審決検索MVP
← 検索一覧に戻る
特許異議申立

2016-701147

フェノール性水酸基含有樹脂、その製造方法、感光性組成物、レジスト材料、塗膜、硬化性組成物とその硬化物、及びレジスト下層膜

審判番号
2016-701147
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2015-545975外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2016年12月15日
審決日
2017年09月27日
公報発行日
2018年01月26日
結論
訂正認容
当事者
審判長/審判官
分類
P1651.113-YAA(C08G) / P1651.121-YAA(C08G)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項、特許法第120条の5第2項、特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第4項、特許法第120条の5第2項第1号、特許法第120条の8第1項、特許法第29条
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特許第5939450号発明「フェノール性水酸基含有樹脂、その製造方法、感光性組成物、レジスト材料、塗膜、硬化性組成物とその硬化物、及びレジスト下層膜」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

【結 論】 特許第5939450号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-10〕について訂正することを認める。 特許第5939450号の請求項1ないし3及び5ないし10に係る特許を維持する。 特許第5939450号の請求項4に係る特許に対する本件異議の申立てを却下する。

理由

【理 由】 第1 手続の経緯・本件異議申立の趣旨 1.本件特許の設定登録までの経緯 本件特許第5939450号(以下、単に「本件特許」という。)に係る出願(特願2015-545975号、以下「本願」という。)は、平成27年5月28日(優先権主張:平成26年7月9日、特願2014-141417号)の国際出願日に出願人DIC株式会社(以下「特許権者」という。)によりされたものとみなされる国際特許出願であり、平成28年5月27日に特許権の設定登録(請求項の数10)がされたものである。 2.本件異議の申立ての趣旨 本件特許につき平成28年12月15日付けで特許異議申立人佐藤義光(以下「申立人」という。)により「特許第5939450号の特許請求の範囲の全請求項に記載された発明についての特許は取り消されるべきものである。」という趣旨の本件異議の申立てがされた。 3.以降の経緯 本件異議申立後の経緯は以下のとおりである。 平成29年 3月24日付け 取消理由通知 平成29年 5月26日   意見書(特許権者)・訂正請求書 平成29年 6月 5日付け 通知書(申立人あて) (申立人からの応答はなかった。) 第2 申立人が主張する取消理由 申立人は、本件特許異議申立書(以下「申立書」という。)において、下記甲第1号証ないし甲第7号証を提示し、取消理由として、概略、以下の取消理由1及び2が存するとしている。 取消理由1:本件の請求項1ないし3及び5ないし10に係る発明は、いずれも、甲第1号証、甲第2号証、甲第3号証及び甲第6号証のいずれかに記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができるものではないものであって、それらの発明についての特許は、同法第29条に違反してされたものであるから、同法第113条第2号の規定に該当し、取り消されるべきものである。 取消理由2:本件の請求項1ないし10に係る発明は、いずれも、甲第1号証ないし甲第7号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであって、それらの発明についての特許は、同法第29条に違反してされたものであるから、同法第113条第2号の規定に該当し、取り消されるべきものである。 ・申立人提示の甲号証 甲第1号証:国際公開第2008/053974号 甲第2号証:Journal of Organic Chemistry,1989,54,p.6003-6004(写し及び抄訳添付) 甲第3号証:Journal of Organic Chemistry,1996,61,p.802-804(写し及び抄訳添付) 甲第4号証:特開2010-248368号公報 甲第5号証:特開2013-79369号公報 甲第6号証:「フォトレジスト材料開発の新展開」、2009年8月12日、株式会社シーエムシー出版(第1刷)発行、第215~222頁 甲第7号証:「新しいレジスト材料とナノテクノロジー」、2002年9月30日、株式会社シーエムシー出版(第1刷)発行、第46~48頁 (以下、それぞれ「甲1」ないし「甲7」と略していう。) 第3 当審が通知した取消理由の概要 当審が、平成29年3月24日付けで通知した取消理由の概要は以下のとおりである。 「第4 当審の判断 当審は、 申立人が主張する取消理由1及び2により、本件発明1ないし10についての特許はいずれも取り消すべきもの、 と判断する。」 第4 平成29年5月26日付け訂正請求の適否 1.訂正請求の内容 上記平成29年5月26日付けの訂正請求では、本件特許の特許請求の範囲を、上記訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1ないし3及び5ないし10については一群の請求項ごとに、請求項4については請求項ごとに訂正することを求めるものであり、以下の(ア)ないし(キ)の訂正事項を含むものである。(なお、下線は、当審が付したもので訂正箇所を表す。) (ア)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1に、「R1はアルキル基、アルコキシ基又はアリール基であり、」とあるのを、「R1はアルキル基又はアルコキシ基であり、」と訂正する。 (イ)訂正事項2 特許請求の範囲の請求項1に、「R2は水素原子、アルキル基又はアリール基であり、」とあるのを、「R2はメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基又はヘキシル基であり、」と訂正する。 (ウ)訂正事項3 特許請求の範囲の請求項2に「前記nが」とあるのを、「前記R1がアルキル基であり、前記R2がメチル基であり、前記nが」と訂正する。 (エ)訂正事項4 特許請求の範囲の請求項3に「R1はアルキル基、アルコキシ基又はアリール基であり、」とあるのを、「R1はアルキル基又はアルコキシ基であり、」と訂正する。 (オ)訂正事項5 特許請求の範囲の請求項3に「R2は水素原子、アルキル基又はアリール基であり、」とあるのを、「R2はメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基又はヘキシル基であり、」と訂正する。 (カ)訂正事項6 特許請求の範囲の請求項10に「請求項9記載の硬化性組成物を硬化させてなる」とあるのを、「請求項8記載の硬化性組成物を硬化させてなる硬化物からなる」と訂正する。 (キ)訂正事項7 特許請求の範囲の請求項4を削除する。 2.検討 なお、以下の検討において、この訂正請求による訂正を「本件訂正」といい、本件訂正前の特許請求の範囲における請求項1ないし10を「旧請求項1」ないし「旧請求項10」、本件訂正後の特許請求の範囲における請求項1ないし10を「新請求項1」ないし「新請求項10」という。 (1)訂正の目的要件について 上記の各訂正事項による訂正の目的につき検討する。 事案に鑑み、まず、上記訂正事項7は、他の請求項を引用しない旧請求項4を単に削除するものであるから、特許請求の範囲を減縮するものと認められる。 次に、上記訂正事項1、2、4及び5は、いずれも、旧請求項1又は旧請求項3における構造式(1)に係る「R1」基及び「R2」基のそれぞれの並列的選択肢の一部を削除・限定することにより、新請求項1又は3とするものであるから、いずれも特許請求の範囲を減縮するものと認められる。 上記訂正事項3は、旧請求項3について、構造式(1)に係る「R1」基及び「R2」基のそれぞれの限定を付加したものであるから、特許請求の範囲を減縮するものと認められる。 そして、上記訂正事項6は、旧請求項10に係る引用関係の不備を単に正したものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものと認められる。 してみると、上記訂正事項1ないし5及び7による訂正により、新請求項1ないし3及び5ないし10に係る各特許請求の範囲及び新請求項4に係る特許請求の範囲が減縮されていることが明らかであって、いずれも特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 したがって、上記訂正事項1ないし7による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号又は第3号に規定の目的要件に適合するものである。 (2)新規事項の追加及び特許請求の範囲の実質的拡張・変更について 上記(1)に示したとおり、訂正事項1ないし5及び7による訂正により、新請求項1ないし3及び5ないし10に係る各特許請求の範囲及び新請求項4に係る特許請求の範囲がいずれも減縮されていることが明らかであって、また、訂正事項6による訂正は、引用関係の不備を単に正したものであるから、上記訂正事項1ないし7による訂正は、いずれも新たな技術的事項を導入しないものであり、また、特許請求の範囲を実質的に拡張又は変更するものではないことが明らかである。 してみると、上記訂正事項1ないし7による訂正は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定を満たすものである。 (3)一群の請求項について 旧請求項2、3及び5ないし10はいずれも旧請求項1を直接的又は間接的に引用するものであって、本件訂正により引用関係に実質的な変動はないから、新請求項1ないし3及び5ないし10は、特許法第120条の5第4項に規定される一群の請求項である。 (4)訂正に係る検討のまとめ 以上のとおり、本件訂正は、特許法第120条の5第2項第1号又は第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第4項及び同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するので、訂正後の請求項〔1-10〕について訂正を認める。 第5 本件特許に係る発明 上記第4で説示したとおり、上記本件訂正は適法であるから、本件特許の請求項1ないし10に係る発明は、訂正された請求項1ないし10にそれぞれ記載された事項で特定される、以下のとおりのものである。 「【請求項1】 下記構造式(1) 【化1】 (式中、R1はアルキル基又はアルコキシ基であり、R2はメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基又はヘキシル基であり、mは1~3の整数、nは2~15の整数である。mが2以上の場合、複数のR1はそれぞれ同一でも良いし異なっていても良い。) で表される分子構造を有する化合物(A)を含有することを特徴とするフェノール性水酸基含有樹脂。 【請求項2】 前記nが4~6の整数である請求項1記載のフェノール性水酸基含有樹脂。 【請求項3】 下記構造式(1-1) 【化2】 (式中、R1はアルキル基又はアルコキシ基であり、R2はメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基又はヘキシル基であり、nは2~10の整数である。) で表される分子構造を有する化合物(A-1)を含有することを特徴とする請求項1記載のフェノール性水酸基含有樹脂。 【請求項4】(削除) 【請求項5】 請求項1~3の何れか一つに記載のフェノール性水酸基含有樹脂と感光剤とを含有する感光性組成物。 【請求項6】 請求項5記載の感光性組成物からなるレジスト用組成物。 【請求項7】 請求項5記載の感光性組成物からなる塗膜。 【請求項8】 請求項1~3の何れか一つに記載のフェノール性水酸基含有樹脂と硬化剤とを含有する硬化性組成物。 【請求項9】 請求項8記載の硬化性組成物を硬化させてなる硬化物。 【請求項10】 請求項8記載の硬化性組成物を硬化させてなる硬化物からなるレジスト下層膜。」 (以下、上記請求項1ないし10に係る各発明につき、項番に従い「本件発明1」ないし「本件発明10」という。また、併せて「本件発明」ということがある。) 第6 当審の判断 当審は、 訂正後の本件の請求項1ないし3及び5ないし10に係る発明についての特許に対して申立人が主張する取消理由1及び2は、いずれも理由がないものであり、 訂正後の本件請求項4に係る特許に対する本件異議の申立ては却下すべきものである、 と判断する。以下、詳述する。 I.請求項4に係る異議の申立てについて 本件異議の申立てに係る請求項4に対する申立は、上記第4で示したとおり、適法な訂正により請求項4の全ての内容が削除されたから、不適法なものであり、更にその補正ができないものであって、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により、却下すべきものである。 II.請求項1ないし3及び5ないし10に係る異議の申立てについて 1.各甲号証に記載された事項及び記載された発明 本件異議の申立てにおいて、申立人が主張する取消理由1及び2はいずれも特許法第29条に係るものであるから、申立人が提示した甲1ないし甲7に記載された事項の摘示及び甲1ないし3及び6に記載された発明に係る認定を行う。 (1)甲1の記載事項及び記載された発明 ア.甲1に記載された事項 甲1には、以下の事項が記載されている。 (a-1) 「請求の範囲 [1] 下記式(1)で示される環状化合物。 [化1] (式中、Lは、独立して、単結合、炭素数1~20の直鎖状もしくは分岐状のアルキレン基、炭素数3~20のシクロアルキレン基、炭素数6~24のアリーレン基、-O-、-OC(=O)-、-OC(=O)O-、-N(R5)-C(=O)-、-N(R5)-C(=O)O-、-S-、-SO-、-SO2-およびこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される二価の有機基であり、R1は独立して、炭素数1~20のアルキル基、炭素数3~20のシクロアルキル基、炭素数6~20のアリール基、炭素数1~20のアルコキシル基、シアノ基、ニトロ基、水酸基、複素環基、ハロゲン、カルボキシル基、炭素数1~20のアルキルシラン、これらの誘導体からなる群から選択される官能基、炭素数2~20の置換メチル基、炭素数3~20の1-置換エチル基、炭素数4~20の1-置換-n-プロピル基、炭素数3~20の1-分岐アルキル基、炭素数1~20のシリル基、炭素数2~20のアシル基、炭素数2~20の1-置換アルコキシアルキル基、炭素数2~20の環状エーテル基、炭素数2~20のアルコキシカルボニル基およびアルコキシカルボニルアルキル基からなる群から選択される酸解離性官能基、または水素原子であり、R’は独立して、炭素数2~20のアルキル基、又は下記式 [化2] で表わされる炭素数6~24のアリール基又はこれらの誘導体であり、R4は炭素数1~20のアルキル基(但し、t-ブチル基を除く)、炭素数3~20のシクロアルキル基、炭素数6~20のアリール基、炭素数1~20のアルコキシ基、シアノ基、ニトロ基、複素環基、ハロゲン、カルボキシル基、炭素数1~20のアルキルシラン、およびこれらの誘導体からなる群から選択される官能基、又は炭素数2~20の置換メチル基、炭素数3~20の1-置換エチル基、炭素数4~20の1-置換-n-プロピル基、炭素数3~20の1-分岐アルキル基、炭素数1~20のシリル基、炭素数2~20のアシル基、炭素数2~20の1-置換アルコキシアルキル基、炭素数2~20の環状エーテル基、炭素数2~20のアルコキシカルボニル基およびアルコキシカルボニルアルキル基からなる群から選択される酸解離性官能基であり、R5は水素又は炭素数1~10のアルキル基であり、mは1~4の整数であり、pは0~5の整数である。) [2] 下記式(2)で示される各化合物からなる群から選ばれる請求項1記載の環状化合物。 [化3] (式中、R7Aは独立して水素原子、炭素数1~12の直鎖状アルキル基、ハロゲン原子、シアノ基、水酸基、アルコキシ基またはエステル基である。) ・・(中略)・・ [11] 請求項1~10のいずれかに記載の環状化合物および溶媒を含む感放射線性組成物。 ・・(中略)・・ [14] さらに、可視光線、紫外線、エキシマレーザー、電子線、極端紫外線(EUV)、X線、およびイオンビームからなる群から選ばれるいずれかの放射線の照射、または熱により直接的又は間接的に酸を発生する酸発生剤(C)を含む請求項13記載の感放射線性組成物。 [15] さらに、酸架橋剤(G)を含む請求項13記載の感放射線性組成物。 ・・(中略)・・ [26] 環状化合物(A)が、スピンコートによりアモルファス膜を形成することができる請求項13記載の感放射線性組成物。 ・・(中略)・・ [29] 請求項11~28のいずれかに記載の感放射線性組成物からなる下層膜形成組成物。 ・・(後略)」 (第216頁~第237頁「請求の範囲」の欄) (a-2) 「[0001] 本発明は、酸増幅型非高分子系レジスト材料として有用な、特定の化学構造式で示される環状化合物、これを含む感放射線性組成物及び下層膜形成組成物、および該組成物を用いるレジストパターン形成方法、及び下層膜形成方法に関する。」 (a-3) 「[0002] これまでの一般的なレジスト材料は、アモルファス薄膜を形成可能な高分子系材料である。例えば、ポリメチルメタクリレート、酸解離性反応基を有するポリヒドロキシスチレンまたはポリアルキルメタタリレート等の高分子レジスト材料の溶液を基板上に塗布することにより作製したレジスト薄膜に紫外線、遠紫外線、電子線、極端紫外線(EUV)、X線などを照射することにより、45~100nm程度のラインパターンを形成している。 しかしながら、高分子系レジストは分子量が1万~10万程度と大きく分子量分布も広いため、高分子系レジストを用いるリソグラフィでは、微細パターン表面にラフネスが生じ、パターン寸法を制御することが困難となり、歩留まりが低下する。従って、従来の高分子系レジスト材料を用いるリソグラフィでは微細化に限界がある。より微細なパターンを作製するために、種々の低分子量レジスト材料が開示されている。 例えば、少なくとも1つのフェノール性水酸基に酸解離性官能基を導入した構造を有する低分子量多核ポリフエノール化合物を主成分として用いるポジ型のレジスト組成物(特許文献1参照)、あるいは低分子量多核ポリフエノール化合物を主成分として用いるアルカリ現像型のネガ型レジスト組成物(特許文献2参照)が提案されているが、これらは耐熱性が十分では無く得られるレジストパターンの形状が悪くなる欠点があった。」 (a-4) 「[0011] 以下、本発明を詳細に説明する。 [環状化合物] 本発明は、レジスト材料として有用な環状化合物に関する。 ・・(後略)」 (a-5) 「[0020] 上記、環状化合物は耐熱性が高ぐアモルファス性を有するため製膜性にも優れ、昇華性を持たず、アルカリ現像性、エッチング耐性等に優れ、レジスト材料、特にレジスト材料の主成分(基材)として好適に用いられる。更に、驚くべきことにベンゼン構造を有しながら193nm光に対する消衰係数は比較的低く、また屈折率は高いという特長を有し、下層膜材料として好適に用いられる。 また、製造面においても工業的に製造されている芳香族アルデヒドをはじめとする各種アルデヒド類とレゾルシノール、ピロガロール等のフェノール類を原料として、塩酸等の非金属触媒により脱水縮合反応させることにより、高収率で製造できることから、実用性にも極めて優れる。 更にレジスト溶媒として一般的に使用されているプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)に難溶であり、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)やシクロへキサノンに可溶であることから、多層レジストを形成する際にインターミキシングすることも抑えることが出来る。 [0021] 本発明における環状化合物は、シス体およびトランス体を取りうるが、いずれかの構造若しくは混合物でもよい。感放射線性組成物のレジスト成分として用いる場合は、シス体およびトランス体のいずれかの構造のみを有する方が、純物質化合物となり、レジスト膜中成分の均一性が高いので好ましい。シス体およびトランス体のいずれかの構造のみを有する環状化合物を得る方法は、カラムクロマトや分取液体クロマトグラフィによる分離や製造時における反応溶媒及び反応温度等の最適化等、公知の方法で行うことができる。 ・・(後略)」 (a-6) 「[0027] 上記環状化合物は、公知の方法によって製造できる。例えば、トルエン、メタノール、エタノール等の有機溶剤中、芳香族アルデヒド等のカルボニル化合物1モルに対しレゾルシノール、ピロガロール等のフェノール類を各1モル~過剰量、チオ酢酸またはβ-メルカプトプロピオン酸、及び酸触媒(塩酸、硫酸またはパラトルエンスルホン酸)を使用し、60~150℃で0.5~20時間程度反応させ、反応終了後、反応液にトルエンを加えて60~80℃まで加熱し、0.5~2時間撹拌を行った後、室温まで冷却した後、濾過を行い分離し、乾燥させることにより得られる。」 (a-7) 「[0083] フェノール性化合物(A2)の例としては、フェノール、カテコール、レゾルシノール、ハイドロキノン、ピロガロール等が挙げられ、レゾルシノール、ピロガロールが好ましく、レゾルシノールがより好ましい。フェノール性化合物(A2)は本発明の効果を損ねない範囲で炭素数1~4の直鎖または分岐アルキル基、シアノ基、水酸基、ハロゲン等を有していても良い。フェノール性化合物(A2)は、単独で又は二種以上組み合わせて使用してもよい。 ・・(後略)」 (a-8) 「[0370] 以下、実施例を挙げて、本発明の実施の形態をさらに具体的に説明する。但し、本発明は、これらの実施例に限定はされない。以下の合成例、実施例において、化合物の構造は1H-NMR測定で確認した。 [0371]<合成例1> 環状化合物(A)の合成 CR-1の合成 十分乾燥し、窒素置換した滴下漏斗、ジム・ロート氏冷却管、温度計、攪拌翼を設置した四つ口フラスコ(1000L)に、窒素気流下で、関東化学社製レゾルシノール(22g、0.2mol)と、4-イソプロピルベンズアルデヒド(29.6g,0.2mol)と、脱水エタノール(200ml)を投入し、エタノール溶液を調整した。この溶液を攪拌しながらマントルヒーターで85℃まで加熱した。次いで濃塩酸(35%)75mlを、滴下漏斗により30分かけて滴下した後、引き続き85℃で3時間攪拌した。反応終了後、放冷し、室温に到達させた後、氷浴で冷却した。1時間静置後、淡黄色の目的粗結晶が生成し、これを濾別した。粗結晶をメタノール500mlで2回洗浄し、濾別、真空乾燥させることにより、目的生成物(以下、CR-1と示す)(45.6g、収率95%)を得た。この化合物の構造は、LC-MSで分析した結果、目的物の分子量960を示した。また重ジメチルスルホキシド溶媒中での1H-NMRのケミカルシフト値(δppm,TMS基準)は1.1~1.2(m,24H)、2.6~2.7(m,4H)、5.5(s,4H)、6.0~6.8(m,24H)、8.4,8.5(d,8H)であった。 [0372][化105] [0373]CR-2の合成 CR-1の合成例における4-イソプロピルべンズアルデヒドを4-ノルマルプロピルベンズアルデヒドに代えた以外はCR-1と同様に合成した。その結果、CR-2(45.6g、収率95%)を得た。この化合物の構造は、LC-MSで分析した結果、目的物の分子量960を示した。また得られた生成物の重ジメチルスルホキシド溶媒中での1H-NMRのケミカルシフ卜値(δppm,TMS基準)は0.9~1.0(m,12H)、1.4~1.6(m,8H)、2.3~2.5(m,8H)、5.5(s,4H)、6.0~6.8(m,24H)、8.4,8.5(d,8H)であった。 [0374][化106] [0375]CR-3の合成 CR-1の合成例における4-イソプロピルべンズアルデヒドの内、半分molを4-ノルマルプロピルべンズアルデヒドに代えた以外はCR-1と同様に合成した。その結果、CR-3(45.6g)を得た。この化合物をLC-MSで分析した結果、目的物の分子量960を示した。また得られた生成物の重ジメチルスルホキシド溶媒中での1H-NMRのケミカルシフ卜値(δppm,TMS基準)は0.9~1.2(m,36H)、1.4~1.6(m,8H)、2.3~2.7(m,12H)、5.5(d,8H)、6.0~6.8(m,48H)、8.4,8.5(m,16H)であった。 [0376][化107] [0377]CR-4の合成 CR-1の合成例における4-イソプロピルべンズアルデヒドの内、1/4molをブロモベンズアルデヒドに代えた以外はCR-1と同様に合成した。その結果、CR-4 45.5gを得た。また得られた生成物の重ジメチルスルホキシド溶媒中での1H-NMRのケミカルシフト値(δppm,TMS基準)は1.1~1.2(m,18H),2.6~2.7(m,3H)、5.5(m,4H)、6.0~6.8(m,24H)、8.4~8.5(m,8H)であった。 1H-NMRのケミカルシフト値から、CR-4の全構成原子数に対する臭素原子数の割合は0.8%と示唆された。 [0378][化108] [0379]CR-5の合成 CR-1の合成例における4-イソプロピルべンズアルデヒドの内、1/4molをブロモベンズアルデヒドに、1/8molをジメチルアミノべンズアルデヒド代えた以外はCR-1と同様に合成した。その結果、CR-5 45.5gを得た。 また得られた生成物の重ジメチルスルホキシド溶媒中での1H-NMRのケミカルシフト値(δppm,TMS基準)は1.1~1.2(m,30H)、2.6~2.7(m,5H)、2.9(m,6Η)、5.5(m,8Η)、6.0~6.8(m,48Η)、8.4,8.5(m,16H)であった。 1H-NMRのケミカルシフト値から、CR-5の全構成原子数に対する臭素原子数の割合は0.8%であり、窒素原子数の割合は0.4%あった。 [0380][化109] [0381]CR-6の合成 CR-1の合成例における4-イソプロピルべンズアルデヒドを2,4-ジメチルベンズアルデヒドに代えた以外はCR-1と同様に合成した。その結果、CR-6((44.3g、収率98%)を得た。この化合物の構造は、LC-MSで分析した結果、目的物の分子量904を示した。また得られた生成物の重ジメチルスルホキシド溶媒中での1H-NMRのケミカルシフ卜値(δppm,TMS基準)は0.9~1.0(d,12H)、1.4~1.6(d,12H)、5.6(t,4H)、6.1~6.5(m,20H)、8.3-8.5(m,8H)であった。 [0382][化110] [0383]CR-7の合成 CR-1の合成例における4-イソプロピルべンズアルデヒドをイソブチルベンズアルデヒドに代えた以外はCR-1と同様に合成した。その結果、CR-7(49.0g、収率96%)を得た。この化合物の構造は、LC-MSで分析した結果、目的物の分子量1017を示した。また得られた生成物の重ジメチルスルホキシド溶媒中での1H-NMRのケミカルシフ卜値(δppm,TMS基準)は1.7(m,4H)、2.3~2.4(m,8Η)、5.5(d,4H)、5.8~6.8(m,24H)、8.4-8.6(t,8H)であった。 [0384][化111] [0385]CR-8の合成 CR-1の合成例における4-イソプロピルべンズアルデヒドをビフェニルアルデヒドに代えた以外はCR-1と同様に合成した。その結果、CR-8(53.5g、収率98%)を得た。この化合物の構造は、LC-MSで分析した結果、目的物の分子量1096を示した。また得られた生成物の重ジメチルスルホキシド溶媒中での1H-NMRのケミカルシフト値(δppm,TMS基準)は6.0-7.4(d, 4Η)、6.1~6.5(m,24Η)、8.6-8.7(t,8H)であった。 [0386][化112] [0387]CR-9の合成 CR-1の合成例における4-イソプロピルべンズアルデヒドを3-ブロモ-4-メチルベンズアルデヒドに代えた以外はCR-1と同様に合成した。その結果、CR-9(56.3g、収率97%)を得た。この化合物の構造は、LC-MSで分析した結果、目的物の分子量1160を示した。また得られた生成物の重ジメチルスルホキシド溶媒中での1H-NMRのケミカルシフ卜値(δppm,TMS基準)は1.0~1.2(d,12H)、6.0-7.4(d,4H)、6.1~6.5(m,20H)、8.6-8.7(t,8H)であった。 [0388][化113] [0389]CR-10の合成 CR-1の合成例における4-イソプロピルべンズアルデヒドを5-ブロモ-2,4-ジメチルベンズアルデヒドに代えた以外はCR-1と同様に合成した。その結果、CR-10(57.8g、収率95%)を得た。この化合物の構造は、LC-MSで分析した結果、目的物の分子量1216を示した。また得られた生成物の重ジメチルスルホキシド溶媒中での1H-NMRのケミカルシフト値(δppm,TMS基準)は0.9~1.0(d,12H)、1.4~1.6(d,12H)、6.0-7.4(d,4H)、6.1~6.5(m,16H)、8.6-8.7(t,8H)であった。 [0390][化114] [0391]CP-1の合成 CR-1の合成例におけるレゾルシノールをピロガロールに代えた以外はCR-1と同様に合成した。その結果、CP-1(49.9g、収率97%)を得た。この化合物の構造は、LC-MSで分析した結果、目的物の分子量1024を示した。また得られた生成物の重ジメチルスルホキシド溶媒中での1H-NMRのケミカルシフト値(δppm,TMS基準)は0.9~1.0(m,12H)、1.4~1.6(m,8H)、2.3~2.5(m,8H)、5.5(s,4H)、6.0~6.8(m,20H)、8.4-8.5(m,12H)であった。 [0392][化115] [0393]CP-2の合成 CR-1の合成例における4-イソプロピルべンズアルデヒドを4-ビフェニルアルデヒドに代え、レゾルシノールをピロガロールに代えた以外はCR-1と同様に合成した。その結果、CP-2(55. 8g、収率 96%)を得た。この化合物の構造は、LC-MSで分析した結果、目的物の分子量1160を示した。また得られた生成物の重ジメチルスルホキシド溶媒中での1H-NMRのケミカルシフト値(δppm,TMS基準)は6.0-7.4(d,4H)、6.1~6.5(m,20H)、8.6-8.7(m,12H)であった。 [0394][化116] ・・(中略)・・ [0433]<合成例2A>環状ポリフエノール化合物(A)の合成 十分乾燥し、窒素置換した滴下漏斗、ジム・ロート氏冷却管、温度計、攪拌翼を設置した四つ口フラスコ(1000L)に、窒素気流下で、関東化学社製レゾルシノール(22g、0.2mol)と、合成例1Aで合成した4-シクロへキシルベンズアルデヒド(46.0g,0.2mol)と、脱水エタノール(200ml)を投入し、エタノール溶液を調整した。この溶液を攪拌しながらマントルヒーターで85℃まで加熱した。次いで濃塩酸(35%)75mlを、滴下漏斗により30分かけて滴下した後、引き続き85℃で3時間攪拌した。反応終了後、放冷し、室温に到達させた後、氷浴で冷却した。1時間静置後、淡黄色の目的粗結晶が生成し、これを濾別した。粗結晶をメタノール500mlで2回洗浄し、濾別、真空乾燥させることにより、目的生成物(以下、CR-1Aと示す)(50g、収率91%)を得た。この化合物の構造は、LC-MSで分析した結果、目的物の分子量1121を示した。また重クロロホルム溶媒中での1H-NMRのケミカルシフト値(δppm,TMS基準)は0.8~1.9(m,56H)、5.5,5.6(d,4H)、6~6.8(m,24H)、8.4,8.5(m,8Η)であった。 [0434][化121] 」 イ.甲1に記載された発明 上記で摘示した記載事項(a-1)ないし(a-8)(特に下線部)からみて、甲1には、 「下記式(1)で示される環状化合物。 [化1] (式中、Lは、独立して、単結合、炭素数1~20の直鎖状もしくは分岐状のアルキレン基、炭素数3~20のシクロアルキレン基、炭素数6~24のアリーレン基、-O-、-OC(=O)-、-OC(=O)O-、-N(R5)-C(=O)-、-N(R5)-C(=O)O-、-S-、-SO-、-SO2-およびこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される二価の有機基であり、R1は独立して、炭素数1~20のアルキル基、炭素数3~20のシクロアルキル基、炭素数6~20のアリール基、炭素数1~20のアルコキシル基、シアノ基、ニトロ基、水酸基、複素環基、ハロゲン、カルボキシル基、炭素数1~20のアルキルシラン、これらの誘導体からなる群から選択される官能基、炭素数2~20の置換メチル基、炭素数3~20の1-置換エチル基、炭素数4~20の1-置換-n-プロピル基、炭素数3~20の1-分岐アルキル基、炭素数1~20のシリル基、炭素数2~20のアシル基、炭素数2~20の1-置換アルコキシアルキル基、炭素数2~20の環状エーテル基、炭素数2~20のアルコキシカルボニル基およびアルコキシカルボニルアルキル基からなる群から選択される酸解離性官能基、または水素原子であり、R’は独立して、炭素数2~20のアルキル基、又は下記式 [化2] で表わされる炭素数6~24のアリール基又はこれらの誘導体であり、R4は炭素数1~20のアルキル基(但し、t-ブチル基を除く)、炭素数3~20のシクロアルキル基、炭素数6~20のアリール基、炭素数1~20のアルコキシ基、シアノ基、ニトロ基、複素環基、ハロゲン、カルボキシル基、炭素数1~20のアルキルシラン、およびこれらの誘導体からなる群から選択される官能基、又は炭素数2~20の置換メチル基、炭素数3~20の1-置換エチル基、炭素数4~20の1-置換-n-プロピル基、炭素数3~20の1-分岐アルキル基、炭素数1~20のシリル基、炭素数2~20のアシル基、炭素数2~20の1-置換アルコキシアルキル基、炭素数2~20の環状エーテル基、炭素数2~20のアルコキシカルボニル基およびアルコキシカルボニルアルキル基からなる群から選択される酸解離性官能基であり、R5は水素又は炭素数1~10のアルキル基であり、mは1~4の整数であり、pは0~5の整数である。)」 に係る発明(以下「甲1発明1」という。)、 「甲1発明1の環状化合物、直接的又は間接的に酸を発生する酸発生剤(C)、酸架橋剤(G)及び溶媒を含む感放射線性組成物。」 に係る発明(以下「甲1発明2」という。)及び 「甲1発明2の感放射線性組成物からなる下層膜形成組成物。」 に係る発明(以下「甲1発明3」という。)がそれぞれ記載されているものといえる。 (2)甲2の記載事項及び記載された発明 ア.甲2に記載された事項 甲2には、以下の事項が記載されている。(括弧内は当審の仮訳である。) (b-1) 「Summary: The sterically crowded octamethylcalix[4]arene (2) was synthesized in one step and shown to exit in a relatively flexible“boat”conformation.」(6003頁左欄第1~3行) (要約:立体的に混み合ったオクタメチルカリックス[4]アレーン(2)をワンステップで合成し、比較的柔軟な舟形配置の存在を示した。) (b-2) 「We report the (serendipitous)one-step preparation of the previously unknown sterically crowded octamethylcalix[4]arene (2),a compound which displays novel conformation properties. Our initial goal was to synthesize 3in which the OH groups are arranged in a extra-annullar fashion (i.e.located in the outer periphery).」(6003頁左欄第25行~右欄図下第2行) (我々は、以前、未知の立体的に混み合ったオクタメチルカリックス[4]アレーン(2)の(思いがけない)ワンステップ調製法を報告している。(該アレーンは)新規の配置特性を示す化合物である。我々の最初の目標は、OH基を特別に環形状に配置している(すなわち、(OH基が)外郭に位置している)3を合成することであった。) (b-3) 「 」 (6003頁右欄最上段右図) (b-4) 「However,when a solution of 2,6-dimethyl-4-hydroxybenzyl alcohol(4)in nitrobenzene at 90℃ was treated with 0.5equiv of AlCl3 instead of the expected calixarene 3, we isolated an isomeric calixarene 2(with intra-annular OH groups)as the sole product in 28%(not optimized)yield.」(6003頁右欄図下第2行~第7行) (しかしながら、90℃、ニトロベンゼン中で、2,6-ジメチル-4-ヒドロキシベンジルアルコール溶液を、期待されたカリックスアレーン3の代わりに、AlCl3の0.5等量と共に処理することで、28%の(最適化されていない)収率で、単体として、(内側の環状にOH基を有する)異性体化カリックスアレーン2を分離できた。) (b-5) 「Indeed,when 5 was submitted to the reaction conditions,2 was obtained in ca. 50%yield.」(6003頁右欄図下第13行~第15行) (実際には、5を反応条件に供すると、2は、およそ50%の収率で得られた。) イ.甲2に記載された発明 甲2には、上記(b-1)ないし(b-5)の記載事項からみて、 「以下の式で表されるカリックスアレーン化合物。 」 に係る発明(以下「甲2発明」という。)が記載されている。 (3)甲3の記載事項及び記載された発明 ア.甲3に記載された事項 甲3には、以下の事項が記載されている。(括弧内は当審の仮訳である。) (c-1) 「The final step involved reductive debromination of 8 using Pd-C/formic acid in DMF which proceeded in essentially quantitative yields to produce 3-methylcalix[4]arene(9). The regioisomeric purity of 9 was confirmed by 1H and 13C NMR spectroscopy.」(第802頁右欄下から第5行~最下行) (最終工程では、基本的に定量的収率で進む、DMF中、Pd-C/ギ酸を使った8の還元性脱臭素を含んで、3-メチルカリックス[4]アレーンを製造する。9の位置異性体の純度は、プロトンおよびカーボンNMRによって確認された。) (c-2) 「 」(第803頁左欄「Scheme1」の「9」式) (c-3) 「3-Methylcalix[4]arene(9).A mixture of 7(l.0g,1.26mmol)in formic acid(85%,5mL),10%Pd-C(0.5g,0.47mmol),and DMF(25mL)was refluxed under argon for 12h.The resulting solution was poured into H2O and extracted with CH2Cl2 (2x50mL).The organic phase was then separated,dried over MgSO4,and evaporated in vacuum. The yellow residue was redissolved in CH2Cl2 evaporated onto silica gel,and then purified by column chromatography(silica gel,CH2Cl2)to give 0.59g(98%)of 8 as a white solid」(第804頁左欄第1行~第9行) (3-メチルカリックス[4]アレーン(9)。ギ酸(85%,5mL)中の7(1.0g,1.26mmol)、10%Pd-C (0.5g,0.47mmol)およびDMF(25mL)の混合物を、12時間、アルゴン中で還流した。得られた溶液を水の中に注ぎ、塩化メチレン(2x50mL)で抽出した。その後、有機層を分離し、硫酸マグネシウムで乾燥して、真空中で濃縮した。黄色の残分を塩化メチレンで再溶解させ、シリカゲル中で濃縮し、その後、カラムクロマトグラフィ(シリカゲル、CH2Cl2)により精製し、白色固体として8の0.59g(98%)を得た。) イ.甲3に記載された発明 甲3には、上記(c-1)ないし(c-3)の記載事項からみて、 「以下の式で表される3-メチルカリックス[4]アレーン化合物。 」 に係る発明(以下「甲3発明」という。)が記載されている。 (4)甲4の記載事項 甲4には、以下の事項が記載されている。 (d-1) 「【発明が解決しようとする課題】 【0004】 しかしながら、上記方法で使用する硬化剤は、エポキシ樹脂組成物の構成成分との溶解性が低いため、流動性が低下する等の問題がある。 本発明の課題は、エポキシ樹脂組成物にした際に溶解性が良好であり、かつ、エポキシ樹脂硬化物に高い耐熱性を付与できるエポキシ樹脂用硬化剤として用いることができる、フェノール誘導体を提供することである。また、本発明の他の課題は、前記エポキシ樹脂用硬化剤を含む流動性及び耐熱性が良好であるエポキシ樹脂組成物及びそれによって封止された素子を備えてなる電子部品装置を提供することである。」 (d-2) 「【発明の効果】 【0007】 本発明によれば、エポキシ樹脂組成物にした際に溶解性が良好であり、且つエポキシ樹脂硬化物に高い耐熱性を付与できるエポキシ樹脂用硬化剤を提供することができる。また、本発明によれば、前記エポキシ樹脂用硬化剤を含むエポキシ樹脂組成物及びそれによって封止された素子を備えてなる電子部品装置を提供することができる。」 (d-3) 「【実施例】 【0073】 以下、実施例によって本発明をより具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。 〔硬化剤の合成及びその特性評価〕 <実施例の硬化剤の合成> (実施例1):レゾルシノール/m-クレゾール(50:50)混合物とアセトアルデヒドの重縮合物(レゾルシノール/アルデヒド比=2.0)の合成1 1000mlのセパラブルフラスコを用い、レゾルシノールを110.1g(1.0mol)、m-クレゾールを108.1g(1.0mol)、パラアルデヒドを44.1g(0.33mol)、メタノールを135g、純水を170g、シュウ酸を0.87g(9.7mmol)投入し、攪拌棒で攪拌しながら、オイルバスを用いて、約85℃で6時間加熱還流した。反応終了後、アスピレータ、真空ポンプを用いて減圧し、溶媒であるメタノール及び水を留去することで、濃褐色固体を139g得た。 得られた濃褐色固体についてGPCによる分子量分布の測定を行った結果、図1に示す分子量分布を持つことが分かった。レゾルシノール由来のピークは21分頃のピークであり、17分から20分くらいのピークはレゾルシノール、m-クレゾール及びパラアルデヒドが重縮合して得られたR1がメチル基、R2が水素原子、水酸基に対して一方のメタ位のR3がメチル基で他の2つのR3が水素原子である一般式(I-1)で示される環状フェノール化合物及びR1がメチル基、R2が水素原子、水酸基に対して一方のメタ位のR3がメチル基で他の2つのR3が水素原子である一般式(I-2)で示される鎖状フェノール化合物の混合物である。パラアセトアルデヒド由来のピークとm-クレゾール由来のピークはともに確認されず、濃赤色固体中に含有されていないことが確認できた。 これらGPCの積分比から求めた結果、レゾルシノール含有量は9%であった(残分:一般式(I-1)で示される環状フェノール化合物及び一般式(I-2)で示される鎖状フェノール化合物の混合物)。また、水酸基当量は81であり、エポキシ樹脂に対する溶解性は、均一(透明)となり良好であった。 【0074】 (実施例2):レゾルシノール/m-クレゾール(75:25)混合物とアセトアルデヒドの重縮合物(レゾルシノール/アルデヒド比=2.0)の合成 1000mlのセパラブルフラスコを用い、レゾルシノールを165.2g(1.5mol)、m-クレゾールを54.1g(0.5mol)、パラアルデヒドを44.1g(0.33mol)、メタノールを135g、純水を170g、シュウ酸を0.87g(9.7mmol)投入し、攪拌棒で攪拌しながら、オイルバスを用いて、約85℃で6時間加熱還流した。反応終了後、アスピレータ、真空ポンプを用いて減圧し、溶媒であるメタノール及び水を留去することで、濃褐色固体を190g得た。 得られた濃褐色固体についてGPCによる分子量分布の測定を行った結果、図1に示す分子量分布を持つことが分かった。レゾルシノール由来のピークは21分頃のピークであり、17分から20分くらいのピークはレゾルシノール、m-クレゾール及びパラアルデヒドが重縮合して得られたR1がメチル基、R2が水素原子、水酸基に対して一方のメタ位のR3がメチル基で他の2つのR3が水素原子である一般式(I-1)で示される環状フェノール化合物及びR1がメチル基、R2が水素原子、水酸基に対して一方のメタ位のR3がメチル基で他の2つのR3が水素原子である一般式(I-2)で示される鎖状フェノール化合物の混合物である。パラアセトアルデヒド由来のピークとm-クレゾール由来のピークはともに確認されず、濃赤色固体中に含有されていないことが確認できた。 これらGPCの積分比から求めた結果、レゾルシノール含有量は17%であった残分:一般式(I-1)で示される環状フェノール化合物及び一般式(I-2)で示される鎖状フェノール化合物の混合物)。また、水酸基当量は75であり、エポキシ樹脂に対する溶解性は均一(透明)となり良好であった。 【0075】 (実施例3):レゾルシノール/p-クレゾール(75:25)混合物とアセトアルデヒドの重縮合物(レゾルシノール/アルデヒド比=2.0)の合成 1000mlのセパラブルフラスコを用い、レゾルシノールを165.2g(1.5mol)、p-クレゾールを54.1g(0.5mol)、パラアルデヒドを44.1g(0.33mol)、メタノールを135g、純水を170g、シュウ酸を0.87g(9.7mmol)投入し、攪拌棒で攪拌しながら、オイルバスを用いて、約85℃で6時間加熱還流した。反応終了後、アスピレータ、真空ポンプを用いて減圧し、溶媒であるメタノール及び水を留去することで、濃褐色固体を182g得た。 得られた濃褐色固体についてGPCによる分子量分布の測定を行った結果、図1に示す分子量分布を持つことが分かった。レゾルシノール由来のピークは21分頃のピークであり、17分から20分くらいのピークはレゾルシノール、p-クレゾール及びパラアルデヒドが重縮合して得られたR1がメチル基、R2が水素原子、水酸基に対してパラ位のR3がメチル基で他の2つのR3が水素原子である一般式(I-1)で示される環状フェノール化合物及びR1がメチル基、R2が水素原子、水酸基に対してパラ位のR3がメチル基で他の2つのR3が水素原子である一般式(I-2)で示される鎖状フェノール化合物の混合物である。パラアセトアルデヒド由来のピークとp-クレゾール由来のピークはともに確認されず、濃赤色固体中に含有されていないことが確認できた。 これらGPCの積分比から求めた結果、レゾルシノール含有量は16%であった。また、水酸基当量は75であり、エポキシ樹脂に対する溶解性は均一(透明)となり良好であった。 【0076】 (実施例4):レゾルシノール/m-クレゾール(50:50)混合物とアセトアルデヒドの重縮合物(レゾルシノール/アルデヒド比=2.0)の合成2 1000mlのセパラブルフラスコに、レゾルシノールを66.0g(0.60mol)、m-クレゾールを64.8g(0.60mol)、メタノールを100ml、純水を100ml投入し、攪拌棒で攪拌しながら、氷冷下で約10℃に冷却し、濃塩酸を30ml(0.36mol)滴下した後、パラアルデヒドを26.4g(0.20mol)を滴下した。その後、オイルバスを用いて、約85℃で5時間加熱還流した。反応終了後、分液ロートに移し、メチルイソブチルケトンを約160g、純水を約300g投入し、十分に混合した。水層を捨て、さらにメチルイソブチルケトンを約240g、純水を約600g投入し、十分に混合した後、水層を捨て、有機層を減圧濃縮して濃褐色固体81.8gを得た。 【0077】 得られた濃褐色固体についてGPCによる分子量分布の測定を行った結果、図1に示す分子量分布を持つことが分かった。レゾルシノール由来のピークは21分頃のピークであり、17分から20分くらいのピークはレゾルシノール、m-クレゾール及びパラアルデヒドが重縮合して得られたR1がメチル基、R2が水素原子、水酸基に対して一方のメタ位のR3がメチル基で他の2つのR3が水素原子である一般式(I-1)で示される環状フェノール化合物及びR1がメチル基、R2が水素原子、水酸基に対して一方のメタ位のR3がメチル基で他の2つのR3が水素原子である一般式(I-2)で示される鎖状フェノール化合物の混合物である。パラアセトアルデヒド由来のピークとm-クレゾール由来のピークはともに確認されず、濃褐色固体中に含有されていないことが確認できた。 これらGPCの積分比から求めた結果、レゾルシノール含有量は6%であった。また、水酸基当量は82であり、エポキシ樹脂に対する溶解性は均一(透明)となり良好であった。 【0078】 (実施例5)レゾルシノール/m-クレゾール(50:50)混合物とアセトアルデヒドの重縮合物(レゾルシノール/アルデヒド比=1.0)の合成 1000mlのセパラブルフラスコに、レゾルシノールを33.0g(0.30mol)、m-クレゾールを32.4g(0.30mol)、メタノールを100ml、純水を100ml投入し、攪拌棒で攪拌しながら、氷冷下で約10℃に冷却し、濃塩酸を30ml(0.36mol)滴下した後、パラアルデヒドを26.4g(0.20mol)を滴下した。その後、オイルバスを用いて、約85℃で4時間加熱還流した。反応終了後、分液ロートに移し、メチルイソブチルケトンを約160g、純水を約300g投入し、十分に混合した。水層を捨て、さらにメチルイソブチルケトンを約240g、純水を約600g投入し、十分に混合した後、水層を捨て、有機層を減圧濃縮して濃褐色固体40.0gを得た。 得られた濃褐色固体についてGPCによる分子量分布の測定を行った結果、図1に示す分子量分布を持つことが分かった。レゾルシノール由来のピークは確認されず、16分から20分くらいのピークはレゾルシノール、m-クレゾール及びパラアルデヒドが重縮合して得られたR1がメチル基、R2が水素原子、水酸基に対して一方のメタ位のR3がメチル基で他の2つのR3が水素原子である一般式(I-1)で示される環状フェノール化合物及びR1がメチル基、R2が水素原子、水酸基に対して一方のメタ位のR3がメチル基で他の2つのR3が水素原子である一般式(I-2)で示される鎖状フェノール化合物の混合物である。パラアセトアルデヒド由来のピークとm-クレゾール由来のピークはともに確認されず、濃褐色固体中に含有されていないことが確認できた。 これらGPCの積分比から求めた結果、レゾルシノール含有量は0%であった。また、水酸基当量は91であり、エポキシ樹脂に対する溶解性は、大部分溶解しほぼ良好であった。 【0079】 <比較例の硬化剤の合成> (合成例1):カリックスアレーン類1の合成 300mlの4つ口フラスコを用い、レゾルシノール33.0g(0.3mol)をエタノール120mlに溶かし、氷冷下、濃塩酸40mlを加え、約5℃で30分間攪拌した。これにパラアルデヒド12.1g(0.1mol)を滴下した後、約30分間加熱還流した。反応混合物を室温まで冷却し、ろ過により生成した固体を得た。得られた固体を水で1回、メタノールで3回洗浄し、メタノールで2回再結晶した後、60℃で24時間真空乾燥することにより、白色固体を20.8g得た。 得られた白色固体について1H-NMRスペクトルの測定、IRスペクトルの測定、マススペクトルの測定、GPCによる分子量分布の測定を行った結果、下記一般式(1)で示される構造のカリックスアレーン類であることを確認した。なお、一般式(1)で示される構造のカリックスアレーン類は既知の化合物であるため、各種スペクトルの測定結果は省略する。図1には、GPCチャートを示す。 水酸基当量は構造式(理論値)から68である。エポキシ樹脂に対する溶解性は、大部分が溶け残り良好ではなかった。 【0080】 【化36】 」 (5)甲5の記載事項 甲5には、以下の事項が記載されている。 (e-1) 「【0003】 一般に、ポジ型フォトレジスト組成物には、ナフトキノンジアジド化合物等のキノンジアジド基を有する感光剤と、アルカリ可溶性樹脂(例えば、ノボラック型フェノ-ル樹脂)が用いられる。このような組成からなるポジ型フォトレジスト組成物は、露光後にアルカリ溶液による現像によって高い解像力を示すことから、IC、LSI等の半導体製造、LCD等の液晶表示画面機器の製造及び印刷原版の製造等に利用されている。」 (e-2) 「【0055】 なお、本実施形態に係るノボラック型フェノール樹脂を用いたフォトレジスト用樹脂組成物をフォトリソグラフィーに使用する際、以下に説明する方法を用いる。 まず、ノボラック型フェノール樹脂、感光剤および溶剤を混合する。混合して得られたフォトレジスト用樹脂組成物を、フォトリソグラフィーを行う対象物上に塗布してレジストパターンを形成する。なお、本実施形態に係るフォトレジスト用樹脂組成物は、ポジ型レジストである場合、露光しない限り現像液には溶解しない。 次に、レジストパターンに対し露光を行った後、レジストパターンを現像する。なお、レジストパターンにおいて、露光した箇所では、感光剤が化学変化することによりカルボン酸となる。このため、露光した箇所のみ現像液に溶かすことができる。また、現像液に溶かす際、感光剤の作用により、溶解性に差をつけることも可能であり、これによってコントラストのパターンを形成することができる。 その後、製造したレジストパターンをマスクとして所定の膜をエッチング加工することにより、液晶デバイスの層構造を形成することができる。」 (6)甲6の記載事項及び記載された発明 ア.甲6に記載された事項 甲6には、以下の事項が記載されている。 (f-1) 「1.2.1 カリックスアレーン類を基盤とする分子レジスト CA類はその分子構造から、高いガラス転移点(Tg)を持った環状のフェノール樹脂と考えることができる最初の分子レジストである。レゾルシンとアルデヒド類との縮合反応により合成されるCA類としてカリックス[4]レゾルシンアレーン(CRA)類がある。CRA類は分子構造によってはアモルファス状態で、優れたフィルム形成能を有するために分子レジストして注目されている。」(第215頁下から第5行~第216頁第1行) (f-2) 「CAやCRA誘導体の単独使用ではないが、上田らはCRA類、架橋剤4,4’-メチレンビス-[2,6-ビス(ヒドロキシメチル)フェノール](MBHP)、および光酸発生剤ジフェニルヨードニウム9,10-ジメトキシアントラセン-2-スルフォネート(DIAS)より調製したネガ型レジスト(解像度1μm)を報告している。」(第216頁第22行~第25行) (f-3) 「西久保らは、高性能の光硬化材料の開発を目的として、これまでメタクリロイル基、プロパルギル基、ビニルエーテル基、エポキシ基、スピロオルトエステル基などを有する様々なCA誘導体を合成し、その光反応特性などを報告(図6)しているが、上記のCA誘導体もネガ型分子レジストヘの展開が可能であると思われる。」(第217頁第1行~第6行) (f-4)(第219頁図内左欄) 「 」 イ.甲6に記載された発明 甲6には、上記(f-1)ないし(f-4)の記載からみて、 「以下の式で表されるカリックスアレーン化合物。 」 に係る発明(以下「甲6発明」という。)が記載されている。 (7)甲7の記載事項 甲7には、以下の事項が記載されている。 (g-1) 「2.3 高解像度ネガ型レジスト 20nm以下の解像度を持つネガ型レジストの一つは、NECで開発されているカリックスアレーン系レジストである。カリックスアレーン類は、フェノールとホルムアルデヒドとの縮合反応によって得られる環状オリゴマーであり、その分子構造がキリスト教の聖杯(calix)に似ている芳香族(arene)であるということからこの名称が付けられた。ベンゼン環ユニットの数、ベンゼン環に結合する官能基の種類などによって多くの誘導体が存在する。」(第46頁第4行~第9行) (g-2) 「低感度を補う方法の一つとして、微細な部分をカリックスアレーンで作製し、それ例外をフォトレジストで作製する複合法がある。カリックスアレーンは電子ビームに一旦感光すると、フォトレジストの溶剤や有機溶剤には溶解しない特性をもつ。このことを利用して、カリックスアレーンで微細なパターンを電子ビームで露光した後、フォトレジストでラフパターンを露光して1層のレジストとすることが可能である。」(第47頁第6行~第10行) 2.対比・検討 以下、本件の各発明ごとに、取消理由1及び取消理由2につき併せて検討する。 (1)本件発明1について ア.甲1発明に基づく検討 (ア)対比 本件発明1と上記甲1発明1とを対比すると、下記の2点で相違し、その余で一致するものと認められる。 相違点1-1:フェノール骨格部分につき、本件発明1では、「R1はアルキル基又はアルコキシ基であり、・・mは1~3の整数、・・である。mが2以上の場合、複数のR1はそれぞれ同一でも良いし異なっていても良い。」であり、フェノール性水酸基数が1個であるのに対して、甲1発明1では、「Lは、独立して、単結合、炭素数1~20の直鎖状もしくは分岐状のアルキレン基、炭素数3~20のシクロアルキレン基、炭素数6~24のアリーレン基、-O-、-OC(=O)-、-OC(=O)O-、-N(R5)-C(=O)-、-N(R5)-C(=O)O-、-S-、-SO-、-SO2-およびこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される二価の有機基であり、R1は独立して、炭素数1~20のアルキル基、炭素数3~20のシクロアルキル基、炭素数6~20のアリール基、炭素数1~20のアルコキシル基、シアノ基、ニトロ基、水酸基、複素環基、ハロゲン、カルボキシル基、炭素数1~20のアルキルシラン、これらの誘導体からなる群から選択される官能基、炭素数2~20の置換メチル基、炭素数3~20の1-置換エチル基、炭素数4~20の1-置換-n-プロピル基、炭素数3~20の1-分岐アルキル基、炭素数1~20のシリル基、炭素数2~20のアシル基、炭素数2~20の1-置換アルコキシアルキル基、炭素数2~20の環状エーテル基、炭素数2~20のアルコキシカルボニル基およびアルコキシカルボニルアルキル基からなる群から選択される酸解離性官能基、または水素原子であり、・・mは1~4の整数であ」る点 相違点1-2:本件発明1では、「R2はメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基又はヘキシル基であ」るのに対して、甲1発明1では、「R’は独立して、炭素数2~20のアルキル基、又は下記式 [化2] で表わされる炭素数6~24のアリール基又はこれらの誘導体であ」る点 (イ)検討 上記相違点1-1及び1-2につき併せて検討すると、甲1発明1の「環状化合物」において、フェノール骨格部分につき、「m」が2以上で、官能基の組合せである「(LR1)」のうち1個のみが水酸基で、その余がアルキル基又はアルコキシ基であるとともに、連結部の「R’」が、いずれも炭素数1ないし6のアルキル基である場合には、本件発明1の「化合物(A)」に相当するものといえるが、甲1の記載を更に検討しても、「(LR1)」が2個以上水酸基であり(レゾルシノール又はピロガロールに由来する)、「R’」が(置換)アリール基である((置換)ベンズアルデヒドに由来する)場合のみであり、上記本件発明1の「化合物(A)」の場合に係る具体的開示又は示唆がない。 そして、本件特許に係る明細書の実施例及び比較例の記載からみて、本件発明1の「化合物(A)を含有するフェノール性水酸基含有樹脂」であればフェノール骨格部分及び連結部の化学構造が異なる他のフェノール性水酸基含有樹脂に比して、レジストを構成した場合におけるアルカリ溶解速度及びエッチング耐性などの改善された効果を奏しているものと認められる。 してみると、上記相違点1-1及び1-2は、いずれも実質的な相違点であるものと認められ、本件発明1が甲1発明1と同一であるとはいえない。 また、本件発明1が、甲1発明1又は甲1発明1と他の甲号証に記載された事項との組合せに基づき、当業者が容易に発明をすることができたか否かにつき検討すると、甲1及び他の甲号証には、上記相違点1-1及び1-2に係る事項を具備すべき動機となる事項が存するとは認められないから、本件発明1が、甲1発明1又は甲1発明1と他の甲号証に記載された事項との組合せに基づき、当業者が本件発明1を容易に想到し得るものということはできない。 したがって、本件発明1が、甲1発明1又は甲1発明1と他の甲号証に記載された事項との組合せに基づいて、当業者が容易に発明することができたものとは認められない。 (ウ)小括 以上のとおりであるから、本件発明1は、甲1に記載された発明と同一であるとはいえず、また、甲1に記載された発明又は甲1に記載された発明と他の甲号証に記載された発明との組合せに基づいて、当業者が容易に発明することができたものとも認められない。 イ.甲2発明に基づく検討 (ア)対比・検討 本件発明1と上記甲2発明とを対比すると、下記の点で相違し、その余の点では一致するものと認められる。 相違点2:本件発明1では、「R2はメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基又はヘキシル基であ」るのに対して、甲2発明では、「水素原子」である点 しかるに、上記相違点2は、化学構造上の明らかな差異であり、実質的な相違点であることが明らかである。 また、甲2の記載及び他の甲号証の記載を検討しても、甲2発明の「化合物」について、メチレン連結基部分を他の1,1-アルキレン連結部(本件発明1のような連結部)とすべき動機となる事項が存するとは認められないから、本件発明1が、甲2発明又は甲2発明と他の甲号証に記載された事項との組合せに基づき、当業者が本件発明1を容易に想到し得るものということはできない。 してみると、本件発明1は、甲2発明と同一であるとはいえず、また、甲2発明又は甲2発明と他の甲号証に記載された事項との組合せに基づいて、当業者が容易に発明することができたものとは認められない。 (イ)小括 したがって、本件発明1は、甲2に記載された発明と同一であるとはいえず、また、甲2に記載された発明又は甲2に記載された発明と他の甲号証に記載された発明との組合せに基づいて、当業者が容易に発明することができたものとも認められない。 ウ.甲3発明に基づく検討 (ア)対比・検討 本件発明1と上記甲3発明とを対比すると、下記の点で相違し、その余の点では一致するものと認められる。 相違点3:本件発明1では、「R2はメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基又はヘキシル基であ」るのに対して、甲3発明では、「水素原子」である点 しかるに、上記相違点3は、化学構造上の明らかな差異であり、実質的な相違点であることが明らかである。 また、甲3の記載及び他の甲号証の記載を検討しても、甲3発明の「3-メチルカリックス[4]アレーン化合物」について、メチレン連結基部分を他の1,1-アルキレン連結部(本件発明1のような連結部)とすべき動機となる事項が存するとは認められないから、本件発明1が、甲3発明又は甲3発明と他の甲号証に記載された事項との組合せに基づき、当業者が本件発明1を容易に想到し得るものということはできない。 してみると、本件発明1は、甲3発明と同一であるとはいえず、また、甲3発明又は甲3発明と他の甲号証に記載された事項との組合せに基づいて、当業者が容易に発明することができたものとは認められない。 (イ)小括 したがって、本件発明1は、甲3に記載された発明と同一であるとはいえず、また、甲3に記載された発明又は甲3に記載された発明と他の甲号証に記載された発明との組合せに基づいて、当業者が容易に発明することができたものとも認められない。 エ.甲6発明に基づく検討 (ア)対比・検討 本件発明1と上記甲6発明とを対比すると、下記の点で相違し、その余の点では一致するものと認められる。 相違点4:本件発明1では、「R2はメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基又はヘキシル基であ」るのに対して、甲6発明では、「水素原子」である点 しかるに、上記相違点4は、化学構造上の明らかな差異であり、実質的な相違点であることが明らかである。 また、甲6の記載及び他の甲号証の記載を検討しても、甲6発明の「カリックスアレーン化合物」について、メチレン連結基部分を他の1,1-アルキレン連結部(本件発明1のような連結部)とすべき動機となる事項が存するとは認められないから、本件発明1が、甲6発明又は甲6発明と他の甲号証に記載された事項との組合せに基づき、当業者が本件発明1を容易に想到し得るものということはできない。 してみると、本件発明1は、甲6発明と同一であるとはいえず、また、甲6発明又は甲6発明と他の甲号証に記載された事項との組合せに基づいて、当業者が容易に発明することができたものとは認められない。 (イ)小括 したがって、本件発明1は、甲6に記載された発明と同一であるとはいえず、また、甲6に記載された発明又は甲6に記載された発明と他の甲号証に記載された発明との組合せに基づいて、当業者が容易に発明することができたものとも認められない。 オ.まとめ 以上のとおりであるから、本件発明1は、甲1、甲2、甲3又は甲6に記載された発明ではなく、本件発明1に対して申立人が主張する取消理由1は理由がない。 また、本件発明1は、甲1、甲2、甲3又は甲6に記載された各発明又は当該各発明とその他の甲号証に記載された発明との組合せにより、当業者が容易に発明をすることができたものではないから、本件発明1に対して申立人が主張する取消理由2についても理由がない。 (2)本件発明2、3及び5ないし10について 本件発明2、3及び5ないし10につき検討すると、上記(1)で説示した理由により、本件発明1につき上記取消理由1及び2がいずれも理由がないのであるから、同一の理由により、本件発明1を直接的又は間接的に引用してなる本件発明2、3及び5ないし10についても、上記取消理由1及び2につきいずれも理由がない。 (3)まとめ したがって、本件発明1ないし3及び5ないし10に係る特許につき、申立人が主張する取消理由1及び2により、取り消すべきものとすることはできない。 3.まとめ したがって、本件発明1ないし3及び5ないし10に係る特許につき、申立人が主張する取消理由1及び2により、取り消すべきものとすることはできない。 第7 むすび 以上のとおり、申立人が主張する取消理由1及び2及び当審が通知した取消理由によって、本件の請求項1ないし3及び5ないし10に係る発明についての特許につき、取り消すことはできない。 また、ほかに、本件の請求項1ないし3及び5ないし10に係る発明についての特許につき、取り消すべき理由を発見しない。 さらに、本件の請求項4に係る発明についての特許に対する本件異議申立は、不適法なものであり、却下すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。

審決本文(J-PlatPat)

J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。

J-PlatPat 審決検索を開く
2016-701147

番号・当事者・条文・審決分類・商標の称呼が一致(または近い)審決を機械的に集めた候補です。判断内容は各審決の本文でご確認ください。

同じ当事者の審決264件(DIC株式会社、佐藤 義光)
  • 2025-700666異議申立 / 2026-06-04 / 訂正認容宇宙船推進システム及び操作方法
    同じ当事者: 佐藤 義光
  • 2025-701131異議申立 / 2026-05-22 / 維持半導体製造装置用部材
    同じ当事者: 佐藤 義光
  • 2025-700797異議申立 / 2026-04-30 / 訂正認容硬化性樹脂、硬化性樹脂組成物、及び、硬化物
    同じ当事者: DIC株式会社
  • 2025-700371異議申立 / 2026-03-25 / 訂正認容乗員拘束装置
    同じ当事者: 佐藤 義光
  • 2023-701395異議申立 / 2026-02-26 / 請求成立(取消)再生プラスチックペレットの製造方法及び再生プラスチックペレット
    同じ当事者: DIC株式会社
同じ論点・分野の審決(審決分類)608件(113・C08G、121・C08G)
  • 2024-700591異議申立 / 2026-03-26 / 請求成立(取消)エポキシ樹脂組成物
    共通の審決分類: 113・C08G、121・C08G
  • 2025-700296異議申立 / 2026-03-24 / 請求成立(取消)ポリイソシアヌレート発泡体
    共通の審決分類: 113・C08G、121・C08G
  • 2025-700580異議申立 / 2026-03-17 / 訂正認容コポリエステルの製造方法
    共通の審決分類: 113・C08G、121・C08G
  • 2024-700994異議申立 / 2026-02-20 / 訂正認容半導体封止用エポキシ樹脂組成物及び半導体装置
    共通の審決分類: 113・C08G、121・C08G
  • 2025-700462異議申立 / 2026-01-27 / 訂正認容ポリウレタンフォーム用組成物及びポリウレタンフォーム
    共通の審決分類: 113・C08G、121・C08G

メモ・タグ(非公開)

あなただけに表示されます。審決本文の公開範囲は変わりません。

メモとタグは Pro の機能です。ログイン/Proでメモを保存