特許拒絶査定不服審判
2025-003893
アプリケーション移転方法および装置
- 審判番号
- 2025-003893
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2023-509819
- 請求日
- 2025年03月11日
- 審決日
- 2025年12月15日
- 公報発行日
- 2026年06月26日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】華為技術有限公司
- 【請求人代理人】実広 信哉
- 【請求人代理人】野村 進
- 審判長/審判官
- 審判長 土居 仁士
- 審判官 寺谷 大亮
- 審判官 衣鳩 文彦
- 分類
- P18 .113-Z (H04L) / P18 .121-Z (H04L) / P18 .575-Z (H04L)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第17条の2第6項、特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第1項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2023-509819「アプリケーション移転方法および装置」拒絶査定不服審判事件〔令和 4年 2月17日国際公開、WO2022/032728、令和 5年 8月30日国内公表、特表2023-537135〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、2020年(令和2年)8月26日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2020年8月12日 (CN)中華人民共和国)を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和5年 3月23日 :手続補正書
令和6年 3月15日付け:拒絶理由通知書
同年 6月25日 :意見書、手続補正書
同年11月 6日付け:拒絶査定
令和7年 3月11日 :審判請求書、手続補正書
同年 4月21日 :前置報告書
同年 4月23日 :上申書
同年 7月24日 :上申書
以下では、令和6年11月6日付け拒絶査定を「原査定」といい、令和7年3月11日の手続補正書による補正を「本件補正」という。
第2 補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
本件補正を却下する。
[理由]
1 本件補正の内容
(1)本件補正後の請求項1
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された(下線部は、補正箇所である。)。
「【請求項1】
アプリケーション移転方法であって、
ソースアプリケーションサーバ(AS)により、ソースイネーブラサーバ(ES)へサブスクリプション要求を送信するステップであって、前記サブスクリプション要求がアプリケーション識別情報を含み、前記サブスクリプション要求が、ユーザ機器(UE)によってアクセス可能なデータネットワーク(DN)にターゲットASが存在すると前記ソースESが前記アプリケーション識別情報に基づいて決定したときに前記ソースASに通知することを指示し、前記ターゲットASと前記ソースASが、同じアプリケーションにサーブする、ステップと、
前記ソースASにより、前記ソースESから第7の通知メッセージを受信するステップであって、前記第7の通知メッセージが前記ターゲットASの接続情報を含む、ステップと、
前記ソースASにより、前記ソースASから前記ターゲットASに前記UEのコンテキストを移転させることを決定するステップと
を含む、方法。」
(2)本件補正前の請求項1
本件補正前の、令和6年6月25日の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおりである。
「【請求項1】
アプリケーション移転方法であって、
ソースアプリケーションサーバ(AS)により、ソースイネーブラサーバ(ES)へサブスクリプション要求を送信するステップであって、前記サブスクリプション要求が、ユーザ機器(UE)によってアクセス可能なデータネットワーク(DN)にターゲットASが存在すると前記ソースESが決定したときに前記ソースASに通知することを指示する、ステップと、
前記ソースASにより、前記ソースESから第7の通知メッセージを受信するステップであって、前記第7の通知メッセージが前記ターゲットASの接続情報を含む、ステップと、
前記ソースASにより、前記ソースASから前記ターゲットASに前記UEのコンテキストを移転させることを決定するステップと
を含む、方法。」
2 補正の適否
本件補正による請求項1についての補正は、本件補正前の請求項1の発明を特定するために必要な事項である「サブスクリプション要求」について、「前記サブスクリプション要求がアプリケーション識別情報を含み」と特定し、さらに、該「サブスクリプション要求」が「指示」する「ユーザ機器(UE)によってアクセス可能なデータネットワーク(DN)にターゲットASが存在すると前記ソースESが決定したときに前記ソースASに通知する」ことにおける該「決定」が、「前記アプリケーション識別情報に基づいて」なされるものであって、かつ「前記ターゲットASと前記ソースASが、同じアプリケーションにサーブする」ものであることを特定することで、上記「サブスクリプション要求」を限定するものである。そして、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮に該当する。
そこで、本件補正後の請求項1に記載される発明(以下「本件補正発明」という。)が特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。
(1)本件補正発明
本件補正発明は、前記1(1)に記載された事項により特定されるとおりのものであると認める。
(2)引用文献
ア 引用文献1の記載事項、引用発明
(ア)引用文献1の記載事項
原査定の拒絶の理由で引用された、本願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献である、Huawei, Hisilicon, Basic application context relocation procedure[online],3GPP TSG SA WG6 #036-BIS-e S6-200600, Internet<URL:https://www.3gpp.org/ftp/tsg_sa/WG6_MissionCritical/TSGS6_036-BIS-e/docs/S6-200600.zip>(令和2年4月7日掲載。以下「引用文献1」という。)には、次の記載がある。なお、訳は当審による。また、下線は当審で付したものである(以下、同じ。)。
a 「8.x.2.aa Basic application context relocation procedure
In this procedure, the application context relocation is performed from a source EAS to a target EAS. Further, the on-going application traffic related to an Application Client at the UE is routed or switched from a source EAS to a target EAS. The Application Client behaviour at the UE is unaffected by this procedure.」
(訳:
8.x.2.aa 基本的なアプリケーションコンテキスト移転の手順
この手順では、アプリケーションコンテキスト移転が、ソースEASからターゲットEASへ実行される。さらに、UEのアプリケーションクライアントに関連する進行中のアプリケーショントラフィックは、ソースEASからターゲットEASへルーティング又は切り替えられる。UEのアプリケーションクライアントの動作は、この手順の影響を受けない。)
b 「The high level signalling flows for application context relocation is illustrated in the figure 8.x.2.aa-1.
Pre-conditions:
1. The Application Client at the UE already has on-going application traffic with the source Edge Application Server.
2. The source Edge Application Server has subscribed to the source Edge Enabler Server for application context relocation event notifications.」
(訳:
アプリケーションコンテキスト移転の高レベルシグナリングのフローを、図8.x.2.aa-1に示す。
前提条件:
1.UEのアプリケーションクライアントは、ソースエッジアプリケーションサーバとのアプリケーショントラフィックがすでに進行中である。
2.ソースエッジアプリケーションサーバは、アプリケーションコンテキスト移転イベント通知(notification)のためにソースエッジイネーブラサーバを購読(subscribe)している。)
c 「
[図:0001435930000001.jpg]
Figure 8.x.2.aa-1: Basic Application context relocation procedure」
(訳:
(図の上から)
ソースエッジアプリケーションサーバ ソースエッジイネーブラサーバ エッジ構成サーバ ターゲットエッジイネーブラサーバ ターゲットエッジアプリケーションサーバ
1.トリガが検出され、アプリケーションコンテキスト移転が要求される
2.ターゲットエッジイネーブラサーバを取得する
3.アプリケーションコンテキスト移転要求
4.ターゲットEASを決定する
5.アプリケーションコンテキスト移転要求
6.アプリケーションコンテキスト移転応答
7.アプリケーションコンテキスト移転応答
8.アプリケーションコンテキスト移転通知
9.アプリケーションコンテキストをターゲットエッジアプリケーションサーバに転送する
10.アプリケーションコンテキスト移転が完了する
11.トラフィックルーティングに影響を与えるAF要求をトリガする
図8.x.2.aa-1:基本的なアプリケーションコンテキストの移転手順)
d 「1. The source Edge Enabler Server determines the application context relocation related to a UE application traffic based on triggers/events (e.g. Application context relocation request from source Edge Application Server, UE is moving to another EDN, source EAS overload) at the source Edge Enabler Server.
2. The source Edge Enabler Server communicates with Edge Configuration Server, which provides application context relocation assistance based on the request from the source Edge Enabler Server and the information about other Edge Enabler Server(s), to retrieve information of the target Edge Enabler Server which has the registered Edge Application Server that can serve the Application Client at the UE. This procedure is specified in clause 8.x.2.bb.
3. The source Edge Enabler Server sends the application context relocation request (source Edge Application Server information, UE information, CN information) to the target Edge Enabler Server retrieved in step 2. The source Edge Application Server information includes the EAS ID and the IP address of the source Edge Application Server. The CN information (such as the subscription to NEF, PCF) may be included to assist the target Edge Enabler Server to interact with the 5GC.
Editor's note: The specification of reference point between Edge Enabler Server(s) is FFS.
4. The target Edge Enabler Server determines the target Edge Application Server as per the EAS ID received in step 3.
5. The target Edge Enabler Server sends the application context relocation request (source Edge Application Server information, UE information) to the target Edge Application Server for application context relocation.
6. When the target Edge Application Server accepts the request and is well prepared for the application context relocation, the target Edge Application Server sends the application context relocation response to the target Edge Enabler Server. The IP address of target Edge Application Server is included. Also other information such as the IP address and port number and protocol used for receiving the application context are also included, if required.
NOTE 1: If target Edge Enabler Server has enough information about the target EAS regarding application context transfer, then steps 5 and 6 can be skipped.
7. The target Edge Enabler Server sends the application context relocation response to the source Edge Enabler Server.
8. The source Edge Enabler Server sends the application context relocation notification with the IP address of the target Edge Application Server to the source Edge Application Server.
9. When the source Edge Application Server determines the point that the application context can be transferred, the source Edge Application Server delivers the application context to the target Edge Application Server via the source EES and target EES.
NOTE 2: This step can use methods to transfer the application context directly from the source Edge Application Server to the target Edge Application Server. Such methods are implementation specific and out of scope of this specification.
10. When the application context transfer is completed, the application context transfer complete message is sent from target Edge Application Server to the source Edge Application Server via the target EES and the source EES.
Editor's note: The purpose and need for step 10 is FFS.
11. The source Edge Enabler Server (acting as AF) triggers the AF traffic influence procedure as described in 3GPP TS 23.502 [3]. The application traffic from the UE is now routed to the target EAS.
NOTE 3: Step 11 is applicable for 5GC.
Editor's note: How to optimally use the AF traffic influence procedure is FFS.」
(訳:
1.ソースエッジイネーブラサーバは、該ソースエッジイネーブラサーバでのトリガ/イベント(例:ソースエッジアプリケーションサーバからのアプリケーションコンテキスト移転要求、UEが別のEDNに移動中である、ソースEASの過負荷)に基づいて、UEのアプリケーショントラフィックに関連するアプリケーションコンテキスト移転を決定する。
2.ソースエッジイネーブラサーバは、ソースエッジイネーブラサーバからの要求に基づくアプリケーションコンテキスト移転の支援及び他の(複数の)エッジイネーブラサーバの情報を提供するエッジ構成サーバと通信して、UEのアプリケーションクライアントにサービスを提供可能なエッジアプリケーションサーバを登録しているターゲットエッジイネーブラサーバの情報を取得する。この手順は、8.x.2.bb項に記載されている。
3.ソースエッジイネーブラサーバは、ステップ2で取得したターゲットエッジイネーブラサーバに、アプリケーションコンテキスト移転要求(ソースエッジアプリケーションサーバ情報、UE情報、CN情報)を送信する。ソースエッジアプリケーションサーバ情報は、ソースエッジアプリケーションサーバのEAS ID及びIPアドレスを含む。CN情報(NEF、PCFへの加入など)は、ターゲットエッジイネーブラサーバが5GCと対話するのを支援するために含まれる場合がある。
編集者注:(複数の)エッジイネーブラサーバ間の参照ポイントの仕様は、さらに検討する。
4.ターゲットエッジイネーブラサーバは、ステップ3で受信したEAS IDに基づいてターゲットエッジアプリケーションサーバを決定する。
5.ターゲッエッジイネーブラサーバは、ターゲットエッジアプリケーションサーバに、アプリケーションコンテキスト移転のためのアプリケーションコンテキスト移転要求(ソースエッジアプリケーションサーバ情報、UE情報)を送信する。
6.ターゲットエッジサプリケーションサーバが要求を受諾し、アプリケーションコンテキスト移転の準備が十分にできたとき、ターゲットエッジアプリケーションサーバは、ターゲットエッジイネーブラサーバにアプリケーションコンテキスト移転応答を送信する。ターゲットエッジアプリケーションサーバのIPアドレスが含まれる。また、必要に応じて、アプリケーションコンテキストを受信するために使用されるIPアドレス、ポート番号及びプロトコル等の他の情報も含まれる。
注1:ターゲットイネーブラサーバが、アプリケーションコンテキスト転送に関するターゲットEASの十分な情報を有する場合には、ステップ5及び6はスキップできる。
7.ターゲットエッジイネーブラサーバは、ソースエッジイネーブラサーバにアプリケーションコンテキスト移転応答を送信する。
8.ソースエッジイネーブラサーバは、ソースエッジアプリケーションサーバに、ターゲットエッジアプリケーションサーバのIPアドレスとともにアプリケーションコンテキスト移転通知を送信する。
9.ソースエッジアプリケーションサーバは、アプリケーションコンテキストを転送可能なポイントを決定すると、ソースエッジアプリケーションサーバは、ソースEES及びターゲットEESを介して、ターゲットエッジアプリケーションサーバにアプリケーションコンテキストを配信する。
注2:このステップは、ソースエッジアプリケーションサーバからターゲットエッジアプリケーションサーバに直接、アプリケーションコンテキストを転送する方法を使用できる。
10.アプリケーションコンテキスト移転が完了すると、アプリケーションコンテキスト転送完了メッセージが、ターゲットEES及びソースEESを介して、ターゲットエッジアプリケーションサーバからソースエッジアプリケーションサーバに送信される。
編集者中:ステップ10の目的及び必要性は、さらに検討する。
11.(AFとして動作している)ソースエッジイネーブラサーバは、3GPP TS 23.502 [3]に記載されたAFトラフィック影響手順をトリガする。UEからのアプリケーショントラフィックは、ターゲットエッジアプリケーションサーバにルーティングされるようになる。
注3:ステップ11は、5GCに適用される。
編集者注:AFトラフィック影響手順を最適に使用する方法は、さらに検討する。)
e 「8.x.2.bb Retrieve Target Edge Enabler Server procedure
Figure 8.x.2.bb-1 illustrates the procedure for the source Edge Enabler Server to retrieve the target Edge Enabler Server information from the Edge Configuration Server.
Pre-condition:
1. The source Edge Enabler Server has been pre-configured with the address of the Edge Configuration Server.
2. 1. The Application Client at the UE already has on-going application traffic with the source Edge Application Server.」
(訳:8.x.2.bb ターゲットエッジイネーブラサーバ取得の手順
ソースエッジイネーブラサーバがターゲットエッジイネーブラサーバ情報をエッジ構成サーバから取得する手順を、図8.x.2.bb-1に示す。
前提条件:
1.ソースエッジイネーブラサーバは、エッジ構成サーバのアドレスが事前に設定されている。
2.1.UEのアプリケーションクライアントは、ソースエッジアプリケーションサーバとのアプリケーショントラフィックがすでに進行中である。)
f 「
[図:0001435930000002.jpg]
Figure 8.x.2.bb-1: Retrieve target Edge Enabler Server procedure」
(訳:
(図の上から)
ソースエッジイネーブラサーバ エッジ構成サーバ
1.エッジイネーブラサーバ取得要求
1.ターゲットエッジイネーブラサーバを決定する
3.エッジイネーブラサーバ取得応答
図8.x.2.bb-1:ターゲットエッジイネーブラサーバ取得手順)
g 「1. The source Edge Enabler Server sends the Retrieve Edge Enabler Server request (UE location information or UE identity, EAS ID of the source Edge Application Server) to the Edge Configuration Server in order identify the target Edge Enabler Server which has the same Edge Application Server registered and available to serve the given Application Client in the UE.
2. The Edge Configuration Server identifies the target Edge Enabler Server meeting the parameters in the request. If the request contained the UE identity but the UE location is not known to the Edge Configuration Server, then the Edge Configuration Server interacts with 3GPP core network to retrieve the UE location.
3. The Edge Configuration Server sends the Retrieve Edge Enabler Server response (EAS ID of the source Edge Application Server, target Edge Enabler Server information) to the source Edge Enabler Server. The target Edge Enabler Server information includes the endpoint of the target Edge Enabler Server, e.g. IP address.」
(訳:
1.ソースエッジイネーブラサーバは、同じエッジアプリケーションサーバが登録され、そのエッジアプリケーションサーバがUEの所定のアプリケーションクライアントにサービスを提供可能であるターゲットエッジイネーブラサーバを識別するために、エッジイネーブラサーバ取得要求(UE位置情報又はUE識別情報、ソースエッジアプリケーションサーバのEAS ID)をエッジ構成サーバに送信する。
2.エッジ構成サーバは、要求内のパラメータを満たすターゲットイネーブラサーバを識別する。要求にはUE識別情報が含まれるが、UEの位置がエッジ構成サーバに知られていない場合、エッジ構成サーバは3GPPコアネットワークと対話してUEの位置を取得する。
3.エッジ構成サーバは、エッジイネーブラサーバ取得応答(ソースエッジアプリケーションサーバのEAS ID、ターゲットエッジイネーブラサーバ情報)をソースエッジイネーブラサーバに送信する。ターゲットエッジイネーブラサーバ情報は、ターゲットエッジイネーブラサーバのエンドポイント、例えば、IPアドレスを含む。)
(イ)引用発明
a 前記(ア)dのステップ6において、「ターゲットエッジアプリケーションサーバ」が「ターゲットエッジイネーブラサーバ」に送信する「アプリケーションコンテキスト移転応答」には「ターゲットエッジアプリケーションサーバのIPアドレスが含まれる」ことから、その直後のステップ7において、該「ターゲットエッジイネーブラサーバ」が「ソースエッジイネーブラサーバ」に送信する「アプリケーションコンテキスト移転応答」も、同様に「ターゲットエッジアプリケーションサーバのIPアドレスが含まれる」と解される。
b よって、前記(ア)の下線部に着目すると、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。なお、後の便宜のために、引用発明をa~jに分説し、「構成a」等として参照する。
「a アプリケーションコンテキスト移転の手順であって、(前記(ア)a)
b 前提条件として、UEのアプリケーションクライアントは、ソースエッジアプリケーションサーバとのアプリケーショントラフィックがすでに進行中であり、ソースエッジアプリケーションサーバは、アプリケーションコンテキスト移転イベント通知(notification)のためにソースエッジイネーブラサーバを購読(subscribe)しており、(前記(ア)b)
c ソースエッジイネーブラサーバは、該ソースエッジイネーブラサーバでのトリガ/イベント(例:ソースエッジアプリケーションサーバからのアプリケーションコンテキスト移転要求、UEが別のEDNに移動中である)に基づいて、UEのアプリケーショントラフィックに関連するアプリケーションコンテキスト移転を決定し、(前記(ア)dのステップ1)
d1 ソースエッジイネーブラサーバは、同じエッジアプリケーションサーバが登録され、そのエッジアプリケーションサーバがUEの所定のアプリケーションクライアントにサービスを提供可能であるターゲットエッジイネーブラサーバを識別するために、エッジイネーブラサーバ取得要求(UE位置情報又はUE識別情報、ソースエッジアプリケーションサーバのEAS ID)をエッジ構成サーバに送信し、(前記(ア)dのステップ2、前記(ア)gのステップ1)
d2 エッジ構成サーバは、要求内のパラメータを満たすターゲットイネーブラサーバを識別し、(前記(ア)dのステップ2、前記(ア)gのステップ2)
d3 エッジ構成サーバは、エッジイネーブラサーバ取得応答(ソースエッジアプリケーションサーバのEAS ID、ターゲットエッジイネーブラサーバ情報)をソースエッジイネーブラサーバに送信し、(前記(ア)dのステップ2、前記(ア)gのステップ3)
e ソースエッジイネーブラサーバは、取得したターゲットエッジイネーブラサーバに、アプリケーションコンテキスト移転要求(ソースエッジアプリケーションサーバ情報、UE情報)を送信し、ソースエッジアプリケーションサーバ情報は、ソースエッジアプリケーションサーバのEAS IDを含み、(前記(ア)dのステップ3)
f ターゲットエッジイネーブラサーバは、受信したEAS IDに基づいてターゲットエッジアプリケーションサーバを決定し、(前記(ア)dのステップ4)
g ターゲットエッジイネーブラサーバは、ソースエッジイネーブラサーバにアプリケーションコンテキスト移転応答を送信し、アプリケーションコンテキスト移転応答には、ターゲットエッジアプリケーションサーバのIPアドレスが含まれ、(前記(ア)dのステップ7、前記a)
h ソースエッジイネーブラサーバは、ソースエッジアプリケーションサーバに、ターゲットエッジアプリケーションサーバのIPアドレスとともにアプリケーションコンテキスト移転通知を送信し、(前記(ア)dのステップ8)
i ソースエッジアプリケーションサーバは、アプリケーションコンテキストを転送可能なポイントを決定すると、ソースエッジアプリケーションサーバは、ターゲットエッジアプリケーションサーバにアプリケーションコンテキストを配信する(前記(ア)dのステップ9)
j 手順」
イ 技術常識、周知技術
(ア)引用文献2の記載事項
原査定の拒絶の理由で引用された、本願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献である、3rd Generation Partnership Project; Technical Specification Group Services and System Aspects; Study on application architecture for enabling Edge Applications; (Release 17)[online],3GPP TR 23.758 V17.0.0 (2019-12), Internet<URL: https://www.3gpp.org/ftp//Specs/archive/23_series/23.758/23758-h00.zip>(令和元年12月19日掲載。以下「引用文献2」という。)には、次の記載がある。
a 「7.4.1.2.2 Subscribe-Notify model
Figure 7.4.1.2.2-1 illustrates the subscribe operation between the Edge Enabler Server and the Edge Application Server for continuous location reporting.
[図:0001435930000003.jpg]
Figure 7.4.1.2.2-1: Solution 4 - Location Reporting API: Subscribe Operation
1. The Edge Application Server requests Location Reporting subscribe operation (UE Identifier, Location Granularity) for tracking the UE location continuously. The Edge Application Server shall include UE Identifier. Location granularity is optional parameter to indicate format of location e.g. GPS Coordinates, Cell ID, Tracking Area ID, or civic addresses (e.g. streets, districts, etc.), which can be understood by the Edge Application Server.
・・・(略)・・・」
(訳:
7.4.1.2.2 Subscirbe-Notifyモデル
継続的な位置の報告のためのエッジイネーブラサーバとエッジアプリケーションサーバとの間の購読操作を、図7.4.1.2.2-1に示す。
(図の上から)
エッジアプリケーション エッジイネーブラサーバ
1.位置報告API購読
2.位置報告API購読応答
図7.4.1.2.2-1:解決法4:位置報告API:購読操作
1.エッジアプリケーションサーバは、UEの位置を継続的にトラッキングするための位置報告購読操作(UE識別子、位置粒度)を要求する。エッジアプリケーションサーバは、UE識別子を含めなければならない。位置粒度は、任意のパラメータで、位置のフォーマット、例えば、GPS座標、セルID、トラッキング領域ID又は住所(例えば、通り、地区など)を示し、これらは、エッジアプリケーションサーバが理解可能なものである。)
b 「7.14.1.3 User plane management event API - Subscribe-Notify model」
Figure 7.14.1.3-1 illustrates the subscribe operation between the Edge Enabler Server and the Edge Application Server for continuous user plane management event notifications.
[図:0001435930000004.jpg]
Figure 7.14.1.3-1: User plane management event API: Subscribe/Unsubscribe Operation
1. The Edge Application Server requests user plane management event subscribe operation (UE Identifier) for tracking the UE's user plane change continuously. The Edge Application Server shall include UE Identifier. For cancelling the subscription, the Edge Application Server uses the unsubscribe operation.
・・・(略)・・・」
(訳:
7.14.1.3 ユーザプレーン管理イベントAPI-Subscribe-Notifyモデル
継続的なユーザプレーン管理イベント通知のためのエッジイネーブラサーバとエッジアプリケーションサーバとの間の購読操作を、図7.14.1.3-1に示す。
(図の上から)
エッジアプリケーションサーバ エッジイネーブラサーバ
1.ユーザプレーン管理イベントAPI購読/購読解除
2.ユーザプレーン管理イベントAPI購読/購読解除応答
図7.14.1.3-1:ユーザプレーン管理イベントAPI:購読/購読解除操作
1.エッジアプリケーションサーバは、UEのユーザプレーンの変化の継続的なトラッキングのためのユーザプレーン管理イベント購読操作(UE識別子)を要求する。エッジアプリケーションサーバは、UE識別子を含めなければならない。購読を解除するには、エッジアプリケーションサーバは、購読解除操作を用いる。)
c 「7.27 Solution #27: Relocation of application context considering analytics
7.27.1 Solution description
7.27.1.1 Procedure
・・・(略)・・・
The high level signalling flows for application context relocation is illustrated in Figure 7.27.1.1-1.
Pre-conditions:
1. The application client at the UE already has a connection to the source Edge Application Server; and
2. The source Edge Application Server has subscribed to the user plane management event and receives the notifications as described in 3GPP TS 23.502 [7].
[図:0001435930000005.jpg]
Figure 7.27.1.1-1: Application context relocation
1. The source Edge Application Server determines the application context for the UE needs to be relocated (e.g. based on the user plane management event notifications, application mobility capability and requirements).
2. The source Edge Application Server sends the application context relocation request (UE info) to the source EES for the target Edge Application Server. The UE info can be the UE IP address or UE identity.
・・・(略)・・・」
(訳:
7.27 解決策#27:分析を考慮したアプリケーションコンテキストの移転
7.27.1 解決策の記述
7.27.1.1 手順
アプリケーションコンテキスト移転の高レベルシグナリングフローを、図7.27.1.1-1に示す。
前提条件:
1.UEのアプリケーションクライアントは、ソースエッジアプリケーションサーバにすでに接続しており、
2.ソースエッジアプリケーションサーバは、3GPP TS 23.502 [7]に記載されているように、ユーザプレーン管理イベントを購読しており、通知を受信する。
(図の上から)
ソースエッジアプリケーションサーバ ソースエッジイネーブラサーバ 移転支援サーバ(MAS) ターゲットエッジイネーブラサーバ ターゲットエッジアプリケーションサーバ
1.アプリケーションコンテキスト移転を決定する
2.アプリケーションコンテキスト移転要求(UE情報)
・・・(略)・・・
図7.27.1.1-1:アプリケーションコンテキスト移転
1.ソースエッジアプリケーションサーバは、UEのアプリケーションコンテキストが移転する必要があると決定する(例えば、ユーザプレーン管理イベント通知、アプリケーションのモビリティ及び要件に基づく)。
2.ソースエッジアプリケーションサーバは、ソースEESに、ターゲットエッジアプリケーションサーバに対するアプリケーションコンテキスト移転要求(UE情報)を送信する。UE情報は、UEのIPアドレスまたはUE識別情報であり得る。)
(イ)引用文献3の記載事項
本審決で技術常識及び周知技術を示すために引用する、本願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった文献である、3rd Generation Partnership Project; Technical Specification Group Services and System Aspects; Architecture for enabling Edge Applications; (Release 17)[online],3GPP TR 23.558 V0.3.0 (2020-06), Internet<URL:https://www.3gpp.org/ftp//Specs/archive/23_series/23.558/23558-030.zip>(令和2年6月4日掲載。以下「引用文献3」という。)には、次の記載がある。
a 「7.2.4 Edge Application Server ID (EASID)
The Edge Application Server ID identifies a particular application for e.g. SA6Video, SA6Game etc. For example, all Edge SA6Video Servers will share the same Edge Application Server ID.
・・・(略)・・・」
(訳:
7.2.4 エッジアプリケーションサーバID(EASID)
エッジアプリケーションサーバIDは、特定のアプリケーション、例えば、SA6Video、SA6Game等、を識別する。例えば、全てのエッジSA6Videoサーバは、同じエッジアプリケーションサーバIDを共有する。)
b 「8.8.3.1 Edge Application Server discovery request
Table 8.8.3.1-1 describes information elements for the Edge Application Server Discovery Request from the EAS to the Edge Enabler Server. Table 8.8.3.1-2 provides further detail about the Query Filter information element.
Table 8.8.3.1-1: Edge Application Server discovery request
[図:0001435930000006.jpg]
」
(訳:
8.8.3.1 エッジアプリケーションサーバ発見要求
表8.8.3.1-1は、EASからエッジイネーブラサーバへのエッジアプリケーションサーバ発見要求の情報要素を示す。表8.8.3.1-2は、クエリフィルタ情報要素の詳細を示す。
表8.8.3.1-1:エッジアプリケーションサーバ発見要求
(表の上から)
情報要素 ステータス 記述
EAS ID 必須 ソースEASにマッチするターゲットEAS情報を発見するためのソースEASのEAS ID
・・・(略)・・・)
(ウ)引用文献4の記載事項
本審決で周知技術を示すために引用する、本願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった文献である、Samsung, Pseudo-CR on EEC subscription for updates[online], 3GPP TSG-SA WG6 Meeting #36-BIS-e S6-200488, Internet<URL: https://www.3gpp.org/ftp/tsg_sa/WG6_MissionCritical/TSGS6_036-BIS-e/docs/S6-200488.zip>(令和2年3月25日掲載。以下「引用文献4」という。)には、次の記載がある。
「8.x.3.1 EAS information subscription request
Table 8.x.3.1-1 describes the information elements for an EAS information subscription request from the EEC to the EES.
Table 8.x.3.1-1: EAS information subscription request
[図:0001435930000007.jpg]
Table 8.x.3.1-2: Subscription Filters
[図:0001435930000008.jpg]
」
(訳:
8.x.3.1 EAS情報購読要求
表8.x.3.1-1は、EECからEESへのEAS情報購読要求の情報要素を示す。
表8.x.3.1-1:EAS情報購読要求
(表の上から)
情報要素 ステータス 記述
・・・(略)・・・
購読フィルタ 任意 購読の特徴のリストで詳細は表8.x.3.1-2に示す
・・・(略)・・・
表8.x.3.1-2:購読フィルタ
(表の上から)
情報要素 ステータス 記述
EAS ID 任意 EECが関心のあるEAS IDのリスト
・・・(略)・・・
(エ)技術常識1
引用文献2の前記a及びbに示されるように、Subscribe-Notifyモデルにおいて、購読する側が通知する側に対して購読操作(subscribe operation)を要求すること、換言すると、購読する側が通知する側に対して購読の要求を送信することは、技術常識(以下「技術常識1」という。)である。
(オ)技術常識2
引用文献3の前記aに示されるように、エッジアプリケーションサーバID(EASID)がアプリケーションを識別するものであり、同じアプリケーションを提供するサーバが同じEASIDを有することは、技術常識(以下「技術常識2」という。)である。
(カ)周知技術
引用文献3の前記bのエッジアプリケーションサーバ発見要求に含まれるEAS IDは、ソースEASのEAS IDであるが、ソースEASとマッチするターゲットEAS情報を発見するためのものでもあるから、該EAS IDは、EAS情報の発見を要求するターゲットEASのEAS IDでもあると解される。
引用文献4のEAS情報購読要求に含まれる購読フィルタ中のEAS IDは、そのEAS情報の購読を要求するエッジアプリケーションサーバ(EAS)のEAS IDと解される。
したがって、引用文献3及び4は、いずれも、エッジアプリケーションサーバ(EAS)に関する情報を求める要求に、該EASのEAS IDを含める技術を示しており、当該技術は本願優先日前に周知のもの(以下「周知技術」という。)であったと認められる。
(3)対比
本件補正発明と引用発明とを対比する。
ア 「ソースアプリケーションサーバ(AS)」、「ソースイネーブラサーバ(ES)」、「ターゲットAS」、「ユーザ機器(UE)」について
引用発明の「ソースエッジアプリケーションサーバ」(構成b)、「ソースエッジイネーブラサーバ」(構成b)、「ターゲットエッジアプリケーションサーバ」(構成f)、「UE」(構成b)は、それぞれ、本件補正発明の「ソースアプリケーションサーバ(AS)」、「ソースイネーブラサーバ(ES)」、「ターゲットAS」、「ユーザ機器(UE)」に相当する。
イ 「アプリケーション移転方法」について
引用発明の「アプリケーションコンテキスト移転の手順」(構成a)は、構成b~構成iの各ステップを備えたアプリケーションコンテキスト移転の方法といえる。これに対し、本件補正発明の「アプリケーション移転」は、発明の詳細な発明に「アプリケーション移転は、ソースASからターゲットASにUEのコンテキストを移転させることを意味する。あるいは、アプリケーション移転は、アプリケーションコンテキスト移転を指し、具体的には、ソースAS上のコンテキストをターゲットASに移転させることを指す。」(【0374】)とあるように、アプリケーションコンテキスト移転を意味するものである。
よって、本件補正発明と引用発明とは、「アプリケーション移転方法」である点で一致する。
ウ 「ソースアプリケーションサーバ(AS)により、ソースイネーブラサーバ(ES)へサブスクリプション要求を送信するステップ」について
引用発明は、「前提条件として」「ソースエッジアプリケーションサーバは、アプリケーションコンテキスト移転イベント通知(notification)のためにソースエッジイネーブラサーバを購読(subscribe)して」いる(構成b)ものであり、「アプリケーションコンテキスト移転イベント通知(notification)のための購読(subscribe)」が、いわゆるSubscribe-Notifyモデルによることは明白である。このSubscribe-Notifyモデルにおいて、購読する側が通知する側に対して購読の要求を送信することは、前記(2)イ(エ)に示したとおり技術常識(技術常識1)であり、該技術常識に照らせば、引用発明は、購読する側の「ソースエッジアプリケーションサーバ」が通知する側の「ソースエッジイネーブラサーバ」に対して購読の要求(以下「購読要求」という。)を送信していると認められ、この「購読要求」は、本件補正発明の「サブスクリプション要求」に相当する。
よって、本件補正発明と引用発明とは、「ソースアプリケーションサーバ(AS)により、ソースイネーブラサーバ(ES)へサブスクリプション要求を送信するステップ」を含む点で一致する。
エ 「前記サブスクリプション要求がアプリケーション識別情報を含み」について
引用発明の「ソースエッジアプリケーションサーバのEAS ID」(構成d1)が、「ソースエッジアプリケーションサーバ」のアプリケーションを識別する情報であることは、前記(2)イ(オ)の技術常識2に照らせば明らかであるから、引用発明の「ソースエッジアプリケーションサーバのEAS ID」は、本件補正発明の「アプリケーション識別情報」に相当する。他方、引用発明は、前記ウの「購読要求」が上記「ソースエッジアプリケーションサーバのEAS ID」を含むことは特定されていない。
よって、本件補正発明と引用発明とは、本件補正発明が「前記サブスクリプション要求がアプリケーション識別情報を含」むのに対し、引用発明は「購読要求」が「ソースエッジアプリケーションサーバのEAS ID」を含むことが特定されていない点で相違する。
オ 「前記サブスクリプション要求が、ユーザ機器(UE)によってアクセス可能なデータネットワーク(DN)にターゲットASが存在すると前記ソースESが前記アプリケーション識別情報に基づいて決定したときに前記ソースASに通知することを指示し」について
(ア)本件補正発明の「ユーザ機器(UE)によってアクセス可能なデータネットワーク(DN)にターゲットASが存在すると前記ソースESが前記アプリケーション識別情報に基づいて決定」との発明特定事項に関して、発明の詳細な説明には、以下の記載がある(下線は当審で付与。)。
「 【0360】
S1304a:ソースESは、ターゲットASが存在するかどうかを決定する。
【0361】
任意に選べることとして、ソースESが、第1の情報に基づいて、UEによってアクセス可能なDNにターゲットASが存在するかどうかを決定することは、ソースESが、UEによってアクセス可能なDNにターゲットASが存在するかどうかを決定することをCSまたはターゲットESに要求できることを含む。一実装では、ソースESが、CSへ第1の情報とアプリケーション識別情報を送信する。CSは、第1の情報とアプリケーション識別情報とに基づいてターゲットESを決定し、ソースESへターゲットESを送信する。ソースESは、ターゲットESから、UEによってアクセス可能なDNに1つ以上のASが存在することを知り、ターゲットESはUEによってアクセス可能なDN内に位置される。ターゲットESは、1つ以上のASに関する情報をソースESへ送信する。ターゲットESが複数のASを管理する場合、ターゲットESは1つのASを決定し、そのASに関する情報をソースESへ送信することができ、または、ターゲットESは複数のASに関する情報をソースESへ送信でき、ソースESがターゲットASを決定する。別の一実装では、ソースESが、CSへ第1の情報とアプリケーション識別情報を送信する。CSは、第1の情報とアプリケーション識別情報とに基づいて、UEによってアクセス可能なDNに1つ以上のASが存在すると決定し、1つ以上のASに関する情報をソースESへ送信する。ソースESは、ターゲットASを決定する。別の一実装では、ソースESが、ターゲットESへ第1の情報とアプリケーション識別情報を送信する。ターゲットESは、第1の情報とアプリケーション識別情報とに基づいて、ターゲットESに対応するDNに1つ以上のASが存在すると決定し、1つ以上のASに関する情報をソースESへ送信する。ソースESは、ターゲットASを決定する。ソースESがターゲットESまたはCSからターゲットASを得る場合、ソースESは、アクセス可能なターゲットASが存在すると決定し、そうでない場合、ソースESは、アクセス可能なターゲットASが存在しないと決定する。ソースASとターゲットESの両方がソースESによって管理される場合に、ソースESとターゲットESが同じESであってよく、ソースESとターゲットESとの相互作用が省かれてよいことは理解されよう。ASに関する情報は、ASの接続情報であってよい。」
上記記載によれば、本願において、「ソースES」が「UEによってアクセス可能なDNにターゲットASが存在するかどうかを決定する」ことは、「ソースES」が「UEによってアクセス可能なDNにターゲットASが存在するかどうかを決定することをCSまたはターゲットESに要求できることを含む」ものである。そのため、上記記載を参酌すると、本件補正発明の「ユーザ機器(UE)によってアクセス可能なデータネットワーク(DN)にターゲットASが存在すると前記ソースESが前記アプリケーション識別情報に基づいて決定」との発明特定事項は、「ソースES」が、CSまたはターゲットESに、「ユーザ機器(UE)によってアクセス可能なデータネットワーク(DN)にターゲットASが存在する」と「前記アプリケーション識別情報に基づいて決定」することを要求し、これにより、「ソースES」が「ユーザ機器(UE)によってアクセス可能なデータネットワーク(DN)にターゲットASが存在する」と「決定」する態様を含むと解釈される。
(イ)引用発明は、構成d1のステップで、「ソースエッジイネーブラサーバ」が、「エッジ構成サーバ」(前記(ア)における「CS」に相当する。)に対して「エッジイネーブラサーバ取得要求(UE位置情報又はUE識別情報、ソースエッジアプリケーションサーバのEAS ID)」を送信し、構成d2のステップで、「エッジ構成サーバ」が「要求内のパラメータを満たすターゲットイネーブラサーバを識別」する。該「要求内のパラメータを満たすターゲットイネーブラサーバ」(前記(ア)における「ターゲットES」に相当する。)とは、「同じエッジアプリケーションサーバが登録され」た「ターゲットエッジイネーブラサーバ」(構成d1)であり、該「ターゲットエッジイネーブラサーバ」とこれに登録されている上記「同じエッジアプリケーションサーバ」は、同じエッジデータネットワーク(EDN)に存在すると解される。「ターゲットエッジイネーブラサーバ」が存在する該エッジデータネットワークは、そこに存在する「同じエッジアプリケーションサーバ」が「UEの所定のアプリケーションクライアントにサービスを提供可能である」(構成d1)から、当然「UE」がアクセス可能なデータネットワークと解され、本件補正発明の「ユーザ機器(UE)によってアクセス可能なデータネットワーク(DN)」に相当する。
続いて、構成d3のステップで、「エッジ構成サーバ」が「ターゲットエッジイネーブラサーバ情報」を含む「エッジイネーブラサーバ取得応答」を「ソースエッジイネーブラサーバに送信し」、構成eのステップで、「ソースエッジイネーブラサーバ」が「ソースエッジアプリケーションサーバのEAS ID」を含む「アプリケーションコンテキスト移転要求」を「取得したターゲットエッジイネーブラサーバに」「送信し」、構成fのステップで、「ターゲットエッジイネーブラサーバ」が「受信したEAS IDに基づいてターゲットエッジアプリケーションサーバを決定する」。この「ターゲットエッジイネーブラサーバ」が「受信したEAS IDに基づいてターゲットエッジアプリケーションサーバを決定する」とは、該「ターゲットエッジイネーブラサーバ」が、自身に登録されているエッジデータネットワーク内のエッジアプリケーションサーバと照合して、「ソースエッジアプリケーションサーバのEAS ID」に合致する「ターゲットエッジアプリケーションサーバ」を「決定する」ことと解される。これは、エッジデータネットワークに「ソースエッジアプリケーションサーバのEAS ID」に合致する「ターゲットエッジアプリケーションサーバ」が存在することを決定しているともいえ、構成eの上記「アプリケーションコンテキスト移転要求」は、かかる決定を「ターゲットエッジイネーブラサーバ」に要求するものといえる。
その後、構成gのステップで、「ターゲットエッジイネーブラサーバ」が、「ターゲットエッジアプリケーションのIPアドレス」を含む「アプリケーションコンテキスト移転応答を送信」する。これにより、「ソースエッジイネーブラサーバ」は、「ターゲットエッジアプリケーションサーバ」の情報である「IPアドレス」を得て、「ターゲットエッジイネーブラサーバ」が存在するエッジデータネットワークに該「ターゲットエッジアプリケーションサーバ」が存在すると認識(決定)しているといえる。
そうしてみると、引用発明の上記処理は、本件補正発明の「ユーザ機器(UE)によってアクセス可能なデータネットワーク(DN)にターゲットASが存在すると前記ソースESが前記アプリケーション識別情報に基づいて決定」の前記(ア)の態様に対応する。ただし、前記エのとおり、引用発明は、前記「ソースエッジアプリケーションサーバのEAS ID」が「購読要求」に含まれるものと特定されておらず、この点で本件補正発明の上記発明特定事項とは相違する。
(ウ)引用発明は、前記(イ)の処理を、「ソースエッジアプリケーションサーバ」から「ソースエッジイネーブラサーバ」に「購読要求」が送信され(前記エ)、「ソースエッジイネーブラサーバ」が「トリガ/イベント」に基づいて「アプリケーションコンテキスト移転を決定」する(構成c)ことにより実行し、続いて、構成hのステップで、「ソースエッジイネーブラサーバ」が「ソースエッジアプリケーションサーバにターゲットエッジアプリケーションサーバのIPアドレスとともにアプリケーションコンテキスト移転通知を送信」する。そのため、該「アプリケーションコンテキスト移転通知」は、前記(イ)の処理を実行したときに行う「ソースエッジアプリケーションサーバ」への通知であり、上記「購読要求」は、該通知をすることを「ソースエッジイネーブラサーバ」に指示するものといえる。
以上によれば、本件補正発明と引用発明とは、「前記サブスクリプション要求が、ユーザ機器(UE)によってアクセス可能なデータネットワーク(DN)にターゲットASが存在すると前記ソースESがアプリケーション識別情報に基づいて決定したときに前記ソースASに通知することを指示」するものである点で共通するが、「アプリケーション識別情報」が、本件補正発明は「前記アプリケーション識別情報」、すなわち「サブスクリプション要求」に含まれるものであるのに対し、引用発明の「ソースエッジアプリケーションサーバのEAS ID」は「購読要求」に含まれるものと特定されていない点で相違する。
カ 「前記ターゲットASと前記ソースASが、同じアプリケーションにサーブする」について
引用発明の「ターゲットエッジアプリケーションサーバ」は、前記オ(イ)のとおり、「ソースエッジアプリケーションサーバのEAS ID」に合致するものであるから、「ターゲットエッジアプリケーションサーバ」は、「ソースエッジアプリケーションサーバのEAS ID」と同じ「EAS ID」を有すると解される。そして、前記(2)イ(オ)の同じアプリケーションを提供するサーバは同じEASIDを有するとの技術常識2を踏まえれば、本件補正発明と引用発明とは、「前記ターゲットASと前記ソースASが、同じアプリケーションにサーブする」点で一致する。
キ 「前記ソースASにより、前記ソースESから第7の通知メッセージを受信するステップであって、前記第7の通知メッセージが前記ターゲットASの接続情報を含む、ステップ」について
引用発明は、前記オ(ウ)のとおり、構成hのステップで、「ソースエッジイネーブラサーバ」が「ソースエッジアプリケーションサーバに、ターゲットエッジアプリケーションサーバのIPアドレスとともにアプリケーションコンテキスト移転通知を送信し」するものである。これに対し、本件補正発明の「前記ターゲットASの接続情報」は、「ターゲットASの接続情報は、ターゲットASのIPアドレス、・・・(略)・・・などであってよい。」(【0173】)のであるから、引用発明の「ターゲットエッジアプリケーションサーバのIPアドレス」は、本件補正発明の「前記ターゲットASの接続情報」に相当する。そして、引用発明の「アプリケーションコンテキスト移転通知」を第7の通知と称することは任意であり、該「アプリケーションコンテキスト移転通知」を「ソースエッジアプリケーションサーバ」が受信していることは明らかであるから、本件補正発明と引用発明とは、「前記ソースASにより、前記ソースESから第7の通知メッセージを受信するステップであって、前記第7の通知メッセージが前記ターゲットASの接続情報を含む、ステップ」を含む点で一致する。
ク 「前記ソースASにより、前記ソースASから前記ターゲットASに前記UEのコンテキストを移転させることを決定するステップ」について
引用発明は、構成iのステップで、「ソースエッジアプリケーションサーバ」が、「アプリケーションコンテキストを転送可能なポイントを決定」しており、この「転送」対象の「アプリケーションコンテキスト」は、「UEのアプリケーショントラフィックに関連するアプリケーションコンテキスト」(構成c)と解されるから、本件補正発明の「前記UEのコンテキスト」に相当する。そして、上記「アプリケーションコンテキストを転送可能なポイントを決定」することは、前記キの構成hのステップにより、「ソースエッジアプリケーションサーバ」が「アプリケーションコンテキスト移転通知」を受信したら行われるものであり、これは、「アプリケーションコンテキスト移転通知」を契機として、上記「アプリケーションコンテキストを転送可能なポイント」で「アプリケーションコンテキスト」を移転することを決定することにほかならない。よって、本件補正発明と引用発明とは、「前記ソースASにより、前記ソースASから前記ターゲットASに前記UEのコンテキストを移転させることを決定するステップ」を含む点で一致する。
ケ 一致点、相違点
前記ア~クによれば、本件補正発明と引用発明とは、次の点で一致し、相違する。
[一致点]
アプリケーション移転方法であって、
ソースアプリケーションサーバ(AS)により、ソースイネーブラサーバ(ES)へサブスクリプション要求を送信するステップであって、前記サブスクリプション要求が、ユーザ機器(UE)によってアクセス可能なデータネットワーク(DN)にターゲットASが存在すると前記ソースESがアプリケーション識別情報に基づいて決定したときに前記ソースASに通知することを指示し、前記ターゲットASと前記ソースASが、同じアプリケーションにサーブする、ステップと、
前記ソースASにより、前記ソースESから第7の通知メッセージを受信するステップであって、前記第7の通知メッセージが前記ターゲットASの接続情報を含む、ステップと、
前記ソースASにより、前記ソースASから前記ターゲットASに前記UEのコンテキストを移転させることを決定するステップと
を含む、方法。
[相違点]
本件補正発明は、「サブスクリプション要求」が「アプリケーション識別情報」を含むのに対し、引用発明は、「購読要求」が「ソースエッジアプリケーションサーバのEAS ID」を含むことが特定されていない点。
これに付随して、「アプリケーション識別情報に基づいて決定する」ことが、本件発明は、「サブスクリプション要求」に含まれる「前記アプリケーション識別情報」に基づくのに対し、引用発明は、「ソースエッジアプリケーションサーバのEAS ID」に基づくものの、これが「購読要求」に含まれるものであることが特定されていない点。
(4)判断
ア 相違点について検討する。
引用発明の「ソースエッジアプリケーションサーバのEAS ID」は、当然「ソースエッジアプリケーションサーバ」が有しているものであり、前記(3)カで述べたとおり、「ターゲットエッジアプリケーションサーバ」のEAS IDでもある。また、引用発明における「購読要求」は、前記(3)オ(ウ)のとおり、「ターゲットエッジアプリケーションサーバのIPアドレスとともにアプリケーションコンテキスト移転通知を送信」することを指示するものであるから、「ターゲットエッジアプリケーションサーバのIPアドレス」を要求するものということができ、これは、前記(3)オ(イ)のとおり、「ターゲットエッジアプリケーションサーバ」のEAS IDでもある「ソースエッジアプリケーションサーバのEAS ID」に基づいて決定されるものである。
そして、エッジアプリケーションサーバ(EAS)に関する情報を求める要求に、該EASのEAS IDを含めることは、前記(2)イ(カ)のとおり周知技術であることを踏まえれば、「ソースエッジアプリケーションサーバ」が送信する、「ターゲットエッジアプリケーションのIPアドレス」を求める「購読要求」に、「ターゲットエッジアプリケーションサーバ」のEAS IDでもある自身の「ソースエッジアプリケーションサーバのEAS ID」を含める構成にすること、すなわち相違点に係る本件補正発明の構成にすることは、当業者であれば容易に想到し得たことである。
イ そして、相違点を勘案しても、本件補正発明の奏する作用効果は、引用発明及び周知技術の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。
ウ したがって、本件補正発明は、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
(5)請求人の主張について
ア 請求人は、審判請求書及び令和7年7月24日の上申書で、それぞれ、概略次の点を主張する(下線は請求人による。)。
(ア)引用文献1には、「サブスクリプション要求」自体の記載がないので、引用文献1は、「サブスクリプション要求」に「アプリケーション識別情報」が含まれることを開示せず、さらに、「アプリケーション識別情報」に含まれる「アプリケーション識別情報」(当審注:原文ママ)が何に用いられるかまでは示唆しない。特に、「前記サブスクリプション要求が、ユーザ機器(UE)によってアクセス可能なデータネットワーク(DN)にターゲットASが存在すると前記ソースESが前記アプリケーション識別情報に基づいて決定したときに前記ソースASに通知することを指示し、前記ターゲットASと前記ソースASが、同じアプリケーションにサーブする」という本願発明の特徴は、引用文献1、2に開示も示唆もされていない。(審判請求書13頁)
(イ)引用文献1、2に開示されるのは、アプリケーション移転が開始された後の手順で、このような差異は、本願に係る発明において最初に送信されるメッセージが「サブスクリプション要求」であるのに対し、引用文献1、2に記載された発明では「application context relocate request」であること(引用文献1のFigure 8.x.2.aa-1、引用文献2のFigure 7.10.1.2-1)にも表れている。(上申書1頁)
イ 以下、請求人の主張について検討する。
(ア)前記ア(ア)の主張における本件補正発明の特徴のうち、「サブスクリプション要求」に「アプリケーション識別情報」が含まれる点とそれに付随する点(すなわち相違点)以外の構成を引用発明も備えていることは、前記(3)に示したとおりである。また、「サブスクリプション要求」に「アプリケーション識別情報」が含まれる点とそれに付随する点については、前記(4)のとおり、引用発明及び周知技術から当業者が容易に想到し得たものである。
(イ)前記ア(イ)の主張について、その意図は明らかではないが、該主張に続いてなされている、補正案に基づく「ソースASが「前記ソースASから前記ターゲットASに前記UEのコンテキストを移転させることを決定する」との特徴が明確になり」等の主張も踏まえると、前記ア(イ)の主張は、引用文献1、2に開示される手順は、アプリケーション移転が開始された後のものであるから、本件補正発明の「前記ソースASにより、前記ソースASから前記ターゲットASに前記UEのコンテキストを移転させることを決定するステップ」を備えていないことを主張している可能性がある。しかしながら、前記(3)クに示したとおり、引用発明も、上記「決定するステップ」を備えるから、引用文献1及び2に記載された手順が「アプリケーション移転が開始された後」か否かを論じるまでもなく、前記ア(イ)の主張は採用できない。
念のため、前記ア(イ)の主張について、さらに検討する。引用発明は、購読要求に対するアプリケーションコンテキスト移転通知のトリガ/イベントの一つとして、ソースエッジアプリケーションサーバからのアプリケーションコンテキスト移転要求を用いている。仮に、請求人が主張するとおり、引用発明の手順(引用文献1の図8.x.2.aa-1)が、アプリケーション移転が開始された後のものである、具体的には、ソースエッジアプリケーションサーバがアプリケーションコンテキスト移転を決定して、アプリケーション移転を開始した後のものであるとするならば、Subscribe-Notifyモデルを採用し、ソースエッジアプリケーションサーバからのアプリケーションコンテキスト移転要求を上記通知のトリガ/イベントとし、ソースエッジアプリケーションサーバに通知させる必要は全くなく、引用文献2の7.27.1.1(前記(2)イ(ア)c。ステップ1で、ソースエッジアプリケーションサーバがアプリケーションコンテキスト移転を決定した後、ステップ2で、ソースエッジイネーブラサーバにアプリケーションコンテキスト移転要求を送信する手順が示されている。)に記載のように、端的に、ソースエッジアプリケーションサーバは、ソースエッジイネーブラサーバにアプリケーションコンテキスト移転要求をするのが合理的である。そのため、引用発明が上記のSubscribe-Notifyモデルを採用しているのは、引用発明の手順の開始時点において、まだ、ソースエッジアプリケーションサーバがアプリケーションコンテキスト移転をすることを決定しておらず、アプリケーション移転を開始していないことを示しているといえる。よって、請求人の前記ア(イ)の主張は理由がない。
(ウ)したがって、請求人の前記アの主張は、いずれも採用できない。
(6)補正の適否についてのまとめ
以上のとおり、本件補正発明は、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
3 本件補正についてのむすび
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するものであり、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。
第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は、前記第2のとおり却下されたので、本願の請求項1~11に係る発明は、令和6年6月25日の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1~11に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、その請求項1に記載された事項により特定される、前記第2の1(2)に記載したとおりのものである。
2 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由のうち、請求項1に係る理由は、次の理由1及び2のとおりのものである。
(理由1)この出願の請求項1に係る発明は、本願の優先日前に日本国内又は外国において頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった以下の引用文献1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
(理由2)この出願の請求項1に係る発明は、以下の引用文献1に記載された発明に基づいて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献1.Huawei, Hisilicon, Basic application context relocation procedure[online],3GPP TSG SA WG6 #036-BIS-e S6-200600, Internet<URL:https://www.3gpp.org/ftp/tsg_sa/WG6_MissionCritical/TSGS6_036-BIS-e/docs/S6-200600.zip>
3 引用文献1、引用発明
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1及びその記載事項並びに引用発明は、前記第2[理由]2(2)アに記載したとおりである。
4 対比・判断
本願発明は、前記第2[理由]2で検討した本件補正発明から、「サブスクリプション要求」に係る限定事項である「前記サブスクリプション要求がアプリケーション識別情報を含み」、「前記アプリケーション識別情報に基づいて」及び「前記ターゲットASと前記ソースASが、同じアプリケーションにサーブする」を削除したものである。
そして、第2[理由]2(3)に示したとおり、本件補正発明と引用発明との相違点は、前記限定事項に関するもののみであるから、本願発明と引用発明とに相違点は存在しない。
よって、本願発明は、引用文献1に記載された発明である。また、本願発明は、引用文献1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第1項及び第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2025-003893