特許異議申立
2018-700305
弁装置
- 審判番号
- 2018-700305
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2013-265791
- 登録番号
- 特許第6228450号(P6228450)
- 請求日
- 2018年04月12日
- 審決日
- 2019年09月04日
- 公報発行日
- 2020年01月31日
- 結論
- 請求成立(取消)
- 当事者
- 【権利者】住友ゴム工業株式会社
- 【権利者代理人】住友 慎太郎
- 【権利者代理人】浦 重剛
- 【権利者代理人】苗村 潤
- 【権利者代理人】石原 幸信
- 【異議申立人】角田 欣也
- 【異議申立人】白澤 哲明
- 審判長/審判官
- 審判長 藤井 昇
- 審判官 佐々木 芳枝
- 審判官 窪田 治彦
- 分類
- P1651.121-ZAA(F16K) / P1651.851-ZAA(F16K) / P1651.857-ZAA(F16K)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項特許法113条2号特許法120条の8第1項特許法135条
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第120条の5第2項、特許法第29条第2項、特許法第120条の8第1項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特許第6228450号発明「弁装置」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
【結 論】
特許第6228450号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項2、3、4、6、〔1、5、7、8〕について訂正することを認める。
特許第6228450号の請求項2、3、4、6に係る特許を取り消す。
特許第6228450号の請求項1、5、7、8に係る特許に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
特許第6228450号の請求項1ないし8に係る特許についての出願は、平成25年12月24日に特許出願され、平成29年10月20日にその特許権の設定登録がされ、平成29年11月8日に特許掲載公報が発行された。本件特許異議申立ての経緯は、次のとおりである。
平成30年4月12日 :特許異議申立人角田欣也(以下、「特許異議申立人1」という。)による請求項1ないし8に係る特許に対する特許異議の申立て(以下、「申立て1」という。)
平成30年5月7日 :特許異議申立人白澤哲明(以下、「特許異議申立人2」という。)による請求項1ないし8に係る特許に対する特許異議の申立て(以下、「申立て2」という。)
平成30年7月31日付け :取消理由通知書
平成30年9月27日 :特許権者による意見書及び訂正請求書の提出平成30年11月5日 :特許異議申立人1による意見書(以下、「意見書1」という。)の提出
平成30年11月15日 :特許異議申立人2による意見書(以下、「意見書2」という。)の提出
平成30年12月20日付け:取消理由通知書(決定の予告)
平成31年3月4日 :特許権者による意見書及び訂正請求書の提出
平成31年4月22日 :特許異議申立人1による意見書(以下、「意見書3」という。)の提出
平成31年4月23日 :特許異議申立人2による意見書(以下、「意見書4」という。)の提出
令和元年5月17日付け :取消理由通知書(決定の予告)
第2 訂正の適否についての判断
1 訂正の内容
本件訂正請求による訂正の内容は以下の(1)ないし(8)のとおりである。(なお、下線を付した箇所は訂正箇所である。)
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1を削除する。
(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項2に「流体が流れるポートを少なくとも一つ具えた弁室を区画する弁本体と、前記ポートを開閉する弁体と、前記弁体を駆動して前記ポートを開閉する駆動手段とを備え、前記ポートは、周囲に弁座が形成された開口を有し、前記弁体は、前記弁室を覆うように配され、かつ前記弁座に着座又は離間して前記ポートを開閉するダイアフラムを有する弁装置であって、前記ダイアフラムは、JIS-K6253のデュロメータA硬さがA50~A85の弾性材料からなり、前記着座中の前記ダイアフラムの前記弁座に対する圧力が0.5~1.0N/mm2であり、前記ポートは、前記弁室に流体を流入させる流入ポートと、前記弁室から流体を流出させる流出ポートとを有し、前記流出ポートは、第1流出ポート及び第2流出ポートの2系統が配され前記ダイアフラムは、第1流出ポート及び第2流出ポートを開閉することを特徴とする弁装置。」と記載されているのを、「流体が流れるポートを少なくとも一つ具えた弁室を区画する弁本体と、前記ポートを開閉する弁体と、前記弁体を駆動して前記ポートを開閉する駆動手段とを備え、前記ポートは、周囲に弁座が形成された開口を有し、前記弁体は、前記弁室を覆うように配され、かつ前記弁座に着座又は離間して前記ポートを開閉するダイアフラムと、前記弁本体に対して揺動可能に設けられ、かつ第1当接部と第2当接部とを有する揺動部材とを有する弁装置であって、前記ダイアフラムは、JIS-K6253のデュロメータA硬さがA50~A85の弾性材料からなり、前記着座中の前記ダイアフラムの前記弁座に対する圧力が0.5~1.0N/mm2であり、前記ポートは、前記弁室に流体を流入させる流入ポートと、前記弁室から流体を流出させる流出ポートとを有し、前記流出ポートは、第1流出ポート及び第2流出ポートの2系統が配され、前記ダイアフラムは、前記第1流出ポート及び前記第2流出ポートを開閉し、前記駆動手段は、前記揺動部材を駆動する弁駆動部を有し、前記弁駆動部は、前記第1流出ポートの上方に配設された第1プランジャーと、前記第2流出ポートの上方に配設された第2プランジャーと、前記第1プランジャーを前記揺動部材の前記第1当接部の側に押し下げる第1コイルばねと、前記第2プランジャーを前記揺動部材の前記第2当接部の側に押し下げる第2コイルばねと、前記第1プランジャーが挿入されるソレノイドコイルと、前記第1コイルばねが装填される凹部が形成された固定鉄心とを有し、前記第1コイルばねは、一端が前記固定鉄心の前記凹部の底と当接し、他端が前記第1プランジャーの天面と当接し、前記第2コイルばねの一端は、前記第2プランジャーの先端部と当接することを特徴とする弁装置。」に訂正する。
(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項3に「前記ダイアフラムは、前記第1流出ポートと前記第2流出ポートとを交互に開閉するものであり、前記第1流出ポートの弁座に着座中の前記ダイアフラムの前記圧力と、前記第2流出ポートの弁座に着座中の前記ダイアフラムの前記圧力との差が0.40N/mm2以下である請求項2記載の弁装置。」と記載されているのを、「流体が流れるポートを少なくとも一つ具えた弁室を区画する弁本体と、前記ポートを開閉する弁体と、前記弁体を駆動して前記ポートを開閉する駆動手段とを備え、前記ポートは、周囲に弁座が形成された開口を有し、前記弁体は、前記弁室を覆うように配され、かつ前記弁座に着座又は離間して前記ポートを開閉するダイアフラムと、前記弁本体に対して揺動可能に設けられ、かつ第1当接部と第2当接部とを有する揺動部材とを有する弁装置であって、前記ダイアフラムは、JIS-K6253のデュロメータA硬さがA50~A85の弾性材料からなり、前記着座中の前記ダイアフラムの前記弁座に対する圧力が0.5~1.0N/mm2であり、前記ポートは、前記弁室に流体を流入させる流入ポートと、前記弁室から流体を流出させる流出ポートとを有し、前記流出ポートは、第1流出ポート及び第2流出ポートの2系統が配され、前記ダイアフラムは、前記第1流出ポートと前記第2流出ポートとを交互に開閉するものであり、前記第1流出ポートの弁座に着座中の前記ダイアフラムの前記圧力と、前記第2流出ポートの弁座に着座中の前記ダイアフラムの前記圧力との差が0.02N/mm2以上0.40N/mm2以下であり、前記駆動手段は、前記揺動部材を駆動する弁駆動部を有し、前記弁駆動部は、前記第1流出ポートの上方に配設された第1プランジャーと、前記第2流出ポートの上方に配設された第2プランジャーと、前記第1プランジャーを前記揺動部材の前記第1当接部の側に押し下げる第1コイルばねと、前記第2プランジャーを前記揺動部材の前記第2当接部の側に押し下げる第2コイルばねと、前記第1プランジャーが挿入されるソレノイドコイルと、前記第1コイルばねが装填される凹部が形成された固定鉄心とを有することを特徴とする弁装置。」に訂正する。
(4)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項4に「前記ダイアフラムは、JIS-K6253のデュロメータA硬さがA60~A80である請求項1乃至3のいずれかに記載の弁装置。」と記載されているのを、「流体が流れるポートを少なくとも一つ具えた弁室を区画する弁本体と、前記ポートを開閉する弁体と、前記弁体を駆動して前記ポートを開閉する駆動手段とを備え、前記ポートは、周囲に弁座が形成された開口を有し、前記弁体は、前記弁室を覆うように配され、かつ前記弁座に着座又は離間して前記ポートを開閉するダイアフラムと、前記弁本体に対して揺動可能に設けられ、かつ第1当接部と第2当接部とを有する揺動部材とを有する弁装置であって、前記ダイアフラムは、JIS-K6253のデュロメータA硬さがA60~A80の弾性材料からなり、前記着座中の前記ダイアフラムの前記弁座に対する圧力が0.5~1.0N/mm2であり、前記ポートは、前記弁室に流体を流入させる流入ポートと、前記弁室から流体を流出させる流出ポートとを有し、前記流出ポートは、第1流出ポート及び第2流出ポートの2系統が配され、前記ダイアフラムは、前記第1流出ポート及び前記第2流出ポートを開閉し、前記ダイアフラムには、前記ダイアフラムにおいて最も肉厚の薄い膜部と、前記膜部の内側のポート閉鎖時に前記第1流出ポートの弁座又は前記第2流出ポートの弁座に着座する底面とが設けられ、前記膜部の厚さは、0.2~1.0mmであり、前記駆動手段は、前記揺動部材を駆動する弁駆動部を有し、前記弁駆動部は、前記第1流出ポートの上方に配設された第1プランジャーと、前記第2流出ポートの上方に配設された第2プランジャーと、前記第1プランジャーを前記揺動部材の前記第1当接部の側に押し下げる第1コイルばねと、前記第2プランジャーを前記揺動部材の前記第2当接部の側に押し下げる第2コイルばねと、前記第1プランジャーが挿入されるソレノイドコイルと、前記第1コイルばねが装填される凹部が形成された固定鉄心とを有することを特徴とする弁装置。」に訂正する。
(5)訂正事項5
特許請求の範囲の請求項5を削除する。
(6)訂正事項6
特許請求の範囲の請求項6に「前記ダイアフラムは、充填剤として、炭酸カルシウム、シリカ、硫酸バリウム、タルク又はカーボンブラックの1種以上を含んでいる請求項1乃至5のいずれかに記載の弁装置。」と記載されているのを、「流体が流れるポートを少なくとも一つ具えた弁室を区画する弁本体と、前記ポートを開閉する弁体と、前記弁体を駆動して前記ポートを開閉する駆動手段とを備え、前記ポートは、周囲に弁座が形成された開口を有し、前記弁体は、前記弁室を覆うように配され、かつ前記弁座に着座又は離間して前記ポートを開閉するダイアフラムと、前記弁本体に対して揺動可能に設けられ、かつ第1当接部と第2当接部とを有する揺動部材とを有する弁装置であって、前記ダイアフラムは、ゴム成分として、エチレン-プロピレン-ジエンを含み、かつ、充填剤として、炭酸カルシウム、シリカ、硫酸バリウム、タルク又はカーボンブラックの1種以上を含んだ、JIS-K6253のデュロメータA硬さがA50~A85の弾性材料からなり、前記着座中の前記ダイアフラムの前記弁座に対する圧力が0.5~1.0N/mm2であり、前記ポートは、前記弁室に流体を流入させる流入ポートと、前記弁室から流体を流出させる流出ポートとを有し、前記流出ポートは、第1流出ポート及び第2流出ポートの2系統が配され、前記ダイアフラムは、前記第1流出ポート及び前記第2流出ポートを開閉し、前記駆動手段は、前記揺動部材を駆動する弁駆動部を有し、前記弁駆動部は、前記第1流出ポートの上方に配設された第1プランジャーと、前記第2流出ポートの上方に配設された第2プランジャーと、前記第1プランジャーを前記揺動部材の前記第1当接部の側に押し下げる第1コイルばねと、前記第2プランジャーを前記揺動部材の前記第2当接部の側に押し下げる第2コイルばねと、前記第1プランジャーが挿入されるソレノイドコイルと、前記第1コイルばねが装填される凹部が形成された固定鉄心とを有することを特徴とする弁装置。」に訂正する。
(7)訂正事項7
特許請求の範囲の請求項7を削除する。
(8)訂正事項8
特許請求の範囲の請求項8を削除する。
なお、訂正前の請求項1及び4ないし8は、請求項4ないし8が、訂正の請求の対象である請求項1の記載を直接的又は間接的に引用する関係にあるから、一群の請求項である。
また、訂正前の請求項2ないし8は、請求項3ないし8が、訂正の請求の対象である請求項2の記載を直接的又は間接的に引用する関係にあるから、一群の請求項である。
これら2つの「一群の請求項」が共通の請求項を有するから、これらの一群の請求項は組み合わされて、1つの一群の請求項となる。
したがって、本件訂正は、一群の請求項1ないし8について請求されている。
なお、訂正後の請求項2、3、4及び6に係る訂正については、特許権者は、当該請求項についての訂正が認められるときに、一群の請求項の他の請求項とは別の訂正単位として扱われることを求めている。
2 訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
(1)訂正事項1
訂正事項1は、請求項1を削除するというものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とし、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
(2)訂正事項2
訂正事項2は、訂正前の請求項2に記載された「弁体」について、「前記弁本体に対して揺動可能に設けられ、かつ第1当接部と第2当接部とを有する揺動部材」を有することを付加し、また、訂正前の請求項2に記載された「駆動手段」について、「前記駆動手段は、前記揺動部材を駆動する弁駆動部を有し、前記弁駆動部は、前記第1流出ポートの上方に配設された第1プランジャーと、前記第2流出ポートの上方に配設された第2プランジャーと、前記第1プランジャーを前記揺動部材の前記第1当接部の側に押し下げる第1コイルばねと、、前記第2プランジャーを前記揺動部材の前記第2当接部の側に押し下げる第2コイルばねと、前記第1プランジャーが挿入されるソレノイドコイルと、前記第1コイルばねが装填される凹部が形成された固定鉄心とを有し、前記第1コイルばねは、一端が前記固定鉄心の前記凹部の底と当接し、他端が前記第1プランジャーの天面と当接し、前記第2コイルばねの一端は、前記第2プランジャーの先端部と当接すること」を限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的としている。
また、訂正事項2は、願書に添付した明細書(以下、「特許明細書」という。)の段落【0022】、【0026】、【0029】及び【0030】の記載に基づいて導き出されるものであり、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「特許明細書等」という。)に記載した範囲内においてしたものであるから、新規事項の追加に該当しない。
さらに、訂正事項2は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
(3)訂正事項3
訂正事項3は、訂正前の請求項2の記載を引用する訂正前の請求項3の記載を、請求項2の記載を引用しないものとするものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に規定する他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項を引用しないものとすることを目的とするものであり、また、「弁体」について、「前記弁本体に対して揺動可能に設けられ、かつ第1当接部と第2当接部とを有する揺動部材」を有することを付加し、「駆動手段」について、「前記駆動手段は、前記揺動部材を駆動する弁駆動部を有し、前記弁駆動部は、前記第1流出ポートの上方に配設された第1プランジャーと、前記第2流出ポートの上方に配設された第2プランジャーと、前記第1プランジャーを前記揺動部材の前記第1当接部の側に押し下げる第1コイルばねと、、前記第2プランジャーを前記揺動部材の前記第2当接部の側に押し下げる第2コイルばねと、前記第1プランジャーが挿入されるソレノイドコイルと、前記第1コイルばねが装填される凹部が形成された固定鉄心とを有」することを限定し、さらに、訂正前の請求項3に記載された「前記第1流出ポートの弁座に着座中の前記ダイアフラムの前記圧力と、前記第2流出ポートの弁座に着座中の前記ダイアフラムの前記圧力との差が0.40N/mm2以下である」ことについて、「0.02N/mm2以上」との限定を付加するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、さらに、訂正前の請求項3の「0.40N/mm2」との明らかな誤記である記載を「0.40N/mm2」と正しい記載に改めるものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第2号に規定する誤記又は誤訳の訂正を目的としている。
また、訂正事項3のうち誤記又は誤訳以外の訂正は、特許明細書の段落【0022】、【0026】、【0029】、【0030】及び【0046】の記載に基いて導き出されるものであり、特許明細書等に記載した範囲内においてしたものであり、訂正事項3のうち誤記の訂正は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した範囲内においてしたものであるから、新規事項の追加に該当しない。
さらに、訂正事項3は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
(4)訂正事項4
訂正事項4は、訂正前の請求項1乃至3のいずれかの記載を引用する訂正前の請求項4の記載を、請求項1乃至3の記載を引用しないものとするものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に規定する他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項を引用しないものとすることを目的とするものであり、また、「弁体」について、「前記弁本体に対して揺動可能に設けられ、かつ第1当接部と第2当接部とを有する揺動部材」を有することを付加し、「駆動手段」について、「前記駆動手段は、前記揺動部材を駆動する弁駆動部を有し、前記弁駆動部は、前記第1流出ポートの上方に配設された第1プランジャーと、前記第2流出ポートの上方に配設された第2プランジャーと、前記第1プランジャーを前記揺動部材の前記第1当接部の側に押し下げる第1コイルばねと、、前記第2プランジャーを前記揺動部材の前記第2当接部の側に押し下げる第2コイルばねと、前記第1プランジャーが挿入されるソレノイドコイルと、前記第1コイルばねが装填される凹部が形成された固定鉄心とを有」することを限定し、さらに、訂正前の請求項4に記載された「ダイアフラム」について、「前記ダイアフラムには、前記ダイアフラムにおいて最も肉厚の薄い膜部と、前記膜部の内側のポート閉鎖時に前記第1流出ポートの弁座又は前記第2流出ポートの弁座に着座する底面とが設けられ、前記膜部の厚さは、0.2~1.0mmであ」るとの限定を付加するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
また、訂正事項4は、特許明細書の段落【0022】、【0026】、【0029】、【0030】、【0040】及び【0044】の記載に基いて導き出されるものであり、特許明細書等に記載した範囲内においてしたものであるから、新規事項の追加に該当しない。
さらに、訂正事項4は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
(5)訂正事項5
訂正事項5は、請求項5を削除するというものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とし、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
(6)訂正事項6
訂正事項6は、訂正前の請求項1乃至5のいずれかの記載を引用する訂正前の請求項6の記載を、請求項1乃至5の記載を引用しないものとするものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に規定する他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項を引用しないものとすることを目的とするものであり、また、「弁体」について、「前記弁本体に対して揺動可能に設けられ、かつ第1当接部と第2当接部とを有する揺動部材」を有することを付加し、「駆動手段」について、「前記駆動手段は、前記揺動部材を駆動する弁駆動部を有し、前記弁駆動部は、前記第1流出ポートの上方に配設された第1プランジャーと、前記第2流出ポートの上方に配設された第2プランジャーと、前記第1プランジャーを前記揺動部材の前記第1当接部の側に押し下げる第1コイルばねと、、前記第2プランジャーを前記揺動部材の前記第2当接部の側に押し下げる第2コイルばねと、前記第1プランジャーが挿入されるソレノイドコイルと、前記第1コイルばねが装填される凹部が形成された固定鉄心とを有」することを限定し、さらに、訂正前の請求項6に記載された「ゴム成分」について、「エチレン-プロピレン-ジエンを含」むとの限定を付加するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
また、訂正事項6は、特許明細書の段落【0022】、【0026】、【0029】、【0030】及び【0042】の記載に基いて導き出されるものであり、特許明細書等に記載した範囲内においてしたものであるから、新規事項の追加に該当しない。
さらに、訂正事項6は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
(7)訂正事項7
訂正事項7は、請求項7を削除するというものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とし、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
(8)訂正事項8
訂正事項8は、請求項8を削除するというものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とし、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
3 小括
以上のとおりであるから、訂正事項1ないし8に係る訂正は特許法第120条の5第2項ただし書第1号、第2号又は第4号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するので、訂正後の請求項2、3、4、6、〔1、5、7、8〕について訂正することを認める。
第3 本件特許発明
本件訂正請求が認められるから、本件特許の請求項2ないし4及び6に係る発明(以下、「本件特許発明2」などという。)は、それぞれ、本件訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲の請求項2ないし4及び6に記載された事項により特定される、次のとおりのものである(なお、前述のとおり、請求項1、5、7、8は削除された。)。
「【請求項2】
流体が流れるポートを少なくとも一つ具えた弁室を区画する弁本体と、前記ポートを開閉する弁体と、前記弁体を駆動して前記ポートを開閉する駆動手段とを備え、
前記ポートは、周囲に弁座が形成された開口を有し、
前記弁体は、前記弁室を覆うように配され、かつ前記弁座に着座又は離間して前記ポートを開閉するダイアフラムと、前記弁本体に対して揺動可能に設けられ、かつ第1当接部と第2当接部とを有する揺動部材とを有する弁装置であって、
前記ダイアフラムは、JIS-K6253のデュロメータA硬さがA50~A85の弾性材料からなり、
前記着座中の前記ダイアフラムの前記弁座に対する圧力が0.5~1.0N/mm2であり、
前記ポートは、前記弁室に流体を流入させる流入ポートと、前記弁室から流体を流出させる流出ポートとを有し、
前記流出ポートは、第1流出ポート及び第2流出ポートの2系統が配され、
前記ダイアフラムは、前記第1流出ポート及び前記第2流出ポートを開閉し、
前記駆動手段は、前記揺動部材を駆動する弁駆動部を有し、
前記弁駆動部は、前記第1流出ポートの上方に配設された第1プランジャーと、前記第2流出ポートの上方に配設された第2プランジャーと、前記第1プランジャーを前記揺動部材の前記第1当接部の側に押し下げる第1コイルばねと、前記第2プランジャーを前記揺動部材の前記第2当接部の側に押し下げる第2コイルばねと、前記第1プランジャーが挿入されるソレノイドコイルと、前記第1コイルばねが装填される凹部が形成された固定鉄心とを有し、
前記第1コイルばねは、一端が前記固定鉄心の前記凹部の底と当接し、他端が前記第1プランジャーの天面と当接し、
前記第2コイルばねの一端は、前記第2プランジャーの先端部と当接することを特徴とする弁装置。」
「【請求項3】
流体が流れるポートを少なくとも一つ具えた弁室を区画する弁本体と、前記ポートを開閉する弁体と、前記弁体を駆動して前記ポートを開閉する駆動手段とを備え、
前記ポートは、周囲に弁座が形成された開口を有し、
前記弁体は、前記弁室を覆うように配され、かつ前記弁座に着座又は離間して前記ポートを開閉するダイアフラムと、前記弁本体に対して揺動可能に設けられ、かつ第1当接部と第2当接部とを有する揺動部材とを有する弁装置であって、
前記ダイアフラムは、JIS-K6253のデュロメータA硬さがA50~A85の弾性材料からなり、
前記着座中の前記ダイアフラムの前記弁座に対する圧力が0.5~1.0N/mm2であり、
前記ポートは、前記弁室に流体を流入させる流入ポートと、前記弁室から流体を流出させる流出ポートとを有し、
前記流出ポートは、第1流出ポート及び第2流出ポートの2系統が配され、
前記ダイアフラムは、前記第1流出ポートと前記第2流出ポートとを交互に開閉するものであり、
前記第1流出ポートの弁座に着座中の前記ダイアフラムの前記圧力と、前記第2流出ポートの弁座に着座中の前記ダイアフラムの前記圧力との差が0.02N/mm2以上0.40N/mm2以下であり、
前記駆動手段は、前記揺動部材を駆動する弁駆動部を有し、
前記弁駆動部は、前記第1流出ポートの上方に配設された第1プランジャーと、前記第2流出ポートの上方に配設された第2プランジャーと、前記第1プランジャーを前記揺動部材の前記第1当接部の側に押し下げる第1コイルばねと、前記第2プランジャーを前記揺動部材の前記第2当接部の側に押し下げる第2コイルばねと、前記第1プランジャーが挿入されるソレノイドコイルと、前記第1コイルばねが装填される凹部が形成された固定鉄心とを有することを特徴とする弁装置。」
「【請求項4】
流体が流れるポートを少なくとも一つ具えた弁室を区画する弁本体と、前記ポートを開閉する弁体と、前記弁体を駆動して前記ポートを開閉する駆動手段とを備え、
前記ポートは、周囲に弁座が形成された開口を有し、
前記弁体は、前記弁室を覆うように配され、かつ前記弁座に着座又は離間して前記ポートを開閉するダイアフラムと、前記弁本体に対して揺動可能に設けられ、かつ第1当接部と第2当接部とを有する揺動部材とを有する弁装置であって、
前記ダイアフラムは、JIS-K6253のデュロメータA硬さがA60~A80の弾性材料からなり、
前記着座中の前記ダイアフラムの前記弁座に対する圧力が0.5~1.0N/mm2であり、
前記ポートは、前記弁室に流体を流入させる流入ポートと、前記弁室から流体を流出させる流出ポートとを有し、
前記流出ポートは、第1流出ポート及び第2流出ポートの2系統が配され、
前記ダイアフラムは、前記第1流出ポート及び前記第2流出ポートを開閉し、
前記ダイアフラムには、前記ダイアフラムにおいて最も肉厚の薄い膜部と、前記膜部の内側のポート閉鎖時に前記第1流出ポートの弁座又は前記第2流出ポートの弁座に着座する底面とが設けられ、
前記膜部の厚さは、0.2~1.0mmであり、
前記駆動手段は、前記揺動部材を駆動する弁駆動部を有し、
前記弁駆動部は、前記第1流出ポートの上方に配設された第1プランジャーと、前記第2流出ポートの上方に配設された第2プランジャーと、前記第1プランジャーを前記揺動部材の前記第1当接部の側に押し下げる第1コイルばねと、前記第2プランジャーを前記揺動部材の前記第2当接部の側に押し下げる第2コイルばねと、前記第1プランジャーが挿入されるソレノイドコイルと、前記第1コイルばねが装填される凹部が形成された固定鉄心とを有することを特徴とする弁装置。」
「【請求項6】
流体が流れるポートを少なくとも一つ具えた弁室を区画する弁本体と、前記ポートを開閉する弁体と、前記弁体を駆動して前記ポートを開閉する駆動手段とを備え、
前記ポートは、周囲に弁座が形成された開口を有し、
前記弁体は、前記弁室を覆うように配され、かつ前記弁座に着座又は離間して前記ポートを開閉するダイアフラムと、前記弁本体に対して揺動可能に設けられ、かつ第1当接部と第2当接部とを有する揺動部材とを有する弁装置であって、
前記ダイアフラムは、ゴム成分として、エチレン-プロピレン-ジエンを含み、かつ、充填剤として、炭酸カルシウム、シリカ、硫酸バリウム、タルク又はカーボンブラックの1種以上を含んだ、JIS-K6253のデュロメータA硬さがA50~A85の弾性材料からなり、
前記着座中の前記ダイアフラムの前記弁座に対する圧力が0.5~1.0N/mm2であり、
前記ポートは、前記弁室に流体を流入させる流入ポートと、前記弁室から流体を流出させる流出ポートとを有し、
前記流出ポートは、第1流出ポート及び第2流出ポートの2系統が配され、
前記ダイアフラムは、前記第1流出ポート及び前記第2流出ポートを開閉し、
前記駆動手段は、前記揺動部材を駆動する弁駆動部を有し、
前記弁駆動部は、前記第1流出ポートの上方に配設された第1プランジャーと、前記第2流出ポートの上方に配設された第2プランジャーと、前記第1プランジャーを前記揺動部材の前記第1当接部の側に押し下げる第1コイルばねと、前記第2プランジャーを前記揺動部材の前記第2当接部の側に押し下げる第2コイルばねと、前記第1プランジャーが挿入されるソレノイドコイルと、前記第1コイルばねが装填される凹部が形成された固定鉄心とを有することを特徴とする弁装置。」
第4 取消理由の概要
訂正前の請求項1ないし8に係る特許に対して、当審が平成30年7月31日付けで特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。
本件特許の請求項1ないし8に係る発明は、引用文献1ないし10に記載された発明又は技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消すべきものである。
また、平成30年9月27日提出の訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲に記載された請求項2ないし8に係る発明は、引用文献1ないし15に記載された発明又は事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消すべきものである。
第5 引用文献
1.引用文献一覧
(1)引用文献1
特開2004-144243号公報(以下、「引用文献1」という。なお、引用文献1は、申立て1において提出された甲第1号証であり、また、申立て2において提出された甲第1号証である。)
(2)引用文献2
特開平6-207678号公報(以下、「引用文献2」という。なお、引用文献2は、申立て1において提出された甲第2号証である。)
(3)引用文献3
特開平4-165163号公報(以下、「引用文献3」という。なお、引用文献3は、申立て1において提出された甲第3号証である。)
(4)引用文献4
特開平10-184948号公報(以下、「引用文献4」という。なお、引用文献4は、申立て1において提出された甲第4号証であり、また、申立て2において提出された甲第2号証である。)
(5)引用文献5
特開2011-84720号公報(以下、「引用文献5」という。なお、引用文献5は、申立て1において提出された甲第5号証である。)
(6)引用文献6
特開2010-54848号公報(以下、「引用文献6」という。なお、引用文献6は、申立て1において提出された甲第6号証であり、また、申立て2において提出された甲第3号証である。)
(7)引用文献7
特開2004-108501号公報(以下、「引用文献7」という。なお、引用文献7は、申立て1において提出された甲第7号証である。)
(8)引用文献8
実願昭61-61666号(実開昭62-174175号)のマイクロフィルム(以下、「引用文献8」という。なお、引用文献8は、申立て1において提出された甲第8号証であり、また、申立て2において提出された甲第4号証である。)
(9)引用文献9
特開2005-315326号公報(以下、「引用文献9」という。なお、引用文献9は、申立て1において提出された甲第9号証である。)
(10)引用文献10
特開2009-24037号公報(以下、「引用文献10」という。なお、引用文献10は、申立て1において提出された甲第10号証であり、また、申立て2において提出された甲第5号証である。)
(11)引用文献11
特開2012-172717号公報(以下、「引用文献11」という。なお、引用文献11は、意見書3とともに提出された参考資料1である。)
(12)引用文献12
特開2009-257438号公報(以下、「引用文献12」という。なお、引用文献12は、意見書3とともに提出された参考資料2である。)
(13)引用文献13
特開2005-172151号公報(以下、「引用文献13」という。なお、引用文献13は、意見書3とともに提出された参考資料3である。)
(14)引用文献14
実願平4-37639号(実開平5-90060号)のCD-ROM(以下、「引用文献14」という。なお、引用文献14は、意見書3とともに提出された参考資料4である。)
(15)引用文献15
特開2006-162043号公報(以下、「引用文献15」という。なお、引用文献15は、意見書3とともに提出された参考資料5である。)
(16)引用文献16
特開2000-193105号公報(以下、「引用文献16」という。なお、引用文献16は、意見書3とともに提出された参考資料6である。)
(17)引用文献17
特開平5-126269号公報(以下、「引用文献17」という。なお、引用文献17は、意見書3とともに提出された参考資料7である。)
(18)引用文献18
特開2004-218670号公報(以下、「引用文献18」という。なお、引用文献18は、意見書4とともに提出された甲第11号証である。)
(19)引用文献19
特開2011-202718号公報(以下、「引用文献19」という。なお、引用文献19は、意見書4とともに提出された甲第12号証である。)(20)引用文献20
特開2011-202770号公報(以下、「引用文献20」という。なお、引用文献20は、意見書4とともに提出された甲第13号証である。)(21)引用文献21
特開平6-185668号公報(以下、「引用文献21」という。なお、引用文献21は、意見書4とともに提出された甲第14号証である。)
(22)引用文献22
実願昭51-93926号(実開昭53-13637号)のマイクロフィルム(以下、「引用文献22」という。なお、引用文献22は、意見書4とともに提出された甲第15号証である。)
2.引用文献1
(1)引用文献1の記載
本件特許の出願前に頒布された引用文献1には、「小型電磁弁」に関して、次のような記載がある(下線は、理解の一助のために当審が付与したものである。以下同様。)。
ア.「【0019】
小型電磁弁1は、取付板2にバルブボディ3を固定して弁本体が構成され、バルブボディ3にケーシング4を連結している。取付板2には、図6の純水ポンプ51に接続する第1ポート5a、図6のシリンジポンプ52に接続する第2ポート5bと、図6の反応セル53に接続する第3ポート5cとが形成され、第1,第3ポート5a,5cにそれぞれ連通する弁座部6a,6b(後述)が設けられている。
【0020】
バルブボディ3は、中空の円筒形に形成されたものであり、バルブボディ3と取付板2との間でダイアフラム7の外縁部を狭持することにより、第1~第3ポート5a~5cと連通する弁室8を形成している。ダイアフラム7は、フッ素ゴム、シリコンゴム、EPDM(ethylene-propylene-diene terpolymer)等を薄肉の円形状に形成したものであり、バルブボディ3に固定された支軸9に揺動可能に軸支される揺動部材10に固着されている。従って、揺動部材10を揺動させれば、ダイアフラム7を第1ポート5aの弁座部6a又は第3ポート5cの弁座部6bに当接させ、第1~第3ポート5a~5cの連通状態を切り換えることができる。
【0021】
ケーシング4には、ソレノイド機構が内蔵されている。ソレノイド機構は、電磁コイル11を巻回された中空円筒形状のコイルボビン12を備え、コイルボビン12の中空孔の上端開口部に固定鉄心13が固定される一方、コイルボビン12の中空孔の下端開口部に可動鉄心14が摺動可能に挿通されている。電磁コイル11は、リード線15を介して通電され、リード線15と電磁コイル11との間に電圧を制御する回路基板16が配設されている。
【0022】
可動鉄心14は、先端部が揺動部材10に突き当てられるようにバルブボディ3に形成された中空孔17に摺動可能に挿通され、第1バネ18により常に下向きの力を加えられている。揺動部材10には、支軸9を挟んで可動鉄心14と対称位置に押圧部材20の先端部が当接している。押圧部材20は、バルブボディ3に形成された中空孔19に摺動可能に収納され、中空孔19内に配設された第2バネ21により常に下向きの力を加えられている。第2バネ21には、第1バネ18より付勢力が弱いものを使用している。従って、可動鉄心14を上下動させて第1バネ18の付勢力を調節することにより、第1バネ18と第2バネ21との付勢力のバランスを変化させ、揺動部材10を揺動させることができる。」
イ.「【0026】
こうした構成を有する小型電磁弁1は、次のように作用する。
小型電磁弁1に電気信号を供給しない場合には、図2に示すように、固定鉄心13が可動鉄心14を吸引しないため、可動鉄心14が第1バネ18に付勢されて揺動部材10の一端を下向きに押圧する。第2バネ21は第1バネ18より付勢力が弱いため、揺動部材10は押圧部材20を第2バネ21の付勢力に反して上向きに押し上げるように揺動する。これにより、ダイアフラム7が、第1ポート5aの弁座部6bの傾斜面22に当接して第1ポート5aを閉弁するとともに、第3ポート5cの弁座部6bの傾斜面22から離間して第3ポート5cを開弁し、第2ポート5bと第3ポート5cとを連通させる。従って、図6のシリンジポンプ52に予め純水を充填しておき、小型電磁弁1に電気信号を供給しない状態でシリンジポンプ52を駆動すると、純水がシリンジポンプ52から小型電磁弁1の第2ポート5b、弁室8、第3ポート5cを介して反応セル53に注入される。
【0027】
一方、小型電磁弁1に電気信号を供給した場合には、図3に示すように、固定鉄心13が励磁されて第1バネ18の付勢力に反して可動鉄心14を引き上げ、可動部材14が揺動部材10を下向きに押圧する力を解除させる。それにともなって、押圧部材20が第2バネ21に付勢されて揺動部材10を下向きに押圧すして揺動させる。これにより、ダイアフラム7は、第1ポート5aの弁座部6bの傾斜面22から離間して第1ポート5aを開弁するとともに、第3ポート5cの弁座部6bの傾斜面22に当接して第3ポート5cを閉弁し、第1ポート5aと第2ポート5bとを連通させる。この状態で図6のシリンジポンプ52を駆動すると、純水が純水ポンプ51から小型電磁弁の第1ポート5a、弁室8、第2ポート5bを介してシリンジポンプ52に供給される。」
ウ.上記ア.の記載から、弁室8は、第1~第3ポート5a~5c(以下、これらを総称して単に「ポート」ともいう。)を具えていることが理解できる。
エ.上記ア.及び図3の記載から、バルブボディ3と取付板2とからなる弁本体は、弁室8を区画することが理解できる。
オ.図2及び図3の記載から、揺動部材10とダイアフラム7により弁体を構成することが看取でき、また、上記ア.ならびに図2及び図3の記載から、弁体を駆動してポートを開閉する駆動手段を備えることが理解できる。
カ.図3の記載から、第1ポート5a及び第3ポート5cは、周囲に弁座部6a、6bが形成された開口を有することが看取できる。
キ.上記ア.の特に段落【0020】の「バルブボディ3と取付板2との間でダイアフラム7の外縁部を狭持することにより」の記載、及び、図3の記載から、ダイアフラム7は、弁室8を覆うように配されることが理解できる。
ク.図2及び3の記載から、揺動部材10は、弁本体に対して揺動可能に設けられ、かつ第1当接部と第2当接部とを有することが理解できる。
ケ.上記イ.ならびに図3及び図6の記載から、ポートは、弁室8に流体を流入させる第1ポート5a及び第2ポート5bと、弁室8から流体を流出させる第2ポート5b及び第3ポート5cとを有することが理解できる。
コ.上記ア.ならびに図2及び図3の記載から、駆動手段は、揺動部材10を駆動するソレノイド機構を有することが理解できる。
サ.上記ア.ならびに図2及び図3の記載によれば、ソレノイド機構は、第1ポート5aの上方に配設された可動鉄心14と、第3ポート5cの上方に配設された押圧部材20と、可動鉄心14を揺動部材10の第1当接部の側に押し下げる第1バネ18と、押圧部材20を揺動部材10の前記第2当接部の側に押し下げる第2バネと、前記可動鉄心14が挿入される電磁コイル11と、可動鉄心14上部に配された固定鉄心13とを有することが理解でき、また、第1バネ18の上部の一端は、コイルボビン12の下部にある部材(以下、「ソレノイド受け部」という。)に装着されていることが理解できる。
シ.図2及び図3の記載から、第1バネ18は、一端がソレノイド受け部の底と当接し、他端が可動鉄心14周面に設けられた段部と当接し、第2バネの一端は、押圧部材20の先端部と当接することが看取できる。
ス.図2及び図3の記載から、ダイヤフラム7には、ポート閉鎖時に第1ポート5aの弁座6a又は第3ポート5cの弁座6bに当接する底面とが設けられることが看取できる。
(2)引用発明
上記(1)及び図面を総合すると、引用文献1には次の発明が記載されている。
ア.引用発明1
「流体が流れるポートを複数具えた弁室8を区画する弁本体と、前記ポートを開閉する弁体と、前記弁体を駆動して前記ポートを開閉する駆動手段とを備え、
前記ポートは、周囲に弁座部6a,6bが形成された開口を有し、
前記弁体は、前記弁室8を覆うように配され、かつ前記弁座部6a、6bに当接又は離間して前記ポートを開閉するダイアフラム7と、前記弁本体に対して揺動可能に設けられ、かつ第1当接部と第2当接部とを有する揺動部材10とを有する小型電磁弁であって、
前記ポートは、前記弁室8に流体を流入させる第1ポート5a及び第2ポート5bと、前記弁室8から流体を流出させる第2ポート5b及び第3ポート5cとを有し、
前記ダイアフラム7は、前記第1ポート5a及び前記第3ポート5cを開閉し、
前記駆動手段は、前記揺動部材10を駆動するソレノイド機構を有し、
前記ソレノイド機構は、前記第1ポート5aの上方に配設された可動鉄心14と、前記第3ポート5cの上方に配設された押圧部材20と、前記可動鉄心14を前記揺動部材10の前記第1当接部の側に押し下げる第1バネ18と、前記押圧部材20を前記揺動部材10の前記第2当接部の側に押し下げる第2バネ21と、前記可動鉄心14が挿入される電磁コイル11と、前記第1バネ18が装着されるソレノイド受け部と、可動鉄心14上部に配された固定鉄心13とを有し、
前記第1バネ18は、一端が前記ソレノイド受け部の底と当接し、他端が前記可動鉄心14周面に設けられた段部と当接し、
前記第2バネ21の一端は、前記押圧部材20の先端部と当接する小型電磁弁。」
イ.引用発明2
「流体が流れるポートを複数具えた弁室8を区画する弁本体と、前記ポートを開閉する弁体と、前記弁体を駆動して前記ポートを開閉する駆動手段とを備え、
前記ポートは、周囲に弁座部6a,6bが形成された開口を有し、
前記弁体は、前記弁室8を覆うように配され、かつ前記弁座部6a、6bに当接又は離間して前記ポートを開閉するダイアフラム7と、前記弁本体に対して揺動可能に設けられ、かつ第1当接部と第2当接部とを有する揺動部材10とを有する小型電磁弁であって、
前記ポートは、前記弁室8に流体を流入させる第1ポート5a及び第2ポート5bと、前記弁室8から流体を流出させる第2ポート5b及び第3ポート5cとを有し、
前記ダイアフラム7は、前記第1ポート5a及び前記第3ポート5cとを交互に開閉するものであり、
前記駆動手段は、前記揺動部材10を駆動するソレノイド機構を有し、
前記ソレノイド機構は、前記第1ポート5aの上方に配設された可動鉄心14と、前記第3ポート5cの上方に配設された押圧部材20と、前記可動鉄心14を前記揺動部材10の前記第1当接部の側に押し下げる第1バネ18と、前記押圧部材20を前記揺動部材10の前記第2当接部の側に押し下げる第2バネ21と、前記可動鉄心14が挿入される電磁コイル11と、前記第1バネ18が装着されるソレノイド受け部と、可動鉄心14上部に配された固定鉄心13とを有する小型電磁弁。」
ウ.引用発明3
「流体が流れるポートを複数具えた弁室8を区画する弁本体と、前記ポートを開閉する弁体と、前記弁体を駆動して前記ポートを開閉する駆動手段とを備え、
前記ポートは、周囲に弁座部6a,6bが形成された開口を有し、
前記弁体は、前記弁室8を覆うように配され、かつ前記弁座部6a、6bに当接又は離間して前記ポートを開閉するダイアフラム7と、前記弁本体に対して揺動可能に設けられ、かつ第1当接部と第2当接部とを有する揺動部材10とを有する小型電磁弁であって、
前記ポートは、前記弁室8に流体を流入させる第1ポート5a及び第2ポート5bと、前記弁室8から流体を流出させる第2ポート5b及び第3ポート5cとを有し、
前記ダイアフラム7は、前記第1ポート5a及び前記第3ポート5cを開閉し、
前記ダイヤフラム7には、ポート閉鎖時に前記第1ポート5aの前記弁座部6a又は前記第3ポート5cの前記弁座部6bに当接する底面とが設けられ、
前記駆動手段は、前記揺動部材10を駆動するソレノイド機構を有し、
前記ソレノイド機構は、前記第1ポート5aの上方に配設された可動鉄心14と、前記第3ポート5cの上方に配設された押圧部材20と、前記可動鉄心14を前記揺動部材10の前記第1当接部の側に押し下げる第1バネ18と、前記押圧部材20を前記揺動部材10の前記第2当接部の側に押し下げる第2バネ21と、前記可動鉄心14が挿入される電磁コイル11と、前記第1バネ18が装着されるソレノイド受け部と、可動鉄心14上部に配された固定鉄心13とを有する小型電磁弁。」
エ.引用発明4
「流体が流れるポートを複数具えた弁室8を区画する弁本体と、前記ポートを開閉する弁体と、前記弁体を駆動して前記ポートを開閉する駆動手段とを備え、
前記ポートは、周囲に弁座部6a,6bが形成された開口を有し、
前記弁体は、前記弁室8を覆うように配され、かつ前記弁座部6a、6bに当接又は離間して前記ポートを開閉するダイアフラム7と、前記弁本体に対して揺動可能に設けられ、かつ第1当接部と第2当接部とを有する揺動部材10とを有する小型電磁弁であって、
前記ダイアフラムは、ゴム成分として、フッ素ゴム、シリコンゴム、EPDMを含む弾性材料からなり、
前記ポートは、前記弁室8に流体を流入させる第1ポート5a及び第2ポート5bと、前記弁室8から流体を流出させる第2ポート5b及び第3ポート5cとを有し、
前記ダイアフラム7は、前記第1ポート5a及び前記第3ポート5cを開閉し、
前記駆動手段は、前記揺動部材10を駆動するソレノイド機構を有し、
前記ソレノイド機構は、前記第1ポート5aの上方に配設された可動鉄心14と、前記第3ポート5cの上方に配設された押圧部材20と、前記可動鉄心14を前記揺動部材10の前記第1当接部の側に押し下げる第1バネ18と、前記押圧部材20を前記揺動部材10の前記第2当接部の側に押し下げる第2バネ21と、前記可動鉄心14が挿入される電磁コイル11と、前記第1バネ18が装着されるソレノイド受け部と、可動鉄心14上部に配された固定鉄心13とを有する小型電磁弁。」
3.引用文献2
(1)引用文献2の記載
本件特許の出願前に頒布された引用文献2には、「ロッカ弁部材および隔離ダイアフラムを有する弁」に関して、次のような記載がある。
ア.「【0019】図2、3に示す本発明の弁は、従来の弁に存在する上記の問題を克服する。本発明の弁は、従来の弁に類似しているが、内部シリンダ39を形成した弁体38を包含する。この弁体には4本のボルト(図示せず)によってボンネット40が固着してある。これらのボルトは、ボンネットの4つの孔41(図5)を貫通し、弁体に設けたタップ孔に螺合している。
【0020】ボンネット40は、加圧流体の入口ポート42と2つの出口ポート43、44が形成してある(図2-5)。ポート43の内端は弁座45によって囲まれており、出口ポート44の内端は弁座46によって囲まれている。
【0021】これら3つのポートは、すべて、弁体38とボンネット40の間に構成された弁室49内に開いている。この弁室49内には、ロッカ弁部材50が収容されており、このロッカ弁部材50は、シリンダ39の長手方向に対して直角に延びる軸51上で揺動できるように枢着してある。ロッカ弁部材50は、弾力性のあるゴム状材料53内に埋め込まれた剛性材料のコア52を包含する。」
イ.「【0022】柔軟で可撓性があるゴム状材料のダイアフラム56が弁部材50を取り囲み、弁部材と弁体の間を半径方向に延びている。好ましくは、ダイアフラムは、弁部材の埋め込み材料53と一体に形成される。ダイアフラム56の半径方向外方の縁57は、弁体38とボンネット40の間にしっかりと挟まれている。これを確実にするために、ボンネットによって提供される連続した幅狭の隆起55(図5)がポートを取り囲み、弁体に向かって突出している。こうして、ダイアフラムの縁は、所定位置に保持され、弁体とボンネットとの間のシールとして役立つ。」
ウ.「【0024】弁体38の、スプリング61が設置してある端と反対側の端には、円筒形のハウジング71が装着してあり、このハウジングは、ソレノイド・コイル64を収容している。このソレノイド・コイル64内には、コア・チューブ65が軸線方向に延びている。チューブ65の、ピストン58から遠い方の端の中には、固定アーマチャ66が固定してある。固定アーマチャ66に対して前後方向にチューブ65内で摺動できるように可動アーマチャ67が設けてある。圧縮スプリング68が可動アーマチャ67の軸線方向の内径孔内に収容されており、スプリングの一端が固定アーマチャ66に着座している。
【0025】ソレノイド64が消勢されたとき、図3に示すように、スプリング61よりも強いスプリング68は可動アーマチャ67およびピストン58を左へ押圧し、弁部材50を軸51のまわりに反時計方向に揺動させる。こうして、弁部材50は弁座45と係合させられ、弁座46から離脱し、出口ポート43を閉ざし、出口ポート44を開く。ソレノイド64が付勢されると、可動アーマチャ67が固定アーマチャ66に向かって引っ張られ、したがって、スプリング68を圧縮してスプリング61がピストン58を右(図2)に移動させるのを許し、それによって、弁部材50が揺動して弁座46と係合し、弁座45から離れるように移動する。こうして、出口ポート43が開き、出口ポート44が閉じる。」
エ.上記ア.の記載から、弁室49は、入口ポート44と2つの出口ポート43、44(以下、これらを総称して単に「ポート」ともいう。)を具えていることが理解できる。
オ.上記ア.ならびに図2及び図5の記載から、ポートは、周囲に弁座45、46が形成された開口を有することが理解できる。
カ.上記ウ.の記載から、ロッカ弁部材50を揺動してポートを開閉するソレノイド手段を備えることが理解できる。
キ.上記イ.の「ダイアフラム56の半径方向外方の縁57は、弁体38とボンネット40の間にしっかりと挟まれている。」及び「ダイアフラムの縁は、所定位置に保持され、弁体とボンネットとの間のシールとして役立つ。」ならびに図2及び図5の記載から、ダイアフラム56は、弁室49を覆うように配されることが理解できる。
ク.上記ア.の記載から、出口ポート43、44は、出口ポート43及び出口ポート44の2系統が配されることが理解できる。
(2)引用文献2に記載された事項
上記(1)及び図面の記載からみて、引用文献2には次の事項が記載されている。
「流体が流れるポートを複数具えた弁室49を間に構成した弁体38及びボンネット40と、前記ポートを開閉するロッカ弁部材50と、前記ロッカ弁部材50を揺動して前記ポートを開閉するソレノイド手段とを備え、
前記ポートは、周囲に弁座45、46が形成された開口を有し、
前記ロッカ弁部材50は、前記弁室49を覆うように配され、かつ前記弁座45、46に係合又は離脱して前記ポートを開閉するダイアフラム56を有する弁であって、
前記ポートは、前記弁室49に流体を流入させる入口ポート42と、前記弁室49から流体を流出させる出口ポート43、44とを有し、
前記出口ポート43、44は、出口ポート43及び出口ポート44の2系統が配され
前記ダイアフラム56は、出口ポート43及び出口ポート44を開閉する弁。」
4.引用文献3
(1)引用文献3の記載
本件特許の出願前に頒布された引用文献3には、「ダイヤフラム弁」に関して、次のような記載がある。
ア. 「1 フッ素ゴム25~95重量%とEPDM若しくはEPMゴム75~5重量%からなる組成物をゴム分として、これに過酸化物を配合してなるゴム配合物を金型中で加熱して該過酸化物による加硫反応により一体的に成型したダイヤフラムを有することを特徴とするダイヤフラム弁。」(特許請求の範囲)
イ.「フッ素ゴム2種、EPDMゴム及び本発明に用いるフッ素ゴムとEPDMゴムのブレンドゴム5種の計8種の加硫成型ゴムの機械的物性及び電解槽における耐腐食性を試験した。
各ゴムの配合と加硫条件及び加硫ゴムの試験方法は、次の通りであり、物性及び耐腐食性試験の結果は第1表の通りであった。」(4ページ左下欄11ないし17行)
ウ.「(1)フッ素ゴムG100
・配合
ダイエルG1001 100重量部
カーボンブラック 20重量部
2,5-ジメチル-2.5(第3級ブチルパーオキシ)ヘキシン-3 1.5重量部
トリアリルイソシアヌレート 4重量部
・加硫条件
試験片用金型プレスにより160℃で15分間加硫して、型より取り出し160℃で5時間加硫して試験片を得た。
(2)EPDMゴムE70
・配合
EP24 100重量部
亜鉛華1号 5重量部
ステアリン酸 1重量部
老化防止剤MB 1重量部
老化防止剤RD 1重量部
カーボンブラックFEF 82重量部
パラフィン系プロセスオイル 25重量部
トリアリルイソシアヌレート 1重量部
ジクミルパーオキサイド 3.2重量部
ハードクレイ 5重量部」(4ページ右下欄2行ないし5ページ左上欄4行)
エ.「(3)ブレンドゴム1
フッ素ゴム主体のフッ素ゴム-EPDMゴムブレンド物
・配合
上記(1)と(2)の配合をフッ素ゴムとEPDMゴムの比率が80:20になる割合でブレンドした組成物。」(5ページ左上欄8ないし14行)
オ.「(5)フッ素ゴムG90
(1)の配合におけるフッ素ゴムダイエルG1001の代わりにフッ素ゴムダイエルG902を配合した組成物。
(6)ブレンドゴム3
・配合
上記(5)と(2)の配合をフッ素ゴムとEPDMゴムの比率が80:20になる割合でブレンドした組成物。」(5ページ右上欄8ないし16行)
カ.「(7)ブレンドゴム4
・配合
上記(5)と(2)の配合をフッ素ゴムとEPDMゴムの比率が60:40になる割合でブレンドした組成物。」(5ページ左下欄1ないし5行)
キ.「(8)ブレンドゴム5
・配合
上記(5)と(2)の配合をフッ素ゴムとEPDMゴムの比率が50:50になる割合でブレンドした組成物。」(5ページ左下欄9ないし13行)
ク.上記イ.の記載によれば、6ページの「第1表」は、フッ素ゴム2種、EPDMゴム及び甲第3号証に記載された発明に用いるフッ素ゴムとEPDMゴムのブレンドゴム5種の計8種の加硫成型ゴムの機械的物性及び電解槽における耐腐食性を試験した結果を示すものであるところ、ブレンドゴム1ないし5の硬さ(JISA)がそれぞれ82、78、76、76、75であることが示されている。
(2)引用文献3に記載の事項
上記(1)及び図面の記載からみて、引用文献3には次の事項が記載されている。
「ダイヤフラム弁のダイヤフラムに用いられ、硬さ(JISA)が82、78、76、76、75であるフッ素ゴム又はEPDMゴム。」
5.引用文献4
(1)引用文献4の記載
本件特許の出願前に頒布された引用文献4には、「パイロット式ダイヤフラム弁」に関して、次のような記載がある。
ア.「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、パイロット弁によって流入室とパイロット室の流体圧力のバランスを制御してダイアフラム弁を開閉するパイロット式ダイアフラム弁に関するものである。」
イ.「【0019】さらに、このダイアフラム2を成形する素材としては、上記ウレタンだけでなくニトリルゴム(以下、「NBR」という)の単一素材によって成形するものであってもよい。ここで使用されるNBRは、特に水素化NBRがよい。この水素化NBRは、上記ウレタンエストラマーと同様の80゜±5(JIS A)の硬度を有し、また、引張強度は50~60N・mm2 と高い値を示す。そして、使用温度での動的粘弾性にも優れ、単一素材によって形成した主弁体であっても流体圧力による変形を受けず、可動部としても十分に作用する。このようなウレタンエストラマーや水素化NBRの硬度であれば、従来例に示すダイアフラム52のようにインサートメタル83を必要とせず、弁体が流体圧力によって変形することはない。」
(2)引用文献4に記載の事項
上記(1)及び図面の記載からみて、引用文献4には次の事項が記載されている。
「ダイヤフラム弁のダイヤフラムに用いられ、80゜±5(JIS A)の硬度を有するニトリルゴム。」
6.引用文献5
(1)引用文献5の記載
本件特許の出願前に頒布された引用文献5には、「ダイヤフラム用ゴム組成物およびそれを用いたダイヤフラム」に関して、次のような記載がある。
ア.「【0001】
本発明は、ダイヤフラム用ゴム組成物およびそれを用いたダイヤフラムに関し、特に、金属部材と接着して用いられるダイヤフラム用のゴム組成物に関する。」
イ.「【0025】
本発明のダイヤフラム用ゴム組成物は、デュロA(Duro-A)硬度が60~80である中高ニトリル含有または高ニトリル含有の水素化ニトリルゴム(HNBR)と、加硫剤として使用される硫黄および有機過酸化物と、エステル系可塑剤とを含んで構成される。」
(2)引用文献5に記載の事項
上記(1)及び図面の記載からみて、引用文献5には次の事項が記載されている。
「ダイヤフラム弁のダイヤフラムに用いられ、デュロA(Duro-A)硬度が60~80である中高ニトリル含有または高ニトリル含有の水素化ニトリルゴム(HNBR)と、加硫剤として使用される硫黄および有機過酸化物と、エステル系可塑剤とを含んで構成されるダイヤフラム用ゴム組成物。」
7.引用文献6
(1)引用文献6の記載
本件特許の出願前に頒布された引用文献6には、「転写電界形成部材、転写装置及び画像形成装置」に関して、次のような記載がある。
ア.「【0145】
微粒子72cは、樹脂、セラミック、ガラスから選択される材質からなっており、またその硬度は次に述べる弾性層72aの硬度より高い90度(ショアA)以上であり、それぞれ投錨効果的作用を効果的且つ安定的に得るのに適している。
ここで、ショアAは、JIS-Aとともに、一般ゴムの硬さを測定する規格で、非測定物の表面に、押針、インデンタと呼ばれる圧子を押し込み変形させ、その変形量である押込み深さを測定し、数値化する、デュロメータといわれるスプリング式ゴム硬度計を用いた計測値である。なお、JIS-Aは、JIS K6301-1975に規定されていたスプリング式硬さ計(JIS-A形)で測定された日本独自の規格であったが、1993年にJIS K6253において新しくタイプAデュロメータが新たに規定され、その後JIS K6301は1998年に廃止された。JIS K6253のタイプAデュロメータとASTM D2240のタイプAデュロメータは、ショア(A)の硬さ計と同じものである。JIS-A硬度計とショアA硬度計は、測定原理は同じであるが、スプリング荷重と押針の高さの値が若干異なる。JIS K6253タイプAデュロメータの測定値は、JIS K6301A形の測定値に比べ、30-90の範囲で、1~2高くなる。
樹脂、セラミック、ガラスの具体的な材質については後に詳述する。」
(2)引用文献6に記載の事項
上記(1)及び図面の記載からみて、引用文献6には次の事項が記載されている。
「JIS K6253におけるタイプAデュロメータは、JIS K6301に代わって1993年に規定された一般ゴムの硬さを測定する規格であり、JIS K6253タイプAデュロメータの測定値は、JIS K6301A形の測定値に比べ、30-90の範囲で、1~2高くなること。」
8.引用文献7
(1)引用文献7の記載
本件特許の出願前に頒布された引用文献7には、「ダイヤフラムバルブ」に関して、次のような記載がある。
ア. 「【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ダイヤフラムバルブに関し、特に、操作用流体圧、ばね力等を受けてシリンダ室を往復するピストンが、ピストンに固定されたスピンドルを介して、弾性材より成るダイヤフラムを開閉弁させるダイヤフラムバルブに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、操作用流体圧、ばね力等を受けてシリンダ室を往復するピストンが、ピストンに固定されたスピンドルを介して、弾性材より成るダイヤフラムを開閉弁させるダイヤフラムバルブにおいては、弁本体の堰に押圧されるダイヤフラムの損傷を防止するために、使用条件の配管流体圧力に応じた適正な操作用流体圧またはばね力を作用させて閉弁させるのが好ましい使用法である。
【0003】
しかしながら、ユーザーの中には、この適正な操作用流体圧を大幅に上回る圧力の圧縮空気等の操作用流体をシリンダ室に送り込んでダイヤフラムバルブを作動させたり、配管流体圧力よりも大きな許容流体圧力のダイヤフラムバルブを使用することにより、大きな閉弁ばね力でダイヤフラムを作動させることになる場合がある。これらの場合には、ダイヤフラムが衝撃的に、且つ通常より大きな押圧力で弁本体の堰に押圧されるため、ダイヤフラムの損傷が激しく、寿命が短縮するという問題があった。特に、開閉頻度が多い条件の元で使用されると、ダイヤフラムが短期間で破損し、ダイヤフラムを頻繁に取り替えなければならないという問題があった。」
イ.「【0023】
次に、本発明の実施例を示す。
(実施例1)
図1に示すダイヤフラムバルブを薬品製造プラントの薬液輸送配管ラインの開閉弁として使用した。このダイヤフラムバルブの許容圧力が0.49メガパスカル(MPa)の仕様であったが、配管ラインの薬液輸送圧力が0.1メガパスカル(MPa)であったので、ストッパー5の固定位置を調整してダイヤフラム2の堰12に対する押圧力を0.2メガパスカル(MPa)とした。
また、比較のために、上記実施例1と同じダイヤフラムバルブを同じ配管ラインに装着し、ダイヤフラム2の堰12に対する押圧力を仕様通りの0.49メガパスカル(MPa)とした以外は、同一条件で使用した。
漏れが生じるまでの耐久性を調査したところ、配管ラインの使用圧力に対して適正な押圧力となるよう調整したものの方が2倍の耐久性を有していた。」
(2)引用文献7に記載の事項
上記(1)及び図面の記載からみて、引用文献7には次の事項が記載されている。
「ダイヤフラムバルブにおいて、弁本体の堰に押圧されるダイヤフラムの損傷を防止するために、使用条件の配管流体圧力に応じた適正な操作用流体圧またはばね力を作用させて閉弁させるのが好ましいこと、及び、ダイヤフラムバルブを薬品製造プラントの薬液輸送配管ラインの開閉弁として使用した場合に、ダイヤフラムバルブの許容圧力が0.49メガパスカル(MPa)の仕様であったこと。」
9.引用文献8
(1)引用文献8の記載
本件特許の出願前に頒布された引用文献8には、「ソフトシート弁」に関して、次のような記載がある。
ア.「上記構成のソフトシート弁は、ゴムまたは樹脂製のソフトシート(7)を金属製の弁本体(1)に一体形成した弁座(5)に圧接し、該ソフトシート(7)の材質的な弾性変形作用を利用して流路(2)を確実に″締切″るものであるが、圧接すなわち締付けが強過ぎるとソフトシート(7)が弁座(5)によって損傷したり該ソフトシート(7)に永久変形が残ってしまい、当該弁の締切り性能が早期に劣化する問題を有している。」(明細書3ページ6ないし14行)
イ.「本考案は以上の点に鑑み、弁座に対するソフトシートの過度の締付けを防止して正常な弁機能を長期間にわたって維持するようにしたもので、この目的を達成するため、弁体の端部に取り付けたソフトシートを弁座に対して接離自在に圧接するソフトシート弁において、ソフトシートが適正な締め代で弁座に圧接したときに弁体の該圧接方向へ向けての移動を規制するストッパを設ける構成とした。」(明細書4ページ1ないし9行)
(2)引用文献8に記載の事項
上記(1)及び図面の記載からみて、引用文献8には次の事項が記載されている。
「ソフトシート弁において、ソフトシートを弁座に圧接して流路を確実に締切る際に、ソフトシートの損傷や劣化を防止するために過度の締付けを防止すること。」
10.引用文献9
(1)引用文献9の記載
本件特許の出願前に頒布された引用文献9には、「小型電磁弁」に関して、次のような記載がある。
ア.「 【0014】
また、出願人らは、小型電磁弁200がダイアフラム組立201を揺動させて第1弁座205aと第2弁座205bをシールするため、第1弁座205aと第2弁座205bとのシール力が一致すると考えて第1バネ202と第2バネ203のバネ力を設定した。すなわち、出願人らは、通電時と非通電時とでダイアフラム組立201に作用する第1バネ202と第2バネ203のバネ力が異なることを考慮し、第1バネ202のバネ力を第2バネ203のバネ力の2倍に設定した。このようにバネ力を設定した小型電磁弁200に第3流路204c側から所定圧の流体(例えば、空気)を供給して、ダイアフラム組立201を2~3回揺動させた後、第1流路204aに漏れ検知液を塗って流体漏れを評価した。
【0015】
ところが、小型電磁弁200は、計算上、第1弁座205aと第2弁座205bのシール力が一致するにもかかわらず、第1流路204aと第2流路204bを加圧したときに第1弁座205aから流体漏れが発生した。第1バネ21のバネ力を単純に大きくして第1弁座205a側のシール力を大きくすると、ソレノイド機構206が大型化するので、第2バネ203のバネ力を小さくすることにより第1弁座205aのシール力を相対的に増加させたところ、第1流路204aと第2流路204bの何れからも流体漏れが発生しなくなった。この評価結果より、出願人らは、非通電時のシール力を通電時のシール力より大きくする必要があることを見いだした。」
イ.「【0027】
ところで、小型電磁弁は、揺動弁が、非通電時に第1バネのバネ力から第2バネのバネ力を減算して求められるシール力で第1弁座をシールし、非通電時に第2バネのバネ力から第1バネのバネ力を減算して求められるシール力で第2弁座をシールしており、第1バネのバネ力と第2バネのバネ力が、第1弁座に作用するシール力が第2弁座に作用するシール力より大きくなるように設定されている。そのため、非通電時に第1流路又は第2流路を加圧しても、揺動弁が第1弁座を所定のシール力でシールするため、第1弁座から流体漏れが発生せず、また、通電時に第2流路又は第3流路を加圧しても、揺動弁が第2弁座を所定のシール力でシールするため、第2弁座から流体漏れが発生しない。
従って、本発明の小型電磁弁によれば、適切なシール力を確保して流体漏れを防止することができる。
【0028】
また、通電時のシール力を非通電時のシール力の0.8倍以下にすれば、ソレノイド機構を過大にすることなく流体漏れを防止することができる。
【0029】
ここで、上述した流体漏れの評価実験では、第1弁座と同軸上に設けられた第1押圧手段を第1バネのバネ力で押し下げ、第2弁座と同軸上に設けられた第2押圧手段を第2バネのバネ力で押し下げる小型電磁弁を用いて、非通電時のシール力を通電時のシール力より大きく設定する必要があることが判明した。この理由は不明であるが、例えば、特開平10-311444号公報に記載する多方弁、特開2000-297876号公報に記載するバルブ、特開2000-74249号公報に記載する電磁弁についても同様の評価実験を行ったところ、同様の傾向が見受けられた。よって、例えば、特開平10-311444号公報に記載する多方弁、特開2000-297876号公報に記載するバルブ、特開2000-74249号公報に記載する電磁弁についても、非通電時のシール力を通電時のシール力より大きく設定することにより、適切なシール力を確保して流体漏れを防止しうると考えられる。」
ウ.「【0037】
例えば、小型電磁弁1が0.20MPaの純水を制御する場合には、通電時に第2弁座6bをシールするシール力を、非通電時に第1弁座6aをシールするシール力の0.8倍以下にすることが望ましい。0.8倍より大きくすると、第1弁座6aと第2弁座6bのシール力に対して第1バネ21と第2バネ25のバネ力が過大となり、ソレノイド機構16が大型化するためである。第1バネ21と第2バネ25は、第1弁座6aと第2弁座6bをそれぞれ所定のシール力でシールするようにバネ力が設定される。特には、小型電磁弁1が0.20MPaの純水を制御する場合には、第1バネ21のバネ力を3070~3530mNに、第2バネ25のバネ力を1210~1390mNに設定することが望ましい。第1弁座6aと第2弁座6bの適切なシール力を確保するとともに、ソレノイド機構16が大型化することを防止するためである。
【0038】
一方、クッションバネ22は、可動鉄心20と第1押圧部材14との衝撃荷重を緩和するようにバネ力が設定される。この場合に、クッションバネ22のバネ力は、通電時及び非通電時に第1バネ21と第2バネ25のバネ力を阻害しないように十分に小さく設定される。特には、小型電磁弁1が0.20MPaの純水を制御する場合には、クッションバネ22のバネ力を第1バネ21のバネ力に対して0.03倍以上0.1倍以下に設定することが望ましい。」
(2)引用文献9に記載の事項
上記(1)及び図面の記載からみて、引用文献9には次の事項が記載されている。
「ダイアフラム組立を揺動させて第1弁座と第2弁座とシールする小型電磁弁において、通電時と非通電時とでダイアフラム組立に作用する第1バネと第2バネのバネ力が異なることを考慮し、第1バネのバネ力を第2バネのバネ力の2倍に設定したこと、及び、通電時に第2弁座をシールするシール力を、非通電時に第1弁座をシールするシール力の0.8倍以下にすること。」
11.引用文献10
(1)引用文献10の記載
本件特許の出願前に頒布された引用文献10には、「ダイヤフラム用ゴム組成物及びダイヤフラム」に関して、次のような記載がある。
ア.「【0008】
本発明のダイヤフラム用ゴム組成物は、CRを主成分とするゴム成分、酸化亜鉛、ハイドロタルサイト、カーボンブラック、シリカ及びイミダゾール化合物を含有する。」
イ.「【0018】
また、本発明のダイヤフラム用組成物には公知の、加硫促進剤、加硫促進助剤、加硫遅延剤、着色剤、補強剤、老化防止剤、充填剤、軟化剤、可塑剤、滑剤等の各種添加剤を添加できる。
【0019】
例えば、充填剤としては、クレー、タルク、マイカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム等、又は各種天然若しくは人工の繊維等が挙げられる。」
(2)引用文献10に記載の事項
上記(1)及び図面の記載からみて、引用文献10には次の事項が記載されている。
「ダイヤフラム用ゴム組成物は、CRを主成分とするゴム成分、酸化亜鉛、ハイドロタルサイト、カーボンブラック、シリカ及びイミダゾール化合物を含有すること、及び、充填剤としては、クレー、タルク、マイカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム等、又は各種天然若しくは人工の繊維等が挙げられること。」
12.引用文献11
(1)引用文献11の記載
本件特許の出願前に頒布された引用文献11には、「弁装置」に関して、次のような記載がある。
ア.「【0030】
リニア電磁弁2は、弁ブロック1に形成されたボアに組み込まれるガイドスリーブ3と、そのガイドスリーブ3の一端側に圧入固定された弁座形成部材4を有し、この弁座形成部材4の弁室側端面に弁座5が形成されている。
【0031】
ガイドスリーブ3の他端側にはプランジャ(可動鉄心)6が軸方向スライド可能に挿入され、そのプランジャ6と弁座形成部材4との間に弁室7が形成され、その弁室7に弁座5に対して接離させる弁体8が配置されている。
【0032】
その弁体8は、プランジャ6の大径部とは別加工されて大径部に継がれた弁室側小径部6aに設けられており、プランジャ6と一体になって軸方向に往復運動する。ガイドスリーブ3の他端には、非磁性体ピース9を介してステータコア(固定鉄心)10が接続され、そのステータコア10の外周からガイドスリーブ3の他端小径部の外周に至る領域にボビンに巻かれたコイル11が配置されている。
【0033】
また、コイル11の外側は有底円筒状のケース(ヨーク)12で覆われており、さらに、ガイドスリーブ3の大径部とケース12の間には磁性体リング13が介在されている。
【0034】
さらに、プランジャ6とステータコア10との間に、プランジャ6がステータコア10に磁力で吸着されることを阻止する吸着防止ピン14と、プランジャ6を閉弁方向に付勢する復帰スプリング15が設置されている。」
イ.上記ア.及び図1の記載から、リニア電磁弁2のプランジャ6を付勢する復帰スプリング15は、その一端をステータコア10に形成した凹部の底に当接させ、他端をプランジャ6の端面に当接させていることが理解できる。
(2)引用文献11に記載の事項
上記(1)及び図面の記載からみて、引用文献11には次の事項が記載されている。
「リニア電磁弁2のプランジャ6を付勢する復帰スプリング15は、その一端をステータコア10に形成した凹部の底に当接させ、他端をプランジャ6の端面に当接させていること。」
13.引用文献12
(1)引用文献12の記載
本件特許の出願前に頒布された引用文献12には、「ダイアフラムバルブ」に関して、次のような記載がある。
ア.「【0018】
図1は、第1の形態である2方弁NC(常時閉)タイプのダイアフラムバルブの断面図を示すものであり、図2は、そのバルブボディのみを示す平面図である。ダイアフラムバルブ1は、ソレノイド2とバルブボディ10とを備えて構成されている。
【0019】
ソレノイド2は、ケース3内に配置された固定鉄心4と固定鉄心4に対して接近離隔する方向に移動可能に配置されるプランジャ5と、固定鉄心4とプランジャ5を内部に嵌合するコイル6とを備えている。固定鉄心4におけるプランジャ5側端面には軸心方向に沿って凹部4aが形成され、凹部4a内にプランジャ5をバルブボディ10側に付勢するコイルばね7が収納されている。」
イ.上記ア.及び図1の記載から、ソレノイド2のプランジャ5を付勢するコイルばね7は、その一端を固定鉄心4に形成した凹部4aの底に当接させ、他端をプランジャ5の端面に当接させていることが理解できる。
(2)引用文献12に記載の事項
上記(1)及び図面の記載からみて、引用文献12には次の事項が記載されている。
「ソレノイド2のプランジャ5を付勢するコイルばね7は、その一端を固定鉄心4に形成した凹部4aの底に当接させ、他端をプランジャ5の端面に当接させていること。」
14.引用文献13
(1)引用文献13の記載
本件特許の出願前に頒布された引用文献13には、「電磁弁」に関して、次のような記載がある。
ア.「【0011】
ガイドスリーブ2の内周、言い換えれば励磁コイル1の内周には、磁性体からなる固定鉄心5及びプランジャ6が挿入されている。固定鉄心5は、弁座4と反対側を向いた外端5aがヨーク3の端盤31に係止されており、その外周面には、ガイドスリーブ2の内周面との間を密封するOリング51が装着されている。一方、プランジャ6は固定鉄心5より弁座4側にあって、ガイドスリーブ2の軸方向、すなわち弁座4に対する開閉方向へ往復動可能に配置されている。また、固定鉄心5とプランジャ6との間には、プランジャ6を弁座4側へ向けて付勢するコイルスプリング7が介装され、固定鉄心5の内端の内周に形成された盲穴状のスプリング保持穴5bに保持されている。」
イ.上記ア.及び図1の記載から、電磁弁のプランジャ6を付勢するコイルスプリング7は、その一端を固定鉄心5に形成したスプリング保持穴5bの底に当接させ、他端をプランジャ5の端面に当接させていることが理解できる。
(2)引用文献13に記載の事項
上記(1)及び図面の記載からみて、引用文献13には次の事項が記載されている。
「電磁弁のプランジャ6を付勢するコイルスプリング7は、その一端を固定鉄心5に形成したスプリング保持穴5bの底に当接させ、他端をプランジャ5の端面に当接させていること。」
15.引用文献14
(1)引用文献14の記載
本件特許の出願前に頒布された引用文献14には、「ダイヤフラム型電磁弁」に関して、次のような記載がある。
ア.「【0008】
【実施例】
本考案に係るダイヤフラム型電磁弁の一実施例を、添付図面に基づいて以下説明する。
図1は、二方口の電磁弁にダイヤフラムを組入れた例を示したもので、1はコイルハウジングで、その下部にバルブボデー2が結合されている。
コイルハウジング1の内部には、電磁弁コイル3と、その電磁弁コイル3に吸引される可動鉄芯のプランジャー4と、そのプランジャー4を下方へ付勢するプランジャースプリング5とが収納されている。」
イ.上記ア.及び図1の記載から、ダイヤフラム型電磁弁のプランジャー4を付勢するプランジャースプリング5は、その一端を固定鉄心に形成した凹部の底に当接させ、他端をプランジャー4の端面に当接させていることが理解できる。
(2)引用文献14に記載の事項
上記(1)及び図面の記載からみて、引用文献14には次の事項が記載されている。
「ダイヤフラム型電磁弁のプランジャー4を付勢するプランジャースプリング5は、その一端を固定鉄心に形成した凹部の底に当接させ、他端をプランジャー4の端面に当接させていること。」
16.引用文献15
(1)引用文献15の記載
本件特許の出願前に頒布された引用文献15には、「ダイアフラム弁」に関して、次のような記載がある。
ア.「【0003】
ダイアフラム弁体115は、弁座113に当接・離間する弁体部117と、その側面部分から張り出した膜部118とから構成され、膜部118の周縁に形成された環状の固定部119によって、ボディ110とシリンダ120とで挟み込まれている。そして、シリンダ120内には、上下方向に摺動可能なピストンロッド121が挿入され、その下端部にはダイアフラム弁体115の弁体部117が固定されている。シリンダ120の上部にはカバー122が取り付けられ、そのカバー122内に装填されたスプリング123によってピストンロッド121が下方に付勢されている。そして、シリンダ120には、ピストンロッド121をスプリング123の付勢力に抗して加圧するためのエアを供給する操作ポート125が形成されている。」
イ.「【0026】
また、高圧流体の供給制御を行うために、膜部22の厚さが従来品の倍程度となっている。本実施の形態では、膜部22の厚さは0.9mmである。しかしながら、従来品の形状のままで膜厚を単に厚くするとダイアフラム弁体が正常に動作しない。そこで、ダイアフラム弁1では、膜部22と弁体部21との境界(付け根)25を、ダイアフラム弁体20の中心線(ロッド31bの軸芯)Lに近いところに配置している。すなわち、中心線Lから膜部22と弁体部21との境界25の距離Aが、その中心線Lから弁座13までの距離Bより短くなるようにし、膜部22と弁体部21との境界25が弁座13の位置よりも中心線L側に位置するようにしている。これにより、膜部22の長さが長くなるので、膜厚を厚くした膜部22を無理なく変形させることができるようになっている。」
(2)引用文献15に記載の事項
上記(1)及び図面の記載からみて、引用文献15には次の事項が記載されている。
ア.「ダイアフラム弁体115には、弁座113に対して当接・離間する弁体部117と、そこから側面部分から張り出した膜部118とを有して形成されたこと。」
イ.「高圧流体の供給制御を行うために、ダイアフラム弁体20の膜部22の厚さを従来品の倍程度の0.9mmとし、ダイアフラム弁体20を正常に動作させるために、膜部22の長さが長くなるようにしたこと。」
17.引用文献16
(1)引用文献16の記載
本件特許の出願前に頒布された引用文献16には、「弾性部材の固定構造」に関して、次のような記載がある。
ア.「【0012】底板ヨーク16には、下方にボディ21が固定されて駆動手段のソレノイドと弁部とが一体になっている。そのボディ21には、側面のほぼ対称位置に入力ポート22と出力ポート23とが開設され、共に上面へ開設された流路24,25につながっている。入力ポート22側の流路24開口部分には、ボディ21上面に環状に隆起した弁座26が形成されている。そして、ボディ21の上面には、流路24,25の開口を囲んだ環状の固定溝27が形成されている。固定溝27の周りには更に突設されたガイド28が形成され、そのガイド28内に環形状の押圧部材29がはめ込まれるよう構成されている。そして、このダイアフラム弁1のダイアフラム3は、プランジャ14の下端に一体に設けられている。図3は、ダイアフラム弁1の弁部を示した拡大断面図である。ダイアフラム3は、円盤形状をなし、その中心には弁座26より広径の厚肉な弁体部分31が形成されている。弁体部分31は、プランジャ14下端に連結できるように、嵌合可能な連結部分32が形成されている。そして、弁体部分31の外周には薄肉な可撓部分33が連続し、更に可撓部分33の外周には厚肉な固定部分34が連続して成形されている。」
(2)引用文献16に記載の事項
上記(1)及び図面の記載からみて、引用文献16には次の事項が記載されている。
「ダイアフラム3の弁体部分31の外周には薄肉な可撓部分33が連続して成形されていること。」
18.引用文献17
(1)引用文献17の記載
本件特許の出願前に頒布された引用文献17には、「ダイヤフラム弁」に関して、次のような記載がある。
ア.「【0011】図1は、本発明のダイヤフラム弁の一例を示す模式断面図である。ハウジング1内にダイヤフラム2が配設されている。ハウジング1には、二つの流体出入口3、4が配設されている。二つの流体出入口3、4は、いずれもダイヤフラム2の一方の同じ面に臨む状態で配設されている。流体出入口3のダイヤフラム2に臨む部分には弁座5が配設されており、非加圧状態下では、ダイヤフラム2はこの弁座5に密着していて、流体はこのダイヤフラム弁を通過することはできない。円形のダイヤフラム2は、この弁座5との密着部の周辺に薄肉厚の変形可能部6を有している。この例では、変形可能部6はハウジング1の内壁と接触しており、この接触部も非加圧状態下での流体の流通阻止に寄与するよう構成されている。これは本発明の好ましい態様ではあるが、必ずしもダイヤフラム2は、内壁と接触するよう構成されていなくともよい。変形可能部6の外周部7は、他の流体出入口4と連通している。ダイヤフラム2の最外周部は、ハウジング1の内壁に固定されており流体の流通を阻止する。」
イ.「【0013】ダイヤフラムは、特に限定されるわけではないが、可撓性のあるエラストマーで構成されるのが製造上および作動性能上の理由から好ましい。僅かな加圧状態下でも流体の流通を可能にするためには、変形可能部6はできるだけ薄肉厚であることが好ましく、1mm以下であることが好ましい。エラストマーの柔軟性にもよるが、シリコンラバーの場合には、肉厚を0.3mm程度にすると0.1atm程度の加圧でも流体は十分流通することが可能である。」
(2)引用文献17に記載の事項
上記(1)及び図面の記載からみて、引用文献17には次の事項が記載されている。
ア.「円形のダイヤフラム2には、この弁座5との密着部の周辺に薄肉厚の変形可能部6を有していること。」
イ.「僅かな加圧状態下でも流体の流通を可能にするために、変形可能部6はできるだけ薄肉厚であること、1mm以下であることが好ましく、エラストマーの柔軟性にもよるが、シリコンラバーの場合には、肉厚を0.3mm程度にするとよいこと。」
19.引用文献18
(1)引用文献18の記載
本件特許の出願前に頒布された引用文献18には、「電磁弁」に関して、次のような記載がある。
ア.「【0019】
筒状ガイド部8aと固定鉄心9の間には、該部をシールするOリング等よりなるパッキン11が設けられており、固定鉄心9と可動鉄心10の間には、可動鉄心10を図上下方向(閉弁方向)へ向けて弾性付勢するコイルバネ等よりなる復帰バネ12が設けられている。また可動鉄心10の下端部には、ゴムまたは軟質樹脂等よりなるゴム状弾性体製のパイロット弁体(弁体ゴムとも称する)13が設けられている。」
イ.上記ア.及び図1の記載から、電磁弁の可動鉄心10を付勢する復帰バネ12は、その一端を固定鉄心9に形成した凹部の底に当接させ、他端を可動鉄心10の端面に当接させていることが理解できる。
(2)引用文献18に記載の事項
上記(1)及び図面の記載からみて、引用文献18には次の事項が記載されている。
「電磁弁の可動鉄心10を付勢する復帰バネ12は、その一端を固定鉄心9に形成した凹部の底に当接させ、他端を可動鉄心10の端面に当接させていること。」
20.引用文献19
(1)引用文献19の記載
本件特許の出願前に頒布された引用文献19には、「電磁弁」に関して、次のような記載がある。
ア.「【0024】
また、筒状部10から凹部9のさらに深さ方向には、筒状部10より内径が大きくコイル5によってその内径が規定された空間が設けられ、この空間の端部から有底筒状のバネ収容部12が設けられている。バネ収容部12には、弾性部材13、すなわち実施例で一例として設けられたスプリング13が凹部9の底部に当接して設けられている。このスプリング13は、凹部9の深さ方向で伸縮して、後述するプランジャ14の底部に推力を付与する構成となっている。スプリング13が凹部9の底部に当接している部位の反対側には、プランジャ(可動子)14が当接して備えられている。すなわち、鉄心6の凹部9に設けられたバネ収容部12とプランジャ14との間にスプリング13が介装されている。また、スプリング13とプランジャ14とが当接している部位は、互いに連結しているもしくは当接のみして固定されない構成のいずれでもよい。」
イ.上記ア.及び図1の記載から、電磁弁のプランジャ14に推力を付与するスプリング13は、その一端を鉄心6に形成したバネ収容部12の底に当接させ、他端をプランジャ14の端面に当接させていることが理解できる。
(2)引用文献19に記載の事項
上記(1)及び図面の記載からみて、引用文献19には次の事項が記載されている。
「電磁弁のプランジャ14に推力を付与するスプリング13は、その一端を鉄心6に形成したバネ収容部12の底に当接させ、他端をプランジャ14の端面に当接させていること。」
21.引用文献20
(1)引用文献20の記載
本件特許の出願前に頒布された引用文献20には、「電磁弁」に関して、次のような記載がある。
ア.「【0032】
ステータコア17は、空間121側に開口した凹部171を有する有底円筒状であり、凹部171内に配置されたスプリング19により、弁体11およびアーマチャ13がバルブシート15側に向かって(すなわち、閉弁方向に)付勢されている。また、ステータコア17における反バルブボデー側の端部外周面には、雄ねじ172が形成されている。」
イ.上記ア.及び図1の記載から、電磁弁のアーマチャ13を付勢するスプリング19は、その一端をステータコア17に形成した凹部171の底に当接させ、他端をアーマチャ13の端面に当接させていることが理解できる。
(2)引用文献20に記載の事項
上記(1)及び図面の記載からみて、引用文献20には次の事項が記載されている。
「電磁弁のアーマチャ13を付勢するスプリング19は、その一端をステータコア17に形成した凹部171の底に当接させ、他端をアーマチャ13の端面に当接させていること。」
22.引用文献21
本件特許の出願前に頒布された引用文献21には、「弁」に関して、次のような記載がある。
「【0017】電磁石12が飽和される電流量のおよそ1/2の電流が流れて励磁されると、ソレノイドアーマチュア16は、上方に、すなわち固定アーマチュア18に向けて引き寄せられ、リセットスプリング26の付勢力によって、弁体28は図2に示すように水平状態に達する。この状態において、膜92は、弁開口56及び弁開口58周囲のいずれの環状縁部にも接触しないので、流入口から、順次孔70、開口64、孔60、弁開口56、連通路82、弁開口58、孔62、開口66及び孔72を介して流出口48に向けて流れることができる。接続口90が形成されて他の配管に接続された場合、流れの一部は接続口90に接続された他の配管へと流出する。また、接続口90を流入口として形成することもできる。例えば、接続口90を流入口として形成した場合、流入口46を流出口とすることもでき、接続口90を介して流入口46を流出口とする2つの流出口に向かう流れを形成することができる。」
23.引用文献22
本件特許の出願前に頒布された引用文献22には、「ダイアフラム型弁」に関して、次のような記載がある。
「膜厚が厚くなると、弁駆動部によりダイアフラムを動作させた時、ダイアフラムの反機負荷が大きくなり、弁駆動部に過大な力が必要となってくる。」(明細書2ページ6~9行)
第6 対比・判断
1.本件特許発明2
本件特許発明2と引用発明1とを対比する。
本件特許発明2と引用発明1とを、その機能、構造又は技術的意義を考慮して対比すると、引用発明1における「複数」は、本件特許発明2における「少なくとも一つ」に相当し、以下同様に、「弁座部6a、6b」は「弁座」に、「当接」は「着座」に、「小型電磁弁」は「弁装置」に、「ソレノイド機構」は「弁駆動部」に、「可動鉄心14」は「第1プランジャー」に、「押圧部材20」は「第2プランジャー」に、「第1バネ18」は「第1コイルばね」に、「第2バネ21」は「第2コイルばね」に「電磁コイル11」は「ソレノイドコイル」にそれぞれ相当する。
引用発明1における「前記ポートは、前記弁室8に流体を流入させる第1ポート5a及び第2ポート5bと、前記弁室8から流体を流出させる第2ポート5b及び第3ポート5cとを有」することと、本件特許発明2における「前記ポートは、前記弁室に流体を流入させる流入ポートと、前記弁室から流体を流出させる流出ポートとを有し、前記流出ポートは、第1流出ポート及び第2流出ポートの2系統が配され」ることとは、「前記ポートは、前記弁室に流体を流入させる流入ポートと、前記弁室から流体を流出させる流出ポートとを有」することという限りにおいて一致し、また、引用発明1における「第1ポート5a」及び「第3ポート5c」と、本件特許発明2における「第1流出ポート」及び「第2流出ポート」とは、それぞれ「第1のポート」及び「第2のポート」という限りにおいて一致する。
また、引用発明1における「可動鉄心14上部に配された固定鉄心13」と、本件特許発明2における「前記第1コイルばねが装填される凹部が形成された固定鉄心」とは、「固定鉄心」という限りにおいて一致する。
したがって、両者は、
「流体が流れるポートを少なくとも一つ具えた弁室を区画する弁本体と、前記ポートを開閉する弁体と、前記弁体を駆動して前記ポートを開閉する駆動手段とを備え、
前記ポートは、周囲に弁座が形成された開口を有し、
前記弁体は、前記弁室を覆うように配され、かつ前記弁座に着座又は離間して前記ポートを開閉するダイアフラムと、前記弁本体に対して揺動可能に設けられ、かつ第1当接部と第2当接部とを有する揺動部材とを有する弁装置であって、
前記ポートは、前記弁室に流体を流入させる流入ポートと、前記弁室から流体を流出させる流出ポートとを有し、
前記ダイアフラムは、第1のポート及び第2のポートを開閉し、
前記駆動手段は、前記揺動部材を駆動する弁駆動部を有し、
前記弁駆動部は、前記第1のポートの上方に配設された第1プランジャーと、前記第2のポートの上方に配設された第2プランジャーと、前記第1プランジャーを前記揺動部材の前記第1当接部の側に押し下げる第1コイルばねと、前記第2プランジャーを前記揺動部材の前記第2当接部の側に押し下げる第2コイルばねと、前記第1プランジャーが挿入されるソレノイドコイルと、固定鉄心とを有し、
前記第2コイルばねの一端は、前記第2プランジャーの先端部と当接する弁装置。」
の点で一致し、次の点で相違する。
<相違点1>
本件特許発明2においては、「ダイアフラムは、JIS-K6253のデュロメータA硬さがA50~A85の弾性材料からな」るのに対し、
引用発明1においては、ダイヤフラム7の材料の硬さに関して不明である点。
<相違点2>
本件特許発明2においては、「着座中のダイアフラムの弁座に対する圧力が0.5~1.0N/mm2であ」るのに対し、
引用発明1においては、ダイアフラム7の弁座部6a、6bに対する圧力が不明である点。
<相違点3>
本件特許発明2においては、「前記ポートは、前記弁室に流体を流入させる流入ポートと、前記弁室から流体を流出させる流出ポートとを有」することに関して、
「前記ポートは、前記弁室に流体を流入させる流入ポートと、前記弁室から流体を流出させる流出ポートとを有し、前記流出ポートは、第1流出ポート及び第2流出ポートの2系統が配され」ることであり、
「第1のポート」及び「第2のポート」に関して、それぞれ「第1流出ポート」及び「第2流出ポート」
であるのに対し、
引用発明1においては、「前記ポートは、前記弁室に流体を流入させる流入ポートと、前記弁室から流体を流出させる流出ポートとを有」することに関して、
前記ポートは、前記弁室8に流体を流入させる第1ポート5a及び第2ポート5bと、前記弁室8から流体を流出させる第2ポート5b及び第3ポート5cとを有することであり、
「第1のポート」及び「第2のポート」に関して、それぞれ第1ポート5a及び第3ポート5cである点。
<相違点4>
本件特許発明2においては、「固定鉄心」に関して、「前記第1コイルばねが装填される凹部が形成された」ものであり、また、「前記第1コイルばねは、一端が前記固定鉄心の前記凹部の底と当接し、他端が前記第1プランジャーの天面と当接し」ているのに対し、
引用発明1においては、「固定鉄心」に関して、第1バネ18が装填される凹部が形成されておらず、また、第1バネ18は、一端が前記ソレノイド受け部の底と当接し、他端が前記可動鉄心14周面に設けられた段部と当接している点。
各相違点について検討する。
<相違点1> について
ダイアフラム弁に用いられるダイアフラムや、バルブの弁座等に用いられるシール材を構成する弾性材料において、十分なシール性を得るために適度な硬さが要求されることは、当業者が当然考慮すべき事項であり、ダイアフラム弁の用途に応じて十分なシール性が得られるような弾性材料のJIS-K6253のデュロメータA硬さを最適化又は好適化することは、当業者の通常の創作能力の発揮にすぎない。
そして、引用文献5には、ダイアフラムに用いられる弾性材料としてデュロメータA硬さが60ないし80のものを用いることが記載され、また、引用文献6の記載にあるように、JIS K6253タイプAデュロメータの測定値とJIS K6301A形の測定値とに、1ないし2程度の差しかないことに鑑みれば、ダイアフラムに用いられる弾性材料として、デュロメータA硬さが80前後のものを用いることは、引用文献3及び引用文献4に記載されているといえ、この範囲を含むJIS-K6253のデュロメータA硬さA50~A85は、ダイアフラムに用いられる弾性材料としてありふれた値であるといえる。
<相違点2>について
弁体を弁座に適正な圧力で作用させてダイアフラムやソフトシートの損傷を防止することは、例えば、引用文献7及び引用文献8に記載されているように当業者が普通に考慮する事項であり、バルブ装置において、弁体の弁座に対する圧力をどの程度にするかは、弁体に作用する流体の圧力に抗するためのシール性を担保しつつ、弁体や弁座の耐久性を考慮して、当業者が適宜設定すべき事項であり、引用発明1において、ダイアフラム7の弁座部6a、6bに対する圧力を0.5~1.0N/mm2とすることも、当業者が適宜なし得る数値範囲の最適化又は好適化にすぎない。
<相違点3>について
3つのポートを備える3ポート弁において、いずれのポートを流出ポートとし、いずれのポートを流入ポートとするかは、当業者が適宜設定し得る設計的事項であるところ、例えば、引用文献2には、ダイアフラムと弁座とを備えるダイアフラム弁において、前記ポートは、前記弁室49に流体を流入させる入口ポート42と、前記弁室49から流体を流出させる出口ポート43、44とを有し、前記出口ポート43、44は、出口ポート43及び出口ポート44の2系統が配され、前記ダイアフラム56は、出口ポート43及び出口ポート44を開閉することが記載されている。
したがって、引用発明1において、第2ポート5bを流入ポートとし、第1ポート5a及び第3ポート5cを流出ポートとし、ダイアフラム7により第1ポート5a及び第3ポート5を開閉するようにすることは、当業者が適宜なし得る設計的事項にすぎない。
<相違点4>について
電磁弁において、プランジャーを付勢するばねは、その一端を固定鉄心に形成した凹部の底に当接させ、他端をプランジャーの端面に当接させることは、例えば、引用文献11ないし14及び18ないし20に記載されるように周知である(以下、「周知技術1」という。)。そして、引用発明1において、周知技術1のように、固定鉄心13に凹部を設け、可動鉄心14を付勢する第1バネ18の一端を凹部の底に当接させ、他端を可動鉄心14の端面に当接させることは、当業者が容易になし得たことである。
したがって、本件特許発明2は、引用発明1及び周知技術1に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
2.本件特許発明3
本件特許発明3と引用発明2とを対比する。
本件特許発明3と引用発明2とを、その機能、構造又は技術的意義を考慮して対比すると、引用発明2における「複数」は、本件特許発明3における「少なくとも一つ」に相当し、以下同様に、「弁座部6a、6b」は「弁座」に、「当接」は「着座」に、「小型電磁弁」は「弁装置」に、「ソレノイド機構」は「弁駆動部」に、「可動鉄心14」は「第1プランジャー」に、「押圧部材20」は「第2プランジャー」に、「第1バネ18」は「第1コイルばね」に、「第2バネ21」は「第2コイルばね」に「電磁コイル11」は「ソレノイドコイル」にそれぞれ相当する。
引用発明2における「前記ポートは、前記弁室8に流体を流入させる第1ポート5a及び第2ポート5bと、前記弁室8から流体を流出させる第2ポート5b及び第3ポート5cとを有」することと、本件特許発明3における「前記ポートは、前記弁室に流体を流入させる流入ポートと、前記弁室から流体を流出させる流出ポートとを有し、前記流出ポートは、第1流出ポート及び第2流出ポートの2系統が配され」ることとは、「前記ポートは、前記弁室に流体を流入させる流入ポートと、前記弁室から流体を流出させる流出ポートとを有」することという限りにおいて一致し、また、引用発明2における「第1ポート5a」及び「第3ポート5c」と、本件特許発明3における「第1流出ポート」及び「第2流出ポート」とは、それぞれ「第1のポート」及び「第2のポート」という限りにおいて一致する。
また、引用発明2における「可動鉄心14上部に配された固定鉄心13」と、本件特許発明3における「前記第1コイルばねが装填される凹部が形成された固定鉄心」とは、「固定鉄心」という限りにおいて一致する。
したがって、両者は、
「流体が流れるポートを少なくとも一つ具えた弁室を区画する弁本体と、前記ポートを開閉する弁体と、前記弁体を駆動して前記ポートを開閉する駆動手段とを備え、
前記ポートは、周囲に弁座が形成された開口を有し、
前記弁体は、前記弁室を覆うように配され、かつ前記弁座に着座又は離間して前記ポートを開閉するダイアフラムと、前記弁本体に対して揺動可能に設けられ、かつ第1当接部と第2当接部とを有する揺動部材とを有する弁装置であって、
前記ポートは、前記弁室に流体を流入させる流入ポートと、前記弁室から流体を流出させる流出ポートとを有し、
前記ダイアフラムは、第1のポート及び第2のポートを開閉するものであり、
前記駆動手段は、前記揺動部材を駆動する弁駆動部を有し、
前記弁駆動部は、前記第1のポートの上方に配設された第1プランジャーと、前記第2のポートの上方に配設された第2プランジャーと、前記第1プランジャーを前記揺動部材の前記第1当接部の側に押し下げる第1コイルばねと、前記第2プランジャーを前記揺動部材の前記第2当接部の側に押し下げる第2コイルばねと、前記第1プランジャーが挿入されるソレノイドコイルと、固定鉄心とを有する弁装置。」
の点で一致し、次の点で相違する。
<相違点5>
本件特許発明3においては、「ダイアフラムは、JIS-K6253のデュロメータA硬さがA50~A85の弾性材料からな」るのに対し、
引用発明2においては、ダイヤフラム7の材料の硬さに関して不明である点。
<相違点6>
本件特許発明3においては、「着座中のダイアフラムの弁座に対する圧力が0.5~1.0N/mm2であ」るのに対し、
引用発明2においては、ダイアフラム7の弁座部6a、6bに対する圧力が不明である点。
<相違点7>
本件特許発明3においては、「前記ポートは、前記弁室に流体を流入させる流入ポートと、前記弁室から流体を流出させる流出ポートとを有」することに関して、
「前記ポートは、前記弁室に流体を流入させる流入ポートと、前記弁室から流体を流出させる流出ポートとを有し、前記流出ポートは、第1流出ポート及び第2流出ポートの2系統が配され」ることであり、
「第1のポート」及び「第2のポート」に関して、それぞれ「第1流出ポート」及び「第2流出ポート」
であるのに対し、
引用発明2においては、「前記ポートは、前記弁室に流体を流入させる流入ポートと、前記弁室から流体を流出させる流出ポートとを有」することに関して、
前記ポートは、前記弁室8に流体を流入させる第1ポート5a及び第2ポート5bと、前記弁室8から流体を流出させる第2ポート5b及び第3ポート5cとを有することであり、
「第1のポート」及び「第2のポート」に関して、それぞれ第1ポート5a及び第3ポート5cである点。
<相違点8>
本件特許発明3においては、「前記第1流出ポートの弁座に着座中の前記ダイアフラムの前記圧力と、前記第2流出ポートの弁座に着座中の前記ダイアフラムの前記圧力との差が0.02N/mm2以上0.40N/mm2以下である」のに対し、
引用発明2は、出口ポート43の弁座45に着座中のダイアフラム56の圧力と、出口ポート44の弁座46に着座中のダイアフラム56の圧力との差が0.02N/mm2以上0.40N/mm2以下であるか不明である点。
<相違点9>
本件特許発明3においては、「固定鉄心」に関して、「前記第1コイルばねが装填される凹部が形成された」ものであるのに対し、
引用発明2においては、「固定鉄心」に関して、第1バネ18が装填される凹部が形成されていない点。
各相違点について検討する。
<相違点5>ないし<相違点7>及び<相違点9>について
それぞれ、上記1.の「<相違点1>について」ないし「<相違点4>について」において述べた理由と同様の理由により、当業者が容易になし得たことである。
<相違点8>について
上記1.の「<相違点2>について」において述べたように、バルブ装置において、弁体の弁座に対する圧力をどの程度にするかは、弁体に作用する流体の圧力に抗するためのシール性を担保しつつ、弁体や弁座の耐久性を考慮して、当業者が適宜設定すべき事項であるところ、例えば、ダイアフラム組立を揺動させて第1弁座と第2弁座とシールする小型電磁弁において、ダイアフラム組立に作用する第1バネと第2バネのバネ力が異なることを考慮して、弁座のシール力を設定することは引用文献9に記載されており、引用発明2において、出口ポート43の弁座45に着座中のダイアフラム56の圧力と、出口ポート44の弁座46に着座中のダイアフラム56の圧力との差が0.02N/mm2以上0.40N/mm2以下とすることも、当業者が適宜なし得る数値範囲の最適化又は好適化にすぎない。
したがって、本件特許発明3は、引用発明2及び周知技術1に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
3.本件特許発明4
本件特許発明4と引用発明3とを対比する。
本件特許発明4と引用発明3とを、その機能、構造又は技術的意義を考慮して対比すると、引用発明3における「複数」は、本件特許発明4における「少なくとも一つ」に相当し、以下同様に、「弁座部6a、6b」は「弁座」に、「当接」は「着座」に、「小型電磁弁」は「弁装置」に、「ソレノイド機構」は「弁駆動部」に、「可動鉄心14」は「第1プランジャー」に、「押圧部材20」は「第2プランジャー」に、「第1バネ18」は「第1コイルばね」に、「第2バネ21」は「第2コイルばね」に「電磁コイル11」は「ソレノイドコイル」にそれぞれ相当する。
引用発明3における「前記ポートは、前記弁室8に流体を流入させる第1ポート5a及び第2ポート5bと、前記弁室8から流体を流出させる第2ポート5b及び第3ポート5cとを有」することと、本件特許発明4における「前記ポートは、前記弁室に流体を流入させる流入ポートと、前記弁室から流体を流出させる流出ポートとを有し、前記流出ポートは、第1流出ポート及び第2流出ポートの2系統が配され」ることとは、「前記ポートは、前記弁室に流体を流入させる流入ポートと、前記弁室から流体を流出させる流出ポートとを有」することという限りにおいて一致し、また、引用発明3における「第1ポート5a」及び「第3ポート5c」と、本件特許発明4における「第1流出ポート」及び「第2流出ポート」とは、それぞれ「第1のポート」及び「第2のポート」という限りにおいて一致する。
また、引用発明3における「可動鉄心14上部に配された固定鉄心13」と、本件特許発明4における「前記第1コイルばねが装填される凹部が形成された固定鉄心」とは、「固定鉄心」という限りにおいて一致する。
したがって、両者は、
「流体が流れるポートを少なくとも一つ具えた弁室を区画する弁本体と、前記ポートを開閉する弁体と、前記弁体を駆動して前記ポートを開閉する駆動手段とを備え、
前記ポートは、周囲に弁座が形成された開口を有し、
前記弁体は、前記弁室を覆うように配され、かつ前記弁座に着座又は離間して前記ポートを開閉するダイアフラムと、前記弁本体に対して揺動可能に設けられ、かつ第1当接部と第2当接部とを有する揺動部材とを有する弁装置であって、
前記ポートは、前記弁室に流体を流入させる流入ポートと、前記弁室から流体を流出させる流出ポートとを有し、
前記ダイアフラムは、第1のポート及び第2のポートを開閉し、
前記ダイアフラムには、ポート閉鎖時に前記第1のポートの弁座又は前記第2のポートの弁座に着座する底面とが設けられ、
前記駆動手段は、前記揺動部材を駆動する弁駆動部を有し、
前記弁駆動部は、前記第1のポートの上方に配設された第1プランジャーと、前記第2のポートの上方に配設された第2プランジャーと、前記第1プランジャーを前記揺動部材の前記第1当接部の側に押し下げる第1コイルばねと、前記第2プランジャーを前記揺動部材の前記第2当接部の側に押し下げる第2コイルばねと、前記第1プランジャーが挿入されるソレノイドコイルと、固定鉄心とを有する弁装置。」
の点で一致し、次の点で相違する。
<相違点10>
本件特許発明4においては、「ダイアフラムは、JIS-K6253のデュロメータA硬さがA50~A85の弾性材料からな」るのに対し、
引用発明3においては、ダイヤフラム7の材料の硬さに関して不明である点。
<相違点11>
本件特許発明4においては、「着座中のダイアフラムの弁座に対する圧力が0.5~1.0N/mm2であ」るのに対し、
引用発明3においては、ダイアフラム7の弁座部6a、6bに対する圧力が不明である点。
<相違点12>
本件特許発明4においては、「前記ポートは、前記弁室に流体を流入させる流入ポートと、前記弁室から流体を流出させる流出ポートとを有」することに関して、
「前記ポートは、前記弁室に流体を流入させる流入ポートと、前記弁室から流体を流出させる流出ポートとを有し、前記流出ポートは、第1流出ポート及び第2流出ポートの2系統が配され」ることであり、
「第1のポート」及び「第2のポート」に関して、それぞれ「第1流出ポート」及び「第2流出ポート」
であるのに対し、
引用発明3においては、「前記ポートは、前記弁室に流体を流入させる流入ポートと、前記弁室から流体を流出させる流出ポートとを有」することに関して、
前記ポートは、前記弁室8に流体を流入させる第1ポート5a及び第2ポート5bと、前記弁室8から流体を流出させる第2ポート5b及び第3ポート5cとを有することであり、
「第1のポート」及び「第2のポート」に関して、それぞれ第1ポート5a及び第3ポート5cである点。
<相違点13>
本件特許発明4においては、ダイアフラムには、「前記ダイアフラムにおいて最も肉厚の薄い膜部と、前記膜部の内側の」ポート閉鎖時に前記第1流出ポートの弁座又は前記第2流出ポートの弁座に着座する底面とが設けられ、「前記膜部の厚さは、0.2~1.0mmであ」るのに対し、
引用発明3は、かかる薄膜部を備えていない点。
<相違点14>
本件特許発明4においては、「固定鉄心」に関して、「前記第1コイルばねが装填される凹部が形成された」ものであるのに対し、
引用発明3においては、「固定鉄心」に関して、第1バネ18が装填される凹部が形成されていない点。
各相違点について検討する。
<相違点10>ないし<相違点12>及び<相違点14>について
それぞれ、上記1.の「<相違点1>について」ないし「<相違点4>について」において述べた理由と同様の理由により、当業者が容易になし得たことである。
<相違点13>について
ダイアフラム弁において、ダイアフラムには、ダイアフラムにおいて最も肉厚の薄い膜部と、膜部の内側のポート閉鎖時にポートの弁座に着座する底面とが設けられることは、例えば、引用文献15ないし17に記載されるように周知であり(以下、「周知技術2」という。)、引用発明3において、ダイアフラム7において最も肉厚の薄い膜部と、膜部の内側のポート閉鎖時にポートの弁座に着座する底面とが設けられるようにすることは、当業者が容易になし得たことである。
そして、引用文献15の記載事項「イ.」、引用文献17の記載事項「イ.」及び引用文献22の記載にあるように、ダイアフラム弁の膜厚は、膜の材質、膜の大きさ、流体圧力、駆動力(操作力)及び耐久性などを考慮して当業者が適宜設定すべき事項であるところ、例えば、引用文献15には、「0.9mm」、引用文献17には、「1mm以下」、「0.3mm」との数値が記載されており、0.2~1.0mmの数値範囲も当業者が通常採用し得る範囲にすぎない。
したがって、本件特許発明4は、引用発明3、周知技術1及び2に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
4.本件特許発明6
本件特許発明6と引用発明4とを対比する。
本件特許発明6と引用発明4とを、その機能、構造又は技術的意義を考慮して対比すると、引用発明4における「複数」は、本件特許発明6における「少なくとも一つ」に相当し、以下同様に、「弁座部6a、6b」は「弁座」に、「当接」は「着座」に、「小型電磁弁」は「弁装置」に、「「ソレノイド機構」は「弁駆動部」に、「可動鉄心14」は「第1プランジャー」に、「押圧部材20」は「第2プランジャー」に、「第1バネ18」は「第1コイルばね」に、「第2バネ21」は「第2コイルばね」に「電磁コイル11」は「ソレノイドコイル」にそれぞれ相当する。
引用発明4における「前記ダイアフラムは、ゴム成分として、フッ素ゴム、シリコンゴム、EPDMを含む弾性材料からなることと、本件特許発明6における「前記ダイアフラムは、ゴム成分として、エチレン-プロピレン-ジエンを含み、かつ、充填剤として、炭酸カルシウム、シリカ、硫酸バリウム、タルク又はカーボンブラックの1種以上を含」んだ「弾性材料からな」ることとは、「前記ダイアフラムは、ゴム成分として、エチレン-プロピレン-ジエンを含」んだ「弾性材料からな」ることという限りにおいて一致する。
引用発明4における「前記ポートは、前記弁室8に流体を流入させる第1ポート5a及び第2ポート5bと、前記弁室8から流体を流出させる第2ポート5b及び第3ポート5cとを有」することと、本件特許発明6における「前記ポートは、前記弁室に流体を流入させる流入ポートと、前記弁室から流体を流出させる流出ポートとを有し、前記流出ポートは、第1流出ポート及び第2流出ポートの2系統が配され」ることとは、「前記ポートは、前記弁室に流体を流入させる流入ポートと、前記弁室から流体を流出させる流出ポートとを有」することという限りにおいて一致し、また、引用発明4における「第1ポート5a」及び「第3ポート5c」と、本件特許発明6における「第1流出ポート」及び「第2流出ポート」とは、それぞれ「第1のポート」及び「第2のポート」という限りにおいて一致する。
引用発明4における「可動鉄心14上部に配された固定鉄心13」と、本件特許発明6における「前記第1コイルばねが装填される凹部が形成された固定鉄心」とは、「固定鉄心」という限りにおいて一致する。
したがって、両者は、
「流体が流れるポートを少なくとも一つ具えた弁室を区画する弁本体と、前記ポートを開閉する弁体と、前記弁体を駆動して前記ポートを開閉する駆動手段とを備え、
前記ポートは、周囲に弁座が形成された開口を有し、
前記弁体は、前記弁室を覆うように配され、かつ前記弁座に着座又は離間して前記ポートを開閉するダイアフラムと、前記弁本体に対して揺動可能に設けられ、かつ第1当接部と第2当接部とを有する揺動部材とを有する弁装置であって、
前記ダイアフラムは、ゴム成分として、エチレン-プロピレン-ジエンを含む弾性材料からなり、
前記ポートは、前記弁室に流体を流入させる流入ポートと、前記弁室から流体を流出させる流出ポートとを有し、
前記ダイアフラムは、第1のポート及び第2のポートを開閉するものであり、
前記駆動手段は、前記揺動部材を駆動する弁駆動部を有し、
前記弁駆動部は、前記第1のポートの上方に配設された第1プランジャーと、前記第2のポートの上方に配設された第2プランジャーと、前記第1プランジャーを前記揺動部材の前記第1当接部の側に押し下げる第1コイルばねと、前記第2プランジャーを前記揺動部材の前記第2当接部の側に押し下げる第2コイルばねと、前記第1プランジャーが挿入されるソレノイドコイルと、固定鉄心とを有する弁装置。」
の点で一致し、次の点で相違する。
<相違点15>
「前記ダイアフラムは、ゴム成分として、エチレン-プロピレン-ジエンを含」んだ「弾性材料からな」ることに関して、
本件特許発明6においては、「前記ダイアフラムは、ゴム成分として、エチレン-プロピレン-ジエンを含み、かつ、充填剤として、炭酸カルシウム、シリカ、硫酸バリウム、タルク又はカーボンブラックの1種以上を含」んだ「弾性材料からな」ることであるのに対し、
引用発明4においては、「前記ダイアフラムは、ゴム成分として、フッ素ゴム、シリコンゴム、EPDMを含む弾性材料からな」ることである点。
<相違点16>
本件特許発明6においては、「ダイアフラムは、JIS-K6253のデュロメータA硬さがA50~A85の弾性材料からな」るのに対し、
引用発明4においては、ダイヤフラム7の材料の硬さに関して不明である点。
<相違点17>
本件特許発明6においては、「着座中のダイアフラムの弁座に対する圧力が0.5~1.0N/mm2であ」るのに対し、
引用発明4においては、ダイアフラム7の弁座部6a、6bに対する圧力が不明である点。
<相違点18>
本件特許発明6においては、「前記ポートは、前記弁室に流体を流入させる流入ポートと、前記弁室から流体を流出させる流出ポートとを有」することに関して、
「前記ポートは、前記弁室に流体を流入させる流入ポートと、前記弁室から流体を流出させる流出ポートとを有し、前記流出ポートは、第1流出ポート及び第2流出ポートの2系統が配され」ることであり、
「第1のポート」及び「第2のポート」に関して、それぞれ「第1流出ポート」及び「第2流出ポート」
であるのに対し、
引用発明4においては、「前記ポートは、前記弁室に流体を流入させる流入ポートと、前記弁室から流体を流出させる流出ポートとを有」することに関して、
前記ポートは、前記弁室8に流体を流入させる第1ポート5a及び第2ポート5bと、前記弁室8から流体を流出させる第2ポート5b及び第3ポート5cとを有することであり、
「第1のポート」及び「第2のポート」に関して、それぞれ第1ポート5a及び第3ポート5cである点。
<相違点19>
本件特許発明6においては、「固定鉄心」に関して、「前記第1コイルばねが装填される凹部が形成された」ものであるのに対し、
引用発明4においては、「固定鉄心」に関して、第1バネ18が装填される凹部が形成されていない点。
各相違点について検討する。
<相違点16>ないし<相違点19>について
それぞれ、上記1.の「<相違点1>について」ないし「<相違点4>について」において述べた理由と同様の理由により、当業者が容易になし得たことである。
<相違点15>について
引用文献10には、ダイヤフラム用ゴム組成物は、CRを主成分とするゴム成分、酸化亜鉛、ハイドロタルサイト、カーボンブラック、シリカ及びイミダゾール化合物を含有すること、及び、充填剤としては、クレー、タルク、マイカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム等、又は各種天然若しくは人工の繊維等が挙げられることが記載されており、引用発明6において、引用文献10に記載された事項を適用して、相違点15に係る本件特許発明6の発明特定事項とすることは、当業者が容易になし得たことである。
したがって、本件特許発明6は、引用発明4、周知技術1、周知技術2及び引用文献10に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
第7 むすび
以上のとおり、請求項2、3、4、6に係る発明の特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるから、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。
また、請求項1、5、7、8に係る特許は、上記のとおり、訂正により削除された。これにより、特許異議申立人1、2による特許異議の申立てについて、請求項1、5、7、8に係る申立ては、申立ての対象が存在しないものとなったため、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。
よって、結論のとおり決定する。
審決本文(J-PlatPat)
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2018-700305