特許異議申立
2023-701367
スロットマシン
- 審判番号
- 2023-701367
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2019-128216
- 登録番号
- 7321806
- 請求日
- 2023年12月25日
- 審決日
- 2024年09月02日
- 公報発行日
- 2025年01月31日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】株式会社三共
- 【権利者代理人】重信 和男
- 【権利者代理人】石川 好文
- 【権利者代理人】林 修身
- 【権利者代理人】大久保 岳彦
- 【異議申立人】日本電動式遊技機特許 株式会社
- 【異議申立人代理人】弁理士法人平木国際特許事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 藤田 年彦
- 審判官 眞壁 隆一
- 審判官 澤田 真治
- 分類
- P1651.113-YAA(A63F) / P1651.121-YAA(A63F) / P1651.851-YAA(A63F) / P1651.853-YAA(A63F)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第120条の5第2項、特許法第120条の5第9項、特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項、特許法第120条の5第2項第1号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7321806号発明「スロットマシン」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7321806号の明細書及び特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書及び訂正特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。
特許第7321806号の請求項1に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7321806号(以下「本件特許」という。)は、令和1年7月10日に出願されたものであって(特願2019-128216)、令和5年7月28日に特許権の設定登録がなされ、同年8月7日にその特許掲載公報が発行された。
その後、令和5年12月25日に、特許異議申立人である日本電動式遊技機特許株式会社(以下「申立人」という。)により特許異議の申立てがされ、令和6年4月17日付けで取消理由が通知され、特許権者からその指定期間内である同年6月14日に意見書の提出及び訂正の請求がされ、その後、合議体は、同年6月25日付けの通知書において、申立人に期間を指定して意見書を提出する機会を与えたが、その指定期間内に申立人からは何らの応答もなかった。
第2 訂正の適否についての判断
1 訂正の内容
令和6年6月14日になされた訂正の請求(以下「本件訂正請求」という。)の趣旨は、本件特許の明細書、特許請求の範囲を、本件訂正請求書に添付した訂正明細書、訂正特許請求の範囲のとおり訂正することを求める、というものである。
請求人が求めている訂正(以下「本件訂正」という。)の内容は、以下のとおりである。なお、下線は訂正箇所を示す。
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1の「表示結果を導出させるために操作される導出操作手段と、」の後に
「前記導出操作手段の操作態様に対応する操作情報を報知不可能な非報知区間と、前記操作情報を報知可能な報知区間とのいずれかに制御する区間制御手段と、」を加える。
(2)訂正事項2
上記訂正事項1の「前記導出操作手段の操作態様に対応する操作情報を報知不可能な非報知区間と、前記操作情報を報知可能な報知区間とのいずれかに制御する区間制御手段と、」の後に
「前記報知区間中において点灯可能な特定発光手段と、」を加える。
(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項1の「前記スロットマシンへの電源が供給された後、演出を実行するための準備制御を行う準備制御手段と、を備え、」の後に
「前記非報知区間において移行条件が成立したときに、当該非報知区間から前記報知区間に切り替わり、」を加える。
(4)訂正事項4
上記訂正事項3の「前記非報知区間において移行条件が成立したときに、当該非報知区間から前記報知区間に切り替わり、」の後に
「前記報知区間において遊技者にとって有利な有利状態が終了したときに、当該報知区間から前記非報知区間に切り替わる第1状況と、当該報知区間が継続される第2状況とがあり、」を加える。
(5)訂正事項5
上記訂正事項4の「前記報知区間において遊技者にとって有利な有利状態が終了したときに、当該報知区間から前記非報知区間に切り替わる第1状況と、当該報知区間が継続される第2状況とがあり、」の後に
「前記第1状況となった場合は、前記第2状況となった場合よりも前記有利状態への制御に関する有利度が高く、」を加える。
(6)訂正事項6
上記訂正事項5の「前記第1状況となった場合は、前記第2状況となった場合よりも前記有利状態への制御に関する有利度が高く、」の後に
「前記報知区間から前記非報知区間に切り替わってから少なくとも特定期間においては、前記報知区間中である場合も前記非報知区間中である場合も、前記特定発光手段の点灯が制限され、」を加える。
(7)訂正事項7
上記訂正事項6の「前記報知区間から前記非報知区間に切り替わってから少なくとも特定期間においては、前記報知区間中である場合も前記非報知区間中である場合も、前記特定発光手段の点灯が制限され、」の後に
「前記第1状況となった場合および前記第2状況となった場合のいずれにおいても、前記操作情報が報知されず、」を加える。
(8)訂正事項8
上記訂正事項7の「前記第1状況となった場合および前記第2状況となった場合のいずれにおいても、前記操作情報が報知されず、」の後に
「遊技において第1決定がされたときに、前記移行条件が成立し、」を加える。
(9)訂正事項9
上記訂正事項8の「遊技において第1決定がされたときに、前記移行条件が成立し、」の後に
「遊技において第2決定がされたときは、前記移行条件が成立せず、」を加える。
(10)訂正事項10
上記訂正事項9の「遊技において第2決定がされたときは、前記移行条件が成立せず、」の後に
「前記特定発光手段の点灯が制限されておらず、かつ、前記第1決定がされたときに前記特定発光手段を点灯可能であり、」を加える。
(11)訂正事項11
願書に添付した明細書の【0008】に
「各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示部を備え、
前記可変表示部を変動表示した後、前記可変表示部の変動表示を停止することで表示結果を導出し、該表示結果に応じて入賞が発生可能なスロットマシン(たとえば、スロットマシン1)において、
表示結果を導出させるために操作される導出操作手段(たとえば、ストップスイッチ8L,8C,8R)と、
変動開始条件(たとえば、開始操作)が成立したときに、前記可変表示部の変動表示を開始させる変動表示開始手段(たとえば、メイン制御部41によるリールの回転を開始させる処理)と、
前記変動開始条件の成立以降において計時開始条件(たとえば、開始操作)が成立してからの経過時間を計時する計時手段(たとえば、サブ制御部91による計時処理)と、
前記導出操作手段の有効な操作を受け付ける操作受付手段(たとえば、メイン制御部41による停止操作受付処理)と、
前記導出操作手段の操作を促す促進報知(たとえば、停止促進報知演出)を行う促進報知手段(たとえば、サブ制御部91による停止促進報知演出を実行する処理)と、
前記スロットマシンへの電源が供給された後、演出を実行するための準備制御を行う準備制御手段と、を備え、
前記操作受付手段は、前記可変表示部が正常に変動表示しているときに前記導出操作手段の操作を有効に受け付ける一方で、前記可変表示部が正常に変動表示していないときに前記導出操作手段の操作を有効に受け付けず(たとえば、図19(a))、
前記計時手段は、
前記可変表示部が正常に変動表示しているか否かに関わらず、前記経過時間を計時し(たとえば、図19(a))、
前記準備制御の実行中において前記可変表示部の変動表示が開始した後、前記導出操作手段の操作が有効に受け付けられることがなく当該準備制御の終了に関連したタイミングに達したときに、当該タイミングで前記計時開始条件が成立して前記経過時間の計時を開始し、
前記促進報知手段は、
前記操作受付手段によって前記導出操作手段の操作が有効に受け付けられることなく前記計時手段によって計時された前記経過時間が所定時間(たとえば、3分)になったときに、前記促進報知を行い(たとえば、図19(a))、
前記促進報知を開始した後、少なくとも前記導出操作手段の操作が有効に受け付けられるまで、当該促進報知を継続する(たとえば、図18(a))。」とあるのを、
「各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示部を備え、
前記可変表示部を変動表示した後、前記可変表示部の変動表示を停止することで表示結果を導出し、該表示結果に応じて入賞が発生可能なスロットマシン(たとえば、スロットマシン1)において、
表示結果を導出させるために操作される導出操作手段(たとえば、ストップスイッチ8L,8C,8R)と、
前記導出操作手段の操作態様に対応する操作情報を報知不可能な非報知区間と、前記操作情報を報知可能な報知区間とのいずれかに制御する区間制御手段と、
前記報知区間中において点灯可能な特定発光手段と、
変動開始条件(たとえば、開始操作)が成立したときに、前記可変表示部の変動表示を開始させる変動表示開始手段(たとえば、メイン制御部41によるリールの回転を開始させる処理)と、
前記変動開始条件の成立以降において計時開始条件(たとえば、開始操作)が成立してからの経過時間を計時する計時手段(たとえば、サブ制御部91による計時処理)と、
前記導出操作手段の有効な操作を受け付ける操作受付手段(たとえば、メイン制御部41による停止操作受付処理)と、
前記導出操作手段の操作を促す促進報知(たとえば、停止促進報知演出)を行う促進報知手段(たとえば、サブ制御部91による停止促進報知演出を実行する処理)と、
前記スロットマシンへの電源が供給された後、演出を実行するための準備制御を行う準備制御手段と、を備え、
前記非報知区間において移行条件が成立したときに、当該非報知区間から前記報知区間に切り替わり、
前記報知区間において遊技者にとって有利な有利状態が終了したときに、当該報知区間から前記非報知区間に切り替わる第1状況と、当該報知区間が継続される第2状況とがあり、
前記第1状況となった場合は、前記第2状況となった場合よりも前記有利状態への制御に関する有利度が高く、
前記報知区間から前記非報知区間に切り替わってから少なくとも特定期間においては、前記報知区間中である場合も前記非報知区間中である場合も、前記特定発光手段の点灯が制限され、
前記第1状況となった場合および前記第2状況となった場合のいずれにおいても、前記操作情報が報知されず、
遊技において第1決定がされたときに、前記移行条件が成立し、
遊技において第2決定がされたときは、前記移行条件が成立せず、
前記特定発光手段の点灯が制限されておらず、かつ、前記第1決定がされたときに前記特定発光手段を点灯可能であり、
前記操作受付手段は、前記可変表示部が正常に変動表示しているときに前記導出操作手段の操作を有効に受け付ける一方で、前記可変表示部が正常に変動表示していないときに前記導出操作手段の操作を有効に受け付けず(たとえば、図19(a))、
前記計時手段は、
前記可変表示部が正常に変動表示しているか否かに関わらず、前記経過時間を計時し(たとえば、図19(a))、
前記準備制御の実行中において前記可変表示部の変動表示が開始した後、前記導出操作手段の操作が有効に受け付けられることがなく当該準備制御の終了に関連したタイミングに達したときに、当該タイミングで前記計時開始条件が成立して前記経過時間の計時を開始し、
前記促進報知手段は、
前記操作受付手段によって前記導出操作手段の操作が有効に受け付けられることなく前記計時手段によって計時された前記経過時間が所定時間(たとえば、3分)になったときに、前記促進報知を行い(たとえば、図19(a))、
前記促進報知を開始した後、少なくとも前記導出操作手段の操作が有効に受け付けられるまで、当該促進報知を継続する(たとえば、図18(a))。」に訂正する。
2 訂正の目的、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
(1)訂正事項1について
ア 訂正の目的
訂正事項1は、訂正前の特許請求の範囲の請求項1に新たに「前記導出操作手段の操作態様に対応する操作情報を報知不可能な非報知区間と、前記操作情報を報知可能な報知区間とのいずれかに制御する区間制御手段と、」なる発明特定事項を加えて「スロットマシン」を限定する訂正である。
したがって、訂正事項1は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
本件特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「明細書等」という。)の【0551】には「前記導出操作手段の操作態様(たとえば、押し順)に対応する操作情報(たとえば、ナビ情報)を報知不可能な非報知区間(たとえば、通常区間)と、前記操作情報を報知可能な報知区間(たとえば、有利区間)とのいずれかに制御する区間制御手段(たとえば、メイン制御部41による状態を制御する処理)と、」と記載され、【0552】には「具体的には、メイン制御部41は、ストップスイッチの押し順に対応するナビ情報を報知不可能な通常区間と、ナビ情報を報知可能な有利区間とのいずれかに制御可能である。」と記載され、【0038】には「内部中における状態には、通常区間および有利区間が含まれる。前述のように、有利区間は、ストップスイッチ8L,8C,8Rの操作態様に対応するナビ情報を報知可能な区間である。これに対して、通常区間は、ストップスイッチ8L,8C,8Rの操作態様に対応するナビ情報を報知不可能な区間である。通常区間においては、有利区間移行抽選で当選(有利区間当選)したときに、有利区間に状態が制御される。」と記載されているから、訂正事項1は、明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであり、明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであるとともに、上記アのとおり、訂正前の特許請求の範囲の請求項1における「スロットマシン」を限定する訂正であるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでないことは明らかである。
よって、訂正事項1は、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
(2)訂正事項2について
ア 訂正の目的
訂正事項2は、訂正前の特許請求の範囲の請求項1に新たに「前記報知区間中において点灯可能な特定発光手段と、」なる発明特定事項を加えて「スロットマシン」を限定する訂正である。
したがって、訂正事項2は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
明細書等の【0553】には「前記報知区間に制御されているときに点灯可能であり、前記非報知区間に制御されているときに消灯する発光手段(たとえば、有利区間LED19)、をさらに備え、」と記載され、【0554】には「具体的には、有利区間LED19は、有利区間に制御されているときに点灯可能であり、通常区間に制御されているときに消灯する。」と記載され、【0321】には「本実施の形態においては、有利区間移行演出として、有利区間LED19および液晶表示器51を用いた演出が実行される。有利区間LED19は、有利区間に制御されているときに点灯可能であり、通常区間に制御されているときに消灯する。有利区間移行演出として、消灯している有利区間LED19を点灯させる。」と記載されているから、訂正事項2は、明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであり、明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであるとともに、上記アのとおり、訂正前の特許請求の範囲の請求項1における「スロットマシン」を限定する訂正であるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでないことは明らかである。
よって、訂正事項2は、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
(3)訂正事項3について
ア 訂正の目的
訂正事項3は、訂正前の特許請求の範囲の請求項1に新たに「前記非報知区間において移行条件が成立したときに、当該非報知区間から前記報知区間に切り替わり、」なる発明特定事項を加えて「スロットマシン」を限定する訂正である。
したがって、訂正事項3は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
明細書等の【0551】には「前記非報知区間において移行条件(たとえば、有利区間当選)が成立したときに、当該非報知区間から前記報知区間に切り替わり(たとえば、図3)、」と記載され、【0552】には「また、図3に示すように、通常区間において有利区間当選したときに、通常区間から有利区間に切り替わる。」と記載され、【0038】には「内部中における状態には、通常区間および有利区間が含まれる。前述のように、有利区間は、ストップスイッチ8L,8C,8Rの操作態様に対応するナビ情報を報知可能な区間である。これに対して、通常区間は、ストップスイッチ8L,8C,8Rの操作態様に対応するナビ情報を報知不可能な区間である。通常区間においては、有利区間移行抽選で当選(有利区間当選)したときに、有利区間に状態が制御される。」と記載されているから、訂正事項3は、明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであり、明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであるとともに、上記アのとおり、訂正前の特許請求の範囲の請求項1における「スロットマシン」を限定する訂正であるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでないことは明らかである。
よって、訂正事項3は、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
(4)訂正事項4について
ア 訂正の目的
訂正事項4は、訂正前の特許請求の範囲の請求項1に新たに「前記報知区間において遊技者にとって有利な有利状態が終了したときに、当該報知区間から前記非報知区間に切り替わる第1状況と、当該報知区間が継続される第2状況とがあり、」なる発明特定事項を加えて「スロットマシン」を限定する訂正である。
したがって、訂正事項4は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
明細書等の【0551】には「前記報知区間において遊技者にとって有利な有利状態(たとえば、有利区間AT)が終了したときに、当該報知区間から前記非報知区間に切り替わる第1状況と、当該報知区間が継続される第2状況とがあり(たとえば、図3)、」と記載され、【0552】には「また、有利区間において遊技者にとって有利な有利区間ATが終了したときに、有利区間から通常区間に切り替わる第1状況と、有利区間が継続される第2状況とがある。」と記載され、【0302】には「上述のように、通常区間において有利区間当選したときに、通常区間から有利区間に切り替わる。有利区間において有利区間ATが終了したときの状況としては、第1状況と第2状況とがある。」と記載されており、【0303】には「第1状況は、有利区間において有利区間ATが終了したときに、有利区間から通常区間に切り替わる状況である。第2状況は、有利区間において有利区間ATが終了したときに、有利区間が継続される状況である。」と記載されているから、訂正事項4は、明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであり、明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであるとともに、上記アのとおり、訂正前の特許請求の範囲の請求項1における「スロットマシン」を限定する訂正であるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでないことは明らかである。
よって、訂正事項4は、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
(5)訂正事項5について
ア 訂正の目的
訂正事項5は、訂正前の特許請求の範囲の請求項1に新たに「前記第1状況となった場合は、前記第2状況となった場合よりも前記有利状態への制御に関する有利度が高く、」なる発明特定事項を加えて「スロットマシン」を限定する訂正である。
したがって、訂正事項5は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
明細書等の【0551】には「前記第1状況と前記第2状況とで、遊技者の有利度が異なり(たとえば、図3)、」と記載され、【0552】には「また、第1状況と第2状況とで、遊技者の有利度が異なる。」と記載され、【0052】には「本実施の形態においては、継続制御により有利区間ATへの制御を終了して有利区間通常に制御される場合と、終了制御により有利区間ATへの制御を終了して通常区間通常に制御される場合とで、有利度が異なるように設計されている。たとえば、後述する図10において、継続制御が行われた場合と終了制御が行われた場合とで、AT当選率やAT獲得枚数や2400枚到達率が異なる。なお、継続制御が行われた場合よりも終了制御が行われた場合の方が有利であってもよい。また、終了制御が行われた場合よりも継続制御が行われた場合の方が有利であってもよい。」と記載されているから、訂正事項5は、明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであり、明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであるとともに、上記アのとおり、訂正前の特許請求の範囲の請求項1における「スロットマシン」を限定する訂正であるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでないことは明らかである。
よって、訂正事項5は、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
(6)訂正事項6について
ア 訂正の目的
訂正事項6は、訂正前の特許請求の範囲の請求項1に新たに「前記報知区間から前記非報知区間に切り替わってから少なくとも特定期間においては、前記報知区間中である場合も前記非報知区間中である場合も、前記特定発光手段の点灯が制限され、」なる発明特定事項を加えて「スロットマシン」を限定する訂正である。
したがって、訂正事項6は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
明細書等の【0551】には「前記報知区間から前記非報知区間に切り替わってから少なくとも特定期間(たとえば、通常区間に制御されたゲームから当該ゲームの次のゲームが終了するまでの期間)においては、前記報知区間中であるか否かに関わらず、前記特定示唆の実行が制限される(たとえば、図24(a))。」と記載され、【0552】には「また、図24(a)に示すように、有利区間から通常区間に切り替わってから少なくとも特定期間(通常区間に制御されたゲーム(通常1G目)から当該ゲームの次のゲーム(通常2G目)が終了するまでの期間)においては、有利区間中であるか否かに関わらず、有利区間移行演出の実行が制限される。」と記載され、【0553】には「前記報知区間に制御されているときに点灯可能であり、前記非報知区間に制御されているときに消灯する発光手段(たとえば、有利区間LED19)、をさらに備え、
前記特定示唆手段は、前記特定示唆として、消灯している前記発光手段を点灯させる(たとえば、図24(a))。」と記載され、【0554】には「具体的には、有利区間LED19は、有利区間に制御されているときに点灯可能であり、通常区間に制御されているときに消灯する。図24(a)に示すように、有利区間移行演出として、消灯している有利区間LED19を点灯させる。このようにすることで、有利区間であることを有利区間LED19の点灯態様で遊技者に認識させることができる。」と記載され、【0314】には「本実施の形態においては、有利区間から通常区間に切り替わってから少なくとも特定期間においては、有利区間中であるか否かに関わらず、有利区間移行演出の実行が制限される。たとえば、本実施の形態においては、特定期間は、通常区間に制御された最初のゲームから当該ゲームの次のゲームが終了するまでの期間である。」と記載され、【0315】には「つまり、有利区間から通常区間に切り替わった最初のゲームにおいて有利区間当選し、当該ゲームの次のゲームから有利区間に制御された場合であっても、少なくとも有利区間に制御された最初のゲームが終了するまでの期間においては、有利区間移行演出の実行が制限されることになる。」と記載され、【0321】には「本実施の形態においては、有利区間移行演出として、有利区間LED19および液晶表示器51を用いた演出が実行される。有利区間LED19は、有利区間に制御されているときに点灯可能であり、通常区間に制御されているときに消灯する。有利区間移行演出として、消灯している有利区間LED19を点灯させる。」と記載されているから、訂正事項6は、明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであり、明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであるとともに、上記アのとおり、訂正前の特許請求の範囲の請求項1における「スロットマシン」を限定する訂正であるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでないことは明らかである。
よって、訂正事項6は、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
(7)訂正事項7について
ア 訂正の目的
訂正事項7は、訂正前の特許請求の範囲の請求項1に新たに「前記第1状況となった場合および前記第2状況となった場合のいずれにおいても、前記操作情報が報知されず、」なる発明特定事項を加えて「スロットマシン」を限定する訂正である。
したがって、訂正事項7は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
明細書等の【0038】には「通常区間は、ストップスイッチ8L,8C,8Rの操作態様に対応するナビ情報を報知不可能な区間である。」と記載され、【0039】には「本実施の形態においては、有利区間通常におけるナビの実行確率は0%である」と記載され、【0044】には「有利区間ATが終了した場合、継続制御が行われたときは有利区間通常に制御され、終了制御が行われた場合は通常区間通常に制御される。また、有利区間通常において終了制御が行われた場合は、通常区間通常に制御される。」と記載され、【0302】には「上述のように、通常区間において有利区間当選したときに、通常区間から有利区間に切り替わる。有利区間において有利区間ATが終了したときの状況としては、第1状況と第2状況とがある。」と記載され、【0303】には「第1状況は、有利区間において有利区間ATが終了したときに、有利区間から通常区間に切り替わる状況である。第2状況は、有利区間において有利区間ATが終了したときに、有利区間が継続される状況である。」と記載されているから、訂正事項7は、明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであり、明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであるとともに、上記アのとおり、訂正前の特許請求の範囲の請求項1における「スロットマシン」を限定する訂正であるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでないことは明らかである。
よって、訂正事項7は、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
(8)訂正事項8について
ア 訂正の目的
訂正事項8は、訂正前の特許請求の範囲の請求項1に新たに「遊技において第1決定がされたときに、前記移行条件が成立し、」なる発明特定事項を加えて「スロットマシン」を限定する訂正である。
したがって、訂正事項8は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
明細書等の【0559】には「遊技において第1決定(たとえば、6択ベル当選)がされたときに、前記移行条件が成立し、」と記載され、【0560】には「具体的には、6択ベルが当選したときに、有利区間当選する。」と記載され、【0310】には「本実施の形態においては、遊技において第1決定がされたときに有利区間当選する。また、遊技において第2決定がされたときは有利区間当選しない。第1決定は、たとえば、6択ベル当選である。第2決定は、たとえば、スイカ当選やチェリー当選である。」と記載され、【0311】には「具体的には、メイン制御部41は、有利区間移行抽選において、図5に示した抽選対象役のうち、6択ベル(役番号2~7のいずれか)に当選したときに、有利区間当選する。一方で、スイカ、チェリー、通常リプに当選したとき、あるいはハズレであるときは、有利区間当選しない。」と記載されているから、訂正事項8は、明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであり、明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであるとともに、上記アのとおり、訂正前の特許請求の範囲の請求項1における「スロットマシン」を限定する訂正であるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでないことは明らかである。
よって、訂正事項8は、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
(9)訂正事項9について
ア 訂正の目的
訂正事項9は、訂正前の特許請求の範囲の請求項1に新たに「遊技において第2決定がされたときは、前記移行条件が成立せず、」なる発明特定事項を加えて「スロットマシン」を限定する訂正である。
したがって、訂正事項9は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
明細書等の【0559】には「遊技において第2決定(たとえば、スイカ当選、チェリー当選)がされたときは、前記移行条件が成立せず、」と記載され、【0560】には「また、スイカやチェリーが当選したときは、有利区間当選しない。」と記載され、【0310】には「本実施の形態においては、遊技において第1決定がされたときに有利区間当選する。また、遊技において第2決定がされたときは有利区間当選しない。第1決定は、たとえば、6択ベル当選である。第2決定は、たとえば、スイカ当選やチェリー当選である。」と記載され、【0311】には「具体的には、メイン制御部41は、有利区間移行抽選において、図5に示した抽選対象役のうち、6択ベル(役番号2~7のいずれか)に当選したときに、有利区間当選する。一方で、スイカ、チェリー、通常リプに当選したとき、あるいはハズレであるときは、有利区間当選しない。」と記載されているから、訂正事項9は、明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであり、明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであるとともに、上記アのとおり、訂正前の特許請求の範囲の請求項1における「スロットマシン」を限定する訂正であるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでないことは明らかである。
よって、訂正事項9は、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
(10)訂正事項10について
ア 訂正の目的
訂正事項10は、訂正前の特許請求の範囲の請求項1に新たに「前記特定発光手段の点灯が制限されておらず、かつ、前記第1決定がされたときに前記特定発光手段を点灯可能であり、」なる発明特定事項を加えて「スロットマシン」を限定する訂正である。
したがって、訂正事項10は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
明細書等の【0559】には「遊技において第1決定(たとえば、6択ベル当選)がされたときに、前記移行条件が成立し、
遊技において第2決定(たとえば、スイカ当選、チェリー当選)がされたときは、前記移行条件が成立せず、
前記特定示唆手段は、前記第1決定に基づき前記特定示唆の実行の制限が解除され、当該制限が解除された後に前記特定示唆を行う(たとえば、図25(b))。」と記載され、【0560】には「具体的には、6択ベルが当選したときに、有利区間当選する。また、スイカやチェリーが当選したときは、有利区間当選しない。また、図25(b)に示すように、サブ制御部91は、6択ベルの当選に基づき有利区間移行演出の実行の制限が解除され、当該制限が解除された後に有利区間移行演出を実行する。6択ベルは有利区間移行抽選の対象役である。このため、6択ベルの当選に基づき有利区間移行演出の実行の制限を解除するようにすることで、有利区間中であることを示唆する有利区間移行演出の実行に関して、遊技者に違和感を生じさせないようにすることができる。」と記載され、【0318】には「また、6択ベルの当選に基づき有利区間移行演出の実行の制限が解除され、当該制限が解除された後に有利区間移行演出が実行される。具体的には、有利区間から通常区間に切り替わった最初のゲームの次のゲーム以降において6択ベルが当選した場合、有利区間移行演出の実行の制限が解除される。そして、当該6択ベルが当選したゲームの次のゲームにおいて、有利区間移行演出が実行可能となる。つまり、通常区間に切り替わった最初のゲームの次のゲーム以降において6択ベルが当選しない限りは、有利区間移行演出の実行の制限が解除されない。」と記載され、【0319】には「6択ベルは有利区間移行抽選の対象役である。このため、6択ベルの当選に基づき有利区間移行演出の実行の制限を解除するようにすることで、有利区間中であることを示唆する有利区間移行演出の実行に関して、遊技者に違和感を生じさせないようにすることができる。」と記載され、【0321】には「本実施の形態においては、有利区間移行演出として、有利区間LED19および液晶表示器51を用いた演出が実行される。有利区間LED19は、有利区間に制御されているときに点灯可能であり、通常区間に制御されているときに消灯する。有利区間移行演出として、消灯している有利区間LED19を点灯させる。」と記載されているから、訂正事項10は、明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであり、明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであるとともに、上記アのとおり、訂正前の特許請求の範囲の請求項1における「スロットマシン」を限定する訂正であるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでないことは明らかである。
よって、訂正事項10は、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
(11)訂正事項11について
ア 訂正の目的
訂正事項11は、訂正事項1~訂正事項10に係る訂正により、明細書等の【0008】の記載が特許請求の範囲の請求項1の記載と整合が取れなくなったことを是正するものである。
したがって、訂正事項11は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
イ 新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項11は、上記(1)~(10)で検討した訂正事項1~訂正事項10と同様に、明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであり、明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであるとともに、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでないことは明らかである。
よって、訂正事項11は、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
(12)小括
上記(1)~(11)で検討したとおり、本件訂正請求による訂正事項1~11は、特許法第120条の5第2項第1号及び第3号に掲げる事項を目的とし、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するので、明細書、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正明細書、訂正特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。
第3 本件発明について
1 本件発明
上記第2のとおり、訂正後の特許請求の範囲の請求項1について本件訂正が認められるから、本件特許の請求項1に係る発明は、本件訂正請求により訂正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである(以下、本件特許の請求項1に係る発明を「本件発明」という。また、符号A等は分説のため合議体が付し、符号A等により分説された発明特定事項を、以下「特定事項A」等という。)。
本件発明
「【請求項1】
A 各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示部を備え、
B 前記可変表示部を変動表示した後、前記可変表示部の変動表示を停止することで表示結果を導出し、該表示結果に応じて入賞が発生可能なスロットマシンにおいて、
C 表示結果を導出させるために操作される導出操作手段と、
O 前記導出操作手段の操作態様に対応する操作情報を報知不可能な非報知区間と、前記操作情報を報知可能な報知区間とのいずれかに制御する区間制御手段と、
P 前記報知区間中において点灯可能な特定発光手段と、
D 変動開始条件が成立したときに、前記可変表示部の変動表示を開始させる変動表示開始手段と、
E 前記変動開始条件の成立以降において計時開始条件が成立してからの経過時間を計時する計時手段と、
F 前記導出操作手段の有効な操作を受け付ける操作受付手段と、
G 前記導出操作手段の操作を促す促進報知を行う促進報知手段と、
H 前記スロットマシンへの電源が供給された後、演出を実行するための準備制御を行う準備制御手段と、を備え、
Q 前記非報知区間において移行条件が成立したときに、当該非報知区間から前記報知区間に切り替わり、
R 前記報知区間において遊技者にとって有利な有利状態が終了したときに、当該報知区間から前記非報知区間に切り替わる第1状況と、当該報知区間が継続される第2状況とがあり、
S 前記第1状況となった場合は、前記第2状況となった場合よりも前記有利状態への制御に関する有利度が高く、
T 前記報知区間から前記非報知区間に切り替わってから少なくとも特定期間においては、前記報知区間中である場合も前記非報知区間中である場合も、前記特定発光手段の点灯が制限され、
U 前記第1状況となった場合および前記第2状況となった場合のいずれにおいても、前記操作情報が報知されず、
V 遊技において第1決定がされたときに、前記移行条件が成立し、
W 遊技において第2決定がされたときは、前記移行条件が成立せず、
X 前記特定発光手段の点灯が制限されておらず、かつ、前記第1決定がされたときに前記特定発光手段を点灯可能であり、
I 前記操作受付手段は、前記可変表示部が正常に変動表示しているときに前記導出操作手段の操作を有効に受け付ける一方で、前記可変表示部が正常に変動表示していないときに前記導出操作手段の操作を有効に受け付けず、
前記計時手段は、
J 前記可変表示部が正常に変動表示しているか否かに関わらず、前記経過時間を計時し、
K 前記準備制御の実行中において前記可変表示部の変動表示が開始した後、前記導出操作手段の操作が有効に受け付けられることがなく当該準備制御の終了に関連したタイミングに達したときに、当該タイミングで前記計時開始条件が成立して前記経過時間の計時を開始し、
前記促進報知手段は、
L 前記操作受付手段によって前記導出操作手段の操作が有効に受け付けられることなく前記計時手段によって計時された前記経過時間が所定時間になったときに、前記促進報知を行い、
M 前記促進報知を開始した後、少なくとも前記導出操作手段の操作が有効に受け付けられるまで、当該促進報知を継続する、
N スロットマシン。」
第4 特許異議の申立て及び取消理由通知に記載した取消理由について
1 特許異議の申立ての概要
申立人は、以下の甲第1~甲第3号証を提出した。
甲第1号証:特開2018-102802号公報
甲第2号証:特開2007-37604号公報
甲第3号証:特開2017-185015号公報
(以下、各号証を「甲1」等という。)
そして、特許異議申立書に記載された取消の理由の概要は以下のとおりである。
(1) 本件発明は、本件特許の出願前に日本国内において、電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲1に記載された発明であるので、特許法第29条第1項第3号に掲げる発明に該当する。
よって、本件特許は、同法第113条第2号の規定に該当し、同法第114条第2項の規定により取り消されるべきものである。
(2) 本件発明は、本件特許の出願前に日本国内において、電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲1に記載された発明に基づいて、若しくは前記甲1に記載された発明及び周知技術に基づいて、前記甲1に記載された発明及び甲2若しくは甲3に記載された技術に基づいて、又は前記甲1に記載された発明並びに甲2及び甲3に記載された技術に基づいて、当業者が容易発明をすることができたものであるので、特許法第29条第2項に規定する要件を満たしていない。
よって、本件特許は、同法第113条第2号の規定に該当し、同法第114条第2項の規定により取り消されるべきものである。
2 取消理由の概要
訂正前の請求項1に係る特許に対して、合議体が令和6年4月17日付けで特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。
(取消理由)
請求項1に係る発明は、甲1に記載された発明及び甲2に記載された事項に基づいて、又は甲1に記載された発明、甲2に記載された事項及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。よって、請求項1に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。
3 各甲号証の記載、周知技術
(1)甲1の記載
ア 甲1には、次の事項が記載されている(下線は合議体が付した。以下同様。)。
「【0026】
[スロットマシンの構成]
図1に示すように、スロットマシン1は、前面が開口する筐体1aと、この筐体1aの側端に回動自在に枢支された前面扉1bとから構成されている。筐体1aの内部には、図2に示すように、外周に複数種の図柄が配列されたリール2L、2C、2R(以下、左リール、中リール、右リール)が水平方向に並設されており、図1、図3に示すように、これらリール2L、2C、2Rに配列された図柄のうち連続する3つの図柄(所定の順序でそれぞれ21個ずつ描かれている互いに識別可能な複数種類の図柄のうちの3つの図柄)が前面扉1bに設けられた透視窓3からそれぞれ見えるように配置されている。
【0027】
前面扉1bには、メダルを投入可能なメダル投入部4、メダルが払い出されるメダル払出口9、クレジット(遊技者所有の遊技用価値として記憶されているメダル数)を用いて、その範囲内において遊技状態に応じて定められた規定数の賭数のうち最大の賭数(本実施形態では後述するRT0~RT4の規定数として3、RBの規定数として2が定められている)を設定する際に操作されるMAXBETスイッチ6、クレジットとして記憶されているメダル及び賭数の設定に用いたメダルを精算する(クレジット及び賭数の設定に用いた分のメダルを返却させる)際に操作される精算スイッチ10、ゲームを開始する際に操作されるスタートスイッチ7、リール2L、2C、2Rの回転を各々停止する際に操作されるストップスイッチ8L、8C、8Rが遊技者により操作可能にそれぞれ設けられている。」
「【0029】
また、前面扉1bには、クレジットとして記憶されているメダル枚数が表示されるクレジット表示器11、入賞の発生により払い出されたメダル枚数やエラー発生時にその内容を示すエラーコード、後述のナビ報知によるリールの停止順を識別可能な情報が表示される等が表示される遊技補助表示器12、賭数が1設定されている旨を点灯により報知する1BETLED14、賭数が2設定されている旨を点灯により報知する2BETLED15、賭数が3設定されている旨を点灯により報知する3BETLED16、メダルの投入が可能な状態を点灯により報知する投入要求LED17、スタートスイッチ7の操作によるゲームのスタート操作が有効である旨を点灯により報知するスタート有効LED18、ウェイト(前回のゲーム開始から一定期間経過していないためにリールの回転開始を待機している状態)中である旨を点灯により報知するウェイト中LED19、後述するリプレイゲーム中である旨を点灯により報知するリプレイ中LED20が設けられた遊技用表示部13が設けられている。」
「【0037】
ゲームが開始可能な状態でスタートスイッチ7を操作すると、各リール2L、2C、2Rが回転し、各リール2L、2C、2Rの図柄が連続的に変動する。この状態でいずれかのストップスイッチ8L、8C、8Rを操作すると、対応するリール2L、2C、2Rの回転が停止し、透視窓3に表示結果が導出表示される。そして全てのリール2L、2C、2Rが停止されることで1ゲームが終了し、入賞ラインLN上に予め定められた図柄の組合せが各リール2L、2C、2Rの表示結果として停止した場合には入賞が発生し、その入賞に応じて定められた枚数のメダルが遊技者に対して付与され、クレジットに加算される。また、クレジットが上限数(本実施形態では50)に達した場合には、メダルが直接メダル払 出口9(図1参照)から払い出されるようになっている。」
「【0038】
図4は、スロットマシン1の構成を示すブロック図である。スロットマシン1には、図4に示すように、遊技制御基板40、演出制御基板90、電源基板101が設けられており、遊技制御基板40によって遊技状態が制御され、演出制御基板90によって遊技状態に応じた演出が制御され、電源基板101によってスロットマシン1を構成する電気部品の駆動電源が生成され、各部に供給される。
・・・
【0042】
遊技制御基板40には、メイン制御部41、制御用クロック生成回路42、乱数用クロック生成回路43、スイッチ検出回路44、モータ駆動回路45、ソレノイド駆動回路46、LED駆動回路47、電断検出回路48、リセット回路49が搭載され、遊技の進行に関する処理を行うととともに、遊技制御基板40に搭載された制御回路の各部を直接的または間接的に制御する。
【0043】
図5は、遊技制御基板40に搭載されたメイン制御部41の構成例を示している。図5に示すメイン制御部41は、1チップマイクロコンピュータであり、外部バスインターフェイス501と、クロック回路502と、照合用ブロック503と、固有情報記憶回路504と、演算回路505と、リセット/割込コントローラ506と、CPU(CentralProcessingUnit)41aと、ROM(ReadOnly Memory)41bと、RAM(Random Access Memory)41cと、フリーランカウンタ回路507と、乱数回路508a、508bと、タイマ回路509と、割込コントローラ510と、パラレル入力ポート511と、シリアル通信回路512と、パラレル出力ポート513と、アドレスデコード回路514と、を備えて構成される。
・・・
【0045】
演出制御基板90には、液晶表示器51、演出効果LED52、スピーカ53、54、リールLED55等の演出装置が接続されており、これら演出装置は、演出制御基板90に搭載されたサブ制御部91による制御に基づいて駆動されるようになっている。すなわち、演出制御基板90は、各種演出を実行する。なお、本実施形態では、演出制御基板90に搭載されたサブ制御部91により、液晶表示器51、演出効果LED52、スピーカ53、54、リールLED55等の演出装置の出力制御が行われる構成であるが、サブ制御部91とは別に演出装置の出力制御を直接的に行う出力制御部を演出制御基板90または他の基板に搭載し、サブ制御部91がメイン制御部41からのコマンドに基づいて演出装置の出力パターンを決定し、サブ制御部91が決定した出力パターンに基づいて出力制御部が演出装置の出力制御を行う構成としても良く、このような構成では、サブ 制御部91及び出力制御部の双方によって演出装置の出力制御が行われることとなる。」
「【0050】
[演出制御基板90の初期設定]
次に、演出制御基板90の初期設定について説明する。スロットマシン1は、電源投入時に演出制御基板90の初期設定処理を行う。演出制御基板90の初期設定処理は、演出制御基板90が動作を行うために必要な設定を行う処理であり、ある程度の時間がかかる処理である。例えば、サブ制御部91は初期設定手段として動作し、サブCPU91aが、ROM91bに記憶されているプログラムを読み出して実行することにより、演出制御基板90の初期設定処理を行う。演出制御基板90の初期設定処理を行うことで、演出制御基板90による各処理を実行することができる。例えば、液晶表示器51に演出画像等を表示させたり、スピーカ53,54から音を出力させたり、遊技者側設定スイッチ70の操作を受け付けて、受け付けた操作に基づいた処理を行ったりすることができる。
【0051】
なお、初期設定処理のうち、液晶表示器51に演出画像等を表示させるための処理を画像初期設定処理(準備制御)とする。画像初期設定処理が完了した後、サブ制御部91は各種演出画像を液晶表示器51に表示させることができる。すなわち、サブ制御部91は、画像初期設定処理が完了するまでは、各種演出画像を表示させることができない。」
「【0052】
また、本実施形態のスロットマシン1は、内部抽選結果に応じて遊技者にとって有利となる停止順を報知するナビ報知を実行可能な報知期間となるアシストタイム(以下、ATという)に制御可能となっている。また、サブ制御部91は、ナビ報知を実行する際には、液晶表示器51に、遊技者にとって有利となるリール2L、2C、2Rの停止順を表示させる(操作手順報知演出を実行する)。よって、本実施形態では、停止順を確実に遊技者に報知するために、画像初期設定処理が完了して各種演出画像を表示させることができるようになってから、操作手順報知演出を実行する。すなわち、本実施形態では、サブ制御部91は、画像初期設定処理が完了した後に、操作手順報知演出を実行する(遊技者にとって有利となるリール2L、2C、2Rの停止順を表示させる)。これにより、各種演出画像を表示することができないという中途半端な状態で、操作手順報知演出を行わないようにすることができる。」
「【0058】
[リール2L、2C、2Rの停止促進報知]
次に、リール2L、2C、2Rの停止促進報知について説明する。本実施形態では、リール2L、2C、2Rが回転している状態が長時間継続しないように、スタートスイッチ7が操作されてリール2L、2C、2Rの回転が開始されたとき(遊技制御手段が遊技者の操作に応じて制御を進行させたとき)からストップスイッチ8L、8C、8Rが操作されずに(遊技者による操作がなされずに)1分(所定時間)経過したときに、サブ制御部91は、停止促進報知画面を液晶表示器51に表示させる。
【0059】
図7は、サブ制御部91が、液晶表示器51に表示させる停止促進報知画面を示した図である。図示する例では、停止促進報知画面に「リールを止めてください」の文字701を表示している。これにより、スタートスイッチ7を操作してリール2L、2C、2Rの回転を開始させたときから1分以上ストップスイッチ8L、8C、8Rの操作を行わない遊技者に対して、リール2L、2C、2Rの停止操作を促すことができる。
【0060】
なお、上述したとおり、サブ制御部91は、画像初期設定処理中のときには各種演出画像を液晶表示器51に表示させることができない。そのため、画像初期設定処理中にスタートスイッチ7が操作されてリール2L、2C、2Rの回転が開始された場合、停止促進報知画面を表示させるまでの時間(例えば、スタートスイッチ7を操作してリール2L、2C、2Rの回転を開始させたときから1分)に各種演出画像が表示されない時間を含むと、各種演出画像が表示されるようになってから(好適に遊技を行うことができるようになってから)十分な時間が経過する前に停止促進報知画面が表示される。
【0061】
そこで、本実施形態では、画像初期設定処理中にスタートスイッチ7が操作されてリール2L、2C、2Rの回転が開始された(遊技制御手段が遊技者の操作に応じて制御を進行させた)場合、サブ制御部91は、画像初期設定処理が完了したときに停止促進報知画面を表示させるまでの時間のカウントを開始する。これにより、各種演出画像が表示されるようになってから(好適に遊技を行うことができるようになってから)十分な時間が経過した後に、停止促進報知画面を表示させることができる。
【0062】
図8は、画像初期設定処理が完了して各種演出画像を表示させることができる状態のときにスタートスイッチ7が操作されてリール2L、2C、2Rの回転が開始された場合において、停止促進報知画面を表示させるときのタイミングを示したタイミングチャートである。図示する例では、時刻t11にスタートスイッチ7が操作されてリール2L、2C、2Rの回転が開始されている。また、時刻t11から1分経過した時刻t12に、サブ制御部91は、液晶表示器51に停止促進報知画面を表示させている。
【0063】
このように、本実施形態では、画像初期設定処理が完了して各種演出画像を表示させることができる状態のときにスタートスイッチ7が操作されてリール2L、2C、2Rの回転が開始された(遊技制御手段が遊技者の操作に応じて制御を進行させた)場合、サブ制御部91は、スタートスイッチ7が操作されてリール2L、2C、2Rの回転が開始されたとき(遊技を開始させたとき、t11)に停止促進報知画面を表示させるまでの時間(所定時間、例えば、1分)のカウントを開始し、ストップスイッチ8L、8C、8Rの操作が行われることなく停止促進報知画面を表示させるまでの時間(1分)が経過したとき(t12)に、停止促進報知画面を表示させる。
【0064】
図9は、画像初期設定処理中であり各種演出画像を表示させることができない状態のときにスタートスイッチ7が操作されてリール2L、2C、2Rの回転が開始された場合において、停止促進報知画面を表示させるときのタイミングを示したタイミングチャートである。図示する例では、画像初期設定処理中である時 刻t21にスタートスイッチ7が操作されてリール2L、2C、2Rの回転が開始されている。また、時刻t21に、画像初期設定処理が完了している。また、画像初期設定処理が完了したタイミングである時刻t22から1分経過した時刻t23に、サブ制御部91は、液晶表示器51に停止促進報知画面を表示させている。
【0065】
このように、本実施形態では、画像初期設定処理中であり各種演出画像を表示させることができない状態のときにスタートスイッチ7が操作されてリール2L、2C、2Rの回転が開始された場合、サブ制御部91は、スタートスイッチ7が操作されてリール2L、2C、2Rの回転が開始されたとき(遊技を開始させたとき、t21)ではなく、画像初期設定処理が完了したタイミング(t22)で、停止促進報知画面を表示させるまでの時間(所定時間、例えば、1分)のカウントを開始し、ストップスイッチ8L、8C、8Rの操作が行われることなく停止促進報知画面を表示させるまでの時間(1分)が経過したとき(t23)に、停止促進報知画面を表示させる。
【0066】
これにより、各種演出画像が表示されるようになってから(好適に遊技を行うことができるようになってから)十分な時間が経過した後に、停止促進報知画面を表示させることができる。
【0067】
なお、停止促進報知画面を表示させるまでの時間(所定時間)は、1分に限らず、どのような時間であってもよい。また、停止促進報知画面に表示する内容は、「リールを止めてください」に限らず、停止促進報知画面を表示させるまでの時間(所定時間)に基づいた内容であればどのような内容であってもよい。例えば、停止促進報知画面を表示させるまでの時間のカウントを開始してから経過した時間を表示するようにしてもよい。具体的には、停止促進報知画面を表示させるまでの時間のカウントを開始してから1分が経過したときには、停止促進報知画面に「1分経過」と表示してもよい。」
「【0116】
次に、メイン制御部41が実行する処理の内容について説明する。
【0117】
[メイン処理]
メイン制御部41が実行するメイン処理について図12~図17を用いて説明する。なお、メイン処理は一単位の遊技毎に繰り返し実行される。そして、メイン処理の一周期が遊技の一単位に相当している。
【0118】
また、メイン処理において、コマンドバッファに格納されたコマンドは、図18~図19に示すタイマ割込処理(メイン)で実行されるコマンド送信処理(S k16)においてサブ制御部91に送信される。サブ制御部91に送信するコマンドは、コマンドバッファへの格納順に送信される。本実施形態においては、1回目の割込で1バイト目のモードデータをコマンドバッファに格納するとともに2回目の割込で2バイト目のEXTデータをコマンドバッファに格納し、その後に2回の割込が終了するまで待機してコマンドを送信する。すなわち、4回の割込で1つのコマンドを送信するが最初の2回の割込でコマンドをコマンドバッファに格納して2回の割込待ちをしてコマンドを送信している。
・・・
【0139】
次いで、AT関連抽選処理を実行する(Sc25)。AT関連抽選処理では、内部抽選でチェリー(弱チェリー又は強チェリー)に当選したときにCZ(チャンスゾーン)突入抽選を実行する。また、CZに制御されている場合には、内部抽選でスイカに当選したときにART抽選を実行する。また、ART中に内部抽選で通常リプレイに当選したときに上乗せ特化ゾーンに制御する。また、上乗せ特化ゾーンにおいて、毎ゲーム行われる上乗せ抽選に当選したときにARTのゲーム数を上乗せする。また、CZ抽選やART抽選を行ったときには、遊技の進行を遅延するフリーズ状態に制御するか否かを決定するフリーズ抽選を実行する。フリーズ抽選に当選したときはストップスイッチの操作の有効化(ストップスイッチの操作が可能になる状態)を遅延させることにより、遊技の進行を遅延させる。CZ、ART、上乗せ特化ゾーンでゲーム数が上乗せされる状態は遊技者によって有利な有利状態である。また、フリーズ状態は遊技の進行を遅延させる状態である。その他、AT中のナビ報知の実行やATであることを示すフラグの設定など、AT(ARTを含む)を実行するのに必要な処理を行う。
・・・
【0150】
規定時間が経過した場合(Sc33でY)には、リール回転開始処理を実行する(Sc34)。リール回転開始処理では、スタートスイッチ7の操作に応答して各リール2L、2C、2Rを回転させる処理を行う。
・・・
【0161】
次いで、遊技状態制御処理を実行する(Sc46b)。遊技状態制御処理では、次ゲームでの遊技状態を設定する処理を実行する。すなわち、次ゲームでの遊技状態を決定するための処理を実行する。具体的には、Sc46aの入賞判定において、RT1で昇格リプレイが入賞したことを判定したときにはRT0に移行させる設定を行う。また、RT0又はRT2で転落リプレイが入賞したことや移行出目が停止したことを判定したときにはRT1に移行させる設定を行う。また、RT0で特殊リプレイが入賞したことを判定したときにはRT2に移行させる設定を行う。また、ボーナスが終了したときにはRT3に移行させる設定を行う。また、ボーナスに当選したときにはRT4に移行させる設定を行う。さらに、ART抽選に当選したときにはATに移行させる設定を行う。また、ATの最終ゲームではATを終了させる設定を行う。」
「【0190】
[タイマ割込処理(メイン)]
図18および図19は、メイン制御部41が一定間隔(0.56msの間隔)で起動処理やゲーム処理に割り込んで実行するタイマ割込処理(メイン)の制御内容を示すフローチャートである。なお、タイマ割込処理(メイン)の実行期間中は自動的に他の割込が禁止される。
・・・
【0196】
次いで、4種類のタイマ割込1~4から当該タイマ割込処理(メイン)において実行すべきタイマ割込を識別するための分岐用カウンタを1進める(Sk5)。この実施形態では、タイマ割込1とは、モータを制御してリールの開始制御を行うタイマ割込中の分岐処理であり、具体的には、後述するリール始動処理など、Sk9~Sk11の処理が行われる。また、タイマ割込2とは、LED表示制御や、時間カウンタの更新、ドア開閉状態の監視、制御信号等の出力制御、コマンドおよび外部出力信号の更新を行うタイマ割込中の分岐処理であり、具体的には、後述するLEDダイナミック表示処理など、Sk12~Sk17の処理が行われる。また、タイマ割込3とは、リールの原点通過を検出したり、スイッチ入力を監視したり、乱数値の読み出しを行うタイマ割込中の分岐処理であり、具体的には、後述する原点通過時処理など、Sk20~Sk22の処理が行われる。また、タイマ割込4とは、停止スイッチの入力を検出してリールの停止制御を行うタイマ割込中の分岐処理であり、具体的には、後述する停止スイッチ処理など、Sk23~Sk25の処理が行われる。Sk5のステップでは、分岐用カウンタ値が0~2の場合に1が加算され、カウンタ値が3の場合に0に更新される。すなわち分岐用カウンタ値は、タイマ割込処理(メイン)が実行される毎に、0→1→2→3→0・・・の順番でループする。
・・・
【0200】
また、Sk6のステップにおいてタイマ割込3またはタイマ割込4であれば、更に、分岐用カウンタ値を参照して3か否か、すなわちタイマ割込4か否かを判定する(Sk18)。そして、タイマ割込4でなければ、すなわちタイマ割込3であれば、回転中のリール2L、2C、2Rの原点通過(リール基準位置の通過)をチェックし、リール回転エラーの発生を検知するとともに、停止準備が完了しているか(停止準備完了コードが設定されているか)を確認し、停止準備が完了しており、かつ定速回転中であれば、回転中のリールに対応するストップスイッチの操作を有効化する原点通過時処理を実行する(Sk20)。次いで、MAXBETスイッチ6、スタートスイッチ7、ストップスイッチ8L、8C、8Rなどのスイッチ類の検出状態に変化があったか否かの判定、満タンセンサ35aなど各センサの検出状態に変化があったか否かの判定、操作検出コマンドの送信要求等を行うスイッチ入力判定処理を実行する(Sk21)。そして、スイッチ入力判定処理でのセンサやスイッチの検出状態の判定結果にもとづいてエラーを検出するとともに、エラーの検出に伴う処理を行うエラー検出時処理を実行する(Sk21a)。次いで、乱数値レジスタR1Dから数値データを読み出して乱数値格納ワークに格納する乱数値読出処理(Sk22)を順次実行した後、Sk26のステップに進む。
【0201】
また、Sk18のステップにおいてタイマ割込4であれば、ストップスイッチ8L、8C、8Rの検出に伴って停止リールのワークに停止操作位置が格納されたときに、停止リールのワークに格納された停止操作位置から停止位置を決定し、何ステップ後に停止すれば良いかを算出する停止スイッチ処理(Sk23)、停止スイッチ処理で算出された停止までのステップ数をカウントして、停止する時期になったら2相励磁によるブレーキを開始する停止処理(Sk24)、停止処理においてブレーキを開始してから一定時間後に3相励磁とする最終停止処理(Sk25)を順次実行した後、Sk26のステップに進む。」
イ 上記アからみて、甲1には、次の発明が記載されているものと認められる(以下「甲1発明」という。なお、記号a等については、本件発明の記号A等に概ね対応するように合議体が付した。)。
「a、b、c 前面が開口する筐体1aと、この筐体1aの側端に回動自在に枢支された前面扉1bとから構成され、筐体1aの内部には、リール2L、2C、2Rが水平方向に並設され、これらリール2L、2C、2Rに所定の順序でそれぞれ21個ずつ描かれている互いに識別可能な複数種類の図柄のうちの3つの図柄が前面扉1bに設けられた透視窓3からそれぞれ見えるように配置されており、前面扉1bには、ゲームを開始する際に操作されるスタートスイッチ7、リール2L、2C、2Rの回転を各々停止する際に操作されるストップスイッチ8L、8C、8Rが遊技者により操作可能にそれぞれ設けられており、ゲームが開始可能な状態でスタートスイッチ7を操作すると、各リール2L、2C、2Rが回転し、各リール2L、2C、2Rの図柄が連続的に変動し、この状態でいずれかのストップスイッチ8L、8C、8Rを操作すると、対応するリール2L、2C、2Rの回転が停止し、透視窓3に表示結果が導出表示され、全てのリール2L、2C、2Rが停止されることで1ゲームが終了し、入賞ラインLN上に予め定められた図柄の組合せが各リール2L、2C、2Rの表示結果として停止した場合には入賞が発生するスロットマシン1において(【0026】、【0027】、【0037】)、
o1 スロットマシン1は、内部抽選結果に応じて遊技者にとって有利となる停止順を報知するナビ報知を実行可能な報知期間となるアシストタイム(以下、ATという)に制御可能となっており(【0052】)、
p 前面扉1bには、ナビ報知によるリールの停止順を識別可能な情報が表示される遊技補助表示器12が設けられており(【0029】)、
スロットマシン1には、メイン制御部41が搭載された遊技制御基板40及びサブ制御部91が搭載された演出制御基板90が設けられており(【0038】、【0042】、【0045】)、
d メイン制御部41は、一単位の遊技毎に繰り返し実行されるメイン処理において、
スタートスイッチ7の操作に応答して各リール2L、2C、2Rを回転させる処理を行うリール回転開始処理を実行し(【0117】、【0150】)、
o2、q、r、v、w CZ(チャンスゾーン)に制御されている場合には、内部抽選でスイカに当選したときにART抽選を実行するAT関連抽選処理を実行し(【0139】)、ART抽選に当選したときにはATに移行させる設定を行い、ATの最終ゲームではATを終了させる設定を行う遊技状態制御処理を実行し(【0161】)、
e、j サブ制御部91は、スタートスイッチ7が操作されてリール2L、2C、2Rの回転が開始された場合、停止促進報知画面を表示させるまでの時間のカウントを開始し(【0063】、【0065】)、
f、i メイン制御部41は、一定間隔(0.56msの間隔)で起動処理やゲーム処理に割り込んで実行するタイマ割込処理(メイン)において、回転中のリール2L、2C、2Rの原点通過(リール基準位置の通過)をチェックし、リール回転エラーの発生を検知するとともに、停止準備が完了しているかを確認し、停止準備が完了しており、かつ定速回転中であれば、回転中のリールに対応するストップスイッチの操作を有効化する原点通過時処理を実行し、次いで、ストップスイッチ8L、8C、8Rの検出状態に変化があったか否かの判定を行うスイッチ入力判定処理を実行し(【0190】、【0200】)、
g 停止促進報知画面はリール2L、2C、2Rの停止操作を促すことができるものであり、サブ制御部91は、停止促進報知画面を液晶表示器51に表示させ(【0058】、【0059】)、
h スロットマシン1は、電源投入時に演出制御基板90が動作を行うために必要な設定を行う処理である初期設定処理を行い、初期設定処理のうち、液晶表示器51に演出画像等を表示させるための画像初期設定処理が完了した後、サブ制御部91は各種演出画像を液晶表示器51に表示させることができ(【0050】、【0051】)、
k サブ制御部91は、画像初期設定処理中であり各種演出画像を表示させることができない状態のときにスタートスイッチ7が操作されてリール2L、2C、2Rの回転が開始された場合、画像初期設定処理が完了したタイミングで、停止促進報知画面を表示させるまでの時間のカウントを開始し(【0065】)、
l サブ制御部91は、ストップスイッチ8L、8C、8Rの操作が行われることなく停止促進報知画面を表示させるまでの時間が経過したときに、停止促進報知画面を表示させる(【0063】、【0065】)、
n スロットマシン1(【0026】)。」
(2)甲2の記載
ア 甲2には、次の事項が記載されている。
「【0020】
本発明が適用されたスロットマシンの実施例を図面に基づいて説明すると、本実施例のスロットマシン1は、前面が開口する筐体(図示略)と、この筺体の側端に回動自在に枢支された前面扉と、から構成されている。
【0021】
本実施例のスロットマシン1の筐体内部には、外周に複数種の図柄が配列されたリール2L、2C、2R(以下、左リール、中リール、右リールともいう)が水平方向に並設されており、図1に示すように、これらリール2L、2C、2Rに配列された図柄のうち連続する3つの図柄が前面扉に設けられた透視窓3から見えるように配置されている。
【0022】
リール2L、2C、2Rの外周部には、図2に示すように、それぞれ「赤7」(図中黒色の7)、「青7」(図中網かけの7)、「白7」、「BAR」、「JAC」、「スイカ」、「チェリー」、「ベル」といった互いに識別可能な複数種類の図柄が所定の順序で、それぞれ21個ずつ描かれている。リール2L、2C、2Rの外周部に描かれた図柄は、透視窓3において各々上中下三段に表示される。
【0023】
各リール2L、2C、2Rは、各々対応して設けられリールモータ32L、32C、32R(図3参照)によって回転させることで、各リール2L、2C、2Rの図柄が透視窓3に連続的に変化しつつ表示されるとともに、各リール2L、2C、2Rの回転を停止させることで、透視窓3に3つの連続する図柄が表示結果として導出表示されるようになっている。尚、透視窓3から視認できる各リールの領域を、各リールに対応させて左可変表示部120L、中可変表示部120C、右可変表示部120R(可変表示領域)と呼ぶ(図1参照)。これら各可変表示部120L、120C、120Rからは、各リールに描かれた複数の図柄のうち、連続する3つの図柄が上段、中段、下段の位置に表示される。
【0024】
また、前面扉には、メダルを投入可能なメダル投入部4、メダルが払い出されるメダル払出口9、クレジット(遊技者所有の遊技用価値として記憶されているメダル数)を用いてメダル1枚分の賭数を設定する際に操作される1枚BETスイッチ5、クレジットを用いて、その範囲内において遊技状態に応じて定められた規定数の賭数(本実施例では後述の通常遊技状態及び小役ゲームにおいては3、後述のレギュラーボーナスにおいては1)を設定する際に操作されるMAXBETスイッチ6、クレジットとして記憶されているメダル及び賭数の設定に用いたメダルを精算する(クレジット及び賭数の設定に用いた分のメダルを返却させる)際に操作される精算スイッチ10、ゲームを開始する際に操作されるスタートスイッチ7、リール2L、2C、2Rの回転を各々停止する際に操作されるストップスイッチ8L、8C、8Rが設けられている。」
「【0031】
本実施例のスロットマシン1においてゲームを行う場合には、まず、メダルをメダル投入部4から投入するか、あるいはクレジットを使用して賭数を設定する。クレジットを使用するには1枚BETスイッチ5、またはMAXBETスイッチ6を操作すれば良い。遊技状態に応じて定められた規定数の賭数が設定されると、入賞ラインL1~L5(図1参照)が有効となり、スタートスイッチ7の操作が有効な状態、すなわち、ゲームが開始可能な状態となる。尚、本実施例では、規定数の賭数として後述する通常遊技状態及びビッグボーナス中の小役ゲームにおいては3枚が定められており、後述するレギュラーボーナス中においては、1枚が定められている。尚、遊技状態に対応する規定数を超えてメダルが投入された場合には、その分はクレジットに加算される。
【0032】
ゲームが開始可能な状態でスタートスイッチ7を操作すると、各リール2L、2C、2Rが回転し、各リール2L、2C、2Rの図柄が連続的に変動する。この状態でいずれかのストップスイッチ8L、8C、8Rを操作すると、対応するリール2L、2C、2Rの回転が停止し、透視窓3における各可変表示部120L、120C、120Rに表示結果が導出表示される。
【0033】
そして全てのリール2L、2C、2Rが停止されることで1ゲームが終了し、有効化されたいずれかの入賞ラインL1~L5上に予め定められた図柄の組み合わせが各リール2L、2C、2Rの表示結果として停止した場合には入賞が発生し、その入賞に応じて定められた枚数のメダルが遊技者に対して付与され、クレジットに加算される。また、クレジットが上限数(本実施例では50)に達した場合には、メダルが直接メダル払出口9(図1参照)から払い出されるようになっている。また、有効化されたいずれかの入賞ラインL1~L5上に、遊技状態の移行を伴う図柄の組み合わせが各リール2L、2C、2Rの表示結果として停止した場合には図柄の組み合わせに応じた遊技状態に移行するようになっている。」
「【0038】
図3は、スロットマシン1の構成を示すブロック図である。スロットマシン1には、図3に示すように、遊技制御基板40、演出制御基板90、表示制御基板 190、電源基板100が設けられており、遊技制御基板40によって遊技状態が制御され、演出制御基板90によって遊技状態に応じた演出が制御され、表示制御基板190によって液晶表示器51の表示制御が行われ、電源基板100によってスロットマシン1を構成する電気部品の駆動電源が生成され、各部に供給される。
【0039】
電源基板100には、外部からAC100Vの電源が供給されるとともに、このAC100Vの電源からスロットマシン1を構成する電気部品の駆動に必要な直流電圧が生成され、遊技制御基板40及び遊技制御基板40を介して接続された演出制御基板90及び該演出制御基板90に接続された表示制御基板190に供給されるようになっている。また、電源基板100には、前述したホッパーモータ34、払出センサ35、打止スイッチ36、設定キースイッチ37、リセット/設定スイッチ38、電源スイッチ39が接続されている。
【0040】
遊技制御基板40には、前述した1枚BETスイッチ5、MAXBETスイッチ6、スタートスイッチ7、ストップスイッチ8L、8C、8R、精算スイッチ10、リセットスイッチ23、投入メダルセンサ31、リールセンサ33が接続されているとともに、電源基板100を介して前述した払出センサ35、打止スイッチ36、設定キースイッチ37、リセット/設定スイッチ38が接続されており、これら接続されたスイッチ類の検出信号が入力されるようになっている。
【0041】
また、遊技制御基板40には、前述したクレジット表示器11、遊技補助表示器12、ペイアウト表示器13、1~3BETLED14~16、投入要求LED17、スタート有効LED18、ウェイト中LED19、リプレイ中LED10、BETスイッチ有効LED21、左、中、右停止有効LED22L、22C、22R、設定値表示器24、流路切替ソレノイド30、リールモータ32L、32C、32Rが接続されているとともに、電源基板100を介して前述したホッパーモータ34が接続されており、これら電気部品は、遊技制御基板40に搭載された後述のメイン制御部41の制御に基づいて駆動されるようになっている。
【0042】
遊技制御基板40には、CPU41a、ROM41b、RAM41c、I/Oポート41dを備えたマイクロコンピュータからなり、遊技の制御を行うメイン制御部41、所定範囲(本実施例では0~16383)の乱数を発生させる乱数発生回路42、乱数発生回路から乱数を取得するサンプリング回路43、遊技制御基板40に直接または電源基板100を介して接続されたスイッチ類から入力された検出信号を検出するスイッチ検出回路44、リールモータ32L、32C、32Rの駆動制御を行うモータ駆動回路45、流路切替ソレノイド30の駆動制御を行うソレノイド駆動回路46、遊技制御基板40に接続された各種表示器やLEDの駆動制御を行うLED駆動回路47、スロットマシン1に供給される電源電圧を監視し、電圧低下を検出したときに、その旨を示す電圧低下信号をメイン制御部41に対して出力する電断検出回路48、電源投入時またはCPU41aからの初期化命令が入力されないときにCPU41aにリセット信号を与えるリセット回路49、その他各種デバイス、回路が搭載されている。
【0043】
CPU41aは、計時機能、タイマ割込などの割込機能(割込禁止機能を含む)を備え、ROM41bに記憶されたプログラム(後述)を実行して、遊技の進行に関する処理を行うととともに、遊技制御基板40に搭載された制御回路の各部を直接的または間接的に制御する。ROM41bは、CPU41aが実行するプログラムや各種テーブル等の固定的なデータを記憶する。RAM41cは、CPU41aがプログラムを実行する際のワーク領域等として使用される。I/Oポート41dは、メイン制御部41が備える信号入出力端子を介して接続された各回路との間で制御信号を入出力する。
【0044】
メイン制御部41は、信号入力端子DATAを備えており、遊技制御基板40に接続された各種スイッチ類の検出状態がこれら信号入力端子DATAを介して入力ポートに入力される。これら信号入力端子DATAの入力状態は、CPU41aにより監視されており、CPU41aは、信号入力端子DATAの入力状態、すなわち各種スイッチ類の検出状態に応じて段階的に移行する基本処理を実行する。
【0045】
また、CPU41aは、前述のように割込機能を備えており、割込の発生により基本処理に割り込んで割込処理を実行できるようになっている。本実施例では、割込1~4の4種類の割込を実行可能であり、各割込毎にカウンタモード(信号入力端子DATAとは別個に設けられたトリガー端子CLK/TRGからの信号入力に応じて外部割込を発生させる割込モード)とタイマモード(CPU41aのクロック入力数に応じて内部割込を発生させる割込モード)のいずれかを選択して設定できるようになっている。
【0046】
本実施例では、割込1~4のうち、割込2がカウンタモードに設定され、割込3がタイマモードに設定され、割込1、4は未使用とされている。トリガー端子CLK/TRGは、前述した電断検出回路48と接続されており、CPU41aは電断検出回路48から出力された電圧低下信号の入力に応じて割込2を発生させて後述する電断割込処理を実行する。また、CPU41aは、クロック入力数が一定数に到達する毎、すなわち一定間隔毎に割込3を発生させて後述するタイマ割込処理を実行する。また、割込1、4は、未使用に設定されているが、ノイズ等によって割込1、4が発生することがあり得る。このため、CPU41aは、割込1、4が発生した場合に、もとの処理に即時復帰させる未使用割込処理を実行するようになっている。
【0047】
また、CPU41aは、割込1~4のいずれかの割込の発生に基づく割込処理の実行中に他の割込を禁止するように設定されているとともに、複数の割込が同時に発生した場合には、割込2、3、1、4の順番で優先して実行する割込が設定されている。すなわち割込2とその他の割込が同時に発生した場合には、割込2を優先して実行し、割込3と割込1または4が同時に発生した場合には、割込3を優先して実行するようになっている。
【0048】
また、CPU41aは、割込1~4のいずれかの割込の発生に基づく割込処理の開始時に、レジスタに格納されている使用中のデータをRAM41cに設けられた後述のスタック領域に一時的に退避させるとともに、当該割込処理の終了時にスタック領域に退避させたデータをレジスタに復帰させるようになっている。
【0049】
RAM41cには、DRAM(Dynamic RAM)が使用されており、記憶しているデータ内容を維持するためのリフレッシュ動作が必要となる。CPU41aには、このリフレッシュ動作を行うためのリフレッシュレジスタ41R(図30参照)が設けられている。リフレッシュレジスタ41Rは、8ビットからなり、そのうちの下位7ビットが、CPU41aがROM41bから命令をフェッチする度に自動的にインクリメントされるもので、その値の更新は、1命令の実行時間毎に行われる。
【0050】
また、メイン制御部41には、停電時においてもバックアップ電源が供給されており、バックアップ電源が供給されている間は、CPU41aによりリフレッシュ動作が行われてRAM41cに記憶されているデータが保持されるようになっている。
【0051】
乱数発生回路42は、後述するように所定数のパルスを発生する度にカウントアップして値を更新するカウンタによって構成され、サンプリング回路43は、乱数発生回路42がカウントしている数値を取得する。乱数発生回路42は、乱数の種類毎にカウントする数値の範囲が定められており、本実施例では、その範囲として0~16383が定められている。CPU41aは、その処理に応じてサンプリング回路43に指示を送ることで、乱数発生回路42が示している数値を乱数として取得する(以下、この機能をハードウェア乱数機能という)。後述する内部抽選用の乱数は、ハードウェア乱数機能により抽出した乱数をそのまま使用するのではなく、ソフトウェアにより加工して使用するが、その詳細については詳しく説明する。また、CPU41aは、前述のタイマ割込処理により、RAM41cの特定アドレスの数値を更新し、こうして更新された数値を乱数として取得する機能も有する(以下、この機能をソフトウェア乱数機能という)。
【0052】
CPU41aは、I/Oポート41dを介して演出制御基板90に、後述する各種のコマンド(図10参照)を送信する。遊技制御基板40から演出制御基板90へ送信されるコマンドは一方向のみで送られ、演出制御基板90から遊技制御基板40へ向けてコマンドが送られることはない。遊技制御基板40から演出制御基板90へ送信されるコマンドの伝送ラインは、ストローブ(INT)信号ライン、データ伝送ライン、グラウンドラインから構成されているとともに、演出中継基板80を介して接続されており、遊技制御基板40と演出制御基板90とが直接接続されない構成とされている。
【0053】
演出制御基板90には、演出効果LED52、スピーカ53、54、リールLED等の電気部品が接続されており、これら電気部品は、演出制御基板90に搭載された後述のサブ制御部91による制御に基づいて駆動されるようになっている。
【0054】
演出制御基板90には、メイン制御部41と同様にCPU91a、ROM91b、RAM91c、I/Oポート91dを備えたマイクロコンピュータにて構成され、演出の制御を行うサブ制御部91、演出効果LED52の駆動制御を行うランプ駆動回路93、スピーカ53、54からの音声出力制御を行う音声出力回路94、電源投入時またはCPU91aからの初期化命令が入力されないときにCPU91aにリセット信号を与えるリセット回路95、その他の回路等、が搭載されており、CPU91aは、遊技制御基板40から送信されるコマンドを受けて、演出を行うための各種の制御を行うとともに、演出制御基板90に搭載された制御回路の各部を直接的または間接的に制御する。また、液晶表示器51による表示画像の表示を指示するコマンドを、I/Oポート91dを介して表示制御基板190に送信する。演出制御基板90から表示制御基板190へ送信されるコマンドは一方向のみで送られ、表示制御基板190から演出制御基板90へ向けてコマンドが送られることはない。
【0055】
CPU91aは、メイン制御部41のCPU41aと同様に、タイマ割込などの割込機能(割込禁止機能を含む)を備える。サブ制御部91の割込端子(図示略)は、コマンド伝送ラインのうち、メイン制御部41がコマンドを送信する際に出力するストローブ(INT)信号線に接続されており、CPU91aは、ストローブ信号の入力に基づいて割込を発生させて後述するコマンド受信割込処理を実行する。また、CPU91aは、クロック入力数が一定数に到達する毎、すなわち一定間隔毎に割込を発生させて後述するタイマ割込処理(サブ)を実行する。また、CPU91aにおいても未使用の割込が発生した場合には、もとの処理に即時復帰させる未使用割込処理を実行するようになっている。
【0056】
また、CPU91aは、CPU41aとは異なり、ストローブ信号(INT)の入力に基づいて割込が発生した場合には、他の割込に基づく割込処理の実行中であっても、当該処理に割り込んでコマンド受信割込処理を実行し、他の割込が同時に発生してもコマンド受信割込処理を最優先で実行するようになっている。
【0057】
また、サブ制御部91にも、停電時においてバックアップ電源が供給されており、バックアップ電源が供給されている間は、CPU91aによりリフレッシュ動作が行われてRAM91cに記憶されているデータが保持されるようになっている。」
「【0136】
次に、リール2L、2C、2Rの図柄の配列と、停止制御とについて説明すると、CPU41aは、リールの回転が開始したとき及び、リールが停止し、かつ未だ回転中のリールが残っているときに、ROM41bに格納されているテーブルインデックス(図示略)を参照して、回転中のリール別に停止制御テーブルを設定する。そして、ストップスイッチ8L、8C、8Rのうち、回転中のリールに対応するいずれかの操作が有効に検出されたときに、該当するリールの停止制御テーブルを参照し、参照した停止制御テーブルの制御パターンに従って、操作されたストップスイッチ8L、8C、8Rに対応するリール2L、2C、2Rの
回転を停止させる制御を行う。
【0137】
テーブルインデックスには、遊技状態、役の当選状況、他のリールの停止図柄に応じた停止制御テーブルの格納先のアドレスが、回転中のリール別に登録されている。また、停止制御テーブルには、停止操作位置(ストップスイッチ8L、8C、8Rの操作が検出された際に、基準位置(本実施例では、透視窓3の下段位置)に位置する図柄番号)毎に、引込図柄数が設定されている。
【0138】
そして、CPU41aは、ストップスイッチ8L、8C、8Rのうち、回転中のリールに対応するいずれかの操作を有効に検出すると、その時点で設定されている停止制御テーブルのうち、停止操作が検出されたリールの停止制御テーブルを参照し、停止操作位置に対応する引込図柄数を取得する。そして、取得した引込図柄数分リールを回転させて停止させる制御を行うようになっている。」
「【0219】
次に、演出制御基板90に搭載されたサブ制御部91のCPU91aが実行する促進報知処理について、図20及び図21に基づいて説明する。
【0220】
サブ制御部91のCPU91aは、前述したように、遊技制御基板40から送信される各種コマンドに基づいて、遊技状態に応じた各種の演出処理や、リール2L、2C、2Rの停止操作を促す促進報知を実行するための促進報知処理を実行する。具体的には、各種の遊技状態に応じて、発光手段としての演出効果LED52やリールLED等の発光制御や、音出力手段としてのスピーカ53、54から出力させる効果音等の出力制御を行う。また、本実施例においては、各種演出や促進報知の実行時等において、液晶表示器51の表示画面に所定の表示画面を表示したり、表示中の表示画面を切替またはクリアする旨を示す表示コマンドを表示制御基板191に送信する処理を行うようになっており、表示制御部191のCPU191aは、演出制御基板90から送信される各表示コマンドに基づいて、液晶表示器51の表示制御を行う。
【0221】
ここで、CPU91aが行う促進報知処理について説明する。本実施例におけるCPU91aは、各リール2L、2C、2Rの回転が開始してから、ストップスイッチ8L、8C、8Rが有効に操作されない状態が所定時間継続すると、図20(a)、(b)に示されるように、液晶表示器51の表示画面上に、各リール2L、2C、2Rの停止操作を促す促進報知として、「リールを停止して下さい」という文字メッセージを表示させる制御を行う。
・・・
【0226】
また、CPU91aは、スタートスイッチ7が検出されてゲームが開始したとき、つまり、リール2L、2C、2Rの回転が開始されたときから第1の報知待ち時間(予め定めた報知待ち時間)である60秒が経過するまでの間に、いずれのストップスイッチ8L、8C、8Rの有効な操作が行われなかったときに、前述した促進報知を実行する。本実施例においては、遊技制御基板40から送信されたリール回転開始コマンドを取得したときに、サブ制御部91に設けられた報知用カウンタのカウンタ値として第1の値(=60秒)をセットしてカウンタ値の減算(計時)を開始し、カウンタ値が0となった時点で、セットされている報知パターンを特定可能な表示開始コマンドを表示制御基板191に対して表示制御部191aに対して送信する。表示制御部191aは、受信した表示開始コマンドから特定される報知パターンに基づく報知画面を液晶表示器51に表示する制御を行う。
【0227】
また、前記タイマカウントの減算を開始してからカウンタ値が0になるまでに遊技制御基板40から停止コマンドを取得したときには、有効な停止操作がなされたものとして、報知用カウンタのカウンタ値をクリアし、促進報知が行われていた場合には、報知パターンに基づく報知画面の表示をクリア(終了)させる旨を示す表示終了コマンドを表示制御基板190に対して送信する。表示制御部191aは、受信した表示終了コマンドから特定される表示終了の指示に基づき、表示中の報知画面をクリア(終了)する制御を行い、これにより促進報知が終了する。」
「【0248】
図24は、CPU91aがタイマ割込処理(サブ)のSk3のステップにおいて実行する促進報知処理の制御内容を示すフローチャートである。
【0249】
促進報知処理では、まず、後述するリール変動中フラグの設定状況に基づいて、少なくとも1つのリール2L、2C、2Rが回転中であるか否かを判定する(Sm1)。そして、いずれのリール2L、2C、2Rも回転していなければ、すなわちゲームが開始されていなければ、内部当選コマンドを取得したか否かを判定する(Sm2)。そして、内部当選コマンドを取得したと判定した場合には、取得している遊技状態コマンドから当該ゲームがボーナス中であるか否かを判定する(Sm3)。そして、ボーナス中ではない場合には、図21に示す報知パターン振分テーブルに基づいて、当該ゲームにおいて実施しうる促進報知の報知パターンを決定するための報知パターン抽選を実行し(Sm4)、該抽選にて当選した報知パターンを当該ゲームにおいて実施しうる促進報知の報知パターンとしてセットし(Sm5)、図23に示すフローチャートに復帰する。また、Sm3のステップにおいてボーナス中であると判定した場合には、前記報知パターン抽選を行うことなく、当該ゲームにおいて実行し得る報知パターンとして報知パターン1をセットし(Sm6)、図23に示すフローチャートに復帰する。
【0250】
Sm2のステップにおいて、取得したコマンドが内部当選コマンドではないと判定した場合には、取得したコマンドがリール回転開始コマンドであるか否かを判定し(Sm7)、取得したコマンドがリール回転開始コマンドであれば、報知用カウンタのカウンタ値として第1の値(=60秒)をセットした後(Sm8)、リール変動中フラグをセットして(Sm9)、図23に示すフローチャートに復帰する。
【0251】
Sm1のステップにおいて、少なくとも1つのリール2L、2C、2Rが回転中であれば、後述する報知中フラグの設定状況に基づいて、促進報知が実行中であるか否かを判定し(Sm10)、促進報知の実行中でなければ、報知用カウンタのカウンタ値が0であるか否かを判定し(Sm19)、カウンタ値が0である場合には、リール2L、2C、2Rの回転が開始してから60秒が経過したか、あるいは最後にストップスイッチ8L、8C、8Rが有効に操作されてから60秒または30秒が経過したとして、当該ゲームがボーナス中のゲームであるか否かを判定する(Sm27)。
【0252】
Sm10のステップにおいて、促進報知が実行中であれば、図25に示すSm11のステップに進み、取得したコマンドが停止コマンドであるか否かを判定する(Sm11)。そして、取得したコマンドが停止コマンドであれば、セットされている報知中フラグをクリアし(Sm12)、促進報知の終了、すなわち報知画面表示の終了を特定可能な表示終了コマンドを表示制御基板190に対して送信した後(Sm13)、その時点で全てのリール2L、2C、2Rの回転が停止したか否かを判定する(Sm14)。そして、全てのリール2L、2C、2Rの回転が停止してなければ、当該ゲームにおいて促進報知が実行された旨を示す報知済みフラグをセットし(Sm15)、報知用カウンタのカウンタ値として第1の値(=60秒)をセットした後(Sm16)、図23に示すフローチャートに復帰する。
【0253】
また、Sm14のステップにおいて、全てのリール2L、2C、2Rの回転が停止していれば、リール変動中フラグをクリアし(Sm17)、報知済みフラグがセットされている場合にはこれをクリアした後(Sm18)、図23に示すフローチャートに復帰する。」
「【図24】
[図:0001418230000001.jpg]
」
「【図25】
[図:0001418230000002.jpg]
」
イ 認定事項
甲2の【0248】には、「図24は、CPU91aがタイマ割込処理(サブ)のSk3のステップにおいて実行する促進報知処理の制御内容を示すフローチャートである。」と記載され、【図24】には、Sm10として「促進報知実行中?」が示され、【0252】には、「Sm10のステップにおいて、促進報知が実行中であれば、図25に示すSm11のステップに進み、取得したコマンドが停止コマンドであるか否かを判定する(Sm11)。そして、取得したコマンドが停止コマンドであれば、セットされている報知中フラグをクリアし(Sm12)、促進報知の終了、すなわち報知画面表示の終了を特定可能な表示終了コマンドを表示制御基板190に対して送信した後(Sm13)」と記載され、【図25】には、Sm11として「停止コマンドを取得?」が示されるとともに、S m11で「N」と判定されると、Sm13が実行されることなく「RET」となることが示されている。
ここで、Sm11で「N」と判定されると、Sm13が実行されることなく「RET」となることからすれば、CPU91aは、Sm11で「Y」と判定されるまで、すなわちCPU91aが停止コマンドを取得するまで、促進報知の終了を特定可能な表示終了コマンドを表示制御基板190に対して送信せず、したがって実行中の促進報知は継続すると認められる。
よって、甲2には、「CPU91aは、停止コマンドを取得するまで、実行中の促進報知を継続する」ことが示されているものと認められる。
ウ 上記ア、イからみて、甲2には、次の事項が記載されているものと認められる(以下「甲2記載事項」という。なお、記号a等については、本件発明の記号A等に概ね対応するように合議体が付した。)。
「a 前面が開口する筐体と、この筺体の側端に回動自在に枢支された前面扉と、から構成され、筐体内部には、外周部に互いに識別可能な複数種類の図柄が所定の順序で、それぞれ21個ずつ描かれたリール2L、2C、2Rが水平方向に並設され、リール2L、2C、2Rに配列された図柄のうち連続する3つの図柄が前面扉に設けられた透視窓3から見えるように配置されており(【0020】、【0021】、【0022】)、
b、c 前面扉には、ゲームを開始する際に操作されるスタートスイッチ7、リール2L、2C、2Rの回転を各々停止する際に操作されるストップスイッチ8L、8C、8Rが設けられており、ゲームが開始可能な状態でスタートスイッチ7を操作すると、各リール2L、2C、2Rが回転し、各リール2L、2C、2Rの図柄が連続的に変動し、この状態でいずれかのストップスイッチ8L、8C、8Rを操作すると、対応するリール2L、2C、2Rの回転が停止し、透視窓3における各可変表示部120L、120C、120Rに表示結果が導出表示され、全てのリール2L、2C、2Rが停止されることで1ゲームが終了し、有効化されたいずれかの入賞ラインL1~L5上に予め定められた図柄の組み合わせが各リール2L、2C、2Rの表示結果として停止した場合には入賞が発生するスロットマシン1において(【0020】、【0024】、【0032】、【0033】)、
f スロットマシン1には、CPU41a、ROM41b、RAM41c、I/Oポート41dを備えたマイクロコンピュータからなり、遊技の制御を行うメイン制御部41が搭載された遊技制御基板40が設けられており、CPU41aは、ストップスイッチ8L、8C、8Rのうち、回転中のリールに対応するいずれかの操作が有効に検出されたときに、操作されたストップスイッチ8L、8C、8Rに対応するリール2L、2C、2Rの回転を停止させる制御を行い(【0038】、【0042】、【0136】)、
g スロットマシン1には、CPU91a、ROM91b、RAM91c、I/Oポート91dを備えたマイクロコンピュータにて構成され、演出の制御を行うサブ制御部91が搭載された演出制御基板90が設けられており、CPU91aは、遊技制御基板40から送信される各種コマンドに基づいて、遊技状態に応じた各種の演出処理や、リール2L、2C、2Rの停止操作を促す促進報知を実行するための促進報知処理を実行し(【0038】、【0054】、【0220】)、
m CPU91aは、遊技制御基板40から停止コマンドを取得したときには、有効な停止操作がなされたものとして、促進報知が行われていた場合には、報知パターンに基づく報知画面の表示をクリア(終了)させる旨を示す表示終了コマンドを表示制御基板190に対して送信し、CPU91aは、停止コマンドを取得するまで、実行中の促進報知を継続する(【0226】、【0227】、認定事項)、
n スロットマシン1(【0020】)。」
(3)甲3の記載
ア 甲3には、次の事項が記載されている。
「【0001】
本発明は、各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示部の表示結果に応じて所定の入賞が発生可能なスロットマシンに関する。」
「【0231】
次に、本実施例のメイン制御部41が行うリール2L、2C、2Rの回転制御に関して、図28~図31に基づいて説明する。
・・・
【0239】
また、図29に示すように、少なくともいずれか1つのリールを定速回転に制御しており、停止操作の受け付けが有効化されている状態において、例えば、瞬停が発生して極短時間にわたりリールの回転制御が停止されたり、リールの引っ掛かりや空転が生じてしまって、リールが正常に回転しなくなり、リール基準位置が検出されることなく、ステップ数カウンタが所定のステップ数(例えば、400ステップ)を超えた場合、すなわち前回リール基準位置が検出されてからのステップ数が所定のステップ数を超えた場合には、メイン制御部41は、当該リールの回転状態に異常が生じていると判断して、全てのリールについて停止操作の受け付けを無効とする。そして、リール基準位置が検出されず、回転状態に異常が生じていると判断したリールについては、ステップ数カウンタを初期化するとともに再始動制御を行い、再度、始動パターンの最初からリールモータの励磁状態を変化させることで、当該リールの回転を再始動させる。その後、当該リールが正常に回転される場合には、再度、始動パターンによりリールモータの励磁状態の変化を開始させた後、ステップ数カウンタが所定ステップ数に達する前にリール基準位置が検出されることとなる。そして、回転中の全てのリールについて、励磁パターンが定速パターンに切り替えられ、かつリール基準位置が検出されることで、リールの停止操作の受け付けの有効化条件が成立することとなり、メイン制御部41は、有効化条件が成立したことにより、回転中のリールの停止操作の受け付けを有効化する。」
イ 上記アからみて、甲3には、次の事項(以下「甲3記載事項」という。)が記載されているものと認められる。
「スロットマシンのメイン制御部41が行うリール2L、2C、2Rの回転制御において、リールが正常に回転しなくなり、リール基準位置が検出されることなく、ステップ数カウンタが所定のステップ数を超えた場合、メイン制御部41は、当該リールの回転状態に異常が生じていると判断して、全てのリールについて 停止操作の受け付けを無効とし、回転中の全てのリールについて、励磁パターンが定速パターンに切り替えられ、かつリール基準位置が検出されることで、リールの停止操作の受け付けの有効化条件が成立し、メイン制御部41は、有効化条件が成立したことにより、回転中のリールの停止操作の受け付けを有効化すること。」
(4)周知技術
上記(3)イに示した甲3記載事項から、スロットマシンの分野において、リールの回転状態に異常が生じている場合に、全てのリールについて停止操作の受け付けを無効とする技術が従来周知の技術であると認められる(以下「周知技術」という。)。
4 対比
本件発明と甲1発明を対比する。
(1) 本件発明の特定事項Aについて
甲1発明の「互いに識別可能な複数種類の図柄」、「各リール2L、2C、2Rが回転し、各リール2L、2C、2Rの図柄が連続的に変動」すること及び「リール2L、2C、2R」は、それぞれ本件発明の「各々が識別可能な複数種類の識別情報」、「変動表示可能」なこと及び「可変表示部」に相当する。
よって、甲1発明のa、b、cは、本件発明の特定事項Aを備える。
(2) 本件発明の特定事項Bについて
甲1発明の「各リール2L、2C、2Rが回転し、各リール2L、2C、2Rの図柄が連続的に変動」する「状態」の後、「リール2L、2C、2Rの回転が停止」すること、「透視窓3に表示結果が導出表示」されること、「入賞ラインLN上に予め定められた図柄の組合せが各リール2L、2C、2Rの表示結果として停止した場合には入賞が発生する」こと及び「スロットマシン1」は、それぞれ本件発明の「前記可変表示部を変動表示した後、前記可変表示部の変動表示を停止する」こと、「表示結果を導出」すること、「表示結果に応じて入賞が発生可能」なこと及び「スロットマシン」に相当する。
よって、甲1発明のa、b、cは、本件発明の特定事項Bを備える。
(3) 本件発明の特定事項Cについて
甲1発明の「透視窓3に表示結果が導出表示」されること及び「ストップスイッチ8L、8C、8R」は、それぞれ本件発明の「表示結果を導出させる」こと及び「導出操作手段」に相当する。
そして、甲1発明の「ストップスイッチ8L、8C、8R」は、「操作すると」、「対応するリール2L、2C、2Rの回転が停止し、透視窓3に表示結果が導出表示され」るものであるから、本件発明の「表示結果を導出させるために操作される」ものであることに相当する。
よって、甲1発明のa、b、cは、本件発明の特定事項Cを備える。
(4) 本件発明の特定事項Dについて
甲1発明の「スタートスイッチ7の操作」をしたこと、「スタートスイッチ7の操作に応答して各リール2L、2C、2Rを回転させる処理を行うリール回転開始処理を実行」すること及び「メイン制御部41」は、それぞれ本件発明の「変動開始条件が成立した」こと、「変動開始条件が成立したときに、前記可変表示部の変動表示を開始させる」こと及び「変動表示開始手段」に相当する。
よって、甲1発明のdは、本件発明の特定事項Dを備える。
(5) 本件発明の特定事項Eについて
上記(4)より、甲1発明の「スタートスイッチ7の操作」をしたことは、本件発明の「変動開始条件が成立した」ことに相当する。
また、甲1発明の「リール2L、2C、2Rの回転が開始された」こと、「停止促進報知画面を表示させるまでの時間」、「カウント」すること及び「サブ制御部91」は、それぞれ本件発明の「計時開始条件が成立」したこと、「経過時間」、「計時する」こと及び「計時手段」に相当する。
よって、甲1発明のe、jは、本件発明の特定事項Eを備える。
(6) 本件発明の特定事項Fについて
甲1発明の「原点通過時処理」が「回転中のリールに対応するストップスイッチの操作を有効化」した後における「回転中のリールに対応するストップスイッチの操作」は、本件発明の「前記導出操作手段の有効な操作」に相当する。
そうすると、甲1発明の「原点通過時処理」の実行に次いで「ストップスイッチ8L、8C、8Rの検出状態に変化があったか否かの判定を行うスイッチ入力判定処理を実行」すること及び「メイン制御部41」は、それぞれ本件発明の「導出操作手段の有効な操作を受け付ける」こと及び「操作受付手段」に相当する。
よって、甲1発明のf、iは、本件発明の特定事項Fを備える。
(7) 本件発明の特定事項Gについて
甲1発明の「リール2L、2C、2Rの停止操作を促すことができる」こと、「停止促進報知画面」の表示及び「サブ制御部91」は、それぞれ本件発明の「導出操作手段の操作を促す」こと、「促進報知」及び「促進報知手段」に相当する。
よって、甲1発明のgは、本件発明の特定事項Gを備える。
(8) 本件発明の特定事項Hについて
甲1発明の「電源投入時」、「液晶表示器51に演出画像等を表示させるため」であること及び「画像初期設定処理」は、それぞれ本件発明の「スロットマシンへの電源が供給された後」、「演出を実行するため」であること及び「準備制御」に相当する。
そして、甲1発明が「画像初期設定処理」を含む「初期設定処理」を行う手段を備えることは明らかであり、当該手段は本件発明の「準備制御手段」に相当する。
よって、甲1発明のhは、本件発明の特定事項Hを備える。
(9) 本件発明の特定事項Iについて
ア 上記(6)より、甲1発明の「原点通過時処理」の実行に次いで「ストップスイッチ8L、8C、8Rの検出状態に変化があったか否かの判定を行うスイッチ入力判定処理を実行」すること及び「メイン制御部41」は、それぞれ本件発明の「導出操作手段の有効な操作を受け付ける」こと及び「操作受付手段」に相当する。
イ 甲1発明の「リール2L、2C、2R」が「停止準備が完了しており、かつ定速回転中であ」ることは、本件発明の「前記可変表示部が正常に変動表示しているとき」に相当する。
ウ 上記ア及びイを踏まえると、甲1発明の「メイン制御部41」は、「停止準備が完了しており、かつ定速回転中であれば、回転中のリールに対応するストップスイッチの操作を有効化する原点通過時処理を実行し、次いで、ストップスイッチ8L、8C、8Rの検出状態に変化があったか否かの判定を行うスイッチ入力判定処理を実行」することは、本件発明の「前記操作受付手段は、前記可変表示部が正常に変動表示しているときに前記導出操作手段の操作を有効に受け付ける」ことに相当する。
エここで、「停止準備が完了しており、かつ定速回転中であれば、回転中のリールに対応するストップスイッチの操作を有効化する原点通過時処理を実行」する甲1発明は、停止準備が完了していない又は定速回転中でない、のいずれかの状況においては、回転中のリールに対応するストップスイッチの操作を有効化しないことが明らかである。
オ そして、上記エの「停止準備が完了していない又は定速回転中でない」とき及び「回転中のリールに対応するストップスイッチの操作を有効化しない」ことは、それぞれ本件発明の「前記可変表示部が正常に変動表示していないとき」及び「前記導出操作手段の操作を有効に受け付け」ないことに相当する。
よって、甲1発明のf、iは、本件発明の特定事項Iを備える。
(10) 本件発明の特定事項Jについて
上記(5)、(9)より、甲1発明の「サブ制御部91」、「停止促進報知画面を表示させるまでの時間」、「カウント」すること及び「停止準備が完了しており、かつ定速回転中」は、それぞれ本件発明の「計時手段」、「経過時間」、「計時」すること及び「正常に変動表示している」ときに相当する。
ここで、甲1発明の「サブ制御部91」は、「リール2L、2C、2R」が「停止準備が完了しており、かつ定速回転中」であるか否かをカウントを行う条件として設けているものではないから、「停止準備が完了しており、かつ定速回転中」であるか否かに関わらず「停止促進報知画面を表示させるまでの時間」を「カウント」するものといえる。
よって、甲1発明のe、jは、本件発明の特定事項Jを備える。
(11) 本件発明の特定事項Kについて
甲1発明の「画像初期設定処理中」、「リール2L、2C、2Rの回転が開始された場合」、「画像初期設定処理が完了したタイミング」及び「停止促進報知画面を表示させるまでの時間のカウントを開始」することは、それぞれ本件発明の「準備制御の実行中」、「可変表示部の変動表示が開始した後」、「準備制御の終了に関連したタイミング」及び「前記計時開始条件が成立して前記経過時間の計時を開始」することに相当する。
また、甲1発明の「画像初期設定処理が完了したタイミング」に達したときには、ストップスイッチ8L、8C、8Rの検出状態に変化がなく(本件発明の「導出操作手段の操作が有効に受け付けられることがなく」に相当)「画像初期設定処理が完了したタイミング」に達したときが含まれることは明らかである。
よって、甲1発明のkは、本件発明の特定事項Kを備える。
(12) 本件発明の特定事項Lについて
甲1発明の「停止促進報知画面を表示させるまでの時間が経過したとき」及び「停止促進報知画面を表示させる」ことは、それぞれ本件発明の「前記計時手段によって計時された前記経過時間が所定時間になったとき」及び「促進報知を行」うことに相当する。
また、甲1発明の「ストップスイッチ8L、8C、8Rの操作が行われること」がないことは、「メイン制御部41」の「スイッチ入力判定処理」において「ストップスイッチ8L、8C、8Rの検出状態に変化」がないことといえ、このことは本件発明の「前記操作受付手段によって前記導出操作手段の操作が有効に受け付けられること」がないことに相当する。
よって、甲1発明のlは、本件発明の特定事項Lを備える。
(13) 本件発明の特定事項Nについて
上記(2)のとおり、甲1発明の「スロットマシン1」は、本件発明の「スロットマシン」に相当する。
よって、甲1発明のnは、本件発明の特定事項Nを備える。
(14) 本件発明の特定事項Oについて
ア 甲1発明の「遊技者にとって有利となる停止順」、「遊技者にとって有利となる停止順を報知するナビ報知を実行可能な報知期間となるアシストタイム(以下、ATという)」は、それぞれ本件発明の「前記導出操作手段の操作態様に対応する操作情報」、「前記操作情報を報知可能な報知区間」に相当する。
イ 上記アを踏まえると、甲1発明の「ART抽選に当選したときにはATに移行させる設定を行」うことは、本件発明の「前記操作情報を報知可能な報知区間」「に制御する」ことに相当し、同様に、甲1発明の「ATの最終ゲームではATを終了させる設定を行う」ことは、本件発明の「前記導出操作手段の操作態様に対応する操作情報を報知不可能な非報知区間」「に制御する」ことに、甲1発明の「ART抽選に当選したときにはATに移行させる設定を行い、ATの最終ゲームではATを終了させる設定を行う遊技状態制御処理を実行」する「メイン制御部41」は、本件発明の「前記導出操作手段の操作態様に対応する操作情報を報知不可能な非報知区間と、前記操作情報を報知可能な報知区間とのいずれかに制御する区間制御手段」に、それぞれ相当する。
ウ よって、甲1発明のo1、o2、q、r、v、wは、本件発明の特定事項Oを備える。
(15) 本件発明の特定事項Pについて
甲1発明の「ナビ報知によるリールの停止順を識別可能な情報が表示される遊技補助表示器12」において、「リールの停止順を識別可能な情報が表示される」期間は、「AT」期間中であることは明らかであるから、上記(14)アで、甲1発明の「AT」が本件発明の「前記操作情報を報知可能な報知区間」に相当することを踏まえれば、甲1発明の「遊技補助表示器12」は、本件発明の「前記報知区間中において点灯可能な特定発光手段」に相当する。
よって、甲1発明のpは、本件発明の特定事項Pを備える。
(16) 本件発明の特定事項Qについて
甲1発明の「CZ(チャンスゾーン)に制御されている場合に」、「内部抽選でスイカに当選したときに」実行される「ART抽選に当選」すること、「ART抽選に当選したときにはATに移行させる」ことは、それぞれ本件発明の「前記非報知区間において移行条件が成立」すること、「前記非報知区間において移行条件が成立したときに、当該非報知区間から前記報知区間に切り替わ」ることに相当する。
よって、甲1発明のo2、q、r、v、wは、本件発明の特定事項Qを備える。
(17) 本件発明の特定事項Rについて
甲1発明の「AT」、「ATの最終ゲームで」「ATを終了させる設定を行う」ときは、それぞれ本件発明の「遊技者にとって有利な有利状態」、「前記報知区間において遊技者にとって有利な有利状態が終了したときに、当該報知区間から前記非報知区間に切り替わる第1状況」に相当する。
よって、甲1発明のo2、q、r、v、wは、「前記報知区間において遊技者にとって有利な有利状態が終了したときに、当該報知区間から前記非報知区間に切り替わる第1状況」がある点で、本件発明の特定事項Rと共通する。
(18) 本件発明の特定事項Vについて
甲1発明の「ART抽選に当選したとき」は、本件発明の「遊技において第1決定がされたとき」に相当する。
よって、甲1発明のo2、q、r、v、wは、本件発明の特定事項Vを備える。
(19) 本件発明の特定事項Wについて
甲1発明において、「ART抽選」に非当選となる場合があることは明らかであり、この場合は、本件発明の「遊技において第2決定がされたとき」に相当する。
よって、甲1発明のo2、q、r、v、wは、本件発明の特定事項Wを備える。
上記(1)~(19)によれば、本件発明と甲1発明は、
「A 各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示部を備え、
B 前記可変表示部を変動表示した後、前記可変表示部の変動表示を停止することで表示結果を導出し、該表示結果に応じて入賞が発生可能なスロットマシンにおいて、
C 表示結果を導出させるために操作される導出操作手段と、
O 前記導出操作手段の操作態様に対応する操作情報を報知不可能な非報知区間と、前記操作情報を報知可能な報知区間とのいずれかに制御する区間制御手段と、
P 前記報知区間中において点灯可能な特定発光手段と、
D 変動開始条件が成立したときに、前記可変表示部の変動表示を開始させる変動表示開始手段と、
E 前記変動開始条件の成立以降において計時開始条件が成立してからの経過時間を計時する計時手段と、
F 前記導出操作手段の有効な操作を受け付ける操作受付手段と、
G 前記導出操作手段の操作を促す促進報知を行う促進報知手段と、
H 前記スロットマシンへの電源が供給された後、演出を実行するための準備制御を行う準備制御手段と、を備え、
Q 前記非報知区間において移行条件が成立したときに、当該非報知区間から前記報知区間に切り替わり、
R’ 前記報知区間において遊技者にとって有利な有利状態が終了したときに、当該報知区間から前記非報知区間に切り替わる第1状況があり、
V 遊技において第1決定がされたときに、前記移行条件が成立し、
W 遊技において第2決定がされたときは、前記移行条件が成立せず、
I 前記操作受付手段は、前記可変表示部が正常に変動表示しているときに前記導出操作手段の操作を有効に受け付ける一方で、前記可変表示部が正常に変動表示していないときに前記導出操作手段の操作を有効に受け付けず、
前記計時手段は、
J 前記可変表示部が正常に変動表示しているか否かに関わらず、前記経過時間を計時し、
K 前記準備制御の実行中において前記可変表示部の変動表示が開始した後、前記導出操作手段の操作が有効に受け付けられることがなく当該準備制御の終了に関連したタイミングに達したときに、当該タイミングで前記計時開始条件が成立して前記経過時間の計時を開始し、
前記促進報知手段は、
L 前記操作受付手段によって前記導出操作手段の操作が有効に受け付けられることなく前記計時手段によって計時された前記経過時間が所定時間になったときに、前記促進報知を行う、
N スロットマシン。」
である点で一致し、以下の点で相違する。
[相違点1](特定事項M)
促進報知手段に関して、本件発明では、「前記促進報知を開始した後、少なくとも前記導出操作手段の操作が有効に受け付けられるまで、当該促進報知を継続する」のに対し、甲1発明は、停止促進報知画面を液晶表示器51に表示させるものの、停止促進報知画面の表示をいつまで継続するのかが不明である点。
[相違点2](特定事項R)
報知区間において遊技者にとって有利な有利状態が終了したときの状況に関して、本件発明は、「当該報知区間から前記非報知区間に切り替わる第1状況と、当該報知区間が継続される第2状況とがあ」るのに対し、甲1発明は、「第1状況」に相当する「ATの最終ゲームで」「ATを終了させる設定を行う」ときはあるものの、「第2状況」に相当する状況を有しない点。
[相違点3](特定事項S)
有利状態への制御に関する有利度の高低に関して、本件発明では、「前記第1状況となった場合は、前記第2状況となった場合よりも前記有利状態への制御に関する有利度が高く」なっているのに対し、甲1発明は、そのような構成を備えていない点。
[相違点4](特定事項T)
特定発光手段の点灯の制限に関して、本件発明では、「前記報知区間から前記非報知区間に切り替わってから少なくとも特定期間においては、前記報知区間中である場合も前記非報知区間中である場合も、前記特定発光手段の点灯が制限され」るのに対し、甲1発明は、そのような構成を備えていない点。
[相違点5](特定事項U)
操作情報の報知に関して、本件発明では、「前記第1状況となった場合および前記第2状況となった場合のいずれにおいても、前記操作情報が報知され」ないのに対し、甲1発明は、そのような構成を備えていない点。
[相違点6](特定事項X)
特定発光手段を点灯に関して、本件発明では、「前記特定発光手段の点灯が制限されておらず、かつ、前記第1決定がされたときに前記特定発光手段を点灯可能であ」るのに対し、甲1発明は、遊技補助表示器12の点灯が制限されることがあるのか不明な点。
5 合議体の判断
事案に鑑み、相違点4について検討する。
相違点4に係る、「前記報知区間から前記非報知区間に切り替わってから少なくとも特定期間においては、前記報知区間中である場合も前記非報知区間中である場合も、前記特定発光手段の点灯が制限され」るとの構成は、甲2及び甲3にも記載がなく、また、他に本件出願前において公知又は周知であることを示す証拠を発見することができないから、当業者が容易に想到できたものであるとはいえない。
よって、他の相違点の容易想到性について検討するまでもなく、本件発明は、甲1発明、甲2~甲3記載事項及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
第5 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について
申立人は、特許異議申立書において、本件訂正前の請求項1に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内において、電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲1に記載された発明であるので、特許法第29条第1項第3号に掲げる発明に該当すると主張している(上記「第4 1(1)」を参照)。
しかしながら、上記「第4 4」で説示したとおり、甲1発明は、上記相違点1~6に係る本件発明の構成を備えていないから、本件発明は甲1発明と相違する。
第6 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知書に記載した取消理由及び特許異議の申立ての理由によっては、請求項1に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に請求項1に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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2023-701367