特許異議申立
2025-700887
ヒューズ
- 審判番号
- 2025-700887
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2022-163828
- 登録番号
- 7645551
- 請求日
- 2025年09月12日
- 審決日
- 2026年03月06日
- 公報発行日
- 2026年04月24日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】太平洋精工株式会社
- 【権利者代理人】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
- 【異議申立人】赤松 智信
- 審判長/審判官
- 審判長 中屋 裕一郎
- 審判官 山田 由希子
- 審判官 岩瀬 昌治
- 分類
- P1652.121-Y (H01H)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7645551号発明「ヒューズ」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7645551号の請求項1及び2に係る特許を維持する。
理由
理 由
1 手続の経緯
特許第7645551号(以下「本件特許」という。)の請求項1~6に係る特許についての出願は、令和4年10月12日の出願であって、令和7年3月6日にその特許権の設定登録がされ、令和7年3月14日に特許掲載公報が発行された。その後、本件特許の請求項1及び2に係る特許に対し、令和7年9月12日に特許異議申立人赤松智信(以下「異議申立人」という。)は、特許異議の申立てを行った。
2 本件発明
特許第7645551号の請求項1及び2の特許に係る発明は、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1及び2に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】
一対の端子部の間に設けられた溶断部を有するヒューズエレメントと、前記ヒューズエレメントを収容するハウジングとを備えたヒューズであって、
前記ハウジングは、壁部を備え、
前記ハウジングには、前記壁部をつなぐ補強部が少なくとも2ヶ所設けられ、
前記補強部は、前記壁部において前記ヒューズエレメントの延出方向に延びる基部補強体によって互いに連結されている、ことを特徴とするヒューズ。
【請求項2】
前記ハウジングは、一方のハウジング分割片と他方のハウジング分割片とを備え、
前記補強部は、両側の前記ハウジング分割片を横断するように設けられていることを特徴とする請求項1に記載のヒューズ。」
3 申立理由の概要
異議申立人は、主たる証拠として特開2013-77583号公報(甲第1号証、以下「甲1」という。)、及び従たる証拠として特開2004-319395号公報(甲第2号証、以下「甲2」という。)、特開2000-323858号公報(甲第3号証、以下「甲3」という。)、特開2006-342684号公報(甲第4号証、以下「甲4」という。)、特開2010-243015号公報(甲第5号証、以下「甲5」という。)を提出し、請求項1、2に係る特許は次の理由により、取り消すべきである旨主張する。
・申立理由1
本件特許の請求項1に係る発明は、甲1、甲2に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本件特許の請求項1に係る発明は取り消すべきである。
・申立理由2
本件特許の請求項1に係る発明は、甲1、甲3~5に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本件特許の請求項1に係る発明は取り消すべきである。
・申立理由3
本件特許の請求項2に係る発明は、甲1~5に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本件特許の請求項2に係る発明は取り消すべきである。
4 各甲号証の記載
(1)甲1について
ア 甲1には、以下の事項が記載されている(下線は当審合議体にて付した。以下同様。)。
「【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車分野で用いられるヒューズに関し、詳しくは、例えば高圧ヒューズ等のケーシング内部に消弧剤が充填される型式のヒューズにおいて、溶断時にケーシングの割れ、破裂等の発生を解消又は抑制し得るヒューズに関する。」
「【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、かかる従来技術の問題点を解消すべくなされたもので、ヒューズ溶断時において、そのケーシングにひび割れ、破裂等が生じることを解消又は抑制すること、およびヒューズのケーシングの炭化による発火を防止し得るヒューズを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、請求項1記載の発明は、溶断部の両側に端子部を有するヒューズエレメントと、前記溶断部を包囲するケーシングとを備え、該ケーシングの内部に、前記エレメント溶断時に発生するアークを消弧する消弧剤が充填されて成るヒューズであって、前記ケーシングは、通気性材料で形成されており、全体として非導電体であるとともに、該ケーシングの軸方向に沿って、一方のケーシングと、他方のケーシングとから成る二つ割りタイプに構成されていることを特徴とする。」
「【発明の効果】
【0015】
請求項1記載のヒューズによれば、溶断部を包囲するケーシングが通気性材料で形成されているので、ケーシング内部に消弧剤が充填されることにより、ガスの温度上昇及び、溶断前の内圧上昇を抑制でき、上述したケーシングのひび割れ、破裂等の問題を解消又は抑制できる。
【0016】
また、ヒューズは、全体として非導電体であり、さらにヒューズの通常使用時において、ケーシング内雰囲気がケーシングを通じて外気と常時、通気状態乃至は呼吸状態下にあるので、ヒューズエレメントの発熱に対する適度な冷却効果を奏する。
また、ケーシングは、ケーシングの軸方向に沿って、一方のケーシングと、他方のケーシングとから成る二つ割りタイプに構成されているので、組み立てが容易になる。」
「【0023】
図1(a)において、本発明のヒューズ10は、溶断部2の両側に端子部3、3を有するヒューズエレメント1と、溶断部2を包囲するケーシング5と、ケーシング5の内部全体に充填された消弧剤6とで構成されている。
【0024】
図1(a)のヒューズエレメント1は、その詳細図である図2に示すように、中央の溶断部2が狭幅に形成されるとともに、両端部が溶断部2よりはやや広幅に形成された、例えば銅を主体とし、これに微量の錫、鉛、亜鉛等を添加物成分として含む金属或は前記金属を半田層として積層した薄板を折り曲げて2つの端子部3が形成された一体タイプのものである。また、溶断部2には、当該部分に所定の過電流が流れたときに所定時間以内で溶断するように、エレメント1の長手方向と直交する方向に切り欠き2aや、複数の小孔2bが設けられ、端子部3には相手機器への取付孔4が形成されている。」
「【0027】
ケーシング5は、図に示すように、両端部が壁面で封止された全体形状が円筒タイプのもので、組み立ての容易化のために円筒軸方向に沿って、ケーシングAと、ケーシングBとから成る二つ割りタイプにされている。また、ケーシングBの外周面の一端部には、消弧剤6の充填孔7が形成されている。」
「【図1】
[図:0001434182000001.jpg]
」
イ 【0023】、図1から、ヒューズエレメント1が溶断部2の両側に端子部3、3を有することがわかる。
ウ 【0023】、【0027】、図1から、ヒューズ10がヒューズエレメント1を包囲するケーシング5を有し、そのケーシング5が円筒タイプの壁とその両端部を封止する壁面を有し、円筒軸方向に沿ってケーシングAとケーシングBから成る二つ割りタイプであることがわかる。
エ 甲1発明
前記イ、ウの内容を総合すると、甲1には次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。
(甲1発明)
「溶断部2の両側に端子部3、3を有するヒューズエレメント1と、
前記ヒューズエレメント1を包囲するケーシング5を有するヒューズ10であって、
該ケーシング5が円筒タイプの壁とその両端部を封止する壁面を有し、
該ケーシング5が円筒軸方向に沿ってケーシングAとケーシングBから成る二つ割りタイプであるヒューズ10。」
(2)甲2について
ア 甲2には、以下の事項が記載されている。
「【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ヒューズ付き電線に関し、詳しくは、電線同士をヒューズ一体型端子材で接続するものである。」
「【0010】
上記ヒューズ一体型端子材に上記補強ケースを設ける方法は、該補強ケース成形前までは、ヒューズエレメント部を挟むように入れ子を取り付けて、この状態で金型内に挿入し、上記入れ子によりヒューズエレメント部には樹脂が充填されないようにし、該ヒューズエレメント部の両側の上記連結部を樹脂モールドすると共にヒューズエレメント部の一側外方に連結樹脂部を形成するように樹脂を金型内に充填し、上記コ字状の補強ケースを成形している。該補強ケースの成形後には上記入れ子を除去して、前記透明保護カバーを被せている。」
「【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1乃至図6は、本発明の第1実施形態を示す。
図1は、ヒューズ付き電線10の内部構造を示す概略図であり、該ヒューズ付き電線10は自動車に搭載するバッテリーとリレーボックスの間に配線するものである。
【0012】
図2は、ヒューズ付き電線10のヒューズ部を構成するヒューズ一体型端子材20を示す。該ヒューズ一体型端子材20は導電性金属板からなり、長さ方向の中間部分を細幅としてヒューズエレメント部21を設け、該ヒューズエレメント部21を側方に向けて凸状に屈曲すると共に、突出させた中間部分をさらに細幅として溶断部22を設けている。ヒューズ一体型端子材20の両端部には、電線wの絶縁被覆w1に圧着する絶縁被覆圧着バレル26と芯線w2に圧着する芯線圧着バレル27をそれぞれ設けて電線接続部28としている。ヒューズエレメント部21の両端と電線接続部28との間を、ヒューズエレメント部21と電線接続部28を連結する連結部23、24とし、該連結部23、24間にはヒューズエレメント部補強用の保護バー25をヒューズ一体型端子材20の幅方向両側に架け渡している。また、ヒューズ一体型端子材20は、該ヒューズ一体型端子材20の長さ方向中央部分を上方に屈曲させて段状部29を設け、該段状部29にヒューズエレメント部21と連結部23、24を設けている。
【0013】
図5(B)に示す樹脂成形よりなる補強ケース30は、ヒューズ一体型端子材20のヒューズエレメント部21をコ字状に取り囲み、該コ字状の両側30a、30bで連結部23、24をモールドし、樹脂連結部30cにより両側30a、30bを連結している。補強ケース30は該補強ケース30のコ字状に沿って連続するリブ31を備え、該リブ31は補強ケース30の上下両面から上下方向に突出するリブを補強ケース30の側面から側方に向けて突出するリブにより連結してなる。該リブ31の内面側をカバー取付部32とすると共に、リブ31のヒューズ一体型端子材20の長さ方向両側に保護チューブ40を係止するための凹部33を周設している。
【0014】
図3に示す断面コ字状の保護カバー40は補強ケース30のカバー取付部32に取り付けるもので、透明な樹脂成型品としている。」
「【0016】
次に、ヒューズ付き電線10の製造方法について説明する。
先ず、図5(A)に示すように、ヒューズエレメント部21を挟むように入れ子42を取り付け、この状態でヒューズ一体型端子材20を金型内に挿入する。金型に樹脂を充填する際には、上記入れ子42によりヒューズエレメント部21には樹脂が充填されないようにし、ヒューズエレメント部21の両側の連結部23、24を樹脂モールドすると共に、ヒューズエレメント部21の一側外方に連結樹脂部30bを形成して、図5(B)に示す補強ケース30をヒューズ一体型端子材20に一体的に形成し、入れ子42を取り外す。
次いで、図5(C)に示すように、連結部23、24に架け渡して設けていた保護バー25を、その基部側で切断しヒューズ一体型端子材20から取り除く。
【0017】
次いで、図6(A)に示すように、補強ケース30のカバー取付部32にヒューズエレメント部21を覆うように保護カバー40を取り付ける。その後、ヒューズ一体型端子材20の両端に設けた絶縁被覆圧着バレル26を電線wの絶縁被覆w1に、芯線圧着バレル27を芯線w2にかしめ圧着して、ヒューズ一体型端子材20の両端に電線wを接続する。
最後に、図6(B)に示すように、保護チューブ50の拡径部51側の開口から電線wを挿入し、保護チューブ50の係止部52を補強ケース30の凹部33に挿入係止して、連結部23、24から電線接続部28にかけて保護チューブ50を被せている。」
「【図1】
[図:0001434182000002.jpg]
」
「【図3】
[図:0001434182000003.jpg]
」
「【図5】
[図:0001434182000004.jpg]
」
「【図6】
[図:0001434182000005.jpg]
」
イ 【0012】、図5から、ヒューズ付き電線10のヒューズ部を構成するヒューズ一体型端子材20は、両端部に電線接続部28が設けられ、中間部分であるヒューズエレメント部21に溶断部22が設けられることがわかる。
ウ 【0010】、【0016】、図1、図5、図6から、補強ケース30はヒューズエレメント部21をコ字状に取り囲み、樹脂で一体的に形成され、連結部30cに両側30a、30bが連結されたコ字状であることがわかる。
エ 【0013】、図5から、補強ケース30が、補強ケース30のコ字状に沿って連続し、補強ケース30の上下両面から上下方向に突出する、コ字状のリブ31を備えること、コ字状のリブ31の内面側がカバー取付部32であることがわかる。
オ 【0014】、【0017】、図1、図3、図6から、ヒューズエレメント部21を覆うように補強ケース30のカバー取付部32に取り付ける断面コ字状の保護カバー40と備えることがわかる。
カ 甲2に記載された技術的事項
前記イ~オの内容を総合すると、甲2には次の技術的事項が記載されていると認められる。
「 両端部に電線接続部28が設けられ、中間部分であるヒューズエレメント部21に溶断部22が設けられたヒューズ一体型端子材20と、
ヒューズエレメント部21をコ字状に取り囲む補強ケース30と、ヒューズエレメント部21を覆うように補強ケース30のカバー取付部32に取り付ける断面コ字状の保護カバー40を備え、
補強ケース30は樹脂で一体的に成形され、連結部30cに両側30a、30bが連結されたコ字状であり、補強ケース30が、補強ケース30のコ字状に沿って連続し、補強ケース30の上下両面から上下方向に突出する、コ字状のリブ31を備え、コ字状のリブ31の内面側がカバー取付部32であるヒューズ付き電線10。」
(3)甲3について
ア 甲3には、以下の事項が記載されている。
「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、リミットスイッチをはじめとする各種のスイッチ、光電センサや近接センサなどのセンサ類、温度調節器、カウンタ、スイッチング電源などの各種電気機器に使用される樹脂製のケーシングに関する。」
「【0003】そして、図8に示すように、従来では前記カバー体2の内面に、縦向き、および横向きのリブ24が突出形成されて、カバー体2の補強が図られていた。」
「【図8】
[図:0001434182000006.jpg]
」
(4)甲4について
ア 甲4には、以下の事項が記載されている。
「【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関の吸気系統を流れるエアを濾過するエアクリーナに関する。」
「【0018】
また、内面には相互に交差するリブが形成されているので、このリブが放射音の発生を阻止する。」
「【0025】
このエアクリーナ1は、図1に示すように、上面が開口されたケース2と、下面が開口されて、開口されたこの下面を、ケース2の開口された上面に重ね合わされるカバー4とから構成されたハウジング1Aを備えている。また、エアクリーナ1は、ケース2の上面とカバー4の下面との間に挟み込まれてハウジング1Aの内部に配置されるフィルタエレメント6を備えている。このフィルタエレメント6は、襞折りされた濾材7と、濾材7の周囲を囲んで濾材7の外周縁を保持するフレーム8とから構成されている。図1にはその詳細は示していないが、フレーム8の外周縁には、パッキンが全周にわたり設けられており、このフィルタエレメント6は、パッキンがケース2の上面とカバー4の下面に挟み込まれてハウジング1A内に取り付けられる。このため、フィルタエレメント6は、ハウジング1Aの内部をケース2側とカバー4側とに仕切っている。」
「【0033】
図3は、ケース2の内部構造の詳細を示している、この図3に示すように、ケース2の内面には、この内面からハウジング1Aの内方に向けて突出し、縦横に延びて相互に交差する複数のリブ20が形成されている。このリブ20は、ケース2の底面部2Aのほぼ全域に形成されている。但し、排出口3の入り口の近傍については、リブ20の非形成部2Cが矩形状に設けられている。なお、ケース2の側面2Bの内面には、上下に延びるリブ21のみがそれぞれ形成されている。
【0034】
このケース2の内面に形成されたリブ20は、当該エアクリーナ1が発生する放射音を低減させるための消音用のリブ20である。なお、特に図面に示していないが、この放射音を低減させる消音用のリブ20は、カバー4の内面についても同様に形成されている。」
「【0040】
かかる振動溶着の工程を経て吸着エレメント10が、ケース2に取り付けられた状態を示すのが図5である。この図5に示すように、吸着エレメント10は、ケース2の内面に沿うようにして取り付けられる。このため、この吸着エレメント10は、エアクリーナ1内のエアの流れを阻害することがなく、通過抵抗の増大を防止しつつもエンジン側からの気化燃料を効果的に吸着する。」
「【図1】
[図:0001434182000007.jpg]
」
「【図3】
[図:0001434182000008.jpg]
」
「【図5】
[図:0001434182000009.jpg]
」
「【図7】
[図:0001434182000010.jpg]
」
イ 【0001】、【0040】、図1、図5から、エアクリーナ1は、吸着エレメント10と、前記吸着エレメント10を内面に取り付けたケース2とを備え、内燃機関の吸気系統を流れるエアを濾過するものであることがわかる。
ウ 【0033】、【0034】、図3、図7から、ケース2が底面部2Aと側面2Bを備え、前記ケース2の前記底面部2Aには消音用のリブ20が形成され、前記ケース2の底面部2Aと側面2Bにまたがるリブ21が形成されていることがわかる。
エ 甲4に記載された技術的事項
前記イ、ウの内容を総合すると、甲4には次の技術的事項が記載されていると認められる。
「吸着エレメント10と、前記吸着エレメント10を内面に取り付けるケース2とを備えた内燃機関の吸気系統を流れるエアを濾過するエアクリーナ1であって、
前記ケース2は、底面部2Aと側面2Bを備え、
前記ケース2の前記底面部2Aには消音用のリブ20が形成され、前記ケース2の前記底面部2Aと前記側面2Bにまたがるリブ21が形成されるエアクリーナ1。」
(5)甲5について
ア 甲5には、以下の事項が記載されている。
「【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は減圧貯蔵容器及びこれを備えた冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
面圧が加わる貯蔵容器の場合、貯蔵容器の破壊や変形による外部構造への接触等を防止するため、面にかかる応力や変形量を一定以下に抑える必要がある。」
「【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に記載の構成は、容器の四角形状平面の三面が角部の近傍において交わり、互いに補強し合っているため、面の中央部に比べて強度は高い。この四角形状平面に面圧が加えられた場合、面の中央部の変位が大きくなる。」
「【0012】
本発明は上記課題に鑑み、材料使用量を抑制し、かつ強度を維持できる減圧貯蔵容器及びこれを備えた冷蔵庫を得ることを目的とする。」
「【実施例】
【0020】
図1は、本発明の第一の実施形態を示す減圧貯蔵容器の斜視図である。本実施例は、内部を真空引きして内容物を低圧,低酸素状態で密閉保存することを用途とした減圧貯蔵容器の例である。
【0021】
直方体形状の容器本体1の開口2には、実際の使用時において、図示しない扉体で密閉して内部の低圧状態を保つ構造である。容器本体1の天面1a及び底面1bの二つの四角形状平面は、他の面に対して面積が広い。すると、面の中央部において大気圧による凹み(変形量)が大きくなり、割れの原因にもなるため、特に補強が必要となる。」
「【0026】
図2は、本実施例と同形状の容器本体1に一般的である単純直交格子リブ6を、同圧力条件下において応力および変形量の最大値が図1の実施例と同等となるように構成した場合の斜視図である。圧力容器の全体質量を比較した場合、単純直交格子リブ6を設けたものに対して、本実施例は約90%に抑えられており、軽量化による省資源,低コスト化が可能となっている。」
[図:0001434182000011.jpg]
」
「
[図:0001434182000012.jpg]
」
イ 【0001】、【0020】、【0026】、図1、図2から、減圧貯蔵容器は、内容物を低圧、低酸素状態で密閉保存する、冷蔵庫が備えるものであることがわかる。
ウ 【0020】、【0021】、【0026】、図1、図2から、減圧貯蔵容器は、天面と側面を備え、前記減圧貯蔵容器には、天面と側面にまたがる単純直交格子リブ6が設けられていることがわかる。
エ 甲5に記載された技術的事項
前記イ、ウの内容を総合すると、甲5には次の技術的事項が記載されていると認められる。
「内容物を低圧、低酸素状態で密閉保存する、冷蔵庫が備える減圧貯蔵容器であって、
前記減圧貯蔵容器は、天面と側面を備え、
前記減圧貯蔵容器には、天面と側面にまたがる単純直交格子リブ6が設けられる、冷蔵庫が備える減圧貯蔵容器。」
5 当審における判断
(1)申立理由1について
請求項1に係る発明(以下「本件発明」という。)と甲1発明とを対比する。
後者の「溶断部2」、「端子部3、3」はそれぞれ、前者の「溶断部」、「端子部」に相当し、後者の「溶断部2の両側に端子部3、3を有する」という事項が、前者の「一対の端子部の間に設けられた溶断部を有する」という事項に相当する。
後者の「ヒューズエレメント1」は、前者の「ヒューズエレメント」に相当する。
後者の「ヒューズエレメント1を包囲する」という事項が、前者の「ヒューズエレメントを収容する」という事項に相当する。
後者の「ケーシング5」は、前者の「ハウジング」に相当する。
後者の「有し」は、前者の「備え」に相当する。
後者の「ヒューズ10」は、前者の「ヒューズ」に相当する。
後者の「円筒タイプの壁」と「その両端部を封止する壁面」は、前者の「壁部」に相当する。
そうすると、両発明は、次の一致点で一致し、相違点1で相違する。
<一致点>
一対の端子部の間に設けられた溶断部を有するヒューズエレメントと、前記ヒューズエレメントを収容するハウジングとを備えたヒューズであって、
前記ハウジングは、壁部を備えるヒューズ。
<相違点>
本件発明が、「前記ハウジングには、前記壁部をつなぐ補強部が少なくとも2ヶ所設けられ、前記補強部は、前記壁部において前記ヒューズエレメントの延出方向に延びる基部補強体によって互いに連結されている」のに対し、甲1発明には、このような構成を有しない点。
相違点について検討する。
上記「4(2)」のとおり、甲2に記載された技術的事項は「リブ31」を有する。しかしながら、「補強ケース30のカバー取付部32」に「断面コ字状の保護カバー40」を「取り付け」ることに関し、「リブ31」は、「そのリブ31の内面側がカバー取付部32」とするものにとどまり、「リブ31」が「補強ケース30」と「保護カバー40」とをつなぐ機能を有するとの記載も示唆も、甲2にはない。
また、「リブ31」は、「樹脂成形で一体的に成形され」た「コ字状」の補強ケース30に対し、その「補強ケース30のコ字状に沿って連続し、補強ケース30の上下両面から上下方向に突出する」ように設けられたものにすぎず、このコの字状の「リブ31」の角部が連結部30cと両側30aとをつなぐ機能(又は連結部30cと30bとをつなぐ機能)を有するとの記載も示唆も、甲2にはない。
したがって、甲2に記載された技術的事項の「リブ31」、あるいはコの字状の「リブ31」の角部が、壁をつなぐ機能を有するとは認められない。
よって、甲1発明に、甲2に記載された技術的事項を適用しても上記相違点に係る本件発明の構成をなすことはできない。
仮に、甲2に記載された技術的事項における「リブ31」が壁をつなぐ機能を有すると考えたとしても、当該「リブ31」は「補強ケース30のコ字状に沿って連続するリブ31」であることや、甲1発明が「ケーシング5が円筒軸方向に沿ってケーシングAとケーシングBから成る二つ割りタイプ」であるのに対し、甲2に記載された技術的事項が「ヒューズエレメント部21をコ字状に取り囲む補強ケース30と、ヒューズエレメント部21を覆うように補強ケース30のカバー取付部32に取り付ける断面コ字状の保護カバー40」であることから、両者は、その構造が大きく異なるため、甲2に記載された技術的事項を甲1発明に適用する動機付けもない。
したがって、本件発明は、甲1発明及び甲2に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に想到し得るものではない。
(2)申立理由2について
本件発明1と甲1発明とは、上記(1)の相違点で相違する。
相違点について検討する。
甲3には、「縦向き、および横向きのリブ24」が記載されているが(上記4(3)参照。)、「リブ24」が、ケーシングの壁をつなぐ機能を有するものとは認められない。
よって、甲1発明に、甲3に記載された技術的事項を適用しても、相違点に係る本件発明の構成をなすことはできない。
さらに、甲3に記載された技術的事項が属する技術分野は、スイッチであり、甲1発明が属する技術分野とは大きく異なり、甲3に記載された技術的事項と甲1発明とでは、ケーシングに求められる機能も違うことから、甲1発明に甲3に記載された技術的事項を適用する動機付けもない。
次に、甲4には、「消音用のリブ20」が記載されているが(上記4(4)参照。)、これがケースの壁をつなぐ機能を有すると認められない。よって、甲1発明に、甲4に記載された技術的事項の「消音用のリブ20」を適用しても、相違点に係る本件発明の構成をなすことはできない。
さらに、甲4に記載された技術的事項が属する技術分野は、内燃機関の吸気系統を流れるエアを濾過するエアクリーナであり、甲1発明が属する技術分野と大きくと異なり、甲4に記載された技術的事項と甲1発明とでは、ケース又はケーシングの大きさや形状、求められる機能が異なるし、甲1発明には消音に係る課題を有するとも認められないから、甲1発明に甲4に記載された技術的事項の「消音用のリブ20」を適用する動機付けもない。
また、甲4には、「前記ケース2の前記底面部2Aと前記側面2Bにまたがるリブ21」が記載されているが、仮に、このリブがケース2の底面部2Aと側面2Bとをつなぐ機能を有しているとしても、前述のとおり、甲4に記載された技術的事項が属する技術分野は、内燃機関の吸気系統を流れるエアを濾過するエアクリーナであり、甲1発明が属する技術分野と大きくと異なり、甲4に記載された技術的事項と甲1発明とでは、ケースの大きさや形状、求められる機能が異なることに鑑みれば、甲1発明に甲4に記載された技術的事項の「前記ケース2の前記底面部2Aと前記側面2Bにまたがるリブ21」を適用する動機付けもない。
そして、甲5には、「減圧貯蔵容器」の「天面と側面にまたがる単純直交格子リブ6」が記載されているが(上記4(5)参照。)、仮に、この単純直交格子リブ6が減圧貯蔵容器の天面と側面とをつなぐ機能を有しているとしても、甲5に記載された技術的事項が属する技術分野は、冷蔵庫が備える減圧貯蔵容器であり、甲1発明が属する技術分野と大きく異なり、甲5記載の技術的事項と甲1発明とでは、ケースの大きさや形状、求められる機能が異なることに鑑みれば、甲1発明に甲5に記載された技術的事項の「天面と側面にまたがる単純直交格子リブ6」を適用する動機付けはない。
したがって、本件発明は、甲1発明及び甲3~甲5に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に想到し得るものではない。
(3)申立理由3について
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明に対して、さらに発明特定事項を追加したものである。
よって、上記(1)及び(2)に示した理由と同様の理由により、請求項2に係る発明は、甲1発明及び甲2~5に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(4)異議申立人の主張について
ア 異議申立人は、甲2には、「ヒューズ付き電線10において、補強ケース30は、ヒューズ一体型端子材20のヒューズエレメント部21をコ字状に取り囲み、該コ字状の両側30a、30bで連結部23、24をモールドし、樹脂連結部30cにより両側30a、30bを連結していること、また、補強ケース30は、補強ケース30のコ字状に沿って連続するリブ31を備え、該リブ31は補強ケース30の上下両面から上下方向に突出するリブを補強ケース30の側面から側方へ向けて突出するリブにより連結してなることが記載されている。 よって、甲1発明のヒューズに、甲2発明の補強ケースを適用して、甲1発明においてケーシングに壁部をつなぐ補強部を2ヶ所設け、これら補強部を、壁部においてヒューズエレメントの延出方向に延びる基部補強体によって互いに連結する構成とするよう変更することは、当業者が容易に想到し得る。したがって、本件特許発明1は、甲第1号証、甲第2号証に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものである。」と主張する。
しかし、当該主張については、上記(1)で検討したとおり、甲2に記載された「リブ31」、あるいはコの字状の「リブ31」の角部が、壁をつなぐ機能を有するとは認められない。
したがって、異議申立人の当該主張を採用することはできない。
イ 異議申立人は、甲3には、「ケーシング構造において、カバー体2の内面に、縦向き、および横向きのリブ24が突出形成されていることが記載されている」と主張する。
また、異議申立人は、甲4には、「ケース2の内部構造において、ケース2の内面に、この内面からハウジング1Aの内方に向けて突出し、縦横に延びて相互に交差する複数のリブ20と、ケース2の側面2Bの内面に、上下に延びるリブ21がそれぞれ形成されていることが記載されている。ケース2にはリブ21が複数設けられており、リブ21は、壁部において長手方向に延びるリブ20によって互いに連結されていることが記載されている」と主張する。
さらに、異議申立人は、甲5には、「容器本体1に単純直交格子リブ6が形成されていることが記載されている。ケース2にはその壁部にリブが複数設けられており、上記リブは、上壁部において長手方向及び幅方向に延びるリブによって互いに連結されていることが記載されている」と主張する。
その上で、異議申立人は、「ハウジングの剛性を高めるために、壁部に甲3発明のリブや、甲4発明或いは甲5発明の連結リブ構造を設けることは周知である」から、「甲1発明のヒューズに、甲3発明~甲第5発明のリブを適用して、甲1発明においてケーシングに壁部をつなぐ補強部を複数設け、これら補強部を、壁部においてヒューズエレメントの延出方向に延びる基部補強体によって互いに連結する構成とするよう変更することは、当業者が容易に想到し得る」ことであるから、本件発明は、甲1発明、甲3~5の技術的事項に基いて容易に発明をすることができたものであると主張する。
まず、甲3については、上記(2)とおり、ケースの壁をつなぐ機能を有すると認められない。
次に、甲4については、リブ20、リブ21については、それぞれ上記(2)のとおりである。申立人は、「リブ21は、壁部において長手方向に延びるリブ20によって互いに連結されている」と主張するが、仮にそのような「連結」が甲4の図面から看て取れるとしても、そのリブ21とリブ20の「連結」が底面部2Aと側面2Bをつなぐ機能を有するのか明らかでないし、仮に、リブ21とリブ20の「連結」が底面部2Aと側面2Bをつなぐ機能を有しているとしても、上記(2)で述べたとおり、甲4記載の技術的事項を甲1に適用する動機付けはない。
そして、甲5については、上記(2)とおり、仮に、単純直交格子リブ6が減圧貯蔵容器の天面と側面とをつなぐ機能を有していたとしても、甲5記載の技術的事項を甲1に適用する動機付けはない。
さらに、甲3~5いずれも、ヒューズの技術分野に属するものではなく、甲3~5から、ヒューズの技術分野において、ヒューズエレメントを収容するハウジングに、ハウジングの壁部をつなぐ機能を有する補強部を設けることが周知であるということもできない。
したがって、異議申立人の当該主張はいずれも採用することはできない。
6 むすび
したがって、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、請求項1、2に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に請求項1、2に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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2025-700887