審決検索MVP
← 検索一覧に戻る
特許拒絶査定不服審判

2016-005137

ピアツーピア通信を使用した汎用デバイスコントローラのための方法および装置

審判番号
2016-005137
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2013-200985外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2016年04月07日
審決日
2017年08月18日
公報発行日
2018年02月23日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-WZ (H04W)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特願2013-200985「ピアツーピア通信を使用した汎用デバイスコントローラのための方法および装置」拒絶査定不服審判事件〔平成26年 3月 6日出願公開、特開2014- 42282〕について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

【理 由】 1.手続の経緯・本願発明 本願は、2010年(平成22年)2月12日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2009年2月12日 米国)を国際出願日として出願した特願2011-550260号の一部を、平成25年9月27日に新たな特許出願としたものであって、平成26年6月18日付けで拒絶理由が通知され、同年8月13日付けで意見書及び手続補正書が提出され、平成27年1月27日付けで最後の拒絶理由が通知され、同年5月1日付けで意見書及び手続補正書が提出され、同年11月30日付けで同年5月1日付けの手続補正について補正の却下の決定がなされ、同日付けで拒絶査定されたところ、平成28年4月7日に拒絶査定不服審判の請求がなされ、同時に手続補正がなされたものである。その後当審において平成29年3月3日付けで拒絶理由が通知され、同年5月17日付けで意見書及び手続補正書が提出されたものである。 本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成29年5月17日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された以下のとおりのものと認められる。 (本願発明) 「 通信デバイスを動作させる方法であって、 遠隔制御可能なデバイスから第1のワイヤレス信号を受信するステップと、 前記通信デバイスが、前記遠隔制御可能なデバイスとのペアリング関係を有するか否かを判断するステップと、 前記通信デバイスが、前記遠隔制御可能なデバイスとペアリング関係を有すると判断した場合に、前記通信デバイスのワイヤレス通信レンジ中の制御可能なデバイスのリストに前記遠隔制御可能なデバイスと、前記遠隔制御可能なデバイスに対応する制御信号情報とを追加するステップと、 前記リストに追加された前記遠隔制御可能なデバイスのライフタイム値を初期化するステップと、 前記制御信号情報を用いて前記通信デバイス上のユーザインターフェースを介して前記リストに追加された前記遠隔制御可能なデバイスの制御を可能にするステップと、 前記ライフタイム値に基づき、前記リストから前記遠隔制御可能なデバイスを除去するか否か判断するステップであって、前記遠隔制御可能なデバイスのライフタイム値とドロップ閾値とを比較するステップを含む判断するステップと、 前記遠隔制御可能なデバイスから、新たな第1のワイヤレス信号を受信したことに応答して、前記遠隔制御可能なデバイスのライフタイム値を再初期化するステップと を有することを特徴とする方法。」 2.引用発明と引用技術 (1)引用発明 平成29年3月3日付けで当審より通知した拒絶理由に引用された特開2002-149512号公報(以下、「引用文献1」という。)には「情報処理装置および方法」として、図面とともに以下の事項が記載されている。 ア.「【0034】 【発明の実施の形態】図1は、本発明に係るリモートコマンダ制御システムの一実施の形態の構成を示す図である。 【0035】図1に示す、携帯電話機1、電話機2、オーディオ機器3、パーソナルコンピュータ4、テレビジョン受像機5、および、VCR6の各々には、近距離通信用の通信機器であるブルートゥースデバイスが搭載されている。これらの機器は、相互に通信可能であり、ブルートゥースネットワークと呼ばれるネットワークを構成することができる。各機器は、このネットワークを介して携帯電話機1に自分自身を制御するためのユーザインタフェース(User Interface:UI)データを送信する。携帯電話機1は、これらのUIデータを受信して、表示部32(図2)に表示する。ユーザは、携帯電話機1の表示部32に表示されたUIデータに基づいて、携帯電話機1を操作することにより、各機器を制御することができる。・・・」 イ.「【0048】ブルートゥースデバイス33は、転送可能な距離の範囲内(以下、圏内と称する)に通信可能なブルートゥースデバイスを検出したとき(ブルートゥースデバイスを備えた電子機器を検出したとき)、相互に認証処理を実行し、認証処理が成功した場合に、相互にデータの授受をすることができる。より詳細には、制御部28は、UI記憶部34が記憶しているブルートゥースネットワークを構成する機器のリストを管理しており、認証が成功したとき、この機器のリストに新たに検出された機器を登録する。また、リストに加えられた機器が圏内から外れた場合(以下、圏外の場合と称する)、制御部28は、UI記憶部34に保持されたリストからその機器を削除する。この処理により、制御部28は、リストに登録されている機器に限り、ブルートゥースネットワークを介した通信が可能であると認識する。このため、各種のデバイス間では、ブルートゥースネットワークによる相互の通信を可能とするため、予めデバイス同士が、相互の認証情報を登録する必要がある。」 ウ.「【0072】より詳細には、上記のステップS1の処理とステップS51の処理において、携帯電話機1と各機器は、相互が圏内であることを検出すると、相互に認証処理を実行し、認証処理が成功した場合、ステップS1においては、携帯電話機1の制御部28がブルートゥースネットワークのリストに加える機器を検出したと判定することになり、ステップS51においては、各機器が携帯電話機1を認識したことになる。従って、例えば、機器が相互に圏内に存在したとしても、相互の認証処理が成功しない場合、ステップS1,S51のいずれにおいても、ブルートゥースネットワークに加えるべき機器が検出されることはなく、また、携帯電話機が認識されることもないことになる。 ・・・・・ 【0074】ステップS2において、制御部28は、検出された機器を、UI記憶部34に格納されているブルートゥースネットワークを構成する機器のリストに加えて記憶する。さらに、制御部28は、例えば、図1に示したように、電話機2、オーディオ機器3、パーソナルコンピュータ4、テレビジョン受像機5、および、VCR6が検出された場合、表示部28に、図11に示すような画面が表示される。 ・・・・・ 【0077】受信感度表示部141の下には、今の場合「ブルートゥースネットワーク」と表示されており、その下に、ブルートゥースネットワークを構成する機器の一覧が表示されており、電話機2を示す「1.Tel」、オーディオ機器3を示す「2.Audio」、PC4を示す「3.PC」、TV5を示す「4.TV」、および、VCR6を示す「5.VCR」が表示されている。各機器は、反転表示部143を移動させることにより選択することができる。このとき、ユーザは、操作部29を構成するタッチパネルやジョグダイヤルを操作して、各機器、または、「戻る」と表示されたボタン144のいずれかの位置に移動させて、図示せぬ決定ボタンを押下することにより、その機器、または、ボタン144を選択することができる。今の場合、反転表示部143は、「1.tel」に移動されており、この状態で決定ボタンが押下されると電話機2が選択されることになる。 ・・・・・ 【0083】ステップS5において、携帯電話機1の制御部28は、ブルートゥースデバイス33を介して、電話機2のUIデータを受信したか否かを判定する。制御部28は、UIデータが受信されるまで、この処理を繰り返し、受信されたと判定した場合、ステップS6において、受信したUIデータをUI記憶部34に記憶させると共に、UIデータの受信確認を電話機2に送信する。」 エ.「【0085】携帯電話機1の制御部28は、ステップS7において、UI記憶部34に記憶された電話機2のUIデータを読出し、例えば、表示部32に図13(B)に示すように、電話機2の留守番電話の機能を操作するためのUI画面を表示させる。図13(B)に示すように、電話機2のUI画面には、再生ボタン151、停止ボタン152、一時停止ボタン153、巻戻しボタン154、および、早送りボタン155が表示される。各ボタンは、ユーザが操作部29を構成するタッチパネルやジョグダイヤルを操作することにより選択することができる。 【0086】この状態で、再生ボタン151、停止ボタン152、一時停止ボタン153、巻戻しボタン154、または、早送りボタン155のいずれかが選択されると、制御部28は、ブルートゥースデバイス33を制御して、対応するコマンドを電話機2に送信する。電話機2のCPU41は、ブルートゥースデバイス49を介して、このコマンドを受信し、対応する留守番電話機能の再生、停止、一時停止、巻戻し、または、早送りといった処理を実行する。」 オ.「【0121】ステップS1において、ブルートゥースネットワークに加えるべきデバイスが検出されなかった場合、ステップS40において、制御部28は、ブルートゥースネットワークから削除されるデバイスが存在するか否かを判定する。すなわち、制御部28は、UI記憶部34に記憶されたリストに登録された機器の中で、圏外になったブルートゥースデバイスを備えた機器が存在するか否かを判定し、削除すべき機器(すなわち、圏外になった機器)が存在しない場合、その処理は、ステップS3に進み、削除すべき機器が存在すると判定した場合、その処理は、ステップS41に進む。 【0122】ステップS41において、制御部28は、UI記憶部34に記憶されたリストから、登録されていた機器のうち、圏外になった機器をリストから削除して、表示すると共に、UI記憶部34から、その削除する機器のUIデータを削除し、その処理は、ステップS3に進む。 ・・・・ 【0124】以上の処理により、携帯電話機1は、例えば、上記の各機器が圏内に入ると、リモートコマンダとして使用することができるリストとして表示されて、ユーザが所望の機器を選択すると、例えば、図8のフローチャート中のステップS7の処理中には、電話機2のリモートコマンダとして、図8のフローチャート中のステップS14の処理中には、オーディオ機器3のリモートコマンダとして、図8のフローチャート中のステップS19の処理中には、PC4のリモートコマンダとして、図9のフローチャート中のステップS25の処理中には、TV5のリモートコマンダとして、図9のフローチャート中のステップS34、S38の処理中には、VCR6のリモートコマンダとして、それぞれ使用することができる。」 上記摘記事項の記載及び図面並びにこの分野における技術常識を考慮すると、次のことが言える。 a.上記摘記事項ア.~オ.には、携帯電話機1をリモートコマンダとして動作させる方法が記載されているから、引用文献1には携帯電話機1を動作させる方法が記載されているといえる。 b.上記摘記事項イ.に「ブルートゥースデバイス33は、転送可能な距離の範囲内(以下、圏内と称する)に通信可能なブルートゥースデバイスを検出したとき(ブルートゥースデバイスを備えた電子機器を検出したとき)」と記載され、上記摘記事項ウ.には「より詳細には、上記のステップS1の処理とステップS51の処理において、携帯電話機1と各機器は、相互が圏内であることを検出すると、相互に認証処理を実行し、認証処理が成功した場合、ステップS1においては、携帯電話機1の制御部28がブルートゥースネットワークのリストに加える機器を検出したと判定することになり・・・」(【0072】段落参照。)と記載されていることからすると、携帯電話機1は電子機器が転送可能な距離の範囲内(圏内)にあることを検出しており、当該検出がブルートゥースデバイス33によって検出が行われていることを踏まえると、ブルートゥースでは2.4GHzの電波を使って通信を確立して通信を行っているから、携帯電話機1は各電子機器の検出に際して、各電子機器からの無線信号を受信していると考えるのが自然である。 c.上記摘記事項イ.に「ブルートゥースデバイス33は、転送可能な距離の範囲内(以下、圏内と称する)に通信可能なブルートゥースデバイスを検出したとき(ブルートゥースデバイスを備えた電子機器を検出したとき)、相互に認証処理を実行し、認証処理が成功した場合に、相互にデータの授受をすることができる。・・・・・このため、各種のデバイス間では、ブルートゥースネットワークによる相互の通信を可能とするため、予めデバイス同士が、相互の認証情報を登録する必要がある。」と記載されている。これは当該通信がブルートゥースによって行われることも勘案すれば(後述する「4.当審の判断」のなお書きを参照。)、携帯電話機1のブルートゥースデバイス33が圏内に電子機器を検出したとき、相互に認証処理を実行して通信可能とするものであり、このように認証処理を実行し、ブルートゥースネットワークによる通信を可能とするためには、予めブルートゥースデバイス33と電子機器との間で、相互の認証情報を登録しておく必要があるという意味に解される。そうしてみると、相互の認証情報を予め登録していなかった場合、ブルートゥースデバイス33の圏内に電子機器があり、認証処理が実行されても認証は成功せず、通信可能とならないことから、携帯電話機1は電子機器に対して相互の認証情報を登録しているか否かを判断しているということができる。 このように、圏内に電子機器を発見すると認証処理が実行され、相互の認証情報を登録しているか否かを判断した結果、登録していると判断されると認証が成功することになり、そうすると、上記摘記事項イ.に「・・・制御部28は、UI記憶部34が記憶しているブルートゥースネットワークを構成する機器のリストを管理しており、認証が成功したとき、この機器のリストに新たに検出された機器を登録する。」と記載され、また上記摘記事項ウ.に「携帯電話機1と各機器は、相互が圏内であることを検出すると、相互に認証処理を実行し、認証処理が成功した場合、ステップS1においては、携帯電話機1の制御部28がブルートゥースネットワークのリストに加える機器を検出したと判定することになり、ステップS51においては、各機器が携帯電話機1を認識したことになる。」と記載されていることによれば、ブルートゥースネットワークのリストに新たに検出された電子機器を登録しているといえる。 さらに、ブルートゥースネットワークのリストに新たに検出され登録された電子機器に関しては、上記摘記事項ウ.の記載によれば、UIデータが受信されUI記憶部34に記憶される。ここで、リストに新たに検出され登録された電子機器は、携帯電話機1が相互の認証情報を登録していると判断した電子機器であるから、携帯電話機1が電子機器に対して相互の認証情報を登録していると判断した場合に、UIデータがUI記憶部34に記憶されるということができる。また、上記摘記事項ア.の【0035】段落の記載をみれば、携帯電話機1はUIデータを受信し、これにより電子機器にコマンドを送信し、制御していることから、UIデータには電子機器を制御するためのコマンドが含まれると解するのが自然である。 d.上記摘記事項エ.によれば、携帯電話機1の制御部28はUI記憶部34に記憶された電子機器のUIデータを読出し、表示部32に、再生ボタン151や停止ボタン152などの電子機器を操作するためのUI画面を表示させているといえる。 e.上記摘記事項イ.の「また、リストに加えられた機器が圏内から外れた場合(以下、圏外の場合と称する)、制御部28は、UI記憶部34に保持されたリストからその機器を削除する。」との記載、及び、上記摘記事項オ.の記載によれば、UI記憶部34に記憶されたリストに登録された電子機器の中で、圏外になった電子機器が存在すると判定した場合、リストから削除している。 したがって、上記摘記した引用文献1の記載及び図面を総合すると、引用文献1には以下のような発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。 (引用発明) 「 携帯電話機1を動作させる方法であって、 携帯電話機1は各電子機器を検出するに際し、各電子機器からの無線信号を受信し、 携帯電話機1は電子機器に対して予め相互の認証情報が登録されているか判断し、登録されていると判断され認証が成功すれば、新たに検出された電子機器をリストに登録し、UIデータをUI記憶部34に記憶し、 UI記憶部34に記憶された電子機器のUIデータを読出し、表示部32に、再生ボタン151や停止ボタン152などの電子機器を操作するためのUI画面を表示させ、 リストに登録された電子機器の中で、圏外になった電子機器が存在すると判定した場合、リストから削除する、 方法。」 (2)引用技術 平成29年3月3日付けで当審より通知した拒絶理由に引用された国際公開第2009/006166号(以下、「引用文献2」という。)には「METHODS AND APPARATUS SUPPORTING TRAFFIC SIGNALING IN PEER TO PEER COMMUNICATIONS(ピア・ツー・ピア通信におけるトラフィックシグナリングをサポートする方法および装置)」として、図面とともに以下の事項が記載されている。 ア.「FIELD [0001] Various embodiments are directed to methods and apparatus for wireless communication, more particularly, to methods and apparatus for use in peer to peer wireless communication. ・・・・・・ [0003] In the case of peer to peer systems, it would be desirable if peer devices could discover the presence of other peer devices in the vicinity, detect when peer devices leave the vicinity and/or use knowledge of the presence of particular devices and/or the state of activity of such devices to make communication and/or paging decisions. ・・・・」(当審訳(当審訳は引用文献2の日本語のファミリー文献である特表2010-532642号公報の記載に基づいて当審が作成した。以下同じ。): 技術分野[0001]様々な実施形態は、無線通信のための方法及び装置を対象とする。様々な実施形態は、より具体的には、ピア・ツー・ピア無線通信において用いるための方法及び装置を対象とする。・・・ [0003]ピア・ツー・ピアシステムの場合は、ピアデバイスが付近におけるその他のピアデバイスの存在を発見し、ピアデバイスがいつ付近を離れるかを検出し、及び/又は特定のデバイスの存在及び/又は該デバイスの活動状態に関する知識を用いて通信及び/又はページング決定を行うことが可能であることが望ましい。・・・) イ.「[0054] In step 512, the first wireless communications device receives a broadcast signal from a second wireless communications device during a peer discovery time interval. In various embodiments, the second wireless communications device is another wireless terminal such a mobile node supporting peer to peer communications and using OFDM signaling. In some embodiments, the received broadcast signal is a user beacon signal. Then, in step 514, the first wireless communications device recovers an identifier from the received broadcast signal, said identifier being one of a device identifier and a user identifier, and in step 516, the first wireless communications device stores said recovered identifier in memory. Operation proceeds from step 516 to steps 518, 520 and, via connecting node A 522 to step 564. [0055] In step 518, the first wireless communications device starts a timer used to determine when a predetermined period of time, e.g., a lifetime associated with said recovered identifier of step 514, has expired. Operation proceeds from step 518 to step 524. In step 524, the first wireless communications device determines if a signal from said second wireless communications device has been detected within a period of time. If a signal is detected before the timer expires, then operation proceeds from step 524 to step 528, where the first wireless communications device updates the timer, e.g., restarts the timer. If a signal is not detected and the timer expires, then operation proceeds from step 524 to step 526, where the first wireless communications device deletes said recovered identifier, which was stored in step 516, from memory.」(当審訳: [0054] ステップ512において、第1の無線通信デバイスは、ピア発見時間間隔中に第2の無線通信デバイスからブロードキャスト信号を受信する。様々な実施形態においては、第2の無線通信デバイスは、ピア・ツー・ピア通信をサポートし及びOFDMシグナリングを用いるモバイルノード等の他の無線端末である。幾つかの実施形態においては、受信されたブロードキャスト信号は、ユーザービーコン信号である。次に、ステップ514において、第1の無線通信デバイスは、受信されたブロードキャスト信号から識別子を復元し、前記識別子は、デバイス識別子及びユーザー識別子のうちの1つであり、ステップ516において、第1の無線通信デバイスは、前記復元された識別子をメモリに格納する。動作は、ステップ516からステップ518、520に進み、そして接続ノードA522を介してステップ564に進む。 [0055] ステップ518において、第1の無線通信デバイスは、予め決められた期間、例えばステップ514の前記復元された識別子と関連づけられたライフタイム、がどの時点で経過しているかを決定するために用いられるタイマーを始動させる。動作は、ステップ518からステップ524に進む。ステップ524において、第1の無線通信デバイスは、前記第2の無線通信デバイスからの信号がある期間内において検出されたかどうかを決定する。タイマーが時間切れになる前に信号が検出された場合は、動作はステップ524からステップ528に進み、ステップ528において、第1の無線通信デバイスがタイマーを更新する、例えばタイマーを再始動させる。信号が検出されず及びタイマーが時間切れである場合は、動作はステップ524からステップ526に進み、ステップ526において、第1の無線通信デバイスは、ステップ516において格納された前記復元された識別子をメモリから削除する。(特表2010-532642号公報の【0022】【0023】段落参照。)) そうすると、上記摘記事項(特に当審訳の下線部参照。)によれば、引用文献2には次の技術(以下、「引用技術」という。)が記載されていると認められる。 「ピア・ツー・ピア無線通信において、ピアデバイスが付近におけるその他のピアデバイスの存在を発見し、ピアデバイスがいつ付近を離れるかを検出するため、 第1の無線通信デバイスは、第2の無線通信デバイスからブロードキャスト信号を受信すると識別子を復元してメモリに格納し、ライフタイムがどの時点で経過しているかを決定するためタイマーを始動させる。 前記第1の無線通信デバイスは、前記第2の無線通信デバイスからの信号が検出されたかを決定し、タイマーが時間切れになる前に信号が検出された場合はタイマーを更新し、信号が検出されずにタイマーが時間切れである場合は、前記第1の無線通信デバイスは、格納された前記復元された識別子をメモリから削除する技術。」 3.対比 本願発明を引用発明と対比すると、 a.本願発明の「通信デバイス」に関し、本願明細書の【0014】段落には通信デバイス102がセルフォン(すなわち、携帯電話機)である旨記載されていることに照らせば、引用発明における「携帯電話機1」は、本願発明の「通信デバイス」に相当する。 b.引用発明の「電子機器」は、リモートコマンダとしての携帯電話機1により操作可能となる構成であるから本願発明の「遠隔制御可能なデバイス」に相当する。そして、引用発明において各電子機器を検出するに際し、各電子機器から受信する「無線信号」は、本願発明の「第1のワイヤレス信号」に相当する。 c.引用発明における「相互の認証情報を登録」している関係は、携帯電話機1が電子機器と認証を行う上で予め登録されるものであるから、本願発明において既存の関係である「ペアリング関係」に相当する。 d.引用発明における「リスト」にはUIデータ(本願発明の「制御信号情報」に相当。)が追加されていない点で、本願発明の「リスト」と異なるものの、電子機器を登録しているから、「遠隔制御可能なデバイス」を追加する本願発明の「通信デバイスのワイヤレス通信レンジ中の制御可能なデバイスのリスト」に対応する。 e.引用発明の「UIデータ」は、上記「2.(1)c.」の項で述べたように電子機器を制御するコマンドを含むから本願発明の「制御信号情報」に対応する。そして、引用発明の「再生ボタン151や停止ボタン152などの電子機器を操作するためのUI画面」が本願発明の「ユーザインターフェース」に相当する。そして、引用発明の「UI記憶部34に記憶された電子機器のUIデータを読出し、表示部32に、再生ボタン151や停止ボタン152などの電子機器を操作するためのUI画面を表示させ」ることは、このような表示により電子機器を制御可能にしていると言えるから、本願発明の「前記制御信号情報を用いて前記通信デバイス上のユーザインターフェースを介して前記リストに追加された前記遠隔制御可能なデバイスの制御を可能にする」ことに相当する。また、引用発明の「UIデータ」は、UI記憶部に記憶されるものではあるが、リストに追加されるものとは記載されていない。しかしながら「UIデータ」は電子機器と対応付けられたデータであるから、引用発明において「UIデータ」も含めて「リスト」と称することもできるから、この点は実質的に相違しない。 f.引用発明にはライフタイム値やそれを使った制御については記載されていないが、「圏外になった電子機器が存在すると判定した場合、リストから削除する」ことは行っているから、本願発明の「前記リストから前記遠隔制御可能なデバイスを除去するか否か判断するステップ」に相当する構成を有しているといえる。 したがって、本願発明と引用発明は以下の点で一致ないし相違するものと認められる。 (一致点) 「 通信デバイスを動作させる方法であって、 遠隔制御可能なデバイスから第1のワイヤレス信号を受信するステップと、 前記通信デバイスが、前記遠隔制御可能なデバイスとのペアリング関係を有するか否かを判断するステップと、 前記通信デバイスが、前記遠隔制御可能なデバイスとペアリング関係を有すると判断した場合に、前記通信デバイスのワイヤレス通信レンジ中の制御可能なデバイスのリストに前記遠隔制御可能なデバイスと、前記遠隔制御可能なデバイスに対応する制御信号情報とを追加するステップと、 前記制御信号情報を用いて前記通信デバイス上のユーザインターフェースを介して前記リストに追加された前記遠隔制御可能なデバイスの制御を可能にするステップと、 前記リストから前記遠隔制御可能なデバイスを除去するか否か判断するステップと、 を有することを特徴とする方法。」 (相違点) 一致点とした「前記リストから前記遠隔制御可能なデバイスを除去するか否か判断するステップ」に関し、本願発明は、「前記ライフタイム値に基づき」「前記遠隔制御可能なデバイスのライフタイム値とドロップ閾値とを比較」して除去するか否かの判断をしているのに対して、引用発明はこれらの構成を有しておらず、さらに本願発明は、「前記リストに追加された前記遠隔制御可能なデバイスのライフタイム値を初期化するステップ」と「前記遠隔制御可能なデバイスから、新たな第1のワイヤレス信号を受信したことに応答して、前記遠隔制御可能なデバイスのライフタイム値を再初期化するステップ」とを備えている点。 4.当審の判断 上記相違点について検討する。 引用発明では、リストに登録された電子機器の中で、圏外になった電子機器が存在すると判定した場合、リストから削除しているが、これを具体的にどのように行うのかについては言及されていない。 しかしながら、上記「2.(2)」において引用技術として認定したように、引用発明と同じピア・ツー・ピア通信において(引用発明がピア・ツー・ピア通信と言えることは明らかである。)、ピアデバイスが付近から離れたことを検出するため、ライフタイムが経過したことをタイマーを使って決定し、その際、ピアデバイスの発見に伴ってタイマーを始動し、信号が検出されずにタイマーが時間切れとなった場合に、第1の無線通信デバイスは、格納された復元された識別子をメモリから削除する技術が知られている。ここで、タイマーが時間切れとなることを検出しているから、タイマーの値を何らかのしきい値と比較していることは明らかである。 そうしてみると、引用発明において、具体的手法が示されていない圏外になった電子機器をリストから削除する手法として、引用発明と同じピア・ツー・ピア通信においてライフタイムの経過をタイマーを使って決定し削除する引用技術を採用して具体的に構成することは、当業者が容易に成しえた程度の事項にすぎない。その際、引用技術のタイマーが時間切れになるときの値を本願発明のように「ドロップ閾値」と称するのは適宜である。 また、引用技術を採用すれば相違点とした他の構成も自ずと導出される構成にすぎない。 そして、本願発明が奏する効果も、引用発明及び引用技術から、当業者が容易に予測できる範囲内のものである。 なお、審判請求人は平成29年5月17日に提出された意見書において、 「刊行物1を参照すると、段落[0072]に「上記のステップS1の処理とステップS51の処理において、携帯電話機1と各機器は、相互が圏内であることを検出すると、相互に認証処理を実行し、認証処理が成功した場合、ステップS1においては、携帯電話機1の制御部28がブルートゥースネットワークのリストに加える機器を検出したと判定することになり、ステップS51においては、各機器が携帯電話機1を認識したことになる。」として、審判官殿が本願発明の「ペアリング関係」に相当すると指摘された「予めデバイス同士が相互の認証情報を登録する関係」が説明されています。一方で、刊行物1の図8を参照すると、ループしてS1が必ず実施されることが開示されており、刊行物1に開示の発明では、機器が検出されると、必ず認証動作が行われると理解できます。つまり、刊行物1に開示の発明では、携帯電話機は、機器が圏内であることを検出する度に、認証動作によって「予めデバイス同士が相互の認証情報を登録する関係」を作成していると理解できます。 一方で、本願の補正後の請求項に係る発明では、そのように認証処理が毎回行われるものではなく、既に「ペアリング関係」があるか否かを判断して、ペアリング関係を有すると判断した場合に、デバイスをリストに加えます。毎回必ず認証動作が行われる刊行物1に開示の発明では、「ペアリング関係」が既にあるか否かを判断する動作を採用する必要がありません。従って、刊行物1は「前記通信デバイスが、前記遠隔制御可能なデバイスとのペアリング関係を有するか否かを判断するステップ」を開示および示唆していません。・・・・」と主張している。 しかしながら、引用文献1の【0048】段落において「・・・このため、各種のデバイス間では、ブルートゥースネットワークによる相互の通信を可能とするため、予めデバイス同士が、相互の認証情報を登録する必要がある。」とされているのは、認証処理に先立って予めデバイス同士が認証情報を登録しておくことと解され、これは認証処理のたびに行われるのではなく、毎回の認証に必要な認証情報を予め一度登録しておくことと解されるから、認証情報の登録が本願発明のペアリング関係に相当するものと認められる。これは、例えば、特開2004-139295号公報(【0002】段落参照)、特開2005-167750号公報(【0036】~【0037】段落参照)に記載されているように、ブルートゥースによる通信では予めペアリング動作が必要であり、ペアリングによって通信を行う機器間で相互にリンクキーが生成され登録される。そして、これ以降の接続においては当該リンクキーを使って認証処理が行われることは技術常識であるから、これを踏まえると、引用文献1において、「予めデバイス同士が、相互の認証情報を登録する」とあるのは、ペアリングによってリンクキーを登録することと解するのが自然であり、そしてリンクキーを登録した状態が、本願発明の「ペアリング関係を有する」状態に相当すると認められる。 したがって、請求人の上記意見は採用できない。 5.むすび 以上のとおり、本願の特許請求の範囲の請求項1に係る発明は、引用発明及び引用技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、本願は、他の請求項について検討するまでもなく、拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

審決本文(J-PlatPat)

J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。

J-PlatPat 審決検索を開く
2016-005137

番号・当事者・条文・審決分類・商標の称呼が一致(または近い)審決を機械的に集めた候補です。判断内容は各審決の本文でご確認ください。

同じ当事者の審決220件(クアルコム,インコーポレイテッド)
  • 2025-017680拒絶査定不服審判 / 2026-07-07 / 原査定取消(特許/登録すべき)ビーム障害検出参照信号セットを決定して、ビーム障害回復の後にビームをリセットする…
    同じ当事者: クアルコム,インコーポレイテッド
  • 2025-001380拒絶査定不服審判 / 2026-03-23 / 原査定取消(特許/登録すべき)2ステップのランダムアクセス手順のための複数の物理アップリンク共有チャネルリソー…
    同じ当事者: クアルコム,インコーポレイテッド
  • 2025-000998拒絶査定不服審判 / 2026-01-06 / 原査定取消(特許/登録すべき)マシンタイプ通信のためのサブ物理リソースブロックリソース割振りのための技法および…
    同じ当事者: クアルコム,インコーポレイテッド
  • 2024-019493拒絶査定不服審判 / 2025-10-08 / 原査定取消(特許/登録すべき)モビリティに対する基準信号(RS)構成ならびにサービングセルおよびネイバーセルか…
    同じ当事者: クアルコム,インコーポレイテッド
  • 2024-019192拒絶査定不服審判 / 2025-09-30 / 原査定取消(特許/登録すべき)デバイス間通信のためのリソース除外
    同じ当事者: クアルコム,インコーポレイテッド
検索でもっと見る →
同じ根拠条文の審決7,656件(特許法29条2項)
  • 2024-001451拒絶査定不服審判 / 2025-11-11 / 請求不成立ハンドオーバを開始するための方法、ノード、およびUE
    共通の条文: 特許法29条2項
  • 2023-021868拒絶査定不服審判 / 2025-05-15 / 請求不成立新無線(NR)におけるページングの手順のための方法および装置
    共通の条文: 特許法29条2項
  • 2024-001462拒絶査定不服審判 / 2024-11-19 / 請求不成立接続設定変更
    共通の条文: 特許法29条2項
  • 2023-013493拒絶査定不服審判 / 2024-06-25 / 請求不成立端末、無線通信方法及びシステム
    共通の条文: 特許法29条2項
  • 2023-019205拒絶査定不服審判 / 2024-06-12 / 請求不成立サービングセルディスカバリバースト送信(DBT)ウィンドウにおける送信のハンドリ…
    共通の条文: 特許法29条2項
検索でもっと見る →
同じ論点・分野の審決(審決分類)1,723件(121・H04W)
  • 2025-014125拒絶査定不服審判 / 2026-08-26 / 原査定取消(特許/登録すべき)SL DRXのためのL1およびL2方法
    共通の審決分類: 121・H04W
  • 2025-007104拒絶査定不服審判 / 2026-08-25 / 原査定取消(特許/登録すべき)ユーザ機器(UE)の発見のための方法および装置
    共通の審決分類: 121・H04W
  • 2025-007787拒絶査定不服審判 / 2026-08-25 / 原査定取消(特許/登録すべき)ハイブリッド自動再送要求確認のフィードバック方法及びその装置
    共通の審決分類: 121・H04W
  • 2025-018289拒絶査定不服審判 / 2026-08-18 / 原査定取消(特許/登録すべき)分散型基地局におけるポイントツーポイント通信およびポイントツーマルチポイント通信…
    共通の審決分類: 121・H04W
  • 2025-007754拒絶査定不服審判 / 2026-08-04 / 原査定取消(特許/登録すべき)基準信号に基づく通信方法および関連装置
    共通の審決分類: 121・H04W

メモ・タグ(非公開)

あなただけに表示されます。審決本文の公開範囲は変わりません。

メモとタグは Pro の機能です。ログイン/Proでメモを保存