特許異議申立
2023-700654
スロットマシン
- 審判番号
- 2023-700654
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2019-108128
- 登録番号
- 7221803
- 請求日
- 2023年06月20日
- 審決日
- 2024年03月19日
- 公報発行日
- 2024年06月28日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】株式会社三共
- 【権利者代理人】弁理士法人深見特許事務所
- 【異議申立人】日本電動式遊技機特許 株式会社
- 【異議申立人代理人】弁理士法人平木国際特許事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 ▲吉▼川 康史
- 審判官 蔵野 いづみ
- 審判官 薄井 義明
- 分類
- P1651.113-YAA(A63F) / P1651.121-YAA(A63F) / P1651.851-YAA(A63F) / P1651.853-YAA(A63F)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第120条の5第2項、特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7221803号発明「スロットマシン」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7221803号の明細書、特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書、特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1について訂正することを認める。
特許第7221803号の請求項1に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7221803号(以下「本件特許」という。)に係る特許についての出願は、令和元年6月10日に出願され、令和5年2月6日にその特許権の設定登録がされ、同月14日に特許掲載公報が発行された。本件特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。
令和5年 6月20日 特許異議申立人日本電動式遊技機特許株式会 社(以下「申立人」という。)による請求項 1に係る特許に対する特許異議の申立て
同年10月31日付け 取消理由通知書
同年12月26日 意見書及び訂正請求書の提出(特許権者)
令和6年 2月 9日 意見書の提出(申立人)
第2 訂正の適否についての判断
1 訂正の内容
令和5年12月26日になされた訂正の請求(以下「本件訂正請求」といい、本件訂正請求に係る訂正を「本件訂正」という。)による訂正の内容は以下のとおりである(下線は訂正箇所を示す。)。
(1) 訂正事項1
【請求項1】の
「・・・割合よりも高い、スロットマシン。」を
「・・・割合よりも高く、
前記報知区間において、少なくとも通常決定と特別決定のいずれかが行われたことにより前記有利状態へ制御され、
前記特別決定が行われたことにより前記有利状態に制御されたときに遊技者が獲得可能な遊技価値の量の期待値は、前記通常決定が行われたことにより前記有利状態に制御されたときに遊技者が獲得可能な遊技価値の量の期待値よりも大きく、
前記終了制御によって前記報知区間への制御が終了した後、前記報知区間に再度制御されてから前記特定ゲーム数を消化するまでの期間においては、前記通常決定と前記特別決定のうち前記特別決定のみ行われ得、
前記特定ゲーム数を消化した後の期間においては、前記通常決定と前記特別決定のいずれも行われ得る、スロットマシン。」と訂正する。
(2) 訂正事項2
願書に添付した明細書の段落【0008】の
「・・・割合よりも高い(たとえば、図10に示すように、Xl2>X22である)。」を、
「・・・割合よりも高く(たとえば、図10に示すように、Xl2>X22である)、
前記報知区間において、少なくとも通常決定と特別決定のいずれかが行われたことにより前記有利状態へ制御され、
前記特別決定が行われたことにより前記有利状態に制御されたときに遊技者が獲得可能な遊技価値の量の期待値は、前記通常決定が行われたことにより前記有利状態に制御されたときに遊技者が獲得可能な遊技価値の量の期待値よりも大きく、
前記終了制御によって前記報知区間への制御が終了した後、前記報知区間に再度制御されてから前記特定ゲーム数を消化するまでの期間においては、前記通常決定と前記特別決定のうち前記特別決定のみ行われ得、
前記特定ゲーム数を消化した後の期間においては、前記通常決定と前記特別決定のいずれも行われ得る。」と訂正する。
2 訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
(1) 訂正事項1について
訂正事項1のうち、「・・・割合よりも高い、」という記載を「・・・割合よりも高く、前記報知区間において、少なくとも通常決定と特別決定のいずれかが行われたことにより前記有利状態へ制御され、」という記載にする訂正を「訂正事項1-1」とし、
訂正事項1のうち、「前記特別決定が行われたことにより前記有利状態に制御されたときに遊技者が獲得可能な遊技価値の量の期待値は、前記通常決定が行われたことにより前記有利状態に制御されたときに遊技者が獲得可能な遊技価値の量の期待値よりも大きく、」という記載を加える訂正を「訂正事項1-2」とし、
訂正事項1のうち、「前記終了制御によって前記報知区間への制御が終了した後、前記報知区間に再度制御されてから前記特定ゲーム数を消化するまでの期間においては、前記通常決定と前記特別決定のうち前記特別決定のみ行われ得、」という記載を加える訂正を「訂正事項1-3」とし、
訂正事項1のうち、「前記特定ゲーム数を消化した後の期間においては、前記通常決定と前記特別決定のいずれも行われ得る」という記載を加える訂正を「訂正事項1-4」として、以下検討する。
(1-1) 訂正事項1-1について
ア 訂正の目的
訂正事項1-1に係る訂正は、「・・・割合よりも高く、」という記載の後に請求項1に係る「スロットマシン」が、「前記報知区間において、少なくとも通常決定と特別決定のいずれかが行われたことにより前記有利状態へ制御され」ることを限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項1-1は、上記アのとおり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
ウ 新規事項の有無
訂正事項1-1に係る訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲及び図面(以下「本件明細書等」という。)の【0140】、【0141】、【0143】、【0181】、【0182】及び図13の記載に基づくものであるから、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではない。
(1-2) 訂正事項1-2について
ア 訂正の目的
訂正事項1-2に係る訂正は、請求項1に係る「スロットマシン」が、「前記特別決定が行われたことにより前記有利状態に制御されたときに遊技者が獲得可能な遊技価値の量の期待値は、前記通常決定が行われたことにより前記有利状態に制御されたときに遊技者が獲得可能な遊技価値の量の期待値よりも大き」いことを限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項1-2は、上記アのとおり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
ウ 新規事項の有無
訂正事項1-2に係る訂正は、本件明細書等の【0143】、【0148】、【0183】、【0184】及び図13の記載に基づくものであるから、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではない。
(1-3) 訂正事項1-3について
ア 訂正の目的
訂正事項1-3に係る訂正は、請求項1に係る「スロットマシン」が、「前記終了制御によって前記報知区間への制御が終了した後、前記報知区間に再度制御されてから前記特定ゲーム数を消化するまでの期間においては、前記通常決定と前記特別決定のうち前記特別決定のみ行われ得」ることを限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項1-3は、上記アのとおり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
ウ 新規事項の有無
訂正事項1-3に係る訂正は、本件明細書等の【0146】、【0181】、【0182】及び図13の記載に基づくものであるから、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではない。
(1-4) 訂正事項1-4について
ア 訂正の目的
訂正事項1-4に係る訂正は、請求項1に係る「スロットマシン」が、「前記特定ゲーム数を消化した後の期間においては、前記通常決定と前記特別決定のいずれも行われ得る」ことを限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項1-4は、上記アのとおり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
ウ 新規事項の有無
訂正事項1-4に係る訂正は、本件明細書等の【0147】、【0181】、【0182】及び図13の記載に基づくものであるから、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではない。
(2) 訂正事項2について
訂正事項2に係る訂正は、本件特許の特許請求の範囲の訂正に伴い、訂正後の特許請求の範囲の記載と整合させるために行う明細書の訂正であるので、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
そして、前記(1)で検討したように、訂正事項1に係る訂正については、本件明細書等の記載に基づくものであるから、訂正事項2に係る訂正も、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、また実質的に特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
3 小括
以上のとおりであるから、訂正事項1、2に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号又は第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
また、訂正事項1の訂正については、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであるが、訂正事項1は、特許異議の申立てがされている請求項1に係る訂正であり、訂正事項1による特許請求の範囲の減縮が行われていても、訂正後の請求項1に係る発明について、同条第9項で読み替えて準用する同法第126条第7項の独立特許要件は課されない。
したがって、明細書、特許請求の範囲を、本件訂正請求の訂正請求書に添付された訂正明細書、特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1について訂正することを認める。
第3 訂正後の請求項1に係る発明
上記第2のとおり、本件訂正が認められるから、本件特許の請求項1に係る発明(以下「本件発明」という。)は、本件訂正請求により訂正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである。なお、A等は本件発明を分説するために当審で付した。以下、A等が付された事項を「特定事項A」等という。
「A 各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示部を備え、
B 前記可変表示部を変動表示した後、前記可変表示部の変動表示を停止することで表示結果を導出し、該表示結果に応じて入賞が発生可能なスロットマシンにおいて、
C 遊技者にとっての有利度の異なる複数段階の設定値からいずれかの設定値を設定可能な設定手段と、
D 表示結果を導出させるために操作される導出操作手段と、
E 前記導出操作手段の操作態様に対応する操作情報を報知不可能な非報知区間と、前記操作情報を報知可能な報知区間とのいずれかに制御する区間制御手段と、を備え、
F 前記区間制御手段は、
前記報知区間において、遊技者にとって有利な有利状態への制御が終了したときに、当該報知区間への制御を終了する終了制御を行うことが可能であり、
G 前記報知区間において、前記有利状態への制御が終了したときに、当該報知区間への制御を継続する継続制御を行うことが可能であり、
H 前記終了制御によって前記報知区間への制御が終了した後、前記報知区間に再度制御されてから特定ゲーム数を消化するまでの期間は、当該期間が経過した後の期間よりも前記有利状態に制御される割合が低く、
I 少なくとも前記設定手段により一の設定値が設定されているときにおいて、前記継続制御が行われてから前記特定ゲーム数を消化した特定タイミングからの特定期間において前記有利状態に制御される割合は、前記終了制御によって前記報知区間への制御が終了した後、前記特定ゲーム数を消化した特定タイミングからの特定期間において前記有利状態に制御される割合よりも高く、
J 前記報知区間において、少なくとも通常決定と特別決定のいずれかが行われたことにより前記有利状態へ制御され、
K 前記特別決定が行われたことにより前記有利状態に制御されたときに遊技者が獲得可能な遊技価値の量の期待値は、前記通常決定が行われたことにより前記有利状態に制御されたときに遊技者が獲得可能な遊技価値の量の期待値よりも大きく、
L 前記終了制御によって前記報知区間への制御が終了した後、前記報知区間に再度制御されてから前記特定ゲームを消化するまでの期間においては、前記通常決定と前記特別決定のうち前記特別決定のみ行われ得、
M 前記特定ゲーム数を消化した後の期間においては、前記通常決定と前記特別決定のいずれも行われ得る、
N スロットマシン。」
第4 特許異議の申立て及び取消理由通知について
1 特許異議の申立ての概要
申立人は、以下の甲第1号証を提出した。
甲第1号証:特開2019-13381号公報
そして、特許異議申立書に記載された取消の理由の概要は以下のとおりである。
(1) 本件発明は、本件特許の出願前に日本国内において、電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲1号証に記載された発明である。
よって、本件特許は、特許法第29条第1項第3号の規定に違反してされたものであるから、同法第113条第2号の規定に該当し、取り消されるべきものである。
(2) 本件発明は、本件特許の出願前に日本国内において、電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲1号証に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
よって、本件特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるから、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
なお、申立人は、令和6年2月9日に、意見書とともに、さらに以下の証拠を提出している。
甲第2号証:特開2016-42973号公報
(以下、各甲号証を「甲1」等という。)
2 令和5年10月31日付け取消理由通知の概要
本件訂正前の請求項1に係る特許に対して、令和5年10月31日付けで特許権者に通知した取消理由通知書に記載された取消の理由の概要は以下のとおりである。
(取消理由)
1.(新規性)本件訂正前の請求項1に係る発明は、甲1に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、本件訂正前の請求項1に係る特許は、同条第1項の規定に違反してされたものである。
2.(進歩性)本件訂正前の請求項1に係る発明は、甲1に記載された発明に基いて当業者が容易に発明することができたものであるから、本件訂正前の請求項1に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
なお、取消理由通知書に記載した上記取消理由は、申立人が申し立てた理由と同趣旨であり、取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由はない。
第5 当審の判断
1 各甲号証の記載事項
(1) 甲1
ア 記載事項
本件特許の出願前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となり、上記取消理由通知で引用された甲1(特開2019-13381号公報)には、次の事項が記載されている(下線は当審で付した。以下同様。)。
「【0045】
(筐体12、前扉14)
本実施の形態に係る遊技機10としてのスロットマシンは、前方向に向かって開口する正面開口を有する四角箱状の筐体12と、この筐体12の正面開口を開閉自在に覆う前扉14とを備えている。
【0046】
(回転リール62)
前扉14の上部には、薄板樹脂からなる上パネル20を備えている。この上パネル20の略中央には、3個の回転リール62(正面から向かって左側の左回転リール64、中央の中回転リール66、右側の右回転リール68)の円周上の図柄61を見ることができる透過可能な図柄表示窓部16が形成されている。この図柄表示窓部16は、3個全ての回転リール62の回転が停止した際には、縦3列横3行に配置した合計9個の図柄61を遊技者に見せるように形成されている。この図柄表示窓部16は、回転リール62の正面側に設けられて、回転リール62の回転が停止した際、後述する有効ライン86上に停止している複数の図柄61を視認するためのものである。回転リール62は、複数の図柄61を図柄表示窓部16を介して変動表示可能なものである。」
「【0051】
ここで、「有利区間」とは、遊技者にとって有利な後述するストップスイッチ50の押し順に係る押し順ナビの表示が許容される区間を意味する。すなわち、「有利区間」とは、後述するAT遊技を行うことが許容される区間である。なお、本実施の形態における「押し順」は、本発明における「停止操作順序」に相当し、「押し順ナビ」は「停止操作情報」に相当する。」
「【0061】
(ストップスイッチ50)
前記操作部30の中央には、操作により対応する回転リール62の回転を停止させるため、3個の回転リール62のそれぞれに対応する3個のストップスイッチ50が設けられている。このストップスイッチ50は、左回転リール64を停止させるための左ストップスイッチLと、中回転リール66を停止させるための中ストップスイッチCと、右回転リール68を停止させるための右ストップスイッチRとを有している。すなわち、これらのストップスイッチ50は、複数の回転リール62それぞれに対応して設けられ、複数の回転リール62の図柄61の変動表示の開始後、遊技者の操作により回転リール62の図柄61の変動表示を個別に停止させるためのものである。」
「【0072】
(遊技の流れの説明)
本実施の形態に係る遊技機10は、マックスベットスイッチ34やシングルベットスイッチ35等の操作又はメダル投入により所定枚数のメダルを投入することにより遊技の開始を可能とするものである。そして、スタートスイッチ40の押下操作により、回転リール62の回転を開始させて遊技が開始されるとともに、複数の役の少なくとも何れか1つに当選か又はハズレかの役抽選が行われる。そして、当該遊技機10は、各回転リール62に対応するストップスイッチ50の操作タイミング及び役抽選の結果に基づいて、回転リール62の回転を役抽選の結果に適合するように停止させる。当該遊技機10は、停止時の図柄61の組合せによって、当選した役を構成する図柄61の組合せが所定の有効なライン(所定の役の図柄61の組合せが当該ライン上に揃ったときに所定の配当としてのメダルが付与されるラインのことであり、以下、有効ライン86とする。)上に停止した場合に、入賞等となり、所定枚数のメダルを払い出す等の所定の配当を遊技者に付与する(図2(B)参照)。これにより、1回の遊技が終了するものである。ここで、本実施の形態における「有効ライン86」は、本発明における「有効なライン」に相当する。」
「【0078】
(図柄61)
図2(A)に示すように、左回転リール64、中回転リール66及び右回転リール68の表面には、赤7図柄(R7)、青7図柄(B7)、白7図柄(W7)、BAR図柄(BAR)、リプレイ図柄(RP)、ベル1図柄(BE1)、ベル2図柄(BE2)、スイカ1図柄(WM1)、スイカ2図柄(WM2)、チェリー図柄(CH)の複数の種々の図柄61が形成されている。
そして、これらの図柄61の所定の組合せが複数種類の役に対応して設けられている。」
「【0080】
(制御装置100)
図3に示すように、遊技機10の内部には、遊技機10の全体の動作を制御するための制御装置100が形成されている。この制御装置100は、遊技を進行させて遊技を制御するメイン制御手段200と、このメイン制御手段200からの情報(コマンド)を受けて、遊技の進行に応じた演出を制御し、主に遊技内容に関する情報を遊技者に報知する演出を行うサブ制御手段500とを備えている。ここで、メイン制御手段200がサブ制御手段500へ送信する情報(コマンド)としては、たとえば、以下のものがある。」
「【0086】
(メイン制御手段200)
メイン制御手段200は、図4に示すように、役抽選手段210、リール制御手段220、停止図柄判定手段230、配当付与手段240、遊技状態制御手段250、演出状態制御手段260、移行抽選手段270、カウント手段280及び判定手段290の各手段を有する。各手段の詳細については後述する。
以上の構成をもって、メイン制御手段200は、役の抽選を行い、回転リール62の回転及び停止を制御し、回転リール62がすべて停止したときに停止図柄61の判定を行い、遊技の進行を行う手段として機能することとなる。」
「【0093】
(役抽選手段210)
役抽選手段210は、当選役を決定する役抽選を実行するものである。すなわち、役抽選手段210は、スタートスイッチ40の操作を契機に、複数の役の何れか(1つ又は複数)に当選か又はハズレかの役抽選を行うためのものである。役抽選手段210は、役に当選したか否かを決定するための役抽選テーブルを、主な分類としてノーマル状態(RT0及びRT1)用、RT状態(RT2及びRT3)用、ボーナス内部中状態(RT4)用、ボーナス状態(BB及びRB)用のそれぞれに対応して複数備えており、メイン制御手段200のROM上に記憶されている。役抽選手段210は、予め定めた抽選データと、所定範囲の整数値を繰り返してカウントするループカウンタを有する所定の乱数発生手段(乱数発生回路)が発生した乱数のうちから抽出した乱数とを比較して、当選か否かを判定する。
【0094】
役抽選手段210の役抽選に用いる当選確率は、図示しない役抽選テーブルにより、予めプログラムされた範囲内で遊技ホールの管理者により変更可能に形成されている。具体的には、その当選確率を規定するための値である複数段階の設定値を変更するための筐体12内部の設定変更スイッチ46を操作することにより、複数段階の設定値のうち何れか1つの特定の設定値が選択される。そして、役抽選手段210は、選択された設定値毎に予め定められた抽選確率で役抽選を行っている。」
「【0113】
(演出状態制御手段260)
演出状態制御手段260は、演出状態を制御するためのものである。
具体的には、演出状態制御手段260は、図4に示すように、通常状態制御手段261、CZ状態制御手段262、AT状態制御手段263及びエンディング状態制御手段264を有する。
【0114】
(通常状態制御手段261)
通常状態制御手段261は、非有利区間に属する「非有利区間通常状態」(非AT遊技)と、有利区間に属する「有利区間通常状態」とを制御するものである(図7参照)。
ここで、「非有利区間」とは、遊技者にとって有利な押し順ナビの表示が許容されない区間を意味する。すなわち、「非有利区間」とは、後述するAT遊技を行うことが許容されない区間である。また、「非AT遊技」は、「AT遊技」の非作動状態を意味する。
・・・
【0116】
(CZ状態制御手段262)
CZ状態制御手段262は、有利区間に属する「CZ(チャンスゾーン)状態」を制御するものである(図7参照)。
【0117】
(AT状態制御手段263)
AT状態制御手段263は、有利区間に属する「ART準備中状態」及び「ART状態」(AT遊技)を制御するものである(図7参照)。
・・・
【0124】
(エンディング状態制御手段264)
エンディング状態制御手段264は、有利区間に属する「エンディング状態」を制御するものである(図7参照)。ここで、本実施の形態における「エンディング状態」は、本発明における「示唆状態」に相当する。」
「【0125】
(移行抽選手段270)
移行抽選手段270は、各状態へ移行するか否かを決定する抽選を行うものである。この移行抽選手段270は、非有利区間において有利区間、具体的には、非有利区間通常状態から有利区間通常状態へ移行するか否かの有利区間移行抽選と、有利区間通常状態からCZ状態へ移行するか否かのCZ移行抽選と、CZ状態においてART状態、具体的には、ART準備中状態へ移行するか否かのAT抽選とを行う。なお、移行抽選手段270が行う抽選は前述のものには限られない。」
「【0129】
(カウント手段280)
カウント手段280は、特定のゲーム数を記憶して、そのゲーム数のカウントを行うものである。このカウント手段280は、有利区間のゲーム数の上限を示す有利区間上限ゲーム数(「有利区間リミッタ」又は単に「リミッタ」とも言う)をカウントするための有利区間上限カウンタと、エンディング状態を開始するために必要な消化ゲーム数を示すエンディング状態開始ゲーム数をカウントするためのエンディング状態開始カウンタと、を備えている。ここで、本実施の形態における「有利区間上限カウンタ」は、本発明における「第1カウンタ」に相当し、「エンディング状態開始カウンタ」は、「第2カウンタ」に相当する。」
「【0141】
(判定手段290)
判定手段290は、所定のゲーム数の上限への到達の有無、所定の演出の実行の有無、及び所定の状態の継続の有無の判定を行うものである。
この判定手段290は、図4に示すように、有利区間上限ゲーム数判定手段291、エンディング状態開始ゲーム数判定手段292、バトル演出判定手段293及び継続判定手段294を有する。」
「【0185】
(図7を用いた有利区間の説明)
次に、図7を用いて有利区間について説明する。
図7に示すように、本実施の形態では、遊技者にとって有利な押し順ナビの表示が許容されない「非有利区間」と、遊技者にとって有利な押し順ナビの表示が許容される「有利区間」とがある。「非有利区間」としては、「非有利区間通常状態」がある。また、「有利区間」としては、「有利区間通常状態」、「CZ状態」、「ART準備中状態」、「ART状態」及び「エンディング状態」がある。
・・・
【0194】
(有利区間通常状態)
有利区間通常状態は、「有利区間」に属し、「非有利区間」から「有利区間」に移行した場合に最初に滞在する状態である。「非有利区間」から「有利区間」、具体的には、「非有利区間通常状態」から「有利区間通常状態」には、非有利区間通常状態における役抽選にてスイカ役に当選したことに基づいて移行抽選手段270により行われる有利区間移行抽選に当選したことに基づいて移行する(図7の契機a)。
・・・
【0198】
そして、有利区間通常状態では、役抽選手段210が行う役抽選にてCZ移行契機役に当選したことに基づいて移行抽選手段270によるCZ移行抽選が行われ、当該CZ移行抽選に当選した場合には、CZ状態へ移行する(図7の契機b)。なお、「有利区間通常状態」から「CZ状態」への移行条件は、CZ移行抽選に当選することに限らず、たとえば、所定ゲーム数を消化したことに基づいてCZ状態へ移行することとしてもよい。
・・・
【0202】
(CZ状態)
CZ状態は、「有利区間」に属し、ART状態、具体的には、ART準備中状態へ移行するか否かが決定される10ゲームのいわゆるチャンスゾーンである。具体的には、CZ状態では、役抽選にてチェリー役に当選したことに基づいて移行抽選手段270によるAT抽選が行われ、当該AT抽選に当選した場合には、ART準備中状態へ移行する(図7の契機c)。
・・・
【0207】
(ART準備中状態)
ART準備中状態は、「有利区間」に属し、ART状態への移行が確定している状態であって、遊技状態が「RT3」へ移行することを待つ状態である。
【0208】
ART準備中状態において、当選役グループとしてのRT3RP1からRT3RP3に当選し(図12参照)、正解の押し順でストップスイッチ50が停止操作されると遊技状態が「RT3」となり、ART状態へと移行する(図7の契機e)。
・・・
【0212】
(ART状態)
ART状態は、「有利区間」に属し、「非有利区間通常状態」、「有利区間通常状態」、「CZ状態」、「ART準備中状態」及び「エンディング状態」よりも遊技者にとって有利な状態である。
・・・
【0214】
また、ART状態は、ART状態のゲーム数の上限、具体的には、バトル演出のゲーム数(以下、「バトルゲーム数」とする)の上限が設定され(50ゲーム)、当該バトルゲーム数を消化するまでに、遊技者のキャラクタが敵モンスターを討伐できなかった場合には、バトル演出の敗北となる。そして、バトル演出に敗北したことに基づいて、ART状態においては、継続判定手段294により行われる継続判定の結果に応じて有利区間を継続するか否かが決定される。
【0215】
具体的には、バトル演出に敗北した時点におけるエンディング状態開始カウンタの値が800以上である場合、継続判定手段294による継続判定では、有利区間の継続が決定される。そして、有利区間の継続が決定された後、継続判定手段294により行われる移行先決定抽選の結果に応じて、ART状態から「有利区間通常状態」又は「CZ状態」に移行する(図7の契機f又はg)。ここで、本実施の形態における「バトル演出に敗北した時点におけるエンディング状態開始カウンタの値が800以上である場合」は、本発明における「有利状態に対応する所定の終了条件が成立した場合」に相当する。
【0216】
一方、バトル演出に敗北した時点におけるエンディング状態開始カウンタの値が800未満である場合、継続判定手段294による継続判定では、有利区間の非継続が決定される。そして、継続判定手段294による継続判定にて有利区間の非継続が決定された場合、ART状態では、ART中のAT遊技が終了される。ただし、この場合の遊技状態は、RT遊技が行われるRT状態(たとえば、RT3)に滞在している。
・・・
【0218】
なお、遊技状態の「RT1」への移行に伴って、有利区間から非有利区間へと移行する。つまり、ART中のAT遊技及びRT遊技の終了に伴って、ART状態から非有利区間通常状態へ移行する(図7の契機h)。」
「【図7】
[図:0001411313000001.jpg]
」
イ 甲1発明
上記アからみて、甲1には次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されていると認められる(a等は、本件特許の分説に概ね対応させて当審で付した。)。
「a 前扉14の上部の上パネル20の略中央に、3個の回転リール62(左回転リール64、中回転リール66、右回転リール68)の円周上の図柄61を見ることができる透過可能な図柄表示窓部16が形成され(【0046】)、
左回転リール64、中回転リール66及び右回転リール68の表面には、赤7図柄(R7)、青7図柄(B7)、白7図柄(W7)、BAR図柄(BAR)、リプレイ図柄(RP)、ベル1図柄(BE1)、ベル2図柄(BE2)、スイカ1図柄(WM1)、スイカ2図柄(WM2)、チェリー図柄(CH)の複数の種々の図柄61が形成され(【0078】)、
回転リール62は、複数の図柄61を図柄表示窓部16を介して変動表示可能なものであり(【0046】)、
bd 3個の回転リール62のそれぞれに対応する3個のストップスイッチ50が設けられ、これらのストップスイッチ50は、3個の回転リール62の図柄61の変動表示の開始後、遊技者の操作により回転リール62の図柄61の変動表示を個別に停止させるためのものであり(【0061】)、
各回転リール62に対応するストップスイッチ50の操作タイミング及び役抽選の結果に基づいて、回転リール62の回転を役抽選の結果に適合するように停止させ、停止時の図柄61の組合せによって、当選した役を構成する図柄61の組合せが所定の有効なライン上に停止した場合に、入賞等となり、所定枚数のメダルを払い出す等の所定の配当を遊技者に付与する(【0072】)
スロットマシンにおいて(【0045】)、
c 遊技を進行させて遊技を制御するメイン制御手段200と、このメイン制御手段200からの情報(コマンド)を受けて、遊技の進行に応じた演出を制御し、主に遊技内容に関する情報を遊技者に報知する演出を行うサブ制御手段500とを備え(【0080】)、
メイン制御手段200は、役抽選手段210を有し(【0086】)、
当選役を決定する役抽選を実行し、当選か否かを判定する役抽選手段210(【0093】)の役抽選に用いる当選確率は、予めプログラムされた範囲内で遊技ホールの管理者により変更可能に形成され、その当選確率を規定するための値である複数段階の設定値を変更するための筐体12内部の設定変更スイッチ46を操作することにより、複数段階の設定値のうち何れか1つの特定の設定値が選択され(【0094】)、
e~m メイン制御手段200は、演出状態制御手段260、移行抽選手段270、カウント手段280及び判定手段290を有し(【0086】)、
演出状態制御手段260は通常状態制御手段261、CZ状態制御手段262、AT状態制御手段263及びエンディング状態制御手段264を有し(【0113】)、
通常状態制御手段261は、遊技者にとって有利なストップスイッチ50の押し順に係る押し順ナビの表示が許容されない区間である「非有利区間」に属する「非有利区間通常状態」(非AT遊技)と、遊技者にとって有利な押し順ナビの表示が許容される「有利区間」に属する「有利区間通常状態」とを制御するものであり(【0051】、【0114】)、
「非有利区間」としては、「非有利区間通常状態」があり、「有利区間」としては、「有利区間通常状態」、「CZ状態」、「ART準備中状態」、「ART状態」及び「エンディング状態」があり(【0185】)、
CZ状態制御手段262は、有利区間に属する「CZ(チャンスゾーン)状態」を制御するものであり(【0116】)、
AT状態制御手段263は、有利区間に属する「ART準備中状態」及び「ART状態」(AT遊技)を制御するものであり(【0117】)、
エンディング状態制御手段264は、有利区間に属する「エンディング状態」を制御するものであり(【0124】)、
移行抽選手段270は、非有利区間において有利区間、具体的には、非有利区間通常状態から有利区間通常状態へ移行するか否かの有利区間移行抽選と、有利区間通常状態からCZ状態へ移行するか否かのCZ移行抽選と、CZ状態においてART状態、具体的には、ART準備中状態へ移行するか否かのAT抽選とを行い(【0125】)、
カウント手段280は、有利区間のゲーム数の上限を示す有利区間上限ゲーム数をカウントするための有利区間上限カウンタと、エンディング状態を開始するために必要な消化ゲーム数を示すエンディング状態開始ゲーム数をカウントするためのエンディング状態開始カウンタと、を備え(【0129】)、
判定手段290は、継続判定手段294を有し(【0141】)、
有利区間通常状態は、「有利区間」に属し、「非有利区間」から「有利区間」に移行した場合に最初に滞在する状態であり、非有利区間通常状態における役抽選にてスイカ役に当選したことに基づいて移行抽選手段270により行われる有利区間移行抽選に当選したことに基づいて移行し(【0194】、図7の契機a)、
そして、有利区間通常状態では、所定ゲーム数を消化したことに基づいて有利区間通常状態からCZ状態へ移行し(【0198】、図7の契機b)、
CZ状態は、「有利区間」に属し、ART状態、具体的には、ART準備中状態へ移行するか否かが決定される10ゲームのいわゆるチャンスゾーンであり、役抽選にてチェリー役に当選したことに基づいて移行抽選手段270によるAT抽選が行われ、当該AT抽選に当選した場合には、ART準備中状態へ移行し(【0202】、図7の契機c)、
ART準備中状態は、「有利区間」に属し、ART状態への移行が確定している状態であって、遊技状態が「RT3」へ移行することを待つ状態であり(【0207】)、当選役グループとしてのRT3RP1からRT3RP3に当選し、正解の押し順でストップスイッチ50が停止操作されると遊技状態が「RT3」となり、ART状態へと移行し(【0208】、図7の契機e)、
ART状態は、「有利区間」に属し、「非有利区間通常状態」、「有利区間通常状態」、「CZ状態」、「ART準備中状態」及び「エンディング状態」よりも遊技者にとって有利な状態であり(【0212】)、
ART状態は、ART状態のゲーム数の上限、具体的には、バトル演出のゲーム数(以下、「バトルゲーム数」とする)の上限が設定され(50ゲーム)、当該バトルゲーム数を消化するまでに、遊技者のキャラクタが敵モンスターを討伐できなかった場合には、バトル演出の敗北となり、そして、バトル演出に敗北したことに基づいて、ART状態においては、継続判定手段294により行われる継続判定の結果に応じて有利区間を継続するか否かが決定され(【0214】)、
バトル演出に敗北した時点におけるエンディング状態開始カウンタの値が800以上である場合、継続判定手段294による継続判定では、有利区間の継続が決定され、そして、有利区間の継続が決定された後、継続判定手段294により行われる移行先決定抽選の結果に応じて、ART状態から「有利区間通常状態」又は「CZ状態」に移行し(【0215】、図7の契機f又はg)、
一方、バトル演出に敗北した時点におけるエンディング状態開始カウンタの値が800未満である場合、継続判定手段294による継続判定では、有利区間の非継続が決定され(【0216】)、
有利区間であるART状態から非有利区間である非有利区間通常状態へと移行する(【0218】、図7の契機h)
n スロットマシン(【0045】)。」
(2) 甲2
ア 記載事項
本件特許の出願前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となり、申立人が令和6年2月9日に意見書とともに提出した甲2(特開2016-42973号公報)には、次の事項が記載されている。
「【0011】
前記特典遊技は、遊技者に有利な特典が付与される遊技価値であり、例えば、回胴式遊技機において特典として例えば、AT遊技又はART遊技を付与する場合にAT役の成立が容易になって遊技媒体の獲得率が向上する特定遊技状態である。本発明に適用可能な特典遊技は、例えば、リプレイが高頻度で当選して遊技者に有利な条件で回胴遊技を行うことができるRT遊技、所定の遊技回数の間、回胴の停止操作順序(押し順)が合致することにより入賞可能なAT役の押し順を事前に報知したり、あるいは当選役の種別を事前に報知したりしてAT役の入賞機会を増加させるAT遊技、又はRT遊技とAT遊技とを併用して、通常遊技状態よりもリプレイの当選頻度が高くなって使用メダルを消費しにくく、且つ当選した小役がナビされることによって入賞が得られやすくなるART遊技等である。」
「【0053】
回胴式遊技機Aの制御装置は、遊技動作制御を統括的に司る主制御基板100と、主制御基板100から制御コマンドを一方向に受信して、画像と光と音についての演出表示制御を統括的に司る副制御基板200と、賞メダルの払出を制御する払出制御基板300と、AC24Vの外部電源から遊技機に必要な電源を生成し供給する電源基板400とを有する。なお、図4においては電源供給ルートを省略している。
【0054】
主制御基板100は、メインCPU101を内蔵したマイクロプロセッサを搭載すると共に、メインROM102と、メインRAM103とを搭載したメイン側マイクロコンピュータ(本実施形態ではZ80システム相当品を採用している)を有し、役抽選、リール駆動制御、回胴演出(フリーズ演出)の実行可否の決定等を実行処理する主制御部を構成する。メイン側マイクロコンピュータには、図示しないが、CTC(Counter Timer Circuit)やメインCPU101に割り込み信号を付与する割り込みコントローラ回路が設けられている。
・・・
【0061】
副制御基板200は主制御基板100からの制御コマンドを一方向に受信可能に主制御基板100と接続されている。副制御基板200は、主制御基板100からの制御コマンドの受信の他に、演出内容の抽選や液晶制御基板206への液晶制御コマンドの送信、各スピーカの音制御、装飾ランプ部6等のLED発光制御等を行う。
・・・
【0066】
副制御基板200は、サブCPU201を内蔵したマイクロプロセッサを搭載すると共に、サブROM202と、サブRAM203とを搭載したサブ側マイクロコンピュータを有し、各種演出報知制御、擬似ボーナス遊技付与決定処理、AT遊技中のAT役の停止操作順序報知等を実行処理する副制御部を構成する。サブ側マイクロコンピュータには、メイン側と同様に、サブCPU201やサブ用CTCに割り込み信号を付与する割り込みコントローラ回路が設けられている。なお、本発明をART遊技を付与する遊技機に適用する場合には、サブ処理によるAT遊技がメイン処理のRT遊技と協働して実行処理される。」
「【0073】
メイン処理の内部抽選による当選役の決定処理とは別に、サブ処理によるAT遊技の付与決定処理が実行可能になっている。AT遊技の付与が決定されると、AT役の正解押し順が報知されるAT遊技状態に移行可能になる。AT遊技中には、6択のAT役の夫々の回胴の停止操作順序を報知するためのAT報知手段として、液晶表示装置3による演出表示(例えば、停止操作手順の指示表示)及び上部スピーカ4、下部スピーカ22a、22bによる効果音出力(例えば、停止操作順序に沿った左・中・右の指示音声)が実行される。
・・・
【0077】
まず、RAM初期化処理(ステップS2)を実行して、前回のゲーム終了時において使用した所定のデータをクリアし今回のゲームに必要なワークエリアが確保される。次に、遊技状態フラグ生成処理が行われ(ステップS3)、今回のゲームの遊技状態の種別(通常遊技、RT遊技)の確認が行われ、遊技状態に対応する遊技状態フラグ(通常遊技状態フラグ、RT遊技状態フラグ)が設定される。各遊技におけるメイン処理は設定された遊技状態フラグに基づいて実行される。遊技状態フラグはメインRAM103に記憶、セットされ、メイン処理により管理される。本実施形態では、RT遊技状態を主制御部によるメイン処理によって管理して、遊技価値として付与する擬似ボーナスのAT遊技の付与決定処理や擬似ボーナス遊技の実行処理は副制御部のサブ処理によって行われる。」
「【0087】
押し順により区別された6種類のベル役は、AT遊技において、副制御部による押し順報知に従って各回胴が停止されることにより入賞可能になるAT役(押順ベル役)となる。通常遊技状態では、6択の各ベル役は1/30の抽選確率に基づき抽選されて、いずれかのベル役が入賞可能になるが、通常遊技状態においては、押し順が報知されないため、一般的に、左回胴から中・右回胴の順に停止させる、所謂順押しの停止操作が行うと、押し順が不正解となって入賞が生じない場合が多くなる。AT遊技状態では、押し順がナビ報知されることによりAT役の入賞確率は6倍(全ベル役の合成抽選確率1/5)に向上する。」
「【0090】
本実施形態においては、停止順報知遊技(押し順ナビAT遊技)が遊技価値(擬似ボーナス遊技)として付与されるので、押し順ナビAT遊技中の回胴停止処理において当選情報と回胴の停止順序を参照して停止制御が実行される。AT遊技状態においては、副制御部によるAT役ナビ制御によりAT役(押し順ベル役)の押し順報知が実施されるので、当選したAT役を確実に停止させてAT役等の小役獲得によりAT遊技中に保有メダルを増加させることが可能になる。遊技価値として、RT遊技を併用した押し順ナビART遊技状態を付与したり、AT図柄の種別を報知するAT遊技状態等を付与するようにしてもよい。
【0091】
擬似ボーナス遊技種には、AT遊技が実行可能な有効遊技期間(ゲーム数)が異なる3種類の擬似ボーナス遊技(擬似RB遊技、擬似BB遊技、擬似SBB遊技)及び有効遊技期間のゲーム数が固定されていない擬似UBB遊技が含まれている。擬似RB遊技、擬似BB遊技、擬似SBB遊技の有効遊技期間は夫々、8ゲーム、30ゲーム、50ゲームに固定されている。擬似UBB遊技の有効遊技期間のゲーム数は第1有利遊技において当選したときにゲーム数振分抽選によって決定可能になっている。
【0092】
特定遊技状態としての擬似ボーナス遊技状態の有効遊技期間は、ゲーム数で規定する場合に限らず擬似ボーナス遊技状態において獲得可能なメダル上限値で規定されてもよい。例えば、メダル上限値設定例として、擬似RB遊技、擬似BB遊技、擬似SBB遊技の夫々における獲得可能なメダルの上限値を、40、120、250とし、擬似UBB遊技における上限値を固定せずに第1有利遊技モードにおいて決定可能にすることができる。また、有効遊技期間の規定態様が異なる擬似ボーナス遊技を組み合わせて使用することができる。例えば、擬似RB遊技、擬似BB遊技、擬似SBB遊技を夫々、獲得可能なメダルの上限値で規定される遊技態様とし、擬似UBB遊技を可変ゲーム数で規定される遊技態様とすることができる。」
「【0111】
図12はサブ処理により発生する遊技状態の遷移関係を示す。
【0112】
同図(12A)は、サブ処理における通常遊技状態12A、擬似ボーナス遊技状態12B、第2有利遊技状態12C及び第3有利遊技状態12Dの遷移関係を示し、同図(12B)は各遊技状態間の遷移契機(移行条件)を示す。
【0113】
擬似ボーナス遊技状態12Bへの移行ルートには、通常遊技状態12A中の擬似ボーナス遊技付与抽選(以下、擬似ボーナス遊技付与抽選を擬似ボーナス抽選という。)に当選したとき(移行条件T6の成立)に成立可能になる場合の他に、通常遊技状態12A中に発生した第1有利遊技状態における擬似ボーナス抽選に当選したときに成立可能になる場合及び第2有利遊技状態中における擬似ボーナス抽選に当選したときに成立可能になる場合が含まれている。」
「【0124】
擬似ボーナス遊技に当選したときには、有効遊技期間の異なる擬似RB遊技状態12B1、擬似BB遊技状態12B2、擬似SBB遊技状態12B3又は有効遊技期間が可変決定される擬似UBB遊技状態12B4のいずれかの擬似ボーナス遊技状態12Bに移行可能になる。いずれの擬似ボーナス遊技状態においてもAT遊技状態となり、サブ処理によるAT遊技が実行される。
【0125】
擬似ボーナス遊技状態12B中には第2有利遊技状態12Cへの第2有利遊技移行抽選が実行可能になっている。第2有利遊技移行抽選に当選(移行条件T10の成立)したときには擬似ボーナス遊技の終了後に第2有利遊技状態12Cに移行する。第2有利遊技移行抽選に当選することなく擬似ボーナス遊技が終了(移行条件T7の成立)したとき擬似ボーナス遊技状態12Bから通常遊技状態12Aに移行する。擬似ボーナス遊技状態が開始された後、擬似ボーナス遊技のAT遊技中にパンク条件(リプレイ2の不成立)が成立すると通常遊技状態12Aに移る。AT遊技中はリプレイ2の押し順が報知されて、停止操作を誤らない限りパンク条件が成立しないようになっている。リプレイ2の不成立に代えて、パンク条件として、例えば、AT役の非入賞(不成立)等を使用することができる。
【0126】
通常遊技状態12Aにおいて擬似ボーナス遊技に当選して擬似ボーナス遊技フラグがオンになった場合には擬似ボーナス移行準備期間に移行する。擬似ボーナス移行準備期間に移行した後、押し順リプレイが当選したときに副制御部による報知処理によって当該リプレイの押し順が報知されて、正解押し順によるリプレイ役が成立した場合に、擬似ボーナス移行準備期間から擬似ボーナス遊技状態に移行して、擬似ボーナス遊技状態が開始される。図12においては該擬似ボーナス移行準備期間の実行段階を省略している。擬似ボーナス遊技状態への移行のための特定役(例えば、特定の押し順により成立可能なリプレイ役又は小役)を設定してもよい。その場合、擬似ボーナス移行準備期間中に該特定役の成立によって擬似ボーナス遊技状態への移行が可能になる。」
「【0128】
第2有利遊技状態12Cは、一定遊技期間(30回の遊技)の間、擬似ボーナス抽選における擬似ボーナス遊技の当選確率が通常遊技状態12Aよりも向上された特定有利状態となる遊技状態である。第2有利遊技状態12CにおいてはAT遊技状態となり、サブ処理上、AT遊技が実行可能になる点で、通常遊技状態12Aに発生する第1有利遊技状態と相違する。第2有利遊技状態12Cにおいては、擬似RB遊技状態12B1、擬似BB遊技状態12B2又は擬似SBB遊技状態12B3のいずれかの擬似ボーナス遊技状態が付与可能になっている。第2有利遊技状態12C中に擬似ボーナス抽選に当選(移行条件T11の成立)したときには第2有利遊技状態12Cの終了後に擬似ボーナス遊技状態12Bに移行する。擬似ボーナス抽選に当選することなく第2有利遊技が終了(移行条件T9の成立)したとき第2有利遊技状態12Cから通常遊技状態12Aに移行する。
【0129】
第2有利遊技状態12Cへの移行は通常遊技状態12Aにおいても可能になっている。通常遊技状態12A中に第2有利遊技移行役に当選(移行条件T8の成立)することにより第2有利遊技状態12Cに移行可能にして、擬似ボーナス遊技状態12Bへの移行パターンの多様化を図っている。第2有利遊技移行役の当選による移行確定に代えて、例えば、所定の抽選契機役(チェリー役やスイカ役等)の当選又は成立を契機に第2有利遊技移行抽選を行って当選したことを条件に第2有利遊技状態12Cに移行可能にしてもよい。」
「【0138】
図15は第2有利遊技状態中に使用可能な4種類の擬似ボーナス抽選テーブルを示す。これらの擬似ボーナス抽選テーブルは擬似ボーナス抽選の当選期待値が異なる第2有利遊技中抽選テーブルからなる。回胴式遊技機Aにおいては、第2有利遊技状態は擬似ボーナス遊技から移行可能になっており、第2有利遊技における擬似ボーナス遊技の当選によって擬似ボーナス遊技を連続して発生させる、所謂、連チャンの発生機能を具備するものであるから、以下、係る擬似ボーナス抽選テーブルにおける当選期待値の大小を継続率(第2有利遊技継続率とも表記する場合がある。)と称する。図15の(15A)~(15D)は夫々、(15A)~(15D)の順に継続率が大きい擬似ボーナス抽選テーブルになっている。第2有利遊技への移行決定時にはいずれかの擬似ボーナス抽選テーブルが使用抽選テーブルとして第2有利遊技継続率抽選により決定される(ステップS172)。第2有利遊技継続率抽選により当選して決定されたいずれかの抽選テーブル種別は当選継続率データとしてサブRAM203の対応エリアに記憶、セットされる(ステップS173)。
【0139】
第2有利遊技状態の有効遊技期間は全体として30ゲーム(nゲーム数をnGと略す場合もある。)からなる。この有効遊技期間は3種類の遊技区間a、b、cから構成されている。遊技区間a、b、cは夫々、最初のゲームから7ゲーム目までの7Gの区間、8ゲーム目から26ゲーム目までの19Gの区間、27ゲーム目から最終ゲーム目までの4Gの区間である。(15A)~(15D)の各擬似ボーナス抽選テーブルは遊技区間a、b、cに応じて擬似ボーナス抽選確率(当選確率)が異なる区間別の抽選確率値分布を有する。例えば、(15A)の擬似ボーナス抽選テーブルにおいて、強チェリーの当選時における擬似ボーナス当選確率は、遊技区間a、b、cに応じて(第2有利遊技の遊技進行に伴って)夫々、50、75、100%と向上している。特に、遊技区間cにおいてはいずれの擬似ボーナス抽選テーブルにおいても、チェリー役、スイカ役及びチャンス目役の当選により擬似ボーナス遊技の100%当選となり、これらの当選役は擬似ボーナス確定役となっている。第2有利遊技状態中の30ゲームの間、通常遊技状態時より高確率の擬似ボーナス抽選が実行可能になっている。
【0140】
図16の(16A)~(16D)は(15A)~(15D)の各擬似ボーナス抽選テーブルにおける遊技区間毎の当選期待値を示す。(15A)~(15D)の各擬似ボーナス抽選テーブルにおいて擬似ボーナス抽選における擬似ボーナス遊技の当選期待値は約50、約60、約70、約90%であり、(15D)の擬似ボーナス抽選テーブルが最も有利な抽選テーブルとなっている。例えば、(15A)と(15D)の各擬似ボーナス抽選テーブルにおいて、強スイカの当選時における擬似ボーナス当選確率を比較すると、(15D)の場合、(15A)の25%から50%に大きくなっている。図17の(17A)は通常遊技状態で使用される擬似ボーナス抽選テーブルを示す。通常遊技状態における擬似ボーナス遊技の当選確率の合成確率値が約1/470であることに対し、第2有利遊技状態においてはいずれの擬似ボーナス抽選テーブルに基づいても擬似ボーナス遊技の当選確率が格段に向上されている。」
「【0143】
図16の(16E)及び(16F)は、夫々、第2有利遊技状態、通常遊技状態において擬似ボーナス抽選に当選したときの擬似ボーナス遊技種別の振分率を示す。通常遊技状態において擬似ボーナス抽選に当選しても、より有利な擬似SBB遊技を獲得できる割合(振分率:5%)は低いが、第2有利遊技状態の遊技区間a又はbにおいては擬似SBB遊技の振分率を、夫々、70%、10%に向上させている。即ち、第2有利遊技状態において図15の擬似ボーナス抽選テーブルに基づく擬似ボーナス抽選を行うことにより、遊技区間別に擬似ボーナス遊技の獲得期待度及び獲得種別の振分割合が変動して、擬似ボーナス遊技の獲得パターンを画一化することなくバリエーションに富んだ付与態様によって多様化することができ、遊技興趣の向上に寄与することができる。通常遊技時における第2有利遊技の付与決定態様として、第2有利遊技移行役の当選による付与確定態様に限らず、所定の付与抽選契機役の当選を契機に第2有利遊技付与抽選を行って当選したことを条件に第2有利遊技の付与を決定する抽選決定態様を使用することができる。」
「【図16】
[図:0001411313000002.jpg]
」
イ 認定事項
(ア) 【0138】の「図15は第2有利遊技状態中に使用可能な4種類の擬似ボーナス抽選テーブルを示す。これらの擬似ボーナス抽選テーブルは擬似ボーナス抽選の当選期待値が異なる第2有利遊技中抽選テーブルからなる。・・・図15の(15A)~(15D)は夫々、(15A)~(15D)の順に継続率が大きい擬似ボーナス抽選テーブルになっている。」の記載、【0140】の「図16の(16A)~(16D)は(15A)~(15D)の各擬似ボーナス抽選テーブルにおける遊技区間毎の当選期待値を示す。」の記載、及び図16の(16A)~(16D)から見て、甲2には、「第2有利遊技状態中の擬似ボーナス抽選の当選期待値は、遊技区間aよりも遊技区間b及び遊技区間cの方が大きい」ことが記載されていると認められる(認定事項ア)。
(イ) 【0143】の「図16の(16E)及び(16F)は、夫々、第2有利遊技状態、通常遊技状態において擬似ボーナス抽選に当選したときの擬似ボーナス遊技種別の振分率を示す。」の記載、及び図16の(16E)から見て、甲2には、「第2有利遊技状態において擬似ボーナス抽選に当選したときの遊技区間a、遊技区間b、遊技区間cにおける擬似BBの振分率は30%、45%、15%であり、擬似RBの振分率は0%、45%、80%である」ことが記載されていると認められる(認定事項イ)。
ウ 甲2記載事項
上記ア及びイからみて、甲2には次の技術事項(以下「甲2記載事項」という。)が記載されていると認められる。
「メインCPU101を内蔵したマイクロプロセッサを搭載したメイン側マイクロコンピュータを有し、役抽選、リール駆動制御、回胴演出(フリーズ演出)の実行可否の決定等を実行処理する主制御部を構成する主制御基板100と(【0054】)、
サブCPU201を内蔵したマイクロプロセッサを搭載したサブ側マイクロコンピュータを有し、各種演出報知制御、擬似ボーナス遊技付与決定処理、AT遊技中のAT役の停止操作順序報知等を実行処理する副制御部を構成し、主制御基板100からの制御コマンドを一方向に受信可能に主制御基板100と接続されている副制御基板200と(【0061】、【0066】)を有し、
メイン処理の内部抽選による当選役の決定処理とは別に、サブ処理によるAT遊技の付与決定処理が実行可能になっており、AT遊技の付与が決定されると、AT役の正解押し順が報知され、当選したAT役を確実に停止させてAT役等の小役獲得によりAT遊技中に保有メダルを増加させることが可能になるAT遊技状態に移行可能になり(【0073】、【0090】)、
RT遊技状態を主制御部によるメイン処理によって管理して、遊技価値として付与する擬似ボーナスのAT遊技の付与決定処理や擬似ボーナス遊技の実行処理は副制御部のサブ処理によって行われる(【0077】)回胴式遊技機Aであって(【0053】)、
サブ処理により発生する遊技状態には、通常遊技状態12A、擬似ボーナス遊技状態12B、第2有利遊技状態12C及び第3有利遊技状態12Dがあり(【0111】、【0112】)、
通常遊技状態においては、押し順が報知されないものであり(【0087】)、
AT役の成立が容易になって遊技媒体の獲得率が向上する特定遊技状態としての擬似ボーナス遊技状態12Bへの移行ルートには、通常遊技状態12A中の擬似ボーナス遊技付与抽選(以下、擬似ボーナス遊技付与抽選を擬似ボーナス抽選という。)に当選したときに成立可能になる場合の他に、第2有利遊技状態中における擬似ボーナス抽選に当選したときに成立可能になる場合が含まれ(【0011】、【0092】、【0113】)、
擬似ボーナス遊技に当選したときには、有効遊技期間の異なる擬似RB遊技状態12B1、擬似BB遊技状態12B2、擬似SBB遊技状態12B3又は有効遊技期間が可変決定される擬似UBB遊技状態12B4のいずれかの擬似ボーナス遊技状態12Bに移行可能になり、いずれの擬似ボーナス遊技状態においてもAT遊技状態となり、サブ処理によるAT遊技が実行され(【0124】)、
擬似RB遊技、擬似BB遊技、擬似SBB遊技の有効遊技期間は夫々、8ゲーム、30ゲーム、50ゲームに固定されており(【0091】)、
擬似ボーナス遊技状態12B中に第2有利遊技移行抽選に当選したときには擬似ボーナス遊技の終了後に第2有利遊技状態12Cに移行し、第2有利遊技移行抽選に当選することなく擬似ボーナス遊技が終了したとき擬似ボーナス遊技状態12Bから通常遊技状態12Aに移行するものであり(【0125】)、
通常遊技状態12Aにおいて擬似ボーナス遊技に当選して擬似ボーナス移行準備期間に移行した後、押し順リプレイが当選したときに副制御部による報知処理によって当該リプレイの押し順が報知されて、正解押し順によるリプレイ役が成立した場合に、擬似ボーナス移行準備期間から擬似ボーナス遊技状態に移行して、擬似ボーナス遊技状態が開始され(【0126】)、
第2有利遊技状態12Cは、一定遊技期間(30回の遊技)の間、擬似ボーナス抽選における擬似ボーナス遊技の当選確率が通常遊技状態12Aよりも向上された特定有利状態となる遊技状態で、第2有利遊技状態12CにおいてはAT遊技状態となり、サブ処理上、AT遊技が実行可能になり、第2有利遊技状態12Cにおいては、擬似RB遊技状態12B1、擬似BB遊技状態12B2又は擬似SBB遊技状態12B3のいずれかの擬似ボーナス遊技状態が付与可能になっており、第2有利遊技状態12C中に擬似ボーナス抽選に当選したときには第2有利遊技状態12Cの終了後に擬似ボーナス遊技状態12Bに移行するものであり(【0128】)、
通常遊技状態12A中に第2有利遊技移行役に当選することにより第2有利遊技状態12Cに移行可能であり(【0129】)、
第2有利遊技状態の有効遊技期間は全体として30ゲーム(nゲーム数をnGと略す場合もある。)からなり、この有効遊技期間は3種類の遊技区間a、b、cから構成され、遊技区間a、b、cは夫々、最初のゲームから7ゲーム目までの7Gの区間、8ゲーム目から26ゲーム目までの19Gの区間、27ゲーム目から最終ゲーム目までの4Gの区間であり(【0139】)、
第2有利遊技状態中の擬似ボーナス抽選の当選期待値は、遊技区間aより遊技区間b及び遊技区間cの方が大きく(認定事項ア)、
第2有利遊技状態において擬似ボーナス抽選に当選したときの遊技区間a、遊技区間b、遊技区間cにおける擬似BBの振分率は30%、45%、15%であり、擬似RBの振分率は0%、45%、80%であり(認定事項イ)、
第3有利遊技も擬似ボーナス遊技と同様にAT遊技が第3有利遊技有効遊技期間(30G)の間、実行可能になっている(【0218】)、
回胴式遊技機A(【0053】)。」
2 対比
本件発明と甲1発明とを対比する。なお、見出しは(a)等とし、本件発明の特定事項に対応させている。
(a) 甲1発明の「赤7図柄(R7)、青7図柄(B7)、白7図柄(W7)、BAR図柄(BAR)、リプレイ図柄(RP)、ベル1図柄(BE1)、ベル2図柄(BE2)、スイカ1図柄(WM1)、スイカ2図柄(WM2)、チェリー図柄(CH)の複数の種々の図柄61」、「3個の回転リール62(左回転リール64、中回転リール66、右回転リール68)」は、本件発明の「各々が識別可能な複数種類の識別情報」、「可変表示部」に、それぞれ相当する。
よって、甲1発明は、本件発明の特定事項Aを備える。
(b) 甲1発明の「3個の回転リール62の図柄61の変動表示の開始後」、「3個の」「回転リール62の図柄61の変動表示を個別に停止」し「図柄61の組合せ」を「所定の有効なライン上に停止」すること、「当選した役を構成する図柄61の組合せが所定の有効なライン上に停止した場合に、入賞」「とな」ることは、本件発明の「前記可変表示部を変動表示した後」、「前記可変表示部の変動表示を停止することで表示結果を導出」すること、「該表示結果に応じて入賞が発生可能」であることに、それぞれ相当する。
よって、甲1発明は、本件発明の特定事項Bを備える。
(c) 甲1発明において、「複数段階の設定値」は、「役抽選に用いる当選確率」「を規定するための値である」から、本件発明の「遊技者にとっての有利度の異なる複数段階の設定値」に相当することは明らかである。
また、甲1発明の「複数段階の設定値のうち何れか1つの特定の設定値が選択され」ることは、本件発明の「複数段階の設定値からいずれかの設定値を設定可能」であることに相当する。
以上のことから、甲1発明は、本件発明の「設定手段」に相当する構成を備えているといえる。
よって、甲1発明は、本件発明の特定事項Cを備える。
(d) 甲1発明の「遊技者の操作により回転リール62の図柄61の変動表示を個別に停止させ」「図柄61の組合せ」を「停止」させる「3個のストップスイッチ50」は、本件発明の「表示結果を導出させるために操作される導出操作手段」に相当する。
よって、甲1発明は、本件発明の特定事項Dを備える。
(e) 甲1発明の「遊技者にとって有利なストップスイッチ50の押し順に係る押し順ナビ」は、本件発明の「前記導出操作手段の操作態様に対応する操作情報」に相当する。
してみると、甲1発明の「押し順ナビの表示が許容されない区間である「非有利区間」」、「押し順ナビの表示が許容される「有利区間」」は、本件発明の「非報知区間」、「報知区間」に、それぞれ相当する。
そして、甲1発明の「メイン制御手段200」は、「「非有利区間」に属する「非有利区間通常状態」(非AT遊技)と、」「「有利区間」に属する「有利区間通常状態」とを制御する」「通常状態制御手段261」、「有利区間に属する「CZ(チャンスゾーン)状態」を制御する」「CZ状態制御手段262」、「有利区間に属する「ART準備中状態」及び「ART状態」(AT遊技)を制御する」「AT状態制御手段263及び」「有利区間に属する「エンディング状態」を制御する」「エンディング状態制御手段264を有」する「演出状態制御手段260」を有し、また、「非有利区間において有利区間」「へ移行するか否かの有利区間移行抽選と、有利区間通常状態からCZ状態へ移行するか否かのCZ移行抽選と、CZ状態においてART状態、具体的には、ART準備中状態へ移行するか否かのAT抽選とを行」う「移行抽選手段270」を有し、「有利区間を継続するか否か」を「決定」する「継続判定手段294」を有することから、本件発明の「非報知区間と、」「報知区間とのいずれかに制御する区間制御手段」の機能を備える。
よって、甲1発明は、本件発明の特定事項Eを備える。
(f) 甲1発明の「「有利区間」に属し、「非有利区間通常状態」、「有利区間通常状態」、「CZ状態」、「ART準備中状態」及び「エンディング状態」よりも遊技者にとって有利な状態であ」る「ART状態」は、本件発明の「遊技者にとって有利な有利状態」に相当する。
そして、甲1発明の「ART状態は、ART状態のゲーム数の上限、具体的には、バトル演出のゲーム数(以下、「バトルゲーム数」とする)の上限が設定され(50ゲーム)、当該バトルゲーム数を消化するまでに、遊技者のキャラクタが敵モンスターを討伐できなかった場合には、バトル演出の敗北となり、そして、バトル演出に敗北したことに基づいて、ART状態においては、継続判定手段294により行われる継続判定の結果に応じて有利区間を継続するか否かが決定され、」「バトル演出に敗北した時点におけるエンディング状態開始カウンタの値が800未満である場合、継続判定手段294による継続判定では、有利区間の非継続が決定され、有利区間であるART状態から非有利区間である非有利区間通常状態へと移行する」ものである。
ここで、甲1発明において、「設定され」た「ART状態のゲーム数の上限」「を消化するまでに、遊技者のキャラクタが敵モンスターを討伐できなかった場合には、バトル演出の敗北とな」ることから、「バトル演出に敗北した時点」は、「ART状態」の終了時点といえる。
そうすると、甲1発明の「バトル演出に敗北した時点」、すなわち「ART状態」の終了時点「におけるエンディング状態開始カウンタの値が800未満である場合、継続判定手段294による継続判定では、有利区間の非継続が決定され、有利区間であるART状態から非有利区間である非有利区間通常状態へと移行する」ことは、本件発明の「前記報知区間において、遊技者にとって有利な有利状態への制御が終了したときに、当該報知区間への制御を終了する終了制御を行うことが可能であ」ることに相当する。
よって、甲1発明は、本件発明の特定事項Fを備える。
(g) 上記(f)より、甲1発明において、「バトル演出に敗北した時点」は、「ART状態」の終了時点である。
そうすると、甲1発明の「バトル演出に敗北した時点」、すなわち「ART状態」の終了時点「におけるエンディング状態開始カウンタの値が800以上である場合、継続判定手段294による継続判定では、有利区間の継続が決定され」、「ART状態から「有利区間通常状態」又は「CZ状態」に移行」することは、本件発明の「前記報知区間において、前記有利状態への制御が終了したときに、当該報知区間への制御を継続する継続制御を行うことが可能であ」ることに相当する。
よって、甲1発明は、本件発明の特定事項Gを備える。
(h) 甲1発明において、「有利区間の非継続が決定され」ると、「有利区間であるART状態から非有利区間である非有利区間通常状態へと移行する」のであるから、その後、「「非有利区間」から「有利区間」に移行した場合に最初に滞在する」状態は「有利区間通常状態」となる。
そして、甲1発明は、「有利区間通常状態」において「所定ゲーム数を消化したことに基づいて有利区間通常状態からCZ状態へ移行」するものであり、「有利区間通常状態」から「ART状態(本件発明の「有利状態」に相当。)」に直接移行することはないものである。
してみると、甲1発明において、「有利区間通常状態」に移行してから「所定ゲーム数を消化」して「CZ状態へ移行」するまでの期間は、「ART状態」に制御される割合は0といえる。
そして、甲1発明は、「有利区間通常状態」に移行してから「所定ゲーム数を消化したことに基づいて有利区間通常状態からCZ状態へ移行し」た後、「ART準備中状態」を経て「ART状態」に移行可能なものであるから、「所定ゲーム数を消化した」あとの期間は、「ART状態」に制御される割合は0より大きい所定の割合といえる。
そうすると、甲1発明は、「有利区間通常状態」に移行(本件発明の「前記終了制御によって前記報知区間への制御が終了した後、前記報知区間に再度制御され」た状態に相当。)してから「所定ゲーム数(本件発明の「特定ゲーム数」に相当。)を消化」するまでの期間は、「所定ゲーム数を消化した」あとの期間(本件発明の「当該期間が経過した後の期間」に相当。)よりも「ART状態(本件発明の「前記有利状態」に相当。)に制御される割合が低」いという構成を備えるものであり、このことは、本件発明の特定事項Hに相当する。
よって、甲1発明は、本件発明の特定事項Hを備える。
(i)ア 上記(c)を踏まえると、甲1発明は、本件発明の「少なくとも前記設定手段により一の設定値が設定されている」という構成を備えていることは明らかである。
イ 上記(h)より、甲1発明の「所定ゲーム数」は、本件発明の「前記特定ゲーム数」に相当する。
そうすると、甲1発明の「所定ゲーム数を消化した」時点は、本件発明の「前記特定ゲーム数を消化した特定タイミング」に相当する。
ウ 上記(h)より、甲1発明において、「有利区間通常状態」に移行してから「所定ゲーム数を消化」して「CZ状態へ移行」するまでの期間は、「ART状態」に制御される割合は0といえる。
そして、甲1発明は、「非有利区間通常状態」において「有利区間移行抽選に当選したことに基づいて」「有利区間通常状態」へ移行するものであるから、「非有利区間通常状態」において、「ART状態」に制御される割合は0であるといえる。
してみると、甲1発明において、「非有利区間通常状態」及び「有利区間通常状態」に滞在する期間は「ART状態」に制御される割合は0である。
エ 上記(g)を踏まえると、甲1発明の「有利区間の継続が決定され」、「ART状態から「有利区間通常状態」又は「CZ状態」に移行」すること」は、本件発明の「前記継続制御が行われ」ることに相当する。
ここで、甲1発明は「有利区間通常状態では、所定ゲーム数を消化したことに基づいて有利区間通常状態からCZ状態へ移行」するものであるから、「「有利区間通常状態」又は「CZ状態」に移行」してから「所定ゲーム数を消化した」時点(本件発明の「特定タイミング」に相当。)においては、少なくとも「CZ状態」に滞在するものであり、「ART準備中状態」や「ART状態」に移行している可能性もある。
そして、上記ウを踏まえると、甲1発明において、「有利区間の継続が決定され」、「ART状態から「有利区間通常状態」又は「CZ状態」に移行」してから「所定ゲーム数を消化した」時点(本件発明の「特定タイミング」に相当。)からの所定の期間は、「ART状態」に制御される割合が0である「非有利区間通常状態」及び「有利区間通常状態」に滞在する期間を含まないものといえる。
オ 上記(f)を踏まえると、甲1発明の「有利区間の非継続が決定され、有利区間であるART状態から非有利区間である非有利区間通常状態へと移行する」ことは、本件発明の「前記終了制御によって前記報知区間への制御が終了」することに相当する。
ここで、甲1発明は「非有利区間通常状態」において「有利区間移行抽選に当選したことに基づいて」「有利区間通常状態」に「移行し、」「有利区間通常状態」に移行してから「所定ゲーム数を消化したことに基づいて有利区間通常状態からCZ状態へ移行」するのであるから、「非有利区間通常状態へと移行」してから「所定ゲーム数を消化した」時点(本件発明の「特定タイミング」に相当。)においては、「非有利区間通常状態」または「有利区間通常状態」のいずれかに滞在することとなる。
そして、上記ウを踏まえると、甲1発明において、「有利区間の非継続が決定され、有利区間であるART状態から非有利区間である非有利区間通常状態へと移行」してから「所定ゲーム数を消化した」時点(本件発明の「前記終了制御によって前記報知区間への制御が終了した後、前記特定ゲーム数を消化した特定タイミング」に相当。下線は合議体が付与。)からの所定の期間は、「ART状態」に制御される割合が0である「非有利区間通常状態」及び「有利区間通常状態」に滞在する期間を含むといえる。
カ 上記エ及びオより、甲1発明においては、「有利区間の継続が決定され」てから「所定ゲーム数を消化した」時点からの所定の期間は、「ART状態」に制御される割合が0である「非有利区間通常状態」及び「有利区間通常状態」に滞在する期間を含まないものである一方、「有利区間の非継続が決定され」てから「所定ゲーム数を消化した」時点からの所定の期間は、「ART状態」に制御される割合が0である「非有利区間通常状態」及び「有利区間通常状態」に滞在する期間を含むものである。
所定の期間における「ART状態」に制御される割合は、「ART状態」に制御される割合が0である期間を含まない場合(有利区間の継続が決定された場合)は、「ART状態」に制御される割合が0である期間を含む場合(有利区間の非継続、すなわち終了が決定された場合)よりも高いといえるから、甲1発明は、本件発明の「前記継続制御が行われてから前記特定ゲーム数を消化した特定タイミングからの特定期間において前記有利状態に制御される割合は、前記終了制御によって前記報知区間への制御が終了した後、前記特定ゲーム数を消化した特定タイミングからの特定期間において前記有利状態に制御される割合よりも高」いという構成を備えるものである。
キ 以上のことから、甲1発明は、本件発明の特定事項Iを備える。
(j) 上記(e)、(f)より、甲1発明の「有利区間」、「ART状態」は、本件発明の「報知区間」、「有利状態」に、それぞれ相当する。
甲1発明は、「「有利区間」に属」する「ART準備中状態」において、「当選役グループとしてのRT3RP1からRT3RP3に当選し、正解の押し順でストップスイッチ50が停止操作されると遊技状態が「RT3」となり、ART状態へと移行」するものであるところ、このことは、本件発明の「前記報知区間において、少なくとも通常決定と特別決定のいずれかが行われたことにより前記有利状態へ制御され」ることと、「前記報知区間において、少なくとも」2種類の「決定のいずれかが行われたことにより前記有利状態へ制御され」ることがある点で共通する。
(l) 上記(h)より、甲1発明の「所定ゲーム数」は、本件発明の「特定ゲーム数」に、甲1発明の「有利区間通常状態」に移行した状態は、本件発明の「前記終了制御によって前記報知区間への制御が終了した後、前記報知区間に再度制御され」た状態に、それぞれ相当する。
してみると、甲1発明は、本件発明の特定事項Lと、「前記終了制御によって前記報知区間への制御が終了した後、前記報知区間に再度制御されてから前記特定ゲームを消化するまでの期間」を備える点で共通する。
(m) 上記(h)より、甲1発明の「所定ゲーム数」は、本件発明の「特定ゲーム数」に相当する。
そうすると、甲1発明は、本件発明の特定事項Mと、「前記特定ゲーム数を消化した後の期間」を備える点で共通する。
(n) 甲1発明の「スロットマシン」は、本件発明の「スロットマシン」に相当する。
よって、甲1発明は、本件発明の特定事項Nを備える。
上記(a)~(n)からみて、本件発明と甲1発明とは、
「A 各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示部を備え、
B 前記可変表示部を変動表示した後、前記可変表示部の変動表示を停止することで表示結果を導出し、該表示結果に応じて入賞が発生可能なスロットマシンにおいて、
C 遊技者にとっての有利度の異なる複数段階の設定値からいずれかの設定値を設定可能な設定手段と、
D 表示結果を導出させるために操作される導出操作手段と、
E 前記導出操作手段の操作態様に対応する操作情報を報知不可能な非報知区間と、前記操作情報を報知可能な報知区間とのいずれかに制御する区間制御手段と、を備え、
F 前記区間制御手段は、
前記報知区間において、遊技者にとって有利な有利状態への制御が終了したときに、当該報知区間への制御を終了する終了制御を行うことが可能であり、
G 前記報知区間において、前記有利状態への制御が終了したときに、当該報知区間への制御を継続する継続制御を行うことが可能であり、
H 前記終了制御によって前記報知区間への制御が終了した後、前記報知区間に再度制御されてから特定ゲーム数を消化するまでの期間は、当該期間が経過した後の期間よりも前記有利状態に制御される割合が低く、
I 少なくとも前記設定手段により一の設定値が設定されているときにおいて、前記継続制御が行われてから前記特定ゲーム数を消化した特定タイミングからの特定期間において前記有利状態に制御される割合は、前記終了制御によって前記報知区間への制御が終了した後、前記特定ゲーム数を消化した特定タイミングからの特定期間において前記有利状態に制御される割合よりも高く、
J’前記報知区間において、少なくとも2種類の決定のいずれかが行われたことにより前記有利状態へ制御されることがあり、
L’前記終了制御によって前記報知区間への制御が終了した後、前記報知区間に再度制御されてから前記特定ゲームを消化するまでの期間と、
M’ 前記特定ゲーム数を消化した後の期間を備える、
N スロットマシン。」の点で一致し、以下の点で相違する。
[相違点](特定事項J、K、L、M)
終了制御によって報知区間への制御が終了した後、報知区間に再度制御されてから、有利状態へ制御するために行われる決定について、
本件発明は、「前記報知区間において、少なくとも通常決定と特別決定のいずれかが行われたことにより前記有利状態へ制御され、
前記特別決定が行われたことにより前記有利状態に制御されたときに遊技者が獲得可能な遊技価値の量の期待値は、前記通常決定が行われたことにより前記有利状態に制御されたときに遊技者が獲得可能な遊技価値の量の期待値よりも大きく、
前記終了制御によって前記報知区間への制御が終了した後、前記報知区間に再度制御されてから前記特定ゲームを消化するまでの期間においては、前記通常決定と前記特別決定のうち前記特別決定のみ行われ得、
前記特定ゲーム数を消化した後の期間においては、前記通常決定と前記特別決定のいずれも行われ得る」のに対し、
甲1発明は、非有利区間から有利区間に再度制御されてから、「有利区間通常状態」、「CZ状態」、「ART準備中状態」を経て、当該ART準備中状態において、当選役グループとしてのRT3RP1からRT3RP3に当選し、正解の押し順でストップスイッチ50が停止操作されると遊技状態が「RT3」となり、ART状態へと移行するものである点。
3 判断
(1) 新規性について
上記相違点は、甲1に記載されておらず、また本件出願時において周知であるともいえないから、上記相違点は実質的な相違点であり、本件発明は、甲1発明ではない。
(2) 進歩性について
ア 本件発明の特定事項J、Kについて
甲2記載事項の「押し順が報知されない」「通常遊技状態」は、本件発明の特定事項Eの「前記導出操作手段の操作態様に対応する操作情報を報知不可能な非報知区間」に相当し、甲2記載事項の「AT遊技状態」である「擬似ボーナス遊技状態」、「押し順リプレイが当選したときに副制御部による報知処理によって当該リプレイの押し順が報知され」る「擬似ボーナス移行準備期間」、「AT遊技状態」である「第2有利遊技状態12C」、「AT遊技が」「実行可能になっている」「第3有利遊技」が実行される「第3有利遊技状態12D」は、いずれも本件発明の特定事項Eの「前記操作情報を報知可能な報知区間」に相当する。
そして、甲2記載事項の「擬似ボーナス遊技状態」は「AT役の成立が容易になって遊技媒体の獲得率が向上する特定遊技状態」であるから、本件発明の「有利状態」に相当する。
また、甲2記載事項においては、「第2有利遊技状態中(本件発明の「報知区間」に相当。)における擬似ボーナス抽選に当選したときに」「擬似RB遊技状態12B1、擬似BB遊技状態12B2又は擬似SBB遊技状態12B3のいずれかの擬似ボーナス遊技状態が付与可能になって」おり、「擬似RB遊技、擬似BB遊技」「の有効遊技期間は夫々、8ゲーム、30ゲーム」「に固定されており」、有効遊技期間が長い方が遊技者が獲得可能な遊技価値の量の期待値が大きいことは明らかであることからみて、甲2記載事項の「擬似ボーナス遊技状態」、「擬似RB遊技状態12B1」「が付与」されること、及び「擬似BB遊技状態12B2」「が付与」されることは、本件発明の「通常決定」及び「特別決定」に、それぞれ相当する。
以上のことから、甲2記載事項は、本件発明の特定事項J、Kを備えているといえる。
イ 本件発明の特定事項L、Mについて
甲2記載事項の、「擬似ボーナス遊技状態12B中に」「第2有利遊技移行抽選に当選することなく擬似ボーナス遊技が終了したとき擬似ボーナス遊技状態12Bから通常遊技状態12Aに移行する」こと、及び「第2有利遊技状態12C中に」「擬似ボーナス抽選に当選することなく第2有利遊技が終了したとき第2有利遊技状態12Cから通常遊技状態12Aに移行する」ことは、いずれも本件発明の特定事項Fの「前記報知区間において、遊技者にとって有利な有利状態への制御が終了したときに、当該報知区間への制御を終了する終了制御を行うこと」に相当する。
してみると、甲2記載事項において、「擬似ボーナス遊技状態12B中に」「第2有利遊技移行抽選に当選することなく擬似ボーナス遊技が終了したとき擬似ボーナス遊技状態12Bから通常遊技状態12Aに移行する」こと、及び「第2有利遊技状態12C中に」「擬似ボーナス抽選に当選することなく第2有利遊技が終了したとき第2有利遊技状態12Cから通常遊技状態12Aに移行」し、その後、「通常遊技状態12A中に第2有利遊技移行役に当選することにより第2有利遊技状態12Cに移行」すること(以下「報知区間から通常遊技状態12Aに移行し、その後、第2有利遊技状態12Cに移行」することという。)は、本件発明の特定事項Lの「前記終了制御によって前記報知区間への制御が終了した後、前記報知区間に再度制御され」ることに相当する。
ここで、甲2記載事項の「第2有利遊技状態」の「遊技区間a、b、cは夫々、最初のゲームから7ゲーム目までの7Gの区間、8ゲーム目から26ゲーム目までの19Gの区間、27ゲーム目から最終ゲーム目までの4Gの区間であり」、「第2有利遊技状態中の擬似ボーナス抽選の当選期待値は、遊技区間aより遊技区間b及び遊技区間cの方が大き」いことから、甲2記載事項において、「報知区間から通常遊技状態12Aに移行し、その後、第2有利遊技状態12Cに移行」してからの遊技区間aは、遊技区間bや遊技区間cよりも擬似ボーナス抽選の当選期待値は低いものであるところ、このことは、本件発明の特定事項Hの「前記終了制御によって前記報知区間への制御が終了した後、前記報知区間に再度制御されてから特定ゲーム数を消化するまでの期間は、当該期間が経過した後の期間よりも前記有利状態に制御される割合が低」いことに相当し、甲2記載事項の「遊技区間a」は、本件発明の「特定ゲーム数を消化するまでの期間」に相当する。
そして、甲2記載事項は、「報知区間から通常遊技状態12Aに移行し、その後、第2有利遊技状態12Cに移行」し、その「第2有利遊技状態において擬似ボーナス抽選に当選したときの遊技区間a(本件発明の「前記特定ゲーム数を消化するまでの期間」に相当。)」「における擬似BB(上記アより本件発明の「特別決定」に相当。)の振分率は30%」「であり、擬似RB(上記アより本件発明の「通常決定」に相当。)の振分率は0%」であるところ、このことは、本件発明の特定事項Lの「前記終了制御によって前記報知区間への制御が終了した後、前記報知区間に再度制御されてから前記特定ゲームを消化するまでの期間においては、前記通常決定と前記特別決定のうち前記特別決定のみ行われ得」ることに相当する。
さらに、甲2記載事項の「遊技区間b」及び「遊技区間c」は、本件発明の「前記特定ゲーム数を消化した後の期間」に相当するから、甲2記載事項の「第2有利遊技状態において擬似ボーナス抽選に当選したときの」「遊技区間b、遊技区間cにおける擬似BBの振分率は」「45%、15%であり、擬似RBの振分率は」「45%、80%であ」ることは、本件発明の特定事項Mの「前記特定ゲーム数を消化した後の期間においては、前記通常決定と前記特別決定のいずれも行われ得る」ことに相当する。
以上のことから、甲2記載事項は、本件発明の特定事項L、Mを備えているといえる。
ウ 甲1発明への適用について
(ア) 甲1発明、甲2記載事項における、終了制御によって報知区間への制御が終了した後、報知区間に再度制御されてから、有利状態へ制御するための区間の構成と、特定ゲーム数の役割について検討する。
甲1発明は、非有利区間から有利区間(本件発明の「報知区間」に相当。)に再度制御されてから、「有利区間通常状態」、「CZ状態」、「ART準備中状態」と複数の状態を経て「ART状態(本件発明の「有利状態」に相当。)」となるものである。
そして、甲1発明は、「有利区間」に属する「有利区間通常状態」において、「所定ゲーム数(本件発明の「特定ゲーム数」に相当。)」を消化したことに基づいて」「CZ状態へ移行し」、その後、「ART準備中状態」を経て「ART状態」に制御されるものであるところ、甲1発明における「所定ゲーム数(「特定ゲーム数」)」は、「CZ状態へ移行」する条件であり、「所定ゲーム数(「特定ゲーム数」)」を消化するまでの期間において「ART状態(「有利状態」)に制御されることはない。
他方、甲2記載事項は、「報知区間から通常遊技状態12Aに移行し、その後、第2有利遊技状態12Cに移行(本件発明の「前記終了制御によって前記報知区間への制御が終了した後、前記報知区間に再度制御され」ることに相当。)してからの「遊技区間a(本件発明の「特定ゲーム数を消化するまでの期間」に相当。)」において、「擬似ボーナス抽選に当選したときに」「擬似ボーナス遊技状態(本件発明の「有利状態」に相当。)」が付与されるものであり、「第2有利遊技状態12Cに移行」した後、他の状態を経ることなく、直接的に「擬似ボーナス遊技状態」となるものである。
そして、甲2記載事項は、「遊技区間a」においても、「遊技区間a」とは「擬似ボーナス抽選の当選期待値」が異なる、「遊技区間a」以降の「遊技区間b」及び「遊技区間c」においても、いずれの期間においても「擬似ボーナス抽選に当選したときに」「擬似ボーナス遊技状態」が付与されるものであるところ、「遊技区間a(「特定ゲーム数を消化するまでの期間」)」において「擬似ボーナス遊技状態(「有利状態」)」に制御されることがあるといえる。
以上のことから、甲1発明と甲2記載事項は、終了制御によって報知区間への制御が終了した後、報知区間に再度制御されてから、有利状態へ制御するために遷移する区間の構成が異なるものであり、さらに、特定ゲーム数の役割も異なるものであるから、甲1発明に甲2記載事項を適用する前提となる条件を欠くものである。
したがって、甲2記載事項は、上記相違点に係る本件発明の特定事項J、K、L、Mを備えているが、甲1発明に適用することはできないものである。
(イ) 加えて、甲1発明の「ART準備中状態」及び「ART状態」は、「メイン制御手段200」の「演出状態制御手段260」が有する「AT状態制御手段263」により制御されるものであるのに対し、甲2記載事項の「第2有利遊技状態12C(本件発明の「報知区間」に相当。)」及び「擬似ボーナス遊技状態12B(本件発明の「報知区間」及び「有利状態」に相当。)」は、「サブ処理により発生する遊技状態」であり「副制御部のサブ処理」により制御されるものである。
そして、甲1発明は、「遊技を進行させて遊技を制御するメイン制御手段200と、このメイン制御手段200からの情報(コマンド)を受けて、遊技の進行に応じた演出を制御し、主に遊技内容に関する情報を遊技者に報知する演出を行うサブ制御手段500とを備え」るものであり、甲2記載事項は、「役抽選、リール駆動制御、回胴演出(フリーズ演出)の実行可否の決定等を実行処理する主制御部を構成する主制御基板100と」、「各種演出報知制御、擬似ボーナス遊技付与決定処理、AT遊技中のAT役の停止操作順序報知等を実行処理する副制御部を構成し、副制御基板200は主制御基板100からの制御コマンドを一方向に受信可能に主制御基板100と接続されている副制御基板200とを有」するものであるところ、甲1発明においても、甲2記載事項においても、主制御手段(甲1発明の「メイン制御手段200」、甲2記載事項の「主制御部」に相当。)と、副制御手段(甲1発明の「サブ制御手段500」、甲2記載事項の「副制御部」に相当。)は、明確に役割分担されるものであり、いずれも副制御手段は主制御手段からのコマンドを受けて制御動作を行うものである。
してみると、甲1発明の「AT状態制御手段263(主制御手段)」により制御される「ART準備中状態」から「ART状態」への移行に関わる決定として、甲2記載事項の「副制御部(副制御手段)」のサブ処理によって行われる「擬似RB遊技状態12B1」「が付与」されること、及び「擬似BB遊技状態12B2」「が付与」されることを適用することは、それぞれの制御の主体が異なるものであるから、その適用の前提となる条件を欠くものであるといえる。
したがって、甲2記載事項は、上記相違点に係る本件発明の特定事項J、K、L、Mを備えているが、この点からも、甲1発明に適用することはできないものである。
また、甲1発明の「サブ制御手段500」による制御に、甲2記載事項の「副制御部(副制御手段)」のサブ処理によって行われる「擬似RB遊技状態12B1」「が付与」されること、及び「擬似BB遊技状態12B2」「が付与」されることを付加しても、上記相違点に係る本件発明の構成とはならないことは明らかである。
エ まとめ
以上のことから、本件発明は、甲1発明及び甲2記載事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
(3) 申立人の主張について
申立人は、令和6年2月9日提出の意見書において、「さらに、両者を組み合わせても、当業者が予測できないような顕著な効果を奏するものでもないし、両者を組み合わせることを妨げる阻害要因も見いだせない。」(第16頁第18~20行)と述べている。
しかしながら、上記(2)ウで説示したとおりであるから上記主張は採用できない。
第6 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知書に記載した取消理由及び特許異議の申立ての理由によっては、請求項1に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に請求項1に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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2023-700654