特許拒絶査定不服審判
2015-012528
ガス流分布が改善された熱反応器
- 審判番号
- 2015-012528
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2013-049126外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2015年07月02日
- 審決日
- 2017年02月13日
- 公報発行日
- 2017年08月25日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
- 【請求人代理人】園田・小林特許業務法人
- 分類
- P18 .121-WZ (H01L)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2013- 49126「ガス流分布が改善された熱反応器」拒絶査定不服審判事件〔平成25年10月24日出願公開、特開2013-219344〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
【理 由】
1 手続の経緯
本願は,平成20年(2008年)12月18日を国際出願日(パリ条約による優先権主張 外国庁受理2007年12月20日,米国)とする特願2010-539820号の一部を平成25年3月12日に新たな出願としたものであって,その手続の経緯は以下のとおりである。
平成25年 4月10日 審査請求・手続補正
平成26年 3月20日 拒絶理由通知
平成26年 7月 8日 意見書・手続補正
平成27年 2月24日 拒絶査定
平成27年 7月 2日 審判請求・手続補正
平成27年12月11日 上申書
平成28年 6月 9日 拒絶理由通知
平成28年 9月12日 意見書・手続補正
平成28年10月 4日 拒絶理由通知(以下,「当審拒絶理由」という。)
平成29年 1月11日 意見書・手続補正
2 本願発明について
(1)本願発明
本願の請求項8に係る発明(以下,「本願発明」という。)は,平成29年1月11日付け手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項8に記載された,次のとおりのものと認める。
「【請求項8】
基板を処理する方法において,
処理空間を画定する基部リングを有する処理チャンバを提供するステップであって,前記基部リングが前記基部リングの対向する両側に形成された入口ポートおよび出口ポート,および前記処理空間内に設けられた基板支持体を有するステップと,
前記基板を処理空間内の前記基板支持体上に位置決めするステップと,
前記基板の中心軸の周りで,前記基板を連続して回転させるステップと,
前記入口ポートから前記出口ポートへ処理ガスの第1のガス流を提供するステップであって,前記第1のガス流が,前記入口ポートの幅に沿って均等に分布された複数の注入孔から誘導され,前記第1のガス流が,前記入口ポート内に配置された入口カートリッジによって提供され,前記入口カートリッジが細長い流れチャネルを有し,前記細長い流れチャネルが,前記細長い流れチャネルの対向する両端に形成された2つの入力ポートに接続され,前記細長い流れチャネルに沿って,複数の出力孔が均等に分布するステップと,
前記処理チャンバの前記入口ポートと前記出口ポートの間の側面を貫通するように形成された側面ポートから前記処理空間へ,処理ガスの第2のガス流を提供するステップであって,前記側面ポート付近の前記基板の縁部の回転方向が,前記第1のガス流の方向とほぼ反対となっているステップと,
フランジにより前記基部リングの前記出口ポートに結合された排出アセンブリを使用して,前記処理空間からガス流をポンプで吸い出すステップであって,前記排出アセンブリが,前記処理空間から前記第1のガス流の方向に拡張する排出空間を画定し,前記排出空間が前記フランジにより前記出口ポートに結合される広い端部および真空ポンプに結合された狭い端部を有するテーパ形状を有するステップとを含む方法。」
(2)引用文献1の記載
ア 引用文献1
当審拒絶理由で引用された特表2007-515059号公報(以下,「引用文献1」という。)には,図面とともに次の記載がある。(下線は当審において付加した。以下同じ。)
(ア)「【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,急速熱処理装置に関するものであり,特に,急速熱処理装置のそれぞれの構成要素に対する改善及び,それぞれの構成要素に冷却システムが独立的に採用された急速熱処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ウエハを熱処理する装備の代表例として,急速熱処理装置(RTP)があり,急速熱処理装備は,急速熱アニール,急速熱洗浄,急速熱化学蒸着,急速熱酸化,急速熱窒化処理を遂行するために使用される。」
(イ)「【0015】
ところで,円形チャンバに適当な円形形態のガスノズルの設計は,非常に複雑である。すなわち,図2のようにチャンバの上層部,中層部,下層部の断面積が異なるので,波の波動の形態のようにガスの流れが発生しないように製造しなければならない。そのためには,多くの費用と時間を必要とするので,実に難しいことである。したがって,このような効果を得るために,ウエハを回転させる方法を選択している。ウエハを回転させることにより,いろいろな利得が発生し,温度の均一度が向上して,単一ガスノズルの形態でもウエハ面での均一なガスの流れを得ることができる。しかし,ウエハ搬送部と排気口が形成されている領域では通路になっているので,輻射熱を得られないので温度の均一化が図れない。」
(ウ)「【課題を解決するための手段】
【0019】
前記技術的課題を達成するための本発明による急速熱処理装置は,一側壁にはプロセスガス噴射口(processing gas injection port)があり,前記一側壁の反対側の側壁には,プロセスガス排気口(processing gas exhaust port)があるチャンバ,前記チャンバ内部に設けられてウエハを加熱する熱源装置,前記熱源装置の下側に位置するように前記チャンバに設けられる石英窓,前記石英窓の下側に位置するように,前記チャンバに設けられるエッジリング(Edge Ring)支持台,前記エッジリング支持台の上部に設けられ,上面にウエハが安着されるエッジリングとから構成され,前記チャンバ内面の横断面は,互いに間隔離れ,同じ半径と中心を有する複数の弧と,前記弧と弧を連結する直線からなる多重線形態であることを特徴とする。」
(エ)「【0031】
図3は,本発明の実施例による急速熱処理装置の概略図で,図4は,図3による急速熱処理装置のa-b線による断面図,図5は,図3による急速熱処理装置のc-d 線による断面図,図6は,図3による急速熱処理装置のe-e 線による断面図,図7は,図4による急速熱処理装置の'A' 部分の拡大図,図8は,図3による急速熱処理装置のf-f 線による断面図と,図9は,図4による急速熱処理装置の'B'部分の拡大図である。
【0032】
図3ないし図5を参照すれば,本発明の実施例による急速熱処理装置は,プロセスガス噴射口(123)及び排気口(130)が形成されたチャンバ(100)と,チャンバ内部に設けられてウエハを加熱する熱源装置(図示せず),熱源装置の下側に位置するようにチャンバに設けられる石英窓(200),石英窓の下側に設けられるエッジリング支持台,温度測定センサ(500)及びウエハリフトピン(600) などと,ウエハ搬送部(700)と,各種冷却システムと,エッジリング支持台の上部に設けられるエッジリング(400)をから構成される。
【0033】
図3を参照すれば,チャンバ(100)の内面(110)は,互いに離隔されており,同じ半径と中心を有する複数の弧(111)と,弧と弧を連結する直線(112)からなる多重線形態の横断面を有する。この時,弧(111)の中心角は,弧(111)と直線(112)の接点での弧(111)と直線(112)をなす角度が鈍角となるようにする。本実施例では中心角が15~50度の4個の弧(111)が左右及び前後対向するようにし,4個の直線(112)が斜線方向に対向するようにした。弧(111)及び直線(112)の個数と,弧(111)の中心角は,多様の変形が可能であることはいうまでもない。したがって,本発明の実施例によるチャンバによれば,従来の円形チャンバと四角チャンバの長所を維持しながら短所を克服できる。
【0034】
図3,図4及び6を参照すれば,プロセスガス噴射口(123)は,チャンバの一側壁に設けられ,その一側壁の反対側の側壁にプロセスガス排気口(130)が形成される。ウエハが安着された高さでプロセスガス(processing gas)が流れるように,排気口(130)の中心と噴射口(123)の中心を連結するそれぞれの仮想の線が,ウエハ上に位置するように,プロセスガス噴射口(123)と排気口(130)を形成する。そして,排気口(130)に酸素濃度の測定器(910)を設けることにより,測定された酸素濃度を用いて,工程の始めの時点をチェックすることができる。
【0035】
この時,プロセスガスの均一な噴射のためにプロセスガス噴射口(123)は,プロセスガス噴射ノズル(121)と連結する噴射管(122)に横方向に一列になるように形成される。したがって,プロセスガス噴射ノズル(121)から噴射されたプロセスガスは,噴射管(122)内に流入されて,噴射圧力が低くなり,その状態で複数の噴射口(123)を介して噴射されるので,プロセスガスがウエハの全面にわたって均一に分布される。そして,プロセスガスの均一な分布のために噴射されたプロセスガスが触れるガス仕切り(124)が,チャンバ(100)の側壁にさらに形成される。このように横方向に一列を形成する噴射口(123)から噴射されたプロセスガスの円滑な排気のために,噴射口(123)が形成されたチャンバ(100)の一側壁の反対側の側壁には,噴射口(123)より大きな直径を有する少なくとも二つの排気口(130)が一列に形成される。」
(オ)「【0040】
図3,図4,図5及び図9を参照すれば,エッジリング支持台(300)は,回転羽(311)があり,チャンバに設けられる回転機構部(310)と,回転羽(311)に連結されて外面に凹凸があるシリンダ(320)と,シリンダ(320)と噛み合う凹凸があり,シリンダ(320)を回転羽(311)に固定させるシリンダガイド(330)と,シリンダガイド(330)を回転羽(311)に固定させるガイド固定ピン(340)をから構成される。回転羽(311)の上面には,多数の逆三角形の溝が形成され,ガスが回転羽の上面に沿って下方へ流れないようにした。その溝に停滞されているガスは,急速熱処理の工程進行中に発生する熱によって上昇する。また,その溝は回転羽(311)が受ける熱応力で,それによる熱変形を分散させる。そして,シリンダ(320)がシリンダガイド(331)と,ガイド固定ピン(340)とで構成される2重結合構造によって回転羽(311)に固定されるので,全体的にエッジリング支持台(300)は,熱変形に強い構造となる。シリンダガイド(330)とガイド固定ピン(340)は,熱変形に強い材料で製造される。」
(カ)図3には,チャンバ100の処理空間内にエッジリング400を有することが記載されている。
(キ)図6には,チャンバ壁により画定された,略八角形状の「処理空間」とその右側直線状の「入口ポート」と左側2つの屈曲点を有する折れ線状の「出口ポート」があること,チャンバ壁は処理空間を囲んでいること,プロセスガス噴射口123から入口ポートを通って処理空間内にプロセスガスが導入され,処理空間内から出口ポートを通ってプロセス排気口130へプロセスガスが排出されること,噴射管122の長さは入口ポートの幅に等しいこと,フランジによりチャンバ壁に結合される排気口130がテーパ形状を有すること,が記載されていると認められる。
イ 引用発明1
前記アより,引用文献1には次の発明(以下,「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。
「ウエハを熱処理する方法において,チャンバ壁により画定された,処理空間とその対向する両側にある入口ポートと出口ポートを有するチャンバを提供するステップであって,チャンバの処理空間内にエッジリングを有するステップと,ウエハを処理空間内に設けられたエッジリングに安着するステップと,ウエハを回転させるステップと,プロセスガス噴射口から入口ポートを通って処理空間内にプロセスガスが導入され,処理空間内から出口ポートを通ってプロセスガス排気口へプロセスガスが排出されるステップであって,プロセスガスの均一な噴射のためにプロセスガス噴射口は,入口ポートの幅の長さの噴射管に横方向に一列になるように形成され,プロセスガスは,噴射管内に流入されて,噴射圧力が低くなり,その状態で複数の噴射口を介して噴射されるステップと,フランジによりチャンバ壁に結合される排気口がテーパ形状を有するステップとを含む方法。」
(3)引用文献2の記載
ア 引用文献2
当審拒絶理由で引用された特開2003-109993号公報(以下,「引用文献2」という。)には,図面とともに次の記載がある。
(ア)「【0015】また,スリットバルブインサート30の通路22上側の壁部内には,パージガスが供給されるガス室24が設けられている。通路22とガス室24との間に形成された壁部32には,通路22とガス室24とを連通する複数の孔26が形成されている。図1は,図4のI-I線に沿っての断面図である。図示するように,通路22とガス室24とを連通する複数の孔26は,すべて同径であり,通路22が延びる方向に対して横方向に沿ってほぼ等間隔で1列に配置されている。ガス室24の壁面のうち孔26の列が延びる方向において対向する1対の壁面38及び40内には,パージガスのガス供給部28がそれぞれ設けられている。それぞれのガス供給部28からは,例えば圧力が2bar,流量が7.5L/minという条件で,窒素ガス等のパージガスがガス室24内に常時供給されている。
【0016】このように,孔26の列が延びる方向において両側に設けられたガス供給部28からガス室24内にパージガスが供給されるため,それぞれのパージガスの流れがミキシングされガス室24内のガス圧がほぼ均一となる。したがって,図1の一点鎖線により概念的に示すように,それぞれの孔26から噴き出すパージガスの流量が同等となる。」
(イ)図1には,ガス室24内に細長いガス流が形成されることが記載されている。
イ 引用発明2
前記アより,引用文献2には次の発明(以下,「引用発明2」という。)が記載されていると認められる。
「ほぼ等間隔で一列に配置された孔の列が延びる方向において両側に設けられたガス供給部からガス室内にガスが供給され細長いガス流が形成され,それぞれの孔から吹き出すガスの流量が同等となること。」
(4)引用文献3の記載
ア 引用文献3
当審拒絶理由で引用された特開2000-349030号公報(以下,「引用文献3」という。)には,図面とともに次の記載がある。
(ア)「【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は,化学気相反応によって半導体基板上に薄膜を形成する,あるいは基板表面をエッチングするなどして,その基板を高品質化したり,あるいは基板上に集積回路の形成を行なう気相反応処理技術に係り,特に,熱化学気相成長法によってシリコンウェーハ上にシリコン単結晶薄膜をエピタキシャル成長するに際し,反応チャンバー内のガス導入口とサセプターの上流側の端部の間に所定の構造を持った整流板を設けることによって,ウェーハ面内均一性を改善した高品質なエピタキシャルウェーハを製造する気相反応装置に関する。」
(イ)「【0021】チャンバー7の図でA側面にはガス導入口4‐a,4‐b,4‐cが配置され,同入口から例えば,キャリアガスである水素(H2)と原料ガスであるトリクロロシラン(SiHCl3)の混合ガスが吹出される。前記ガスは,加熱されたシリコンウェーハ1の上の空間で反応し,基板表面にシリコンのエピタキシャル膜が成長する。基板上を流れたガスは排気口13を通って反応チャンバー7の外に排出される。」
(ウ)「【0033】
【実施例】実施例1
図1~図3に示す前述の構成例1において,サセプター3は図示されていない回転機構により,載置されたシリコンウェーハ1と共に,回転され,シリコンウェーハ1の表面に成長したエピ膜の厚みが均一化されるようになっている。」
(エ)「【0046】実施例2
図5に示す構成例3の反応装置において,原料ガスとキャリアガスのフロー制御を図8に示す制御装置を用いて実施した。反応チャンバー7の内部の構造は図5に示す構成例3と同様である。
【0047】このエピ装置では,付加的なガス導入口9の原料ガス(SiHCl3/H2)の流量を制御する流量制御装置11‐a,11‐cと,キャリアガス(H2)の流量を制御する流量制御装置12‐a,12‐cが備え付けられている。
・・・
【0051】付加的な導入口9から吹出すガス流量を増加し過ぎるとウェーハ面全体の膜厚分布が乱され,導入口4‐a,4‐b,4‐cのガス流量設定の調整が煩雑になる場合が生じる。このような場合には流量制御装置11‐a,11‐cの設定を下げ,導入口9から吹出すガス流量を下げ,流量制御装置12‐a,12‐cの設定を上げ導入口9から吹出すガスの原料ガス濃度を高めることによってウェーハ全面の分布を乱すことなく,選択的にウェーハ11の端部の膜厚分布のみ調整することが可能となった。」
(オ)図5には,チャンバー7の側面にガス導入口が配置され,シリコンウェハ1を介して反対側の側面に排出口13が配置され,ガス導入口と排出口の間の側面に付加的なガス導入口9を設け,一方の付加的なガス導入口9付近のシリコンウェハの回転方向が,ガス導入口から排出口へのガス流の方向とほぼ反対となっていること,が記載されていると認められる。
イ 引用発明3
前記アより,引用文献3には次の発明(以下,「引用発明3」という。)が記載されていると認められる。
「チャンバーの側面にガス導入口が配置され,シリコンウェハを介して反対側の側面に排出口が配置され,ガス導入口と排出口の間の側面に付加的なガス導入口を設け,一方の付加的なガス導入口付近のシリコンウェハの回転方向が,ガス導入口から排出口へのガス流の方向とほぼ反対となっていること。」
(5)引用文献4の記載
ア 引用文献4
当審拒絶理由で引用された特開平02-043366号公報(以下,「引用文献4」という。)には,図面とともに次の記載がある。
(ア)「多重反射法により,Si膜面の堆積を行なった。第1図の十字チャンバー10の中央に,試料台2を固定する。十字チャンバー10は2個の角チャンバー(250mm×250mm×450mm)を組合せたものである。チャンバー10の一つのコーナーに反応性ガス状物の板状気流4を発生するノズル室1を,その反対のコーナーに真空ポンプ吸気口3を取付けて,板状気流4を形成した。また,直交する他の一対のチャンバーコーナーに,1組の高反射率ミラー5及び6を垂直に,互いに平行に取付け,チャンバー10に入射したレーザビームを,試料台2の上空で多重反射させるビーム反射路9を形成した。更に,反射ミラー5のノズル側に隣接するチャンバーの側壁に,ビーム入射窓7を,真空排気口側に隣接する側壁にビーム吸収器8を取付けた。」(4頁左下欄14行-同右下欄9行)
(イ)第1図には,テーパ形状の真空排気口の狭い端部に真空ポンプ吸気口3を取り付けること,が記載されている。
イ 引用発明4
前記アより,引用文献4には次の発明(以下,「引用発明4」という。)が記載されていると認められる。
「板状気流を形成するために,テーパ形状の真空排気口の狭い端部に真空ポンプ吸気口を取り付けること。」
(6)本願発明と引用発明1との対比
ア 引用発明1の「ウエハを熱処理する方法」は,下記相違点を除いて本願発明の「基板を処理する方法」に相当すると認められる。
イ 引用発明1の「チャンバ壁」は処理空間を囲んでいる(前記(2)ア(キ))から本願発明の「基部リング」に相当し,引用発明1の「エッジリング」はウエハを安着するから本願発明の「基板支持体」に相当し,すると,引用発明1の「チャンバ壁により画定された,処理空間とその対向する両側にある入口ポートと出口ポートを有するチャンバを提供するステップであって,チャンバの処理空間内にエッジリングを有するステップ」は,本願発明の「処理空間を画定する基部リングを有する処理チャンバを提供するステップであって,前記基部リングが前記基部リングの対向する両側に形成された入口ポートおよび出口ポート,および前記処理空間内に設けられた基板支持体を有するステップ」に相当すると認められる。
ウ 引用発明1の「ウエハを処理空間内に設けられたエッジリングに安着するステップ」は,本願発明の「前記基板を処理空間内の前記基板支持体上に位置決めするステップ」に相当すると認められる。
エ 引用発明1の「ウエハを回転させるステップ」は,本願発明の「前記基板の中心軸の周りで,前記基板を連続して回転させるステップ」に相当すると認められる。
オ 引用発明1の「プロセスガス噴射口」,「プロセスガス」及び「噴射管」は,それぞれ本願発明の「注入孔(出力孔)」,「処理ガス」及び「入口カートリッジ」に相当し,すると,引用発明1の「プロセスガス噴射口から入口ポートを通って処理空間内にプロセスガスが導入され,処理空間内から出口ポートを通ってプロセスガス排気口へプロセスガスが排出されるステップであって,プロセスガスの均一な噴射のためにプロセスガス噴射口は,入口ポートの幅の長さの噴射管に横方向に一列になるように形成され,プロセスガスは,噴射管内に流入されて,噴射圧力が低くなり,その状態で複数の噴射口を介して噴射されるステップ」は,下記相違点1を除いて,本願発明の「前記入口ポートから前記出口ポートへ処理ガスの第1のガス流を提供するステップであって,前記第1のガス流が,前記入口ポートの幅に沿って均等に分布された複数の注入孔から誘導され,前記第1のガス流が,前記入口ポート内に配置された入口カートリッジによって提供され,前記入口カートリッジが細長い流れチャネルを有し,前記細長い流れチャネルに沿って,複数の出力孔が均等に分布するステップ」に相当すると認められる。
カ そして,本願発明と引用発明1とは,下記キの点で一致し,下記クの点で相違すると認められる。
キ 一致点
「基板を処理する方法において,
処理空間を画定する基部リングを有する処理チャンバを提供するステップであって,前記基部リングが前記基部リングの対向する両側に形成された入口ポートおよび出口ポート,および前記処理空間内に設けられた基板支持体を有するステップと,
前記基板を処理空間内の前記基板支持体上に位置決めするステップと,
前記基板の中心軸の周りで,前記基板を連続して回転させるステップと,
前記入口ポートから前記出口ポートへ処理ガスの第1のガス流を提供するステップであって,前記第1のガス流が,前記入口ポートの幅に沿って均等に分布された複数の注入孔から誘導され,前記第1のガス流が,前記入口ポート内に配置された入口カートリッジによって提供され,前記入口カートリッジが細長い流れチャネルを有し,前記細長い流れチャネルに沿って,複数の出力孔が均等に分布するステップと,
を含む方法。」
ク 相違点
(ア)相違点1
本願発明は「細長い流れチャネルが,前記細長い流れチャネルの対向する両端に形成された2つの入力ポートに接続され」るが,引用発明1の噴射管がその両端に形成された2つの入力ポートに接続されるか不明である点。
(イ)相違点2
本願発明は「前記処理チャンバの前記入口ポートと前記出口ポートの間の側面を貫通するように形成された側面ポートから前記処理空間へ,処理ガスの第2のガス流を提供するステップであって,前記側面ポート付近の前記基板の縁部の回転方向が,前記第1のガス流の方向とほぼ反対となっているステップ」を含むのに対し,引用発明1はこのステップを含まない点。
(ウ)相違点3
本願発明は「フランジにより前記基部リングの前記出口ポートに結合された排出アセンブリを使用して,前記処理空間からガス流をポンプで吸い出すステップであって,前記排出アセンブリが,前記処理空間から前記第1のガス流の方向に拡張する排出空間を画定し,前記排出空間が前記フランジにより前記出口ポートに結合される広い端部および真空ポンプに結合された狭い端部を有するテーパ形状を有するステップ」を含むのに対し,引用発明1の「フランジによりチャンバ壁に結合される排気口がテーパ形状を有するステップ」における排出口が真空ポンプに結合されるか不明である点。
(7)相違点についての検討
ア 相違点1について
引用発明2には「ほぼ等間隔で一列に配置された孔の列が延びる方向において両側に設けられたガス供給部からガス室内にガスが供給され細長いガス流が形成され」ることで「それぞれの孔から吹き出すガスの流量が同等となること」が開示されており,引用発明1においてガス圧をほぼ均一にするために,引用発明2を採用することで,相違点1に係る構成を得ることは,当業者が容易になし得ることである。
イ 相違点2について
引用発明3にはガス流の均一化が求められるチャンバにおいて,「ガス導入口と排出口の間の側面に付加的なガス導入口を設け,一方の付加的なガス導入口付近のシリコンウェハの回転方向が,ガス導入口から排出口へのガス流の方向とほぼ反対となっていること」が開示されているので,実質的にガス流を均一とする引用発明1において,引用発明3を採用することは,当業者が容易に想到することであり,その際に,引用発明1においてはチャンバの側面がチャンバ壁により画定されているから,これを貫通することで付加的なガスを導入するようにすることは,当業者が容易に設計できることである。
ウ 相違点3について
引用発明4には「板状気流を形成するために,テーパ形状の真空排気口の狭い端部に真空ポンプ吸気口を取り付けること」が開示されており,引用発明1においてプロセスガスを均一な板状気流とするために,引用発明4を採用することで相違点3に係る構成を得ることは,当業者が容易になし得ることである。
(8)本願発明の効果について
本願発明の効果は,引用発明1ないし4の構成から当業者が予測できるものであり,格別のものではない。
(9)まとめ
よって,本願発明は,引用文献1ないし4に記載された発明に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものである。
3 結言
以上のとおり,本願の請求項8に係る発明については,特許法第29条第2項の規定により,特許を受けることができないから,他の請求項について検討するまでもなく,本願は拒絶されるべきものである。
よって,結論のとおり審決する。
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2015-012528