審決検索MVP
← 検索一覧に戻る
特許拒絶査定不服審判

2016-005391

呼吸リハビリテーションにおけるプログラムガイダンスのためのバイオフィードバック

審判番号
2016-005391
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2012-545478外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2016年04月12日
審決日
2017年02月15日
公報発行日
2017年08月25日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-Z (G06F)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特願2012-545478「呼吸リハビリテーションにおけるプログラムガイダンスのためのバイオフィードバック」拒絶査定不服審判事件〔平成23年 7月 7日国際公開、WO2011/080603、平成25年 5月 9日国内公表、特表2013-515995〕について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

【理 由】 第1 手続の経緯 本願は、平成22年11月17日(パリ条約による優先権主張日;平成21年12月28日、米国)に出願された特許出願であって、平成27年6月15日付けで拒絶の理由が通知され、同年9月1日に意見書と手続補正書が提出され、平成28年2月3日付けで拒絶査定がなされ、その謄本は同月9日に請求人に送達された。これに対し、同年4月12日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。 第2 本願発明 本願の請求項1乃至17に係る発明は、平成27年9月1日に提出された手続補正書による補正後の特許請求の範囲の請求項1乃至17に記載された事項により特定されるものであって、そのうち請求項11に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、以下のとおりのものである。(分説のため、A~Gを付した。) A 患者のための運動訓練計画を提供するためのコンピュータ実施方法であって、前記方法はコンピュータプログラムモジュールを実行するプロセッサを有するコンピュータシステムにおいて実施され、 B プロセッサにおいて前記患者からの健康情報データを受信し、前記健康情報データは患者の情報及び/又は患者の症状をあらわす、ステップと、 C 生理学的データを集めるために前記患者の生理学的パラメータをセンサで測定するステップと、 D 前記コンピュータシステムの前記プロセッサ上で、前記健康情報データと前記生理学的データに基づいて前記患者のための運動訓練計画を考案するように構成されるコンピュータプログラムモジュールを実行するステップと、 E 前記生理学的データが所定範囲内であるかどうかを決定するために前記患者の運動訓練中に前記生理学的データをモニタリングするステップと、 F 前記コンピュータシステムの前記プロセッサ上で、前記生理学的データが前記所定範囲外である場合に前記患者のための運動訓練計画を修正するように構成されるコンピュータプログラムモジュールを実行するステップとを有し、 G 前記所定範囲が、前記患者に依存する、 A 方法。 第3 引用文献と引用発明、周知例 1 引用文献と引用発明 (1)引用文献 原査定の拒絶の理由に引用された刊行物である特開2006-263002号(以下、「引用文献」という。)は、本願の優先権主張日(以下、単に「優先日」という。)前である平成18年10月5日に出願公開された特許文献であり、次の事項が記載されている。(なお、下線は当審において付加したものである。) ア「【技術分野】【0001】この発明は、管理装置から利用者が所持する携帯通信端末へ通信ネットワークを利用して運動シナリオを提供することにより利用者の運動を遠隔的に指導する運動指導システムとその携帯通信端末に関する。」 イ「【発明が解決しようとする課題】【0004】・・上記従来の運動支援システムでは、利用者の身体状況や要望とは無関係に画一的な運動プログラムが用意されるため、利用者の運動能力や体調等を考慮した最適な運動を行うことが困難だった。また、利用者は運動中に自己の生体データや消費カロリを把握することは可能であるが、これらのデータをもとに運動の内容を変更するか否かは利用者自身が判断しなければならない。このため、運動の過不足が発生し易く、場合によっては体調の急変や故障等を引き起こす危険があり、きわめて好ましくなかった。 【0005】この発明は上記事情に着目してなされたもので、その目的とするところは、利用者が場所に縛られることなく任意の場所で自身のプロフィールや体調、運動の目的等に応じて常に最適な運動シナリオにより運動を行えるようにした運動指導システムとその携帯通信端末を提供することにある。」 ウ「【0008】またこの発明は、利用者が上記配信された第1の運動シナリオに従い運動を行っている期間に、当該利用者の生体データをセンサユニットから取得して、この取得された運動中の利用者の生体データと上記分析結果をもとに上記第1の運動シナリオを修正して第2の運動シナリオを作成する。そして、この作成された第2の運動シナリオを管理装置から携帯通信端末に配信し、この配信された第2の運動シナリオを上記第1の運動シナリオに代えて利用者に提示することも特徴とする。 したがって、運動中に利用者の生体データが変化すると、この変化に応じて運動シナリオが適応的に修正される。このため、利用者は運動中においても、常に刻々と変化する自身の体調変化に応じた最適な運動シナリオに従い運動を行うことができる。このため、利用者は運動中の体調変化も考慮して過不足なくかつ安全に運動を行うことができる。 ・・・ 【0013】さらにこの発明は、管理装置において、携帯通信端末から送られた利用者の生体データを当該利用者の個人情報等をもとに予め設定されたしきい値と比較し、この比較の結果生体データがしきい値を超えた場合に運動停止指示メッセージを含む運動シナリオを携帯通信端末へ送信する。そして、携帯通信端末において、上記管理装置から上記運動停止指示メッセージを含む運動シナリオを受信した場合に、当該受信された運動シナリオに含まれる運動停止指示メッセージを音声メッセージに変換し、この変換された音声メッセージをスピーカから拡声出力することも特徴とする。 したがって、利用者が携帯通信端末のディスプレイを視認せずに運動を行う場合でも、利用者は運動停止指示メッセージを音声により確実に認識することができ、これにより運動を確実に停止することができる。」 エ「【発明を実施するための最良の形態】【0017】以下、図面を参照してこの発明の一実施形態を説明する。 図1は、この発明に係わる運動指導システムの一実施形態を示す概略構成図である。この実施形態の運動指導システムは、利用者が所持する携帯通信端末MT1~MTnを、利用者の自宅等に設置される利用者端末UT1~UTnに接続し、さらにこの利用者端末UT1~UTnからスポーツクラブやフィットネスクラブ等に設置される管理装置CSに対し通信ネットワークNWを介して接続可能としている。またそれと共に、各利用者にセンサユニットSU1~SUnを装着し、このセンサユニットSU1~SUnにより検出された生体データを携帯通信端末MT1~MTnで受信して、この携帯通信端末MT1~MTnから利用者端末UT1~UTnを介して管理装置CSへ転送するようにしている。 【0018】通信ネットワークNWは、インターネットに代表されるIP(Internet Protocol)網と、このIP網にアクセスするための複数のアクセス網とから構成される。アクセス網としては、例えばDSL(Digital Subscriber Line)や光伝送路を使用する有線加入者網、CATV(Cable Television)網、無線LAN(Local Area Network)網、移動通信網、専用線網が用いられる。」 オ「【0019】センサユニットSU1~SUnは、例えば利用者の腕や胴部に装着可能なベルト状に形成され、このベルト部分に各種センサを取着している。・・センサユニットSU1~SUnは、センサ群10と、通信回路20とから構成される。センサ群10は、心拍センサ11と、血圧センサ12と、体温センサ13と、発汗センサ14と、歩数センサ15と、加速度センサ16と、UVセンサ22と、気象センサ23とを備え、さらに計時回路17、ジャイロセンサ18及びGPS(Global Positioning System)受信機19を備えている。 【0020】心拍センサ11は、利用者の心拍或いは脈拍を検出する。血圧センサ12は、利用者の血圧を検出する。体温センサ13は、利用者の体温を検出する。発汗センサ14は、利用者の発汗の量を検出する。歩数センサ15は、利用者の歩数をカウントする。加速度センサ16は、利用者の動きの量を検出するために用いる。・・・ 【0021】通信回路20は、上記センサ群10の各センサにより上記一定の時間間隔で得られる検出データをまとめて生体データとし、この生体データにより無線信号を変調してアンテナ21から送信する。」 カ「【0022】携帯通信端末MT1~MTnは例えば携帯電話機からなり、次のように構成される。・・携帯通信端末MT1~MTnは携帯通信用のアンテナ51及び通信回路52を備える。このアンテナ51及び通信回路52は、図示しない携帯通信用の基地局との間、及び利用者端末UT1~UTnとの間で無線通信を行うために使用される。・・・ 【0023】また、携帯通信端末MT1~MTnは、簡易通信用のアンテナ53及び通信回路54を備えている。この簡易通信用のアンテナ53及び通信回路54は、センサユニットSU1~SUnから送信される生体データを受信するために使用される。無線通信方式としては、例えばBT(BlueTooth)(登録商標)等の近距離無線データ通信方式が使用される。 ・・・ 【0025】外部記憶I/F63には、メモリカードMCが着脱可能に挿着される。メモリカードMCはEEPROMからなり、例えば図4に示すようにプログラムエリア31及びデータエリア32を備えている。データエリア32には、音楽データ記憶エリア32a、生体データ記憶エリア32b及び運動シナリオ記憶エリア32cが設けられる。・・・ 【0026】生体データ記憶エリア32bには、対応するセンサユニットSU1~SUnから送信された利用者の生体データがタイムスタンプを付されて記憶される。生体データには、先に述べたように利用者の心拍又は脈拍数、血圧値、体温、発汗の量、紫外線の強さ、気象データ、利用者の動きの量、身体の傾き、利用者の現在位置が含まれる。 【0027】運動シナリオ記憶エリア32cには、利用者端末UT1~UTnから転送される、現在実行中あるいは次に実行される運動シナリオが記憶される。なお、運動シナリオは、例えば運動の内容と順序と時間を表すデータにより構成される。運動の内容には、音楽データを選択するために使用される音楽識別コードも含まれる。」 キ「【0034】・・・利用者端末UT1~UTnは、中央処理ユニット(CPU:Central Processing Unit)71を備える。このCPU71には、バス72を介してプログラムメモリ73及びデータメモリ74が接続され、さらに通信インタフェース(通信I/F)75、携帯通信インタフェース(携帯通信I/F)76及び入出力インタフェース(入出力I/F)77がそれぞれ接続されている。 【0035】通信I/F75は、CPU71の制御の下で、管理装置CSとの間で通信ネットワークNWにより規定される通信プロトコルに従って双方向の通信を行う。通信プロトコルとしては、例えばTCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)が使用される。 ・・・ 【0037】データメモリ74は、例えばハードディスクやフラッシュメモリ、RAM等を記憶媒体として使用したもので、生体データ記憶エリア74aと、運動シナリオ記憶エリア74bを備えている。 生体データ記憶エリア74aには、上記センサユニットSU1~SUnにより検出され、携帯通信端末MT1~MTnから送られた生体データが蓄積される。生体データには、先に述べたように利用者の心拍又は脈拍数、血圧値、体温、発汗の量、利用者の動きの量、紫外線の強さ、気象データ、身体の傾き、利用者の現在位置が含まれる。・・・ 【0038】・・・個人データ設定送信制御プログラム73aは、利用者による個人データ及び運動目的を表すデータの入力を受け付け、この入力された個人データ及び運動目的を表すデータを通信I/F75から管理装置CSに向け送信する処理を実行する。例えば、利用者の操作に応じて管理装置CSによりWeb上に開示されるホームページに対しアクセスし、このホームページの入力画面において利用者が入力した個人データ及び運動目的を表すデータを取り込む。なお、上記ホームページに対しアクセスするには事前の会員登録が必要であり、この会員登録により管理装置CSから付与される利用者IDとパスワードを入力することにより上記ホームページのアクセスが可能となる。 【0039】 個人データは、利用者の会員番号と属性情報とから構成される。属性情報には、住所、氏名、年齢、性別、職業を始め、必要に応じて家族構成、身長、体重、運動履歴、病歴、医療機関による診断内容(高血圧、糖尿等)、嗜好、コメント等が含まれる。運動の目的を表すデータは、介護予防のための転倒予防や生活習慣病予防又は改善、ダイエット(ウエイトダウン、部分痩せ(足、腕、ウエスト等))、筋力増強、運動不足解消(ウォーキング、ジョギング、肩こり解消、腰痛解消、全身体操等)、リフレッシュ(全身のリラックス運動、デスクワーク疲労の解消等)等からなる。さらに、予定運動継続期間(3ヶ月、6ヶ月等)、平均的な予定運動実施頻度と時間帯(平日は毎日午前10時から10時半と午後8時から8時半、土日は午後8時から9時等)を表す情報も含まれる。なお、運動目的がダイエットの場合には、身長、体重に加えて、胸囲、胴囲、腰囲、太股、脹ら脛、上腕部等のサイズを個人データに加えてもよい。 【0040】データ中継転送制御プログラム73bは、管理装置CSと携帯通信端末MT1~MTnとの間で、生体データ、運動シナリオ及び利用者の音声メッセージを中継転送するための処理を実行する。・・」 ク「【0041】・・管理装置CSはCPU41を備える。このCPU41には、バス42を介してプログラムメモリ43及びデータベース44が接続され、さらに通信インタフェース(通信I/F)45及び外部記憶インタフェース(外部記憶I/F)46がそれぞれ接続されている。 ・・・ 【0045】プログラムメモリ43は、例えばROM又はハードディスクにより構成される。そしてこのプログラムメモリには、利用者情報管理プログラム43aと、分析プログラム43bと、運動シナリオ作成プログラム43cと、配信制御プログラム43dと、気象予報データ取得制御プログラム43eが記憶されている。 【0046】利用者情報管理プログラム43aは、通信I/F45により利用者端末UT1~UTnとの間で通信を行うことで利用者の個人データ及び生体データを受信し、受信した個人データ及び生体データを上記個人データ記憶エリア44aに記憶する処理を実行する。・・・」 ケ「【0047】分析プログラム43bは、個人データ記憶エリア44aに記憶された利用者の個人データ(運動の目的や病歴、負荷をかけられない身体の疾病部位等)、平常時の生体データ(血圧や心拍、体温、簡単な問診結果等)、利用者の希望(リフレッシュしたいか、どこか具合の悪いところはないか、運動可能な時間はどの程度か等)、既に実施した運動シナリオが過去データ記憶エリア44dに記憶されている場合にはそのときの生体データの変化履歴や傾向性を表すデータ(筋力トレーニングが足りない、運動強度がやや強いと心拍が上昇しやすい等)を分析する。 【0048】そして、この分析結果をもとに運動に求める項目の抽出とその優先順位付けを行い、このデータを運動基礎データとして基礎データ記憶エリア44bに保管する。運動に求める項目は各運動コンテンツの特徴を表す項目でもあり、運動強度、ストレッチ効果、筋力向上度合とその部位、シェイプアップ効果とその部位、リフレッシュ効果、リラックス効果、楽しさの度合、柔軟効果とその部位等からなる。 【0049】また分析プログラム43bは、利用者の身体の疾患部位及び問診結果から得られた運動当日の体調データを分析し、禁止項目を抽出する。例えば3ヶ月前に交通事故で肩を損傷し今もなお通院中の人であって今日は腰が痛い場合には、禁止項目として「肩を動かす運動」「腰を動かす運動」を抽出する。そして、この抽出された禁止項目を、他のデータよりも優先させるため重み付けして記憶する。 【0050】さらに分析プログラム43bは、運動実施直前の体調データ(血圧や心拍、体温、簡単な問診結果等)、個人の希望事項(リフレッシュしたいか、気分は晴れやかか、今日は膝が痛いので椅子に座って体操したい、運動可能な時間は20分等)に基づく分析結果を、平常時の運動基礎データと比較する。そして、変更すべき項目と追加すべき項目を抽出して、これらの項目に対する優先順位付けを再度行い、その結果を差分データとして基礎データ記憶エリア44bに保管する。 【0051】さらに分析プログラム43bは、利用者端末UT1~UTnから刻々と送信される生体データに基づいて、利用者の体調や体力の状況等を分析する。例えば、心拍センサ11による心拍数の変化、血圧センサ12による血圧の上昇、体温センサ13による体温の変化、発汗センサ14により発汗量、UVセンサ22による紫外線量、気象センサ23による外気温や湿度の変化、また歩数センサ15や加速度センサ16によって利用者の身体への影響や消費エネルギが分析される。そして、例えば心拍や血圧等が予め設定した要注意範囲に入ったか否かを判定し、入った場合に差分データを生成する。また、上記運動中の心拍や血圧等が予め設定した危険範囲に入ったか否かについても判定し、入った場合には運動停止要求を生成する。」 コ「【0055】運動シナリオ作成プログラム43cは、上記基礎データ記憶エリア44bに記憶された運動基礎データをもとに運動予定期間全体の基本的な運動シナリオを作成し、この作成されたシナリオを運動シナリオ基本データとして運動データ記憶エリア44cに保管する。例えば、運動基礎データとして転倒予防の目的が優先され、高齢者のため運動時間と運動強度を徐々に増大させていくよう指示されている場合には、運動コンテンツのメタ情報から転倒予防目的のものを選択する。そして、ストレッチ運動と、転倒予防につながる身体の部位の筋力トレーニングと、バランス力を向上させるコーディネーション運動とを組み合わせた基本的な転倒予防の運動シナリオを作成する。運動コンテンツの全体の長さは、例えば最初の1週間は10分、次の1週間は20分、その後は30分となるように定める。 【0056】また運動シナリオ作成プログラム43cは、利用者の運動開始時点で、上記分析プログラム43bにより得られた差分データを考慮し、さらに運動コンテンツデータに付加されるメタ情報を参考にして、運動シナリオ基本データをもとに実際に配信する運動シナリオを作成する。例えば、生活習慣病予防の目的であって、昨日から膝が痛いので負荷をかけたくない利用者に対しては、基本運動シナリオで用意されている、立って行う運動を椅子に座って行う運動に切り替えて、運動シナリオを作成し直す。 【0057】さらに運動シナリオ作成プログラム43cは、利用者の運動期間中に、上記分析プログラム43bにより新たな差分データが生成されると、この差分データをもとに該当する利用者の運動シナリオを変更する。例えば差分データが負荷を減少させるものであれば、運動を少し休むか運動強度の低いシナリオに変更する。その際、変更後のシナリオには、「今日はこのくらいにしましょう」等の文字メッセージを含める。反対に差分データが負荷を増加させるものであれば、負荷の高い運動シナリオに変更する。その際、変更後のシナリオとしては「もう少し頑張りましょう」等の文字メッセージを含める。また、分析プログラム43bにより、心拍や血圧等の生体データが危険範囲を超えたと判定された場合には、運動を直ちに中止させるための運動停止指示情報を生成する。」 サ「【0059】さらに運動シナリオ作成プログラム43cは、利用者の運動の目的が、脂肪を燃焼させるダイエットの場合には、ダイエット目的特有の運動シナリオを選択する。例えば、最大心拍数の65%前後となる運動強度を保つと、脂肪が最も効果的に燃焼されることが知られている。 最大心拍数は、基礎体力の有無によって年齢から、基礎体力がある場合は:205-(年齢×0.5)、基礎体力が無い場合は:210-(年齢×0.8)の式で求められる。例えば、日ごろ運動をしていない40歳の人の最大心拍数は210-(40×0.8)=178拍/分と推定できる。そのため、脂肪を効率的に燃やすには、この65%である115.7泊/分になるように有酸素運動を継続するシナリオを作成する。・・ 【0060】さらに、心拍センサの値がこれより低いときには、もう少し運動強度の高いメニューにシナリオ変更し、逆に高くなりすぎると糖質しか燃えなくなるので運動強度の低いメニューにシナリオ変更する。心拍数は運動強度と比例するが、利用者が65%ではきついと感じて例えば「ちょっときついです」といった音声メッセージを発した場合には、管理装置CSは例えば心拍数を最大心拍数の55%程度に落とした運動強度となるように運動シナリオを作成する。その際、運動シナリオには、「運動強度を軽くしました」といったメッセージを含める。」 シ「【0061】次に、以上のように構成された運動指導システムの動作を説明する。図7及び図8はセンサユニットSU1~SUn、携帯通信端末MT1~MTn、利用者端末UT1~UTn及び管理装置CSの制御手順と制御内容を示すフローチャートである。 ・・・ 【0063】また管理装置CSは、ステップS2において、一般的な人の年齢や性別、身長、体重、職業等に基づいた心拍数、血圧、体温等の基準値を基礎データとして記憶する。この基礎データは利用者の体調の基本状態を判定するために使用される。 【0064】一方、上記運動指導サービスを利用する場合に利用者が、自身の利用者端末(例えばUT1)においてWeb上の該当するホームページを開くための操作を行ったとする。そうすると利用者端末UT1のCPU71は、ステップS3においてブラウザ機能を起動して上記ホームページに対しアクセスし、その会員登録画面の表示データをダウンロードして表示部79に表示する。この状態で、利用者が会員登録画面において会員登録のための入力操作を行ったとすると、CPU71はステップS4において入力された利用者の氏名、住所、年齢、性別等の個人データと、運動目的を表すデータをそれぞれ取り込み、これらのデータをステップS5により通信I/F75から管理装置CSへ送信する。 【0065】これに対し管理装置CSは、ステップS6により上記利用者端末UT1から会員登録のための入力データを受信すると、ステップS7により登録要求元の利用者に対して利用者IDとパスワードを発行し、この発行した利用者IDとパスワードをステップS8により利用者端末UT1へ送信する。そして、上記受信された個人データ及び運動目的データを、ステップS9によりデータベース44内の個人データ記憶エリア44aに記憶する。」 ス「【0068】さて、運動を開始する場合に利用者は、自身の身体にセンサユニットSU1を取着し、このセンサユニットSU1の各センサを起動する。このとき利用者は、屋外で運動を行う場合にはGPS受信機19のスイッチを投入する。センサユニットSU1は、ステップS16でGPS受信機19のスイッチ投入を検出すると、ステップS17によりジャイロセンサ18及びGPS受信機19を作動させ、しかるのちステップS18により各センサ11~23の検出データを生体データとして通信回路20から携帯通信端末MT1へ送信する(ステップS19)。 【0069】携帯通信端末MT1は、ステップS20において、上記センサユニットSU1から送信された利用者の運動直前の生体データを簡易通信回路54により受信したのち、通信回路52から利用者端末UT1へ送信する。利用者端末UT1は、上記携帯通信端末MT1から送信された生体データを携帯通信I/F76により受信すると、この受信された生体データを生体データ記憶エリア74aに記憶したのち、通信I/F75から管理装置CSへ送信する。 【0070】管理装置CSは、ステップS22において、上記利用者端末UT1から送信された生体データを通信I/F45で受信すると、この受信された生体データをデータベース44の過去データ44dに記憶したのち、ステップS23により分析プログラム43bを実行する。そして、上記受信された利用者の運動直前の生体データと、同時に利用者が利用者端末UT1において入力した個人の希望事項(リフレッシュしたいか、気分は晴れやかか、今日は膝が痛いので椅子に座って体操したい、運動可能な時間は20分等)を分析し、その分析結果を平常時の運動基礎データと比較する。そして、変更すべき項目と追加すべき項目を抽出して、これらの項目に対する優先順位付けを再度行い、その結果を差分データとして保管する。 【0071】続いて管理装置CSは、ステップS24により運動シナリオ作成プログラム43cを実行し、上記分析プログラム43bにより得られた差分データを考慮し、さらに運動コンテンツデータに付加されるメタ情報を参考にして、予め作成されている運動シナリオ基本データをもとに実際に配信する運動シナリオを作成する。そして、この作成された運動シナリオをステップS25により利用者端末UT1へ送信する。 【0072】利用者端末UT1は、ステップS26において、上記管理装置CSから送信された運動シナリオを通信I/F75により受信し、この受信された運動シナリオを運動シナリオ記憶エリア74bに記憶する。そして、この記憶された運動シナリオをステップS29で表示部79に表示する。したがって、利用者は利用者端末UT1の表示部79を見ることにより配信された運動シナリオを確認することが可能となる。 【0073】またそれと共に利用者端末UT1は、上記受信された運動シナリオを携帯通信端末MT1へ送信する。携帯通信端末MT1は、上記利用者端末UT1から送信された運動シナリオをステップS27で受信すると、運動シナリオ記憶エリア32cに記憶する。そして、ステップS28により上記運動シナリオを実行する。」 セ「【0077】一方、上記運動が開始されるとセンサユニットSU1では、図8に示すようにステップS30において所定時間ごと、例えば1分おき、3分おき、或いは5分おきに、各センサの検出データが取得され、これらの検出データが運動中の利用者の生体データとしてステップS31により携帯通信端末MT1へ送信される。 【0078】携帯通信端末MT1は、上記センサユニットSU1から送信される生体データをステップS32で受信すると、この受信された生体データを利用者端末UT1へ送信する。利用者端末UT1は、上記携帯通信端末MT1から送信された生体データをステップS33で受信し記憶したのち、管理装置CSへ送信する。・・・ 【0079】これに対し管理装置CSは、上記利用者端末UT1から送信された生体データをステップS34で受信すると、この受信された生体データを過去データ記憶エリア44dに記憶したのち、ステップS35に移行してここで生体データの分析を行う。すなわち、受信された運動中の生体データと個人データ記憶エリア44aに記憶された個人データとをもとに、運動中の利用者の体調や体力の状況の変化を分析する。そして、その分析結果をもとにステップS36により運動シナリオの修正を行って、この変更されたシナリオをステップS37により利用者端末UT1に送信する。」 ソ「【0081】かくして、運動中に刻々と変化する利用者の生体データに応じて運動シナリオが自動的に変更され、利用者はこの運動シナリオに従い自身の生体データに応じた最適な運動を行うことができる。例えば、上記利用者の体調を分析した結果、生体データの変化が正常範囲内であれば、当該生体データの変化に応じて音楽のテンポを許容範囲内で変化させるようにシナリオが変更され、この変更されたシナリオに従い利用者は運動を継続できる。これに対し上記分析の結果、例えば運動中の利用者の心拍や血圧等が予め設定した要注意範囲に入ったとする。この場合管理装置CSは、利用者の運動シナリオを少し休むか運動強度の低いシナリオに変更して送信する。その際、変更後のシナリオには「運動を止めて少し休憩しましょう」等の文字メッセージを加える。この文字メッセージは、音声認識・合成プログラム31cにより音声メッセージに変換されて内蔵スピーカ57又はヘッドホンユニット59から出力される。したがって、利用者はこの音声メッセージにより指示を確認して運動を暫く休むことができる。 【0082】また、上記分析の結果、運動中の心拍や血圧等が予め設定した危険範囲に入った場合には、管理装置CSは運動を直ちに中止させるための運動停止指示を送信する。この運動停止指示を受信すると利用者端末UT1は、ステップS25により運動コンテンツの再生を停止する。その際、上記運動停止指示に「直ちに運動を終了し、安静にしてください」、「気分が悪い場合にはその旨をお知らせ下さい」といったメッセージを加えておけば、このメッセージが音声メッセージに変換されて内蔵スピーカ57又はヘッドホンユニット59から出力される。したがって、利用者は直ちに運動を終了することができる。」 タ「【0093】また、運動中に刻々と変化する利用者の生体データを携帯通信端末MT1~MTnから利用者端末UT1~UTnを経由して管理装置CSへ送り、この運動中の利用者の生体データもとに運動シナリオを修正して携帯通信端末MT1~MTnに配信し、利用者に提示する運動シナリオを更新するようにしている。 したがって、運動中に利用者の生体データが変化すると、この変化に応じて運動シナリオが適応的に修正される。このため、利用者は運動中においても、常に刻々と変化する自身の体調変化に応じた最適な運動シナリオに従い運動を行うことができる。このため、利用者は運動中の体調変化も考慮して過不足なくかつ安全に運動を行うことができる。」 (2)引用発明 ア (1)ア、(1)エの記載によれば、引用文献には、利用者に運動シナリオを、携帯通信端末に提供(配信)して提示するための、センサユニット、前記センサユニットと無線通信を行う携帯通信端末、前記携帯通信端末と無線通信を行う利用者端末、利用者端末と通信ネットワークを介して接続された管理装置からなるシステムが記載されており、(1)クの記載によれば、このシステムの「管理装置」は、「CPU」と「プログラムメモリ」を備え、この「プログラムメモリ」に「利用者情報管理プログラム」、「分析プログラム」、「運動シナリオ作成プログラム」等のプログラムを記憶しているから、「システム」の「CPU」がこれらのプログラムを実行して、プログラムに示された方法を実施するものである。(以下、「管理装置」の「CPU」でのプログラムの「実行」を、単にプログラムの「実行」という。)ここで、システムが提示する「運動シナリオ」は、「運動の内容と順序と時間」を示すものであり((1)カ)、また、システムの「利用者」には、生活習慣病の予防や改善、ダイエット等を運動の目的とする者が含まれている((1)キ)。 イ 利用者は、氏名や医療機関による診断内容等の個人データと運動目的データを利用者端末に入力するところ((1)シ)、(1)ク、(1)シの記載によれば、管理装置のCPUは、利用者情報管理プログラムの実行により、入力されたこれらのデータを利用者端末から受信する。 ウ (1)オ、(1)ク、(1)スの記載によれば、運動を開始する場合、利用者の身体に取着されたセンサユニットの心拍センサや血圧センサ等の各種センサの検出データである心拍や血圧等が生体データとして携帯通信端末へ送信され、携帯通信端末から利用者端末へ送信され、利用者端末から管理装置へ送信され、管理装置では、利用者情報管理プログラムの実行により、この生体データを受信する。 エ (1)ケ、(1)スの記載によれば、分析プログラムの実行により、ウで受信した生体データとイで受信した個人データと運動目的データとを分析して、分析結果を平常時の運動基礎データを比較する等した結果である差分データとして保管する。また、(1)コ、(1)スの記載によれば、運動シナリオ作成プログラムの実行により、運動目的を踏まえた(例えば介護予防のための転倒予防を目的とする運動((1)ク)であれば、転倒予防目的の運動コンテンツを組み合わせる等した)基本的な運動シナリオを作成し、これをもとに、保管された差分データを考慮して、利用者の運動開始時点での運動シナリオを作成する。この運動シナリオは、例えば、生活習慣病予防の目的であって、膝痛の利用者には、基本シナリオ中の立って行う運動を椅子に座って行う運動に切り替えて作成し直されたものである((1)コ)。 オ (1)ク、(1)セ、(1)ソの記載によれば、運動が開始されると、利用者情報管理プログラムの実行により、センサユニットから前記携帯通信端末及び前記利用者端末を経由して、運動中に刻々と変化する生体データを受信し、(1)コ、(1)セ、(1)ソの記載によれば、分析プログラムの実行により、この生体データの分析を行い、心拍や血圧等の生体データの変化が正常範囲内か否か、心拍や血圧等の生体データが予め設定した要注意範囲や危険範囲に入ったか否かを判定する。 カ (1)ケ、(1)セ、(1)ソの記載によれば、分析プログラムの実行により、オの要注意範囲に入ったと判定された場合、運動強度の低いシナリオに変更する等のための差分データを生成し、運動シナリオ作成プログラムの実行により、この差分データをもとに運動シナリオの運動強度の低いものへの変更等が行われる。 キ (1)ソ、(1)タの記載によれば、オの判定とこれを受けたカの運動シナリオの変更は、利用者が運動中に刻々と変化する生体データに応じて変更された「最適な」運動シナリオに従って「運動中の体調変化も考慮して過不足なくかつ安全に」運動を行うことができるようにするためのものである。 ク ア乃至キに示したところによれば、(1)の引用文献には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。(引用発明のA’乃至G’は、それぞれ、ア乃至キを踏まえたものである。) A’ 生活習慣病の予防や改善、ダイエット等を運動の目的とする利用者に、運動の内容と順序と時間を表すデータにより構成される運動シナリオを携帯通信端末に提供(配信)して提示するための、センサユニット、前記センサユニットと無線通信を行う携帯通信端末、前記携帯通信端末と無線通信を行う利用者端末、利用者端末と通信ネットワークを介して接続された管理装置からなるシステムにおいて、利用者情報管理プログラム、分析プログラム、運動シナリオ作成プログラム等のプログラムを実行して実施される方法であり、 B’ (利用者情報管理プログラムの実行により)利用者が入力した利用者の氏名や医療機関による診断内容等の個人データと運動目的データを利用者端末から受信し、 C’ (利用者情報管理プログラムの実行により)利用者の生体データを取得するために、センサユニットの心拍センサや血圧センサ等の各種センサにより検出された生体データを前記携帯通信端末及び前記利用者端末を経由して生体データを受信し、 D’ B’で受信した個人データと運動目的データ、C’で受信した生体データを分析して差分データを生成する分析プログラムと、利用者の運動開始時点で、分析プログラムからの差分データを考慮して、想定される運動目的に応じて予め用意された運動シナリオから、例えば、生活習慣病予防の目的であって、膝痛の利用者には、基本シナリオ中の立って行う運動を椅子に座って行う運動に切り替えて作成し直されたものである、実際に配信される運動シナリオを作成する運動シナリオ作成プログラムとを実行し、 E’ (利用者情報管理プログラムの実行により)運動が開始した後にもセンサユニットから前記携帯通信端末及び前記利用者端末を経由して、運動中に刻々と変化する心拍や血圧等の生体データを受信し、(分析プログラムの実行により、)受信した生体データの分析を行い、心拍や血圧等の生体データの変化が正常範囲内か否か、心拍や血圧等の生体データが予め設定した要注意範囲や危険範囲に入ったか否かを判定し、 F’ E’の判定により要注意範囲に入った場合等には、運動強度の低いシナリオに変更する等のための差分データを生成する分析プログラムと、差分データをもとに該当する利用者の運動シナリオを運動強度の低いものへ変更する等する運動シナリオ作成プログラムを実行し、 G’ 利用者が運動中に刻々と変化する生体データに応じて変更された最適な運動シナリオに従って運動中の体調変化も考慮して過不足なくかつ安全に運動を行うことができるようにする、 A’ 方法。 2 第4 2(2)アで示す周知事項についての周知例 (1)特開2003-52648号公報 この文献は、平成15年2月25日に出願公開された特許文献であり、次の事項が記載されている。 「【0022】【発明の実施の形態】本発明の第1の実施の形態を図面を参照して説明する。 ・・・ 【0036】ホストサーバ1は、利用者携帯端末3から送信された測定データを受信し、集計する測定データ集計手段と、集計した測定データを図示しない記憶手段へ蓄積する測定データ蓄積手段と、受信した測定データを分析し、各利用者に対して適切な運動を指示する運動アドバイス手段とを有する。 【0037】運動アドバイス手段は、受信した測定データに基づいて各利用者の運動強度を算出する運動強度算出手段を含む。また、算出された運動強度が所望の運動強度の範囲に含まれるか否か判断し、含まれない場合には、各利用者の運動強度が所望の範囲に含まれるように運動量を調節し、適正運動量を演算する運動量調節手段を含む。さらに、運動量調節手段によって演算された適正運動量を、利用者携帯端末3および利用者PC4に対して送信して適正な運動量を指示する適正運動量指示手段を含む。この送信された適正運動量のデータは図示しない記憶手段へ蓄積される。 ・・・ 【0042】このようにしてホストサーバ1は測定データや運動強度を常時算出し蓄積する。そして、例えば利用者の運動時には無理がなく、最も快適な運動強度と言われる運動強度50%~75%の範囲を出ないようにアドバイスする。また、運動強度は最大心拍数と安静時心拍数の変動に応じて、変化していくものなので常に利用者の体力に見合った値に補正する。なお、目標として設定される運動強度の範囲(%)は、利用者の目的,体力レベル等によって適宜変更が可能である。」 「【0048】次に本発明の第2の実施の形態を説明する。本発明の第2の実施の形態は心臓疾患を伴った利用者を想定している。・・・ ・・・ 【0055】利用者携帯端末3を通じて送信されたデータはホストサーバ1にて集計される。ホストサーバ1では測定データをもとに運動強度を算出する。運動強度は先述の第1の実施の形態と同様にして算出するが第2の実施形態では運動強度は、利用者の心臓疾患を常に監視する目的で行れるので、心電図データ,血圧データをもとに、利用者の疾患に負担がかからない運動強度を設定しアドバイスする。 ・・・ 【0058】本実施の形態においては心臓疾患を例として説明したが、本発明はこれに限られない。例えば、高血圧症の運動療法等他の疾患に対しても本発明を適用することが可能であり、そのような適用も本発明に含まれる。」 (2)特開2002-153430号公報 この文献は、平成14年5月28日に出願公開された特許文献であり、次の事項が記載されている。 「【0002】・・・生活習慣病の効果的な予防あるいは対処療法として、心臓などへの負担の少ない、例えば、毎日20~40分程度一定のペースを保って早足で歩くような、有酸素運動を行う運動療法が注目されている。・・・ 【0003】上記有酸素運動を行う場合には、歩行のピッチなどの運動のペースが遅すぎると効果がなく、逆に不必要にペースが上がり過ぎると脚や心臓などへ過度の負担がかかるので、例えば、定期的に運動のペースを徐々に上げていくなど、自分に合った運動のペースを自分自身で体感的に調整して行う必要がある。・・・」 「【0008】・・・本発明の運動療法支援装置は、運動療法を行う運動者の年齢Age,安静時脈拍数HRrest,運動時心拍数HRmov,及び運動時収縮血圧BPmovから、上記運動者の運動負荷状態と心臓への負担度を把握して、運動者が常に適度の運動のペースを維持する、すなわち上記有酸素運動の領域での運動を継続することができるように構成したものである。」 「【0013】運動負荷強度演算手段31では、上記脈波センサ10で検出した脈波の周期から運動者の運動時心拍数HRmovを算出するとともに、パラメータ入力手段20から入力された上記運動者の年齢及び安静時心拍数HRrestと上記運動時心拍数HRmovとから、上記式(3)を用いて上記運動者の%運動強度を演算して運動負荷強度を求める。また、PRP演算手段32では、上記脈波のパルス幅を検出し、予め求められた脈波のパルス幅と収縮期血圧PBとの相関から収縮期血圧PBを算出し、この収縮期血圧PBと上記運動時心拍数HRmovとから、上記式(5)を用いて運動時のPRP値を演算する。上記運動負荷強度とPRPの値は順次運動状態判定手段33に送られ、ここでPRPの傾きが算出される。そして、上記傾きが一定値の場合には、運動者の運動状態が有酸素運動を維持しており、上記傾きが、例えば2倍に増加した場合には、上記運動状態が、心臓への負担が大きくなる無酸素運動の領域に入ったと判定し、その結果を運動ペース演算手段34に出力する。 【0014】運動ペース演算手段34では、上記運動状態判定手段33の判定結果が有酸素状態であると判断した場合には、セラミック振動スピーカ50を制御し、上記予め運動者が入力した歩行ピッチ音を継続して発生させる。また、上記判定結果が無酸素運動状態であると判断した場合には、歩行のピッチを更に一段階下げたピッチ音を発生させ、運動者の歩行ピッチの調整を支援する。・・・」 「【0018】【発明の効果】・・・更に、運動者の年齢と心拍数と収縮期血圧とから上記運動者の運動負荷強度と心臓への負担度を推定して、運動者に適した運動のペースを上記運動者に提示することにより、更に適切な運動のペースを提示することができる。・・・」 第4 対比・判断 1 本願発明と引用発明1との対比 (1) 引用発明の「運動」は、本願発明の「運動訓練」に相当し、引用発明の「生活習慣病の予防や改善、ダイエット等を運動の目的とする利用者」及び「運動シナリオ」は、それぞれ、この目的で運動訓練を行う者及びこの者に提供(携帯端末に提供(配信)されて提示)され、この目的での運動訓練を示す、運動訓練の計画である点で、本願発明の「患者」及び「運動訓練計画」に対応している。 また、引用発明の「システム」、「管理装置」の「CPU」は、それぞれ、本願発明の「コンピュータシステム」、「プロセッサ」に相当し、引用発明は、プログラムをプロセッサで実行して実施される方法であるから、「コンピュータプログラムモジュールを実行するプロセッサを有するコンピュータシステム」において実施されるコンピュータ実施方法である点で、本願発明と引用発明とは一致している。 以上を踏まえると、本願発明のAと引用発明のA’とは、運動訓練を行う者と運動訓練の計画が、本願発明では「患者」と「運動訓練計画」であるのに対し、引用発明では「生活習慣病の予防や改善等を運動の目的とする利用者」と「運動シナリオ」である点(相違点1)において相違しているものの、運動訓練を行う者のための運動訓練の計画を「提供するためのコンピュータ実施方法」であって、「コンピュータプログラムモジュールを実行するプロセッサを有するコンピュータシステムにおいて実施される」方法である点で一致している。 (2)引用発明の「利用者が入力した利用者の氏名や医療機関による診断内容等の個人データと運動目的データ」は、運動訓練を行う者の情報であり、また、医療機関による診断内容には運動訓練を行う者の症状が含まれ得るものである点で、本願発明の「健康情報データ」に対応しており、管理装置のCPUにおけるプログラムの実行によりこの健康情報データを受信するから、引用発明のB’は、「プロセッサにおいて」運動訓練を行う者「から」、運動訓練を行う者「の情報及び/又は」運動訓練を行う者「の症状をあらわす」「健康情報データ」を「受信」する点で、本願発明のBと一致している。 (3)引用発明の「センサユニットの心拍センサや血圧センサ等の各種センサ」は、本願発明の「センサ」に相当し、引用発明の「検出データ」は、運動訓練を行う者についてセンサによる測定で検出されるものであり、本願発明の「生理学的パラメータ」に相当する。そして、引用発明の「心拍や血圧等の生体データ」は、センサによる生理学的パラメータの測定により得られるデータであるから、本願発明の「生理学的データ」に相当する。 よって、引用発明のC’は、「生理学的データを集めるため」に前記運動訓練を行う者の「生理学的パラメータをセンサで測定する」点で、本願発明のCと一致している。 (4)引用発明の「(運動訓練の計画(運動シナリオ)の)作成」は、本願発明の「(運動訓練の計画の)考案」に相当する。そして、引用発明は、「分析プログラム」と「運動シナリオ作成プログラム」とからなるプログラムにより、健康情報データと生理学的データに基づいて得られた差分データを考慮して運動訓練を行う者に提供される運動訓練の計画を作成しているから、引用発明のD’は、「前記コンピュータシステムの前記プロセッサ上で、前記健康情報データと前記生理学的データに基づいて」前記運動訓練を行う者のための運動訓練の計画を「考案するように構成されるコンピュータプログラムモジュールを実行する」点で、本願発明のDと一致している。 (5)引用発明の「運動が開始した後」である「運動中」は、本願発明の「運動訓練中」に相当する。そして、引用発明のE’の「受信した生体データの分析を行い、心拍や血圧等の生体データの変化が正常範囲内か否か、予め設定した要注意範囲や危険範囲に入ったか否かを判定」するために「心拍や血圧等の生体データを受信」することは、(1)で述べた相違点1に加え、モニタリングの目的が「受信した生体データの分析を行い、心拍や血圧等の生体データの変化が正常範囲内か否か、予め設定した要注意範囲や危険範囲に入ったか否かを判定」するためである点(相違点2)でも、本願発明のEと相違しているものの、運動訓練を行う者の「運動訓練中に生理学的データをモニタリングする」点で、本願発明のEと一致している。 (6)引用発明の、要注意範囲に入った場合に行われる運動訓練の計画の運動強度の低いものへの変更は、本願発明の「(運動訓練の計画の)修正」に相当する。引用発明は、「分析プログラム」と「運動シナリオ作成プログラム」とからなるプログラムにより、運動訓練の計画の修正を行うから、引用発明のF’は、(1)で述べた相違点1に加え、生理学的データが患者に依存する所定範囲でない場合(所定範囲外である場合)に行われるではなく、受信した心拍や血圧等の生体データが要注意範囲に入った場合に行われる点(相違点3)でも、本願発明のFと相違しているものの、運動訓練を行う者のための運動訓練の計画を「修正するように構成されるコンピュータプログラムモジュールを実行する」点で、本願発明のFと一致している。 (7) 以上によれば、本願発明と引用発明1とは、次の点で一致する。 <一致点> A” 運動訓練を行う者のための運動訓練の計画を提供するためのコンピュータ実施方法であって、前記方法はコンピュータプログラムモジュールを実行するプロセッサを有するコンピュータシステムにおいて実施され、 B” プロセッサにおいて前記運動訓練を行う者からの健康情報データを受信し、前記健康情報データは運動訓練を行う者の情報及び/又は運動訓練を行う者の症状をあらわす、ステップと、 C” 生理学的データを集めるために前記運動訓練を行う者の生理学的パラメータをセンサで測定するステップと、 D” 前記コンピュータシステムの前記プロセッサ上で、前記健康情報データと前記生理学的データに基づいて前記運動訓練を行う者のための運動訓練の計画を考案するように構成されるコンピュータプログラムモジュールを実行するステップと、 E” 前記運動訓練を行う者の運動訓練中に前記生理学的データをモニタリングするステップと、 F” 前記コンピュータシステムの前記プロセッサ上で、前記運動訓練を行う者のための運動訓練の計画を修正するように構成されるコンピュータプログラムモジュールを実行するステップとを有し、 A” 方法。 (9) そして、次の相違点1乃至相違点3で、相違する。 <相違点1> 運動訓練を行う者と運動訓練の計画が、本願発明では「患者」と「運動訓練計画」であるのに対し、引用発明では「生活習慣病の予防や改善等を運動の目的とする利用者」と「運動シナリオ」である点。 <相違点2> 運動訓練を行う者の運動訓練中に生理学的データをモニタリングするのが、本願発明では、生理学的データが患者に依存する所定範囲内であるかどうかを決定するためであるのに対し、引用発明では、受信した生体データの分析を行い、心拍や血圧等の生体データの変化が正常範囲内か否か、心拍や血圧等の生体データが予め設定した要注意範囲や危険範囲に入ったか否かを判定するためである点。 <相違点3> 運動訓練の計画の修正が、本願発明では、生理学的データが患者に依存する所定範囲でない場合(所定範囲外である場合)に行われるのに対して、引用発明では、受信した心拍や血圧等の生体データが要注意範囲に入った場合に行われる点。 2 相違点の判断 (1)相違点1について 引用発明の運動シナリオは、生活習慣病となる前を前提とする「予防」のみならず、生活習慣病であることを前提とする「改善」を目的する利用者、つまり、生活習慣病の「患者」のための「運動訓練計画」を明示的に含んでいる。よって、この相違点は、実質的なものではない。 (2)相違点2、相違点3について ア 運動をする者に対する指導や運動療法を行う者への運動処方にあたって、その者の性別や年齢、疾患の状況、運動目的等に応じて過不足なく安全であるような心拍等の範囲となるように運動を調節することは、引用文献の、ダイエット目的で運動する者の年齢に応じた最大心拍数の65%前後の範囲の運動強度を保つ旨の記載(第3 1(1)サ)や、運動療法に関する第3 2で示した周知例の記載にもあるように、周知事項である。 イ 引用文献は、「要注意範囲」を運動訓練を行う者に依存する「所定範囲」でない場合となる範囲とすることを明示していないものの、引用発明は、利用者が運動中の生体データの変化に応じて変更された運動シナリオに従って「過不足なく安全に」運動を行うことができるようにするためのものであり、また、「要注意範囲」に入った場合に運動シナリオを変更させるから、利用者が「過不足なく安全」な運動が可能となるように生体データの変化を捉え得るものとすべく、患者が過不足なく安全な運動ができる範囲でない範囲を運動強度の低いシナリオへの変更を要する範囲である「要注意範囲」とすることが望まれるものである。 また、引用文献の【0013】(第3 1(1)ウ)には、運動停止要求のための「危険範囲」を示す「しきい値」が個人情報等を元に予め設定されたものである旨が示され、引用発明の「危険範囲」については、万人にとって安全でない範囲ではなく、運動をする利用者に依存するものである旨が明示されている。引用発明の「要注意範囲」は、運動停止要求をするまでもないものの運動強度の低いシナリオに変更すべきとされた心拍や血圧等の範囲であって、「安全」に運動を行うためのものである点では「危険範囲」と同様であるから、この記載は、「危険範囲」のみならず「要注意範囲」についても、運動をする利用者に依存したものとすることを示唆するものである。 ウ 引用発明の利用者に患者が含まれ、相違点1が実質的なものでないことは、(1)で述べたとおりである。 エ 以上に照らせば、引用発明において、運動訓練をする患者において「過不足なく安全」な運動が可能となるように「生体データ」の「変化」を捉え得るよう、患者が過不足なく安全な運動ができる範囲でない範囲を運動強度の低いシナリオへの変更を要する範囲である「要注意範囲」とし、患者に依存する所定範囲でない場合に運動訓練計画の修正を行うようにすることは、上記周知事項と引用文献中の示唆に照らして、当業者が適宜なし得たことである。 (3)本願発明の効果についても、引用発明及び周知事項から当業者が予測し得る程度のものであって格別のものとは認められない。 3 小括 以上のとおり、本願発明は、引用発明及び周知事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 第5 むすび 以上のとおり、本願発明は、引用発明及び周知事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、他の請求項に係る発明について論及するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

審決本文(J-PlatPat)

J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。

J-PlatPat 審決検索を開く
2016-005391

番号・当事者・条文・審決分類・商標の称呼が一致(または近い)審決を機械的に集めた候補です。判断内容は各審決の本文でご確認ください。

同じ当事者の審決676件(コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ)
  • 2025-016706拒絶査定不服審判 / 2026-08-24 / 原査定取消(特許/登録すべき)医療装置のための放熱構成及び関連する装置、システム、及び方法
    同じ当事者: コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
  • 2025-017720拒絶査定不服審判 / 2026-08-17 / 原査定取消(特許/登録すべき)コンピュータ断層撮像における動きアーティファクトの抑制
    同じ当事者: コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
  • 2025-010540拒絶査定不服審判 / 2026-07-24 / 原査定取消(特許/登録すべき)酸素PEPカニューレ
    同じ当事者: コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
  • 2024-016354拒絶査定不服審判 / 2026-07-22 / 原査定取消(特許/登録すべき)電気パーソナルケア装置
    同じ当事者: コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
  • 2024-020307拒絶査定不服審判 / 2026-07-14 / 原査定取消(特許/登録すべき)誘発応答の定量化に基づいて感覚刺激を与える方法及びシステム
    同じ当事者: コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
検索でもっと見る →
同じ根拠条文の審決7,656件(特許法29条2項)
  • 2025-012362拒絶査定不服審判 / 2026-07-02 / 請求不成立管理サーバ、情報提供方法及びコンピュータプログラム
    共通の条文: 特許法29条2項
  • 2025-005539拒絶査定不服審判 / 2026-02-09 / 請求不成立空間浮遊映像表示装置
    共通の条文: 特許法29条2項
  • 2025-005886拒絶査定不服審判 / 2025-12-22 / 請求不成立仮想コントローラのための無限ドラッグ及びスワイプ
    共通の条文: 特許法29条2項
  • 2024-018030拒絶査定不服審判 / 2025-08-19 / 請求不成立プログラム
    共通の条文: 特許法29条2項
  • 2024-013223拒絶査定不服審判 / 2025-04-25 / 請求不成立制御装置、入力装置、制御方法、およびプログラム
    共通の条文: 特許法29条2項
検索でもっと見る →
同じ論点・分野の審決(審決分類)2,453件(121・G06F)
  • 2025-005007拒絶査定不服審判 / 2026-08-19 / 原査定取消(特許/登録すべき)共有レコードのクライアント更新にルールの適用によるシステム生成更新のトリガ
    共通の審決分類: 121・G06F
  • 2024-009005拒絶査定不服審判 / 2026-08-18 / 原査定取消(特許/登録すべき)モジュール式空気冷却および分配システムおよび方法
    共通の審決分類: 121・G06F
  • 2025-008882拒絶査定不服審判 / 2026-08-18 / 原査定取消(特許/登録すべき)情報処理装置、認証器、それら方法およびプログラム
    共通の審決分類: 121・G06F
  • 2025-007124拒絶査定不服審判 / 2026-08-18 / 原査定取消(特許/登録すべき)記憶装置
    共通の審決分類: 121・G06F
  • 2025-014602拒絶査定不服審判 / 2026-08-13 / 原査定取消(特許/登録すべき)ペン入力装置用カバー部材、及びペン入力装置
    共通の審決分類: 121・G06F

メモ・タグ(非公開)

あなただけに表示されます。審決本文の公開範囲は変わりません。

メモとタグは Pro の機能です。ログイン/Proでメモを保存