特許異議申立
2025-701134
水素製造装置及び水素製造装置の運転方法
- 審判番号
- 2025-701134
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2021-124955
- 登録番号
- 7695142
- 請求日
- 2025年12月12日
- 審決日
- 2026年03月04日
- 公報発行日
- 2026年04月24日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】三菱化工機株式会社
- 【権利者代理人】小林 義美
- 【異議申立人】西内 大生
- 審判長/審判官
- 審判長 深草 祐一
- 審判官 金 公彦
- 審判官 原 賢一
- 分類
- P1651.121-Y (C01B)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7695142号発明「水素製造装置及び水素製造装置の運転方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7695142号の請求項1~7に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7695142号の請求項1~7に係る特許についての出願は、令和3年7月30日を出願日とするものであり、令和7年6月10日にその特許権の設定登録がされ、同年同月18日に特許掲載公報が発行され、その後、請求項1~7に係る特許について、同年12月12日に特許異議申立人西内大生(以下、「異議申立人」という。)により特許異議の申立てがなされたものである。
第2 本件発明
本件の請求項1~7に係る発明(以下、各請求項に係る発明及び特許を項番に対応させて「本件発明1」、「本件特許1」などといい、併せて「本件発明」、「本件特許」ということがある。)は、次のとおり特定されるものである。
「【請求項1】
圧縮機と、脱硫器と、改質器と、変成器と、気液分離器と、水素精製装置と、を備える水素製造装置であって、
前記気液分離器と前記水素精製装置との間を接続する配管から、前記圧縮機の入口側へ水素を循環させる水素循環運転配管とを、更に備え、
待機運転時の水素循環運転において、純水又は水蒸気を供給しながら、前記水素循環運転配管を介して前記水素を循環させる、
ことを特徴とする水素製造装置。
【請求項2】
待機運転時の水素循環運転において、前記改質器の加熱温度を600℃以上850℃以下とする、
ことを特徴とする請求項1に記載の水素製造装置。
【請求項3】
待機運転時の水素循環運転において、前記水素循環運転配管の圧力を0.3MPaG以下とする、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の水素製造装置。
【請求項4】
前記水素製造装置は、前記脱硫器と前記改質器とを接続する配管に純水を供給する純水供給源と、
前記純水の供給量を調整する純水調整弁と、を更に備える、
ことを特徴とする請求項1から3までのいずれか1項に記載の水素製造装置。
【請求項5】
圧縮機と、脱硫器と、改質器と、変成器と、気液分離器と、水素精製装置と、を備える水素製造装置の運転方法であって、
前記気液分離器と前記水素精製装置との間を接続する配管から、前記圧縮機の入口側へ水素を循環させる水素循環運転配管とを、更に備え、
待機運転時の水素循環運転において、純水又は水蒸気を供給しながら、前記水素循環運転配管を介して前記水素を循環させる、
ことを特徴とする水素製造装置の運転方法。
【請求項6】
待機運転時の水素循環運転において、前記改質器の加熱温度を600℃以上850℃以下とする、
ことを特徴とする請求項5に記載の水素製造装置の運転方法。
【請求項7】
待機運転時の水素循環運転において、前記水素循環運転配管の圧力を0.3MPaG以下とする、
ことを特徴とする請求項5又は6に記載の水素製造装置の運転方法。」
第3 異議申立人による特許異議の申立理由の概要
・特許法第29条第2項所定の規定違反(進歩性欠如)
1 本件発明1~7は、下記3に記載の甲第1号証に記載された発明及び甲第2~5号証に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、それらの特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである(以下、「申立理由1」という。)。
2 本件発明1~7は、下記3に記載の甲第2号証に記載された発明及び甲第1、3~5号証に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、それらの特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである(以下、「申立理由2」という。)。
3 本特許異議申立てで提出された証拠
甲第1号証:特開2004-299996号公報
甲第2号証:特開2016-675号公報
甲第3号証:特開2003-128401号公報
甲第4号証:特開2018-159007号公報
甲第5号証:特開2016-124759号公報
以下、甲第1号証を略して、「甲1」などという。
第4 当審の判断
当審は、上記申立理由1、2によっては、本件特許を取り消すことはできないと判断する。
以下、その理由について詳述する。
1 甲1~5に記載された事項
(1)甲1に記載された事項
ア 「【請求項1】
高温下において原料である炭化水素と水蒸気を反応させて水素リッチガスに改質する改質器と、その改質器からの水素リッチガス中の一酸化炭素を二酸化炭素に変成する変成器と、その変成器からの水素リッチガスから高純度水素を精製する水素精製装置を備えた水素製造装置において、前記水素製造装置に起動用ガスを導入し、かつ、その起動用ガスを循環しながら昇温する起動運転を行った後、前記水素製造装置に原料である炭化水素を導入して水素精製運転を行う水素製造装置の運転方法であって、
前記起動運転時の起動用ガスとして水素を使用する水素製造装置の運転方法。」
イ 「【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高温下において原料である炭化水素と水蒸気を反応させて水素リッチガスに改質する改質器と、その改質器からの水素リッチガス中の一酸化炭素を二酸化炭素に変成する変成器と、その変成器からの水素リッチガスから高純度水素を精製する水素精製装置を備えた水素製造装置において、前記水素製造装置に起動用ガスを導入し、かつ、その起動用ガスを循環しながら昇温する起動運転を行った後、前記水素製造装置に原料である炭化水素を導入して水素精製運転を行う水素製造装置の運転方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
このような水素製造装置の運転においては、従来、起動運転時の起動用ガスとして不活性な窒素ガスを使用していた(実際に使用してはいるが、起動用ガスとしての窒素に詳しく言及した特許文献などは見当たらない)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、改質器における炭化水素と水蒸気の反応は、水蒸気改質用の触媒により還元雰囲気中で行われるため、上述した従来方法では、窒素による起動運転が終了し、原料である炭化水素が導入された後において、その炭化水素により還元雰囲気となった時点から炭化水素と水蒸気の反応が始まる。
したがって、起動運転開始から実際に反応が始まって高純度水素が精製されるまでに比較的長時間を要するという問題点があった。
【0004】
本発明は、このような従来の問題点に着目したもので、その目的は、起動運転開始から比較的短時間で炭化水素と水蒸気の反応を可能にして、高純度水素の精製を効率良く行うことのできる水素製造装置の運転方法を提供することにある。
・・・
【0006】
請求項1の発明の特徴構成によれば、上述した水素製造装置の起動運転時において、起動用ガスとして水素を使用し、その水素を循環しながら昇温するので、起動運転が終了した時点で改質器内はほぼ還元雰囲気となる。
したがって、その後、原料である炭化水素を導入することにより、比較的短時間のうちに改質器内において炭化水素と水蒸気の反応が始まり、その結果、起動運転開始から高純度水素精製までの時間を短縮して、高純度水素の精製を効率良く行うことができる。」
ウ 「【0015】
【発明の実施の形態】
本発明による水素製造装置の運転方法につき、その実施の形態を図面に基づいて説明する。
対象となる水素製造装置は、例えば、原料である炭化水素として13Aなどの都市ガスを使用して高純度の水素を製造するもので、図1に示すように、コンプレッサ1、熱交換器2、脱硫器3、バーナ4aを有する改質器4、変成器5、気液分離器6、水素精製装置7、水素貯蔵タンク8などを備えて構成されている。
コンプレッサ1は、第1配管ラインL1から供給される原料としての炭化水素ガスを圧縮して昇圧するもので、例えば、都市ガスにおける中圧ラインからのガスを原料とする場合であれば、0.15MPaあるいはそれ以上の圧力を有する炭化水素ガスを0.98MPa程度にまで昇圧し、昇圧後の炭化水素ガスは、熱交換器2を有する第2配管ラインL2を通って脱硫器3に送られる。
【0016】
脱硫器3は、昇圧後の炭化水素ガスから硫黄分をppbレベルにまで除去し、硫黄分除去後の炭化水素ガスは、第3配管ラインL3を通って改質器4に送られ、かつ、その改質器4には、第4配管ラインL4から水蒸気(スチーム)も供給される。
改質器4は、バーナ4aの燃焼により750℃程度の高温に維持され、水蒸気改質用の触媒によって炭化水素ガスに水蒸気を反応させて水素リッチなガスに改質し、改質後の水素リッチガスは、第5配管ラインL5を通って熱交換器2によりコンプレッサ1からの炭化水素ガスを予熱して変成器5に送られる。
変成器5は、変成用の触媒により水素リッチガス中の一酸化炭素を二酸化炭素に変成し、変成後の水素リッチガスは、第6配管ラインL6を通って気液分離器6に送られ、気液分離器6が、水素リッチガスを常温程度にまで冷却して余分な水分を凝縮除去し、その後、水素リッチガスは、第7配管ラインL7を通って水素精製装置7に送られる。
・・・
【0018】
各水素精製装置7からのオフガスは、第10配管ラインL10を通ってバーナ4a側に送られ、第11配管ラインL11から供給される13Aなどの都市ガスと共にバーナ4aに供給され、燃焼後の排ガスは、第12配管ラインL12を通って装置外へ排出される。
そして、第7配管ラインL7には、第1電磁バルブV1を備えたパージ用の第13配管ラインL13と、気液分離器6からの水素リッチガスの一部を第1配管ラインL1に戻す第14配管ラインL14が接続され、その接続箇所と水素精製装置7との間には第2電磁バルブV2が配設されている。
さらに、水素貯蔵タンク8と水素精製装置7が、第3電磁バルブV3を備えた第15配管ラインL15により接続され、その水素精製装置7と第14配管ラインL14が、第16配管ラインL16により接続されて、第15配管ラインL15と第16配管ラインL16とが、第4電磁バルブV4を備えた第17配管ラインL17により水素精製装置7をバイパスするように接続されている。
【0019】
つぎに、この水素製造装置の運転方法について説明する。
まず、この水素製造装置により高純度の水素を精製する水素精製運転に先立って、起動用ガスを循環しながら昇温する起動運転を行う。起動運転時には、後述するパージ運転によって、予め水素製造装置内に導入されている水素を起動用ガスとして使用し、必要な場合には、第4電磁バルブV4を開弁し、水素貯蔵タンク8内の水素を補充して実行される。
具体的には、第1~第4電磁バルブV1~V4を閉弁し、コンプレッサ1を駆動して起動用ガスである水素を第1~第3配管ラインL1~L3、第5~第7配管ラインL5~L7、および、第14配管ラインL14間で循環しながら、バーナ4aを燃焼させて昇温し、その昇温に応じて、飽和水蒸気量を超えないように、第4配管ラインL4から蒸気を徐々に供給して循環系全体を水素精製運転時の温度にまで昇温する。
【0020】
起動運転により循環系全体が所定の温度にまで昇温した後、第1配管ラインL1から原料である炭化水素ガスを導入するとともに、第2電磁バルブV2を開弁して水素精製運転を実行する。
水素精製運転においては、原料である炭化水素ガスがコンプレッサ1で所定の圧力にまで昇圧され、熱交換器2を通過した後、脱硫器3において硫黄分が除去され、その後、改質器4において、バーナ4aの燃焼による高温下で、水蒸気改質用の触媒により第4配管ラインL4からの水蒸気と反応して水素リッチガスに改質される。」
エ 「【図1】
[図:0001434200000001.jpg]
」
(2)甲2に記載された事項
ア 「【請求項1】
原料ガスを脱硫する脱硫器と、脱硫後の原料ガスを水蒸気との混合状態で加熱手段により加熱して改質ガスを得る改質器と、改質ガス中の一酸化炭素を水蒸気と反応させるCO変成器と、当該CO変成器にて処理された後の変成ガスから水素以外の不純物を分離して水素ガスを精製する水素精製部とを設け、
前記脱硫器と前記改質器と前記CO変成器と前記水素精製部とに亘ってガスを流通するガス流通路を設けて、前記ガス流通路に原料ガスを供給して水素精製運転を行う水素製造装置であって、
前記ガス流通路に、前記水素精製部を迂回して前記脱硫器と前記改質器と前記CO変成器との順にガスを循環流通する閉循環回路を設け、
前記水素精製運転を実行する状態と、前記加熱手段による前記改質器の加熱を維持しつつ、前記水素精製部を停止状態として、ガス流通路内に充填されたガスを前記閉循環回路に循環流通させる待機運転を実行する状態とを切り替える切替装置を備える水素製造装置。」
イ 「【0006】
しかし、一般的な水素製造装置においては、改質器を700~800℃程度に、CO変成器を200~450℃程度に、脱硫器を200~300℃程度に維持する必要があるため、水素精製装置の停止時に加熱装置を停止させ、起動時に加熱装置の作動を再開して昇温すると、起動直後に水素を送出可能な構成を採用していたとしても、起動直後には、改質器等が十分に昇温していないため、装置全体としては高純度の水素の製造がすぐに実行されることはなく、改善の余地があった。
【0007】
また、水素製造装置の水素製造を停止する期間として、数日を想定する場合、上記特許文献1の起動方法が有効に用いられるが、水素製造を停止する期間として、たとえば夜間の数時間程度を想定する場合、水素製造装置を停止する際に加熱装置を停止し、起動する際に加熱装置の作動を再開する形態で再起動するのは、装置に熱的負荷を繰り返しかけることになるので、保守面でも好ましくないとされている。
【0008】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、水素製造装置を効率的に待機運転させ、かつ、待機運転からの起動後速やかに、水素の供給および製造を可能とする技術を提供することにある。」
ウ 「【0025】
〔作用効果6〕
上記特徴構成によると、水素精製運転、待機運転を通じて、ガス流通路に流通されるガスの温度を前記改質器の温度との関連で定めた設定温度に維持するべく加熱を維持しておくことができる。この待機運転の際には、閉循環回路をガスが流通することになるので、閉循環回路では経由しない水素精製部による放熱を考慮する必要がない。また、上記水素精製運転時には、改質器での改質反応として吸熱反応が起きるために、改質器を十分に加熱する必要があるが、上記待機運転中は、ガス流通路に充填されるガスが、水素を主成分とするガスとなっているので、改質反応はほとんど生起しない。また、待機運転中には、改質器での改質反応に要する水蒸気を供給する必要がないことから、待機運転中に、改質器に対する水蒸気の供給を停止しておけば、その水蒸気を生成あるいは加熱するエネルギーが不要となる。これらの理由により、改質器を加熱するのに必要なエネルギーは少なく維持でき、待機運転時の加熱量自体は水素精製運転時よりもきわめて少なく維持することができる。したがって、待機運転を行うとしても、少ない加熱コストの上昇のみで実行できるので、水素製造を速やかに開始できることに対する動作費用としては、極めて安価に水素製造装置を運転できるものとなる。」
エ 「【0032】
本願の水素製造装置100は、図示するように、
圧送装置11により圧送される炭化水素を含む原料ガス(例えば、メタンを主成分とする都市ガス13A)を脱硫する脱硫器12と、
脱硫後の原料ガスを水蒸気との混合状態で加熱手段14により加熱して改質ガスを得る改質器13と、
改質ガス中の一酸化炭素を水蒸気と反応させるCO変成器17と
を設けた改質部10を備え、
当該CO変成器17にて処理された後の変成ガスから水素以外の不純物を分離して水素ガスを精製する水素精製部22と、
製品タンク23およびオフガスタンク21と
を設けた水素分離部20を備え、
それらに供給されるガスを所定の順序で流通させるガス流通路により連通接続するとともに、ガス流通動作を制御する切替装置として機能し、後述の水素精製部22を構成するPSA装置のバルブ開閉動作を含め、ガス精製装置全体の動作をプログラムに基づいて制御する制御装置30を備えている。
・・・
【0037】
当該CO変成器17での反応により、改質ガスは、水素、一酸化炭素、二酸化炭素およびメタンを含むとともに、その水素濃度が64~96体積%の混合された変成ガスとなり、約300℃程度でCO変成器17より排出され、第4流路L4を経由して第2熱交換器18にて冷却水と熱交換して降温した後、さらに、気液分離部19にて水蒸気等が除去され、第5流路L5を経由して水素分離部20に導かれる。
【0038】
また、前記第5流路L5には、CO変成器17を通過したガスを、水素精製部22を迂回して圧送装置11の上流側に返送可能にする返送路L10を分岐して設けて、ガス流通路により、前記脱硫器12、前記改質器13、前記CO変成器17に、前記CO変成器17を通過したガスを返送循環する閉循環回路Cを形成可能に構成してある。」
オ 「【0044】
〔待機運転〕
本願の水素製造装置100は、水素ガスを適切に製造して、製品水素として外部へ供給可能に構成されているのであるが、通常の水素製造装置100では、一旦、水素の製造運転の、たとえば夜間の停止期間中において、脱硫器12、改質器13、およびCO変成器17が降温し、その適正作動温度より低い温度となる。このため、水素の製造運転を停止した後に、水素の製造運転を再開するときには、再開から十分に水素濃度の高い製品水素の供給が開始されるまでの間に、1時間程度の起動遅延時間が発生する。
【0045】
そこで、図2に示すように、前記加熱手段14による前記改質器13の加熱を維持するとともに、前記ガス流通路内に充填されたガスを、前記ガス流通路により前記閉循環回路Cを形成して、前記圧送装置11から、前記脱硫器12、前記改質器13、前記CO変成器17を経由する前記閉循環回路Cに流通させる待機運転を実行可能に構成されている。
【0046】
すなわち、当該待機運転において、図2に示すように、制御装置30は、まず、各バルブV1~V12の開閉状態を制御して、圧送装置11、脱硫器12、改質器13、CO変成器17、第2熱交換器18、気液分離部19に対し、返送路L10を経由してCO変成器17を通過したガスを循環させる閉循環回路Cを形成するとともに、圧送装置11を働かせ、閉循環回路CにCO変成器17を通過したガスを循環させる待機運転を実行する。なお、ここでは、制御装置が、各バルブV1~V12の開閉制御を行う構成をもって、前記水素精製運転を実行する状態と、待機運転を実行する状態とを切り替える切替装置として機能する。
【0047】
説明を追加すると、水素精製運転から待機運転に移行する際には、バルブV1、V5、V10を閉成するとともに、バルブV11、および排気路L12に設けられるバルブV12を開成し、閉循環回路Cに水素ガスを流通させる。これにより、ガス流通路に水素ガスを流通してガス流通路内のガスを前記排気路L12より排出しつつ、水素ガスで置換する。その後、バルブV11、V12を閉成するとともに、バルブV10を開成することにより、上述した第1流路L1、第2流路L2、第3流路L3、第4流路L4、第5流路L5に加え、その第5流路L5から水素精製部22を迂回する返送路L10を備えて構成される閉循環回路Cを形成して、内部に充填された水素ガスを前記加熱手段14による前記改質器13の加熱を維持しつつ、前記水素精製部22の一時停止状態として、前記CO変成器17を通過したガスを前記閉循環回路Cに流通させる待機運転とを実行できるようになる。
なお、ガス流通路内のガスを前記排気路L12より排出する場合、まず、混合部16からの水蒸気供給を行いながら、ガス流通路内のガスを排出する工程と、水蒸気の供給を停止してガス流通路内のガスを排出する工程とを順に行う。これにより、前記改質部10内の各機器に悪影響を及ぼしにくい状態で、水素ガスによる置換が完了する。
【0048】
制御装置30は、上記閉循環回路Cに充填される水素置換されたガスを循環させている状態で、そのガス流通路内に充填されたガスを返送路L10を介して加熱手段14に導いて、当該加熱手段14を働かせ、改質器13を加熱し昇温させる。これにより、改質器13を700~800℃程度に昇温できるともに、当該改質器13を通過して昇温したガスが閉循環回路Cを循環することで、脱硫器12およびCO変成器17を200~450℃程度に維持することができる。結果、改質器13と脱硫器12とCO変成器17とを、通常使用する温度域に近い温度で待機させることができ、水素の製造運転が再開された場合には、これらに、原料ガスの供給を開始することで、速やかに、水素リッチガスの製造を開始できる。」
カ 「【図2】
[図:0001434200000002.jpg]
」
(3)甲3に記載された事項
ア 「【請求項1】 天然ガス,LNG,LPG,メタノールなどの炭化水素を主成分とする原燃料ガスを、触媒の存在下で水蒸気(スチーム)により水素リッチなガスに改質する、バーナを備える改質器と、この改質ガスを加圧する圧縮機と、加圧改質ガスから水素を分離精製する圧力スイング吸着装置(PSA)と、前記改質器に原燃料ガスおよび水蒸気を供給する原燃料ガス供給ラインおよびスチーム供給ラインと、前記各ラインに設けた原燃料ガス流量制御弁およびスチーム流量制御弁とを備える水素発生装置の運転方法において、水素発生装置の運転停止に際し、前記圧縮機とPSAの運転を停止した後、前記改質器で発生する水素リッチなガスを前記バーナで燃焼させることにより、改質器の待機運転を行うことを特徴とする水素発生装置の運転方法。
【請求項2】 請求項1に記載の運転方法において、前記待機運転中の改質器は、原燃料ガス流量およびスチーム流量を、改質器の運転温度を所定の温度に維持する最少限の流量に制御して運転することを特徴とする水素発生装置の運転方法。」
イ 「【図1】
[図:0001434200000003.jpg]
」
(4)甲4に記載された事項
ア 「【請求項1】
重質炭化水素ガスである原料ガスを脱硫処理する脱硫部と、当該脱硫部から供給される脱硫原料ガスを水蒸気にて改質処理して、メタンを主成分として含有する燃料ガスにする改質部と、当該改質部からの前記燃料ガスの一部を前記脱硫部に戻す燃料ガス戻し路と、前記改質部からの前記燃料ガス中の水分を除去する水分除去部とが設けられた燃料ガス製造装置の運転方法であって、
前記原料ガスの前記脱硫部への供給を停止して運転を停止するときに、前記原料ガスの前記脱硫部への供給及び前記燃料ガスの外部への排出を停止した後に、循環用ガス路を通して前記水分除去部を通過した前記燃料ガスの全量を前記脱硫部に戻すように循環流動させ、かつ、前記改質処理を行うときの運転温度に相当する温度に前記改質部を加熱すべく、循環流動させる前記燃料ガスを設定待機温度に加熱部にて加熱する形態で、前記燃料ガスを循環駆動部により循環流動させ、且つ、前記水蒸気の供給量を前記燃料ガスの熱分解による炭素の析出を防止できる供給量以上でかつ前記改質処理を行うときの供給量よりも少なくする状態で、前記水蒸気の供給を継続する待機運転処理を行う燃料ガス製造装置の運転方法。」
イ 「【図1】
[図:0001434200000004.jpg]
」
(5)甲5に記載された事項
ア 「【請求項1】
原料ガスを脱硫する脱硫器と、脱硫後の原料ガスを水蒸気との混合状態で加熱手段により加熱して改質ガスを得る改質器と、改質ガス中の一酸化炭素を水蒸気と反応させるCO変成器と、当該CO変成器にて処理された後の変成ガスから水素以外の不純物を分離して水素ガスを精製する水素精製部とを設け、
前記脱硫器と前記改質器と前記CO変成器と前記水素精製部とに亘ってガスを流通するガス流通路を設けるとともに、ガス流通路にガスを流通させる圧送装置を設けておき、
前記加熱手段及び前記圧送装置を駆動させて前記ガス流通路に原料ガスを供給する水素精製運転と、前記加熱手段及び前記圧送装置の駆動を停止する停止運転と、を順に行う水素製造装置の運転方法であって、
前記水素精製部を迂回して前記脱硫器と前記改質器と前記CO変成器との順に前記圧送装置によりガスを返送循環する閉循環回路を前記ガス流通路に設け、前記ガス流通路における前記圧送装置の上流側にパージガスを供給するパージガス供給路を設け、
前記停止運転の前に、前記ガス流通路内のガスをパージガスに置換し、且つ、前記ガス流通路内にパージガスを充填するパージ工程を行い、
前記水素精製運転に先立って行う、前記加熱手段を運転してガス流通路内のガスを昇温させる起動運転において、前記閉循環回路に前記パージガス供給路からのパージガス供給を行い、前記閉循環回路内を昇圧する昇圧工程を行う水素製造装置の運転方法。」
イ 「【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、特許文献1に開示の水素製造装置において水素精製運転および改質器の運転を停止する前には、閉循環回路のガスが水素リッチガスに置換され、当該閉循環回路内に水素リッチガスを充てんするパージ工程が行われる。当該パージ工程では、閉循環回路内に水素リッチガスが充填されることになるため、閉循環回路内の圧力は水素リッチガスの供給圧力の影響を大きく受けて、通常、比較的低圧状態(たとえば0.2MPaG程度)となる。
【0007】
閉循環回路内の圧力が比較的低圧状態となると、改質器における加熱手段により加熱されて閉循環回路内の熱搬送媒体となりえるガス量も少ない状態となる。すると、加熱手段により与えられる熱を、脱硫器、CO変成器まで、十分に運搬するのにより多くの時間を要することになる。そのため、脱硫器、CO変成器を迅速に昇温することが求められていた。」
2 甲1、甲2に記載された発明
(1)甲1に記載された発明
甲1の上記1(1)ウの【0015】には、コンプレッサ1、熱交換器2、脱硫器3、バーナ4aを有する改質器4、変成器5、気液分離器6、水素精製装置7、水素貯蔵タンク8などを備える、水素製造装置が記載されているところ、この水素製造装置の構成に関する、同ウの【0015】~【0018】の記載で、特に下線を付した箇所をまとめると、以下の水素製造装置が記載されているといえる。
「コンプレッサ1、熱交換器2、脱硫器3、バーナ4aを有する改質器4、変成器5、気液分離器6、水素精製装置7、水素貯蔵タンク8などを備え、
コンプレッサ1は、第1配管ラインL1から供給される原料としての炭化水素ガスを圧縮して昇圧するもので、気液分離器6が、水素リッチガスを常温程度にまで冷却して余分な水分を凝縮除去し、その後、水素リッチガスは、第7配管ラインL7を通って水素精製装置7に送られ、第7配管ラインL7には、気液分離器6からの水素リッチガスの一部を第1配管ラインL1に戻す第14配管ラインL14が接続された、水素製造装置。」
そして、同ウの【0019】に、この水素製造装置が、高純度の水素を精製する水素精製運転に先立って、起動用ガスを循環しながら昇温する起動運転を行うものであることが記載され、同【0019】で下線を付した内容をまとめ、さらに、ここで記載されている、水素が循環する「第1~第3配管ラインL1~L3、第5~第7配管ラインL5~L7、および、第14配管ラインL14」を、「第14配管ラインL14を含むライン」とすると、甲1には、起動運転を行う水素製造装置に関する以下の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されているといえる。
「コンプレッサ、熱交換器、脱硫器、バーナを有する改質器、変成器、気液分離器、水素精製装置、水素貯蔵タンクなどを備え、
コンプレッサは、第1配管ラインL1から供給される原料としての炭化水素ガスを圧縮して昇圧するもので、気液分離器が、水素リッチガスを常温程度にまで冷却して余分な水分を凝縮除去し、その後、水素リッチガスは、第7配管ラインL7を通って水素精製装置に送られ、第7配管ラインL7には、気液分離器からの水素リッチガスの一部を第1配管ラインL1に戻す第14配管ラインL14が接続された、水素製造装置であって、
水素製造装置により高純度の水素を精製する水素精製運転に先立って、起動用ガスを循環しながら昇温する起動運転を行い、水素を起動用ガスとして使用し、コンプレッサを駆動して起動用ガスである水素を、第14配管ラインL14を含むラインで循環しながら、バーナを燃焼させて昇温し、その昇温に応じて、飽和水蒸気量を超えないように、第4配管ラインL4から蒸気を徐々に供給して循環系全体を水素精製運転時の温度にまで昇温する、水素製造装置。」
(2)甲2に記載された発明
甲2の上記1(2)エの【0032】、【0037】及び【0038】には、甲2に記載される「水素製造装置」の構成が記載されているところ、特に下線を付した箇所をまとめると、以下の水素製造装置が記載されているといえる。
「圧送装置11により圧送される炭化水素を含む原料ガス(例えば、メタンを主成分とする都市ガス13A)を脱硫する脱硫器12と、
脱硫後の原料ガスを水蒸気との混合状態で加熱手段14により加熱して改質ガスを得る改質器13と、
改質ガス中の一酸化炭素を水蒸気と反応させるCO変成器17と
を設けた改質部10を備え、
当該CO変成器17にて処理された後の変成ガスから水素以外の不純物を分離して水素ガスを精製する水素精製部22と、
製品タンク23およびオフガスタンク21と
を設けた水素分離部20を備え、
それらに供給されるガスを所定の順序で流通させるガス流通路により連通接続し、
改質ガスは、CO変成器17より排出され、第4流路L4を経由して気液分離部19にて水蒸気等が除去され、第5流路L5を経由して水素分離部20に導かれ、
前記第5流路L5には、CO変成器17を通過したガスを、水素精製部22を迂回して圧送装置11の上流側に返送可能にする返送路L10を分岐して設けて、閉循環回路Cを形成可能な、水素製造装置。」
そして、この水素製造装置が行う「待機運転」について、同オの【0046】及び【0047】で下線を付した内容をまとめると、甲2には、待機運転を行う水素製造装置に関する以下の発明(以下、「甲2発明」という。)が記載されているといえる。
「圧送装置により圧送される炭化水素を含む原料ガス(例えば、メタンを主成分とする都市ガス)を脱硫する脱硫器と、
脱硫後の原料ガスを水蒸気との混合状態で加熱手段により加熱して改質ガスを得る改質器と、
改質ガス中の一酸化炭素を水蒸気と反応させるCO変成器と
を設けた改質部を備え、
当該CO変成器にて処理された後の変成ガスから水素以外の不純物を分離して水素ガスを精製する水素精製部と、
製品タンクおよびオフガスタンクと
を設けた水素分離部を備え、
それらに供給されるガスを所定の順序で流通させるガス流通路により連通接続し、
改質ガスは、CO変成器より排出され、第4流路L4を経由して気液分離部にて水蒸気等が除去され、第5流路L5を経由して水素分離部に導かれ、
前記第5流路L5には、CO変成器を通過したガスを、水素精製部を迂回して圧送装置の上流側に返送可能にする返送路L10を分岐して設けて、閉循環回路Cを形成可能な、水素製造装置であって、
待機運転において、圧送装置、脱硫器、改質器、CO変成器、第2熱交換器、気液分離部に対し、返送路L10を経由してCO変成器を通過したガスを循環させる閉循環回路Cを形成するとともに、圧送装置を働かせ、閉循環回路CにCO変成器を通過したガスを循環させる待機運転を実行し、
閉循環回路Cを形成して、内部に充填された水素ガスを前記加熱手段による前記改質器の加熱を維持しつつ、前記水素精製部の一時停止状態として、前記CO変成器を通過したガスを前記閉循環回路Cに流通させる、水素製造装置。」
3 申立理由1について
(1)本件発明1について
ア 対比
本件発明1と甲1発明を対比する。
(ア)甲1発明の「コンプレッサ」は、本件発明1の「圧縮機」に相当するから、甲1発明の「コンプレッサ、熱交換器、脱硫器、バーナを有する改質器、変成器、気液分離器、水素精製装置、水素貯蔵タンクなどを備え」る「水素製造装置」は、本件発明1の「圧縮機と、脱硫器と、改質器と、変成器と、気液分離器と、水素精製装置と、を備える水素製造装置」に相当する。
(イ)甲1発明の「第7配管ラインL7」は、「気液分離器が、水素リッチガスを常温程度にまで冷却して余分な水分を凝縮除去し、その後、水素リッチガス」を、「水素精製装置に送」るものであるから、本件発明1の「前記気液分離器と前記水素精製装置との間を接続する配管」に相当する。
また、甲1発明の「第1配管ラインL1」は、「原料としての炭化水素ガス」を、「コンプレッサ」に「供給」するものであるから、本件発明1の「前記圧縮機の入口側」に相当する。
そして、甲1発明で、「水素を起動用ガスとして使用し、コンプレッサを駆動して起動用ガスである水素を、第14配管ラインL14を含むラインで循環」することは、「水素循環運転」といえるところ、「第7配管ラインL7」及び「第1配管ラインL1」に接続し、この「水素循環運転」を行う、甲1発明の「第14配管ラインL14」は、本件発明1の「前記気液分離器と前記水素精製装置との間を接続する配管から、前記圧縮機の入口側へ水素を循環させる水素循環運転配管」に相当する。
(ウ)上記(イ)で述べたように、「水素を起動用ガスとして使用し、コンプレッサを駆動して起動用ガスである水素を、第14配管ラインL14を含むラインで循環」することは、「水素循環運転」といえるところ、この運転中には、「第14配管ラインL14を含むライン」に「飽和水蒸気量を超えないように、第4配管ラインL4から蒸気を徐々に供給」とあるように、「純水又は水蒸気」が供給されているといえる。
そうすると、甲1発明において、「コンプレッサを駆動して起動用ガスである水素を、第14配管ラインL14を含むラインで循環しながら、」「飽和水蒸気量を超えないように、第4配管ラインL4から蒸気を徐々に供給」することは、本件発明1の「水素循環運転において、純水又は水蒸気を供給しながら、前記水素循環運転配管を介して前記水素を循環させる」ことに相当する。
(エ)そうすると、本件発明1は、甲1発明と「圧縮機と、脱硫器と、改質器と、変成器と、気液分離器と、水素精製装置と、を備える水素製造装置であって、
前記気液分離器と前記水素精製装置との間を接続する配管から、前記圧縮機の入口側へ水素を循環させる水素循環運転配管とを、更に備え、
水素循環運転において、純水又は水蒸気を供給しながら、前記水素循環運転配管を介して前記水素を循環させる、
水素製造装置。」の点で一致し、以下の点で相違しているといえる。
<相違点1>
水素循環運転が、本件発明では、「待機運転時」に行われるのに対し、甲1発明では、「起動運転」時に行われる点。
イ 上記相違点1に対する判断
(ア)まず、本件発明1における「待機運転」について確認する。
本件明細書の【0003】には「一方、燃料電池自動車に水素を充填する水素ステーションなどに用いられる水素製造装置は、特に水素ステーションの普及期において、夜間営業を行わないことが想定されるため、営業時間外には、水素製造装置を停止する方が経済的であるといえる。」と記載され、このように水素製造装置を停止している際の水素製造装置の従来の技術に対し、同【0006】には、「また、待機運転から通常運転に復帰する場合に、復帰までの時間を要する、という問題がある。さらに、アイドリング運転で水素を自己消費させる場合は、通常運転への移行や通常運転からの復帰を迅速に行うことができるが、アイドリング運転時でも比較的多量の燃料を消費する、という問題がある。」と記載され、本件発明1の待機運転に関する実施形態を説明している同【0035】には、「(運転要領D)
・・・
図5に示すように、この運転要領Dは、待機運転(水素循環運転)中の状態を示しており、改質器120の所定の加熱温度を維持しつつ、また純水PWの供給を継続しながら、パージした水素H2を、水素循環運転配管L51を介して循環させる、水素循環運転を行う。なお、この運転要領Dにおいては、改質器120の加熱温度は通常運転時の加熱温度よりも幾分低い温度(例えば50℃から150℃)に低下させ、例えば600℃から850℃の加熱温度で運転するようにしている。これにより、原料ガスG1の燃料消費量の削減を図ることができる。」と記載され、この実施形態の評価として、同【0042】には、「また、実施形態の水素製造装置100では、起動から通常運転への起動時間は、4時間程度であったのに対して、待機運転から通常運転への復帰時間は、1時間程度と復帰時間を早くすることができた。」と記載されている。
これらの記載によれば、本件発明1における「待機運転」とは、水素製造装置を停止している際に、通常運転への復帰時間を早くするために行うものであり、燃料消費量の削減を図るため、改質器の加熱温度を通常運転時の加熱温度よりも幾分低い所定の温度に維持しつつ、水素H2を、水素循環運転配管L51を介して循環させるものであり、通常運転との間には「復帰時間」が存在するものであるといえる。
他方、甲1発明における「起動運転」とは、甲1の上記1(1)イの【0001】の「前記水素製造装置に起動用ガスを導入し、かつ、その起動用ガスを循環しながら昇温する起動運転を行った後、前記水素製造装置に原料である炭化水素を導入して水素精製運転を行う水素製造装置の運転方法に関する。」との記載によれば、水素製造装置を昇温して、その後、水素製造装置に原料である炭化水素を導入して水素精製運転を始めるためのものである。
これによれば、水素製造装置を昇温していき、その後、水素精製運転(通常運転)に移行する「起動運転」は、通常運転との間には「復帰時間」が存在し、改質器の加熱温度を通常運転時の加熱温度よりも幾分低い所定の温度に「維持」する「待機運転」とは、別異な運転であることが理解できる。
本件明細書でも、待機運転として記載される上述の【0035】の運転要領Dとは別に、同【0038】に「(運転要領E)
この運転要領Eは、待機運転から通常運転への復帰への移行中の状態を示しており、図5において、純水PWの供給量を純水調整弁V31の開度を調整して増大させるとともに、改質器120を通常運転の所定の加熱温度(例えば650℃から900℃)に戻すために、原料供給源160からの原料ガスG1の供給を燃焼バーナー126に行い、改質器120内の昇温を開始する。」と記載され、同【0039】に「(運転要領F)
図6は、水素製造装置100の運転方法における運転要領Fを示すシステム図である。
図6に示すように、この運転要領Fは、改質器120の触媒反応温度、つまり、改質器120の反応炉の温度検出器Tの検出値が所定温度(例えば800℃から900℃)に到達したら、水素循環運転開閉弁V51を閉状態にして、水素循環を停止し、原料調整弁V1を開状態にして、原料ガスG1を導入する。最終的には、水素精製装置150を運転して、水素H2の製造を開始し、図2に示す運転要領Aの運転状態に戻る。」と記載されるところ、この、改質器の温度を通常運転の所定の加熱温度に戻すために、改質器内の昇温を開始する運転要領E、及び原料ガスを導入し、最終的には、水素精製装置を運転して、水素H2の製造を開始し、運転要領A(通常運転)の運転状態に戻る運転要領Fが、水素製造装置を昇温して、その後、水素製造装置に原料である炭化水素を導入して水素精製運転を始めるためのものであるという点で、甲1発明の「起動運転」に相当するものであるといえる。
以上によれば、甲1発明において、「起動運転」時に行われている水素循環運転を、そもそも甲1発明は、「待機運転」を行うものではないが、仮に「待機運転時」に行うように変更しようとした場合には、甲1発明で行おうとしている「水素製造装置により高純度の水素を精製する水素精製運転」を行えなくなってしまうことになるから、このような変更には阻害要因があるというべきである。
ここで、甲2~5には、上記1(2)~(5)で摘記した内容が記載されているが、上述のように、甲1発明において、「起動運転」時に行われている水素循環運転を、「待機運転時」に行うように変更することには、阻害要因があるのであるから、甲2~5の記載内容の如何にかかわらず、上記相違点1に係る本件発明1の構成は、当業者が容易に想到し得るものであるとはいえない。
(イ)特許異議申立書では、本件発明1の「待機運転」と、甲1発明の「起動運転」について、「起動運転」と「待機運転」とでは「呼称が異なるものの、いずれも水素製造停止中に改質器の温度を維持または昇温し、再開時に迅速に水素製造を開始するための準備運転という点で、技術的目的および手段が一致しており、技術的思想としては実質的に同一である。」としている(30頁17~20行)。
しかしながら、一致しているとしている「水素製造停止中に改質器の温度を維持または昇温し、再開時に迅速に水素製造を開始するための準備運転という点」を見ても、改質器の温度を維持(待機運転)するか昇温(起動運転)するかで異なっているから、「起動運転」を「待機運転」と同一であるとすることはできない。
ウ 小括
上記イで述べたように、上記相違点1に係る本件発明1の構成は、当業者が容易に想到し得るものであるとはいえないから、本件発明1は、甲1発明及び甲2~5に記載の事項に基づいて当業者が容易に発明できたものであるとはいえない。
(2)本件発明2~4について
本件発明2~4は、本件発明1を直接又は間接的に引用し、少なくとも本件発明1の構成をすべて具備するものであるから、本件発明1と同様に、甲1発明及び甲2~5に記載の事項に基づいて当業者が容易に発明できたものであるとはいえない。
(3)本件発明5について
本件発明5を既に判断を行った本件発明1と比べると、運転方法の発明である本件発明5は、本件発明1の「水素製造装置であって」及び「特徴とする水素製造装置」が、それぞれ、「水素製造装置の運転方法であって」及び「特徴とする水素製造装置の運転方法」となったもので、運転方法に対応する箇所は、本件発明1でも同じく特定されていた「待機運転時の水素循環運転において、純水又は水蒸気を供給しながら、前記水素循環運転配管を介して前記水素を循環させる」ことであることからすると、本件発明5は、本件発明1の「水素製造装置」を単に「水素製造装置の運転方法」として特定し直した発明であるといえる。
他方、甲1発明の「水素製造装置」についても、単に発明のカテゴリーを変更し、「水素製造装置の運転方法」として認定し直すことができることは明らかである。
次に、本件発明5と運転方法としての甲1発明を、上記(1)アで述べたのと同様に対比すると、本件発明5と運転方法としての甲1発明は、同ア(エ)で述べた相違点1で相違し、その余の点で一致しているといえる。
そして、上記相違点1に対する判断は、上記(1)イで述べたとおりであるから、本件発明5は、甲1発明及び甲2~5に記載の事項に基づいて当業者が容易に発明できたものであるとはいえない。
(4)本件発明6、7について
本件発明6、7は、本件発明5を直接又は間接的に引用し、少なくとも本件発明5の構成をすべて具備するものであるから、本件発明5と同様に、甲1発明及び甲2~5に記載の事項に基づいて当業者が容易に発明できたものであるとはいえない。
(5)上記(1)~(4)で述べたように申立理由1には、理由がない。
4 申立理由2について
(1)本件発明1について
ア 対比
本件発明1と甲2発明を対比する。
(ア)甲2発明の「圧送装置」、「CO変成器」及び「水素精製部」は、それぞれ、本件発明1の「圧縮機」、「変成器」及び「水素精製装置」に相当する。
また、甲2発明では、「改質ガスは、CO変成器より排出され、第4流路L4を経由して気液分離部にて水蒸気等が除去され」るもので、甲2発明の「水素製造装置」は、「気液分離部」を備えており、この「気液分離部」は、本件発明1の「気液分離器」に相当する。
そうすると、甲2発明の「圧送装置により圧送される炭化水素を含む原料ガス(例えば、メタンを主成分とする都市ガス)を脱硫する脱硫器と、脱硫後の原料ガスを水蒸気との混合状態で加熱手段により加熱して改質ガスを得る改質器と、改質ガス中の一酸化炭素を水蒸気と反応させるCO変成器とを設けた改質部を備え、当該CO変成器にて処理された後の変成ガスから水素以外の不純物を分離して水素ガスを精製する水素精製部と、」「改質ガスは、CO変成器より排出され、第4流路L4を経由して気液分離部にて水蒸気等が除去され」る、「水素製造装置」は、本件発明1の「圧縮機と、脱硫器と、改質器と、変成器と、気液分離器と、水素精製装置と、を備える水素製造装置」に相当する。
(イ)甲2発明の「第5流路L5」は、「改質ガス」を、「気液分離部」から「第5流路L5を経由して水素分離部に導」くものであるから、本件発明1の「前記気液分離器と前記水素精製装置との間を接続する配管」に相当する。
また、甲2発明の「圧送装置の上流側」は、本件発明1の「前記圧縮機の入口側」に相当する。
そして、甲2発明で、「閉循環回路Cを形成して、内部に充填された水素ガスを前記加熱手段による前記改質器の加熱を維持しつつ、前記水素精製部の一時停止状態として、前記CO変成器を通過したガスを前記閉循環回路Cに流通させる」ことは、「水素循環運転」といえるところ、甲2発明の、「第5流路L5に」「分岐して設け」られ、「CO変成器を通過したガスを、水素精製部を迂回して圧送装置の上流側に返送可能に」し、「閉循環回路Cを形成して、内部に充填された水素ガスを前記加熱手段による前記改質器の加熱を維持しつつ、前記水素精製部の一時停止状態として、前記CO変成器を通過したガスを前記閉循環回路Cに流通させる」「返送路L10」は、本件発明1の「前記気液分離器と前記水素精製装置との間を接続する配管から、前記圧縮機の入口側へ水素を循環させる水素循環運転配管」に相当する。
(ウ)上記(イ)で述べたように、本件発明1の「水素循環運転配管」に相当する甲2発明の「返送路L10」は、「閉循環回路C」に含まれるものであるところ、甲2発明において、「待機運転において」、「閉循環回路Cを形成して、内部に充填された水素ガスを前記加熱手段による前記改質器の加熱を維持しつつ、前記水素精製部の一時停止状態として、前記CO変成器を通過したガスを前記閉循環回路Cに流通させる」ことは、本件発明1の「待機運転の水素循環運転において、」「前記水素循環運転配管を介して前記水素を循環させる」ことに相当する。
(エ)そうすると、本件発明1は、甲2発明と「圧縮機と、脱硫器と、改質器と、変成器と、気液分離器と、水素精製装置と、を備える水素製造装置であって、
前記気液分離器と前記水素精製装置との間を接続する配管から、前記圧縮機の入口側へ水素を循環させる水素循環運転配管とを、更に備え、
待機運転時の水素循環運転において、前記水素循環運転配管を介して前記水素を循環させる、
水素製造装置。」の点で一致し、以下の点で相違しているといえる。
<相違点2>
待機運転の水素循環運転を、本件発明1は、純水又は水蒸気を供給しながら行うものであるのに対し、甲2発明では、純水又は水蒸気を供給しながら行うものであるのか明らかでない点。
イ 上記相違点2に対する判断
待機運転の水素循環運転中の、純水又は水蒸気の供給について、甲2の上記1(2)ウの【0025】の「〔作用効果6〕
上記特徴構成によると、水素精製運転、待機運転を通じて、ガス流通路に流通されるガスの温度を前記改質器の温度との関連で定めた設定温度に維持するべく加熱を維持しておくことができる。この待機運転の際には、閉循環回路をガスが流通することになるので、閉循環回路では経由しない水素精製部による放熱を考慮する必要がない。また、上記水素精製運転時には、改質器での改質反応として吸熱反応が起きるために、改質器を十分に加熱する必要があるが、上記待機運転中は、ガス流通路に充填されるガスが、水素を主成分とするガスとなっているので、改質反応はほとんど生起しない。また、待機運転中には、改質器での改質反応に要する水蒸気を供給する必要がないことから、待機運転中に、改質器に対する水蒸気の供給を停止しておけば、その水蒸気を生成あるいは加熱するエネルギーが不要となる。これらの理由により、改質器を加熱するのに必要なエネルギーは少なく維持でき、待機運転時の加熱量自体は水素精製運転時よりもきわめて少なく維持することができる。したがって、待機運転を行うとしても、少ない加熱コストの上昇のみで実行できるので、水素製造を速やかに開始できることに対する動作費用としては、極めて安価に水素製造装置を運転できるものとなる。」との記載によれば、甲2発明は、待機運転中に、改質器に対する水蒸気の供給を停止しておくことにより、水蒸気を生成あるいは加熱するエネルギーを不要とし、待機運転時の加熱量自体をきわめて少なく維持することができるという効果を奏するものである。
これによれば、甲2発明において、待機運転の水素循環運転を、本件発明1のように、純水又は水蒸気を供給しながら行ってしまっては、甲2発明における待機運転時の加熱量自体をきわめて少なく維持することができるという効果を毀損してしまうのであるから、甲2発明には、待機運転の水素循環運転を、本件発明1のように、純水又は水蒸気を供給しながら行うものとする動機付けがあるとはいえない。
上述のように、甲2発明には、待機運転の水素循環運転を、本件発明1のように、純水又は水蒸気を供給しながら行うものとする動機付けがあるとはいえないのであるから、他の甲号証の記載によって、甲2発明において、待機運転の水素循環運転を、純水又は水蒸気を供給しながら行うものとすることは、当業者が容易に想到できるとはいえないのであるが、念のため他の甲号証の記載を確認する。
甲1の上記1(1)ウの【0019】の「つぎに、この水素製造装置の運転方法について説明する。
まず、この水素製造装置により高純度の水素を精製する水素精製運転に先立って、起動用ガスを循環しながら昇温する起動運転を行う。起動運転時には、後述するパージ運転によって、予め水素製造装置内に導入されている水素を起動用ガスとして使用し、必要な場合には、第4電磁バルブV4を開弁し、水素貯蔵タンク8内の水素を補充して実行される。具体的には、第1~第4電磁バルブV1~V4を閉弁し、コンプレッサ1を駆動して起動用ガスである水素を第1~第3配管ラインL1~L3、第5~第7配管ラインL5~L7、および、第14配管ラインL14間で循環しながら、バーナ4aを燃焼させて昇温し、その昇温に応じて、飽和水蒸気量を超えないように、第4配管ラインL4から蒸気を徐々に供給して循環系全体を水素精製運転時の温度にまで昇温する。」との記載によれば、甲1には、水素製造装置の起動運転において、起動用ガスである水素を循環しながら、飽和水蒸気量を超えないように、蒸気を徐々に供給して循環系全体を水素精製運転時の温度にまで昇温すること、甲3の上記1(3)アの【請求項1】の「天然ガス,LNG,LPG,メタノールなどの炭化水素を主成分とする原燃料ガスを、触媒の存在下で水蒸気(スチーム)により水素リッチなガスに改質する、バーナを備える改質器と、この改質ガスを加圧する圧縮機と、加圧改質ガスから水素を分離精製する圧力スイング吸着装置(PSA)と、前記改質器に原燃料ガスおよび水蒸気を供給する原燃料ガス供給ラインおよびスチーム供給ラインと、前記各ラインに設けた原燃料ガス流量制御弁およびスチーム流量制御弁とを備える水素発生装置の運転方法において、水素発生装置の運転停止に際し、前記圧縮機とPSAの運転を停止した後、前記改質器で発生する水素リッチなガスを前記バーナで燃焼させることにより、改質器の待機運転を行うことを特徴とする水素発生装置の運転方法。」との記載によれば、甲3には、水素発生装置において、水素発生装置の運転停止に際し、圧縮機とPSAの運転を停止した後、改質器に原燃料ガスおよび水蒸気を供給することにより改質器で発生する水素リッチなガスをバーナで燃焼させることにより、改質器の待機運転を行うことが記載され、甲4の上記1(4)アの【請求項1】の「重質炭化水素ガスである原料ガスを脱硫処理する脱硫部と、当該脱硫部から供給される脱硫原料ガスを水蒸気にて改質処理して、メタンを主成分として含有する燃料ガスにする改質部と、当該改質部からの前記燃料ガスの一部を前記脱硫部に戻す燃料ガス戻し路と、前記改質部からの前記燃料ガス中の水分を除去する水分除去部とが設けられた燃料ガス製造装置の運転方法であって、
前記原料ガスの前記脱硫部への供給を停止して運転を停止するときに、前記原料ガスの前記脱硫部への供給及び前記燃料ガスの外部への排出を停止した後に、循環用ガス路を通して前記水分除去部を通過した前記燃料ガスの全量を前記脱硫部に戻すように循環流動させ、かつ、前記改質処理を行うときの運転温度に相当する温度に前記改質部を加熱すべく、循環流動させる前記燃料ガスを設定待機温度に加熱部にて加熱する形態で、前記燃料ガスを循環駆動部により循環流動させ、且つ、前記水蒸気の供給量を前記燃料ガスの熱分解による炭素の析出を防止できる供給量以上でかつ前記改質処理を行うときの供給量よりも少なくする状態で、前記水蒸気の供給を継続する待機運転処理を行う燃料ガス製造装置の運転方法。」との記載によれば、甲4には、重質炭化水素ガスである原料ガスを水蒸気にて改質処理して、メタンを主成分として含有する燃料ガスにする改質部とが設けられた燃料ガス製造装置において、運転を停止するときに、循環用ガス路を通して前記燃料ガスの全量を脱硫部に戻すように循環流動させ、前記水蒸気の供給量を前記燃料ガスの熱分解による炭素の析出を防止できる供給量以上でかつ前記改質処理を行うときの供給量よりも少なくする状態で、前記水蒸気の供給を継続することが記載されている。
しかしながら、甲1に記載されるものは、上記3(1)イ(ア)で述べたように、「待機運転」とは別異の「起動運転」に関するものである点、甲3に記載されるものは、待機運転の際に供給された原燃料と水蒸気から改質器で製造された水素リッチなガスをバーナに供給して燃焼させるもので、本件発明1でいうところの「水素循環運転」を行うものでないこと、甲4に記載されるものは、メタンを主成分として含有する燃料ガスを循環するもので、本件発明1でいうところの「水素循環運転」を行う甲2発明と、そもそも発明の前提となる構成が異なるものであるから、甲1、3、4に、「水蒸気を供給すること」が記載されているとしても、このことを、甲2発明に適用し、相違点2に係る本件発明1の構成に至るものとすることができるとはいえない。
さらに、甲5には、上記相違点2に係る本件発明1の構成に関する事項は、何ら記載されていない。
そうすると、甲1、3~5に記載される事項を考慮したとしても、上記相違点2に係る本件発明1の構成は、当業者が容易に想到し得るものであるとはいえない。
ウ 小括
上記イで述べたように、上記相違点2に係る本件発明1の構成は、当業者が容易に想到し得るものであるとはいえないから、本件発明1は、甲2発明及び甲1、3~5に記載の事項に基づいて当業者が容易に発明できたものであるとはいえない。
(2)本件発明2~4について
本件発明2~4は、本件発明1を直接又は間接的に引用し、少なくとも本件発明1の構成をすべて具備するものであるから、本件発明1と同様に、甲2発明及び甲1、3~5に記載の事項に基づいて当業者が容易に発明できたものであるとはいえない。
(3)本件発明5について
上記3(3)で述べたのと同様の判断に基づいて、本件発明5と運転方法としての甲2発明を、上記3(1)アで述べたのと同様に対比すると、本件発明5と運転方法としての甲2発明は、上記(1)ア(エ)で述べた相違点2で相違し、その余の点で一致しているといえる。
そして、上記相違点2に対する判断は、同イで述べたとおりであるから、本件発明5は、甲2発明及び甲1、3~5に記載の事項に基づいて当業者が容易に発明できたものであるとはいえない。
(4)本件発明6、7について
本件発明6、7は、本件発明5を直接又は間接的に引用し、少なくとも本件発明5の構成をすべて具備するものであるから、本件発明5と同様に、甲2発明及び甲1、3~5に記載の事項に基づいて当業者が容易に発明できたものであるとはいえない。
(5)上記(1)~(4)で述べたように申立理由2には、理由がない。
第5 むすび
上記第4で検討したとおり、本件特許1~7は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるということはできず、同法第113条第2号に該当するものではないから、上記申立理由1、2では、本件特許1~7を取り消すことはできない。
また、他に本件特許1~7を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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2025-701134