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特許異議申立

2021-700248

車両用のブレーキ液圧制御装置、及び、モータサイクル用ブレーキシステム

審判番号
2021-700248
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2016-249001
登録番号
6753771
請求日
2021年03月08日
審決日
2022年01月14日
公報発行日
2022年05月27日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
  • 【権利者代理人】特許業務法人青海特許事務所
  • 【異議申立人】伊藤 裕美
審判長/審判官
  • 審判長 間中 耕治
  • 審判官 中村 大輔
  • 審判官 内田 博之
分類
P1651.121-YAA(B60T)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項特許法113条2号特許法120条の8第1項特許法135条
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第2項、特許法第29条第2項、特許法第120条の5第4項、特許法第120条の8第1項、特許法第135条
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第6753771号発明「車両用のブレーキ液圧制御装置、及び、モータサイクル用ブレーキシステム」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第6753771号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1、〔2~7〕について訂正することを認める。 特許第6753771号の請求項2~7に係る特許を維持する。 特許第6753771号の請求項1に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。

理由

理 由 特許第6753771号(以下、「本件特許」という。)の請求項1~7に係る特許についての出願は、平成28年12月22日(優先権主張日 平成28年6月30日)の特許出願であって、令和2年8月24日にその特許権の設定登録がされ、令和2年9月9日に特許掲載公報が発行された。 本件特許についての特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。 令和3年 3月 8日 :特許異議申立人伊藤裕美(以下、「申立人」 という。)による請求項1~7に係る特許に 対する特許異議の申立て 令和3年 6月 4日付け:取消理由通知 令和3年 9月 7日 :特許権者による意見書の提出及び訂正請求( 以下、この訂正請求を「本件訂正請求」とい い、本件訂正請求による訂正を「本件訂正」 という。) 令和3年 9月17日付け:手続補正指令(方式) 令和3年10月 7日 :手続補正書(方式)の提出 令和3年11月 1日付け:訂正請求があった旨の通知 令和3年12月 9日 :申立人による意見書(以下、「申立人意見書 」という。)の提出 第2 本件訂正の適否についての判断 1.訂正の趣旨 本件訂正請求の趣旨は、「特許第6753771号の特許請求の範囲を本訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~7について訂正することを求める。」というものである。 2.訂正の内容 本件訂正の内容は、以下のとおりである(下線は当審において付した。以下同様。)。 (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1を削除する。 (2)訂正事項2 特許請求の範囲の請求項2を独立形式に改め、 「 ブレーキ液の流路(4)が形成された基体(10)と、 前記流路(4)に設けられているポンプ装置(2)を駆動するための、前記基体(10)に取り付けられているモータ(13)と、 前記モータ(13)を収納しているケーシング(12)と、 前記モータ(13)の動作を制御する制御器(7)の回路基板(7F)と、 を備えている、車両用のブレーキ液圧制御装置(1)であって、 前記モータ(13)のモータ端子(13T)と前記回路基板(7F)とは、金属片(7E)を介して接続されており、 前記金属片(7E)は、前記ケーシング(12)と前記回路基板(7F)との間に設けられており、 前記金属片(7E)のうちの、前記回路基板(7F)に接続される側の端部である第1端部(7Ea)の基部(7Ea2)は、前記ケーシング(12)側から支承されており、 前記金属片(7E)のうちの、前記第1端部(7Ea)の先端部(7Ea1)は、前記回路基板(7F)に形成されている第1端子用穴(7Da)に挿入されており、 前記ケーシング(12)の前記回路基板(7F)に対向する第1面部(50)に、凹部(50A)が形成されており、 前記基部(7Ea2)が、前記凹部(50A)に挿入されていて、該凹部(50A)によって支承されている、 ブレーキ液圧制御装置。」に訂正する。 (3)訂正事項3 特許請求の範囲の請求項3に「請求項1又は2に記載のブレーキ液圧制御装置。」と記載されているのを、「請求項2に記載のブレーキ液圧制御装置。」に訂正する。 (4)訂正事項4 特許請求の範囲の請求項5のうち、請求項1を引用するものについて、独立形式に改め、 「 ブレーキ液の流路(4)が形成された基体(10)と、 前記流路(4)に設けられているポンプ装置(2)を駆動するための、前記基体(10)に取り付けられているモータ(13)と、 前記モータ(13)を収納しているケーシング(12)と、 前記モータ(13)の動作を制御する制御器(7)の回路基板(7F)と、 を備えている、車両用のブレーキ液圧制御装置(1)であって、 前記モータ(13)のモータ端子(13T)と前記回路基板(7F)とは、金属片(7E)を介して接続されており、 前記金属片(7E)は、前記ケーシング(12)と前記回路基板(7F)との間に設けられており、 前記金属片(7E)のうちの、前記回路基板(7F)に接続される側の端部である第1端部(7Ea)の基部(7Ea2)は、前記ケーシング(12)側から支承されており、 前記金属片(7E)のうちの、前記第1端部(7Ea)の先端部(7Ea1)は、前記回路基板(7F)に形成されている第1端子用穴(7Da)に挿入されており、 一対の前記モータ端子(13T)が、前記モータ(13)の前記回路基板(7F)側の端部に、該回路基板(7F)に向かって立設されており、 一対の前記モータ端子(13T)の一方に接続されている前記金属片(7E)の前記第1端部(7Ea)と、該一対の前記モータ端子(13T)の他方に接続されている前記金属片(7E)の前記第1端部(7Ea)と、は、該一対の前記モータ端子(13T)を通る直線(L)と前記モータ(13)の回転軸とを含む基準平面(A)に対して、ずれた位置に設けられており、 前記ケーシング(12)の、前記基準平面(A)に対する前記第1端部(7Ea)のそれぞれの反対側に、ピン(13X)が立設されており、 前記ピン(13X)の先端部は、前記第1端部(7Ea)の先端部(7Ea1)と平行であり、前記回路基板(7F)に形成されているピン用穴(7Dc)に挿入されている、 ブレーキ液圧制御装置。」に訂正する。 (5)訂正事項5 特許請求の範囲の請求項6に「請求項1~5の何れか一項に記載のブレーキ液圧制御装置。」と記載されているのを、「請求項2~5の何れか一項に記載のブレーキ液圧制御装置。」に訂正する。 (6)訂正事項6 特許請求の範囲の請求項7に「請求項1~6の何れか一項に記載の」と記載されているのを、「請求項2~6の何れか一項に記載の」に訂正する。 3.訂正要件の適否の検討 (1)訂正事項1 ア 訂正の目的 訂正事項1は、請求項1を削除するというものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。 イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと 訂正事項1は、請求項1を削除するというものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しないことが明らかであり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合する。 ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 訂正事項1は、請求項1を削除するというものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であることが明らかであり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合する。 (2)訂正事項2 ア 訂正の目的 訂正事項2は、訂正前の請求項2が請求項1の記載を引用するところ、請求項間の引用関係を解消して、独立形式請求項へ改めるための訂正であって、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に掲げる「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものである。 イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと 訂正事項2は、訂正前の請求項2について何ら実質的な内容の変更を伴うものではないことが明らかであるから、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合する。 ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 訂正事項2は、訂正前の請求項2について何ら実質的な内容の変更を伴うものではないことが明らかであるから、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合する。 (3)訂正事項3 ア 訂正の目的 訂正事項3は、訂正前の請求項3が請求項1又は2の記載を引用するところ、訂正事項1により請求項1が削除されたことに伴い、引用する請求項の記載を整合させ、引用する請求項数を削減するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」又は特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。 イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと 訂正事項3は、請求項1が削除されたことに伴い、引用する請求項を整合させ、引用する請求項数を削減するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当しないことが明らかであり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合する。 ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 訂正事項3は、請求項1が削除されたことに伴い、引用する請求項を整合させ、引用する請求項数を削減するものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であることが明らかであり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合する。 (4)訂正事項4 ア 訂正の目的 訂正事項4は、訂正前の請求項5が請求項1~4の何れか一項の記載を引用するところ、請求項2~4の記載を引用しないものとした上で、請求項1を引用するものについて、請求項間の引用関係を解消して、独立形式請求項へ改めるための訂正であって、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」及び特許法第120条の5第2項ただし書第4号に掲げる「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものである。 イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと 訂正事項4は、引用する請求項数を削減し、請求項間の引用関係を解消して、独立形式請求項へ改めるためのものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当しないことが明らかであり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合する。 ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 訂正事項4は、引用する請求項数を削減し、請求項間の引用関係を解消して、独立形式請求項へ改めるためのものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であることが明らかであり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合する。 (5)訂正事項5 ア 訂正の目的 訂正事項5は、訂正前の請求項6が請求項1~5の何れか一項の記載を引用するところ、訂正事項1により請求項1が削除されたことに伴い、引用する請求項の記載を整合させ、引用する請求項数を削減するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」又は特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。 イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと 訂正事項5は、請求項1が削除されたことに伴い、引用する請求項を整合させ、引用する請求項数を削減するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当しないことが明らかであり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合する。 ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 訂正事項5は、請求項1が削除されたことに伴い、引用する請求項を整合させ、引用する請求項数を削減するものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であることが明らかであり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合する。 (6)訂正事項6 ア 訂正の目的 訂正事項6は、訂正前の請求項7が請求項1~6の記載を引用する記載であるところ、訂正事項1により請求項1が削除されたことに伴い、引用する請求項の記載を整合させ、引用する請求項数を削減するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」又は特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。 イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと 訂正事項6は、請求項1が削除されたことに伴い、引用する請求項を整合させ、引用する請求項数を削減するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当しないことが明らかであり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合する。 ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 訂正事項6は、請求項1が削除されたことに伴い、引用する請求項を整合させ、引用する請求項数を削減するものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であることが明らかであり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合する。 (7)一群の請求項及び別の訂正単位とする求めについて 本件訂正前の請求項1~7について、請求項2~7は、訂正請求の対象である請求項1を引用する関係にあるから、本件訂正前において一群の請求項に該当する。 したがって、本件訂正は、一群の請求項に対してなされたものであり、特許法第120条の5第4項の規定に適合する。 また、訂正後の請求項2~7について、当該請求項についての訂正が認められる場合には、一群の請求項の他の請求項とは別の訂正単位とする求めがなされているところ、上記(2)~(6)のとおり訂正事項2~6は適法と認められるから、訂正後の請求項2~7についての訂正は、別の訂正単位として扱う。 4.小括 以上のとおり、本件訂正請求は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号、第3号及び第4号に掲げる事項を目的とするものであって、かつ、同条第4項及び同条第9項で準用する同法126条第5項及び第6項の規定に適合するから、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1、〔2~7〕について訂正を認める。 第3 本件発明 上記第2のとおり、本件訂正が認められたので、本件特許の請求項1~7に係る発明(以下、「本件発明1」~「本件発明7」という。)は、本件訂正後の特許請求の範囲の請求項1~7に記載された事項により特定される次のとおりのものである。 「【請求項1】(削除) 【請求項2】 ブレーキ液の流路(4)が形成された基体(10)と、 前記流路(4)に設けられているポンプ装置(2)を駆動するための、前記基体(10)に取り付けられているモータ(13)と、 前記モータ(13)を収納しているケーシング(12)と、 前記モータ(13)の動作を制御する制御器(7)の回路基板(7F)と、 を備えている、車両用のブレーキ液圧制御装置(1)であって、 前記モータ(13)のモータ端子(13T)と前記回路基板(7F)とは、金属片(7E)を介して接続されており、 前記金属片(7E)は、前記ケーシング(12)と前記回路基板(7F)との間に設けられており、 前記金属片(7E)のうちの、前記回路基板(7F)に接続される側の端部である第1端部(7Ea)の基部(7Ea2)は、前記ケーシング(12)側から支承されており、 前記金属片(7E)のうちの、前記第1端部(7Ea)の先端部(7Ea1)は、前記回路基板(7F)に形成されている第1端子用穴(7Da)に挿入されており、 前記ケーシング(12)の前記回路基板(7F)に対向する第1面部(50)に、凹部(50A)が形成されており、 前記基部(7Ea2)が、前記凹部(50A)に挿入されていて、該凹部(50A)によって支承されている、 ブレーキ液圧制御装置。 【請求項3】 更に、前記流路(4)に設けられている液圧調整弁(3)を駆動するための、前記ケーシング(12)に収納されている駆動コイル(11)を備えており、 前記駆動コイル(11)のコイル端子(16A)のうちの、前記回路基板(7F)に接続される側の端部である基板接続部(16Ab)の先端部(16Ab1)は、前記第1端部(7Ea)の先端部(7Ea1)と平行であり、前記回路基板(7F)に形成されている第2端子用穴(7Db)に挿入されている、 請求項2に記載のブレーキ液圧制御装置。 【請求項4】 前記基板接続部(16Ab)の基部(16Ab2)の前記回路基板(7F)から遠い側に、空間が設けられている、 請求項3に記載のブレーキ液圧制御装置。 【請求項5】 ブレーキ液の流路(4)が形成された基体(10)と、 前記流路(4)に設けられているポンプ装置(2)を駆動するための、前記基体(10)に取り付けられているモータ(13)と、 前記モータ(13)を収納しているケーシング(12)と、 前記モータ(13)の動作を制御する制御器(7)の回路基板(7F)と、 を備えている、車両用のブレーキ液圧制御装置(1)であって、 前記モータ(13)のモータ端子(13T)と前記回路基板(7F)とは、金属片(7E)を介して接続されており、 前記金属片(7E)は、前記ケーシング(12)と前記回路基板(7F)との間に設けられており、 前記金属片(7E)のうちの、前記回路基板(7F)に接続される側の端部である第1端部(7Ea)の基部(7Ea2)は、前記ケーシング(12)側から支承されており、 前記金属片(7E)のうちの、前記第1端部(7Ea)の先端部(7Ea1)は、前記回路基板(7F)に形成されている第1端子用穴(7Da)に挿入されており、 一対の前記モータ端子(13T)が、前記モータ(13)の前記回路基板(7F)側の端部に、該回路基板(7F)に向かって立設されており、 一対の前記モータ端子(13T)の一方に接続されている前記金属片(7E)の前記第1端部(7Ea)と、該一対の前記モータ端子(13T)の他方に接続されている前記金属片(7E)の前記第1端部(7Ea)と、は、該一対の前記モータ端子(13T)を通る直線(L)と前記モータ(13)の回転軸とを含む基準平面(A)に対して、ずれた位置に設けられており、 前記ケーシング(12)の、前記基準平面(A)に対する前記第1端部(7Ea)のそれぞれの反対側に、ピン(13X)が立設されており、 前記ピン(13X)の先端部は、前記第1端部(7Ea)の先端部(7Ea1)と平行であり、前記回路基板(7F)に形成されているピン用穴(7Dc)に挿入されている、 ブレーキ液圧制御装置。 【請求項6】 前記ケーシング(12)は、前記基体(10)に形成されている位置決め穴(12H)によって位置決めされた状態で、前記基体(10)に固定され、 前記金属片(7E)は、前記ケーシング(12)に保持されている、 請求項2~5の何れか一項に記載のブレーキ液圧制御装置。 【請求項7】 請求項2~6の何れか一項に記載のブレーキ液圧制御装置(1)を備えている、 モータサイクル用ブレーキシステム。」 第4 取消理由通知に記載した取消理由について 1.取消理由の概要 当審が令和3年6月4日付け取消理由通知書で通知した取消理由の概要は、以下のとおりである。 (進歩性)本件特許の請求項1、3、4、6、7に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された以下の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1、3、4、6、7に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 引用文献等一覧 引用文献1:特開2007-168456号公報(申立人の提出した甲第1 号証) 引用文献2:特開2009-241701号公報(申立人の提出した甲第2 号証) 引用文献3:特開2015-26682号公報(申立人の提出した甲第3号 証) 引用文献4:特開2015-40624号公報(申立人の提出した甲第4号 証) 引用文献5:特開2014-67980号公報(申立人の提出した甲第5号 証) 2.引用文献に記載された事項及び引用発明 (1)引用文献1に記載された事項及び引用発明 引用文献1には、以下の事項が記載されている。 ア「【0002】 自動二輪車、自動三輪車、オールテレーンビークル(ATV)などのバーハンドルタイプの車両(以下、単に「バーハンドル車両」という。)や自動四輪車に用いられる車両用のブレーキ液圧制御装置として、ブレーキ液の流路を内包する基体(ポンプボディ)に電磁弁やポンプなどを組み付けてなるものが知られているが、このような車両用ブレーキ液圧制御装置に対しては、その小型化・軽量化が要請されているところである・・・」 イ「【0018】 図1に示すように、本実施形態に係る車両用ブレーキ制御液圧装置(以下、「ブレーキ制御装置」という。)Uは、バーハンドル車両に好適に用いられるものであり、基体1と、電磁弁2,3と、リザーバ4と、ポンプ5と、モータ6と、電子制御ユニット7と、ハウジング8と、コネクタ9とを備えて構成されている。」 ウ「【0025】 なお、以下では、入口ポート11から出口ポート17に至る流路(油路)を「出力液圧路A」と称し、出力液圧路Aからリザーバ4に至る流路を「開放路B」と称する。また、出力液圧路Aと開放路Bとを連通する流路を「戻し路C」と称する。」 エ「【0031】 ポンプ5は、戻し路Cに設けられており、モータ6の回転力によって駆動し、リザーバ4に一時的に貯留されたブレーキ液を吸入して出力液圧路A側に吐出する。つまり、ポンプ5は、リザーバ4に貯留されたブレーキ液をマスタシリンダMR側に戻す役割を担っている。ポンプ5が作動すると、リザーバ4にブレーキ液を貯留することによって減圧された出力液圧路Aの圧力状態が回復される。ポンプ5は、その吸入側に、リザーバ4側から出力液圧路A側へのブレーキ液の流入のみを許容する吸入弁5aを備えており、その吐出側に、リザーバ4側から出力液圧路A側へのブレーキ液の流入のみを許容する吐出弁5bを備えている。また、戻し路Cには、吐出弁5bよりも出力液圧路A側に、ポンプ5から吐出されたブレーキ液の脈動を減衰させるオリフィス5cが設けられている。【0032】 モータ6は、前輪側のブレーキ系統Fにあるポンプ5および後輪側のブレーキ系統Rにあるポンプ5の共通の動力源であり、電子制御ユニット7からの指令に基づいて作動する。 【0033】 電子制御ユニット7は、図示しない前輪に固着されたパルサーギアの側面に対向して固定配置される前輪用の車輪速度センサSFおよび同じく図示しない後輪に固着されたパルサーギアの側面に対向して固定配置される後輪用の車輪速度センサSRからの出力に基づいて、電磁弁2,3およびモータ6の作動を制御する。」 オ「【0044】 図1に示すように、基体1は、略直方体を呈するアルミニウム合金製の部材であり、電磁弁2,3、リザーバ4、モータ6およびハウジング8が組み付けられる第一取付面10aと、ポンプ5が組み付けられる一対の第二取付面10b,10b(図1では片側のみを図示)と、図示せぬ配管(図11に示す配管H1,H2)が接続される接続面10cとを備えている。また、基体1の内部には、ブレーキ液の流路が形成されている(図2および図3参照)」 カ「【0058】 図1に示す電磁弁3は、基体1の内部に形成された流路を開閉する常閉型の電磁弁であり、電子制御ユニット7の指令に基づいて電磁コイル85(図7参照)を励磁させたときに、内部の流路が連通した状態(開弁状態)になり、電磁コイル85を消磁させたときに、その内部の流路が遮断された状態(閉弁状態)になる。」 キ「【0063】 モータ6は、基体1の第一取付面10aに一体的に固着される。図7に示すように、モータ6は、ヨーク61、カバー62、固定子63、回転軸64、回転子65、コンミュテータ(整流子)66、ブラシ67、ブラシホルダ68などを備えている。」 ク「【0071】 ブラシホルダ68は、コンミュテータ66を取り囲むように配置される円環状の部材からなり、カバー62の本体部62aに嵌め込むことで固定される。ブラシホルダ68は、図1および図9の(a)に示すように、ヨーク61の外側に突出するソケット68aを備えている。ソケット68aは、ハウジング8側が開口する有底円筒を呈しており、その底面から給電端子68bが突出している。給電端子68bには、後記するコネクタ9の一端が接続される。 【0072】 電子制御ユニット7は、電子回路がプリントされた基板に半導体チップ等が搭載されてなるものであり、車輪速度センサSF,SR(図11参照)などから得られた情報やあらかじめ記憶させておいたプログラム等に基づいて、電磁弁2,3の開閉やモータ6の作動を制御する。電子制御ユニット7は、本実施形態では、ハウジング8の内部に収容されている。 【0073】 ハウジング8は、図1に示すように、電磁弁2,3とモータ6とを覆うように基体1の第一取付面10aに一体的に固着されるコントロールケース81と、このコントロールケース81の開口部を密閉するコントロールカバー82と、コントロールケース81の側面に一体的に形成された端子ケース83と、コントロールケース81の基体1側の周縁に装着された無端状のシール材84とを備えている。 【0074】 図7に示すように、コントロールケース81の内部空間は、仕切壁81aによって、モータ6および電磁弁2,3を覆う第一収容空間81Aと、電子制御ユニット7を収容する第二収容空間81Bとに分けられている。第一収容空間81Aは、基体1に装着されたモータ6を囲繞可能な寸法形状を備えている。仕切壁81aには、バスバー81bが埋設されている。仕切壁81aの基体1側の面には、基体1に装着された電磁弁2,3を駆動させるための電磁コイル85が取り付けられている。電磁コイル85の接続端子は、バスバー81bに接続される。また、図9の(a)に示すように、仕切壁81aの基体1側の面には、ソケット81cが突設されている。ソケット81cは、モータ6のソケット68aと対向する位置に形成されていて、基体1側が開口する有底円筒を呈しており、その底面から給電端子81dが突出している。給電端子81dには、後記するコネクタ9の他端が接続される。」 ケ「【0078】 コネクタ9は、図9の(a)および(b)に示すように、モータ6に設けられた給電端子68bとハウジング8内に設けられた給電端子81dとを電気的に接続するための部材であり、給電端子68b,81dに着脱可能に取り付けられる。コネクタ9は、棒状の基材91と、この基材91を挟んで対向する一対の導電部92,92とを備えて構成されている。基材91は、その一端がモータ6のソケット68aに嵌挿され、他端がハウジング8のソケット81cに嵌挿される。導電部92の両端には、給電端子68b,81dを把持可能な把持部92aが形成されている。」 コ「【0084】 ハウジング8を基体1に組み付けるには、図8に示すように、ハウジング8を電磁弁2,3(図8参照)およびモータ6に覆い被せるとともに、シール材84を基体1の第一取付面10aに当接させ、図1に示すように、コントロールケース81に形成された挿通孔81eと第一取付面10aに形成されたハウジング取付穴19との位置を合せたうえで、挿通孔81eに挿通した図示せぬネジをハウジング取付穴19に螺合すればよい。なお、ハウジング8を組み付ける前に、コネクタ9の一端をモータ6のソケット68aに差し込んでおき、ハウジング8をモータ6等に覆い被せる際に、コネクタ9の他端をハウジング8のソケット81c(図9の(a)参照)に差し込めばよい。また、ハウジング8をモータ6等に覆い被せる際には、電磁弁2,3を電磁コイル85(図7および図8参照)に挿通させる。」 サ「【0087】 (アンチロックブレーキ制御) アンチロックブレーキ制御によってホイールシリンダWRに作用するブレーキ液圧を減圧する場合には、前記したように、入口弁となる電磁弁2が閉弁状態にされ、出口弁となる電磁弁3が開弁状態にされるので、ホイールシリンダWRに作用していたブレーキ液は、図2の(b)および図3の(b)において点線の矢印で示すように、出口ポート17および第八流通孔108を通って出口弁装着穴13の側部に流入し、さらに、開弁状態にある電磁弁3の内部を通って第五流通孔105に流入し、最終的にはリザーバ穴14に流入する。なお、入口弁装着穴12に装着した電磁弁2が閉弁状態にあることから、ブレーキ液が第三流通孔103に流入することはない。なお、アンチロックブレーキ制御を実行する場合には、電子制御ユニット7の指令に基づいてモータ6(図1参照)が作動されてポンプ5(図7参照)が駆動され、その結果、リザーバ14(リザーバ4)に流入したブレーキ液は、第七流通孔107を介してポンプ穴15に吸入され、ポンプ5の働きにより第一流通孔101へ吐出される。」 シ「【図2】 [図:0001384081000001.jpg] 」 ス「【図8】 [図:0001384081000002.jpg] 」 セ「【図9】 [図:0001384081000003.jpg] 」 ソ 図2並びに上記エの「ポンプ5は、戻し路Cに設けられており」(段落【0031】)との記載及び上記サの「第七流通孔107を介してポンプ穴15に吸入され、ポンプ5の働きにより第一流通孔101へ吐出される」(段落【0087】)との記載から、機体1に設けられる第一流通孔101及び第七流通孔107は、ブレーキ液の流路である戻し路Cであることが理解できる。 タ 図8より、電磁コイル85の接続端子が接続されるバスバー81bは、電子制御ユニット7に接続されていることが看取できる。 チ 図9より、給電端子81dは、電子制御ユニット7に接続されていることが看取できる。 上記摘記事項ア~セ及び認定事項ソ~チから、引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。 【引用発明】 「内部にブレーキ液の流路が形成されている基体1と、前記流路に設けられているポンプ5を駆動するための、基体1に組み付けられるモータ6と、モータ6を覆うハウジング8と、モータ6の作動を制御する電子制御ユニット7の電子回路がプリントされた基板と、基体1の内部に形成された流路を開閉する電磁弁3を駆動させるための、ハウジング8の第一収容空間81Aに収容された電磁コイル85とを備えている、車両用ブレーキ制御液圧装置であって、モータ6の給電端子68bと電子制御ユニット7とは、給電端子81d及びコネクタ9で接続され、電磁コイル85の接続端子と電子制御ユニット7とは、バスバー81bで接続されている、ブレーキ制御液圧装置。」 (2)引用文献2に記載された事項 引用文献2には、以下の事項が記載されている。 ア「【0012】 以下、この発明の実施の形態を添付図面の図1~図10に基づいて説明する。図1~図4は、この発明のブレーキ液圧制御装置の第1実施形態を表している。このブレーキ液圧制御装置は、樹脂で形成されたケース2に回路基板3を収納した電子制御ユニット1と、圧力制御用の電磁弁22を有する液圧ユニット20を組み合わせて構成される。 【0013】 液圧ユニット20は、ハウジング21の一面に圧力制御用の電磁弁22を複数個組み付けて構成されている。この液圧ユニット20は、図12で説明した従来品と変わるところがないので、ハウジング21と電磁弁22のコイル23のみを図示し、詳細説明は省略する。電磁弁22のコイル23は、コイル端子24を介して回路基板3に吊るされ、この状態で電子制御ユニットに予め組みつけられており、ケース2を液圧ユニットのハウジング21に結合するときに、このコイル23がハウジング21に組みつけられた電磁弁22の本体部(図示せず)に被せられて電磁弁22が組み立てられる。 【0014】 電子制御ユニット1のケース2は、部位2cにて互いに融着接合される本体部2aとカバー2bを組み合わせて構成されており、回路基板3を収納する基板収納室Iと、電磁弁のコイル23を収納するコイル収納室IIを有している。」 イ「【0018】 この第1実施形態のブレーキ液圧制御装置は、コイル端子24を回路基板3に半田付けしてコイル23を回路基板3に一体化し、サブアセンブリを構成する。そして、そのサブアセンブリをケース2の基板保持部2gに装着し、ケースにインサート成形されたコネクタ端子5及びバスバー端子15,16(図3参照)を回路基板3に挿通して基板の電気回路に半田付けした後、部位2cでカバー2bを本体部2aに溶着して電子制御ユニット1のアセンブリとなす。そして、そのアセンブリを、ケース取付けボルト6を用いて液圧ユニット20のハウジング21に連結し、このとき、モータ端子18(図4)とGND端子(図示せず)をケースのインナコネクタ19に挿入して組み立てを完了する。」 ウ「【図3】 [図:0001384081000004.jpg] 」 エ「【図4】 [図:0001384081000005.jpg] 」 オ 【図3】におけるバスバー端子15の図示から、バスバー端子15の左端は、回路基板3に挿通される箇所であることが看取できる。 カ 【図3】より、バスバー端子15,16は、下図に示すように、丸で囲った箇所において、収納室間隔壁2fにより支承されることが看取できる。 [図:0001384081000006.jpg] キ 【図3】及び【図3】のC-C線に沿った断面図である【図4】から、バスバー端子15は、収納室間隔壁2fと回路基板3との間に設けられていることが看取できる。 ク 【図3】及び【図3】のC-C線に沿った断面図である【図4】から、バスバー端子15は、バスバー端子15は、ケースのインナコネクタ19に挿入されてモータ端子18と接続されていることが看取できる。 ケ【図4】より、コイル端子24は、回路基板3に挿通されていること、バスバー端子15と平行であることが、それぞれ看取できる。 (3)引用文献3に記載された事項 引用文献3には、以下の事項が記載されている。 ア「【0026】 また、この基板収容ケース2の本体ケース2aには、多数の電気端子5,6,7が植設されている。この電気端子5,6,7は、いずれも圧入によって回路基板に対する固定と回路基板への電気接続が完了するプレスフィット端子である。そのプレスフィット端子の圧入作業を容易化するために、電気端子5,6,7は、先端位置が同一平面上に揃えられている。」 イ「【0032】 電気端子(副電気端子)7は、バスバーに一体に形成された端子であって、回路基板3の支持をより安定させる。この電気端子7は、図示の装置には3本存在する。そのうちの2本は、後述する対のコイル端子9の配列方向と直交する向きに配列されており、その2本が特に回路基板3の支持を安定させるのに役立っている。」 ウ「【0035】 コイル端子9は、図6~図10に詳しく示した通り、長手途中が厚み直角方向に湾曲して厚み方向の一面側から見た姿が図6~図8に示すようなコの字状、又は図9、図10に示すようなC字状をなすように成形されている。」 エ「【0037】 また、その対のコイル端子9の基端側と先端側を同一平面上に配置している。コイル端子9の基端側は、コイル4に対する接続点9bを備えた側であり、一方、そのコイル端子9の先端側は、回路基板3に対する接続点9cを備えた側である。」 オ「【図1】 [図:0001384081000007.jpg] 」 カ「【図6】 [図:0001384081000008.jpg] 」 キ 【図1】より、本体ケース2aの回路基板3に対向する面に、凹部が形成されており、電気端子7の基部が、凹部に挿入されていることが看取できる。 ク 【図6】より、接続点9cの回路基板3から遠い方に空間が設けられていることが看取できる。 (4)引用文献4に記載された事項 引用文献4には、以下の事項が記載されている。 ア「【0028】 図1に示した電磁弁1は、コイル2と、ヨーク3と、バルブユニット4を組み合わせて構成されている。 【0029】 コイル2は、ボビン2aに銅線2bを巻きつけたものであって、電力を供給するコイル端子2cを備えている。」 イ「【0056】 図には、基板の電源回路に電気的に接続して回路基板42で支持する電磁弁のコイル2と、基板収 容ケース41の本体ケース41aに植設された電気端子43,44,45を示した。」 ウ「【0063】 図7の31は、電子制御ユニット40内の給電回路とモータ26をつなぐ給電用端子(モータ端子)である。給電用端子31は、ハウジング21に貫通孔32を設けてその貫通孔に通している。その 貫通孔32と締結ボルト30の位置を入れ替えて、副空間部29に給電用端子31を配置することも可能である。」 エ「【図4】 [図:0001384081000009.jpg] 」 オ「【図6】 [図:0001384081000010.jpg] 」 カ 【図4】より、コイル端子2cの下方に空間が設けられていることが看取できる。 キ 【図6】より、本体ケース41aの回路基板42に対向する面に、凹部が形成されており、電気端子44の基部が、凹部に挿入されていることが看取できる。 (5)引用文献5に記載された事項 引用文献5には、以下の事項が記載されている。 ア「【0031】 また、この基板収容ケース2の本体ケース2aには、多数の電気端子5,6,7が植設されている。この電気端子5,6,7は、いずれも圧入によって回路基板に対する固定と基板回路への電気接続が完了するプレスフィット端子である。そのプレスフィット端子の圧入作業を容易化するために、電気端子5,6,7は、先端位置が同一平面上に揃えられている。」 イ「【0042】 電気端子(副電気端子)7は、その剛性を回路基板3の長手方向一端側の電気端子5bよりも高くしたものが用いられている。この電気端子(副電気端子)7を設けることで回路基板3の支持がより安定してなされる。この電気端子7は、図示の装置には3本存在する。その3本の電気端子7のうち、基板の短手方向位相が揃う位置にある2本と他の1本は、配線のコンパクト化などを図るために向きを90°異ならせているが、同一向きであっても差し支えない。」 ウ「【0045】 コイル端子9は、図6~図9に詳しく示した通り、長手途中が厚み直角方向に屈曲して厚み方向の一面側から見た姿がコの字状をなすように成形されており、その形状により、厚み方向の剛性が厚み直角方向の剛性よりも低くなっている。」 エ「【図1】 [図:0001384081000011.jpg] 」 オ「【図6】 [図:0001384081000012.jpg] 」 カ 【図1】より、本体ケース2aの回路基板3に対向する面に、凹部が形成されており、電気端子7の基部が、凹部に挿入されていることが看取できる。 キ 【図6】より、コイル端子9の先端部の下方に空間が設けられていることが看取できる。 3.当審の判断 (1)本件発明1について 上記第2、第3で説示したとおり、本件訂正の訂正事項1により、請求項1は削除された。 したがって、本件発明1についての特許異議の申立ては、対象となる請求項が存在しないものとなった。 (2)本件発明2について ア 対比 本件発明2と引用発明とを対比する。 引用発明の「ブレーキ液の流路」は、本件発明2の「ブレーキ液の流路(4)」に相当する。 引用発明の「基体1」は、本件発明2の「基体(10)」に相当する。 引用発明の「前記流路」は、「ブレーキ液の流路」の一部であるから、本件発明2の「前記流路(4)」に相当する。 引用発明の「ポンプ5」は、本件発明2の「ポンプ装置(2)」に相当する。 引用発明の「モータ6」は、本件発明2の「モータ(13)」に相当し、引用発明のモータ6が基体1に「組み付けられる」ことは、本件発明2のモータ(13)が基体(10)に「取り付けられている」ことに相当する。 引用発明の「ハウジング8」は、本件発明2の「ケーシング(12)」に相当し、引用発明のハウジング8がモータ6を「覆う」ことは、本件発明2のケーシング(12)がモータ(13)を「収納している」ことに相当する。 引用発明の「電子制御ユニット7」及び「電子回路がプリントされた基板」は、本件発明2の「制御器(7)」及び「回路基板(7F)」に相当する。 引用発明の「車両用ブレーキ制御液圧装置」は、本件発明2の「車両用のブレーキ液圧制御装置(1)」に相当する。 引用発明の「給電端子68b」は、本件発明2の「モータ端子(13T)」に相当する。 引用発明の「モータ6の給電端子68bと電子制御ユニット7とは、給電端子81d及びコネクタ9で接続されている」ことは、「モータ(13)のモータ端子(13T)」と「回路基板(7F)」とが、導電体を介して接続されている限りにおいて、本件発明2の「前記モータ(13)のモータ端子(13T)と前記回路基板(7F)とは、金属片(7E)を介して接続されており」に一致する。 以上のとおりであるから、本件発明2と引用発明との一致点及び相違点は、以下のとおりとなる。 【一致点】 「ブレーキ液の流路が形成された基体と、 前記流路に設けられているポンプ装置を駆動するための、前記基体に取り付けられているモータと、 前記モータを収納しているケーシングと、 前記モータの動作を制御する制御器の回路基板と、 を備えている、車両用のブレーキ液圧制御装置であって、 前記モータのモータ端子と前記回路基板とは、導電体を介して接続されている、 ブレーキ液圧制御装置。」 【相違点1】 本件発明2では、導電体が「金属片」であって、「前記モータ(13)のモータ端子(13T)と前記回路基板(7F)とは、金属片(7E)を介して接続されており、 前記金属片(7E)は、前記ケーシング(12)と前記回路基板(7F)との間に設けられており、 前記金属片(7E)のうちの、前記回路基板(7F)に接続される側の端部である第1端部(7Ea)の基部(7Ea2)は、前記ケーシング(12)側から支承されており、 前記金属片(7E)のうちの、前記第1端部(7Ea)の先端部(7Ea1)は、前記回路基板(7F)に形成されている第1端子用穴(7Da)に挿入されており、 前記ケーシング(12)の前記回路基板(7F)に対向する第1面部(50)に、凹部(50A)が形成されており、 前記基部(7Ea2)が、前記凹部(50A)に挿入されていて、該凹部(50A)によって支承されている」のに対し、引用発明では、導電体の材質が不明であり、導電体による接続が「給電端子81d及びコネクタ9で接続されている」点。 イ 判断 上記相違点1について検討する。 上記「2.(2)」の摘記事項ア~エ及び認定事項オ~ケからみて、引用文献2には、ブレーキ液圧制御装置において、モータ端子18と回路基板3とは、バスバー端子15で接続され、バスバー端子15は、収納室間隔壁2fと回路基板3との間に設けられており、バスバー端子15のうちの回路基板3に接続される端部の基部は、収納室間隔壁2fにより支承されており、バスバー端子15の端部は、回路基板3に挿通されることが記載されている(以下、「引用文献2に記載された事項」という。)。 また、引用文献2に記載された事項において、バスバー端子15の端部が、回路基板3に挿通されるものであるから、回路基板3には、バスバー端子15の端部が挿入される穴が形成されているといえるし、バスバー端子は、電流を流すための端子であって、当該バスバー端子を金属片で構成することは、技術常識である。 しかしながら、引用文献2には、収納室間隔壁2fの回路基板3に対向する面に、凹部が形成されており、バスバー端子15の基部が、凹部に挿入されていて、凹部によって支承されていることは、記載も示唆もされていない。 一方、上記「2.(3)~(5)」に示すとおり、引用文献3~5には、本体ケースの回路基板に対向する面に、凹部が形成されており、電気端子の基部が、凹部に挿入されていることが記載されている(以下、「引用文献3~5に記載された事項」という。)。 しかしながら、引用文献3~5には、電気端子の基部が凹部に挿入されていることが図示されているに過ぎず、当該構成について具体的な説明は無い。加えて、引用文献3~5には、電気端子が、モータのモータ端子と回路基板とを接続することも記載されていない。特に、引用文献4には、給電用端子(モータ端子)31(段落【0063】等参照)が記載されているものの、【図6】における給電用端子(モータ端子)31と電気端子44の位置関係からみて、給電用端子(モータ端子)31は電気端子44と接続されていないといえる。 本件発明2は、「モータと回路基板の接続の作業性及び確実性を高める」(段落【0004】~【0005】参照)という課題に対して、上記相違点1に係る構成を備えることにより、「回路基板7Fの取り付け時に、金属片7Eに大きな変形が生じることが抑制されて、接続の確実性が向上する」(段落【0068】参照)とともに、「基部7Ea2の支承がより確実化されて、接続の確実性が更に向上する」(段落【0069】参照)という機能・作用を奏するものであって、モータのモータ端子と回路基板とを接続するものではない電気端子に関する引用文献3~5に記載された事項とは、技術的意義を異にするものであるから、引用文献3~5に記載された事項が周知技術であったとしても、引用発明に対し、引用文献2に記載された事項を採用する際に、引用文献3~5に記載された事項を参酌して、上記相違点1に係る構成とすることは、当業者であっても容易に想到し得たこととはいえない。 したがって、本件発明2は、引用発明及び引用文献2~5に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (3)本件発明5について ア 対比 本件発明5と引用発明とを対比する。 本件発明5のうち、本件発明2と共通する事項については、上記(2)アに示したとおりであるから、本件発明5と引用発明とは、上記(2)アに示した一致点で一致し、以下の点で相違する。 【相違点2】 本件発明5では、導電体が「金属片」であって、「前記モータ(13)のモータ端子(13T)と前記回路基板(7F)とは、金属片(7E)を介して接続されており、 前記金属片(7E)は、前記ケーシング(12)と前記回路基板(7F)との間に設けられており、 前記金属片(7E)のうちの、前記回路基板(7F)に接続される側の端部である第1端部(7Ea)の基部(7Ea2)は、前記ケーシング(12)側から支承されており、 前記金属片(7E)のうちの、前記第1端部(7Ea)の先端部(7Ea1)は、前記回路基板(7F)に形成されている第1端子用穴(7Da)に挿入されており、 一対の前記モータ端子(13T)が、前記モータ(13)の前記回路基板(7F)側の端部に、該回路基板(7F)に向かって立設されており、 一対の前記モータ端子(13T)の一方に接続されている前記金属片(7E)の前記第1端部(7Ea)と、該一対の前記モータ端子(13T)の他方に接続されている前記金属片(7E)の前記第1端部(7Ea)と、は、該一対の前記モータ端子(13T)を通る直線(L)と前記モータ(13)の回転軸とを含む基準平面(A)に対して、ずれた位置に設けられており、 前記ケーシング(12)の、前記基準平面(A)に対する前記第1端部(7Ea)のそれぞれの反対側に、ピン(13X)が立設されており、 前記ピン(13X)の先端部は、前記第1端部(7Ea)の先端部(7Ea1)と平行であり、前記回路基板(7F)に形成されているピン用穴(7Dc)に挿入されている」のに対し、引用発明では、導電体の材質が不明であり、導電体による接続が「給電端子81d及びコネクタ9で接続されている」点。 イ 判断 上記相違点2について検討する。 引用文献2に記載された事項については、上記「(2)イ」に示したとおりである。 しかしながら、引用文献2には、上記相違点2に係る構成のうち、「一対の前記モータ端子(13T)の一方に接続されている前記金属片(7E)の前記第1端部(7Ea)と、該一対の前記モータ端子(13T)の他方に接続されている前記金属片(7E)の前記第1端部(7Ea)と、は、該一対の前記モータ端子(13T)を通る直線(L)と前記モータ(13)の回転軸とを含む基準平面(A)に対して、ずれた位置に設けられており、前記ケーシング(12)の、前記基準平面(A)に対する前記第1端部(7Ea)のそれぞれの反対側に、ピン(13X)が立設されており、前記ピン(13X)の先端部は、前記第1端部(7Ea)の先端部(7Ea1)と平行であり、前記回路基板(7F)に形成されているピン用穴(7Dc)に挿入されている」に相当する構成は記載されていない。 また、引用文献3~5にも、上記相違点2に係る構成は記載も示唆もされていない。 そして、本件発明5は、上記相違点2に係る構成を備えることにより、「金属片7E」の「第1端部7Eaの基部7Ea2をケーシング12側から支承するものであるにも拘わらず、第1面部50から第1端部7Eaの先端部7Ea1までの高さ寸法を低減することが可能である」(段落【0061】参照)という機能・作用を奏するものであるから、引用発明に対し、引用文献2に記載された事項を採用する際に、上記相違点2に係る構成のようにすることは、当業者が適宜設定した設計事項であるともいえない。 したがって、本件発明5は、引用発明及び引用文献2~5に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (4)本件発明3、4、6、7について 本件発明2を引用する本件発明3、4、6、7は、本件発明2をさらに減縮するものであって、本件発明2の「前記ケーシング(12)の前記回路基板(7F)に対向する第1面部(50)に、凹部(50A)が形成されており、前記基部(7Ea2)が、前記凹部(50A)に挿入されていて、該凹部(50A)によって支承されている」点と同一の構成を備えるものであるから、本件発明2を引用する本件発明3、4、6、7は、本件発明2と同様の理由により、引用発明及び引用文献2~5に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 また、本件発明5を引用する本件発明6、7は、本件発明5をさらに減縮するものであって、本件発明5の「一対の前記モータ端子(13T)が、前記モータ(13)の前記回路基板(7F)側の端部に、該回路基板(7F)に向かって立設されており、一対の前記モータ端子(13T)の一方に接続されている前記金属片(7E)の前記第1端部(7Ea)と、該一対の前記モータ端子(13T)の他方に接続されている前記金属片(7E)の前記第1端部(7Ea)と、は、該一対の前記モータ端子(13T)を通る直線(L)と前記モータ(13)の回転軸とを含む基準平面(A)に対して、ずれた位置に設けられており、前記ケーシング(12)の、前記基準平面(A)に対する前記第1端部(7Ea)のそれぞれの反対側に、ピン(13X)が立設されており、前記ピン(13X)の先端部は、前記第1端部(7Ea)の先端部(7Ea1)と平行であり、前記回路基板(7F)に形成されているピン用穴(7Dc)に挿入されている」点と同一の構成を備えるものであるから、本件発明5を引用する本件発明6、7は、本件発明5と同様の理由により、引用発明及び引用文献2~5に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 4.小括 以上のとおりであるから、本件発明2~7は、引用発明及び引用文献2~5に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 第5 申立人の申立人意見書における主張について 申立人は、申立人意見書において、甲第2号証・図3から、ケース2の収納室間隔壁2f(ケーシングの第1面部に相当)上にバスバー端子15,16の回路基板3側(図3において左側)の端部の基部が支承されていることを看取できるところ、バスバー端子の基部を支承している部分の形態が凹部であることは、甲第2号証の図10および甲第3~5号証に示された周知の構造から見て自明であると主張し(申立人意見書第1ページ第18行~第23行)、その理由として、以下の2点を主張していると認められる。 [理由1]甲第2号証・図10には、バスバー端子15,16を横切る断面図が開示されているところ、図10には、一対の壁部によって「凹部」が形成され、当該凹部にバスバー端子16が挿入可能である様子が示されている。甲第2号証・図10は、同・図8のH-H断面図であるとされているところ、図10において、断面であることを表すハッチングがコイル23に付されていない点などに鑑みると、正しくは、バスバー端子15,16を支承していると看取できる位置における断面図である。そのため、図3に示されたバスバー端子15,16の複数の支承部分は、いずれも同様の構造であるから、バスバー端子15,16の基部においても、甲第2号証・図10と同様の支承構造であることを直ちに認識できる(申立人意見書第2ページ第3行~第3ページ第8行)。 [理由2]バスバー端子を支承するにあたり、一対の壁部で形成された「凹部」にバスバー端子を後付けで差し込む(挿入する)ことは、甲第3号証・図1、甲第4号証・図6、甲第5号証・図1に開示されているようにバスバー端子の支承構造として周知の構造であり、各図を平面視した形態は、甲第2号証・図3に示されたものと同様になるから、バスバー端子に関する技術常識・常套手段を有する当業者が甲第2号証・図3、図10等を見れば、バスバー端子15,16の基部が「凹部」に挿入されていることを認識できる(申立人意見書第3ページ第9行~第4ページ第4行)。 理由1について検討する。 甲第2号証の【図3】のC-C線に沿った断面図である【図4】、【図5】のE-E線に沿った位置の平面図である【図7】において、コイル23の断面にハッチングが付されていないことを鑑みれば、【図10】において、断面であることを表すハッチングがコイル23に付されていないことをもって、【図10】が【図8】のH-H線に沿った位置の平面図ではなく、バスバー端子15,16を支承していると看取できる位置における断面図であるということはできない。加えて、【図10】が、申立人が主張する位置における断面図であるとするならば、ケース2の本体部2aの断面は、筒状ガイド部17がコイル23と重なるはずであるが、【図10】はそのようにはなっていないから、甲第2号証の【図10】は、段落【0024】に記載されているとおり、【図3】のC-C線に位置の平面図であるという他ない。 したがって、甲第2号証の【図10】は、【図3】においてバスバー端子15,16を支承していると看取できる位置の図ではないし、そもそも【図10】には、「凹部」にバスバー端子15,16が挿入されていることは記載されていないから、甲第2号証の【図10】には、バスバー端子の基部を支承している部分の形態が凹部であることが記載されているとは認められない。 よって、理由1は認められない。 理由2について検討する。 複数の物体の立体的な形状が異なるにも関わらず、それぞれの平面視が同様の形態となることは、通常起こり得ることであるから、甲第3号証・図1、甲第4号証・図6、甲第5号証・図1を平面視した形態が、甲第2号証・図3に示されたものと同様になったことのみをもって、バスバー端子15,16の基部を支承していると看取できる箇所に「凹部」が形成され、バスバー端子15,16の基部が「凹部」に挿入されていることを認識することはできない。 よって、理由2は認められない。 以上のとおりであるから、申立人のかかる主張に理由は無く、甲第2号証に、バスバー端子15の基部が凹部に挿入されていて、凹部によって支承されていることが記載も示唆もされていないことは、上記「第4 3.(1)イ」に示したとおりであるから、申立人のかかる主張は採用することができない。 また、申立人の申立人意見書におけるその余の主張に対しては、上記「第4 3.(2)イ」に示したとおりであるから、採用することができない。 なお、申立人は特許異議の申立ての証拠として、甲第1~5号証(引用文献1~5)の他に甲第6~7号証を提出している。しかしながら、甲第6~7号証にも、本件発明2~7が記載ないし示唆されていないことは、明らかである。 第6 むすび 以上のとおりであるから、請求項2~7に係る特許は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない発明ではないから、同法第113条第2号に該当しない。 したがって、当審が通知した取消理由並びに特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、請求項2~7に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に請求項2~7に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 そして、本件訂正により請求項1は削除され、特許異議の申立ての対象となる請求項1に係る特許は存在しないものとなったから、請求項1に係る特許に対して申立人がした特許異議の申立ては、不適法であって、その補正をすることができないものであることから、特許法第120条の8第1項で準用する特許法第135条の規定により、却下すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。

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2021-700248

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