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特許異議申立

2025-701020

ポリエステル系粘着剤組成物、ポリエステル系粘着剤および粘着シート

審判番号
2025-701020
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2021-025277外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
登録番号
7661718
請求日
2025年10月08日
審決日
2026年01月28日
公報発行日
2026年03月27日
結論
維持
当事者
審判長/審判官
分類
P1651.121-Y (C09J)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第7661718号発明「ポリエステル系粘着剤組成物、ポリエステル系粘着剤および粘着シート」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論
特許第7661718号の請求項1~11に係る特許を維持する。

理由

目次 ▾ 20項目
理 由

第1 手続の経緯

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特許第7661718号(以下「本件特許」という。)の請求項1~11に係る特許は、令和3年2月19日(優先権主張令和2年2月27日)に出願され、令和7年4月7日にその特許権の設定登録がされ、同年同月15日に特許掲載公報が発行された。その後、令和7年10月8日に特許異議申立人 平嶋 淳司(以下「申立人A」という。)により、全請求項に係る特許に対して特許異議の申立てがされ、同年同月9日に特許異議申立人 笹原 敏司(以下「申立人B」という。)により、全請求項に係る特許に対して特許異議の申立てがされたものである。

第2 本件発明

本件特許の特許請求の範囲の請求項1~11に係る発明(以下「本件発明1」~「本件発明11」といい、これらをまとめて「本件発明」ともいう。)は、その特許請求の範囲に記載された次のとおりのものである。

「【請求項1】
多価カルボン酸類(a1)由来の構造単位およびポリオール(a2)由来の構造単位を有するポリエステル系樹脂(A)および数平均分子量が400~8000の石油樹脂系粘着付与剤(B)を含有し、
上記ポリエステル系樹脂(A)のガラス転移温度が-80~20℃、結晶融解熱が3J/g以下であり、
上記数平均分子量が400~8000の石油樹脂系粘着付与剤(B)の含有量が、ポリエステル系樹脂(A)100重量部に対して0.01~50重量部であることを特徴とするポリエステル系粘着剤組成物。
続きを表示(全24行)
【請求項2】
上記石油樹脂系粘着付与剤(B)が、芳香環構造を有することを特徴とする請求項1記載のポリエステル系粘着剤組成物。
【請求項3】
上記石油樹脂系粘着付与剤(B)の軟化点が、30~200℃であることを特徴とする請求項1または2記載のポリエステル系粘着剤組成物。
【請求項4】
上記石油樹脂系粘着付与剤(B)の酸価が、5mgKOH/g以下であることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の粘着剤組成物。
【請求項5】
上記ポリエステル系樹脂(A)のエステル結合濃度が、3~9mmol/gであることを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載のポリエステル系粘着剤組成物。
【請求項6】
さらに、加水分解抑制剤(C)を含有することを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載のポリエステル系粘着剤組成物。
【請求項7】
さらに、架橋剤(D)を含有することを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載のポリエステル系粘着剤組成物。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載のポリエステル系粘着剤組成物が架橋されてなることを特徴とするポリエステル系粘着剤。
【請求項9】
請求項8記載のポリエステル系粘着剤を含有する粘着剤層を有することを特徴とする粘着シート。
【請求項10】
基材と請求項8記載のポリエステル系粘着剤を含有する粘着剤層とを有する粘着シートであって、上記粘着剤層が上記基材の少なくとも片面に設けられていることを特徴とする粘着シート。
【請求項11】
請求項8記載のポリエステル系粘着剤を含有する粘着剤層を有する粘着シートであって、基材を有しない基材レスタイプであることを特徴する粘着シート。」

第3 異議申立の概要

1 申立人Aによる特許異議の申立ての概要

申立人Aは、下記(2)の証拠方法により、下記(1)を申立ての理由とする特許異議の申立てをしている。以下、申立人Aの提示した甲第1号証を「甲A1」などという。

(1)申立ての理由

本件発明1~11は、甲A1に記載された発明と甲A1~甲A5に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本件特許の請求項1~11に係る特許は、同法第113条第2号に該当する。

(2)証拠方法

甲A1:国際公開第2016/024612号
甲A2:特開平10-298528号公報
甲A3:特開2017-218550号公報
甲A4:油化製品総合カタログ, 日油株式会社機能材料事業部, 2024年10月
甲A5:特開2019-073685号公報

2 申立人Bによる特許異議の申立ての概要

申立人Bは、下記(2)の証拠方法により、下記(1)を申立ての理由とする特許異議の申立てをしている。以下、申立人Bの提示した甲第1号証を「甲B1」などという。

(1)申立ての理由

本件発明1~11は、甲B1に記載された発明と甲B1~甲B2に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本件特許の請求項1~11に係る特許は、同法第113条第2号に該当する。

(2)証拠方法

甲B1:国際公開第2019/073944号
甲B2:特開平10-298528号公報(甲A2と同一)

第4 文献等の記載

以下、下線は合議体による。

1 甲A1

「[請求項1]ガラス転移温度が-40~40℃であり、JIS K7196の熱機械分析による軟化温度試験方法で測定される温度-変形量曲線において、変曲点の数が2~7であり、変曲点の温度の最大値が5~55℃であることを特徴とするポリエステル樹脂。
[請求項2] ジカルボン酸成分として、テレフタル酸、イソフタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸から選択される少なくとも3種のジカルボン酸を含有し、グリコール成分として、エチレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ブチルエチルプロパンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレンビスフェノールAエーテル、ポリテトラメチレングリコールから選択される少なくとも3種のグリコールを含有することを特徴とする請求項1に記載のポリエステル樹脂。
[請求項3]ガラス転移温度が-10~40℃であるポリエステル樹脂(A)と、ガラス転移温度が-40~-10℃であるポリエステル樹脂(B)とを含有し、両樹脂の質量比〔(A)/(B)〕が20/80~95/5であることを特徴とする請求項1または2に記載のポリエステル樹脂。
[請求項4]有機溶剤中に、請求項1~3のいずれかに記載のポリエステル樹脂を5質量%以上含有してなることを特徴とする塗布液。
[請求項5]基材上に、請求項1~3のいずれかに記載のポリエステル樹脂を含有する塗膜が形成されてなることを特徴とする積層体。
[請求項6]基材上の塗膜にさらに他の基材が積層されてなることを特徴とする請求項5に記載の積層体。」

「[0009]本発明は、ブロッキング防止効果に優れるとともに、低温での接着加工性にも優れたポリエステル樹脂およびそれより得られる塗布液および積層体を提供することを目的とする。」

「[0040]本発明のポリエステル樹脂は、本発明の効果を損なわない範囲で、硬化剤、硬化助剤、難燃剤、熱安定剤、酸化防止剤、滑剤、顔料、充填剤、粘着付与剤、他の樹脂、酸無水物、帯電防止剤、発泡剤などの添加剤を含有してもよい。」

「[0055]2.ポリエステル樹脂の調製
調製例1
テレフタル酸58g(35mol%)、イソフタル酸58g(35mol%)、セバシン酸61g(30mol%)、エチレングリコール42g(67mol%)、ネオペンチルグリコール71g(68mol%)、および重合触媒としてテトラブチルチタネート0.1gを反応器に仕込み、系内を窒素に置換した。そして、これらの原料を1000rpmで撹拌しながら、反応器を245℃で加熱し、溶融させた。反応器内温度が245℃に到達してから、3時間エステル化反応を進行させた。3時間経過後、系内の温度を250℃とし系内を減圧した。系内が高真空(圧力:0.1~10-5Pa)に到達してから、さらに3.0時間重合反応をおこない、ポリエステル樹脂(A1)を得た。
[0056]調製例2~26
続きを表示(全35行)
ポリエステル樹脂の仕込組成を表1、2のように変更した以外は、調製例1と同様の操作をおこない、ポリエステル樹脂(A2)~(A15)、ポリエステル樹脂(B1)~(B11)を得た。調製例1~26で得られたポリエステル樹脂における、モノマーの仕込組成、最終組成、および樹脂特性を表1および表2に示す。
[0057][表1]
[図:0001433124000001.jpg]
[0058][表2]
[図:0001433124000002.jpg]
[0059]なお、表1および表2中における略語は、それぞれ以下のものを示す。
TPA:テレフタル酸
IPA:イソフタル酸
ADA:アジピン酸
AZA:アゼライン酸
SEA:セバシン酸
EG:エチレングリコール
BD:1,4-ブタンジオール
NPG:ネオペンチルグリコール
BEPG:2,2-ブチルエチルプロパンジオール
MPD:2-メチル-1,3-プロパンジオール
PEG1000:ポリエチレングリコール
NEE:ポリオキシエチレンビスフェノールAエーテル
PTMG1000:ポリテトラメチレングリコール
[0060]実施例1
ポリエステル樹脂(A1)60質量部とポリエステル樹脂(B1)40質量部とからなるポリエステル樹脂を、トルエンとメチルエチルケトンの混合溶剤(トルエン/メチルエチルケトン=8/2(質量比))に添加し、ペイントシェイカーで振盪して、混合溶剤中にポリエステル樹脂を30質量%含有する塗布液を作製した。
基材としてポリエステルフィルム(ユニチカ社製S-50、厚さ50μm、内面コロナ処理、外面非コロナ処理)を用い、その内面コロナ処理面の全面(塗布面積100%)に、卓上型コーティング装置(安田精機社製バーコータ装置、フィルムアプリケータNo.542-AB型)を用いて、上記塗布液を塗布した。その後、100℃で30秒間熱処理し、混合溶剤を乾燥することで、基材上に、厚さ10μmの塗膜が形成された積層体1を作製した。
続いて、得られた積層体1の塗膜上に、他の基材としてのポリエステルフィルム(ユニチカ社製S-50、厚さ50μm、内面コロナ処理、外面非コロナ処理)の内面コロナ処理面を、ホットプレス機(林機械製作所製)を用いて、70、85、100、120℃の各温度条件下、圧力0.2MPaで10秒プレスし、他の基材が積層された積層体2を作製した。
[0061]実施例2~26、比較例1~8
表3~5に示すように、ポリエステル樹脂(A)、(B)の種類、含有量を変更した以外は、実施例1と同様の操作をおこなって、ポリエステル樹脂を含有する塗布液、積層体1、および他の基材が積層された積層体2を作製した。
・・・
[0063]実施例、比較例で作製したポリエステル樹脂の特性値、他の基材が積層された積層体2を用いて各種特性を評価した結果を表3~5に示す。
・・・
[0065][表4]
[図:0001433124000003.jpg]
」

2 甲A2及び甲B2

「【請求項1】樹脂酸を含有してなるカルボキシル基含有化合物およびポリエポキシ化合物を反応させて得られるエステル化合物を主成分としてなるポリエステル系接着剤用粘着付与樹脂。
【請求項2】エステル化合物の水酸基価が5~200である請求項1記載のポリエステル系接着剤用粘着付与樹脂。
【請求項3】ポリエステル樹脂、および請求項1または2記載のポリエステル系接着剤用粘着付与樹脂を含有してなるポリエステル系接着剤組成物。
【請求項4】ポリエステル樹脂100重量部に対し、ポリエステル系接着剤用粘着付与樹脂2~150重量部を配合してなる請求項3記載のポリエステル系接着剤組成物。」
「【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、広範囲の被着体に対して常温接着性および耐熱接着性に優れ、しかも溶融粘度が低く、タック等の粘着性を有するポリエステル系接着剤組成物を提供することを目的とする。」

「【0016】前記エステル化合物を主成分としてなる粘着付与樹脂を配合するベースポリマーとなるポリエステル樹脂は、各種の多塩基酸成分とポリオール成分を、公知の手段で脱水縮合させて得られる。」

「【0020】ポリエステル樹脂の数平均分子量は特に制限されないが、柔軟性等のポリエステル樹脂の特性を有し、適度の溶融粘度が必要なことを考慮すれば、通常、3000程度以上、さらには10000以上が好ましい。一方、溶融粘度が高くならないようにするため30000程度以下、さらには25000以下とするのが好ましい。また、ガラス転移温度は接着力、柔軟性、耐寒性、透湿性などに影響を与えるので-40~20℃程度が好ましい。
【0021】本発明のポリエステル系接着剤組成物は、前記ポリエステル樹脂100重量に対して、通常、前記エステル化合物からなる粘着付与樹脂を2~150重量部程度配合して調製するのが好ましい。粘着付与樹脂の配合量の下限としては4重量、上限としては100重量部とするのがより好ましい。粘着付与樹脂の配合量が2重量部未満の場合には、粘着付与樹脂を配合する効果が殆ど認められず、一方150重量部を超える場合には、ポリエステル系接着剤組成物の常温付近での硬度が高くなりすぎ、しかもポリエステル樹脂のゴム的な弾性を損なう傾向がある。
【0022】また、本発明のポリエステル系接着剤組成物には、当該組成物の溶融粘度、溶融温度を下げるために、ポリエステル樹脂のハードセグメントに対し優れた相溶性を有する前記エステル化合物以外の粘着付与樹脂を併用することもできる。かかる粘着付与樹脂としては非結晶性の天然樹脂や石油樹脂があげられる。天然樹脂としてはガムロジン、ウッドロジン、トール油ロジン、不均化ロジン、水素化ロジン、脱水素化ロジンおよびこれらの精製物等のロジン類、マレイン化ロジン、フマル化ロジン、アクリル化ロジン、アルデヒド変性ロジン、重合ロジン等およびこれらの水素化物等のロジン誘導体、当該ロジン類またはロジン誘導体のエステル化物等の各種ロジン系樹脂や、テルペン、テルペンフェノール、水素化テルペンフェノール等のテルペン系樹脂があげられる。また、石油樹脂としては、C5系の脂肪族樹脂、C9系の芳香族樹脂、C5系とC9系の共重合樹脂、その他にイソプロペニルトルエン系、スチレン系樹脂等があげられる。かかる前記エステル化合物以外の粘着付与樹脂の配合量は、ポリエステル樹脂100重量部に対して、0~148重量部、好ましくは0~96重量部である。なお、かかるエステル化合物以外の粘着付与樹脂を加える場合にも、これと本発明の粘着付与樹脂を加えた合計重量の上限が150重量部である。」
「【0026】
【実施例】以下、製造例、実施例及び比較例をあげて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれら各例に限定されるものではない。尚、各例中、部及び%はすべて重量基準である。
【0027】製造例1(エステル化合物の製造)
攪拌機、温度計、冷却管および窒素ガス導入管を備えた丸底フラスコに、中国産ガムロジン(WG級、酸価169.1)200部、ノボラッククレゾールポリグリシジルエーテル(エポキシ当量205.6)123.9部および2-メチルイミダゾール0.064部を仕込み、窒素気流下150℃にて5時間反応させ、水酸基価118、酸価1.0、軟化点125℃、色調9(ガードナーカラー)のエステル化合物(A)322部を得た。
続きを表示(全19行)
【0028】
製造例2(エステル化合物の製造)
製造例1と同様の丸底フラスコに、不均化ロジン(酸価160)200部、ビスフェノールA型高分子量エポキシ樹脂(エポキシ当量954.9)544.7部および2-メチルイミダゾール0.149部を仕込み、窒素気流下150℃にて5時間反応させ、水酸基価175、酸価0.9、軟化点112℃、色調6(ガードナーカラー)のエステル化合物(B)741部を得た。
・・・
【0031】
実施例1
多塩基酸成分としてテレフタル酸70モル%およびアジピン酸30モル%、ポリオール成分としてエチレングリコール25モル%および1,4-ブタンジオール75モル%からなるポリエステル樹脂(数平均分子量:22000,融点:110℃,Tg:-20℃)100部に、粘着付与樹脂としてエステル化合物(C)25部および酸化防止剤(イルガノックス1010,チバガイギー社製,樹脂組成物の1重量%)を170℃の溶融状態で混合し、ポリエステル系接着剤組成物を得た。
【0032】実施例2~5、比較例1~3
実施例1において、粘着付与樹脂の種類またはその使用量を表1に示すように変えた他は実施例1と同様にしてポリエステル系接着剤組成物を得た。
【0033】実施例および比較例で得られたポリエステル系接着剤組成物について以下の評価を行なった。評価結果を表1に示す。
・・・
【0037】
【表1】
[図:0001433124000004.jpg]
【0038】表1中、粘着付与剤樹脂のその他1はイソプロペニルトルエン系樹脂(三井石油化学工業(株)製,FTR6100)、その他2はロジンエステル(荒川化学工業(株)製,パインクリスタルKE-100)を示す。」

3 甲B1

「[請求項1]水添ポリブタジエン構造含有化合物由来の構造単位を有するポリエステル系樹脂を含有するポリエステル系粘着剤組成物であって、
上記水添ポリブタジエン構造含有化合物由来の構造単位の含有量が、上記ポリエステル系樹脂に対して0.01~35重量%であることを特徴とするポリエステル系粘着剤組成物。
[請求項2]上記ポリエステル系樹脂が、多価カルボン酸類(a1)由来の構造単位およびポリオール(a2)由来の構造単位を有し、上記水添ポリブタジエン構造含有化合物が、上記ポリオール(a2)中の水添ポリブタジエンポリオールであり、上記水添ポリブタジエン構造含有化合物由来の構造単位が、上記ポリオール(a2)由来の構造単位中に0.001~10モル%含有することを特徴とする請求項1記載のポリエステル系粘着剤組成物。
[請求項3]上記多価カルボン酸類(a1)として、非対称の芳香族多価カルボン酸類を含有することを特徴とする請求項2記載のポリエステル系粘着剤組成物。
続きを表示(全19行)
[請求項4]上記多価カルボン酸類(a1)として、炭素数が奇数の脂肪族多価カルボン酸類を含有することを特徴とする請求項2または3記載のポリエステル系粘着剤組成物。
[請求項5]上記ポリオール(a2)として、分岐構造含有ポリオールを含有することを特徴とする請求項2~4のいずれか一項に記載のポリエステル系粘着剤組成物。
[請求項6]上記ポリオール(a2)として、直鎖ポリオールを含有することを特徴とする請求項2~5のいずれか一項に記載のポリエステル系粘着剤組成物。
[請求項7]水添ポリブタジエン構造含有化合物由来の構造単位および芳香環構造含有化合物由来の構造単位を有するポリエステル系樹脂を含有するポリエステル系粘着剤組成物であって、
上記芳香環構造含有化合物由来の構造単位の含有量が、上記ポリエステル系樹脂に対して0.01~35重量%であることを特徴とするポリエステル系粘着剤組成物。
[請求項8]上記ポリエステル系樹脂が、多価カルボン酸類(a1)由来の構造単位およびポリオール(a2)由来の構造単位を有し、上記芳香環構造含有化合物が、多価カルボン酸類(a1)中の芳香族ジカルボン酸類であり、上記芳香環構造含有化合物由来の構造単位が、上記多価カルボン酸類(a1)由来の構造単位中に0.1~70モル%含有することを特徴とする請求項7記載のポリエステル系粘着剤組成物。
[請求項9]上記水添ポリブタジエン構造含有化合物由来の構造単位の含有量が、ポリエステル系樹脂に対して0.01~50重量%であることを特徴とする請求項7または8記載のポリエステル系粘着剤組成物。
[請求項10]上記ポリエステル系樹脂が、上記多価カルボン酸類(a1)由来の構造単位およびポリオール(a2)由来の構造単位を有し、上記水添ポリブタジエン構造含有化合物が、ポリオール(a2)中の水添ポリブタジエンポリオールであり、上記水添ポリブタジエン構造含有化合物由来の構造単位が、上記ポリオール(a2)由来の構造単位中に0.001~15モル%含有することを特徴とする請求項7~9のいずれか一項に記載のポリエステル系粘着剤組成物。
[請求項11]上記ポリエステル系樹脂のガラス転移温度が-80~20℃であることを特徴とする請求項1~10のいずれか一項に記載のポリエステル系粘着剤組成物。
[請求項12]さらに、加水分解抑制剤(B)を含有することを特徴とする請求項1~11のいずれか一項に記載のポリエステル系粘着剤組成物。
[請求項13]さらに、ウレタン化触媒(C)を含有することを特徴とする請求項1~12のいずれか一項に記載のポリエステル系粘着剤組成物。
[請求項14]さらに、架橋剤(D)を含有することを特徴とする請求項1~13のいずれか一項に記載のポリエステル系粘着剤組成物。
[請求項15]請求項1~14のいずれか一項に記載のポリエステル系粘着剤組成物が、架橋されてなることを特徴とするポリエステル系粘着剤。
[請求項16]請求項15記載のポリエステル系粘着剤を含有する粘着剤層を有することを特徴とする粘着シート。
[請求項17]請求項15記載のポリエステル系粘着剤を含有する粘着剤層および光学部材を有することを特徴とする粘着剤層付き光学部材。」

「[0007]そこで、本発明ではこのような背景下において、ポリオレフィン基材に対する接着性に優れ、さらに透明性にも優れたポリエステル系粘着剤組成物、ポリエステル系粘着剤、粘着シートおよび粘着剤層付き光学部材を提供する。」

「[0132]本発明の粘着剤組成物においては、上記の、ポリエステル系樹脂、加水分解抑制剤(B)、ウレタン化触媒(C)、架橋剤(D)の他にも、本発明の効果を損なわない範囲において、ヒンダードフェノール類等の酸化防止剤(E)、軟化剤、紫外線吸収剤、安定剤、耐電防止剤、粘着付与剤、等の添加剤やその他、無機または有機の充填剤、金属粉、顔料等の粉体、粒子状等の添加剤を配合することができる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。」

「[0175]以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。なお、例中「部」とあるのは、重量基準を意味する。
また、下記実施例中におけるポリエステル系樹脂のガラス転移温度の測定に関しては、前述の方法に従って測定した。
[0176]<ポリエステル系樹脂の製造>
以下の製造例で記載するモルとは、多価カルボン酸類(a1)の合計量を100モル%とした場合のモル比を示す。
続きを表示(全19行)
[0177]〔ポリエステル系樹脂Iの製造〕
加熱装置、温度計、撹拌機、精留塔、窒素導入管および真空装置の付いた反応缶に、多価カルボン酸類(a1)としてイソフタル酸(IPA)〔非対称の芳香族ジカルボン酸類〕66.3部(20モル%)およびセバシン酸(SebA)322.9部(80モル%)、ポリオール(a2)としてネオペンチルグリコール(NPG)〔分岐構造含有ポリオール〕207.9部(100モル%)、1,4-ブタンジオール(1.4BG)〔直鎖ポリオール〕89.9部(50モル%)、およびトリメチロールプロパン(TMP)4.0部(1.5モル%)、水添ポリブタジエンポリオール(日本曹達社製、「GI-1000」)〔水添ポリブタジエン構造含有化合物〕9.0部(0.3モル%)、触媒として酢酸亜鉛0.05部を仕込み、内温250℃まで徐々に温度を上げ、4時間かけてエステル化反応を行った。
その後、内温260℃まで上げ、触媒としてテトラブチルチタネート0.05部を仕込み、1.33hPaまで減圧し、3時間かけて重合反応を行い、ポリエステル系樹脂Iを製造した。
得られたポリエステル系樹脂Iのガラス転移温度は-46.8℃、出来上がり成分由来の構造単位比(以下、「出来上がり成分比」と略すことがある)は、多価カルボン酸類(a1)としてイソフタル酸/セバシン酸=20モル%/80モル%、ポリオール(a2)としてネオペンチルグリコール/1,4-ブタンジオール/トリメチロールプロパン/水添ポリブタジエンポリオール=64.5モル%/33.7モル%/1.5モル%/0.3モル%であった。
ポリエステル系樹脂I中の水添ポリブタジエン構造含有化合物由来の構造単位の含有量は1.7重量%、芳香環構造含有化合物由来の構造単位の含有量は10重量%であった。
・・・
[0185]得られたポリエステル系樹脂の樹脂組成(出来上がり成分由来の構造単位)およびガラス転移温度(Tg)の結果を下記表1に併せて示す。
[0186]
[表1]
[図:0001433124000005.jpg]
[0187]<ポリエステル系粘着剤組成物の製造>
上記で得られた各ポリエステル系樹脂を用いて下記実施例および比較例のポリエステル系粘着剤組成物を製造した。
[0188]
(実施例1)
上記で得られたポリエステル系樹脂Iをトルエンで固形分濃度50%に希釈し、このポリエステル系樹脂I溶液200部(固形分として100部)に対し、加水分解抑制剤(日清紡ケミカル社製、「カルボジライトV-09BG」)1部(固形分)、および架橋剤としてトリメチロールプロパン/トリレンジイソシアネート付加物(東ソー社製、「コロネートL55E」)3部(固形分)、ウレタン化触媒としてアセチルアセトンで固形分濃度1%に希釈したジルコニウム系化合物(マツモトファインケミカル社製、「オルガチックスZC-150」)0.01部(固形分)配合し、撹拌、混合することにより、ポリエステル系粘着剤組成物を得た。」

第5 申立人Aが申し立てた理由(進歩性)についての当審の判断

1 甲A1に記載された発明

甲A1(前記第4の1参照。)の[0065][表4]の実施例20に着目し、塗布液の組成について、同[0060]、[0061]の記載を、ポリエステル樹脂(A1)について、同[0057][表1]の調製例1の記載を、ポリエステル樹脂(B5)について、同[0058][表2]の調製例20の記載を参酌すれば、甲A1には次の発明(以下「甲A1発明」)が記載されているものと認められる。

(甲A1発明)

「テレフタル酸、イソフタル酸、セバシン酸、エチレングリコール、ネオペンチルグリコールを反応させて得たポリエステル樹脂(A1)60重量部と、テレフタル酸、イソフタル酸、アジピン酸、1,4ブタンジオール、ポリオキシエチレンビスフェノールAエーテルを反応させて得たポリエステル樹脂(B5)40重量部とからなるガラス転移温度が-19℃であるポリエステル樹脂を、トルエンとメチルエチルケトンの混合溶剤(トルエン/メチルエチルケトン=8/2(質量比))に添加し、ペイントシェイカーで振盪して、混合溶剤中にポリエステル樹脂を30質量%含有する塗布液であり、ポリエステル樹脂(A1)の結晶融解熱量が検出されず、ポリエステル樹脂(B5)の結晶融解熱量が1.2J/gである塗布液。」

2 本件発明1について

(1)対比

甲A1発明の「ポリエステル樹脂(A1)」は、本件発明1の「多価カルボン酸類(a1)」に相当する「テレフタル酸、イソフタル酸、セバシン酸」、及び、本件発明1の「ポリオール(a2)」に相当する「エチレングリコール、ネオペンチルグリコール」を含むものである。

また、甲A1発明の「ポリエステル樹脂(B5)」は、本件発明1の「多価カルボン酸類(a1)」に相当する「テレフタル酸、イソフタル酸、アジピン酸」、及び、本件発明1の「ポリオール(a2)」に相当する「1,4ブタンジオール、ポリオキシエチレンビスフェノールAエーテル」を含むものである。

そうすると、甲A1発明の「ポリエステル樹脂」は、多価カルボン酸成分及びグリコール成分から構成されるポリエステル樹脂(A1)60重量部と、多価カルボン酸成分及びグリコール成分から構成されるポリエステル樹脂(B5)40重量部とからなるため、本件発明1の「多価カルボン酸類(a1)由来の構造単位およびポリオール(a2)由来の構造単位を有するポリエステル系樹脂(A)」に相当する。

また、甲A1発明の「ガラス転移温度が-19℃であるポリエステル樹脂」は、結晶融解熱量が検出されないポリエステル樹脂(A1)と、結晶融解熱量が1.2J/gのポリエステル樹脂(B5)とからなるため、本件発明1の「上記ポリエステル系樹脂(A)のガラス転移温度が-80~20℃、結晶融解熱が3J/g以下であり」を充足する。

そして、甲A1発明の「混合溶剤中にポリエステル樹脂を30質量%含有する塗布液」は、甲A1の[0060]を参酌すると、基材であるポリエステルフィルム(ユニチカ社製S-50、厚さ50μm、内面コロナ処理、外面非コロナ処理)上に形成される塗膜として用いられるとともに、当該塗膜上に、他の基材であるポリエステルフィルム(ユニチカ社製S-50、厚さ50μm、内面コロナ処理、外面非コロナ処理)が積層され積層体が作製されているため、粘着剤として用いられているといえる。そうすると、甲A1発明の「混合溶剤中にポリエステル樹脂を30質量%含有する塗布液」は、本件発明1の「ポリエステル系粘着剤組成物」に相当する。

してみると、本件発明1と甲A1発明は、

「多価カルボン酸類(a1)由来の構造単位およびポリオール(a2)由来の構造単位を有するポリエステル系樹脂(A)を含有し、
上記ポリエステル系樹脂(A)のガラス転移温度が-80~20℃、結晶融解熱が3J/g以下であることを特徴とするポリエステル系粘着剤組成物。」の点で一致し、以下の点(「相違点A-1」)で相違する。

(相違点A-1)

本件発明1は、「数平均分子量が400~8000の石油樹脂系粘着付与剤(B)を含有し、

上記数平均分子量が400~8000の石油樹脂系粘着付与剤(B)の含有量が、ポリエステル系樹脂(A)100重量部に対して0.01~50重量部である」のに対し、甲A1発明は、数平均分子量が400~8000の石油樹脂系粘着付与剤(B)を含有していない点。

(2) 相違点A-1について検討する。

甲A1(前記第4の1参照。)の[0040]には、ポリエステル樹脂に粘着付与剤を含有してもよいことが記載されているものの、粘着付与剤として、数平均分子量が400~8000の石油樹脂系粘着付与剤(B)を含有することは記載されていない。

この点、甲A2(前記第4の1参照。)の【0022】には、ポリエステル系接着剤組成物の溶融粘度、溶融温度を下げるために、ポリエステル樹脂に粘着付与剤樹脂として、石油樹脂等をポリエステル樹脂100重量部に対して、0~148重量部、好ましくは0~96重量部配合することが記載されている。また、同【0037】【表1】、【0038】には、実施例2、3として、イソプロペニルトルエン系樹脂(三井石油化学工業(株)製,FTR6100)をポリエステル樹脂100重量部に対して、10重量部又は9重量部配合したものが記載されており、ここで、該イソプロペニルトルエン系樹脂(三井石油化学工業(株)製,FTR6100)は、本件発明1において具体的に用いられている数平均分子量が400~8000の石油樹脂系粘着付与剤(B)である。

しかしながら、甲A2には、各種被着体に対する粘着力、保持力及びタック性に優れるポリエステル系粘着剤組成物を得るために、数平均分子量が400~8000の石油樹脂系粘着付与剤(B)をポリエステル系樹脂(A)100重量部に対して0.01~50重量部含有させることについては記載されていない以上、甲A1発明において、イソプロペニルトルエン系樹脂(三井石油化学工業(株)製,FTR6100)のような数平均分子量が400~8000の石油樹脂系粘着付与剤(B)をポリエステル系樹脂(A)100重量部に対して0.01~50重量部含有させる動機付けがあるとはいえない。

また、本件特許明細書に記載される実施例1~4と比較例2(数平均分子量が400~8000の石油樹脂系粘着付与剤(B)をポリエステル系樹脂(A)100重量部に対して100重量部含有)、比較例3、4(粘着付与剤がテルペンフェノール系粘着付与剤)、及び比較例5、6(数平均分子量が370の石油樹脂系粘着付与剤(B))を対比すると、「数平均分子量が400~8000の石油樹脂系粘着付与剤(B)の含有量が、ポリエステル系樹脂(A)100重量部に対して0.01~50重量部である」とすることで、各種被着体に対する粘着力、保持力及びタック性が好ましいものになるという効果に臨界的意義が認められるところ、本件発明の有する効果は、甲A1~甲A5には、記載も示唆もされていないから、本件発明1により、本件発明1の構成から当業者が予測できない顕著な効果が奏されたと認められる。

してみると、本件発明1は、甲A1に記載された発明、甲A1~甲A5に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

3 本件発明2~11について

本件発明2~11は、いずれも本件発明1を全て包含し、それぞれ個別の技術事項を追加したものである。そうすると、本件発明2~11は、前記2(2)に示した理由と同様の理由により、甲A1に記載された発明、甲A1~甲A5に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

4 申立人Aの主張

申立人Aは、特許異議申立書17頁35行~38行において、「甲1発明と甲2記載事項とは課題が共通している。そして、低温での接着加工性をさらに向上させる目的で、甲1発明に甲2記載事項を適用することには、十分に動機付けとなる事情が存在する。」と主張している。

そこで検討すると、前記2(2)で検討したとおり、甲A1に記載された発明に甲A2に記載された事項を適用する動機付けがあるとはいえない。仮に、甲A1に記載された発明に甲A2に記載された事項を適用する動機付けがあるとしても、前記2(2)に示したとおり、本件発明の有する効果は、甲A1~甲A5には、記載も示唆もされていないから、本件発明1により、本件発明1の構成から当業者が予測できない顕著な効果が奏されたと認められる。

また、申立人Aは、本件発明の有する効果について、特許異議申立書に記載していない。

したがって、前記申立人Aの主張は採用できない。

第6 申立人Bが申し立てた理由(進歩性)についての当審の判断

1 甲B1に記載された発明

甲B1(前記第4の3参照。)の[0188]の実施例1に着目し、ポリエステル系樹脂Iについて、同[0177]、[0186][表1]の記載を参酌すれば、甲B1には次の発明(以下「甲B1発明」)が記載されているものと認められる。

(甲B1発明)

「多価カルボン酸類(a1)としてイソフタル酸、セバシン酸及びポリオール(a2)としてネオペンチルグリコール、1,4-ブタンジオール、トリメチロールプロパン、水添ポリブタジエンポリオールを反応させて得たガラス転移温度が-46.8℃であるポリエステル系樹脂Iをトルエンで固形分濃度50%に希釈し、このポリエステル系樹脂I溶液200部(固形分として100部)に対し、加水分解抑制剤(日清紡ケミカル社製、「カルボジライトV-09BG」)1部(固形分)、および架橋剤としてトリメチロールプロパン/トリレンジイソシアネート付加物(東ソー社製、「コロネートL55E」)3部(固形分)、ウレタン化触媒としてアセチルアセトンで固形分濃度1%に希釈したジルコニウム系化合物(マツモトファインケミカル社製、「オルガチックスZC-150」)0.01部(固形分)配合し、撹拌、混合することにより得られるポリエステル系粘着剤組成物。」

2 本件発明1について

(1)対比

甲B1発明の「ガラス転移温度が-46.8℃であるポリエステル系樹脂I」は、本件発明1の「多価カルボン酸類(a1)」である「イソフタル酸、セバシン酸」、及び、本件発明1の「ポリオール(a2)」である「ネオペンチルグリコール、1,4-ブタンジオール、トリメチロールプロパン、水添ポリブタジエンポリオール」を反応させて得たものであるため、本件発明1の「多価カルボン酸類(a1)由来の構造単位およびポリオール(a2)由来の構造単位を有するポリエステル系樹脂(A)」に相当するとともに、本件発明1の「上記ポリエステル系樹脂(A)のガラス転移温度が-80~20℃」を充足する。

また、甲B1発明の「ポリエステル系粘着剤組成物」は、本件発明1の「ポリエステル系粘着剤組成物」に相当する。

してみると、本件発明1と甲B1発明は、

「多価カルボン酸類(a1)由来の構造単位およびポリオール(a2)由来の構造単位を有するポリエステル系樹脂(A)を含有し、
上記ポリエステル系樹脂(A)のガラス転移温度が-80~20℃であることを特徴とするポリエステル系粘着剤組成物。」の点で一致し、以下の点(「相違点B-1」、「相違点B-2」)で相違する。

(相違点B-1)

本件発明1は、「数平均分子量が400~8000の石油樹脂系粘着付与剤(B)を含有し、

上記数平均分子量が400~8000の石油樹脂系粘着付与剤(B)の含有量が、ポリエステル系樹脂(A)100重量部に対して0.01~50重量部である」のに対し、甲B1発明は、数平均分子量が400~8000の石油樹脂系粘着付与剤(B)を含有していない点。

(相違点B-2)

本件発明1は、「ポリエステル樹脂系樹脂(A)の」「結晶融解熱が3J/g以下である」ことが特定されているのに対し、甲B1発明は、ポリエステル系樹脂Iの結晶融解熱が不明である点。

(2)事案に鑑み、相違点B-1について検討する。

甲B1(前記第4の3参照。)の[0132]には、粘着剤組成物に粘着付与剤を含有してもよいことが記載されているものの、粘着付与剤として、数平均分子量が400~8000の石油樹脂系粘着付与剤(B)を含有することは記載されていない。

この点、甲B2(前記第4の1参照。)の【0022】には、ポリエステル系接着剤組成物の溶融粘度、溶融温度を下げるために、ポリエステル樹脂に粘着付与剤樹脂として、石油樹脂等をポリエステル樹脂100重量部に対して、0~148重量部、好ましくは0~96重量部配合することが記載されている。また、同【0037】【表1】、【0038】には、実施例2、3として、イソプロペニルトルエン系樹脂(三井石油化学工業(株)製,FTR6100)をポリエステル樹脂100重量部に対して、10重量部又は9重量部配合したものが記載されており、ここで、該イソプロペニルトルエン系樹脂(三井石油化学工業(株)製,FTR6100)は、本件発明1において具体的に用いられている数平均分子量が400~8000の石油樹脂系粘着付与剤(B)である。

しかしながら、甲B2には、各種被着体に対する粘着力、保持力及びタック性に優れるポリエステル系粘着剤組成物を得るために、数平均分子量が400~8000の石油樹脂系粘着付与剤(B)をポリエステル系樹脂(A)100重量部に対して0.01~50重量部含有させることについては記載されていない以上、甲B1発明において、イソプロペニルトルエン系樹脂(三井石油化学工業(株)製,FTR6100)のような数平均分子量が400~8000の石油樹脂系粘着付与剤(B)をポリエステル系樹脂(A)100重量部に対して0.01~50重量部含有させる動機付けがあるとはいえない。

また、本件特許明細書に記載される実施例1~4と比較例2(数平均分子量が400~8000の石油樹脂系粘着付与剤(B)をポリエステル系樹脂(A)100重量部に対して100重量部含有)、比較例3、4(粘着付与剤がテルペンフェノール系粘着付与剤)、及び比較例5、6(数平均分子量が370の石油樹脂系粘着付与剤(B))を対比すると、「数平均分子量が400~8000の石油樹脂系粘着付与剤(B)の含有量が、ポリエステル系樹脂(A)100重量部に対して0.01~50重量部である」とすることで、各種被着体に対する粘着力、保持力及びタック性が好ましいものになるという効果に臨界的意義が認められるところ、本件発明の有する効果は、甲B1~甲B2には、記載も示唆もされていないから、本件発明1により、本件発明1の構成から当業者が予測できない顕著な効果が奏されたと認められる。

してみると、相違点B-2について検討するまでもなく、本件発明1は、甲B1に記載された発明、甲B1~甲B2に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

3 本件発明2~11について

本件発明2~11は、いずれも本件発明1を全て包含し、それぞれ個別の技術事項を追加したものである。そうすると、本件発明2~11は、前記2(2)に示した理由と同様の理由により、甲B1に記載された発明、甲B1~甲B2に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

4 申立人Bの主張

申立人Bは、特許異議申立書10頁18行~21行において、「甲1発明と甲第二号証に記載の発明とは課題が共通している。そして、ポリオレフィン基材に対する接着性を向上させる目的で、甲1発明に甲2記載事項を適用することには、十分に動機付けとなる事情が存在する。」と主張している。

そこで検討すると、前記2(2)で検討したとおり、甲B1に記載された発明に甲B2に記載された事項を適用する動機付けがあるとはいえない。仮に、甲B1に記載された発明に甲B2に記載された事項を適用する動機付けがあるとしても、前記2(2)に示したとおり、本件発明の有する効果は、甲B1~甲B2には、記載も示唆もされていないから、本件発明1により、本件発明1の構成から当業者が予測できない顕著な効果が奏されたと認められる。

また、申立人Bは、本件発明の有する効果について、特許異議申立書に記載していない。

したがって、前記申立人Bの主張は採用できない。

第7 むすび

以上のとおりであるから、申立人A、Bによる特許異議申立書の理由及び証拠によっては、本件特許の請求項1~11に係る特許を取り消すことはできない。

また、他に請求項1~11に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり決定する。

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2025-701020

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