、窒化シリコン薄膜から成る絶縁層11Bを、プラズマCVD法により形成する。そして、図5(c)に示すように、端子電極13部分のみの窒化シリコン膜を反応性イオンエッチング装置を用いて除去した後、端子電極13を形成する。
このようにして、SnドープInSb薄膜から成る磁気抵抗素子12a,12bを動作層12とし、端子電極13を3個を有し、端子電極13,13間に複数の短絡電極14を有する高磁界感度の磁気センサ10を、フォトリソグラフィーを応用した微細加工プロセスの応用により、1枚のウエーハ上に多数製作することができる。
なお、本例では、後述するモールドによる化合物半導体薄膜へ応力緩和のため、図5(d)に示すように、更に、磁気センサ10の動作層12上(実際には、絶縁層11B上)に、上記部位を覆うように、柔らかいシリコン樹脂層から成る軟質樹脂層20を形成するようにしている。
【0020】
その後、ウエーハから、ダイシングにより個別の磁気センサ10を切離す。こうして製作した磁気センサ10のチップを、リードフレーム21を利用して、ボンデングパッケージした。すなわち、リードフレームのアイランド上に磁気センサ10のチップを、ダイボンダーを用いダイボンドした。次いで、金ワイヤー22により3個の端子電極13とリード間を、ワイヤーボンダーを用いワイヤーボンドした。次いで、トランスファーモールド法によりエポキシ樹脂などの硬質樹脂23によりパッケージし、次に、タイバーカット、リードカットにより、及びリードのフォーミングを行い、図6に示すような、硬質樹脂23によりモールドされた磁気センサ10を作製する。そして、このボンデングパッケージを永久磁石15とともに金属ケース18内に収納した後、モールド樹脂16にてモールドすることにより、図1に示すような、本発明の強磁性微粒子検出装置1のセンサ部1Aを製作する。最後に、センサ部1Aの端子ピン17と、駆動検出部1Bとを接続して強磁性微粒子検出装置1を組上げる。なお、金属ケース18に代えて、樹脂ケースを用いても良い。
また、より高感度の磁気パターンを検出するためには、金属ケース18の先端部の厚さは、0.01~0.15mmの範囲が実用上からは好ましい。特に、0.10~0.15mmの範囲は、実用上の堅牢さと磁気パターンへの近接性を阻害しないので、磁気パターンの高感度検出が可能であり良く使われる範囲である。」
「【0023】
次に、磁気パターンの検出原理について説明する。
本例では、図12に示すように、3端子の磁気センサ10を用いて、強磁性微粒子3を含んだ磁気インクで磁気印刷物2に印刷された磁気パターンを検出する。なお、磁気センサ10の磁気抵抗素子12a,12bは、永久磁石15により形成される一様なバイアス磁界中に配置されており、かつ、磁気抵抗素子12aと磁気抵抗素子12bとは、図10に示したように、直列接続されるとともに定電圧電源19Eに接続されている。なお、本例においては、強磁性微粒子3を、永久磁石15からの磁界を集磁する軟磁性体から成る微粒子とした。
(中略)
【0025】
なお、実施の形態1では、化合物半導体薄膜から成る動作層12に垂直に磁界を加える手段として永久磁石15を用いたが、これに限るものではなく、図14に示すように、電磁石24を用いてもよい。
また、上記例では、センサ部1Aと駆動検出部1Bとを別個に作製したが、金属ケース18内に駆動検出部1Bを収納して、センサ部1Aと駆動検出部1Bとを一体化しても良い。
(中略)
【0027】
[実施の形態2]
実施の形態1では、硬質樹脂23によりによりパッケージした磁気センサ10の裏面側に、モールド樹脂16により保持された永久磁石15を配置したが、図17に示すように、硬質樹脂23の磁気センサ10が配置されている側とは反対側に、永久磁石15を接着剤等により固定するようにすれば、磁気センサ10と永久磁石15とが一体化された磁気センサ10Mを有する強磁性微粒子検出装置を構成することができる。
このとき、図18に示すように、リードフレーム25Fを、動作層12を構成する化合物半導体薄膜の面に対して垂直方向に折り曲げるようにして円筒形の金属ケース18に収納すれば、センサ部を容易に円柱状とすることができる。なお、リードフレーム25Fは上記のように折り曲げられているので、金属ケース18に接触することはない。」
「【図1】
」
「【図4】
【図5】
【図6】
」
「【図14】
」
「【図17】
」
イ 引用文献1に記載された発明
(ア)【0020】、【図6】、【図17】の記載から、「硬質樹脂23」は、「絶縁性基板11」の全体及び「リードフレーム21(又は25F)」の少なくとも一部分をパッケージしていることは明らかである。
(イ)【0027】、【図17】には、「硬質樹脂23」に「永久磁石15」を接着剤等により固定することが記載されているが、【0025】のように、「永久磁石15」の代わりに「電磁石24」を用いる場合、当該「電磁石24」も「硬質樹脂23」に接着剤等により固定するものと認められる。
上記(ア)、(イ)を踏まえつつ、前記アの記載をまとめると、引用文献1には次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。
「磁気センサ10を備えた強磁性微粒子検出装置1であって(【0012】、【図1】)、
磁気センサ10の作製方法は、はじめに、絶縁性基板であるGaAs基板11上に、動作層12を構成するためのInSb薄膜12Fを形成し、その後、メサエッチングすることで磁気抵抗素子12a、12bを形成し、磁気抵抗素子12a,12b上に、複数の短絡電極14を形成し、更に、窒化シリコン薄膜から成る絶縁層11Bを形成し、端子電極13部分のみの窒化シリコン膜を反応性イオンエッチング装置を用いて除去した後、端子電極13を形成し、更に、磁気センサ10の動作層12上(実際には、絶縁層11B上)に、上記部位を覆うように、柔らかいシリコン樹脂層から成る軟質樹脂層20を形成し(【0019】、【図4】)、
その後、ダイシングにより切離すことにより作製された個別の磁気センサ10のチップを、リードフレーム21(又は25F)上にダイボンドし、次いで、トランスファーモールド法によりエポキシ樹脂などの硬質樹脂23により、絶縁性基板11の全体及びリードフレーム21(又は25F)の一部分をパッケージすることで、モールドされた磁気センサ10を作製し(【0020】、【図6】)、
前記硬質樹脂23の磁気センサ10が配置されている側とは反対側に、永久磁石15を接着剤等により固定するようにし、磁気センサ10と永久磁石15とが一体化され(【0027】、【図17】)、
上記永久磁石15に代えて電磁石24を用いてもよく、このとき上記電磁石24は、前記硬質樹脂23の磁気センサ10が配置されている側とは反対側に、接着剤等により固定され(【0025】、【0027】、【図14】)、
電磁石24により、当該磁気センサ10の磁気抵抗素子12a、12bに垂直にバイアス磁界を印加し、磁気センサ10を用いて強磁性微粒子3を含んだ磁気インクで磁気印刷物2に印刷された磁気パターンを検出する(【0012】、【0023】、【0025】)、
強磁性微粒子検出装置1。」
(2)引用文献2
ア 引用文献2には、以下の記載がある。
(第4頁第3行~第15行)
「第4図中、20はツバ20a、20bおよび巻回部20Cを有するフェライト材等の非導電性の磁性材からなるドラム形状のコア、21はリード部21a、21b(第6図参照)を有するコイル線輪、22、23は凹部22a、23aを有し、リード部21a、21bとそれぞれ電気的に接続しかつ折曲して外部端子22b、23bを形成する銅、黄銅等からなる金属板、24はエポキシ樹脂等の合成樹脂にフェライト等の磁性材粉末を混入した封止材であり、この封止材を用いて前記コア20、コイル線輪21および金属板22の一部をモールド成型して封止する。」
(第4図)
「
」
イ 前記アの記載をまとめると、引用文献2には次の事項が記載されている。
「コイル線輪21を、エポキシ樹脂等の合成樹脂にフェライト等の磁性材粉末を混入した封止材24で封止する。」
(3)引用文献3
ア 引用文献3には、以下の記載がある。
(第3頁第15行~第18行)
「このコイルでは、スパイラル巻回部1が樹脂モールド4に埋付け配置され、また端部電極2、3を樹脂モールド4の左右湯麺に呈出配置することにより構成されている。」
(第3図)
「
」
イ 前記アの記載をまとめると、引用文献3には次の事項が記載されている。
「空心コイルのスパイラル巻回部1を、樹脂モールド4に埋付け配置する。」
(4)引用文献4
ア 引用文献4には、以下の記載がある。
(第5頁第15行~第6頁第5行)
「このように、コイル(1)をキャピティ(12)内の所定位置に配置した状態で金型(21)と金型(22)を合致させ、ランナー(15)及ひ各ゲート(I7)を通じてキャピティ(12)内に磁性樹脂の注入、すなわち射出成型を行う。その後、金型(21)及び(22)を分離し、キャビティ(12)内から成型体をとり出せば、第1図にその断面図を示すように、軟磁性樹脂(3)内にコイル(1)と磁石(2)とが埋込まれて両者が一体化されるか、コイル(1)と軟磁性体(21)とが埋込まれて両者が一体化されたモールドコイルが得られる。」
(第1図)
「
」
イ 前記アの記載をまとめると、引用文献4には次の事項が記載されている。
「コイル1を、軟磁性樹脂3内に埋め込むこと。」
(5)引用文献5
ア 引用文献5には、以下の記載がある。
(第2頁左下欄第18行~第20行)
「3は巻線、4は外装成形体であり、金属板端子2の外部回路接続部6を残して全体を覆う様にモールドしている。」
(第3頁右上欄第1行~第14行)
「以上の説明から明らかなように、本発明によるチップィンダクタは同一平面上で相対する一対の金属板端子上に巻線を施したドラムコアを、この中心軸が金属板端子面に対して垂直で、かつ前記金属板端子間にまたがる様に配置して固定し、前記金属板端子のドラムコア固定部位より幅狭の突出部を設け、この突出部先端に巻線端を電気的接続し、前記金属板端子の外部回路への接続部を残して全体を外装樹脂成形体で覆う様に構成する事により、チップインダクタをプリント基板に実装した後にプリント基板から伝わって来る超音波振動を含むあらゆる機械的振動に対しィンダクタの致命的欠点である断線を発生しないという非常に大きな効果が得られる。」
(第1図)
「
」
イ 前記アの記載をまとめると、引用文献5には次の事項が記載されている。
「巻線3を外装樹脂成形体4で覆うこと。」
(6)引用文献6
ア 引用文献6には、以下の記載がある。
(第2頁左下欄第14行~右下欄第3行)
「上述のように本発明は、空芯コイルの上下面に耐熱性フィルムのつばを固着したコイル素体を樹脂で封止した構造とすることによって、従来ドラムコアの製造上からくる小形,薄形化に対する制約を無くし、又、従来ドラムコアに占められていた体積分を省略すると共に、ドラムコアに代るコイルの熱に対する保護手段として耐熱性フィルムのつばを用いたことにより、信頼性が高く、巻線形でかつC,Rのチップ部品に匹敵する小形,薄形のインダククンス素子が提供できる。」
(第3頁左下欄第10行~第14行)
「その後、空心コイル1のリード部(図示せず)を金属板端子4a、4bに各々電気的に接合し、コイル素体5及び金属板端子4a、4bの一部を樹脂3で封止すると第1図に示したインダクタンス素子が得られる。」
(第1図)
「
」
イ 前記アの記載をまとめると、引用文献6には次の事項が記載されている。
「コイル素体5を樹脂3で封止すること。」
(7)引用文献7
ア 引用文献7には、以下の記載がある。
(第2頁左下欄第14行~第16行)
「この巻線コイル2を外部端子3、4となる金属板端子に取付けた後、コイル全体をプラスチックフェライト1で覆うように一体成型する。」
(第1図)
「
」
イ 前記アの記載をまとめると、引用文献7には次の事項が記載されている。
「巻線コイル2全体を、フェライト微粉末を高充填したプラスチックフェライト1で覆うように一体成形すること。」
第5 対比
本願発明6と引用発明を対比すると、以下のとおりである。
1 引用発明の「リードフレーム25F」は、本願発明6の「リードフレーム」に相当する。また、引用発明において、「リードフレーム25F」上に「磁気センサ10」のチップをダイボンドしており、当該チップをダイボンドする表面は、本願発明6の「リードフレーム」の「第1の表面」に相当し、「リードフレーム25F」におけるチップをダイボンドする表面と反対側の表面は、「リードフレーム」の「第2の対向する表面」に相当する。
2 引用発明の「磁気センサ10のチップ」は、本願発明6の「半導体ダイ」に相当する。
また、引用発明の「磁気センサ10のチップ」は、「絶縁性基板11」上に「磁気抵抗素子12a、12b」を形成し、「磁気抵抗素子12a、12b」上に「絶縁層11B」を形成した後、「絶縁層11B」の「端子電極13」部分のみを除去した後に「端子電極13」を形成し、更に「絶縁層11B」上に当該部位を覆うように「軟質樹脂層20」を形成することにより、「作製」されている。すなわち、引用発明の「磁気抵抗素子12a、12b」は、(【図5】(d)の断面図に示されるように)「磁気センサ10のチップ」を構成する「絶縁層11B」、「端子電極13」、「軟質樹脂層20」の内部に形成されている。ここで、引用発明の「磁気抵抗素子12a、12b」は、本願発明6の「磁場感知素子」に相当し、引用発明の「磁気センサ10のチップ」のうち「端子電極13」、「軟質樹脂層20」が形成された面は、本願発明6の「第1の表面」に相当するから、引用発明において、「磁気抵抗素子12a、12b」が「端子電極13」及び「軟質樹脂層20」が形成された面の内部に形成されていることは、本願発明6において、「磁場感知素子」が「半導体ダイ」の「第1表面」の「中に配設され」ていることに相当する。
また、引用発明において、「磁気センサ10のチップ」のうち「絶縁性基板11」が存在する側の面は、「リードフレーム25F」上に「ダイボンド」することにより取り付けられており、「磁気センサ10のチップ」の上記の面は、本願発明6における「半導体ダイ」の「リードフレームの第1の表面に取り付けられた第2の対向する表面」に相当する。
3 引用発明の「硬質樹脂23」は、「エポキシ樹脂など」であるから、非導電性材料である考えるのが通常であり、「絶縁性基板11」及び「リードフレーム25F」の少なくとも一部分をパッケージしており、本願発明6の「前記ダイ及び前記リードフレームの少なくとも一部分を封入する非導電性モールド材料」に相当する。
4 引用発明の「電磁石24」はコイルを含むことは明らかであり、そのコイルは、本願発明6の「導電性コイル」に相当する。また、「電磁石24」は、「硬質樹脂23」に接着剤等により「固定」されているから、「電磁石24」に含まれるコイルも、「硬質樹脂23」に「固定」されることとなる。よって、本願発明6の「導電性コイル」と、引用発明のコイルは、「非導電性モールド材料」に「固定」されるという点で共通している。
5 引用発明の「強磁性微粒子検出装置1」は、本願発明6の「磁場センサ」に相当する。
第6 一致点及び相違点
前記第5の対比の結果をまとめると、本願発明6と引用発明の一致点及び相違点は、以下のとおりである。
1 一致点
「第1の表面及び第2の対向する表面を有するリードフレームと、
磁場感知素子が中に配設された第1の表面と、前記リードフレームの前記第1の表面に
取り付けられた第2の対向する表面とを有する半導体ダイと、
前記ダイ及び前記リードフレームの少なくとも一部分を封入する非導電性モールド材料と、
前記非導電性モールド材料に固定された導電性コイルと、
を備える、磁場センサ。」
2 相違点
本願発明6は、「非導電性モールド材料の一部分に固定され、前記コイルを封入する第2のモールド材料」を備えるのに対して、引用発明は、そのような構成を備えているか否か不明である点。
第7 判断
引用文献2~7に示されるように、コイルを樹脂モールド材料に封入して各種用途に用いることは、当業者にとって技術常識であるから、引用発明における「電磁石24」のコイルについても、モールド樹脂で封入するようにすることは、上記技術常識を踏まえて当業者が適宜なし得た設計変更にすぎない。また、電磁石24のコイルが硬質樹脂23に隣接して固定されている場合には、コイルを封入するモールド樹脂も硬質樹脂23に隣接することとなり、同様に硬質樹脂23に固定されることは、磁石と一体化されたセンサとするにあたって設計上自然な構成であり、当業者が適宜行い得た事項である。
3 まとめ
以上のとおりであるから、本願発明6は、引用発明及び引用文献2~7に記載された技術常識に基づき、当業者が容易に発明をすることができたものである。
第8 審判請求人の主張について
審判請求人は、審判請求書において「引用文献1にはまた、コイル(電磁石24)を永久磁石の代わりに用いることができることが記載されている(例えば、段落[0025]参照)。審査官が指摘するように電磁石の集積化が容易なのであれば、センサの小型化の利点について認識を示している引用文献1には、必ず、そのような指摘や教示がされているはずである。換言すれば、図6又は15の樹脂23内に電磁石を設けることが容易なのであれば、引用文献1にはそのように開示されるはずである。しかし、引用文献1には、電磁石24が樹脂23内に、又はケース18内に、又は他の方法でどのように集積化され得るかについて何らの記載も説明もされていない。」と主張している。
しかし、引用文献1の【0025】の「永久磁石15」の代わりに「電磁石24を用いてもよい」という記載に接した当業者であれば、コイルを小型に形成すること自体は技術常識である(例えば、引用文献6の「コイル素体」は、「C,Rのチップ部品に匹敵する小形」化が実現されている)ことを考えれば、引用文献1においても、強磁性微粒子検出装置1として、永久磁石15を、同じ位置、大きさの電磁石24(コイル)に置き換えたものを読み取ることは可能である。
よって、出願人の主張する「電磁石の集積化」は、引用文献1の記載から読み取れる事項であって相違点とはならず、上記主張は妥当なものと認められない。
第9 むすび
本願発明6は、引用発明及び引用文献2~7に記載された技術常識に基づき、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。よって、他の請求項に係る発明ついて検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
したがって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
J-PlatPat 審決検索を開く
2019-016747