特許異議申立
2025-700647
勾配リング状のボンド磁石及びその製造方法、モータ
- 審判番号
- 2025-700647
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2023-177636
- 登録番号
- 7608559
- 請求日
- 2025年06月20日
- 審決日
- 2026年03月02日
- 公報発行日
- 2026年06月26日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】有研稀土高技術有限公司
- 【権利者代理人】TRY国際弁理士法人
- 【権利者】有研稀土新材料股▲フン▼有限公司
- 【権利者代理人】TRY国際弁理士法人
- 【異議申立人】角田 朗
- 審判長/審判官
- 審判長 梶尾 誠哉
- 審判官 ▲吉▼澤 雅博
- 審判官 須原 宏光
- 分類
- P1652.113-XA (H01F) / P1652.121-XA (H01F) / P1652.536-XA (H01F) / P1652.537-XA (H01F)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法120条の5第2項3号特許法120条の5第2項4号特許法120条の5第9項特許法120条の8第1項特許法126条5項特許法126条6項特許法126条7項特許法135条
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第120条の5第2項、特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第5項、特許法第120条の5第4項、特許法第120条の8第1項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7608559号発明「勾配リング状のボンド磁石及びその製造方法、モータ」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7608559号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~9〕について訂正することを認める。
特許第7608559号の請求項1~3及び8に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7608559号(以下「本件特許」という。)の請求項1~8に係る特許についての出願は、2023年(令和5年)10月13日(パリ条約に基づく優先権主張 2022年12月27日 中国(CN))の出願であって、令和6年12月20日に特許権の設定登録がされ、令和7年1月6日に特許掲載公報が発行された。
その後、本件特許の請求項1~3及び8に係る特許に対し、特許掲載公報の発行から6月以内である令和7年6月20日に、特許異議申立人 角田 朗(以下「申立人」という。)により特許異議の申立てがされた。
その後の手続の経緯は、概略、以下のとおりである。
令和7年 9月24日付け:取消理由通知書
同年12月26日 :特許権者による訂正請求書及び意見書の提出
令和8年 1月29日 :特許権者による手続補正書(方式)の提出
以下、令和8年1月29日に提出された手続補正書(方式)により補正された訂正請求書を「本件訂正請求書」といい、本件訂正請求書による訂正の請求を「本件訂正請求」といい、本件訂正請求書による訂正を「本件訂正」という。
なお、申立人は、特許異議申立書において、意見書提出の機会を希望しているが、後記第2のとおり、本件訂正により、特許異議の申立てがされた請求項がすべて削除され、特許異議の申立ての対象が存在しないこととなったため、申立人に意見書を提出する機会を与える必要がないと認められる特別の事情があるといえるから(特許法第120条の5第5項ただし書き)、申立人に対して意見書を提出する機会を与えることはしなかった。
第2 訂正の適否について
1 訂正の内容
本件訂正請求の「請求の趣旨」は、「特許第7608559号の特許請求の範囲を、本訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~9について訂正することを求める。」ものであり、その内容は以下の訂正事項1~6のとおりである。
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1を削除する。
(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項2を削除する。
(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項3を削除する。
(4)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項4を削除する。
(5)訂正事項5
ア 訂正事項5-1
特許請求の範囲の請求項5に「請求項1~4のいずれか1項に記載の勾配リング状のボンド磁石を製造するための勾配リング状のボンド磁石の製造方法であって、以下のステップを含み、
ステップ1であって、モータの構造に基づき、磁石本体及び補強層の構造パラメータ及び接続位置パラメータを得、
ステップ2であって、前記構造パラメータ及び前記接続位置パラメータに基づき、磁石本体及び補強層を得、
ステップ3であって、前記磁石本体と前記補強層に対して嵌合取付を行い、プレスし、硬化させ、勾配リング状のボンド磁石を得る、ことを特徴とする勾配リング状のボンド磁石の製造方法。」とあるうち、請求項1を引用するものについて、独立請求項に改め、「勾配リング状のボンド磁石の製造方法であって、前記勾配リング状のボンド磁石は、磁石本体(1)と少なくとも1つの補強層(2)とを含み、
前記磁石本体(1)は、リング状の円柱体であり、
前記補強層(2)は、前記磁石本体(1)の表面に圧着され、
前記磁石本体(1)の径方向における内壁には、複数の凹溝が設けられ、
前記補強層(2)は、前記凹溝の形状に合わせる複数の弧形のシート状の補強体を含み、
前記補強体は、凹溝内に設けられ、前記補強体は、前記凹溝の底部に圧着され、
前記磁石本体(1)の材料は、第1永久磁石であり、前記補強層(2)の材料は、第2永久磁石であり、前記第2永久磁石の保磁力性能、残留磁化性能及び最大動作温度は、前記第1永久磁石よりも高く、
前記製造方法は以下のステップを含み、
ステップ1であって、モータの構造に基づき、磁石本体及び補強層の構造パラメータ及び接続位置パラメータを得、
ステップ2であって、前記構造パラメータ及び前記接続位置パラメータに基づき、磁石本体及び補強層を得、
ステップ3であって、前記磁石本体と前記補強層に対して嵌合取付を行い、プレスし、硬化させ、勾配リング状のボンド磁石を得る、ことを特徴とする勾配リング状のボンド磁石の製造方法。」に訂正する。
なお、請求項5を直接的に引用する請求項6及び7も同様に訂正する。
イ 訂正事項5-2
特許請求の範囲の請求項5に「請求項1~4のいずれか1項に記載の勾配リング状のボンド磁石を製造するための勾配リング状のボンド磁石の製造方法であって、以下のステップを含み、
ステップ1であって、モータの構造に基づき、磁石本体及び補強層の構造パラメータ及び接続位置パラメータを得、
ステップ2であって、前記構造パラメータ及び前記接続位置パラメータに基づき、磁石本体及び補強層を得、
ステップ3であって、前記磁石本体と前記補強層に対して嵌合取付を行い、プレスし、硬化させ、勾配リング状のボンド磁石を得る、ことを特徴とする勾配リング状のボンド磁石の製造方法。」とあるうち、請求項1を引用する請求項2を引用するものについて、「前記第1永久磁石及び前記第2永久磁石の材料は、ネオジム鉄ホウ素、サマリウム鉄窒素及び/又はサマリウムコバルトを含む、ことを特徴とする請求項5に記載の勾配リング状のボンド磁石の製造方法。」と記載し、新たに請求項9とする。
(6)訂正事項6
特許請求の範囲の請求項8を削除する。
(7)一群の請求項について
訂正前の請求項1~8は、請求項2~8が訂正の請求の対象である請求項1の記載を直接的又は間接的に引用しているものであるから、訂正前の請求項1~8に対応する訂正後の請求項1~9は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。
2 訂正の目的の適否、新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否
(1)訂正事項1~4及び6
訂正事項1~4及び6は、請求項を削除するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
また、訂正事項1~4及び6は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であって、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものにも該当しないから、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項及び第6項に適合するものである。
(2)訂正事項5
ア 訂正事項5-1
訂正事項5-1は、訂正前の請求項5が請求項1~4のいずれかを引用する記載であるところ、請求項間の引用関係を解消し、訂正前の請求項1を引用する請求項5を独立形式請求項へ改めるとともに、「凹溝が設けられ」る位置を磁石本体(1)の「径方向における内壁」に限定し、訂正後の請求項5とするものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に規定する他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること及び同第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
また、訂正事項5-1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であって、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものにも該当しないから、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項及び第6項に適合するものである。
イ 訂正事項5-2
訂正事項5-2は、訂正前の請求項1を引用する請求項2を引用する請求項5について、訂正前の請求項2が削除されたことに伴い新たに請求項9としたものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
また、訂正事項5-2は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であって、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものにも該当しないから、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項及び第6項に適合するものである。
3 独立特許要件について
訂正事項1~3及び6は、特許異議の申立てがされている請求項1~3及び8に対してされたものであるから、特許法第120条の5第9項において読み替えて準用する同法126条第7項に規定される独立特許要件は課されない。
また、訂正事項4は、請求項4を削除するものであるから、特許法第120条の5第9項において読み替えて準用する同法126条第7項に規定される独立特許要件は課されない。
一方、訂正事項5は、特許異議の申立てがされていない請求項5~7に対してされたものであり、特許法120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当するから、独立特許要件が課される。
しかしながら、特許異議申立書に記載した申立理由及び当審において通知した取消理由を検討しても、訂正後の請求項5~7及び9に係る発明について、特許出願の際に独立して特許を受けることができないとする理由はなく、他に新たな取消理由も発見しないから、訂正後の請求項5~7及び9に係る発明は、特許出願の際に独立して特許を受けることができるものである。
4 小括
以上のとおりであるから、訂正前の請求項1~4及び8についての訂正事項1~4及び6は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項に適合する。
また、訂正前の請求項5~7についての訂正事項5は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号、第3号及び第4号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項に適合し、加えて、特許法第120条の5第9項において読み替えて準用する同法第126条第7項の規定に適合する。
したがって、特許請求の範囲を、本件訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~9〕について訂正することを認める。
第3 特許異議の申立てについて
上記第2のとおり、本件特許の請求項1~3及び8に係る特許は、本件訂正により削除されたから、本件特許異議の申立ては、その対象とするすべての請求項が存在しないものとなった。
したがって、本件特許異議の申立ては、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。
よって、結論のとおり決定する。
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