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特許拒絶査定不服審判

2020-001704

固体撮像装置及び電子機器

審判番号
2020-001704
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2017-126692
請求日
2020年02月07日
審決日
2021年03月10日
公報発行日
2021年05月28日
結論
原査定取消(特許/登録すべき)
当事者
  • 【請求人】ソニー株式会社
  • 【請求人代理人】特許業務法人信友国際特許事務所
審判長/審判官
  • 審判長 恩田 春香
  • 審判官 脇水 佳弘
  • 審判官 小田 浩
分類
P18 .121-WY (H01L) / P18 .537-WY (H01L)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第2号
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特願2017-126692「固体撮像装置及び電子機器」拒絶査定不服審判事件〔平成29年10月19日出願公開、特開2017-191950、請求項の数(18)〕について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。

理由

【理 由】 第1 手続の経緯 本願は、平成24年2月14日(優先権主張:平成23年3月2日、平成24年1月23日)に出願した特願2012-29431号(以下「原出願」という。)の一部を平成29年6月28日に新たな特許出願としたものであって、その手続の経緯は、概略、以下のとおりである。 平成29年 7月14日  :上申書、手続補正書の提出 平成30年 9月26日付け:拒絶理由通知書(起案日) 平成30年11月28日  :意見書、手続補正書の提出 平成31年 4月15日付け:拒絶理由通知書(起案日) 令和 元年 6月19日  :意見書、手続補正書の提出 令和 元年11月14日付け:拒絶査定(起案日)(以下、「原査定」という。) 令和 2年 2月 7日  :審判請求書、手続補正書の提出 令和 2年 8月26日付け:最後の拒絶理由通知書(起案日) 令和 2年10月27日  :意見書、手続補正書の提出 第2 本願発明 本願請求項1-18に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明18」という。)は、令和 2年10月27日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-18に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1は以下のとおりの発明である。 「【請求項1】 基板と、 前記基板に設けられた第1の光電変換部と、 前記第1の光電変換部と隣接し、前記基板に設けられた第2の光電変換部と、 前記第1の光電変換部と前記第2の光電変換部との間の前記基板の光入射面に設けられた第1の溝部と、 前記第1の溝部の内壁面及び前記第1の光電変換部と前記第2の光電変換部の光入射面側を被覆するように形成された固定電荷を有する第1の絶縁膜と、 前記第1の絶縁膜を被覆し、前記第1の絶縁膜よりも光入射面側に設けられた酸化シリコン又は酸窒化シリコンを含んで形成された第2の絶縁膜と、 断面視において、前記第1の溝部の周囲に接する領域、及び、前記第1の光電変換部の電荷蓄積領域と前記第2の光電変換部の電荷蓄積領域の光入射面側に第1導電型からなる半導体領域が形成され、 前記第1の光電変換部及び前記第2の光電変換部の電荷蓄積領域は、第2導電型からなる半導体領域で形成され、 前記基板の光入射面と反対の面に画素トランジスタが設けられた 固体撮像装置。」 なお、本願発明2-18の概要は以下のとおりである。 本願発明2-18は、本願発明1を減縮した発明である。 第3 引用文献、引用発明等 1 引用文献5について (1)引用文献5の記載事項 原査定の拒絶の理由に引用された引用文献5(特開2010-123841号公報)には、図面とともに次の事項が記載されている。(下線は、当審で付した。以下同じ。) 「【背景技術】 【0002】 近年の微細化された半導体集積回路では、素子分離にSTI(=Shallow Trench Isolation)を用いることが一般的である。ところが、STIは半導体基板に溝を深く掘り込んで形成されるので、素子分離となる溝内に埋め込んだ絶縁膜と半導体基板との界面には、結晶欠陥や界面準位が生じて、それがノイズ発生源となる。そのため、CMOSイメージセンサーでは、周辺回路と同時に画素部の素子分離方法としてSTIを採用した場合には、掘り込んだ半導体基板と埋め込んだ絶縁膜との界面からのノイズ発生という特性劣化が生ずる。そこで固体撮像素子のノイズ悪化を抑制する手法として、画素領域の素子分離領域の半導体基板の掘り込み量を減らし、素子分離端からのノイズ発生を抑制する方法が提案されている(例えば、特許文献1、2参照。)。」 「【0022】 <1.第1の実施の形態> [固体撮像装置の構成の一例] 本発明の第1の実施の形態に係る固体撮像装置の構成の一例を、図1の概略構成断面図および図2(1)の平面レイアウト図、図2(2)の回路図によって説明する。図1は、図2中のA-B-C線断面を模式的に表している図面である。 【0023】 図2(1)、(2)に示すように、本発明の固体撮像装置1は、半導体基板11に、複数の画素13(図面では代表して一つの画素を示す)が配列されてなる画素部12と、この画素部12の周辺に形成された周辺回路部(図示せず)とを有する。また上記画素部12には、各画素13を分離する素子分離領域14を有する。また、上記画素部12と周辺回路部との分離は、上記素子分離領域14とは別の素子分離領域(図示せず)により分離されている。 上記画素13には、光電変換部15と画素トランジスタ部16が形成されている。 上記光電変換部15は、入射光を光電変換して信号電荷を得るもので、例えばフォトダイオードで構成されている。 上記画素トランジスタ部16は、上記光電変換部15から読み出した信号電荷を電圧に変換するものである。例えば、上記光電変換部15側より、転送トランジスタ(読み出しトランジスタともいう)16T、リセットトランジスタ16R、増幅トランジスタ16A、選択トランジスタ16Sが順に配列されている。また、上記転送トランジスタ16Tと上記リセットトランジスタ16Rの共通の拡散層がフローティングディフュージョンFDとなっている。フローティングディフュージョンFDは増幅トランジスタ16Aのゲート電極16AGに接続されている(図2(1)には図示せず)。 また上記周辺回路部は、画素用垂直走査回路、水平走査回路、駆動回路、タイミング発生回路等を有する。 【0024】 次に図1によって、上記画素13の詳細を説明する。なお図面では、画素トランジスタ部16は代表して増幅トランジスタ16Aを示した。 図1に示すように、半導体基板11には、素子分離領域14によって分離された光電変換部15と画素トランジスタ部16(増幅トランジスタ16A、図示はしていないリセットトランジスタおよび選択トランジスタ等)が形成されている。 【0025】 上記光電変換部15の表面には、ノイズを抑制するためにP型拡散層21が形成されている。 また上記光電変換部15の周囲には、光電変換部15を周囲と分離するためのP型拡散層22が形成されている。このP型拡散層22上には、P型拡散層22の電位を一定値に固定するための電極部23が形成されている。 上記増幅トランジスタ16Aは、半導体基板11上にゲート絶縁膜24を介してゲート電極16AGが形成され、このゲート電極16AGの両側(チャネル長方向:図面前後方向)にはソース・ドレイン領域(図示せず)が形成されている。図示はしていないが、リセットトランジスタ、選択トランジスタ、転送トランジスタも同様な構成をとっている。ただし転送トランジスタは、ソース・ドレイン領域の一方が光電変換部のN型領域で兼ねられており、他方がフローティングディフュージョンFD(前記図2参照)で兼ねられている。 【0026】 上記素子分離領域14は、半導体基板11に形成された溝31を埋め込むようにこの溝31上に形成されている。すなわち、上記溝31の内面には、酸化シリコン膜32が形成され、その酸化シリコン膜32の表面には負の固定電荷を有する絶縁膜33が形成されている。そして、溝31には、上記酸化シリコン膜32、負の固定電荷を有する絶縁膜33を介して埋め込み絶縁膜34が半導体基板11表面より高く形成されている。 【0027】 上記負の固定電荷を有する絶縁膜33は、例えば、酸化ハフニウム(HfO2)膜、酸化ジルコニウム(ZrO2)膜、酸化アルミニウム(Al2O3)膜、酸化タンタル(Ta2O5)膜、酸化チタン(TiO2)膜、もしくは酸化イットリウム(Y2O3)で形成されている。 上記負の固定電荷を有する絶縁膜33は、化学気相成長法、スパッタリング法、原子層蒸着(ALD:Atomic Layer Deposition)法等で成膜されてものを用いることができるが、下地との良好な界面を有する原子層蒸着法により成膜されたものが好適である。 また、原子層蒸着法を用いれば、成膜中に界面準位を低減する酸化シリコン(SiO2)層を同時に1nm程度形成することができるので好適である。この場合、上記酸化シリコン膜32の形成を省略してもよい。 【0028】 また、上記以外の材料としては、酸化ランタン(La2O3)、酸化セリウム(CeO2)、酸化プラセオジム(Pr2O3)、酸化ネオジム(Nd2O3)、酸化プロメチウム(Pm2O3)、酸化サマリウム(Sm2O3)酸化ユウロピウム(Eu2O3)、酸化ガドリニウム(Gd2O3)、酸化テルビウム(Tb2O3)、酸化ジスプロシウム(Dy2O3)、酸化ホルミウム(Ho2O3)、酸化エルビウム(Er2O3)、酸化ツリウム(Tm2O3)、酸化イッテルビウム(Yb2O3)、酸化ルテチウム(Lu2O3)等のランタノイド酸化物があげられる。さらに、上記負の固定電荷を有する絶縁膜33は、窒化ハフニウム膜、窒化アルミニウム膜、酸窒化ハフニウム膜または酸窒化アルミニウム膜で形成することも可能である。 【0029】 上記負の固定電荷を有する絶縁膜33は、絶縁性を損なわない範囲で、膜中にシリコン(Si)や窒素(N)が添加されていてもよい。その濃度は、膜の絶縁性が損なわれない範囲で適宜決定される。このように、シリコン(Si)や窒素(N)が添加されることによって、膜の耐熱性やプロセスの中でのイオン注入の阻止能力を上げることが可能になる。 【0030】 上記溝31の底部の上記半導体基板11にはP型不純物領域35が形成されている。このP型不純物領域35は半導体基板11に例えばホウ素、二フッ化ホウ素等のP型不純物がドーピングされてなる。このP型不純物領域35は従来の素子分離領域下の半導体基板に形成されていたP型不純物領域よりも不純物濃度を低くすることができる。 なお、上記負の固定電荷を有する絶縁膜33の負の固定電荷によって、上記素子分離領域14下の半導体基板11にホールの誘起が十分にできるならば、上記P型不純物領域35を形成しなくともよい。 【0031】 また、上記P型不純物領域35は、上記P型拡散層22に接続されている。したがって、上記P型不純物領域35は、上記P型拡散層22を介して電位が固定されている。 【0032】 上記固体撮像装置1では、画素部12の素子分離領域14が負の固定電荷を有する絶縁膜33を有することから、負の固定電荷を有する絶縁膜33中の負の固定電荷に起因して発生されるホール蓄積層が素子分離領域14直下の半導体基板11に生じる。このホール蓄積層により、素子分離領域14と半導体基板11との界面の欠陥によるノイズ発生が抑制される。 【0033】 また負の固定電荷によってホール蓄積層が形成されているために、従来のように素子分離領域直下の半導体基板に形成されたP型不純物領域を無くすことができる。 もしくはP型不純物領域35を形成した場合には、その濃度を低減することができる。つまり、上記P型不純物領域35を形成することによって、上記負の固定電荷を有する絶縁膜33の負の固定電荷により発生されるホール蓄積層に加えて、ホール蓄積効果が高められる。 したがって、P型不純物領域35の濃度を低くしても、その分を補う上記負の固定電荷を有する絶縁膜33の負の固定電荷によって誘起されるホールによって、上記負の固定電荷を有する絶縁膜33が無くP型不純物領域が形成された従来の固体撮像装置と同等のホール濃度が得られる。よって、従来の固体撮像装置の素子分離領域下に形成されるP型不純物領域よりも上記P型不純物領域35の濃度を低くすることができる。 【0034】 このように、P型不純物領域35の不純物濃度を従来よりも低くすることができる、もしくはP型不純物領域35をなくすことができるので、トランジスタのチャネル領域へのP型不純物の拡散が低減される。このため、トランジスタの実効チャネル幅を従来の固体撮像装置よりも広くすることが可能になる。 すなわち、トランジスタの微細化に伴い顕著になるP型不純物の拡散による狭チャネル効果を抑制できる。特に、増幅トランジスタ16Aの実効チャネル幅の縮小が抑制されるので、1/fノイズが低減される。また、狭チャネル効果が抑制できることから、トランジスタのしきい値電圧の上昇が抑制され、しきい値電圧のバラツキが低減されるという効果も得られる。 言い換えれば、画素トランジスタ部16のトランジスタの実効チャネル幅を確保して1/fノイズを低減しつつ、P型不純物領域35によるP型不純物の拡散が抑制される分、画素サイズの縮小化が可能になる。 よって、ノイズ抑制と微細化の両立させることが可能になる。 またノイズの低減より、撮像画質の向上が図れる。また微細化により画素数を増大させることができる。これにより撮像画質の高精細化が図れる。このような利点がある。 【0035】 また上記P型不純物領域35のP型不純物が光電変換部15側に拡散すると、飽和電荷量の低下や、残像の悪化などの悪影響が起こる。しかしながら、上記固体撮像装置1では、上記P型不純物領域35をなくせる、もしくは上記P型不純物領域35の濃度を減らせることができるので、飽和電荷量の低下や、残像の悪化を抑制できる。 【0036】 また、固体撮像装置には、光電変換部と転送トランジスタが形成される領域と、リセットトランジスタ、増幅トランジスタおよび選択トランジスタが形成される画素トランジスタ部とが素子分離領域によって完全に分離された構成がある。このような構成の固体撮像装置においても、その素子分離領域に負の固定電荷を有する絶縁膜を適用した本発明の固体撮像装置1と同様な構成をとることができる。」 「【0049】 次に、図4(8)に示すように、上記第1溝51と上記第2溝52を埋め込むように上記窒化シリコン膜72上に埋め込み絶縁膜58を形成する。この埋め込み絶縁膜58は、例えば化学気相成長(CVD)法によって、酸化シリコン膜で形成される。 その後、上記窒化シリコン膜72上の余剰な埋め込み絶縁膜58、負の固定電荷を有する絶縁膜55を除去して平坦化する。この平坦化には、例えば化学的機械研磨(CMP)法を用いる。その結果、上記第1溝51の内部に第1素子分離領域61を形成され、上記第2溝52の内部に第2素子分離領域62を形成される。 したがって、上記第1素子分離領域61は、上記埋め込み絶縁膜58の下に上記負の固定電荷を有する絶縁膜55を有し、さらに、酸化シリコン膜53を有する。また、上記第2素子分離領域62は、上記埋め込み絶縁膜58の下に酸化シリコン膜54を有する。」 【図1】は、以下のとおりのものである。 「【図1】 」 通常、光電変換部が形成される面が光入射面であるところ、【図1】から、半導体基板11の表面側に光電変換部15、画素トランジスタ部16、溝31を有し、半導体基板11の表面側の光入射面に設けられた画素トランジスタ部16が、見てとれる。 (2)引用発明 ア 引用文献5の段落【0049】の記載から、埋め込み絶縁膜は、酸化シリコン膜で形成されるものであり、埋め込み絶縁膜34は、酸化シリコン膜で形成されるものと理解できる。 イ 上記(1)の記載及び上記アによれば、上記引用文献5には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 「半導体基板11に、複数の画素13が配列されてなる画素部12とを有する固体撮像装置1であって、 画素部12には、各画素13を分離する素子分離領域14を有し、 画素13には、光電変換部15と画素トランジスタ部16が形成され、 光電変換部15は、入射光を光電変換して信号電荷を得るもので、例えばフォトダイオードで構成され、 素子分離領域14は、半導体基板11に形成された溝31を埋め込むようにこの溝31上に形成され、溝31の内面には、酸化シリコン膜32が形成され、その酸化シリコン膜32の表面には負の固定電荷を有する絶縁膜33が形成され、酸化シリコン膜32、負の固定電荷を有する絶縁膜33を介して埋め込み絶縁膜34が半導体基板11表面より高く形成され、 埋め込み絶縁膜34は、酸化シリコン膜で形成され、 光電変換部15の表面には、ノイズを抑制するためにP型拡散層21が形成され、 溝31の底部の上記半導体基板11にはP型不純物領域35が形成され、 半導体基板11の表面側に光電変換部15、画素トランジスタ部16、溝31を有し、半導体基板11の表面側の光入射面に設けられた画素トランジスタ部16は、光電変換部15側より、転送トランジスタ(読み出しトランジスタともいう)16T、リセットトランジスタ16R、増幅トランジスタ16A、選択トランジスタ16Sが順に配列され、 転送トランジスタは、ソース・ドレイン領域の一方が光電変換部のN型領域で兼ねられた 固体撮像装置1。」 2 引用文献1について また、原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1(特開2011-3860号公報)には、図面とともに次の事項が記載されている。 「【0005】 ところで、近年、基板上の配線層が形成される側とは反対側から光を照射する、裏面照射型の固体撮像装置が提案されている(下記特許文献2参照)。裏面照射型の固体撮像装置では、光照射側に配線層や回路素子等が構成されないため、基板に形成された受光部の開口率を高くできる他、入射光が配線層等に反射されることなく受光部に入射されるので、感度の向上が図られる。」 「【0024】 [1-2 要部の構成] 図2に、本実施形態例の固体撮像装置1の画素部3における断面構成図を示す。本実施形態例の固体撮像装置1は、裏面照射型のCMOS型固体撮像装置を例としたものである。 【0025】 図2に示すように、本実施形態例の固体撮像装置1は、基板13と、基板13の表面側に形成された配線層26、及び支持基板14と、基板13の裏面側に形成されたカラーフィルタ層15、及びオンチップレンズ16とから構成されている。 【0026】 基板13は、シリコンからなる半導体基板で構成され、例えば第1導電型(本実施形態例ではn型とする)の半導体基板により構成されている。基板13は、3μm~5μmの厚みを有し、基板13の画素形成領域12には受光部PDと、画素回路部を構成する複数の画素トランジスタTrとから構成される画素2が、複数個、二次元マトリクス状に形成されている。また、図2では図示を省略するが、基板13に形成された画素2の周辺領域には、周辺回路部が構成されている。 【0027】 受光部PDは、画素形成領域12に形成される暗電流抑制領域22,23と、その暗電流抑制領域22,23の間の領域に形成される電荷蓄積領域21により構成されている。暗電流抑制領域23は基板13(画素形成領域12)の表面側に形成され、第2導電型(本実施形態例ではp型)の高濃度不純物領域により構成されている。また、暗電流抑制領域22は基板13(画素形成領域12)の裏面側に形成され、p型の不純物領域により構成されている。電荷蓄積領域21は、n型の不純物領域により構成されている。この受光部PDでは、主に暗電流抑制領域22,23を構成するp型の不純物領域と、電荷蓄積領域21を構成するn型の不純物領域との間に形成されるpn接合によりフォトダイオードが構成されている。 受光部PDでは、入射した光の光量に応じた信号電荷が生成され、蓄積される。また、基板の界面で発生する暗電流の原因となる電子は暗電流抑制領域22,23の多数キャリアである正孔に吸収されることにより、暗電流が抑制される。 【0028】 画素トランジスタTrは、基板13の表面側に形成された図示しないソース・ドレイン領域と、基板13の表面上にゲート絶縁膜29を介して形成されたゲート電極28とから構成されている。画素トランジスタTrは、前述したように、転送トランジスタ、リセットトランジスタ、増幅トランジスタを含む3つの画素トランジスタTrを有する構成でもよく、また、選択トランジスタを含む4つの画素トランジスタTrを有する構成であってもよい。ソース・ドレイン領域は、図示を省略するが、基板13表面側に形成されたn型の高濃度不純物領域により形成され、本実施形態例の画素トランジスタTrはnチャネルMOSトランジスタとして機能する。 【0029】 また、隣接する画素2と画素2との間には、基板13の表面から裏面に架けてp型の高濃度不純物領域からなる素子分離領域24が形成されており、この素子分離領域24により各画素2は電気的に分離されている。さらに、素子分離領域24には、基板13の裏面側から所望の深さに形成された遮光部17が形成されている。遮光部17は、平面でみると、各画素2を囲むように例えば格子状に形成されるものである。この遮光部17は、基板13の裏面側に形成された所望の深さのトレンチ部19と、トレンチ部19の側壁及び底面に形成された高誘電率材料膜18と、高誘電率材料膜18を介してトレンチ部19に埋め込まれた遮光膜20とから構成されている。このとき、トレンチ部19に埋め込まれた遮光膜20の最表面は、基板13の裏面と面一に構成されている。高誘電率材料膜18の材料としては、例えば、酸化ハフニウム(HfO2)、五酸化タンタル(Ta2O5)、二酸化ジルコニウム(ZrO2)を用いることができる。また、遮光膜20の材料としては、例えば、タングステン(W)、アルミニウム(Al)を用いることができる。 【0030】 配線層26は、基板13の表面側に形成されており、層間絶縁膜27を介して複数層(本実施形態例では3層)に積層された配線25を有して構成されている。配線層26に形成される配線25を介して、画素2を構成する画素トランジスタTrが駆動される。 【0031】 支持基板14は、配線層26の基板13に面する側とは反対側の面に形成されている。この支持基板14は、製造段階で基板13の強度を確保するために構成されているものであり、例えばシリコン基板により構成されている。 【0032】 カラーフィルタ層15は、基板13の裏面側に形成されており、画素毎に例えば、R(赤色)、G(緑色)、B(青色)のカラーフィルタ層が形成されている。カラーフィルタ層15では、所望の波長の光が透過され、透過した光が基板13内の受光部PDに入射する。 【0033】 オンチップレンズ16は、カラーフィルタ層15の基板13に面する側とは反対側の面に形成されている。オンチップレンズ16では照射された光が集光され、集光された光はカラーフィルタ層15を介して各受光部PDに効率良く入射する。 【0034】 以上の構成を有する固体撮像装置1では、基板13の裏面側から光が照射され、オンチップレンズ16及びカラーフィルタ層15を透過した光が受光部PDにて光電変換することにより、信号電荷が生成される。そして受光部PDにて生成された信号電荷は、基板13の表面側に形成された画素トランジスタTrを介して、配線層26の所望の配線25で形成された垂直信号線により画素信号として出力される。 【0035】 本実施形態例の固体撮像装置1では、素子分離領域24により、隣接する画素2と画素2との間では素子分離領域24のポテンシャルによって形成された障壁により電子の移動がなされない。すなわち、基板13内に形成される不純物領域の濃度勾配により画素間の電気的分離がなされる。 さらに、素子分離領域24に埋め込まれて形成された遮光部17により、光入射面側において斜めに入射してくる光が隣接する画素2に入射することを防ぐ。すなわち、遮光部17によって画素間の光学的分離がなされる。 【0036】 また、素子分離領域24にトレンチ部19を形成する場合、トレンチ部19の側壁及び底面に物理的ダメージやイオン照射による不純物活性化によりトレンチ部19の周辺部でピニングはずれが発生する可能性がある。この問題点に対し、本実施形態例では、トレンチ部19の側壁及び底面に固定電荷を多く持つ高誘電率材料膜18を形成することによりピニング外れが防止される。 【0037】 本実施形態例の固体撮像装置1によれば、隣接する画素間には、素子分離領域24に埋め込まれた遮光部17が構成されているので、受光面に入射してくる斜め光が受光部PDに入射するのを防ぐことができる。これにより、オンチップレンズで集光しきれずに隣接する画素2に向って入射する光が遮光され、隣接する画素間で起こる光学的な混色が低減される。また、受光面とオンチップレンズ16との間で発生する回折光や反射光のうち、隣接する画素2に向って入射する角度の大きい光が遮光されるので、フレアの発生が低減される。 【0038】 さらに、本実施形態例の固体撮像装置1によれば、遮光部17は、素子分離領域24に埋め込まれた構成とされているので、基板13裏面の受光面が平坦になり、基板13の裏面側に形成されるカラーフィルタ層15及びオンチップレンズ16が受光面に近づく。これにより、光が入射するオンチップレンズ16の表面と、基板13の受光面との距離が近づくため集光特性が向上し、混色の低減が図られる。」 【図2】は、以下のとおりのものである。 「【図2】 」 【図2】から、受光部PDの光入射面側を被覆するように形成された高誘電率材料膜18が見てとれる。 したがって、引用文献1には、次の技術的事項が記載されていると認められる。 「感度の向上が図られる裏面照射型の固体撮像装置1であって、 固体撮像装置1は、基板13と、基板13の表面側に形成された配線層26、及び支持基板14と、基板13の裏面側に形成されたカラーフィルタ層15、及びオンチップレンズ16とから構成され、 基板13の画素形成領域12には受光部PDと、画素回路部を構成する複数の画素トランジスタTrとから構成される画素2が、複数個、二次元マトリクス状に形成され、 画素トランジスタTrは、基板13の表面側に形成され、 隣接する画素2と画素2との間には、基板13の表面から裏面に架けてp型の高濃度不純物領域からなる素子分離領域24が形成され、 素子分離領域24には、基板13の裏面側から所望の深さに形成された遮光部17が形成され、 遮光部17は、平面でみると、各画素2を囲むように例えば格子状に形成されるものであり、基板13の裏面側に形成された所望の深さのトレンチ部19と、トレンチ部19の側壁及び底面に形成された固定電荷を多く持つ高誘電率材料膜18と、高誘電率材料膜18を介してトレンチ部19に埋め込まれた遮光膜20とから構成され、 高誘電率材料膜18は、受光部PDの光入射面側を被覆するように形成され、 遮光膜20の材料としては、例えば、タングステン(W)、アルミニウム(Al)を用いること。」 3 引用文献3について また、原査定の拒絶の理由に引用された引用文献3(特開2010-239117号公報)には、図面とともに次の事項が記載されている。 「【0027】 (第2の実施形態) 本実施形態はカラーの光電変換装置に関する。本実施形態では、第1の実施形態の構成に加えて、更に、入射光の波長に応じてP型半導体領域の深さを調節することが特徴である。具体的に図4を用いて説明する。図4は図1と対応した光電変換装置の断面模式図であり、同様な機能を有する構成については同一の符号を付し説明を省略する。 【0028】 本実施形態の光電変換装置はカラーフィルタを有する。図4においては、カラーフィルタがベイヤー配列である場合について説明を行う。例えば、光電変換素子200aの上部には赤のカラーフィルタ(R)が設けられ、その他の光電変換素子200b、200c、200d、200eの上部には緑のカラーフィルタ(G)が設けられている。以下、200a(R)、200b(G)等と記す。ここで、光電変換素子200a(R)に入射する光は、波長が長いため半導体基板の深部にまで到達し、半導体基板の深部において電荷を発生させる。また、光電変換素子200b(G)に入射する光は、光電変換素子200a(R)に入射する光に比べて波長が短く、半導体基板の浅い部分において電荷を発生させる。そこで、本実施形態においては、図4(A)に示したように、幅W2のP型半導体領域は、深さD2のP型半導体領域413と、深さD2よりも深い深さD3のP型半導体領域415とを有している。そして、深さD3のP型半導体領域415は光電変換素子200a(R)に近接して設けられている。深さD2のP型半導体領域413は、光電変換素子200a(R)に比べて光電変換素子200b(G)に近接して設けられている。幅W1のP型半導体領域414については、第1の実施形態のP型半導体領域214と同様である。このような構成によって、入射光の波長が異なる場合においても、信号電荷が隣接する光電変換素子へ混入する量を均一とすることが可能となる。 【0029】 本実施形態においては、信号電荷に対して障壁となりうるP型半導体領域の深さの関係を、深さD3>深さD2>深さD1とした。ここで、P型半導体領域413の深さを第1の実施形態と同様に深さD2としたが、深いP型半導体領域415の深さをD2としP型半導体領域413の深さをD2とD1との間の深さにしてもよい。また、図4(B)に示す幅W1のP型半導体領域414についても、深さD1のみではなく、入射光の波長に応じて深さD1よりも深いP型半導体領域や、深さD2よりも浅く深さD1よりも深いP型半導体領域を形成してもよい。また、信号電荷に対して障壁となりうるP型半導体領域は、第1の実施形態の変形例(図6)のように複数の半導体領域によって構成されていてもよい。」 したがって、引用文献3には、次の技術的事項が記載されていると認められる。 「信号電荷に対して障壁となりうるP型半導体領域であって、入射光の波長に応じてP型半導体領域の深さを調節すること。」 4 引用文献4について また、原査定の拒絶の理由に引用された引用文献4(特開2009-206356号公報)には、図面とともに次の事項が記載されている。 「【0102】 <断面構成例(1)> 図23に示す断面構成は、素子分離絶縁膜408が、信号走査回路部が形成される半導体基板404の表面上(表面側)から所定の距離(d1)を持って半導体基板404中にオフセットされて設けられる点で、上記第1の実施形態と相違している。 【0103】 換言すると、図示する構成は、隣接する単位画素1の間の素子分離絶縁膜408が、信号走査回路の形成される表面側のシリコン(Si)基板404上には形成されていない点で、上記第1の実施形態と相違している。 【0104】 さらに、図示すように、素子分離絶縁膜408は、単位画素1の素子分離境界領域に設けられるところ、信号走査回路の形成される表面側のシリコン(Si)基板404の表面上にまで及んで素子分離絶縁膜408を設けると、シリコン基板404の表面側に設けられたMOS-FET等の能動素子が占めることのできる面積が著しく小さくなってしまう。従って、微細画素において、多数のMOS-FET等の能動素子を形成させることができなくなってしまう。 【0105】 ここで、図24に拡大して示すように、破線で囲って示す能動素子(MOS-FET)は、層間絶縁膜中409中に設けられるゲート電極gate、ゲート絶縁膜、ゲート電極gateを挟むようにシリコン基板404中に隔離して設けられるソースまたはドレインS/D(n型拡散層)により構成される。また、能動素子(MOS-FET)の間には素子分離絶縁膜STIが設けられる。さらに、素子分離絶縁膜408の下方における半導体基板404中に、ドレインS/D(n型拡散層)および素子分離絶縁膜STIを囲むように、Pウェル(PWell)442が設けられる。 【0106】 しかし、図示するように、本例では、素子分離絶縁膜408が、信号走査回路部が形成される半導体基板404の表面上(表面側)から所定の距離(d1)を持って半導体基板404中にオフセットされて設けられている。 【0107】 そのため、単位画素1に形成するMOS-FET等の能動素子のレイアウトには何の制約も無く、従って微細画素を制約無く形成することができる。本例の場合、オフセットさせる距離d1は、例えば、150nn程度から1μm程度であることが望ましい。」 したがって、引用文献4には、次の技術的事項が記載されていると認められる。 「素子分離絶縁膜408であって、単位画素1に形成するMOS-FET等の能動素子のレイアウトには何の制約も無く、従って微細画素を制約無く形成することができ、素子分離絶縁膜408の下方における半導体基板404中に、ドレインS/D(n型拡散層)および素子分離絶縁膜STIを囲むように、Pウェル(PWell)442が設けられること。」 第4 対比・判断 1 本願発明1について (1)対比 本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。 ア 引用発明の「半導体基板11」は、本願発明1の「基板」に相当する。 イ 引用発明の「光電変換部15」は、「半導体基板11に、複数の画素13が配列されてなる画素部12」の各「画素13」に形成されるものである。つまり、引用発明において、ある「画素13」の「光電変換部15」と、ある「画素13」に隣接する「画素13」の「光電変換部15」とを有し、本願発明1と引用発明とは、「前記基板に設けられた第1の光電変換部と、前記第1の光電変換部と隣接し、前記基板に設けられた第2の光電変換部と」を有する点で一致する。 ウ 引用発明では、「画素部12には、各画素13を分離する素子分離領域14を有し、」「素子分離領域14は、半導体基板11に形成された溝31を埋め込むようにこの溝31上に形成され」るものであり、上記イから、引用発明において、ある「画素13」の「光電変換部15」と、ある「画素13」に隣接する「画素13」の「光電変換部15」との間に「溝31」を有するものと認められる。 そうすると、引用発明の上記「溝31」は、本願発明1の「前記第1の光電変換部と前記第2の光電変換部との間の前記基板の光入射面に設けられた第1の溝部」に相当する。 エ 引用発明では、「溝31の内面には、酸化シリコン膜32が形成され、その酸化シリコン膜32の表面には負の固定電荷を有する絶縁膜33が形成され」るものであり、引用発明の「絶縁膜33」は、本願発明1の「第1絶縁膜」に対応し、本願発明1と引用発明とは、「前記第1の溝部の内壁面」「を被覆するように形成された固定電荷を有する第1の絶縁膜」を有する点で共通する。 オ 引用発明では、「酸化シリコン膜32、負の固定電荷を有する絶縁膜33を介して埋め込み絶縁膜34が半導体基板11表面より高く形成され、埋め込み絶縁膜34は、酸化シリコン膜で形成され」るものであり、「半導体基板11の表面側」が「光入射面」であるから、引用発明の「埋め込み絶縁膜34」は、本願発明1の「前記第1の絶縁膜を被覆し、前記第1の絶縁膜よりも光入射面側に設けられた酸化シリコンを含んで形成された第2の絶縁膜」に相当する。 カ 引用発明の「光電変換部15」は、「入射光を光電変換して信号電荷を得るもので、例えばフォトダイオードで構成され」るものであり、電荷蓄積領域からなるもの認められる。そして、引用発明では、「光電変換部15の表面には、ノイズを抑制するためにP型拡散層21が形成され、溝31の底部の上記半導体基板11にはP型不純物領域35が形成され」るものであり、「溝31」に接する領域及び「光電変換部15」の電荷蓄積領域の光入射面側に、P型からなる半導体領域が形成されるものと認められ、引用発明の「P型」は、本願発明1の「第1導電型」に相当し、上記イから、本願発明1と引用発明とは、「断面視において、前記第1の溝部の周囲に接する領域、及び、前記第1の光電変換部の電荷蓄積領域と前記第2の光電変換部の電荷蓄積領域の光入射面側に第1導電型からなる半導体領域が形成され」る点で一致する。 キ 引用発明の「光電変換部15」は、「光電変換部のN型領域」であり、引用発明の「N型」は、本願発明1の「第2導電型」に相当し、上記イ、カから、本願発明1の「光電変換部」と引用発明の「光電変換部15」は、「前記第1の光電変換部及び前記第2の光電変換部の電荷蓄積領域は、第2導電型からなる半導体領域で形成され」る点で一致する。 ク 引用発明では、「半導体基板11の表面側に光電変換部15、画素トランジスタ16、溝31を有し、半導体基板11の表面側の光入射面に設けられた画素トランジスタ部16は、光電変換部15側より、転送トランジスタ(読み出しトランジスタともいう)16T、リセットトランジスタ16R、増幅トランジスタ16A、選択トランジスタ16Sが順に配列され」るものであり、本願発明1と引用発明とは、「前記基板」「に画素トランジスタが設けられ」る点で一致する。 ケ 引用発明の「固体撮像装置1」は、本願発明1の「固体撮像装置」に相当する。 コ したがって、本願発明1と引用発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。 (一致点) 「基板と、 前記基板に設けられた第1の光電変換部と、 前記第1の光電変換部と隣接し、前記基板に設けられた第2の光電変換部と、 前記第1の光電変換部と前記第2の光電変換部との間の前記基板の光入射面に設けられた第1の溝部と、 前記第1の溝部の内壁面を被覆するように形成された固定電荷を有する第1の絶縁膜と、 前記第1の絶縁膜を被覆し、前記第1の絶縁膜よりも光入射面側に設けられた酸化シリコンを含んで形成された第2の絶縁膜と、 断面視において、前記第1の溝部の周囲に接する領域、及び、前記第1の光電変換部の電荷蓄積領域と前記第2の光電変換部の電荷蓄積領域の光入射面側に第1導電型からなる半導体領域が形成され、 前記第1の光電変換部及び前記第2の光電変換部の電荷蓄積領域は、第2導電型からなる半導体領域で形成され、 前記基板に画素トランジスタが設けられた 固体撮像装置。」 (相違点) (相違点1)本願発明1の「第1の絶縁膜」は、「前記第1の光電変換部と前記第2の光電変換部の光入射面側」を被覆するように形成されたものであるのに対し、引用発明の「絶縁膜33」では、そのような特定はなされていない点。 (相違点2)「画素トランジスタ」について、本願発明1では、「前記基板の光入射面と反対の面」に設けられたものであるのに対し、引用発明では、「半導体基板11」の光入射面の面に設けられる点。 (2)相違点についての判断 事案に鑑みて、上記相違点1、2についてまとめて検討する。 引用発明の「溝31」、「負の固定電荷を有する絶縁膜33」、「埋め込み絶縁膜34」からなる「素子分離領域14」は、引用文献5の【図1】に示されるように、各画素の「光電変換部15」を分離するだけでなく、「画素トランジスタ部16」を分離するために用いられるものである。また、同【図1】から、「負の固定電荷を有する絶縁膜33」は、「溝31」内のみに形成された構造を有し、「埋め込み絶縁膜34」は、基板の面から突起した構造を有するものであり、引用文献5の段落【0002】の記載から「素子分離領域14」は、STIに関するものといえる。 そうすると、引用発明において、引用文献1の技術的事項に基づき、裏面照射型の構成とすることで、相違点2に係る本願発明1の構成を採用したとしても、光照射面と反対の面である「画素トランジスタ部16」が設けられる基板の表面側に、「溝31」、「負の固定電荷を有する絶縁膜33」、「埋め込み絶縁膜34」からなる「素子分離領域14」を設ける必要がある。しかしながら、引用文献1、3、4には、基板の両面にSTIからなる素子分離領域を形成することは記載されておらず、基板の表面側に加えて、基板の裏面側にSTIからなる「素子分離領域14」を設けることは当業者において容易に想到し得たこととはいえない。そうすると、引用発明において、光照射面に「溝31」、「負の固定電荷を有する絶縁膜33」、「埋め込み絶縁膜34」からなる「素子分離領域14」を形成し、本願発明1の「第1の溝部」、「固定電荷を有する第1の絶縁膜」、「第2の絶縁膜」に対応する構成を有するようにすることが容易であるとはいえない。 また、引用発明において、引用文献1の技術的事項に基づき、裏面照射型の構成、特にトレンチ部19の側壁及び底面と受光部PDの光入射面側を被覆するように形成された固定電荷を多く持つ高誘電率材料膜18とすることで、相違点1、2に係る本願発明1の構成を採用したとしても、引用文献1には、高誘電率材料膜18を被覆し、高誘電率材料膜18よりも光入射面側に設けられた酸化シリコン又は酸窒化シリコンを含んで形成された絶縁膜が記載されていないから、本願発明1の「第2の絶縁膜」に対応する構成を有することはできない。さらに、引用発明の「埋め込み絶縁膜34」が、基板の裏面側に必要であることは、引用文献5に記載も示唆もされていないため、引用発明において、引用文献1の技術的事項を採用した上で、基板の裏面側に「埋め込み絶縁膜34」を用いる動機付けは無いといえる。なお、本願発明1の「前記基板の光入射面と反対の面に画素トランジスタが設けられ」、かつ「前記第1の絶縁膜を被覆し、前記第1の絶縁膜よりも光入射面側に設けられた酸化シリコン又は酸窒化シリコンを含んで形成された第2の絶縁膜」を形成することは、上記引用文献3、4にも記載されていない したがって、本願発明1は、当業者であっても引用発明、引用文献1、3、4に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。 2 本願発明2-18について 本願発明2-18は、本願発明1の上記相違点1、2に係る構成と同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明、引用文献1、3、4に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。 第5 原査定の概要及び原査定についての判断 原査定は、請求項1-11、13-18について上記引用文献1、3-5に基づいて、当業者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないというものである。しかしながら、令和 2年10月27日付け手続補正により補正された請求項1-18は、上記相違点1、2に係る構成を有するものとなっており、上記のとおり、本願発明1-18は、上記引用文献5に記載された発明及び上記引用文献1、3、4に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明できたものではない。したがって、原査定を維持することはできない。 第6 当審拒絶理由について 1 特許法第36条第6項第2号について (1)当審では、請求項1の「前記第1の絶縁膜をよりも光入射面側に設けられた酸化シリコン又は酸窒化シリコンを含んで形成された第2の絶縁膜」の「をよりも」という記載は、日本語として不明確であるとの拒絶の理由を通知しているが、令和 2年10月27日付けの補正において、「前記第1の絶縁膜を被覆し、前記第1の絶縁膜よりも光入射面側に設けられた酸化シリコン又は酸窒化シリコンを含んで形成された第2の絶縁膜」と補正された結果、この拒絶の理由は解消した。 (2)当審では、請求項1の「前記複数の光電変換部」という記載の意味が不明確であるとの拒絶の理由を通知しているが、令和 2年10月27日付けの補正において、「前記第1の光電変換部及び前記第2の光電変換部」と補正された結果、この拒絶の理由は解消した。 第7 むすび 以上のとおり、本願発明1-18は、当業者が引用発明及び引用文献1、3、4に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものではない。 したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。

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2020-001704

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