特許異議申立
2025-700029
照明装置
- 審判番号
- 2025-700029
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2022-190684
- 登録番号
- 7508133
- 請求日
- 2024年12月25日
- 審決日
- 2026年01月30日
- 公報発行日
- 2026年05月29日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】アイリスオーヤマ株式会社
- 【権利者代理人】原田 淳司
- 【権利者代理人】奥山 裕治
- 【異議申立人】宮▲崎▼ 章仁
- 審判長/審判官
- 審判長 草野 顕子
- 審判官 横溝 顕範
- 審判官 高橋 学
- 分類
- P1651.113-YAA(F21V) / P1651.121-YAA(F21V)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法120条の8第1項特許法135条
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第120条の5第2項、特許法第29条第1項、特許法第29条第2項、特許法第29条第1項第3号、特許法第120条の5第7項、特許法第120条の8第1項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7508133号発明「照明装置」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7508133号の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~5〕について訂正することを認める。
特許第7508133号の請求項1、3~5に係る特許を維持する。
特許第7508133号の請求項2に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7508133号(以下「本件特許」という。)の請求項1~5に係る特許についての出願は、平成30年7月11日に出願された特願2018-131898号の一部を令和4年11月29日に新たな特許出願としたものであって、令和6年6月21日に特許権の設定登録がされ、同年7月1日に特許掲載公報が発行された。
その後、特許異議申立人宮崎章仁(以下「申立人」という。)による特許異議の申立てがされた。
本件特許についての申立人による本件特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。
令和6年12月25日 :特許異議の申立て(全請求項)
令和7年 3月25日付け:取消理由通知書
同年 5月27日 :特許権者より意見書・訂正請求書の提出
同年 7月 4日 :申立人より意見書の提出
同年 8月25日付け:取消理由通知書(決定の予告)
同年10月24日 :特許権者より意見書・訂正請求書の提出
同年12月 2日 :申立人より意見書の提出
なお、令和7年5月27日にされた訂正の請求は、特許法第120条の5第7項の規定により取り下げられたものとみなす。
第2 訂正の適否
1 訂正の内容
令和7年10月24日に提出された訂正請求書(以下、単に「訂正請求書」という。)による訂正(以下「本件訂正」という。)は、本件特許の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~5について訂正することを求めるものであり、その訂正の内容は以下のとおりである。なお、下線は訂正箇所を示す。
(1)訂正事項1
請求項1に
「光源基板と複数個の発光素子とを備える光源ユニットと、
前記光源ユニットに点灯電力を供給する電源ユニットと、
前記光源ユニットを表側に搭載し且つ前記電源ユニットを裏側に搭載するベースと、
支持部材と
を備え、
前記電源ユニットは電源基板を有し、
前記支持部材は、前記光源基板と前記電源基板とを電気的に接続する導電ピンを支持し、
前記電源基板は、前記導電ピンを備え、
前記光源ユニットは、前記導電ピンと電気的に接続する導電板を有し、
前記支持部材は、前記電源基板に装着され、前記電源基板と前記導電板との間で前記導電ピンを支持しており、
前記支持部材は、前記光源ユニット側が塞がれた有蓋筒状であり、当該蓋部分には前記導電ピンの太さに対応した大きさの、前記導電ピン用の貫通孔が形成されている、
照明装置。」
とあるのを、
「光源基板と複数個の発光素子とを備える光源ユニットと、
前記光源ユニットに点灯電力を供給する電源ユニットと、
前記光源ユニットを表側に搭載し且つ前記電源ユニットを裏側に搭載するベースと、
支持部材と
を備え、
前記電源ユニットは電源基板を有し、
前記支持部材は、前記光源基板と前記電源基板とを電気的に接続する導電ピンを支持し、
前記電源基板は、前記導電ピンを備え、
前記光源ユニットは、前記導電ピンと電気的に接続する導電板を有し、
前記支持部材は、前記電源基板に装着され、前記電源基板と前記導電板との間で前記導電ピンを支持しており、
前記支持部材は、前記光源ユニット側が塞がれた有蓋筒状であり、当該蓋部分には前記導電ピンの太さに対応した大きさの、前記導電ピン用の貫通孔が形成され、
前記導電ピンは、前記電源基板に設けられ、当該電源基板から表側にまっすぐに延伸する1本の金属棒であり、
前記導電ピンは2本からなり、
前記2本の導電ピンは平行に延伸している、
照明装置。」
に訂正する。
請求項1の記載を引用する請求項3~5も同様に訂正する。
(2)訂正事項2
請求項2を削除する。
(3)訂正事項3
請求項3に、
「前記導電ピンは2本からなり、
前記2本の導電ピンは平行に延伸し、
前記支持部材は、前記2本の導電ピンが挿通する一対の筒部と、前記一対の筒部を連結する連結部とを有する、
請求項1又は2に記載の照明装置。」
とあるのを
「前記支持部材は、前記2本の導電ピンが挿通する一対の筒部と、前記一対の筒部を連結する連結部とを有する、
請求項1に記載の照明装置。」
に訂正する。
請求項3の記載を引用する請求項4及び5も同様に訂正する。
(4)訂正事項4
請求項4に、
「前記支持部材は、前記電源基板に装着するための装着部を有し、
前記装着部は、前記電源基板の貫通孔又は凹みに嵌る凸部を有する、
請求項1~3の何れか1項に記載の照明装置。」
とあるのを
「前記支持部材は、前記電源基板に装着するための装着部を有し、
前記装着部は、前記電源基板の貫通孔又は凹みに嵌る凸部を有する、
請求項1又は3に記載の照明装置。」
に訂正する。
請求項4の記載を引用する請求項5も同様に訂正する。
2 訂正の適否
(1)訂正事項1について
訂正事項1は、請求項1において、「前記導電ピンは、前記電源基板に設けられ、当該電源基板から表側にまっすぐに延伸する1本の金属棒であり、前記導電ピンは2本からなり、前記2本の導電ピンは平行に延伸している」と特定することで、「導電ピン」の構成をより具体的に特定し、限定するものである。
したがって、訂正事項1は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
また、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「本件明細書等」という。)に記載した事項との関係を検討すると、【0024】「・・・電源回路部511は、光源ユニット50に点灯電力を供給するための導電ピン517を電源基板516に備える。高電位側の導電ピンを高導電ピン517Hとし、低電位側の導電ピンを低導電ピン517Lとし、区別する必要がない場合、単に導電ピン517として説明する。導電ピン517は表側にまっすぐに延伸する。導電ピン517は金属棒により構成されている。・・・」(下線は当審で付した。以下同様。)、【0032】「・・・実施形態では、2本の導電ピン517が近接して電源基板516に設けられているが、例えば、電源基板の長手方向又は短手方向の両端に設けられてもよい。但し、組み立ての自動化を考慮すると、2本の導電ピンの延伸方向は平行であることが好ましい。」、【0036】「なお、ここでの支持部材81は一対の筒部811を一体で有しているが、1本の導電ピンに対して、1つの筒部を有する支持部材により支持するようにしてもよい。」との記載がある。
そうすると、「前記導電ピンは、前記電源基板に設けられ、当該電源基板から表側にまっすぐに延伸する1本の金属棒であり、前記導電ピンは2本からなり、前記2本の導電ピンは平行に延伸している」ことが、本件明細書等に記載されていると認められる。
したがって、訂正事項1は、本件明細書等の記載により導かれる事項との関係において新たな技術的事項を導入するものでないから、本件明細書等に記載した事項の範囲内のものである。
そして、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
(2)訂正事項2について
訂正事項2は、訂正前の請求項2を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そして、訂正事項2は、訂正前の請求項2を削除するものであるから、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
(3)訂正事項3について
訂正事項3は、本件訂正前の請求項3に記載されていた「前記導電ピンは2本からなり、前記2本の導電ピンは平行に延伸し、」との発明特定事項を本件訂正後の請求項1に組み込んだことに伴って当該発明特定事項を削除するとともに、訂正事項1により本件訂正前の請求項2に記載されていた「前記導電ピンは、1本の金属棒である」との発明特定事項を本件訂正後の請求項1に組み込むとともに訂正事項2により本件訂正前の請求項2が削除されたことに伴って「請求項1に記載の照明装置。」と訂正することで請求項2を引用しない形式とするものである。
そうすると、訂正事項3は、本件訂正前の請求項1を直接的に引用する請求項3を実質的に削除し、本件訂正前の請求項1を引用する請求項2を引用する請求項3に実質的に限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そして、訂正事項3は、本件明細書等に記載された事項の範囲内においてするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
(4)訂正事項4について
訂正事項4は、本件訂正前の請求項4が「請求項1~3の何れか1項に記載の照明装置。」であったところ、訂正事項2により本件訂正前の請求項2が削除されたことに伴って「請求項1又は3に記載の照明装置。」とすることで、請求項2を引用しない形式とするものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に規定する、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものに該当する。
3 一群の請求項について
本件訂正前の請求項1~5は、請求項2~5が請求項1の記載を引用する関係にあるから、本件訂正は一群の請求項〔1~5〕について請求されたものである。
4 訂正の請求についてのむすび
以上のとおり、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び第4号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
したがって、本件特許の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~5〕について訂正することを認める。
第3 本件訂正後の発明
上記第2のとおり本件訂正は認められたから、本件訂正後の本件特許の請求項1~5に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1」等という。)は、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1~5に記載された事項により特定される、以下のとおりのものであると認められる。
「【請求項1】
光源基板と複数個の発光素子とを備える光源ユニットと、
前記光源ユニットに点灯電力を供給する電源ユニットと、
前記光源ユニットを表側に搭載し且つ前記電源ユニットを裏側に搭載するベースと、
支持部材と
を備え、
前記電源ユニットは電源基板を有し、
前記支持部材は、前記光源基板と前記電源基板とを電気的に接続する導電ピンを支持し、
前記電源基板は、前記導電ピンを備え、
前記光源ユニットは、前記導電ピンと電気的に接続する導電板を有し、
前記支持部材は、前記電源基板に装着され、前記電源基板と前記導電板との間で前記導電ピンを支持しており、
前記支持部材は、前記光源ユニット側が塞がれた有蓋筒状であり、当該蓋部分には前記導電ピンの太さに対応した大きさの、前記導電ピン用の貫通孔が形成され、
前記導電ピンは、前記電源基板に設けられ、当該電源基板から表側にまっすぐに延伸する1本の金属棒であり、
前記導電ピンは2本からなり、
前記2本の導電ピンは平行に延伸している、
照明装置。
【請求項2】
(削除)
【請求項3】
前記支持部材は、前記2本の導電ピンが挿通する一対の筒部と、前記一対の筒部を連結する連結部とを有する、
請求項1に記載の照明装置。
【請求項4】
前記支持部材は、前記電源基板に装着するための装着部を有し、
前記装着部は、前記電源基板の貫通孔又は凹みに嵌る凸部を有する、
請求項1又は3に記載の照明装置。
【請求項5】
前記装着部は、前記電源基板と当接する平坦面を有し、
前記凸部は、前記平坦面に設けられる、
請求項4に記載の照明装置。」
第4 取消理由通知(決定の予告)の概要
令和7年8月25日付け取消理由通知(決定の予告)で通知した取消理由の概要は、次のとおりである。
取消理由1(新規性)本件特許の下記の請求項に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、当該請求項に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。
取消理由2(進歩性)本件特許の下記の請求項に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、本件特許の出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、当該請求項に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。
記
<引用文献等一覧>
甲第1号証:特開2016-46047号公報
甲第2号証:特開2017-174570号公報
文献A:特開2001-203022号公報(当審による追加文献)
以下、甲第1号証等を「甲1」等という。
<請求項及び取消理由と引用文献との関係>
・請求項1~3
・取消理由1、2
・甲1
・請求項4、5
・取消理由2
・甲1、甲2、文献A
・請求項1~3
・取消理由1、2
・甲2
・請求項4、5
・取消理由2
・甲2
第5 当審の判断
1 甲1を主引例とした取消理由1(新規性)及び取消理由2(進歩性)について
(1)甲1について
ア 甲1の記載事項
甲1には、次の事項が記載されている。
(ア)「【0023】
光源部3は、複数の固体発光素子18と、複数の固体発光素子18が実装される基板19とを備えている。なお、実装とは、電気的な接続を意味する。
・・・
【0026】
光源部3は、複数(図示例では、2枚)の基板19を備えている。以下では、説明の便宜上、2枚の基板19のうち一方の基板19を「第1基板19A」と称し、他方の基板19を「第2基板19B」と称する。」
(イ)「【0079】
(実施形態2)
実施形態2の光源ユニット50の基本構成は、実施形態1の光源ユニット2と同じであり、図6に示すように、接続部材51、電源ユニット52および接続部53の構成などが光源ユニット2と相違する。なお、光源ユニット50では、光源ユニット2と同様の構成要素に同一の符号を付して説明を適宜省略する。
【0080】
接続部材51は、例えば、一対のばね端子51a,51aを有するコネクタである。光源ユニット50では、接続部材51として、例えば、株式会社ヨコオ製のスプリングコネクタを用いている。なお、図6では、一対のばね端子51a,51aのうち1つのばね端子51aが見えている。
【0081】
電源ユニット52は、実施形態1の電源ユニット4と同様に、光源部3に電源を供給し、かつ、取付部材5に取り付けられるように構成されている。電源ユニット52は、実施形態1の電源基板11と同様の機能を有する電源基板54と、電源基板54を収納するケース55とを備えている。以下、電源基板54については、電源基板11と異なる点だけを説明する。
【0082】
電源基板54には、コネクタ22の代わりに、接続部材51が実装されている。接続部材51は、上記電源回路の出力端と電気的に接続されている。また、接続部材51は、電源基板54の一面(図6では、下面)に配置されている。」
(ウ)「【0086】
第1基板19Aは、貫通孔5aと対向する部位に、接続部材51が貫通孔5aを通して接続される接続部53が設けられている。
・・・
【0088】
接続部53は、例えば、図7に示すように、導電性を有する一対のパッドである。導電性を有する一対のパッドとしては、例えば、一対の電極が挙げられる。」
(エ)「【0097】
以上説明した実施形態2の光源ユニット50は、光源部3と、光源部3に電源を供給する電源ユニット52と、光源部3および電源ユニット52が取り付けられる取付部材5と、光源部3と電源ユニット52とを電気的に接続する接続部材51とを備えている。取付部材5は、板状に形成されている。取付部材5の第1面には、光源部3が配置されている。取付部材5における前記第1面とは反対側の第2面には、電源ユニット52が配置されている。取付部材5における光源部3の投影領域内には、貫通孔5aが形成されている。光源部3は、貫通孔5aと対向する部位に、接続部材51が貫通孔5aを通して接続される接続部53が設けられている。これにより、光源ユニット50では、取付部材5の貫通孔5aが光源部3により閉塞されるので、特許文献1に記載された照明器具における光源ユニットに比べて、光源ユニット50内に異物が侵入するのを抑制することが可能となる。」
(オ)図6
「
[図:0001435172000001.jpg]
」
(カ)図7
「
[図:0001435172000002.jpg]
」
イ 甲1の認定事項
上記アによれば、甲1の記載から以下の事項が認定できる。
(ア)【0080】の記載から、接続部材51はスプリングコネクタであり、また、文献A(特に【0013】、【0014】、【0018】、図1等参照)に例示されるように、スプリングコネクタは一般に、軸方向に移動可能な導電金属からなる導体のプランジャーと、当該プランジャーを支持する支持構造とを備えることは技術常識である。
そうすると、上記技術常識から、接続部材51が一対のばね端子51a,51aを軸方向に移動可能に支持する構造(以下「支持構造」という。)を備えることは明らかである。
(イ)【0097】の記載から、接続部材51は、光源部3と電源ユニット52とを電気的に接続するものである。そして、接続部材51は、【0082】の記載から、電源基板54に実装され、また、【0086】の記載から、第1基板19Aに設けられた接続部53にも接続されることが理解できる。
また、一対のばね端子51a,51aは、【0080】の記載から、接続部材51が有するスプリングコネクタの端子であると認められる。
そうすると、接続部材51が有する一対のばね端子51a,51aは、第1基板19Aと電源基板54とを電気的に接続するものであると認められる。
(ウ)図6の記載から、接続部材51は、図面上方の電源基板54側から順に、矩形状の部分、ドーム状の部分、ばね端子、の3つの部分から構成されていると認められる(下記参考図参照)。
[参考図](甲1の図6の抜粋に説明等を付したもの。)
[図:0001435172000003.jpg]
(エ)上記(ア)並びに図6及び【0097】の「接続部材51が貫通孔5aを通して接続される接続部53」との記載から、上記支持構造は、電源基板54と接続部53との間で一対のばね端子51a,51aを支持していると認められる。
また、上記(イ)から、接続部材51は電源基板54に実装されるものであるから、接続部材51が有する構成である支持構造も電源基板54に実装されているといえる。
(オ)上記技術常識から、一対のばね端子51a,51aは、それぞれが導体のプランジャー、すなわち、それぞれが1本の金属棒であると認められる。
(カ)図6の記載から、一対のばね端子51a,51aの一方が移動方向に延伸していることが看取される。
そして、図6には他方のばね端子51aが明記されていないものの、一対のばね端子51a,51aがそれぞれ平行に移動方向に延伸していることは明らかである。
ウ 甲1発明
甲1の上記記載事項及び認定事項から、甲1には次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。なお、括弧書きは主な参照箇所を示す。
「複数の固体発光素子18と、複数の固体発光素子18が実装される第1基板19Aを備える光源部3と(【0023】、【0026】、【0079】)、
光源部3に電源を供給する電源ユニット52と(【0081】)、
光源部3および電源ユニット52が取り付けられる取付部材5と(【0097】)、
光源部3と電源ユニット52とを電気的に接続する接続部材51と(【0097】)
を備え、
取付部材5の第1面には光源部3が配置され、第1面とは反対側の第2面には電源ユニット52が配置されており(【0097】)、
電源ユニット52は電源基板54を備え(【0081】)、
接続部材51は、一対のばね端子51a,51aを有するスプリングコネクタであり(【0080】)、
接続部材51は、一対のばね端子51a,51aを軸方向に移動可能に支持する支持構造を備えており(認定事項(ア))、
一対のばね端子51a,51aは、第1基板19Aと電源基板54とを電気的に接続するものであり(認定事項(イ))、
接続部材51は、電源基板54側から順に、矩形状の部分、ドーム状の部分、ばね端子、の3つの部分から構成されており(認定事項(ウ))、
電源基板54には、接続部材51が実装されており(【0082】)、
第1基板19Aは、接続部材51が接続される接続部53が設けられており(【0086】)、
接続部53は、導電性を有する一対のパッドであり(【0088】)、
支持構造は、電源基板54に実装され、電源基板54と接続部53との間で一対のばね端子51a,51aを支持しており(認定事項(エ))、
一対のばね端子51a,51aは、それぞれが1本の金属棒であり(認定事項(オ))、
一対のばね端子51a,51aがそれぞれ平行に移動方向に延伸している(認定事項(カ))、
光源ユニット50(【0097】)。」
(2)本件発明1について
ア 対比
(ア)本件発明1と甲1発明を対比すると、甲1発明の「固体発光素子18」は本件発明1の「発光素子」に相当し、以下同様に、「第1基板19A」は「光源基板」に、「光源部3」は「光源ユニット」に、「電源ユニット52」は「電源ユニット」に、「取付部材5」は「ベース」に、「第1面」は「表側」に、「第1面とは反対側の第2面」は「裏側」に、「電源基板54」は「電源基板」に、「ばね端子51a」は「導電ピン」に、「支持構造」は「支持部材」に、「光源ユニット50」は「照明装置」に、それぞれ相当する。
以上の相当関係から、以下のことがいえる。
(イ)甲1発明の光源部3が「複数の固体発光素子18と、複数の固体発光素子18が実装される第1基板19Aを備える」ことは、本件発明1の光源ユニットが「光源基板と複数個の発光素子とを備える」ことに相当する。
(ウ)甲1発明の電源ユニット52が「光源部3に電源を供給する」ことは、本件発明1の電源ユニットが「前記光源ユニットに点灯電力を供給する」ことに相当する。
(エ)甲1発明の取付部材5が、「光源部3および電源ユニット52が取り付けられる」ものであり且つ「第1面には光源部3が配置され、前記第1面とは反対側の第2面には電源ユニット52が配置され」ていることは、本件発明1のベースが「前記光源ユニットを表側に搭載し且つ前記電源ユニットを裏側に搭載する」ことに相当する。
(オ)甲1発明の「電源ユニット52は電源基板54を備え」ることは、本件発明1の「前記電源ユニットは電源基板を有」することに相当する。
(カ)甲1発明の一対のばね端子51a,51aが「第1基板19Aと電源基板54とを電気的に接続する」ことは、本件発明1の導電ピンが「前記光源基板と前記電源基板とを電気的に接続する」ことに相当する。
そのため、甲1発明の支持構造が「一対のばね端子51a,51aを軸方向に移動可能に支持する」ことは、本件発明1の支持部材が「前記光源基板と前記電源基板とを電気的に接続する導電ピンを支持」することに相当する。
(キ)甲1発明の「電源基板54には、接続部材51が実装されて」おり且つ「接続部材51は、一対のばね端子51a,51aを有する」ことは、本件発明1の「前記電源基板は、前記導電ピンを備え」ることに相当する。
(ク)甲1発明の接続部53は、「導電性を有する一対のパッド」であり、図7からも理解されるように、パッドは基板表面に沿って平面的に拡がった形態を有するから、本件発明1の「導電板」に相当する。
そうすると、甲1発明の光源部3の第1基板19Aが「接続部材51が接続される接続部53が設けられて」いることは、本件発明1の光源ユニットが「前記導電ピンと電気的に接続する導電板を有」することに相当する。
(ケ)甲1発明の支持構造が「電源基板54に実装され、電源基板54と接続部53との間で一対のばね端子51a,51aを支持している」ことは、本件発明1の支持部材が「前記電源基板に装着され、前記電源基板と前記導電板との間で前記導電ピンを支持して」いることに相当する。
(コ)甲1発明の「ばね端子51a,51aは、それぞれが1本の金属棒であ」ることは、本件発明1の「前記導電ピン」が「1本の金属棒であ」ることに相当する。
また、甲1発明の「ばね端子51a,51a」が「一対」であることは、本件発明1の「前記導電ピンは2本からな」ることに相当する。
そして、甲1発明の「一対のばね端子51a,51aがそれぞれ平行に」「延伸している」ことは、本件発明1の「前記2本の導電ピンは平行に延伸している」ことに相当する。
(サ)甲1発明の「一対のばね端子51a,51aを軸方向に移動可能に支持する支持構造を備え」た「接続部材51」が「電源基板54に」「実装されて」いることは、「それぞれ平行に移動方向に延伸している」「一対のばね端子51a,51a」が電源基板54の表側方向にまっすぐに延伸しているといえるから、本件発明1の「前記導電ピンは、前記電源基板に設けられ、当該電源基板から表側にまっすぐに延伸する」ことと、「前記導電ピンは、当該電源基板の表側方向にまっすぐに延伸する」ことの点で共通する。
以上の相当関係から、本件発明1と甲1発明とは、
「光源基板と複数個の発光素子とを備える光源ユニットと、
前記光源ユニットに点灯電力を供給する電源ユニットと、
前記光源ユニットを表側に搭載し且つ前記電源ユニットを裏側に搭載するベースと、
支持部材と
を備え、
前記電源ユニットは電源基板を有し、
前記支持部材は、前記光源基板と前記電源基板とを電気的に接続する導電ピンを支持し、
前記電源基板は、前記導電ピンを備え、
前記光源ユニットは、前記導電ピンと電気的に接続する導電板を有し、
前記支持部材は、前記電源基板に装着され、前記電源基板と前記導電板との間で前記導電ピンを支持しており、
前記導電ピンは、当該電源基板の表側方向にまっすぐに延伸する1本の金属棒であり、
前記導電ピンは2本からなり、
前記2本の導電ピンは平行に延伸している、
照明装置。」
の点で一致し、以下の点で相違する。
[相違点1-1]
本件発明1は、支持部材が「前記光源ユニット側が塞がれた有蓋筒状であり、当該蓋部分には前記導電ピンの太さに対応した大きさの、前記導電ピン用の貫通孔が形成されている」のに対して、甲1発明は、支持構造は形態の詳細が明示的には特定されていない点。
[相違点1-2]
本件発明1は、前記導電ピンは、「前記電源基板に設けられ、当該電源基板から表側」にまっすぐに延伸するのに対して、甲1発明は、「一対のばね端子51a,51aを軸方向に移動可能に支持する支持構造を備え」た「接続部材51」が「電源基板54に」「実装されて」いる点。
イ 判断
事案に鑑み、相違点1-2から検討する。
相違点1-2は、実質的な相違点であるから、本件発明1は、甲1発明ではない。
甲1発明の「接続部材51」は、「一対のばね端子51a,51aを軸方向に移動可能に支持する支持構造を備えて」いることにより「一対のばね端子51a,51aがそれぞれ平行に移動方向に延伸」する「スプリングコネクタ」であるから、一対のばね端子51a,51aを電源基板54に設け、電源基板54から表側にまっすぐに延伸するように取り付けるように変更すると、スプリングコネクタとしての機能が失われることとなる。
そうすると、甲1発明は、相違点1-2に係る本件発明1の発明特定事項とすることの阻害事由があるといえる。
したがって、本件発明1は、甲1発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものということはできない。
ウ 申立人の主張について
申立人は、令和7年12月2日提出の意見書(以下「意見書」という。)において、概略、以下のように主張している。
(2~3ページ)本件訂正発明1は、甲1と甲5から当業者が容易に発明できたものである。
<提出されたその他の証拠>
甲3:特開2017-174571号公報
甲4:特開2017-4804号公報
甲5:米国特許出願公開第2013/0208458号明細書
上記主張について検討する。
上記イで説示したとおり、甲1発明の「接続部材51」は「スプリングコネクタ」であるから、相違点1-2に係る本件発明1の発明特定事項とすることの阻害事由がある。
したがって、上記主張を採用することはできない。
エ 小括
以上のとおりであるから、他の証拠及び相違点1-1について検討するまでもなく、本件発明1は甲1発明ではなく、また、甲1発明及び他の証拠に基いて当業者が容易に発明をすることができたものということはできない。
(3)本件発明3~5について
本件発明3~5は、本件発明1の発明特定事項を全て含み、さらに限定をしたものであるから、本件発明1と同様の理由により、本件発明3~5は甲1発明ではなく、また、甲1発明及び他の証拠に基いて当業者が容易に発明をすることができたものということはできない。
2 甲2を主引例とした取消理由1(新規性)及び取消理由2(進歩性)について
(1)甲2について
ア 甲2の記載事項
甲2には、次の事項が記載されている。
(ア)「【請求項1】
光源部と、前記光源部に電力を供給する電源回路を有する電源装置と、前記光源部及び前記電源装置が取り付けられる取付部材と、前記電源回路と前記光源部を電気的に接続する接続部材とを備え、
前記光源部は、1つ又は複数の固体光源と、前記1つ又は複数の固体光源が第1面に配置される基板と、前記基板に設けられ、前記1つ又は複数の固体光源が電気的に接続される複数の入力端子部とを有し、
前記電源回路は、プリント配線板を有し、前記プリント配線板は、前記電源回路で生成される前記電力を出力する複数の出力端子部を有し、
・・・光源ユニット。」
(イ)「【0014】
光源ユニット2は、図2及び図5に示すように、光源部A1、取付部材21、カバー23、電源装置4、接続部材5などを備える。光源部A1は、複数(例えば、2つ)のLEDモジュール22を備えることが好ましい。
【0015】
複数のLEDモジュール22は、長手方向(左右方向)に並んで配置されている。各LEDモジュール22は、長手方向(左右方向)に長い矩形板状に形成された基板221を有する。基板221は、第1面(下面)に複数のLED(発光ダイオード)220が長手方向(左右方向)に沿い、かつ、1列に並べて実装(配置)されている。また、複数のLEDモジュール22のいずれか1つに、接続部材5と電気的に接続される2つの入力端子部222が設けられている(図5参照)。」
(ウ)「【0038】
ここで、2つの第2端子部材51はそれぞれ、電気絶縁性を有するホルダ52に保持されることが好ましい。ホルダ52は、ホルダ本体520と、ホルダカバー521とを有することが好ましい(図8参照)。ホルダ本体520は、第1側壁5200、2つの第2側壁5201、縦壁5202、内底壁5203、外底壁5204などを有することが好ましい。第1側壁5200は、矩形板状に形成されている。一対の第2側壁5201のそれぞれは、矩形板状に形成されている。これら一対の第2側壁5201のそれぞれは、第1側壁5200の長手方向(左右方向)の両端から、第1側壁5200の厚み方向(前後方向の後向き)に突出している。また、一対の第2側壁5201はそれぞれ、2つのかん合部5206を有している。これら2つのかん合部5206のそれぞれは、矩形の孔であり、上下方向に沿って、間隔を空けて並ぶように配置されている。さらに、一対の第2側壁5201はそれぞれ、固定片5205を有している。2つの固定片5205はそれぞれ、第2側壁5201の上端から上向きに突出している。また、2つの固定片5205のそれぞれの先端部分(上端部分)が三角柱状に形成されている。ただし、一対の第2側壁5201のそれぞれは、固定片5205の前後両側に切り込みが形成されている。つまり、これらの切り込みにより、2つの固定片5205が撓み易くなっている。
・・・
【0042】
ところで、一対の固定片5205のそれぞれは、プリント配線板40に設けられている2つの固定孔44のうちの対応する固定孔44に挿入されている。そして、一対の固定片5205の三角柱状の先端部分のそれぞれが、プリント配線板40の裏面(下面)における固定孔44の周囲に引っ掛かっている(図6及び図9参照)。つまり、ホルダ52は、一対の固定片5205の先端部分がプリント配線板40の2つの固定孔44の周囲に引っ掛けられることでプリント配線板40に固定されている(図6及び図9参照)。」
(エ)「【0073】
したがって、取付部材21の第2面に電源装置4が取り付けられ、かつ、取付部材21の第1面にLEDモジュール22が取り付けられると、2つの第1端子部材50のそれぞれの第1接点部501と、対応する第2端子部材51の第2接点部511とが接触して導通する(図12参照)。その結果、LEDモジュール22の2つの入力端子部222のそれぞれと、電源装置4(電源回路49)の2つの出力端子部405のうちの対応する出力端子部405とが接続部材5を介して電気的に接続される。」
(オ)「【0075】
この参考例の接続部材6は、図15に示すように、2つの第1端子部60と、2つの第2端子部61と、ホルダ62とを有することが好ましい。2つの第1端子部60はそれぞれ、接続片600、ばね片601、刃受部602などを有することが好ましい。ばね片601は、U字状に形成されている。接続片600は、平角板状に形成され、ばね片601の下端から下向きに突出している。刃受部602は、Ω字状に形成され、ばね片601の上端から上向きに突出している。2つの第2端子部61はそれぞれ、長尺の平角板状に形成されている。2つの第2端子部61のそれぞれの下端部が、対応する第1端子部60の刃受部602にかん合している。
【0076】
ホルダ62は、ホルダ本体63と、2つのホルダカバー64とで構成されている。ホルダ本体63は、直方体形状の合計樹脂成形体(合議体注:「合成樹脂成形体」の誤記と認める。)で構成されている。ホルダ本体63の左右両側面に、凹部630がそれぞれ形成されている。凹部630の内底面における中央から僅かに下の位置に、一対の台部631がそれぞれ形成されている。また、凹部630の内底面における上端に、角柱状の底部632が形成されている。一対の第1溝633が、ホルダ本体63の下面における左右両端に形成されている。また、一対の底部632の前後方向の中央に、第2溝634が形成されている。さらに、ホルダ本体63の前面における左右両端と、後面における左右両端のそれぞれに、矩形の組立孔635が2つずつ設けられている。
【0077】
2つの第1端子部60はそれぞれ、ホルダ本体63の対応する凹部630内に収容される。ただし、2つの第1端子部60のそれぞれの接続片600は、第1溝633に挿通されてホルダ本体63の下方へ突出している。また、2つの第2端子部61はそれぞれ、対応する第1端子部60の刃受部602に下端部がかん合し、かつ、底部632の第2溝634から上端部を突出させるようにして、対応する凹部630内に収容されている。」
(カ)「【0079】
次に、参考例の接続部材6を用いた光源ユニット2の組立手順を説明する。まず、ホルダ本体63の上面から突出している2つの第2端子部61(の上端部)のそれぞれが、プリント配線板40の2つのスルーホール43のうちの対応するスルーホール43に挿通される。さらに、2つのスルーホール43のそれぞれからプリント配線板40の裏面(上面)側に突出している2つの第2端子部61が、それぞれのスルーホール43の周囲に形成されている出力端子部405に半田接合される。その結果、2つの第2端子部61のそれぞれが、電源装置4の対応する出力端子部405と電気的に接続される。」
(キ)「【0080】
続いて、電源装置4が取付部材の第2面(上面)に取り付けられる。さらに、LEDモジュール22が取付部材の第1面(下面)に取り付けられる。このとき、LEDモジュール22の基板221が触れることで2つの接続片600がホルダ62内に没する。そして、取付部材に対して基板221が移動させられ、基板221に設けられている2つの孔と、2つの接続片600とが上下方向から見て重なると、2つの接続片600がそれぞれ、それぞれのばね片601のばね力によって対応する孔に挿通される(図14参照)。ここで、基板221の表面の2つの孔の周囲に、ランドからなる2つの入力端子部222が設けられている。そして、基板221の表面(下面)側に突出した2つの接続片600のそれぞれと、対応する出力端子部405とが半田接合される。その結果、2つの第1端子部60のそれぞれが、LEDモジュール22の対応する入力端子部222と電気的に接続される。」
(ク)図14
「
[図:0001435172000004.jpg]
」
(ケ)図15
「
[図:0001435172000005.jpg]
」
イ 甲2の認定事項
上記アによれば、甲2の記載から以下の事項が認定できる。
(ア)【0015】及び図14の記載から、図14に示される参考例の光源ユニット2が、第1面に複数のLED220が長手方向に沿い、かつ、1列に並べて実装されている基板221を有するLEDモジュール22と、複数のLEDモジュール22を備える光源部A1とを備えることは明らかである。
(イ)【0080】には、「基板221の表面の2つの孔の周囲に、ランドからなる2つの入力端子部222が設けられている」ことが記載されており、図14には、当該入力端子部222とLED220とが、いずれも基板221の同一の表面に設けられていることが記載されている。
また、入力端子部222とLED220とが配線部により電気的に接続されることは明らかである。
以上を踏まえれば、基板221の表面の2つの孔の周囲に、ランドからなる2つの入力端子部222が設けられ、同一の表面に、入力端子部222とLED220とを電気的に接続する配線部が設けられていると認められる。
(ウ)【0080】には、「ここで、基板221の表面の2つの孔の周囲に、ランドからなる2つの入力端子部222が設けられている。そして、基板221の表面(下面)側に突出した2つの接続片600のそれぞれと、対応する出力端子部405とが半田接合される。その結果、2つの第1端子部60のそれぞれが、LEDモジュール22の対応する入力端子部222と電気的に接続される。」と記載されている。
しかしながら、光源部A1の基板221に設けられるのは出力端子部405ではなく入力端子部222であるから、上記記載は、「ここで、基板221の表面の2つの孔の周囲に、ランドからなる2つの入力端子部222が設けられている。そして、基板221の表面(下面)側に突出した2つの接続片600のそれぞれと、対応する入力端子部222とが半田接合される。その結果、2つの第1端子部60のそれぞれが、LEDモジュール22の対応する入力端子部222と電気的に接続される。」との記載の誤記であることは明らかである。
したがって、上記(ア)と【0080】の記載から、光源部A1は、2つの接続片600のそれぞれと半田接合される入力端子部222が設けられていると認められる。
(エ)図14、15の記載から、ホルダ62は、プリント配線板40と基板221の入力端子部222との間で、接続片600を有する2つの第1端子部60と、2つの第2端子部61とを支持していると認められる。
(オ)【0075】、図14、15の記載から、第2端子部61は長尺の平角板状であり、2つの第2端子部61は平行に延伸したものと認められる。
(カ)図8及び図9の記載から、ホルダ52の外底壁5204はプリント配線板40と当接する平坦面を有しており、一対の固定片5205は、当該平坦面から突出するように設けられていると認められる。
ウ 甲2発明
甲2の上記記載事項及び認定事項から、甲2には次の発明(以下、「甲2発明」という。)が記載されていると認められる。なお、括弧書きは主な参照箇所を示す。
「第1面に複数のLED220が長手方向に沿い、かつ、1列に並べて実装されている基板221を有するLEDモジュール22と(認定事項(ア))、
複数のLEDモジュール22を備える光源部A1と(認定事項(ア))、
光源部A1に電力を供給する電源回路を有する電源装置4と(【請求項1】、【0073】)、
電源装置4が上面に取り付けられ、LEDモジュール22が下面に取り付けられる取付部材と(【0080】)、
ホルダ62を有する接続部材6と(【0075】)、
を備え、
電源装置4はプリント配線板40を有し(【請求項1】、図14)、
プリント配線板40のスルーホール43の周囲に出力端子部405が形成され(【0079】)、
基板221の表面の2つの孔の周囲に、ランドからなる2つの入力端子部222が設けられ、基板221の同一の表面に、入力端子部222とLED220とを電気的に接続する配線部が設けられており(認定事項(イ))、
接続部材6は、LEDモジュール22の2つの入力端子部222と電源装置4の2つの出力端子部405とを電気的に接続し(【0073】)、
ホルダ62は、2つの第1端子部60と2つの第2端子部61とを対応する凹部630内に収容し(【0076】、【0077】)、
2つの第1端子部60はそれぞれ接続片600を有し、接続片600は平角板状に形成されて下向きに突出しており(【0075】)、
2つの第2端子部61のそれぞれが、プリント配線板40の対応する出力端子部405に半田接合されて電気的に接続され(【0079】)、
光源部A1は、2つの接続片600のそれぞれと半田接合される入力端子部222が設けられ(認定事項(ウ))、
ホルダ62は、プリント配線板40と基板221の入力端子部222との間で、接続片600を有する2つの第1端子部60と、2つの第2端子部61とを支持し(認定事項(エ))、
ホルダ62のホルダ本体63は、直方体形状の合成樹脂成形体で構成され、ホルダ本体63の左右両側面に、凹部630がそれぞれ形成され、凹部630の内底面における上端に、角柱状の底部632が形成され、一対の第1溝633が、ホルダ本体63の下面における左右両端に形成されており(【0076】)、
2つの第1端子部60のそれぞれの接続片600は、第1溝633に挿通されてホルダ本体63の下方へ突出しており(【0077】)、
第2端子部61は長尺の平角板状であり、2つの第2端子部61は平行に延伸した(認定事項(オ))、
光源ユニット2(【0079】)。」
(2)本件発明1について(取消理由1及び取消理由2)
ア 対比
(ア)本件発明1と甲2発明を対比すると、甲2発明の「基板221」は本件発明1の「光源基板」に相当し、以下同様に、「LED220」は「発光素子」に、「光源部A1」は「光源ユニット」に、「電源装置4」は「電源ユニット」に、「上面」は「裏側」に、「下面」は「表側」に、「取付部材」は「ベース」に、「ホルダ62」は「支持部材」に、「プリント配線板40」は「電源基板」に、「光源ユニット2」は「照明装置」に、それぞれ相当する。
以上の相当関係から、以下のことがいえる。
(イ)甲2発明の光源部A1が「第1面に複数のLED220が長手方向に沿い、かつ、1列に並べて実装されている基板221を有するLEDモジュール22」を複数備えることは、本件発明1の光源ユニットが「光源基板と複数個の発光素子とを備える」ことに相当する。
(ウ)甲2発明の電源装置4が「前記光源部A1に電力を供給する電源回路を有する」ことは、本件発明1の電源ユニットが「前記光源ユニットに点灯電力を供給する」ことに相当する。
(エ)甲2発明の取付部材が「電源装置4が上面に取り付けられ、LEDモジュール22が下面に取り付けられる」ことは、本件発明1のベースが「前記光源ユニットを表側に搭載し且つ前記電源ユニットを裏側に搭載する」ことに相当する。
(オ)甲2発明の接続部材6は、「LEDモジュール22の2つの入力端子部222と電源装置4の2つの出力端子部405とを電気的に接続」するものであり、そのために、接続部材6のホルダ62は「2つの第1端子部60と2つの第2端子部61とを対応する凹部630内に収容し」ている。
また、甲2発明の入力端子部222は「基板221の表面の2つの孔の周囲に」設けられたものであり、出力端子部405は「プリント配線板40のスルーホール43の周囲に」設けられたものである。
そうすると、甲2発明の第1端子部60と第2端子部61を有する「接続片600」は、基板221(光源基板)とプリント配線板40(電源基板)とを電気的に接続するものである。
以上によれば、甲2発明の「第2端子部61」は、本件発明1の「前記光源基板と前記電源基板とを電気的に接続する導電ピン」に相当するといえる。
さらに、甲2発明のホルダ62(支持部材)が当該接続片600を有する第1端子部60と第2端子部61を収容していることは、本件発明1の支持部材が「前記光源基板と前記電源基板とを電気的に接続する導電ピンを支持」していることに相当する。
(カ)甲2発明において、接続部材6の第2端子部61は、電源装置4のプリント配線板40に形成された「出力端子部405に半田接合されて電気的に接続され」るから、プリント配線板40は、第2端子部61を備えるものといえる。
そうすると、甲2発明のプリント配線板40(電源基板)が第2端子部61を備えることは、本件発明1の電源基板が「前記導電ピンを備え」ることに相当する。
(キ)甲2発明の「入力端子部222」は、基板221の表面の2つの孔の周囲に設けられたランドであり、また、当該入力端子部222と同一の表面に「入力端子部222とLED220とを電気的に接続する配線部」が設けられている。
そして、ランドである「入力端子部222」及び「入力端子部222とLED220とを電気的に接続する配線部」が、基板表面に沿って平面的に拡がった形態を有することは明らかであるから、本件発明1の「導電板」に相当する。
そうすると、甲2発明の光源部A1が、「2つの接続片600のそれぞれと半田接合される入力端子部222が設けられ」、「基板221の同一の表面に、入力端子部222とLED220とを電気的に接続する配線部が設けられて」いることは、本件発明1の光源ユニットが、「前記導電ピンと電気的に接続する導電板を有」することに相当する。
(ク)甲2発明のホルダ62は、プリント配線板40に形成された出力端子部405に半田接合されて電気的に接続される第2端子部61を収容している。
したがって、ホルダ62は第2端子部61の半田接合によりプリント配線板40に装着されているといえる。
そうすると、甲2発明のホルダ62が第2端子部61の半田接合によりプリント配線板40に装着されていることは、本件発明1の支持部材が「前記電源基板に装着され」ていることに相当する。
(ケ)甲2発明のホルダ62が、「プリント配線板40と基板221の入力端子部222との間で、接続片600を有する2つの第1端子部60と、2つの第2端子部61とを支持」することは、本件発明1の支持部材が、「前記電源基板と前記導電板との間で前記導電ピンを支持して」いることに相当する。
(コ)甲2発明のホルダ62はホルダ本体63の凹部によって中空の空間となっており、また、第1溝633が形成された下面は上記中空の空間の光源部A1側を塞ぐ蓋部分であるといえるから、ホルダ62は有蓋角筒状であるといえる。
また、甲2発明の第1溝633は、第1端子部60の接続片600が挿通されてホルダ本体63の下方へ突出させるものであるから、接続片600用の貫通孔であるといえる。
そうすると、甲2発明のホルダ62が、「ホルダ本体63は、直方体形状の合成樹脂成形体で構成され、ホルダ本体63の左右両側面に、凹部630がそれぞれ形成され、凹部630の内底面における上端に、角柱状の底部632が形成され、一対の第1溝633が、ホルダ本体63の下面における左右両端に形成されており、2つの第1端子部60のそれぞれの接続片600は、第1溝633に挿通されてホルダ本体63の下方へ突出している」ことと、本件発明1の支持部材が、「前記光源ユニット側が塞がれた有蓋筒状であり、当該蓋部分には前記導電ピンの太さに対応した大きさの、前記導電ピン用の貫通孔が形成されている」こととは、「前記光源ユニット側が塞がれた有蓋筒状であり、当該蓋部分には貫通孔が形成されている」ことの点で共通する。
(サ)甲2発明の「第2端子部61」は、「LEDモジュール22の2つの入力端子部222と電源装置4の2つの出力端子部405とを電気的に接続」する「接続部材6」を構成するものであるから、金属製であることが明らかである。
そうすると、甲2発明の「第2端子部61」が「長尺の平角板状」の金属製であることは、本件発明1の「前記導電ピン」が「1本の金属棒であ」ることに相当する。
また、甲2発明の「第2端子部61」が「2つ」あることは、本件発明1の「前記導電ピンは2本からな」ることに相当する。
そして、甲2発明の「2つの第2端子部61は平行に延伸した」ものであることは、本件発明1の「前記2本の導電ピンは平行に延伸している」ことに相当する。
以上によれば、甲2発明の「2つの第2端子部61のそれぞれが、プリント配線板40の対応する出力端子部405に半田接合されて」いることは、第2端子部61がプリント配線板40に接合されて、当該プリント配線板40から下側にまっすぐに延伸するといえるから、本件発明1の「前記導電ピンは、前記電源基板に設けられ、当該電源基板から表側にまっすぐに延伸する」ことに相当する。
以上の相当関係から、本件発明1と甲2発明とは、
「光源基板と複数個の発光素子とを備える光源ユニットと、
前記光源ユニットに点灯電力を供給する電源ユニットと、
前記光源ユニットを表側に搭載し且つ前記電源ユニットを裏側に搭載するベースと、
支持部材と
を備え、
前記電源ユニットは電源基板を有し、
前記支持部材は、前記光源基板と前記電源基板とを電気的に接続する導電ピンを支持し、
前記電源基板は、前記導電ピンを備え、
前記光源ユニットは、前記導電ピンと電気的に接続する導電板を有し、
前記支持部材は、前記電源基板に装着され、前記電源基板と前記導電板との間で前記導電ピンを支持しており、
前記支持部材は、前記光源ユニット側が塞がれた有蓋筒状であり、当該蓋部分には貫通孔が形成され、
前記導電ピンは、前記電源基板に設けられ、当該電源基板から表側にまっすぐに延伸する1本の金属棒であり、
前記導電ピンは2本からなり、
前記2本の導電ピンは平行に延伸している、
照明装置。」
の点で一致し、以下の点で相違する。
[相違点2-1]
本件発明1は、支持部材の蓋部分には「前記導電ピンの太さに対応した大きさの、前記導電ピン用の」貫通孔が形成されているのに対して、甲2発明の第1溝633は、第1端子部60の接続片600を挿通するものであって、第2端子部61を挿通するものではない点。
イ 判断
相違点2-1は、実質的な相違点であるから、本件発明1は、甲2発明ではない。
甲2発明は、「接続片600を有する2つの第1端子部60」を備えることにより、「ホルダ62の下面から突出する2つの第1端子部60のそれぞれの接続片600は、対応するばね片601が上下方向に撓むことにより、ホルダ62の下面から出没可能である。」(【0078】)ものであり、これによって、「上述した参考例の接続部材6は、2つの接続片600をホルダ62の下面から出没可能としている。その結果、参考例の接続部材6は、LEDモジュール22が取付部材に取り付けられる際、2つの接続片600のそれぞれと、対応する入力端子部222との接続作業の容易化を図ることができる。」(【0082】)という特有の効果を発揮するものである。
そして甲2発明は、接続片600を有する2つの第1端子部60を廃し、第2端子部61だけがプリント配線板40から下側にまっすぐに延伸して第1溝633に挿通されてホルダ本体63の下方へ突出させるように変更すると、ホルダ62の下面から出没可能という機能が失われることとなる。
そうすると、甲2発明は、相違点2-1に係る本件発明1の発明特定事項とすることの阻害事由があるといえる。
したがって、本件発明1は、甲2発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものということはできない。
<予備的検討>
甲2発明の「第1端子部60」と「第2端子部61」を合わせて、本件発明1の「導電ピン」に相当するものとした場合、甲2発明のホルダ62が、「ホルダ本体63は、直方体形状の合計樹脂成形体で構成され、ホルダ本体63の左右両側面に、凹部630がそれぞれ形成され、凹部630の内底面における上端に、角柱状の底部632が形成され、一対の第1溝633が、ホルダ本体63の下面における左右両端に形成されており、2つの第1端子部60のそれぞれの接続片600は、第1溝633に挿通されてホルダ本体63の下方へ突出している」ことは、本件発明1の支持部材が、「前記光源ユニット側が塞がれた有蓋筒状であり、当該蓋部分には前記導電ピンの太さに対応した大きさの、前記導電ピン用の貫通孔が形成されている」ことに相当するといえるから、相違点2-1では相違しないものとなる。
しかしながら、甲2発明の「第1端子部60」と「第2端子部61」を合わせたものは、本件発明1の「当該電源基板から表側にまっすぐに延伸する1本の金属棒」とはいえないことが新たな相違点となる。
そして、上述のとおり、甲2発明は、「第1端子部60」と「第2端子部61」を合わせたものを、まっすぐに延伸する1本の金属棒とすることの阻害事由があるから、やはり、本件発明1は、甲2発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものということはできない。
ウ 申立人の主張について
申立人は、意見書において、概略、以下のように主張している。
(2~3ページ)本件訂正発明1は、甲2と甲5から当業者が容易に発明できたものである。
上記主張について検討する。
上記イで説示したとおり、甲2発明は、相違点2-1に係る本件発明1の発明特定事項とすることの阻害事由がある。
したがって、上記主張を採用することはできない。
エ 小括
以上のとおりであるから、他の証拠について検討するまでもなく、本件発明1は甲2発明ではなく、また、甲2発明及び他の証拠に基いて当業者が容易に発明をすることができたものということはできない。
(3)本件発明3について
本件発明3は、本件発明1の発明特定事項を全て含み、さらに限定をしたものであるから、本件発明1と同様の理由により、本件発明3は甲2発明ではなく、また、甲2発明及び他の証拠に基いて当業者が容易に発明をすることができたものということはできない。
(4)本件発明4及び5について
本件発明4及び5は、本件発明1の発明特定事項を全て含み、さらに限定をしたものであるから、本件発明1と同様の理由により、甲2発明及び他の証拠に基いて当業者が容易に発明をすることができたものということはできない。
3 まとめ
以上のとおり、本件発明1、3~5は、甲1発明ではないから、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものということはできず、また、甲1発明及び他の証拠に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものでもないから、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものということもできない。
また、本件発明1、3~5は、甲2発明ではないから、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものということはできず、また、甲2発明及び他の証拠に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものでもないから、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものということもできない。
したがって、令和7年8月25日付け取消理由通知(決定の予告)で通知した取消理由によっては、本件特許の請求項1、3~5に係る特許を取り消すことができない。
第6 取消理由通知(予告)において採用しなかった特許異議申立理由について
申立人は、特許異議申立書において、取消理由通知(決定の予告)において採用しなかった以下の特許異議申立理由を主張している。
申立理由(特許法第29条第1項第3号(同法第113条第2号):新規性)
本件特許発明4及び5は、甲2に記載の発明と同一である。
上記申立理由について検討する。
上記第5の2(2)で説示したとおり、本件発明1は甲2発明ではない。
そして、本件発明4及び5は、本件発明1の発明特定事項を全て含み、さらに限定をしたものであるから、本件発明1と同様の理由により、本件発明4及び5は甲2発明ではなく、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものということはできない。
したがって、上記申立理由によっては、本件特許の請求項4及び5に係る特許を取り消すことができない。
第7 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知書(予告)に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載された特許異議申立理由によっては、本件特許の請求項1、3~5に係る特許を取り消すことはできない。
そして、他に本件特許の請求項1、3~5に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
また、上記第2のとおり、本件特許の請求項2は、適法な訂正により削除されたから、本件特許の請求項2に対して申立人がした特許異議の申立てについては、申立ての対象となる請求項が存在しない。
したがって、本件特許の請求項2に係る特許異議の申立ては、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定によって却下すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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2025-700029