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特許異議申立

2016-701205

電動パーキングブレーキ用駆動装置および電動パーキングブレーキ装置

審判番号
2016-701205
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2013-175119
登録番号
特許第5942945号(P5942945)
請求日
2016年12月28日
審決日
2017年12月15日
公報発行日
2018年03月30日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】株式会社アドヴィックス
  • 【権利者代理人】小林 脩
  • 【権利者代理人】木村 群司
  • 【権利者代理人】山本 喜一
  • 【異議申立人】白澤 哲明
審判長/審判官
  • 審判長 中村 達之
  • 審判官 中川 隆司
  • 審判官 内田 博之
分類
P1652.121-YAA(B60T)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第120条の5第2項
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特許第5942945号発明「電動パーキングブレーキ用駆動装置および電動パーキングブレーキ装置」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

【結 論】 特許第5942945号の特許請求の範囲を平成29年11月3日付けの訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1、2、5〕、〔3〕、〔4〕、〔6〕について訂正することを認める。 特許第5942945号の請求項1、2、5及び6に係る特許を維持する。

理由

【理 由】 第1.手続の経緯 特許第5942945号の請求項1ないし6に係る特許についての出願は、平成25年8月27日に特許出願され、平成28年6月3日にその特許権の設定登録がされ、その後、特許異議申立人白澤哲明(以下、「異議申立人」という。)により、請求項1、2、5及び6に係る特許に対して、特許異議の申立てがされ、平成29年3月6日付けで取消理由が通知され、その指定期間内である同年4月28日付けで意見書の提出及び訂正請求がされ、同年6月30日に異議申立人から意見書が提出され、同年9月1日付けで取消理由(決定の予告)が通知され、その指定期間内である同年11月3日付けで意見書の提出及び訂正の請求(以下、当該訂正の請求を「本件訂正請求」といい、本件訂正請求による訂正を「本件訂正」という。)がされたものである。 第2.訂正の適否についての判断 1.本件訂正の内容 本件訂正請求による本件訂正の内容は、次の(1)ないし(6)のとおりである。 (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1に「回動部材の回転運動を直進運動に変換して移動部材に伝達し、前記移動部材によって付勢されたブレーキパッドが、車輪とともに回転するディスクを押圧することにより前記車輪に制動力を発生させるパーキングブレーキアクチュエータを駆動するための電動パーキングブレーキ用駆動装置であって、第1ピースと第2ピースとが互いに接合して形成されたギヤボデーと、前記第1ピースの内周部に固定される取付部材と、該取付部材と係合または一体化されて、前記ギヤボデー内において所定の方向に位置決めされる電動モータと、前記第1ピースの内周面と前記電動モータとの間に介装され、前記電動モータを前記取付部材に向けて付勢する押圧部材と、前記ギヤボデー内に収容され、前記電動モータの駆動力を前記回動部材に伝達する減速機構と、を備えた」と記載されているのを、「回動部材の回転運動を直進運動に変換して移動部材に伝達し、前記移動部材によって付勢されたブレーキパッドが、車輪とともに回転するディスクを押圧することにより前記車輪に制動力を発生させるパーキングブレーキアクチュエータを駆動するための電動パーキングブレーキ用駆動装置であって、第1ピースと第2ピースとが互いに接合して形成されたギヤボデーと、前記第1ピースの内周部に固定される取付部材と、該取付部材と係合または一体化されて、前記ギヤボデー内において所定の方向に位置決めされる電動モータと、前記第1ピースの内周面と前記電動モータとの間に介装され、前記電動モータを前記取付部材に向けて付勢する押圧部材と、前記ギヤボデー内に収容され、前記電動モータの駆動力を前記回動部材に伝達する減速機構と、を備え、前記取付部材は、前記電動モータと別体であり該電動モータと固定される」に訂正する。(下線は訂正箇所を示す。以下同じ。) (2)訂正事項2 特許請求の範囲の請求項2に「前記減速機構は、前記電動モータの出力軸に固着された駆動ギヤと、前記取付部材と係合して前記所定の方向に位置決めされるとともに、前記ギヤボデーに取り付けられた第1ギヤ軸と、該第1ギヤ軸上に形成され、前記駆動ギヤよりも多数の歯数を有し、前記駆動ギヤと噛合するとともに、前記回動部材に連結されることにより、前記電動モータの回転を減速して前記回動部材に伝達する第1従動ギヤと、を含む請求項1記載の電動パーキングブレーキ用駆動装置」と記載されているのを、「回動部材の回転運動を直進運動に変換して移動部材に伝達し、前記移動部材によって付勢されたブレーキパッドが、車輪とともに回転するディスクを押圧することにより前記車輪に制動力を発生させるパーキングブレーキアクチュエータを駆動するための電動パーキングブレーキ用駆動装置であって、第1ピースと第2ピースとが互いに接合して形成されたギヤボデーと、前記第1ピースの内周部に固定される取付部材と、該取付部材と係合または一体化されて、前記ギヤボデー内において所定の方向に位置決めされる電動モータと、前記第1ピースの内周面と前記電動モータとの間に介装され、前記電動モータを前記取付部材に向けて付勢する押圧部材と、前記ギヤボデー内に収容され、前記電動モータの駆動力を前記回動部材に伝達する減速機構と、を備え、前記減速機構は、前記電動モータの出力軸に固着された駆動ギヤと、前記取付部材と係合して前記所定の方向に位置決めされるとともに、前記ギヤボデーに取り付けられた第1ギヤ軸と、該第1ギヤ軸上に形成され、前記駆動ギヤよりも多数の歯数を有し、前記駆動ギヤと噛合するとともに、前記回動部材に連結されることにより、前記電動モータの回転を減速して前記回動部材に伝達する第1従動ギヤと、を含み、前記取付部材は、前記第1ピースに、前記第1ギヤ軸を挟むようにしてその両側に配置される部材によって固定される電動パーキングブレーキ用駆動装置」に訂正する。 (3)訂正事項3 特許請求の範囲の請求項3に「前記電動モータはモータハウジングを有し、該モータハウジングの回転軸方向の一端面からは、嵌合部が突出するとともに、該嵌合部の突端面からは前記出力軸が軸方向に突出しており、前記取付部材は、前記モータハウジングの前記一端面と対向するように配置されるとともに、位置決め孔を有しており、該位置決め孔が前記嵌合部の外周面と嵌合することにより、前記電動モータは前記取付部材に対し半径方向に位置決めされ、前記押圧部材は、前記モータハウジングの他端面を、前記取付部材に向けて付勢することにより、前記一端面を前記取付部材に当接させている請求項2記載の電動パーキングブレーキ用駆動装置」と記載されているのを、「回動部材の回転運動を直進運動に変換して移動部材に伝達し、前記移動部材によって付勢されたブレーキパッドが、車輪とともに回転するディスクを押圧することにより前記車輪に制動力を発生させるパーキングブレーキアクチュエータを駆動するための電動パーキングブレーキ用駆動装置であって、第1ピースと第2ピースとが互いに接合して形成されたギヤボデーと、前記第1ピースの内周部に固定される取付部材と、該取付部材と係合または一体化されて、前記ギヤボデー内において所定の方向に位置決めされる電動モータと、前記第1ピースの内周面と前記電動モータとの間に介装され、前記電動モータを前記取付部材に向けて付勢する押圧部材と、前記ギヤボデー内に収容され、前記電動モータの駆動力を前記回動部材に伝達する減速機構と、を備え、前記減速機構は、前記電動モータの出力軸に固着された駆動ギヤと、前記取付部材と係合して前記所定の方向に位置決めされるとともに、前記ギヤボデーに取り付けられた第1ギヤ軸と、該第1ギヤ軸上に形成され、前記駆動ギヤよりも多数の歯数を有し、前記駆動ギヤと噛合するとともに、前記回動部材に連結されることにより、前記電動モータの回転を減速して前記回動部材に伝達する第1従動ギヤと、を含み、前記電動モータはモータハウジングを有し、該モータハウジングの回転軸方向の一端面からは、嵌合部が突出するとともに、該嵌合部の突端面からは前記出力軸が軸方向に突出しており、前記取付部材は、前記モータハウジングの前記一端面と対向するように配置されるとともに、位置決め孔を有しており、該位置決め孔が前記嵌合部の外周面と嵌合することにより、前記電動モータは前記取付部材に対し半径方向に位置決めされ、前記押圧部材は、前記モータハウジングの他端面を、前記取付部材に向けて付勢することにより、前記一端面を前記取付部材に当接させている電動パーキングブレーキ用駆動装置」に訂正する。 (4)訂正事項4 特許請求の範囲の請求項4に「前記モータハウジングの前記他端面からは、弾性体保持部が突出し、前記押圧部材は、ゴム材料により中央部に保持孔を備えた円板状に形成され、前記保持孔に前記弾性体保持部が嵌合するように、前記第1ピースの内周面と前記他端面との間に配置されている請求項3記載の電動パーキングブレーキ用駆動装置」と記載されているのを、「回動部材の回転運動を直進運動に変換して移動部材に伝達し、前記移動部材によって付勢されたブレーキパッドが、車輪とともに回転するディスクを押圧することにより前記車輪に制動力を発生させるパーキングブレーキアクチュエータを駆動するための電動パーキングブレーキ用駆動装置であって 第1ピースと第2ピースとが互いに接合して形成されたギヤボデーと、前記第1ピースの内周部に固定される取付部材と該取付部材と係合または一体化されて、前記ギヤボデー内において所定の方向に位置決めされる電動モータと、前記第1ピースの内周面と前記電動モータとの間に介装され、前記電動モータを前記取付部材に向けて付勢する押圧部材と、前記ギヤボデー内に収容され、前記電動モータの駆動力を前記回動部材に伝達する減速機構と、を備え、前記減速機構は、前記電動モータの出力軸に固着された駆動ギヤと、前記取付部材と係合して前記所定の方向に位置決めされるとともに、前記ギヤボデーに取り付けられた第1ギヤ軸と、該第1ギヤ軸上に形成され、前記駆動ギヤよりも多数の歯数を有し、前記駆動ギヤと噛合するとともに、前記回動部材に連結されることにより、前記電動モー夕の回転を減速して前記回動部材に伝達する第1従動ギヤとを含み、前記電動モータはモータハウジングを有し、該モータハウジングの回転軸方向のー端面からは、嵌合部が突出するとともに、該嵌合部の突端面からは前記出力軸が軸方向に突出しており、前記取付部材は、前記モータハウジングの前記一端面と対向するように配置されるとともに、位置決め孔を有しており、該位置決め孔が前記嵌合部の外周面と嵌合することにより、前記電動モータは前記取付部材に対し半径方向に位置決めされ、前記押圧部材は、前記モータハウジングの他端面を、前記取付部材に向けて付勢することにより、前記一端面を前記取付部材に当接させ、前記モータハウジングの前記他端面からは、弾性体保持部が突出し、前記押圧部材は、ゴム材料により中央部に保持孔を備えた円板状に形成され、前記保持孔に前記弾性体保持部が嵌合するように、前記第1ピースの内周面と前記他端面との間に配置されている電動パーキングブレーキ用駆動装置」に訂正する。 (5)訂正事項5 特許請求の範囲の請求項5に「前記減速機構は、前記第1ギヤ軸上に設けられ、前記第1従動ギヤと一体に回転する伝達ギヤと、前記ギヤボデーに取り付けられた第2ギヤ軸と、該第2ギヤ軸上に形成され、前記伝達ギヤよりも多数の歯数を有するとともに、前記伝達ギヤと噛合する第2従動ギヤと、前記第2ギヤ軸上に設けられ、前記第2従動ギヤと一体に回転するサンギヤと、前記サンギヤと噛合し、前記サンギヤの回転によって前記サンギヤの外周を公転する複数のプラネタリギヤと、前記プラネタジギヤの周囲に配置され、内周面において前記プラネタリギヤと噛合するとともに、前記ギヤボデーと係合することによって回転不能なリングギヤと、複数の前記プラネタリギヤ同士を接続するとともに前記回動部材に連結され、前記プラネタリギヤの公転によって回転され、前記サンギヤの回転を減速して前記回動部材に出力するキャジヤ部材と、を有する請求項2乃至4のうちのいずれか一項に記載の電動パーキングブレーキ用駆動装置」と記載されているのを、「回動部材の回転運動を直進運動に変換して移動部材に伝達し、前記移動部材によって付勢されたブレーキパッドが、車輪とともに回転するディスクを押圧することにより前記車輪に制動力を発生させるパーキングブレーキアクチュエータを駆動するための電動パーキングブレーキ用駆動装置であって、第1ピースと第2ピースとが互いに接合して形成されたギヤボデーと、前記第1ピースの内周部に固定される取付部材と、該取付部材と係合または一体化されて、前記ギヤボデー内において所定の方向に位置決めされる電動モータと、前記第1ピースの内周面と前記電動モータとの間に介装され、前記電動モータを前記取付部材に向けて付勢する押圧部材と、前記ギヤボデー内に収容され、前記電動モータの駆動力を前記回動部材に伝達を備え、前記減速機構は、前記電動モータの出力軸に固着された駆動ギヤと、前記取付部材と係合して前記所定の方向に位置決めされるとともに、前記ギヤボデーに取り付けられた第1ギヤ軸と、該第1ギヤ軸上に形成され、前記駆動ギヤよりも多数の歯数を有し、前記駆動ギヤと噛合するとともに、前記回動部材に連結されることにより、前記電動モータの回転を減速して前記回動部材に伝達する第1従動ギヤと、前記第1ギヤ軸上に設けられ、前記第1従動ギヤと一体に回転する伝達ギヤと、前記ギヤボデーに取り付けられた第2ギヤ軸と、該第2ギヤ軸上に形成され、前記伝達ギヤよりも多数の歯数を有するとともに、前記伝達ギヤと噛合する第2従動ギヤと、前記第2ギヤ軸上に設けられ、前記第2従動ギヤと一体に回転するサンギヤと、前記サンギヤと噛合し、前記サンギヤの回転によって前記サンギヤの外周を公転する複数のプラネタリギヤと、前記プラネタリギヤの周囲に配置され、内周面において前記プラネタリギヤと噛合するとともに、前記ギヤボデーと係合することによって回転不能なリングギヤと、複数の前記プラネタリギヤ同士を接続するとともに前記回動部材に連結され、前記プラネクリギヤの公転によって回転され、前記サンギヤの回転を減速して前記回動部材に出力するキャリヤ部材と、を有し、前記取付部材が、前記電動モータと別体であり且つ前記リングギヤとも別体である電動パーキングブレーキ用駆動装置」に訂正する。 (6)訂正事項6 特許請求の範囲の請求項6に「車体に取り付けられたブレーキハウジングと、前記ブレーキハウジングに対し、軸方向に移動可能かつ回転不能に取り付けられた移動部材と、車輪とともに回転するディスクと前記移動部材とめ間に介装されたブレーキパッドと、第1ピースと第2ピースとが互いに接合して形成され、前記ブレーキハウジングに取り付けられたギヤボデーと、前記ギヤボデー内に取り付けられた電動モータと、前記ギヤボデー内に収容され、前記電動モータの駆動力を伝達する減速機構と、前記移動部材と噛合しており、前記減速機構を介して前記電動モータによって駆動されることにより前記移動部材を軸方向に移動させ、前記移動部材を介して前記ブレーキパッドを前記ディスクに向けて付勢する回動部材と、を備えた電動パーキングブレーキ装置であって、前記第1ピースの内周部には、取付部材が固定され、前記電動モータは、前記取付部材と係合または一体化されて、前記ギヤボデー内において所定の方向に位置決めされ、 前記第1ピースの内周面と前記電動モータとの間には押圧部材が介装され、該押圧部材は、前記電動モータを前記取付部材に向けて付勢する電動パーキングブレーキ装置」と記載されているのを、「車体に取り付けられたブレーキハウジングと、前記ブレーキハウジングに対し、軸方向に移動可能かつ回転不能に取り付けられた移動部材と、車輪とともに回転するディスクと前記移動部材との間に介装されたブレーキパッドと、第1ピースと第2ピースとが互いに接合して形成され、前記ブレーキハウジングに取り付けられたギヤボデーと、前記ギヤボデー内に取り付けられた電動モータと、前記ギヤボデー内に収容され、前記電動モータの駆動力を伝達する減速機構と、前記移動部材と噛合しており、前記減速機構を介して前記電動モータによって駆動されることにより前記移動部材を軸方向に移動させ、前記移動部材を介して前記ブレーキパッドを前記ディスクに向けて付勢する回動部材と、を備えた電動パーキングブレーキ装置であって、前記第1ピースの内周部には、取付部材が固定され、前記電動モータは、前記取付部材と係合または一体化されて、前記ギヤボデー内において所定の方向に位置決めされ、前記第1ピースの内周面と前記電動モータとの間には押圧部材が介装され、該押圧部材は、前記電動モータを前記取付部材に向けて付勢し、前記減速機構は、前記電動モータの出力軸に固着された駆動ギヤと、前記取付部材と係合して前記所定の方向に位置決めされるとともに、前記ギヤボデーに取り付けられた第1ギヤ軸と、該第1ギヤ軸上に形成され、前記駆動ギヤよりも多数の歯数を有し、前記駆動ギヤと噛合するとともに、前記回動部材に連結されることにより、前記電動モータの回転を減速して前記回動部材に伝達する第1従動ギヤと、前記第1ギヤ軸上に設けられ、前記第1従動ギヤと一体に回転する伝達ギヤと、前記ギヤボデーに取り付けられた第2ギヤ軸と、該第2ギヤ軸上に形成され、前記伝達ギヤよりも多数の歯数を有するとともに、前記伝達ギヤと噛合する第2従動ギヤと、前記第2ギヤ軸上に設けられ、前記第2従動ギヤと一体に回転するサンギヤと、前記サンギヤと噛合し、前記サンギヤの回転によって前記サンギヤの外周を公転する複数のプラネタリギヤと、前記プラネタリギヤの周囲に配置され、内周面において前記プラネクリギヤと噛合するとともに、前記ギヤボデーと係合することによって回転不能なリングギヤと、複数の前記プラネタリギヤ同士を接続するとともに前記回動部材に連結され、前記プラネタリギヤの公転によって回転され、前記サンギヤの回転を減速して前記回動部材に出力するキャリヤ部材と、を有し、前記取付部材が、前記電動モータと別体であり且つ前記リングギヤとも別体である電動パーキングブレーキ装置」に訂正する。 2.訂正の目的の適否、一群の請求項、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否 (1)訂正事項1ないし訂正事項5について ア.訂正事項1 訂正事項1は、訂正前の請求項1における「取付部材」の構造を「前記電動モータと別体であり該電動モータと固定される」ものと限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 また、願書に添付した明細書の発明の詳細な説明の段落【0033】の「ブラケットメンバ35(取付部材に該当する)は、合成樹脂材料にて略平板状に形成されている。」との記載、同段落【0035】の「ブラケットメンバ35は、電動モータ34とは別体に形成されており、外周に取付部を有しない汎用の電動モータを使用可能であるため、低コストの駆動装置3にすることができる。」との記載、及び同段落【0050】の「ブラケットメンバ35は、ロアボデー32に取り付ける以前に、モータハウジング34aに予め固定されていてもよいし、あるいはモータハウジング34aに一体化されていてもよい。」との記載から、訂正事項1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてするものと認められる。 したがって、訂正事項1は、特許請求の範囲の減縮を目的とし、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 本件において、訂正前の請求項1、2、5及び6について特許異議の申立てがされているので、訂正前の請求項1に係る訂正事項1に関して、独立特許要件は課されない。 イ.訂正事項2 訂正事項2は、訂正前の請求項2に係る発明に対して、「前記取付部材は、前記第1ピースに、前記第1ギヤ軸を挟むようにしてその両側に配置される部材によって固定される」とするとともに、訂正前の請求項2が訂正前の請求項1を引用する形式であったものを、他の請求項を引用しない独立形式請求項に改めるものである。 訂正事項2のうち、「前記取付部材は、前記第1ピースに、前記第1ギヤ軸を挟むようにしてその両側に配置される部材によって固定される」とした点については、「取付部材」の固定状態を「前記第1ピースに、前記第1ギヤ軸を挟むようにしてその両側に配置される部材によって固定される」と限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 また、願書に添付した明細書の発明の詳細な説明の段落【0035】の「ブラケットメンバ35は、各々のネジ孔35jに挿通させたスクリュー37 (図3において1つのみ示す)を、ロアボデー32に螺合させることによりロアボデー32に固定される。」との記載、同段落【0038】の「上述したブラケットメンバ35のピン保持穴35kには、枢支ピン39(第1ギヤ軸に該当する)が、圧入またはインサート成形により固定されている。」との記載、及び【図4】から、枢支ピン39 (ピン保持穴35k)の両側にネジ孔35j,35jが配置されていることが見て取れることから、「前記取付部材(ブラケットメンバ35)は、前記第1ピース(ロアボデー32)に、前記第1ギヤ軸(枢支ピン39)を挟むようにしてその両側に配置される部材によって固定される」とする訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてするものと認められる。 そして、訂正事項2のうち、訂正前の請求項2が訂正前の請求項1を引用する形式であったものを、他の請求項を引用しない独立形式請求項に改める点については、引用関係の解消を目的とするものである。 したがって、訂正事項2は、特許請求の範囲の減縮及び引用関係の解消を目的とし、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 本件において、訂正前の請求項1、2、5及び6について特許異議の申立てがされているので、訂正前の請求項2に係る訂正事項2に関して、独立特許要件は課されない。 ウ.訂正事項3 訂正事項3は、訂正前の請求項3が、請求項1を引用する請求項2をさらに引用する形式であったものを、他の請求項を引用しない独立形式請求項に改めるものであるから、訂正事項3は引用関係の解消を目的とするものである。 また、訂正事項3は、実質的な内容の変更を伴うものではないから、訂正事項3は、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 したがって、訂正事項3は、引用関係の解消を目的とし、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 本件において、訂正前の請求項3について特許異議の申立てがされていないが、訂正前の請求項3に係る訂正事項3は、引用関係の解消のみを目的とするものあるから、独立特許要件は課されない。 エ.訂正事項4 訂正事項4は、訂正前の請求項4が、請求項1を引用する請求項2を引用する請求項3をさらに引用する形式であったものを、他の請求項を引用しない独立形式請求項に改めるものであるから、訂正事項4は引用関係の解消を目的とするものである。 また、訂正事項4は、実質的な内容の変更を伴うものではないから、訂正事項4は、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 したがって、訂正事項4は、引用関係の解消を目的とし、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 本件において、訂正前の請求項3について特許異議の申立てがされていないが、訂正前の請求項4に係る訂正事項4は、引用関係の解消のみを目的とするものであるから、独立特許要件は課されない。 オ.訂正事項5 訂正事項5は、訂正前の請求項5に係る発明に対して、「前記取付部材が、前記電動モータと別体であり且つ前記リングギヤとも別体である」とするとともに、訂正前の請求項5が、請求項1を引用する請求項2、請求項1を引用する請求項2をさらに引用する請求項3、請求項1を引用する請求項2を引用する請求項3をさらに引用する請求項4のいずれか一項を引用する形式であったものを、他の請求項を引用しない独立形式請求項に改めるものである。 訂正事項5のうち、「前記取付部材が、前記電動モータと別体であり且つ前記リングギヤとも別体である」とした点については、「取付部材」の構造を「前記電動モータと別体であり且つ前記リングギヤとも別体である」と限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 また、願書に添付した明細書の発明の詳細な説明の段落【0033】の「ブラケットメンバ35 (取付部材に該当する)は、合成樹脂材料にて略平板状に形成されている。」との記載、同段落【0038】には、「ロアボデー32の内周面32bに固定されるブラケットメンバ35と、ブラケットメンバ35と係合して、ギヤボデー31内において半径方向に位置決めされる電動モータ34」との記載から、取付部材は、電動モータと別体であることは明らかであり、【図3】及び【図4】を併せてみれば、ブラケットメンバ35はリングギヤ47と別体であることが明らかである。したがって、「前記取付部材が、前記電動モータと別体であり且つ前記リングギヤとも別体である」とする訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてするものと認められる。 そして、訂正事項5のうち、訂正前の請求項5が訂正前の請求項5が、訂正前の請求項1を引用する訂正前の請求項2、訂正前の請求項1を引用する訂正前の請求項2をさらに引用する訂正前の請求項3、訂正前の請求項1を引用する訂正前の請求項2を引用する訂正前の請求項3を引用する訂正前の請求項4のいずれか一項を引用する形式であったものを、他の請求項を引用しない独立形式請求項に改める点については、引用関係の解消を目的とするものである。 したがって、訂正事項5は、特許請求の範囲の減縮及び引用関係の解消を目的とし、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 本件において、訂正前の請求項1、2、5及び6について特許異議の申立てがされているので、訂正前の請求項5に係る訂正事項5に関して、独立特許要件は課されない。 カ.一群の請求項に対する請求 訂正前の請求項1の記載を請求項2ないし5は引用する関係にあるから、上記訂正事項1ないし5に係る訂正請求は、一群の請求項(請求項1ないし5)に対して請求されたものである。 (2)訂正事項6について 訂正事項6は、訂正前の請求項6に係る発明に対して、「前記減速機構は、前記電動モータの出力軸に固着された駆動ギヤと、前記取付部材と係合して前記所定の方向に位置決めされるとともに、前記ギヤボデーに取り付けられた第1ギヤ軸と、該第1ギヤ軸上に形成され、前記駆動ギヤよりも多数の歯数を有し、前記駆動ギヤと噛合するとともに、前記回動部材に連結されることにより、前記電動モータの回転を減速して前記回動部材に伝達する第1従動ギヤと、前記第1ギヤ軸上に設けられ、前記第1従動ギヤと一体に回転する伝達ギヤと、前記ギヤボデーに取り付けられた第2ギヤ軸と、該第2ギヤ軸上に形成され、前記伝達ギヤよりも多数の歯数を有するとともに、前記伝達ギヤと噛合する第2従動ギヤと、前記第2ギヤ軸上に設けられ、前記第2従動ギヤと一体に回転するサンギヤと、前記サンギヤと噛合し、前記サンギヤの回転によって前記サンギヤの外周を公転する複数のプラネタリギヤと、前記プラネタリギヤの周囲に配置され、内周面において前記プラネクリギヤと噛合するとともに、前記ギヤボデーと係合することによって回転不能なリングギヤと、複数の前記プラネタリギヤ同士を接続するとともに前記回動部材に連結され、前記プラネタリギヤの公転によって回転され、前記サンギヤの回転を減速して前記回動部材に出力するキャリヤ部材と、を有し」とするとともに、「前記取付部材が、前記電動モータと別体であり且つ前記リングギヤとも別体である」とするものである。 訂正事項6のうち、「前記減速機構は、前記電動モータの出力軸に固着された駆動ギヤと、前記取付部材と係合して前記所定の方向に位置決めされるとともに、前記ギヤボデーに取り付けられた第1ギヤ軸と、該第1ギヤ軸上に形成され、前記駆動ギヤよりも多数の歯数を有し、前記駆動ギヤと噛合するとともに、前記回動部材に連結されることにより、前記電動モータの回転を減速して前記回動部材に伝達する第1従動ギヤと、前記第1ギヤ軸上に設けられ、前記第1従動ギヤと一体に回転する伝達ギヤと、前記ギヤボデーに取り付けられた第2ギヤ軸と、該第2ギヤ軸上に形成され、前記伝達ギヤよりも多数の歯数を有するとともに、前記伝達ギヤと噛合する第2従動ギヤと、前記第2ギヤ軸上に設けられ、前記第2従動ギヤと一体に回転するサンギヤと、前記サンギヤと噛合し、前記サンギヤの回転によって前記サンギヤの外周を公転する複数のプラネタリギヤと、前記プラネタリギヤの周囲に配置され、内周面において前記プラネクリギヤと噛合するとともに、前記ギヤボデーと係合することによって回転不能なリングギヤと、複数の前記プラネタリギヤ同士を接続するとともに前記回動部材に連結され、前記プラネタリギヤの公転によって回転され、前記サンギヤの回転を減速して前記回動部材に出力するキャリヤ部材と、を有し」とした点については、「減速機構」の構造を「前記電動モータの出力軸に固着された駆動ギヤと、前記取付部材と係合して前記所定の方向に位置決めされるとともに、前記ギヤボデーに取り付けられた第1ギヤ軸と、該第1ギヤ軸上に形成され、前記駆動ギヤよりも多数の歯数を有し、前記駆動ギヤと噛合するとともに、前記回動部材に連結されることにより、前記電動モータの回転を減速して前記回動部材に伝達する第1従動ギヤと、前記第1ギヤ軸上に設けられ、前記第1従動ギヤと一体に回転する伝達ギヤと、前記ギヤボデーに取り付けられた第2ギヤ軸と、該第2ギヤ軸上に形成され、前記伝達ギヤよりも多数の歯数を有するとともに、前記伝達ギヤと噛合する第2従動ギヤと、前記第2ギヤ軸上に設けられ、前記第2従動ギヤと一体に回転するサンギヤと、前記サンギヤと噛合し、前記サンギヤの回転によって前記サンギヤの外周を公転する複数のプラネタリギヤと、前記プラネタリギヤの周囲に配置され、内周面において前記プラネクリギヤと噛合するとともに、前記ギヤボデーと係合することによって回転不能なリングギヤと、複数の前記プラネタリギヤ同士を接続するとともに前記回動部材に連結され、前記プラネタリギヤの公転によって回転され、前記サンギヤの回転を減速して前記回動部材に出力するキャリヤ部材と、を有し」と限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 また、願書に添付した明細書の発明の詳細な説明の段落【0007】の「減速機構は、電動モータの出力軸に固着された駆動ギヤと、取付部材と係合して所定の方向に位置決めされるとともに、ギヤボデーに取り付けられた第1ギヤ軸と、第1ギヤ軸上に形成され、駆動ギヤよりも多数の歯数を有し、駆動ギヤと噛合するとともに、回動部材に連結されることにより、電動モータの回転を減速して回動部材に伝達する第1従動ギヤと、を含むことである。」との記載、同段落【0010】には、「減速機構は、第1ギヤ軸上に設けられ、第1従動ギヤと一体に回転する伝達ギヤと、ギヤボデーに取り付けられた第2ギヤ軸と、第2ギヤ軸上に形成され、伝達ギヤよりも多数の歯数を有するとともに、伝達ギヤと噛合する第2従動ギヤと、第2ギヤ軸上に設けられ、第2従動ギヤと一体に回転するサンギヤと、サンギヤと噛合し、サンギヤの回転によってサンギヤの外周を公転する複数のプラネタリギヤと、プラネタリギヤの周囲に配置され、内周面においてプラネタリギヤと噛合するとともに、ギヤボデーと係合することによって回転不能なリングギヤと、複数のプラネタリギヤ同士を接続するとともに回動部材に連結され、プラネタリギヤの公転によって回転され、サンギヤの回転を減速して回動部材に出力するキャリヤ部材と、を有することである。」との記載から、「前記減速機構は、前記電動モータの出力軸に固着された駆動ギヤと、前記取付部材と係合して前記所定の方向に位置決めされるとともに、前記ギヤボデーに取り付けられた第1ギヤ軸と、該第1ギヤ軸上に形成され、前記駆動ギヤよりも多数の歯数を有し、前記駆動ギヤと噛合するとともに、前記回動部材に連結されることにより、前記電動モータの回転を減速して前記回動部材に伝達する第1従動ギヤと、前記第1ギヤ軸上に設けられ、前記第1従動ギヤと一体に回転する伝達ギヤと、前記ギヤボデーに取り付けられた第2ギヤ軸と、該第2ギヤ軸上に形成され、前記伝達ギヤよりも多数の歯数を有するとともに、前記伝達ギヤと噛合する第2従動ギヤと、前記第2ギヤ軸上に設けられ、前記第2従動ギヤと一体に回転するサンギヤと、前記サンギヤと噛合し、前記サンギヤの回転によって前記サンギヤの外周を公転する複数のプラネタリギヤと、前記プラネタリギヤの周囲に配置され、内周面において前記プラネクリギヤと噛合するとともに、前記ギヤボデーと係合することによって回転不能なリングギヤと、複数の前記プラネタリギヤ同士を接続するとともに前記回動部材に連結され、前記プラネタリギヤの公転によって回転され、前記サンギヤの回転を減速して前記回動部材に出力するキャリヤ部材と、を有し」とする訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてするものと認められる。 また、訂正事項6のうち、「前記取付部材が、前記電動モータと別体であり且つ前記リングギヤとも別体である」とする訂正は、前記(1)オ.で検討したことと同様の理由で、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてするものと認められる。 したがって、訂正事項6は、特許請求の範囲の減縮を目的とし、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 本件において、訂正前の請求項1、2、5及び6について特許異議の申立てがされているので、訂正前の請求項6に係る訂正事項6に関して、独立特許要件は課されない。 3.小活 したがって、上記訂正請求による訂正事項1ないし6は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号又は第4号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項で準用する同法第126条第4項から第6項までの規定に適合するので、訂正後の請求項〔1、2、5〕、〔3〕、〔4〕、〔6〕について訂正を認める。 訂正後の請求項3に係る訂正事項3及び訂正後の請求項4に係る訂正事項4は、引用関係の解消を目的とする訂正であって、その訂正は認められるものである。そして、特許権者から、訂正後の請求項3及び4について訂正が認められるときは請求項1、2、5とは別の訂正単位として扱われることの求めがあったこと、及び訂正後の請求項6はもともと別の訂正単位であったことから、訂正後の請求項〔1、2、5〕、〔3〕、〔4〕、〔6〕については、別の訂正単位として訂正することを認める。 第3.特許異議の申立てについて 1.本件発明 本件訂正請求により訂正された訂正請求項1、2、5及び6に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1」、「本件発明2」、「本件発明5」及び「本件発明6」という。)は、その特許請求の範囲の請求項1、2、5及び6に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。 「【請求項1】 回動部材の回転運動を直進運動に変換して移動部材に伝達し、前記移動部材によって付勢されたブレーキパッドが、車輪とともに回転するディスクを押圧することにより前記車輪に制動力を発生させるパーキングブレーキアクチュエータを駆動するための電動パーキングブレーキ用駆動装置であって、 第1ピースと第2ピースとが互いに接合して形成されたギヤボデーと、 前記第1ピースの内周部に固定される取付部材と、 該取付部材と係合または一体化されて、前記ギヤボデー内において所定の方向に位置決めされる電動モータと、 前記第1ピースの内周面と前記電動モータとの間に介装され、前記電動モータを前記取付部材に向けて付勢する押圧部材と、 前記ギヤボデー内に収容され、前記電動モータの駆動力を前記回動部材に伝達する減速機構と、 を備え、 前記取付部材は、前記電動モータと別体であり該電動モータと固定される電動パーキングブレーキ用駆動装置。 【請求項2】 回動部材の回転運動を直進運動に変換して移動部材に伝達し、前記移動部材によって付勢されたブレーキパッドが、車輪とともに回転するディスクを押圧することにより前記車輪に制動力を発生させるパーキングブレーキアクチュエータを駆動するための電動パーキングブレーキ用駆動装置であって、 第1ピースと第2ピースとが互いに接合して形成されたギヤボデーと、 前記第1ピースの内周部に固定される取付部材と、 該取付部材と係合または一体化されて、前記ギヤボデー内において所定の方向に位置決めされる電動モータと、 前記第1ピースの内周面と前記電動モータとの間に介装され、前記電動モータを前記取付部材に向けて付勢する押圧部材と、 前記ギヤボデー内に収容され、前記電動モータの駆動力を前記回動部材に伝達する減速機構と、 を備え、 前記減速機構は、 前記電動モータの出力軸に固着された駆動ギヤと、 前記取付部材と係合して前記所定の方向に位置決めされるとともに、前記ギヤボデーに取り付けられた第1ギヤ軸と、 該第1ギヤ軸上に形成され、前記駆動ギヤよりも多数の歯数を有し、前記駆動ギヤと噛合するとともに、前記回動部材に連結されることにより、前記電動モータの回転を減速して前記回動部材に伝達する第1従動ギヤと、 を含み、 前記取付部材は、前記第1ピースに、前記第1ギヤ軸を挟むようにしてその両側に配置される部材によって固定される電動パーキングブレーキ用駆動装置。 【請求項5】 回動部材の回転運動を直進運動に変換して移動部材に伝達し、前記移動部材によって付勢されたブレーキパッドが、車輪とともに回転するディスクを押圧することにより前記車輪に制動力を発生させるパーキングブレーキアクチュエータを駆動するための電動パーキングブレーキ用駆動装置であって、 第1ピースと第2ピースとが互いに接合して形成されたギヤボデーと、 前記第1ピースの内周部に固定される取付部材と、 該取付部材と係合または一体化されて、前記ギヤボデー内において所定の方向に位置決めされる電動モータと、 前記第1ピースの内周面と前記電動モータとの間に介装され、前記電動モータを前記取付部材に向けて付勢する押圧部材と、 前記ギヤボデー内に収容され、前記電動モータの駆動力を前記回動部材に伝達する減速機構と、 を備え、 前記減速機構は、 前記電動モータの出力軸に固着された駆動ギヤと、 前記取付部材と係合して前記所定の方向に位置決めされるとともに、前記ギヤボデーに取り付けられた第1ギヤ軸と、 該第1ギヤ軸上に形成され、前記駆動ギヤよりも多数の歯数を有し、前記駆動ギヤと噛合するとともに、前記回動部材に連結されることにより、前記電動モータの回転を減速して前記回動部材に伝達する第1従動ギヤと、 前記第1ギヤ軸上に設けられ、前記第1従動ギヤと一体に回転する伝達ギヤと、 前記ギヤボデーに取り付けられた第2ギヤ軸と、 該第2ギヤ軸上に形成され、前記伝達ギヤよりも多数の歯数を有するとともに、前記伝達ギヤと噛合する第2従動ギヤと、 前記第2ギヤ軸上に設けられ、前記第2従動ギヤと一体に回転するサンギヤと、 前記サンギヤと噛合し、前記サンギヤの回転によって前記サンギヤの外周を公転する複数のプラネタリギヤと、 前記プラネタリギヤの周囲に配置され、内周面において前記プラネタリギヤと噛合するとともに、前記ギヤボデーと係合することによって回転不能なリングギヤと、 複数の前記プラネタリギヤ同士を接続するとともに前記回動部材に連結され、前記プラネタリギヤの公転によって回転され、前記サンギヤの回転を減速して前記回動部材に出力するキャリヤ部材と、 を有し、 前記取付部材が、前記電動モータと別体であり且つ前記リングギヤとも別体である電動パーキングブレーキ用駆動装置。 【請求項6】 車体に取り付けられたブレーキハウジングと、 前記ブレーキハウジングに対し、軸方向に移動可能かつ回転不能に取り付けられた移動部材と、 車輪とともに回転するディスクと前記移動部材との間に介装されたブレーキパッドと、 第1ピースと第2ピースとが互いに接合して形成され、前記ブレーキハウジングに取り付けられたギヤボデーと、 前記ギヤボデー内に取り付けられた電動モータと、 前記ギヤボデー内に収容され、前記電動モータの駆動力を伝達する減速機構と、 前記移動部材と噛合しており、前記減速機構を介して前記電動モータによって駆動されることにより前記移動部材を軸方向に移動させ、前記移動部材を介して前記ブレーキパッドを前記ディスクに向けて付勢する回動部材と、 を備えた電動パーキングブレーキ装置であって、 前記第1ピースの内周部には、取付部材が固定され、 前記電動モータは、前記取付部材と係合または一体化されて、前記ギヤボデー内において所定の方向に位置決めされ、 前記第1ピースの内周面と前記電動モータとの間には押圧部材が介装され、該押圧部材は、前記電動モータを前記取付部材に向けて付勢し、 前記減速機構は、 前記電動モータの出力軸に固着された駆動ギヤと、 前記取付部材と係合して前記所定の方向に位置決めされるとともに、前記ギヤボデーに取り付けられた第1ギヤ軸と、 該第1ギヤ軸上に形成され、前記駆動ギヤよりも多数の歯数を有し、前記駆動ギヤと噛合するとともに、前記回動部材に連結されることにより、前記電動モータの回転を減速して前記回動部材に伝達する第1従動ギヤと、 前記第1ギヤ軸上に設けられ、前記第1従動ギヤと一体に回転する伝達ギヤと、 前記ギヤボデーに取り付けられた第2ギヤ軸と、 該第2ギヤ軸上に形成され、前記伝達ギヤよりも多数の歯数を有するとともに、前記伝達ギヤと噛合する第2従動ギヤと、 前記第2ギヤ軸上に設けられ、前記第2従動ギヤと一体に回転するサンギヤと、 前記サンギヤと噛合し、前記サンギヤの回転によって前記サンギヤの外周を公転する複数のプラネタリギヤと、 前記プラネタリギヤの周囲に配置され、内周面において前記プラネタリギヤと噛合するとともに、前記ギヤボデーと係合することによって回転不能なリングギヤと、 複数の前記プラネタリギヤ同士を接続するとともに前記回動部材に連結され、前記プラネタリギヤの公転によって回転され、前記サンギヤの回転を減速して前記回動部材に出力するキャリヤ部材と、 を有し、 前記取付部材が、前記電動モータと別体であり且つ前記リングギヤとも別体である電動パーキングブレーキ装置。」 2.取消理由の概要 (1)平成29年4月28日付け訂正請求による特許請求の範囲の請求項1に係る特許に対して平成29年9月1日付けで特許権者に通知した取消理由(決定の予告)の要旨は次のとおりである。 ア.請求項1に対して 請求項1に係る発明は、甲第1号証記載の発明並びに甲第2号証及び甲第3号証記載の技術事項または、甲第1号証記載の発明及び甲第3号証記載の技術事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、請求項1に係る特許は取り消すべきものである。 (2)平成29年4月28日付け訂正請求前の特許請求の範囲の請求項2、5及び6に係る特許に対して平成29年3月6日付けで特許権者に通知した取消理由の要旨は次のとおりである。 ア.請求項2に対して 請求項2に係る発明は、甲第1号証記載の発明並びに甲第2号証及び甲第3号証記載の技術事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、請求項2に係る特許は取り消すべきものである。 イ.請求項5に対して 請求項5に係る発明は、甲第1号証記載の発明並びに甲第2号証及び甲第3号証記載の技術事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、請求項5に係る特許は取り消すべきものである。 ウ.請求項6に対して 請求項6に係る発明は、甲第1号証記載の発明並びに甲第2号証及び甲第3号証記載の技術事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、請求項6に係る特許は取り消すべきものである。 甲各号証は以下のとおりである。 甲第1号証:特開2012-229741号公報 甲第2号証:特開2013-155650号公報 甲第3号証:特開2008-17568号公報 3.甲各号証の記載 (1)甲第1号証(特開2012-229741号公報)には、【図2】及び【図3】とともに次の事項が記載されている。 ア.「【請求項1】 回動部材の回転運動を直進運動に変換してピストンに伝達し、前記ピストンによって付勢されたブレーキパッドが、車輪とともに回転するディスクを押圧することにより前記車輪に制動力を発生させるパーキングブレーキアクチュエータを駆動するための電動パーキングブレーキ用駆動装置であって、 電動モータと、 前記電動モータの駆動力を前記回動部材に伝達する減速機構と、 を備え、 前記減速機構は、 ギヤボデーと、 前記ギヤボデー内に設けられ、前記電動モータの出力軸に固着された駆動ギヤと、 前記ギヤボデーに設けられた第1軸受部によって、前記ギヤボデーに対して回転可能に支持される第1回転シャフトと、 前記第1回転シャフト上に形成され、前記回動部材に連結されるとともに、前記駆動ギヤよりも多数の歯数を有し、前記駆動ギヤと噛合することにより、前記電動モータの回転を減速して前記回動部材に伝達する第1従動ギヤと、 を含む電動パーキングブレーキ用駆動装置。 【請求項2】 前記減速機構は、 前記第1回転シャフト上に設けられ、前記第1従動ギヤと一体に回転する伝達ギヤと、 前記ギヤボデーに設けられた第2軸受部によって、前記ギヤボデーに対して回転可能に支持される第2回転シャフトと、 前記第2回転シャフト上に設けられ、前記伝達ギヤよりも多数の歯数を有するとともに、前記伝達ギヤと噛合する第2従動ギヤと、 前記第2回転シャフト上に設けられ、前記第2従動ギヤと一体に回転するサンギヤと、 前記サンギヤと噛合し、前記サンギヤの回転によって前記サンギヤの外周を公転する複数のプラネタリギヤと、 前記プラネタリギヤの周囲に配置され、内周面において前記プラネタリギヤと噛合するとともに、前記ギヤボデーと係合することによって回転不能なリングギヤと、 複数の前記プラネタリギヤ同士を接続するとともに前記回動部材に連結され、前記プラネタリギヤの公転によって回転され、前記サンギヤの回転を減速して前記回動部材に出力するキャリヤ部材と、 を有する請求項1記載の電動パーキングブレーキ用駆動装置。」 イ.「【請求項6】 車体に取り付けられたブレーキハウジングと、 前記ブレーキハウジングに対し移動可能に取り付けられたピストンと、 車輪とともに回転するディスクと前記ピストンとの間に介装されたブレーキパッドと、 前記ブレーキハウジングに対し移動不能に設けられた電動モータと、 前記電動モータの駆動力を伝達する減速機構と、 前記ブレーキハウジング内において、前記減速機構を介して前記電動モータにより駆動される回動部材と、 前記回動部材と噛合するとともに前記ブレーキハウジングに対して回転不能とされ、前記回動部材の回転により前記ピストンの軸方向に移動して、前記ピストンを介して前記ブレーキパッドを前記ディスクに向けて付勢する直進部材と、 を備えた電動パーキングブレーキ装置であって、 前記減速機構は、 前記ブレーキハウジングに取り付けられたギヤボデーと、 前記ギヤボデー内に設けられ、前記電動モータの出力軸に固着された駆動ギヤと、 前記ギヤボデーに設けられた第1軸受部によって、前記ギヤボデーに対して回転可能に支持される第1回転シャフトと、 前記第1回転シャフト上に形成され、前記回動部材に連結されるとともに、前記駆動ギヤよりも多数の歯数を有し、前記駆動ギヤと噛合することにより、前記電動モータの回転を減速して前記回動部材に伝達する第1従動ギヤと、 を含む電動パーキングブレーキ装置。」 ウ.「【0024】 本発明の構成外であるディスクロータ9(ディスクに該当する)は、その回転中心において車両外方へと突出したハット部91と、ハット部91の周囲に形成され、後述するように、第1ブレーキパッド21aおよび第2ブレーキパッド21bによって挟圧されるプレート部92とを有している。 図1に示すように、ハット部91の端面からは、複数のスタッドボルト93が突出している。ディスクロータ9は、これらのスタッドボルト93を用いて、図示しない車輪のディスクホイールに取り付けられており、これにより車輪と一体回転可能とされている。 【0025】 電動パーキングブレーキ装置Pのマウンティング11は、図示しない車両のナックルアーム(車体に該当する)に取り付けられて固定されている。マウンティング11には、第1ブレーキパッド21aおよび第2ブレーキパッド21bが保持されている(図1において、第2ブレーキパッド21bのみ示す)。第1ブレーキパッド21aは、ディスクロータ9と後述するピストン8との間に配置されている。 【0026】 マウンティング11には、一対のスライドピン12を介して、ブレーキハウジング13がディスクロータ9の回転軸φ方向(以下、回転軸方向という)に移動可能に取り付けられている。ブレーキハウジング13は、ディスクロータ9のプレート部92を跨ぐように、その断面形状が略コの字状に形成されている(図1および図2示)。また、ブレーキハウジング13には、第2ブレーキパッド21bを押圧するための一対の爪部13aが形成されている。 【0027】 図2に示すように、ブレーキハウジング13には、電動モータ3および減速機構4を含んだ電動パーキングブレーキ用駆動装置D1が取り付けられている。電動パーキングブレーキ用駆動装置D1については後述する。 ブレーキハウジング13の内部にはシリンダ部13bが形成されており、シリンダ部13b内に突出するように、スクリュー部材6(回動部材に該当する)が設けられている。回転軸方向に延びたスクリュー部材6は、ベアリング131を介してシリンダ部13bの底部13cに回転可能に取り付けられており、スクリュー部材6の外周面61と底部13cとの間には、合成樹脂材料または合成ゴム材料にて形成されたシール部材132が介装されている。 【0028】 シール部材132が回転軸方向に移動することを防止するために、シリンダ部13bの底部13cには、押えプレート133が配置されている。さらに、シリンダ部13bの内周面には、押えプレート133の抜け止めを行うスナップリング134が装着されている。 シリンダ部13b内には、スクリュー部材6の半径方向外方に位置するように、ナット部材7(直進部材に該当する)が設けられている。ナット部材7は略円筒形状を呈しており、その内周面71の軸方向端部には、雌ネジ部72が形成されている。ナット部材7の雌ネジ部72は、スクリュー部材6の外周面61に形成された雄ネジ部62と螺合している。また、ナット部材7の他側の端部73においては、複数の係合部74が外周面から半径方向外方に延びている。 シリンダ部13bには、ピストン8が回転軸方向に移動可能に嵌合しており、シリンダ部13bには、ピストン8の外周面81と係合するようにピストンシール135が装着されている。ピストンシール135は、前述したシール部材132とともに、シリンダ部13b内を外部から液密的に遮断している。 【0029】 ピストン8は一端が端部壁82により閉じられた略円筒状に形成され、端部壁82によって第1ブレーキパッド21aと当接可能になっている。ピストン8の内周面83には、前述したナット部材7が回転軸方向に相対移動可能に係合している。また、ピストン8の外周面81には突部84が形成され、シリンダ部13bには、スリット13dが回転軸方向に延びるように形成されている。ピストン8の突部84はスリット13dと係合しており、これによって、ピストン8はシリンダ部13bに対して回転不能に形成されている。 【0030】 一方、ピストン8の内周面83には、回転軸方向に延びた複数の摺動溝85が形成されており、それぞれ前述したナット部材7の係合部74が挿入されている。したがって、ナット部材7はピストン8に対して回転不能となるため、ピストン8を介してシリンダ部13bに対しても回転不能に形成される。 【0031】 スクリュー部材6は、前述した減速機構4を介して電動モータ3によって回転可能に形成されている。車両の駐車時にスクリュー部材6を回転させると、ナット部材7は回転不能であるため、ピストン8内をディスクロータ9に向けて回転軸方向(図2における左方へ)に移動する。ナット部材7の端部73はピストン8を押圧し、第1ブレーキパッド21aをディスクロータ9に向けて付勢する。 【0032】 一方、第1ブレーキパッド21aに発生する反力は、ピストン8、ナット部材7、スクリュー部材6および減速機構4を介してブレーキハウジング13へと働き、ブレーキハウジング13をピストン8と反対方向(図2において右方)へと付勢する。これにより、ブレーキハウジング13が回転軸方向に移動し、爪部13aが第2ブレーキパッド21bをディスクロータ9に向けて付勢する。したがって、ディスクロータ9は第1ブレーキパッド21aおよび第2ブレーキパッド21bによって挟圧され、車輪に制動力が付与される。」 エ.「【0034】 また、車両走行中に車両を減速させるため運転者がブレーキ操作を行うと、マスタシリンダ(図示せず)から吐出されたブレーキ液圧が、ブレーキ配管(図示せず)を介してシリンダ部13b内に供給される。シリンダ部13b内に供給されたブレーキ液圧は、ピストン8をナット部材7と切り離した状態で回転軸方向(図2における左方へ)に押圧し、第1ブレーキパッド21aをディスクロータ9に向けて付勢する。 上述したマウンティング11、スライドピン12、ブレーキハウジング13、第1ブレーキパッド21a、第2ブレーキパッド21b、スクリュー部材6、ナット部材7およびピストン8によりパーキングブレーキアクチュエータMを構成している。 【0035】 次に、図3乃至図5に基づき、パーキングブレーキアクチュエータMを駆動する電動パーキングブレーキ用駆動装置D1(以下、駆動装置D1という)について詳述する。尚、以下、図3における上方を駆動装置D1の上方とし、下方を駆動装置D1の下方として説明する。 減速機構4のギヤボデー41は、それぞれ合成樹脂材料にて一体的に形成されたロアボデー411およびアッパボデー412(それぞれボデーピースに該当する)が、内部に所定容量の空間を有するように互いに接合することにより形成されている。ギヤボデー41は、前述したブレーキハウジング13に固定されている。 ロアボデー411の外周縁には、回転軸方向に延びる囲繞壁411aが全周に渡って形成されている。一方、アッパボデー412の外周縁には、断面形状が略L字状の対向部412aが全周に形成されている。」 オ.「【0037】 図3に示すように、電動モータ3のフランジ部31に貫通させたスクリューネジ42を、ロアボデー411にインサートされたカラー部材411bに締め付けることにより、電動モータ3がロアボデー411に固定される。電動モータ3は、ロアボデー411を深く掘り下げた形状に形成されたモータ格納部411c内に収容されている。ロアボデー411の端部には、外部コネクタ(図示せず)を接続するための電源コネクタ部411dが形成されている。ロアボデー411内には、電源コネクタ部411dから電動モータ3へとつながる電力供給線(図示せず)がインサートされている。 電動モータ3は、ディスクロータ9の回転軸と平行に配置された出力シャフト32(出力軸に該当する)を有している。出力シャフト32には、外周面に斜歯431を有するピニオンギヤ43(駆動ギヤに該当する)が圧入等により固着されている。 【0038】 アッパボデー412の第1凹部412bには、第1アッパ軸受部材44aが取り付けられている。また、ロアボデー411のモータ壁部411e(外壁に該当する)には、第1ロア軸受部材44bが取り付けられている。第1アッパ軸受部材44aおよび第1ロア軸受部材44bは、第1軸受部に該当する。第1アッパ軸受部材44aおよび第1ロア軸受部材44bは、いずれも金属材料にて形成され、インサート成形または誘導加熱溶着等によりアッパボデー412あるいはロアボデー411に固定されている。 【0039】 第1アッパ軸受部材44aおよび第1ロア軸受部材44bには、金属材料製の第1ギヤシャフト45(第1回転シャフトに該当する)が回転可能に支持されている。第1ギヤシャフト45の上方には、半径方向に突出した第1鍔部451が形成されている。第1鍔部451には、インサート成形によって第1ホイルギヤ46(第1従動ギヤに該当する)が固着されている。後述するように、第1ホイルギヤ46は複数の部材を介して、スクリュー部材6と連結されている。 【0040】 第1ホイルギヤ46は合成樹脂材料にて形成されたヘリカルギヤで、外周面には斜歯461が設けられている。第1ホイルギヤ46は、前述したピニオンギヤ43の斜歯431と噛合している。第1ホイルギヤ46はピニオンギヤ43よりも大径に形成され、第1ホイルギヤ46の斜歯461の歯数は、ピニオンギヤ43の斜歯431の歯数よりも多く形成されている。 【0041】 第1ギヤシャフト45の下方には、外周面上にシャフトギヤ部452(伝達ギヤに該当する)が一体に形成されている。シャフトギヤ部452は、ピニオンギヤ43と同様に斜歯によって形成されており、第1ホイルギヤ46と一体に回転する。 また、アッパボデー412の第2凹部412cには、第2アッパ軸受部材47aが取り付けられている。 また、ロアボデー411の外周壁411f(外壁に該当する)およびモータ壁部411eからは、軸受固定面411g(支持壁に該当する)が図3における水平方向に延在している。軸受固定面411gは、後述する第2ギヤシャフト48の回転中心に向けて延び、プラネタリギヤ50と第2ホイルギヤ49との間を仕切っている。 【0042】 図5に示したように、軸受固定面411gは外形が真円状に形成され、その中心には支持孔411hが貫通するとともに、上下方向に延びたボス部411iが設けられている。ボス部411iには、第2ロア軸受部材47bが取り付けられている(図3示)。第2アッパ軸受部材47aおよび第2ロア軸受部材47bは、第2軸受部に該当する。第2アッパ軸受部材47aおよび第2ロア軸受部材47bは、いずれも金属材料にて形成され、インサート成形または誘導加熱溶着等によりアッパボデー412あるいはロアボデー411に固定されている。 【0043】 第2アッパ軸受部材47aおよび第2ロア軸受部材47bには、金属材料製の第2ギヤシャフト48(第2回転シャフトに該当する)が回転可能に支持されている。第2ギヤシャフト48の上方には、半径方向に突出した第2鍔部481が形成されている。第2鍔部481には、インサート成形によって第2ホイルギヤ49(第2従動ギヤに該当する)が固着されている。 【0044】 第2ホイルギヤ49は、第1ホイルギヤ46と同様に合成樹脂材料にて形成されたヘリカルギヤで、外周面には斜歯491が設けられている。第2ホイルギヤ49は、前述した第1ギヤシャフト45のシャフトギヤ部452と噛合している。第2ホイルギヤ49はシャフトギヤ部452よりも大径に形成され、第2ホイルギヤ49の斜歯491の歯数は、シャフトギヤ部452の歯数よりも多く形成されている。 【0045】 第2ギヤシャフト48の下端には、サンギヤ部482(サンギヤに該当する)が一体に形成されている。サンギヤ部482は、第2ホイルギヤ49と一体に回転する。 サンギヤ部482の周囲には、サンギヤ部482と噛合する複数のプラネタリギヤ50が配置されている。本実施形態においては、4個のプラネタリギヤ50が設けられている(図3において2個のみ示す)が、これに限られるものではない。各々のプラネタリギヤ50は金属材料により形成され、サンギヤ部482の回転によってサンギヤ部482の外周を公転する。 【0046】 また、プラネタリギヤ50の周囲には、合成樹脂材料にて形成されたリングギヤ51が配置されている。円環状をしたリングギヤ51は、内周面においてプラネタリギヤ50のそれぞれと噛合するとともに、ロアボデー411とスナップフィットにより係合し回転不能に形成されている。 図4および図5に示したように、前述した軸受固定面411gの外周縁には、略矩形状の3個の挿入孔411jが円周上に均等間隔に貫通している。各々の挿入孔411jの外周端からは、係合片411kが半径方向内方に突出している。」 カ.「【0049】 前述したプラネタリギヤ50には、複数のプラネタリギヤ50同士を接続するようにキャリヤ部材52が係合している。キャリヤ部材52は合成樹脂材料にて形成され、その下端部には出力部材53が接続されている。出力部材53は金属材料にて形成され、上述したスクリュー部材6に接続されている。したがって、キャリヤ部材52は、出力部材53を介してスクリュー部材6に連結されている。 上述したサンギヤ部482、プラネタリギヤ50、リングギヤ51およびキャリヤ部材52によって遊星歯車機構YGが形成される。キャリヤ部材52は、プラネタリギヤ50の公転によって回転され、サンギヤ部482の回転を減速してスクリュー部材6に出力することができる。」 キ.上記記載事項オ.の段落【0037】の「電動モータ3のフランジ部31に貫通させたスクリューネジ42を、ロアボデー411にインサートされたカラー部材411bに締め付けることにより、電動モータ3がロアボデー411に固定される。」との記載及び【図3】から、電動モータ3に一体化された電気モータ3のフランジ部31はロアボデー411の内周部に固定され、電動モータ3はギヤボデー41内において所定の方向に位置決めされることが分かり、また、電動モータ3のフランジ部31は、電動モータ3の一部を構成していることが分かる。 これらの記載事項、認定事項及び図面の図示内容を総合し、本件発明1の記載ぶりに則って整理すると、甲第1号証には、次の発明(以下、「甲1発明1」という。)が記載されている。 「スクリュー部材6の回転運動を直進運動に変換してピストン8に伝達し、前記ピストン8によって付勢された第1ブレーキパッド21aが、車輪とともに回転するディスクロータ9を押圧することにより前記車輪に制動力を発生させるパーキングブレーキアクチュエータMを駆動するための電動パーキングブレーキ用駆動装置D1であって、 ロアボデー411とアッパーボデー412とが互いに接合して形成されたギヤボデー41と、 前記ロアボデー411の内周部に固定される電動モータ3のフランジ部31と、 該電動モータ3のフランジ部31と一体化されて、前記ギヤボデー41において所定の方向に位置決めされる電動モータ3と、 前記ギヤボデー41内に収容され、前記電動モータ3の駆動力を前記スクリュー部材6に伝達する減速機構4と、 を備え、 前記電動モータ3のフランジ部31は、前記電動モータ3の一部である電動パーキングブレーキ用駆動装置。」 また、上記記載事項、認定事項及び図面の図示内容を総合し、本件発明2の記載ぶりに則って整理すると、甲第1号証には、次の発明(以下、「甲1発明2」という。)が記載されている。 「スクリュー部材6の回転運動を直進運動に変換してピストン8に伝達し、前記ピストン8によって付勢された第1ブレーキパッド21aが、車輪とともに回転するディスクロータ9を押圧することにより前記車輪に制動力を発生させるパーキングブレーキアクチュエータMを駆動するための電動パーキングブレーキ用駆動装置D1であって、 ロアボデー411とアッパーボデー412とが互いに接合して形成されたギヤボデー41と、 前記ロアボデー411の内周部に固定される電動モータ3のフランジ部31と、 該電動モータ3のフランジ部31と一体化されて、前記ギヤボデー41において所定の方向に位置決めされる電動モータ3と、 前記ギヤボデー41内に収容され、前記電動モータ3の駆動力を前記スクリュー部材6に伝達する減速機構4と、 を備え、 前記減速機構4は、 前記電動モータ3の出力シャフト32に固着されたピニオンギヤ43と、 前記ギヤボデー41に取り付けられた第1ギヤシャフト45と、 該第1ギヤシャフト45上に形成され、前記ピニオンギヤ43よりも多数の歯数を有し、前記ピニオンギヤ43と噛合するとともに、前記スクリュー部材6に連結されることにより、前記電動モータ3の回転を減速して前記スクリュー部材6に伝達する第1ホイルギヤ46と、 を含み、 前記電動モータ3のフランジ部31は、前記ロアボデー411に、スクリューネジ42によって固定される電動パーキングブレーキ用駆動装置D1。」 また、上記記載事項、認定事項及び図面の図示内容を総合し、本件発明5の記載ぶりに則って整理すると、甲第1号証には、次の発明(以下、「甲1発明3」という。)が記載されている。 「スクリュー部材6の回転運動を直進運動に変換してピストン8に伝達し、前記ピストン8によって付勢された第1ブレーキパッド21aが、車輪とともに回転するディスクロータ9を押圧することにより前記車輪に制動力を発生させるパーキングブレーキアクチュエータMを駆動するための電動パーキングブレーキ用駆動装置D1であって、 ロアボデー411とアッパーボデー412とが互いに接合して形成されたギヤボデー41と、 前記ロアボデー411の内周部に固定される電動モータ3のフランジ部31と、 該電動モータ3のフランジ部31と一体化されて、前記ギヤボデー41において所定の方向に位置決めされる電動モータ3と、 前記ギヤボデー41内に収容され、前記電動モータ3の駆動力を前記スクリュー部材6に伝達する減速機構4と、 を備え、 前記減速機構4は、 前記電動モータ3の出力シャフト32に固着されたピニオンギヤ43と、 前記ギヤボデー41に取り付けられた第1ギヤシャフト45と、 該第1ギヤシャフト45上に形成され、前記ピニオンギヤ43よりも多数の歯数を有し、前記ピニオンギヤ43と噛合するとともに、前記スクリュー部材6に連結されることにより、前記電動モータ3の回転を減速して前記スクリュー部材6に伝達する第1ホイルギヤ46と、 前記第1ギヤシャフト45上に設けられ、前記第1ホイルギヤ46と一体に回転するギヤ部562と、 前記ギヤボデー41に取り付けられた第2回転シャフト48と、 該第2回転シャフト48上に形成され、前記ギヤ部562よりも多数の歯数を有するとともに、前記ギヤ部562と噛合する第2ホイルギヤ49と、 前記第2回転シャフト48上に設けられ、前記第2ホイルギヤ49と一体に回転するサンギア部482と、 前記サンギア部482と噛合し、前記サンギア部482の回転によって前記サンギア部482の外周を公転する複数のプラネタリギヤ50と、 前記プラネタリギヤ50の周囲に配置され、内周面において前記プラネタリギヤ50と噛合するとともに、前記ギヤボデー41と係合することによって回転不能なリングギヤ51と、 複数の前記プラネタリギヤ50同士を接続するとともに前記スクリュー部材6に連結され、前記プラネタリギヤ50の公転によって回転され、前記サンギア部482の回転を減速して前記スクリュー部材6に出力するキャリア部材52と、 を有し、 前記電動モータ3のフランジ部31が、リングギヤ51と別体である電動パーキングブレーキ用駆動装置D1。」 また、上記記載事項、認定事項及び図面の図示内容を総合し、本件発明6の記載ぶりに則って整理すると、甲第1号証には、次の発明(以下、「甲1発明4」という。)が記載されている。 「車体に取り付けられたブレーキハウジング13と、 前記ブレーキハウジング13に対し、軸方向に移動可能かつ回転不能に取り付けられたピストン8と、 車輪とともに回転するディスクロータ9と前記ピストン8との間に介装された第1ブレーキパッド21aと、 ロアボデー411とアッパーボデー412とが互いに接合して形成され、前記ブレーキハウジング13に取り付けられたギヤボデー41と、 前記ギヤボデー41内に取り付けられた電動モータ3と、 前記ギヤボデー41内に収容され、前記電動モータ3の駆動力を伝達する減速機構4と、 前記ピストン8と噛合しており、前記減速機構4を介して前記電動モータ3によって駆動されることにより前記ピストン8を軸方向に移動させ、前記ピストン8を介して前記第1ブレーキパッド21aを前記ディスクロータ9に向けて付勢するスクリュー部材6と、 を備えた電動パーキングブレーキ装置Pであって、 前記ロアボデー411の内周部には、電動モータ3のフランジ部31が固定され、 前記電動モータ3は、前記電動モータ3のフランジ部31と一体化されて、前記ギヤボデー41内において所定の方向に位置決めされ、 前記減速機構4は、 前記電動モータ3の出力シャフト32に固着されたピニオンギヤ43と、 前記ギヤボデー41に取り付けられた第1ギヤシャフト45と、 該第1ギヤシャフト45上に形成され、前記ピニオンギヤ43よりも多数の歯数を有し、前記ピニオンギヤ43と噛合するとともに、前記スクリュー部材6に連結されることにより、前記電動モータ3の回転を減速して前記スクリュー部材6に伝達する第1ホイルギヤ46と、 前記第1ギヤシャフト45上に設けられ、前記第1ホイルギヤ46と一体に回転するギヤ部562と、 前記ギヤボデー41に取り付けられた第2回転シャフト48と、 該第2回転シャフト48上に形成され、前記ギヤ部562よりも多数の歯数を有するとともに、前記ギヤ部562と噛合する第2ホイルギヤ49と、 前記第2回転シャフト48上に設けられ、前記第2ホイルギヤ49と一体に回転するサンギア部482と、 前記サンギア部482と噛合し、前記サンギア部482の回転によって前記サンギア部482の外周を公転する複数のプラネタリギヤ50と、 前記プラネタリギヤ50の周囲に配置され、内周面において前記プラネタリギヤ50と噛合するとともに、前記ギヤボデー41と係合することによって回転不能なリングギヤ51と、 複数の前記プラネタリギヤ50同士を接続するとともに前記スクリュー部材6に連結され、前記プラネタリギヤ50の公転によって回転され、前記サンギア部482の回転を減速して前記スクリュー部材6に出力するキャリア部材52と、 を有し、 前記電動モータ3のフランジ部31が、リングギヤ51と別体である電動パーキングブレーキ装置P。」 (2)甲第2号証(特開2013-155650号公報)には、図4とともに次の事項が記載されている。 ア.「【0035】 アルミダイキャスト製の絞り弁組体(以下スロットルボディと呼ぶ)6には吸気通路1(以下ボアと呼ぶ)とモータ20収納用のモータハウジング20Aが一緒に成型されている。スロットルボディ6にはボア1の一つの直径線に沿って金属製の回転軸(以下スロットルシャフトと呼ぶ)3が配置されている。スロットルシャフト3の両端はニードルベアリング9、10で回転支持されている。ニードルベアリング9、10はスロットルボディ6に設けた軸受ボス部7、8に圧入固定されている。また、スロットルシャフト3上に設けたスリット部にC型ワッシャ(以下スラストリテーナと呼ぶ)12を挿入後、ニードルベアリング9を圧入することで、スロットルシャフト4の軸方向の可動量を規制している。かくしてスロットルシャフト3はスロットルボディ6に対して回転可能に支持されている。スロットルシャフト3には金属材製の円板で構成される絞り弁(以下スロットル弁と呼ぶ)2がスロットルシャフト3に設けたスリットに差込まれ、ねじ4、5でスロットルシャフト3に固定されている。かくして、スロットルシャフト3が回転するとスロットル弁2が回転し、結果的に吸気通路の断面積が変化してエンジンへの吸入空気流量が制御される。モータハウジング20Aはスロットルシャフト3とほぼ並行に形成されており、図1~図3に示したモータ20がモータハウジング20A内に差込まれ、スロットルボディ6の側壁6Aにモータ20のブラケット20Bのフランジ部をねじ21でねじ止めすることで固定されている。また、モータ20の端部にはウェーブワッシャ25が配設されモータ20を保持する。・・・(後略)・・・」 (3)甲第3号証(特開2008-17568号公報 )には【図1】とともに次の事項が記載されている。 ア.「【0020】 このようなモータ4は、スロットルボディ5に形成されたモータ収容部7に収容されている。モータ4のブラケット22は、ボルト19によって、スロットルボディ5に固定されており、モータ4は、スロットルボディ5に対しては強固に固定されている。モータ収容部7の底部7aとヨーク21の端面21aとの間には、ウェーブワッシャ20が装着されている。モータ4は、ウェーブワッシャ20を押圧しつつモータ収容部7に収容固定され、ウェーブワッシャ20の付勢力により、モータ4の振動を吸収できるようになっている。」 イ.「【0031】 一方、前述の実施例において、ヨーク端面21bを強度的に問題のない範囲で適宜切り欠いて切欠部を形成し、ヨーク21とブラケット22の接触面積を減らして、ヨーク21をより振れ易くすることも可能である。また、ヨーク21のブラケット22側の端部に孔を開けることなどにより、ヨーク21の端部に緩衝部を設けてヨーク21を振れ易くしても良い。さらに、ウェーブワッシャ20の予圧は、ウェーブワッシャ20の仕様を適宜変更することにより調節でき、これにより、モータやETCの仕様に応じて、ヨーク21やカシメ部23の応力を最適化しつつ、アーマチュア26に発生する振動エネルギを調節することができる。なお、モータ4に予圧を付与する弾性部材としては、ウェーブワッシャ以外にも、ゴムや合成樹脂、圧縮コイルバネ等を使用することもできる。」 4.判断 4-1.平成29年9月1日付けで特許権者に通知した取消理由(決定の予告)に記載した取消理由について (1)本件発明1について ア.対比 本件発明1と甲1発明1とを対比すると、その技術的意義、機能または構造からみて、甲1発明1における「スクリュー部材6」は本件発明1における「移動部材」に相当し、以下同様に、「ピストン8」は「移動部材」に、「第1ブレーキパッド21a」は「ブレーキパッド」に、「ディスクロータ9」は「ディスク」に、「パーキングブレーキアクチュエータM」は「パーキングブレーキアクチュエータ」に、「電動パーキングブレーキ用駆動装置D1」は「電動パーキングブレーキ用駆動装置」に、「ロアボデー411」は「第1ピース」に、「アッパーボデー412」は「第2ピース」に、「ギヤボデー41」は「ギヤボデー」に、「電動モータ3のフランジ部31」は[取付部材]に、「電動モータ3]は「電動モータ」に、「減速機構4」は「減速機構」に、それぞれ相当する。 以上の点から見て、本件発明1と甲1発明1とは、 [一致点] 「回動部材の回転運動を直進運動に変換して移動部材に伝達し、前記移動部材によって付勢されたブレーキパッドが、車輪とともに回転するディスクを押圧することにより前記車輪に制動力を発生させるパーキングブレーキアクチュエータを駆動するための電動パーキングブレーキ用駆動装置であって、 第1ピースと第2ピースとが互いに接合して形成されたギヤボデーと、 前記第1ピースの内周部に固定される取付部材と、 前記ギヤボデーにおいて所定の方向に位置決めされる電動モータと、 前記ギヤボデー内に収容され、前記電動モータの駆動力を前記回動部材に伝達する減速機構と、 を備える電動パーキングブレーキ用駆動装置。」 である点で一致し、次の各点で相違する。 [相違点1] 本件発明1では、「前記第1ピースの内周面と前記電動モータとの間に介装され、前記電動モータを前記取付部材に向けて付勢する押圧部材」を備えるのに対し、甲1発明1では、かかる構成を有しない点。 [相違点2] 本件発明1では、「取付部材」が「電動モータと別体であり」、「電動モータ」は「取付部材と係合または一体化され」て、「取付部材」は「電動モータと固定される」ものであるのに対し、甲1発明1では、「取付部材」が「電動モータと別体で」ない点。 イ.判断 事案に鑑み相違点2について検討する。 甲第1号証、甲第2号証及び甲第3号証には、取付部材が、電動モータと別体である点について記載も、示唆もない。 そうすると、相違点2に係る本件発明1の発明特定事項は、甲1発明1、甲1記載の技術事項、甲2記載の技術事項及び甲3記載の技術事項から当業者が容易に想到し得たものとはいえない。 ウ.異議申立人の主張 異議申立人は平成29年6月30日付けの意見書で、「一方、本件特許異議申立書26ページに記載したとおり、本件特許発明1における『取付部材』は、甲1A発明における『電動モータの一部(フランジ部31)』を含む定義となっております。」(意見書第3ページ第16行ないし第20行)旨の主張をしている。 この点について検討すると、本件訂正により請求項1は「取付部材」に対して、「前記電動モータと別体であり該電動モータと固定される」と訂正され、「取付部材」と「電動モータ」は別体であって、取付部材が電動モータの一部を構成するものではないことが特定された。 したがって、当該異議申立人の主張は理由がない。 エ.小活 したがって、相違点1について検討するまでもなく、本件発明1は、甲1発明1、甲1記載の技術事項、甲2記載の技術事項及び甲3記載の技術事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。 4-2.平成29年3月6日付けで特許権者に通知した取消理由に記載した取消理由について (1)本件発明2について ア.対比 本件発明2と甲1発明2とを対比すると、その技術的意義、機能または構造からみて、甲1発明2における「出力シャフト32」は本件発明2における「出力軸」に相当し、以下同様に、「ピニオンギヤ43」は「駆動ギヤ」に、「第1ギヤシャフト45」は「第1ギヤ軸」に、「第1ホイルギヤ46」は「第1従動ギヤ」に、それぞれ相当する。 なお、本件発明1と甲1発明1との対比と共通する事項は省略している。 また、甲1発明2における「スクリューネジ42」は、「スクリューネジ」という限りにおいて、本件発明2における「記第1ギヤ軸を挟むようにしてその両側に配置される部材]と共通する。 以上の点から見て、本件発明2と甲1発明2とは、 [一致点] 「回動部材の回転運動を直進運動に変換して移動部材に伝達し、前記移動部材によって付勢されたブレーキパッドが、車輪とともに回転するディスクを押圧することにより前記車輪に制動力を発生させるパーキングブレーキアクチュエータを駆動するための電動パーキングブレーキ用駆動装置であって、 第1ピースと第2ピースとが互いに接合して形成されたギヤボデーと、 前記第1ピースの内周部に固定される取付部材と、 該取付部材と一体化されて、前記ギヤボデーにおいて所定の方向に位置決めされる電動モータと、 前記ギヤボデー内に収容され、前記電動モータの駆動力を前記回動部材に伝達する減速機構と、 を備え、 前記減速機構は、 前記電動モータの出力軸に固着された駆動ギヤと、 前記ギヤボデーに取り付けられた第1ギヤ軸と、 該第1ギヤ軸上に形成され、前記駆動ギヤよりも多数の歯数を有し、前記駆動ギヤと噛合するとともに、前記回動部材に連結されることにより、前記電動モータの回転を減速して前記回動部材に伝達する第1従動ギヤと、 を含み、 前記取付部材は、前記第1ピースに、スクリユーネジによって固定される電動パーキングブレーキ用駆動装置。」 である点で一致し、次の各点で相違する。 [相違点3] 本件発明2では、「前記第1ピースの内周面と前記電動モータとの間に介装され、前記電動モータを前記取付部材に向けて付勢する押圧部材」を備えるのに対し、甲1発明2では、かかる構成を有しない点。 [相違点4] 本件発明2では、「第1ギヤ軸」が「前記取付部材と係合して所定の方向に位置決めされる」のに対し、甲1発明2では、「第1ギヤシャフト45」が「電動モータ3のフランジ部31」に係合しない点。 [相違点5] 本件発明2では、「取付部材は、前記第1ピースに、前記第1ギヤ軸を挟むようにしてその両側に配置される部材によって固定される」のに対し、甲1発明2では、かかる構成を有しない点。 イ.判断 事案に鑑み相違点5について検討する。 甲第1号証、甲第2号証及び甲第3号証には、取付部材は、前記第1ピースに、前記第1ギヤ軸を挟むようにしてその両側に配置される部材によって固定される点について記載も、示唆もない。 そうすると、相違点5に係る本件発明2の発明特定事項は、甲1発明2、甲1記載の技術事項、甲2記載の技術事項及び甲3記載の技術事項から当業者が容易に想到し得たものとはいえない。 したがって、相違点3及び4について検討するまでもなく、本件発明2は、甲1発明2、甲1記載の技術事項、甲2記載の技術事項及び甲3記載の技術事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。 (2)本件発明5について ア.対比 本件発明5と甲1発明3とを対比すると、その技術的意義、機能または構造からみて、甲1発明3における「ギヤ部562」は本件発明5における「伝達ギヤ」に相当し、以下同様に、「第2回転シャフト48」は「第2ギヤ軸」に、「第2ホイルギヤ49」は「第2従動ギヤ」に、「サンギア部482」は「サンギヤ」に、「プラネタリギヤ50」は「プラネタリギヤ」に、「リングギヤ51」は「リングギヤ」に、「キャリア部材52」は「キャリヤ部材」に、それぞれ相当する。 なお、本件発明1と甲1発明1との対比と共通する事項及び本件発明2と甲1発明2との対比と共通する事項は省略している。 以上の点から見て、本件発明5と甲1発明3とは、 [一致点] 「回動部材の回転運動を直進運動に変換して移動部材に伝達し、前記移動部材によって付勢されたブレーキパッドが、車輪とともに回転するディスクを押圧することにより前記車輪に制動力を発生させるパーキングブレーキアクチュエータを駆動するための電動パーキングブレーキ用駆動装置であって、 第1ピースと第2ピースとが互いに接合して形成されたギヤボデーと、 前記第1ピースの内周部に固定される取付部材と、 前記ギヤボデーにおいて所定の方向に位置決めされる電動モータと、 前記ギヤボデー内に収容され、前記電動モータの駆動力を前記回動部材に伝達する減速機構と、 を備え、 前記減速機構は、 前記電動モータの出力軸に固着された駆動ギヤと、 前記ギヤボデーに取り付けられた第1ギヤ軸と、 該第1ギヤ軸上に形成され、前記駆動ギヤよりも多数の歯数を有し、前記駆動ギヤと噛合するとともに、前記回動部材に連結されることにより、前記電動モータの回転を減速して前記回動部材に伝達する第1従動ギヤと、 前記第1ギヤ軸上に設けられ、前記第1従動ギヤと一体に回転する伝達ギヤと、 前記ギヤボデーに取り付けられた第2ギヤ軸と、 該第2ギヤ軸上に形成され、前記伝達ギヤよりも多数の歯数を有するとともに、前記伝達ギヤと噛合する第2従動ギヤと、 前記第2ギヤ軸上に設けられ、前記第2従動ギヤと一体に回転するサンギヤと、 前記サンギヤと噛合し、前記サンギヤの回転によって前記サンギヤの外周を公転する複数のプラネタリギヤと、 前記プラネタリギヤの周囲に配置され、内周面において前記プラネタリギヤと噛合するとともに、前記ギヤボデーと係合することによって回転不能なリングギヤと、 複数の前記プラネタリギヤ同士を接続するとともに前記回動部材に連結され、前記プラネタリギヤの公転によって回転され、前記サンギヤの回転を減速して前記回動部材に出力するキャリヤ部材と、 を有し、 前記取付部材が、前記リングギヤと別体である電動パーキングブレーキ用駆動装置。」 である点で一致し、次の各点で相違する。 [相違点6] 本件発明5では、「前記第1ピースの内周面と前記電動モータとの間に介装され、前記電動モータを前記取付部材に向けて付勢する押圧部材」を備えるのに対し、甲1発明3では、かかる構成を有しない点。 [相違点7] 本件発明5では、「第1ギヤ軸」が「前記取付部材と係合して所定の方向に位置決めされる」のに対し、甲1発明3では、「第1ギヤシャフト45」が「電動モータ3のフランジ部31」に係合しない点。 [相違点8] 本件発明5では、「取付部材」が「電動モータと別体であり」、「電動モータ」が「取付部材と係合または一体化され」るものであるのに対し、甲1発明3では、「取付部材」が[電動モータと別体で」ない点。 イ.事案に鑑み相違点8について検討する。 甲第1号証、甲第2号証及び甲第3号証には、取付部材が、電動モータと別体である点について記載も、示唆もない。 そうすると、相違点8に係る本件発明5の発明特定事項は、甲1発明3、甲1記載の技術事項、甲2記載の技術事項及び甲3記載の技術事項から当業者が容易に想到し得たものとはいえない。 したがって、相違点6及び7について検討するまでもなく、本件発明5は、甲1発明3、甲1記載の技術事項、甲2記載の技術事項及び甲3記載の技術事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。 (3)本件発明6について ア.対比 本件発明6と甲1発明4とを対比すると、その技術的意義、機能または構造からみて、甲1発明4における「ブレーキハウジング13」は本件発明6における「ブレーキハウジング」に相当し、同様に、「電動パーキングブレーキ装置P」は「電動パーキングブレーキ装置」に相当する。 なお、本件発明1と甲1発明1との対比と共通する事項、本件発明2と甲1発明2との対比と共通する事項及び本件発明5と甲1発明3との対比と共通する事項は省略している。 以上の点から見て、本件発明6と甲1発明4とは、 [一致点] 「車体に取り付けられたブレーキハウジングと、 前記ブレーキハウジングに対し、軸方向に移動可能かつ回転不能に取り付けられた移動部材と、 車輪とともに回転するディスクと前記移動部材との間に介装されたブレーキパッドと、 第1ピースと第2ピースとが互いに接合して形成され、前記ブレーキハウジングに取り付けられたギヤボデーと、 前記ギヤボデー内に取り付けられた電動モータと、 前記ギヤボデー内に収容され、前記電動モータの駆動力を伝達する減速機構と、 前記移動部材と噛合しており、前記減速機構を介して前記電動モータによって駆動されることにより前記移動部材を軸方向に移動させ、前記移動部材を介して前記ブレーキパッドを前記ディスクに向けて付勢する回動部材と、 を備えた電動パーキングブレーキ装置であって、 前記第1ピースの内周部には、取付部材が固定され、 前記電動モータは、前記ギヤボデー内において所定の方向に位置決めされ、 前記減速機構は、 前記電動モータの出力軸に固着された駆動ギヤと、 前記ギヤボデーに取り付けられた第1ギヤ軸と、 該第1ギヤ軸上に形成され、前記駆動ギヤよりも多数の歯数を有し、前記駆動ギヤと噛合するとともに、前記回動部材に連結されることにより、前記電動モータの回転を減速して前記回動部材に伝達する第1従動ギヤと、 前記第1ギヤ軸上に設けられ、前記第1従動ギヤと一体に回転する伝達ギヤと、 前記ギヤボデーに取り付けられた第2ギヤ軸と、 該第2ギヤ軸上に形成され、前記伝達ギヤよりも多数の歯数を有するとともに、前記伝達ギヤと噛合する第2従動ギヤと、 前記第2ギヤ軸上に設けられ、前記第2従動ギヤと一体に回転するサンギアと、 前記サンギアと噛合し、前記サンギヤの回転によって前記サンギヤの外周を公転する複数のプラネタリギヤと、 前記プラネタリギヤの周囲に配置され、内周面において前記プラネタリギヤと噛合するとともに、前記ギヤボデーと係合することによって回転不能なリングギヤと、 複数の前記プラネタリギヤ同士を接続するとともに前記回動部材に連結され、前記プラネタリギヤの公転によって回転され、前記サンギヤの回転を減速して前記回動部材に出力するキャリア部材と、 を有し、 前記取付部材が、リングギヤと別体である電動パーキングブレーキ装置。」 である点で一致し、次の各点で相違する。 [相違点9] 本件発明6では、「前記第1ピースの内周面と前記電動モータとの間に介装され、前記電動モータを前記取付部材に向けて付勢する押圧部材」を備えるのに対し、甲1発明4では、かかる構成を有しない点。 [相違点10] 本件発明6では、「第1ギヤ軸」が「前記取付部材と係合して所定の方向に位置決めされる」のに対し、甲1発明4では、「第1ギヤシャフト45」が「電動モータ3のフランジ部31」に係合しない点。 [相違点11] 本件発明6では、「取付部材」が「電動モータと別体であり」、「電動モータ」が「取付部材と係合または一体化され」るものであるのに対し、甲1発明4では、「取付部材」が[電動モータと別体で」ない点。 イ.判断 事案に鑑み相違点11について検討する。 甲第1号証、甲第2号証及び甲第3号証には、取付部材が、電動モータと別体である点について記載も、示唆もない。 そうすると、相違点11に係る本件発明6の発明特定事項は、甲1発明4、甲1記載の技術事項、甲2記載の技術事項及び甲3記載の技術事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。 したがって、相違点9及び10について検討するまでもなく、本件発明6は、甲1発明4、甲1記載の技術事項、甲2記載の技術事項及び甲3記載の技術事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。 第4.むすび 以上のとおり、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件発明1、2、5及び6に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に本件発明1、2、5及び6に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2016-701205

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