特許拒絶査定不服審判
2015-020964
表示用のデータ集合と対話する方法及びシステム
- 審判番号
- 2015-020964
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2011-133781外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2015年11月26日
- 審決日
- 2016年10月25日
- 公報発行日
- 2017年04月28日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ
- 【請求人代理人】荒川 聡志
- 【請求人代理人】小倉 博
- 【請求人代理人】黒川 俊久
- 【請求人代理人】田中 拓人
- 分類
- P18 .121-WZ (G06F)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2011-133781「表示用のデータ集合と対話する方法及びシステム」拒絶査定不服審判事件〔平成24年 1月12日出願公開、特開2012- 9022〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
【理 由】
1.手続きの経緯・本願発明
本願は、平成23年6月16日(優先権主張2010年6月22日、米国)の出願であって、平成27年8月13日付けで拒絶査定がなされ、それに対して、同年11月26日付けで拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに手続補正され、当審において平成28年6月28日付けで拒絶理由(以下、「当審拒絶理由」という。)が通知されたところ、同年9月14日付けで意見書及び手続補正書が提出されたものであり、その請求項1に係る発明は、平成28年9月14日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものと認める。(以下、「本願発明」という。)
「【請求項1】
表示される情報と対話する方法(70)であって、
利用者により視認可能な垂直表面を有する表示器にGUIオブジェクトの形式が異なる複数のGUIオブジェクトを含む情報を表示するステップ(76)と、
利用者の左右の手の複数の指の各々のマルチ・タッチ感知型装置の水平表面への近接を検出し、検出された指の前記マルチ・タッチ感知型装置に対する位置に対応する指標を前記表示器の前記垂直表面に表示するステップと、
前記利用者により視認可能な前記表示器の前記垂直表面とは異なる表面であるマルチ・タッチ感知型装置の前記水平表面において利用者入力を受け取るステップ(78)と、
該受け取った利用者入力に応答して前記表示される複数のGUIオブジェクトを操作するステップ(82)と、
前記利用者入力に基づいて誘導応答を与えるステップとを含み、
該誘導応答は、前記マルチ・タッチ感知型装置により触覚応答を与えるステップ(80)を含んでおり、
該触覚応答を与えるステップ(80)が、利用者が対話しているGUIオブジェクトの形式に応じて変化し得る触覚を利用者に与えることを含む、方法。」
2.引用文献・引用発明
(1)当審拒絶理由に引用された特開2006-72854号公報(以下、「引用文献1」という。)には、図とともに次の記載がある。
「【背景技術】
【0002】
従来、ディスプレー等の表示画面に表示された情報をもとにユーザーが指などを用いて命令や情報を入力する入力装置として、タッチパネルディスプレーがある。タッチパネルディスプレーは、ディスプレーの表示画面上にタッチパネルを設けた構成である。画面に表示されるGUI(Graphical User Interface)には、メニューやボタンスイッチに代表される表示部品(以下では、GUI部品と呼ぶ)が含まれる。ユーザーは、画面上で所望のGUI部品に触れることによって、そのGUI部品に関連付けられた命令や情報を入力することができる。このように、タッチパネルディスプレーを利用すれば、簡単かつ直感的に命令や情報を入力することができるため、入力操作に不慣れな者にも分かりやすい入力インターフェースを実現できる。そのため、タッチパネルディスプレーは、銀行のATM(Automated Teller Machine)やカーナビゲーション装置などに広く採用されている。
【0003】
一方、タッチパネルディスプレーのようにユーザーが表示画面に触れるのではなく、表示画面から離れた場所にある操作部を利用して入力を行うことのできる入力インターフェースとして、タッチトレーサーや、PC(Personal Computer)の入力装置として一般的に利用されているタブレットなどがある(例えば、特許文献1参照)。これらの入力インターフェースでは、表示画面に矢印などの形状のカーソルが表示され、ユーザーが指またはペンを操作部に設けられた所定の操作面に接触させた状態で移動させると、その動きに対応して画面上のカーソルが移動する。ユーザーは、カーソルが所望のGUI部品上に移動したことを確認してから所定の確定動作(例えばクリック操作)を行うことによって、そのGUI部品に関連づけられた命令や情報を入力することができる。
【0004】
さらには、タッチパネルディスプレーやタブレットのように操作面に直接触れるのではなく、ユーザーの手などの動きをカメラを用いて検出し、その動きに対応して画面に表示されたカーソルを移動させる入力インターフェースもある(例えば、特許文献2参照)。この場合、ユーザーがカメラの視野内で、画面に表示されているカーソルを移動させたい方向に向かって空中で手を移動させると、その動きに対応して画面上のカーソルが移動する。ユーザーは、カーソルが所望のGUI部品上に移動したことを確認してから所定の確定動作(例えばこぶしを作る動作)を行うことによって、そのGUI部品に関連づけられた命令や情報を入力することができる。
・・・中略・・・
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前述のような従来の入力インターフェースには以下のような欠点がある。
【0006】
タッチパネルディスプレーは、表示画面に直接触れることによって入力を行うため、表示画面の設置位置に関して一種のジレンマが生じる。
・・・中略・・・
【0009】
さらに、タッチパネルディスプレーは、ユーザーの入力操作によって表示画面に指紋がつくため表示の視認性が悪化するという本質的な問題も抱えている。
【0010】
一方、タッチトレーサーやタブレットでは、表示画面と操作部が分離しているため、表示画面を遠くに、操作部を近くに置くことが可能である。またユーザーが画面を触ることがないので画面に指紋が付く心配もない。
【0011】
しかし、表示画面と操作部が分離された入力インターフェースは、操作部の操作面上で指やペンをスライドさせることによって画面に表示されたカーソルを移動させる必要があるため、タッチパネルディスプレーのように所望のGUI部品をワンタッチで選択することはできない。すなわち、カーソルの現在位置を確認してから、指を操作面上でスライドさせてカーソルを所望のGUI部品上に移動させる操作が必要になるので、タッチパネルディスプレーのような素早い入力は困難である。このように、表示画面と操作部が分離された入力インターフェースはタッチパネルディスプレーのような直感的な入力が不可能であり、タッチパネルディスプレーよりも操作性に劣る。
・・・中略・・・
【0014】
それゆえに本発明の目的は、表示画面と操作部が分離していても直感的かつ正確に入力が可能な入力装置を提供することである。」
「【0056】
以上のような本発明により、ユーザーの身体部分が接触(または接近)している操作面上の位置が、画面上のどの位置に対応しているのかを正確に把握できるため、表示画面と検出部が分離していても、タッチパネルのようにあたかも画面に直接触れて入力しているかのような、直感的かつ正確な入力が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0057】
以下に、本発明の実施形態について詳しく説明する。
【0058】
図1は、本発明の一実施形態にかかる入力装置の概念図である。図1において、ユーザーの手元に操作用のタッチパッド4が設置され、ユーザーから離れた位置にディスプレー2が設置されている。ディスプレー2には、ユーザーが所望の命令や情報を入力するための1つ以上のGUI部品3が表示されている。
【0059】
タッチパッド4の操作面の各点は、ディスプレー2の表示画面の各点と一対一で対応しており、ユーザーがタッチパッド4の操作面のある点を指で押すと、その接触位置を示すデータがタッチパッド4から図示しない制御部へと出力され、このデータに基づいて、その接触位置に対応するGUI部品3が特定され、そのGUI部品3に関連付けられた命令や情報が入力される。」
「【0062】
以下、入力装置についてより詳細に説明する。
【0063】
図2は、入力装置の構成を示すブロック図である。図2において、入力装置1000は、検出部100、表示部200および演算部300からなる。演算部300は、演算部300全体を制御する制御部400、ユーザーの特定の入力操作を検出する操作内容決定部500、検出部100に対するユーザーの身体の接触領域を示す画像(例えば図1の7)を作成する身体位置表示部600、ユーザーによる命令や情報の入力に必要となる表示情報(すなわちGUI部品3を含む画像)を作成する表示情報作成部700、および、身体位置表示部600によって作成された画像と表示情報作成部700によって作成された表示情報とを合成する画像合成部800とからなる。以下、各部の構成について詳細に説明する。
【0064】
(検出部100)
まず、検出部100について説明する。
【0065】
検出部100は、ユーザーが手などの身体部分を利用して命令や情報を入力するための手段であり、ユーザーがその操作面に触れたときに、その接触位置を示すデータを出力する機能を備えている。検出部100としては、典型的にはタッチパネルやタッチパッドを利用することができる。ただし、一般的なタッチパネルやタッチパッドでは同時に一箇所の接触位置しか検出することができないが、本発明で利用する検出部100は、ユーザーが操作面上の複数の箇所に同時に触れたときに、それら複数の接触位置を同時に検出する機能を有しているものとする。このような機能は、複数の静電容量センサ(または圧力センサ)を検出部100の操作面に沿って平面状に配置することにより実現される。
【0066】
図3および図4に、検出部100から出力されるデータの例を示す。
【0067】
図3は、検出部100に複数の静電容量センサを用いた場合の例である。図3において、検出部100にはその操作面に沿って平面状に複数の静電容量センサ101が設けられている。ユーザーの身体部分(ここでは手6)が操作面に触れる(または近づく)と、検出部100と身体部分の間の静電容量が変化し、この変化が静電容量センサ101によって検知される。検出部100は、各静電容量センサ101の検出結果に基づいて、図3に示すような、操作面におけるユーザーの身体部分の接触位置を示す接触位置データ150Aを出力する。
【0068】
図4は、検出部100に複数の圧力センサを用いた場合の例である。図4において、検出部100にはその操作面に沿って平面状に複数の圧力センサ102が設けられている。ユーザーの身体部分(ここでは手6)が操作面に触れると、身体部分によって操作面に与えられる圧力が圧力センサ102によって検出される。検出部100は、各圧力センサ102の検出結果に基づいて、図4に示すような、操作面におけるユーザーの身体部分の接触位置およびその圧力を示す接触位置データ150Bを出力する。なお、図4の接触位置データ150Bでは、大きな圧力が加わっている部分ほど濃い色で表されている。」
「【0084】
まず、接触領域の形状そのものを接触領域画像として表示する場合について、図10A~図12Bを参照して説明する。
【0085】
まず、図10Aおよび図10Bを参照して、接触領域の形状そのものを接触領域画像として表示する場合の第1の具体例を説明する。図10Aは、600個(20×30)の静電容量センサ101を備えた検出部100の操作面にユーザーの手が載せられているときの各静電容量センサ101の検出結果(2値)を示している。なお、静電容量センサ101の個数(すなわち検出部100の解像度)は単なる一例であって、本発明はこれに限定されない。検出部100からは、図10Aの各静電容量センサ101の検出結果が接触位置データとして出力されることになる。身体位置表示部600は、この接触位置データに基づいて、図10Bのように、手の接触(または接近)を検知した各静電容量センサ101に対応する位置にそれぞれ所定サイズのドットを配置した接触領域画像を作成する。こうして作成された接触領域画像は、後述する画像合成部800の処理によって表示情報と合成され、表示部200に表示される。このような表示により、ユーザーは、自分の手の下に位置する各静電容量センサ101の位置を画面上で確かめることができるため、特定の静電容量センサ101を狙ってダブルタップ操作などの入力操作を行うことが可能である。よって、小さいGUI部品を選択するなどの細かい入力操作が要求される場合に特に有効である。
【0086】
次に、図11Aおよび図11Bを参照して、接触領域の形状そのものを接触領域画像として表示する場合の第2の具体例を説明する。図11Aは、図10Aと同様に、600個(20×30)の静電容量センサ101を備えた検出部100の操作面にユーザーの手が載せられているときの各静電容量センサ101の検出結果(2値)を示している。なお、静電容量センサ101の個数(すなわち検出部100の解像度)は単なる一例であって、本発明はこれに限定されない。検出部100からは、図11Aの各静電容量センサ101の検出結果が接触位置データとして出力されることになる。身体位置表示部600は、この接触位置データに基づいて、図11Bのように実際の接触領域の形状に近い接触領域画像を作成する。具体的には、手の接触(または接近)を検知した静電容量センサ101のうち、互いに近接するものを1グループとして、このグループの形状を任意の図形(例えば楕円)で近似する。または、図10Bの接触領域画像における近接するドット間の隙間を埋めて図11Bに近い接触領域画像を作成するようにしてもよい。このような表示により、ユーザーにとって接触領域の形状が直感的に把握でき、違和感が少ないという効果がある。表示のバリエーションとして、接触領域の輪郭のみを表示したり、接触領域に所定のテクスチャーを貼り付けたり、接触面積に応じて接触領域の色や透明度を変化させたりしてもよい。」
「【0099】
(操作内容決定部500)
次に、操作内容決定部500について説明する。
【0100】
操作内容決定部500は、検出部100から出力される接触位置データを制御部400を通じて取得し、この接触位置データに基づいてユーザーの特定の入力操作を検知し、その結果を制御部400へ出力するものである。操作内容決定部500が検知する特定の入力操作の例として、操作面を押す操作(以下、プッシュ操作と称す)や、操作面を例えば指で押した状態でその指をスライドさせる操作や、操作面上のあるポイントに一定時間以上触れる操作(以下、ホールド操作と称す)や、操作面上のあるポイントに一瞬だけ触れる操作(以下、タップ操作と称す)や、操作面上のあるポイントに短時間で2度触れる操作(以下、ダブルタップ動作と称す)が挙げられる。なお、ホールド操作、タップ操作およびダブルタップ操作を検知するためには、接触位置の時間的な変化を考慮する必要があるため、操作面上の各ポイントに対して身体部分が接触した時間や履歴を適宜保持しておく必要がある。
【0101】
なお、プッシュ操作は、検出部100に複数の圧力センサ102を用いる場合には、圧力センサによって検出された圧力を所定の閾値と比較することによって簡単に検知することができるが、検出部100に複数の静電容量センサ101を用いる場合には工夫が必要である。検出部100に複数の静電容量センサ101を用いる場合には、例えば接触位置データからユーザーの指先が接している領域の面積を計算し、この面積の変化をモニタすることによってプッシュ操作を検知することが可能である。これは、ユーザーが単に手を操作面に載せている状態では指先と操作面との接触面積が比較的小さいのに対して、ユーザーが指先を操作面に押しつけたときにはその接触面積が1.2倍から2倍程度にまで大きくなることを利用している。
【0102】
なお、図17に示すように、表示部200に例えば音量調節用のロータリースイッチをGUI部品によって模擬的に表示し、検出部100の操作面に円を描くようなドラッグ操作を操作内容決定部500で検知したときに、そのドラッグ操作に応じて音量を変化させるようにしてもよい。これにより、あたかも実際にロータリースイッチを回しているかのような直感的な入力操作が可能となる。」
「【0110】
図19Aおよび図19Bは、検出部100が接触位置を検出した場合(すなわちユーザーの身体部分が検出部100の操作面上に載せられている場合)と検出していない場合(すなわちユーザーの身体部分が検出部100の操作面上に載せられていない場合)とで表示情報を変更する第1の例である。検出部100が接触位置を検出したかどうかは、検出部100から出力される接触位置データに基づいて制御部400が判定することができる。制御部400はこの判定結果に基づいて表示情報作成部700に表示情報の変更を指示する。・・・中略・・・図19Bは、検出部100が接触位置を検出した場合の、図19Aに対応する画面表示例である。ここでは、ボタンが立体的に表示されるため、ユーザーは選択の対象となる領域がどこかを一目で認識することができる。このように表示情報を変更することによって、ユーザーが入力操作をしようとしていないときには表示情報を簡素化して表示情報の視認性を向上し、ユーザーが入力操作をしようとしているときには選択対象を強調表示して操作性を向上することができる。」
「【0132】
図25Aは、ユーザーが押した検出部100上の点に対応するGUI部品(すなわちユーザーによって選択されたGUI部品)を強調表示する例である。図25Aの例では、ユーザーによって選択されたGUI部品(ここではボタン)が、ボタンが押し込まれたような画像に変更されている。なお図25Aでは便宜上、接触領域画像が図示されているが、実際には、表示情報作成部700が作成する表示情報に接触領域画像は含まれない。このような表示情報の変更により、ユーザーは、自分が選択しようとしたGUI部品を正しく選択できたかどうかを容易に確認することができ、操作性が向上する。」
上記記載によれば、実施形態にかかる入力装置について次のことがいえる。
(a)【0058】の記載によれば、ディスプレー2に、ユーザーが所望の命令や情報を入力するための1つ以上のGUI部品3を表示している。
(b)【0065】の記載によれば、検出部は、典型的にはタッチパネルやタッチパッドを利用することができ、複数の静電容量センサを検出部100の操作面に沿って平面状に配置することにより構成され、ユーザーが操作面上の複数の箇所に同時に触れたときに、それら複数の接触位置を同時に検出する機能を有している。
(c)【0067】の記載によれば、検出部は、ユーザーの手6が操作面に近づくと、検出部と身体部分の間の静電容量が変化し、この変化が静電容量センサによって検知され、操作面におけるユーザーの手の接触位置を示す接触位置データを出力する。
(d)【0085】、【0086】の記載によれば、身体位置表示部は、接触位置データに基づいて、手の接近を検知した各静電容量センサに対応する位置にそれぞれ所定サイズのドットを配置した接触領域画像を作成(近接するドット間の隙間を埋めて接触領域画像を作成するようにしてもよい。)し、作成された接触領域画像は、画像合成部の処理によって表示情報と合成されて表示される。
(e)【0100】の記載によれば、操作内容決定部は、検出部から出力される接触位置データを制御部を通じて取得し、この接触位置データに基づいてユーザーの特定の入力操作を検知している。
(f)【0085】の「特定の静電容量センサ101を狙ってダブルタップ操作などの入力操作を行うことが可能である。よって、小さいGUI部品を選択するなどの細かい入力操作が要求される場合に特に有効である。」の記載、及び【0102】の「表示部200に例えば音量調節用のロータリースイッチをGUI部品によって模擬的に表示し、検出部100の操作面に円を描くようなドラッグ操作を操作内容決定部500で検知したときに、そのドラッグ操作に応じて音量を変化させるようにしてもよい。これにより、あたかも実際にロータリースイッチを回しているかのような直感的な入力操作が可能となる。」の記載によれば、ダブルタップ操作などの入力操作によって表示部に表示されたGUI部品を操作している。
上記(a)~(f)によれば、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「ディスプレー2に、ユーザーが所望の命令や情報を入力するための1つ以上のGUI部品3を表示し、
検出部は、典型的にはタッチパネルやタッチパッドを利用することができ、複数の静電容量センサを検出部100の操作面に沿って平面状に配置することにより構成され、ユーザーが操作面上の複数の箇所に同時に触れたときに、それら複数の接触位置を同時に検出する機能を有しており、ユーザーの手6が操作面に近づくと、検出部と身体部分の間の静電容量が変化し、この変化が静電容量センサによって検知され、操作面におけるユーザーの手の接触位置を示す接触位置データを出力し、
身体位置表示部は、接触位置データに基づいて、手の接近を検知した各静電容量センサに対応する位置にそれぞれ所定サイズのドットを配置した接触領域画像を作成(近接するドット間の隙間を埋めて接触領域画像を作成するようにしてもよい。)し、作成された接触領域画像は、画像合成部の処理によって表示情報と合成されて表示され、
操作内容決定部は、検出部から出力される接触位置データを制御部を通じて取得し、この接触位置データに基づいてユーザーの特定の入力操作を検知するものであり、ダブルタップ操作などの入力操作によって表示部に表示されたGUI部品を操作する入力操作方法。」
(2)当審拒絶理由に引用された特表2002-501271号公報(以下、「引用文献2」という。)には、FIG.1とともに次の記載がある。
「【0100】
FIG.1は、統合された手操作入力装置の全体のシステムブロック図である。マルチ-タッチ表面2に埋め込まれたセンサは、表面2への、平らにされた手4の全体、指先、親指、てのひら、および他の導電性タッチデバイス(devices)の近接を検出する。好ましい実施態様によると、表面は両手4を快適に載せるのに十分大きく、前腕の回内運動を抑制するようにアーチ状になっている。」
上記記載及びFIG.1によれば、引用文献2には、「手操作入力装置のマルチ-タッチ表面により、左右の手の各々の指の近接を検出する」技術(以下、「引用文献2記載の技術」という。)が記載されている。
(3)当審において新たに引用する特開2010-86471号公報(以下、「引用文献3」という。)には、図とともに次の記載がある。
「【0073】
さらに、2次元(2D)型操作感提供装置の実施例として図7に示す構成について説明する。図7は、PC等のタッチパッドに2次元(2D)型操作感提供装置を構成したものである。この図7には操作部270のみを示している。操作部270がPCのタッチパッドとして構成されている。この構成では、操作部270はディスプレイ機能を有さない。
【0074】
操作部270は、導電層271、絶縁層272を持つ構成である。図7に示す構成の導電層271、絶縁層272は、図2に示す構成の導電層111、絶縁層112に対応す。図6には操作部200のみ示しているが、操作部200に対して、図2と同様の処理部が接続されることになる。これらの処理部は例えばPC等によって構成可能である。
【0075】
ユーザの指280の位置、圧力等がセンサによって検出され、このセンサ検出情報、あるいはセンサ検出情報から求められる移動情報等に応じて電圧および周波数を決定して導電層711に対して、電気信号が入力される。ユーザの指280を絶縁層272上で移動させた場合、導電層271に入力する電気信号に応じて増減する摩擦が感じられる。この摩擦は、例えばユーザの指280の操作部270に対する操作感として受け取られる。」
「【0080】
ユーザ300の指305をスクリーン301の透明絶縁層312上で移動させた場合、透明導電層311に入力する電気信号に応じて増減する摩擦が感じられる。例えばユーザ300の指305によってスクリーン301に表示された様々なオブジェクトに対する操作を行った場合、ユーザは電気信号によって設定される固有の摩擦を、表示オブジェクトに対応する固有の操作感として体感することになる。
【0081】
先に説明した構成と同様、スクリーン301の透明導電層311に対して情報処理装置(PC)303から出力する電気信号の電圧および周波数は、ユーザ300の指の位置、動き、圧力等に応じて任意の値に設定可能である。ユーザ300がスクリーン301に表示された様々なオブジェクト画像の位置にある場合に、それぞれの画像に対応して予め設定した値の電圧および周波数の電気信号を入力することで、表示されたオブジェクト毎に異なる摩擦力を体感することができる。
【0082】
ユーザの指が表示オブジェクト位置にない場合には電気信号を停止するといった処理も可能である。このような処理によって、様々なオブジェクト画像をスクリーン301に表示して、それぞれのオブジェクトに応じた操作感をユーザに提供することが可能となる。」
「【0104】
ステップS102において、データ処理部124(図2参照)は、データ入力部123(図2参照)を介してセンサ情報を入力し、操作部110に設定された導電層111に対して出力する電気信号のパラメータを決定する。パラメータは例えば交流電圧信号の電圧値と周波数である。なお、パラメータ決定処理に際しては、例えばデータ処理部内のメモリに予め記録されたテーブルを参照して決定する構成としてもよい。
【0105】
テーブルには、例えば操作部に表示された画像、例えばスイッチ、スライダ、オブジェクトなどの種類や、ユーザの指の位置などに対応する電圧値、周波数を設定したデータが記録されている。データ処理部124は、センサ入力とテーブル記録情報を利用してパラメータを決定する。」
上記記載によれば、引用文献3には、「ユーザの指によってスクリーンに表示された様々なオブジェクトに対する操作を行った場合、ユーザは電気信号によって設定される固有の摩擦を、表示オブジェクト(例えばスイッチ、スライダ、オブジェクトなどの種類)に対応する固有の操作感として体感する」こと(以下、「引用文献3記載の技術事項」という。)が記載されている。
(4)当審において、新たに引用する特表2008-516348号公報(以下、「引用文献4」という。)には、図とともに次の記載がある。
「【0052】
異なるタイプのグラフィックオブジェクトを触覚による感覚と関連付けることができる。触覚による感覚は、カーソルとウィンドウとの相互作用に基づいてタッチパッド16上に出力することができる。例えば、Z軸方向の「隆起」またはパルスをタッチパッド上に出力して、カーソルがウィンドウの境界を越えて移動するときユーザにカーソル位置の信号を送ってもよい。カーソルがウィンドウの境界内を移動するとき、テクスチャ力感覚を出力することができる。テクスチャは、ウィンドウ領域内に所定のパターンで空間的に配置された一連の隆起であってもよい。カーソルが指示された隆起領域を移動するとき、隆起力がタッチパッド上に出力される。パルスまたは隆起力は、表示されたウェブページ内のリンクやアイコンなど、選択されたオブジェクト上をカーソルが移動するときに出力されてもよい。振動を出力して、カーソルが現在位置しているグラフィックオブジェクトを示してもよい。さらに、ウィンドウに表示されている文書の特徴を力感覚と関連付けることもできる。例えば、文書のページ区切りがウィンドウの特定の領域を越えてスクロールされたとき、パルスをタッチパッド上に出力することができる。文書のページ区切りまたは改行は、同様に、隆起や振動などの力感覚と関連付けることができる。
【0053】
さらに、メニュー見出しまたはグラフィックボタンを選択した後に、表示されたメニュー内のメニュー項目をユーザにより選択できるようにしてもよい。メニュー内の個別のメニュー項目は力と関連付けることができる。例えば、カーソルがメニュー項目間の境界上を移動するときに垂直(Z軸)隆起またはパルスが出力されてもよい。特定のメニュー選択に対する感覚は、他のメニュー選択よりも強くして重要度または使用頻度を示すこともできる。すなわち、最もよく使われるメニュー選択は、使用頻度の低いメニューよりも大きい振幅の(強い)パルスに関連付けてもよい。また、現在無効となっているメニュー選択は弱いパルスまたはパルスを出さないようにして、そのメニュー選択はその時点では有効でないことを示すことができる。さらに、マイクロソフトウィンドウズ(登録商標)のように、特定のメニュー要素を選択した後にサブメニューが表示されるようタイトルメニューを用いてもよい。パルス感覚はサブメニューが表示されたときに送信することができる。ユーザはメニュー要素上にカーソルが移動してもサブメニューが表示されないことを予想していることがあるので、これは非常に有効である。アイコンは、上記のウィンドウと同様に、テクスチャ、パルス、および振動と関連付けることができる。描画またはCADプログラムも、類似の触覚による感覚との関連付けが可能な、表示(または非表示)グリッド線またはドット、描画オブジェクトの制御ポイント、その他などの多くの機能を有している。」
上記記載によれば、引用文献4には、「異なるタイプのグラフィックオブジェクトを触覚による感覚と関連付けることができ、触覚による感覚は、カーソルとウィンドウとの相互作用に基づいてタッチパッド上に出力することができ、例えば、カーソルがウィンドウの境界内を移動するとき、テクスチャ力感覚を出力することができ、最もよく使われるメニュー選択は、使用頻度の低いメニューよりも大きい振幅の(強い)パルスに関連付け、現在無効となっているメニュー選択は弱いパルス出力する」こと(「引用文献4記載の技術事項」という。)が記載されている。
3.対比
本願発明と引用発明とを対比する。
(ア)引用発明の「ディスプレー2」は、本願発明の「利用者により視認可能な垂直表面を有する表示器」に相当し、引用発明の「ユーザーが所望の命令や情報を入力するための1つ以上のGUI部品3」は、「メニューやボタンスイッチに代表される表示部品」(【0002】の記載参照。)であるから、本願発明の「GUIオブジェクトの形式が異なる複数のGUIオブジェクトを含む情報」に相当するといえる。
したがって、引用発明の「ディスプレー2に、ユーザーが所望の命令や情報を入力するための1つ以上のGUI部品3を表示」する構成は、本願発明の「利用者により視認可能な垂直表面を有する表示器にGUIオブジェクトの形式が異なる複数のGUIオブジェクトを含む情報を表示するステップ」に相当する。
(イ)引用発明の「検出部は、典型的にはタッチパネルやタッチパッドを利用することができ、複数の静電容量センサを検出部100の操作面に沿って平面状に配置することにより構成され、ユーザーが操作面上の複数の箇所に同時に触れたときに、それら複数の接触位置を同時に検出する機能を有して」いるから、引用発明の「検出部」は、本願発明の「マルチ・タッチ感知型装置」に相当する。
(ウ)引用発明の「ユーザーの手6が操作面に近づくと、検出部と身体部分の間の静電容量が変化し、この変化が静電容量センサによって検知され、操作面におけるユーザーの手の接触位置を示す接触位置データ出力」する構成は、本願発明の「利用者の左右の手の複数の指の各々のマルチ・タッチ感知型装置の水平表面への近接を検出」する構成と「利用者の手の複数の指の各々のマルチ・タッチ感知型装置の水平表面への近接を検出」する構成である点では共通する。
(エ)引用発明の「接触位置データに基づいて、手の接近を検知した各静電容量センサに対応する位置にそれぞれ所定サイズのドットを配置した接触領域画像を作成(近接するドット間の隙間を埋めて接触領域画像を作成するようにしてもよい。)し、作成された接触領域画像は、画像合成部の処理によって表示情報と合成されて表示」する構成は、本願発明の「検出された指の前記マルチ・タッチ感知型装置に対する位置に対応する指標を前記表示器の前記垂直表面に表示する」構成に相当するといえる。
(オ)上記(イ)~(エ)の引用発明の構成は、本願発明の「利用者の左右の手の複数の指の各々のマルチ・タッチ感知型装置の水平表面への近接を検出し、検出された指の前記マルチ・タッチ感知型装置に対する位置に対応する指標を前記表示器の前記垂直表面に表示 するステップ」と「利用者の手の複数の指の各々のマルチ・タッチ感知型装置の水平表面への近接を検出し、検出された指の前記マルチ・タッチ感知型装置に対する位置に対応する指標を前記表示器の前記垂直表面に表示するステップ」である点では共通する。
(カ)引用発明の「操作内容決定部は、検出部から出力される接触位置データを制御部を通じて取得し、この接触位置データに基づいてユーザーの特定の入力操作を検知する」構成は、本願発明の「前記利用者により視認可能な前記表示器の前記垂直表面とは異なる表面であるマルチ・タッチ感知型装置の前記水平表面において利用者入力を受け取るステップ」に相当するといえる。
(キ)引用発明の「ダブルタップ操作などの入力操作によって表示部に表示されたGUI部品を操作する」構成は、本願発明の「該受け取った利用者入力に応答して前記表示される複数のGUIオブジェクトを操作するステップ」に相当するといえる。
(ク)引用発明の「入力操作方法」は、本願発明と同様に「表示される情報と対話する方法」といい得るものである。
したがって、本願発明と引用発明は、
「表示される情報と対話する方法であって、
利用者により視認可能な垂直表面を有する表示器にGUIオブジェクトの形式が異なる複数のGUIオブジェクトを含む情報を表示するステップと、
利用者の手の複数の指の各々のマルチ・タッチ感知型装置の水平表面への近接を検出し、検出された指の前記マルチ・タッチ感知型装置に対する位置に対応する指標を前記表示器の前記垂直表面に表示するステップと、
前記利用者により視認可能な前記表示器の前記垂直表面とは異なる表面であるマルチ・タッチ感知型装置の前記水平表面において利用者入力を受け取るステップと、
該受け取った利用者入力に応答して前記表示される複数のGUIオブジェクトを操作するステップとを含む、方法。」
で一致するものであり、次の点で相違している。
<相違点1>
本願発明は、「利用者の左右の手の複数の指の各々のマルチ・タッチ感知型装置の水平表面への近接を検出し、検出された指の前記マルチ・タッチ感知型装置に対する位置に対応する指標を前記表示器の前記垂直表面に表示する」ものであるのに対し、引用発明は、検出部が、左右の手の複数の指の各々の近接を検出することは特定されていない点。
<相違点2>
本願発明は、「利用者入力に基づいて誘導応答を与えるステップ」を含み、「該誘導応答は、前記マルチ・タッチ感知型装置により触覚応答を与えるステップを含んでおり、該触覚応答を与えるステップが、利用者が対話しているGUIオブジェクトの形式に応じて変化し得る触覚を利用者に与えることを含む」ものであるのに対し、引用発明は、そのようなステップを含むものではない点。
4.判断
・相違点1について
引用発明と引用文献2記載の技術は、手操作入力装置のマルチ-タッチ表面により、手の各々の指の近接を検出する技術である点で共通するものであり、引用発明において、引用文献2記載の技術を採用することは、当業者が容易に想到し得ることである。
したがって、引用発明において、引用文献2記載の技術を採用し、「利用者の左右の手の複数の指の各々のマルチ・タッチ感知型装置の水平表面への近接を検出し、検出された指の前記マルチ・タッチ感知型装置に対する位置に対応する指標を前記表示器の前記垂直表面に表示する」ようにすることは当業者が容易になし得ることである。
・相違点2について
前記引用文献3、4記載の技術事項によれば、利用者入力に基づいてタッチパッド等の操作入力装置により、利用者が対話しているGUIオブジェクトの形式に応じて変化し得る触覚を誘導応答として利用者に与えることは、本願優先日前に周知技術であるといえる。
引用文献1の【0110】には、「図19Bは、検出部100が接触位置を検出した場合の、図19Aに対応する画面表示例である。ここでは、ボタンが立体的に表示されるため、ユーザーは選択の対象となる領域がどこかを一目で認識することができる。このように表示情報を変更することによって、ユーザーが入力操作をしようとしていないときには表示情報を簡素化して表示情報の視認性を向上し、ユーザーが入力操作をしようとしているときには選択対象を強調表示して操作性を向上することができる。」と記載され、、【0132】には、「図25Aは、ユーザーが押した検出部100上の点に対応するGUI部品(すなわちユーザーによって選択されたGUI部品)を強調表示する例である。図25Aの例では、ユーザーによって選択されたGUI部品(ここではボタン)が、ボタンが押し込まれたような画像に変更されている。・・・中略・・・このような表示情報の変更により、ユーザーは、自分が選択しようとしたGUI部品を正しく選択できたかどうかを容易に確認することができ、操作性が向上する。」と記載されており、引用発明は、ユーザーの操作入力によりGUI部品を操作するときにGUI部品に応じて直感的な誘導応答を与えることが示唆されており、上記周知技術も利用者入力に基づいて誘導応答を利用者に与える点では共通するものである。
したがって、引用発明において、上記周知技術を適用し、「利用者入力に基づいて誘導応答を与えるステップ」を含み、「該誘導応答は、前記マルチ・タッチ感知型装置により触覚応答を与えるステップを含んでおり、該触覚応答を与えるステップが、利用者が対話しているGUIオブジェクトの形式に応じて変化し得る触覚を利用者に与えることを含む」ようにすることは、当業者が容易になし得ることである。
そして、本願発明の作用効果も、引用発明、引用文献2記載の技術及び周知技術から、当業者であれば予想できる範囲内のものである。
5.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明、引用文献2記載の技術及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。
したがって、本願は、その余の請求項について論及するまでもなく拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2015-020964