特許異議申立
2016-701032
ディスプレイ用ガラス基板およびその製造方法
- 審判番号
- 2016-701032
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2013-266268
- 登録番号
- 特許第5914453号(P5914453)
- 請求日
- 2016年11月04日
- 審決日
- 2017年05月30日
- 公報発行日
- 2017年08月25日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】AvanStrate株式会社
- 【権利者代理人】特許業務法人特許事務所サイクス
- 【異議申立人】籾井 孝文
- 審判長/審判官
- 審判長 新居田 知生
- 審判官 永田 史泰
- 審判官 中澤 登
- 分類
- P1651.113-YAA(C03C) / P1651.121-YAA(C03C)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第120条の5第2項、特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第4項、特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特許第5914453号発明「ディスプレイ用ガラス基板およびその製造方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
【結 論】
特許第5914453号の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~12〕について訂正することを認める。
特許第5914453号の請求項1~12に係る特許を維持する。
理由
【理 由】
1.手続の経緯
特許第5914453号の請求項1~12に係る特許についての出願は、2013年12月25日(優先権主張2012年12月28日、日本国 2012年12月28日、日本国 2012年12月28日、日本国)に特許出願され、平成28年4月8日にその特許権の設定登録がされたものであって、登録後の経緯は以下のとおりである。
平成28年11月 4日 :特許異議申立人 籾井 孝文による特許異議の申立て
平成29年 1月25日付け:取消理由の通知
同年 3月24日付け:訂正の請求、意見書の提出
なお、特許権者による訂正の請求及び意見書に対して、特許異議申立人に意見を求めたが、期間内に応答はなかった。
2.訂正の適否についての判断
(1)訂正の内容
平成29年3月24日付け訂正請求(以下、「本件訂正請求」という。)による、一群の請求項1~12に係る訂正の内容は以下ア、イのとおりである。
ア 訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1において、「モル%表示で、・・・R2O 0.01~0.8%」と記載されているのを、「モル%表示で、・・・R2O 0.1%超、0.8%以下」に訂正する。
イ 訂正事項2
特許請求の範囲の請求項2において、「モル%表示で、・・・R2O 0.01~0.8%」と記載されているのを、「モル%表示で、・・・R2O 0.1%超、0.8%以下」に訂正する。
(2)訂正の目的の適否、新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否、及び一群の請求項
ア 訂正の目的について
訂正事項1、2はそれぞれ、訂正前の請求項1、2の発明特定事項である、モル%表示でのR2Oの含有量を更に限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 新規事項の有無について
本件明細書【0100】には、R2Oの含有量について、「0~0.8mol%であり、・・・一層好ましくは0.1~0.4mol%」と記載されている。
そして、本件明細書【0131】~【0149】に記載された実施例には、R2Oを0.1mol%超としたガラス組成も開示されている。
してみれば、R2Oの含有量について、端点である0.1mol%を除き、「モル%表示で、・・・R2O 0.1%超、0.8%以下」としても、新たな技術的事項を導入するものではない。
したがって、訂正事項1、2は、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5項の規定に適合する。
ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否について
訂正事項1、2は、上記「ア」のとおり、モル%表示でのR2Oの含有量を更に限定することにより、特許請求の範囲を減縮しようとするものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
したがって、訂正事項1、2は、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第6項の規定に適合する。
エ 一群の請求項について
訂正事項1に係る訂正前の請求項1を訂正前の請求項3~12が引用しており、訂正事項2に係る訂正前の請求項2を訂正前の請求項3~12が引用していたから、訂正前の請求項1~12は、特許法120条の5第4項に規定する一群の請求項であり、本件訂正請求は、当該一群の請求項ごとに請求をしたものと認められる。
(3)訂正の適否についてのむすび
以上のとおり、本件訂正請求による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第4項、及び同条第9項において準用する同法第126条第5項、第6項の規定に適合するので、訂正後の請求項〔1~12〕について訂正を認める。
3.特許異議の申立てについて
(1)本件特許発明
上記のとおり訂正が認められるので、本件訂正請求により訂正された訂正請求項1~12に係る発明(以下「本件特許発明1~12」という。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1~12に記載されたとおりのものと認める。
(2)取消理由の概要
訂正前の請求項1~12に係る特許に対して、平成29年1月25日付けで特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。
理由1.請求項1~5、7~12に係る発明は、甲第1号証に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消すべきものである。
理由2.請求項1~5、7~12に係る発明は、甲第1号証に記載された発明及び甲第2~4号証に記載された技術事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消すべきものである。
甲第1号証:特表2009-525942号公報
甲第2号証:特表2011-522767号公報
甲第3号証:特開2006-213595号公報
甲第4号証:WO2009/054314の再公表公報
(3)当審の判断
訂正により、独立請求項である請求項1、2に係る発明である本件特許発明1、2は、いずれも、モル%表示で、R2Oを0.1%超、0.8%以下含有するガラスから形成されるものに限定された。
一方、甲第1号証に記載の発明は、その請求項1に記載のとおり、「アルカリを含まないガラス」に関するものであり、【0047】には、「本明細書で用いる『アルカリを含まないガラス』は、0.1モルパーセント以下の合計アルカリ濃度を有するガラスである。」と記載されている。
したがって、本件特許発明1、2、及びこれらのいずれかを引用する本件特許発明3~12は、甲第1号証に記載の発明ではない。
また、甲第2~4号証に記載された技術事項を考慮しても、上記「アルカリを含まないガラス」に関する甲1号証に記載の発明において、アルカリ濃度(R2O)を0.1モル%超とすることが、当業者が容易になし得ることであるとはいえない。
したがって、本件特許発明1、2、及びこれらのいずれかを引用する本件特許発明3~12は、甲第1号証に記載された発明及び甲第2~4号証に記載された技術事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
4.むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由によっては、本件請求項1~12に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件請求項1~12に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
J-PlatPat 審決検索を開く
2016-701032