特許異議申立
2025-700499
包装用容器
- 審判番号
- 2025-700499
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2020-151275
- 登録番号
- 7579659
- 請求日
- 2025年05月07日
- 審決日
- 2026年01月13日
- 公報発行日
- 2026年04月24日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】リスパック株式会社
- 【権利者代理人】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
- 【異議申立人】西内 大生
- 審判長/審判官
- 審判長 田口 傑
- 審判官 金丸 治之
- 審判官 長清 吉範
- 分類
- P1651.121-YAA(B65D)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第120条の5第2項、特許法第120条の5第4項、特許法第120条の5第9項、特許法第126条第4項、特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7579659号発明「包装用容器」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7579659号の明細書、特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書、特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~3〕について訂正することを認める。
特許第7579659号の請求項1~3係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7579659号の請求項1~3に係る特許についての出願は、令和2年9月9日に出願され、令和6年10月30日にその特許権の設定登録がされ、令和6年11月8日に特許掲載公報が発行された。その後、請求項1~3に係る特許について、令和7年5月7日に特許異議申立人西内大生(以下「申立人」という。)により特許異議の申立てがされ、当審は、令和7年8月5日付けで取消理由を通知した。特許権者は、その指定期間内である令和7年10月6日に意見書の提出及び訂正の請求(以下「本件訂正請求」という。)を行い、その訂正の請求に対して、申立人は、令和7年11月17日に意見書を提出した。
第2 訂正の適否についての判断
1 訂正の内容
本件訂正請求は、「特許第7579659号の明細書、及び特許請求の範囲を、本訂正請求書に添付した訂正明細書、特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~3について訂正することを求める。」ものであり、その訂正(以下「本件訂正」という。)の内容は、次のとおりである。また、下線は、当審が訂正箇所に付したものである。
(1) 訂正事項1
(訂正事項1-1)
特許請求の範囲の請求項1に「容器本体に、中皿を収納した状態で、蓋体を閉じる包装用容器であって」と記載されているのを「容器本体に、食品を収容して、中皿を収納した状態で、蓋体を閉じる包装用容器であって」に訂正する。(請求項1の記載を引用する請求項2、3も同様に訂正する。)
(訂正事項1-2)
特許請求の範囲の請求項1に「前記中皿の外周壁の下端が、前記側壁の段部に当接し、
前記中皿の外周壁の上端には、外周壁側係止部が設けられ」と記載されているのを「前記中皿の外周壁の下端が、前記側壁の段部に当接し、
前記外周壁の上端と下端が、前記蓋体の天面と前記容器本体の段部とで挟まれて、前記外周壁が上下方向に突っ張った状態であり、
前記中皿の外周壁の上端には、外周壁側係止部が設けられ」に訂正する。(請求項1の記載を引用する請求項2、3も同様に訂正する。)
(2) 訂正事項2
特許請求の範囲の請求項2に「前記中皿の外周壁の下端も、下方へ押圧して前記側壁の段部に当接すること」と記載されているのを「前記中皿の外周壁の下端も、下方へ押圧して前記側壁の段部に当接し、
前記中皿は、前記外周壁の下端から外側へ延び、前記中皿の周方向へ全周にわたり連続するフランジ部を備え、
前記包装用容器が傾けられた際に、前記空間に流れ込んだ前記食品の重さによって、前記中皿のフランジ部が前記容器本体の段部を押圧するように構成されている、こと」に訂正する。(請求項2の記載を引用する請求項3も同様に訂正する。)
(3) 訂正事項3
(訂正事項3-1)
明細書の【0005】に「容器本体に、中皿を収納した状態で、蓋体を閉じる包装用容器であって」と記載されているのを「容器本体に、食品を収容して、中皿を収納した状態で、蓋体を閉じる包装用容器であって」に訂正する。
(訂正事項3-2)
明細書の【0005】に「前記中皿の外周壁の下端が、前記側壁の段部に当接することを特徴とする。」と記載されているのを「前記中皿の外周壁の下端が、前記側壁の段部に当接し、前記外周壁の上端と下端が、前記蓋体の天面と前記容器本体の段部とで挟まれて、前記外周壁が上下方向に突っ張った状態であり、前記中皿の外周壁の上端には、外周壁側係止部が設けられ、前記蓋体の天面には、天面側係止部が設けられ、前記外周壁側係止部と前記天面側係止部は、互いに係止する、ことを特徴とする。」に訂正する。
(訂正事項3-3)
明細書の【0007】に「前記中皿の外周壁の下端も、下方へ押圧して前記側壁の段部に当接すること」と記載されているのを「前記中皿の外周壁の下端も、下方へ押圧して前記側壁の段部に当接し、前記中皿は、前記外周壁の下端から外側へ延び、前記中皿の周方向へ全周にわたり連続するフランジ部を備え、前記包装用容器が傾けられた際に、前記空間に流れ込んだ前記食品の重さによって、前記中皿のフランジ部が前記容器本体の段部を押圧するように構成されている、こと」に訂正する。
2 一群の請求項
本件訂正前の請求項1~3は、請求項2~3が、本件訂正前の請求項1の記載を引用する関係にあるから、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものであり、訂正前の請求項1~3は、一群の請求項である。
したがって、本件訂正の請求は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項についてされたものである。
また、明細書の訂正に係る訂正事項3は、本件訂正前の請求項1に係る課題解決手段が記載された【0005】を訂正するものであるから、訂正事項3は請求項1についての訂正であるといえるところ、上述のとおり、請求項1~3は一群の請求項であるから、訂正事項3は、一群の請求項である請求項1~3に関係する訂正である。
そして、本件訂正の請求は、請求項1~3についてされているところ、当該請求は特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第4項に規定する、明細書の訂正に係る請求項を含む一群の請求項の全てについて行われている。
3 訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
(1) 訂正事項1について
訂正事項1-1及び1-2は、本件訂正前の請求項1の「包装用容器」について、限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
訂正事項1-1及び1-2は、明細書の【0029】及び【0035】に基くものであるから、本件特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「本件特許明細書等」という。)に記載した事項の範囲内においてするものである。
また、訂正事項1-1及び1-2は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
(2) 訂正事項2について
訂正事項2は、本件訂正前の請求項2の「包装用容器」について、限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
訂正事項2は、明細書の【0018】、【0037】、【0038】に基くものであるから、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。
また、訂正事項2は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
(3) 訂正事項3について
訂正事項3-1、3-2及び3-3は、訂正事項1及び2による特許請求の範囲の訂正に伴う明細書の訂正であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
(4) 小括
以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
したがって、明細書、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正明細書、訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~3〕について訂正することを認める。
第3 訂正後の本件発明
上記第2のとおり本件訂正は認められたから、本件訂正請求により訂正された請求項1~3に係る発明(以下「本件発明1」等という。)は、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1~3に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。
「【請求項1】
容器本体に、食品を収容して、中皿を収納した状態で、蓋体を閉じる包装用容器であって、
前記容器本体の側壁に、段部を備え、
前記中皿は、外周の側壁から下方へ延出する外周壁を備えると共に、前記側壁と前記外周壁の間に空間を備え、
前記中皿の外周壁の上端が、前記蓋体の天面に当接し、前記中皿の外周壁の下端が、前記側壁の段部に当接し、
前記外周壁の上端と下端が、前記蓋体の天面と前記容器本体の段部とで挟まれて、前記外周壁が上下方向に突っ張った状態であり、
前記中皿の外周壁の上端には、外周壁側係止部が設けられ、
前記蓋体の天面には、天面側係止部が設けられ、
前記外周壁側係止部と前記天面側係止部は、互いに係止する、ことを特徴とする包装用容器。
【請求項2】
前記蓋体が前記容器本体に嵌合した状態、又は前記蓋体が前記容器本体に向けて押圧した状態で、
前記中皿の外周壁の上端が、前記蓋体の天面によって下方へ押圧して当該天面と当接すると共に、前記中皿の外周壁の下端も、下方へ押圧して前記側壁の段部に当接し、
前記中皿は、前記外周壁の下端から外側へ延び、前記中皿の周方向へ全周にわたり連続するフランジ部を備え、
前記包装用容器が傾けられた際に、前記空間に流れ込んだ前記食品の重さによって、前記中皿のフランジ部が前記容器本体の段部を押圧するように構成されている、ことを特徴とする請求項1に記載の包装用容器。
【請求項3】
前記中皿は、当該中皿の側壁の内側に、食品を収容可能な収容部を備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載の包装用容器。」
第4 取消理由の概要
令和7年8月5日付けで当審が通知した取消理由の概要は、次のとおりである。
取消理由1 (進歩性)請求項1~3に係る発明は、甲1-1発明及び甲2記載事項、もしくは甲3発明及び甲2記載事項に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1~3に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。
<証拠一覧>
甲第1号証:特許第7210308号公報(申立人が提出した甲第1号証)
甲第1号証の1:特開2020-111386号公報(同甲第1号証の1)
甲第2号証:特許第5075237号公報(同甲第2号証)
甲第3号証:特許第6013265号公報(同甲第3号証)
甲第4号証:特許第6559941号公報(同甲第4号証)
甲第5号証:特許第6750918号公報(同甲第5号証)
以下、甲第1号証等を「甲1」等、甲第1号証の1を「甲1-1」という。
第5 当審の判断
当審は上記第4の取消理由は解消したと判断する。
1 甲1-1発明、甲2記載事項、甲3発明
(1) 甲1-1発明
ア 甲1-1には、以下の事項が記載されている。なお、下線は当審で付与し、「・・・」は省略を示す(以下同様)。
「【請求項1】
各々合成樹脂製シートからなり、平面視外縁が略円形である本体と、中皿と、平面視外縁が略円形である蓋と、を備え、本体と中皿と蓋とが合体した合体状態において帯状ラベルが上下方向に巻回されて使用される、丼型の食品包装用容器であって、
本体は、本体底面部と本体側壁部と本体フランジ部とを備え、
本体フランジ部は、本体側壁部の上端から外側に向けて略水平に延びる本体水平面部と、該本体水平面部の外側に位置し、略全周に亘って上側に突出した突条と、該突条の外側に位置する平面視略円形の本体外嵌合部と、本体フランジ部の外縁の所定箇所に形成された本体摘み部とを備え、
突条は、本体水平面部の外縁から上側に立ち上がる内側の側面部と、該内側の側面部の外側に位置する外側の側面部と、内側の側面部の上端と外側の側面部の上端とを連結する頂面部とを備え、突条の内側の側面部は、平面視略多角形であり、
中皿は、中皿底面部と中皿側壁部と仕切り壁部と中皿フランジ部とを備え、
中皿フランジ部は、中皿側壁部の外縁から外側に延びるベース面部と、該ベース面部の外縁から上側に立ち上がる立ち上がり壁部と、該立ち上がり壁部の上端から外側に向けて略水平に延びる中皿水平面部とを備え、立ち上がり壁部は、本体の突条の内側の側面部に対応した平面視略多角形であり、
蓋は、天面部と蓋側壁部と蓋フランジ部とを備え、天面部の周縁部には互いに対向して一対のガード凸部が上側に向けて突設され、両ガード凸部の間に合体状態において帯状ラベルが巻回され、
蓋フランジ部は、合体状態において本体外嵌合部の外側に嵌合する平面視略円形の蓋外嵌合部と、蓋フランジ部の外縁の所定箇所に形成された蓋摘み部とを備え、
合体状態において、本体の突条の内側の側面部に中皿の立ち上がり壁部が係合することにより中皿が周方向に位置決めされる、丼型の食品包装用容器。」
「【技術分野】
【0001】
本発明は、本体と中皿と蓋とを備えた丼型の食品包装用容器に関する。」
「【0010】
該構成の井型の食品包装用容器にあっては、本体に麺等の主の食材を収容した状態で中皿を載せる。・・・」
「【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態に係る丼型の包装用容器(以下、単に容器という。)について図1~図14を参酌しつつ説明する。図1に、容器の全体構成を分離状態で示している。容器には種々の食品を収容することができる。特に、各種の麺類や丼物が適している。
・・・
【0029】
<中皿2>
図4に中皿2の平面図を示し、図5に中皿2の底面図を示している。中皿2は、図4のように、平面視外縁が略円形であるが、略円形でなくてもよい。図7のように、中皿2は、中皿底面部30と中皿側壁部31と中皿フランジ部32と仕切り壁部33とを備えている。中皿底面部30は平面視略円形である。中皿底面部30の高さは一定であってもよいし一定でなくてもよい。中皿底面部30には仕切り壁部33が突設されている。中皿底面部30と中皿側壁部31とによって中皿収容空間が画成されるが、その中皿収容空間が仕切り壁部33によって複数に区画されて複数の収容室34が形成される。仕切り壁部33の配置や個数は任意である。仕切り壁部33は例えば平面視において所定方向に沿って延びる形状とすることができ、その場合、複数の収容室34は仕切り壁部33の方向と直交した方向に並ぶことになる。本実施形態では所定方向に沿って延びる二つの仕切り壁部33を有していて、その二つの仕切り壁部33によって中皿収容空間は三つの収容室34に仕切られている。
【0030】
中皿底面部30の周縁から中皿側壁部31が立ち上がっている。中皿側壁部31は本実施形態では平面視略円形であるが、平面視略円形でなくてもよい。中皿底面部30や中皿側壁部31には各種のリブを形成してよい。中皿側壁部31は、主側壁部31aと外部側壁部31bとを備えている。主側壁部31aは中皿底面部30の周縁から上側に立ち上がっている。主側壁部31aは、全体として上側に向けて拡径しつつ延びている。主側壁部31aの上端から下側に向けて外部側壁部31bが延びている。主側壁部31aと外部側壁部31bとの間の折り返し部31cは、中皿側壁部31において最も高い位置にある。外部側壁部31bは主側壁部31aの外側に位置する。外部側壁部31bは、全体として下側に向けて拡径しつつ延びている。」
「【0043】
<合体状態>
図11~図14に本体1と中皿2と蓋3を合体させた合体状態を示している。本体1に中皿2を載せて、その上から蓋3を装着する。合体状態において、中皿2のベース面部35は、本体1の内側本体水平面部13の上側に対向し、中皿2の立ち上がり壁部36は、本体1の突条14の内側の側面部14aの内側に対向し、中皿2の中皿水平面部37は、本体1の突条14の頂面部14bの上側に対向する。中皿水平面部37は、本体1の突条14の頂面部14bよりも外側にはみ出してよい。
【0044】
本体1に中皿2を載せると、本体1の内側本体水平面部13に中皿2のベース面部35が当接する。尚、本体1の突条14の頂面部14bに中皿2の中皿水平面部37が当接してもよいし、当接しなくてもよい。即ち、本体1の内側本体水平面部13に中皿2のベース面部35が当接すると共に、本体1の突条14の頂面部14bに中皿2の中皿水平面部37が当接することもある。何れにしても、本体1の内側本体水平面部13、あるいは、本体1の内側本体水平面部13と突条14の頂面部14bの両方によって中皿2が支持される。本体1に中皿2を載せる際、本体1の本体摘み部20と中皿2の仕切り壁部33を目安にして本体1に対して中皿2の周方向の位置を合わせることができる。例えば、図2のように本体摘み部20が左手前45度に位置するように本体1を基準状態として、その上に中皿2を載せる。中皿2も図4のように仕切り壁部33が前後方向を向いた基準状態とし、その状態で本体1に載せる。
・・・
【0046】
蓋3は、本体1に外嵌合する。即ち、本体1に蓋3を装着すると、本体外嵌合部18の外側に蓋外嵌合部47が嵌合し、本体外嵌合部18の下側に蓋3の係止凸部48が係止する。尚、蓋3の天面部40は中皿2の中皿側壁部31の折り返し部31cに当接するが、例えば蓋フランジ主部44が中皿水平面部37に当接してもよい。蓋3を被せる際、蓋摘み部50を目安にして本体1及び中皿2に対して蓋3を所定の向きに揃えることができる。例えば、図6のように蓋摘み部50が左手前45の位置となった基準状態の蓋3を、それぞれ基準状態となっている本体1及び中皿2に被せることができる。」
「【図1】
[図:0001434165000001.jpg]
・・・
【図13】
[図:0001434165000002.jpg]
【図14】
[図:0001434165000003.jpg]
」
イ 甲1-1から把握できる事項
【0010】、【図1】、【図13】を踏まえると、食品包装用容器は、食材を収容した本体1に、中皿2を収容した状態で、蓋3を閉じている。
【0044】、【図14】を踏まえると、本体1に中皿2を載せると、本体1の本体水平面部13に中皿2のベース面部35が当接している。
【0046】、【図14】を踏まえると、蓋3の天面部40は中皿2の中皿側壁部31の折り返し部31cに当接している。
段落【0030】、【図13】、【図14】を踏まえると、中皿2の主側壁部31aと外部側壁部31bとの間に空間が形成されている。
ウ 甲1-1発明
上記ア、イより、甲1-1には以下の発明が記載されている(以下「甲1-1発明」という。)。
「各々合成樹脂製シートからなり、平面視外縁が略円形である本体1と、中皿2と、平面視外縁が略円形である蓋3と、を備え、本体1と中皿2と蓋3とが食材を収容した本体1に中皿2を収容した状態で合体した合体状態において帯状ラベル4が上下方向に巻回されて使用される、丼型の食品包装用容器であって、
本体2は、本体底面部10と本体側壁部11と本体フランジ部12とを備え、
本体フランジ部12は、本体側壁部11の上端から外側に向けて略水平に延びる本体水平面部13と、該本体水平面部13の外側に位置し、略全周に亘って上側に突出した突条14と、該突条14の外側に位置する平面視略円形の本体外嵌合部18と、本体フランジ部12の外縁の所定箇所に形成された本体摘み部20とを備え、
突条14は、本体水平面部13の外縁から上側に立ち上がる内側の側面部14aと、該内側の側面部14aの外側に位置する外側の側面部14cと、内側の側面部14aの上端と外側の側面部14cの上端とを連結する頂面部14bとを備え、突条14の内側の側面部14aは、平面視略多角形であり、
中皿2は、中皿底面部30と中皿側壁部31と仕切り壁部33と中皿フランジ部32と収容室34を備え、
中皿フランジ部32は、中皿側壁部31の外縁から外側に延びるベース面部35と、該ベース面部35の外縁から上側に立ち上がる立ち上がり壁部36と、該立ち上がり壁部36の上端から外側に向けて略水平に延びる中皿水平面部37とを備え、立ち上がり壁部36は、本体の突条14の内側の側面部14aに対応した平面視略多角形であり、
蓋3は、天面部40と蓋側壁部41と蓋フランジ部42とを備え、天面部40の周縁部には互いに対向して一対のガード凸部43が上側に向けて突設され、両ガード凸部43の間に合体状態において帯状ラベル4が巻回され、
蓋フランジ部42は、合体状態において本体外嵌合部18の外側に嵌合する平面視略円形の蓋外嵌合部47と、蓋フランジ部42の外縁の所定箇所に形成された蓋摘み部50とを備え、
合体状態において、本体1の突条14の内側の側面部14aに中皿2の立ち上がり壁部36が係合することにより中皿2が周方向に位置決めされ、
蓋3の天面部40は中皿2の中皿側壁部31の折り返し部31cに当接し、
本体1の本体水平面部13に中皿2のベース面部35が当接し、
中皿2の主側壁部31aと外部側壁部31bとの間に空間が形成されている、丼型の食品包装用容器。」
(2) 甲2記載事項
ア 甲2には、以下の事項が記載されている。
「【技術分野】
【0001】
本発明は、電子レンジ機器にて加熱料理が可能な冷蔵あるいは冷凍された例えばスパゲティ料理のルーとパスタ、またはカレー料理のルーと米飯とを分離保持した状態で封入しておいて、供食時には電子レンジ機器にて加熱してからルーをパスタや米飯に載せ、容器のままで供食可能にした食品包装容器に関する。」
「【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来における上記した特許文献1の場合には、中皿をその周縁が容器本体の上方開口周縁に引っ掛かるようにして配置し、その上を蓋で被せて覆っており、また特許文献2の場合には、中皿周壁の上端縁全周に張り出したフランジを、容器本体の周壁内面から内方へ膨出する中皿支持段部の上に載せ、その上を蓋で被せて覆っている。そのため、加熱後の供食時には、容器本体から蓋を外した後に、さらに容器本体から加熱した中皿を直接手に持って取り出さなければならず、非常に面倒である。しかも、中皿は容器本体の上方開口周縁または中皿支持段部に掛けられ、その上を蓋で被せてあるだけなので、施蓋した状態での容器本体内の気密効果も劣り、このため、加熱時における容器本体内の食品に対する蒸らし作用も期待できるほどには大きくすることができない。
【0007】
また、従来では特許文献1および特許文献2共に容器本体の上方開口部全体が中皿によって覆われていて、容器本体内の食品と中皿の底面との間にできる空間が非常に狭いため、加熱時に発生した蒸気をその空間内にこもらせることができず、容器本体内の食品に対する蒸らし作用が十分に期待できない。そればかりでなく、容器本体内の食品がパスタや麺等であった場合には、加熱時の加熱過剰によりパスタや麺等が硬く乾燥した状態となり食感の低下を招く虞がある。しかも、蓋によって容器本体が施蓋された際には、容器本体の上方開口部全体を覆っている中皿により、蓋を通して容器本体内の食品が見えなくなるので、容器本体内の食品の種類や収容状態、さらには加熱時の料理進行状態等を知ることができないという諸々の問題点を有していた。
【0008】
そこで、本発明は叙上のような従来存した諸事情に鑑み創出されたもので、電子レンジ機器で加熱調理でき、加熱調理後では具材としてのルーを食品であるパスタや米飯上に載せるように移し替えでき、具材や食品それぞれを美味な物として供食可能にするのはもとより、容器本体から蓋と中皿とを別々に取り外すという面倒さをなくすことができ、しかも容器本体内の気密効果に加えて、容器本体内の食品に対する蒸らし作用を大きくすることで、加熱時での加熱過剰によって硬化乾燥したことによる食感の低下を未然に防ぐことができ、また蓋を通して容器本体内の食品が見えるようにすることで、容器本体内の食品の種類や収容状態、さらには加熱時の料理進行状態等を容易に知ることができる食品包装容器を提供することを目的とする。」
「【0009】
上述した課題を解決するために、本発明にあっては、食品Pである例えばパスタまたは米飯等を収容する容器本体1と、容器本体1の開口部に施蓋される蓋11と、この蓋11によって覆われるようにして容器本体1の開口部側に配置され、食品P上に載せられる具材Qである例えばルー等を収容する中皿21とを備えてなる食品包装容器であって、中皿21の開口径は蓋11の幅径よりも小さく形成され、蓋11の下面内側には中皿21の開口部内縁に形成された係止内壁部22に内嵌合される環状嵌合部12を備えてなるものである。・・・
【0010】
以上のように構成された本発明に係る食品包装容器にあって、蓋11において、外面から内面側に向けて断面で略U字状となるように窪ませてなる環状嵌合部12は、これを中皿21の開口部内縁を段溝状に形成されてなる係止内壁部22に内嵌合させることによって、当該中皿21を蓋11下面で吊下げ状となして保持させる。・・・」
「【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、容器本体1から蓋11と中皿21とを別々に取り外すという従来行われていた面倒さが解消でき、しかも容器本体1自体の気密効果を高めることと同時に、容器本体1内の食品Pに対する蒸らし作用を従来のものよりも大きくでき、しかも加熱時での加熱過剰によって硬化乾燥したことによる食感の低下を未然に防ぐことができ、また蓋11を通して容器本体1内の食品Pが見えることで、容器本体1内の食品Pの種類や収容状態、さらには加熱時の料理進行状態等を容易に知ることができる。
【0012】
すなわち、これは本発明が、食品Pである例えばパスタまたは米飯等を収容する容器本体1と、容器本体1の開口部に施蓋される蓋11と、この蓋11によって覆われるようにして容器本体1の開口部側に配置され、食品P上に載せられる具材Qである例えばルー等を収容する中皿21とを備えてなる食品包装容器であって、中皿21の開口径は蓋11の幅径よりも小さく形成され、蓋11の下面内側には中皿21の開口部内縁に形成された係止内壁部22に内嵌合される環状嵌合部12を備えているからであり、これにより、加熱後の供食時には容器本体1から蓋11を取り外すとき、中皿21も共に取り出すことができ、また中皿21ごと一緒に蓋11を取り外してから蓋11から中皿21を容易に外すことができ、従来のように容器本体1から蓋11と中皿21とを別々に取り外すという面倒さをなくすことができる。
・・・
【0015】
しかも、中皿21の開口径は蓋11の幅径よりも小さく形成されているため、蓋11が容器本体1に施蓋された際に、中皿21の外周壁面と容器本体1の内周壁面との間から蓋11を通して容器本体1内の食品Pを容易に見ることができ、容器本体1内の食品Pの種類や収容状態、さらには加熱時の加熱進行状態等を容易に知ることができる。」
「【発明を実施するための形態】
・・・
【0023】
蓋11はその幅径が後述する中皿21の開口径よりも大きい平面で略円形状に形成され、中央の平坦な頂部壁14と、頂部壁14の周縁側を下方湾曲状に延設してなる環状曲壁部13と、後述する中皿21の上方開口縁に内嵌合させるために、頂部壁14および環状曲壁部13の間で環状の窪みとなして形成された環状嵌合部12と、容器本体1の蓋嵌合部2に略密閉状に内嵌合させるために環状曲壁部13の周縁に形成された嵌合部16とによって構成されている。
・・・
【0026】
すなわち、図2、図5に示すように、中皿21はこれの開口部内縁に形成された段部を介して周縁が外方に向けて断面で略逆U字状となって折り返されていることで、中皿21内部が略密閉状になるように、蓋11の環状嵌合部12を内嵌合させる段溝状の係止内壁部22を備えている。この係止内壁部22の上縁には水平なフランジが延設され、さらにフランジの外縁は斜め下方に向けて屈曲されている。そして、中皿21の係止内壁部22に蓋11の環状嵌合部12が内嵌合されることで中皿21と蓋11とが一体化されるようになっている。」
「【図1】
[図:0001434165000004.jpg]
【図2】
[図:0001434165000005.jpg]
」
イ 甲2記載事項
上記アより、甲2には以下の事項が記載されている(以下「甲2記載事項」という。)。
「蓋11に設けた環状嵌合部12と中皿21に設けた上縁に水平なフランジが延設された係止内壁部22とが内嵌合されることで、蓋11と中皿21が密閉状に一体化されること。」
(3) 甲3の記載事項
ア 甲3には、以下の記載が記載されている。
「【請求項1】
上方に開口した開口部を有する容器本体と、前記開口部を閉じるように容器本体に着脱可能に装着される蓋部材と、前記容器本体と前記蓋部材との間に配置される中皿とを有する樹脂成形品による中皿付き容器であって、
前記容器本体は前記開口部を画定する上縁部より下部の容器内に上面を有する段部を有し、
前記中皿は外周部より外方に延出して前記段部上に載置されるフランジ部を有し、
前記蓋部材は、前記段部より前記上縁部側の前記容器本体の内周面にその全周に亘って抜き差し可能に嵌合する環状部と、段部に対向し前記フランジ部を前記段部に押し付ける押付部とを有し、
前記蓋部材と前記中皿とに、前記容器本体と前記蓋部材との抜き差し方向と同方向に係脱可能に嵌合して前記蓋部材と前記中皿とを液密性をもって着脱可能に連結する嵌合部が形成されており、
前記中皿と前記容器本体とに、前記中皿を前記容器本体に係脱可能に係止する係止部が形成されており、
前記係止部による前記中皿と前記容器本体との抜き差し方向の係止強度は前記嵌合部による前記蓋部材と前記中皿との抜き差し方向の嵌合強度よりも強い中皿付き容器。」
「【技術分野】
【0001】
本発明は、中皿付き容器に関し、更に詳細には、容器本体と蓋部材との間に中皿を有する食品の収容に適した樹脂成形品による中皿付き容器に関する。」
「【発明が解決しようとする課題】
・・・
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、中皿付き容器において、中皿の着脱の作業性、取扱性がよく、しかも液漏れ現象を生じ難くすることである。」
「【0051】
次に、本発明による中皿付き容器の実施形態2を、図5~図8を参照して説明する。
【0052】
中皿付き容器は、牛丼やカレーライス、パスタ料理等の販売用の密閉容器であり、上方に開口した開口部42(図6参照)を有する容器本体40と、開口部42を閉じるように容器本体40に着脱可能に液密に装着される蓋部材50と、容器本体40と蓋部材50との間に配置される中皿60とを有する。
・・・
【0054】
容器本体40には、開口部42を画定する上縁部40A(図6参照)より10~20mm程度下部の容器内に略水平な上面44(図6参照)を有する段部(肩部)46が形成されている。段部46は、容器本体40の全周に亘って連続して形成されており、平面視で容器本体40の上縁の平面視形状(略四角形)と同形状の環状をなしている。
・・・
【0057】
中皿60は、ポリスチレンやポリプロピレン等の非発泡の熱可塑性樹脂からなる樹脂シートを熱プレス(真空成形)等によって成形した成形品であり、厚さが0.1~0.5mm程度で、容器本体40の開口部42に嵌り込むようにして容器本体40内に収納される上方開口の角形の浅皿状をなし、牛丼やパスタ料理等の具材を収容する。
【0058】
中皿60の外周部、つまり、中皿60の開口部62を画定する上縁部60Aには蓋部材50との嵌合部である突条部64が形成されている。突条部64は、素材シートの曲折(熱プレス)によって断面形状が門形(中空矩形)に、且つ上縁部60Aの全周に亘って連続して成形されており、平面視で略四角形状の環状をなしている。突条部64の外側壁の下端には素材シートの曲折(熱プレス)によって外側壁の下端より外側に突出した段部(肩部)66が成形されている。突条部64の外側壁がなす外側面64A(図6参照)は、段部66との接続部より上方(上縁部60Aの側)に向かうに従って外側に傾斜した傾斜面になっている。
【0059】
中皿60には、段部66の外方端より中皿60の底部近くまで垂下した外側周壁68が中皿60の全周に亘って素材シートの曲折(熱プレス)によって成形されている。外側周壁68は後述する蓋部材50の側周面部50Aの内側に嵌り込む。外側周壁68の下縁部68Aには、当該下縁部68Aより外方に略水平に延出したフランジ部70が素材シートの曲折(熱プレス)によって成形されている。フランジ部70は、外側周壁68の全周、換言すると中皿60の全周に亘って連続して形成されており、平面視で段部46と同形状(略四角形状)の環状をなし、その全体を段部46上に載置される。
・・・
【0062】
蓋部材50には、蓋部材50の開口部52(図6参照)を画定する下縁部52A(図6参照)より外方に略水平に延出して段部46に対向するフランジ状の押付部54と、押付部54の外端(延出端)より上方に鉛直に立ち上がった筒状部(環状部)56と、筒状部56の上端より略水平に延出したフランジ部58とが素材シートの曲折(熱プレス)によって成形されている。
【0063】
押付部54は、平面視で段部46の平面形状(略四角形)と同一形状の環状をなし、全体に亘って略水平に底面54A(図5参照)をもって段部46に正対し、中皿60のフランジ部70を段部46上に押し付ける。
・・・
【0066】
蓋部材50の側周面部50Aが頂面部50Bと接続される上端近傍には、嵌合部53が素材シートの曲折(熱プレス)によって成形されている。嵌合部53の内側面53A(図6参照)は、突条部64の外側面64Aと同様に、嵌合部53の下端に形成された段部(肩部)51との接続部より上方(頂面部50Bの側)に向かうに従って外側に傾斜した傾斜面になっており、嵌合部53には、蓋部材50に対する中皿60の上下方向の抜き差しによって中皿60の突条部64が自身の弾性変形状態で係脱可能に密着嵌合する。この密着嵌合も突条部64の弾性変形のもとに液密性を有する状態で行われる。
・・・
【0073】
組立が完了した状態では、中皿60のフランジ部70が蓋部材50の押付部54によって容器本体40の段部46に押し付けられることにより、中皿60が容器本体40内の所定位置に固定される。また、容器本体40が発泡樹脂製であることにより、容器本体40の弾性変形のもとに蓋部材50の嵌合凸部57が容器本体40の嵌合凹部47に密着嵌合すると共に、突条部64の弾性変形のもとに蓋部材50の嵌合部53が中皿60の突条部64に密着嵌合する。」
「【0088】
これらのことにより、容器本体10や中皿60に収納された食品に含まれている水分、汁が容器外に漏れ出す液漏れ現象が生じ難くなる。
【0089】
更に、この実施形態では、フランジ部70の先端面が嵌合凹部47の内周面に締まり嵌め式に嵌合あるいはフランジ部70の先端縁が嵌合凹部47の内周壁に少し突き刺さることによる容器本体40と中皿60と係止強度が、嵌合部53と突条部64との密着嵌合による蓋部材50と中皿60との嵌合強度よりも強い設定になっているので、中皿60に収納された食品の重さの如何に拘らず、容器本体40より蓋部材50が取り外される際には、必ず中皿60が容器本体40側に残り、中皿60を伴って蓋部材50が容器本体40より外されることがない。」
「【図5】
[図:0001434165000006.jpg]
【図6】
[図:0001434165000007.jpg]
」
イ 甲3から把握できる事項
【0088】、【図5】、【図6】を踏まえると、中皿付き容器は、食品が収納された容器本体40に中皿60を収容した状態で、蓋部材50を閉じている。
【0059】、【図5】、【図6】を踏まえると、中皿60と外側周壁68の間に空間が形成されている。
【0059】、【図5】、【図6】を踏まえると、中皿60のフランジ部70は段部46上に載置されている。
【0066】を踏まえると、蓋部材50の嵌合部53と中皿60の突状部64が密着嵌合している。
ウ 甲3発明
上記ア、イより、特に実施形態2に着目すると、甲3には以下の発明が記載されている(以下「甲3発明」という。)。
「上方に開口した開口部42を有する容器本体40と、前記開口部42を閉じるように容器本体40に着脱可能に装着される蓋部材50と、前記容器本体40と前記蓋部材50との間に配置される中皿60とを有し、食品が収納された容器本体40に中皿60を収容した状態で、蓋部材50を閉じる樹脂成形品による中皿付き容器であって、
前記容器本体40は前記開口部42を画定する上縁部40Aより下部の容器内に上面を有する段部46を有し、
前記中皿60は外周部より外方に延出して前記段部46上に載置されるフランジ部70を有し、
前記蓋部材50は、前記段部46より前記上縁部40A側の前記容器本体40の内周面にその全周に亘って抜き差し可能に嵌合する環状部と、段部46に対向し前記フランジ部70を前記段部46に押し付ける押付部54と、頂面部50Bを有し、
前記蓋部材50と前記中皿60とに、前記容器本体40と前記蓋部材50との抜き差し方向と同方向に係脱可能に嵌合して前記蓋部材50と前記中皿60とを液密性をもって着脱可能に連結する嵌合部53が形成されており、
前記中皿60と前記容器本体40とに、前記中皿60を前記容器本体40に係脱可能に係止する係止部が形成されており、
前記係止部による前記中皿60と前記容器本体40との抜き差し方向の係止強度は前記嵌合部53による前記蓋部材50と前記中皿60との抜き差し方向の嵌合強度よりも強く、
中皿60と外側周壁68の間に空間が形成され、
中皿60のフランジ部70は段部46上に載置され、
蓋部材50の嵌合部53と中皿60の突状部64が密着嵌合している中皿付き容器。」
2 甲1-1を主引例とした場合
(1) 本件発明1について
ア 対比
本件発明1と甲1-1発明とを、その機能、構造又は技術的意義を考慮して対比する。
甲1-1発明の「本体1」は、本件発明1の「容器本体」に相当し、以下同様に、
「食材」は、「食品」に、
「中皿2」は、「中皿」に、
「蓋3」は、「蓋体」に、
「食品包装容器」は、「包装用容器」に、
「本体側壁部11」は、「容器本体の側壁」に、
「本体水平面部13」は、「段部」に、
「主側壁部31a」は、「外周の側壁」に、
「外部側壁部31b」は、「外周壁」に、
「空間」は、「空間」に、
「折り返し部31c」は、「外周壁の上端」に、
「天面部40」は、「蓋体の天面」に、
「ベース面部35」は、「外周壁の下端」にそれぞれ相当する。
甲1-1発明の「本体1と中皿2と蓋3とが食材を収容した本体1に中皿2を収容した状態で合体した合体状態において」「使用される、丼型の食品包装用容器」は、本件発明1の「容器本体に、食品を収容して、中皿を収納した状態で、蓋体を閉じる包装用容器」に相当する。
甲1-1発明の「本体底面部10と本体側壁部11と本体フランジ部12とを備え、本体フランジ部12は、本体側壁部11の上端から外側に向けて略水平に延びる本体水平面部13」を備えている「本体1」は、本件発明1の「側壁に、段部を備え」る「容器本体」に相当する。
甲1-1発明の、「主側壁部31aと外部側壁部31bとの間に空間が形成されている」「中皿2」は、本件発明1の「外周の側壁から下方へ延出する外周壁を備えると共に、前記側壁と前記外周壁の間に空間を備え」る「中皿」に相当する。
甲1-1発明の「食品包装用容器」が、「蓋3の天面部40は中皿2の中皿側壁部31の折り返し部31cに当接し、本体1の内側本体水平面部13に中皿2のベース面部35が当接し」ていることは、本件発明1の「包装用容器」が、「前記中皿の外周壁の上端が、前記蓋体の天面に当接し、前記中皿の外周壁の下端が、前記側壁の段部に当接」することに相当する。
そうすると、本件発明1と甲1-1発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。
[一致点1]
「容器本体に、食品を収容して、中皿を収納した状態で、蓋体を閉じる包装用容器であって、
前記容器本体の側壁に、段部を備え、
前記中皿は、外周の側壁から下方へ延出する外周壁を備えると共に、前記側壁と前記外周壁の間に空間を備え、
前記中皿の外周壁の上端が、前記蓋体の天面に当接し、前記中皿の外周壁の下端が、前記側壁の段部に当接する包装用容器。」
[相違点1]
本件発明1は「前記外周壁の上端と下端が、前記蓋体の天面と前記容器本体の段部とで挟まれて、前記外周壁が上下方向に突っ張った状態であり、
前記中皿の外周壁の上端には、外周壁側係止部が設けられ、
前記蓋体の天面には、天面側係止部が設けられ、
前記外周壁側係止部と前記天面側係止部は、互いに係止する」ものであるのに対し、
甲1-1発明は、前記外周壁の上端と下端が、前記蓋体の天面と前記容器本体の段部とで挟まれて、前記外周壁が上下方向に突っ張った状態かどうかが特定されておらず、
前記中皿の外周壁の上端及び前記蓋体の天面に係止部が設けられていないため、前記外周壁側係止部と前記天面側係止部は、互いに係止するものではない点。
イ 判断
上記相違点1について判断する。
甲2には、甲2記載事項のとおり、蓋11に設けた環状嵌合部12と中皿21に設けた上縁に水平なフランジが延設された係止内壁部22とが内嵌合されることで、蓋11と中皿21が密閉状に一体化されることが記載されている。
しかしながら、甲2記載事項は、従来行われていた容器本体1から蓋11と中皿21とを別々に取り外すという従来行われていた面倒さを解消するために、中皿は容器本体の上方開口周縁または容器本体の周壁内面から内方へ膨出する中皿支持段部に掛けられていた構成に代えて、中皿21と蓋11とを一体化した構成であり、容器本体1から蓋11を取り外すとき、中皿21も共に取り出すようにするための構成である。すなわち、甲2記載事項は、本件発明の「前記中皿の外周壁の下端が、前記側壁の段部に当接」する構成に対応する構成を含まないものである。
そうすると、甲1-1発明に甲2記載事項を適用した場合、甲1-1発明が備えている「前記中皿の外周壁の上端が、前記蓋体の天面に当接し、前記中皿の外周壁の下端が、前記側壁の段部に当接する」という構成が甲2記載事項の構成に置き換わることとなるから、甲1-1発明が上記相違点1の「前記外周壁の上端と下端が、前記蓋体の天面と前記容器本体の段部とで挟まれて、前記外周壁が上下方向に突っ張った状態」の構成は得られない。
また、申立人が提出する他の証拠にも、上記相違点1に係る本件発明1の構成は記載も示唆もない。
してみると、甲1-1発明において、上記相違点1に係る本件発明1の構成とすることは当業者が容易に想到し得たものではない。
ウ 申立人の主張について
申立人は意見書において、訂正後本件発明1の「前記外周壁の上端と下端が、前記蓋体の天面と前記容器本体の段部とで挟まれて、前記外周壁が上下方向に突っ張った状態」は、甲1-1発明に甲2記載事項を適用した構成において、本体1と蓋3とを装着(外嵌合)させた場合に当然に生じる構成に他ならないと主張する(第6ページ第1~3行)。
しかしながら、上記イのとおり、甲2記載事項は中皿の支持を容器本体に代えて蓋体で行うようにするための構成であるから、甲1-1発明に甲2記載事項を適用した場合、外周壁の上端と下端が蓋体の天面と前記容器本体の段部とで挟まれる構成とはならない。
してみると、上記主張は採用できない。
エ 小括
したがって、本件発明1は、甲1-1発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(2) 本件発明2、3について
本件発明2、3は、本件発明1の発明特定事項を全て含むから、上記(1)ウ~エのとおり、甲1-1発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
3 甲3を主引例とした場合
(1) 本件発明1について
ア 対比
本件発明1と甲3発明とを、その機能、構造又は技術的意義を考慮して対比する。
甲3発明の「容器本体40」は、本件発明1の「容器本体」に相当し、以下同様に、
「食品」は、「食品」に、
「中皿60」は、「中皿」に、
「蓋部材50」は、「蓋体」に、
「中皿付き容器」は、「包装用容器」に、
「段部46」は、「段部」に、
「外側周壁68」は、「外周壁」に、
「空間」は、「空間」に、
「頂面部50B」は、「蓋体の天面」に、
「フランジ部70」は、「外周壁の下端」にそれぞれ相当する。
甲3発明の「食品が収納された容器本体40に中皿60を収容した状態で、蓋部材50を閉じる」「中皿付き容器」は、本件発明1の「容器本体に、食品を収容して、中皿を収納した状態で、蓋体を閉じる包装用容器」に相当する。
甲3発明の「段部46」を有している「容器本体40」は、本件発明1の「側壁に、段部を備え」る「容器本体」に相当する。
甲3発明の「中皿60と外側周壁68の間に空間が形成され」ている「中皿60」は、本件発明1の「外周の側壁から下方へ延出する外周壁を備えると共に、前記側壁と前記外周壁の間に空間を備え」る「中皿」に相当する。
甲3発明の「中皿付き容器」が、「中皿60のフランジ部70は段部46上に載置され」ていることは、本件発明1の「包装用容器」が、「前記中皿の外周壁の下端が、前記側壁の段部に当接」することに相当する。
甲3発明の「前記蓋部材50は、前記段部46より前記上縁部40A側の前記容器本体40の内周面にその全周に亘って抜き差し可能に嵌合する環状部と、段部46に対向し前記フランジ部70を前記段部46に押し付ける押付部54と、頂面部50Bを有」することは、本件発明1の「前記蓋体の天面には、天面側係止部が設けられ」ることと、「前記蓋体の天面」を有する限りで一致する。
甲3発明の「蓋部材50の嵌合部53と中皿60の突状部64が密着嵌合している」ことは、本件発明1の「前記中皿の外周壁の上端には、外周壁側係止部が設けられ、前記蓋体の天面には、天面側係止部が設けられ、前記外周壁側係止部と前記天面側係止部は、互いに係止する」ことと、「前記中皿と前記蓋体とは、互いに係止する」限りで一致する。
そうすると、本件発明1と甲3発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。
[一致点2]
「容器本体に、食品を収容して、中皿を収納した状態で、蓋体を閉じる包装用容器であって、
前記容器本体の側壁に、段部を備え、
前記中皿は、外周の側壁から下方へ延出する外周壁を備えると共に、前記側壁と前記外周壁の間に空間を備え、
前記中皿の外周壁の下端が、前記側壁の段部に当接し、
前記蓋体は天面部を有し、
前記中皿と前記蓋体とは、互いに係止する包装用容器。」
[相違点2A]
中皿と蓋体に関し、本件発明1は「前記中皿の外周壁の上端が、前記蓋体の天面に当接し」ているのに対し、甲3発明では、中皿60が蓋部材50の天面に当接しているか否か不明な点。
[相違点2B]
本件発明1は、前記外周壁の上端と下端が、前記蓋体の天面と前記容器本体の段部とで挟まれて、前記外周壁が上下方向に突っ張った状態であるのに対し、甲3発明は、そのような事項を有するかどうかが明らかでない点。
[相違点2C]
中皿と蓋体に関し、本件発明1は「前記中皿の外周壁の上端には、外周壁側係止部が設けられ、前記蓋体の天面には、天面側係止部が設けられ、前記外周壁側係止部と前記天面側係止部は、互いに係止」しているのに対し、甲3発明では、蓋部材50の嵌合部53と中皿60の突状部64が密着嵌合しているものの、突状部64は中皿60の上端ではなく、嵌合部53が設けられているのは蓋部材50の天面ではない点。
イ 判断
相違点2A~2Cは相互に関連するため、まとめて判断する。
甲2には、甲2記載事項のとおり、蓋11に設けた環状嵌合部12と中皿21に設けた上縁に水平なフランジが延設された係止内壁部22とが内嵌合されることで、蓋11と中皿21が密閉状に一体化されることが記載されている。
一方、甲3発明は「前記係止部による前記中皿60と前記容器本体40との抜き差し方向の係止強度は前記嵌合部53による前記蓋部材50と前記中皿60との抜き差し方向の嵌合強度よりも強」い構成を有しており、これは、甲3の【0089】にあるとおり、「容器本体40より蓋部材50が取り外される際には、必ず中皿60が容器本体40側に残り、中皿60を伴って蓋部材50が容器本体40より外されることがない」という事項を目的としている。
そうすると、甲3発明の目的に反する甲2記載事項の構成を、甲3発明に適用する動機がない。仮に適用したとしても、上記2(1)イで説示したとおり、甲2記載事項は、本件発明の「前記中皿の外周壁の下端が、前記側壁の段部に当接」する構成に対応する構成を含まないものであるから、相違点2Bの「前記外周壁の上端と下端が、前記蓋体の天面と前記容器本体の段部とで挟まれて、前記外周壁が上下方向に突っ張った状態であ」るという構成を備えるものとはならない。
また、申立人が提出する他の証拠にも、上記相違点2A~2Cの全てを備える点は記載も示唆もない。
してみると、甲3発明において、上記各相違点に係る本件発明1の構成とすることは当業者が容易に想到し得たものではない。
ウ 申立人の主張について
申立人は意見書において、訂正後本件発明1の「前記外周壁の上端と下端が、前記蓋体の天面と前記容器本体の段部とで挟まれて、前記外周壁が上下方向に突っ張った状態」は、甲3発明に甲2記載事項を適用した構成において、本体1と蓋3とを装着(外嵌合)させた場合に当然に生じる構成に他ならないと主張する(第8ページ下から2行~第9ページ第3行)。
しかしながら、上記イのとおり、甲2記載事項は甲3発明に反する構成であるから、甲3発明に甲2記載事項を適用する動機がないし、仮に甲3発明に甲2記載事項を組み合わせることができたとしても訂正後本件発明1の構成にはならない。
してみると、上記主張は採用できない。
エ 小括
したがって、本件発明1は、甲3発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(2) 本件発明2、3について
本件発明2、3は、本件発明1の発明特定事項を全て含むから、上記(1)ウのとおり、甲3発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
第6 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件請求項1~3に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件請求項1~3に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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2025-700499