特許異議申立
2026-700028
静電チャック、基板固定装置
- 審判番号
- 2026-700028
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2021-126602
- 登録番号
- 7704335
- 請求日
- 2026年01月07日
- 審決日
- 2026年03月25日
- 公報発行日
- 2026年04月24日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】新光電気工業株式会社
- 【権利者代理人】弁理士法人ITOH
- 【権利者代理人】伊東 忠重
- 【異議申立人】小澤 チガ子
- 審判長/審判官
- 審判長 梶尾 誠哉
- 審判官 松永 稔
- 審判官 今井 聖和
- 分類
- P1651.121-Y (H01L)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7704335号発明「静電チャック、基板固定装置」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7704335号の請求項1~6に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7704335号に係る特許(以下「本件特許」という。)についての出願は、令和3年8月2日に出願され、令和7年6月30日にその特許権の設定登録がされ、同年7月8日に特許掲載公報が発行された。その後、その特許に対し、令和8年1月7日に特許異議申立人 小澤 チガ子(以下、「申立人」という。)により特許異議の申立てがされた。(令和8年1月7日に申立人により提出された特許異議申立書を以下「申立書」という。)
第2 本件発明
本件特許の請求項1~6に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1」~「本件発明6」という。)は、その特許請求の範囲の請求項1~6に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】
一方の面が吸着対象物の載置面である基体と、
前記基体を貫通する貫通孔と、を備え、
前記貫通孔に、角状セラミック粒子と、2種以上の元素の酸化物と、を含む多孔質体が配置され、
前記角状セラミック粒子は、粒子サイズが10μm以上100μm以下である粗粒アルミナであり、
前記2種以上の元素の酸化物は、前記角状セラミック粒子の外面の一部に固着して前記角状セラミック粒子を支持し、前記角状セラミック粒子を結着して一体化する静電チャック。
【請求項2】
前記基体と前記角状セラミック粒子は、同一の酸化物セラミックスを含む請求項1に記載の静電チャック。
【請求項3】
前記酸化物セラミックスは、アルミナである請求項2に記載の静電チャック。
【請求項4】
前記基体は、前記多孔質体と同一の前記2種以上の元素の酸化物を含み、
前記基体内の前記酸化物の組成比は、前記多孔質体の内の前記酸化物の組成比と同じに設定されている請求項1乃至3の何れか一項に記載の静電チャック。
【請求項5】
前記2種以上の元素は、ケイ素、マグネシウム、カルシウム、及びイットリウムから選択される、請求項1乃至4の何れか一項に記載の静電チャック。
【請求項6】
内部にガス供給部を備えたベースプレートと、
前記ベースプレート上に設けられた請求項1乃至5の何れか一項に記載の静電チャックと、を有し、
前記貫通孔は、前記ガス供給部に連通し、
前記ガス供給部及び前記貫通孔を介して、前記載置面にガスが供給される、基板固定装置。」
第3 申立理由の概要
申立人は、下記甲第1号証~甲第3号証(以下、それぞれ「甲1」~「甲3」という。)を証拠方法とし、以下の申立理由により、本件特許を取り消すべきものである旨申し立てた。
甲1: 特開2021-093436号公報(出願人:新光電気工業株式会社)
甲2: 国際公開第2020/203680号(出願人:京セラ株式会社 )
甲3: 特開2017-218352号公報(出願人:新光電気工業株式会社)
本件発明1~6は、甲1の記載と、甲2、3の記載とに基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本件の請求項1~6に係る特許は、同法第113条第2号により取消されるべきものである。
第4 申立理由の検討
1 甲1~甲3に記載された発明
(1) 甲1発明
ア 甲1の記載
甲1には次の記載がある。(下線は、引用箇所を示すために、当審において付加した。)
「【0011】
〈第1実施形態〉
図1は、第1実施形態に係る基板固定装置を簡略化して例示する断面図である。図1を参照すると、基板固定装置1は、主要な構成要素として、ベースプレート10と、接着層20と、静電チャック30とを有している。基板固定装置1は、ベースプレート10の一方の面に搭載された静電チャック30により吸着対象物である基板(ウェハ等)を吸着保持する装置である。
・・・(中略)・・・
【0020】
静電チャック30は、基体31と、正極32P及び負極32Nとを有している。基体31の上面は、吸着対象物の載置面31aである。静電チャック30は、例えば、ジョンセン・ラーベック型静電チャックである。但し、静電チャック30は、クーロン力型静電チャックであってもよい。
・・・(中略)・・・
【0024】
基体31の各ガス排出部113に対応する位置には、基体31を貫通してガス排出部113の他端を露出するガス孔311が設けられている。ガス孔311の平面形状は、例えば、内径が0.1mm~1mm程度の円形である。ガス孔311は、例えば、ドリル加工やレーザ加工により形成できる。ガス孔311を通って静電チャック30上に吸着された吸着対象物の裏面に不活性ガスが供給され、吸着対象物が冷却される。
・・・(中略)・・・
【0043】
〈第2実施形態〉
第2実施形態では、ガス孔に多孔質体を配置する例を示す。なお、第2実施形態において、既に説明した実施形態と同一構成部についての説明は省略する場合がある。
【0044】
図5は、第2実施形態に係る基板固定装置を簡略化して例示する断面図である。図6は、図5のB部の部分拡大断面図である。図5及び図6を参照すると、基板固定装置2は、ガス孔311に多孔質体60が配置された点が、静電チャック30(図1等参照)と相違する。
【0045】
多孔質体60は、複数の球状酸化物セラミックス粒子601と、複数の球状酸化物セラミックス粒子601を結着して一体化する混合酸化物602を含んでいる。
【0046】
球状酸化物セラミックス粒子601の直径は、例えば、30μm~1000μmの範囲である。球状酸化物セラミックス粒子601の好適な一例としては、球状酸化アルミニウム粒子が挙げられる。又、球状酸化物セラミックス粒子601は、80重量%以上(97重量%以下)の重量比で多孔質体60内に含有されていることが好ましい。
【0047】
混合酸化物602は、複数の球状酸化物セラミックス粒子601の外面(球面)の一部に固着してそれらを支持している。混合酸化物602は、例えば、ケイ素(Si)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、アルミニウム(Al)、及びイットリウム(Y)から選択される2種以上の元素の酸化物から形成される。」
「【図1】
[図:0001434208000001.jpg]
」
「【図6】
[図:0001434208000002.jpg]
」
イ 甲1発明
上記アの段落0043の「第2実施形態において、既に説明した実施形態と同一構成部についての説明は省略する場合がある。」との記載、及び、第1実施形態についての段落0020、0024の記載を踏まえると、甲1には、第2実施形態として、次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されているといえる。(括弧内は引用元の段落番号等を示す。)
「基体31を有している静電チャック30(段落0020)であって、
基体31の上面は、吸着対象物の載置面31aであり(段落0020)、
基体31の各ガス排出部113に対応する位置に、基体31を貫通してガス排出部113の他端を露出するガス孔311が設けられ(段落0024)、
ガス孔311に多孔質体60が配置され(段落0044)、
多孔質体60は、複数の球状酸化物セラミックス粒子601と、複数の球状酸化物セラミックス粒子601を結着して一体化する混合酸化物602を含み(段落0045)、
球状酸化物セラミックス粒子601の直径は、例えば、30μm~1000μmの範囲であり、球状酸化物セラミックス粒子601の好適な一例としては、球状酸化アルミニウム粒子が挙げられ(段落0046)、
混合酸化物602は、複数の球状酸化物セラミックス粒子601の外面(球面)の一部に固着してそれらを支持し、例えば、ケイ素(Si)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、アルミニウム(Al)、及びイットリウム(Y)から選択される2種以上の元素の酸化物から形成されている(段落0047)、
静電チャック30。」
(2) 甲2発明
ア 甲2の記載
甲2には次の記載がある。
「[0015] 静電チャック5は、絶縁基体15、接合層16、伝熱部材14、設備プレート13、絶縁プレート12および取付プレート11を厚み方向に貫通する通気孔20を有し、取付プレート11の裏面側からヘリウムガスを通気孔20の内部に流すことによって、半導体基板6を冷却するようにされている。
・・・(中略)・・・
[0019] 本開示のガスプラグ21、22は、通気孔20の内部(図1,2に示す例では、両端部)に装着され、エッチングガスの供給によって生じるパーティクルを捉えることができる。
・・・(中略)・・・
[0023] 図3(a)に示すガスプラグ21は、直胴状の円柱体である。図4(a)に示すガスプラグ22は、円柱状の軸部22aと、軸部22aの先端側に軸部の径よりも大きい径を有する先端部22bと、からなる。ガスプラグ21、22は、図3(b)、図4(b)に示すように複数の珪素化合物相24どうしが珪素を主成分とする珪素相25を介して接続されてなる多孔質複合体からなる。機械的強度の高い珪素化合物相24どうしを熱伝導率および電気伝導度がいずれも高い珪素相25を介して接続することによって、熱伝導率および機械的強度が高く、しかも、流れたプラズマのアーク放電を抑制することができる。
[0024] なお、珪素化合物相24の主成分は、例えば、窒化珪素(Si3N4)、炭化珪素(SiC)、炭窒化珪素(SiCxNy(xおよびyは、それぞれ0<x<1、0<y<4/3の範囲で、4x+3y=4を満たす数値である。))、酸化珪素(SiO2)、サイアロン(Si6-ZAlZOZN8-Z(zは0.1≦z≦1を満たす数値である。))等が挙げられ、これら組成は、定比であっても不定比であってもよい。
・・・(中略)・・・
[0029] また、珪素化合物相24の断面形状は、多角形状であってもよい。このような構成であると、断面形状が球状である場合よりもエッチングガスの供給によって生じるパーティクルを珪素化合物相24によって容易に捉えることができる。」
「[図2]
[図:0001434208000003.jpg]
[図3]
[図:0001434208000004.jpg]
」
イ 甲2発明
上記アによると、甲2には、次の発明(以下「甲2発明」という。)が記載されているといえる。(括弧内は引用元の段落番号等を示す。)
「静電チャック5の絶縁基体15を厚み方向に貫通する通気孔20に装着されるガスプラグ21、22(段落0015、0019)であって、
複数の珪素化合物相24どうしが珪素を主成分とする珪素相25を介して接続されてなる多孔質複合体からなり(段落0023)、
珪素化合物相24の主成分は、例えば、窒化珪素(Si3N4)、炭化珪素(SiC)、炭窒化珪素(SiCxNy(xおよびyは、それぞれ0<x<1、0<y<4/3の範囲で、4x+3y=4を満たす数値である。))、酸化珪素(SiO2)、サイアロン(Si6-ZAlZOZN8-Z(zは0.1≦z≦1を満たす数値である。))等が挙げられ(段落0024)、
珪素化合物相24の断面形状は、多角形状であってもよい(段落0029)、
ガスプラグ21、22。」
(3) 甲3発明
ア 甲3の記載
甲3には次の記載がある。(下線は、引用箇所を示すために、当審において付加した。)
「【0022】
多孔質焼結体の作成方法としては、焼成前の通常のセラミック組成体に所定割合の体積を占めるように造孔剤を添加し、焼成することにより、造孔剤が除去されて多孔質焼結体が得られる。造孔剤としては、ポリメタクリ酸メチル(PMMA)などが使用される。
【0023】
これにより、図1に示すように、多数のセラミック粒子100aが焼結され、造孔剤の作用によって内部に気孔Pが連通して形成された多孔質体100が得られる。」
「【図1】
[図:0001434208000005.jpg]
」
イ 甲3発明
上記アの段落0023、図1によると、甲3には次の発明(以下「甲3発明」という。)が記載されているといえる。
「多数のセラミック粒子100aが焼結され、造孔剤の作用によって内部に気孔Pが連通して形成された多孔質体100。」
2 申立理由(進歩性欠如)について
(1) 対比
本件発明1と甲1発明を対比する。
ア 本件発明1と甲1発明とはいずれも「静電チャック」に係る発明である点で共通する。
イ 甲1発明の「上面」が「吸着対象物の載置面31a」である「基体31」は、本件発明1の「一方の面が吸着対象物の載置面である基体」に相当する。
ウ 甲1発明の「基体31を貫通してガス排出部113の他端を露出するガス孔311」は、本件発明1の「前記基体を貫通する貫通孔」に相当する。
エ 甲1発明のガス孔311に配置される「多孔質体60」は、「複数の球状酸化物セラミックス粒子601と、複数の球状酸化物セラミックス粒子601を結着して一体化する混合酸化物602」を含み、「混合酸化物602」は、「例えば、ケイ素(Si)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、アルミニウム(Al)、及びイットリウム(Y)から選択される2種以上の元素の酸化物から形成されている」から、貫通孔に配置される「セラミック粒子と、2種以上の元素の酸化物と、を含む多孔質体」といえる点で、本件発明1の多孔質体と共通する。
オ 甲1発明の「球状酸化物セラミックス粒子601の直径は、例えば、30μm~1000μmの範囲であり、球状酸化物セラミックス粒子601の好適な一例としては、球状酸化アルミニウム粒子が挙げられ」るから、「セラミック粒子は、アルミナである」といえる点で、本件発明1の粒子サイズが10μm以上100μm以下で、粗粒アルミナである角状セラミック粒子と共通する。
カ 甲1発明の混合酸化物602は、「複数の球状酸化物セラミックス粒子601を結着して一体化」したものであり、「複数の球状酸化物セラミックス粒子601の外面(球面)の一部に固着してそれらを支持」するから、「前記セラミック粒子の外面の一部に固着して前記セラミック粒子を支持し、前記セラミック粒子を結着して一体化する」といえる点で、本件発明1の「2種以上の元素の酸化物」と共通する。
キ 一致点・相違点
以上を踏まえると、本件発明1と甲1発明とは次の点で一致し、相違する。
(ア) 一致点
一方の面が吸着対象物の載置面である基体と、
前記基体を貫通する貫通孔と、を備え、
前記貫通孔に、セラミック粒子と、2種以上の元素の酸化物と、を含む多孔質体が配置され、
前記セラミック粒子は、アルミナであり、
前記2種以上の元素の酸化物は、前記セラミック粒子の外面の一部に固着して前記セラミック粒子を支持し、前記セラミック粒子を結着して一体化する静電チャック。
(イ) 相違点
多孔質体が含むセラミック粒子について、本件発明1が「角状」セラミック粒子であって、「粒子サイズが10μm以上100μm以下である粗粒アルミナ」であることを特定しているのに対し、甲1発明が球状酸化アルミニウム粒子であって、その直径が、例えば、30μm~1000μmの範囲である点。(以下「相違点」という。)
(2) 相違点の判断
相違点に係る本件発明1の構成は、甲2及び甲3のいずれの証拠にも、記載も示唆もされていないから、本件発明1は、甲1発明と、甲2、3発明とに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
また、本件発明1の構成をすべて含む本件発明2~6についても同様である。
したがって、本件発明1~6は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものではないから、申立人の主張する申立理由及び証拠によって取り消すことはできない。
(3) 申立人の主張について
ア 甲2について
(ア) 申立人は、申立書23ページ「(イ-1-3) 検討」において、甲1発明の多孔質体に含まれる酸化物セラミックス粒子の形状を、同じ技術分野に属する甲2発明が備えるガスプラグ21,22を形成する珪素粉末の形状である「不規則形状」とすることは、当業者の通常の創作能力の発揮に過ぎず、また、甲1発明も、甲2発明の、発生するパーティクルの放散を抑制するとの技術課題があるから、甲1発明である静電チャックが備える多孔質体を形成する酸化物セラミックス粒子の形状を、パーティクルの捕捉性能がより大きい甲2発明のプラズマ処理装置が備えるガスプラグを形成する珪素粉末の形状とすることに、動機付けがある旨主張する。
(イ) しかしながら、甲1発明の多孔質体60が、複数の球状酸化物セラミックス粒子601と、複数の球状酸化物セラミックス粒子601を結着して一体化する混合酸化物602で構成されるものであるのに対し、甲2発明の多孔質複合体は、複数の珪素化合物相24どうしが珪素を主成分とする珪素相25を介して接続されてなるものであるところ、甲1発明の酸化アルミニウムである球状酸化物セラミックス粒子601と、甲2発明の窒化珪素、炭化珪素、炭窒化珪素、酸化珪素、サイアロン等である珪素化合物相24とは、その材料自体が異なり、かつ、甲1発明の球状酸化物セラミックス粒子601は、混合酸化物602によって結着して一体化されるものであるから、珪素を主成分とする珪素相25を介して接続される甲2発明の珪素化合物相24とは、その結着、一体化される態様が異なる。
そして、甲1発明と甲2発明とが、同じ技術分野に属することによって、例えば、甲1発明の多孔質体60を甲2発明の多孔質複合体と置換することが容易想到といえたとしても、その材料、及び、結着、一体化する態様が異なることを踏まえれば、甲1発明の球状酸化物セラミックス粒子601の形状について、甲2発明の珪素化合物相24の形状のみを取り出して採用することまで、当業者の通常の創作能力の発揮とはいえない。
また、甲1には、エッチングガスの供給によって生じるパーティクルについての記載はなく、甲1発明に、発生するパーティクルの放散を抑制するとの技術課題があるともいえないから、甲1発明の球状酸化物セラミックス粒子601の形状について、甲2発明の珪素化合物相24の形状のみを取り出して採用する動機付けがあるともいえない。
そうすると、甲1発明の球状酸化物セラミックス粒子601の形状について、甲2発明の珪素化合物相24の形状のみを取り出して採用することは容易想到でないから、申立人の上記主張は採用できない。
イ 甲3について
(ア) 申立人は、申立書23ページ「(イ-1-3) 検討」において、甲1発明の多孔質体が含む球状酸化物セラミックス粒子の形状を、「球状」から、甲3発明である焼結体が備える多孔質体においてすでに採用実績があり、かつ、馴染みのある「角状」に変更することは、一定の課題を解決するための技術の具体的適用に伴う設計変更や設計的事項に採用に過ぎない旨主張する。
(イ) しかしながら、甲1発明の多孔質体60が、複数の球状酸化物セラミックス粒子601と、複数の球状酸化物セラミックス粒子601を結着して一体化する混合酸化物602で構成されるものであるのに対し、甲3発明は、「多数のセラミック粒子100aが焼結され、造孔剤の作用によって内部に気孔Pが連通して形成された多孔質体100。」であって、甲1発明の球状酸化物セラミックス粒子601と甲3のセラミック粒子100aとは、その結着、一体化される態様が異なる。
そうすると、仮に、甲3の図1から、甲3のセラミック粒子100aの形状が「角状」であることが見て取れるとしても、その結着、一体化する態様が異なることを踏まえれば、甲1発明の球状酸化物セラミックス粒子601の形状について、甲3のセラミック粒子100aの形状のみを取り出して採用することが、単なる設計変更や設計的事項とはいえない。
したがって、甲1発明の球状酸化物セラミックス粒子601の形状について、甲3の図1に示されるセラミック粒子100aの形状のみを取り出して採用することは容易想到ではないから、申立人の上記主張は採用できない。
第5 むすび
以上のとおりであるから、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、本件特許を取り消すことはできない。
また、他に本件特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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2026-700028