特許拒絶査定不服審判
2016-012619
地理的位置情報に関連付けられている追加情報の特定
- 審判番号
- 2016-012619
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2015-531963外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2016年08月22日
- 審決日
- 2017年07月25日
- 公報発行日
- 2018年02月23日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】アリババ・グループ・ホールディング・リミテッド
- 【請求人代理人】特許業務法人明成国際特許事務所
- 分類
- P18 .121-Z (H04L) / P18 .575-Z (H04L)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第17条の2第3項、特許法第17条の2第6項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2015-531963「地理的位置情報に関連付けられている追加情報の特定」拒絶査定不服審判事件〔平成26年3月20日国際公開,WO2014/042962,平成28年1月14日国内公表,特表2016-500935〕について,次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は,成り立たない。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は,2013年9月5日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2012年9月13日 中国,2013年9月4日 米国)を国際出願日とする出願であって,平成28年1月21日付けで拒絶理由が通知され,同年4月14日付けで手続補正がされたが,同年5月20日付けで拒絶査定がされ,これに対し,同年8月22日に拒絶査定不服審判が請求され,同時に手続補正がされたものである。
第2 補正却下の決定
[結論]
平成28年8月22日付けの手続補正を却下する。
[理由]
1 本願発明と補正後の発明
平成28年8月22日付けの手続補正(以下,「本件補正」という。)は,平成28年4月14日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された
「メッセージングサーバであって,
1つまたは複数のプロセッサであって,
内容中に地理的位置情報を含むメッセージを第1のユーザの第1の装置から受信し,
前記メッセージから前記地理的位置情報を抽出し,前記メッセージから前記地理的位置情報を抽出することは,前記メッセージに関する形式に関連付けられている認識技術を用いて,前記メッセージの少なくとも一部において認識を実行することを含み,
前記地理的位置情報に関連付けられている追加情報を特定し,
前記メッセージおよび前記追加情報を第2のユーザの第2の装置に送信するように構成されている1つまたは複数のプロセッサと,
前記1つまたは複数のプロセッサに接続され,前記1つまたは複数のプロセッサに命令を供給するように構成されている1つまたは複数のメモリと,を備えるメッセージングサーバ。」(以下,「本願発明」という。)
を,
「メッセージングサーバであって,
1つまたは複数のプロセッサであって,
内容中に地理的位置情報を含むメッセージを第1のユーザの第1の装置から受信し,
前記メッセージから前記地理的位置情報を抽出し,前記メッセージから前記地理的位置情報を抽出することは,前記メッセージに関する形式に関連付けられている認識技術を用いて,前記メッセージの少なくとも一部において認識を実行すること,並びに前記メッセージを1以上の対応する地理的情報の形式に関連付けられている1以上のテンプレートと比較することによって前記地理的位置情報を認識すること,を含み,
前記地理的位置情報に関連付けられている追加情報を特定し,
前記メッセージおよび前記追加情報を第2のユーザの第2の装置に送信するように構成されている1つまたは複数のプロセッサと,
前記1つまたは複数のプロセッサに接続され,前記1つまたは複数のプロセッサに命令を供給するように構成されている1つまたは複数のメモリと,を備えるメッセージングサーバ。」(以下,「補正後の発明」という。)
に変更することを含むものである。([当審注]下線部は補正箇所を示す。)
2 補正の適否
(1)新規事項の有無,シフト補正の有無,補正の目的要件
請求項1についての上記補正は,本件補正前の「前記メッセージから前記地理的位置情報を抽出すること」について,「前記メッセージを1以上の対応する地理的情報の形式に関連付けられている1以上のテンプレートと比較することによって前記地理的位置情報を認識すること」を含むとの限定を付して特許請求の範囲を限縮するものである。
独立請求項である請求項8,11,17についての補正も,請求項1についての上記補正と同様である。
そして,これらの補正は,特許法第17条の2第3項,第4項に違反するところはない。
(2) 独立特許要件
請求項1についての上記補正は,特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから,本件補正後の請求項1に係る発明が,特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるのか否かについて,以下検討する。
ア 補正後の発明
補正後の発明は,上記「1 本願発明と補正後の発明」の項の「補正後の発明」のとおりのものと認める。
イ 引用例と引用発明
原査定の拒絶の理由に引用文献2として引用された本願出願前に公開された刊行物である特開2002-91983号公報(以下,「引用例」という。)には,図面とともに以下の事項が記載されている。
「【0032】
【発明の実施の形態】以下,本発明の好ましい実施の形態を,図面に基づき説明する。
【0033】図1は,本発明の第1の実施の形態にかかる地図情報付加システムの概略ブロック図であり,図2は,図1の地図情報付加装置の内部構成を示したブロック図である。
【0034】図1の地図情報付加システム1は,インターネットなどの情報通信ネットワーク3に接続した送信者端末5及び受信者端末7を備え,送信者端末5と受信者端末7との間に設けられる地図情報付加装置9も備える。
【0035】地図情報付加装置9は,送信者端末5から受信者端末7に送られるためにメールサーバにある電子メールを読みに行くリモートメールサーバであり,メールの内容を例えばコンパクトHTML形式にして受信者端末7の画面上に表示する処理を行う。さらに,この地図情報付加装置9は,メール本文テキストをそのまま表示するのではなく,郵便番号や住所などの住所情報を検索して自動的にリンクを付ける処理を行い,その結果を受信者端末7の画面上に例えばコンパクトHTML形式で表示する。従って,受信者は,受信した電子メールを地図情報へのアクセスが可能になった形で端末画面上で閲覧できる。
【0036】ここで,送信者端末5及び受信者端末7双方の一例としては,電子メールの送受信が可能で,近年急速に普及していて移動に適したモバイル,例えば携帯電話やPHSが挙げられる。
【0037】図2を参照して,地図情報付加装置9についてさらに説明する。この地図情報付加装置9は,地図データベース11と,検索部13と,リンク付与部15とを備える。地図データベース11には,数種類の縮尺に対応する地図データが蓄積されている。
【0038】検索部13は,抽出部17と,決定部19とを備え,送信者端末5から受信した電子メールのテキストの文字データから住所を特定する郵便番号を含む住所情報を検索する。特に,抽出部17は,電子メールのテキストの文字データから住所情報と予想される文字データを抽出し,決定部19は,抽出された文字データのうちから広い地域を表す文字データを特定し,次に狭い地域を表す文字データを特定して住所情報を決定し,住所情報の検索が終了する。
【0039】リンク付与部15は,地図データベース11に蓄積された地図データから検索された住所情報に対応する地図情報を取り出し,住所情報から地図情報へのアクセスを可能にしたリンクを付与する。
【0040】図3は,図2の地図情報付加装置の動作を説明するためのフローチャートであり,図4は,送信者端末から送信された電子メールのテキストを画面に示した図である。図5は,受信者端末で受信した電子メールのテキストから地図情報が得られる状態を説明するための図であり,特に,図5(a)は,受信者端末で受信した電子メールのテキストを画面に示した図であり,図5(b)は,縮尺選択画面を示した図であり,図5(c)は,地図情報が表示された地図表示画面を示した図である。
【0041】図3のステップST1において,電子メールのテキストから,住所情報と予想される文字データとして,都道府県の文字データ及び市区郡の文字データ及び町村の文字データ及び数字の文字データまでが切り出されて抽出される。すなわち,図4の電子メールのテキストでは,「東京都八王子市小宮町7-77」までが切り出されて抽出される。
【0042】ステップST2において,都道府県の文字データ及び市区郡の文字データと,それに続く文字データとが分けられ,まずは都道府県の文字データ及び市区郡の文字データという絞込みがかけられて広域的な特定が行なわれる。すなわち,図4の電子メールのテキストでは,「東京都八王子市」までが特定される。
【0043】ステップST3において,都道府県の文字データ及び市区郡の文字データに続く文字データのうちに丁目番地に相当する文字データがあれば,丁目番地に続く文字データが切り捨てられる。このような処理を行うのは,ステップST1において数字の文字データを切り出して抽出するようにしており,この数字の文字データには,丁目番地の他,マンション,アパート又はビルの棟数,階数あるいは号数などの他の数字の文字データも含まれ,住所情報として必要な丁目番地までを特定するためには,その他の数字の文字データを排除する必要があるからである。したがって,図4の電子メールのテキストでは,「小宮町7-77」までが特定される。
【0044】ステップST4において,丁目番地に相当する数字の文字データや数字の文字データ自体がなければ町村までの文字データが特定され,町村に続く文字データが切り捨てられる。これは,丁目番地以降を特定できないならば,町村の文字データの段階で特定を終了させるためである。図4の電子メールのテキストは,この場合には該当しない。
【0045】以上のようにして,丁目番地が特定できる場合は丁目番地まで,丁目番地が特定できない場合は町村までが特定される。
【0046】このように,まずは,広い地域を表す文字データを特定し,次に狭い地域を表す文字データを特定することで,抽出漏れを防ぎながら効率的な特定の絞込みを行うことができる。しかも,都道府県及び市区郡という広域的な絞込み,次に町村及び丁目番地という局所的な絞込みを行い,住居表示区分に沿った抽出と絞込みが行なわれる。したがって,最終的な住所情報の決定は,正確,すばやくかつスムーズに行なわれる。
【0047】ステップST5において,ステップST4までの処理で住所情報となる文字データの特定が行なわれたので,特定された文字データが住所情報として決定されて検索が終了する。ステップST6において,住所情報から地図情報へアクセスするためのリンクが付与される。このようなリンクによって電子メールは地図情報が付加された形で受信者端末7の画面上に表示される。
【0048】以下,図5を用いて,このリンクで受信者端末7にどのような画面が得られるかを説明する。
【0049】まず,図5(a)に示すように,図4と同じ内容のテキストが受信者端末7である携帯端末の画面30に表示されている。そして,地図情報にリンクしている住所,ここでは「東京都八王子市小宮町7-77」を選択して地図情報を得ようとすると,図5(b)に示すように,画面30には縮尺選択を行える状態が表示される。1/12500を標準として計7種類の縮尺選択が行えて,いずれかの縮尺を選択して地図表示を実行すると,図5(c)に示すように,地図データベース11内の地図データのうちで選択された縮尺に対応する地図情報が画面30に表示される。なお,テキストからの住所の検索で町村までしか特定できなかった場合には,縮尺選択画面の前に,丁目番地の選択が可能な画面が表示されるようにしてもよい。
【0050】また,画面30では,郵便番号である「〒123-4567」にも,住所とは別にリンクが付けられている。以下,処理について簡単に説明する。第1に「〒」又は「郵便番号」で始まり,第2に「:」「:」「半角スペース」又は「なにもないか」で,第3に3桁の数字(全角若しくは半角)又は3桁の数字及び「-」「-」及び4桁の数字という文字データを検索している。そして,一致する郵便番号の数字部分にリンクが付けられている。
【0051】具体的には,郵便番号125,郵便番号125-2563,郵便番号125-2563,郵便番号:180-9635,〒125,〒192-0364などがメール本文中にあると,この数字部分に自動的にリンクが付けられる。
【0052】このようなリンクである図5(a)の「123-4567」がクリックされると,郵便番号と住所が関連付けられたデータベースにより,図5(b)の画面が表示されるので,受信者は,受信者端末7の画面30上で,上記住所の場合と同様に,図5(c)のような地図情報を閲覧することができる。
【0053】以上のように,受信者は,受信した電子メールを地図情報へのアクセスが可能になった形で受信者端末7の画面30上で閲覧できるので,送信された電子メールのテキストを読んで住所を別途検索して地図情報を得ることなく,図5を用いて説明したように,リンク先にアクセスするだけで地図情報を得ることができる。
【0054】また,地図情報付加装置9が,送信者からの電子メールのテキストの文字データから住所を特定する住所情報を検索し,対応する地図情報へのアクセスが可能なリンクを付与するので,送信者も,電子メールに住所を検索して得た地図情報を明示する必要がない。
【0055】以上により,受信者及び送信者に負担がかからずに利便性が保たれたまま,受信者は容易に地図情報を得ることができる。そして,情報通信ネットワークを利用しているので,電子メール送信者及び受信者の利便性が向上し,多くの利用者による活用が期待できる。特に,端末として,近年急速に普及していて移動に適したモバイルの携帯電話又はPHSが用いられる場合には,利便性の向上が顕著になるので,より多くの利用者による活用が期待できる。
【0056】なお,住所情報は,住所のみでもよく,郵便番号のみでもよく,両者でもよい。そして,両者の場合において,上記のように別々のリンク付けを行ってもよいし,一括したリンク付けを行ってもよい。一括して行う場合は,詳細を特定できた住所情報での対応する地図情報へのアクセスを行えるようにすればよい。
【0057】図6,図7及び図8は,図3のフローチャートを詳細に示したフローチャートである。以下,住所の場合の処理の詳細を説明する。
【0058】ステップS1において,電子メールのテキストから住所情報と思われる部分の切り出しが行なわれる。ここで切り出される文字データの長さが最長マッチであり,都道府県+1~6文字+市区郡+なんらかの文字+町村もしくは数字の文字データの切り出しが行なわれる。具体的には,電子メールのテキストに「東京都八王子市小宮町7丁目77番地」が記載されていたとすると,「東京都八王子市小宮町7丁目77」という文字データが切り出される。」(5頁7欄~6頁10欄)
上記引用例の記載及び図面並びにこの分野における技術常識を考慮すると,引用例には,特に図2に記載された「地図情報付加装置9」について,下記事項が記載されているといえる。
a 【0035】より,「地図情報付加装置9」は,「送信者端末5から受信者端末7に送られるためにメールサーバにある電子メールを読みに行くリモートメールサーバ」である。そして,前記「電子メール」は,郵便番号や住所などの住所情報をメール本文テキストに含むといえる。
b 上記aと【0038】,図2より,「地図情報付加装置9」の「検索部13」は,送信者端末5から受信した電子メールのテキストの文字データから,前記郵便番号や住所などの住所情報を検索して抽出するものである。
そして,【0050】より,「郵便番号」については,第1に「〒」又は「郵便番号」で始まり,第2に「:」「:」「半角スペース」又は「なにもないか」で,第3に3桁の数字(全角若しくは半角)又は3桁の数字及び「-」「-」及び4桁の数字という文字データを検索して抽出している。
また,【0058】より,「住所」については,都道府県+1~6文字+市区郡+なんらかの文字+町村もしくは数字の文字データの切り出しと抽出が行なわれる。
そうすると,「検索部13」では,テキストに関連付けられた検索技術を用いて電子メールのテキストから郵便番号や住所などの住所情報の抽出を行うものといえる。
c 【0039】,【0051】より,「地図情報付加装置9」の「リンク付与部15」は,地図データベース11に蓄積された地図データから検索された住所情報に対する地図情報を取り出し,住所情報から地図情報へのアクセスを可能にしたリンクを付与するものであり,該「リンク」は,「住所情報に関連付けられている」ものといえ,「リンク付与部15」が「特定」したものといえる。
さらに,図2,【0040】より,「リンク付与部15」は,リンクを付与した電子メールを受信者端末7に送信しているといえる。
上記aないしcを総合すると,引用例には,次の発明(以下,「引用発明」という。)が記載されていると認める。
「地図情報付加装置であって,
検索部とリンク付与部を備え,
前記検索部は,
テキストに郵便番号や住所などの住所情報を含む電子メールを送信者端末から受信し,
前記電子メールから前記郵便番号や住所などの住所情報を抽出し,前記電子メールから前記郵便番号や住所などの住所情報を抽出することは,前記電子メールのテキストから郵便番号や住所などの住所情報と思われる部分を切り出して抽出することであり,
前記「郵便番号」の抽出は,第1に「〒」又は「郵便番号」で始まり,第2に「:」「:」「半角スペース」又は「なにもないか」で,第3に3桁の数字(全角若しくは半角)又は3桁の数字及び「-」「-」及び4桁の数字という文字データを抽出し,
前記「住所」の抽出は,都道府県+1~6文字+市区郡+なんらかの文字+町村もしくは数字の文字データを切り出して抽出し,
前記リンク付与部は,
前記住所情報に関連付けられているリンクを特定し,
前記リンクを付与した電子メールを受信者端末に送信する,
地図情報付加装置。」
ウ 対比・判断
補正後の発明と引用発明とを対比する。
a 引用発明の「地図情報付加装置」は,【0035】,図2より電子メールを送受信する「メールサーバ」といえる。他方,補正後の発明の「メッセージ」に関し「メッセージの例として,テキストメッセージ,音声メッセージ,および/または電子メールメッセージが含まれる。」(明細書【0017】)と記載されているから,「メッセージングサーバ」には,電子メールを送受信するサーバが含まれると解するのが自然である。してみると,引用発明の「地図情報付加装置」は,補正後の発明の「メッセージングサーバ」に含まれる。
b 上記aより,引用発明の「電子メール」は補正後の発明の「メッセージ」に含まれ,さらに,引用発明の「郵便番号や住所などの住所情報」,「第1のユーザの第1の装置」は,それぞれ補正後の発明の「地理的位置情報」,「送信者端末」に含まれる。また,補正後の発明の「内容中に地理的位置情報を含むメッセージ」に関し,「地理的位置情報は,メッセージ形式(例
えば,メッセージ形式は,テキストベースまたは音声ベースのものであり得る)」(明細書【0017】)と記載されているから,テキストベースのメッセージを含むことは明らかである。してみると,引用発明の「テキストに郵便番号や住所などの住所情報を含む電子メールを送信者端末から受信し」は,補正後の発明の「内容中に地理的位置情報を含むメッセージを第1のユーザの第1の装置から受信し」に含まれる。
c 上記bより,引用発明の「前記電子メールから前記郵便番号や住所などの住所情報を抽出し」は,補正後の発明の「前記メッセージから前記地理的位置情報を抽出し」に含まれる。
d 引用発明の
「前記電子メールのテキストから郵便番号や住所などの住所情報と思われる部分を切り出して抽出することであり,
前記「郵便番号」の抽出は,第1に「〒」又は「郵便番号」で始まり,第2に「:」「:」「半角スペース」又は「なにもないか」で,第3に3桁の数字(全角若しくは半角)又は3桁の数字及び「-」「-」及び4桁の数字という文字データを抽出し,
前記「住所」の抽出は,都道府県+1~6文字+市区郡+なんらかの文字+町村もしくは数字の文字データを切り出して抽出し,」
の一連の処理は,テキストによる認識技術を用いていることは明らかである。そして,補正後の発明の「前記メッセージに関する形式に関連付けられている認識技術」に関し,「メッセージ形式に関連付けられている認識技術を用いて特定することができる。例えば,メッセージがテキストベースのものである場合には,テキストによる認識技術を用いることができ,」(明細書【0026】)と記載されているから,上記bも踏まえると,引用発明は,「前記メッセージに関する形式に関連付けられている認識技術を用いて」といえる。
e 引用発明の「前記電子メールのテキストから郵便番号や住所などの住所情報と思われる部分を切り出して抽出することであり」は,補正後の発明の「前記メッセージの少なくとも一部において認識を実行すること」に含まれる。
f 補正後の発明の 「テンプレート」に関し,「メッセージの「Memorial Park」との照合に,公共公園名のテンプレート「<Name>park」を用いることができる。」(明細書【0026】)と記載されているから,任意の単語(例えば,「Memorial」)と特定の単語(例えば,「Park」)との特定の配置関係のことを「テンプレート」と称しているといえ,該テンプレートとの比較により「地理的位置情報」(例えば,「Memorial Park」)を抽出するものといえる。
一方,引用発明において,「第1に「〒」又は「郵便番号」で始まり,第2に「:」「:」「半角スペース」又は「なにもないか」で,第3に3桁の数字(全角若しくは半角)又は3桁の数字及び「-」「-」及び4桁の数字」という条件との比較により該条件に適合するものを「郵便番号」として抽出するものであり,「都道府県+1~6文字+市区郡+なんらかの文字+町村もしくは数字」という条件との比較により該条件に適合するものを「住所」として抽出するものであり,それぞれの条件は,特定の文字や記号と,任意の文字,数字との特定の配置関係といえる点で,補正後の発明の「テンプレート」といい得るものである。
そうすると,引用発明の「前記「郵便番号」の抽出には,第1に「〒」又は「郵便番号」で始まり,第2に「:」「:」「半角スペース」又は「なにもないか」で,第3に3桁の数字(全角若しくは半角)又は3桁の数字及び「-」「-」及び4桁の数字という文字データを抽出し,前記「住所」の抽出には,都道府県+1~6文字+市区郡+なんらかの文字+町村もしくは数字の文字データの切り出して抽出し」は,補正後の発明の「前記メッセージを1以上の対応する地理的情報の形式に関連付けられている1以上のテンプレートと比較することによって前記地理的位置情報を認識すること」に含まれる。
g 本願明細書【0020】より,「地理的位置情報に関連付けられている情報へのリンク」は,補正後の発明の「追加情報」といえるから,引用発明の「前記住所情報に関連付けられているリンクを特定し」は,補正後の発明の「前記地理的位置情報に関連付けられている追加情報を特定し」に含まれる。
h 引用発明の「受信者端末」は補正後の発明の「第2のユーザの第2の装置」に相当するから,引用発明の「前記リンクを付与した電子メールを受信者端末に送信する」は,補正後の発明の「前記メッセージおよび前記追加情報を第2のユーザの第2の装置に送信する」に含まれる。
i 引用発明の「検索部」及び「リンク付与部」と補正後の発明の「1つまたは複数のプロセッサ」とは,「制御手段」である点で共通する。
以上の事項を総合すると,補正後の発明と引用発明は,以下の一致点及び相違点を有する。
(一致点)
「メッセージングサーバであって,
制御手段であって,
内容中に地理的位置情報を含むメッセージを第1のユーザの第1の装置から受信し,
前記メッセージから前記地理的位置情報を抽出し,前記メッセージから前記地理的位置情報を抽出することは,前記メッセージに関する形式に関連付けられている認識技術を用いて,前記メッセージの少なくとも一部において認識を実行すること,並びに前記メッセージを1以上の対応する地理的情報の形式に関連付けられている1以上のテンプレートと比較することによって前記地理的位置情報を認識すること,を含み,
前記地理的位置情報に関連付けられている追加情報を特定し,
前記メッセージおよび前記追加情報を第2のユーザの第2の装置に送信するように構成されている制御手段
を備えるメッセージングサーバ。」
(相違点)
一致点の「制御手段」について,補正後の発明では,「1つまたは複数のプロセッサ」であって,さらに,「前記1つまたは複数のプロセッサに接続され,前記1つまたは複数のプロセッサに接続され,前記1つまたは複数のプロセッサに命令を供給するように構成されている1つまたは複数のメモリ」を備えるのに対し,引用発明では,そのような構成が明示されていない点。
以下,相違点について検討する。
サーバの各種機能を実現するために,1つまたは複数のプロセッサを用い,当該プロセッサが所望の機能を実現するために,該プロセッサに命令を供給するメモリを備えることは,例示するまでもなく周知であるから,引用発明において,「検索部とリンク付与部」に1つまたは複数のプロセッサを用い,当該プロセッサの機能を実現するための命令を供給する1つまたは複数のメモリを備える構成とすることは,当業者が適宜になし得たことである。
また,補正後の発明が奏する作用効果は,引用発明から当業者が予測し得る範囲のものである。
なお,審判請求人は,審判請求の理由において,引用例には,
(1)「メッセージの形式に応じた認識技術を用いて位置情報を取得するという技術的思想」
(2)「メッセージを,1以上の対応する地理的情報の形式に関連付けられている1以上のテンプレートと比較することによって地理的位置情報を認識するという技術的思想」
について,開示はもちろん示唆すらされていない旨主張しているが,それぞれ「ウ 対比・判断」の項のd,fに記載したとおりなので採用できない。なお,仮に(1)の主張が発明の詳細な説明に開示されている異なるメッセージの形式に対応して複数の異なる認識技術を用いることを前提としているとしても,補正後の発明には,そのような事項は特定されていないから,採用できない。
エ 小括
したがって,補正後の発明は,引用発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により独立して特許を受けることができない。
(4)結語
以上のとおり,本件補正は,特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので,同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
第3 本願発明について
1 本願発明
平成28年8月22日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので,本願発明は,上記「第2 補正却下の決定」の項中の「1 本願発明と補正後の発明」の項の「本願発明」のとおりのものと認める。
2 引用発明
引用発明は,上記「第2 補正却下の決定」の項中の「2 補正の適否」の項中の「(2)独立特許要件」の項中の「イ 引用発明」の項で認定したとおりである。
3 対比・判断
そこで,本願発明と引用発明とを対比するに,本願発明は補正後の発明から本件補正に係る限定を省いたものである。
そうすると,本願発明の構成に当該補正に係る限定を付加した補正後の発明が,上記「第2 補正却下の決定」の項中の「2 補正の適否」の項中の「(2)独立特許要件」の項中の「ウ 対比・判断」の項で検討したとおり,引用発明に基づいて当業者が容易に発明できたものであるから,本願発明も同様の理由により,容易に発明できたものである。
4 むすび
以上のとおり,本願発明は,引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により,特許を受けることができない。
本願は,その余の請求項に論及するまでもなく拒絶すべきものである。
よって,結論のとおり審決する。
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2016-012619