特許拒絶査定不服審判
2024-015989
プログラム
- 審判番号
- 2024-015989
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2023-092037
- 請求日
- 2024年10月04日
- 審決日
- 2025年12月16日
- 公報発行日
- 2026年03月27日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】KDDI株式会社
- 【請求人代理人】弁理士法人創光国際特許事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 相崎 裕恒
- 審判官 田付 徳雄
- 審判官 小池 堂夫
- 分類
- P18 .121-Z (G06Q)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2023- 92037「プログラム」拒絶査定不服審判事件〔令和 5年 7月21日出願公開、特開2023-101794〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は,令和3年7月27日に出願した特願2021-122083号の一部を令和4年3月29日に新たな特許出願(特願2022-52854号)とし、その一部を令和5年6月5日に新たな特許出願としたものであって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和6年 1月30日付け:拒絶理由通知書
同年 4月 5日 :意見書、手続補正書の提出
同年 7月 2日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。)
(同年 7月 9日 :原査定の謄本の送達)
同年10月 4日 :審判請求書、手続補正書の提出
令和7年 7月31日付け:拒絶理由通知(進歩性、明確性)
同年 9月29日 :意見書、手続補正書の提出
第2 本願発明
本願の請求項1から12に係る発明(以下、本願の請求項1に係る発明を「本願発明」という。)は、令和7年9月29日の手続補正によって補正された特許請求の範囲の請求項1から12に記載された事項により特定されるとおりのものと認められるところ、請求項1の記載は、次のとおりである。
「【請求項1】
ユーザが所持するユーザ端末を、
前記ユーザ端末から決済用データを取得した店舗の端末が送信した、前記決済用データと前記ユーザの前記店舗における決済情報とを含む決済要求を、情報処理装置が前記店舗の端末から受信したことを条件として、前記決済用データを用いた決済が完了したことを示す決済完了情報と、前記ユーザ端末がコンテンツにアクセスするためのアクセス先情報であって、前記店舗の情報、前記ユーザに関するユーザ情報、又は、前記ユーザが前記店舗において購入した商品を識別する商品識別情報に基づいて特定されるアクセス先情報と、を前記情報処理装置から取得し、前記アクセス先情報を取得した後、前記ユーザによる操作を受け付けることなく、取得した前記アクセス先情報に基づいてコンテンツ提供装置から、前記店舗の情報、前記ユーザに関するユーザ情報、又は、前記ユーザが前記店舗において購入した商品を識別する商品識別情報に対応するコンテンツを取得する取得部、及び、
取得した前記決済完了情報に基づく表示用情報と前記コンテンツとを表示部に表示させる表示制御部、
として機能させるプログラム。」
第3 拒絶の理由
令和7年7月31日付けで当審において通知した拒絶理由のうちの理由1は、次のとおりのものである。
この出願の請求項1~12に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった以下の引用文献1に記載された発明及び引用文献2,3に記載された周知技術に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
1.特開2021-56624号公報
2.特開2016-31667号公報(周知技術を示す文献)
3.特許第6905120号公報(周知技術を示す文献)
第4 引用文献の記載事項及び引用発明
1 引用文献1(特開2021-56624号公報)
(1)本願の出願日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった、特開2021-56624号公報(令和3年4月8日公開。以下「引用文献1」という。)には、次の記載がある。
「【0023】
図1及び図2は、本発明の実施形態に係る電子マネーシステムがコード決済サービスを提供する場合の基本概念を示している。一般ユーザは、リアル店舗での商品やサービスの購入に際して、本コード決済サービスを利用するユーザであり、コード決済サービスに使用する一般ユーザ端末として例えばスマートフォン、タブレット端末などの携帯可能な端末を所有している。一般ユーザが使用する一般ユーザ端末には、本コード決済サービスに対応した一般ユーザ用アプリケーションプログラム(以下、単に一般ユーザ用アプリという)が実装(インストール)される。」
「【0026】
図1に示すように、一般ユーザが加盟店ユーザのリアル店舗で商品又はサービスを購入し、その代金を本コード決済サービスを利用して支払う場合、一般ユーザは、一般ユーザ端末で一般ユーザ用アプリを起動してコード支払画面を表示し、加盟店ユーザの店員に提示する。加盟店ユーザの店員は、加盟店ユーザ端末に一般ユーザが支払う金額(例えば、スパゲティ代金900円)を入力した後、加盟店ユーザ端末で一般ユーザ端末に表示されたコード情報(一般ユーザ識別子を特定するためのバーコード、QRコードなど)を読み取る。加盟店ユーザ端末は、コード情報を読み取ると、コード情報、支払金額、加盟店ユーザ識別子などが含まれるコード決済依頼情報をサーバに送信する。なお、コード決済依頼情報は、一般ユーザ端末からサーバに送信してもよい。この場合は、一般ユーザ端末で加盟店ユーザのコード情報を読み取り、支払金額を入力してサーバに送信する。
【0027】
サーバは、コード決済依頼情報を受信すると、コード決済依頼情報に基づいて、コード決済を行う一般ユーザ識別子及び加盟店ユーザ識別子と、支払金額とを特定し、一般ユーザ識別子に対応付けられた電子マネーウォレットに格納される電子マネーのバリューを支払金額分(例えば、900円)だけ減らす減算処理と、加盟店ユーザ識別子に対応付けられた電子マネーウォレットに格納される電子マネーのバリューを支払金額分(例えば、900円)だけ増やす加算処理とを含むコード決済処理を実行する。」
「【0029】
サーバは、コード決済処理及び特典付与処理が完了したら、加盟店ユーザ端末及び一般ユーザ端末にコード決済完了通知を送信する。加盟店ユーザ端末に送信されるコード決済完了通知には、少なくともコード決済した支払金額情報が含まれている。加盟店ユーザ端末は、コード決済完了通知を受信すると、コード決済が完了した旨のメッセージと、支払金額(例えば、900円)とが含まれるコード決済完了画面を表示させる。
【0030】
一方、一般ユーザ端末に送信されるコード決済完了通知には、少なくとも、支払金額情報、仮想支払金額情報、お釣り金額情報及び特典情報が含まれている。一般ユーザ端末は、コード決済完了通知を受信すると、コード決済が完了した旨のメッセージと、支払金額(例えば、900円)と、仮想支払金額(例えば、1000円)と、お釣り金額(例えば、100円)と、お釣り金額に対応付けられた特典(例えば、クーポン)とが含まれるコード決済完了画面を表示させる。
【0031】
特典付きバリューは、一般ユーザ識別子に対応付けられた電子マネーウォレット内において、概念的に他のバリューと区別して管理される。特典は、特典付きバリューが、商品又はサービスの新たな提供を受ける際に消費されることと引き換えに提供される。例えば、特典付きバリューをお釣りとして受け取った加盟店ユーザのリアル店舗で再び商品又はサービスを購入する際に、購入代金の一部として特典付きバリューを支払うと、当該加盟店ユーザ(提供主体の一例)から特典が提供される。なお、本実施形態では、特典付きバリューを発行した加盟店ユーザと、特典付きバリューの消費に応じて特典を提供する加盟店ユーザが同じである場合について説明するが、特典付きバリューを発行した加盟店ユーザと、特典付きバリューの消費に応じて特典を提供する加盟店ユーザは、所定の関連性(例えば、共通ポイントサービス加盟店など)を有していれば、同じでなくともよい。」
「【0041】
バリュー種別には、特典が対応付けられていない通常バリューと、特典が対応付けられている特典付きバリューとが含まれており、特典付きバリューには、それぞれ固有の識別子(図4では、A、B、C…)が付与される。バリュー金額は、各種バリューの貨幣価値であり、通常バリューのバリュー金額は、通常の支払いに使用可能な電子マネー金額である。また、特典付きバリューのバリュー金額は、決済時にお釣りとして受け取り、特典が付与された電子マネー金額である。特典利用時金額は、所定条件を満たすリアル店舗で特典付きバリューを使用した場合の電子マネー金額であり、特典付きバリューの本来の電子マネー金額に特典による割引金額を加えた電子マネー金額である。特典付与店舗は、特典付与時に決済を行った店舗情報であり、特典提供可能店舗は、特典を受けられる店舗情報であり、特典付与日は、特典が付与された日であり、特典有効期限は、特典を使用可能な期限である。」
「【0051】
上記の本システムの機能構成は、あくまで一例であり、一つの機能ブロック(データベース及び機能処理部)を分割したり、複数の機能ブロックをまとめて一つの機能ブロックとして構成したりしてもよい。各機能処理部は、装置に内蔵されたCPU(Central Processing Unit)が、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、SSD(Solid State Drive)、ハードディスク等の記憶装置に格納されたコンピュータ・プログラムを読み出し、CPUにより実行されたコンピュータ・プログラムによって実現される。すなわち、各機能処理部は、このコンピュータ・プログラムが、記憶装置に格納されたデータベース(DB;Data Base)やメモリ上の記憶領域からテーブル等の必要なデータを読み書きし、場合によっては、関連するハードウェア(例えば、入出力装置、表示装置、通信インターフェース装置)を制御することによって実現される。また、本発明の実施形態におけるデータベース(DB)は、商用データベースであってよいが、単なるテーブルやファイルの集合体をも意味し、データベースの内部構造自体は問わないものとする。」
「【0054】
また、新たな提供に係る商品又はサービスの提供主体は、特典を付与した提供主体と同じ又は関連するので、同一店舗又は関連店舗での特典利用率を高めることができる。」
「【0063】
(変形例)
上記の実施形態において、特典付与手段106は、所定識別子に対応付けられた電子マネーのバリューのうちの一部若しくは全部である所定バリューに所定の特典を対応付けることにより、電子マネーシステム上に「特典付きのお釣り」という新たな概念を導入しているが、所定識別子に対応付けられた電子マネーのバリューを所定バリューだけ増加させ、かつ該所定バリューに所定の特典を対応付けるようにしてもよい。このようにすると、電子マネーシステム上に「特典付きのおまけ」という新たな概念を導入できる。
【0064】
また、決済処理に伴い、所定識別子に対応付けられた電子マネーに対して、所定の広告を付与する広告付与部を備えていてもよい。この広告付与部は、所定識別子に対応付けられた電子マネーのバリューのうちの一部若しくは全部である所定バリューに所定の広告を対応付け、又は、所定識別子に対応付けられた電子マネーのバリューを所定バリューだけ増加させ、かつ該所定バリューに所定の広告を対応付ける。このような広告付与部によれば、電子マネーシステム上に「広告付きのお釣り」や「広告付きのおまけ」という新たな概念を導入できる。なお、所定の広告は、一般ユーザ端末200で広告出力部により出力されてもよい。この場合、所定の広告は、例えば、表示可能なテキストデータ、静止画データ又は動画データであり、表示するタイミングは任意に設定できる。」
「【図1】
[図:0001432729000001.jpg]
」
(2)前記記載から、引用文献1には、次の技術的事項が記載されているものと認められる。
ア 引用文献1には、「一般ユーザ」が「所有」する「一般ユーザ端末」(【0023】)が記載されている。
イ 引用文献1には、「加盟店ユーザ端末は、」「一般ユーザ端末」から「コード情報を読み取ると、コード情報、支払金額、加盟店ユーザ識別子などが含まれるコード決済依頼情報をサーバに送信する」(【0026】)こと、「サーバは、コード決済依頼情報を受信すると、」「コード決済処理を実行」(【0027】)し「一般ユーザ端末にコード決済完了通知を送信する」(【0029】)こと、「一般ユーザ端末に送信されるコード決済完了通知には、少なくとも、支払金額情報」、「及び特典情報が含まれている」こと(【0030】)が記載されている。
以上の記載を踏まえると、引用文献1には、一般ユーザ端末からコード情報を読み取った加盟店ユーザ端末が送信した、コード情報、支払金額、加盟店ユーザ識別子などが含まれるコード決済依頼情報を、サーバが加盟店ユーザ端末から受信すると、一般ユーザ端末は、支払金額情報及び特典情報を含むコード決済完了通知をサーバから受信する手段が記載されている。
ウ 引用文献1には、「コード決済完了通知を受信すると、コード決済が完了した旨のメッセージと、支払金額」と、「特典(例えば、クーポン)とが含まれるコード決済完了画面を表示させる」(【0030】)手段が記載されている。
エ 引用文献1には、「各機能処理部は、」「コンピュータ・プログラムによって実現される」(【0051】)ことが記載されている。
当該記載を踏まえると、引用文献1には、上記アの一般ユーザ端末を、上記イ、ウの手段として機能させるプログラムが記載されていると認められる。
オ 引用文献1には、上記ア~エの実施形態は「電子マネーシステム上に「特典付きのお釣り」という新たな概念を導入」(【0063】)するものであるが、変形例として「電子マネーシステム上に「広告付きのお釣り」」「という新たな概念を導入」し、「一般ユーザ端末200で」、「所定の広告」を出力してもよいこと、「所定の広告は、例えば、表示可能なテキストデータ、静止画データ又は動画データであ」ること(【0064】)が記載されている。
以上の記載を踏まえると、引用文献1には、特典に替えて、例えば、表示可能なテキストデータ、静止画データ又は動画データである所定の広告を出力させてもよいことが記載されていると認められる。
(3)引用発明
前記(2)から、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
(引用発明)
一般ユーザが所有する一般ユーザ端末を、(上記(2)ア)
一般ユーザ端末からコード情報を読み取った加盟店ユーザ端末が送信した、コード情報、支払金額、加盟店ユーザ識別子などが含まれるコード決済依頼情報を、サーバが加盟店ユーザ端末から受信すると、一般ユーザ端末は、支払金額情報及び特典情報を含むコード決済完了通知をサーバから受信する手段、及び、(上記(2)イ)
コード決済完了通知を受信すると、コード決済が完了した旨のメッセージと、支払金額と、特典(例えば、クーポン)とが含まれるコード決済完了画面を表示させる手段、(上記(2)ウ)
として機能させるプログラムであって、(上記(2)エ)
前記特典に替えて、例えば、表示可能なテキストデータ、静止画データ又は動画データである所定の広告を出力させてもよい(上記(2)オ)
プログラム
2 周知例(特開2016-31667号公報)
本願の出願前の周知例として引用する特開2016-31667号公報(以下「引用文献2」という。)には、次の記載がある。
「【0012】
図1(a)に示すように、ウェブページW10は、記事等の各種情報が表示されるポータルサイト用のコンテンツである。本実施形態で一例として示すウェブページW10は、表示領域WR11、WR13と、広告が表示される広告表示領域WR12とを含む。ここで、広告表示領域WR12は、図1(a)に示すウェブページW10において点線で囲まれた領域である。このような広告表示領域WR12は広告枠と呼ばれることがある。なお、図1(a)以外の図では、ウェブページW10において後述する広告コンテンツC10の広告枠表示領域CR11が表示される領域が、ウェブページW10の広告表示領域に対応する。」
「【0067】
図7に示すように、端末装置10は、ユーザ操作に従って、ウェブページの取得要求を配信装置100に送信する(ステップS101)。そして、配信装置100は、ウェブページの取得要求に応じて、制御情報を含むウェブページを端末装置10に配信する(ステップS102)。なお、配信装置100によって配信されるウェブページには、広告装置30のURL等である広告取得命令が含まれる。
【0068】
続いて、端末装置10は、ウェブページに含まれる広告取得命令に基づいて、広告コンテンツの取得要求を広告装置30に送信する(ステップS103)。そして、広告装置30は、広告コンテンツの取得要求に応じて、広告コンテンツを端末装置10に配信する(ステップS104)。そして、端末装置10は、ステップS102において受信したウェブページに含まれる制御情報に従って、ウェブページとステップS104において受信した広告コンテンツとを表示する表示処理を行う(ステップS105)。」
「【図1】
[図:0001432729000002.jpg]
」
「【図7】
[図:0001432729000003.jpg]
」
第5 引用発明との対比
1 本願発明と引用発明との対比
本願発明と引用発明とを対比する。
(1)「ユーザが所持するユーザ端末」について
引用発明の「一般ユーザ」、「所有」、「一般ユーザ端末」は、それぞれ、本願発明の「ユーザ」、「所持」、「ユーザ端末」に相当する。
以上を踏まえると、引用発明の「一般ユーザが所有する一般ユーザ端末」は、本願発明の「ユーザが所持するユーザ端末」に相当する。
(2)「取得部」について
ア 引用発明の「コード情報」、「読み取った」、「加盟店ユーザ端末」は、それぞれ、本願発明の「決済用データ」、「取得した」、「店舗の端末」に相当する。そうすると、引用発明の「一般ユーザ端末からコード情報を読み取った加盟店ユーザ端末が送信」することは、本願発明の「前記ユーザ端末から決済用データを取得した店舗の端末が送信」することに相当する。
また、引用発明の「支払金額」は、本願発明の「前記ユーザの前記店舗における決済情報」に相当する。そうすると、引用発明の「一般ユーザ端末からコード情報を読み取った加盟店ユーザ端末が送信した、コード情報、支払金額、加盟店ユーザ識別子などが含まれるコード決済依頼情報」は、本願発明の「前記ユーザ端末から決済用データを取得した店舗の端末が送信した、前記決済用データと前記ユーザの前記店舗における決済情報とを含む決済要求」(以下単に「決済要求」という。)に相当する。
引用発明の「サーバ」は、本願発明の「情報処理装置」に相当する。
引用発明の「支払金額情報」は、「コード決済完了通知」に含まれるものであり、決済用データを用いた決済が完了したことを示す情報であるから、本願発明の「前記決済用データを用いた決済が完了したことを示す決済完了情報」(以下単に「決済完了情報」という。)に相当する。
引用発明において、「コード決済依頼情報を、サーバが加盟店ユーザ端末から受信すると、一般ユーザ端末は、支払金額情報」「を受信する」ことは、情報処理装置から決済完了情報を受信して取得するにあたって、情報処理装置における店舗の端末からの決済要求の受信が条件とされていることを示しており、本願発明の「決済要求を、前記情報処理装置が前記店舗の端末から受信したことを条件として、」決済完了情報を「前記情報処理装置から取得」することに相当する。
イ 引用発明は、「前記特典に替えて、例えば、表示可能なテキストデータ、静止画データ又は動画データである所定の広告を出力させてもよい」ものであり、表示されるコード決済完了画面に含まれる「特典(例えばクーポン)」に替えて「所定の広告」を表示する態様を含むところ、引用発明の「所定の広告」は、「例えば、表示可能なテキストデータ、静止画データ又は動画データ」でありコンテンツといえるから、本願発明の「コンテンツ」に相当する。そして、引用発明は、情報処理装置における店舗の端末からの決済要求の受信を条件として、表示されるコンテンツを取得するものといえるから、「コンテンツを取得する」点で、本願発明と共通する。
もっとも、本願発明では、情報処理装置における店舗の端末からの決済要求の受信を条件として、「ユーザ端末がコンテンツにアクセスするためのアクセス先情報」を「前記情報処理装置から取得し」て「前記アクセス先情報を取得した後、前記ユーザによる操作を受け付けることなく、取得した前記アクセス先情報に基づいてコンテンツ提供装置から」コンテンツを取得するのに対し、引用発明では、コンテンツをいかにして取得するかが明らかでなく、この点は、相違点となる。
更に、本願発明では、「ユーザ端末がコンテンツにアクセスするためのアクセス先情報」が「前記店舗の情報、前記ユーザに関するユーザ情報、又は、前記ユーザが前記店舗において購入した商品を識別する商品識別情報に基づいて特定されるアクセス先情報」であり、「コンテンツ」が「前記店舗の情報、前記ユーザに関するユーザ情報、又は、前記ユーザが前記店舗において購入した商品を識別する商品識別情報に対応する」ものであるところ、引用発明においては、これらが明らかでない点も相違点となる。
ウ 以上を踏まえると、引用発明と本願発明は、下記相違点を除き、前記ユーザ端末から決済用データを取得した店舗の端末が送信した、前記決済用データと前記ユーザの前記店舗における決済情報とを含む決済要求を、情報処理装置が前記店舗の端末から受信したことを条件として、前記決済用データを用いた決済が完了したことを示す決済完了情報を前記情報処理装置から取得し、コンテンツを取得する取得部において共通する。
(3)「表示制御部」について
引用発明の「コード決済が完了した旨のメッセージと、支払金額」は、受信したコード決済完了通知に基づくものであるから、本願発明の「取得した前記決済完了情報に基づく表示用情報」に相当する。
そして、引用発明は、上記(2)イに示した態様におけるコード決済完了画面に、取得した前記決済完了情報に基づく表示用情報とコンテンツを表示するものであり、本願発明の「取得した前記決済完了情報に基づく表示用情報と前記コンテンツとを表示部に表示させる表示制御部」に相当する構成を有するといえる。
2 一致点及び相違点
以上のことから、本願発明と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。
<一致点>
ユーザが所持するユーザ端末を、
前記ユーザ端末から決済用データを取得した店舗の端末が送信した、前記決済用データと前記ユーザの前記店舗における決済情報とを含む決済要求を、情報処理装置が前記店舗の端末から受信したことを条件として、前記決済用データを用いた決済が完了したことを示す決済完了情報を前記情報処理装置から取得し、コンテンツを取得する取得部、及び、
取得した前記決済完了情報に基づく表示用情報と前記コンテンツとを表示部に表示させる表示制御部、
として機能させるプログラム。
<相違点1>
「取得部」に関し、本願発明は、情報処理装置における店舗の端末からの決済要求の受信を条件として、「前記ユーザ端末がコンテンツにアクセスするためのアクセス先情報」を「前記情報処理装置から取得し、前記アクセス先情報を取得した後、前記ユーザによる操作を受け付けることなく、取得した前記アクセス先情報に基づいてコンテンツ提供装置から」コンテンツを取得するのに対し、引用発明は、情報処理装置における店舗の端末からの決済要求の受信を条件としてコンテンツを取得するものの、当該取得がいかにして行われるのか明らかでない点。
<相違点2>
「取得部」に関し、本願発明は、「ユーザ端末がコンテンツにアクセスするためのアクセス先情報」が「前記店舗の情報、前記ユーザに関するユーザ情報、又は、前記ユーザが前記店舗において購入した商品を識別する商品識別情報に基づいて特定されるアクセス先情報」であり、「コンテンツ」が「前記店舗の情報、前記ユーザに関するユーザ情報、又は、前記ユーザが前記店舗において購入した商品を識別する商品識別情報に対応する」ものであるのに対し、引用発明は、コンテンツである「所定の広告」が「前記店舗の情報、前記ユーザに関するユーザ情報、又は、前記ユーザが前記店舗において購入した商品を識別する商品識別情報に対応する」ものであるか否かが明らかでなく、ユーザ端末が「所定の広告」にアクセスするためのアクセス先情報がどのようなものかも明らかでない点。
第6 相違点に対する判断
1 相違点1について
上記第4の2に例示されるとおり、配信装置がウェブページを端末装置に配信する際に、ウェブページには広告装置のURL等である広告取得命令が含まれ、端末装置は、当該広告取得命令に基づいて広告コンテンツを広告装置から配信し、端末装置が当該広告コンテンツを表示する技術は、コンテンツ配信を伴う情報通信の分野において広く一般に採用される周知技術である。
引用発明では、表示するコンテンツの取得方法が明らかでないものの、当業者であれば情報通信分野の一般的なコンテンツの取得方法の採用を試みることは通常の創作能力の発揮にすぎないから、引用文献2に記載された周知技術を採用し当該相違点に係る構成とすることは、当業者にとって容易に想到し得たことである。
2 相違点2について
広告をユーザに提供するにあたって、広告のコンテンツをユーザが商品を購入した店舗、ユーザの属性又はユーザが店舗で購入した商品に対応するものとすることは、一般的な商慣習に従って適宜なすべき設計的事項であるし、また、そのような商慣習に従って提供される広告のコンテンツやそのアクセス先情報をこれらの対応が示される情報(店舗の情報、ユーザ情報又は商品識別情報)に基づいて特定されるものとすることも、設計的事項にすぎない。
また、引用文献1の【図1】の「同じお店で120円として使用できます。」との記載や、【0041】の「特典付与店舗は、特典付与時に決済を行った店舗情報であり、特典提供可能店舗は、特典を受けられる店舗情報であり、」との記載、【0031】の「例えば、特典付きバリューをお釣りとして受け取った加盟店ユーザのリアル店舗で再び商品又はサービスを購入する際に、購入代金の一部として特典付きバリューを支払うと、当該加盟店ユーザ(提供主体の一例)から特典が提供される。」との記載、【0054】の「また、新たな提供に係る商品又はサービスの提供主体は、特典を付与した提供主体と同じ又は関連するので、・・・」等の記載は、「特典」に係る記載であるものの、「前記特典に替えて」出力される「所定の広告」をユーザが商品を購入した店舗の店舗情報に対応するものとすることの示唆となっている。つまり、引用文献1には、決済を行った店舗の情報に対応する「所定の広告」であるコンテンツを提供し、そのような「所定の広告」のアクセス先情報を決済を行った店舗の情報に基づいて特定されるものとすることが示唆されており、本願発明における「又は」で接続された事項のうち「前記店舗の情報」に対応する技術的事項は、引用文献1において明示的に示唆されているといわざるを得ない。
以上に鑑みれば、引用発明の「コンテンツ」を「前記店舗の情報、前記ユーザに関するユーザ情報、又は、前記ユーザが前記店舗において購入した商品を識別する商品識別情報に対応する」ものとするとともに、「ユーザ端末がコンテンツにアクセスするためのアクセス先情報」を「前記店舗の情報、前記ユーザに関するユーザ情報、又は、前記ユーザが前記店舗において購入した商品を識別する商品識別情報に基づいて特定されるアクセス先情報」とすることは、当業者が適宜設計すべきことであり、または、引用文献1の示唆に従って、当業者が容易に想到し得たことである。
3 効果について
上記相違点1及び相違点2を総合的に勘案しても、本願発明の奏する作用効果は、本願発明の構成から当業者が予測できなかったものとはいえず、格別顕著なものともいえない。
第7 請求人の主張
請求人は、令和7年9月29日提出の意見書において、次のとおり主張する。
「しかしながら、引用文献1には、本願発明のように、ユーザ端末に、取得したアクセス先情報に基づいてコンテンツ提供装置から、店舗の情報、ユーザに関するユーザ情報、又は、ユーザが店舗において購入した商品を識別する商品識別情報に対応するコンテンツを取得させることについては開示されていません。
・・・(中略)・・・
したがって、引用文献1-3には、上記相違点に係る本願発明の技術的思想については開示されていません。
そして、本願発明は、上記相違点に係る技術的思想を有することにより、店舗端末を介したコード決済処理の一連の過程で、ユーザにコンテンツの表示に関する手間を掛けさせることなく、決済の完了後に、店舗においてコード決済を用いて商品を購入したユーザに対して訴求力の高いコンテンツを提示することができるという有利な効果を奏します。
以上の検討によれば、引用文献1-3は、上記相違点に係る本願発明の構成が記載されておらず、本願発明は、当該構成を備えることにより、上述のような有利な効果を奏するので、引用文献1-3に基づいて本願発明の構成に想到することは困難であると思料します。」
当該主張について検討する。
請求人が主張する構成は、前記第6の2で検討したとおり、引用発明に基づき当業者が容易に想到し得るものであり、当該構成により得られる効果も、前記第6の3で検討したとおり、格別なものとはいえない。
よって、請求人の主張は採用できない。
第8 むすび
以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないものであり、本願は、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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