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特許拒絶査定不服審判

2024-004128

遊技機

審判番号
2024-004128
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2021-153824外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2024年03月08日
審決日
2024年09月25日
公報発行日
2024年12月27日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .113-Z (A63F) / P18 .121-Z (A63F) / P18 .575-Z (A63F)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条1項3号特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項、特許法第17条の2第6項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第3項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2021-153824「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔令和 5年 4月 3日出願公開、特開2023- 45429〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯の概要 本願は、令和3年9月22日の出願であって、令和5年8月8日付けで拒絶の理由が通知され、同年10月12日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、同年12月12日付け(謄本送達日:同月26日)で拒絶査定(以下「原査定」という。)がなされ、それに対して、令和6年3月8日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正書が提出されたものである。 第2 令和6年3月8日に提出された手続補正書による補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 令和6年3月8日に提出された手続補正書による補正(以下「本件補正」という。)を却下する。 [理由] 1 補正の内容 (1)本件補正は、令和5年10月12日提出の手続補正書の特許請求の範囲の請求項1における (補正前) 「【請求項1】 遊技価値の貸し出しを行う特定ユニットと接続可能な遊技機であって、 遊技に供する遊技価値を管理する制御部と、 遊技に供することが可能な遊技価値の総数である遊技価値数を表示する表示装置と、 計数スイッチと、 を備え、 前記制御部は、 前記遊技価値数の変化に応じて前記表示装置の表示内容が変更されたか否かに拘わらず、前記計数スイッチの操作に応じ、所定の送信周期で、前記遊技価値数の少なくとも一部を前記特定ユニットに送信し、 前記遊技価値数に拘わらず前記計数スイッチが連続的に操作された時間を計時し、計時された時間に応じて前記特定ユニットに送信する前記遊技価値数を決定する遊技機。」を、 審判請求時に提出された手続補正書(令和6年3月8日提出)の特許請求の範囲の請求項1における (補正後) 「【請求項1】 遊技価値の貸し出しを行う特定ユニットと接続可能な遊技機であって、 遊技に供する遊技価値を管理する制御部と、 遊技に供することが可能な遊技価値の総数である遊技価値数を表示する表示装置と、 計数スイッチと、 を備え、 前記制御部は、 前記遊技価値数の変化に応じて前記表示装置の表示内容が変更されたか否かに拘わらず、前記計数スイッチの操作に応じ、所定の送信周期で、前記遊技価値数の少なくとも一部を前記特定ユニットに送信し、 前記遊技価値数が0であったとしても前記計数スイッチが連続的に操作された時間の計時を開始し、計時された時間に応じて前記特定ユニットに送信する前記遊技価値数を決定する遊技機。」にする補正を含むものである(下線は、補正箇所を明示するために当審にて付した。)。 2-1 補正の目的及び新規事項について 本件補正は、補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「前記遊技価値数に拘わらず前記計数スイッチが連続的に操作された時間を計時し、」に関して、「前記遊技価値数に拘わらず」を「前記遊技価値数が0であったとしても」に表現態様を変更するもの、「操作された時間を計時し、」を「操作された時間の計時を開始し、」と変更し、「操作された時間の計時を開始」することを限定するものを含むものである。 そして、補正後の請求項1に係る発明は、補正前の請求項1に係る発明と、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、本件補正のうち特許請求の範囲の請求項1についてする補正は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とする補正に該当する。 また、本件補正の補正事項は、願書に最初に添付した明細書又は図面(以下「当初明細書等」という。)の段落【2115】~【2117】、図268(c)の記載に基づくものであり、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たす。 2-2 独立特許要件について そこで、本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本件補正発明」という。)が特許出願の際に独立して特許を受けることができるものであるか否か、すなわち、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか否かについて、以下に検討する。 (1)本件補正発明 本件補正発明は、次のとおりのものであると認める(記号A等は、分説するため当審にて付した。)。 「【請求項1】 A 遊技価値の貸し出しを行う特定ユニットと接続可能な遊技機であって、 B 遊技に供する遊技価値を管理する制御部と、 C 遊技に供することが可能な遊技価値の総数である遊技価値数を表示する表示装置と、 D 計数スイッチと、 を備え、 B 前記制御部は、 E 前記遊技価値数の変化に応じて前記表示装置の表示内容が変更されたか否かに拘わらず、前記計数スイッチの操作に応じ、所定の送信周期で、前記遊技価値数の少なくとも一部を前記特定ユニットに送信し、 F 前記遊技価値数が0であったとしても前記計数スイッチが連続的に操作された時間の計時を開始し、計時された時間に応じて前記特定ユニットに送信する前記遊技価値数を決定する G 遊技機。」 (2)引用文献1の記載事項、引用発明 ア 記載事項 原査定の拒絶の理由に引用文献1として引用された、本願の出願前に頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2021-83951号公報(令和3年6月3日公開)(以下「引用文献1」という。)には、以下の事項が記載されている(下線は当審にて付した。以下同じ。)。 「【0027】 <第1実施形態> 本発明の第1実施形態について、図1~図33を参照して説明する。なお、本件明細書では、記載の容易化のため、遊技メダルの代わりに遊技に用いる遊技用価値に当たるデータを、適宜、「疑似メダル」と記載する。 【0028】 (スロットマシンシステム) まず、スロットマシンシステムについて図1および図2を参照して説明する。図1は本発明の第1実施形態にかかるスロットマシンSM(本発明の「遊技機」に相当)とカードユニットCUの正面図、図2がスロットマシンシステムを示すブロック図である。 【0029】 図2に示すように、スロットマシンシステムは、遊技用価値を基に遊技を行うスロットマシンSMと、ホールコンピュータと、管理コンピュータと、スロットマシンSMに隣接して設置され、当該スロットマシンSMと接続されて遊技用価値の貸出及び返却をデータ形式で行うとともに、ホールコンピュータおよび管理コンピュータに各種情報を送信可能に構成されたカードユニットCUと、センタとで構成されている。この実施形態では、カードユニットCUからホールコンピュータへはボーナスの入賞回数やボーナス間のゲーム数などを特定可能な情報等が送信される。また、カードユニットCUから管理コンピュータへは、役物比率等スロットマシンSMの性能に関わる情報等が送信される。スロットマシンSMでは、疑似メダルの枚数がカードユニットCUから枚数データの形式でメダル数制御基板300に送られ、メダル数制御基板300による枚数データ管理により、遊技が実行される。」 「【0037】 (カードユニット) 図1や図3に示すように、カードユニットCUは、ユニット情報表示装置505、現金投入装置506、カード挿入排出装置504、貸出スイッチ503a、返却スイッチ503b、離席スイッチ503c、ユニット制御基板500、I/F基板550を備えている。また、カードユニットCUは、電源基板(図示省略)や補助電源(図示省略)も備えている。」 「【0044】 (3)貸出処理手段501b 貸出スイッチ503aが操作された場合、スロットマシンSMへ所定の貸出枚数分の枚数データに基づく信号が送受信手段501eによって送信される。貸出処理手段501bは、この信号の送信に基づいて、記憶手段502aに記憶されている残高データまたは持ちメダル数データを、所定の貸出枚数に相当する金額分減算した残高データまたは所定の貸出枚数分減算した持ちメダル数データに書き換えるものである。なお、貸出処理手段501bは、所定の貸出枚数分の枚数データに基づく信号がスロットマシンSMに送信された場合に記憶手段502aの記憶内容を更新する代わりに、例えば、所定の貸出枚数分の枚数データに基づく信号がスロットマシンSMへ送信され、これに対する応答信号がスロットマシンSMから受信された場合に記憶手段502aの記憶内容を更新するようにしてもよい。 【0045】 なお、本実施形態では、記憶手段502aに記憶されている貸出可能枚数データに基づく疑似メダルの貸出では、貸出スイッチ503aの操作ごとに所定の貸出枚数分の疑似メダルを貸し出すようにしているが、例えば、貸出スイッチ503aが操作されると、一度に記憶手段502aに記憶されている疑似メダルの全てを貸し出すようにしてもよい。 【0046】 (4)第2計数処理手段501c 第2計数処理手段501cは、メダル数制御CPU301の第1計数処理手段301b2と協働して、記憶手段302aに記憶されている使用可能枚数データの一部または全部をカードユニットCUの記憶手段502aに移す計数処理を行うものである。 【0047】 具体的には、スロットマシンSMの計数スイッチ31が操作された場合、スロットマシンSMからカードユニットCUに所定の計数分の枚数データに基づく信号がユニット間送受信手段301eを介して送信される。この信号を送受信手段501eが受信した場合、第2計数処理手段501cは、記憶手段502aに記憶されている持ちメダル数データを、所定の計数分加算した持ちメダル数データに書き換える。なお、この実施形態では、計数スイッチ31の押下時間が所定時間に満たない通常押下の場合は疑似メダル1枚の枚数データがカードユニットCU側に送信される。一方、計数スイッチ31の押下時間が所定時間以上の長押しの場合は、疑似メダル50枚の枚数データが所定の間隔(例えば、300ms)でカードユニットCU側に送信される。」 「【0056】 スロットマシンSMは、例えば、図1に示すように構成されている。すなわち、このスロットマシンSMでは、前面が開放された箱型の筐体KYの前面が前面パネル2により開閉自在に閉塞され、この前面パネル2のほぼ中央高さの位置に操作板3が配設されると共に、この操作板3の上方に正面板4が配設されている。そして、この正面板4には横長矩形の表示窓5が設けられている。また、表示窓5の内側には、複数種類の図柄を予め定められた順序で可変表示する左・中・右回転リール6L,6M,6R(本発明の「図柄表示手段」に相当)が配置されている。」 「【0066】 また、表示窓5の右下方には、遊技者が所有する疑似メダルの枚数を表示するための遊技メダル数表示器26が配設されている。この遊技メダル数表示器26は、例えば、5個の7セグメントLEDで構成され、5桁の疑似メダルの所持枚数が表示可能になっている。」 「【0072】 また、このスロットマシンSMでは、遊技の進行に関する制御を行う主制御CPU101が実装された主制御基板100と、主制御基板100から送信された情報に基づき遊技の進行に合わせた演出の制御を行うサブ制御CPU201が実装されたサブ制御基板200と、遊技者が所持する疑似メダルの枚数の管理に関わる制御を行うメダル数制御CPU301が実装されたメダル数制御基板300と、遊技の進行に必要な操作手段(例えば、スタートスイッチ9)からの信号が入力される操作スイッチ基板600と、払出表示器46および遊技メダル数表示器26が設けられた表示基板700と、図2に示すように、外部機器と通信を行うためのI/F基板90が別々に設けられている。ここで、主制御基板100からサブ制御基板200に対して各種の遊技情報が一方向で送信される。また、主制御基板100とメダル数制御基板300とは各種の情報が双方向で送信される。また、メダル数制御基板300からサブ制御基板200に対して所定の情報が一方向で送信される。ここでいう所定の情報とは、例えば、記憶手段302aに記憶されている遊技メダル数データに関する情報や、計数スイッチ31が押下されたときにその旨を通知する情報などである。したがって、サブ制御基板200では、メダル数制御基板300から直接受信した情報(所定の情報)に基づいて、液晶表示器14で遊技者が所持する疑似メダルの枚数を表示したり、計数スイッチ31が押下されたときにスピーカ15,16から押下通知音を鳴らしたりする制御を行う。」 「【0249】 (基本通信シーケンスにおける計数の一具体例) 続いて、図17のスロットマシンSMとカードユニットCU間の基本通信シーケンスにおける、スロットマシンSMとカードユニットCU間での計数の一具体例について図22を用いて説明する。ただし、図22の通信シーケンスでは、計数スイッチ31の押下操作前に、スロットマシンSM側でメダル数制御CPU301によりメモリ302で記憶して管理されている遊技メダル数(メモリ302に記憶されている遊技メダル数データを用いて管理されているスロットマシンSM側で遊技者が所持しているメダル数)は「200」であり、カードユニットCU側でユニットCPU501によりメモリ502で記憶して管理されている持ちメダル数(メモリ502に記憶されている持ちメダル数データを用いて管理されているカードユニットCU側で遊技者が所持しているメダル数)は「20」であるとする。なお、電文「遊技機情報通知」、「計数通知」、「貸出通知」、「貸出受領結果応答」の送信タイミングについて、その詳細は図17を用いて説明しているので、図22の説明では省略する。なお、図22では、メダル数制御CPU301とユニットCPU501との間の通信は、メダル数制御CPU301のユニット間送受信手段301eの機能と、ユニットCPU501の送受信手段501eの機能により実現される。 【0250】 スロットマシンSM側のメダル数制御CPU301により、計数スイッチ31の押下操作が検出される(ステップS501)。この計数スイッチ31の押下操作は所定の時間(例えば、1s)を超える長押し(例えば1sを超える連続した押下)であるとする。 【0251】 この実施形態では、電文「計数通知」で通知される計数メダル数に関して、「50」を上限とする。なお、計数メダル数の上限を「計数メダル上限数」と記載する。長押しの場合には、電文「計数通知」で通知される計数メダル数は、メダル数制御CPU301によりメモリ302で記憶して管理されている遊技メダル数が計数メダル上限数「50」以上であれば遊技メダル数に基づいて「50」に設定され、遊技メダル数が「1」以上で計数メダル上限数「50」未満であれば遊技メダル数に基づいて「メダル数制御CPU301によりメモリ302で記憶して管理されている遊技メダル数」に設定され、遊技メダル数が「0」であれば遊技メダル数に基づいて「0」に設定される。また、所定の時間(例えば1s)を超えない短押し(例えば1s以下の連続した押下)の場合には、電文「計数通知」で通知される計数メダル数は、メダル数制御CPU301によりメモリ302で記憶して管理されている遊技メダル数が「1」以上であれば遊技メダル数に基づいて「1」に設定され、遊技メダル数が「0」であれば遊技メダル数に基づいて「0」に設定される。 【0252】 スロットマシンSMのメダル数制御CPU301は、カードユニットCUのユニットCPU501に対して、電文「遊技機情報通知」(「通番=n」、「遊技メダル数=200」)を送信し、ユニットCPU501は当該電文「遊技機情報通知」(「通番=n」、「遊技メダル数=200」)を受信する(ステップS502)。 【0253】 電文「遊技機情報通知」(「通番=n」、「遊技メダル数=200」)の送信後、スロットマシンSMのメダル数制御CPU301は、第1計数処理手段301b2により、メダル数制御CPU301によりメモリ302で記憶して管理している遊技メダル数「200」を基に計数メダル数を計数メダル上限数「50」に決定する。そして、メダル数制御CPU301は、カードユニットCUのユニットCPU501に対して、電文「計数通知」(「計数通番=m」、「計数メダル数=50」、「計数累積メダル数=50」)を送信し、ユニットCPU501は当該電文「計数通知」(「計数通番=m」、「計数メダル数=50」、「計数累積メダル数=50」)を受信する(ステップS503)。メダル数制御CPU301は、第1計数処理手段301b2により、メダル数制御CPU301によりメモリ302で記憶して管理している遊技メダル数を、計数メダル数「50」分減算した「150」に更新する(ステップS504)。また、ユニットCPU501は、第2計数処理手段501cにより、ユニットCPU501によりメモリ502で記憶して管理している持ちメダル数を、計数メダル数「50」分加算した「70」に更新する(ステップS505)。 【0254】 電文「計数通知」(「計数通番=m」、「計数メダル数=50」、「計数累積メダル数=50」)の受信後、カードユニットCUのユニットCPU501は、スロットマシンSMのメダル数制御CPU301に対して、電文「貸出通知」(「貸出通番=k」、「貸出メダル数=0」)を送信し、メダル数制御CPU301は当該電文「貸出通知」(「貸出通番=k」、「貸出メダル数=0」)を受信する(ステップS506)。電文「貸出通知」(「貸出通番=k」、「貸出メダル数=0」)の受信後、メダル数制御CPU301は、ユニットCPU501に対して、電文「貸出受領結果応答」(「貸出通番=k」、「受領結果=正常」)を送信し、ユニットCPU501は当該電文「貸出受領結果応答」(「貸出通番=k」、「受領結果=正常」)を受信する(ステップS507)。なお、貸出メダル数が「0」であるので、メダル数制御CPU301によりメモリ302で記憶して管理している遊技メダル数は「150」のままであり、ユニットCPU501によりメモリ502で記憶して管理している持ちメダル数は「70」のままである。 【0255】 電文「貸出受領結果応答」(「貸出通番=k」、「受領結果=正常」)の送信後、スロットマシンSMのメダル数制御CPU301は、カードユニットCUのユニットCPU501に対して、電文「遊技機情報通知」(「通番=n+1」、「遊技メダル数=150」)を送信し、ユニットCPU501は当該電文「遊技機情報通知」(「通番=n+1」、「遊技メダル数=150」)を受信する(ステップS508)。 【0256】 電文「遊技機情報通知」(「通番=n+1」、「遊技メダル数=150」)の送信後、スロットマシンSMのメダル数制御CPU301は、第1計数処理手段301b2により、メダル数制御CPU301によりメモリ302で記憶して管理している遊技メダル数「150」を基に計数メダル数を計数メダル上限数「50」に決定する。そして、メダル数制御CPU301は、カードユニットCUのユニットCPU501に対して、電文「計数通知」(「計数通番=m+1」、「計数メダル数=50」、「計数累積メダル数=100」)を送信し、ユニットCPU501は当該電文「計数通知」(「計数通番=m+1」、「計数メダル数=50」、「計数累積メダル数=100」)を受信する(ステップS509)。メダル数制御CPU301は、第1計数処理手段301b2により、メダル数制御CPU301によりメモリ302で記憶して管理している遊技メダル数を、計数メダル数「50」分減算した「100」に更新する(ステップS510)。また、ユニットCPU501は、第2計数処理手段501cにより、ユニットCPU501によりメモリ502で記憶して管理している持ちメダル数を、計数メダル数「50」分加算した「120」に更新する(ステップS511)。 【0257】 電文「計数通知」(「計数通番=m+1」、「計数メダル数=50」、「計数累積メダル数=100」)の受信後、カードユニットCUのユニットCPU501は、スロットマシンSMのメダル数制御CPU301に対して、電文「貸出通知」(「貸出通番=k+1」、「貸出メダル数=0」)を送信し、メダル数制御CPU301は当該電文「貸出通知」(「貸出通番=k+1」、「貸出メダル数=0」)を受信する(ステップS512)。電文「貸出通知」(「貸出通番=k+1」、「貸出メダル数=0」)の受信後、メダル数制御CPU301は、ユニットCPU501に対して、電文「貸出受領結果応答」(「貸出通番=k+1」、「受領結果=正常」)を送信し、ユニットCPU501は当該電文「貸出受領結果応答」(「貸出通番=k+1」、「受領結果=正常」)を受信する(ステップS513)。なお、貸出メダル数が「0」であるので、メダル数制御CPU301によりメモリ302で記憶して管理している遊技メダル数は「100」のままであり、ユニットCPU501によりメモリ502で記憶して管理している持ちメダル数は「120」のままである。 【0258】 その後、スロットマシンSM側のメダル数制御CPU301により、計数スイッチ31の押下操作の終了が検出される(ステップS514)。 【0259】 電文「貸出受領結果応答」(「貸出通番=k+1」、「受領結果=正常」)の送信後、スロットマシンSMのメダル数制御CPU301は、カードユニットCUのユニットCPU501に対して、電文「遊技機情報通知」(「通番=n+2」、「遊技メダル数=100」)を送信し、ユニットCPU501は当該電文「遊技機情報通知」(「通番=n+2」、「遊技メダル数=100」)を受信する(ステップS515)。 【0260】 電文「遊技機情報通知」(「通番=n+2」、「遊技メダル数=100」)の送信後、スロットマシンSMのメダル数制御CPU301は、カードユニットCUのユニットCPU501に対して、電文「計数通知」(「計数通番=m+2」、「計数メダル数=0」、「計数累積メダル数=100」)を送信し、ユニットCPU501は当該電文「計数通知」(「計数通番=m+2」、「計数メダル数=0」、「計数累積メダル数=100」)を受信する(ステップS516)。なお、計数メダル数が「0」であるので、メダル数制御CPU301によりメモリ302で記憶して管理している遊技メダル数は「100」のままであり、ユニットCPU501によりメモリ502で記憶して管理している持ちメダル数は「120」のままである。 【0261】 電文「計数通知」(「計数通番=m+2」、「計数メダル数=0」、「計数累積メダル数=100」)の受信後、カードユニットCUのユニットCPU501は、スロットマシンSMのメダル数制御CPU301に対して、電文「貸出通知」(「貸出通番=k+2」、「貸出メダル数=0」)を送信し、メダル数制御CPU301は当該電文「貸出通知」(「貸出通番=k+2」、「貸出メダル数=0」)を受信する(ステップS517)。電文「貸出通知」(「貸出通番=k+2」、「貸出メダル数=0」)の受信後、メダル数制御CPU301は、ユニットCPU501に対して、電文「貸出受領結果応答」(「貸出通番=k+2」、「受領結果=正常」)を送信し、ユニットCPU501は当該電文「貸出受領結果応答」(「貸出通番=k+2」、「受領結果=正常」)を受信する(ステップS518)。なお、貸出メダル数が「0」であるので、メダル数制御CPU301によりメモリ302で記憶して管理している遊技メダル数は「100」のままであり、ユニットCPU501によりメモリ502で記憶して管理している持ちメダル数は「120」のままである。」 「【0462】 <セレクタ1201の出力先の切り替え> 次に、セレクタ1201の出力先の切り替えについて、図41を用いて説明する。 【0463】 なお、図17を用いて上述したように、メダル数制御CPU301とカードユニットCUとの間の電文の送受信は、300ms以上310ms以下の範囲の時間長を1周期分の時間長とする周期で行われる。メダル数制御CPU301は、1周期の開始(1周期内の0ms)のタイミング(第1送信タイミング)で、カードユニットCUに対して電文「遊技機情報通知」を送信する。また、メダル数制御CPU301は、1周期内であって、電文「遊技機情報通知」の送信開始から90ms以上100ms以下の範囲のタイミング(第2送信タイミング)で、カードユニットCUに対して電文「計数通知」を送信する。また、カードユニットCUは、1周期内であって、電文「計数通知」の受信開始から170ms以内のタイミング(第3送信タイミング)で、メダル数制御CPU301に対して電文「貸出通知」を送信する。また、メダル数制御CPU301は、1周期内であって、電文「貸出通知」の受信後10ms以内のタイミング(第4送信タイミング)で、カードユニットCUに対して電文「貸出受領結果応答」を送信する。 【0464】 メダル数制御CPU301は、カードユニットCUへの電文「遊技機情報通知」、電文「計数通知」、電文「貸出受領結果応答」を、遊技メダル数表示器26への遊技メダル数情報より優先して、300ms以上310ms以下の範囲の時間長を1周期分の時間長とする周期における、1周期内の第1送信タイミング、第2送信タイミング、第4送信タイミングで送信する。」 「 [図:0001417507000001.jpg] 」 「 [図:0001417507000002.jpg] 」 イ 認定事項 引用文献1の【0249】では「・・・スロットマシンSMとカードユニットCU間での計数の一具体例について図22を用いて説明する。・・・」と、【0251】では、「この実施形態では、電文「計数通知」で通知される計数メダル数に関して、「50」を上限とする。・・・」と、それぞれ記載され、「一具体例」と「この実施形態」と記載されている。 よって、【0251】の記載は図22に限られた説明ではないことは、明細書における他の段落の「この実施形態」との記載が「第1実施形態」を示している記載であることからも明らかである。 さらに、【0251】には「長押しの場合」に加えて「また、」と続けて、「短押し」「の場合」について記載されていることからも、図22の説明に限ったものでないといえる。 そうすると、「【0251】の記載は、図22の説明に限ったものではなく、第1実施形態の処理について説明されている」(以下「認定事項」という。)と解釈することが自然である。 ウ 引用発明 上記「ア 記載事項」に摘記した引用文献1に記載された事項及び「イ 認定事項」より、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているものと認める(記号a1等は、本件補正発明の記号A等に対応させて当審にて付した。)。 「a1 遊技用価値を基に遊技を行うスロットマシンSMと、ホールコンピュータと、管理コンピュータと、スロットマシンSMに隣接して設置され、当該スロットマシンSMと接続されて遊技用価値の貸出及び返却をデータ形式で行うとともに、ホールコンピュータおよび管理コンピュータに各種情報を送信可能に構成されたカードユニットCUと、センタとで構成されているスロットマシンシステム(【0029】)において、 a2 カードユニットCUは、ユニット情報表示装置505、現金投入装置506、カード挿入排出装置504、貸出スイッチ503a、返却スイッチ503b、離席スイッチ503c、ユニット制御基板500、I/F基板550を備えており(【0037】)、貸出スイッチ503aが操作された場合、スロットマシンSMへ所定の貸出枚数分の枚数データに基づく信号が送受信手段501eによって送信され(【0044】)、貸出スイッチ503aの操作ごとに所定の貸出枚数分の疑似メダルを貸し出し(【0045】)、 b スロットマシンSM(【0028】)は、遊技の進行に関する制御を行う主制御CPU101が実装された主制御基板100と、主制御基板100から送信された情報に基づき遊技の進行に合わせた演出の制御を行うサブ制御CPU201が実装されたサブ制御基板200と、遊技者が所持する疑似メダルの枚数の管理に関わる制御を行うメダル数制御CPU301が実装されたメダル数制御基板300とが設けられ(【0072】)、 d 計数スイッチ31が操作された場合、スロットマシンSMからカードユニットCUに所定の計数分の枚数データに基づく信号がユニット間送受信手段301eを介して送信され、この信号を送受信手段501eが受信した場合、第2計数処理手段501cは、記憶手段502aに記憶されている持ちメダル数データを、所定の計数分加算した持ちメダル数データに書き換え、計数スイッチ31の押下時間が所定時間に満たない通常押下の場合は疑似メダル1枚の枚数データがカードユニットCU側に送信される一方、計数スイッチ31の押下時間が所定時間以上の長押しの場合は、疑似メダル50枚の枚数データが所定の間隔(例えば、300ms)でカードユニットCU側に送信され(【0047】)、 c 前面が開放された箱型の筐体KYの前面が前面パネル2により開閉自在に閉塞され、この前面パネル2のほぼ中央高さの位置に操作板3が配設されると共に、この操作板3の上方に正面板4が配設され、この正面板4には横長矩形の表示窓5が設けられ、表示窓5の内側には、複数種類の図柄を予め定められた順序で可変表示する左・中・右回転リール6L,6M,6Rが配置され(【0056】)、表示窓5の右下方には、遊技者が所有する疑似メダルの枚数を表示するための遊技メダル数表示器26が配設され、5桁の疑似メダルの所持枚数が表示可能になっており(【0066】)、 f メダル数制御CPU301とユニットCPU501との間の通信は、メダル数制御CPU301のユニット間送受信手段301eの機能と、ユニットCPU501の送受信手段501eの機能により実現され(【0249】)、電文「計数通知」で通知される計数メダル数に関して、「50」を上限とし(【0251】)、計数スイッチ31の押下操作が所定の時間(例えば、1s)を超える長押し(例えば1sを超える連続した押下)(【0250】)の場合には、電文「計数通知」で通知される計数メダル数は、メダル数制御CPU301によりメモリ302で記憶して管理されている遊技メダル数が計数メダル上限数「50」以上であれば遊技メダル数に基づいて「50」に設定され、遊技メダル数が「1」以上で計数メダル上限数「50」未満であれば遊技メダル数に基づいて「メダル数制御CPU301によりメモリ302で記憶して管理されている遊技メダル数」に設定され、遊技メダル数が「0」であれば遊技メダル数に基づいて「0」に設定され、所定の時間(例えば1s)を超えない短押し(例えば1s以下の連続した押下)の場合には、電文「計数通知」で通知される計数メダル数は、メダル数制御CPU301によりメモリ302で記憶して管理されている遊技メダル数が「1」以上であれば遊技メダル数に基づいて「1」に設定され、遊技メダル数が「0」であれば遊技メダル数に基づいて「0」に設定され(【0251】、認定事項)、 e メダル数制御CPU301とカードユニットCUとの間の電文の送受信は、300ms以上310ms以下の範囲の時間長を1周期分の時間長とする周期で行われ(【0463】)、メダル数制御CPU301は、カードユニットCUへの電文「遊技機情報通知」、電文「計数通知」、電文「貸出受領結果応答」を、遊技メダル数表示器26への遊技メダル数情報より優先して、300ms以上310ms以下の範囲の時間長を1周期分の時間長とする周期における、1周期内の1周期の開始(1周期内の0ms)のタイミング(第1送信タイミング)、1周期内であって、電文「遊技機情報通知」の送信開始から90ms以上100ms以下の範囲のタイミング(第2送信タイミング)、1周期内であって、電文「貸出通知」の受信後10ms以内のタイミング(第4送信タイミング)で送信する(【0463】、【0464】) g スロットマシンSM(【0028】)」 (3)対比 本件補正発明と引用発明とを、分説に従い対比する。 ア 構成Aについて 引用発明の構成a1及びa2の「遊技用価値」、「貸し出」すこと、「接続され」ること、「スロットマシンSM」は、それぞれ本件補正発明の「遊技価値」、「貸し出しを行う」こと、「接続可能」であること、「遊技機」に相当する。 よって、引用発明の構成a1及びa2は、本件補正発明の構成Aに相当する構成を有する。 イ 構成Bについて 引用発明の構成bの「疑似メダル」、「管理に関わる制御を行う」こと、「メダル数制御CPU301」は、それぞれ本件補正発明の「遊技に供する遊技価値」、「管理する」こと、「制御部」に相当する。 よって、引用発明の構成bは、本件補正発明の構成Bに相当する構成を有する。 ウ 構成Cについて 引用発明の構成cの「疑似メダルの所持枚数」、「表示可能になって」いること、「遊技メダル数表示器26」は、それぞれ本件補正発明の「遊技に供することが可能な遊技価値の総数である遊技価値数」、「表示する」こと、「表示装置」に相当する。 よって、引用発明の構成cは、本件補正発明の構成Cに相当する構成を有する。 エ 構成Dについて 引用発明の構成dの「計数スイッチ31」は、本件補正発明の「計数スイッチ」に相当する。 よって、引用発明の構成dは、本件補正発明の構成Dに相当する構成を有する。 オ 構成Eについて 引用発明の構成eの「300ms以上310ms以下の範囲の時間長を1周期分の時間長とする周期」は、本件補正発明の「所定の送信周期」に相当する。 そして、引用発明は、構成dで「計数スイッチ31が操作された場合」(「計数スイッチの操作に応じ」に相当)、「スロットマシンSMからカードユニットCUに所定の計数分の枚数データに基づく信号がユニット間送受信手段301eを介して送信され」、構成bで「スロットマシンSMは、」「遊技者が所持する疑似メダルの枚数の管理に関わる制御を行うメダル数制御CPU301が実装されたメダル数制御基板300とが設けられ」ており、構成eでは、「メダル数制御CPU301は、カードユニットCUへの」「電文「計数通知」」「を、遊技メダル数表示器26への遊技メダル数情報より優先して」「送信する」ことから、「遊技メダル数表示器26への遊技メダル数情報」(「前記表示装置の表示内容」に相当)より優先して(「変更されたか否かに拘わらず」に相当)電文「計数通知」(「前記遊技価値数の少なくとも一部」に相当)を「カードユニットCU」(前記特定ユニット)に「送信」している。 よって、引用発明の構成eは、本件補正発明の構成Eに相当する構成を有する。 カ 構成Fについて 引用発明の構成fでは、「メダル数制御CPU301とユニットCPU501との間の通信」は「電文「計数通知」で通知される計数メダル数は、」「計数スイッチ31の押下操作が所定の時間(例えば、1s)を超える長押し(例えば1sを超える連続した押下)の場合には、電文「計数通知」で通知される計数メダル数は、」「遊技メダル数が「0」であれば遊技メダル数に基づいて「0」に設定され」ており、「遊技メダル数が「0」であれば」(「前記遊技価値数が0であったとしても」に相当)、「計数スイッチ31」(前記計数スイッチ)「の押下操作が所定の時間(例えば、1s)を超える長押し(例えば1sを超える連続した押下)」(「計時された時間」に相当)「の場合には」(「応じて」に相当)「「0」に設定され」(「前記遊技価値数を決定する」に相当)、「ユニットCPU501」(前記特定ユニット)に送信されている。 また、引用発明の構成fでは、「遊技メダル数が「0」であれば遊技メダル数に基づいて「0」に設定され」る場合の「計数スイッチ31の押下操作が所定の時間(例えば、1s)を超える長押し(例えば1sを超える連続した押下)の場合」については、「遊技メダル数が「0」であ」るときに、「計数スイッチ31の押下操作が」開始され、「長押し」であるか否かを判定していることは明らかである。 よって、引用発明の構成fは、本件補正発明の構成Fに相当する構成を有する。 キ 構成Gについて 引用発明の構成gの「スロットマシンSM」は、本件補正発明の「遊技機」に相当する。 よって、引用発明の構成gは、本件補正発明の構成Gに相当する構成を有する。 (4)判断 上記(3)ア~キによれば、本件補正発明は引用発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないか、少なくとも引用発明から当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 (5)審判請求人の主張について 審判請求人は、令和6年3月8日提出の審判請求書において、次の点について主に主張をする(下線は当審で付した。)。 「4-3.引用文献等との対比 4-3-1.請求項1について 審査官は、補正前の請求項1に対し、『ここで、引用文献1の[0250]-[0251]を見てみると、『スロットマシンSM側のメダル数制御CPU301により、計数スイッチ31の押下操作が検出される(ステップS501)。この計数スイッチ31の押下操作は所定の時間(例えば、1s)を超える長押し(例えば1sを超える連続した押下)であるとする。』及び『長押しの場合には、電文「計数通知」で通知される計数メダル数は、メダル数制御CPU301によりメモリ302で記憶して管理されている遊技メダル数が・・・「0」であれば遊技メダル数に基づいて「0」に設定される。』と記載されている。つまり、メダル数制御CPU301によりメモリ302で記憶して管理されている遊技メダル数が「0」であったとしても長押しが可能であることが記載されていることから、引用文献1には、『メダル数制御CPU301によりメモリ302で記憶して管理されている遊技メダル数が「0」である場合に、メダル数制御CPU301により、計数スイッチ31の押下操作を検出し、この計数スイッチ31の押下操作が所定の時間を超える長押しであるときには、電文「計数通知」で通知される計数メダル数は「0」に設定される』(本願の「前記遊技価値数に拘わらず前記計数スイッチが連続的に操作された時間を計時し、計時された時間に応じて前記特定ユニットに送信する前記遊技価値数を決定する」)ことが記載されているといえ、出願人の上記主張は、採用することができない。』と述べている。 しかしながら、引用文献1には、補正後の本願請求項1に係る発明のように、「f.前記遊技価値数が0であったとしても前記計数スイッチが連続的に操作された時間の計時を開始し、計時された時間に応じて前記特定ユニットに送信する前記遊技価値数を決定する」構成が存在しない。 例えば、引用文献1の段落250には、「この計数スイッチ31の押下操作は所定の時間(例えば、1s)を超える長押し(例えば1sを超える連続した押下)であるとする。」と記載され、例えば1sを超える連続した押下が「長押し」であることが定義されている。 また、段落251には、「長押しの場合には、電文「計数通知」で通知される計数メダル数は、メダル数制御CPU301によりメモリ302で記憶して管理されている遊技メダル数が計数メダル上限数「50」以上であれば遊技メダル数に基づいて「50」に設定され、遊技メダル数が「1」以上で計数メダル上限数「50」未満であれば遊技メダル数に基づいて「メダル数制御CPU301によりメモリ302で記憶して管理されている遊技メダル数」に設定され、遊技メダル数が「0」であれば遊技メダル数に基づいて「0」に設定される。」こと、すなわち、長押しとして計数スイッチ31が連続して押下され、長押しの条件が満たされたことを前提に、その後に起こり得る事象が段階的に記載されている。 具体的に、引用文献1では、例えば、第1計数処理手段301b2が計数処理を行う。計数処理では、所定周期(例えば、300ms)で遊技メダル数から計数メダル上限数「50」の計数メダル数が繰り返し減算され、遊技メダル数が50未満になると、遊技メダル数がそのまま計数メダル数として減算され、遊技メダル数が0となると計数メダル数が0となる。ここで、引用文献1の段落251には、長押しの条件が満たされた状態で、遊技メダル数が「50」以上であれば計数メダル数は「50」に設定され、遊技メダル数が「1」以上「50」未満であれば計数メダル数は遊技メダル数に設定され、遊技メダル数が「0」、すなわち、全ての遊技メダル数が計数完了すると計数メダル数は「0」に設定されることが記載されているに過ぎない。 このように、引用文献1には、あくまで計数メダル数を設定するタイミングにおいて、遊技メダル数が「0」であれば計数メダル数として「0」が設定されることが記載されているに過ぎず、計数スイッチ31の押下操作の開始タイミングにおける遊技メダル数の状態については記載も示唆もない。現に、審査官が指摘している段落250、251を含む段落249~258、図22の説明では、遊技メダル数が「200」であるときに、計数スイッチ31の押下操作が開始されることしか記載されていない。 そうすると、『遊技メダル数が「0」である場合に、メダル数制御CPU301により、計数スイッチ31の押下操作を検出』することが記載されているとする審査官の認定は失当である。 このように、引用文献1では、計数スイッチ31の押下操作の開始タイミングにおける遊技メダル数の状態について記載も示唆もないので、当然、本願発明のように「f.前記遊技価値数が0であったとしても前記計数スイッチが連続的に操作された時間の計時を開始し、計時された時間に応じて前記特定ユニットに送信する前記遊技価値数を決定する」ことが記載されているはずがない。 本願明細書の段落2116に記載しているように、遊技メダル数が「0」であった場合、計数処理の実行有無に拘わらず、計数通知では計数メダル数が「0」となる。したがって、遊技メダル数が「0」の場合、計数処理自体の処理負荷を低減するため、計数処理を実行しないとしたり、計数スイッチが連続的に操作された時間を計時しないとしたりするのが一般的である。 これに対し、補正後の本願請求項1に係る発明では、「f.前記遊技価値数が0であったとしても前記計数スイッチが連続的に操作された時間の計時を開始し、計時された時間に応じて前記特定ユニットに送信する前記遊技価値数を決定する」構成により、例えば、電子化メダルの払出処理が生じた場合等、計数通知を送信する周期が到来したときには確実に長押しを判断することが可能となるので、遊技者は、最終的な獲得メダル数を早期に把握し、次の操作を迅速に開始でき、メダルレス遊技機の操作性を向上することが可能となる。また、メダル数制御CPU946が実行するプログラム上、遊技メダル数が「0」であるか否かといった判定(分岐)が不要になるので、処理負荷を軽減するとともに、メモリ容量を削減することが可能となる(本願明細書の段落2117参照)。」 そこで、審判請求人の上記主張について検討すると、引用文献1の第1実施形態には、「遊技メダル数が「0」である場合に、メダル数制御CPU301により、計数スイッチ31の押下操作を検出しない」との処理が記載も示唆もないことから、請求人が一般的であると主張するような処理を引用文献1の第1実施形態において行っているとはいえず、また、上記(2)イで説示したとおり、【0251】の記載は、図22の一具体例についての記載ではなく、第1実施形態の処理について説明されていると解釈することが自然であるから、上記主張は妥当なものではなく採用することができない。 (6)まとめ 上記(1)~(5)より、本件補正発明は、引用発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許出願の際独立して特許を受けることができない。 また、本件補正発明は、引用発明に基づいて当業者が容易に発明することができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。 4 むすび 本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。 第3 本願発明について 1 本願発明 本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明は、令和5年10月12日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、前記第2[理由]1に本件補正前の請求項1として記載したとおりのものである。 2 原査定の拒絶の理由の概要 原査定の拒絶の理由は、概ね、次のとおりである。 1.(新規性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。 2.(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 記 (引用文献等については引用文献等一覧参照) ●理由1(新規性)、理由2(進歩性)について ・請求項 1-2 ・引用文献等 1 <引用文献等一覧> 1. 特開2021-83951号公報 3 引用文献1の記載事項、引用発明 原査定の拒絶の理由に引用文献1として引用された特開2021-83951号公報(上記第2〔理由〕2-2(2)の引用文献1)の記載事項及び引用発明の認定については、前記「第2〔理由〕2-2(2)引用文献1の記載事項、引用発明」に記載したとおりである。 4 対比・判断 本願発明(上記「第2[理由]1(補正前)」)は、本件補正発明(上記「第2[理由]1(補正後)」)から上記「第2 2-1」において検討したとおり、表現態様を変更した「前記遊技価値数が0であったとしても」を「前記遊技価値数に拘わらず」に戻し、「操作された時間の計時を開始」することの限定を省き、「操作された時間を計時し、」としたものである。 そうすると、本願発明の特定事項を全て含み、さらに限定を付加したものである本件補正発明が上記第2[理由]2-2(6)で述べたとおり、引用発明であり、また、引用発明に基づいて当業者が容易に発明することができたものであるから、本願発明も、引用発明であり、また、引用発明に基づいて当業者が容易に発明することができたものである。 5 むすび 以上のとおりであるから、本願発明は、引用発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。 また、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。 したがって、他の請求項について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2024-004128

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