特許拒絶査定不服審判
2017-008401
押圧の度合いによって異なる機能を発動可能なユーザインタフェース装置、プログラム及び機能発動方法
- 審判番号
- 2017-008401
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2015-212719外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2017年06月09日
- 審決日
- 2018年07月17日
- 公報発行日
- 2018年10月26日
- 結論
- 請求不成立
- 分類
- P18 .121-WZ (G06F)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2015-212719「押圧の度合いによって異なる機能を発動可能なユーザインタフェース装置、プログラム及び機能発動方法」拒絶査定不服審判事件〔平成28年 1月28日出願公開、特開2016- 15181〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯・本願発明
本願は、平成24年8月28日に出願した特願2012-187271号(以下、「原出願」という。)の一部を平成27年10月29日に新たな特許出願としたものであって、平成28年8月5日付けで拒絶理由が通知され、同年10月3日に手続補正がなされ、平成29年2月22日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、同年6月9日に拒絶査定不服の審判が請求されると同時に手続補正がなされ、当審において、平成30年4月2日付けで拒絶理由が通知され、期間を指定して意見書を提出する機会を与えたが、請求人からは何らの応答もなかったものである。
そして、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成29年6月9日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものと認める。
「【請求項1】
操作面における指の接触位置を検出する接触位置検出部を備えたユーザインタフェース装置であって、
前記操作面に接触した指によって付与される押圧力を検出する押圧力検出部と、
検出された1つの接触位置について受け入れ可能な操作として「フォーカス」操作及び「クリック」操作を含み、検出された押圧力が所定条件を満たす大きさを有さない場合、当該検出された1つの接触位置について「フォーカス」操作を受け入れたとして、当該1つの接触位置に対応付けられた所定機能を発動させる一方で、前記操作面に接触した当該指に対し、他方の「クリック」操作を受け入れたことを確認する触覚応答を与えず、一方、検出された押圧力が前記所定条件を満たす大きさを有する場合、当該検出された1つの接触位置について「クリック」操作を受け入れたとして、同じく当該1つの接触位置に対応付けられた機能であって前記所定機能とは異なる機能を発動させるとともに、前記操作面に接触した当該指に対し、発動した機能が、同じく当該1つの接触位置に対応付けられた前記所定機能とは異なっている「クリック」操作により発動する機能であることを示す触覚応答を与える機能制御手段と
を有することを特徴とするユーザインタフェース装置。」
第2 本願の出願日
原出願の当初明細書等には、「フォーカス」操作に関して、段落【0025】に「携帯型情報機器1は、操作面における指の接触位置を検出する接触位置検出部としてのタッチパネル100と、操作対象である複数のオブジェクト(図1(A)ではキーアイコン)を画面に表示する画像表示部としてのディスプレイ101とを備えたユーザインタフェース装置である。」、段落【0027】に「(a)指がキーアイコンに接触した際、即ち、指の接触位置がキーアイコンの表示位置範囲(操作面での位置範囲)内に含まれる際、キーアイコンが予備的に選択され、対応する機能の発動、例えばキーアイコンの強調表示(浮き上がったような表示又は光度が高くなる表示)、がなされる。」、段落【0028】に「 尚、以下、(a)の指による接触操作を「フォーカス」操作と定義」と記載されており、原出願の当初明細書等には、「指がキーアイコンに接触した際」、即ち、「接触位置検出部としてのタッチパネル100が指の接触位置がキーアイコンの表示位置範囲内に含まれる際」に、「フォーカス」操作を受け入れたとすることが記載されているといえる。
そして、原出願の当初明細書等には、「押圧力検出部102」の出力に基づいて「フォーカス」操作を受け入れたとすることは記載されていないから、原出願の当初明細書等には、押圧力の大きさとは無関係に、指が操作面に接触した際に「フォーカス」操作を受け入れたとすることが記載されているといえ、「検出された押圧力が所定条件を満たす大きさを有さない場合、・・・「フォーカス」操作を受け入れた」とする発明は、原出願の当初明細書等に記載されているとはいえず、また、当該発明は、原出願の当初明細書等の記載から自明な事項であるということもできない。
以上のとおりであるから、本願の請求項1~14に係る発明(以下、「本願発明1」~「本願発明14」という。)は、原出願の当初明細書等に記載された事項の範囲内でないものを含むから、原出願の出願日への、本願の出願日の遡及は認められない。
したがって、本願の出願日は、平成27年10月29日である。
第3 引用文献の記載、引用発明
1.引用文献1
当審の拒絶の理由に引用された、本願の出願日前に頒布された刊行物である、特開2014-44618号公報(以下、「引用文献1」という。)には、次の発明(以下、「引用文献1記載の発明」という。)が記載されているといえる。
「操作面における指の接触位置を検出する接触位置検出部を備えたユーザインタフェース装置であって、
前記操作面に接触した指によって付与される押圧力を検出する押圧力検出部と、
検出された1つの接触位置について受け入れ可能な操作として「フォーカス」操作及び「クリック」操作を含み、操作面における指の接触を検出した場合、当該検出された1つの接触位置について「フォーカス」操作を受け入れたとして、当該1つの接触位置に対応付けられた所定機能を発動させる一方で、前記操作面に接触した当該指に対し、他方の「クリック」操作を受け入れたことを確認する触覚応答を与えず、一方、検出された押圧力が所定条件を満たす大きさを有する場合、当該検出された1つの接触位置について「クリック」操作を受け入れたとして、同じく当該1つの接触位置に対応付けられた機能であって前記所定機能とは異なる機能を発動させるとともに、前記操作面に接触した当該指に対し、発動した機能が、同じく当該1つの接触位置に対応付けられた前記所定機能とは異なっている「クリック」操作により発動する機能であることを示す触覚応答を与える機能制御手段と
を有することを特徴とするユーザインタフェース装置。」
2.引用文献2
当審の拒絶の理由に引用された、本願の出願日前に頒布された刊行物である、国際公開第2012/037663号(以下、「引用文献2」という。)には、図面と共に、以下の記載がある。
(1)「 [0029] In some example embodiments, an optional force sensor 122 or force sensors is disposed in any suitable location, for example, between the touch-sensitive display 118 and a back of the portable electronic device 100 to detect a force imparted by a touch on the touch-sensitive display 118. The force sensor 122 may be a force-sensitive resistor, strain gauge, piezoelectric or piezoresistive device, pressure sensor, or other suitable device. Force as utilized throughout the specification refers to force measurements, estimates, and/or calculations, such as pressure, deformation, stress, strain, force density, force-area relationships, thrust, torque, and other effects that include force or related quantities.
[0030] Force information related to a detected touch may be utilized to select information, such as information associated with a location of a touch. For example, a touch that does not meet a force threshold may highlight a selection option, whereas a touch that meets a force threshold may select or input that selection option. Selection options include, for example, displayed or virtual keys of a keyboard; selection boxes or windows, e.g., "cancel," "delete," or "unlock"; function buttons, such as play or stop on a music player; and so forth. Different magnitudes of force may be associated with different functions or input. For example, a lesser force may result in panning, and a higher force may result in zooming. 」(対応する、特表2013-529338号公報の【0025】、【0026】による訳:
[0029]
いくつかの例示的実施形態では、随意の力センサ122または複数の力センサが、任意の好適な場所、例えば、タッチセンサ式ディスプレイ118と携帯用電子デバイス100の裏側との間に配置され、タッチセンサ式ディスプレイ118上のタップによって付与される力を検出する。力センサ122は、力センサ式抵抗器、歪みゲージ、圧電またはピエゾ抵抗デバイス、圧力センサ、あるいは他の好適なデバイスであり得る。明細書を通して利用される力とは、圧力、変形、応力、歪み、力密度、力-エリア関係、推力、トルク、および力または関連数量を含む、他の影響等、力の測定、予測、および/または計算を指す。
[0030]
検出されたタッチに関連する力情報は、タッチの場所に関連付けられた情報等の情報を選択するために利用され得る。例えば、力閾値に満たないタッチは、選択オプションをハイライトし得る一方、力閾値を満たすタッチは、選択オプションの選択またはその入力であり得る。選択オプションとして、例えば、キーボードの表示または仮想キー、選択ボックスまたはウィンドウ、例えば、「キャンセル」、「削除」、または「ロック解除」、機能ボタン、例えば、音楽プレーヤ上の再生または停止等が挙げられる。異なる力の大きさは、異なる機能または入力に関連付けられ得る。例えば、より小さい力は、パニングをもたらしてもよく、より大きな力は、ズームをもたらし得る。)
第4 対比、一致点、相違点
本願発明と引用文献1記載の発明とを対比すると、両者の間には、次の一致点、相違点があるといえる。
〈一致点〉
「操作面における指の接触位置を検出する接触位置検出部を備えたユーザインタフェース装置であって、
前記操作面に接触した指によって付与される押圧力を検出する押圧力検出部と、
検出された1つの接触位置について受け入れ可能な操作として「フォーカス」操作及び「クリック」操作を含み、所定の条件を検出した場合、当該検出された1つの接触位置について「フォーカス」操作を受け入れたとして、当該1つの接触位置に対応付けられた所定機能を発動させる一方で、前記操作面に接触した当該指に対し、他方の「クリック」操作を受け入れたことを確認する触覚応答を与えず、一方、検出された押圧力が所定条件を満たす大きさを有する場合、当該検出された1つの接触位置について「クリック」操作を受け入れたとして、同じく当該1つの接触位置に対応付けられた機能であって前記所定機能とは異なる機能を発動させるとともに、前記操作面に接触した当該指に対し、発動した機能が、同じく当該1つの接触位置に対応付けられた前記所定機能とは異なっている「クリック」操作により発動する機能であることを示す触覚応答を与える機能制御手段と
を有することを特徴とするユーザインタフェース装置。」
〈相違点〉
「フォーカス」操作を受け入れたとする条件が、本願発明1は、「検出された押圧力が所定条件を満たす大きさを有さない場合」であるのに対し、引用文献1記載の発明は、「操作面における指の接触を検出した場合」である点。
第5 当審の判断
〈相違点について〉
引用文献2には、上記摘記事項に「力閾値に満たないタッチは、選択オプションをハイライトし得る」と記載されるように、検出された押圧力が所定条件を満たす大きさを有さないタッチである場合は、「フォーカス」操作を受け入れたとして発動される所定の機能といえるハイライトを行う技術が記載されており、引用文献1記載の発明に上記引用文献2に記載された技術を適用し、「検出された押圧力が所定条件を満たす大きさを有さない場合」に「フォーカス」操作を受け入れたとし、本願発明の構成を得ることは、当業者が容易になしたことと認められる。
第6 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用文献1記載の発明及び上記引用文献2に記載された技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、他の請求項について検討するまでもなく、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
J-PlatPat 審決検索を開く
2017-008401