特許異議申立
2026-700492
足場材
- 審判番号
- 2026-700492
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2022-044826
- 登録番号
- 7780800
- 請求日
- 2026年06月03日
- 審決日
- 2026年07月31日
- 公報発行日
- 2026年09月25日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】アサヒ産業株式会社
- 【権利者代理人】鎌田 直也
- 【権利者代理人】鎌田 文二
- 【権利者代理人】中谷 弥一郎
- 【異議申立人】西田 唯果
- 審判長/審判官
- 審判長 脇岡 剛
- 審判官 吉田 美彦
- 審判官 坂庭 剛史
- 分類
- P1651.121-Y (G06K)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第2号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7780800号発明「足場材」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7780800号の請求項1~6に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7780800号の請求項1~6に係る特許(以下、「本件特許」という。)についての出願は、令和4年3月22日に出願され、令和7年11月27日にその特許権の設定登録がされ、同年12月5日に特許掲載公報が発行され、その後、令和8年6月3日に特許異議申立人 西田 唯果(以下、「異議申立人」という。)により、請求項1~6(全請求項)に係る特許に対して特許異議の申立てがされたものである。
第2 本件発明
本件特許の請求項1~6に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1」~「本件発明6」という。)は、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1~6に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】
ICタグを材表面に固定した仮設足場用の足場材であって、前記ICタグは、前記足場材の識別情報を記録したシート状のRFICと、該RFICの少なくとも前記材表面側とは反対側のシート片面を被覆する樹脂製の保護層とを備え、当該保護層は、前記仮設足場の構築・解体に際する耐衝撃性を有することを特徴とした足場材。
【請求項2】
保護層は、遮熱性をさらに有する請求項1記載の足場材。
【請求項3】
ICタグは、RFICの全体を保護層で被覆してなる請求項1または2記載の足場材。
【請求項4】
ICタグは、RFICが材表面から離間して位置する請求項1、2または3記載の足場材。
【請求項5】
スペーサーを介してRFICを材表面から離間させた請求項4記載の足場材。
【請求項6】
保護層を形成する樹脂はポリウレアである請求項1から5のうち何れか一項記載の足場材。」
第3 特許異議申立書に記載した申立ての理由の概要
1 特許法第29条第2項(同法第113条第2号)について
異議申立人は、次の甲第1号証~甲第5号証(以下、それぞれ「甲1」~「甲5」という。)を証拠として提出し、本件発明1~6は、甲1に記載された発明、甲2に記載された事項、及び、例えば甲3に記載された従来周知の技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件発明1~6についての特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである旨主張する。
甲第1号証:特開2019-073866号公報
甲第2号証:特開2007-079831号公報
甲第3号証:特開2005-141376号公報
甲第4号証:特開2002-230503号公報
甲第5号証:国際公開第2019/172348号
2 特許法第36条第6項第2号(同法第113条第4号)について
異議申立人は、請求項1~6において、耐衝撃性を有する樹脂の材質と厚みについて何ら記載がなく、発明が明確でないから、本件発明1~6についての特許は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してなされたものである旨主張する。
第4 甲号証について
1 甲1に記載されている事項、甲1発明について
(1)甲1に記載されている事項
甲1には、図面とともに以下の事項が記載されている(下線は当審による。以下同様)。
ア 「【0021】
本発明は、このような仮設足場の構成部材を管理するため、RFIDシステム(Radio Frequency Identification System)を採用しており、従って、各構成部材に所定情報を格納したICタグを装着し、搬入・搬出・保管の少なくとも1つの場合又は複数の場合において、各ICタグの情報を読取機で読取ると共に、コンピュータ処理するように構成している。例えば、足場板3は、床板の裏側面にICタグを開放状態で貼着している。」
イ 「【0024】
このような条件に鑑み、支柱1には、本発明のタグ装着具5を使用することによりICタグ6が装着されている。
【0025】
このため、タグ装着具5に求められる条件は、(1)上下に緊結手段1b、1bを備えた支柱1に対しても任意の外周面に後付けにより装着可能であること、(2)常時は支柱1の外周面に固定されるが、クランプ金具4が干渉するときは支柱1の軸方向に摺動することにより干渉しない位置に移動できること、(3)RFIDシステムを正常に機能させるようにICタグ6を大気に向けて電磁的非シールド状態で保持することである。」
ウ 「【0027】
(第1実施形態)
図2及び図3は、タグ装着具5の第1実施形態を示している。タグ装着具5は、金属パイプ材1aの外周面を着脱自在に抱持する本体7と、該本体7を前記パイプ材1aの軸方向に摺動自在かつパイプ材1aの外周面に固定自在とする摺動固定手段8と、前記本体7の外側面にICタグ6を電磁的非シールド状態で保持する保持手段9を備えている。
【0028】
タグ装着具5は、可撓性ないし弾性を有する合成樹脂により一体成形されており、正面側に額縁状のリブを有する凹部9aから成る保持手段9を備え、該凹部9aにICタグ6を嵌入状態で接着手段等により固着すると共に、該保持手段9の両側から両側壁10a、10aを延設することにより全体として断面C形の本体7を形成している。」
エ 「【図2】
[図:0001439254000001.jpg]
」
オ 「【図3】
[図:0001439254000002.jpg]
」
カ 上記ウ~オからみて、「ICタグ6は、長方形の平板状の形状をしている」ことが見て取れる。
キ 「【0032】
そして、ICタグ6は、図3に実線で示すように大気に向けて露出状態で保持しても良いが、鎖線で示すように、表面を保護するための保護手段9bにより被覆することが好ましい。この際、保護手段9bは、非金属材で形成し又は金属材であっても薄肉に形成することにより、RFIDシステムを正常に機能させることができる。つまり、ICタグ6は、大気に対して電磁的非シールド状態で保持されていれば良い。」
(2)甲1発明
上記(1)からみて、甲1には、以下の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。
「仮設足場の構成部材を管理するため、各構成部材に所定情報を格納したICタグを装着し、搬入・搬出・保管の少なくとも1つの場合又は複数の場合において、各ICタグの情報を読取機で読取ると共に、コンピュータ処理するように構成し、
支柱1には、タグ装着具5を使用することによりICタグ6が装着されており、
タグ装着具5に求められる条件は、(1)上下に緊結手段1b、1bを備えた支柱1に対しても任意の外周面に後付けにより装着可能であること、(2)常時は支柱1の外周面に固定されるが、クランプ金具4が干渉するときは支柱1の軸方向に摺動することにより干渉しない位置に移動できること、(3)RFIDシステムを正常に機能させるようにICタグ6を大気に向けて電磁的非シールド状態で保持することであり、
タグ装着具5は、金属パイプ材1aの外周面を着脱自在に抱持する本体7と、該本体7を前記パイプ材1aの軸方向に摺動自在かつパイプ材1aの外周面に固定自在とする摺動固定手段8と、前記本体7の外側面にICタグ6を電磁的非シールド状態で保持する保持手段9を備え、
タグ装着具5は、凹部9aから成る保持手段9を備え、該凹部9aにICタグ6を嵌入状態で固着することにより本体7を形成し、
ICタグ6は、長方形の平板状の形状をしており、
ICタグ6は、表面を保護するための保護手段9bにより被覆することが好ましく、保護手段9bは、非金属材で形成することにより、RFIDシステムを正常に機能させることができる、
仮設足場の構成部材。」
2 甲2に記載されている事項、甲2記載技術について
(1)甲2に記載されている事項
甲2には、以下の事項が記載されている。
ア 「【0010】
本実施例のパレット100は、例えば種々の荷物を積載、梱包し、複数の工場等の間において流通されるものである。このパレット100は、ICタグ付ラベル1が設けられる取付対象物であり、ICタグ付ラベル1によって個体の識別が可能とされる。
パレット100は、例えばPP、PE等の樹脂材料を用いて上方から見た平面形が略正方形状であるボード状に形成され、側面側には、例えばフォークリフトのフォークが挿入されるフォーク孔が設けられている。
また、パレット100は、その一部の側面部の略中央部分を凹ませて形成されたICタグ収容部101を備えており、このICタグ収容部101の底面にICタグ付ラベル1が貼付されている。
【0011】
ICタグ付ラベル1は、図3に示すように、ICタグ10、両面テープ20、耐水性合成紙30を備えている。
ICタグ10は、例えば13.56MHzの周波数帯域を用いた電磁誘導方式のものであり、図2に示すように、インレット11、保護フィルム12を備えている。このICタグ10は、全体的にシート状に形成されており、その厚さ方向寸法は、例えば略110μmとなっている。
インレット11は、インレット基材13、アンテナ14、ICチップ15を備えている。
インレット基材13は、例えばPET等の樹脂材料を用いて上方から見た平面形が略長方形であるシート状に形成されている。
アンテナ14は、インレット基材13の一方の面部の外周縁部に渦巻状に形成されたループアンテナである。このアンテナ14は、例えば導電性を有するインクを使用した印刷によって形成される。
【0012】
ICチップ15は、インレット基材13のアンテナ14が形成された面部に設けられている。アンテナ14は、最も内周側の一部が切断されており、ICチップ15は、このアンテナ14の切断部分の間に設けられ、図示しない電極がアンテナ14に接続されている。このICチップ15は、パレット100の個体の識別を可能にする、パレット固有の番号等の情報を保持している。
【0013】
保護フィルム12は、インレット11に対し層状に重ねて設けられ、その平面形がインレット基材13より各辺の長さ方向寸法が大きい略長方形状に形成されており、インレット11は、この保護フィルム12に収容される。
この保護フィルム12は、図示しない接着層及び保護層をともに備える一対のフィルムからなり、互いの接着層が対向して配置され、インレット基材13は、これらの間に挟み込まれている。この保護フィルム12は、一対のフィルムが柔軟性を有する状態においてインレット11を挟み込み、その後加熱されることによって、接着層に含まれる粘着剤が融解して互いに接着するとともに、常温において硬化するようになっている(いわゆる、ラミネート加工)。この保護フィルム12の保護層は、例えばPP、PE等の樹脂材料を用いて形成されている。
【0014】
このICタグ付ラベル1は、図3に示すように、ICタグ10の一方の面部(以下、「接着面部」という)に設けられた両面テープ20によってパレット100に貼付され、ICタグ10の他方の面部が、耐水性合成紙30によってカバーされている。
【0015】
両面テープ20は、ICタグ10をパレット100に接着させるものであり、シート状に形成され、その平面形がICタグ10(保護フィルム12)より各辺の長さ方向寸法が大きい略長方形状とされている。この両面テープ20は、基材層21、粘着剤層22、23、剥離紙層24を備えている。
基材層21は、ウレタンフォームによって形成された衝撃吸収部であり、その厚さ方向寸法は、例えば略50μmとなっている。ウレタンフォームは、ウレタン系ゴム材料を発泡させたものであり、衝撃吸収性を有する材料である。なお、本明細書中、「衝撃吸収性を有する材料」とは、パレット100に加えられた衝撃がICタグ10に伝搬する際にその衝撃を緩和する機能を備えた材料を意味し、具体的にはパレット100よりも剛性の低い材料を意味する。
粘着剤層22、23は、アクリル系の粘着剤が基材層21の両面部に塗布されて形成された接着剤層であり、その厚さ方向寸法は、例えば略2~3μmとなっている。アクリル系の粘着剤は、例えばゴム系の粘着剤等に比べ、耐水性に優れ、かつ、PP、PE等の樹脂材料に対して特に良好な接着性を有している。
これらの粘着剤層22、23は、図3に示すICタグ付ラベル1のパレット100への貼付状態において、一方の粘着剤層22がパレット100と基材層21との間に設けられ、他方の粘着剤層23が基材層21とICタグ10との間に設けられている。
剥離紙層24は、粘着剤層22を保護するものであり、ICタグ付ラベル1のパレット100への貼付の際に剥離される。
【0016】
耐水性合成紙30は、ICタグ10の接着面部とは反対側の面部を保護するものであり、ポリエステルの樹脂材料によりシート状に形成され、その平面形は、各辺の長さ方向寸法が両面テープ20と略同じとされた略長方形状となっている。また、この耐水性合成紙30の厚さ方向寸法は、例えば略75μmとなっており、ICタグ10と対向する側の面部に粘着剤層31を備えている。
粘着剤層31は、耐水性を有しており、その厚さ方向寸法は、例えば2~3μmとなっている。なお、粘着剤層31を形成する粘着剤の種類は、耐水性を有するものであれば特に限定されず、例えば両面テープ20と同様にアクリル系の粘着剤であってもよいし、ゴム系の粘着剤であってもよい。
また、耐水性合成紙30は、粘着剤層31とは反対側の面部に図示しないコート紙層を備えている。このコート紙層は、樹脂材料によって形成され耐水性を備えるとともに、その面部に微小な凹凸面が形成されており、インクによる印刷、書き込み等が可能になっている。」
イ 「【0020】
(変形例)
以上説明した実施例に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の均等の範囲内である。
(1)実施例において、ICタグは、両面テープに設けられた粘着剤によって取付対象物に取り付けられたが、ICタグの取付方法は、これに限らず、ICタグと取付対象物との間に衝撃吸収部が設けられていれば他の方法であってもよい。例えば、ICタグと取付対象物との間に(粘着剤を備えない)ウレタンシートを挟み込み、実施例の耐水性合成紙に設けられた粘着剤によってICタグを取付対象物に取り付けてもよい。
(2)ICタグ、衝撃吸収部の厚さ方向寸法は、実施例において示された数値に限定されず、任意に設定することができ、例えば、実施例におけるICタグの保護フィルムを省略することによりICタグを薄型化してもよい。
(3)実施例において、ICタグは、その平面形が略長方形であったが、これに限らず、他の形状であってもよく、例えば略円形状であってもよい。
(4)実施例において、ICタグは、ループアンテナを備える電磁誘導式のものであったが、これに限らず、他の種類のものであってもよく、例えばダイポールアンテナを備えるUHF方式のものであってもよい。
(5)実施例において、ICタグの接着対象物は、樹脂製のパレットであったが、これに限らず、ICタグを他の物に貼り付けてもよく、例えば樹脂製のコンテナやケース等に貼り付けてもよい。」
(2)甲2記載技術
上記(1)からみて、甲2には、以下の技術(以下、「甲2記載技術」という。)が記載されていると認められる。
「種々の荷物を積載、梱包し、複数の工場等の間において流通されるパレット100は、ICタグ付ラベル1が設けられて個体の識別が可能とされ、
ICタグ付ラベル1は、ICタグ10、両面テープ20、耐水性合成紙30を備え、ICタグ10は、インレット11、保護フィルム12を備え、インレット11は、インレット基材13、アンテナ14、ICチップ15を備え、インレット基材13は、シート状に形成され、
このICチップ15は、パレット100の個体の識別を可能にする、パレット固有の番号等の情報を保持しており、
保護フィルム12は、インレット11に対し層状に重ねて設けられ、その平面形がインレット基材13より各辺の長さ方向寸法が大きい略長方形状に形成されており、インレット11は、この保護フィルム12に収容され、この保護フィルム12は、接着層及び保護層をともに備える一対のフィルムからなり、この保護フィルム12の保護層は、樹脂材料を用いて形成されており、
このICタグ付ラベル1は、ICタグ10の一方の面部(以下、「接着面部」という)に設けられた両面テープ20によってパレット100に貼付され、ICタグ10の他方の面部が、耐水性合成紙30によってカバーされており、
両面テープ20は、ICタグ10をパレット100に接着させるものであり、この両面テープ20は、基材層21、粘着剤層22、23、剥離紙層24を備え、基材層21は、ウレタンフォームによって形成された衝撃吸収部であり、
耐水性合成紙30は、ICタグ10の接着面部とは反対側の面部を保護するものであり、樹脂材料によりシート状に形成され、ICタグ10と対向する側の面部に粘着剤層31を備え、粘着剤層31とは反対側の面部にコート紙層を備え、このコート紙層は、樹脂材料によって形成され耐水性を備え、
ICタグの接着対象物は、樹脂製のパレットであったが、これに限らず、ICタグを他の物に貼り付けてもよい。」
3 甲3に記載されている事項、甲3記載技術について
(1)甲3に記載されている事項
甲3には、以下の事項が記載されている。
ア 「【0029】
本発明の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
(実施形態1)
図1に、本発明のRFIDタグの実施形態1を示す。図1(a)は、実施形態1のRFIDタグの概要を示した一部に断面表示を含む平面図であり、図1(b)は、図1(a)の矢印Dから見た側面図である。
RFIDタグ1は、内蔵物2と、この内蔵物2を覆う樹脂製のカバー3で構成される。
内蔵物2は、磁性体2a、コイル2b等が一体成形されて構成されており、平板状の形状を有する。内蔵物2は、主にセラミック等の脆性部材から構成されており、衝撃や加重を受けると破損しやすい特性を有している。
【0030】
この内蔵物2は、周囲をケース3で覆われており、ケース3も平板状の形状を有している。この内蔵物2を覆うケース3は樹脂でできており、ケース本体3aとケース蓋3bで構成されている。このRFIDタグを組み立てる場合には、上部が開口した箱形形状のケース本体3aの中に内蔵物2を収納し、開口部にケース蓋3bを取り付ける。そして、超音波溶接によって、ケース本体3aとケース蓋103bとを融着接合することによって、内臓物2を密封することができる。また、超音波溶接によるので、内蔵物2を過熱する恐れなく、ケース本体3aとケース蓋3bを接合できる。」
イ 「【0032】
RFIDタグ1は、平板状のケース3の広面に貼り付けられた粘着テープ(両面テープ)4によって、コンテナ等のRFIDタグを使用する物品(以下、物品と称する。)に取り付けられて使用される。
ここで、カバー3の2つの広面の内、粘着テープ4が貼り付けられた面を下面、その反対側の面を上面と称する。
【0033】
RFIDタグ1が広面を下側にして落下した場合には、内蔵物2は広面方向の衝撃に弱いので損傷が発生しやすいが、この実施形態1では、落下したときの落下衝撃エネルギを吸収する突起部分として、カバー3の上面に凸部5が設けられている。通常の使用方法では、物品に取り付けられる面の反対側の上面を下側にして落下する可能性が高いので、この実施形態では、上面に落下衝撃エネルギを吸収する凸部5が設けられている。」
(2)甲3記載技術
上記(1)からみて、甲3には、以下の技術(以下、「甲3記載技術」という。)が記載されていると認められる。
「RFIDタグ1は、内蔵物2と、この内蔵物2を覆う樹脂製のカバー3で構成され、内蔵物2は、平板状の形状を有し、
内蔵物2は、周囲をケース3で覆われており、ケース3も平板状の形状を有し、ケース3は樹脂でできており、
RFIDタグ1は、平板状のケース3の広面に貼り付けられた粘着テープ(両面テープ)4によって、コンテナ等のRFIDタグを使用する物品(以下、物品と称する。)に取り付けられて使用され、
ここで、カバー3の2つの広面の内、粘着テープ4が貼り付けられた面を下面、その反対側の面を上面と称し、
通常の使用方法では、物品に取り付けられる面の反対側の上面を下側にして落下する可能性が高いので、上面に落下衝撃エネルギを吸収する凸部5が設けられている。」
4 甲4に記載されている事項、甲4記載技術について
(1)甲4に記載されている事項
甲4には、以下の事項が記載されている。
ア 「【0020】(2)耐火層
本発明の耐火ICカードは、上記非接触式ICカードを耐火層で被覆したものである。耐火層としては、非接触式ICカードを火災事故等にあっても保護できる程度の断熱性を有しているものであればどのようなものであっても良いが、熱伝導率の低い断熱材と空気層からなるものが好ましい。
【0021】本発明で用いることのできる熱伝導率の低い断熱材としては、軽量で成形加工性の優れた断熱材であり、例えば、セメント、常温ガラスコーティング材(ヒートレスガラス)、重防食コーティング材である機能性コーティング材(セラプロテックス)、ガラス繊維からなる不織布等の耐火シート等が挙げられる。これらの中では、耐熱600℃以上のセメント及びヒートレスガラスが好ましい。」
イ 「【0032】(3)保護層
本発明の耐火ICカードには、必要に応じて、保護層を設けることができる。保護層は、上記耐火層の上から被覆するものであって、耐火層を保護する機能と取り扱い上の容易さを付与する機能を有する層である。したがって、耐久性、携帯性、不燃性、耐衝撃性、耐薬品性、防食性、密封性、加工性等の機能を果たすものであればよく、合成樹脂が好ましい。樹脂としては、被覆加工する点から熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂が好ましく、特に、機械的強度、加熱加工時の寸法精度に優れたものが好ましい。
【0033】例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリイミド(PI)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)等が挙げられる。」
ウ 「【0037】(4)耐火ICカード
本発明の耐火ICカードは、上記のような耐火層、及び、必要に応じて、保護層をそれぞれの用途等に相応しい厚みに被覆して得ることができる。得られる本発明の耐火ICカードの一例として、図4にその断面図示す。図4において、耐火ICカード4は、CPU10、記憶部11、データ送受部12を構成するICモジュール13とシートコイル16を合成樹脂20で密封した非接触式ICカード1を耐火層21で被覆し、さらに保護層22で被覆されてなる。
【0038】また、上記のようにして得られる本発明の耐火情報記録媒体の一例として、構成を図5(a)及びその断面図を図5(b)に示す。図5(b)において、耐火情報記録媒体5は、ICチップ15、アンテナコイル17からなる電子タグと非接触式ICカード1を合成樹脂20で密封した情報記録媒体3を耐火層21で被覆し、さらに保護層22で被覆されてなる。」
(2)甲4記載技術
上記(1)からみて、甲4には、以下の技術(以下、「甲4記載技術」という。)が記載されていると認められる。
「非接触式ICカードを耐火層で被覆し、
保護層を設け、保護層は、上記耐火層の上から被覆するものであって、不燃性、耐衝撃性等の機能を果たすものであればよく、合成樹脂が好ましく、
耐火情報記録媒体5は、ICチップ15、アンテナコイル17からなる電子タグと非接触式ICカード1を合成樹脂20で密封した情報記録媒体3を耐火層21で被覆し、さらに保護層22で被覆されてなる。」
5 甲5に記載されている事項、甲5記載技術について
(1)甲5に記載されている事項
甲5には、以下の事項が記載されている。
ア 「[0004] 本発明の第1の態様においては、保護材を提供する。保護材は、無線通信するための無線通信部を保護してよい。保護材は、基材を備えてよい。基材は、発泡合成樹脂で形成されてよい。保護材は、コーティング層を備えてよい。コーティング層は、ポリウレア樹脂を含んでよい。コーティング層は、基材の少なくとも表面を覆ってよい。無線通信部は、アンテナ部を備えてよい。保護材は、アンテナ部を保護するレドームであってよい。」
イ 「[0090] 図13は、本発明の第9実施形態に係る保護材510を備える無線タグ装置500の一例を示す図である。保護材510として、上記の第1から第8実施形態において説明したレドームと同様の構成が採用されてよい。無線タグ装置500は、無線通信装置の一例である。無線タグ装置500は、保護材510と、無線通信部520とを備える。図13において、無線通信部520は、基板521に配置されたアンテナ部522、コンデンサ523等の個別部品、および集積回路524を有してよい。アンテナ部522は放射素子として機能する。本例では、無線通信部520は、エポキシ樹脂等の硬化樹脂526によってアンテナ部522、コンデンサ523、および集積回路524等が封止されていてよい。したがって、無線通信部520の表面は、硬化樹脂526で覆われている。
[0091] 本例では、硬化樹脂526で封止された無線通信部520の外側を更に保護する保護材510が設けられている。保護材510は、基材512とコーティング層513を備える。基材512は、硬化樹脂526を覆う。一例において、基材512に設けられた凹部に、硬化樹脂526で封止された無線通信部520が嵌め込まれている。基材512は、発泡樹脂で形成される。硬化樹脂526で保護された無線通信部520を型に入れて発泡樹脂をインサート成形することによって基材512を形成してもよい。
[0092] 保護材510は、基材512の表面12を覆うコーティング層513を備える。本例では、コーティング層513は、基材512の表面12を覆っている。なお、コーティング層513は、基材512の裏面側を覆ってもよい。基材512とコーティング層513は、第1から第5実施形態における基材112とコーティング層113と同様の構成を有してよい。図13に示される例では、無線通信部520の下面は、保護材510で覆われていない。しかしながら、無線通信部520の下面も保護材510で覆われてよい。」
(2)甲5記載技術
上記(1)からみて、甲5には、以下の技術(以下、「甲5記載技術」という。)が記載されていると認められる。
「保護材は、無線通信するための無線通信部を保護し、保護材は、コーティング層を備え、コーティング層は、ポリウレア樹脂を含んでおり、保護材は、アンテナ部を保護するレドームであり、
保護材510を備える無線タグ装置500であって、保護材510として、上記レドームと同様の構成が採用され、無線タグ装置500は、保護材510と、無線通信部520とを備え、
無線通信部520の外側を更に保護する保護材510が設けられ、
無線通信部520の下面も保護材510で覆われてよい。」
第5 当審の判断
1 本件発明1の進歩性について
(1)対比
本件発明1と甲1発明を対比する。
ア 甲1発明の「ICタグ6」及び「仮設足場の構成部材」はそれぞれ、本件発明1の「ICタグ」及び「仮設足場用の足場材」に相当する。
イ デジタル大辞泉(小学館)によると、「固定」とは、「一定の位置に止まって動かないこと。また、動かないようにすること。「支柱を-する」「ねじで-する」」と記載されており、また、本件特許明細書の段落[0016]には、「なお、ICタグ2の固定方法は両面テープ5を用いることが簡易であるが、接着であってもよい。」と記載されていることも考慮すれば、本件発明1の「ICタグを材表面に固定した」とは、「(両面テープや接着という固定方法によって)ICタグが材表面に止まって動かないようにすること」を意味していると理解される。
ウ 一方、甲1発明のICタグ6と仮設足場の構成部材である支柱1の金属パイプ材1aとの間には、タグ装着具5があり、「常時は支柱1の外周面に固定されるが、クランプ金具4が干渉するときは支柱1の軸方向に摺動することにより干渉しない位置に移動できること」が条件として求められ、このタグ装着具5が備える摺動固定手段8によって、「前記パイプ材1aの軸方向に摺動自在かつパイプ材1aの外周面に固定自在とする」ように構成されている。
エ してみれば、「ICタグ」と「仮設足場用の足場材」との結合関係は、上記ア~ウからみて、「ICタグを材表面に設置した仮設足場用の足場材」である限りにおいて共通し、甲1発明と本件発明1とは、後述する相違点1の点において相違している。
オ 甲1発明の「ICタグ6」は、「所定情報を格納した」「長方形の平板状の形状をして」いるものであって、「仮設足場の構成部材を管理するため」、「搬入・搬出・保管の少なくとも1つの場合又は複数の場合において、各ICタグの情報を読取機で読取る」「RFIDシステムを」「機能させる」ものであるから、それは、本件発明1の「前記ICタグは、前記足場材の識別情報を記録したシート状のRFIC」を備えることに相当する。
カ 甲1発明は、「パイプ材1aの外周面」とは反対側のICタグ6の「表面を保護するための」「非金属材で形成」された「保護手段9b」によりICタグ6を被覆した構成になっているから、そのような構成である甲1発明の「保護手段9b」と、本件発明1の「該RFICの少なくとも前記材表面側とは反対側のシート片面を被覆する樹脂製の保護層」及び「当該保護層は、前記仮設足場の構築・解体に際する耐衝撃性を有することを特徴とした」とは、「該RFICの少なくとも前記材表面側とは反対側のシート片面を被覆する保護層」である限りにおいて共通し、後述する相違点2の点において両者は相違している。
(2)一致点及び相違点
本件発明1と甲1発明は、次のアの点で一致し、次のイ及びウの点で相違する。
ア 一致点
「ICタグを材表面に設置した仮設足場用の足場材であって、前記ICタグは、前記足場材の識別情報を記録したシート状のRFICと、該RFICの少なくとも前記材表面側とは反対側のシート片面を被覆する保護層とを備えた足場材。」
イ 相違点1
本件発明1の足場材は、ICタグを材表面に「固定した」ものであるのに対して、甲1発明は、タグ装着具5を使用して、ICタグ6を支柱1の前記パイプ材1aの軸方向に摺動自在かつパイプ材1aの外周面に固定自在としたものである点。
ウ 相違点2
本件発明1の保護層は、「樹脂製の」保護層であって、「前記仮設足場の構築・解体に際する耐衝撃性を有する」ものであるのに対して、甲1発明の保護手段9bは、そのような構成に特定されていない点。
(3)判断
ア 相違点1について
上記相違点1について検討する。
(ア)上記第4の2(2)に示した甲2記載技術、及び、上記同3(2)に示した甲3記載技術は、いずれも、両面テープを使用してタグが動かないように物体に固定する構成になっているところ、当該構成を甲1発明に適用し、甲1発明の構成における「タグ装着具5」を「両面テープ」に変更することによって、相違点1に係る本件発明1の構成に到達できたといえるかどうかを、以下、検討する。
(イ)すると、甲1の段落[0008]には、「しかしながら、仮設足場の構成部材が金属パイプから成る支柱の場合、支柱は、仮設足場を構築した状態で、現場毎に支柱外周面の任意の個所に種々の部材のクランプ金具を締結する必要を生じることがあるため、外周面にICタグを貼着することは好ましくない。」との記載がある。
(ウ)してみれば、上記(イ)からみて、甲2記載技術及び甲3記載技術を、甲1発明に適用する動機付けはないことは明らかである。具体的に述べると、甲2記載技術及び甲3記載技術に係る上記(ア)の構成を甲1発明に適用すると、ICタグ6を構成部材に摺動自在に設置した甲1発明の構成を、ICタグ6が動かないように、すなわち、摺動不可能に固定する構成に変更することになり、上記(イ)に係る甲1発明が解決しようとした課題を解決できない構成へ変更することになってしまうのだから、そのような適用には、阻害要因があるものである。
(エ)したがって、当業者であっても、甲1発明、甲2記載技術及び甲3記載技術に基づいて、相違点1に係る構成を容易に想到することができたものではない。
イ 異議申立人の主張について
(ア)異議申立人の主張
異議申立人は、特許異議申立書第5~6頁において、以下のように主張する。
「(ア)甲第1号証
甲第1号証(特開2019-73866号公報)には以下の記載がある。
「このようなRFIDシステムは、仮設足場の管理システムとして導入する場合、足場の各構成部材に所定情報を格納したICタグを装着し、搬入・搬出・保管に際して、各ICタグの情報を読取機で読取ると共に、コンピュータ処理すれば良い。」(段落[0005])
「仮設足場は、支柱1や、横架材2や、足場板3の他、図示省略しているが、種々の多数の構成部材により構成されている。」(段落[0020])
「本発明は、このような仮設足場の構成部材を管理するため、RFIDシステム(Radio Frequency Identification System)を採用しており、従って、各構成部材に所定情報を格納したICタグを装着し、搬入・搬出・保管の少なくとも1つの場合又は複数の場合において、各ICタグの情報を読取機で読取ると共に、コンピュータ処理するように構成している。例えば、足場板3は、床板の裏側面にICタグを開放状態で貼着している。」(段落[0021])
「このような条件に鑑み、支柱1には、本発明のタグ装着具5を使用することによりICタグ6が装着されている。」(段落[0024])
「このため、タグ装着具5に求められる条件は、(1)上下に緊結手段1b、1bを備えた支柱1に対しても任意の外周面に後付けにより装着可能であること、(2)常時は支柱1の外周面に固定されるが、クランプ金具4が干渉するときは支柱1の軸方向に摺動することにより干渉しない位置に移動できること、(3)RFIDシステムを正常に機能させるようにICタグ6を大気に向けて電磁的非シールド状態で保持することである。」(段落[0025])
「(第1実施形態)
図2及び図3は、タグ装着具5の第1実施形態を示している。タグ装着具5は、金属パイプ材1aの外周面を着脱自在に抱持する本体7と、該本体7を前記パイプ材1aの軸方向に摺動自在かつパイプ材1aの外周面に固定自在とする摺動固定手段8と、前記本体7の外側面にICタグ6を電磁的非シールド状態で保持する保持手段9を備えている。」(段落[0027])
「タグ装着具5は、可撓性ないし弾性を有する合成樹脂により一体成形されており、正面側に額縁状のリブを有する凹部9aから成る保持手段9を備え、該凹部9aにICタグ6を嵌入状態で接着手段等により固着すると共に、該保持手段9の両側から両側壁10a、10aを延設することにより全体として断面C形の本体7を形成している。」(段落[0028])
「そして、ICタグ6は、図3に実線で示すように大気に向けて露出状態で保持しても良いが、鎖線で示すように、表面を保護するための保護手段9bにより被覆することが好ましい。この際、保護手段9bは、非金属材で形成し又は金属材であっても薄肉に形成することにより、RFIDシステムを正常に機能させることができる。つまり、ICタグ6は、大気に対して電磁的非シールド状態で保持されていれば良い。」(段落[0032])
ここで、図3には、ICタグ6の表面(構成部材に対向する面側とは反対側の面)を被覆して保護するための保護手段9bが記載されている。
これらの記載によれば、甲第1号証には、以下の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されている。
「A:タグ装着具(5)を介してICタグ(6)を表面に固定した仮設足場の構成部材(3,1a)であって、
B:前記ICタグは、所定情報を格納したRFIDと、
C:ICタグの表面を被覆して保護するための非金属材で形成される保護手段(9b)を備える
E:構成部材。」
」
(イ)当審の見解
a 上記(ア)の主張において異議申立人が認定した甲1発明では、ICタグは、タグ装着具を介して、仮設足場の構成部材に「固定した」構成になっているところ、上記(2)イに示した、当審が相違点1として認定した構成要件は、異議申立人による認定では、一致点とされている。
b 具体的には、異議申立人は、甲1の段落[0025]の「常時は支柱1の外周面に固定される」という記載を摘記するが、「支柱1の軸方向に摺動することにより干渉しない位置に移動できること」という記載は摘記せず、段落[0027]の「パイプ材1aの外周面に固定自在とする」という記載を摘記するが、「前記パイプ材1aの軸方向に摺動自在かつ」という記載は摘記しないことによって、ICタグを、タグ装着具を介して、仮設足場の構成部材(パイプ材1a)に「固定した」発明構成を認定しようとしている。
c しかしながら、そのような異議申立人の認定は、上記ア(イ)で示したような、甲1が想定する課題を無視した恣意的な認定であって、上記bのようにして、当該課題を解決できないような構成まで一般化した発明概念を認定することは、許されないというべきである。
d 一方、異議申立人が認定した発明の構成要件Aは「構成部材(3,1a)」とされており、また、甲1の段落[0021]の「例えば、足場板3は、床板の裏側面にICタグを開放状態で貼着している。」という記載も摘記していることからみて、異議申立人は、「足場材3」を「構成部材」とした場合も含めて、ICタグを、仮設足場の構成部材(足場材3)に「固定(粘着)した」発明構成を認定しようとしていると理解される。
e しかしながら、上記dに係る段落[0021]に記載された、ICタグを足場板3に「貼着」する構成は、ICタグを「タグ装着具5を介して」足場板3に設置することを想定した構成ではないのだから、異議申立人が認定した構成要件Aのような、ICタグと構成部材とが「タグ装着具(5)を介して」いる構成の発明を認定するためには、採用できないものである。
f 以上のことからみて、当審が相違点1として認定した構成要件を一致点とした異議申立人による認定は誤りであって、上記アで示したように、当業者であっても、甲1発明、甲2記載技術及び甲3記載技術に基づいて、相違点1に係る構成を容易に想到することができたものではない。
したがって、異議申立人の上記主張は採用できない。
(4)小括
以上のとおりであるから、相違点2について検討するまでもなく、本件発明1は、甲1発明、甲2記載技術及び甲3記載技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
2 本件発明2~6の進歩性について
本件発明2~6は、本件発明1の構成に限定を加えて減縮したものであり、本件発明1と同様に上記相違点1に係る構成を有している。
また、上記4(2)に示した甲4記載技術、及び、上記5(2)に示した甲5記載技術は、いずれも、タグが動かないように物体に固定する構成になっておらず、これらを更に考慮したとしても、上記1(3)で示した相違点1についての判断が覆らないことも明らかである。
したがって、本件発明2~6は、上記1で示した理由と同様の理由により、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
3 本件発明1~6の明確性について
(1)異議申立人は、請求項1~6において、耐衝撃性を有する樹脂の材質と厚みについて何ら記載がないから、発明は明確でないと主張する。
(2)一方、本件発明1~6(以下、まとめて「本件発明」という。)の足場材は、「樹脂製の保護層」を備え、「当該保護層は、前記仮設足場の構築・解体に際する耐衝撃性を有することを特徴とした」ものとして特定されており、また、本件特許明細書には、仮設足場の構築又は解体時の衝撃によってRFICが容易に破壊されるという課題に対し、耐衝撃性を有する樹脂製の保護層によってRFICを被覆することが記載されている。また、その具体的な材料として、優れた強度及び柔軟性を有するポリウレアが例示されている(段落[0006]、[0008]、[0009]、[0012])。
(3)上記(2)で示したこれらの記載を踏まえると、上記「耐衝撃性」とは、保護層が、仮設足場の構築又は解体時にRFICに加わり得る衝撃を緩和し、RFICの破壊又は機能喪失を防止し得る性質を意味するものと理解できる。
(4)そして、保護層の耐衝撃性は、樹脂の材質及び厚みだけでなく、その強度及び柔軟性、保護層の形状、被覆範囲及び被覆態様等によって定まるものである。また、本件発明には、耐衝撃性を有すべき部材、保護対象及び想定される使用場面が、それぞれ「保護層」、「RFIC」及び「仮設足場の構築・解体」として特定されている。
(5)加えて、一般的には、「物の発明」の発明特定事項としては、物の結合や物の構造の表現形式を用いることができるほか、作用、機能、性質、特性、方法、用途その他の様々な表現方式を用いることができることを踏まえれば、本件発明の足場材が備える「樹脂製の保護層」は、樹脂の材質と厚みを直接特定せずとも、他の表現形式を用いて特定できるものであって、本件発明では、「仮設足場の構築・解体」が行われたとしても、「シート状のRFIC」に記録された「足場材の識別情報」を正常に読み取れる程度の「耐衝撃性」を有する「樹脂製の保護層」を特定しようとしたと理解できるものである。
(6)したがって、当業者にとって、上記「耐衝撃性」の技術的意味及びその技術的意義が明確でないとはいえないものであって、特許請求の範囲の記載が、直ちに第三者に不測の不利益を及ぼすほどに不明確であるとまでは認められない。
(7)よって、異議申立人の上記(1)の主張は採用できない。
第6 むすび
以上のとおりであるから、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、請求項1~6に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に請求項1~6に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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2026-700492