特許拒絶査定不服審判
2016-005688
トランジスタの製造方法、表示装置の製造方法および電子機器の製造方法
- 審判番号
- 2016-005688
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2011-257437外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2016年04月18日
- 審決日
- 2017年06月26日
- 公報発行日
- 2017年09月29日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】ソニー株式会社
- 【請求人代理人】特許業務法人つばさ国際特許事務所
- 分類
- P18 .121-WZ (H01L)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2011-257437「トランジスタの製造方法、表示装置の製造方法および電子機器の製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 6月10日出願公開、特開2013-115098〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、平成23年11月25日の出願であって、平成26年10月23日付で審査請求がなされるとともに、同日付で手続補正がなされ、平成27年10月16日付で拒絶理由が通知され、同年11月17日付で意見書が提出されるとともに、同日付で手続補正がなされたが、平成28年1月12日付で拒絶査定がなされたものである。
これに対して、平成28年4月18日付けで審判請求がなされるとともに、同日付で手続補正がなされ、当審において平成29年1月24日付で拒絶理由が通知され、同年3月29日付で意見書が提出されるとともに、同日付で手続補正がなされたものである。
第2 本願発明
本願の請求項1に係る発明は、平成29年3月29日付の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである(以下「本願発明」という。)。
「ゲート電極を形成する工程と、
絶縁層を間にして前記ゲート電極に対向する半導体層を形成する工程と、
前記半導体層上に、フォトリソグラフィー法を用いてエッチングストッパ層を形成する工程と、
前記エッチングストッパ層上および前記半導体層上にコンタクト材料膜を形成する工程と、
前記コンタクト材料膜上に、平面視において、前記コンタクト材料膜の面形状を全て覆う一対のソース・ドレイン電極を形成する工程と、
前記コンタクト材料膜をエッチングすることにより、前記エッチングストッパ層上において対向し、それぞれが前記エッチングストッパ層の上面から前記半導体層の上面まで連続して、または一部が分断されて設けられた一対のコンタクト層を形成するとともに、各コンタクト層を介して前記一対のソース・ドレイン電極を前記半導体層に電気的に接続する工程と
を含み、
平面視における前記エッチングストッパ層の形成領域以外の領域では、
前記一対のコンタクト層の端面と前記半導体層の端面とが一致し、
前記一対のソース・ドレイン電極は、前記一対のコンタクト層の端面と前記半導体層の端面とを覆って、かつ前記絶縁層に接して形成されている
トランジスタの製造方法。」
第3 当審の拒絶理由の概要
当審において平成29年1月24日付で通知した拒絶理由(以下、「当審の拒絶の理由」という。)のうち特許法第29条第2項に関する拒絶理由(理由B)の概要は以下のとおりである。
「B.この出願の下記の請求項に係る発明は,その出願前に日本国内又は外国において,頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて,その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
記
<引用文献等一覧>
引用例1:特開2005-346043号公報
引用例2:特開2008-77074号公報
引用例3:特開2011-77500号公報
引用例4:特開2011-159909号公報
請求項1,2,4,6,7,9,10
引用例:1-3
備考
引用例1の「(実施の掲載4)」として記載された発明と、上記請求項に記載された発明は、以下の点で相違し、その余の点で一致する。
[相違点1]
上記請求項に記載された発明は「一対のソース・ドレイン電極」が、「平面視において、前記一対のコンタクト層の面形状を全て覆」っており、また、「平面視における前記エッチングストッパ層の形成領域以外の領域では、」「前記一対のコンタクト層の端面と前記半導体層の端面とを覆って、かつ前記絶縁層に接して形成されている」のに対して、引用例1の「(実施の掲載4)」として記載された発明は、どのような構成になっているのか不明である点。
上記相違点について検討する。
[相違点1]について
引用例1図12(B),図14、および引用例2図9,図10に記載されているように、平面視において、一対のソース・ドレイン電極が、一対のコンタクト層の面形状を全て覆い、また、一対のソース・ドレイン電極の分離された部分を除き、一対のコンタクト層の端面と半導体層の端面とを覆って、かつ絶縁層に接するようにすることは、公知の構成である。
そして、引用例1の「(実施の掲載4)」として記載された発明において、該公知技術を採用し、上記請求項に記載された発明と同様の構成とすることは、当業者が適宜為し得たことである。
なお、「コンタクト層」を「前記エッチングストッパ層の上面から前記半導体層の上面まで」「一部が分断されて設け」ることは、引用例3図4に記載されているように公知の技術であるから、引用例1の「(実施の掲載4)」として記載された発明において、該公知技術を採用することに格別の困難性は認められない。」
第4 当審の判断
1 引用例について
(1)引用例1
ア 引用例1の記載について
当審の拒絶の理由に引用された、本願の出願前に日本国内で頒布された刊行物である特開2005-346043号公報(以下、「引用例1」という。)には、図面とともに、以下のことが記載されている。(なお、下線は、当審において付与した。以下、同じ。)
(ア)「【0001】
本発明は、インクジェット法に代表される液滴吐出法を用いて形成した画素電極を有する表示装置その作製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ガラス基板上の薄膜トランジスタ(以下「TFT」ともいう。)に代表される半導体素子によって構成される所謂アクティブマトリクス駆動方式の表示パネルは、フォトマスクを使った露光工程(以下、フォトリソグラフィー工程と示す。)によりパターニングした後、各種薄膜をエッチングすることにより製造されている。
【0003】
フォトリソグラフィー工程は、レジストを基板全面に塗布しプリベークを行った後、フォトマスクを介して紫外線等を照射し、現像によってレジストパターンを形成する。この後、該レジストパターンをマスクパターンとして膜パターンとなるべき部分に存在する薄膜(半導体材料、絶縁体材料、又は導電体材料で形成される膜)をエッチング除去して、半導体領域、電極、配線等の膜パターンを形成し、半導体素子を形成している。
【0004】
また、成膜に要する原料のロスを低減するため、レジストをノズルから細径の線状に連続吐出できる装置を用いて、半導体ウェハ上に成膜を行う技術が特許文献1に記載されている。
【特許文献1】特開2000-188251号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のフォトリソグラフィー工程を用いた膜パターンの形成工程において、スピンコート法を用いてマスクパターンの原料であるレジストを基板上に塗布するため、レジストの材料の大部分が無駄になると共に、マスクパターン形成するための工程数が多く、スループットが低下するという問題がある。
【0006】
また、フォトリソグラフィー工程に用いられる露光装置は、大面積基板を一度に露光処理することが困難である。このため、大面積基板を用いた表示装置のアクティブマトリクス基板の作製方法においては、複数の露光回数を必要であり、隣り合うパターンとの不整合が生じることにより、歩留まりが低下するという問題がある。
【0007】
本発明は、このような状況に鑑みなされたものであり、少ない工程数で、且つ歩留まり高く表示装置を作製する方法を提供する。」
(イ)「【0066】
(実施の形態3)
本実施の形態では、表示装置のアクティブマトリクス基板の作製方法について図3を用いて説明する。本実施の形態では、画素駆動素子として、ボトムゲートのチャネルエッチ型TFTを用いて説明する。なお、実施の形態1を用いて第2の導電層301を形成するがこれに限定されず、実施の形態2を用いることができる。
・・・ 中 略 ・・・
【0084】
第2の半導体膜305は導電性を有する。nチャネル型のTFTを形成する場合には、15属の元素、代表的にはリンまたはヒ素を添加する。また、pチャネルTFTを形成する場合には、13属の元素、代表的にはボロンを添加する。第2の半導体膜は、珪化物気体にボロン、リン、ヒ素のような13属又は15属の元素を有する気体を加えたプラズマCVD法で成膜する。また、半導体膜を成膜したのち、13属または15属の元素を有する組成物を半導体膜上に塗布しレーザビームを照射して導電性を有する第2の半導体膜を形成することができる。レーザビームとしては、公知のパルス発振のレーザ又は連続発振のレーザから射出されるレーザビームを適宜用いる。
【0085】
次に、第2の半導体膜305上に第3のマスクパターン306を形成する。第3のマスクパターンは、耐熱性高分子材料を用いて形成することが好ましく、芳香環又は複素環を主鎖にもち、脂肪族部分に少なくとも高極性のヘテロ原子基を含む高分子を液滴吐出により吐出して形成することが好ましい。そのような高分子物質の代表例としてはポリイミド又はポリベンゾイミダゾールなどが挙げられる。ポリイミドを用いる場合には、ポリイミドを含む組成物を、吐出口から第2の半導体膜305上に吐出し、200℃で30分焼成して形成することができる。」
(ウ)「【0102】
(実施の形態4)
本実施の形態では、表示装置のアクティブマトリクス基板の作製方法について図4を用いて説明する。本実施の形態では、画素駆動素子としてボトムゲートのチャネル保護型TFTを用いて説明する。なお、実施の形態1を用いて第2の導電層301を形成するがこれに限定されず、実施の形態2を用いることができる。
【0103】
図4(A)及び図4(B)に示すように、実施の形態3と同様の工程により基板1001上に画素電極として機能する第2の導電層301を形成する。この後、第2のマスクパターン1004を除去する。
【0104】
次に、図4(C)に示すように、実施の形態3と同様に、基板1001上にゲート電極として機能する第3の導電層302を形成した後、第2の導電層301及び第3の導電層302上にゲート絶縁膜として機能する第1の絶縁層303、第1の半導体膜304を形成する。次に、第1の半導体膜304上であって、且つ第3の導電層302に重畳する領域に保護膜401を形成する。保護膜401の形成方法及び材料は、実施の形態3に示す第3のマスクパターン306と同様のものを用いることができる。
【0105】
次に、第2の半導体膜(導電性を有する半導体膜)405を成膜する。なお、第2の半導体膜405は、実施の形態3の第2の半導体膜305と同様の材料及び作製方法により形成することができる。次に、第3のマスクパターン406を形成する。第3のマスクパターン406は、実施の形態3の第3のマスクパターン306と同様の材料及び形成方法に形成する。
【0106】
次に、第3のマスクパターンを用いて、図4(D)に示すように、第1の半導体膜および第2の半導体膜をエッチングし、第1の半導体領域411及び第2の半導体領域413を形成する。この後、第3のマスクパターンを除去する。次に、実施の形態3と同様に開口部321を形成する。
【0107】
次に、図4(E)に示すように、第1の半導体領域411及び開口部321上にソース電極及びドレイン電極として機能する第4の導電層422を、導電性材料を用いて形成する。次に、第4の導電層422をマスクとして、第1の半導体領域411の露出部をエッチングして分断してソース領域及びドレイン領域412を形成する。この工程により、保護膜401が露出される。
【0108】
なお、ソース領域及びドレイン領域の形成方法は、本実施の形態に限られず実施の形態3に示される第1の半導体領域の作製工程を用いても良い。また、本実施の形態のソース領域及びドレイン領域の形成工程を実施の形態3に適用しても良い。
【0109】
以上の工程により、表示装置のアクティブマトリクス基板を歩留まり高く作製することができる。」
イ 引用例1発明および引用例1記載事項について
上記アの記載から、引用例1には、実質的に次の発明(以下、「引用例1発明」という。)が記載されているものと認められる。
「画素駆動素子として機能するボトムゲートのチャネル保護型TFTの作製方法であって、
基板1001上にゲート電極として機能する第3の導電層302を形成し、
第3の導電層302上にゲート絶縁膜として機能する第1の絶縁層303、第1の半導体膜304を形成し、
第1の半導体膜304上であって、且つ第3の導電層302に重畳する領域に、液滴吐出により吐出して保護膜401を形成し、
第2の半導体膜(導電性を有する半導体膜)405を成膜し、
第3のマスクパターン406を形成し、
第3のマスクパターンを用いて、第1の半導体膜および第2の半導体膜をエッチングし、第1の半導体領域411及び第2の半導体領域413を形成し、
第3のマスクパターンを除去し、
第1の半導体領域411上にソース電極及びドレイン電極として機能する第4の導電層422を、導電性材料を用いて形成し、
第4の導電層422をマスクとして、第1の半導体領域411の露出部を保護膜401が露出するまでエッチングして分断してソース領域及びドレイン領域412を形成する、
ボトムゲートのチャネル保護型TFTの作製方法。」
また、上記(ア)の記載から、実質的に次の事項(以下、「引用例1記載事項」という。)が記載されているものと認められる。
「従来、アクティブマトリクス駆動方式の表示パネルは、フォトリソグラフィー工程によりパターニングした後、各種薄膜をエッチングすることにより製造されていたが、フォトリソグラフィー工程に用いられる露光装置では、大面積基板を一度に露光処理することが困難であることから、大面積基板を用いた表示装置のアクティブマトリクス基板の作製方法においては、複数の露光回数を必要であり、歩留まりが低下するという問題があり、このことを解決する為に、インクジェット法に代表される液滴吐出法を用いて画素電極形成すること。」
(2)引用例2
ア 引用例2の記載について
当審の拒絶の理由に引用された、本願の出願前に日本国内で頒布された刊行物である特開2008-77074号公報(以下、「引用例2」という。)には、図面とともに、以下のことが記載されている。
(ア)「【0004】
本発明は、TFT及びそれを用いる電子回路並びにTFTによって形成される表示装置の製造工程においてフォトリソグラフィ工程の回数を削減し、製造工程を簡略化し、一辺が1メートルを越えるような大面積の基板にも、低いコストで歩留まり良く製造することができる技術を提供することを目的とする。」
(イ)「【0091】
本発明の実施の形態について、図8乃至図13を用いて説明する。より詳しくは、本発明を適用した、逆スタガ型の薄膜トランジスタを有する表示装置の作製方法について説明する。図8乃至図12の(A)は表示装置画素部の上面図であり、図8乃至図12の(B)は、図8乃至図12の(A)における線A-Cによる断面図、(C)は線B-Dによる断面図である。図13(A)(B)も表示装置の断面図である。」
(ウ)「【0098】
次に、ゲート電極層103、104(104a、104b)の上にゲート絶縁層105を形成する(図8(A)乃至(C)参照。)。ゲート絶縁層105としては、珪素の酸化物材料又は窒化物材料等の材料で形成すればよく、積層でも単層でもよい。本実施の形態では、窒化珪素膜、酸化珪素膜の2層の積層を用いる。またそれらや、酸化窒化珪素膜の単層、3層以上からなる積層でも良い。好適には、緻密な膜質を有する窒化珪素膜を用いるとよい。また、液滴吐出法で形成される導電層に銀や銅などを用いる場合、その上にバリア膜として窒化珪素膜やNiB膜を形成すると、不純物の拡散を防ぎ、表面を平坦化する効果がある。なお、低い成膜温度でゲートリーク電流の少ない緻密な絶縁膜を形成するには、アルゴンなどの希ガス元素を反応ガスに含ませ、形成される絶縁膜中に混入させると良い。」
(エ)「【0110】
本実施の形態では、半導体層108、109及び一導電型を有する半導体層110、111として非晶質半導体層を形成する。本実施の形態では、一導電型を有する半導体膜として、n型を付与する不純物元素であるリン(P)を含むn型を有する半導体膜を形成する。一導電型を有する半導体膜は、ソース領域及びドレイン領域として機能する。一導電型を有する半導体膜は必要に応じて形成すればよく、n型を付与する不純物元素(P、As)を有するn型を有する半導体膜やp型を付与する不純物元素(B)を有するp型を有する半導体膜を形成することができる。」
(オ)「【0114】
次にソース電極層又はドレイン電極層116、117、118、119を形成する。ソース電極層又はドレイン電極層116、117、118、119は、Ag(銀)、Au(金)、Cu(銅)、W(タングステン)、Al(アルミニウム)、Mo(モリブデン)、Ta(タンタル)、Ti(チタン)から選ばれた元素、又は前記元素を主成分とする合金材料もしくは化合物材料等を用いることができる。また、透光性を有するインジウム錫酸化物(ITO)、酸化珪素を含むインジウム錫酸化物(ITSO)、有機インジウム、有機スズ、酸化亜鉛、窒化チタンなどを組み合わせても良い。
【0115】
ソース電極層又はドレイン電極層116、117、118、119は、スパッタリング法、PVD法(Physical Vapor Deposition)、減圧CVD法(LPCVD法)、またはプラズマCVD法等のCVD法(Chemical Vapor Deposition)などを用いて形成し、マスク層を用いて加工して形成することができる。また、構成物が所望のパターンに転写、または描写できる方法、例えば各種印刷法(スクリーン(孔版)印刷、オフセット(平版)印刷、凸版印刷やグラビア(凹版)印刷など所望なパターンで形成される方法)、液滴吐出法、ディスペンサ法、選択的な塗布法なども用いることができる。」
(カ)「【0119】
ゲート絶縁層105に形成した開口107において、ソース電極層又はドレイン電極層117とゲート電極層104aとを電気的に接続させる。ソース電極層又はドレイン電極層118の一部は容量素子を形成する。ソース電極層又はドレイン電極層116、117、118、119を形成した後、半導体層108、109、一導電型を有する半導体層110、111を所望の形状に加工する。本実施の形態では、ソース電極層又はドレイン電極層116、117、118、119をマスクとして、半導体層108、109、一導電型を有する半導体層110、111をエッチングにより加工し、半導体層114、115、一導電型を有する半導体層120a、120b、121a、121bを形成する。
【0120】
以上の工程で逆スタガ型薄膜トランジスタであるトランジスタ139a、139bを作製する(図10(A)乃至(C)参照。)。」
(キ)図9(A)
(ク)図10(A)
(ケ)図10(B)
(コ)図10(C)
イ 引用例2記載事項について
上記アには、一導電型を有する半導体層110、111は、ソース電極層又はドレイン電極層116、117、118、119をマスクとしてエッチングされることが記載され、図9(A)には、一導電型を有する半導体層110、111は、点線で囲まれた領域の中にあることが記載され、また、図10(A)では、図9(A)の該点線で囲まれたトランジスタの領域に対応する領域にソース電極層又はドレイン電極層116、117、118、119が形成されることが記載され、加えて、図10(B)および(C)には、一導電型を有する半導体層110、111をエッチングにより加工した一導電型を有する半導体層120a、120b、121a、121bの上に、ソース電極層又はドレイン電極層116、117、118、119が形成されていること、さらに、ソース電極層又はドレイン電極層116、117、118、119は、半導体層108、109及び一導電型を有する半導体層120a、120b、121a、121bの端面を覆い、かつゲート絶縁層105に接していることが記載されている。
そうすると、引用例2には、実質的に次の事項(以下、「引用例2記載事項」という。)が記載されているものと認められる。
「TFTによって形成される表示装置の製造において、一導電型を有する半導体層110、111上に、平面視において、前記一導電型を有する半導体層110、111の面形状を全て覆う一対のソース電極層又はドレイン電極層116、117、118、119が形成され、ソース電極層又はドレイン電極層116、117、118、119は、半導体層108、109及び一導電型を有する半導体層120a、120b、121a、121bの端面を覆い、かつゲート絶縁層105に接していること。」
2 対比・判断
(1)本願発明と引用例1発明とを対比する。
ア 引用例1発明の「基板1001上にゲート電極として機能する第3の導電層302を形成」することは、本願発明の「ゲート電極を形成する工程」に相当する。
イ 引用例1発明の「第3の導電層302上にゲート絶縁膜として機能する第1の絶縁層303、第1の半導体膜304を形成」することは、本願発明の「絶縁層を間にして前記ゲート電極に対向する半導体層を形成する工程」に相当する。
ウ 引用例1発明の「第1の半導体膜304上であって、且つ第3の導電層302に重畳する領域に、液滴吐出により吐出して」形成される「保護膜401」は、「第4の導電層422をマスクとして、第1の半導体領域411の露出部を保護膜401が露出するまでエッチングして分断してソース領域及びドレイン領域412を形成する」から、エッチングストッパとして機能していると認められる。
そうすると、引用例1発明の「第1の半導体膜304上であって、且つ第3の導電層302に重畳する領域に、液滴吐出により吐出して保護膜401を形成」することは、本願発明の「前記半導体層上に、フォトリソグラフィー法を用いてエッチングストッパ層を形成する工程」と、「前記半導体層上に、」「エッチングストッパ層を形成する工程」である点で共通する。
エ 引用例1発明の「第2の半導体膜(導電性を有する半導体膜)405」は、「保護膜401」および「第1の半導体膜304」を形成した後に形成されているから、「保護膜401」および「第1の半導体膜304」の上に形成されており、また、「第2の半導体膜(導電性を有する半導体膜)405」は導電性を有しているからコンタクト層としての機能を有していると認められる。
そうすると、引用例1発明の「第2の半導体膜(導電性を有する半導体膜)405を成膜」することは、本願発明の「前記エッチングストッパ層上および前記半導体層上にコンタクト材料膜を形成する工程」に相当する。
オ 引用例1発明の「第1の半導体領域411上にソース電極及びドレイン電極として機能する第4の導電層422を、導電性材料を用いて形成」することと、本願発明の「前記コンタクト材料膜上に、平面視において、前記コンタクト材料膜の面形状を全て覆う一対のソース・ドレイン電極を形成する工程」は、「前記コンタクト材料膜上に、」「一対のソース・ドレイン電極を形成する工程」である点で共通する。
カ 引用例1発明の「第4の導電層422をマスクとして、第1の半導体領域411の露出部を保護膜401が露出するまでエッチングして分断してソース領域及びドレイン領域412を形成する」ことは、本願発明の「コンタクト材料膜」に相当する「第1の半導体領域411」をエッチングすることであると認められる。
さらに、引用例1発明は、本願発明の「エッチングストッパ層」に相当する「保護膜401」が露出するまでエッチングして「第1の半導体領域411」を分断してソース領域及びドレイン領域412を形成しているから、このことは、本願発明の「前記エッチングストッパ層上において対向し、それぞれが前記エッチングストッパ層の上面から前記半導体層の上面まで連続して、または一部が分断されて設けられた一対のコンタクト層を形成する」ことに相当する。
加えて、引用例1発明は、「第1の半導体領域411上にソース電極及びドレイン電極として機能する第4の導電層422を、導電性材料を用いて形成し」ているから、引用例1発明は「第1の半導体領域411の露出部を保護膜401が露出するまでエッチング」することにより、本願発明の「各コンタクト層を介して前記一対のソース・ドレイン電極を前記半導体層に電気的に接続する」ことと同様のことを行っていると認められる。
そうすると、引用例1発明は、本願発明の「前記コンタクト材料膜をエッチングすることにより、前記エッチングストッパ層上において対向し、それぞれが前記エッチングストッパ層の上面から前記半導体層の上面まで連続して、または一部が分断されて設けられた一対のコンタクト層を形成するとともに、各コンタクト層を介して前記一対のソース・ドレイン電極を前記半導体層に電気的に接続する工程」を有していると認められる。
キ 引用例1発明は、「第3のマスクパターン406を形成し、第3のマスクパターンを用いて、第1の半導体膜および第2の半導体膜をエッチングし、第1の半導体領域411及び第2の半導体領域413を形成し」、その後「第4の導電層422をマスクとして、第1の半導体領域411の露出部を保護膜401が露出するまでエッチングして分断してソース領域及びドレイン領域412を形成」ているから、本願発明の「半導体層」に相当する「第1の半導体領域411」の端面および本願発明の「コンタクト層」に相当する「第2の半導体領域413」の端面は、本願発明の「エッチングストッパ層」に相当する「保護膜401」が形成されている領域以外の領域では、平面視において一致していると認められる。
そうすると、引用例1発明は、本願発明の「平面視における前記エッチングストッパ層の形成領域以外の領域では、前記一対のコンタクト層の端面と前記半導体層の端面とが一致」する構成と、同様の構成を有していると認められる。
ク 引用例1発明の「画素駆動素子として機能するボトムゲートのチャネル保護型TFTの作製方法」は、本願発明の「トランジスタの製造方法」に相当する。
ケ そうすると、本願発明と引用例1発明とは、以下(2)の点で一致し、また、以下(3)の点で相違する。
(2)一致点
「ゲート電極を形成する工程と、
絶縁層を間にして前記ゲート電極に対向する半導体層を形成する工程と、
前記半導体層上に、エッチングストッパ層を形成する工程と、
前記エッチングストッパ層上および前記半導体層上にコンタクト材料膜を形成する工程と、
前記コンタクト材料膜上に、一対のソース・ドレイン電極を形成する工程と、
前記コンタクト材料膜をエッチングすることにより、前記エッチングストッパ層上において対向し、それぞれが前記エッチングストッパ層の上面から前記半導体層の上面まで連続して、または一部が分断されて設けられた一対のコンタクト層を形成するとともに、各コンタクト層を介して前記一対のソース・ドレイン電極を前記半導体層に電気的に接続する工程と
を含み、
平面視における前記エッチングストッパ層の形成領域以外の領域では、
前記一対のコンタクト層の端面と前記半導体層の端面とが一致する、
トランジスタの製造方法。」
(3)相違点
[相違点1]
本願発明は、「フォトリソグラフィー法を用いてエッチングストッパ層を形成」しているのに対して、引用例1発明はフォトリソグラフィー法を用いていない点。
[相違点2]
本願発明は、「前記コンタクト材料膜上に、平面視において、前記コンタクト材料膜の面形状を全て覆う一対のソース・ドレイン電極を形成」しているのに対して、引用例1発明のソース・ドレイン電極は、平面視において、前記コンタクト材料膜の面形状を全て覆っているのか不明である点。
[相違点3]
本願発明は、「前記一対のソース・ドレイン電極は、前記一対のコンタクト層の端面と前記半導体層の端面とを覆って、かつ前記絶縁層に接して形成されている」のに対して、引用例1発明は、対応する構成がどのようになっているのか不明である点。
(4)以下、上記各相違点について検討する。
ア [相違点1]について
引用例1発明において、「液滴吐出により吐出して保護膜401を形成」するのは、引用例1記載事項にあるように、従来用いられていた「フォトリソグラフィー工程」では、大面積基板を用いた表示装置のアクティブマトリクス基板の作製方法においては、歩留まりが低下するという問題があり、それを解決する為に液滴吐出法を採用しているのであるから、大面積基板でない、従来と同等の大きさの基板を用いた際に、「液滴吐出により吐出して保護膜401を形成」することに換えて、従来の手法である「フォトリソグラフィー工程」を用いて保護膜401を形成することは、当業者が適宜為し得たものであると認められる。
そして引用例1発明に示された「ボトムゲートのチャネル保護型TFT」は、大面積基板にのみに用いられるものでないことから、引用例1発明の「ボトムゲートのチャネル保護型TFT」を、従来用いられてきた大きさの基板に適用し、その際、「液滴吐出により吐出して保護膜401を形成」することに換えて、「フォトリソグラフィー工程」を用いて「保護膜401」を形成するようにすることは、当業者が容易に想到し得るものである。
イ [相違点2]および[相違点3]について
引用例2記載事項(上記1(2)イ)にあるように、「一導電型を有する半導体層110、111上に、平面視において、前記一導電型を有する半導体層110、111の面形状を全て覆う一対のソース電極層又はドレイン電極層116、117、118、119が形成され、ソース電極層又はドレイン電極層116、117、118、119は、半導体層108、109及び一導電型を有する半導体層120a、120b、121a、121bの端面を覆い、かつゲート絶縁層105に接していること」は、公知の技術である。
そして、「一導電型を有する半導体層110、111」、「一対のソース電極層又はドレイン電極層116、117、118、119」および「ゲート絶縁層105」は、それぞれ本願発明の「コンタクト材料膜」、「一対のソース・ドレイン電極」および「絶縁層」に相当するから、本願発明の「前記コンタクト材料膜上に、平面視において、前記コンタクト材料膜の面形状を全て覆う一対のソース・ドレイン電極を形成」すること、および「前記一対のソース・ドレイン電極は、前記一対のコンタクト層の端面と前記半導体層の端面とを覆って、かつ前記絶縁層に接して形成」することは、公知の構成であると言える。
そうすると、上記1(1)イ及び上記1(2)イより、引用例1および引用例2は、いずれも表示装置に用いられるトランジスタに関する発明であるから、引用例1発明に該公知の構成を採用し、「前記コンタクト材料膜上に、平面視において、前記コンタクト材料膜の面形状を全て覆う一対のソース・ドレイン電極を形成」し、また、「前記一対のソース・ドレイン電極は、前記一対のコンタクト層の端面と前記半導体層の端面とを覆って、かつ前記絶縁層に接して形成」することは、当業者が容易に為し得たものである。
また、上記相違点を総合的に勘案しても、本願発明の奏する作用効果は、引用例1発明及び引用例2に記載された公知技術から当業者にとって予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。
(5)小括
したがって、本願発明は、引用例1発明および引用例2に記載された公知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
第5 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用例1および2記載の発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は他の請求項について検討するまでもなく拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2016-005688