特許拒絶査定不服審判
2016-011054
無線通信システム内でシングルポイント送信器からシングルポイント受信器への少なくとも1つの第1送信およびマルチポイント送信器からまたはマルチポイント受信器への少なくとも1つの第2送信を調整する方法、ネットワーク・ノード、およびその移動局
- 審判番号
- 2016-011054
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2014-527543外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2016年07月22日
- 審決日
- 2017年05月23日
- 公報発行日
- 2017年11月24日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】アルカテル-ルーセント
- 【請求人代理人】岡部 讓
- 【請求人代理人】吉澤 弘司
- 分類
- P18 .121-Z (H04W)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2014-527543「無線通信システム内でシングルポイント送信器からシングルポイント受信器への少なくとも1つの第1送信およびマルチポイント送信器からまたはマルチポイント受信器への少なくとも1つの第2送信を調整する方法、ネットワーク・ノード、およびその移動局」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 3月 7日国際公開、WO2013/029853、平成26年11月13日国内公表、特表2014-529961〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯及び本願発明
1.手続の経緯
本願は,2012年(平成24年)7月10日(優先権主張 2011年(平成23年)8月31日 欧州特許庁)を国際出願日とする出願であって,平成27年4月27日付けで拒絶理由が通知され,同年10月29日付けで意見書及び手続補正書が提出され,平成28年3月22日付けで拒絶査定され,同年7月22日に拒絶査定不服審判の請求がされたものである。
2.本願発明
本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は,平成27年10月29日付け手続補正書における特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
(下線は当審が付与したものであって,請求項に記載の後半における「サービング・エリア」,「第1の無線リソース」,及び「第2の無線リソース」それぞれを区別しやすくし,理解を助けるために付与したものであり,図面において使用した符号であって,括弧をして用いられた符号の記載を除いて付与したものである。)
【請求項1】
少なくとも1つの移動局(MS、MS1、MS2)から無線通信システム(RCS)の少なくとも2つのアンテナ・システムを含むマルチポイント受信器への少なくとも1つの第1アップリンク送信、および前記少なくとも1つの移動局(MS、MS1、MS2)からの少なくとも1つの第2アップリンク送信を調整する方法(MET)であって、
前記少なくとも1つの第1アップリンク送信について少なくとも1つの第1電力制御パラメータ(PCP1)を事前に定義するステップ(M1/1)と、
前記少なくとも1つの第2アップリンク送信について少なくとも1つの第2電力制御パラメータ(PCP2)を事前に定義するステップ(M1/2)と、
前記少なくとも1つの移動局(MS、MS1、MS2)に前記事前に定義された少なくとも1つの第1電力制御パラメータ(PCP1)および前記事前に定義された少なくとも1つの第2電力制御パラメータ(PCP2)を送信するステップ(M1/5)と、
前記少なくとも1つの移動局(MS、MS1、MS2)で、前記事前に定義された少なくとも1つの第1電力制御パラメータ(PCP1)および前記事前に定義された少なくとも1つの第2電力制御パラメータ(PCP2)を格納するステップ(M1/7)と
を含む方法(MET)において、
前記少なくとも1つの第2アップリンク送信が、前記無線通信システム(RCS)の単一のアンテナ・システムであるシングルポイント受信器へのアップリンク送信であり、前記方法(MET)が、
前記無線通信システム(RCS)の少なくとも2つのサービング・エリア(BS1-C1、BS3-C1)について前記少なくとも1つの第1アップリンク送信に関する少なくとも1つの第1無線リソース(S1-F1からS3-F1、S9-F1、S10-F1、S1-F2、S1-F1b-BW2からS10-F1b-BW2、S1-F2b-BW2、S5-F1c-BW1cからS9-F1c-BW1c、S1-F1c-BW2c、S2-F1c-BW2c、S6-F1c-BW2cからS10-F1c-BW2c、S1-F2c-BW2c、S1-F1c-BW3cからS3-F1c-BW3c、S8-F1c-BW3cからS10-F1c-BW3c、S1-F2c-BW3c)を予約し、前記少なくとも2つのサービング・エリア(BS1-C1、BS3ーC1)について前記少なくとも1つの第2アップリンク送信に関する少なくとも1つの第2無線リソース(S4-F1からS8-F1、S1-F1b-BW1からS10-F1b-BW1、S1-F2b-BW1、S1-F1b-BW3からS10-F1b-BW3、S1-F2b-BW3、S1-F1c-BW1cからS4-F1c-BW1c、S10-F1c-BW1c、S1-F2c-BW1c、S3-F1c-BW2cからS5-F1c-BW2c、S4-F1c-BW3cからS7-F1c-BW3c)をさらに予約するステップ(M1/11)と、
前記少なくとも1つの移動局(MS、MS1、MS2)に、前記少なくとも1つの第1無線リソース(S1-F1からS3-F1、S9-F1、S10-F1、S1-F2、S1-F1b-BW2からS10-F1b-BW2、S1-F2b-BW2、S5-F1c-BW1cからS9-F1c-BW1c、S1-F1c-BW2c、S2-F1c-BW2c、S6-F1c-BW2cからS10-F1c-BW2c、S1-F2c-BW2c、S1-F1c-BW3cからS3-F1c-BW3c、S8-F1c-BW3cからS10-F1c-BW3c、S1-F2c-BW3c)または前記少なくとも1つの第2無線リソース(S4-F1からS8-F1、S1-F1b-BW1からS10-F1b-BW1、S1-F2b-BW1、S1-F1b-BW3からS10-F1b-BW3、S1-F2b-BW3、S1-F1c-BW1cからS4-F1c-BW1c、S10-F1c-BW1c、S1-F2c-BW1c、S3-F1c-BW2cからS5-F1c-BW2c、S4-F1c-BW3cからS7-F1c-BW3c)を示す指示(IND3)を送信するステップ(M1/14)と、
前記少なくとも1つの移動局(MS、MS1、MS2)で、前記受信された指示(IND3)に基づいて、前記少なくとも1つの第1無線リソース(S1-F1からS3-F1、S9-F1、S10-F1、S1-F2、S1-F1b-BW2からS10-F1b-BW2、S1-F2b-BW2、S5-F1c-BW1cからS9-F1c-BW1c、S1-F1c-BW2c、S2-F1c-BW2c、S6-F1c-BW2cからS10-F1c-BW2c、S1-F2c-BW2c、S1-F1c-BW3cからS3-F1c-BW3c、S8-F1c-BW3cからS10-F1c-BW3c、S1-F2c-BW3c)に関して前記事前に定義された少なくとも1つの第1電力制御パラメータ(PCP1)を、または前記少なくとも1つの第2無線リソース(S4-F1からS8-F1、S1-F1b-BW1からS10-F1b-BW1、S1-F2b-BW1、S1-F1b-BW3からS10-F1b-BW3、S1-F2b-BW3、S1-F1c-BW1cからS4-F1c-BW1c、S10-F1c-BW1c、S1-F2c-BW1c、S3-F1c-BW2cからS5-F1c-BW2c、S4-F1c-BW3cからS7-F1c-BW3c)について前記事前に定義された少なくとも1つの第2電力制御パラメータ(PCP2)を適用するステップ(M1/16)と
をさらに含むことを特徴とする、方法(MET)。
第2 引用文献記載発明
1.引用文献及びその記載事項
原査定の理由において「引用文献1」として引用された特開2011-9866号公報(平成23年1月13日公開。)には,図面とともに次の記載がある。(下線は当審が付与。)
ア 記載事項1
【技術分野】
【0001】
本発明は、上りリンクのCoMP(Uplink Coordinated Multiple Point reception)時の送信電力を制御する無線基地局装置、移動端末装置及び送信電力制御方法に関する。
イ 記載事項2
【0003】
セル間干渉対策として、上りリンクの送信電力制御の果たす役割は大きく、無線基地局装置は、ユーザと無線基地局装置との間の伝搬ロス、及び、周辺セルに与える干渉を考慮して、所要の受信品質を満たすように移動端末装置の送信電力を制御することが要求される。LTEシステムにおいては、セル間干渉を考慮した送信電力制御法として、Fractional送信電力制御が採用されている。
【0004】
LTEシステムの上りリンクで送信する信号(PUSCH(Physical Uplink Shared Channel)、PUCCH(Physical Uplink Control Channel)、SRS(Sounding Reference Signal))の送信電力は、無線基地局装置が比較的長周期で通知するパラメータ及び移動端末装置が測定する伝搬ロスによる開ループ制御と、無線基地局装置と移動端末装置との間の通信状況(例えば、無線基地局装置での受信SINR(Signal to Interference plus Noise Ratio)に基づいて無線基地局装置が比較的短周期で通知するTPCコマンドによる閉ループ制御との組み合わせにより制御される。具体的には、PUSCHの送信電力は下記式(1)で与えられる(非特許文献1)。
PPUSCH(i)=min{PMAX, 10log10(MPUSCH(i))+P0_PUSCH(j)+α・PL+ΔTF(i)+f(i)} 式(1)
このFractional送信電力制御は、移動端末装置の伝搬ロスPLに応じて目標受信電力を設定する(開ループ制御のパラメータαで実現)ことにより、セル間干渉を低減することができる。
ウ 記載事項3
【0008】
一方、LTE-A(LTE-Advanced)システムでは、さらなるセル間干渉対策として、上りリンクマルチポイント受信(ULCoMP:Uplink Coordinated Multiple Point reception)が採用される予定である(3GPP TR36.814)。このULCoMPにおいては、図27に示すように、自セルの無線基地局装置で、移動端末装置から送信された所望信号を直接受信すると共に、移動端末装置から送信された所望信号を周辺セルの無線基地局装置を経由して受信する。すなわち、ULCoMPにおいては、従来の干渉波となる信号を所望信号として利用するため、上りリンクの受信品質を改善することができ、特に、セル端の移動端末装置の品質を改善することが期待できる。特に、LTE-Aシステムでは、従来の独立基地局構成に加えて、基地局本体から離れて位置する送受信点における無線装置であるリモート基地局(RRE:Remote Radio Equipment)を積極的に利用して、ULCoMPの効果を高めることが考えられている。
【0009】
しかしながら、このULCoMPは、従来の干渉波を所望信号として利用する技術であるため、LTEシステムにおける従来のセル間干渉低減技術(Fractional送信電力制御、UL Overload Indication、UL High Interference Indication)を採用すると、ULCoMPの利得を低減する恐れがある。また、ULCoMPは、その処理量が大きいために全ての移動端末装置に適用されるとは限らず、移動端末装置の伝搬環境に応じてULCoMP適用の有無が動的に制御されることが想定される。従来のセル間干渉低減技術とULCoMPとを併用する必要があるが、その実現法については確立されていないのが現状である。
【0010】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、従来のセル間干渉低減技術とULCoMPとを併用することができる無線基地局装置、移動端末装置及び送信電力制御方法を提供することを目的とする。
エ 記載事項4
【0016】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る無線基地局装置及び移動端末装置を有する無線通信システムを示す図である。
【0017】
無線通信システムは、例えばE-UTRA(Evolved UTRA and UTRAN)が適用されるシステムである。無線通信システムは、基地局装置(eNB:eNodeB)200(2001,2002・・・200l、lはl>0の整数)と、基地局装置200と通信する複数の移動端末(UE)100n(1001,1002,1003,・・・100n、nはn>0の整数)とを備える。基地局装置200は、上位局、例えばアクセスゲートウェイ装置300と接続され、アクセスゲートウェイ装置300は、コアネットワーク400と接続される。移動端末100nはセル50(501,502)において基地局装置200とE-UTRAにより通信を行っている。本実施の形態では、2個のセルについて示しているが、本発明は3個以上のセルについても同様に適用することができる。なお、各移動端末(1001,1002,1003,・・・100n)は、同一の構成、機能、状態を有するので、以下では特段の断りがない限り移動端末100nとして説明を進める。
【0018】
無線通信システムでは、無線アクセス方式として、下りリンクについてはOFDM(直交周波数分割多元接続)が適用され、上りリンクについてはSC-FDMA(シングルキャリア-周波数分割多元接続)が適用される。OFDMは、周波数帯域を複数の狭い周波数帯域(サブキャリア)に分割し、各サブキャリアにデータをマッピングして通信を行うマルチキャリア伝送方式である。SC-FDMAは、周波数帯域を端末毎に分割し、複数の端末が互いに異なる周波数帯域を用いることで、端末間の干渉を低減するシングルキャリア伝送方式である。
【0019】
ここで、E-UTRAにおける通信チャネルについて説明する。
下りリンクについては、各移動端末100nで共有される物理下りリンク共有チャネル(PDSCH:Physical Downlink Shared Channel)と、物理下りリンク制御チャネル(PDCCH:Physical Downlink Control Channel)とが用いられる。物理下りリンク制御チャネルは下りL1/L2制御チャネルとも呼ばれる。上記物理下りリンク共有チャネルにより、ユーザデータ、すなわち、通常のデータ信号が伝送される。また、物理下りリンク制御チャネルにより、下りスケジューリング情報(DL Scheduling Information)、送達確認情報(ACK/NACK)、上りスケジューリンググラント(UL Scheduling Grant)、TPCコマンド(Transmission Power Control Command)などが伝送される。下りスケジューリング情報には、例えば、物理下りリンク共有チャネルを用いて通信を行うユーザのIDや、そのユーザデータのトランスポートフォーマットの情報、すなわち、データサイズ、変調方式、再送制御(HARQ:Hybrid ARQ)に関する情報や、下りリンクのリソースブロックの割り当て情報などが含まれる。
【0020】
また、上りスケジューリンググラントには、例えば、物理上りリンク共有チャネルを用いて通信を行うユーザのIDや、そのユーザデータのトランスポートフォーマットの情報、すなわち、データサイズ、変調方式に関する情報や、上りリンクのリソースブロックの割り当て情報、上りリンクの共有チャネルの送信電力に関する情報などが含まれる。ここで、上りリンクのリソースブロックとは、周波数リソースに相当し、リソースユニットとも呼ばれる。
【0021】
また、送達確認情報(ACK/NACK)とは、上りリンクの共有チャネルに関する送達確認情報のことである。送達確認情報の内容は、送信信号が適切に受信されたことを示す肯定応答(ACK:Acknowledgement)又はそれが適切に受信されなかったことを示す否定応答(NACK:Negative Acknowledgement)の何れかで表現される。
【0022】
上りリンクについては、各移動端末100nで共有して使用される物理上りリンク共有チャネル(PUSCH:Physical Uplink Shared Channel)と、物理上りリンク制御チャネル(PUCCH:Physical Uplink Control Channel)とが用いられる。上記物理上りリンク共有チャネルにより、ユーザデータ、すなわち、通常のデータ信号が伝送される。また、物理上りリンク制御チャネルにより、下りリンクにおける共有物理チャネルのスケジューリング処理や適応変復調及び符号化処理(AMC:Adaptive Modulation and Coding scheme)に用いるための下りリンクの品質情報(CQI:Channel Quality Indicator)、及び物理下りリンク共有チャネルの送達確認情報が伝送される。
【0023】
物理上りリンク制御チャネルでは、CQIや送達確認情報に加えて、上りリンクの共有チャネルのリソース割り当てを要求するスケジューリング要求(Scheduling Request)や、パーシステントスケジューリング(Persistent Scheduling)におけるリリース要求(Release Request)などが送信されてもよい。ここで、上りリンクの共有チャネルのリソース割り当てとは、あるサブフレームの物理下りリンク制御チャネルを用いて、後続のサブフレームにおいて上りリンクの共有チャネルを用いて通信を行ってよいことを基地局装置が移動端末に通知することを意味する。
オ 記載事項5
【0027】
さらに、この無線通信システムでは、さらなるセル間干渉対策として、上りリンクマルチポイント受信(ULCoMP)も適用できるようになっている。このULCoMPにおいては、例えば、移動端末1002と接続している基地局装置2001において、移動端末1002からの所望信号を周辺セルの基地局装置2002を経由して受信する。すなわち、移動端末1002からの所望信号を複数セルの基地局装置2001,2002で受信する。
【0028】
図1に示す無線通信システムにおいて、LTEシステムにおけるセル間干渉低減技術(Fractional送信電力制御、ULOI、ULHII)と、ULCoMPとを併用することができるが、セル間干渉低減技術を適用してULCoMPを適用すると、上述したようにULCoMPの利得を低減する恐れがある。また、ULCoMPは、移動端末の伝搬環境に応じて適用の有無を動的に制御することが望ましい。
【0029】
そこで、本発明者らは、LTEシステムにおけるセル間干渉低減技術と、ULCoMPとを併用する際の課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、ULCoMP適用時に、ULCoMP非適用時の送信電力制御と異なる送信電力制御を用いることにより、ULCoMP適用時のULCoMP利得の低減を防止できることを見出し本発明をするに至った。すなわち、ULCoMP適用時には、セル端のユーザの移動端末に対して、ULCoMPの効果を高める送信電力制御(ULCoMPの利得を高める送信電力制御)を行い、ULCoMP非適用時には、セル端のユーザの移動端末に対して、セル間干渉を低減させる送信電力制御を行う。
【0030】
ULCoMP適用時に、ULCoMP非適用時の送信電力制御と異なる送信電力制御を用いるとは、ULCoMP適用時の送信電力制御パラメータとULCoMP非適用時の送信電力制御パラメータとを変えることである。ここで、送信電力制御パラメータとは、Fractional送信電力制御における上記式(1)のα・PL項の減衰係数αや伝搬ロスPL、上記式(1)のP0_PUSCH(j)、TPCコマンド、ULOI、ULHIIなどのLTEシステムでのセル間干渉低減技術における送信電力制御に用いられるパラメータをいう。
【0031】
本発明の送信電力制御方法において、ULCoMP適用時に、ULCoMP非適用時の送信電力制御と異なる送信電力制御を用いる場合には、必要に応じて、ULCoMPを適用する移動端末に対して、接続基地局装置がULCoMP適用であることを通知する。また、逆に、ULCoMPを適用している移動端末に対して、ULCoMP非適用(ULCoMP状態から抜ける)であることも通知する。
【0032】
ULCoMP適用/非適用は、例えば、次のようにして判断する。図2に示すように、移動端末1001と接続セルの基地局装置2001との伝搬ロス値PL1と、移動端末1001と最も伝搬ロスの小さい周辺セルの基地局装置2002(ULCoMP協力セルの基地局装置)との伝搬ロス値PL2と、の間の伝搬ロス差PLDiff(=PL2-PL1)が、所定の閾値XdB以内である場合に、接続セルの基地局装置2001が移動端末1001に対してULCoMPを適用する。なお、伝搬ロス差PLDiffについては、基地局装置2001が求める。この場合において、伝搬ロス値PL2については、X2インタフェースにより基地局装置2002より取得する。ただし、基地局装置2001での伝搬ロス値PL2の取得方法についてはこれに限定せず、例えば、基地局装置2001と接続している移動端末1001より取得しても良い。あるいは、移動端末1001において伝搬ロス差PLDiffを計算し、PLDiffを接続セルの基地局装置2001に通知してもよい。なお、ULCoMP協力セルの基地局装置2002が接続セルの基地局装置2001と同一基地局装置であっても良い。また、ULCoMP適用/非適用の判断は、これに限定されず、適宜変更することができる。
【0033】
ULCoMP適用/非適用の情報は、ULCoMPを適用する移動端末に対して、例えば、PDSCHを介してHigher layer signalingで通知する。具体的には、ULCoMP非適用からULCoMP適用に変わる場合に”1”をシグナリングし、ULCoMP適用からULCoMP非適用に変わる場合に”0”を通知する。また、ULCoMP適用/非適用の情報は、ULCoMPを適用する移動端末に対して、例えば、PDCCHを介してL1/L2 signalingで通知する。具体的には、ULCoMP適用時は(常に)“1”を通知し、ULCoMP非適用時は(常に)”0”を通知する。なお、ULCoMP適用/非適用の情報の通知は、これらに限定されず、適宜変更することができる。
【0034】
本発明の送信電力制御方法において、ULCoMP適用時に、ULCoMP非適用時の送信電力制御と異なる送信電力制御を用いる態様として以下のものがある。
【0035】
(態様1)
この態様においては、ULCoMP適用時とULCoMP非適用時とで、Fractional送信電力制御における上記式(1)のα・PL項の減衰係数αの値を変える(減衰係数を2つ準備する)。すなわち、ULCoMPを適用する移動端末に対しては、Fractional送信電力制御の減衰係数αの値を別途設定可能にする。ULCoMPを適用する移動端末には、ULCoMP利得を低減させないように、送信電力を下げる必要はない。このため、当該移動端末に対しては減衰係数αの値を上げてULCoMPの効果を高める。
【0036】
この態様においては、図3に示すように、ULCoMP適用の移動端末1001用の減衰係数α1と、ULCoMP非適用の移動端末1002用の減衰係数α2とを用いる。この減衰係数α1,α2は、PBCH(Physical Broadcast Channel)を介して報知しても良く、PDSCHを介したHigher layersignalingで個別に通知しても良く、PDCCHを介したL1/L2 signalingで個別に通知しても良い。減衰係数α1,α2をPBCHで報知する場合においては、例えば、ULCoMP適用用の減衰係数α1の値はULCoMP非適用用の減衰係数α2の値よりも大きくしても良く、減衰係数α1の値を1.0の固定としても良い。また、減衰係数α1,α2をPDSCHやPDCCHで通知する場合には、全てのULCoMP適用移動端末に対して一律に同じ減衰係数α1を通知しても良く、移動端末毎に異なる減衰係数α1を通知しても良い。なお、減衰係数α1,α2をPBCHで報知する場合については、上述したように、ULCoMP適用/非適用の情報を移動端末に通知する必要がある。
カ 図面記載事項
図1として次の記載がある。
図2として次の記載がある。
図3として次の記載がある。
図27として次の記載がある。
2.引用文献記載発明
上記の記載によれば,引用文献1には次の発明(以下「引用文献記載発明」という。)が記載されているということができる。
以下において,引用文献1では,「移動端末装置」と「移動端末」との記載,「無線基地局装置」と「基地局装置」との記載が混在している。しかし,これらは単なる表記の違いであることが,引用文献1における記載全体から明白であるので,「移動端末」は「移動端末装置」と,「基地局装置」は「無線基地局装置」と表記する。
[引用文献記載発明]
上りリンクのCoMP(Uplink Coordinated Multiple Point reception)時の送信電力を制御する送信電力制御方法に関し,
LTE-A(LTE-Advanced)システムでは,上りリンクマルチポイント受信(「ULCoMP」:Uplink Coordinated Multiple Point reception)において,自セルの無線基地局装置で,移動端末装置から送信された所望信号を直接受信するとともに,移動端末装置から送信された所望信号を周辺セルの無線基地局装置を経由して受信し,
無線通信システムは,無線基地局装置(eNB:eNodeB)(200(2001,2002・・・200l,lはl>0の整数))と,無線基地局装置200と通信する複数の移動端末装置(UE)(100n(1001,1002,1003,・・・100n,nはn>0の整数))とを備え,
移動端末装置(100n)はセル(50(501,502))において無線基地局装置(200)とE-UTRAにより通信を行っており,
下りリンクについては、各移動端末装置(100n)で共有される物理下りリンク共有チャネル(「PDSCH」:Physical Downlink Shared Channel)と、物理下りリンク制御チャネル(「PDCCH」:Physical Downlink Control Channel)とが用いられ,
上記物理下りリンク共有チャネルにより,ユーザデータ,すなわち,上りスケジューリンググラント(UL Scheduling Grant)などが伝送され,
上りスケジューリンググラントには,上りリンクのリソースブロックの割り当て情報,上りリンクの共有チャネルの送信電力に関する情報などが含まれ,ここで,上りリンクのリソースブロックとは,周波数リソースに相当し,リソースユニットとも呼ばれ,
上記無線通信システムでは,さらなるセル間干渉対策として,ULCoMPも適用できるようになっており,該ULCoMPにおいては,移動端末装置(1002)と接続している無線基地局装置(2001)において,移動端末装置(1002)からの所望信号を周辺セルの無線基地局装置(2002)を経由して受信する,すなわち,移動端末装置(1002)からの所望信号を複数セルの無線基地局装置(2001,2002)で受信し,
ULCoMP適用時に,ULCoMP非適用時の送信電力制御と異なる送信電力制御を用い,ULCoMP適用時の送信電力制御パラメータとULCoMP非適用時の送信電力制御パラメータとを変え,ここで,送信電力制御パラメータとは,Fractional送信電力制御における減衰係数αなどのLTEシステムでのセル間干渉低減技術における送信電力制御に用いられるパラメータをいい,
ULCoMP適用時に,ULCoMP非適用時の送信電力制御と異なる送信電力制御を用いる場合には,必要に応じて,ULCoMPを適用する移動端末に対して,接続基地局装置がULCoMP適用であることを通知し,また,逆に,ULCoMPを適用している移動端末に対して,ULCoMP非適用(ULCoMP状態から抜ける)であることも通知し,
ULCoMP適用/非適用の情報は,ULCoMPを適用する移動端末装置に対して,ULCoMP非適用からULCoMP適用に変わる場合に”1”をシグナリングし,ULCoMP適用からULCoMP非適用に変わる場合に”0”を通知し,
送信電力制御方法において,ULCoMP適用時に,ULCoMP非適用時の送信電力制御と異なる送信電力制御を用いる態様として,
ULCoMP適用の移動端末装置(1001)用の減衰係数α1と,ULCoMP非適用の移動端末装置(1002)用の減衰係数α2とを用い,
上記減衰係数α1,α2は,PBCH(Physical Broadcast Channel)を介して報知しても,PDSCHを介したHigher layersignalingで個別に通知しても良く,なお,減衰係数α1,α2をPBCHで報知する場合については,ULCoMP適用/非適用の情報を移動端末装置に通知する必要がある
上りリンクのCoMP時の送信電力を制御する送信電力制御方法。
第3 当審の判断
1.対比
本願発明と引用文献記載発明を比較すると次のことがいえる。
以下において,本願発明における括弧書きの内容は,請求項の記載を理解するための必要で記された事項(特許法施行規則第24条の3,第24条の4,及び様式第29の2[備考]14 ロ参照。)であるから,上記括弧書きの内容は,本願発明を特定する事項としない。
ア 引用文献記載発明における「移動端末装置」,「セル(501,502)」は,本願発明における「移動局」,「サービング・エリア」にそれぞれ相当する。
イ 引用文献記載発明には,「ULCoMPが適用される移動端末装置(1002)と接続している無線基地局装置(2001)において,移動端末装置(1002)からの所望信号を周辺セルの無線基地局装置(2002)を経由して受信する,すなわち,ULCoMP適用の移動端末装置(1002)からの所望信号を複数セルの無線基地局装置(2001,2002)で受信」することが開示されている。
このとき,「ULCoMP」適用の「移動端末装置(1002)」からの所望信号を受信する「複数セルの無線基地局装置(2001,2002)」は,「マルチポイント受信器」ということができる。
また,無線基地局装置が,信号を送信若しくは受信する「アンテナシステム」を有することは当然である。
一方,ULCoMPが適用されないとき,「移動端末装置(1001,1002)」からの所望信号は,単一のセル(501)の無線基地局装置(2001)でのみ受信されることは明らかである。
このとき,ULCoMP非適用の「移動端末装置(1001,1002)」からの所望信号を受信する無線基地局装置(2001)」は,「シングルポイント受信器」ということができる。
ウ 引用文献記載発明は「上りリンクのCoMP時の送信電力を制御する送信電力制御方法」に係るものであるところ,上記イに述べた事項を踏まえれば,引用文献記載発明は,「少なくとも1つの移動端末装置から無線通信システムの少なくとも2つのアンテナ・システムを含むマルチポイント受信器への少なくとも1つのアップリンク送信の送信電力、および前記少なくとも1つの移動局からの少なくとも1つのアップリンク送信電力を制御する方法」ということができる。
このことから,引用文献記載発明において,「ULCoMPを適用して,移動端末装置から,接続している無線局装置及び周辺セルの無線基地局装置への所望信号の送信」は,本願発明における「第1アップリンク送信」に相当するということができる。
一方,本願発明における「第2アップリンク送信」は,「無線通信システムの単一のアンテナ・システムであるシングルポイント受信器へのアップリンク送信である」。
このことを上記イに述べたことに照らしてみると,「ULCoMPが適用されないとき,移動端末装置から,接続した無線基地局装置への所望信号の送信」が,本願発明における「第2アップリンク送信」に相当するということができる。
以上のことを総合すると,本願発明と引用文献記載発明は,「少なくとも1つの移動局から無線通信システムの少なくとも2つのアンテナ・システムを含むマルチポイント受信器への少なくとも1つの第1アップリンク送信の送信、および前記少なくとも1つの移動局からの少なくとも1つの第2アップリンク送信を調整する方法」の点で共通するといえる。
エ 引用文献記載発明における「減衰係数(α,α1,α2)」が「電力制御パラメータ」といえることは明らかである。
そして,該「減衰係数(α,α1,α2)」に関しては,「Fractional送信電力制御」のために定義される係数であることは明らかである。
そうしてみると,該「減衰係数(α,α1,α2)」に関しては,「事前に定義された電力制御パラメータ」ということができる。
ここで,本願発明における「第1電力制御パラメータ」は「第1アップリンク送信について」のものであり,また,「第2電力制御パラメータ」は「第2アップリンク送信について」のものである。
このことを上記ウに述べたことに照らしてみると,引用文献記載発明においては,「ULCoMP適用の移動端末装置用」の「減衰係数」が本願発明における「第1電力制御パラメータ」に相当するということができ,一方,「ULCoMP非適用の移動端末装置用」の「減衰係数」が本願発明における「第2電力制御パラメータ」に相当するということができる。
以上のことから,引用文献記載発明には,本願発明と同様の「少なくとも1つの第1アップリンク送信について少なくとも1つの第1電力制御パラメータを事前に定義するステップ」、及び「少なくとも1つの第2アップリンク送信について少なくとも1つの第2電力制御パラメータを事前に定義するステップ」が開示されているといえる。
更に,引用文献記載発明における「ULCoMP適用の移動端末装置用」の「減衰係数」も,「ULCoMP非適用の移動端末装置用」の「減衰係数」もともに,移動端末装置に報知若しくは通知されるものであることは明白である。
このことから,引用文献記載発明には,本願発明と同様の「少なくとも1つの移動局に事前に定義された少なくとも1つの第1電力制御パラメータおよび事前に定義された少なくとも1つの第2電力制御パラメータを送信するステップ」が開示されているといえる。
オ 引用文献記載発明における「無線通信システム」が,少なくとも2つの「無線基地局装置」を備えており,該「無線基地局装置」はそれぞれ「セル」を形成することは明らかである。
そして,該「セル」内で,「移動端末装置」が「無線基地局装置」と通信を行う際,
該「無線基地局装置」が割り当てた「無線リソース」を介して通信を行うことは当然である。
ここで,上記「移動端末装置」に割り当てられた「無線リソース」は,他の「移動端末装置」に割り当てられないことは明らかである。
このことから,「無線リソース」の「割り当て」は,「無線リソース」の「予約」と換言することができる。
カ 上記オに述べたことを踏まえ,引用文献記載発明における「自セル」及び「周辺セル」(501,502)の2つの「セル」についてみると,これら2つの「セル」それぞれの「無線基地局装置」(図1の2001,2002参照。)では,「ULCoMP適用」の「移動端末装置」(図1の1002参照。)の「通信」のための「無線リソース」を「予約」しているということができ,また,「ULCoMP非適用」の「移動端末装置」(図1の1001,1003参照。)の「通信」のための「無線リソース」を「予約」しているということができる。
このことと,上記ウに述べたことを併せてみると,引用文献記載発明には,本願発明と同様に,「無線通信システムの少なくとも2つのサービング・エリアについて少なくとも1つの第1アップリンク送信に関する少なくとも1つの無線リソースを予約し、前記少なくとも2つのサービング・エリアについて少なくとも1つの第2アップリンク送信に関する少なくとも1つの無線リソースをさらに予約するステップ」が開示されているということができる。
そうしみると,「少なくとも1つの第1アップリンク送信」に関する「少なくとも1つの無線リソース」は本願発明における「第1無線リソース」に相当し,一方,「少なくとも1つの第2アップリンク送信」に関する「少なくとも1つの無線リソース」は本願発明における「第2無線リソース」に相当するということができる。
キ 引用文献記載発明においては,ULCoMP適用/非適用の情報は,「移動端末装置」に対して,「ULCoMP非適用からULCoMP適用に変わる場合」に「”1”」をシグナリングし,「ULCoMP適用からULCoMP非適用に変わる場合」に「”0”」を通知する。
これら「”1”」又は「”0”」を受信することによって,引用文献記載発明における「移動端末装置」は,上記カに述べたような「第1無線リソース」又は「第2無線リソース」を介し,「無線基地局装置」と通信を行うようになる。
このことから,上記「”1”」,「”0”」は,「移動端末装置」に,「第1無線リソース」又は「第2無線リソース」を示す「指示」であるということができる。
そうしてみると,引用文献記載発明には,本願発明と同様,「少なくとも1つの移動局に、少なくとも1つの第1無線リソースまたは前記少なくとも1つの第2無線リソースを示す指示を送信するステップ」が開示されているということができる。
ク 上記キにも述べたように,引用文献記載発明においては,受信された「”1”」又は「”0”」に基づいて,「移動端末装置」は,「ULCoMP非適用からULCoMP適用」に変わり,又は「ULCoMP適用からULCoMP非適用」に変わる。
ここで,上記エにおいて述べたことを踏まえれば,上記のように「ULCoMP適用」に変わった場合,「移動端末装置」で,「事前に定義された第1電力制御パラメータ」を適用するようになることは当然であり,該「第1電力制御パラメータ」が「第1無線リソース」に関するものであることは明らかである。
一方,上記のように「ULCoMP非適用」に変わった場合,「移動端末装置」で,「事前に定義された第2電力制御パラメータ」を適用するようになることは当然であり,該「第2電力制御パラメータ」が「第2無線リソース」に関するものであることは明らかである。
以上のことから,引用文献記載発明には,本願発明と同様,「少なくとも1つの移動局で、受信された指示に基づいて、前記少なくとも1つの第1無線リソースに関して事前に定義された少なくとも1つの第1電力制御パラメータを、または少なくとも1つの第2無線リソースについて事前に定義された少なくとも1つの第2電力制御パラメータを適用するステップ」が開示されているということができる。
ケ 上記アからクより,本願発明と引用文献記載発明は,次の点で一致し,相違するといえる。
[一致点]
少なくとも1つの移動局から無線通信システムの少なくとも2つのアンテナ・システムを含むマルチポイント受信器への少なくとも1つの第1アップリンク送信、
および前記少なくとも1つの移動局からの少なくとも1つの第2アップリンク送信を調整する方法であって、
前記少なくとも1つの第1アップリンク送信について少なくとも1つの第1電力制御パラメータを事前に定義するステップと、
前記少なくとも1つの第2アップリンク送信について少なくとも1つの第2電力制御パラメータを事前に定義するステップと、
前記少なくとも1つの移動局に前記事前に定義された少なくとも1つの第1電力制御パラメータおよび前記事前に定義された少なくとも1つの第2電力制御パラメータを送信するステップと、
を含む方法において、
前記少なくとも1つの第2アップリンク送信が、前記無線通信システムの単一のアンテナ・システムであるシングルポイント受信器へのアップリンク送信であり、前記方法が、
前記無線通信システムの少なくとも2つのサービング・エリアについて前記少なくとも1つの第1アップリンク送信に関する少なくとも1つの第1無線リソースを予約し、前記少なくとも2つのサービング・エリアについて前記少なくとも1つの第2アップリンク送信に関する少なくとも1つの第2無線リソースをさらに予約するステップと、
前記少なくとも1つの移動局に、前記少なくとも1つの第1無線リソースまたは前記少なくとも1つの第2無線リソースを示す指示を送信するステップと、
前記少なくとも1つの移動局で、前記受信された指示に基づいて、前記少なくとも1つの第1無線リソースに関して前記事前に定義された少なくとも1つの第1電力制御パラメータを、または前記少なくとも1つの第2無線リソースについて前記事前に定義された少なくとも1つの第2電力制御パラメータを適用するステップと
をさらに含むことを特徴とする、方法。
[相違点]
本願発明は,「前記少なくとも1つの移動局で、前記事前に定義された少なくとも1つの第1電力制御パラメータおよび前記事前に定義された少なくとも1つの第2電力制御パラメータを格納するステップ」を含むことが特定されているのに対し,引用文献記載発明においては,これら「第1電力制御パラメータ」および「第2電力制御パラメータ」を「格納する」ことの特定がない点で相違する。
2.検討
上記相違について検討するに,引用文献記載発明においては,「移動端末装置」が,「ULCoMP非適用からULCoMP適用に変わる場合」に「”1”」を,「ULCoMP適用からULCoMP非適用に変わる場合」に「”0”」を受信することによって,「第1電力制御パラメータ」又は「第2電力制御パラメータ」を適用することによって,「無線基地局装置」に送信をすることは明らかである。
このような適用をし,送信するには,受信した「”1”」又は「”0”」それぞれに対応する「電力制御パラメータ」を,「移動端末装置」が予め保持することを要すると解するのが自然である。
そうしてみると,引用文献記載発明においても,「移動端末装置」が,「電力制御パラメータ」予め保持するため,相違点のように,「第1電力制御パラメータ」および「第2電力制御パラメータ」を「格納する」ステップを構成することは,当業者が適宜なしえた事項であるといえる。
そして,本願発明のように構成したことによる効果も,引用文献記載発明から予測できる程度のものである。
3.まとめ
したがって,本願発明は,引用文献記載発明に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるということができる。
第4 むすび
以上のとおりであるから,本願発明は,特許法第29条第2項の規定に該当する。
したがって,本願は,他の請求項について論及するまでもなく,拒絶すべきものである。
よって,結論のとおり審決する。
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2016-011054