審決検索MVP
← 検索一覧に戻る
特許異議申立

2025-700550

吸血害虫忌避組成物、及び当該組成物を用いた吸血害虫忌避方法

審判番号
2025-700550
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2020-218512
登録番号
7590178
請求日
2025年05月23日
審決日
2026年02月02日
公報発行日
2026年04月24日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】大日本除蟲菊株式会社
  • 【権利者代理人】沖中 仁
  • 【権利者代理人】日東 伸二
  • 【異議申立人】西内 大生
審判長/審判官
  • 審判長 齋藤 恵
  • 審判官 新留 豊
  • 審判官 小石 真弓
分類
P1651.113-YAA(A01N) / P1651.121-YAA(A01N)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第1項第3号、特許法第120条の5第2項、特許法第120条の5第4項、特許法第120条の5第9項、特許法第126条第7項、特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第7590178号発明「吸血害虫忌避組成物、及び当該組成物を用いた吸血害虫忌避方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7590178号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-4〕について訂正することを認める。 特許第7590178号の請求項1~4に係る特許を維持する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第7590178号(以下「本件特許」という。)の請求項1~4に係る特許についての出願は、2020年(令和2年)12月28日(優先権主張 令和2年1月28日)の出願であり、令和6年11月18日に特許権の設定登録がされ、同年同月26日に特許掲載公報が発行され、その請求項1~4に係る発明の特許に対し、令和7年5月23日付けで、西内 大生(以下「申立人」という。)により特許異議の申立てがされたものである。 その後の主な手続の経緯は次のとおりである。 令和7年 7月 4日 手続補正書の提出 同年 8月29日付け 取消理由通知書 同年 10月24日 意見書・訂正請求書の提出(特許権者) 同年 11月 5日付け 訂正請求があった旨の通知書 同年 12月 8日 意見書の提出(申立人) 第2 訂正請求について 1 訂正の趣旨 令和7年10月24日に提出された訂正請求書による訂正(以下「本件訂正」という。)の「請求の趣旨」は、 「特許第7590178号の特許請求の範囲を、本件訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~4について訂正することを求める。」 というものである。 2 訂正の内容 本件訂正の内容は、訂正請求書の記載及び訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲の記載からみて、次の訂正事項1からなるものであると認められる。下線は、訂正による記載の変更箇所を示す。 (1)訂正事項1 ア 訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1に 「前記香料成分は、シス-3-ヘキセノール、ジヒドロミルセノール、エチルリナロール、リナロール、ゲラニオール、テトラヒドロゲラニオール、テルピネオール、フェニルエチルアルコール、ヘリオナール、リリアール、安息香酸ベンジル、サリチル酸ベンジル、シス-3-ヘキセニルサリチレート、ジヒドロジャスモン酸メチル、ラズベリーケトン、ガラクソリド、エチレンブラシレート、シクロペンタデカノリド、メントン、リモネン、シトロネロール、シトロネラール、α-テルピネオール、パチュリアルコール、β-ヒマカレン、ベンジルアセテート、ベンジルアルコール、ゲラニルフォーメート、オイゲノール、ビサボロールオキシドA、及びα-ピネンからなる群から選択される少なくとも一つ(但し、イカリジンとフェニルエチルアルコールとの組み合わせ、及び3-(N-ブチルアセトアミド)プロピオン酸エチルとゲラニオールとの組み合わせを除く)である」 と記載されているのを、 「前記香料成分は、シス-3-ヘキセノール、ジヒドロミルセノール、エチルリナロール、テトラヒドロゲラニオール、フェニルエチルアルコール、ヘリオナール、リリアール、シス-3-ヘキセニルサリチレート、ジヒドロジャスモン酸メチル、ラズベリーケトン、ガラクソリド、エチレンブラシレート、シクロペンタデカノリド、メントン、シトロネラール、α-テルピネオール、パチュリアルコール、β-ヒマカレン、ゲラニルフォーメート、ビサボロールオキシドA、及びα-ピネンからなる群から選択される少なくとも一つ(但し、イカリジンとフェニルエチルアルコールとの組み合わせ、及びイカリジンとα-テルピネオールとの組み合わせを除く)である」 に訂正する(請求項1の記載を直接的又は間接的に引用する請求項2~4も同様に訂正する)。 (2)訂正の適否 ア 訂正事項1は、下記の訂正事項1-1及び1-2からなる。 訂正事項1-1 訂正前の請求項1における香料成分のうち、「リナロール」、「ゲラニオール」、「テルピネオール」、「安息香酸ベンジル」、「サリチル酸ベンジル」、「リモネン」、「シトロネロール」、「ベンジルアセテート」、「ベンジルアルコール」及び「オイゲノール」を削除する訂正。 訂正事項1-2 訂正前の請求項1における、「除く」とされる「組み合わせ」の一つである 「3-(N-ブチルアセトアミド)プロピオン酸エチルとゲラニオール」 を 「イカリジンとα-テルピネオール」 とする訂正。 イ 訂正事項1-1について 訂正事項1-1は、訂正前の請求項1に択一的に記載されていた香料成分の中から「リナロール」、「ゲラニオール」、「テルピネオール」、「安息香酸ベンジル」、「サリチル酸ベンジル」、「リモネン」、「シトロネロール」、「ベンジルアセテート」、「ベンジルアルコール」、及び「オイゲノール」を削除するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。 また、訂正事項1-1は、上記のとおり、択一的に記載されていた香料成分の中から一部の成分を削除するというものであるから、本件特許の願書に添付した明細書(以下「本件明細書」という。)又は特許請求の範囲(以下「特許明細書等」という。)に記載した事項の範囲内においてする訂正に該当することは明らかであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもない。 ウ 訂正事項1-2について 訂正事項1-2は、訂正事項1-1のうち、「ゲラニオール」を削除する訂正に合わせて、除かれる組み合わせから「3-(N-ブチルアセトアミド)プロピオン酸エチルとゲラニオールとの組み合わせ」を削除するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」に該当する。 そして、さらに除かれる組み合わせに「イカリジンとα-テルピネオールとの組み合わせ」を追加することにより、香料成分を限定するものであるから、この訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」に該当する。 よって、この訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」に該当し、また、同法同条同項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」に該当する。 そして、本訂正事項は「ゲラニオール」の削除に伴い、除かれる組み合わせにゲラニオールが含まれる点が不明瞭であることを正し、また除かれる組み合わせに「イカリジンとα-テルピネオールとの組み合わせ」を追加して、香料成分を限定するものであるから、特許明細書等に記載した事項の範囲内においてする訂正に該当することは明らかであり、さらに、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではない。 エ 独立特許要件について 本件特許異議申立においては、訂正前の全ての請求項1~4について特許異議の申立てがされているので、訂正前の請求項1~4について、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項に規定する要件(いわゆる「独立特許要件」)は課されない。 3 一群の請求項について 本件訂正に係る訂正前の請求項1~4について、その請求項2~4は請求項1を引用するものであるから、訂正前の請求項2~4は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。 したがって、本件訂正は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項に対してなされたものである。 4 まとめ 以上のとおり、訂正事項1による本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号又は第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。 したがって、訂正後の請求項〔1-4〕について訂正することを認める。 第3 本件訂正発明 本件訂正により訂正された請求項1~4に係る発明(以下「本件訂正発明1」等といい、併せて「本件訂正発明」ともいうことがある。)は、その特許請求の範囲の請求項1~4に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。 「【請求項1】 害虫忌避成分と香料成分とを含有する吸血害虫忌避組成物であって、 前記害虫忌避成分は、3-(N-ブチルアセトアミド)プロピオン酸エチル、及び/又はイカリジンであり、 前記香料成分は、シス-3-ヘキセノール、ジヒドロミルセノール、エチルリナロール、テトラヒドロゲラニオール、フェニルエチルアルコール、ヘリオナール、リリアール、シス-3-ヘキセニルサリチレート、ジヒドロジャスモン酸メチル、ラズベリーケトン、ガラクソリド、エチレンブラシレート、シクロペンタデカノリド、メントン、シトロネラール、α-テルピネオール、パチュリアルコール、β-ヒマカレン、ゲラニルフォーメート、ビサボロールオキシドA、及びα-ピネンからなる群から選択される少なくとも一つ(但し、イカリジンとフェニルエチルアルコールとの組み合わせ、及びイカリジンとα-テルピネオールとの組み合わせを除く)である吸血害虫忌避組成物。 【請求項2】 前記香料成分の含有量が0.1~2.0w/v%である請求項1に記載の吸血害虫忌避組成物。 【請求項3】 前記香料成分(a)と前記害虫忌避成分(b)との配合比(a/b)が、重量比として、0.01~1.5である請求項1又は2に記載の吸血害虫忌避組成物。 【請求項4】 請求項1~3の何れか一項に記載の吸血害虫忌避組成物を用いた吸血害虫忌避方法であって、 処理対象の肌又は衣料に前記吸血害虫忌避組成物を噴霧する噴霧工程と、 前記肌又は衣料に対して前記吸血害虫忌避組成物を噴霧する位置を変更する変更工程と、 を包含する吸血害虫忌避方法。」 第4 特許異議申立理由及び取消理由の概要 1 特許異議申立理由の概要 申立人は、証拠方法として、特許異議申立書(以下「申立書」という。)に添付して下記(10)に示す甲第1号証~甲第20号証及び甲第31号証~甲第83号証(以下「甲1」等という。)を提出し、本件訂正前の請求項1~4に係る特許を取り消すべき理由として、下記(1)~(9)に示す特許異議の申立ての理由(以下「申立理由」という。)を主張している。 申立理由の概要は、申立書の記載全体からみて、以下のとおりであると認められる。 (1)申立理由1-1(甲1に基づく新規性欠如) 本件特許の請求項1及び2に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において頒布された、又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった、甲1に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当するから、これらの請求項に係る特許は、同法同条同項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。 (2)申立理由1-2(甲2に基づく新規性欠如) 本件特許の請求項1~3に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において頒布された、又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった、甲2に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当するから、これらの請求項に係る特許は、同法同条同項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。 (3)申立理由1-3(甲3に基づく新規性欠如) 本件特許の請求項1~3に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において頒布された、又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった、甲3に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当するから、これらの請求項に係る特許は、同法同条同項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。 (4)申立理由1-4(甲4に基づく新規性欠如) 本件特許の請求項1~3に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において頒布された、又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった、甲4に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当するから、これらの請求項に係る特許は、同法同条同項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。 (5)申立理由1-5(甲31~83に基づく新規性欠如) 本件特許の請求項1に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において頒布された、又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった、甲31~83に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当するから、これらの請求項に係る特許は、同法同条同項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。 (6)申立理由2-1(甲1に基づく進歩性欠如) 本件特許の請求項1~4に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において頒布された、又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった、甲1に記載された発明、並びに甲2~20及び甲31~83に記載された事項に基いて、本件特許の出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、これらの請求項に係る特許は、同法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。 (7)申立理由2-2(甲2に基づく進歩性欠如) 本件特許の請求項1~3に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において頒布された、又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった、甲2に記載された発明、並びに甲1、甲3~20及び甲31~83に記載された事項に基いて、本件特許の出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、これらの請求項に係る特許は、同法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。 (8)申立理由2-3(甲3に基づく進歩性欠如) 本件特許の請求項1~3に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において頒布された、又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった、甲3に記載された発明、並びに甲1、甲2、甲4~20及び甲31~83に記載された事項に基いて、本件特許の出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、これらの請求項に係る特許は、同法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。 (9)申立理由2-4(甲4に基づく進歩性欠如) 本件特許の請求項1~4に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において頒布された、又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった、甲4に記載された発明、並びに甲1~3、甲5~20及び甲31~83に記載された事項に基いて、本件特許の出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、これらの請求項に係る特許は、同法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。 (10)異議申立書に添付された証拠 甲第1号証:欧州特許出願公開第1997382号明細書 甲第2号証:特開2009-1501号公報 甲第3号証:国際公開第02/43490号 甲第4号証:特開2020-2048号公報 甲第5号証:特開2018-118922号公報 甲第6号証:特開2013-144692号公報 甲第7号証:特開2019-99519号公報 甲第8号証:国際公開第2019/135382号 甲第9号証:欧州特許出願公開第1997378号明細書 甲第10号証:国際公開第2019/160114号 甲第11号証:特開2019-34906号公報 甲第12号証:特開2019-112456号公報 甲第13号証:特開2017-119684号公報 甲第14号証:国際公開第2007/133683号 甲第15号証:米国特許出願公開第2007/0166341号明細書 甲第16号証:国際公開第2007/082306号 甲第17号証:国際公開第2020/006322号 甲第18号証:国際公開第2015/014628号 甲第19号証:米国特許出願公開第2007/0231279号明細書 甲第20号証:国際公開第2013/059364号 甲第31号証:MINTEL GNPD, (ID#):7217823、Repellent、2020年1月掲載、インターネット<URL:https://www.gnpd.com> 甲第32号証:MINTEL GNPD, (ID#):6748381、Aloe Vera Mosquito Repellent Lotion、2019年7月掲載、インターネット<URL:https://www.gnpd.com> 甲第第33号証:MINTEL GNPD, (ID#):5970435、Insect Repellent Spray、2018年9月掲載、インターネット<URL:https://www.gnpd.com> 甲第34号証:MINTEL GNPD, (ID#):5469963、High Efficiency Insect Repellent Spray、2018年2月掲載、インターネット<URL:https://www.gnpd.com> 甲第35号証:MINTEL GNPD, (ID#):5220733、Insect Repellent Lotion、2017年11月掲載、インターネット<URL:https://www.gnpd.com> 甲第36号証:MINTEL GNPD, (ID#):5082765、2in1 Insect Repellent Fragrance for Her、2017年9月掲載、インターネット<URL:https://www.gnpd.com> 甲第37号証:MINTEL GNPD, (ID#):5049993、Insect Repellent Spray、2017年8月掲載、インターネット<URL:https://www.gnpd.com> 甲第38号証:MINTEL GNPD, (ID#):5069267、Tropical Areas Anti-Mosquito Repellent Spray、2017年8月掲載、インターネット<URL:https://www.gnpd.com> 甲第39号証:MINTEL GNPD, (ID#):4992195、Citronella Scented Insect Repellent Wet Wipes、2017年8月掲載、インターネット<URL:https://www.gnpd.com> 甲第40号証:MINTEL GNPD, (ID#):4789287、Mosquito Repellent Tropical Lotion、2017年5月掲載、インターネット<URL:https://www.gnpd.com> 甲第41号証:MINTEL GNPD, (ID#):4718863、Insect Repellent Spray、2017年4月掲載、インターネット<URL:https://www.gnpd.com> 甲第42号証:MINTEL GNPD, (ID#):4696865、Anti-Mosquito Repellent Spray、2017年3月掲載、インターネット<URL:https://www.gnpd.com> 甲第43号証:MINTEL GNPD, (ID#):4679967、Insect Repellent Lotion for Babies、2017年3月掲載、インターネット<URL:https://www.gnpd.com> 甲第44号証:MINTEL GNPD, (ID#):4403441、High Effectiveness Insect Repellent Spray、2017年1月掲載、インターネット<URL:https://www.gnpd.com> 甲第45号証:MINTEL GNPD, (ID#):4506625、Insect Repellent Lotion Spray、2016年12月掲載、インターネット<URL:https://www.gnpd.com> 甲第46号証:MINTEL GNPD, (ID#):4474779、Insect Repellent Lotion、2016年12月掲載、インターネット<URL:https://www.gnpd.com> 甲第47号証:MINTEL GNPD, (ID#):4356215、Insect Repellent Lotion、2016年10月掲載、インターネット<URL:https://www.gnpd.com> 甲第48号証:MINTEL GNPD, (ID#):4343829、Mosquito Repellent for Babies、2016年10月掲載、インターネット<URL:https://www.gnpd.com> 甲第49号証:MINTEL GNPD, (ID#):4313165、Insect Repellent Lotion、2016年9月掲載、インターネット<URL:https://www.gnpd.com> 甲第50号証:MINTEL GNPD, (ID#):4262757、Mosquito Repellent Spray、2016年9月掲載、インターネット<URL:https://www.gnpd.com> 甲第51号証:MINTEL GNPD, (ID#):4252307、2 in 1 Fragrance & Insect Repellent for Her、2016年9月掲載、インターネット<URL:https://www.gnpd.com> 甲第52号証:MINTEL GNPD, (ID#):4197367、Insect Repellent for Kids、2016年8月掲載、インターネット<URL:https://www.gnpd.com> 甲第53号証:MINTEL GNPD, (ID#):4042529、Insect Repellent Lotion、2016年6月掲載、インターネット<URL:https://www.gnpd.com> 甲第54号証:MINTEL GNPD, (ID#):4018261、Insect Repellent、2016年5月掲載、インターネット<URL:https://www.gnpd.com> 甲第55号証:MINTEL GNPD, (ID#):3914695、Mosquito Repellent Spray for Children、2016年4月掲載、インターネット<URL:https://www.gnpd.com> 甲第56号証:MINTEL GNPD, (ID#):3479825、Repellent Spray、2015年10月掲載、インターネット<URL:https://www.gnpd.com> 甲第57号証:MINTEL GNPD, (ID#):3438115、Insect Repellent Spray for Children、2015年9月掲載、インターネット<URL:https://www.gnpd.com> 甲第58号証号証:MINTEL GNPD, (ID#):3320605、Anti-Mosquito and Wasp Spray、2015年7月掲載、インターネット<URL:https://www.gnpd.com> 甲第59号証号証:MINTEL GNPD, (ID#):3022183、School Cologne、2015年3月掲載、インターネット<URL:https://www.gnpd.com> 甲第60号証:MINTEL GNPD, (ID#):2415205、Insect Repellent for Babies、2014年5月掲載、インターネット<URL:https://www.gnpd.com> 甲第61号証:MINTEL GNPD, (ID#):2307626、Insect Repellent Spray、2014年2月掲載、インターネット<URL:https://www.gnpd.com> 甲第62号証:MINTEL GNPD, (ID#):1617986、Green Protect Ecological Spray、2011年9月掲載、インターネット<URL:https://www.gnpd.com> 甲第63号証:MINTEL GNPD, (ID#):1383568、Tick Spray、2010年8月掲載、インターネット<URL:https://www.gnpd.com> 甲第64号証:MINTEL GNPD, (ID#):6586631、High Protection Insect Repellent Spray、2019年6月掲載、インターネット<URL:https://www.gnpd.com> 甲第65号証:MINTEL GNPD, (ID#):6213293、Insect Repellent、2018年12月掲載、インターネット<URL:https://www.gnpd.com> 甲第66号証:MINTEL GNPD, (ID#):6004353、High Protection Insect Repellent Spray、2018年9月掲載、インターネット<URL:https://www.gnpd.com> 甲第67号証:MINTEL GNPD, (ID#):5748669、Insect Repellent Lotion、2018年6月掲載、インターネット<URL:https://www.gnpd.com> 甲第68号証:MINTEL GNPD, (ID#):5378209、Insect Repellent Spray、2018年1月掲載、インターネット<URL:https://www.gnpd.com> 甲第69号証:MINTEL GNPD, (ID#):3681211、Insect Repellent Body Lotion、2015年12月掲載、インターネット<URL:https://www.gnpd.com> 甲第70号証:MINTEL GNPD, (ID#):1584630、Mosquito Repellent Spray、2011年7月掲載、インターネット<URL:https://www.gnpd.com> 甲第71号証:MINTEL GNPD, (ID#):921526、Anti-Insect Repellent and Soothing Milk、2008年6月掲載、インターネット<URL:https://www.gnpd.com> 甲第72号証:MINTEL GNPD, (ID#):682768、Head Lice Repellent、2007年4月掲載、インターネット<URL:https://www.gnpd.com> 甲第73号証:MINTEL GNPD, (ID#):3009111、DEET Free Insect Repellent With Antiseptics、2015年2月掲載、インターネット<URL:https://www.gnpd.com> 甲第74号証:MINTEL GNPD, (ID#):5191893、Insect Repellent、2017年10月掲載、インターネット<URL:https://www.gnpd.com> 甲第75号証:MINTEL GNPD, (ID#):5808957、2-in-1 Insect Repellent Spray with Sunscreen、2018年7月掲載、インターネット<URL:https://www.gnpd.com> 甲第76号証:MINTEL GNPD, (ID#):5401181、Insect Repellent Wet Tissues、2018年1月掲載、インターネット<URL:https://www.gnpd.com> 甲第77号証:MINTEL GNPD, (ID#):4668381、Lice Treatment Spray、2017年3月掲載、インターネット<URL:https://www.gnpd.com> 甲第78号証:MINTEL GNPD, (ID#):3919957、Lice Treatment Spray、2016年4月掲載、インターネット<URL:https://www.gnpd.com> 甲第79号証:MINTEL GNPD, (ID#):771287、Head Lice Repellent、2007年9月掲載、インターネット<URL:https://www.gnpd.com> 甲第80号証:MINTEL GNPD, (ID#):4123003、Insect Repellent、2016年7月掲載、インターネット<URL:https://www.gnpd.com> 甲第81号証:MINTEL GNPD, (ID#):5030319、Lice Repellent Lotion for Lice and Nits、2017年8月掲載、インターネット<URL:https://www.gnpd.com> 甲第82号証:MINTEL GNPD, (ID#):3464581、Gentle Breeze Insect Repellent、2015年10月掲載、インターネット<URL:https://www.gnpd.com> 甲第83号証:MINTEL GNPD, (ID#):900707、Repellent Cream、2008年4月掲載、インターネット<URL:https://www.gnpd.com> 2 当審合議体が通知した取消理由の概要 本件訂正前の請求項1~4に係る特許について、当審合議体が令和7年8月29日付けで特許権者に通知した取消理由の概要は、次のとおりである。 [取消理由1](新規性欠如) 本件特許の請求項1~3に係る発明は、下記の刊行物に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当するから、上記請求項1~3に係る特許は、同法同条同項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 [取消理由2](進歩性欠如) 本件特許の請求項1~4に係る発明は、下記の刊行物に記載された発明に基いて、本件特許の出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、上記請求項1~4に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 取消理由と申立理由の関係は以下のとおりである。 取消理由1:申立理由1-2、申立理由1-3及び申立理由1-5(甲32~83に基づく新規性欠如)を採用したものである。 取消理由2:申立理由2-1~2-3を採用したものである。 そして、取消理由1及び2において、提示した証拠は次のとおりである。(甲1~3及び甲32~83は、申立人が提出した甲1~3及び甲32~83と同じ文献である。) 甲1:欧州特許出願公開第1997382号明細書 甲2:特開2009-1501号公報 甲3:国際公開第02/43490号 甲32:MINTEL GNPD, (ID#):6748381、Aloe Vera Mosquito Repellent Lotion、2019年7月掲載、インターネット<URL:https://www.gnpd.com> 甲33:MINTEL GNPD, (ID#):5970435、Insect Repellent Spray、2018年9月掲載、インターネット<URL:https://www.gnpd.com> 甲34:MINTEL GNPD, (ID#):5469963、High Efficiency Insect Repellent Spray、2018年2月掲載、インターネット<URL:https://www.gnpd.com> 甲35:MINTEL GNPD, (ID#):5220733、Insect Repellent Lotion、2017年11月掲載、インターネット<URL:https://www.gnpd.com> 甲36:MINTEL GNPD, (ID#):5082765、2in1 Insect Repellent Fragrance for Her、2017年9月掲載、インターネット<URL:https://www.gnpd.com> 甲37:MINTEL GNPD, (ID#):5049993、Insect Repellent Spray、2017年8月掲載、インターネット<URL:https://www.gnpd.com> 甲38:MINTEL GNPD, (ID#):5069267、Tropical Areas Anti-Mosquito Repellent Spray、2017年8月掲載、インターネット<URL:https://www.gnpd.com> 甲39:MINTEL GNPD, (ID#):4992195、Citronella Scented Insect Repellent Wet Wipes、2017年8月掲載、インターネット<URL:https://www.gnpd.com> 甲40:MINTEL GNPD, (ID#):4789287、Mosquito Repellent Tropical Lotion、2017年5月掲載、インターネット<URL:https://www.gnpd.com> 甲41:MINTEL GNPD, (ID#):4718863、Insect Repellent Spray、2017年4月掲載、インターネット<URL:https://www.gnpd.com> 甲42:MINTEL GNPD, (ID#):4696865、Anti-Mosquito Repellent Spray、2017年3月掲載、インターネット<URL:https://www.gnpd.com> 甲43:MINTEL GNPD, (ID#):4679967、Insect Repellent Lotion for Babies、2017年3月掲載、インターネット<URL:https://www.gnpd.com> 甲44:MINTEL GNPD, (ID#):4403441、High Effectiveness Insect Repellent Spray、2017年1月掲載、インターネット<URL:https://www.gnpd.com> 甲45:MINTEL GNPD, (ID#):4506625、Insect Repellent Lotion Spray、2016年12月掲載、インターネット<URL:https://www.gnpd.com> 甲46:MINTEL GNPD, (ID#):4474779、Insect Repellent Lotion、2016年12月掲載、インターネット<URL:https://www.gnpd.com> 甲47:MINTEL GNPD, (ID#):4356215、Insect Repellent Lotion、2016年10月掲載、インターネット<URL:https://www.gnpd.com> 甲48:MINTEL GNPD, (ID#):4343829、Mosquito Repellent for Babies、2016年10月掲載、インターネット<URL:https://www.gnpd.com> 甲49:MINTEL GNPD, (ID#):4313165、Insect Repellent Lotion、2016年9月掲載、インターネット<URL:https://www.gnpd.com> 甲50:MINTEL GNPD, (ID#):4262757、Mosquito Repellent Spray、2016年9月掲載、インターネット<URL:https://www.gnpd.com> 甲51:MINTEL GNPD, (ID#):4252307、2 in 1 Fragrance & Insect Repellent for Her、2016年9月掲載、インターネット<URL:https://www.gnpd.com> 甲52:MINTEL GNPD, (ID#):4197367、Insect Repellent for Kids、2016年8月掲載、インターネット<URL:https://www.gnpd.com> 甲53:MINTEL GNPD, (ID#):4042529、Insect Repellent Lotion、2016年6月掲載、インターネット<URL:https://www.gnpd.com> 甲54:MINTEL GNPD, (ID#):4018261、Insect Repellent、2016年5月掲載、インターネット<URL:https://www.gnpd.com> 甲55:MINTEL GNPD, (ID#):3914695、Mosquito Repellent Spray for Children、2016年4月掲載、インターネット<URL:https://www.gnpd.com> 甲56:MINTEL GNPD, (ID#):3479825、Repellent Spray、2015年10月掲載、インターネット<URL:https://www.gnpd.com> 甲57:MINTEL GNPD, (ID#):3438115、Insect Repellent Spray for Children、2015年9月掲載、インターネット<URL:https://www.gnpd.com> 甲58:MINTEL GNPD, (ID#):3320605、Anti-Mosquito and Wasp Spray、2015年7月掲載、インターネット<URL:https://www.gnpd.com> 甲59:MINTEL GNPD, (ID#):3022183、School Cologne、2015年3月掲載、インターネット<URL:https://www.gnpd.com> 甲60:MINTEL GNPD, (ID#):2415205、Insect Repellent for Babies、2014年5月掲載、インターネット<URL:https://www.gnpd.com> 甲61:MINTEL GNPD, (ID#):2307626、Insect Repellent Spray、2014年2月掲載、インターネット<URL:https://www.gnpd.com> 甲62:MINTEL GNPD, (ID#):1617986、Green Protect Ecological Spray、2011年9月掲載、インターネット<URL:https://www.gnpd.com> 甲63:MINTEL GNPD, (ID#):1383568、Tick Spray、2010年8月掲載、インターネット<URL:https://www.gnpd.com> 甲64:MINTEL GNPD, (ID#):6586631、High Protection Insect Repellent Spray、2019年6月掲載、インターネット<URL:https://www.gnpd.com> 甲65:MINTEL GNPD, (ID#):6213293、Insect Repellent、2018年12月掲載、インターネット<URL:https://www.gnpd.com> 甲66:MINTEL GNPD, (ID#):6004353、High Protection Insect Repellent Spray、2018年9月掲載、インターネット<URL:https://www.gnpd.com> 甲67:MINTEL GNPD, (ID#):5748669、Insect Repellent Lotion、2018年6月掲載、インターネット<URL:https://www.gnpd.com> 甲68:MINTEL GNPD, (ID#):5378209、Insect Repellent Spray、2018年1月掲載、インターネット<URL:https://www.gnpd.com> 甲69:MINTEL GNPD, (ID#):3681211、Insect Repellent Body Lotion、2015年12月掲載、インターネット<URL:https://www.gnpd.com> 甲70:MINTEL GNPD, (ID#):1584630、Mosquito Repellent Spray、2011年7月掲載、インターネット<URL:https://www.gnpd.com> 甲71:MINTEL GNPD, (ID#):921526、Anti-Insect Repellent and Soothing Milk、2008年6月掲載、インターネット<URL:https://www.gnpd.com> 甲72:MINTEL GNPD, (ID#):682768、Head Lice Repellent、2007年4月掲載、インターネット<URL:https://www.gnpd.com> 甲73:MINTEL GNPD, (ID#):3009111、DEET Free Insect Repellent With Antiseptics、2015年2月掲載、インターネット<URL:https://www.gnpd.com> 甲74:MINTEL GNPD, (ID#):5191893、Insect Repellent、2017年10月掲載、インターネット<URL:https://www.gnpd.com> 甲75:MINTEL GNPD, (ID#):5808957、2-in-1 Insect Repellent Spray with Sunscreen、2018年7月掲載、インターネット<URL:https://www.gnpd.com> 甲76:MINTEL GNPD, (ID#):5401181、Insect Repellent Wet Tissues、2018年1月掲載、インターネット<URL:https://www.gnpd.com> 甲77:MINTEL GNPD, (ID#):4668381、Lice Treatment Spray、2017年3月掲載、インターネット<URL:https://www.gnpd.com> 甲78:MINTEL GNPD, (ID#):3919957、Lice Treatment Spray、2016年4月掲載、インターネット<URL:https://www.gnpd.com> 甲79:MINTEL GNPD, (ID#):771287、Head Lice Repellent、2007年9月掲載、インターネット<URL:https://www.gnpd.com> 甲80:MINTEL GNPD, (ID#):4123003、Insect Repellent、2016年7月掲載、インターネット<URL:https://www.gnpd.com> 甲81:MINTEL GNPD, (ID#):5030319、Lice Repellent Lotion for Lice and Nits、2017年8月掲載、インターネット<URL:https://www.gnpd.com> 甲82:MINTEL GNPD, (ID#):3464581、Gentle Breeze Insect Repellent、2015年10月掲載、インターネット<URL:https://www.gnpd.com> 甲83:MINTEL GNPD, (ID#):900707、Repellent Cream、2008年4月掲載、インターネット<URL:https://www.gnpd.com> 第5 当審合議体の判断 当審合議体は、本件請求項1~4に係る特許は、取消理由通知で通知した取消理由及び申立人が申し立てた申立理由によっては、取り消すことはできないものと判断する。その理由は以下のとおりである。 なお、以下の記載事項の摘記において、下線は特に注釈がない限り当審合議体が付したものであり、「・・・」は摘記の省略を示す。 1 取消理由通知で通知した取消理由1(新規性欠如)及び取消理由2(進歩性欠如)について (1) 引用文献の記載事項 ア 甲1の記載事項 甲1には、次の事項が記載されている(訳文にて示す)。 (摘記箇所に付した下線は、いずれも当審合議体によるものであり、「・・・」は摘記の省略を示す。他の文献についても同様である。) 摘記1a: 「[0001] 本発明は、1種以上の昆虫忌避剤と、ステアロイルグルケミン酸ナトリウム、スクロースポリテアレートおよび/または水添ポリイソブチレンを含む、エマルジョンベースの昆虫忌避化粧品製剤に関する。この組み合わせにより、昆虫防御の効果を最大30%高めることができる。 [0002] 昆虫忌避剤は、防虫及び/又は忌避剤を忌避及び/又は忌避するために外部から適用される製剤であるが、マダニおよびダニをも防御および/または忌避するために外用され、それらが皮膚上で活性になることを防止することを意図した調製物である。 昆虫忌避剤は、それらが皮膚上に沈蚊する前にそれらを忌避することにより、吸血又は噛む昆虫及び他の寄生虫及び/又は迷惑から皮膚を保護することを意図している。 従って、本発明の組成物は、接触毒としてではなく、単に忌避剤として作用する。なぜなら、本発明の組成物は、動物を殺すことがなく、単に動物を追い払うからである。」 摘記1b: 「[0016] 選択できる昆虫忌避剤は、好ましくは、1-ピペリジンカルボン酸2-(2-ヒドロキシエチル)-1-メチルプロピルエステル(イカリジン)、エチル3-(N-n-ブチル-N-アセチルアミノ)プロピオネート(IR3535)、N,N-ジエチル-3-メチルベンズアミド(DEET)、エチルブチルアセチルアミノプロピオネート(EBAAP)、ジヒドロペタラクトン(DHPL)および/またはネコミントの抽出物である。 [0017] 好ましくは、3-(N-n-ブチル-N-アセチルアミノ)プロピオン酸エチルが忌避剤として選択され、特に、製剤の全質量を基準にして最大25重量%、好ましくは約15重量%の割合で選択される。 ・・・ [0026] ケージ試験において、調製物の蚊に対する保護作用を試験した。 ・・・ 処理された皮膚面積は、試験ケージの底の試験窓よりも大きく、露出した皮膚全体が活性成分で覆われていることを確実にした。」 摘記1c: 「[0035] 有利には、本発明による調製物には、以下からなる群から選択される1種以上の香料成分が添加される。 ・1,3,4,6,7,8-ヘキサヒドロ-4,6,6,7,8,8-ヘキサメチルシクロペンタ-γ-2-ベンゾピラン ・2,6-ジメチル-7-オクテン-2-オール ・2-アセトナフトン-1,2,3,4,5,6,7,8-オクタヒドロ-2,3,8,8-テトラメチル ・2-イソブチル-4-ヒドロキシ-4-メチルテトラヒドロピラン ・酢酸2-tert-ペンチルシクロヘキシル ・3,7-ジメチル-2,6-オクタジエン-1-オール ・3-メチル-5-フェニル-1-ペンタノール ・7-アセチル-1,1,3,4,4,6-ヘキサメチルテトラリン ・アジピン酸ジエステル ・α-アミルシンナムアルデヒド ・α-イソメチルイオノン ・α-メチルイオノン ・アミルCブチルフェニルメチルプロピオニルシンナマル ・アミルシンナミルアルコール ・サリチル酸アミル ・アニスアルコール ・ベンジン ・ベンジルアセテート ・ベンジルアルコール ・安息香酸ベンジル ・ベンジルシンナメート ・サリチル酸ベンジル ・ベルガモットオイル ・ビターオレンジオイル ・ブチルフェニルメチルプロピオナール ・カルダモンオイル ・セドロール ・シンナマル ・シンナミルアルコール ・シトラール ・シトロネロール ・クロトン酸シトロネリルメチル ・レモンオイル ・クマリン ・コハク酸ジエチル ・d-リモネン ・エチレンブラシレート ・エチルリナロール ・オイゲノール ・エルベニアフルフラセア抽出物 ・ツノマタゴケ抽出物 ・ファルネソール ・ゲラニオール ・グアヤクウッドオイル ・ヘリオトロピン ・ヘキシルシンナマル ・サリチル酸ヘキシル ・ヒドロキシシトロネラール ・ヒドロキシイソヘキシル3-シクロヘキセンカルボキシアルデヒド ・イソオイゲノール ・ラベンダーオイル ・ジメンオイル ・リモネン ・リナロール ・酢酸リナリル ・マンダリンオイル ・PCAメンチル ・2-オクタン酸メチル ・安息香酸メチル ・メチルセドリルケトン ・ジヒドロジャスモン酸メチル ・メチルヘプテノン ・ナツメグオイル ・p-t-ブチル-α-メチルジヒドロシンナミックアルデヒド ・ローズマリーオイル ・スイートオレンジオイル ・テルピネオール ・トンカ豆オイル ・クエン酸トリエチル および/または ・バニリン ・・・ [0037] 本発明の香水成分は、1種またはそれ以上が、好ましくは、製剤の総重量に基づいて、いずれの場合もlppm~2.5重量%の総濃度でそこに存在する。 ・・・ [0039] 製剤は好ましくは化粧品製剤であり、皮膚に塗布するのに適している。 ・・・ [0041] 本発明によれば、製剤は、低粘度の噴霧可能な溶液の形態、グルの形態、軟膏、クリームまたはローション(任意に噴霧可能)の形態とすることもできる。 [0042] 本発明によれば、この製剤は、有利には、スプレーとして、または絆創膏もしくは布の合浸媒体としても使用することができる。従って、パッチおよびワイプも本発明による調製物で合浸される。」 摘記1d: 「[0056] 以下の実施例は、本発明を限定することなく説明するためのものである。データは、他のデータが与えられていない限り、常に重量%に基づいている。 忌避剤入りO/Wエマルション [0057] [図:0001434172000001.jpg] ・・・ 忌避剤入りO/Wエマルション [0059] [図:0001434172000002.jpg] 忌避剤入りO/Wエマルション [0060] [図:0001434172000003.jpg] 」 イ 甲2の記載事項 甲2には、次の事項が記載されている。 摘記2a: 「【請求項1】 (a)害虫忌避成分、(b)前記害虫忌避成分を溶解するC2~C6のアルコール及び/又はグリコール、(c)C10~C22の脂肪酸から選ばれる2種以上とアルカリ水溶液とで鹸化された石鹸ペーストからなる固形組成物であることを特徴とする人体用害虫忌避剤。 ・・・ 【請求項5】 (a)害虫忌避成分が、ディート、3-(N-n-ブチル-N-アセチル)アミノプロピオン酸エチルエステル、p-メンタン-3,8-ジオール及び1-メチルプロピル 2-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペリジンカルボキシラートから選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか記載の人体用害虫忌避剤。」 摘記2b: 「【0001】 本発明は、蚊、ブヨ、サシバエ、イエダニ、ナンキンムシ等の害虫から人体を守るための人体用害虫忌避剤に関する。更に詳しくは、害虫忌避効果の持続性や人体への安全性にすぐれることはもちろん、塗布する際に薬剤を吸い込む恐れがなく、使いやすい固形状の人体用害虫忌避剤に関するものである。 ・・・ 【0007】 本発明で用いる(a)害虫忌避成分としては、害虫に対して忌避作用あるいは吸血阻害作用を有する合成あるいは天然の各種化合物が挙げられ、常温で液体状を呈するものが一般的である。例えば、ディート、3-(N-n-ブチル-N-アセチル)アミノプロピオン酸エチルエステル[以降、IR3535と略称する]、p-メンタン-3,8-ジオール、1-メチルプロピル 2-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペリジンカルボキシラート[以降、ピカリジンと略称する]、シトロネラール、シトロネロール、シトラール、リナロール、テルピネオール、メントール、α―ピネン、ゲラニオール、カランー3,4-ジオールなどを例示できる。更に天然物としては、桂皮、シトロネラ、レモングラス、クローバ、ベルガモット、月桂樹、ユーカリなどから採れる精油、抽出液などを例示でき、これらの1種または2種以上を選択して用いることができる。上記化合物及び天然物のなかでは、ディート、IR3535、p-メンタン-3,8-ジオール及びピカリジンが好ましい。例えば、ディートは長年にわたる使用実績があり、また、IR3535はディートとほぼ同等の忌避効果を有し、ディートよりも水に溶けやすいので本発明の人体用害虫忌避剤により適した害虫忌避成分といえる。害虫忌避成分は各薬剤の忌避効力等により異なるが、本発明で用いる人体用害虫忌避剤全体量に対して1~25重量%、好ましくは5~20重量%配合される。 ・・・ 【0013】 また、本発明の人体用害虫忌避剤には、本発明の趣旨を損なわない限り、例えば上記組成物の安定性を高めたり、使用感を更に良くしたりするために、必要に応じて、キサンタンガムやヒドロキシプロピルセルロース等の増粘剤、パラオキシ安息香酸ブチル等の安定剤、紫外線吸収剤や紫外線散乱剤、消炎剤、制汗剤、あるいは保湿剤、界面活性剤、分散剤、香料等の添加剤や補助剤を、組成物の安定性等に影響を及ぼさない範囲で配合することができる。」 摘記2c: 「【0017】 次に具体的な実施例ならびに試験例に基づき、本発明の人体用害虫忌避剤について更に詳細に説明する。 【実施例1】 【0018】 ステアリン酸3.0g、ラウリン酸3.5g及びベヘニン酸5.5gにイソプレングリコール30gを加え70℃に加温して溶融させ、これに48%水酸化ナトリウム水溶液3.6gを添加して鹸化した。この混合物に、p-メンタン-3,8-ジオール20g、球状シリカ5.0g、パラオキシ安息香酸ブチル0.1g、脱イオン水約30gを加え、よく混合・分散させた。得られた粘稠液30gをプラスチック製のスティック容器内に注入し、常温まで冷却して石鹸ペースト状の本発明の人体用害虫忌避剤を得た。 ・・・ 【実施例2】 【0020】 実施例1に準じて表1に示す各種人体用害虫忌避剤を調製し、下記に示す試験を行った。 (1) 耐熱性 供試害虫忌避剤を60℃の条件下に1ケ月間保存し、変質しないかどうかを調べた。結果を、○(変質が殆どなし)、△、×(ペーストの崩壊など明らかに変質が認められる)で示した。 (2)使用感 片腕の1箇所に約3g塗布した際、ペースト状態の固さや塗り延ばしやすさなどの使用感を評価した。結果を、〇(固さが適当で塗りやすい)、△、×(固すぎ、又は柔らかすぎて使用感が悪い)で示した。 (3)害虫忌避効果 蚊に対する害虫忌避効果の持続時間を観察した。○(4時間以上)、△(2~4時間)、×(2時間未満)で示した。 【0021】 【表1】 [図:0001434172000004.jpg] 」 ウ 甲3の記載事項 甲3には、次の事項が記載されている(訳文にて示す)。 摘記3a: 「特許請求の範囲 1. 有効量の昆虫忌避剤と、発泡剤を有する発泡性基剤とを含む局所用発泡昆虫忌避組成物であって、容器から吐出されると速崩壊性の泡を形成する組成物。 2. 発泡剤は、発泡性界面活性剤を含むことを特徴とする請求項1に記載の組成物。 ・・・ 13. 請求項1に記載の組成物であって、前記昆虫忌避剤は、N,N-ジエチル-m-トルアミド、ブチルラクチルアミノプロピオン酸エチル、シトロネラ油、大豆油、除虫菊およびその誘導体、p-メンタン-3,8-ジオール、ヒドロキシエチルイソブチルピペリジンカルボキシレート、ピペロニルブトキシド、レモングラスまたは他の精油、エチルヘキサンジオール、樟脳およびその誘導体、ジ-N-プロピルイソシンコメロネート、およびそれらの混合物からなる群から選択される。 ・・・ 21. 昆虫忌避組成物を皮膚に塗布する方法であって、容器から虫を撃退するのに有効な量の昆虫忌避剤を含む速分解泡を吐出し、その泡を皮膚に塗布することを含む方法。」 摘記3b:9頁 「実施例5 成分 Wt% 水 QS EDTA二ナトリウム 0.2 グリセリン 3.0 DEAセチルリン酸 3.0 エチルブチルアセチルアミノプロピオネート 10.0 メトキシ桂皮酸オクチル 7.5 オキシベンゾン 6.0 サリチル酸オクチル 5.0 ブチルメトキシジベンゾイルメタン 1.0 オクトクリレン 10.0 フェニルベンズイミダゾールスルホン酸 4.0 トリエタノールアミン 2.5 PVP-エイコセン共重合体 3.0 ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェノール 2.0 トリアジン メチレンビス-ベンゾトリザオリル 2.0 テトラメチルブチルフェノール 酢酸トコフェロール 0.1 メチルパラベン 0.3 ベンジルアルコール 1.0 ペンタン 4.0」 (なお、原文には、上から5番目の成分として「Ethyl butylacetylaminoproprionate」と記載されているが、「エチルブチルアセチルアミノプロピオネート」の誤記であると解釈した。) 摘記3c:4頁1~15行 「昆虫忌避剤組成物は、1つ以上の適切な昆虫忌避活性物質を有してもよい。このような昆虫忌避活性物質の例には、N,N-ジエチル-m-トルアミド(DEET)、ブチルアセチルアミノプロピオン酸エチル(IR3535)、シトロネラ油、大豆油、除虫菊およびその誘導体、p-メンタン-3,8-ジオール、ヒドロキシエチルイソブチルピペリジンカルボキシレート、ピペロニルブトキシド、レモングラスまたはその他のエッセンシャルオイル、エチルヘキサンジオール、樟脳およびその誘導体、ジ-N-プロピルイソシンコメロネート、および前述のいずれかの混合物が含まれるが、これらに限定されない。その他の有用な活性物質は米国特許第5,130,136号および第5,698,209号に開示されており、これらは参照により本明細書に組み込まれる。好ましい昆虫忌避剤は、DEET、IR3535、シトロネラ油、ヒドロキシエチルイソブチルピペリジンカルボキシレート、p-メンタン-3,8-ジオール、およびそれらの組み合わせである。昆虫忌避活性物質は、組成物の全重量を基準として、約0.1重量%~約70重量%、より好ましくは約0.5重量%~約50重量%の量で存在することができる。」 摘記3d:6頁18行~7頁3行 「 発泡性界面活性剤も、このようなエアゾール容器から吐出される組成物中に含まれ得る。・・・ ベースには、美観および/または機能上の考慮事項によってのみ制限される追加の成分が含まれる場合もある。例えば、ベースには、脂肪アルコール、抗酸化剤、植物抽出物、緩衝剤、キレート剤、着色剤、皮膚軟化剤、乳化剤、香料、保湿剤、ポリマー、ポリオール、防腐剤、増粘剤、ビタミン、フィルム形成剤、抗菌剤、皮膚保護剤、水、ワックス、および前述のいずれかの混合物のうちの1つ以上が含まれ得る。」 エ 甲4の記載事項 甲4には、次の事項が記載されている 摘記4a: 「【請求項1】 着衣における衣料害虫の産卵を予防するための3-(N-ブチルアセトアミド)プロピオン酸エチルを有効成分とする衣料害虫防除用スプレー剤。 【請求項2】 衣類への噴霧処理により、使用中の前記衣類への衣料害虫の接近又は接触を防止する請求項1に記載の衣料害虫防除用スプレー剤。 【請求項3】 前記3-(N-ブチルアセトアミド)プロピオン酸エチルの安定化成分として、トリエタノールアミンを0.05~0.2w/v%含有する請求項1又は2に記載の衣料害虫防除用スプレー剤。 【請求項4】 前記安定化成分としてさらに、メントールを0.2~1.5w/v%含有する請求項3に記載の衣料害虫防除用スプレー剤。 【請求項5】 前記衣料害虫は、イガ、又はコイガである請求項1~4の何れか一項に記載の衣料害虫防除用スプレー剤。」 摘記4b: 「【0024】 IR3535は、揮散性を有し、衣料害虫、特にイガ、又はコイガの成虫に対して高い忌避効果を有する。・・・ 【0027】 本発明の衣料害虫防除用スプレー剤は、上記成分に加え、芳香剤、カビ類や菌類等を対象とした防カビ剤、抗菌剤、殺菌剤、帯電防止剤、消泡剤等を適宜配合することもできる。例えば、衣料害虫防除用スプレー剤が芳香剤を含有することで、芳香剤の香気により衣類に付着する悪臭を消臭することができる。芳香剤としては、オレンジ油、レモン油、ラベンダー油、ペパーミント油、ユーカリ油、シトロネラ油、ライム油、ユズ油、ジャスミン油、檜油、緑茶精油、ボルネオール、シトロネロール、リモネン、α-ピネン、リナロール、ゲラニオール、フェニルエチルアルコール、アミルシンナミックアルデヒド、クミンアルデヒド、ベンジルアセテート等の芳香成分、「緑の香り」と呼ばれる青葉アルコールや青葉アルデヒド配合の香料成分等が挙げられる。防カビ剤、抗菌剤、及び殺菌剤としては、ヒノキチオール、2-メルカプトベンゾチアゾール、2-(4-チアゾリル)ベンツイミダゾール、5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン、トリホリン、3-メチル-4-イソプロピルフェノール、オルト-フェニルフェノール等が挙げられる。」 摘記4c: 「【実施例】 【0032】 以下、本発明の衣料害虫防除用スプレー剤を用いて実施した衣料害虫忌避効力、及び長期安定性に関する試験について説明する。なお、以下の実施例では重量の単位として「g」が示されているが、任意の倍率でスケールアップが可能である。すなわち、単位「g」は、「重量部」と読み替えることができる。 【0033】 (1)衣料害虫忌避効力確認試験 本発明の衣料害虫防除用スプレー剤について、衣料害虫忌避効力を確認するため、本発明の特徴構成を備えた衣料害虫防除用スプレー剤(実施例1)を準備し、下記に示す衣料害虫忌避効力確認試験を実施した。 【0034】 衣料害虫防除用スプレー剤は、IR3535を4.0g(4.0w/v%)、トリエタノールアミン(TEA)を0.05g(0.05w/v%)、メントールを1.5g(1.5w/v%)、その他の香料を0.3g(0.3w/v%)、イソプロピルメチルフェノール(IPMP)を0.2g(0.2w/v%)、精製水を40g(40w/v%)、並びに、無水エタノールを残分(バランス)混合し、全量100mLに調製した。 ・・・・ 【0040】 (2)安定性確認試験 本発明の衣料害虫防除用スプレー剤について、長期安定性を確認するため、表2に示すように本発明の特徴構成を備えた複数の衣料害虫防除用スプレー剤(実施例2~13)を100mLずつ準備し、下記に示す試験を行った。 【0041】 【表2】 [図:0001434172000005.jpg] 」 (2)甲1を主引用例とした場合について ア 甲1に記載された発明 甲1には、[0001](摘記1a)の記載からみて「昆虫の忌避剤」を含む「昆虫忌避化粧品製剤」が記載されているといえ、また、[0002]、[0026](摘記1a及び1b)の記載からみて、当該「昆虫の忌避剤」は、蚊等の吸血害虫又は噛む昆虫に用いられるものであると解され、さらに[0057](摘記1d)の表の例「1」の記載からみて、次の発明が記載されていると認められる。 「以下の組成からなる、吸血又は噛む昆虫の昆虫忌避化粧品製剤。 成分 質量% ステアリン酸グリセリル 1 ステアロイルグルタミン酸ナトリウム 3 スクロースポリステアレート 3 シクロメチコン 2.5 ジメチコン 0.5 エチルブチルアセチルアミノプロピオネート 5 水添ポリイソブテン 0.5 オクチルドデカノール 0.5 香料 適量 メチルパラベン 0.4 プロピルパラベン 0.3 グリセリン 5 エタノール 3 変性デンプン 2.5 精製水 全量を100に調整」 (以下「甲1発明」という。) イ 本件訂正発明1について (ア)対比 本件訂正発明1と甲1発明を対比する。 甲1発明における「エチルブチルアセチルアミノプロピオネート」は、「3―(N-ブチルアセトアミド)プロピオン酸エチル」のことであるから、本件訂正発明1における「3-(N-ブチルアセトアミド)プロピオン酸エチル、及び/又はイカリジン」である「害虫忌避成分」に相当する。 甲1発明における「香料」は、本件訂正発明1における「香料成分」に相当する。 甲1発明は、「イカリジンとフェニルエチルアルコールとの組み合わせ、及びイカリジンとα-テルピネオールとの組み合わせ」を含まない。 甲1発明における「吸血又は噛む昆虫の昆虫忌避化粧品製剤」は、本件訂正発明1における「吸血害虫忌避組成物」に相当する。 よって、本件訂正発明1と甲1発明は、 「害虫忌避成分と香料成分とを含有する吸血害虫忌避組成物であって、 前記害虫忌避成分は、3-(N-ブチルアセトアミド)プロピオン酸エチル、及び/又はイカリジンであり、 イカリジンとフェニルエチルアルコールとの組み合わせ、及びイカリジンとα-テルピネオールとの組み合わせを除く、 吸血害虫忌避組成物。」 である点で一致し、次の点で相違する。 相違点1-1 「香料成分」が、本件訂正発明1では「シス-3-ヘキセノール、ジヒドロミルセノール、エチルリナロール、テトラヒドロゲラニオール、フェニルエチルアルコール、ヘリオナール、リリアール、シス-3-ヘキセニルサリチレート、ジヒドロジャスモン酸メチル、ラズベリーケトン、ガラクソリド、エチレンブラシレート、シクロペンタデカノリド、メントン、シトロネラール、α-テルピネオール、パチュリアルコール、β-ヒマカレン、ゲラニルフォーメート、ビサボロールオキシドA、及びα-ピネンからなる群から選択される少なくとも一つ」であるのに対し、甲1発明ではそのような特定がされていない点。 (イ)相違点の判断 上記相違点1-1は実質的な相違点である。 そして、甲1の[0035](摘記1c)には、本件訂正発明1に該当する、又は類似する香料等の成分として、「エチルリナロール」、「ジヒドロジャスモン酸メチル」、「エチレンブラシレート」及び「テルピネオール」が挙げられており、香料として採用する一応の動機付けはあるといえる。 しかしながら、本件訂正発明の効果について検討すると、本件訂正発明の効果は、本件明細書【0007】及び【0021】等の記載からみて、特定の害虫忌避成分との相乗効果により、消臭機能を持続させ「吸血害虫忌避機能を果たすとともに肌や衣料に付着する悪臭を持続的に消臭可能」とすることであると解される。 そして、同【0021】~【0058】には、エチルリナロール、ジヒドロジャスモン酸メチル、エチレンブラシレート及びテルピネオールが、上記効果を奏する香料であることが記載されると共に、実施例においても、比較例よりも、消臭の持続効果が改善したことが示されている(エチルリナロールについては実施例3、30及び比較例3、ジヒドロジャスモン酸メチルについては実施例14、41及び比較例14、エチレンブラシレートについては実施例18、45及び比較例18、並びにα-テルピネオールについては実施例59を参照。)。 一方、香料には、一般的に悪臭のマスキング効果があるが、甲1発明において、香料等の成分として、エチルリナロール、ジヒドロジャスモン酸メチル、エチレンブラシレート又はテルピネオールを採用した際に、一時的に悪臭を抑制するにとどまらず、本件訂正発明1における特定の害虫忌避成分との相乗効果により、消臭機能を持続させることは、当業者が予測できたものであるとはいえない。 また、上記相違点1-1に係る香料成分のうち、上記甲1[0035]に記載されている香料成分以外の香料成分についても、周知のものであるから(以下の2(2)アを参照。)その適用については一応動機付けがあるといえるかもしれないが、上述したものと同様の理由により、その効果を当業者が予測できたものであるともいえない。 よって、甲1発明において、香料等の成分として、上記相違点1-1に係る香料成分を採用することは、当業者が容易になし得たことであるとはいえない。 (ウ)申立人の主張について a 申立人は、令和7年12月8日提出の意見書の第3の(3)において、以下の主張をしていると認められる。 主張(a) 甲1の[0035]には、本件訂正発明1の香料に該当する「エチルリナロール、エチレンブラシレート、およびジヒドロジャスモン酸メチル」及び「α-テルピネオール」を包含する「テルピネオール」が記載されていることから、香料等の成分としてこれらの成分を採用することは当業者が容易になし得たことである。 また、香料成分によって消臭機能が発揮することは、甲4の【0027】(摘記4b)に「芳香剤の香気により衣類に付着する悪臭を消臭することができる。」と記載されていることからみて、公知の事実であるから、上記香料成分を採用した発明が、消臭機能を発現することは本件訂正発明の技術水準から予測される範囲を超えた顕著なものではない。 主張(b) 本件特許の明細書では、訂正後の請求項1において択一的に特定されている香料成分の全てについて、現に選択された場合に課題を解決することが実施例をもって検証されているわけではない。シトロネラール、パチュリアルコール、β-ヒマカレン、ゲラニルフォーメート、ビサボロールオキシドA、またはα-ピネンが単独で選択された場合の組成物については、作用効果の検証がなされていない。そうすると本件特許に係る発明が訂正後の特許請求の範囲の記載によって特定される全ての範囲において技術水準から予測される範囲を超えた顕著な作用効果を奏することは、立証されているとは認められない。 b しかしながら、以下の理由により申立人の主張は採用できない。 主張(a)について 申立人の主張するとおり、香料成分を用いることによる消臭効果は、本件特許の優先日における技術水準から予測可能であると解されるが、上記(イ)で述べたとおり、本件訂正発明の効果は、香料により一時的に悪臭を抑制するにとどまらず、特定の害虫忌避成分との相乗効果によりその消臭機能を長時間に亘って持続させ「肌や衣料に付着する悪臭を持続的に消臭可能」とするものであり、そのような、消臭効果の持続性については、当業者が容易に予測し得たものであるとはいえない。 主張(b)について 「シトロネラール、パチュリアルコール、β-ヒマカレン、ゲラニルフォーメート、ビサボロールオキシドA、またはα-ピネン」については、甲1には記載がないので、申立人は、上記香料成分は周知のものであるところ、甲1の香料として、上記香料を採用することは容易であるということを前提に、上記香料を採用した場合には、顕著な作用効果を奏するとは解されないから、本件訂正発明は、当業者が容易になし得たものである旨主張していると解される。 しかしながら、本件明細書の実施例においては、「シトロネラール」を含む「シトロネラ油」(実施例60)が、本願発明の効果を奏することが示されているし、上記「パチュリアルコール、β-ヒマカレン、ゲラニルフォーメート、ビサボロールオキシドA、またはα-ピネン」についても、同【0021】~【0058】には、 「【0021】 本発明の吸血害虫忌避組成物の主成分の一つである香料等の成分としては、ベンゼン環、安息香酸エステル構造、又はサリチル酸エステル構造に由来する電子共役部以外の電子共役部を有さず、炭素数が6~18であり、分子量が98~270であり、炭素原子、水素原子、及び酸素原子を有し、硫黄原子、窒素原子、及びハロゲン原子を有さない化合物が使用される。このような化合物は、肌や衣料に付着した悪臭(汗臭、ミドル脂臭、加齢臭等)を芳香によってマスクする優れた消臭機能を有するとともに、本発明において害虫忌避成分として使用されるIR3535、イカリジン、PMD、及びディートとの相乗効果により、その消臭機能を長時間に亘って持続させることができる。このような化合物としては、・・・ 【0049】 ・・・パチュリアルコール・・・ 【0050】 ・・・β-ヒマカレン・・・ 【0053】 ・・・ゲラニルフォーメート・・・ 【0054】 ・・・ビサボロールオキシドA・・・ 【0056】 ・・・α-ピネン・・・」 と記載されているように、本件訂正発明の吸血害虫忌避機能を果たすとともに、相乗効果により消臭機能を長時間に亘って持続させることができるという、特定の香料と特定の害虫忌避成分を併用することによる効果として、当業者が予測できない格別の効果を有すると解される。 (エ)小括 よって、本件訂正発明1は、甲1に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 ウ 本件訂正発明2~4について 本件訂正発明2~4は、本件訂正発明1の発明特定事項を全て備え、更に限定したものであるから、上記イで述べたものと同様の理由により、甲1に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 (3)甲2を主引用例とした場合について ア 甲2に記載された発明 甲2には、甲2の請求項1(摘記2a)、実施例1及び【表1】の実施例5の記載(摘記2c)及び、【0001】(摘記2b)及び【実施例2】(摘記2c)における、人体用害虫忌避剤が蚊等に有効である旨の記載からみて、次の発明が記載されている。 「以下の成分を含む、蚊等に対する人体用害虫忌避剤。 成分 (g) ピカリジン 10 シトロネロール 1.0 1,3ブチレングリコール 30 ステアリン酸 7.0 ツベルクロステアリン酸 4.0」 (以下「甲2発明」という。) イ 本件訂正発明1について (ア)対比 本件訂正発明1と甲2発明を対比する。 甲2発明における「ピカリジン」は、イカリジンのことであるから(必要ならば ウイキペディア「イカリジン」、<https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A4%E3%82%AB%E3%83%AA%E3%82%B8%E3%83%B3>等を参照。)、本件訂正発明1における「3-(N-ブチルアセトアミド)プロピオン酸エチル、及び/又はイカリジン」である「害虫忌避成分」に相当する。 甲2発明における「シトロネロール」は、本件訂正発明1における「香料成分」に相当する。 甲2発明は、「イカリジンとフェニルエチルアルコールとの組み合わせ、及びイカリジンとα-テルピネオールとの組み合わせ」を含まない。 甲2発明における「蚊等に対する人体用害虫忌避剤」は、本件訂正発明1における「吸血害虫忌避組成物」に相当する。 よって、本件訂正発明1と甲2発明は、 「害虫忌避成分と香料成分とを含有する吸血害虫忌避組成物であって、 前記害虫忌避成分は、3-(N-ブチルアセトアミド)プロピオン酸エチル、及び/又はイカリジンであり、 イカリジンとフェニルエチルアルコールとの組み合わせ、及びイカリジンとα-テルピネオールとの組み合わせを除く、 吸血害虫忌避組成物。」 である点で一致し、次の点で相違する。 相違点2-1 「香料成分」が、本件訂正発明1では「シス-3-ヘキセノール、ジヒドロミルセノール、エチルリナロール、テトラヒドロゲラニオール、フェニルエチルアルコール、ヘリオナール、リリアール、シス-3-ヘキセニルサリチレート、ジヒドロジャスモン酸メチル、ラズベリーケトン、ガラクソリド、エチレンブラシレート、シクロペンタデカノリド、メントン、シトロネラール、α-テルピネオール、パチュリアルコール、β-ヒマカレン、ゲラニルフォーメート、ビサボロールオキシドA、及びα-ピネンからなる群から選択される少なくとも一つ」であるのに対し、甲2発明ではそのような特定がされていない点。 (イ)相違点の判断 上記相違点2-1は、実質的な相違点である。 ここで、甲2の【0007】(摘記2b)には、害虫忌避成分として「シトロネラール」、「テルピネオール」及び「α-ピネン」を用い得ることが記載されている。 しかしながら、甲2発明においては、害虫忌避成分を2成分併用することが必須とされているものではないから、「ピカリジン」とともにそれらの香料成分を併用する積極的な動機付けはない。 また、甲2には、害虫忌避剤と香料成分により、肌や衣料に付着する悪臭を持続的に消臭可能とすることについては記載されておらず、上記(2)イ(イ)において述べたものと同様の理由により、上記相違点2-1に係る香料成分を採用することによる本件訂正発明の効果を当業者が予測できたものであるとはいえない。 したがって、甲2発明において、上記相違点2-1に係る香料成分を採用することは当業者が容易になし得たものであるとはいえない。 (ウ)小括 よって、本件訂正発明1は、甲2に記載された発明であるとはいえない。 また、本件訂正発明1は、甲2に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 ウ 本件訂正発明2~4について 本件訂正発明2~4は、本件訂正発明1の発明特定事項を全て備え、更に限定したものであるから、上記イで述べたものと同様の理由により、甲2に記載された発明であるとはいえず、また、甲2に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 (4)甲3を主引用例とした場合について ア 甲3に記載された発明 甲3には、請求項1及び21(摘記3a)及び実施例5(摘記3b)の記載からみて、次の発明が記載されていると認められる。 「以下の組成からなる。皮膚に塗布する昆虫忌避剤。 成分 質量% 水 QS EDTA二ナトリウム 0.2 グリセリン 3.0 DEAセチルリン酸 3.0 エチルブチルアセチルアミノプロピオネート 10.0 メトキシ桂皮酸オクチル 7.5 オキシベンゾン 6.0 サリチル酸オクチル 5.0 ブチルメトキシジベンゾイルメタン 1.0 オクトクリレン 10.0 フェニルベンズイミダゾールスルホン酸 4.0 トリエタノールアミン 2.5 PVP-エイコセン共重合体 3.0 ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェノール 2.0 トリアジン メチレンビス-ベンゾトリザオリル 2.0 テトラメチルブチルフェノール 酢酸トコフェロール 0.1 メチルパラベン 0.3 ベンジルアルコール 1.0 ペンタン 4.0」 (以下「甲3発明」という。) イ 本件訂正発明1について (ア)対比 本件訂正発明1と甲3発明を対比する。 甲3発明における「エチルブチルアセチルアミノプロピオネート」は、「3―(N-ブチルアセトアミド)プロピオン酸エチル」のことであるから、本件訂正発明1における「3-(N-ブチルアセトアミド)プロピオン酸エチル、及び/又はイカリジン」である「害虫忌避成分」に相当する。 甲3発明における「ベンジルアルコール」は、本件訂正発明1における「香料成分」に相当する。 甲3発明は、「イカリジンとフェニルエチルアルコールとの組み合わせ、及びイカリジンとα-テルピネオールとの組み合わせ」を含まない。 甲3発明における「肌に塗布する昆虫忌避剤」は、本件訂正発明1における「吸血害虫忌避組成物」に、害虫忌避組成物である点で共通する。 よって、本件訂正発明1と甲3発明は、 「害虫忌避成分と香料成分とを含有する害虫忌避組成物であって、 前記害虫忌避成分は、3-(N-ブチルアセトアミド)プロピオン酸エチル、及び/又はイカリジンであり、 イカリジンとフェニルエチルアルコールとの組み合わせ、及びイカリジンとα-テルピネオールとの組み合わせを除く、 害虫忌避組成物。」 である点で一致し、次の点で相違する。 相違点3-1 「害虫忌避組成物」の「害虫」が、本件訂正発明1では「吸血害虫」であるのに対し、甲3発明ではそのような特定がされていない点。 相違点3-2 「香料成分」が、本件訂正発明1では「シス-3-ヘキセノール、ジヒドロミルセノール、エチルリナロール、テトラヒドロゲラニオール、フェニルエチルアルコール、ヘリオナール、リリアール、シス-3-ヘキセニルサリチレート、ジヒドロジャスモン酸メチル、ラズベリーケトン、ガラクソリド、エチレンブラシレート、シクロペンタデカノリド、メントン、シトロネラール、α-テルピネオール、パチュリアルコール、β-ヒマカレン、ゲラニルフォーメート、ビサボロールオキシドA、及びα-ピネンからなる群から選択される少なくとも一つ」であるのに対し、甲3発明ではそのような特定がされていない点。 (イ)相違点の判断 a 相違点3-1について 甲3は、皮膚に塗布する昆虫忌避剤であるところ、皮膚から昆虫を忌避する通常の目的は、蚊などの吸血害虫を忌避して吸血害虫が皮膚から吸血することを防ぐことであると解される。 よって、甲3発明の「皮膚に塗布する昆虫忌避剤」の「昆虫」は、「吸血害虫」を意図しているものと解される。 したがって、相違点3-1は実質的な相違点ではない。 b 相違点3-2について 上記相違点3-2は、実質的な相違点である。 また、甲3の4頁3~4行(摘記3c)には、害虫忌避剤として「ブチルアセチルアミノプロピオン酸エチル(IR3535)、シトロネラ油」を使用可能であることが記載されているが、特定の組み合わせとすることを動機づけるものではない。 さらに、甲3の6頁最下行(摘記3d)には、香料の使用が示唆されているが、害虫忌避剤と香料成分により、肌や衣料に付着する悪臭を持続的に消臭可能とすることについては記載されておらず、上記(2)イ(イ)において述べたものと同様の理由により、上記相違点3-2に係る香料成分を採用することによる本件訂正発明の効果を当業者が予測できたものであるとはいえない。 したがって、甲3発明において、上記相違点3-2に係る香料成分を採用することは当業者が容易になし得たものであるとはいえない。 (ウ)小括 よって、本件訂正発明1は、甲3に記載された発明であるとはいえない。 また、本件訂正発明1は、甲3に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 ウ 本件訂正発明2~4について 本件訂正発明2~4は、本件訂正発明1の発明特定事項を全て備え、更に限定したものであるから、上記イで述べたものと同様の理由により、甲3に記載された発明であるとはいえず、また、甲3に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 (5)甲32~83を主引用例とした場合について ア 甲32~83に記載された発明 甲32~83には、それぞれの「成分」の欄及び「サブカテゴリー」の欄、及び「虫さされ/虫よけ薬」との記載から、申立人の提出した別紙1に記載された組成を有する虫さされ/虫よけ薬が記載されていると認められる。 すなわち、甲32~83には、以下の発明が記載されていると認められる。 「 以下の害虫忌避成分及び香料成分を含む虫さされ/虫よけ薬。 [図:0001434172000006.jpg] [図:0001434172000007.jpg] [図:0001434172000008.jpg] 」 (以下、甲32~83に記載された発明をまとめて「甲32~甲83発明」という。) 発明の認定にあたっては、甲32、33、35、36、40、44、47、51、63、64、66、73~75の「イソブチルピペリジンカルボン酸ヒドロキシエチル」との記載は、「イカリジン」であると認定した。 また、甲34、37~39、41~43、45、46、48~50、52~62、65、67~72、76~83の「エチルブチルアセチルアミノプロピオネート」との記載は、「IR3535」であると認定した。 イ 本件訂正発明1について (ア)対比 本件訂正発明1と甲32~甲83発明を対比する。 「IR3535」は「エチルブチルアセチルアミノプロピオネート」、すなわち「3―(N-ブチルアセトアミド)プロピオン酸エチル」のことであるから、甲32~甲83発明における「IR3535」又は「イカリジン」は、本件訂正発明1における「3-(N-ブチルアセトアミド)プロピオン酸エチル、及び/又はイカリジン」である「害虫忌避成分」に相当する。 甲32~甲83発明における「香料成分」は、本件訂正発明1における「香料成分」に相当する。 甲32~甲83発明における「虫さされ/虫よけ薬」は、本件訂正発明1における「吸血害虫忌避組成物」に「害虫忌避剤」である点で共通する。 よって、本件訂正発明1と甲32~甲83発明は、 「害虫忌避成分と香料成分とを含有する害虫忌避組成物であって、 前記害虫忌避成分は、3-(N-ブチルアセトアミド)プロピオン酸エチル、及び/又はイカリジンである、 害虫忌避組成物。」 である点で一致し、次の点で相違する。 相違点4-1 「害虫忌避組成物」の「害虫」が、本件訂正発明1では「吸血害虫」であるのに対し、甲32~甲83発明ではそのような特定がされていない点。 相違点4-2 「香料成分」が、本件訂正発明1では「シス-3-ヘキセノール、ジヒドロミルセノール、エチルリナロール、テトラヒドロゲラニオール、フェニルエチルアルコール、ヘリオナール、リリアール、シス-3-ヘキセニルサリチレート、ジヒドロジャスモン酸メチル、ラズベリーケトン、ガラクソリド、エチレンブラシレート、シクロペンタデカノリド、メントン、シトロネラール、α-テルピネオール、パチュリアルコール、β-ヒマカレン、ゲラニルフォーメート、ビサボロールオキシドA、及びα-ピネンからなる群から選択される少なくとも一つ(但し、イカリジンとフェニルエチルアルコールとの組み合わせ、及びイカリジンとα-テルピネオールとの組み合わせを除く)」であるのに対し、甲32~甲83発明ではそのような特定がされていない点。 (イ)相違点の判断 a 相違点4-1について 甲32~甲83発明における「虫さされ/虫よけ薬」とは、「虫よけ」すなわち害虫を忌避して、皮膚の「虫さされ」を防止する薬剤であることは明らかである。 そして、例えば皮膚を刺す虫の中には、ハチなどもあるが、例えば甲32の製品タイトルは「Aloe Vera Mosquite Repellent Lotion」(アロエベラの蚊の忌避ローション)と記載されるとおり、一般的に想定されるのは蚊やノミなどの吸血害虫であり、吸血害虫からの「虫さされ」を防止することを意図とした「薬」であることは明らかである。 したがって、相違点4-1は、実質的な相違点ではない。 b 相違点4-2について 上記相違点4-2は、実質的な相違点である。 また、甲32~72及び甲74~甲83には、上記相違点4-2に係る香料成分を用いることは記載がなく、それらの香料成分を採用する動機付けはない。 さらに、甲73に記載された発明は、イカリジンとαテルピネオールを含むものであり、同様に、他の成分とする動機付けはない。 また、甲32~83には、害虫忌避剤と香料成分により、肌や衣料に付着する悪臭を持続的に消臭可能とすることについては記載されておらず、上記(2)イ(イ)において述べたものと同様の理由により、上記相違点4-2に係る香料成分を採用することによる本件訂正発明の効果を当業者が予測できたものであるとはいえない。 したがって、甲32~甲83発明において、上記相違点4-2に係る香料成分を採用することは当業者が容易になし得たものであるとはいえない。 (ウ)小括 よって、本件訂正発明1は、甲32~甲83に記載された発明であるとはいえない。 また、本件訂正発明1は、甲32~甲83発明に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 ウ 本件訂正発明2~4について 本件訂正発明2~4は、本件訂正発明1の発明特定事項を全て備え、更に限定したものであるから、上記イで述べたものと同様の理由により、甲32~甲83に記載された発明であるとはいえず、また、甲32~甲83に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 (6)取消理由のまとめ 以上のとおりであるから、取消理由1及び2は理由がない。 2 取消理由で採用しなかった申立理由について (1)申立理由1-1(甲1に基づく新規性欠如)について 上記1(2)イ(イ)で述べたとおり、相違点1-1は実施的な相違点である。 よって、本件訂正発明1は、甲1に記載された発明であるとはいえず、申立理由1-1は理由がない。 (2)申立理由2-1~2-3のうち、甲1~3に記載された発明及び甲1~20及び甲31~83に記載の技術事項からの進歩性欠如について ア 申立人は、申立理由2-1~2-3において、本件訂正前の請求項1~4に係る発明(以下、「本件発明」という。)は、甲1~3に記載された発明及び甲1~20及び甲31~83に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明することができたものである旨を主張すると共に、以下の主張をしている。 「仮に、甲1発明の香水成分を本件特許発明1の発明特定事項Cに特定される物質とすることが設計変更の範疇を超えると判断される場合であっても、発明特定事項Cに特定される物質をIR3535またはイカリジンと組み合わせて用いることは、甲1発明に対して周知技術を適用することに過ぎない。かかる周知技術を以下に例示する。 ・甲第2号証には、シトロネラール、シトロネロール、リナロール、テルピネオール、α-ピネン、およびゲラニオールを含む化合物群が、昆虫を忌避するための製剤に配合されうる物質の群として記載されている(甲第2号証[0007]段落)。また、甲第2号証には、ピカリジン(イカリジンの別名である。)とシトロネロールとを含む製剤の具体的な例が開示されている(同[0021]段落表1実施例5)。 ・甲第3号証には、ベンジルアルコールを公知の昆虫忌避剤であるエチルブチルアセチルアミノプロプリオネート(IR3535の別名である。)と組み合わせて配合した製剤の例が開示されている(甲第3号証第9ページ例5)。 ・甲第4号証には、香料をIR3535と組み合わせて配合した衣料害虫防除用スプレー剤が開示されており(甲第4号証[0034]段落)、香料の例としてシトロネロール、リモネン、α-ビネン、リナロール、ゲラニオール、およびフェニルエチルアルコールを含む化合物群が開示されている(同[0027]段落)。また、甲第4号証には、IR3535とシトロネロールとを含む製剤の具体的な例が開示されている(同[0041]段落表2実施例8、12)。 ・甲第5号証・・・には、α-ビネン、ゲラニオール、シトロネラール、およびリナロールを含む化合物群が、昆虫を忌避するための製剤に配合されうる物質の群として記載されている(甲第5号証[0009]段落)。 ・甲第6号証・・・には、α-ピネン、・・・ならびに、ガラクソリド(同[0069]段落)を含む化合物群が、ピカリジン(イカリジンとも称される化合物である。)とともに昆虫を忌避する忌避剤に配合されうる物質の群として記載されている。 ・甲第7号証・・・には、シトロネラール、シトロネロール、リナロール、テルピネオール、α-ピネン、およびゲラニオール(甲第7号証[0014]段落)、ならびに、サリチル酸ベンジル、サリチル酸cis-3-ヘキセニル(シス-3-ヘキセニルサリチレートとも称される化合物である。)、および安息香酸ベンジル(同[0016]段落)を含む化合物群が、害虫忌避剤に配合されうる物質の群として記載されている。 ・・・特許異議申立人が把握する限りの周知技術の例(甲第1号証ないし甲第7号証を含む。)の一覧を、本書に添付する別紙2に記載する。別紙2に記載の周知技術を示す証拠のうち、甲第1号証ないし甲第20号証は国内外の特許文献である。甲第31号証ないし甲第83号証はMINTEL社が提供するデータベースから取得した害虫忌避剤製品に関する情報の写しであり、日本国内または日本国外で現に市販されている害虫忌避剤に発明特定事項Cに特定される物質が含まれていることを示している。 ここに例示したいずれの周知技術も、昆虫を対象に含む忌避剤に係る技術であり、昆虫忌避化粧品製剤である甲1発明との間に技術分野の関連性が認められる。また、甲1発明における香水成分の選択が一定の課題を解決するための公知材料の中からの最適材料の選択または均等物による置換であることは上述のとおりであり、甲1発明と周知技術との間には課題の共通性および作用、機能の共通性が認められるといえる。さらに、甲第1号証[0035]段落の香水成分の列挙は例示に過ぎず、同[0009]段落において蚊などを忌避する目的で香水成分を用いる先行技術文献を挙げていることから、甲第1号証には記載されていない香水成分を使用することの示唆があると認められる。 以上のことから、本件特許発明1のうち甲1発明と一致しない部分は、甲1発明の設計変更により、または、甲1発明と周知技術との組合せに基づいて、当業者が容易に発明をすることができた発明であり、進歩性を有さない。」 「加えて、甲1発明との対比に基づく検討として述べたのと同様に、甲2発明のシトロネロールを本件特許発明1の発明特定事項Cに特定される物質とすることは、設計変更に過ぎないか、または別紙2に記載の周知技術の適用により当業者が容易に想到しうることである。」 「以上のことから、本件特許発明1のうち甲3発明と一致しない部分は、甲3発明の設計変更により、または、甲3発明と周知技術との組合せに基づいて、当業者が容易に発明をすることができた発明であり、進歩性を有さない。」 よって、甲1~3に記載された発明において、甲1~20及び甲31~83に記載された事項を適用して本件訂正発明1~4とすることが、当業者が容易になし得たものであるかについて、以下、検討する。 イ 甲1~7には、申立人が上記アで述べた事項が記載されているとともに、甲1~20及び甲31~83には、本件発明1における以下の香料成分について、それぞれ、下記の文献に記載されている。 甲6【0062】、甲8[0039](青葉アルコール)、甲13【0014】及び甲17[0115]には、香料等の成分として「シス-3-ヘキセノール」が記載されている。 甲6【0062】、甲13【0014】、甲14 第53頁(2,6-ジメチル-7-オクテン-2-オール)、甲16[24]、甲17[0115]、[0247]、及び甲18 第19頁には、香料(成分)として「ジヒドロミルセノール」が記載されている。 甲1[0035]、甲6【0062】、甲9[0021]には、香料等の成分として「エチルリナロール」が記載されている。 甲1[0035]、甲2【0007】、甲4【0027】、甲5【0005】、甲6【0047】、甲7【0014】、甲8[0039]、甲9[0021]、甲10【0040】、甲11【0025】、及び甲31ないし甲63「成分」の頂には、香料等の成分として「リナロール」が記載されている。 甲1[0035]、甲2【0007】、甲4【0027】、甲5【0005】、甲6【0047】、甲7【0014】、甲8[0039]、甲9[0021]、甲10【0040】、甲11【0010】、及び甲32、甲33、甲37、甲39、甲40、甲43、甲44、甲48、甲50、甲56、甲58、甲59、甲63、甲64、甲66ないし甲72「成分」の項には、香料等の成分として「ゲラニオール」が記載されている。 甲1[0035]、甲2【0007】、甲6【0047】、甲7【0014】、甲9[0021]、甲10【0040】、甲11【0010】、及び甲73「成分」の頂には、香料等の成分として「テルピネオール」が記載されている。 甲4【0027】、甲6【0062】、甲8[0039]、甲10【0040】、及び甲11【0010】には、香料等の成分として「フェニルエチルアルコール」が記載されている。 甲13【0014】、甲18 第19頁、及び甲19[0071]には、香料等の成分として「ヘリオナール」が記載されている。 甲11【0009】には、香料等の成分として「リリアール」が記載されている。 甲1[0035]、甲7【0016】、甲9[0021]、甲11【0012】、甲14 第52頁、及び甲36、甲37、甲51、甲56、甲59、甲60、甲72「成分」の頂には、香料等の成分として「安息香酸ベンジル」が記載されている。 甲1[0035]、甲7【0016】、甲9[0021]、甲14 第52頁、及び甲31、甲35ないし甲38、甲42、甲43、甲47、甲49、甲51、甲52、甲54ないし甲56、甲60、甲61、甲74「成分」の頂には、香料等の成分として「サリチル酸ベンジル」が記載されている。 甲7【0016】(サリチル酸cis-3-ヘキセニル)、甲12【0022】(サリチル酸シス-3-ヘキセニル)、甲18 第19頁には、香料等の成分として「シス-3-ヘキセニルサリチレート」が記載されている。 甲1[0035]、甲9[0021]、甲12【0020】(メチルジヒドロジャスモネート)、甲13【0012】【0021】、甲16[24]、甲17[0115]、及び甲18 第19頁には、香料等の成分として「ジヒドロジャスモン酸メチル」が記載されている。 甲6【0064】、及び甲15[0054]には、香料等の成分として「ラズベリーケトン」が記載されている。 甲6【0069】、甲13【0014】、甲18 第19頁、及び甲20[0123]には、香料等の成分として「ガラクソリド」が記載されている。 甲1[0035]、及び甲9[0021]には、香料等の成分として「エチレンブラシレート」が記載されている。 甲6【0047】、甲10【0040】、及び甲11【0009】には、香料等の成分として「メントン」が記載されている。 甲1[0035]、甲4【0027】、甲6【0047】、甲8[0039]、甲9[0021]、甲11【0013】、甲32、甲34ないし甲36、甲38ないし甲40、甲42ないし甲45、甲47、甲49ないし甲62、甲65、甲71、甲75ないし甲79「成分」の頂には、香料等の成分として「リモネン」が記載されている。 甲1[0035]、甲2【0007】、【0021】、甲4【0027】、【0041】、甲6【0062】、甲7【0014】、甲9[0021]、甲10【0040】、甲11【0010】、及び甲32、甲36、甲37、甲39、甲40、甲43、甲48、甲49、甲51、甲52、甲56、甲58ないし甲60、甲65、甲69、甲72「成分」の頂には、香料等の成分として「シトロネロール」が記載されている。 甲2【0007】、甲5【0005】、甲6【0047】、甲7【0014】、甲10【0040】、及び甲80「成分」の項には、香料等の成分として「シトロネラール」が記載されている。 甲73「成分」の頂には、香料等の成分として「α-テルピネオール」が記載されている。 甲1[0035]、甲8[0039]、甲9[0021]、甲13【0012】、【0021】、甲14 第52頁、甲16[24]、甲17[0115]、[0247]、及び甲18 第19頁には、香料等の成分として「ベンジルアセテート」が記載されている。 甲1[0035]、甲9[0021]、甲14 第52頁、及び甲43、甲59、甲72、甲75、甲81ないし83「成分」の頂には、香料等の成分として「ベンジルアルコール」が記載されている。 甲6【0065】、及び甲10【0040】には、香料等の成分として「ゲラニルフォーメート」が記載されている。 甲1[0035]、甲9[0021]、甲11【0010】、及び甲32、甲39、甲40、甲48、甲58、甲59「成分」の頂には、香料等の成分として「オイゲノール」が記載されている。 甲2【0007】、甲4【0027】、甲5【0005】、甲7【0014】、甲8[0039]、及び甲11【0013】には、香料等の成分として「α-ピネン」が記載されている。 ウ 判断 甲1には、上記1(2)アにおいて述べたとおり、吸血又は噛む昆虫の昆虫忌避化粧品製剤において、香料を用いることが記載されている。 甲2には、【0013】(摘記2b)において、人体用害虫忌避剤において香料を用いることが記載されている。 甲3には、6頁最下行(摘記3d)において、局所用発泡昆虫忌避組成物の発泡性界面活性剤において香料を用いることが記載されている。 したがって、甲1~甲3には、香料成分を添加し得る旨の記載があるので、上記アにおいて示した公知の香料成分を適用する一応の動機付けはあると解される。また、香料を適用することによる、一定の消臭機能が付与されることは理解できる。 しかしながら、上記甲1~20及び甲31~83には、肌や衣料に付着する悪臭を持続的に消臭可能とする効果については記載がない。 よって、本件訂正発明1における香料成分が周知であるとしても、上記1(2)イ(イ)において述べたものと同様に、甲1~3に記載された発明において、本件訂正発明の香料成分を用いたことによる、吸血害虫忌避機能を果たすとともに肌や衣料に付着する悪臭を持続的に消臭可能とする効果については、当業者が予測し得たものであるとはいえない。 したがって、甲1~3に記載された発明において、甲1~20及び甲31~83に記載される、本件訂正発明1で特定される香料成分を用いることは当業者が容易になし得たものであるとはいえない。 (3)申立理由1-4及び2-4(甲4に基づく新規性欠如及び進歩性欠如)について ア 甲4に記載された発明 甲4には、請求項1、【0027】及び実施例(摘記4a~c)の記載からみて、以下の発明が記載されていると認められる。 「着衣における衣料害虫の産卵を予防するための3-(N-ブチルアセトアミド)プロピオン酸エチルを有効成分とし、芳香剤を含む衣料害虫防除用スプレー剤。」 (以下「甲4発明」という。) イ 本件訂正発明1について (ア)対比 本件訂正発明1と甲4発明を対比する。 甲4発明における「3-(N-ブチルアセトアミド)プロピオン酸エチル」は、本件訂正発明1における「3-(N-ブチルアセトアミド)プロピオン酸エチル、及び/又はイカリジン」である「害虫忌避成分」に相当する。 甲4発明における「芳香剤」は、本件訂正発明1における「香料成分」に相当する。 甲4発明は、「イカリジンとフェニルエチルアルコールとの組み合わせ、及びイカリジンとα-テルピネオールとの組み合わせ」を含まない。 甲4発明における「衣料害虫防除用スプレー剤」は、本件訂正発明1における「吸血害虫忌避組成物」に、「害虫忌避組成物」である点で共通する。 よって、本件訂正発明1と甲4発明は、 「害虫忌避成分と香料成分とを含有する害虫忌避組成物であって、 前記害虫忌避成分は、3-(N-ブチルアセトアミド)プロピオン酸エチル、及び/又はイカリジンであり、 イカリジンとフェニルエチルアルコールとの組み合わせ、及びイカリジンとα-テルピネオールとの組み合わせを除く、 害虫忌避組成物。」 である点で一致し、次の点で相違する。 相違点5-1 「香料成分」が、本件訂正発明1では「シス-3-ヘキセノール、ジヒドロミルセノール、エチルリナロール、テトラヒドロゲラニオール、フェニルエチルアルコール、ヘリオナール、リリアール、シス-3-ヘキセニルサリチレート、ジヒドロジャスモン酸メチル、ラズベリーケトン、ガラクソリド、エチレンブラシレート、シクロペンタデカノリド、メントン、シトロネラール、α-テルピネオール、パチュリアルコール、β-ヒマカレン、ゲラニルフォーメート、ビサボロールオキシドA、及びα-ピネンからなる群から選択される少なくとも一つ」であるのに対し、甲4発明ではそのような特定がされていない点。 相違点5-2 「昆虫忌避剤組成物」における「昆虫」が、本件訂正発明1では「吸血害虫」であるのに対し、甲4発明では「衣料害虫」である点。 (イ)相違点の判断 a 相違点5-1について 上記相違点5-1は、実質的な相違点である。 また、甲4には、芳香剤としてフェニルエチルアルコール及びα-ピネンを用いることが記載されているし、その他の相違点5-1に係る香料成分についても、上記(2)アで述べたとおり周知であり、それを使用する一応の動機付けはあるといえる。 しかしながら、甲4においては、「芳香剤の香気により衣類に付着する悪臭を消臭することができる。」(【0027】、摘記4b)との記載があるものの、悪臭の抑制の持続性については言及されておらず、上記(2)イ(イ)において述べた、上記香料成分を採用することによる本件訂正発明の効果を当業者が予測することができたとはいえない。 したがって、甲1~3及び甲20~83の記載を考慮しても、甲4発明において、上記相違点5-1に係る香料成分を採用することは当業者が容易になし得たものであるとはいえない。 b 相違点5-2について 甲4発明の「衣料害虫」は、甲4の請求項5及び【0024】(摘記4b)を参酌すると、「イガ、又はコイガの成虫」等の衣料に害を及ぼす害虫を意味すると解され、これらの害虫は吸血害虫ではない。 よって、上記相違点は実質的な相違点である。 また、「衣料害虫防除用」の組成物を「吸血害虫忌避用組成物」とすることが当業者において容易になし得たことであるとはいえない。 (ウ)小括 よって、本件訂正発明1は、甲4に記載された発明であるとはいえない。 また、本件訂正発明1は、甲4に記載された発明並びに甲1~3及び甲20~83の記載事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 ウ 本件訂正発明2~4について 本件訂正発明2~4は、本件訂正発明1の発明特定事項を全て備え、更に限定したものであるから、上記イで述べたものと同様の理由により、甲4に記載された発明であるとはいえず、また、甲4に記載された発明並びに甲1~3及び甲20~83の記載事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 (4)申立理由1-5のうち甲31に基づく新規性欠如について ア 甲31は、その「掲載時期」が「2020年1月」と記載され、本件特許の優先日の2020年1月28日より前であったとは認められず、特許法第29条第1項第3号にいう、本件特許の出願前に日本国内又は外国において頒布された、又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となったものでない。 イ 仮に甲31が本件特許の優先日より前に日本国内又は外国において頒布された、又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となっていたと仮定しても、以下のとおり、本件訂正発明1は、甲31に記載された発明であるとはいえない。 (ア)甲31に記載された発明 上記1(5)アで述べたものと同様の理由により、甲31には、以下の発明が記載されているといえる。 「以下の害虫忌避成分及び香料成分を含む虫さされ/虫よけ薬。 害虫忌避成分:IR3535 香料成分:リナロール、サリチル酸ベンジル」 (以下「甲31発明」という。) (イ)本件訂正発明1について a 対比 本件訂正発明1と甲31発明を対比すると、上記1(5)イ(ア)で述べたものと同様の理由により、本件訂正発明1と甲31発明とは、 「害虫忌避成分と香料成分とを含有する害虫忌避組成物であって、 前記害虫忌避成分は、3-(N-ブチルアセトアミド)プロピオン酸エチル、及び/又はイカリジンであり、 イカリジンとフェニルエチルアルコールとの組み合わせ、及びイカリジンとα-テルピネオールとの組み合わせを除く、 害虫忌避組成物。」 である点で一致し、次の点で相違する。 相違点6-1 「害虫忌避組成物」の「害虫」が、本件訂正発明1では「吸血害虫」であるのに対し、甲31発明ではそのような特定がされていない点。 相違点6-2 「香料成分」が、本件訂正発明1では「シス-3-ヘキセノール、ジヒドロミルセノール、エチルリナロール、テトラヒドロゲラニオール、フェニルエチルアルコール、ヘリオナール、リリアール、シス-3-ヘキセニルサリチレート、ジヒドロジャスモン酸メチル、ラズベリーケトン、ガラクソリド、エチレンブラシレート、シクロペンタデカノリド、メントン、シトロネラール、α-テルピネオール、パチュリアルコール、β-ヒマカレン、ゲラニルフォーメート、ビサボロールオキシドA、及びα-ピネンからなる群から選択される少なくとも一つ」であるのに対し、甲31発明ではそのような特定がされていない点。 b 相違点の判断 (a)相違点6-1について 甲31発明における「虫さされ/虫よけ薬」は、上記1(5)イで述べたものと同様の理由により、実質的な相違点ではない。 (b)相違点6-2について 上記相違点6-2は、実質的な相違点である。 c 小括 よって、本件訂正発明1は、甲31に記載された発明であるとはいえない。 (5)まとめ 以上のとおりであるから、申立理由1-1、申立理由1-4、申立理由2-1~2-4、申立理由1-5(甲31に基づく新規性欠如)には理由がない。 第6 むすび 以上のとおりであるから、取消理由通知書に記載した取消理由並びに申立人が申し立てた理由及び証拠によっては、請求項1~4に係る特許を取り消すことはできず、ほかに請求項1~4に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

審決本文(J-PlatPat)

J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。

J-PlatPat 審決検索を開く
2025-700550

番号・当事者・条文・審決分類・商標の称呼が一致(または近い)審決を機械的に集めた候補です。判断内容は各審決の本文でご確認ください。

同じ当事者の審決79件(大日本除蟲菊株式会社、西内 大生)
  • 2025-701162異議申立 / 2026-09-04
    同じ当事者: 西内 大生
  • 2026-700220異議申立 / 2026-09-04 / 異議終了
    同じ当事者: 西内 大生
  • 2026-700016異議申立 / 2026-06-12 / 維持グラスライニング製品及びその製造方法
    同じ当事者: 西内 大生
  • 2026-700050異議申立 / 2026-04-08 / 維持締結方法
    同じ当事者: 西内 大生
  • 2025-700769異議申立 / 2026-03-31 / 訂正認容ケミカルルーピングシステム及びケミカルルーピング法
    同じ当事者: 西内 大生
同じ論点・分野の審決(審決分類)322件(113・A01N、121・A01N)
  • 2026-700169異議申立 / 2026-06-30 / 維持人体用害虫忌避剤乳化組成物
    共通の審決分類: 113・A01N、121・A01N
  • 2025-701153異議申立 / 2026-03-18 / 維持発泡性薬効付与組成物、及びそれを用いた薬効付与方法
    共通の審決分類: 113・A01N、121・A01N
  • 2024-700075異議申立 / 2025-04-22 / 訂正認容植物成長促進組成物
    共通の審決分類: 113・A01N、121・A01N
  • 2025-700225異議申立 / 2025-04-18 / 維持ヒトノロウイルス不活化剤
    共通の審決分類: 113・A01N、121・A01N
  • 2024-700229異議申立 / 2025-03-26 / 訂正認容微生物抑制方法及び微生物抑制システム
    共通の審決分類: 113・A01N、121・A01N

メモ・タグ(非公開)

あなただけに表示されます。審決本文の公開範囲は変わりません。

メモとタグは Pro の機能です。ログイン/Proでメモを保存