特許拒絶査定不服審判
2017-005855
遊技機
- 審判番号
- 2017-005855
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2015-102627外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2017年04月24日
- 審決日
- 2017年11月20日
- 公報発行日
- 2018年02月23日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】株式会社サンセイアールアンドディ
- 【請求人代理人】特許業務法人上野特許事務所
- 分類
- P18 .113-Z (A63F) / P18 .121-Z (A63F) / P18 .575-Z (A63F)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条1項3号特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第17条の2第6項、特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項第2号
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2015-102627号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成28年12月22日出願公開、特開2016-214534号〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、平成27年5月20日の出願であって、平成28年6月15日付けで拒絶の理由が通知され、同年8月2日に意見書及び手続補正書が提出されたが、平成29年1月20日付けで拒絶査定がなされ(発送日:平成29年1月31日)、それに対し、同年4月24日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正書が提出されたものである。
第2 平成29年4月24日付けの手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
平成29年4月24日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1.補正の内容
本件補正により、平成28年8月2日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1における
「【請求項1】
遊技媒体が進入したときに、遊技者の利益となる特典が付与されることが確定する特典領域と、
所定位置に到達した遊技媒体を、予め設定された振分パターンに沿って、複数の遊技媒体通路のいずれかに振り分ける振分装置と、
を備え、
前記複数の遊技媒体通路は、遊技媒体が振り分けられたとき前記特典領域に遊技媒体が進入しない可能性がある通路と、遊技媒体が振り分けられたとき前記特典領域に遊技媒体が進入することが確定する通路とを含むことを特徴とする遊技機。」
は、審判請求時に提出された平成29年4月24日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1における、
「【請求項1】
遊技状態として、通常遊技状態および当該通常遊技状態よりも当否抽選に当選する確率が高い確率変動状態が設定された遊技機であって、
大当たり遊技中に遊技媒体が進入したときに、当該大当たり遊技終了後の遊技状態が前記確率変動状態となることが確定する特典領域と、
所定位置に到達した遊技媒体を、予め設定された振分パターンに沿って、複数の遊技媒体通路のいずれかに振り分ける振分装置と、
を備え、
前記複数の遊技媒体通路は、遊技媒体が振り分けられたとき前記特典領域に遊技媒体が進入しない可能性がある通路と、遊技媒体が振り分けられたとき前記特典領域に遊技媒体が進入することが確定する通路とを含むことを特徴とする遊技機。」
に補正がなされた(下線は、補正箇所を明示するために当審にて付した。)。
上記補正は、補正前の特許請求の範囲の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「遊技機」について、それが、「遊技状態として、通常遊技状態および当該通常遊技状態よりも当否抽選に当選する確率が高い確率変動状態が設定された」遊技機であると限定し、また「特典領域」に関し「遊技媒体が進入したとき」を「大当たり遊技中に遊技媒体が進入したとき」にさらなる限定をするとともに「遊技者の利益となる特典が付与されること」を「当該大当たり遊技終了後の遊技状態が前記確率変動状態となること」と限定したものである。
さらに、本件補正前の特許請求の範囲の請求項1に記載された発明と本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるので、上記補正は特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そして、本件補正は新規事項を追加するものではない。
3.独立特許要件について
そこで、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に係る発明は、平成29年4月24日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるものと認められるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について、以下に検討する。
(1) 本願補正発明
本願補正発明は、上記1.の補正の内容において示した次のとおりのものである(A~Eは、当審にて分説して付与した。)。
(本願補正発明)
「【請求項1】
A 遊技状態として、通常遊技状態および当該通常遊技状態よりも当否抽選に当選する確率が高い確率変動状態が設定された遊技機であって、
B 大当たり遊技中に遊技媒体が進入したときに、当該大当たり遊技終了後の遊技状態が前記確率変動状態となることが確定する特典領域と、
C所定位置に到達した遊技媒体を、予め設定された振分パターンに沿って、複数の遊技媒体通路のいずれかに振り分ける振分装置と、
を備え、
D 前記複数の遊技媒体通路は、遊技媒体が振り分けられたとき前記特典領域に遊技媒体が進入しない可能性がある通路と、遊技媒体が振り分けられたとき前記特典領域に遊技媒体が進入することが確定する通路とを含むことを特徴とする
E 遊技機。」
(2)刊行物に記載された事項
これに対して、本願の出願前に頒布された刊行物である特開2015-6510号公報(以下、「刊行物1」という。)には、「遊技機」の発明に関し、図面と共に以下の事項が記載されている。(下線は当審で付した。)。
(ア)
「【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技球が流下可能な遊技領域に設けられ、始動口及び遊技球が入球不可能な閉鎖態様と入球可能な開放態様とに変化可能な大入賞口を備えた遊技機であって、
前記始動口に遊技球が入球したことにより、前記大入賞口の前記開放態様を伴う複数回のラウンド遊技が含まれる大当たり遊技を実行するか否かを判定する大当たり判定手段と、
前記大当たり判定手段により前記大当たり遊技を実行すると判定されると、前記大入賞口に入球した遊技球が所定の可動装置によって特定入賞口に振り分け可能な前記大当たり遊技を実行可能な大当たり遊技手段と、
前記大当たり判定手段により前記大当たり遊技を実行すると判定される確率が所定の確率に設定される低確率遊技状態または前記所定の確率よりも高確率に設定される高確率遊技状態で遊技を制御可能な遊技状態制御手段と、を備え、
前記遊技状態制御手段は、
前記大当たり遊技手段により前記大当たり遊技が実行されているときに、前記大入賞口に入球した遊技球が前記特定入賞口を通過すると、当該大当たり遊技が終了した後、前記高確率遊技状態にて遊技を進行する高確率遊技状態制御手段と、
前記大当たり遊技手段により前記大当たり遊技が実行されているときに、前記大入賞口に入球した遊技球が前記特定入賞口を通過しないと、当該大当たり遊技が終了した後、前記低確率遊技状態にて遊技を進行する低確率遊技状態制御手段と、を有し、
前記大当たり遊技手段は、
前記ラウンド遊技として、第1ラウンド遊技、又は、前記大入賞口に入球した遊技球が前記第1ラウンド遊技より前記可動装置によって前記特定入賞口に振り分けられ易い第2ラウンド遊技を実行可能であり、
前記大当たり遊技は、前記第2ラウンド遊技が所定回数実行される有利大当たり遊技と、前記大入賞口が開放態様となる時間が前記有利大当たり遊技と同一又は略同一であり、前記第1ラウンド遊技で構成される不利大当たり遊技とを有することを特徴とする遊技機。」
(イ)
「【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら具体的に説明する。まず、本実施形態の遊技機1の構成について、図1および図2を用いて説明する、図1は本発明の遊技機1の正面図であり、図2は遊技盤2の正面図である。」
(ウ)
「【0031】
大入賞口16は、通常は大入賞口開閉片16bによって閉状態に維持されており、遊技球の入球を不可能としている。これに対して、後述する大当たり遊技が開始されると、大入賞口開閉片16bが開放されるとともに、この大入賞口開閉片16bが遊技球を大入賞口16内に導く受け皿として機能し、遊技球が大入賞口16に入球可能となる。」
(エ)
「【0061】
(特定入賞口の構成)
次に、本実施形態の大入賞口16の内部構成について、図3を用いて説明する。図3は、図1におけるA部の内部構成を拡大して模式的に示す拡大構成図である。
【0062】
図3に例示されるように、大入賞口16に入球した遊技球は、第1可動装置18によりSPルート51(第1通路)か、抽選ルート52(第2通路)か、に振り分けられる。
【0063】
第1可動装置18は、矩形状の第1可動片18bを有している。第1可動片18bは、大入賞口開閉片16bの可動に併せて、可動制御される。具体的には、鉛直方向か水平方向になる。第1可動片18bは鉛直方向になるとき遊技球をSPルート51に案内し、水平方向になるとき抽選ルート52に案内する。
【0064】
SPルート51の先端には特定入賞口17Aが設けられている。第1可動装置18によりSPルート51に案内された遊技球は、特定入賞口17Aに入賞する。特定入賞口17Aには遊技球が通過可能な特定入賞口検出スイッチ17aが設けられている。特定入賞口検出スイッチ17aが遊技球を検出すると(特定入賞口17Aに遊技球が入賞)すると、後述する高確率遊技状態が発生する。
【0065】
一方、第1可動装置18により抽選ルート52に案内された遊技球は、第2可動装置19か、排出ルート53か、に案内される。排出ルート53の先端には非特定入賞口17Bが設けられている。
【0066】
第2可動装置19は、略円盤状の第2可動片19bを有している。第2可動片19bは、大入賞口開閉片16bの可動に併せて一定の速度で回転(反時計回り)する。第2可動片19bには、外側先端が開放している第1切り欠き54a、第2切り欠き54b、第3切り欠き54cおよび第4切り欠き54dが形成されている。また、第2切り欠き54b、第3切り欠き54cおよび第4切り欠き54dには、第2孔55b、第3孔55cおよび第4孔55dが形成されている。
【0067】
第1切り欠き54a、第2切り欠き54b、第3切り欠き54cおよび第4切り欠き54dは第1の位置(6時の位置)に配されると、その外側先端でSPルート51に連通する。また、第2切り欠き54b、第3切り欠き54cおよび第4切り欠き54dは、第2可動片19bの回転に対して第1の位置より手前の第2の位置(9時の位置)に配されると、第2孔55b、第3孔55cおよび第4孔55dで排出ルート53に連通する。
【0068】
よって、第2可動装置19に案内された遊技球は、まず、第1切り欠き54a~第4切り欠き54dのいずれかに誘導され、最終的には、SPルート51を経由して特定入賞口17Aに入球するか、非特定入賞口17Bに入球する。すなわち、第2可動装置19に案内された遊技球は、1/4の確率でSPルート51に案内され、3/4の確率で排出ルート53に案内される。」
(オ)
「【0134】
(作動態様決定テーブル)
図9(e)は、第1可動装置18の作動態様を決定するための作動態様決定テーブルである。該作動態様決定テーブルによれば、第1可動装置18は、大当たり遊技における1~2回目の各ラウンド中に1回作動する。
【0135】
第1可動装置18の第1可動片18bは、通常(非作動時)は、SPルート51を閉鎖すると共に、抽選ルート52を開放する、すなわち、大入賞口16に入球した遊技球をSPルート51から遮断すると共に、抽選ルート52に誘導するよう水平に保持されている。第1可動装置18が作動すると、第1可動片18bが回転し(図3において正面視反時計回りに回転し)、垂直に保持され、SPルート51が開放されて、抽選ルート52が閉鎖される。このように、第1可動装置18の作動時間、すなわち、SPルート51の開放時間が15.75秒に設定されている。
・・・
【0137】
図9(f)は、第2可動装置19の作動態様を決定するための作動態様決定テーブルである。該作動態様決定テーブルによれば、第2可動装置19は、大当たり遊技における1~2回目の各ラウンド中に1回作動する。第2可動片19bの作動時間は、毎回31.5000秒に設定される。すなわち、第2可動装置19は、各ラウンド遊技が開始されてから終了するまで作動(回転)し続ける。」
(カ)
「【0146】
(遊技状態の説明)
次に、遊技が進行する際の遊技状態について説明する。本実施形態においては、大当たり判定に関する状態として「低確率遊技状態」と「高確率遊技状態」とを有し、第2始動口15への入賞容易性に関する状態として「非時短遊技状態」と「時短遊技状態」とを有する。
【0147】
この大当たりの当選確率に関する状態(低確率遊技状態、高確率遊技状態)と第2始動口15への入賞容易性に関する状態(非時短遊技状態、時短遊技状態)とは、独立している。つまり、
(1)「低確率遊技状態」であって「時短遊技状態」である場合と、
(2)「低確率遊技状態」であって「非時短遊技状態」である場合と、
(3)「高確率遊技状態」であって「時短遊技状態」である場合と、
(4)「高確率遊技状態」であって「非時短遊技状態」である場合と、を設けることが可能になる。
【0148】
なお、遊技を開始したときの遊技状態、すなわち遊技機1の初期の遊技状態は、「低確率遊技状態」であって「非時短遊技状態」に設定されており、この遊技状態を本実施形態においては「通常遊技状態」と称することとする。【0149】
本実施形態において「低確率遊技状態」というのは、第1始動口14または第2始動口15に遊技球が入球したことを条件として行われる大当たりの抽選において、大当たりの当選確率が1/50に設定された遊技状態をいう。
【0150】
これに対して「高確率遊技状態」というのは、上記大当たりの当選確率が1/16に設定された遊技状態をいう。したがって、「高確率遊技状態」では、「低確率遊技状態」よりも、大当たりに当選しやすいこととなる。」
(キ)
「【0441】
(遊技状態の移行構成図)
次に、本実施形態の遊技について、図30を用いて説明する。図30は、遊技状態の移行構成図である。
【0442】
図30に例示されるように、遊技状態が低確率遊技状態且つ非時短遊技状態時に、大当たりに当選されると、この大当たり遊技において、特定入賞口17Aに遊技球が通過した場合は、大当たり遊技の終了後の遊技状態が高確率遊技状態且つ時短遊技状態に設定される。
【0443】
一方、この大当たり遊技において、特定入賞口17Aに遊技球が通過しなかった場合は、大当たり遊技の終了後の遊技状態が低確率遊技状態且つ非時短遊技状態に設定される。」
(ク)
「【0592】
図45に例示されるように、通常遊技状態(低確率遊技状態且つ非時短遊技状態)」では演出モードが演出モードA(通常演出モード)に設定される。この遊技状態で、大当たりに当選して大当たり遊技が実行され、当該大当たり遊技において特定入賞口17Aに遊技球が入賞できなかった場合、大当たり遊技の終了後に通常遊技状態が設定される。」
(ケ)
図面の図3には、大入賞口16の内部にSPルート51(第1通路)と、抽選ルート52(第2通路)を備えた態様をみることができる。
ここで、上記(ア)~(ケ)から、以下の事項が導かれる。
(コ)
上記(ア)に特許請求の範囲として示された
「前記大当たり判定手段により前記大当たり遊技を実行すると判定される確率が所定の確率に設定される低確率遊技状態または前記所定の確率よりも高確率に設定される高確率遊技状態で遊技を制御可能な遊技状態制御手段と、を備え、・・・ることを特徴とする遊技機。」
との記載に対応する明細書の記載をみてみると、上記(カ)の【0149】~【0150】には、
「本実施形態において「低確率遊技状態」というのは、第1始動口14または第2始動口15に遊技球が入球したことを条件として行われる大当たりの抽選において、大当たりの当選確率が1/50に設定された遊技状態をいう。
これに対して「高確率遊技状態」というのは、上記大当たりの当選確率が1/16に設定された遊技状態をいう。したがって、「高確率遊技状態」では、「低確率遊技状態」よりも、大当たりに当選しやすいこととなる。」
と記載されている。そうすると、上記(ア)における「大当たり遊技を実行すると判定される確率」とは、「第1始動口14または第2始動口15に遊技球が入球したことを条件として行われる大当たりの抽選において」の「大当たりの当選確率」であることは明らかである。
そうすると、上記(ア)、(カ)の記載から、
「第1始動口14または第2始動口15に遊技球が入球したことを条件として行われる大当たりの抽選において、大当たりの当選確率が所定の確率に設定される低確率遊技状態または上記大当たりの当選確率が前記所定の確率よりも高確率に設定される高確率遊技状態で遊技を制御可能な遊技状態制御手段と、を備えた遊技機である」
との事項が導かれる。
(サ)
上記(ク)の【0592】の、
「通常遊技状態(低確率遊技状態且つ非時短遊技状態)」
との記載から、
「通常遊技状態は、低確率遊技状態且つ非時短遊技状態である」
との事項が導かれる。
(シ)
上記(ア)に特許請求の範囲として示された
「前記大当たり遊技手段により前記大当たり遊技が実行されているときに、前記大入賞口に入球した遊技球が前記特定入賞口を通過すると、当該大当たり遊技が終了した後、前記高確率遊技状態にて遊技を進行する高確率遊技状態制御手段と、」
との記載から、「大当たり遊技が実行されているときに、大入賞口に入球した遊技球」が通過すると、「当該大当たり遊技が終了した後、前記高確率遊技状態にて遊技を進行する、」こととなるのは「特定入賞口」であるといえる。
そうすると、上記(ア)から、
「大当たり遊技が実行されているときに、大入賞口に入球した遊技球が通過すると、当該大当たり遊技が終了した後、前記高確率遊技状態にて遊技を進行する、特定入賞口を備え」
との事項が導かれる。
(ス)
上記(エ)の【0062】には、
「大入賞口16に入球した遊技球は、第1可動装置18によりSPルート51(第1通路)か、抽選ルート52(第2通路)か、に振り分けられる。」
と記載され、(オ)の【0134】には、
「第1可動装置18は、大当たり遊技における1~2回目の各ラウンド中に1回作動する。」
と記載され、さらに同【0135】には、
「このように、第1可動装置18の作動時間、すなわち、SPルート51の開放時間が15.75秒に設定されている。」
と記載されている。
そうすると、上記(エ)、(オ)から、
「大入賞口16に入球した遊技球は、第1可動装置18によりSPルート51(第1通路)か、抽選ルート52(第2通路)か、に振り分けられ、
大当たり遊技における1~2回目の各ラウンド中に1回作動し、SPルート51の開放時間が15.75秒に設定されている、第1可動装置18を備え、」
との事項が導かれる。
(セ)
上記(エ)の【0064】には、
「SPルート51の先端には特定入賞口17Aが設けられている。第1可動装置18によりSPルート51に案内された遊技球は、特定入賞口17Aに入賞する。」
と記載され、同【0065】には、
「一方、第1可動装置18により抽選ルート52に案内された遊技球は、第2可動装置19か、排出ルート53か、に案内される。」
と記載され、さらに同【0068】には、
「よって、第2可動装置19に案内された遊技球は、まず、第1切り欠き54a~第4切り欠き54dのいずれかに誘導され、最終的には、SPルート51を経由して特定入賞口17Aに入球するか、非特定入賞口17Bに入球する。すなわち、第2可動装置19に案内された遊技球は、1/4の確率でSPルート51に案内され、3/4の確率で排出ルート53に案内される。」
と記載されている。
さらに、上記(ケ)に示すように、図面の図3には、大入賞口16の内部にSPルート51(第1通路)と、抽選ルート52(第2通路)を備えた態様をみることができる。
そうすると、上記(エ)、(ケ)から、
「大入賞口16の内部にSPルート51(第1通路)と、抽選ルート52(第2通路)を備え、
SPルート51の先端には特定入賞口17Aが設けられ、第1可動装置18によりSPルート51に案内された遊技球は、特定入賞口17Aに入賞し、
一方、第1可動装置18により抽選ルート52に案内された遊技球は、第2可動装置19か、排出ルート53か、に案内され、第2可動装置19に案内された遊技球は、まず、第1切り欠き54a~第4切り欠き54dのいずれかに誘導され、最終的には、第2可動装置19に案内された遊技球は、1/4の確率でSPルート51に案内されSPルート51を経由して特定入賞口17Aに入球するか、3/4の確率で排出ルート53に案内される」
との事項が導かれる。
そして、上記記載事項(ア)~(ク)、図面に記載された事項(ケ)及び(ア)~(ケ)に基づく認定事項(コ)~(セ)を総合すると、刊行物1には、次の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されていると認められる(a~eは、本願補正発明のA~Eに対応させて当審にて付与した。)。
(引用発明1)
「a 通常遊技状態は、低確率遊技状態且つ非時短遊技状態であり、第1始動口14または第2始動口15に遊技球が入球したことを条件として行われる大当たりの抽選において、大当たりの当選確率が所定の確率に設定される低確率遊技状態または上記大当たりの当選確率が前記所定の確率よりも高確率に設定される高確率遊技状態で遊技を制御可能な遊技状態制御手段と、を備えた遊技機であって(上記事項の(コ)、(サ)を参照)、
b 大当たり遊技が実行されているときに、大入賞口に入球した遊技球が通過すると、当該大当たり遊技が終了した後、前記高確率遊技状態にて遊技を進行する、特定入賞口を備え(上記事項の(シ)を参照)、
c 大入賞口16に入球した遊技球は、第1可動装置18によりSPルート51(第1通路)か、抽選ルート52(第2通路)か、に振り分けられ、
大当たり遊技における1~2回目の各ラウンド中に1回作動し、SPルート51の開放時間が15.75秒に設定されている、第1可動装置18を備え(上記事項の(ス)を参照)、
d 大入賞口16の内部にSPルート51(第1通路)と、抽選ルート52(第2通路)を備え、
SPルート51の先端には特定入賞口17Aが設けられ、第1可動装置18によりSPルート51に案内された遊技球は、特定入賞口17Aに入賞し、
一方、第1可動装置18により抽選ルート52に案内された遊技球は、第2可動装置19か、排出ルート53か、に案内され、第2可動装置19に案内された遊技球は、まず、第1切り欠き54a~第4切り欠き54dのいずれかに誘導され、最終的には、第2可動装置19に案内された遊技球は、1/4の確率でSPルート51に案内されSPルート51を経由して特定入賞口17Aに入球するか、3/4の確率で排出ルート53に案内される(上記事項の(セ)を参照)、
e 遊技機(上記事項の(イ)を参照)。」
(3)対比及び判断
本願補正発明と引用発明1とを、分説に従い対比する(対比の見出しとしての(a)~(e)は、引用発明1の分説構成と対応させた。)。
(a)引用発明1における構成aの「遊技機」、「通常遊技状態」、「第1始動口14または第2始動口15に遊技球が入球したことを条件として行われる大当たりの抽選」、「大当たりの当選確率」は、それぞれ本願補正発明の構成Aの「遊技機」、「通常遊技状態」、「当否抽選」、「当選する確率」に相当する。
また、引用発明1における構成aの「通常遊技状態」及び「高確率遊技状態」は両者で本願補正発明の「遊技状態」に相当する。
また、引用発明1によれば、「通常遊技状態では低確率遊技状態」であり、その「低確率遊技状態」における「大当たりの当選確率」は「所定の確率」である。一方、引用発明1における「高確率遊技状態」とは、「大当たりの当選確率が前記所定の確率よりも高確率に設定される」ものである。そうすると、引用発明1における「大当たりの当選確率が前記所定の確率よりも高確率に設定される高確率遊技状態」は、本願補正発明の「通常遊技状態よりも当否抽選に当選する確率が高い確率変動状態」に相当するものといえる。
してみると、引用発明1における構成aは、本願補正発明における構成Aに相当する構成を備えているといえる。
(b)引用発明1における構成bの「大当たり遊技が実行されているとき」、「大入賞口に入球した遊技球が通過すると」、「当該大当たり遊技が終了した後」、「前記高確率遊技状態にて遊技を進行」、「特定入賞口」は、それぞれ本願補正発明の構成Bの「大当たり遊技中」、「遊技媒体が進入したとき」、「当該大当たり遊技終了後」、「前記確率変動状態となることが確定」、「特典領域」に相当する。
してみると、引用発明1における構成bは、本願補正発明における構成Bに相当する構成を備えているといえる。
(c)引用発明1における構成cの「遊技球」は本願補正発明の「遊技媒体」に相当し、引用発明1における構成cの「SPルート51(第1通路)」と「抽選ルート52(第2通路)」は、両者で本願補正発明の「複数の遊技媒体通路」に相当する。
そして引用発明1における構成cの「大入賞口16に入球した遊技球」、「SPルート51(第1通路)か、抽選ルート52(第2通路)か、に振り分けられ」、「第1可動装置18」は、それぞれ本願補正発明の「所定位置に到達した遊技媒体」、「複数の遊技媒体通路のいずれかに振り分ける」、「振分装置」に相当する。
ここで、本願補正発明の構成Cにおける「予め設定された振分パターン」との構成の定義について、本願の明細書をみてみる。すると、段落【0048】には、
「なお、本実施形態にかかる遊技機1は、共通路20に進入した遊技球を上位通路11と下位通路12に交互に振り分けるものであることを説明したが、これ以外の振分パターンに設定することを否定するわけではない。例えば、下位通路12、下位通路12、下位通路12、下位通路12、上位通路11、下位通路12・・・というように、一方の遊技球通路10に連続的に振り分けられることがある振分パターンとしてもよい。
・・・
また、振分パターンは、遊技者が勝手に変更できないもの、かつ振分対象となる遊技球通路10を毎回抽選等によって決めるものでないものであればよく、当該パターンに規則性が存在しないものであってもよい。本実施形態のように、上位通路11と下位通路12に交互に振り分けられるものとすれば、(交互に振り分けられないものに比して)、遊技者が振分パターンを予測しやすくなることによる遊技意欲の向上効果、連続して同じ遊技球通路10に振り分けられることによる遊技意欲の減衰を抑制効果に優れるものとなるということであって、「交互」以外の振分パターンを設定した遊技機としてもよい。また、所定のタイミング(例えば、電源ON時)に振分パターンが抽選によって決定される構成(振分パターン抽選手段を備えた構成)等、振分パターンを変化させることが可能なものとしてもよい(このように変化する可能性がある振分パターンも、本発明における「予め設定された振分パターン」に相当する。つまり、「予め設定された」とは、遊技中に変化するものでないという意であって、電源ON時等に変化する可能性があるものを除く意ではない)。」
と記載されている。そうすると、本願補正発明における「予め設定された振分パターン」とは、遊技中に変化するものでなく、かつ、遊技者が勝手に変更できないもの、かつ振分対象となる遊技球通路を毎回抽選等によって決めるものでないものであればよいと解するのが相当である。
そして、上記下線を付した理解に基づいて引用発明1の構成cの「大当たり遊技における1~2回目の各ラウンド中に1回作動し、SPルート51の開放時間が15.75秒に設定されている」との事項をみると、当該設定が遊技中に変化するものでなく、かつ、遊技者が勝手に変更できないもの、かつ振分対象となる遊技球通路を毎回抽選等によって決めるものでないものであることは明らかである。
してみれば、引用発明1の構成cの「大当たり遊技における1~2回目の各ラウンド中に1回作動し、SPルート51の開放時間が15.75秒に設定」は本願補正発明の構成Cの「予め設定された振分パターン」に相当する。
したがって、引用発明1における構成cは、本願補正発明における構成Cに相当する構成を備えているといえる。
(d)引用発明1における構成dの「遊技球」、「特定入賞口」がそれぞれ本願補正発明の「遊技媒体」、「特典領域」に相当することは上記(b)(c)にて説示のとおりであるから、引用発明1における構成dの「遊技球は、特定入賞口17Aに入賞」は、本願補正発明の「特典領域に遊技媒体が進入すること」に相当する。
そして、引用発明1における構成dの「SPルート51(第1通路)」は、「SPルート51の先端には特定入賞口17Aが設けられ、第1可動装置18によりSPルート51に案内された遊技球は、特定入賞口17Aに入賞」するのだから、当該「SPルート51(第1通路)」は本願補正発明の構成Dの「遊技媒体が振り分けられたとき前記特典領域に遊技媒体が進入することが確定する通路」に相当する。
また、引用発明1における構成dの「抽選ルート52(第2通路)」は、「第1可動装置18により抽選ルート52に案内された遊技球は、第2可動装置19か、排出ルート53か、に案内され、第2可動装置19に案内された遊技球は、まず、第1切り欠き54a~第4切り欠き54dのいずれかに誘導され、最終的には、第2可動装置19に案内された遊技球は、1/4の確率でSPルート51に案内されSPルート51を経由して特定入賞口17Aに入球するか、3/4の確率で排出ルート53に案内される」のだから、当該「抽選ルート52(第2通路)」は、特定入賞口17Aに入球しない可能性のある通路ということができる。
してみれば、引用発明1における構成dの「抽選ルート52(第2通路)」は、本願補正発明における「遊技媒体が振り分けられたとき前記特典領域に遊技媒体が進入しない可能性がある通路」に相当する。
したがって、引用発明1における構成dは、本願補正発明における構成Dに相当する構成を備えているといえる。
(e)上記(a)にて説示のとおり、引用発明1における構成dの「遊技機」は本願補正発明の構成Eの「遊技機」に相当する。
したがって、引用発明1における構成eは、本願補正発明における構成Eに相当する構成を備えているといえる。
してみると、本願補正発明と引用発明1では、発明特定事項に差異はなく、本願補正発明は、引用発明1と同一である。
仮に相違点があるとしても、本願補正発明は、当業者が引用発明1に基づいて容易に発明をすることができたものである。
(4) 請求人の主張及び本願補正発明が奏する効果について
審判請求人は、本願補正発明について、審判請求書の【請求の理由】の「(4)本願発明が特許されるべき理由」にて、今般の補正により、本願発明は、特典領域への遊技球の進入により、遊技者に対し、確率変動状態が付与されるものであることが明確となり、かかる点において、本願発明と引用文献1に記載される発明は相違するとの旨の主張をしている。
しかしながら、引用発明1もまた、特典領域への遊技球の進入により、遊技者に対し、確率変動状態が付与されるものであることは上記説示のとおりであり、請求人の主張は採用することができない。
そして、本願補正発明が奏する効果について検討しても、当業者が引用発明1から予測し得るものであって、格別のものということはできない。
したがって、請求人の主張は採用することができない。
(5)まとめ
以上のように、本願補正発明は、引用発明1と同一の発明であり特許法第29条第1項第3号に該当し、特許出願の際独立して特許を受けることができない。又は、本願補正発明は、当業者が引用発明1に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。
4. 補正の却下の決定についてのむすび
上記3.より、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
第3 本願発明について
1. 本願発明
本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成28年8月2日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものである(A~Dは本願発明を分説するため当審で付した。)。
(本願発明)
「【請求項1】
A 遊技媒体が進入したときに、遊技者の利益となる特典が付与されることが確定する特典領域と、
B所定位置に到達した遊技媒体を、予め設定された振分パターンに沿って、複数の遊技媒体通路のいずれかに振り分ける振分装置と、
を備え、
C 前記複数の遊技媒体通路は、遊技媒体が振り分けられたとき前記特典領域に遊技媒体が進入しない可能性がある通路と、遊技媒体が振り分けられたとき前記特典領域に遊技媒体が進入することが確定する通路とを含むことを特徴とする
D遊技機。」
2. 刊行物に記載された事項
これに対して、原査定の拒絶の理由に引用され、本願の出願前に頒布された刊行物である特開2014-90756号公報(以下、「刊行物2」という。)には、「遊技機」の発明に関し、図面と共に以下の事項が記載されている(下線は当審で付した。)。
(ア)
「【請求項1】
第1特別図柄の変動表示を行う第1特別図柄表示装置と、
第2特別図柄の変動表示を行う第2特別図柄表示装置と、
前記第1特別図柄の変動表示および前記第2特別図柄の変動表示を並行して実行可能とする制御を行う表示制御手段と、
前記第1特別図柄または前記第2特別図柄が変動表示を経て所定の当り態様で停止表示されると、閉鎖状態にある大入賞口を開放状態に変化させる特別遊技を行う特別遊技実行手段と、
入球した遊技球を第1ルートまたは第2ルートに交互に振り分ける振り分け部と、前記第1ルートに振り分けられた遊技球を検知可能で前記第1特別図柄の変動表示の開始契機となる第1始動部と、前記第2ルートに振り分けられた遊技球を検知可能で第2特別図柄の変動表示の開始契機となる第2始動部と、を含んで構成される始動入球装置と、
前記第2始動部による遊技球の検知状態を、前記第2ルートに振り分けられた遊技球を検知不能な第1状態と、前記第2ルートに振り分けられた遊技球を検知可能な第2状態と、の何れかに切り換える検知状態切換手段と、
前記第1特別図柄または前記第2特別図柄が前記変動表示を経て所定の当り態様で停止表示されると、閉鎖状態にある大入賞口を開放状態に変化させる特別遊技を行う特別遊技実行手段と、
を備えることを特徴とする遊技機。」
(イ)
「【0026】
以下、発明を実施するための形態を示す実施例について図面に基づいて説明する。以下に示す各実施例では、本発明を「セブン機」と称する遊技機(パチンコ機)1に適用した各具体例について説明する。
【実施例1】」
(ウ)
「【0050】
図5に示すように、流下通路73は、遊技領域11(右領域11R)を流下する遊技球が入球可能な入球口73aを上端に開口させている。また、流下通路73は入球口73aから垂下する導入通路73bと、導入通路73bの下端部から左方向に分岐する第1分岐通路73cと、導入通路73bの下端部から右方向に分岐する第2分岐通路73dと、第2分岐通路73dおよび第1分岐通路73cを連絡する連絡通路73eとを備える。なお、本実施例では、導入通路73bの上端側において、その通路幅を上方(入球口73a)に向かって徐々に拡大させているが、導入通路73bの上端側においてその通路幅を一定としてもよい。また、入球口73aの上方に遊技球が左右に転動する転動部(ステージ部)を設け、転動部(ステージ部)に設けられた排出口の直下に入球口73aを位置させることによって、転動部(ステージ部)に到達した遊技球が、第2始動入賞装置17bに入賞する確率を高めてもよい。更に、導入通路73bに遊技球を1球ずつ送り出す球送り装置を設け、後述する振分部材75に向かって、確実に1球ずつの遊技球が到達するようにしてもよい。
・・・
【0052】
ここで、導入通路73bによって「導入ルートL」が構成され、第1分岐通路73cによって「第1ルートL1」の前半側部分(遊技盤10の前面部10a側に位置する部分)が構成され、第2分岐通路73dによって「第2ルートL2」の前半側部分(遊技盤10の前面部10a側に位置する部分)が構成される。また、連絡通路73eによって、第2ルートL2に進入した遊技球を、第1ルートL1に到達させるための「第3ルートL3」が構成される。
【0053】
図5に示すように、第1ルートL1は、遊技盤10に設けられた貫通孔10bを介して遊技盤10の裏側に到達している(図4を参照)。そして、第1ルートL1の終端側には、第1ルートL1に進入した遊技球を検知するための第1始動口入賞検知スイッチ17t(図12参照)が配設されている。また、第2ルートL2も、遊技盤10に設けられた貫通孔10cを介して遊技盤10の裏側に到達している(図4を参照)。そして、第2ルートL2の終端側には、第2ルートL2に進入した遊技球を検知するための第2始動口入賞検知スイッチ17u(図12参照)が配設されている。
【0054】
図5に示すように、通路部材71のうち、第1ルートL1と第2ルートL2とが合流する部分(以下、「合流部G」という。)の直下において、側壁部71bが切り欠かれ、通路部材71の内部を下方に開放する切り欠き部71gとされている。そして、背板部71aにおいて切り欠き部71gの後方に位置する部位の左端寄りおよび右端寄りからは規制突起H1、H2が突出している。なお、以下の説明において、切り欠き部71gの左端寄りに配置される規制突起H1を「第1規制突起H1」と称し、切り欠き部71gの右端寄りに配置される規制突起H2を「第2規制突起H2」と称することとする。
【0055】
図5に示すように、通路部材71および前板部材72の一体品において合流部Gを構成する部位には、振分部材75が揺動可能な状態に配置されている。ここで、振分部材75は、部材本体75aと、部材本体75aの軸心位置に装着されて部材本体75aと一体化された軸体部75bと、を備えている。そして、図6に示すように、軸体部75bにおいて部材本体75aの前方に突出する前端部が、前板部材72に装着された軸受部材75cによって回動可能な状態に支持されるとともに、軸体部75bにおいて部材本体75aの後方に突出する後端部が、背板部71aに装着された軸受部材75dによって回動可能な状態に支持されることで、振分部材75は揺動(回動)可能な状態とされている。
・・・
【0057】
普通電動役物76は、「検知状態切換手段」の具体例を構成するものであり、図10に示すように、第2ルートL2の経路途中の開閉を行うための開閉部材76aと、この開閉部材76aを作動させるための普通電動役物ソレノイド17c(図12参照)と、を備えている。このうち、開閉部材76aは「開閉部」の具体例を構成する部材であり、下端部が背板部71aに軸支され、揺動可能とされている。そして、普通電動役物ソレノイド17cに通電を行わないとき、図10(a)に示すように、開閉部材76aが第2ルートL2の経路途中を閉鎖する姿勢(閉状態の具体例を構成する。)を維持するため、第2ルートL2に振り分けられた遊技球は第2始動部(第2始動口入賞検知スイッチ17u)に到達することができなくなる。
・・・
【0059】
また、普通電動役物76が閉鎖状態(第1状態)となると、開閉部材76aは第2分岐通路73dに設けられた連絡口73fを開放する状態(開状態の具体例を構成する。)となるため、第2ルートL2に振り分けられた遊技球Y3は、連絡通路73e(第3ルートL3)を通じて、第1ルートL1内に進入可能となる。
【0060】
一方、普通電動役物ソレノイド17cに通電を行うと、図10(b)に示すように、開閉部材76aは反時計回りの方向(正面視)に回転し、第2ルートL2の経路途中を開放する姿勢となるため、第2ルートL2に振り分けられた遊技球は第2始動部(第2始動口入賞検知スイッチ17u)に到達することが可能となる。つまり、開閉部材76aが第2ルートL2の経路途中の閉鎖を解除すると(開状態になると)、第2ルートL2に振り分けられた遊技球が第2始動部(第2始動口入賞検知スイッチ17u)によって検知可能な状態(第2状態)となる。なお、以下の説明においては、開閉部材76aが第2ルートL2の経路途中を解除する状態にあるとき、「第2ルートL2が開放状態(開状態)にある」と称するとともに、「普通電動役物76が開放状態にある」と称する。」
(エ)
「【0063】
図8(a)に示すように、振分部材75の姿勢が「第1姿勢」であるとき、入球口73aを通じて第2始動入賞装置17b内に遊技球Y1が入球し、導入ルートLを通過すると、この遊技球Y1は第1空間K1に進入し、第1底板部75mの上面部に落下する。このとき、第1底板部75mに遊技球Y1の重量が加わるため、図8(b)に示すように、振分部材75は反時計回転方向(正面視)に回転し、その姿勢が第2姿勢となる。このとき、第1底板部75mは左下り傾斜となるため、第1底板部75m上の遊技球Y1は第1分岐通路73c(第1ルートL1)に進入する。そして、この第1分岐通路73c(第1ルートL1)に進入した遊技球Y1は、第1始動口入賞検知スイッチ17t(図12参照)によって検知される。
【0064】
図9(a)に示すように、振分部材75の姿勢が「第2姿勢」であるとき、入球口73aを通じて第2始動入賞装置17b内に遊技球Y2が入球し、導入ルートLを通過すると、この遊技球Y2は第2空間K2に進入し、第2底板部75nの上面部に落下する。このとき、第2底板部75nに遊技球Y2の重量が加わるため、図9(b)に示すように、振分部材75は時計回転方向(正面視)に回転し、その姿勢が第1姿勢となる。このとき、第2底板部75mは右下り傾斜となるため、第2底板部75n上の遊技球Y2は第2分岐通路73d(第2ルートL2)に進入する。」
(オ)
「【0105】
A.賞球払出処理(S80)
主制御基板200に搭載されたCPU201は、遊技球を賞球として払い出す処理(賞球払出処理)を行う(S80)。すなわち、始動口入賞検知スイッチ17s、17t、17uや大入賞口入賞検知スイッチ31sおよび一般入賞検知スイッチ40s、41sの状態を検出して遊技球が入球したか否かを判断する。そして、遊技球が入球していた場合は、この情報を、主制御基板200に搭載されているRAM202の所定領域に記憶する。そして、RAM202上に記憶されている情報に基づいて、賞球の払出信号を払出制御基板240に向かって出力する。また、RAM202上に、始動口入賞検知スイッチ17s、17t、17u等への入賞情報が既に記憶されていた場合には、先に記憶されていた情報を含めて適切な払出個数を指定して、払出信号を出力する。
【0106】
主制御部200Aから払出制御部240Aへ払出信号を出力するに際しては、先ず、払出制御部240A(払出制御基板240)に向かってストローブ信号を出力し、続いて信号データを出力する。これに対して、払出制御部240Aを構成する払出制御基板240に搭載されたCPUは、払出信号を受け取ると信号の内容を解釈し、遊技球払出装置(図示を省略)に搭載された払出モータ109mに駆動信号を出力して賞球の払い出しを行う。そして、遊技球払出装置には、払い出された遊技球を検出する2つの払出スイッチ(前側払出スイッチ109a、後側払出スイッチ109b)が設けられているので、これらスイッチで遊技球を1球ずつ検出しながら、払出信号で指定された個数の賞球を払い出す処理を行う。」
(カ)
「【0167】
次に、図32を用いて実施例1の他の変形例(以下、「変形例2」という。)を説明する。この変形例2では、第2始動入賞装置17bが、第3ルートL3を備えない点が実施例1と異なる。つまり、変形例2の第2始動入賞装置17bにおいては、第1分岐通路73cおよび第2分岐通路73dが連絡口73f、73gを備えないとともに、連絡通路73e(第3ルートL3)を備えない。また、第2分岐通路73dの中間部には排出口73yが開口するとともに、この排出口73yに連なる排出通路73zが設けられている。
【0168】
変形例2の普通電動役物76は、開放状態(第2状態)にあるとき、開閉部材76aによって排出口73yを閉鎖し、開放状態(第1状態)にあるとき、開閉部材76aによって排出口73yを開放する。つまり、普通電動役物ソレノイド17cへの通電を行わないとき、排出口73yを開放する状態となり、第2分岐通路73d内の遊技球が排出口73yを通過して排出通路73zに進入し、排出通路73zの出口731zを通じて遊技領域11に排出される。
【0169】
このように排出される遊技球は、遊技領域11を更に流下した後、アウト口18を通じて、遊技領域11外に排出される。但し、変形例2においては、出口731zを他の入賞装置(例えば、一般入賞装置40、41)の上方に配置する等して、出口731zを通じて遊技領域11に排出された遊技球が、他の入賞装置に入賞する機会を付与してもよい。そして、この変形例2によっても、実施例1と同様な効果を得ることができる。但し、実施例1に示すように、「普通電動役物76が閉鎖状態(第1状態)にあるときに、第2ルートに遊技球が振り分けられると、この遊技球を第3ルートL3によって第1始動部(第1始動口入賞検知スイッチ17t)に誘導する構成」を備える場合には、普通電動役物76が閉鎖状態(第1状態)であるときに第2ルートL1に遊技球が振り分けられても、遊技者の期待感(特別遊技実行に関する期待感)を維持することができるという、メリットを生じさせることができる。」
(キ)
図32から、開閉部材76aが第2ルートL2の経路途中に設けられ、振分部材75と開閉部材76aの間にも第2ルートL2を備えた態様をみることができる。
ここで、上記(ア)~(キ)から、以下の事項が導かれる。
(ク)
上記(ウ)の【0053】の
「・・・第1ルートL1の終端側には、第1ルートL1に進入した遊技球を検知するための第1始動口入賞検知スイッチ17t・・・が配設されている。・・・第2ルートL2の終端側には、第2ルートL2に進入した遊技球を検知するための第2始動口入賞検知スイッチ17u・・・が配設されている。」
との記載から、
「第1ルートL1に進入した遊技球を検知するための第1始動口入賞検知スイッチ17tが配設される、第1ルートL1の終端側と、
第2ルートL2に進入した遊技球を検知するための第2始動口入賞検知スイッチ17uが配設される、第2ルートL2の終端側を備え、」
との事項が導かれる。
(ケ)
上記(オ)の【0105】~【0106】の
「【0105】
・・・
主制御基板200に搭載されたCPU201は、・・・始動口入賞検知スイッチ17s、17t、17u・・・の状態を検出して遊技球が入球したか否かを判断する。そして、遊技球が入球していた場合は、この情報を、主制御基板200に搭載されているRAM202の所定領域に記憶する。そして、RAM202上に記憶されている情報に基づいて、賞球の払出信号を払出制御基板240に向かって出力する。・・・
【0106】
・・・払出制御基板240に搭載されたCPUは、・・・遊技球払出装置・・・に搭載された払出モータ109mに駆動信号を出力して賞球の払い出しを行う。・・・」
との記載から、
「主制御基板200に搭載されたCPU201は、始動口入賞検知スイッチ17t、17uの状態を検出して遊技球が入球したか否かを判断し、遊技球が入球していた場合はこの情報を、主制御基板200に搭載されているRAM202の所定領域に記憶し、RAM202上に記憶されている情報に基づいて、賞球の払出信号を払出制御基板240に向かって出力し、
払出制御基板240に搭載されたCPUは、遊技球払出装置に搭載された払出モータ109mに駆動信号を出力して賞球の払い出しを行い、」
との事項が導かれる。
(コ)
上記(ウ)の【0050】には、
「・・・流下通路73は、遊技領域11(右領域11R)を流下する遊技球が入球可能な入球口73aを上端に開口させている。また、流下通路73は入球口73aから垂下する導入通路73bと、導入通路73bの下端部から左方向に分岐する第1分岐通路73cと、導入通路73bの下端部から右方向に分岐する第2分岐通路73dと、第2分岐通路73dおよび第1分岐通路73cを連絡する連絡通路73eとを備える。」
と記載されている。一方、同【0052】には
「ここで、導入通路73bによって「導入ルートL」が構成され、第1分岐通路73cによって「第1ルートL1」の前半側部分(遊技盤10の前面部10a側に位置する部分)が構成され、第2分岐通路73dによって「第2ルートL2」の前半側部分(遊技盤10の前面部10a側に位置する部分)が構成される。また、連絡通路73eによって、第2ルートL2に進入した遊技球を、第1ルートL1に到達させるための「第3ルートL3」が構成される。」
と記載され、さらに上記(エ)の【0063】、【0064】には、「第1分岐通路73c(第1ルートL1)」、「第2分岐通路73d(第2ルートL2)」と、括弧書きを以て「第1分岐通路73c」と「第1ルートL1」、「第2分岐通路73d」と「第2ルートL2」が併記されていることからみて、上記(ウ)の【0050】における「導入通路73b」、「第1分岐通路73c」、「第2分岐通路73d」が、それぞれ「導入ルートL」、「第1ルートL1」、「第2ルートL2」といいかえられることは明らかである。
したがって、上記(ウ)、(エ)から、
「遊技球が入球可能な入球口73aを上端に開口させ、入球口73aから垂下する導入ルートLと、導入ルートLの下端部から左方向に分岐する第1ルートL1と、導入ルートLの下端部から右方向に分岐する第2ルートL2と、を備え、」
との事項が導かれる。
(サ)
上記(ア)の請求項1には、
「入球した遊技球を第1ルートまたは第2ルートに交互に振り分ける振り分け部」
と記載されている一方、上記(ウ)の【0054】、【0055】には、
「【0054】
・・・通路部材71のうち、第1ルートL1と第2ルートL2とが合流する部分(以下、「合流部G」という。)の直下において、・・・
【0055】
・・・通路部材71および前板部材72の一体品において合流部Gを構成する部位には、振分部材75が揺動可能な状態に配置されている。」
と記載されており、上記(ア)の請求項1の「第1ルート」、「第2ルート」、「振り分け部」がそれぞれ(ウ)の【0054】、【0055】の「第1ルートL1」、「第2ルートL2」、「振分部材75」と対応していることは明らかである。
そうすると上記(ア)、(ウ)から、
「入球した遊技球を第1ルートL1または第2ルートL2に交互に振り分ける振分部材75」
との事項を導くことができる。
(シ)
上記(エ)の【0063】~【0064】には
「【0063】
・・・振分部材75の姿勢が「第1姿勢」であるとき、・・・遊技球Y1が入球し、導入ルートLを通過すると、・・・。このとき、・・・振分部材75は反時計回転方向(正面視)に回転し、その姿勢が第2姿勢となる。このとき、・・・遊技球Y1は第1分岐通路73c(第1ルートL1)に進入する。・・・
【0064】
・・・振分部材75の姿勢が「第2姿勢」であるとき、・・・遊技球Y2が入球し、導入ルートLを通過すると、・・・。このとき、・・・振分部材75は時計回転方向(正面視)に回転し、その姿勢が第1姿勢となる。このとき、・・・遊技球Y2は第2分岐通路73d(第2ルートL2)に進入する。」
と記載されており、上記(エ)から、
「振分部材75の姿勢が「第1姿勢」であるとき、遊技球Y1が入球し、導入ルートLを通過すると、振分部材75は反時計回転方向(正面視)に回転し、その姿勢が第2姿勢となり、遊技球Y1は第1ルートL1に進入し、
振分部材75の姿勢が「第2姿勢」であるとき、遊技球Y2が入球し、導入ルートLを通過すると、振分部材75は時計回転方向(正面視)に回転し、その姿勢が第1姿勢となり、遊技球Y2は第2ルートL2に進入し、」
との事項が導かれる。
(ス)
上記(カ)には、実施例1の他の変形例(変形例2)として【0167】~【0168】に
「【0167】
次に、図32を用いて実施例1の他の変形例(以下、「変形例2」という。)を説明する。この変形例2では、第2始動入賞装置17bが、第3ルートL3を備えない点が実施例1と異なる。・・・。また、第2分岐通路73dの中間部には排出口73yが開口するとともに、この排出口73yに連なる排出通路73zが設けられている。
【0168】
変形例2の普通電動役物76は、開放状態(第2状態)にあるとき、開閉部材76aによって排出口73yを閉鎖し、開放状態(第1状態)にあるとき、開閉部材76aによって排出口73yを開放する。つまり、・・・となり、第2分岐通路73d内の遊技球が排出口73yを通過して排出通路73zに進入し、排出通路73zの出口731zを通じて遊技領域11に排出される。」
と記載されており、上記「・・・点が実施例1と異なる」との記載態様からみて、上記記載以外の箇所の構成が実施例1と同じであることは明らかである。
(当審注:上記【0168】中には「開放状態(第1状態)にあるとき」との記載があるが、同【0168】中に同じく「開放状態」について「開放状態(第2状態)」との記載があることや、上記(ウ)の【0059】に「普通電動役物76が閉鎖状態(第1状態)となると、」と記載があること、同【0060】に「開閉部材76aが第2ルートL2の経路途中の閉鎖を解除すると(開状態になると)、・・・(第2状態)となる。」と記載があることをふまえると、上記【0168】中の「開放状態(第1状態)にあるとき」との記載が、「閉鎖状態(第1状態)にあるとき」の誤記であることは明らかである。)
一方、実施例1として、上記(ウ)、(エ)には、
「【0057】
普通電動役物76は、・・・、第2ルートL2の経路途中の開閉を行うための開閉部材76aと、この開閉部材76aを作動させるための普通電動役物ソレノイド17c(図12参照)と、を備えている。」
「【0060】
・・・開閉部材76aが第2ルートL2の経路途中の閉鎖を解除すると(開状態になると)、第2ルートL2に振り分けられた遊技球が第2始動部(第2始動口入賞検知スイッチ17u)によって検知可能な状態(第2状態)となる。・・・」
「【0063】
・・・振分部材75の姿勢が「第1姿勢」であるとき、・・・遊技球Y1が入球し、導入ルートLを通過すると、・・・遊技球Y1は第1分岐通路73c(第1ルートL1)に進入する。そして、この第1分岐通路73c(第1ルートL1)に進入した遊技球Y1は、第1始動口入賞検知スイッチ17t(図12参照)によって検知される。」
と記載されている。さらに、上記(コ)にて説示のとおり「第1分岐通路73c」、「第2分岐通路73d」が、それぞれ「第1ルートL1」、「第2ルートL2」といいかえることができることは明らかであることから、これら(ウ)、(エ)、(カ)、(コ)を総合すると、
「第2ルートL2の中間部には排出口73yが開口するとともに、この排出口73yに連なる排出通路73zが設けられ、
第2ルートL2の経路途中の開閉を行うための開閉部材76aと、この開閉部材76aを作動させるための普通電動役物ソレノイド17cと、を備え、
開閉部材76aが第2ルートL2の経路途中の閉鎖を解除すると(開状態になると)、第2ルートL2に振り分けられた遊技球が第2始動口入賞検知スイッチ17uによって検知可能な状態(第2状態)となり、
開閉部材76aが第2ルートL2の経路途中を閉鎖する閉鎖状態(第1状態)にあるとき、開閉部材76aによって排出口73yを開放し、第2ルートL2内の遊技球が排出口73yを通過して排出通路73zに進入し、排出通路73zの出口731zを通じて遊技領域11に排出され、
振分部材75の姿勢が「第1姿勢」であるとき、遊技球Y1が入球し、導入ルートLを通過すると、第1ルートL1に進入し、この第1ルートL1に進入した遊技球Y1は、第1始動口入賞検知スイッチ17tによって検知される」
との事項が導かれる。
そして、上記記載事項(ア)~(カ)、図面に記載された事項(キ)及び(ア)~(キ)に基づく認定事項(ク)~(ス)を総合すると、刊行物2には、次の発明(以下、「引用発明2」という。)が記載されていると認められる(a~dは、本願補正発明のA~Dに対応させて当審にて付与した。)。
(引用発明2)
「a 第1ルートL1に進入した遊技球を検知するための第1始動口入賞検知スイッチ17tが配設される、第1ルートL1の終端側と、
第2ルートL2に進入した遊技球を検知するための第2始動口入賞検知スイッチ17uが配設される、第2ルートL2の終端側を備え(上記事項の(ク)参照)、
主制御基板200に搭載されたCPU201は、始動口入賞検知スイッチ17t、17uの状態を検出して遊技球が入球したか否かを判断し、遊技球が入球していた場合はこの情報を、主制御基板200に搭載されているRAM202の所定領域に記憶し、RAM202上に記憶されている情報に基づいて、賞球の払出信号を払出制御基板240に向かって出力し、
払出制御基板240に搭載されたCPUは、遊技球払出装置に搭載された払出モータ109mに駆動信号を出力して賞球の払い出しを行い(上記事項の(ケ)参照)、
b 遊技球が入球可能な入球口73aを上端に開口させ、入球口73aから垂下する導入ルートLと、導入ルートLの下端部から左方向に分岐する第1ルートL1と、導入ルートLの下端部から右方向に分岐する第2ルートL2と、を備え(上記(コ)参照)、
入球した遊技球を第1ルートL1または第2ルートL2に交互に振り分ける振分部材75を備え(上記(サ)参照)、
振分部材75の姿勢が「第1姿勢」であるとき、遊技球Y1が入球し、導入ルートLを通過すると、振分部材75は反時計回転方向(正面視)に回転し、その姿勢が第2姿勢となり、遊技球Y1は第1ルートL1に進入し、
振分部材75の姿勢が「第2姿勢」であるとき、遊技球Y2が入球し、導入ルートLを通過すると、振分部材75は時計回転方向(正面視)に回転し、その姿勢が第1姿勢となり、遊技球Y2は第2ルートL2に進入し(上記(シ)参照)、
c 遊技球が入球可能な入球口73aを上端に開口させ、入球口73aから垂下する導入ルートLと、導入ルートLの下端部から左方向に分岐する第1ルートL1と、導入ルートLの下端部から右方向に分岐する第2ルートL2と、を備え(上記(コ)参照)、
第2ルートL2の中間部には排出口73yが開口するとともに、この排出口73yに連なる排出通路73zが設けられ、
第2ルートL2の経路途中の開閉を行うための開閉部材76aと、この開閉部材76aを作動させるための普通電動役物ソレノイド17cと、を備え、(上記(ス)参照)
開閉部材76aが第2ルートL2の経路途中に設けられ、振分部材75と開閉部材76aの間にも第2ルートL2を備え(上記(キ)参照)、
開閉部材76aが第2ルートL2の経路途中の閉鎖を解除すると(開状態になると)、第2ルートL2に振り分けられた遊技球が第2始動口入賞検知スイッチ17uによって検知可能な状態(第2状態)となり、
開閉部材76aが第2ルートL2の経路途中を閉鎖する閉鎖状態(第1状態)にあるとき、開閉部材76aによって排出口73yを開放し、第2ルートL2内の遊技球が排出口73yを通過して排出通路73zに進入し、排出通路73zの出口731zを通じて遊技領域11に排出され、
振分部材75の姿勢が「第1姿勢」であるとき、遊技球Y1が入球し、導入ルートLを通過すると、第1ルートL1に進入し、この第1ルートL1に進入した遊技球Y1は、第1始動口入賞検知スイッチ17tによって検知される(上記(キ)、(ス)参照)、
d 遊技機(パチンコ機)1(上記(イ)の【0026】参照)」
3. 対比、判断
本願発明と引用発明2とを、分説に従い対比する(対比の見出しとしての(a)~(d)は、引用発明2の分説構成と対応させた。)。
(a)引用発明2における構成aの「遊技球が入球したか否かを判断し、遊技球が入球していた場合」、「賞球の払い出し」は、それぞれ本願発明の構成Aの「遊技媒体が進入したとき」「遊技者の利益となる特典が付与されること」に相当する。
また、引用発明2における構成aでは「始動口入賞検知スイッチ17t、17uの状態を検出して遊技球が入球したか否かを判断し、遊技球が入球していた場合」には、「賞球の払い出し」を行っているのだから、引用発明2において「遊技球が入球していた場合」(遊技媒体が進入したとき)に「賞球の払い出し」(遊技者の利益となる特典が付与されること)が確定していることは明らかである。
そして、引用発明2における構成aにおいて、「第1始動口入賞検知スイッチ17tが配設される、第1ルートL1の終端側」と、「同第2始動口入賞検知スイッチ17uが配設される、第2ルートL2の終端側」は、いずれも本願発明の構成Aの「特典領域」に相当する。
してみると、引用発明2における構成aは、本願補正発明における構成Aに相当する構成を備えているといえる。
(b)引用発明2における構成bの「導入ルートL」、「第1ルートL1」と「第2ルートL2」、「振分部材75」は、それぞれ本願発明の構成Bの「所定位置」、「複数の遊技媒体通路」、「振分装置」に相当し、引用発明2における構成bの「第1ルートL1または第2ルートL2」は本願発明の構成Bの「複数の遊技媒体通路のいずれか」に相当する。
そして引用発明2における構成bの「遊技球Y1が入球し、導入ルートLを通過する」ときの「遊技球Y1」と、「遊技球Y2が入球し、導入ルートLを通過する」ときの「遊技球Y2」は、それぞれ本願発明の「所定位置に到達した遊技媒体」に相当する。
さらに、引用発明2における構成bにおける振分部材75に関する、
「振分部材75の姿勢が「第1姿勢」であるとき、遊技球Y1が入球し、導入ルートLを通過すると、振分部材75は反時計回転方向(正面視)に回転し、その姿勢が第2姿勢となり、遊技球Y1は第1ルートL1に進入し、
振分部材75の姿勢が「第2姿勢」であるとき、遊技球Y2が入球し、導入ルートLを通過すると、振分部材75は時計回転方向(正面視)に回転し、その姿勢が第1姿勢となり、遊技球Y2は第2ルートL2に進入し」
との事項によれば、振分部材75は、結果として遊技球を、第1ルートL1と第2ルートL2に交互に振り分けているといえるから、引用発明2の構成bの「振分部材75」は本願発明の構成Bの「予め設定された振分パターンに沿って、複数の遊技媒体通路のいずれかに振り分ける振分装置」に相当するものということができる。
してみると、引用発明2における構成bは、本願補正発明における構成Bに相当する構成を備えているといえる。
(c)引用発明2における構成cの「第1始動口入賞検知スイッチ17tが配設される、第1ルートL1の終端側」と、「同第2始動口入賞検知スイッチ17uが配設される、第2ルートL2の終端側」、「第1ルートL1」と「第2ルートL2」がそれぞれ本願発明の構成Cの「特典領域」、「複数の遊技媒体通路」に相当することは上記(a)(b)にて説示のとおりであり、引用発明2における構成cの「第1ルートL1」と「第2ルートL2」はそれぞれ本願発明の通路にも相当する。
また、引用発明2における構成cでは「振分部材75の姿勢が「第1姿勢」であるとき、遊技球Y1が入球し、導入ルートLを通過すると、第1ルートL1に進入し、この第1ルートL1に進入した遊技球Y1は、第1始動口入賞検知スイッチ17tによって検知される」のだから、第1ルートL1(本願発明の通路に相当)が、遊技球(遊技媒体)が「第1ルートL1の終端側」(特典領域)にまで進入することが確定している通路であることは明らかである。
さらに、引用発明2における構成cの「開閉部材76aが第2ルートL2の経路途中の閉鎖を解除すると(開状態になると)、第2ルートL2に振り分けられた遊技球が第2始動口入賞検知スイッチ17uによって検知可能な状態(第2状態)」では、遊技球(遊技媒体)は「第2始動口入賞検知スイッチ17uが配設」されている「第2ルートL2の終端側」(特典領域)に進入することは明らかであり、一方、引用発明2では「開閉部材76aが第2ルートL2の経路途中を閉鎖する閉鎖状態(第1状態)にあるとき、開閉部材76aによって排出口73yを開放し、第2ルートL2内の遊技球が排出口73yを通過して排出通路73zに進入し、排出通路73zの出口731zを通じて遊技領域11に排出」されるのだから、「開閉部材76aが第2ルートL2の経路途中を閉鎖する閉鎖状態(第1状態)にあるとき」に第2ルートL2に振り分けられた遊技球は、「第1始動口入賞検知スイッチ17tが配設される、第1ルートL1の終端側」(特典領域)へも、「同第2始動口入賞検知スイッチ17uが配設される、第2ルートL2の終端側」(特典領域)へも進入しないことは明らかである。
そうすると、引用発明2において、「振分部材75と開閉部材76aの間」の「第2ルートL2」での遊技球についてみると、「第1始動口入賞検知スイッチ17tが配設される、第1ルートL1の終端側」(特典領域)へも、「同第2始動口入賞検知スイッチ17uが配設される、第2ルートL2の終端側」(特典領域)へも進入しない可能性があるということができる。
してみると、引用発明2における「第2ルートL2」のうち、「振分部材75と開閉部材76aの間」の「第2ルートL2」は、本願発明の「遊技媒体が振り分けられたとき前記特典領域に遊技媒体が進入しない可能性がある通路」に相当する。
したがって、引用発明2における構成cは、本願補正発明における構成Cに相当する構成を備えているといえる。
(d)引用発明2における「遊技機(パチンコ機)1」は本願発明の「遊技機」に相当する。
してみると、引用発明2における構成dは、本願発明における構成Dに相当するといえる。
したがって、本願発明と引用発明2では、発明特定事項に差異はなく、本願発明は引用発明2と同一である。
仮に相違点があるとしても、本願発明は、当業者が引用発明2に基づいて容易に発明をすることができたものである。
4. むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第1項第3号に該当し、又は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2017-005855