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特許異議申立

2021-701166

コンテナ船の船首構造、コンテナ船及びコンテナ船の船首構造の設計方法

審判番号
2021-701166
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2020-095292
登録番号
6892954
請求日
2021年12月10日
審決日
2024年01月17日
公報発行日
2024年06月28日
結論
請求成立(取消)
当事者
  • 【権利者】ジャパンマリンユナイテッド株式会社
  • 【権利者代理人】越前 昌弘
  • 【異議申立人】佐藤 雅彦
審判長/審判官
  • 審判長 山本 信平
  • 審判官 河端 賢
  • 審判官 中尾 麗
分類
P1652.121-ZAA(B63B)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項特許法113条2号
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第2項、特許法第126条第7項、特許法第29条第2項、特許法第113条第2号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第6892954号発明「コンテナ船の船首構造、コンテナ船及びコンテナ船の船首構造の設計方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第6892954号の特許請求の範囲を令和5年11月1日に提出された手続補正書により補正された令和5年6月8日付けの訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1ないし8〕について訂正することを認める。 特許第6892954号の請求項1ないし8に係る特許を取り消す。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第6892954号の請求項1ないし8に係る特許についての出願は、令和2年6月1日に出願され、令和3年6月1日にその特許権の設定登録がされ、令和3年6月23日に特許掲載公報が発行された。本件特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。 令和3年12月10日 : 特許異議申立人 佐藤 雅彦(以下、「申立 人」という。)による請求項1ないし8に係 る特許に対する特許異議の申立て 令和4年3月17日付け : 取消理由通知書 令和4年5月19日 : 特許権者による意見書及び訂正請求書(以下 、「本件訂正請求」という。)の提出 令和4年7月11日 : 申立人による意見書の提出 令和5年4月4日付け : 取消理由通知書(決定の予告) 令和5年6月8日 : 特許権者による意見書及び訂正請求書の提出 令和5年8月9日 : 申立人による意見書の提出 令和5年9月28日付け : 訂正拒絶理由通知書 令和5年11月1日 : 特許権者による意見書及び手続補正書(令和 5年6月8日提出の訂正請求書及び添付の訂 正特許請求の範囲の補正(以下、当該手続補 正書により補正された訂正請求書による訂正 請求を「本件訂正請求」という。))の提出 第2 本件訂正請求による訂正の適否についての判断 1 請求項1ないし8に係る訂正 (1) 訂正の内容 ア 訂正事項1 ア-1 訂正事項1-1 特許権者は、特許請求の範囲の請求項1に 「コンテナ船の船首構造であって、」 と記載されているのを 「コンテナ船(ただし、船首楼が設けられたものを除く。)の船首構造であって、」 に訂正し、請求項1の記載を引用する請求項2ないし8も同様に訂正することを請求する(下線は、本件訂正請求に係る訂正請求書において特許権者が記載したとおりである。以下同様。)。 ア-2 訂正事項1-2 特許権者は、特許請求の範囲の請求項1に 「上甲板の縁部に略垂直に配置された風防体」 と記載されているのを 「上甲板の縁部に垂直に配置された風防体」 に訂正し、請求項1の記載を引用する請求項2ないし8も同様に訂正することを請求する。 ア-3 訂正事項1-3 特許権者は、特許請求の範囲の請求項1に 「風防体の高さ」 と記載されているのを 「風防体の最も高い部分の高さ」 に訂正し、請求項1の記載を引用する請求項2ないし8も同様に訂正することを請求する。 ア-4 訂正事項1-4 特許権者は、特許請求の範囲の請求項1に 「前記コンテナ船の平均コンテナ積載高さ」 と記載されているのを 「Hc=(Ha+Hb)/2(ただし、Ha:コンテナ満載状態における貨物区の船体中央部より前方側に積載されたコンテナの上甲板から計測した最大コンテナ積載高さ、Hb:コンテナ満載状態における貨物区内に積載された最前部のコンテナ積載高さ、Hc:コンテナ満載状態における貨物区の船体中央部より前方側に積載されたコンテナの平均コンテナ高さ)により算出される、前記コンテナ船の平均コンテナ積載高さHc」 に訂正し、請求項1の記載を引用する請求項2ないし8も同様に訂正することを請求する。 イ 訂正事項2 イ-1 訂正事項2-1 特許権者は、特許請求の範囲の請求項2に 「風防体の高さ」 と記載されているのを 「風防体の最も高い部分の高さ」 に訂正し、請求項2の記載を引用する請求項8も同様に訂正することを請求する。 イ-2 訂正事項2-2 特許権者は、特許請求の範囲の請求項2に 「前記コンテナ船の平均コンテナ積載高さに」 と記載されているのを 「前記コンテナ船の平均コンテナ積載高さHcに」 に訂正し、請求項2の記載を引用する請求項8も同様に訂正することを請求する。 ウ 訂正事項3 特許権者は、特許請求の範囲の請求項4に 「略一定の高さ」 と記載されているのを 「一定の高さ」 に訂正し、請求項4の記載を引用する請求項8も同様に訂正することを請求する。 エ 訂正事項4 エ-1 訂正事項4-1 特許権者は、特許請求の範囲の請求項7に 「前記追加コンテナの積載高さは、」 と記載されているのを 「前記追加コンテナの積載高さは、前記追加コンテナの満載状態における上甲板から最も高い部分までの高さにより定義され、」 に訂正し、請求項7の記載を引用する請求項8も同様に訂正することを請求する。 エ-2 訂正事項4-2 特許権者は、特許請求の範囲の請求項7に 「前記風防体の高さ」 と記載されているのを 「前記風防体の最も高い部分の高さ」 に訂正し、請求項7の記載を引用する請求項8も同様に訂正することを請求する。 本件訂正請求は、一群の請求項〔1ないし8〕に対して請求されたものである。 (2) 訂正の目的の適否、新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否及び独立特許要件 ア 訂正事項1 ア-1 訂正事項1-1 (ア) 訂正の目的について 訂正事項1-1は、訂正前の請求項1に係る特許発明の「コンテナ船」に「(ただし、船首楼が設けられたものを除く。)」なる事項により限定を加えて、その内容を減縮するものである。 同様に、訂正後の請求項2ないし8に係る特許発明は、訂正後の請求項1に係る特許発明の発明特定事項の記載を引用することにより、訂正前の請求項2ないし8に係る特許発明の内容を減縮するものである。 よって、訂正事項1-1は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 (イ) 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること a 本件の【図1】-【図3】、【図5】及び【図7】等には、船首楼(Forecastle)が設けられていないコンテナ船が記載され、【図6】等には、船首楼(Forecastle)が設けられたコンテナ船が記載されていると認められる。 これに対して、甲第1号証、甲第2号証及び甲第4号証には、甲第1号証の第53ページ下から1番目中央の図面右上方の「F’CLE DECK」なる記載、甲第2号証のCD-ROMのTsuneishi 1,020-TEU Container Carrierのページの「Features」の「1.The vessel is flash deck type with forecastle and poop deck.」なる記載及び甲第4号証の第38ページ右端の図面における「F’CLE DECK」なる記載からみて、国際満載喫水線条約に基づいて船首楼(Forecastle)が設けられたコンテナ船が開示されていると認められる。 そして、訂正事項1-1は、訂正前の請求項1に係る特許発明の「コンテナ船」なる事項を残したままで、甲第1号証、甲第2号証又は甲第4号証に記載された事項により、新規性及び進歩性が否定されるおそれがある船首楼が設けられたものを除外するものであって、新たな技術的事項を導入するものではない。 よって、訂正事項1-1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。 b なお、令和4年7月8日に提出された意見書において、申立人は、本件の【図6】に記載されたものは船首楼を有することから、訂正事項1-1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正ではない旨主張しているが、上記aのとおり、本件の【図1】-【図3】、【図5】及び【図7】等には、船首楼(Forecastle)が設けられていないコンテナ船が記載されていることから、申立人の主張は採用することができず、訂正事項1-1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。 (ウ) 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 上記(ア)に記載したとおり、訂正事項1-1は、訂正前の請求項1に係る特許発明の「コンテナ船」の内容を減縮するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正には該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。 同様に、訂正後の請求項2ないし8に係る特許発明は、訂正後の請求項1に係る特許発明の発明特定事項の記載を引用することにより、訂正前の請求項2ないし8に係る特許発明の内容を減縮するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正には該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。 (エ) 特許出願の際に独立して特許を受けることができること 本件特許異議申立ては、訂正前の請求項1ないし8に対してされたものであるから、訂正前の請求項1に係る訂正事項1の訂正事項1-1において、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。 ア-2 訂正事項1-2 (ア) 訂正の目的について 訂正事項1-2は、訂正前の請求項1に係る特許発明の「上甲板の縁部に略垂直に配置された風防体」から「略」なる文言を削除して、その内容を減縮し、また、明確にするものである。 同様に、訂正後の請求項2ないし8に係る特許発明は、訂正後の請求項1に係る特許発明の発明特定事項の記載を引用することにより、訂正前の請求項2ないし8に係る特許発明の内容を減縮し、また、明確にするものである。 よって、訂正事項1-2は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮及び特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 (イ) 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 訂正事項1-2は、上記(ア)のとおり、訂正前の請求項1に係る特許発明の「上甲板の縁部に略垂直に配置された風防体」から「略」なる文言を削除して、その内容を減縮し、また、明確にするものであるから、新たな技術的事項を導入するものではない。 よって、訂正事項1-2は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。 (ウ) 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 上記(ア)に記載したとおり、訂正事項1-2は、訂正前の請求項1に係る特許発明の「上甲板の縁部に略垂直に配置された風防体」の内容を減縮し、また、明確にするものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正には該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。 同様に、訂正後の請求項2ないし8に係る特許発明は、訂正後の請求項1に係る特許発明の発明特定事項の記載を引用することにより、訂正前の請求項2ないし8に係る特許発明の内容を減縮するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正には該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。 (エ) 特許出願の際に独立して特許を受けることができること 本件特許異議申立ては、訂正前の請求項1ないし8に対してされたものであるから、訂正前の請求項1に係る訂正事項1の訂正事項1-2において、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。 ア-3 訂正事項1-3 (ア) 訂正の目的について 訂正事項1-3は、訂正前の請求項1に係る特許発明の「前記風防体の高さ」に「最も高い部分の」なる限定を付加して、その内容を減縮し、また、明確にするものである。 同様に、訂正後の請求項2ないし8に係る特許発明は、訂正後の請求項1に係る特許発明の発明特定事項の記載を引用することにより、訂正前の請求項2ないし8に係る特許発明の内容を減縮し、また、明確にするものである。 よって、訂正事項1-3は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮及び特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 (イ) 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 訂正事項1-3は、上記(ア)のとおり、訂正前の請求項1に係る特許発明の「前記風防体の高さ」に「最も高い部分の」なる事項を追加して、その内容を減縮し、また、明確にするものである。 そして、一般的に「高さ」とは、その物の最も高い部分の高さを意味することが日本語における常識であり、また、本件明細書において物の平均高さを意味する場合には「平均コンテナ積載高さ」のように他の表現を伴って異なる用語を用いていることから、訂正前の請求項1のように、他の表現を伴わずに「高さ」として用いられている用語は日本語の一般的な意味と解されるものであり、これを「最も高い部分の」ものとすることは、新たな技術的事項を導入するものではない。 よって、訂正事項1-3は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。 (ウ) 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 上記(ア)に記載したとおり、訂正事項1-3は、訂正前の請求項1に係る特許発明の「前記風防体の高さ」の内容を減縮し、また、明確にするものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正には該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。 同様に、訂正後の請求項2ないし8に係る特許発明は、訂正後の請求項1に係る特許発明の発明特定事項の記載を引用することにより、訂正前の請求項2ないし8に係る特許発明の内容を減縮するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正には該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。 (エ) 特許出願の際に独立して特許を受けることができること 本件特許異議申立ては、訂正前の請求項1ないし8に対してされたものであるから、訂正前の請求項1に係る訂正事項1の訂正事項1-3において、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。 ア-4 訂正事項1-4 (ア) 訂正の目的について 訂正事項1-4は、訂正前の請求項1に係る特許発明の「前記コンテナ船の平均コンテナ積載高さ」に「Hc」なる符号を付して「Hc=(Ha+Hb)/2(ただし、Ha:コンテナ満載状態における貨物区の船体中央部より前方側に積載されたコンテナの上甲板から計測した最大コンテナ積載高さ、Hb:コンテナ満載状態における貨物区内に積載された最前部のコンテナ積載高さ、Hc:コンテナ満載状態における貨物区の船体中央部より前方側に積載されたコンテナの平均コンテナ高さ)により算出される、」なる限定を付加して、その内容を減縮し、また、明確にするものである。 同様に、訂正後の請求項2ないし8に係る特許発明は、訂正後の請求項1に係る特許発明の発明特定事項の記載を引用することにより、訂正前の請求項2ないし8に係る特許発明の内容を減縮し、また、明確にするものである。 よって、訂正事項1-4は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮及び特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 (イ) 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 本件明細書の段落【0023】には、「貨物区3の一部には居住区32が配置されていても良い。なお、居住区32は、船体中央部より後方側に配置されていてもよい。図1に示したコンテナ31は、満載状態を示している。ここで、貨物区3の船体中央部より前方側に積載されたコンテナ31は、満載状態を示している。ここで、貨物区3の船体中央部より前方側に積載されたコンテナ31のうち、上甲板4から計測した最大コンテナ積載高さをHa、最前部のコンテナ積載高さをHb、平均コンテナ積載高さをHcと定義する。すなわち、Hc=(Ha+Hb)/2である。」と記載されている。 よって、訂正事項1-4は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。 (ウ) 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 上記(ア)に記載したとおり、訂正事項1-4は、訂正前の請求項1に係る特許発明の「前記コンテナ船の平均コンテナ積載高さ」の内容を減縮するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正には該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。 同様に、訂正後の請求項2ないし8に係る特許発明は、訂正後の請求項1に係る特許発明の発明特定事項の記載を引用することにより、訂正前の請求項2ないし8に係る特許発明の内容を減縮するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正には該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。 (エ) 特許出願の際に独立して特許を受けることができること 本件特許異議申立ては、訂正前の請求項1ないし8に対してされたものであるから、訂正前の請求項1に係る訂正事項1の訂正事項1-4において、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。 イ 訂正事項2について イ-1 訂正事項2-1 (ア) 訂正の目的について 訂正事項2-1は、訂正前の請求項2について、訂正事項1の訂正事項1-3と同様に訂正するものであるから、訂正前の請求項2に係る特許発明の内容を減縮し、また、明確にするものである。 同様に、訂正後の請求項8に係る特許発明は、訂正後の請求項2に係る特許発明の発明特定事項の記載を引用することにより、訂正前の請求項8に係る特許発明の内容を減縮し、また、明確にするものである。 よって、訂正事項2-1は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮及び特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 (イ) 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 訂正事項2-1は、訂正前の請求項2及び8について、訂正事項1の訂正事項1-3と同様に訂正するものである。 よって、訂正事項2-1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。 (ウ) 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 上記(ア)に記載したとおり、訂正事項2-1は、訂正前の請求項2及び8について、訂正事項1の訂正事項1-3と同様に訂正するものであるから、訂正前の請求項2及び8に係る特許発明の内容を減縮するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正には該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。 (エ) 特許出願の際に独立して特許を受けることができること 本件特許異議申立ては、訂正前の請求項1ないし8に対してされたものであるから、訂正前の請求項2に係る訂正事項2の訂正事項2-1において、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない イ-2 訂正事項2-2 (ア) 訂正の目的について 訂正事項2-2は、訂正前の請求項2について、訂正事項1の訂正事項1-4と同様に訂正して整合を図るものであるから、訂正前の請求項2に係る特許発明の内容を明確にするものである。 同様に、訂正後の請求項8に係る特許発明は、訂正後の請求項2に係る特許発明の発明特定事項の記載を引用することにより、訂正前の請求項8に係る特許発明の内容を明確にするものである。 よって、訂正事項2-2は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 (イ) 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 訂正事項2-2は、訂正前の請求項2及び8について、訂正事項1の訂正事項1-3と同様に訂正して整合を図るものである。 よって、訂正事項2-2は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。 (ウ) 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 上記(ア)に記載したとおり、訂正事項2-2は、訂正前の請求項2及び8について、訂正事項1の訂正事項1-4と同様に訂正して整合を図るものであるから、訂正前の請求項2及び8に係る特許発明の内容を減縮するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正には該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。 (エ) 特許出願の際に独立して特許を受けることができること 本件特許異議申立ては、訂正前の請求項1ないし8に対してされたものであるから、訂正前の請求項2に係る訂正事項2の訂正事項2-1において、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない ウ 訂正事項3について (ア) 訂正の目的について 訂正事項3は、訂正前の請求項4に係る特許発明の「略一定の高さ」から「略」なる文言を削除して、その内容を減縮し、また、明確にするものである。 同様に、訂正後の請求項8に係る特許発明は、訂正後の請求項3に係る特許発明の発明特定事項の記載を引用することにより、訂正前の請求項8に係る特許発明の内容を減縮し、また、明確にするものである。 よって、訂正事項3は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮及び特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 (イ) 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 訂正事項3は、上記(ア)のとおり、訂正前の請求項1に係る特許発明の「略一定の高さ」から「略」なる文言を削除して、その内容を減縮し、また、明確にするものであるから、新たな技術的事項を導入するものではない。 よって、訂正事項3は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。 (ウ) 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 上記(ア)に記載したとおり、訂正事項3は、訂正前の請求項4に係る特許発明の「略一定の高さ」の内容を減縮し、また、明確にするものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正には該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。 同様に、訂正後の請求項8に係る特許発明は、訂正後の請求項3に係る特許発明の発明特定事項の記載を引用することにより、訂正前の請求項8に係る特許発明の内容を減縮するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正には該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。 (エ) 特許出願の際に独立して特許を受けることができること 本件特許異議申立ては、訂正前の請求項1ないし8に対してされたものであるから、訂正前の請求項4に係る訂正事項3において、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。 エ 訂正事項4について エ-1 訂正事項4-1 (ア) 訂正の目的について 訂正事項4-1は、訂正前の請求項7に係る特許発明の「前記追加コンテナの積載高さ」に「前記追加コンテナの満載状態における上甲板から最も高い部分までの高さにより定義され、」なる限定を付加して、その内容を減縮し、また、明確にするものである。 同様に、訂正後の請求項8に係る特許発明は、訂正後の請求項7に係る特許発明の発明特定事項の記載を引用することにより、訂正前の請求項8に係る特許発明の内容を減縮し、また、明確にするものである。 よって、訂正事項1-4は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮及び特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 (イ) 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 本件明細書の段落【0053】には、「ところで、本実施形態に係るコンテナ船1は、風圧抵抗を低減することを一つの目的としていることから、追加コンテナ6の積載高さ(段数)についても検討する必要がある。ここで、図8は、追加コンテナの積載高さに関する解析結果を示す図であり、(A)は追加コンテナの積載高さと風圧抵抗の低減率との関係、(B)はHx/Hbと風圧抵抗の低減率との関係、(C)はHx/Hwと風圧抵抗の低減率との関係、を示している。なお、図5に示したように、追加コンテナ6の上甲板4からの積載高さをHxと定義している。」と記載されている。 また、本件明細書の段落【0054】には、「いま、風向+30°、風速(相対速度)10m/s、風防体5の高さHw10mの条件で追加コンテナ6の積載高さ(段数)を変えながら満載状態及び半載状態における風圧抵抗を計算した結果を表2、図8(A)~図8(C)に示す。なお、満載状態及び半載状態は、貨物区3に積載されたコンテナ31の積載状態を示している。」と記載され、続く段落【0055】には、【表2】として、 「 [図:0001411222000001.jpg] 」 と記載され、「満載状態」で「追加コンテナの積載高さ(段数)」が「4」段以下の「Hx/Hw」は、同「追加コンテナの積載高さ(段数)」が「4」段のときの「1.617」以下となっていることが看取される。 さらに、本件明細書の段落【0064】には、「ここで、図8(C)は、追加コンテナの積載高さHxを風防体5の高さHwに対する比率(Hx/Hw)を用いて図8(A)を書き直したものである。図8(C)において、風圧抵抗の低減率が-5%の場合を一つの指標とすれば、Hx/Hwは1.7以下に設定することができる。」と記載され、【図8】(C)には、 「 [図:0001411222000002.jpg] 」 と記載され、実線で図示された「満載状態」で「追加コンテナの積載高さ(段数)」が「4」段のときの追加コンテナの積載高さHxの風防体5の高さHwに対する比率「Hx/Hw」が「1.617」以下となる場合には、風圧抵抗の低減率が一つの指標とされる-5%を下回っていることが看取される。 そして、一般的に「高さ」とは、その物の最も高い部分の高さを意味することが日本語における常識であり、また、本件明細書において物の平均高さを意味する場合には「平均コンテナ積載高さ」のように他の表現を伴って異なる用語を用いていることから、訂正前の請求項4-1のように、他の表現を伴わずに「高さ」として用いられている用語は日本語の一般的な意味と解されるものであり、これを「最も高い部分の」ものとすることは、新たな技術的事項を導入するものではない。 よって、訂正事項4-1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。 (ウ) 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 上記(ア)に記載したとおり、訂正事項4-1は、訂正前の請求項1に係る特許発明の「前記追加コンテナの積載高さ」の内容を減縮するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正には該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。 同様に、訂正後の請求項8に係る特許発明は、訂正後の請求項7に係る特許発明の発明特定事項の記載を引用することにより、訂正前の請求項8に係る特許発明の内容を減縮するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正には該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。 (エ) 特許出願の際に独立して特許を受けることができること 本件特許異議申立ては、訂正前の請求項1ないし8に対してされたものであるから、訂正前の請求項7に係る訂正事項4の訂正事項4-1において、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。 エ-2 訂正事項4-2 (ア) 訂正の目的について 訂正事項4-2は、訂正前の請求項7に係る特許発明の「風防体の高さ」に「最も高い部分の」なる限定を付加して、その内容を減縮し、また、明確にするものである。 同様に、訂正後の請求項8に係る特許発明は、訂正後の請求項7に係る特許発明の発明特定事項の記載を引用することにより、訂正前の請求項8に係る特許発明の内容を減縮し、また、明確にするものである。 よって、訂正事項4-2は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮及び特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 (イ) 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 訂正事項4-2は、上記(ア)のとおり、訂正前の請求項7に係る特許発明の「風防体の高さ」に「最も高い部分の」なる事項を追加して、その内容を減縮し、また、明確にするものである。 そして、一般的に「高さ」とは、その物の最も高い部分の高さを意味することが日本語における常識であり、また、本件明細書において物の平均高さを意味する場合には「平均コンテナ積載高さ」のように他の表現を伴って異なる用語を用いていることから、訂正前の請求項7のように、他の表現を伴わずに「高さ」として用いられている用語は日本語の一般的な意味と解されるものであり、これを「最も高い部分の」ものとすることは、新たな技術的事項を導入するものではない。 よって、訂正事項4-2は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。 (ウ) 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 上記(ア)に記載したとおり、訂正事項4-2は、訂正前の請求項7に係る特許発明の「前記風防体の高さ」の内容を減縮し、また、明確にするものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正には該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。 同様に、訂正後の請求項8に係る特許発明は、訂正後の請求項7に係る特許発明の発明特定事項の記載を引用することにより、訂正前の請求項8に係る特許発明の内容を減縮するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正には該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。 (エ) 特許出願の際に独立して特許を受けることができること 本件特許異議申立ては、訂正前の請求項1ないし8に対してされたものであるから、訂正前の請求項7に係る訂正事項4の訂正事項4-2において、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。 5 小括 上記のとおり、訂正事項1ないし訂正事項4に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号又は第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。 したがって、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1ないし8〕について訂正することを認める。 第3 訂正後の本件特許発明 本件訂正請求により訂正された請求項1ないし8に係る発明(以下、各請求項に係る発明を「本件発明1」などといい、本件発明1ないし8をまとめて「本件特許発明」という。)は、訂正後の特許請求の範囲の請求項1ないし8に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。(なお、下線部は、訂正箇所を示す。) 「【請求項1】 コンテナ船(ただし、船首楼が設けられたものを除く。)の船首構造であって、 上甲板の縁部に垂直に配置された風防体を備え、 前記風防体の最も高い部分の高さは、Hc=(Ha+Hb)/2(ただし、Ha:コンテナ満載状態における貨物区の船体中央部より前方側に積載されたコンテナの上甲板から計測した最大コンテナ積載高さ、Hb:コンテナ満載状態における貨物区内に積載された最前部のコンテナ積載高さ、Hc:コンテナ満載状態における貨物区の船体中央部より前方側に積載されたコンテナの平均コンテナ積載高さ)により算出される、前記コンテナ船の平均コンテナ積載高さHcに対する比率が0.18~0.65の範囲に設定されている、ことを特徴とするコンテナ船の船首構造。 【請求項2】 前記風防体の最も高い部分の高さは、前記コンテナ船の平均コンテナ積載高さHcに対する比率が0.35~0.55の範囲に設定されている、請求項1に記載の船首構造。 【請求項3】 前記風防体は、係船装置の索体を挿通可能な開口部を備える、請求項1に記載のコンテナ船の船首構造。 【請求項4】 前記風防体は、左舷側から右舷側に渡って一定の高さを有している、請求項1に記載のコンテナ船の船首構造。 【請求項5】 前記上甲板の前記風防体により囲まれた部分に追加コンテナを積載可能な支持部を備える、請求項1に記載のコンテナ船の船首構造。 【請求項6】 前記追加コンテナの積載高さは、貨物区に配置された最前部のコンテナ積載高さを超えないように設定されている、請求項5に記載のコンテナ船の船首構造。 【請求項7】 前記追加コンテナの積載高さは、前記追加コンテナの満載状態における上甲板から最も高い部分までの高さにより定義され、前記風防体の最も高い部分の高さに対する比率が1.7以下に設定されている、請求項5に記載のコンテナ船の船首構造。 【請求項8】 請求項1~7の何れか一項に記載の船首構造を備えた、ことを特徴とするコンテナ船。」 第4 取消理由の概要 訂正前の請求項1ないし8に係る特許に対して、当審が令和5年4月4日付けの取消理由通知(決定の予告)において特許権者に通知した取消理由の概要は、次のとおりである。 請求項1ないし8に係る発明は、甲第1号証に記載された発明に基いて、甲第1号証に記載された発明及び周知技術1に基いて、甲第1号証に記載された発明5及び甲第2号証に記載された発明に基いて、甲第1号証に記載された発明、周知技術1及び甲第2号証に記載された発明に基いて、甲第1号証に記載された発明及び甲第4号証に記載された発明に基いて、甲第1号証に記載された発明、周知技術1及び甲第4号証に記載された発明に基いて、甲第1号証に記載された発明5及び甲第2号証に記載された技術的事項に基いて、甲第1号証に記載された発明、周知技術1及び甲第2号証に記載された技術的事項に基いて、甲第1号証に記載された発明及び甲第3-1号証にて例示される周知技術3に基いて、甲第1号証に記載された発明、周知技術1及び甲第3-1号証にて例示される周知技術3に基いて、甲第2号証に記載された発明に基いて、甲第2号証に記載された発明及び周知技術1に基いて、甲第2号証に記載された発明並びに甲第1号証及び甲第4号証にて例示される周知技術2に基いて、甲第2号証に記載された発明、周知技術1並びに甲第1号証及び甲第4号証にて例示される周知技術2に基いて、甲第2号証に記載された発明、甲第1号証及び甲第4号証にて例示される周知技術2並びに甲第1号証に記載された技術的事項に基いて、甲第2号証に記載された発明、周知技術1、甲第1号証及び甲第4号証にて例示される周知技術2並びに甲第1号証に記載された技術的事項に基いて、甲第2号証に記載された発明、甲第1号証及び甲第4号証にて例示される周知技術2並びに甲第3-1号証にて例示される周知技術3に基いて、甲第2号証に記載された発明、周知技術1、甲第1号証及び甲第4号証にて例示される周知技術2並びに甲第3-1号証にて例示される周知技術3に基いて、甲第4号証に記載された発明に基いて、甲第4号証に記載された発明及び周知技術1に基いて、甲第4号証に記載された発明及び甲第2号証に記載された技術的事項に基いて、甲第4号証に記載された発明、周知技術1及び甲第2号証に記載された技術的事項に基いて、甲第4号証に記載された発明及び甲第1号証に記載された技術的事項に基いて、甲第4号証に記載された発明、周知技術1及び甲第1号証に記載された技術的事項に基いて、甲第4号証に記載された発明及び甲第3-1号証にて例示される周知技術3に基いて、または、甲第4号証に記載された発明、周知技術1及び甲第3-1号証にて例示される周知技術3に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 よって、請求項1ないし8に係る特許(注:令和5年4月4日付けの取消理由通知(決定の予告)の「第6 むすび」における「本件発明1-3に係る特許」は「本件発明1-8に係る特許」の誤記である。)は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。 甲第1号証:THE NAVAL ARCHITECT,The Royal Institution of Naval Architects,2014年9月,p.52~53 甲第2号証:SHIPBUILDING AND MARINE ENGINEERING IN JAPAN 2016,JAPAN SHIP EXPORTERS’ASSOCIATION,2016年3月,p.22、23.CD-ROMの‘Tsuneishi1.020-TEU Container Carrier’のページ 甲第3-1号証:ClassNK Annual Report,一般社団法人 日本海事協会,2016年3月 甲第4号証:船の科学 8,(株)船舶技術協会,昭和59年8月10日,VOL.37,NO.8,p.36~38 引用文献:特開2015-145214号公報[本件明細書に特許文献1として記載された文献] 第5 当審の判断 (1) 本件発明1について 本件発明1は、上記第3において示したとおりのものである。 (1-1)甲第1号証を主引用文献とした場合 ア 甲第1号証に記載された発明 (ア) 甲第1号証の記載事項 甲第1号証には以下のような記載がある(なお、下線は理解を容易にするために当審で付したものである。以下同様。)。 a 「 [図:0001411222000003.jpg] 」(第52ページの中見出し) b 「 [図:0001411222000004.jpg] 」(第52ページに記載された図面(モデル図)) b-1 参考図面 「 [図:0001411222000005.jpg] 」(第52ページに記載された図面(モデル図)[令和4年7月8日提出の意見書第15ページに記載された上側の図面]) c 「 [図:0001411222000006.jpg] 」(第52ページ左下の「TECHNICAL PARTICULARS」) d 「 [図:0001411222000007.jpg] 」(第53ページに記載された上から1番目の図面(側面図)及び上から2番目の図(平面図)) d-1 参考図面 「 [図:0001411222000008.jpg] 」(第53ページに記載された上から1番目の図面(側面図)及び上から2番目の図面(平面図)[令和4年7月8日提出の意見書第12ページに記載された図面]) d-2 参考図面 「 [図:0001411222000009.jpg] 」(第53ページに記載された上から2番目の図面(平面図)の右上端拡大図面[令和4年7月8日提出の意見書第13ページに記載された上側の図面]) d-3 参考図面 「 [図:0001411222000010.jpg] 」(第53ページに記載された上から1番目の図面(側面図)の左端拡大図面[令和4年7月8日提出の意見書第13ページに記載された下側の図面]) d-4 参考図面 「 [図:0001411222000011.jpg] 」(第53ページに記載された上から1番目の図面(側面図)の船首端付近拡大図面[令和4年7月8日提出の意見書第14ページに記載された図面]) d-5 参考図面 「 [図:0001411222000012.jpg] 」(第53ページに記載された上から1番目の図面(側面図)[令和4年7月8日提出の意見書第15ページに記載された下側の図面]) d-6 参考図面 「 [図:0001411222000013.jpg] 」(第53ページに記載された上から1番目の図面(側面図)及び上から2番目の図面(平面図)[令和4年7月8日提出の意見書第17ページに記載された図面]) d-7 参考図面 「 [図:0001411222000014.jpg] 」(第53ページに記載された上から1番目の図面(側面図)及び上から2番目の図面(平面図)[令和4年7月8日提出の意見書第18ページに記載された図面]) d-8 参考図面 「 [図:0001411222000015.jpg] 」(第53ページに記載された下から1番目中央の図面[令和4年5月19日提出の意見書5枚目に(甲第1号証部分拡大図の2)として記載された図面]) (イ) 甲第1号証の認定事項 a 上記(ア)a及びcからみて、2500TEU、すなわち、20フィートコンテナ換算で2500個のコンテナを積載可能なコンテナ船について記載されていると認められる。 また、上記(ア)dは全体図であるため、コンテナ船の船首構造も記載されていると認められる。 b 上記(ア)b及びその参考図面である上記(ア)b-1並びに上記(ア)dの上から1番目の図面(側面図)及びその参考図面である上記(ア)d-4からみて、コンテナ船はブルワークを備え、ブルワークがUPPER DECKの縁部に略垂直に配置されていることが看取できる。また、このブルワークは高さが略一定であることが看取されることから、ブルワークで高さが最も高い部分は、ブルワークの上端であると認められる。 c 上記(ア)cからみて、「Container capacity」(当審仮訳:最大コンテナ積載数)は2457TEUであると認められる。 d 上記(ア)d及びの参考図面からみて、以下のd-1ないしd-7のとおりのものと認められる。 d-1 上記(ア)dの上から1番目の図面(側面図)及びその参考図面である上記(ア)d-1からみて、「IMO 2Loa」と記載される二重鎖線は、IMO(International Maritime Organization、国際海事機構)にて定められたSOLAS条約第V章22規則で規定される船橋限界船橋視界からの見通し限界線を示していることが看取される。すなわち、これ以上コンテナを積載すると見通し境界線がコンテナで遮られて、船橋から前方が見えなくなるものであると認められる。そして、同各図面からみて、コンテナは見通し限界線の略近傍まで積載されていることが看取される。 また、上記(ア)dの上から1番目の図面(側面図)及び上から2番目の図(平面図)からみて、両図において、積載されているコンテナ数は2733TEUであると認められる。 そうすると、コンテナは見通し限界線の略近傍まで積載され、この積載されているコンテナ数は、上記cの最大コンテナ積載数である2457TEUと略等しいことから、上記(ア)dの両図は、コンテナ満載状態を図示していると認められる。 d-2 上記(ア)dの上から2番目の図面(平面図)及びその参考図面である上記(ア)d-2の右上端に「UPPER DECK」及び「上甲板」と記載されていることからみて、上記(ア)dの上から2番目の図面(平面図)は、「UPPER DECK」すなわち「上甲板」を上からみた平面図でかつ全体図であると認められる。 d-3 上記(ア)dの上から1番目の図面(側面図)及びその参考図面である上記(ア)d-3の左端にはデッキや二重底の高さが目盛りとして記載されていることからみて、図面から船体の任意の2か所の間の高さを求めることができ、「UPPER DECK」すなわち「上甲板」からの高さも求めることができると認められる。 d-4 上記(ア)dの上から1番目の図面(側面図)及びその参考図面である上記(ア)d-8からみて、図面右上端に「F’CLE DECK」と記載され、船首端に「F’CLE DECK」すなわち船首楼が設けられており、「F’CLE DECK」の側面は船首に備えられたブルワークで囲まれていることが看取される。 d-5 上記(ア)dの上から1番目の図面(側面図)並びにその参考図面である上記(ア)d-3及びd-5からみて、ブルワークの上端の高さは、同(ア)d-3の目盛りから、3733mmであることが看取される。 また、コンテナが積載された区画である貨物区の船体中央部より前方側に積載されたコンテナのうち、最も高く積まれているのは、上記(ア)d-5において「最も高く積まれたコンテナ」と記載されたコンテナであり、「上甲板」からの高さをHA1とすると、同(ア)d-3の目盛りから、HA1=17267mmであることが看取される。 さらに、ブルワークで囲まれていない最前部のコンテナは、上記(ア)d-5において「最前部のコンテナ」と記載され、上記(ア)d-6及びd-7において「側壁に囲まれていない最前部のコンテナ」と記載されたコンテナであり、「上甲板」からの高さをHB1とすると、同(ア)d-3の目盛りから、HB1=14000mmであることが看取される。 そして、これら貨物区の船体中央部より前方側に積載されたコンテナのうち「最も高く積まれたコンテナ」の上甲板からの高さHA1とブルワークで囲まれていない「最前部のコンテナ」の上甲板からの高さHB1の平均値をHC1とすると、HC1=(HA1+HB1)/2=(17267+14000)/2=15633.5mmとなる。 そうすると、ブルワークの上端の高さの該平均値HC1に対する比率は、3733/15633.5=0.24となる。 d-6 上記(ア)b及びその参考図面である上記(ア)b-1並びに上記(ア)dの上から1番目の図面(側面図)及びその参考図面である上記(ア)d-4からみて、上記b-1と同様に、ブルワークは、左舷側から右舷側に渡って略一定の高さを有していることが看取される。 d-7 上記(ア)dの上から1番目の図面(側面図)並びにその参考図面である上記(ア)d-7からみて、ブルワークで囲まれた部分にコンテナを積載可能な支持部を備えることが看取される。 また、上記(ア)dの上から1番目の図面(側面図)並びにその参考図面である上記(ア)d-7からみて、ブルワークで囲まれた部分に搭載されたコンテナの積載高さは、ブルワークで囲まれていない最前部のコンテナの積載高さより1段低いことが看取される。 (ウ) 甲第1号証に記載された発明 (ウ)-1 甲第1号証に記載された発明1 上記(ア)の記載事項及び(イ)の認定事項からみて、甲第1号証には、以下の発明(以下「甲1発明1」という。)が記載されていると認められる。 「2500TEUのコンテナ船(ただし、F’CLE DECKが設けられたもの。)の船首構造であって、 UPPER DECKの縁部に略垂直に配置された略一定の高さのブルワークを備え、 前記ブルワークの上端の高さは、HC1=(HA1+HB1)/2(ただし、HA1:コンテナ満載状態における貨物区の船体中央部より前方側に積載されたコンテナのうち最も高く積まれたコンテナの上甲板からの高さ、HB1:コンテナ満載状態におけるブルワークで囲まれていない最前部のコンテナの上甲板からの高さ、HC1:コンテナ満載状態における貨物区の船体中央部より前方側に積載されたコンテナのうち最も高く積まれたコンテナの上甲板からの高さHA1とブルワークで囲まれていない最前部のコンテナの上甲板からの高さHB1の平均値)により算出される、前記2500TEUのコンテナ船のコンテナの上甲板からの高さの平均値HC1に対する比率が0.24の範囲に設定されている、 2500TEUのコンテナ船の船首構造。」 (ウ)-2 甲第1号証に記載された発明2 上記(ア)の記載事項及び(イ)の認定事項からみて、甲第1号証には、甲1発明1に加えて、さらに、以下の技術的事項を包含する発明(以下、「甲1発明2」という。)が記載されていると認められる。 「ブルワークは、左舷側から右舷側に渡って略一定の高さを有していること。」 (ウ)-3 甲第1号証に記載された発明3 上記(ア)の記載事項及び(イ)の認定事項からみて、甲第1号証には、甲1発明2に加えて、さらに、以下の技術的事項(以下「甲1技術的事項1」という。)を包含する発明(以下、「甲1発明3」という。)が記載されていると認められる。 「ブルワークで囲まれた部分にコンテナを積載可能な支持部を備える、2500TEUのコンテナ船の船首構造。」 (ウ)-4 甲第1号証に記載された発明4 上記(ア)の記載事項及び(イ)の認定事項からみて、甲第1号証には、甲1発明3に加えて、さらに、以下の技術的事項(以下「甲1技術的事項2」という。)を包含する発明(以下、「甲1発明4」という。)が記載されていると認められる。 「ブルワークで囲まれた部分に搭載されたコンテナの積載高さは、ブルワークで囲まれていない最前部のコンテナの積載高さより1段低い、2500TEUのコンテナ船の船首構造。」 (ウ)-5 甲第1号証に記載された発明5 上記(ア)の記載事項及び(イ)の認定事項からみて、甲第1号証には、さらに、以下の発明(以下、「甲1発明5」という。)が記載されていると認められる。 「甲1発明4の船首構造を備えた、2500TEUのコンテナ船。」 イ 対比 本件発明1と甲1発明1を対比する。 (ア) 甲1発明1の「2500TEUのコンテナ船(ただし、F’CLE DECKが設けられたもの。)」は本件発明1の「コンテナ船(ただし、船首楼が設けられたものを除く。)」と「コンテナ船」という限りにおいて一致し、同様に、甲1発明1の「2500TEUのコンテナ船(ただし、F’CLE DECKが設けられたもの。)の船首構造」は本件発明1の「コンテナ船(ただし、船首楼が設けられたものを除く。)の船首構造」と「コンテナ船の船首構造」という限りにおいて一致する。 (イ) 甲1発明1の「UPPER DECK」は本件発明1の「上甲板」に相当し、甲1発明1の「UPPER DECKの縁部に略垂直に配置された」ことは、本件発明1の「上甲板の縁部に垂直に配置された」ことに実質的に相当する。 そして、甲1発明1の「UPPER DECKの縁部に略垂直に配置された略一定の高さのブルワーク」は、コンテナの前方に配置されていることから、コンテナ船の航行時にはコンテナにあたる風量を低減することで、風圧抵抗を低減する風防体としての機能を備えるものといえるから、本件発明1の「上甲板の縁部に垂直に配置された風防体」に相当する。 ウ 甲1発明1の「ブルワーク」は略一定の高さであることから、甲1発明1の「ブルワークの上端の高さ」は、「ブルワーク」の最も高い部分の高さであるので、本件発明1の「風防体の最も高い部分の高さ」に相当する。 また、甲1発明1の「HA1:コンテナ満載状態における貨物区の船体中央部より前方側に積載されたコンテナのうち最も高く積まれたコンテナの上甲板からの高さ」は、本件発明1の「Ha:コンテナ満載状態における貨物区の船体中央部より前方側に積載されたコンテナの上甲板から計測した最大コンテナ積載高さ」に相当する。 さらに、本件の【図1】及び【図5】を参照すると、貨物区内に積載されたコンテナは、防風体に囲まれていないことから、甲1発明1の「ブルワークで囲まれていないコンテナ」は、本件発明1の「貨物区内に積載されたコンテナ」に相当し、そうすると、甲1発明1の「HB1:コンテナ満載状態におけるブルワークで囲まれていない最前部のコンテナの上甲板からの高さ」は、本件発明1の「Hb:コンテナ満載状態における貨物区内に積載された最前部のコンテナ積載高さ」に相当する。 さらにまた、甲1発明1の「HC1:コンテナ満載状態における貨物区の船体中央部より前方側に積載されたコンテナのうち最も高く積まれたコンテナの上甲板からの高さHA1とブルワークで囲まれていない最前部のコンテナの上甲板からの高さHB1の平均値」は、本件発明1の「Hc:コンテナ満載状態における貨物区の船体中央部より前方側に積載されたコンテナの平均コンテナ積載高さ」に相当し、甲1発明1の「HC1=(HA1+HB1)/2」は、本件発明1の「Hc=(Ha+Hb)/2」に相当する。 そして、甲1発明1の「2500TEUのコンテナ船のコンテナの上甲板からの高さの平均値HC1に対する比率が0.24に設定されている」ことは、本件発明1の「コンテナ船の平均コンテナ積載高さHcに対する比率が0.18~0.65の範囲に設定されている」ことに相当する。 そうすると、本件発明1は、以下の点において甲1発明1と一致及び相違するものである。 (一致点) 「 コンテナ船の船首構造であって、 上甲板の縁部に垂直に配置された風防体を備え、 前記風防体の最も高い部分の高さは、Hc=(Ha+Hb)/2(ただし、Ha:コンテナ満載状態における貨物区の船体中央部より前方側に積載されたコンテナの上甲板から計測した最大コンテナ積載高さ、Hb:コンテナ満載状態における貨物区内に積載された最前部のコンテナ積載高さ、Hc:コンテナ満載状態における貨物区の船体中央部より前方側に積載されたコンテナの平均コンテナ積載高さ)により算出される、前記コンテナ船の平均コンテナ積載高さHcに対する比率が0.18~0.65の範囲に設定されている、コンテナ船の船首構造。」 (相違点1-1) 本件発明1は、「船首楼が設けられたものを除く」コンテナ船であるのに対し、甲1発明1は、「F’CLE DECK(船首楼)が設けられた」2500TEUのコンテナ船(コンテナ船)である点。 ウ 相違点の判断 上記相違点について検討する。 (ア) 相違点1-1について (ア)-1 相違点1-1について<その1> a 甲1発明1のコンテナ船において、通常必要とされる船首高さや予備浮力等の諸条件を満たす限り、当業者の設計上の自由度の範囲内において、相違点1-1に係る本件発明1の発明特定事項のように船首楼を設けないコンテナ船として構成することは、当業者が適宜選択し得る選択肢の1つであり、当業者が通常の創作能力の発揮により容易に想到し得るものである。 b なお、その際に、甲1発明1のコンテナ船は、コンテナを積載する際にはコンテナが壁を形成して風圧抵抗が生じるのは当然であり、本件明細書に特許文献1として記載された引用文献にて例示されるように、風圧抵抗の低減を図る構造物を備えることは周知の構成であり、また、コンテナの積載効率や燃費の低下を抑制するという通常考慮に入れる一般的な観点からみて、該構造物は相応の規模であって、大型化や重量化を回避するように構成することは、当然指向するべき課題であることから、かかる課題について実質的に内在していると認められる甲1発明1の相違点1-1に係る事項以外の各事項については必要がない限り特段変更することなく、相違点1-1に係る本件発明1の特定事項のように船首楼を設けないコンテナ船とすることは、当業者が容易になし得るものである。 (ア)-2 相違点1-1について<その2> 本件明細書に特許文献1として記載された引用文献にて例示されるように、あるいは、そもそも例を挙げるまでもなく周知の船首楼が設けられていないコンテナ船(以下、「周知技術1」という。)において甲1発明1の船首構造を採用することにより相違点1-1に係る本件発明1の発明特定事項に想到することも、当業者であれば容易になし得るものである。 また、上記(ア)-1のbについては同様である。 (イ) 令和4年5月19日に提出された意見書における特許権者の主張について a 令和4年5月19日に提出された意見書における特許権者の主張 同意見書において、特許権者は、以下のように主張している。 (a) 「甲第1号証、甲第2号証及び甲第4号証に記載されたコンテナ船のように、船首楼を有するコンテナ船は、フリーボード(乾舷)が小さい小型コンテナ船であり、船首楼を有しない大型コンテナ船と比較して、コンテナ満載状態におけるコンテナ積載高さが物理的に低いものであり、積層されたコンテナによる風圧の影響が少なくなります。 加えて、船首楼甲板と貨物区内に積載されたコンテナの高さとの、差分も小さく、コンテナ積載高さは相対的に低減され、積層されたコンテナによる風圧抵抗も限定的となります。 また、甲第1号証に記載されたコンテナ船のように、船首楼甲板の上にコンテナを積載した場合であっても、船首楼甲板と船首楼甲板上に積載されたコンテナの高さとの差分が小さく、コンテナ積載高さは相対的に低減され、積層されたコンテナによる風圧抵抗も限定的となります。 してみれば、船首楼が設けられたコンテナ船では、そもそも風圧抵抗を低減したいという課題が生じにくく、風防構造が大型化及び重量化するという課題も生じることがありません。」(同意見書第6ページ下から第14行ないし第2行の記載) (b) 「上述したように、船首楼が設けられたコンテナ船では、そもそも風圧抵抗を低減したいという課題が生じにくく、風防構造が大型化及び重量化するという課題も生じることがありません。 したがって、甲第1号証、甲第2号証及び甲第4号証には、本件特許発明1は開示も示唆もなされておらず、当業者であってもこれらの引用文献から本件特許発明1を想到することは到底困難であると思料いたします。」(同意見書第9ページ第11行ないし第16行の記載) b 当審の見解 上記(ア)-1bのとおり、特許権者が主張する課題は、甲1発明1に実質的に内在しているものと認められ、甲1発明1の相違点1-1に係る事項以外の各事項については必要がない限り特段変更することなく、相違点1-1に係る本件発明1の特定事項のように船首楼を設けないコンテナ船とすることは、当業者が容易になし得るものである。 (ウ) 令和5年6月8日に提出された意見書及び令和5年11月1日に提出された意見書における特許権者の主張について a 令和5年6月8日に提出された意見書及び令和5年11月1日に提出された意見書における特許権者の主張 両意見書のうち、令和5年11月1日に提出された意見書において、同両意見書をまとめて、特許権者は、以下のように主張している。 (a) 「条約の規則を遵守するために船首楼が必要なコンテナ船と船首楼を設ける必要がないコンテナ船とでは船体構造の設計思想が根本的に相違しており、船首楼を有するコンテナ船は船首楼を含む船体構造を予備浮力、復原性等の計算を含む船体構造設計の基礎とするものであり、船首楼を有しないコンテナ船は船首楼を含まない船体構造を予備浮力・復原性等の計算を含む船体構造設計の基礎とするものである。 「風防体」は、前記条約の規則を遵守した船体構造に付加的に設置されるものであり、前記条約の規則の遵守に必要な船体構造の一部を構成する船首楼の側壁と同一視できるものではない。実際、船首楼は他の船体構造(船殻)と同様に閉区画構造であることから、その船体構造としての側壁と風防体とは求められる強度等の条件が全く相違するものであり、構造様式や板厚が全く相違するものである。 したがって、船首楼を有するコンテナ船と船首楼を有しないコンテナ船とで風防体の高さを比較するのであれば、基準とするべきは最船首部の最上層の甲板であり、船首楼を有するコンテナ船では船首楼甲板(船首楼に設置される最上層甲板)を基準としたコンテナ高さ及びブルワークの高さで比較すべきである。」(令和5年11月1日に提出された意見書第1ページ下から第1行ないし第2ページ第14行(5「(2)異議申立人の主張について」欄)) (b) 「甲1発明1、甲2発明1及び甲4発明について、船首部の最上層甲板(船首楼甲板)を基準にして風防体(ブルワーク)の高さの比率を取消理由通知に記載された方法と同様の方法で算出すると、令和5年6月8日付提出の意見書の参考図4に記載した下表のように求めることができる。 甲1発明1において、船首楼甲板の上甲板からの高さBは2874mmであるから、ブルワーク(風防体)の高さCは、3733-2874=859mmと求めることができ、平均コンテナ積載高さH’は、15634-2874=12760mmと求めることができ。その比率は859/12760=0.067(およそ7%)と求められる。 甲2発明1において、船首楼甲板の上甲板からの高さBは4365mmであるから、ブルワーク(風防体)の高さCは、5820-4365=1455mmと求めることができ、平均コンテナ積載高さH’は、16720-4365=12355mmと求めることができ。その比率は1455/12355=0.118(およそ12%)と求められる。 甲4発明1において、船首楼甲板の上甲板からの高さBは3121mmであるから、ブルワーク(風防体)の高さCは、4590-3121=1469mmと求めることができ、平均コンテナ積載高さH’は、12290-3121=9169mmと求めることができ。その比率は1469/9169=0.160(およそ16%)と求められる。 したがって、甲1発明1、甲2発明1及び甲4発明1に記載された構成は、風防体(ブルワーク)の高さの平均コンテナ高さに対する比率は、0.18~0.65の範囲に含まれるものではない。」(令和5年11月1日に提出された意見書第2ページ第16行ないし第34行(5「(2)異議申立人の主張について」欄)) (c) 「上述したように、船首楼を有するコンテナ船と船首楼を有しないコンテナ船では、船体構造の設計思想が異なるものであり、船首楼の閉区画構造を含む側壁部分の構造を本件特許発明の風防体と同一視できるものではない。 したがって、甲1発明1、甲2発明1及び甲4発明1のように、船首楼を有するコンテナ船の図面が一見して本件特許発明1と近似しているからといって、船首楼を有しないコンテナ船において、船体構造の設計思想を無視して、船首楼を有するコンテナ船のブルワーク及び船首楼(船体構造)の側壁部分のみを都合よく抜き出して風防体として把握することは当業者であればこそ受け入れがたい認定である。」(令和5年11月1日に提出された意見書第2ページ下から第1行ないし第3ページ第7行(5「(2)異議申立人の主張について」欄)) (d) 「また、上述したように、甲1発明1、甲2発明1及び甲4発明1に記載された構成は、風防体(ブルワーク)の高さの平均コンテナ高さに対する比率は、0.18~0.65の範囲に含まれるものではなく、仮に、これらを参酌したとしても当業者が本件特許発明1を容易に想到したものとはいえない。」(令和5年11月1日に提出された意見書第3ページ第8行ないし第11行(5「(2)異議申立人の主張について」欄)) b 当審の見解 (a)「風防体」(甲1発明1の「ブルワーク」)について(上記a(a)及び(c)関連) 上記イ(イ)のとおり、甲1発明1の「UPPER DECKの縁部に略垂直に配置された略一定の高さのブルワーク」は、コンテナの前方に配置されていることから、コンテナ船の航行時にはコンテナにあたる風量を低減することで、風圧抵抗を低減する風防体としての機能を備えるものといえるから、本件発明1の「上甲板の縁部に垂直に配置された風防体」に相当するものである。 (b)「風防体」(甲1発明1の「ブルワーク」)の高さについて(上記a(a)ないし(d)関連) (b)-1 「風防体」(甲1発明1の「ブルワーク」)の高さの基準について 高さは、一般的に1つの構造体を通して共通の基準を設けるのが通常であり、そのようにすることにより高さの数値等のみにより端的に該構造体の各部位及び全体の形状や寸法を把握することが可能となるものであることからすると、甲1発明1の「UPPER DECKの縁部に略垂直に配置された略一定の高さのブルワーク」の高さについても、その各部位に対して全体を通して共通の基準を設けて把握するというのが本来的であると認められる。 (b)-2 「風防体」(甲1発明1の「ブルワーク」)の高さの共通の基準について(本件明細書等の「風防体」に関する記載からみて) まず、本件発明1の「風防体」の高さの基準について、本件明細書等の段落【0025】には「風防体5の上甲板4からの高さをHwと定義する。」と記載されていることから、風防体5の高さHwは、上甲板4を基準として、同上甲板4からの高さを意味するものであると認められる。 また、同【図6(A)】に図示された「支持部7として、上甲板4の風防体5により囲まれた部分に追加甲板71を配置している」(段落【0048】)第二実施形態においても、段落【0048】では「風防体5の高さHwは、追加甲板71の脚部の長さを含むものとする。」と記載され、【図6(A)】の図示内容と併せてみると、風防体5の高さHwは、上甲板4を基準として、同上甲板4からの追加甲板71の脚部の長さを含む高さを意味するものであると認められる。さらに、本願明細書等の【図6(A)】の図示内容からみて、風防体.5は、追加甲板71より下方となる範囲にまで延設されていることが看取され、同【図6(A)】及び【図6(B)】の図示内容からみて、風防体5は、追加甲板71よりも船尾側にまで延設され、風防体5の船尾側の端部は追加コンテナ6のみならず上甲板3にコンテナ31が積載された範囲にまで及び、同船尾側の端部の高さは追加甲板71より下方となる範囲に及び最終的に上甲板4と略同じ高さにまで及んでいることが看取されることを踏まえて、上記(b)-1に示したような各部位に対して全体を通して共通の基準を設けて把握するのが本来的という点からみても、風防体5の高さHwは、上甲板4を基準として、同上甲板4からの追加甲板71の脚部の長さを含む高さを意味するものであると認められる。 そして、本件明細書等の【図7】に図示された「支持部7は、例えば、図7(A)及び図7(B)に示したように、複数の支柱72により構成」し、追加甲板71を配置したものではない変形例においても同様に、風防体5の高さHwは、上甲板4を基準として、同上甲板4からの複数の支柱72の長さを含む高さを意味するものであると認められる。 そうすると、本件発明1の「風防体」の高さは、追加甲板71の配置の有無を問わず、上甲板を基準として、同上甲板からの高さを意味すると認められ、甲1において、本件発明1の「風防体」に相当する「ブルワーク」の高さの基準についても、上記イ(イ)d-3及びd-5のとおり、「UPPER DECK」すなわち「上甲板」を基準として、同「上甲板」からの高さとして求めるのが妥当であると認められる。 (b)-3 「風防体」の高さの共通の基準について(本件明細書等の「コンテナ積載高さ」に関する記載並びに「風防体」及び「コンテナ」全体からみて) 本件発明1においては、風防体の最も高い部分の高さが、コンテナ船の平均コンテナ積載高さHcに対する比率の数値範囲により特定されているところ、該平均コンテナ積載高さHcの高さの基準について、本件明細書等の段落【0023】において「貨物区3の船体中央部より前方側に積載されたコンテナ31のうち、上甲板4から計測した最大コンテナ積載高さをHa、最前部のコンテナ積載高さをHb、平均コンテナ積載高さをHcと定義する。すなわち、Hc=(Ha+Hb)/2である。」と記載されていることから、上甲板4を基準として、同上甲板4からの高さを意味するものであると認められる。 また、追加コンテナ56の積載高さHxについても、同段落【0053】には「図5に示したように、追加コンテナ6の上甲板4からの積載高さをHxと定義している。」と記載されていることから、上甲板4を基準として、同上甲板4、からの高さを意味するものであると認められる。 そして、本件発明1は、風防体の最も高い部分の高さを、コンテナ船の平均コンテナ積載高さHcに対する比率の数値範囲により特定するものである以上、該比率を求める両高さの基準は同じとするのが、該数値範囲を有意なものとする上で通常行われることである。また、上記(b)-1に示したような各部位に対して全体を通して共通の基準を設けて把握するのが本来的という点をコンテナ積載高さを含めてみても、同様に、該比率を求める両高さの基準は同じとするのが妥当であると認められる。 そうすると、コンテナ船の平均コンテナ積載高さHcは、上記の通り、上甲板4を基準として、同上甲板4からの高さを意味するものであると認められることから、風防体の高さの基準についても、同様に、上甲板4を基準として、同上甲板4からの高さを意味するものであると認められる。 (b)-4 「風防体」(甲1発明1の「ブルワーク」)の高さ及び「平均コンテナ積載高さに対する比率」について 上記(b)-1ないし(b)-3からみて、甲1発明1の「ブルワーク」の高さ及び「平均コンテナ積載高さに対する比率」は、上記イ(イ)d-5のとおりであって、上記a(b)及び(d)の主張は採用することができない。 (エ) 予備的見解(風防体の最も高い部分の高さのコンテナ船の平均コンテナ積載高さHcに対する比率を、上限値及び下限値を有する数値範囲とすることについて) 以上のとおりであるが、本件発明1は、風防体の最も高い部分の高さのコンテナ船の平均コンテナ積載高さHcに対する比率を、上限値及び下限値を有する0.18~0.65という数値範囲とすることについて、以下に予備的に付言する。 a 甲第5号証(特表2015-517957号公報)の記載事項 甲第5号証には以下のような記載がある。 (a) 「【技術分野】 【0001】 本発明は、船舶用抵抗低減装置、これを製作する製作ユニット及び製作方法に関する。 【背景技術】 【0002】 一般的に、船舶が航行する場合、船舶は、水、波による抵抗とともに、空気や風による抵抗を受ける。実際に空気抵抗は、船舶の燃費を悪化させ、船舶の最高速度を低下させることができ、船舶の操縦性能を低下させる要因として作用している。特に、超大型コンテナ船舶、貨物運搬船などのように、水面上の主船体及び貨物の積載形状が直方体に近く、水面上から高い位置に露出し、風圧面積が大きい船舶の場合には、空気、風、船舶が水面とぶつかりながら船首側に越えて来るグリーンウォーター(green water)による抵抗が非常に大きいため、船首側に加重される抵抗を多く受ける。 【0003】 例えば、コンテナ船舶は、上部デック(upper deck)に貨物または高い構造物が多い場合、運航時の空気抵抗によって燃料消耗率が高くて、常時コンテナを積んで運航するので、他の船舶に比べて空気抵抗による燃料消耗率が高い。 【0004】 このような船首にエアスポイラー、エアデフレクターのような抵抗低減装置を設置すれば、空気力学的設計効果で燃費向上をもたらすことができる。一例として、特許文献1には、船体空気抵抗を低減するために、船首部分に設置された船舶用エア(またはウィンド)デフレクターに対する技術が開示されている。 【0005】 このような抵抗低減装置は、強い風圧に耐えなければならないので、強度が非常に重要であり、このために金属加工及び溶接による金属構造物形態の抵抗低減装置の製作が行われることがある。しかし、この場合、抵抗低減装置の製作が容易であるが、大型化されるほど、重量が増加し、輸送及び設置作業の作業効率性が劣ることがある。」 (b) 「【0066】 図6~図8は、図1に示された抵抗低減装置の形状決定要素である主要形状寸法を示す図である。 【0067】 図6~図8を参照すれば、船舶10の船首側最先端コンテナ20は、最大積載高さh及び最大積載幅lを有し、下記の主要形状寸法に対する説明で基準値であるものと理解され得る。 【0068】 また、抵抗低減装置100に対する主要形状寸法は、最先端コンテナ20と抵抗低減装置100間の間隔aと、最大積載高さhに対する比率である抵抗低減装置の高さHと、最大積載幅lに対する比率である抵抗低減装置の上端幅L(例:上部フレームの長さ)として定義され得る。ここで、点bは、下部フレームの中心点であり、cは、下部フレームの終端であり、d1、d2は、上部フレームの終端を示す。 【0069】 図9は、図6~図8の主要形状寸法によって正面部に作用する空気抵抗の比率を示す解釈図面である。 【0070】 図9を参照すれば、抵抗低減装置の主要形状寸法(例えば、L、H)によって最先端コンテナの正面部に作用する空気抵抗の比率%が相異に現われることができる。 【0071】 この際、12000TEU模型で風動実験を行った結果、コンテナの正面部のみを考慮するとき、抵抗低減装置の上端幅Lが50%、抵抗低減装置の高さHが75%であるとき、空気抵抗の比率が86.5%であって、空気抵抗を最も小さく受けることが確認された。また、一定の水準以上のサイズなら、期待効果が類似していて、経済的な効率が劣るものと判断される。すなわち、船舶の抵抗低減装置100を通過する空気流動がコンテナ200の正面部にぶつかることなく、側部に流れるものである。 【0072】 また、船舶の実際運航比率(全方向)を考慮して船舶の燃費を検討した結果、L=75%、H=75%である場合で抵抗低減装置を搭載した船舶の燃費が最も高いことが確認された。 【0073】 したがって、図9の解釈結果及び実際運航比率を考慮してみれば、LとHの形状決定要素は、各基準値に対して50~80%が適当なものと判断され得る。」 (c) 「 [図:0001411222000016.jpg] 」(【図6】) (d) 「 [図:0001411222000017.jpg] 」(【図7】) (e) 「 [図:0001411222000018.jpg] 」(【図8】) (f) 「 [図:0001411222000019.jpg] 」(【図9】) b 甲第5号証の認定事項 (a)上記a(a)、(c)ないし(f)からみて、上甲板の縁部に略垂直に配置された抵抗低減装置を備えているコンテナ船舶の船首構造が記載されていると認められる。 (b)上記a(b)、(d)ないし(f)からみて、抵抗低減装置の高さは、コンテナ船舶の最大積載高さhに対する比率Hが50~80%の範囲に設定されていることが記載されていると認められる。 c 甲第5号証に記載された技術的事項 上記aの記載事項及びbの認定事項からみて、甲第5号証には、以下の技術的事項(以下「甲5技術的事項」という。)が記載されていると認められる。 「コンテナ船舶の船首構造であって、 上甲板の縁部に略垂直に配置された抵抗低減装置を備え、 抵抗低減装置の高さは、コンテナ船舶の最大積載高さhに対する比率Hが50~80%の範囲に設定されている、 コンテナ船舶の船首構造。」 そして、甲1発明1において、甲5技術的事項を参酌して、風防体の最も高い部分の高さのコンテナ船の平均コンテナ積載高さに対する比率を、上限値及び下限値を有する数値範囲とすることは、当業者が適宜選択的になし得るものである。 カ 小括 したがって、本件発明1は、甲1発明1に基いて、または、甲1発明1及び周知技術1に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 また、本件発明1は、甲1発明1、周知技術1及び甲5技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 (1-2)甲第2号証を主引用文献とした場合 ア 甲第2号証に記載された発明 (ア) 甲第2号証の記載事項 甲第2号証には以下のような記載がある。 a 「 [図:0001411222000020.jpg] 」(CD-ROMの‘Tsuneishi 1.020-TEU Container Carrier’のページに記載された写真) a-1 参考写真 「 [図:0001411222000021.jpg] 」(CD-ROMの‘Tsuneishi 1.020-TEU Container Carrier’のページに記載された写真[令和4年7月8日提出の意見書第21ページに記載された写真]) b 「 [図:0001411222000022.jpg] 」(CD-ROMの‘Containerships’のページに記載された上から1番目の図面(側面図)及び上から2番目の図面(平面図)) b-1 参考図面 「 [図:0001411222000023.jpg] 」(CD-ROMの‘Containerships’のページに記載された上から1番目の図面(側面図)及び上から2番目の図面(平面図)[令和4年7月8日提出の意見書第19ページに記載された図面]) c 「Features 1.The vessel is flash deck type with forecastle and poop deck.」(CD-ROMの‘Containerships’のページに記載された「Features」の「1.」) (イ) 甲第2号証の認定事項 a 上記(ア)a及びbからみて、1020TEUのコンテナ船について記載されていると認められる。 また、上記(ア)bは全体図であるため、コンテナ船の船首構造も記載されていると認められる。 b 上記(ア)b及びその参考図面である上記(ア)b-1からみて、以下のb-1ないしb-5のとおりのものと認められる。 b-1 上記(ア)b及びその参考図面である上記(ア)b-1からみて、コンテナ船は側壁を備え、側壁が上甲板の縁部から略垂直に配置されていることが看取できる。また、この側壁は高さが略一定であることが看取されることから、側壁で高さが最も高い部分は、側壁の上端であると認められる。 b-2 上記(ア)bの上から1番目の図面(側面図)及びその参考図面である上記(ア)b-1からみて、コンテナは、これ以上積載すると船橋から船首側が見えなくなる程度まで積載されていることが看取される。 また、上記(ア)a及びbに「1,020-TEU」と記載されていることから、最大コンテナ積載数は1020TEUであると認められる。 そして、上記(ア)bの上から1番目の図面(側面図)及び上から2番目の図(平面図)並びにその参考図面である上記(ア)b-1からみて、両図において、積載されているコンテナ数は1114TEUであると認められる。 そうすると、コンテナはこれ以上積載すると船橋から船首側が見えなくなる程度まで積載され、この積載されているコンテナ数は、上記最大コンテナ積載数である1020TEUと略等しいことから、上記(ア)bの両図は、コンテナ満載状態を図示していると認められる。 b-3 上記cには「Forecastle」と記載され、上記(ア)bの上から1番目の図面(側面図)及びその参考図面である上記(ア)b-1からみて、船首端に「Forecastle」すなわち船首楼が設けられており、「Forecastle」の側面は船首に備えられた側壁で囲まれていることが看取される。 b-4 上記(ア)bの上から1番目の図面(側面図)及びその参考図面である上記(ア)b-1からみて、コンテナが積載された区画である貨物区の船体中央部より前方側に積載されたコンテナのうち、最も高く積まれているのは、上記(ア)b-1において「最も高く積まれたコンテナ」と記載されたコンテナであり、「上甲板」からの高さをHA2とする。 また、ブルワークで囲まれていない最前部のコンテナは、上記(ア)b-1において「最前部のコンテナ」と記載されたコンテナであり、「上甲板」からの高さをHB2とする。 そして、上記(ア)bの上から1番目の図面(側面図)及びその参考図面である上記(ア)b-1からみて、これら貨物区の船体中央部より前方側に積載されたコンテナのうち「最も高く積まれたコンテナ」の上甲板からの高さHA2と、ブルワークで囲まれていない「最前部のコンテナ」の上甲板からの高さHB2と、側壁の上端の高さの比率は、18.34:15.09:5.82であることが看取される。 また、これら貨物区の船体中央部より前方側に積載されたコンテナのうち「最も高く積まれたコンテナ」の上甲板からの高さHA2とブルワークで囲まれていない「最前部のコンテナ」の上甲板からの高さHB2の平均値をHC2とすると、HC2=(HA2+HB2)/2=(18.34+15.09)/2=16.72となる。 そうすると、上甲板からの高さの該平均値HC2に対する比率は、5.82/16.72=0.35となる。 b-5 上記(ア)aの写真及びその参考写真である上記(ア)a-1からみて、1020TEUのコンテナ船が港湾に停泊中であり、水平方向に延びる長孔が側壁に形成され、索体が長孔を挿通して繰り出されていることが看取される。 そして、船舶において、停泊時に繰り出す索体は係船装置の索体であることから、係船装置の索体が開示されているものと認められる。 (ウ) 甲第2号証に記載された発明 (ウ)-1 甲第2号証に記載された発明1 上記(ア)の記載事項及び(イ)の認定事項からみて、甲第2号証には、以下の発明(以下「甲2発明1」という。)が記載されていると認められる。 「1020TEUのコンテナ船(ただし、Forecastleが設けられたもの。)の船首構造であって、 上甲板の縁部に略垂直に配置された略一定の高さの側壁を備え、 前記側壁の上端の高さは、前記1020TEUのコンテナ船のHC2=(HA2+HB2)/2(ただし、HA2:コンテナ満載状態における貨物区の船体中央部より前方側に積載されたコンテナのうち最も高く積まれたコンテナの上甲板からの高さ、HB2:コンテナ満載状態における側壁で囲まれていない最前部のコンテナの上甲板からの高さ、HC2:コンテナ満載状態における貨物区の船体中央部より前方側に積載されたコンテナのうち最も高く積まれたコンテナの上甲板からの高さHA2と側壁で囲まれていない最前部のコンテナの上甲板からの高さHB2の平均値)により算出される、前記1020TEUのコンテナ船のコンテナの上甲板からの高さの平均値HC2に対する比率が0.35の範囲に設定されている、 1020TEUのコンテナ船の船首構造。」 (ウ)-2 甲第2号証に記載された発明2及び甲第2号証に記載された技術的事項 上記(ア)の記載事項及び(イ)の認定事項からみて、甲第2号証には、甲2発明1に加えて、さらに、以下の技術的事項(以下「甲2技術的事項」という。)を包含する発明(以下、「甲2発明2」という。)が記載されていると認められる。 「側壁は、係船装置の索体を挿通して繰り出す長孔が形成された、1020TEUのコンテナ船の船首構造。」 (ウ)-3 甲第2号証に記載された発明3 上記(ア)の記載事項及び(イ)の認定事項からみて、甲第2号証には、甲2発明2に加えて、さらに、以下の技術的事項を包含する発明(以下、「甲2発明3」という。)が記載されていると認められる。 「側壁は、左舷側から右舷側に渡って略一定の高さを有していること。」 (ウ)-4 甲第2号証に記載された発明4 上記(ア)の記載事項及び(イ)の認定事項からみて、甲第2号証には、甲2発明3に加えて、さらに、以下の技術的事項を包含する発明(以下、「甲2発明4」という。)が記載されていると認められる。 「甲2発明4の船首構造を備えた、1020TEUのコンテナ船。」 イ 対比 本件発明1と甲2発明1を対比する。 (ア) 甲2発明1の「1020TEUのコンテナ船(ただし、Forecastleが設けられたもの。)」は本件発明1の「コンテナ船(ただし、船首楼が設けられたものを除く。)」と「コンテナ船」という限りにおいて一致し、同様に、甲2発明1の「1020TEUのコンテナ船(ただし、Forecastleが設けられたもの。)の船首構造」は本件発明1の「コンテナ船(ただし、船首楼が設けられたものを除く。)の船首構造」と「コンテナ船の船首構造」という限りにおいて一致する。 (イ) 甲2発明1の「上甲板」は本件発明1の「上甲板」に相当し、甲2発明1の「上甲板の縁部に略垂直に配置された」ことは、本件発明1の「上甲板の縁部に垂直に配置された」ことに実質的に相当する。 そして、甲2発明1の「上甲板の縁部に略垂直に配置された略一定の高さの側壁」は、コンテナの前方に配置されていることから、コンテナ船の航行時にはコンテナにあたる風量を低減することで、風圧抵抗を低減する風防体としての機能を備えるものといえるから、本件発明1の「上甲板の縁部に垂直に配置された風防体」に相当する。 ウ 甲2発明1の「ブルワーク」は略一定の高さであることから、甲2発明1の「側壁の上端の高さ」は、「側壁」の最も高い部分の高さであるので、本件発明1の「風防体の最も高い部分の高さ」に相当する。 また、甲2発明1の「HA2:コンテナ満載状態における貨物区の船体中央部より前方側に積載されたコンテナのうち最も高く積まれたコンテナの上甲板からの高さ」は、本件発明1の「Ha:コンテナ満載状態における貨物区の船体中央部より前方側に積載されたコンテナの上甲板から計測した最大コンテナ積載高さ」に相当する。 さらに、本件の【図1】及び【図5】を参照すると、貨物区内に積載されたコンテナは、防風体に囲まれていないことから、甲2発明1の「側壁で囲まれていないコンテナ」は、本件発明1の「貨物区内に積載されたコンテナ」に相当し、そうすると、甲2発明1の「HB2:コンテナ満載状態における側壁で囲まれていない最前部のコンテナの上甲板からの高さ」は、本件発明1の「Hb:コンテナ満載状態における貨物区内に積載された最前部のコンテナ積載高さ」に相当する。 さらにまた、甲2発明1の「HC2:コンテナ満載状態における貨物区の船体中央部より前方側に積載されたコンテナのうち最も高く積まれたコンテナの上甲板からの高さHA2と側壁で囲まれていない最前部のコンテナの上甲板からの高さHB2の平均値」は、本件発明1の「Hc:コンテナ満載状態における貨物区の船体中央部より前方側に積載されたコンテナの平均コンテナ積載高さ」に相当し、甲1発明1の「HC2=(HA2+HB2)/2」は、本件発明1の「Hc=(Ha+Hb)/2」に相当する。 そして、甲2発明1の「1020TEUのコンテナ船のコンテナの上甲板からの高さの平均値HC2に対する比率が0.35に設定されている」ことは、本件発明1の「コンテナ船の平均コンテナ積載高さHcに対する比率が0.18~0.65の範囲に設定されている」ことに相当する。 そうすると、本件発明1は、以下の点において甲2発明1と一致及び相違するものである。 (一致点) 「 コンテナ船の船首構造であって、 上甲板の縁部に垂直に配置された風防体を備え、 前記風防体の最も高い部分の高さは、Hc=(Ha+Hb)/2(ただし、Ha:コンテナ満載状態における貨物区の船体中央部より前方側に積載されたコンテナの上甲板から計測した最大コンテナ積載高さ、Hb:コンテナ満載状態における貨物区内に積載された最前部のコンテナ積載高さ、Hc:コンテナ満載状態における貨物区の船体中央部より前方側に積載されたコンテナの平均コンテナ積載高さ)により算出される、前記コンテナ船の平均コンテナ積載高さHcに対する比率が0.18~0.65の範囲に設定されている、コンテナ船の船首構造。」 (相違点1-2) 本件発明1は、「船首楼が設けられたものを除く」コンテナ船であるのに対し、甲2発明1は、「Forecastle(船首楼)が設けられた」1020TEUのコンテナ船(コンテナ船)である点。 ウ 相違点の判断 相違点1-2についての判断は、上記(1-1)ウの相違点1-1についての判断と同様である。 エ 小括 したがって、本件発明1は、甲2発明1に基いて、または、甲2発明1及び周知技術1に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 また、本件発明1は、甲2発明1及び甲5技術的事項に基いて、または、甲2発明1、周知技術1及び甲5技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 (1-3)甲第4号証を主引用文献とした場合 ア 甲第4号証に記載された発明 (ア) 甲第4号証の記載事項 甲第4号証には以下のような記載がある。 a 「多目的コンテナ船“MAIPO”」(第36ページに記載された題号) b 「 [図:0001411222000024.jpg] 」(第37ページ) c 「 [図:0001411222000025.jpg] 」(第38ページに記載された左から1番目の図面(側面図)、左から2番目の図面(平面図)及び左から3番目の図面(船首部分の図)) c-1 参考図面 「 [図:0001411222000026.jpg] 」(第38ページに記載された左から1番目の図面(側面図)及び左から2番目の図面(平面図)[令和4年7月8日提出の意見書第23ページに記載された図面]) (イ) 甲第4号証の認定事項 a 上記(ア)a、b及びcからみて、多目的コンテナ船について記載されていると認められる。 また、上記(ア)a、b及びcには、多目的コンテナ船の船首構造も記載されていると認められる。 b 上記(ア)b並びに上記(ア)c及びその参考図面である上記(ア)c-1からみて、以下のb-1ないしb-4のとおりのものと認められる。 b-1 上記(ア)c及びその参考図面である上記(ア)c-1からみて、多目的コンテナ船は側壁を備え、側壁が上甲板の縁部から略垂直に配置されていることが看取できる。また、この側壁は高さが略一定であることが看取されることから、側壁で高さが最も高い部分は、側壁の上端であると認められる。 b-2 上記(ア)bに「ガントリークレーン 電動油圧式 1基」と記載され、上記(ア)cの左から1番目の図面(側面図)及びその参考図面である上記(ア)c-1とあわせてみると、コンテナ船は、コンテナ荷役用のガントリークレーンを搭載しており、これ以上積載するとガントリークレーンの吊具の下端よりもコンテナの上端が高い位置となりガントリークレーンでコンテナを吊り上げられなくなる程度まで積載されていることが看取される。 また、上記(ア)bに「コンテナ個数」について「(上甲板上,3段積にて)」と記載されていることから、最大コンテナ積載の段数は3段積であると認められる。 そして、上記(ア)bの左ら1番目の図面(側面図)及びその参考図面である上記(ア)c-1からみて、両図において、上甲板上に積載されているコンテナの段数は3段積であると認められる。 そうすると、コンテナはこれ以上積載するとガントリークレーンの吊具の下端よりもコンテナの上端が高い位置となりガントリークレーンでコンテナを吊り上げられなくなる程度まで積載され、この積載されているコンテナの段数は、上記最大コンテナ積載の段数である3段積と等しいことから、上記(ア)cの両図は、コンテナ満載状態を図示していると認められる。 b-3 上記cの左から3番目の図面(船首部分の図)には「F’CLE Deck」と記載され、上記(ア)cの左から1番目の図面(側面図)及び左から3番目の図面(船首部分の図)並びにその参考図面である上記(ア)c-1からみて、船首端に「F’CLE」すなわち船首楼が設けられており、「F’CLE」の側面は船首に備えられた側壁で囲まれていることが看取される。そして、同両図からみて、「F’CLE」は船首に備えられた側壁とは別体であると認められる。 b-4 上記(ア)cの左から1番目の図面(側面図)及びその参考図面である上記(ア)c-1からみて、コンテナの積載の段数は船体における船長方向の位置によらず全て3段であることが看取される。 そして、コンテナが積載された区画である貨物区の船体中央部より前方側に積載されたコンテナのうち、「最も高く積まれたコンテナ」の「上甲板」からの高さをHA4とし、ブルワークで囲まれていない「最前部のコンテナ」の「上甲板」からの高さをHB4とすると、上記(ア)cの左から1番目の図面(側面図)及びその参考図面である上記(ア)c-1からみて、これら貨物区の船体中央部より前方側に積載されたコンテナのうち「最も高く積まれたコンテナ」の上甲板からの高さHA4と、ブルワークで囲まれていない「最前部のコンテナ」の上甲板からの高さHB4と、側壁の上端の高さの比率は、12.29:12.29:5.82であることが看取される。 また、これら貨物区の船体中央部より前方側に積載されたコンテナのうち「最も高く積まれたコンテナ」の上甲板からの高さHA4とブルワークで囲まれていない「最前部のコンテナ」の上甲板からの高さHB4の平均値をHC4とすると、HC4=(HA4+HB4)/2=(12.29+12.29)/2=12.29となる。 そうすると、上甲板からの高さの該平均値HC4に対する比率は、4.59/12.29=0.37となる。 (ウ) 甲第4号証に記載された発明 (ウ)-1 甲第4号証に記載された発明1 上記(ア)の記載事項及び(イ)の認定事項からみて、甲第4号証には、以下の発明(以下「甲4発明1」という。)が記載されていると認められる。 「多目的コンテナ船(ただし、F’CLEが設けられたもの。)の船首構造であって、 上甲板の縁部に略垂直に配置された略一定の高さの側壁を備え、 前記側壁の上端の高さは、前記多目的コンテナ船のHC4=(HA4+HB4)/2(ただし、HA4:コンテナ満載状態における貨物区の船体中央部より前方側に積載されたコンテナのうち最も高く積まれたコンテナの上甲板からの高さ、HB4:コンテナ満載状態における側壁で囲まれていない最前部のコンテナの上甲板からの高さ、HC4:コンテナ満載状態における貨物区の船体中央部より前方側に積載されたコンテナのうち最も高く積まれたコンテナの上甲板からの高さHA4と側壁で囲まれていない最前部のコンテナの上甲板からの高さHB4の平均値)により算出される、前記多目的コンテナ船のコンテナの上甲板からの高さの平均値HC4に対する比率が0.37の範囲に設定されている、 多目的コンテナ船の船首構造。」 (ウ)-2 甲第4号証に記載された発明2 上記(ア)の記載事項及び(イ)の認定事項からみて、甲第4号証には、甲4発明1に加えて、さらに、以下の技術的事項を包含する発明(以下、「甲4発明2」という。)が記載されていると認められる。 「側壁は、左舷側から右舷側に渡って略一定の高さを有していること。」 (ウ)-3 甲第4号証に記載された発明3 上記(ア)の記載事項及び(イ)の認定事項からみて、甲第4号証には、甲4発明2に加えて、さらに、以下の技術的事項(以下「甲4技術的事項」という。)を包含する発明(以下、「甲4発明3」という。)が記載されていると認められる。 「側壁で囲まれた部分にコンテナを積載可能な支持部を備える、多目的コンテナ船の船首構造。」 (ウ)-4 甲第4号証に記載された発明4 上記(ア)の記載事項及び(イ)の認定事項からみて、甲第4号証には、さらに、以下の発明(以下、「甲4発明4」という。)が記載されていると認められる。 「甲4発明3の船首構造を備えた、多目的コンテナ船。」 イ 対比 本件発明1と甲4発明1を対比する。 (ア) 甲4発明1の「多目的コンテナ船(ただし、F’CLEが設けられたもの。)」は本件発明1の「コンテナ船(ただし、船首楼が設けられたものを除く。)」と「コンテナ船」という限りにおいて一致し、同様に、甲4発明1の「多目的コンテナ船(ただし、F’CLEが設けられたもの。)の船首構造」は本件発明1の「コンテナ船(ただし、船首楼が設けられたものを除く。)の船首構造」と「コンテナ船の船首構造」という限りにおいて一致する。 (イ) 甲4発明1の「上甲板」は本件発明1の「上甲板」に相当し、甲4発明1の「上甲板の縁部に略垂直に配置された」ことは、本件発明1の「上甲板の縁部に垂直に配置された」ことに実質的に相当する。 そして、甲4発明1の「上甲板の縁部に略垂直に配置された略一定の高さの側壁」は、コンテナの前方に配置されていることから、コンテナ船の航行時にはコンテナにあたる風量を低減することで、風圧抵抗を低減する風防体としての機能を備えるものといえるから、本件発明1の「上甲板の縁部に垂直に配置された風防体」に相当する。 ウ 甲4発明1の「側壁」は略一定の高さであることから、甲4発明1の「側壁の上端の高さ」は、「側壁」の最も高い部分の高さであるので、本件発明1の「風防体の最も高い部分の高さ」に相当する。 また、甲4発明1の「HA4:コンテナ満載状態における貨物区の船体中央部より前方側に積載されたコンテナのうち最も高く積まれたコンテナの上甲板からの高さ」は、本件発明1の「Ha:コンテナ満載状態における貨物区の船体中央部より前方側に積載されたコンテナの上甲板から計測した最大コンテナ積載高さ」に相当する。 さらに、本件の【図1】及び【図5】を参照すると、貨物区内に積載されたコンテナは、防風体に囲まれていないことから、甲4発明1の「側壁で囲まれていないコンテナ」は、本件発明1の「貨物区内に積載されたコンテナ」に相当し、そうすると、甲4発明1の「HB4:コンテナ満載状態における側壁で囲まれていない最前部のコンテナの上甲板からの高さ」は、本件発明1の「Hb:コンテナ満載状態における貨物区内に積載された最前部のコンテナ積載高さ」に相当する。 さらにまた、甲4発明1の「HC4:コンテナ満載状態における貨物区の船体中央部より前方側に積載されたコンテナのうち最も高く積まれたコンテナの上甲板からの高さHA4とブルワークで囲まれていない最前部のコンテナの上甲板からの高さHB4の平均値」は、本件発明1の「Hc:コンテナ満載状態における貨物区の船体中央部より前方側に積載されたコンテナの平均コンテナ積載高さ」に相当し、甲4発明1の「HC4=(HA4+HB4)/2」は、本件発明1の「Hc=(Ha+Hb)/2」に相当する。 そして、甲4発明1の「多目的コンテナ船のコンテナの上甲板からの高さの平均値HC4に対する比率が0.37に設定されている」ことは、本件発明1の「コンテナ船の平均コンテナ積載高さHcに対する比率が0.18~0.65に設定されている」ことに相当する。 そうすると、本件発明1は、以下の点において甲4発明1と一致及び相違し、その余の点で一致するものである。 (一致点) 「 コンテナ船の船首構造であって、 上甲板の縁部に垂直に配置された風防体を備え、 前記風防体の最も高い部分の高さは、Hc=(Ha+Hb)/2(ただし、Ha:コンテナ満載状態における貨物区の船体中央部より前方側に積載されたコンテナの上甲板から計測した最大コンテナ積載高さ、Hb:コンテナ満載状態における貨物区内に積載された最前部のコンテナ積載高さ、Hc:コンテナ満載状態における貨物区の船体中央部より前方側に積載されたコンテナの平均コンテナ積載高さ)により算出される、前記コンテナ船の平均コンテナ積載高さHcに対する比率が0.18~0.65の範囲に設定されている、コンテナ船の船首構造。」 (相違点1-4) 本件発明1は、「船首楼が設けられたものを除く」コンテナ船であるのに対し、甲4発明1は、「F’CLE(船首楼)が設けられた」多目的コンテナ船(コンテナ船)である点。 ウ 相違点の判断 相違点1-4についての判断は、上記(1-1)ウの相違点1-1についての判断と同様である。 エ 小括 したがって、本件発明1は、甲4発明1に基いて、または、甲4発明1及び周知技術1に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 また、本件発明1は、甲4発明1及び甲5技術的事項に基いて、または、甲4発明1、周知技術1及び甲5技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 (2) 本件発明2について 本件発明2は、上記第3において示したとおりのものである。 (2-1)甲第1号証を主引用文献とした場合 ア 対比 本件発明2と甲1発明1を対比すると、相違点1-1に加えて、さらに以下の点において相違し、その余の点で一致するものである。 (相違点2-1) 「風防体の最も高い部分の高さ」について、本件発明2は、コンテナ船の平均コンテナ積載高さHcに対する比率が、「0.35~0.55の範囲」に設定されているのに対し、甲1発明1は、コンテナの上甲板からの高さの平均値HC1(平均コンテナ高さHc)に対する比率が「0.24の範囲」に設定されている点。 イ 相違点の判断 上記相違点について検討する。 (ア) 相違点1-1について 相違点1-1についての判断は上記のとおりである。 (イ) 相違点2-1について 「風防体の最も高い部分の高さ」の「コンテナ船の平均コンテナ積載高さHcに対する比率」について、甲2発明1においては「0.35の範囲」に設定され、甲4発明1においては「0.37の範囲」に設定され、いずれも、相違点2-1に係る本件発明2の「0.35~0.55の範囲」に含まれるものであり、これに相当する。 そして、甲1発明1、甲2発明1及び甲4発明1はいずれもコンテナ船の船首構造という関連する技術分野に属している。 そうすると、甲1発明1において、「風防体の最も高い部分の高さ」の「コンテナ船の平均コンテナ積載高さHcに対する比率」として、甲2発明1または甲4発明1の数値範囲を採用し、相違点2-1に係る本件発明2の発明特定事項に想到することは、当業者が容易になし得るものである。 ウ 小括 したがって、本件発明2は、甲1発明1及び甲2発明1に基いて、甲1発明1、周知技術1及び甲2発明1に基いて、甲1発明1及び甲4発明1に基いて、または、甲1発明1、周知技術1及び甲4発明1に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 また、本件発明2は、甲1発明1、甲2発明1及び甲5技術的事項に基いて、甲1発明1、周知技術1、甲2発明1及び甲5技術的事項に基いて、甲1発明1、甲4発明1及び甲5技術的事項に基いて、または、甲1発明1、周知技術1、甲4発明1及び甲5技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 (2-2)甲第2号証を主引用文献とした場合 ア 対比 本件発明2と甲2発明1を対比すると、相違点1-2において相違し、その余の点で一致するものである。 イ 相違点の判断 相違点1-2についての判断は上記のとおりである。 ウ 小括 したがって、本件発明2は、甲2発明1に基いて、または、甲2発明1及び周知技術1に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 (2-3)甲第4号証を主引用文献とした場合 ア 対比 本件発明2と甲4発明1を対比すると、相違点1-4において相違し、その余の点で一致するものである。 イ 相違点の判断 相違点1-4についての判断は上記のとおりである。 ウ 小括 したがって、本件発明2は、甲4発明1に基いて、または、甲4発明1及び周知技術1に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 また、本件発明2は、甲4発明1及び甲5技術的事項に基いて、または、甲4発明1、周知技術1及び甲5技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 (3) 本件発明3について 本件発明3は、上記第3において示したとおりのものである。 (3-1)甲第1号証を主引用文献とした場合 ア 対比 本件発明3と甲1発明1を対比すると、相違点1-1に加えて、さらに以下の点において相違し、その余の点で一致するものである。 (相違点3-1) 本件発明3は、風防体が、「係船装置の索体を挿通可能な開口部」を備えるのに対し、甲1発明1は、ブルワーク(風防体)は、本件発明3のような開口部を備えるか明らかでない点。 イ 相違点の判断 上記相違点について検討する。 (ア) 相違点1-1について 相違点1-1についての判断は上記のとおりである。 (イ) 相違点3-1について a 甲2技術的事項 甲2技術的事項における「係船装置の索体を挿通して繰り出す長孔」は本件発明3における「係船装置の索体を挿通可能な開口部」に相当し、同様に、「形成された」ことは「備える」ことに相当することから、甲2技術的事項を本件発明3の用語を用いて記載すると、以下のとおりとなる。 「風防体は、係船装置の索体を挿通可能な開口部を備える、コンテナ船の船首構造。」 b 相違点3-1の容易想到性 甲1発明1及び甲2技術的事項はいずれもコンテナ船の船首構造という関連する技術分野に属している。 そうすると、甲1発明1のブルワーク(風防体)において、甲2技術的事項の構成を採用し、相違点3-1に係る本件発明3の発明特定事項に想到することは、当業者が容易になし得るものである。 ウ 小括 したがって、本件発明3は、甲1発明1及び甲2技術的事項に基いて、甲1発明1、周知技術1及び甲2技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 また、本件発明3は、甲1発明1、甲2技術的事項及び甲5技術的事項に基いて、甲1発明1、周知技術1、甲2技術的事項及び甲5技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 (3-2)甲第2号証を主引用文献とした場合 ア 対比 本件発明3と甲2発明2を対比すると、相違点1-2の点において相違し、その余の点で一致するものである。 イ 相違点の判断 相違点1-2についての判断は上記のとおりである。 ウ 小括 したがって、本件発明3は、甲2発明2に基いて、または、甲2発明2及び周知技術1に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 また、本件発明3は、甲2発明2及び甲5技術的事項に基いて、または、甲2発明2、周知技術1及び甲5技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 (3-3)甲第4号証を主引用文献とした場合 ア 対比 本件発明3と甲4発明1を対比すると、相違点1-4に加えて、さらに以下の点において相違し、その余の点で一致するものである。 (相違点3-4) 本件発明3は、風防体が、「係船装置の索体を挿通可能な開口部」を備えるのに対し、甲4発明1は、側壁(風防体)が、本件発明3のような開口部を備えるか明らかでない点。 イ 相違点の判断 上記相違点について検討する。 (ア) 相違点1-4について 相違点1-4についての判断は上記のとおりである。 (イ) 相違点3-4について 相違点3-4についての判断は上記の相違点3-1についての判断と同様である。 ウ 小括 したがって、本件発明3は、甲4発明1及び甲2技術的事項に基いて、または、甲4発明1、周知技術1及び甲2技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 また、本件発明3は、甲4発明1、甲2技術的事項及び甲5技術的事項に基いて、または、甲4発明1、周知技術1、甲2技術的事項及び甲5技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 (4) 本件発明4について 本件発明4は、上記第3において示したとおりのものである。 (4-1)甲第1号証を主引用文献とした場合 ア 対比 本件発明4と甲1発明2を対比すると、相違点1-1において相違し、その余の点で一致するものである。 イ 相違点の判断 相違点1-1についての判断は上記のとおりである。 ウ 小括 したがって、本件発明4は、甲1発明2に基いて、または、甲1発明2及び周知技術1に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 また、本件発明4は、甲1発明2及び甲5技術的事項に基いて、または、甲1発明2、周知技術1及び甲5技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 (4-2)甲第2号証を主引用文献とした場合 ア 対比 本件発明4と甲2発明3を対比すると、相違点1-2の点において相違し、その余の点で一致するものである。 イ 相違点の判断 相違点1-2についての判断は上記のとおりである。 ウ 小括 したがって、本件発明4は、甲2発明3及び甲5技術的事項に基いて、または、甲2発明3、周知技術1及び甲5技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 (4-3)甲第4号証を主引用文献とした場合 ア 対比 本件発明4と甲4発明2を対比すると、相違点1-4において相違し、その余の点で一致するものである。 イ 相違点の判断 相違点1-4についての判断は上記のとおりである。 ウ 小括 したがって、本件発明4は、甲4発明2に基いて、または、甲4発明2及び周知技術1に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 また、本件発明4は、甲4発明2及び甲5技術的事項に基いて、または、甲4発明2、周知技術1及び甲5技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 (5) 本件発明5について 本件発明5は、上記第3において示したとおりのものである。 (5-1)甲第1号証を主引用文献とした場合 ア 対比 本件発明5と甲1発明3を対比すると、相違点1-1において相違し、その余の点で一致するものである。 イ 相違点の判断 相違点1-1についての判断は上記のとおりである。 ウ 小括 したがって、本件発明5は、甲1発明3に基いて、甲1発明3及び周知技術1当業者が容易に発明をすることができたものである。 また、本件発明5は、甲1発明3及び甲5技術的事項に基いて、甲1発明3、周知技術1及び甲5技術的事項当業者が容易に発明をすることができたものである。 (5-2)甲第2号証を主引用文献とした場合 ア 対比 本件発明5と甲2発明3を対比すると、相違点1-2に加えて、さらに以下の点において相違し、その余の点で一致するものである。 (相違点5-2) 本件発明5は、「上甲板の風防体により囲まれた部分に追加コンテナを積載可能な支持部」を備えるのに対し、甲2発明3は、船首に設けられた側壁(風防体)により囲まれた部分には追加コンテナが積載されておらず、本件発明5のような「支持部」を備えるか不明である点。 イ 相違点の判断 上記相違点について検討する。 (ア) 相違点1-2について 相違点1-2についての判断は上記のとおりである。 (イ) 相違点5-2について 「風防体で囲まれた部分にコンテナを積載可能な支持部を備える、コンテナ船の船首構造。」 は、甲第1号証及び甲第4号証において甲1技術的事項1及び甲4技術的事項にて例示される周知技術(以下、「周知技術2」という。)である。 そして、甲2発明3はコンテナ船である以上、より多くのコンテナを積載することができるようにすることは当然に内在する課題であり、かかる課題のもとで、周知技術2を採用し、相違点5-2に係る本件発明5の発明特定事項に想到することは、当業者が容易になし得るものである。 ウ 小括 したがって、本件発明5は、甲2発明3並びに甲第1号証及び甲第4号証にて例示される周知技術2に基いて、または、甲2発明3、周知技術1並びに甲第1号証及び甲第4号証にて例示される周知技術2に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 また、本件発明5は、甲2発明3、甲第1号証及び甲第4号証にて例示される周知技術2並びに甲5技術的事項に基いて、または、甲2発明3、周知技術1、甲第1号証及び甲第4号証にて例示される周知技術2並びに甲5技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 (4-3)甲第4号証を主引用文献とした場合 ア 対比 本件発明5と甲4発明3を対比すると、相違点1-4の点において相違し、その余の点で一致するものである。 イ 相違点の判断 相違点1-4についての判断は上記のとおりである。 ウ 小括 したがって、本件発明5は、甲4発明3に基いて、または、甲4発明3及び周知技術1に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 また、本件発明5は、甲4発明3及び甲5技術的事項に基いて、または、甲4発明3、周知技術1及び甲5技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 (6) 本件発明6について 本件発明6は、上記第3において示したとおりのものである。 (6-1)甲第1号証を主引用文献とした場合 ア 対比 本件発明6と甲1発明4を対比すると、相違点1-1において相違し、その余の点で一致するものである。 イ 相違点の判断 相違点1-1についての判断は上記のとおりである。 ウ 小括 したがって、本件発明6は、甲1発明4に基いて、甲1発明4及び周知技術1に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 また、本件発明6は、甲1発明4及び甲5技術的事項に基いて、甲1発明4、周知技術1及び甲5技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 (6-2)甲第2号証を主引用文献とした場合 ア 対比 本件発明6と甲2発明3を対比すると、相違点1-2及び相違点5-2に加えて、さらに以下の点において相違し、その余の点で一致するものである。 (相違点6-2) 本件発明6は、「追加コンテナの積載高さは、貨物区に配置された最前部のコンテナの積載高さを超えないように設定されている」のに対し、甲2発明3は、船首に設けられた側壁(風防体)により囲まれた部分には追加コンテナが積載されておらず、本件発明6のような追加コンテナの積載高さについても備えていない点。 イ 相違点の判断 (ア) 相違点1-2及び相違点5-2について 相違点1-2及び相違点5-2についての判断は上記のとおりである。 (イ) 相違点6-2について a 甲1技術的事項2 甲1技術的事項2における「ブルワークで囲まれた部分に搭載されたコンテナ」は本件発明6における「追加コンテナ」に相当し、同様に、「ブルワークで囲まれていない最前部のコンテナ」ことは「貨物区に配置された最前部のコンテナ」ことに相当し、「より1段低い」ことは「を超えないように設定されている」ことに相当することから、甲1技術的事項2を本件発明6の用語を用いて記載すると、以下のとおりとなる。 「追加コンテナの積載高さは、貨物区に配置された最前部のコンテナの積載高さを超えないように設定されている、コンテナ船の船首構造。」 b 相違点6-2の容易想到性 甲2発明3及び甲1技術的事項2はいずれもコンテナ船の船首構造という関連する技術分野に属している。 そうすると、甲2発明3において、甲1技術的事項2の構成を採用し、相違点6-2に係る本件発明6の発明特定事項に想到することは、当業者が容易になし得るものである。 ウ 小括 したがって、本件発明6は、甲2発明3、甲第1号証及び甲第4号証にて例示される周知技術2並びに甲1技術的事項2に基いて、または、甲2発明3、周知技術1、甲第1号証及び甲第4号証にて例示される周知技術2並びに甲1技術的事項2に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 また、本件発明6は、甲2発明3、甲第1号証及び甲第4号証にて例示される周知技術2、甲1技術的事項2並びに甲5技術的事項に基いて、または、甲2発明3、周知技術1、甲第1号証及び甲第4号証にて例示される周知技術2、甲1技術的事項2並びに甲5技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 (6-3)甲第4号証を主引用文献とした場合 ア 対比 本件発明6と甲4発明3を対比すると、相違点1-4に加えて、さらに以下の点において相違し、その余の点で一致するものである。 (相違点6-4) 本件発明6は、「追加コンテナの積載高さは、貨物区に配置された最前部のコンテナの積載高さを超えないように設定されている」のに対し、甲4発明3は、船首に設けられた側壁(風防体)により囲まれた部分には追加コンテナが積載されておらず、本件発明6のような追加コンテナの積載高さについても備えていない点。 イ 相違点の判断 (ア) 相違点1-4について 相違点1-4についての判断は上記のとおりである。 (イ) 相違点6-4について 相違点6-4についての判断は上記の相違点6-2についての判断と同様である。 ウ 小括 したがって、本件発明6は、甲4発明3及び甲1技術的事項2に基いて、または、甲4発明3、周知技術1及び甲1技術的事項2に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 また、本件発明6は、甲4発明3、甲1技術的事項2及び甲5技術的事項に基いて、または、甲4発明3、周知技術1、甲1技術的事項2及び甲5技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 (7) 本件発明7について 本件発明7は、上記第3において示したとおりのものである。 (7-1)甲第1号証を主引用文献とした場合 ア 対比 本件発明7と甲1発明4を対比すると、相違点1-1に加えて、さらに以下の点において相違し、その余の点で一致するものである。 (相違点7-1) 本件発明7は、「追加コンテナの積載高さが、追加コンテナの満載状態における上甲板から最も高い部分までの高さにより定義され、風防体の最も高い部分の高さに対する比率が1.7以下に設定されている」のに対し、甲1発明4は、そのような特定がなされているか不明である点。 イ 相違点の判断 上記相違点について検討する。 (ア) 相違点1-1について 相違点1-1についての判断は上記のとおりである。 (イ) 相違点7-1について a 甲第3-1号証の記載事項 甲第3-1号証には以下のような記載がある。 (a) 「 [図:0001411222000027.jpg] 」(第21ページ右上欄) (a)-1 参考写真 「 [図:0001411222000028.jpg] 」(第21ページ右上欄に記載された写真[令和4年7月8日提出の意見書第22ページに記載された写真]) b 甲第3-1号証の認定事項 (a) 上記a(a)及びその参考写真である上記a(a)-1からみて、コンテナ船の船首構造が記載されていると認められる。 (b) 上記a(a)及びその参考写真である上記a(a)-1からみて、以下の(b)-1ないし(b)-3のとおりのものと認められる。 (b)-1 上記a(a)及びその参考写真である上記a(a)-1からみて、船首風防の高さはコンテナ3段分の高さと同程度である。 (b)-2 上記a(a)及びその参考写真である上記a(a)-1からみて、船首風防に囲まれた部分に積載されたコンテナの高さはコンテナ4段分の高さと同程度である。 (b)-3 上記(a)-1及び(a)-2より、船首風防に囲まれた部分に積載されたコンテナの積載高さの船首風防の高さに対する比率は4/3=1.3である。 c 周知技術3 「追加コンテナの積載高さが、追加コンテナの満載状態における上甲板から最も高い部分までの高さにより定義され、風防体の最も高い部分の高さに対する比率が1.3に設定されている、コンテナ船の船首構造。」 は、甲第3-1号証にて例示される周知技術(以下、「周知技術3」という。)である。 そして、甲1発明4において、上記(1-1)ウ(ア)-1bの当然に内在する課題のもとで、甲第3-1号証にて例示される周知技術3を参照し、追加コンテナやブルワーク(風防体)の高さを当業者の通常の創作能力の発揮によって適宜設定することにより、相違点7-1に係る本件発明7の発明特定事項に想到することは、当業者が容易になし得るものである。 ウ 小括 したがって、本件発明7は、甲1発明4及び甲第3-1号証にて例示される周知技術3に基いて、または、甲1発明4、周知技術1及び甲第3-1号証にて例示される周知技術3に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 また、本件発明7は、甲1発明4、甲第3-1号証にて例示される周知技術3及び甲5技術的事項に基いて、または、甲1発明4、周知技術1、甲第3-1号証にて例示される周知技術3及び甲5技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 (7-2)甲第2号証を主引用文献とした場合 ア 対比 本件発明7と甲2発明3を対比すると、相違点1-2及び相違点5-2に加えて、さらに以下の点において相違し、その余の点で一致するものである。 (相違点7-2) 本件発明7は、「追加コンテナの積載高さが、追加コンテナの満載状態における上甲板から最も高い部分までの高さにより定義され、風防体の最も高い部分の高さに対する比率が1.7以下に設定されている」のに対し、甲2発明3は、そのような特定がなされているか不明である点。 イ 相違点の判断 上記相違点について検討する。 (ア) 相違点1-2及び相違点5-2について 相違点1-2及び相違点5-2についての判断は上記のとおりである。 (イ) 相違点7-2について 相違点7-2についての判断は上記の相違点7-1についての判断と同様である。 ウ 小括 したがって、本件発明7は、甲2発明3、甲第1号証及び甲第4号証にて例示される周知技術2並びに甲第3-1号証にて例示される周知技術3に基いて、または、甲2発明3、周知技術1、甲第1号証及び甲第4号証にて例示される周知技術2並びに甲第3-1号証にて例示される周知技術3に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 また、本件発明7は、甲2発明3、甲第1号証及び甲第4号証にて例示される周知技術2、甲第3-1号証にて例示される周知技術3並びに甲5技術的事項に基いて、または、甲2発明3、周知技術1、甲第1号証及び甲第4号証にて例示される周知技術2、甲第3-1号証にて例示される周知技術3並びに甲5技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 (7-3)甲第4号証を主引用文献とした場合 ア 対比 本件発明7と甲4発明3を対比すると、相違点1-4の点に加えて、さらに以下の点において相違し、その余の点で一致するものである。 (相違点7-4) 本件発明7は、「追加コンテナの積載高さが、追加コンテナの満載状態における上甲板から最も高い部分までの高さにより定義され、風防体の最も高い部分の高さに対する比率が1.7以下に設定されている」のに対し、甲4発明3は、そのような特定がなされているか不明である点。 イ 相違点の判断 上記相違点について検討する。 (ア) 相違点1-4について 相違点1-4についての判断は上記のとおりである。 (イ) 相違点7-4について 相違点7-4についての判断は上記の相違点7-1についての判断と同様である。 エ 小括 したがって、本件発明7は、甲4発明3及び甲第3-1号証にて例示される周知技術3に基いて、または、甲4発明3、周知技術1及び甲第3-1号証にて例示される周知技術3に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 また、本件発明7は、甲4発明3、甲第3-1号証にて例示される周知技術3及び甲5技術的事項に基いて、または、甲4発明3、周知技術1、甲第3-1号証にて例示される周知技術3及び甲5技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 (8) 本件発明8について 本件発明8は、上記第3において示したとおりのものである。 (8-1)甲第1号証を主引用文献とした場合 ア 対比 本件発明8と甲1発明5を対比すると、相違点1-1、相違点2-1、相違点3-1及び相違点7-1の各点において相違し、その余の点で一致するものである。 イ 相違点の判断 相違点1-1、相違点2-1、相違点3-1及び相違点7-1についての判断は上記のとおりである。 ウ 小括 したがって、本件発明8は、甲1発明5に基いて、甲1発明5及び周知技術1に基いて、甲1発明5及び甲2発明1に基いて、甲1発明5、周知技術1及び甲2発明1に基いて、甲1発明5及び甲4発明1に基いて、甲1発明5、周知技術1及び甲4発明1に基いて、甲1発明5及び甲2技術的事項に基いて、甲1発明5、周知技術1及び甲2技術的事項に基いて、甲1発明5及び甲第3-1号証にて例示される周知技術3に基いて、または、甲1発明5、周知技術1及び甲第3-1号証にて例示される周知技術3に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 また、本件発明8は、甲1発明5及び甲5技術的事項に基いて、甲1発明5、周知技術1及び甲5技術的事項に基いて、甲1発明5、甲2発明1及び甲5技術的事項に基いて、甲1発明5、周知技術1、甲2発明1及び甲5技術的事項に基いて、甲1発明5、甲4発明1及び甲5技術的事項に基いて、甲1発明5、周知技術1、甲4発明1及び甲5技術的事項に基いて、甲1発明5、甲2技術的事項及び甲5技術的事項に基いて、甲1発明5、周知技術1、甲2技術的事項及び甲5技術的事項に基いて、甲1発明5、甲第3-1号証にて例示される周知技術3及び甲5技術的事項に基いて、または、甲1発明5、周知技術1、甲第3-1号証にて例示される周知技術3及び甲5技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 (8-2)甲第2号証を主引用文献とした場合 ア 対比 本件発明8と甲2発明4を対比すると、相違点1-2、相違点5-2、相違点6-2及び相違点7-2の各点において相違し、その余の点で一致するものである。 イ 相違点の判断 相違点1-2、相違点5-2、相違点6-2及び相違点7-2についての判断は上記のとおりである。 ウ 小括 したがって、本件発明8は、甲2発明4に基いて、甲2発明4及び周知技術1に基いて、甲2発明4並びに甲第1号証及び甲第4号証にて例示される周知技術2に基いて、甲2発明4、周知技術1並びに甲第1号証及び甲第4号証にて例示される周知技術2に基いて、甲2発明4、甲第1号証及び甲第4号証にて例示される周知技術2並びに甲1技術的事項2に基いて、甲2発明4、周知技術1、甲第1号証及び甲第4号証にて例示される周知技術2並びに甲1技術的事項2に基いて、甲2発明4、甲第1号証及び甲第4号証にて例示される周知技術2並びに甲第3-1号証にて例示される周知技術3に基いて、または、甲2発明4、周知技術1、甲第1号証及び甲第4号証にて例示される周知技術2並びに甲第3-1号証にて例示される周知技術3に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 また、本件発明8は、甲2発明4及び甲5技術的事項に基いて、甲2発明4、周知技術1及び甲5技術的事項に基いて、甲2発明4、甲第1号証及び甲第4号証にて例示される周知技術2並びに甲5技術的事項に基いて、甲2発明4、周知技術1、甲第1号証及び甲第4号証にて例示される周知技術2並びに甲5技術的事項に基いて、甲2発明4、甲第1号証及び甲第4号証にて例示される周知技術2、甲1技術的事項2並びに甲5技術的事項に基いて、甲2発明4、周知技術1、甲第1号証及び甲第4号証にて例示される周知技術2、甲1技術的事項2並びに甲5技術的事項に基いて、甲2発明4、甲第1号証及び甲第4号証にて例示される周知技術2、甲第3-1号証にて例示される周知技術3並びに甲5技術的事項に基いて、または、甲2発明4、周知技術1、甲第1号証及び甲第4号証にて例示される周知技術2、甲第3-1号証にて例示される周知技術3並びに甲5技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 (8-1)甲第4号証を主引用文献とした場合 ア 対比 本件発明8と甲4発明4を対比すると、相違点1-4、相違点3-4、相違点6-4及び相違点7-4の各点において相違し、その余の点で一致するものである。 イ 相違点の判断 相違点1-4、相違点3-4、相違点6-4及び相違点7-4についての判断は上記のとおりである。 ウ 小括 したがって、本件発明8は、甲4発明4に基いて、甲4発明4及び周知技術1に基いて、甲4発明4及び甲2技術的事項に基いて、甲4発明4、周知技術1及び甲2技術的事項に基いて、甲4発明4及び甲1技術的事項2に基いて、甲4発明4、周知技術1及び甲1技術的事項2に基いて、甲4発明4及び甲第3-1号証にて例示される周知技術3に基いて、または、甲4発明4、周知技術1及び甲第3-1号証にて例示される周知技術3に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 また、本件発明8は、甲4発明4及び甲5技術的事項に基いて、甲4発明4、周知技術1及び甲5技術的事項に基いて、甲4発明4、甲2技術的事項及び甲5技術的事項に基いて、甲4発明4、周知技術1、甲2技術的事項及び甲5技術的事項に基いて、甲4発明4、甲1技術的事項2及び甲5技術的事項に基いて、甲4発明4、周知技術1、甲1技術的事項2及び甲5技術的事項に基いて、甲4発明4、甲第3-1号証にて例示される周知技術3及び甲5技術的事項に基いて、または、甲4発明4、周知技術1、甲第3-1号証にて例示される周知技術3及び甲5技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 第6 むすび 以上のとおり、本件発明1ないし8は、甲1発明5に基いて、甲1発明5及び周知技術1に基いて、甲1発明5及び甲2発明1に基いて、甲1発明5、周知技術1及び甲2発明1に基いて、甲1発明5及び甲4発明1に基いて、甲1発明5、周知技術1及び甲4発明1に基いて、甲1発明5及び甲2技術的事項に基いて、甲1発明5、周知技術1及び甲2技術的事項に基いて、甲1発明5及び甲第3-1号証にて例示される周知技術3に基いて、甲1発明5、周知技術1及び甲第3-1号証にて例示される周知技術3に基いて、甲2発明4に基いて、甲2発明4及び周知技術1に基いて、甲2発明4並びに甲第1号証及び甲第4号証にて例示される周知技術2に基いて、甲2発明4、周知技術1並びに甲第1号証及び甲第4号証にて例示される周知技術2に基いて、甲2発明4、甲第1号証及び甲第4号証にて例示される周知技術2並びに甲1技術的事項2に基いて、甲2発明4、周知技術1、甲第1号証及び甲第4号証にて例示される周知技術2並びに甲1技術的事項2に基いて、甲2発明4、甲第1号証及び甲第4号証にて例示される周知技術2並びに甲第3-1号証にて例示される周知技術3に基いて、甲2発明4、周知技術1、甲第1号証及び甲第4号証にて例示される周知技術2並びに甲第3-1号証にて例示される周知技術3に基いて、甲4発明4に基いて、甲4発明4及び周知技術1に基いて、甲4発明4及び甲2技術的事項に基いて、甲4発明4、周知技術1及び甲2技術的事項に基いて、甲4発明4及び甲1技術的事項2に基いて、甲4発明4、周知技術1及び甲1技術的事項2に基いて、甲4発明4及び甲第3-1号証にて例示される周知技術3に基いて、または、甲4発明4、周知技術1及び甲第3-1号証にて例示される周知技術3に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 また、本件発明1ないし8は、甲1発明5及び甲5技術的事項に基いて、甲1発明5、周知技術1及び甲5技術的事項に基いて、甲1発明5、甲2発明1及び甲5技術的事項に基いて、甲1発明5、周知技術1、甲2発明1及び甲5技術的事項に基いて、甲1発明5、甲4発明1及び甲5技術的事項に基いて、甲1発明5、周知技術1、甲4発明1及び甲5技術的事項に基いて、甲1発明5、甲2技術的事項及び甲5技術的事項に基いて、甲1発明5、周知技術1、甲2技術的事項及び甲5技術的事項に基いて、甲1発明5、甲第3-1号証にて例示される周知技術3及び甲5技術的事項に基いて、甲1発明5、周知技術1、甲第3-1号証にて例示される周知技術3及び甲5技術的事項に基いて、甲2発明4及び甲5技術的事項に基いて、甲2発明4、周知技術1及び甲5技術的事項に基いて、甲2発明4、甲第1号証及び甲第4号証にて例示される周知技術2並びに甲5技術的事項に基いて、甲2発明4、周知技術1、甲第1号証及び甲第4号証にて例示される周知技術2並びに甲5技術的事項に基いて、甲2発明4、甲第1号証及び甲第4号証にて例示される周知技術2、甲1技術的事項2及び甲5技術的事項に基いて、甲2発明4、周知技術1、甲第1号証及び甲第4号証にて例示される周知技術2、甲1技術的事項2並びに甲5技術的事項に基いて、甲2発明4、甲第1号証及び甲第4号証にて例示される周知技術2、甲第3-1号証にて例示される周知技術3並びに甲5技術的事項に基いて、甲2発明4、周知技術1、甲第1号証及び甲第4号証にて例示される周知技術2、甲第3-1号証にて例示される周知技術3並びに甲5技術的事項に基いて、甲4発明4及び甲5技術的事項に基いて、甲4発明4、周知技術1及び甲5技術的事項に基いて、甲4発明4、甲2技術的事項及び甲5技術的事項に基いて、甲4発明4、周知技術1、甲2技術的事項及び甲5技術的事項に基いて、甲4発明4、甲1技術的事項2及び甲5技術的事項に基いて、甲4発明4、周知技術1、甲1技術的事項2及び甲5技術的事項に基いて、甲4発明4、甲第3-1号証にて例示される周知技術3及び甲5技術的事項に基いて、または、甲4発明4、周知技術1、甲第3-1号証にて例示される周知技術3及び甲5技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 そうすると、本件発明1ないし8に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 したがって、本件発明1ないし8に係る特許は、特許法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。 よって、結論のとおり決定する。

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2021-701166

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