特許異議申立
2025-700941
RFIDタグ
- 審判番号
- 2025-700941
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2024-083447
- 登録番号
- 7659933
- 請求日
- 2025年09月30日
- 審決日
- 2025年12月25日
- 公報発行日
- 2026年02月27日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】ナクシス株式会社
- 【権利者代理人】弁理士法人みのり特許事務所
- 【異議申立人】佐藤 雅彦
- 審判長/審判官
- 審判長 林 毅
- 審判官 山崎 慎一
- 審判官 西村 直史
- 分類
- P1651.121-Y (G06K)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7659933号発明「RFIDタグ」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7659933号の請求項1-8に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本件特許第7659933号の請求項1-8に係る特許(以下、「本件特許」という。)についての出願は、令和6年5月22日に出願され、令和7年4月2日にその特許権の設定登録がされ、令和7年4月10日に特許掲載公報が発行された。
その後、その特許に対し、令和7年9月30日に特許異議申立人 佐藤雅彦(以下、単に「申立人」という。)は、特許異議申立書を提出して特許異議の申立てを行った。
第2 本件特許発明
特許第7659933号の請求項1-8の特許に係る発明(以下、「本件特許発明1」から「本件特許発明8」という。)は、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1-8に記載された事項により特定される次のとおりのものである。なお、本件特許発明7及び8に付した分説記号(「7A」等)は、当審が参照のために付与したものであり、以下、分説記号を付した構成を、「構成要件7A」などという。
1 本件特許発明1
柔軟性を有するシートによって構成された基材と、
ICチップと、
柔軟性を有する導体箔で構成され、パッチアンテナを有し、前記ICチップに接続され、前記基材上に配置されるアンテナと、を備え、
前記パッチアンテナおよび前記基材を厚み方向に貫き上下方向に延びるとともに左右方向に間隔をおいて配置された複数の第1切れ込み、または前記複数の第1切れ込みを形成可能に構成された複数のミシン目を有し、
前記複数の第1切れ込みに棒状材を通されることにより、前記棒状材に保持される、RFIDタグ。
2 本件特許発明2
前記第1切れ込みまたは前記ミシン目の上下端の一方または両方から連続し、左右方向に延びる第2切れ込みをさらに有する、請求項1に記載のRFIDタグ。
3 本件特許発明3
前記第2切れ込みと、前記第1切れ込みまたは前記ミシン目との連続部分は、弧状に形成されている、請求項2に記載のRFIDタグ。
4 本件特許発明4
前記第2切れ込みの端部から連続し、上下方向中央に延びる第3切れ込みをさらに有する、請求項3に記載のRFIDタグ。
5 本件特許発明5
前記第3切れ込みの端部は、左右方向に延びる弧状に形成されている、請求項4に記載のRFIDタグ。
6 本件特許発明6
前記棒状材は、眼鏡のテンプルである、請求項5に記載のRFIDタグ。
7 本件特許発明7
7A ICチップおよび基材とともにRFIDタグを構成するアンテナであって、
7B 柔軟性を有する導体箔によって構成され、
7C 厚み方向に貫き上下方向に延びるとともに左右方向に間隔をおいて配置された複数の切れ込み、または前記複数の切れ込みを形成可能に構成された複数のミシン目を有するパッチアンテナを有し、
7D 厚み方向に貫き上下方向に延びるとともに左右方向に間隔をおいて配置された複数の切れ込み、または当該複数の切れ込みを形成可能に構成された複数のミシン目を有する柔軟性のあるシートで構成された前記基材に、前記パッチアンテナの切れ込みと前記基材の切れ込みとが重なるように配置されることにより、前記パッチアンテナおよび前記基材を厚み方向に貫く複数の切れ込みであって棒状材を通されることにより前記RFIDタグを前記棒状材に保持させる複数の切れ込みを前記RFIDタグに備えさせる、アンテナ。
8 本件特許発明8
8A ICチップと、前記ICチップに接続されたアンテナとともにRFIDタグを構成する基材であって、
8B 柔軟性を有するシートによって構成されており、
8C 厚み方向に貫き上下方向に延びるとともに左右方向に間隔をおいて配置された複数の第1切れ込み、または当該複数の第1切れ込みを形成可能に構成された複数のミシン目と、
8D 前記第1切れ込みまたは前記ミシン目の上下端の一方または両方から連続し、左右方向に延びる第2切れ込みと、
8E 前記第2切れ込みの端部から連続し、上下方向中央に延びる第3切れ込みと、を有し、
8F 柔軟性を有する導体箔によって構成されパッチアンテナを有し当該パッチアンテナの厚み方向に貫く複数の切れ込みを有する前記アンテナを、前記アンテナの切れ込みと、少なくとも前記第1切れ込みとが重なった状態で配置されることにより、前記パッチアンテナおよび前記基材を厚み方向に貫く複数の切れ込みであって棒状材を通されることにより前記RFIDタグを前記棒状材に保持させる複数の切れ込みを前記RFIDタグに備えさせる、基材。
第3 特許異議の申立ての理由及び証拠方法
1 申立理由
(特許異議申立書第14~15ページ)
特許法第29条第2項について(同法第113条第2号)
・請求項1,2,6,7について
本件特許発明1,2,6,7は、甲1発明及び甲2発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
・請求項3-5,8について
本件特許発明3-5,8は、甲第1号証と甲第2号証と周知技術との組み合わせから容易に発明をすることができたものである。
2 証拠方法
甲第1号証:特許第7403901号公報
甲第2号証:特開2020-107250号公報
甲第3号証:意匠登録第1713373号
甲第4号証:実開平6-84476号公報
なお、以下において、上記甲第1号証から甲第4号証を、単に「甲1」から「甲4」という場合がある。
第4 引用文献の記載事項、引用発明
1 甲第1号証
(1)甲1記載事項
甲1には、次の事項が記載されている。(下線は当審で付加。以下同様。)
「【0001】
本発明は、アンテナおよびICチップを備えていて眼鏡のツル等の棒状体に設置されるタグおよびその設置方法に関するものであり、詳しくは読み取り効率の向上を実現できるタグおよびその設置方法に関するものである。」
「【0011】
図1および図2に例示するようにタグ1は、上下方向yおよび左右方向xに延在する平板状の基材2と、基材2に配置されるインレイ3とを備えている。基材2は、厚さ方向zに見通す平面視で略長方形または略正方形に形成されている。基材2の形状は上記に限定されない。基材2の形状は、例えば平面視で三角形や五角形等の多角形に形成されても良く、円形に形成されてもよい。基材2は、紙、又は樹脂、又は紙と樹脂とを積層したもの等で構成される。
【0012】
インレイ3は、樹脂製のフィルム4と、このフィルム4に配置されるICチップ5および第一アンテナ6および第二アンテナ7を有している。図1および図2では、説明のため第一アンテナ6および第二アンテナ7の範囲に斜線を付してある。
【0013】
この実施形態ではインレイ3は、基材2の表面側に固定されている。インレイ3は、基材2の裏面側に配置されても良い。またインレイ3は、基材2を構成する複数枚の紙や樹脂により表面側および裏面側を覆われる構成であってもよい。つまり紙等により複数の層で構成される基材2の中間層にインレイ3が配置されてもよい。またインレイ3は、紙製の基材2の表面側に配置された後に、樹脂製フィルムで覆われる構成としてもよい。
【0014】
図3に例示するようにインレイ3は、例えば樹脂製のフィルム4と、このフィルム4に固定されるICチップ5と、フィルム4の上に形成されて一端をICチップ5に接続され他端を開放端とする第一アンテナ6と、フィルム4の上に形成されて一端をICチップ5に接続されて他端を開放端とする第二アンテナ7とを有している。
【0015】
この実施形態ではICチップ5を基準として、上下方向yの下方側に第一アンテナ6が配置されて、上方側に第二アンテナ7が配置されている。図3では説明のため第一アンテナ6の範囲および第二アンテナ7の範囲をそれぞれ破線で囲って示している。この実施形態のICチップ5は、フィルム4の上下方向yにおける中心部分より上方側に配置されている。
【0016】
本発明においてインレイ3の構成は上記に限定されない。一般に流通している周知のインレイを利用してもよい。第一アンテナ6および第二アンテナ7のレイアウトは図3等に記載の形状に限定されない。ICチップ5を基準として下方側に第一アンテナ6の大部分が配置され、上方側に第二アンテナ7の大部分が配置される構成を有していればよい。大部分とは、平面視における第一アンテナ6または第二アンテナ7の面積のうち例えば70%以上となる部分を言う。望ましくは面積の90%以上となる部分を大部分と言う。そのため図3に例示するように平面視において第二アンテナ7の一部分が、ICチップ5の下方側となることが許容される。同様に第一アンテナ6の一部分が、ICチップ5の上方側となる状態に配置されていてもよい。
【0017】
タグ1は、フィルム4を有さない構成であってもよい。この場合は基材2に直接ICチップ5、第一アンテナ6および第二アンテナ7が配置される構成であってもよい。この場合、インレイ3は、ICチップ5、第一アンテナ6および第二アンテナ7から成るとも言える。
【0018】
図1および図2に例示するように基材2は、眼鏡のツル等で構成される棒状体を保持可能に構成される保持構造8を有している。この実施形態では保持構造8は、基材2の左右方向xに間隔をあけて形成される一対の貫通部8aで構成されている。貫通部8aは、基材2を表面側から裏面側に貫通する構成を有している。貫通部8aは平面視で例えば略三角形となる状態に形成される。例えば貫通部8aは、頂点が互いに向き合い底辺が左右方向xの外側にそれぞれ配置される状態で形成されている。また貫通部8aは三角形の頂点は切り取られて、厳密には台形となる形状であってもよい。本明細書において図1に例示される貫通部8aは、略三角形に含まれる形状と言える。
【0019】
保持構造8は、左右方向xを軸方向とする棒状体を保持可能に構成されて且つ第一アンテナ6の近傍に配置される構成を有していればよい。図1に例示する実施形態では左右方向xにおいて、一対の貫通部8aの間となる位置に第一アンテナ6が配置される構成となる。第一アンテナ6は、左右方向xにおいて一対の貫通部8aの外側となる範囲に広がっていてもよい。
【0020】
保持構造8により保持される棒状体は、眼鏡のツルに限定されない。棒状体は、例えば鉛筆やボールペン等の筆記用具、電気や信号を流すためのケーブルで構成されてもよい。また棒状体は本発明の構成要件ではない。
【0021】
図1に例示するように第一アンテナ6は、保持構造8の近傍に形成される接続部6aを有している。図3では説明のため接続部6aの範囲を一点鎖線で囲って示している。ここで保持構造8の近傍とは、接続部6aが、保持構造8に保持される棒状体との間で容量結合などの電気的な接続を実現可能とする位置を言う。接続部6aは、棒状体と直接接触してもよく、直接接触しなくてもよい。この実施形態では接続部6aは、第一アンテナ6の途中部分に形成されている。第一アンテナ6の途中部分とは、第一アンテナ6の開放端となる終端部を含まない範囲を言う。
【0022】
次にタグ1の設置方法について説明する。図4に例示するように、タグ1の保持構造8が、眼鏡9のツルを構成する棒状体9aを保持することで、棒状体9aにタグ1が設置される(設置ステップ)。この実施形態では保持構造8を構成する一方の貫通部8aに対して、棒状体9aが裏面側から表面側に貫通して、その後、他方の貫通部8aに対して棒状体9aが表面側から裏面側に貫通する。これにより棒状体9aの一部がタグ1の表面側となり、他の部分がタグ1の裏面側に配置される状態となる。
【0023】
接続部6aを介して第一アンテナ6が棒状体9aに近接する状態で配置される(接続ステップ)。棒状体9aが導体の場合は、接続ステップにより接続部6aと棒状体9aとが電気的に接続される。接続ステップは、設置ステップと同時に実行されてもよい。」
「【図1】
[図:0001432099000001.jpg]
」
「【図2】
[図:0001432099000002.jpg]
」
「【図5】
[図:0001432099000003.jpg]
」
「【0035】
保持構造8を構成する貫通部8aの形状は、図1等に例示する形状に限定されない。図10に例示するように一対の貫通部8aは、左右方向xにおいて頂点が内側となり底辺が外側となる一対の三角形により構成されてもよい。また一対の貫通部8aは、左右方向xにおいて上底が外側となり下底が内側となる一対の台形により構成されてもよい。貫通部8aは長方形により構成されてもよい。貫通部8aは、一対の切り込み(スリット)により構成されてもよい。貫通部8aが切り込みにより構成される場合は、基材2は型で打ち抜かれず、切り込みが入れられるだけである。図11に例示するように一対の貫通部8aは、上端が互いに近づく方向に傾いた一対の切り込み(スリット)により構成されてもよい。一対の切り込みは下端が互いに近づく方向に傾いていてもよい。また切り込みの傾きの大きさは適宜決定できる。一対の貫通部8aは一対の円形により構成されてもよい。一対の貫通部8aは一対の半円形により構成されてもよい。貫通部8aが半円形により構成される場合は、円弧となる部分が一対の貫通部8aの内側となる状態でも良く、外側となる状態でもよい。
【0036】
保持構造8は図10および図11に例示するいずれの形状であっても、棒状体9aに対するタグ1の回転を抑制したり接続部6aの接続を良好にしたりする効果が得られる。貫通部8aの形状が略三角形や台形の場合は、棒状体9aが、上下方向yにおける貫通部8aの中心または上下端の一方に寄った状態となりやすい。接続部6aに対して棒状体9aは、ほぼ決まった位置で接続することができる。異なる太さの棒状体9aに設置される場合や、棒状体9aの太さが左右方向xにおいて途中で変化する場合であっても、タグ1を棒状体9aに適切に設置することが可能となる。また保持構造8は、上下方向yにおいてタグ1の中心部よりも下方側に形成されることが望ましい。棒状体9aから上方側に突出した位置に、第二アンテナ7が配置される構成にできるからである。この構成によれば、第二アンテナ7に到達すべき電波が、棒状体9aにより遮蔽される可能性を低減できる。
【0037】
左右方向xにおいて、一対の貫通部8aの間の長さL1は、基材2の長さL0の50%以上であることが望ましい。ここで一対の貫通部8aの間の長さL1とは、基材2の左方に位置する貫通部8aの右側端部と、右方に位置する貫通部8aの左側端部との間の長さを言う。一対の貫通部8aの間の長さL1は、左右方向xと平行となる方向において一対の貫通部8aの間の距離が最も近くなる部分の長さとも言える。
【0038】
この構成によれば一対の貫通部8aに棒状体9aを通過させた際に、基材2において一対の貫通部8aの間となる部分よりも一対の貫通部8aの外側となる部分の方が短いため、基材2の外側となる部分の方が厚さ方向zに変形しやすくなる。図12に例示するように、一対の貫通部8aの外側となる部分よりも強度の高い内側となる部分の変形を抑制できる。基材2とともにインレイ3が変形して、棒状体9aから接続部6aが離れる方向に移動することを抑制しやすくなる。一対の貫通部8aの間の部分が湾曲せずに平板状である状態を維持する方が、棒状体9aと接続部6aとの電気的な接続を良好に維持できる。
【0039】
左右方向xにおいて、一対の貫通部8aの外側となる部分に接続部6aが形成される場合は、一対の貫通部8aの間の長さL1が長さL0の50%より小さく設定されてもよい。長さL0および長さL1は、棒状体9aを配置した際に接続部6aが変形し難くなる範囲で設定することが望ましい。
【0040】
接続部6aの変形を抑制するために、左右方向xにおいて基材2の強度が異なる構成としてもよい。例えば一対の貫通部8aの内側の部分の強度よりも、一対の貫通部8aの外側の部分の強度が小さくなる状態に、基材2が構成されてもよい。具体的には、平板状の紙または樹脂を積層させて基材2を構成して、一対の貫通部8aの内側と外側とで積層される枚数が異なる状態とする。または一対の貫通部8aの内側と外側とで、基材2の材質が異なる状態としてもよい。
【0042】
図13に例示するように保持構造8が、貫通部8aに加えて、この貫通部8aに対応する蓋部8bを備えていてもよい。基材2から貫通部8aを打ち抜く際に、一部が基材2との連結を維持した状態とすることで蓋部8bが形成される。保持構造8に対して棒状体9aが移動する際に蓋部8bと接触して抵抗が発生する。棒状体9aと接続部6aとの相対位置が変化することを抑制するには有利である。また棒状体9aからタグ1が外れてしまう不具合を回避するには有利である。
【0043】
接続部6aは第一アンテナ6の途中部分に形成される構成に限定されない。接続部6aは第一アンテナ6の開放端となる終端部に形成されてもよい。接続部6aの位置を第一アンテナ6の途中部分とする方が、上下方向yにおいて基材2の下端から離れた位置に保持構造8を配置できる。そのため棒状体9aの大きさに合わせて保持構造8を上下方向yに比較的大きく形成することが可能となる。上下方向yの大きさが異なる複数の棒状体9aに対して、適用可能なタグ1を提供することが可能となる。また大きさの異なる複数の棒状体9aに対して、接続部6aと良好な接触を実現できるタグ1を提供することが可能となる。」
「【図10】
[図:0001432099000004.jpg]
」
「【図11】
[図:0001432099000005.jpg]
」
「【図13】
[図:0001432099000006.jpg]
」
(2)甲1発明
段落【0011】、【0038】の記載(主に下線部)及び図5から、基材2は柔軟性を有するものと認められる。
段落【0017】の記載(主に下線部)には、ICチップ5、第一アンテナ6、第二アンテナ7が、インレイ3の有するフィルム4上に形成されるのではなく、基材2に直接配置されてインレイ3と成る例について記載されている。
図10の右下の例、図11の左上の例、図13には、基材2の貫通部8aが、貫通孔となるのではなく、切れ込み状になっている例について記載されているものと認められる。また特に図10の右下の例には、貫通部8aが上下方向に延びる一対の切れ込み状になっている例について記載されているものと認められる。
そうすると、甲1には、次の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。
「柔軟性を有する平板状の基材2と、
基材2上に配置され互いに接続される、ICチップ5と、第一アンテナ6と、第二アンテナ7とを備え、
基材2の左右方向に間隔をあけて上下方向に延びて形成される切れ込み状の貫通部8aを有し、
一方の貫通部と他の貫通部を棒状材が貫通することにより、眼鏡のツル等で構成される棒状材を保持可能に構成される、タグ1。」
2 甲第2号証
甲2には、次の事項が記載されている。
「【0004】
RFID媒体の中には、媒体の一部が切り離しやすいように、所定の長さの切れ込み部分と所定の長さの切れ込みがない部分が交互に繰り返す加工(いわゆるミシン目加工)による切取線が形成されたRFID媒体がある。使用者は、切取線によって、RFID媒体の一部を容易に切り離すことができる。以下、切れ込み部分をカット部と記し、切れ込みがない部分をアンカット部と記す。」
「【0008】
上述した切取線が形成されたRFID媒体では、アンテナパターンを切取線が横切ると、アンテナパターンが切断される虞がある。そのために、切取線がアンテナを横切らないようにラベル内におけるアンテナパターンの配置が制約を受けていた。アンテナパターンの大きさや長さは、アンテナの交信距離と関係する。よって、アンテナパターンの長さが短くなると、アンテナの交信距離も短くなり、その結果アンテナ性能が影響を受けていた。
【0009】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、切取線によって一部が分離されるRFIDラベル及びRFIDタグにおいて、切取線とアンテナパターンとが重なってもアンテナ性能を維持できるRFIDラベル及びRFIDタグを提供することを目的とする。」
「【0015】
図1は、第1実施形態に係るRFIDラベル100の一部を切り欠いて示す平面模式図であり、図2は、本発明の第1実施形態に係るRFIDラベル100のI-I線における断面図である。
【0016】
RFIDラベル100は、RFIDインレイ1と、RFIDインレイ1に積層された粘着剤40と、粘着剤40に仮着されたセパレータ50と、を備え、切取線11によって、分離することのできるラベルである。
【0017】
本実施形態において、RFIDインレイとは、紙やフィルム等の基材表面に形成したアンテナパターンにRFID仕様のICチップが異方導電性ペーストにより接合されたものである。
【0018】
本実施形態において、アンテナパターンとは、ダイポールアンテナである。
【0019】
RFIDインレイ1は、基材10と、金属箔によって所定のアンテナ長さ及び所定のアンテナ幅で形成され基材10の表面において切取線11の両側に亘って配置されたダイポールアンテナ20と、ダイポールアンテナ20に接続されたICチップ30と、を有する。」
「【図1】
[図:0001432099000007.jpg]
」
「【0030】
続いて、ダイポールアンテナ20の構成と、ダイポールアンテナ20と切取線11の配置関係について説明する。
【0031】
ダイポールアンテナ20は、ICチップ30が接続するICチップ接続部211,212を有するループ部21と、ループ部21から延びる一対のメアンダ22,23を有する。ICチップ接続部211,212には、ICチップ30が接合される。
【0032】
ループ部21は、矩形状に形成されており、ICチップ接続部211,212を有するとともに、後述する一対のメアンダ22,23それぞれの一端部と接続する端部213,214を有する。
【0033】
メアンダ22,23は、図1に示すように、全体として、C方向を振幅方向とし、ループ部21の端部213,214から蛇行しながらD方向へ延びる形状に形成されている。
【0034】
メアンダ22,23は、C方向に延びる複数の長経路部221と、C方向に延び複数の長経路部221よりも幅が広い長経路部222と、D方向に延びる短経路部223と、D方向に延びる中経路部224を有する。メアンダ22,23において、長経路部221,222、短経路部223、中経路部224のそれぞれの端部は、直交方向に接続されている。
【0035】
メアンダ22,23における長経路部221の幅はW2であり、長経路部222の幅はW3であり、短経路部223の幅はW4であり、中経路部224の幅はW5である。
【0036】
長経路部221の幅W2、短経路部223の幅W4、中経路部224の幅W5は、アンテナ放射効率を考慮して所定の長さで設定される。
【0037】
長経路部222の幅W3は、メアンダ22,23が有する他の箇所の幅W2,W4,W5よりも広く形成されており、切取線は、長経路部222に重なる位置にて、基材10とダイポールアンテナ20とを貫通している。
【0038】
メアンダ22,23の長さ(長経路部221,222、短経路部223、中経路部224の長さの合計)や、折り曲げ段数(長経路部221,222、短経路部223、中経路部224の個数)や、曲げの曲率半径は、アンテナ放射効率を考慮して設定される。
【0039】
本実施形態において、メアンダ22,23は左右非対称な形状である。図1に示すように、メアンダ23は、3本の長経路部221と、2本の短経路部223と、1本の中経路部224を有する。また、メアンダ22は、4本の長経路部221と1本の長経路部222と、4本の短経路部223を有する。また、メアンダ22の長経路部222は、ループ部21の端部213に接続されており、ループ部21の一部がメアンダ23の一部を兼ねた形状に形成されている。」
3 甲第3号証
甲3には、以下の事項が記載されている。
「【正面図】
[図:0001432099000008.jpg]
」
「【実施品の一例を示す参考図】
[図:0001432099000009.jpg]
」
4 甲第4号証
甲4には、以下の事項が記載されている。
「【0011】
【実施例】
図1は本考案に係る一実施例の正面図であり、図2は同じく底面図である。
図1に示すように、表面に価格及び商品コードを、裏面にバーコードを記載した値札カード2を挿抜自在に収容する値札ケース1と、該値札ケース1に連設され、左右一対の係止孔31,32を設けた係止部3とよりなる。この実施例では、透明な合成樹脂の基材11の下半部に、同素材の表層材12の上下両辺を封着するようにして値札カード2を左右方向に挿抜自在に収容することのできる値札ケース1となす一方、該基材11の上半部を係止部3としている。
【0012】
また、上記両係止孔31,32は所定間隔を隔てて縦方向に切り込まれており、さらに該係止孔31,32の各両端部には拡開用の切込を形成している。さらに、上記値札ケース1と係止部3との境界位置の左右両端部からほぼ上記係止孔31,32の直下までの長さの切込4を形成している。
【0013】
上記構成の値札をメガネのつるTに装着するには、つるTの端部を、例えば係止孔31から係止部3の裏側にくぐらせ、係止孔32から再び表側にくぐらせるようにして、両係止孔31,32に挿通するようにする。
【0014】
このとき、係止部3は図2に示すようにつるTの内外で緩やかに開いたΩ状に湾曲するが、上記切込4が両係止孔31,32の直下まで形成されているので、値札カード2を収容している値札ケース1は係止部3の湾曲形状には従わず、両係止孔31,32の間隔位置と同じつるTの外側で平面状に保持されることになる。
【0015】
以上のように、この実施例では値札のつるTへの装着・非装着状態に関わらず、値札ケース1が平面状に保持されるので、値札カード2に記載された表示内容を読み取りやすくなる。
【0016】
更に図3は本考案に係る他の実施例の正面図であり、図3(a) に示す例は係止部3の係止孔31,32を相互に「ハ」の字上に形成しており、図3(b) に示す例は係止孔31,32を左右方向に一直線上に間隔をおいて形成している。」
「【図1】
[図:0001432099000010.jpg]
」
「【図3】
[図:0001432099000011.jpg]
」
「【図4】
[図:0001432099000012.jpg]
」
第5 当審の判断
1 本件特許発明について
本件特許発明1は「アンテナ」と「基材」を含む「RFIDタグ」の発明であり、本件特許発明2-6は、本件特許発明1の構成をすべて含む「RFIDタグ」の発明であるところ、本件特許発明7は「アンテナ」に係るサブコンビネーションの発明であり、本件特許発明8は「基材」に係るサブコンビネーションの発明である。
事例に鑑みて、本件特許発明1よりも先に本件特許発明7,8について判断する。
2 本件特許発明7について
(1)発明特定事項について
本件特許発明7は以下のとおり構成される。
7A ICチップおよび基材とともにRFIDタグを構成するアンテナであって、
7B 柔軟性を有する導体箔によって構成され、
7C 厚み方向に貫き上下方向に延びるとともに左右方向に間隔をおいて配置された複数の切れ込み、または前記複数の切れ込みを形成可能に構成された複数のミシン目を有するパッチアンテナを有し、
7D 厚み方向に貫き上下方向に延びるとともに左右方向に間隔をおいて配置された複数の切れ込み、または当該複数の切れ込みを形成可能に構成された複数のミシン目を有する柔軟性のあるシートで構成された前記基材に、前記パッチアンテナの切れ込みと前記基材の切れ込みとが重なるように配置されることにより、前記パッチアンテナおよび前記基材を厚み方向に貫く複数の切れ込みであって棒状材を通されることにより前記RFIDタグを前記棒状材に保持させる複数の切れ込みを前記RFIDタグに備えさせる、アンテナ。
本件特許発明7は「アンテナ」に係るサブコンビネーションの発明であるが、上記7Aと7Dには、他のサブコンビネーションである「基材」についての記載がある。
このうち7Dについては、「前記パッチアンテナ」「を厚み方向に貫く複数の切れ込みであって棒状材を通される」という事項については「アンテナ」の構成を特定しているといえるものの、それ以外の事項は、基材又はRFIDタグの機能又は構造を特定するものであるとしても、「アンテナ」自体の機能又は構造を特定する事項とはいえない。
したがって、7Dの「厚み方向に貫き上下方向に延びるとともに左右方向に間隔をおいて配置された複数の切れ込み、または当該複数の切れ込みを形成可能に構成された複数のミシン目を有する柔軟性のあるシートで構成された前記基材に、前記パッチアンテナの切れ込みと前記基材の切れ込みとが重なるように配置されることにより、」という事項については、以下の対比において本件特許発明7の発明特定事項として扱わない。
(2)対比
本件特許発明7と甲1発明とを対比する。
ア 甲1発明の「ICチップ5」、「基材2」は、本件特許発明7の「ICチップ」、「基材」に相当する。また、甲1発明は「タグ」に係る発明であるが、その構成及び背景技術より、「RFIDタグ」について記載されているものと認められる。
そして、全体として、甲1発明の「タグ1」は、「ICチップ5」と、「基材2」と、「第一アンテナ6」と、「第二アンテナ7」とから構成されるものと認められる。
そうすると、甲1発明の「第一アンテナ6」と「第二アンテナ7」を合わせた構成(以下、「甲1アンテナ」と呼ぶ)は、後述する相違点を除いて、本件特許発明7の「ICチップおよび基材とともにRFIDタグを構成するアンテナ」に相当する。
イ RFIDタグにおけるアンテナは、電磁誘導又は電波を用いてデータを伝送するために導体で構成されることが技術常識であるから、本件特許発明7の「柔軟性を有する導体箔によって構成され」と甲1アンテナとは、「導体によって構成され」ている点において共通する。
(3)一致点及び相違点
よって、本件特許発明7と甲1発明とは、以下の点において一致又は相違する。
[一致点]
導体によって構成され、ICチップおよび基材とともにRFIDタグを構成する、アンテナ。
[相違点]
(相違点7-1)
本件特許発明7の「アンテナ」は柔軟性を有する導体箔によって構成されているのに対し、甲1発明の甲1アンテナは柔軟性を有する導体箔によって構成されているか不明な点。
(相違点7-2)
本件特許発明7の「アンテナ」は「厚み方向に貫き上下方向に延びるとともに左右方向に間隔をおいて配置された複数の切れ込み、または前記複数の切れ込みを形成可能に構成された複数のミシン目を有するパッチアンテナ」を有しているのに対し、甲1発明の甲1アンテナはそのような構成を有していない点。
(相違点7-3)
本件特許発明7は「前記パッチアンテナ」「を厚み方向に貫く複数の切れ込みであって棒状材を通される」との構成を備えるのに対し、甲1発明の甲1アンテナはそのような構成を有していない点。
(4)相違点についての判断
事案に鑑みて、相違点7-2及び相違点7-3について検討する。
甲2には、RFID媒体において、媒体の一部を切り離しやすいようにミシン目加工により切取線を形成すること、切取線が基材10とダイポールアンテナ20とを貫通することが記載されているものの、切取線を形成する複数の切れ込みは切取線として機能するように直線に沿って配置するものであり、「上下方向に延びるとともに左右方向に間隔をおいて配置された複数の切れ込み」については記載も示唆もされていない(相違点7-2)。また、切取線はRFID媒体の一部を切り取る目的で形成されたものであって、棒状材を通されることは記載も示唆もされていない(相違点7-3)。
なお甲3及び甲4の記載事項は、「ICチップおよび基材とともにRFIDタグを構成するアンテナ」すなわち、 RFIDタグに使用されることを前提とした「アンテナ」に関するものではない。よって、甲1発明とは異なる技術分野に属する甲3及び甲4の記載事項を甲1発明に適用することは、当業者といえでも容易に想到することができたとはいえない。
したがって、甲1から甲4には、相違点7-2及び相違点7-3に係る本件特許発明の構成が記載も示唆もされておらず、本件特許発明7は、相違点7-1について検討するまでもなく、甲1から甲4に記載の発明又は周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
3 本件特許発明8について
(1)発明特定事項について
本件特許発明8は以下のとおり構成される。
8A ICチップと、前記ICチップに接続されたアンテナとともにRFIDタグを構成する基材であって、
8B 柔軟性を有するシートによって構成されており、
8C 厚み方向に貫き上下方向に延びるとともに左右方向に間隔をおいて配置された複数の第1切れ込み、または当該複数の第1切れ込みを形成可能に構成された複数のミシン目と、
8D 前記第1切れ込みまたは前記ミシン目の上下端の一方または両方から連続し、左右方向に延びる第2切れ込みと、
8E 前記第2切れ込みの端部から連続し、上下方向中央に延びる第3切れ込みと、を有し、
8F 柔軟性を有する導体箔によって構成されパッチアンテナを有し当該パッチアンテナの厚み方向に貫く複数の切れ込みを有する前記アンテナを、前記アンテナの切れ込みと、少なくとも前記第1切れ込みとが重なった状態で配置されることにより、前記パッチアンテナおよび前記基材を厚み方向に貫く複数の切れ込みであって棒状材を通されることにより前記RFIDタグを前記棒状材に保持させる複数の切れ込みを前記RFIDタグに備えさせる、基材。
本件特許発明8は「基材」に係るサブコンビネーションの発明であるが、上記8Aと8Fには、他のサブコンビネーションである「アンテナ」についての記載がある。
このうち8Fについては、「前記基材を厚み方向に貫く複数の切れ込みであって棒状材を通される」という事項については「基材」の構成を特定しているといえるものの、これ以外の事項については、アンテナ又はRFIDタグの機能又は構造を特定するものであるとしても、「基材」自体の機能又は構造を特定する事項とはいえない。
したがって、8Fの「柔軟性を有する導体箔によって構成されパッチアンテナを有し当該パッチアンテナの厚み方向に貫く複数の切れ込みを有する前記アンテナを、前記アンテナの切れ込みと、少なくとも前記第1切れ込みとが重なった状態で配置されることにより、」という事項については、以下の対比において本件特許発明8の発明特定事項として扱わない。
(2)対比
本件特許発明8と甲1発明とを対比する。
ア 甲1発明の「ICチップ5」は、本件特許発明8の「ICチップ」に相当する。甲1発明の「第一アンテナ6」及び「第二アンテナ7」は、本件特許発明8の「アンテナ」に相当する。また、甲1発明は「タグ」に係る発明であるが、その構成及び背景技術より、「RFIDタグ」について記載されているものと認められる。
そして、全体として、甲1発明の「タグ1」は、「ICチップ5」と、「基材2」と、「第一アンテナ6」と、「第二アンテナ7」とから構成されるものと認められる。
そうすると、甲1発明の「基材2」は、後述する相違点を除いて、本件特許発明8の「ICチップと、前記ICチップに接続されたアンテナとともにRFIDタグを構成する基材」に相当する。
イ 甲1発明の「柔軟性を有する平板状の基材2」は、「柔軟性を有するシートによって構成」されている基材といえる。
ウ 甲1発明の「基材2の左右方向に間隔をあけて上下方向に延びて形成される切れ込み状の貫通部8a」は、本件特許発明8の「厚み方向に貫き上下方向に延びるとともに左右方向に間隔をおいて配置された複数の第1切れ込み」に相当する。
エ 甲1発明の「一方の貫通部と他の貫通部を棒状材が貫通することにより、眼鏡のツル等で構成される棒状材を保持可能」にする構成は、本件特許発明8の「基材を厚み方向に貫く複数の切れ込みであって棒状材を通されることによりRFIDタグを棒状材に保持させる複数の切れ込みを前記RFIDタグに備えさせる」構成に相当する。
(3)一致点及び相違点
よって、本件特許発明8と甲1発明とは、以下の点において一致又は相違する。
[一致点]
ICチップと、前記ICチップに接続されたアンテナとともにRFIDタグを構成する基材であって、
柔軟性を有するシートによって構成されており、
厚み方向に貫き上下方向に延びるとともに左右方向に間隔をおいて配置された複数の第1切れ込み、を有し、
基材を厚み方向に貫く複数の切れ込みであって棒状材を通されることによりRFIDタグを棒状材に保持させる複数の切れ込みをRFIDタグに備えさせる、基材。
[相違点]
(相違点8-1)
第1切れ込みの上下端の一方または両方から連続し、左右方向に延びる第2切れ込み、及び、第2切れ込みの端部から連続し、上下方向中央に延びる第3切れ込み、を有しない点。
(4)相違点についての判断
相違点8-1について検討する。
甲1には、貫通部8aの態様として必ずしも甲1発明に含まれるとはいえない様々な実施例が記載されているため、それぞれの実施例について、相違点8-1の容易想到性について検討する。
図1等に記載されている貫通部8aは貫通孔であり、切れ込みではない。貫通部8aが切れ込みである例は、段落【0035】に「貫通部8aは、一対の切り込み(スリット)により構成されてもよい。」と記載されている図10右下の例、「一対の貫通部8aは、上端が互いに近づく方向に傾いた一対の切り込み(スリット)により構成されてもよい。」と記載されている図11右上の例、段落【0042】に「保持構造8が、貫通部8aに加えて、この貫通部8aに対応する蓋部8bを備えていてもよい。基材2から貫通部8aを打ち抜く際に、一部が基材2との連結を維持した状態とすることで蓋部8bが形成される。」と記載されている図13の例である。そして、このうち図10右下の例と図13の例は、「厚み方向に貫き上下方向に延びるとともに左右方向に間隔をおいて配置された複数の第1切れ込み」を有しているといえる。
しかしながら、いずれの例においても、「第1切れ込みの上下端の一方または両方から連続し、左右方向に延びる第2切れ込み」、「第2切れ込みの端部から連続し、上下方向中央に延びる第3切れ込み」を有していない。なお、図13の例では、第1切れ込みの上下端から左右方向及び上下方向外側に向かう切れ込みを有しているが、仮にこれを第2切れ込みであるとみなした場合であっても、「第2切れ込みの端部から連続し、上下方向中央に延びる第3切れ込み」は有していない。
さらに、甲1に記載された「貫通部8a」の様々な実施例を組み合わせて相違点8-1に係る本件特許発明8の構成とすべき合理的な理由もない。
また、甲2には、上記2の(4)で述べたとおり、「上下方向に延びるとともに左右方向に間隔をおいて配置された複数の第1切れ込み」について記載も示唆もされていない。
また、甲3及び甲4の記載事項は、「ICチップと、前記ICチップに接続されたアンテナとともにRFIDタグを構成する基材」すなわち、RFIDタグに使用されることを前提とした基材に関するものではなく、技術分野が異なるのであるから、当業者といえども甲1発明に適用することを容易に想到することができたとはいえない。
したがって、甲1から甲4には、相違点8-1に係る本件特許発明の構成が記載も示唆もされておらず、本件特許発明8は、甲1から甲4に記載の発明又は周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
4 本件特許発明1について
本件特許発明1は、少なくとも、相違点7-2に係る本件特許発明7の構成要件7Cに対応する構成を備えている。そして、上記2の(4)で述べたとおり、相違点7-2に係る本件特許発明の構成は、甲1から甲4には記載も示唆もされていない。
したがって、本件特許発明1は、甲1から甲4に記載の発明又は周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
5 本件特許発明2-6について
本件特許発明2-6は、直接又は間接的に本件特許発明1を引用するものであるから、本件特許発明1と同様に、甲1から甲4に記載の発明又は周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
6 申立人の主張について
申立人は、特許異議申立書の第12ページにおいて、「甲1発明は、眼鏡のツル等を貫通される一対の第1切れ込みを有するRFIDタグの構成を開示する。本件特許発明1は切れ込みが、基材及びアンテナの両方を貫通する構成を有しているのに対して、甲1発明は基材のみを貫通する構成を有する点で両者は異なる。甲2発明は、RFIDタグの基材及びアンテナの両方を貫通するミシン目の構成を開示する。RFIDタグの分野において、基材及びアンテナを貫通する切れ込みを形成してもRFIDタグの機能が損なわれないことは周知の技術事項である。また甲1発明において、「左右方向xにおいて、一対の貫通部8aの外側となる部分に接続部6a(アンテナ)が形成される場合」(段落0039)との記載がある。甲1発明は一対の貫通孔8aの内側および外側に接続部6a(アンテナ)が形成される構成を示唆している。そのため甲1発明に甲2発明を組み合わせて、一対の貫通孔8aの内外に配置されるアンテナと基材との両方を貫通孔8aが貫通する構成とすることは当業者が容易に想到できる。また貫通部8aに対応する位置に予め切り込み等が形成された基材及びアンテナを組み合わせてRFIDを製造することは当業者が容易に想到できる。以上より本件特許発明1は、甲第1号証と甲第2号証との組み合わせから容易に想到し得るものである。」と主張しているが、RFIDタグの分野において、基材及びアンテナを貫通する切れ込みを形成してもRFIDタグの機能が損なわれないことが周知の技術事項であり、かつ、甲1発明が一対の貫通孔8aの内側および外側に接続部6a(アンテナ)が形成される構成を示唆していたとしても、甲第1号証及び甲第2号証には、棒状材を通す貫通部がアンテナを貫通することが記載も示唆もされていないのであるから、甲第1号証と甲第2号証とをどのように組み合わせても本件特許発明1に到達することはなく、上記申立人の主張には、根拠がない。
なお、申立人が「甲1発明は一対の貫通孔8aの内側および外側に接続部6a(アンテナ)が形成される構成を示唆している」と主張する根拠として甲1の段落【0039】を挙げているが、当該段落には「左右方向xにおいて、一対の貫通部8aの外側となる部分に接続部6aが形成される場合は、」という記載に続けて、「一対の貫通部8aの間の長さL1が長さL0の50%より小さく設定されてもよい。長さL0および長さL1は、棒状体9aを配置した際に接続部6aが変形し難くなる範囲で設定することが望ましい。」と記載されており、棒状体を保持する際に変形する貫通部の周辺にアンテナの接続部を設けることが望ましくないことを示している。また甲1の段落【0038】にも、「この構成によれば一対の貫通部8aに棒状体9aを通過させた際に、基材2において一対の貫通部8aの間となる部分よりも一対の貫通部8aの外側となる部分の方が短いため、基材2の外側となる部分の方が厚さ方向zに変形しやすくなる。図12に例示するように、一対の貫通部8aの外側となる部分よりも強度の高い内側となる部分の変形を抑制できる。基材2とともにインレイ3が変形して、棒状体9aから接続部6aが離れる方向に移動することを抑制しやすくなる。一対の貫通部8aの間の部分が湾曲せずに平板状である状態を維持する方が、棒状体9aと接続部6aとの電気的な接続を良好に維持できる。」と記載されており、甲1発明は、タグの貫通部に棒状材を通過させる際に、ICチップとアンテナが配置されるインレイの変形(特に接続部の変形)を抑制する、という課題及び技術思想を有していると考えられる。してみると、「甲1発明は一対の貫通孔8aの内側および外側に接続部6a(アンテナ)が形成される構成を示唆」していたとしても、一対の貫通孔8aの内側および外側の間の、貫通孔8aおよびその周辺に、接続部6a(アンテナ)が形成される構成とする動機はなく、むしろ強い阻害要因がある。
よって、申立人の上記主張は採用しない。
第6 むすび
したがって、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、請求項1-8に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に請求項1-8に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
J-PlatPat 審決検索を開く
2025-700941