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特許異議申立

2022-700272

表面処理装置およびシート

審判番号
2022-700272
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2018-082079
登録番号
6964882
請求日
2022年03月30日
審決日
2023年03月15日
公報発行日
2023年06月30日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】佐藤 則喜
  • 【異議申立人】渡邉 耕平
審判長/審判官
  • 審判長 佐々木 芳枝
  • 審判官 長馬 望
  • 審判官 冨永 達朗
分類
P1651.537-YAA(A47L) / P1651.55 -YAA(A47L) / P1651.113-YAA(A47L) / P1651.121-YAA(A47L)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条1項特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第120条の5第2項、特許法第36条第6項第1号、特許法第29条第1項、特許法第29条第2項、特許法第17条の2第3項、特許法第120条の5第5項、特許法第29条第1項第3号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第6964882号発明「表面処理装置およびシート」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第6964882号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-9〕について訂正することを認める。 特許第6964882号の請求項1ないし9に係る特許を維持する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第6964882号の請求項1ないし9に係る特許は、平成30年4月23日(優先権主張 平成29年5月2日(以下、「優先日」という。))に出願され、令和3年4月22日、同月30日、同年5月21日にそれぞれ手続補正がされ、同年6月28日付けで拒絶理由が通知され、同年8月31日に意見書が提出されるとともに手続補正がされ、同年9月16日付けで特許査定がされ、令和3年10月22日にその特許権の設定登録がされ、同年11月10日に特許掲載公報が発行された。その後、令和4年3月30日に特許異議申立人渡邉 耕平(以下、「申立人」という。)より、請求項1ないし9に係る特許に対する特許異議の申立て(以下、「本件異議申立て」という。)がされ、同年7月27日付けで取消理由が通知され、これに対し、同年9月22日に訂正請求(以下、「本件訂正」という。)がされると共に、意見書が提出されたものである。 なお、本件訂正後、特許法第120条の5第5項の規定に基づき、令和4年12月2日付けで申立人に対し、訂正の請求があった旨を通知し、期間を指定して意見を求めたが、申立人から意見書は、提出されなかった。 第2 訂正請求について 1 本件訂正の内容 本件訂正の内容は、次の通りである(下線は、訂正箇所を示す。)。 (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1に「本体部を備え、該本体部は、前記被理面上を走行する車輪と、前記シートを前記被処理面に接触させるローラからなるシート接触体と、前記車輪を回転させる車輪用モータと、前記被処理面に接触している前記シートの接触部分を該被処理面に非接触になる位置へ移動させるシート移動用モータと、制御部と、を有し、該制御部は、前記本体部が移動する間に、前記シートの移動と停止を繰り返すように、前記車輪用モータの駆動の制御と前記シート移動用モータの駆動の制御を行う、」と記載されているのを、「本体部を備え、該本体部は、前記被処理面上を走行する車輪と、前記シートが巻かれるとともに該シートの一端を保持する第1保持部材と、前記第1保持部材から送出される前記シートが巻かれて回収するとともに該シートの他端を保持する第2保持部材と、前記第1保持部材と前記第2保持部材の間の前記シートの一面に接触して該シートの他面を前記被処理面に接触させるローラからなるシート接触体と、前記車輪を回転させる車輪用モータと、前記第2保持部材を回転させて前記被処理面に接触している前記シートの接触部分を該被処理面に非接触になる位置へ移動させるシート移動用モータと、制御部と、を有し、該制御部は、前記本体部が前進移動する間に前記シートの移動と停止を繰り返させ、該本体部が前進移動状態から停止状態へと切り替わった後も、前記本体部が該前進移動状態の間に移動を開始した前記シートの移動を継続させると共に、前記シートが移動を完了して停止状態となるまでは前記本体部の前記停止状態を維持するように、前記車輪用モータの駆動の制御と前記シート移動用モータの駆動の制御を行う、」に訂正する。 (2)訂正事項2 特許請求の範囲の請求項2に「本体部を備え、該本体部は、前記被処理面上を走行する車輪と、前記シートを前記被処理面に接触させるローラからなるシート接触体と、前記車輪を回転させる車輪用モータと、前記被処理面上に至る前の前記シートの前記被処理面に接触していない未接触部分を前記被処理面に接触する位置へ移動させるシート移動用モータと、制御部と、を有し、該制御部は、前記本体部が移動する間に、前記シートの移動と停止を繰り返すように、前記車輪用モータの駆動の制御と前記シート移動用モータの駆動の制御とを行う、」と記載されているのを、「本体部を備え、該本体部は、前記被処理面上を走行する車輪と、前記シートが巻かれるとともに該シートの一端を保持する第1保持部材と、前記第1保持部材から送出される前記シートが巻かれて回収するとともに該シートの他端を保持する第2保持部材と、前記第1保持部材と前記第2保持部材の間の前記シートの一面に接触して該シートの他面を前記被処理面に接触させるローラからなるシート接触体と、前記車輪を回転させる車輪用モータと、前記第2保持部材を回転させて前記被処理面上に至る前の前記シートの前記被処理面に接触していない未接触部分を前記被処理面に接触する位置へ移動させるシート移動用モータと、制御部と、を有し、該制御部は、前記本体部が前進移動する間に前記シートの移動と停止を繰り返させ、該本体部が前進移動状態から停止状態へと切り替わった後も、前記本体部が該前進移動状態の間に移動を開始した前記シートの移動を継続させると共に、前記シートが移動を完了して停止状態となるまでは前記本体部の前記停止状態を維持するように、前記車輪用モータの駆動の制御と前記シート移動用モータの駆動の制御とを行う、」に訂正する。 2 本件訂正の適否 (1)訂正の目的、新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否について ア 訂正事項1について 訂正事項1は、本件訂正前の請求項1に「本体部を備え、該本体部は、前記被理面上を走行する車輪と、前記シートを前記被処理面に接触させるローラからなるシート接触体と、前記車輪を回転させる車輪用モータと、前記被処理面に接触している前記シートの接触部分を該被処理面に非接触になる位置へ移動させるシート移動用モータと、制御部と、を有し」と記載されているのを「本体部を備え、該本体部は、前記被処理面上を走行する車輪と、前記シートが巻かれるとともに該シートの一端を保持する第1保持部材と、前記第1保持部材から送出される前記シートが巻かれて回収するとともに該シートの他端を保持する第2保持部材と、前記第1保持部材と前記第2保持部材の間の前記シートの一面に接触して該シートの他面を前記被処理面に接触させるローラからなるシート接触体と、前記車輪を回転させる車輪用モータと、前記第2保持部材を回転させて前記被処理面に接触している前記シートの接触部分を該被処理面に非接触になる位置へ移動させるシート移動用モータと、制御部と、を有し」に訂正する(以下、「訂正事項1-1」という。)とともに、本件訂正前の請求項1に「該制御部は、前記本体部が移動する間に、前記シートの移動と停止を繰り返すように、前記車輪用モータの駆動の制御と前記シート移動用モータの駆動の制御を行う、」と記載されているのを「該制御部は、前記本体部が前進移動する間に前記シートの移動と停止を繰り返させ、該本体部が前進移動状態から停止状態へと切り替わった後も、前記本体部が該前進移動状態の間に移動を開始した前記シートの移動を継続させると共に、前記シートが移動を完了して停止状態となるまでは前記本体部の前記停止状態を維持するように、前記車輪用モータの駆動の制御と前記シート移動用モータの駆動の制御とを行う、」に訂正する(以下、「訂正事項1-2」という。)ものである。 そして、まず、訂正事項1-1についてみると、請求項1に係る発明における本体部について、本件訂正前は特定されていなかった「前記シートが巻かれるとともに該シートの一端を保持する第1保持部材」と「前記第1保持部材から送出される前記シートが巻かれて回収するとともに該シートの他端を保持する第2保持部材」とを有することを特定し、また、本件訂正前の請求項1に係る発明は、シート接触体について、「前記シートを前記被処理面に接触させるローラからなるシート接触体」と特定されていたものを、本件訂正後の請求項1に係る発明は、「前記第1保持部材と前記第2保持部材の間の前記シートの一面に接触して該シートの他面を前記被処理面に接触させるローラからなるシート接触体」と減縮し、さらに、シート移動用モータについて、本件訂正前の請求項1に係る発明は、「前記被処理面に接触している前記シートの接触部分を該被処理面に非接触になる位置へ移動させるシート移動用モータ」と特定されていたものを、本件訂正後の請求項1に係る発明は、「前記第2保持部材を回転させて前記被処理面に接触している前記シートの接触部分を該被処理面に非接触になる位置へ移動させるシート移動用モータ」と減縮するのであるから、訂正事項1-1は、特許法120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 また、新規事項の追加の有無について検討すると、本件特許明細書等には、本体部2は、「第1保持部材の一例である第1円筒部材24」(【0015】)と「第2保持部材の一例である第2円筒部材25」(【0015】)を有し、「長尺シート23は、一端23e(図9に図示)が長尺シート23の一端を保持する第1保持部材の一例である第1円筒部材24に保持されて固定されているとともに、図2では反時計方向に複数回巻かれ」(【0015】)、また「長尺シート23の他端は長尺シート23の他端を保持する第2保持部材の一例である第2円筒部材25に保持されて固定されているとともに、図2では時計方向に複数回巻かれている」(【0015】)ことが記載されている。さらに、「第1円筒部材24側から第2円筒部材25側へ長尺シート23を送り出す」(【0024】)とともに、「第2円筒部材25の周囲に長尺シート23が巻かれて回収される」(【0020】)ことが記載されている。 本件特許明細書等には、シート接触体について、「前記第1シート収容部から前記第2シート収容部に向けて移動する前記長尺シートの一面に前記長尺シートの移動に伴って回転しながら接触して、前記長尺シートの他面を前記被処理面に接触させる」(【0007】)と記載されている。ここで、第1シート収容部27は、第1円筒部材24を収容し(【0057】)、第2シート収容部31は、第2円筒部材25を収容している(【0057】)から、「前記第1シート収容部から前記第2シート収容部に向けて移動する前記長尺シートの一面」(【0007】)とは、第1円筒部材24を一例とする第1保持部材と第2円筒部材25を一例とする第2保持部材の間の長尺シートの一面であるといえる。そうすると、本件特許明細書等には、シート接触体は、第1保持部材と第2保持部材の間のシートの一面に接触して該シートの他面を前記被処理面に接触させることが記載されていることが明らかである。 さらに、本件特許明細書等には、シート移動用モータについて、「第3モータ22が動作すると、第8ローラー51は矢印F方向へ回転」(【0020】)し、「第8ローラー51は第2円筒部材25に巻かれた長尺シート23に当接しており、しかも、表面に凹凸を有するため、第8ローラー51の回転動作に連動して第2円筒部材25は矢印G方向へ回転する」(【0020】)と記載され、これによって、「第2円筒部材25には長尺シート23が矢印H方向から引き込まれ、第2円筒部材25に巻かれて太径化しながら、第2円筒部材25の周囲に長尺シート23が巻かれて回収される」(【0020】)ことが記載されているから、シート移動用モータである第3モータ22が第2保持部材の一例である第2円筒部材を回転させて、長尺シート23を回収することも記載されている。 以上のことから、訂正事項1-1は、本件特許明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであり、新規事項を追加するものではない。 次に訂正事項1-2についてみると、本件訂正前は、「前記本体部が移動する間に」とされていたものを本件訂正後は、「前記本体部が前進移動する間に」と特定するとともに、本件訂正前は、制御部が「前記シートの移動と停止を繰り返すように、前記車輪用モータの駆動の制御と前記シート移動用モータの駆動の制御を行う」ことが特定されていたものを、本件訂正後は、制御部がこれに加えて、「該本体部が前進移動状態から停止状態へと切り替わった後も、前記本体部が該前進移動状態の間に移動を開始した前記シートの移動を継続させると共に、前記シートが移動を完了して停止状態となるまでは前記本体部の前記停止状態を維持するように」車輪用モータとシート移動用モータの制御を行うことを特定しているから、訂正事項1-2は、特許法120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 また、新規事項の追加の有無について検討すると、本件特許明細書等には、「長尺シート23の移動中に本体部2が移動停止したときは、長尺シート23の移動をΔtだけ継続すると共に、その間、つまり長尺シート23の移動が完了するまでは、本体部2の移動停止を継続するようにしている」(【0038】)と記載され、また、「長尺シート23の移動中に本体部2が前進から停止に変わった場合、本体部2の停止後時間Δt経過するまでは長尺シート23の移動を継続するが、その間は本体部2は停止を継続し、前進も後進もしない。」(【0040】)と記載されていることから、訂正事項1-2は、本件特許明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであり、訂正事項1-2は、新規事項を追加するものではない。 上記のとおり、訂正事項1-1及び訂正事項1-2は、いずれも特許法120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、新規事項を追加するものでもないから、訂正事項1は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項で準用する法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。 イ 訂正事項2について 訂正事項2は、本件訂正前の請求項2に「本体部を備え、該本体部は、前記被処理面上を走行する車輪と、前記シートを前記被処理面に接触させるローラからなるシート接触体と、前記車輪を回転させる車輪用モータと、前記被処理面上に至る前の前記シートの前記被処理面に接触していない未接触部分を前記被処理面に接触する位置へ移動させるシート移動用モータと、制御部と、を有し」と記載されているのを「本体部を備え、該本体部は、前記被処理面上を走行する車輪と、前記シートが巻かれるとともに該シートの一端を保持する第1保持部材と、前記第1保持部材から送出される前記シートが巻かれて回収するとともに該シートの他端を保持する第2保持部材と、前記第1保持部材と前記第2保持部材の間の前記シートの一面に接触して該シートの他面を前記被処理面に接触させるローラからなるシート接触体と、前記車輪を回転させる車輪用モータと、前記第2保持部材を回転させて前記被処理面上に至る前の前記シートの前記被処理面に接触していない未接触部分を前記被処理面に接触する位置へ移動させるシート移動用モータと、制御部と、を有し」に訂正する(以下、「訂正事項2-1」という。)とともに、本件訂正前の請求項2に「該制御部は、前記本体部が移動する間に、前記シートの移動と停止を繰り返すように、前記車輪用モータの駆動の制御と前記シート移動用モータの駆動の制御とを行う、」と記載されているのを「該制御部は、前記本体部が前進移動する間に前記シートの移動と停止を繰り返させ、該本体部が前進移動状態から停止状態へと切り替わった後も、前記本体部が該前進移動状態の間に移動を開始した前記シートの移動を継続させると共に、前記シートが移動を完了して停止状態となるまでは前記本体部の前記停止状態を維持するように、前記車輪用モータの駆動の制御と前記シート移動用モータの駆動の制御とを行う、」に訂正する(以下、「訂正事項2-2」という。)ものである。 そして、訂正事項2-1は、シート移動用モータについて、本件訂正前の「前記被処理面上に至る前の前記シートの前記被処理面に接触していない未接触部分を前記被処理面に接触する位置へ移動させるシート移動用モータ」を本件訂正後は、「前記第2保持部材を回転させて前記被処理面上に至る前の前記シートの前記被処理面に接触していない未接触部分を前記被処理面に接触する位置へ移動させるシート移動用モータ」と減縮する訂正を含むものである。 そして、訂正事項2-1のうち、このシート移動用モータについての訂正事項以外の訂正事項は、訂正事項1-1と同じである。したがって、訂正事項2-1は、特許法120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 さらに、本件特許明細書等には、「前記被処理面上に至る前の前記シートの前記被処理面に接触していない未接触部分を前記被処理面に接触する位置へ移動させるシート移動用モータ」(【請求項2】)と記載され、上記のように、訂正事項2-1のうち、シート移動用モータについての訂正事項以外の訂正事項は、訂正事項1-1と同じであることから、訂正事項2-1は、新規事項を追加するものではない。 次に訂正事項2-2についてみると、訂正事項2-2は、訂正事項1-2と同じであり、訂正事項1-2が新規事項を追加するものではないのと同様に、訂正事項2-2も新規事項を追加するものではない。 よって、訂正事項2-1及び訂正事項2-2は、いずれも特許法120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、新規事項を追加するものでもないから、訂正事項2は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項で準用する法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。 (2)一群の請求項について 本件訂正前の請求項1及び3ないし9について、請求項3ないし9は、請求項1の記載を引用する関係であるから、請求項1及び3ないし9は、一群の請求項である。また、本件訂正前の請求項2ないし9について、請求項3ないし9は、請求項2の記載を引用する関係であるから、請求項2ないし9は、一群の請求項である。そして、前者の一群の請求項と後者の一群の請求項は、共通する請求項3ないし9を介して、一体として特許請求の範囲の全部を形成するように連関しているから、請求項1ないし9は、一群の請求項である。 そして、本件訂正は、請求項1ないし9について訂正することを求めるものであるから、一群の請求項ごとに訂正の請求をするものである。 (3)本件訂正についてのまとめ 上記のとおり、訂正事項1及び2に係る訂正は、法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項で準用する法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。 したがって、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~9〕について訂正することを認める。 第3 本件発明 本件訂正により訂正された訂正後の請求項1ないし9に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1」ないし「本件発明9」という。)は、本件訂正請求により訂正された訂正後の特許請求の範囲の請求項1ないし9に記載された事項により特定される次のとおりのものである。 【請求項1】 被処理面上を自走し、装着されるシートが前記被処理面を拭き処理する表面処理装置であって、 本体部を備え、該本体部は、 前記被処理面上を走行する車輪と、 前記シートが巻かれるとともに該シートの一端を保持する第1保持部材と、 前記第1保持部材から送出される前記シートが巻かれて回収するとともに該シートの他端を保持する第2保持部材と、 前記第1保持部材と前記第2保持部材の間の前記シートの一面に接触して該シートの他面を前記被処理面に接触させるローラからなるシート接触体と、 前記車輪を回転させる車輪用モータと、 前記第2保持部材を回転させて前記被処理面に接触している前記シートの接触部分を該被処理面に非接触になる位置へ移動させるシート移動用モータと、 制御部と、を有し、 該制御部は、前記本体部が前進移動する間に前記シートの移動と停止を繰り返させ、該本体部が前進移動状態から停止状態へと切り替わった後も、前記本体部が該前進移動状態の間に移動を開始した前記シートの移動を継続させると共に、前記シートが移動を完了して停止状態となるまでは前記本体部の前記停止状態を維持するように、前記車輪用モータの駆動の制御と前記シート移動用モータの駆動の制御を行う、ことを特徴とする表面処理装置。 【請求項2】 被処理面上を自走し、装着されるシートが前記被処理面を拭き処理する表面処理装置であって、 本体部を備え、該本体部は、 前記被処理面上を走行する車輪と、 前記シートが巻かれるとともに該シートの一端を保持する第1保持部材と、 前記第1保持部材から送出される前記シートが巻かれて回収するとともに該シートの他端を保持する第2保持部材と、 前記第1保持部材と前記第2保持部材の間の前記シートの一面に接触して該シートの他面を前記被処理面に接触させるローラからなるシート接触体と、 前記車輪を回転させる車輪用モータと、 前記第2保持部材を回転させて前記被処理面上に至る前の前記シートの前記被処理面に接触していない未接触部分を前記被処理面に接触する位置へ移動させるシート移動用モータと、 制御部と、を有し、 該制御部は、前記本体部が前進移動する間に前記シートの移動と停止を繰り返させ、該本体部が前進移動状態から停止状態へと切り替わった後も、前記本体部が該前進移動状態の間に移動を開始した前記シートの移動を継続させると共に、前記シートが移動を完了して停止状態となるまでは前記本体部の前記停止状態を維持するように、前記車輪用モータの駆動の制御と前記シート移動用モータの駆動の制御とを行う、ことを特徴とする表面処理装置。 【請求項3】 前記制御部は、前記シートの移動を停止させている間に、前記車輪用モータの駆動の制御を行う、ことを特徴とする請求項1または2記載の表面処理装置。 【請求項4】 前記制御部は、前記シートを移動させている間に、前記車輪用モータの駆動の制御を行う、ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の表面処理装置。 【請求項5】 前記制御部は、前記本体部が第1の所定距離を移動したのちに、前記シートを移動させるように前記シート移動用モータの駆動の制御を行う、ことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の表面処理装置。 【請求項6】 前記制御部は、前記本体部が第2の所定距離を移動するとき、 前記本体部が前記第2の所定距離を移動する間の前記シートの移動距離が該第2の所定距離よりも短くなるように、 または、前記本体部が前記第2の所定距離を移動する間の該本体部の移動速度が前記シートの移動速度よりも早い速度になるように、 前記シート移動用モータの駆動の制御を行う、ことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の表面処理装置。 【請求項7】 前記本体部は、 前記シートに向けて、または前記シート接触体に向けて液体を射出する液体射出部を有し、 前記制御部は、前記液体射出部からの前記液体の射出の制御を行う、ことを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の表面処理装置。 【諸求項8】 前記本体部は、使用者による操作を受けて、前記液体射出部から射出された前記液体を前記シートが含有して拭き清掃を行う湿式清掃モードと、前記液体射出部からの前記液体を前記シートが付与されずに拭き清掃を行う乾式清掃モードのいずれか一方を選択する操作部を有し、 前記制御部は、前記操作部により前記湿式清掃モードが選択されたときに、前記液体射出部からの前記液体の射出の制御を行う、ことを特徴とする請求項7に記載の表面処理装置。 【請求項9】 請求項1から8のいずれか一項に記載の表面処理装置に装着されるシート。 第4 取消理由の概要 本件訂正前の請求項1ないし9に係る特許に対して、当審が令和4年7月27日付けで特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。 1 取消理由1 本件特許は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。 発明の詳細な説明には、「未使用のシートを自動供給して長時間の床拭き清掃等の表面処理を行うことができる表面処理装置を提供する」(【0006】)ことを解決しようとする課題とし、床拭き機1が第1円筒部材24と、第2円筒部材25とを有する本体部2を備え、長尺シート23が第1円筒部材24に複数回巻かれて保持されているとともに、この長尺シート23が第1円筒部材24から延出し、長尺シート23を床面55に押しつける第3円筒部材40の表面を経由して、第2円筒部材25に複数回巻かれて固定され、第3モータ22により第2円筒部材25が回転すると、その周囲に長尺シート23が巻かれて回収されると共に第1円筒部材24側から第3円筒部材40側へ長尺シート23が移動することにより、未使用の長尺シート23が自動供給されるようにしたものが記載され、これに対し、本件訂正前の請求項1に係る発明は、「前記被処理面に接触している前記シートの接触部分を該被処理面に非接触になる位置へ移動させるシート移動用モータ」を有することが特定されているが、例えば、単に、第3円筒部材40を引き上げて長尺シート23を床面に被接触状態としたのみでは、未使用の長尺シートが床面に接触することはなく、上記課題を解決することはできず、出願時の技術常識に照らしても、請求項1及びこれらを引用する請求項3ないし9に係る発明の範囲まで、発明の詳細な説明に開示された内容を拡張ないし一般化できるとはいえない。 また、本件発明2は、「前記被処理面上に至る前の前記シートの前記被処理面に接触していない未接触部分を前記被処理面に接触する位置へ移動させるシート移動用モータ」を有することが特定されているが、シート移動用モータが被処理面に接触していないシートの未接触部分をどの位置から被処理面に接触する位置へ移動させるのか特定がないから、どのように未使用のシートを自動供給し得るのか不明であり、前記した「未使用のシートを自動供給して長時間の床拭き清掃等の表面処理を行うことができる表面処理装置を提供する」との課題を解決できるものとは認められず、請求項2及びこれらを引用する請求項3ないし9に係る発明には、発明の詳細な説明に記載された、発明の課題を解決するための手段が反映されておらず、請求項2及びこれらを引用する請求項3ないし9に係る発明は、発明の詳細な説明に記載した範囲を超えることとなる。 以上のことから、請求項1、2及びこれらを引用する請求項3ないし9に係る発明は、発明の詳細な説明に記載したものでないから、本件特許は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。 2 取消理由2 本件特許は、令和3年8月31日受付けの手続補正書でした補正(以下、「本件補正」という。)が下記の点で願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「当初明細書等」という。)に記載した事項の範囲内においてしたものでないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。 本件補正は、本件発明1が「本体部は」、「前記被処理面に接触している前記シートの接触部分を該被処理面に非接触になる位置へ移動させるシート移動用モータ」を有することを特定する事項(以下、「補正事項1」という。)を含むものとし、また、本件発明2が「本体部は」、「前記被処理面上に至る前の前記シートの前記被処理面に接触していない未接触部分を前記被処理面に接触する位置へ移動させるシート移動用モータ」を有することを特定する事項(以下、「補正事項2」という。)を含むものとすることである。 これに対し、当初明細書等には、特に【0011】ないし【0022】及び図1、図2を参照すると、床拭き機1が第1円筒部材24と、第2円筒部材25とを有する本体部2を備え、長尺シート23が第1円筒部材24に複数回巻かれて保持されているとともに、この長尺シート23が第1円筒部材24から延出し、長尺シート23を床面55に押しつける第3円筒部材40の表面を経由して、第2円筒部材25に複数回巻かれて固定され、第3モータ22により第2円筒部材25が回転すると、その周囲に長尺シート23が巻かれて回収されると共に第1円筒部材24側から第3円筒部材40側へ長尺シート23が移動することにより、未使用の長尺シート23が自動供給されるようにしたものが記載されているが、それ以外の、シート移動用モータが、被処理面に接触している前記シートの接触部分を該被処理面に非接触になる位置へ移動させる態様や、シート移動用モータが、被処理面上に至る前のシートの被処理面に接触していない未接触部分を被処理面に接触する位置へ移動させる態様については一切記載がなく、当該シート移動用モータによって、第3円筒部材40を引き上げ、長尺シート23を床面に接触した状態から非接触状態とし、また、第3円筒部材40を押し下げ、長尺シート23を床面に非接触状態から接触した状態とすること等も記載されておらず、また、当初明細書等の記載から自明な事項であるともいえない。 3 取消理由3 本件訂正前の請求項1ないし5及び9に係る発明は、優先日前に日本国内又は外国において、頒布された米国特許出願公開第2002/0011813号明細書(以下、「甲1」という。)に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、請求項1ないし5及び9に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである。 4 取消理由4 本件訂正前の請求項1ないし5及び9に係る発明は、優先日前に日本国内又は外国において、頒布された甲1に記載された発明に基いて、優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1ないし5及び9に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 本件訂正前の請求項6ないし8に係る発明は、優先日前に日本国内又は外国において、頒布された甲1に記載された発明及び英国特許出願公開第2411107号明細書(以下、「甲2」という。)に記載された事項に基いて、優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項6ないし8に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 第5 当審の判断 事案に鑑み、取消理由2(新規事項)についての判断を最初に行い、次に、取消理由1(サポート要件)、甲1及び甲2に記載された事項、取消理由3(新規性)、取消理由4(進歩性)の順に判断を行う。 1 取消理由2(新規事項)について 本件発明1は、シートについて、「前記シートが巻かれるとともに該シートの一端を保持する第1保持部材と、前記第1保持部材から送出される前記シートが巻かれて回収するとともに該シートの他端を保持する第2保持部材と、前記第1保持部材と前記第2保持部材の間の前記シートの一面に接触して該シートの他面を前記被処理面に接触させるローラからなるシート接触体」と「前記第2保持部材を回転させて前記被処理面に接触している前記シートの接触部分を該被処理面に非接触になる位置へ移動させるシート移動用モータ」と特定し、また本件発明2は、「前記シートが巻かれるとともに該シートの一端を保持する第1保持部材と、前記第1保持部材から送出される前記シートが巻かれて回収するとともに該シートの他端を保持する第2保持部材と、前記第1保持部材と前記第2保持部材の間の前記シートの一面に接触して該シートの他面を前記被処理面に接触させるローラからなるシート接触体」と「前記第2保持部材を回転させて前記被処理面上に至る前の前記シートの前記被処理面に接触していない未接触部分を前記被処理面に接触する位置へ移動させるシート移動用モータ」と特定している。 これに対し、当初明細書等には、次の事項が記載されている。 (1)「【0007】 本発明の表面処理装置は、 被処理面上を移動して該被処理面を処理する本体部を備えた表面処理装置であって、 前記本体部が、 長尺シートを収容する第1シート収容部と、 該第1シート収容部から移動してきた前記長尺シートを収容する第2シート収容部と、 前記本体部の前進移動中に前記長尺シートを前記第1シート収容部から引き出して前記第2シート収容部に向けて移動させるシート駆動部と、 前記本体部の前進移動中に前記第1シート収容部から前記第2シート収容部に向けて移動する前記長尺シートの一面に前記長尺シートの移動に伴って回転しながら接触して、前記長尺シートの他面を前記被処理面に接触させるシート接触体と、 車輪部と、 前記第1シート収容部、前記第2シート収容部、前記シート駆動部、前記シート接触体および前記車輪部を保持する筐体と、 を備えていることを特徴とする。」 (2)「【0012】 図2について説明する。本体部2は、さらに、容器15と、チューブ16と、液体射出器17と、第1モータ20と、第2モータ21(図10に図示)と、長尺シート23と、第1円筒部材24と、第2円筒部材25と、第1シート収容部27と、シート接触部29と、第2シート収容部31と、を有する。第1シート収容部27は、第1ローラー33と、第2ローラー34と、第3ローラー35と、第1ばね36と、を有する。シート接触部29は、シート接触体の一例である第3円筒部材40と、第4ローラー41と、第5ローラー42と、第6ローラー43と、第4軸44(図3に図示)と、第5軸45(図3に図示)と、第6軸46(図3に図示)と、ベルト47と、取付板48と、を有する。第2シート収容部31は、第7ローラー50と、第8ローラー51と、第9ローラー52と、第2ばね53と、を有する。図2に示す床拭き機1は、平坦な被処理面の一例である床面(木床やタイル、ラミネートフロアなどの表面)55上に移動可能に置かれている状態である。なお、本体部2の筐体2a以外の構成要素、即ち車輪部(第1車輪6、第2車輪7)、第1シート収容部27、シート接触部29、第2シート収容部31、後述するシート駆動部60(制御部10、第3モータ22、第8ローラ51)等は、いずれも直接的にあるいは間接的に筐体2aに保持されている。なお、本明細書において保持とは、直接的あるいは間接的に保持することを意味する。」 (3)「【0015】 長尺シート23は、所定の長さを有し、ポリエステルやナイロン、レーヨン、綿などの材質からなり、繊維を織ったり編んだりした織物や編み物、或いは、紙やフェルトなど織ったり編んでいない不織布から細長い帯状に形成されたものである。この長尺シート23は、一端23e(図9に図示)が長尺シート23の一端を保持する第1保持部材の一例である第1円筒部材24に保持されて固定されているとともに、図2では反時計方向に複数回巻かれている。第1円筒部材24の上側から延出し第3円筒部材40の表面を経由した長尺シート23の他端は長尺シート23の他端を保持する第2保持部材の一例である第2円筒部材25に保持されて固定されているとともに、図2では時計方向に複数回巻かれている。」 (4)「【0020】 第3モータ22が動作すると、第8ローラー51は矢印F方向へ回転する。第8ローラー51は第2円筒部材25に巻かれた長尺シート23に当接しており、しかも、表面に凹凸を有するため、第8ローラー51の回転動作に連動して第2円筒部材25は矢印G方向へ回転する。第2円筒部材25には長尺シート23が矢印H方向から引き込まれ、第2円筒部材25に巻かれて太径化しながら、第2円筒部材25の周囲に長尺シート23が巻かれて回収される。」 (5)「【0024】 第1円筒部材24側から第2円筒部材25側へ長尺シート23を送り出すと、長尺シート23の巻き数が減少する第1円筒部材24は太径状態から細径化し、長尺シート23の巻数が増加する第2円筒部材25は細径状態から太径化する。長尺シート23が多く巻かれた第1円筒部材24から長尺シート23が送出された後の、長尺シート23が巻かれた第1円筒部材24の外径を2点鎖線60aで示す。また、長尺シート23が少し巻かれた第2円筒部材25に長尺シート23が多く巻かれた後の、長尺シート23が巻かれた第2円筒部材25の外径を2点鎖線60bで示す。」 (6)「【0037】 本体部2が時刻t0から時刻t1の間S0に停止中であり、第3モータ22も停止中である。時刻がt1になってから本体部2が第1地点に向けて前進を開始し、本体部2が始動してから時刻がt2になる(t1からt2までの時間をT1とする)とき、本体部2の前進は継続しているので、第3モータ22が始動して長尺シート23の移動が開始する。即ち、時刻t2では、本体部2が所定時間T1移動して長尺シート23に所定量の塵埃が捕捉されたと考えられるので、長尺シート23を移動させてシート接触体40に未使用のシート部分を供給する。 【0038】 時刻t3(第3モータ22が始動してからt3までに経過した時間をT2とする)では本体部2の前進が継続しているが、時刻がt3のときに時刻t2から時間T2だけ経過しているので第3モータ22が停止して長尺シート23の移動が停止する。T2は、長尺シート23のシート接触体40に接している部分が完全に未使用のシート部分に置き換わるに必要な時間もしくはそれ以上の時間とすることが望ましい。その後、本体部2は第1地点を通過し、第3モータ22が停止後から時間T1が経過しても本体部2の前進は継続しているので、第3モータ22が停止後から時間T1経過後(時刻t4)に、再び第3モータ22が始動して長尺シート23の移動が開始する。その後、時刻t5で本体部2が第2地点に到着して停止した場合、第3モータ22は、動作開始からT2以下しか経っていないが、本体部2が停止してからΔt後に停止する。長尺シート23が移動中であるということは長尺シート23に所定量の塵埃が捕捉されているということであり、所定量の塵埃を捕捉している使用済みシート部分の未使用シート部分への置き換えを十分に行うためΔtだけ長尺シート23の移動を継続するようにしている。なお、長尺シート23の移動中に本体部23が移動停止したときは、長尺シート23の移動をΔtだけ継続すると共に、その間、つまり長尺シート23の移動が完了するまでは、本体部2の移動停止を継続するようにしている。長尺シート23の移動が完了する前に例えば後進移動を開始すると、塵埃を床面55上に残したままになる恐れが生じるからである。」 (7)「【0056】 長尺シート23の動作について説明する。第3モータ22が動作して、長尺シート23が巻かれた第2円筒部材25が矢印G方向へ回転すると、第1円筒部材24に巻かれた長尺シート23が第1円筒部材24から引き出され、第3円筒部材40によって床面に押し付けられて床面を清掃する。湿式清掃の場合、床面とは未接触で、且つ液体射出器17から噴射された液体を含有した長尺シート23が床面と接触して床面上の清掃が行われる。乾式清掃と湿式清掃の相違点は、液体射出器17からの液体射出の有無だけである。この動作を繰り返すことで、床面とは未接触な長尺シート23が順次供給され、この供給された長尺シート23を床面に接触させて清掃できるので、床面を清潔に清掃することができる。汚れた長尺シート23を床面に接触させ続けることで、長尺シート23が床面の汚れを取得できなくなってしまうことを回避できるようになっている。 【0057】 次に、長尺シート23の交換動作について説明する。図2のように、本体部2に長尺シート23が取り付けられた状態から説明する。第1シート収容部27に収容された第1円筒部材24を矢印C方向に引き出すと、第1ばね36が圧縮されながら第1円筒部材24が矢印C方向へ移動し始め、第2ローラー34の中心と第3ローラー35の中心とを結ぶ仮想線を、第1円筒部材24に巻かれた長尺シート23の巻回部の最大太径部が通過すると、第1シート収容部27からの取り外しが完了する。また、第2シート収容部31に収容された第2円筒部材25を矢印Hと反対方向へ引き出すと、第2ばね53が圧縮されながら第2円筒部材25が矢印Hと反対方向へ移動し始め、第7ローラー50の中心と第9ローラー52の中心とを結ぶ仮想線を、第2円筒部材25に巻かれた長尺シート23の巻回部の最大太径部が通過すると、第2シート収容部31からの取り外しが完了する。前述の取り外しの操作を逆順で行うと、長尺シート23を本体部2に装着することができる。」 (7)願書に最初に添付した図面には、次の図2が記載されている。 [図:0001398245000001.jpg] これらの事項から、当初明細書等には、本体部2は、「第1保持部材の一例である第1円筒部材24」(【0015】)と「第2保持部材の一例である第2円筒部材25」(【0015】)を有している(【0012】)ことが記載されている。 さらに、「この長尺シート23は、一端23e(図9に図示)が長尺シート23の一端を保持する第1保持部材の一例である第1円筒部材24に保持されて固定されているとともに、図2では反時計方向に複数回巻かれている」(【0015】)ものであるから、第1保持部材は、長尺シート23が巻かれるとともに該シートの一端を保持するものである。 また、「長尺シート23の他端は長尺シート23の他端を保持する第2保持部材の一例である第2円筒部材25に保持されて固定されているとともに、図2では時計方向に複数回巻かれている。」(【0015】)とともに、長尺シート23についてみると、「第1円筒部材24側から第2円筒部材25側へ長尺シート23を送り出す」(【0024】)とともに、「第2円筒部材25の周囲に長尺シート23が巻かれて回収される」(【0020】)ものであるから、第2保持部材は、第1保持部材から送出される長尺シート23が巻かれて回収するとともに該長尺シート23の他端を保持するものである。 そして、当初明細書等には、第1円筒部材24と第2円筒部材25との間の長尺シート23を被処理面に接触させるものとして、「前記第1シート収容部から前記第2シート収容部に向けて移動する前記長尺シートの一面に前記長尺シートの移動に伴って回転しながら接触して、前記長尺シートの他面を前記被処理面に接触させるシート接触体」(【0007】)が記載されている。ここで、第1シート収容部27は、第1円筒部材24を収容し(【0057】)、第2シート収容部31は、第2円筒部材25を収容して(【0057】)おり、長尺シート23は、「第1円筒部材24側から第2円筒部材25側へ長尺シート23を送り出す」(【0023】)ものであることを考慮すると、「前記第1シート収容部から前記第2シート収容部に向けて移動する前記長尺シートの一面」(【0007】)とは、第1円筒部材24を一例とする第1保持部材と第2円筒部材25を一例とする第2保持部材の間の長尺シートの一面をいうと理解できる。また、シート接触体は、その一例として、第3円筒部材40が示され(【0012】)、長尺シート23の移動に伴って回転しながら接触するものであるから、ローラからなるといえ、これは、図2の記載とも整合する。そうすると、当初明細書等には、第1保持部材と第2保持部材の間の長尺シートの一面に接触して該長尺シートの他面を前記被処理面に接触させるローラからなるシート接触体が記載されている。 さらに、長尺シート23を移動させるモータについて、発明の詳細な説明には、「第3モータ22が動作すると、第8ローラー51は矢印F方向へ回転」(【0020】)し、「第8ローラー51の回転動作に連動して第2円筒部材25は矢印G方向へ回転する」(【0020】)ことで、「第2円筒部材25には長尺シート23が矢印H方向から引き込まれ」(【0020】)て、「第2円筒部材25の周囲に長尺シート23が巻かれて回収される」(【0020】)と記載されていることから、当初明細書等には、第3モータ22が第2円筒部材25を回転させ、これにより、長尺シート23が第2円筒部材25の周囲に巻かれて回収されることが記載されている。ここで、第3円筒部材40は、シート接触体の一例であり(【0012】)、床面は、被処理面の一例である(【0012】)ことを考慮すると、長尺シート23が第2円筒部材25の周囲に巻かれて回収されると、長尺シート23のシート接触体(第3円筒部材40)により被処理面(床面)に押し付けられている部分は、被処理面に接触しない位置、すなわち非接触になる位置へ移動することが理解できる。 そうすると、当初明細書等には、第3モータ22が第2円筒部材25を回転させて、長尺シート23が第2円筒部材25の周囲に巻かれて回収されると、長尺シート23のシート接触体(第3円筒部材40)により床面に押し付けられている部分、すなわち、被処理面に接触している部分は、被処理面に接触しない位置、すなわち非接触になる位置へ移動させることが記載されていると理解できる。 また、第3モータ22が第2円筒部材25を回転させて、長尺シート23が第2円筒部材25の周囲に巻かれて回収されると、被処理面上に至る前の長尺シートの被処理面に接触していない未接触部分は、シート接触体(第3円筒部材40)により床面に押し付けられて被処理面に接触する位置へ移動させることも理解でき、これは、当初明細書等に、「第3モータ22が動作して、長尺シート23が巻かれた第2円筒部材25が矢印G方向へ回転すると、第1円筒部材24に巻かれた長尺シート23が第1円筒部材24から引き出され、第3円筒部材40によって床面に押し付けられて床面を清掃する」(【0056】)という動作を「繰り返すことで、床面とは未接触な長尺シート23が順次供給され」(【0056】)ることが記載されていることとも整合する。 これらのことから、当初明細書等には、「前記シートが巻かれるとともに該シートの一端を保持する第1保持部材と、前記第1保持部材から送出される前記シートが巻かれて回収するとともに該シートの他端を保持する第2保持部材と、前記第1保持部材と前記第2保持部材の間の前記シートの一面に接触して該シートの他面を前記被処理面に接触させるローラからなるシート接触体」と「前記第2保持部材を回転させて前記被処理面に接触している前記シートの接触部分を該被処理面に非接触になる位置へ移動させるシート移動用モータ」および「前記第2保持部材を回転させて前記被処理面上に至る前の前記シートの前記被処理面に接触していない未接触部分を前記被処理面に接触する位置へ移動させるシート移動用モータ」が記載されていたといえる。 本件訂正前の請求項1ないし9に係る特許に対して、当審が令和4年7月27日付けで特許権者に通知した取消理由では、当初明細書等には、長尺シート23が第1円筒部材24に複数回巻かれて保持されているとともに、この長尺シート23が第1円筒部材24から延出し、長尺シート23を床面55に押しつける第3円筒部材40の表面を経由して、第2円筒部材25に複数回巻かれて固定され、第3モータ22により第2円筒部材25が回転すると、その周囲に長尺シート23が巻かれて回収されると共に第1円筒部材24側から第3円筒部材40側へ長尺シート23が移動することにより、未使用の長尺シート23が自動供給されるようにしたものが記載されているが、それ以外の、シート移動用モータが、被処理面に接触している前記シートの接触部分を該被処理面に非接触になる位置へ移動させる態様や、シート移動用モータが、被処理面上に至る前のシートの被処理面に接触していない未接触部分を被処理面に接触する位置へ移動させる態様については一切記載がないから、本件補正は、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものとは認められないとした。しかし、本件訂正後の請求項1ないし9に係る発明は、上記のように、本体部が「前記シートが巻かれるとともに該シートの一端を保持する第1保持部材と、前記第1保持部材から送出される前記シートが巻かれて回収するとともに該シートの他端を保持する第2保持部材と、前記第1保持部材と前記第2保持部材の間の前記シートの一面に接触して該シートの他面を前記被処理面に接触させるローラからなるシート接触体」を有し、さらに、シート移動用モータが、本件発明1では、「前記第2保持部材を回転させて前記被処理面に接触している前記シートの接触部分を該被処理面に非接触になる位置へ移動させる」ことが特定され、本件発明2では、「前記第2保持部材を回転させて前記被処理面上に至る前の前記シートの前記被処理面に接触していない未接触部分を前記被処理面に接触する位置へ移動させる」ことが特定され、これらの事項が当初明細書等に記載されたといえるのは、上記のとおりであるから、本件補正は、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであって、本件特許は、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものとはいえず、取消理由2によっては、本件発明1および2に係る特許を取り消すことはできない。 また、申立人は、「本件補正により、本件発明1および本件発明2は、第1シート収容部からシート接触体を経由して第2シート収容部に移動可能な程度の長さを有する長尺シートを前提としない発明、例えばローラからなるシート接触体に一周だけ巻回して取り付けられる短尺シートも文言上包含し得ることになる」(特許異議申立書9ページ11行ないし同ページ15行)ことを前提として、本件補正が新規事項を追加するものであることを主張するが、本件訂正がされた本件発明1及び2のシートは、第1保持部材からシート接触体を経由して第2保持部材に移動可能な程度の長さを有するものであるから、申立人が主張するような短尺シートは包含されず、申立人の主張は採用することができない。 2 取消理由1(サポート要件)について 発明の詳細な説明には、本件発明の課題として、従来、「前記清掃表面上を移動するように支持された筐体を備え、該筐体には、第一回収装置と、液体塗布器と、塗抹要素と、スクラブ要素と、第二回収装置と、が取り付けられ」(【0002】)、「スクラブ要素は、前記清掃表面上を磨くように構成され」(【0002】)た自律的ロボットが知られているが、「自律的ロボットによる長時間の清掃を行うためには、スクラブ要素を洗浄するために使用者が定期的に交換しなければなら」(【0005】)いことから、「未使用のシートを自動供給して長時間の床拭き清掃等の表面処理を行うことができる表面処理装置を提供する」(【0006】)ことが記載されている。 さらに、発明の詳細な説明には、このような課題を解決するものとして、上記1に示すように、「前記シートが巻かれるとともに該シートの一端を保持する第1保持部材と、前記第1保持部材から送出される前記シートが巻かれて回収するとともに該シートの他端を保持する第2保持部材と、前記第1保持部材と前記第2保持部材の間の前記シートの一面に接触して該シートの他面を前記被処理面に接触させるローラからなるシート接触体」と「前記第2保持部材を回転させて前記被処理面に接触している前記シートの接触部分を該被処理面に非接触になる位置へ移動させるシート移動用モータ」および「前記第2保持部材を回転させて前記被処理面上に至る前の前記シートの前記被処理面に接触していない未接触部分を前記被処理面に接触する位置へ移動させるシート移動用モータ」が記載されている。 これに対し、本件発明1には、「前記シートが巻かれるとともに該シートの一端を保持する第1保持部材と、前記第1保持部材から送出される前記シートが巻かれて回収するとともに該シートの他端を保持する第2保持部材と、前記第1保持部材と前記第2保持部材の間の前記シートの一面に接触して該シートの他面を前記被処理面に接触させるローラからなるシート接触体」と「前記第2保持部材を回転させて前記被処理面に接触している前記シートの接触部分を該被処理面に非接触になる位置へ移動させるシート移動用モータ」とを有する本体部を表面処理装置が備えることが特定されており、これは、発明の詳細な説明に記載された発明である。そして、本件発明1のシートは、第1保持部材から送出され、第2保持部材によって回収されるとともに、第1保持部材と第2保持部材との間でシート接触体により被処理面に接触するものであり、このシートの被処理面に接触する部分が、シート移動用モータにより、被処理面に非接触になる位置へ移動することで、この移動した部分に続いて第1保持部材から送出された部分がシート接触体により被処理面に接触できる位置へ移動するから、これにより、本件発明1は、「未使用のシートを自動供給して長時間の床拭き清掃等の表面処理を行うことができる表面処理装置を提供する」(【0006】)という課題を解決できると当業者が認識できる範囲のものであるから、本件発明1は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たす。 また、同様に、本件発明2は、「前記シートが巻かれるとともに該シートの一端を保持する第1保持部材と、前記第1保持部材から送出される前記シートが巻かれて回収するとともに該シートの他端を保持する第2保持部材と、前記第1保持部材と前記第2保持部材の間の前記シートの一面に接触して該シートの他面を前記被処理面に接触させるローラからなるシート接触体」と「前記第2保持部材を回転させて前記被処理面上に至る前の前記シートの前記被処理面に接触していない未接触部分を前記被処理面に接触する位置へ移動させるシート移動用モータ」とを有する本体部を表面処理装置が備えることが特定されており、これは、発明の詳細な説明に記載された発明であって、これにより、上記課題を解決することができると当業者が認識できる範囲のものであるから、本件発明2は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たす。 申立人は、本件特許明細書等には、「長尺シートを前提として、第1および第2シート収容部、およびこれらのシート収容部との関係で特定されたシート接触体、およびジート駆動部を備えた発明、すなわち長尺シートを前提とした発明しか記載されていない」(特許異議申立書15ページ4行ないし同ページ7行)「にもかかわらず、本件発明1および本件発明2は、短尺シートを含むシートを前提とし、第1および第2シート収容部を有さない発明や、これらのシート収容部との関係で特定される特定の「シート駆動部」や「シート接触体」を有さない発明まで包含することになるから」(特許異議申立書15ページ7行ないし同ページ10行)、本件特許は、サポート要件を充足しないと主張している。しかし、本件訂正がされた本件発明1及び2は、「前記シートが巻かれるとともに該シートの一端を保持する第1保持部材と、前記第1保持部材から送出される前記シートが巻かれて回収するとともに該シートの他端を保持する第2保持部材と、前記第1保持部材と前記第2保持部材の間の前記シートの一面に接触して該シートの他面を前記被処理面に接触させるローラからなるシート接触体」が特定されたものであるから、申立人の主張は採用することができない。 3 甲号証について (1)甲1について ア 甲1の記載事項 甲1には、次の事項が記載されている(なお、訳文は、申立人が提出したものを参考に当審で作成し、下線は、当審で付与した。以下同様。)。 (ア)「[0016] Typically, the roll of toweling is transferred between two reels at a controlled rate as the robot moves in a mopping motion across the floor. However, the robot can use optical or other sensors to determine when the exposed portion of the towel is dirty and advance the towel on the reels when appropriate. Research has shown that one square foot of toweling cleans approximately 25 square feet of flooring. The towel can be made of any cloth, paper or other appropriate material, but a tough, disposable paper-based material is preferable in one embodiment. Simple water can be used as the cleaning solution, but adding soap or other cleaner improves the mop efficacy. It is also feasible to use a dry towel and have the robot apply a cleaning solution. This necessitates a reservoir on the robot in one embodiment.」 (当審訳 [0016] 典型的には、ロボットがモッピング・モーションで床を移動しながら、タオルのロールが、制御された速度で2つのリール間を移動される。しかし、ロボットは、光学センサまたは他のセンサを使用して、タオルの露出部分が汚れる時期を判断し、適切な時期にリールのタオルを進めることができる。調査では、タオル1平方フィートで約25平方フィートの床材をきれいにすることが示されている。タオルは、任意の布、紙または他の適切な材料で作ることができるが、一実施形態では、丈夫で使い捨て可能な紙ベースの材料が好ましい。水を洗浄液として使用することができるが、石鹸や他のクリーナーを加えるとモップ効果を改善する。乾いたタオルを使い、ロボットに洗浄液を塗布させることも可能である。これは、一実施形態では、ロボットに貯留器が必要となる。) (イ)「[0030] FIG. 1 shows a front perspective of one embodiment of an autonomous robot mop 100. The overall shape and configuration of the robot may affect its ability to autonomously clean and navigate an environment, but generally does not affect, nor is affected by, the automated floor-mopping aspects of this invention. [0031] FIG. 2 is an exploded view of the robot mop 100 embodiment shown in FIG. 1. Wires, hardware and other components have been removed in the view of FIG. 2 for simplification. In one embodiment, the robot is housed inside a plastic shell 101, and controlled by a custom computer assembly 102 that includes a Central Processing Unit (CPU) or processor, Random Access Memory (RAM), and non-volatile storage. There are many CPUs that are sufficient for use including, for example, those manufactured by Intel, Motorola, and Microchip (PIC). The computer assembly 102 processes information received from sensors 103 to determine its position, the room types and so on, in order to determine what should be done next. Additionally, the computer assembly 102 controls all the motors on the robot in one embodiment. Information about the environment, such as a map and task schedule, is maintained in non-volatile memory. The computer assembly 102 includes two camera sensors 103 that view through lenses 104 to provide stereo vision. Wide angle lenses such as those found in some readily available Web and security cameras are preferred in this embodiment. While cameras are the sensors in one embodiment, the robot can also use ultrasonic, radar or lidar sensors in place of or in conjunction with the cameras. The cameras are the primary sensors facing the forward direction, and additional cameras or other sensors may optionally be oriented around the periphery of the robot. The robot may also use short range ultrasonic or touch sensors, floor type sensors or other additional ways to improve its performance.」 (当審訳 [0030] 図1は、自律ロボットモップ100の一実施形態の正面斜視図を示す。ロボットの全体的な形状および構成は、環境を自律的に清掃し、ナビゲートするその能力に影響を及ぼす可能性があるが、一般に、本発明の自動床拭きの態様に影響を及ぼすことはなく、また影響を受けることもない。 [0031] 図2は、図1に示したロボットモップ100の実施形態の分解図である。簡略化のために、図2では、ワイヤ、金物および他の部品は除去されている。一実施形態では、ロボットはプラスチックシェル101内に収容され、中央処理装置(CPU)すなわちプロセッサ、ランダムアクセスメモリ(RAM)、および不揮発性ストレージを含むカスタムコンピュータアセンブリ102によって制御される。使用に十分なCPUは多数ある、例えば、Intel、Motorola、Microchip(PIC)のCPUである。コンピュータアセンプリ102は、次に何をすべきかを決定するため、センサ103から受信した情報を処理して、ロボットの位置、部屋のタイプ等を決定する。さらに、コンピュータアセンプリ102は、一実施形態では、ロボットのすべてのモータを制御する。マップやタスクスケジュールのような環境に関する情報は、不揮発性メモリに保持される。コンピュータアセンブリ102は、レンズ104で立体視を提供する2つのカメラセンサ103を含む。この実施形態では、いくつかの容易に入手可能なウェブおよびセキュリテイカメラに見られるような広角レンズが好ましい。一実施形態ではカメラがセンサであるが、ロボットは、カメラの代わりに、またはカメラと組み合わせて、超音波センサ、レーダセンサ、またはライダーセンサを使用することもできる。カメラは前方方向を向いた主センサであり、追加のカメラまたは他のセンサを、任意にロボットの周囲に方向づけてもよい。ロボットはまた、その性能を向上させるために、短距離超音波またはタッチセンサ、床型センサ、または他の追加の方法を使用することができる。) (ウ)「[0032] A left drive wheel and drive motor assembly 107 and a right drive wheel and drive motor assembly 108 mounted on a bracket 109 within the shell propel the robot 100. A battery 106 powers the system. Ideally, the battery 106 provides sufficient voltage for the computer, sensors and motors. Otherwise, the system may require one or more transformers. In one embodiment, a rechargeable battery is utilized and is sized to provide an hour or more of power for the robot to effectively clean between charges. NiCad, lithium ion, lead acid and other battery technologies may be successfully used. The mopping system is mounted on a bottom plastic shell 110. It includes a pre-moistened web or towel 115 assembled onto a feed roll, reel or roller 116 and a take-up roll 117. The entire towel assembly is configured in a manner similar to a scroll where the paper is wound from one roll onto the other roll. The ends of both rollers 116, 117 have details that snap into mating features 119 on the lower shell 110. One end of the take-up roll has a gear 118 that meshes with a gear 112 mounted on a towel drive motor 111. When the towel 115 is in place within the robot 100, the cleaning area passes over a non-absorbent cushioning pad 114 adhered to a mounting plate 113, which may be a solid mounting plate. One or more weights 105 may be added to the robot system to ensure that the towel 115 is pressed against the floor with an appropriate pressure. In one embodiment, closed cell foams are utilized for the pad because they are durable and do not absorb water. However, self-skinning open cell foams such as urethane and neoprene are acceptable as are other sponge type materials enclosed in a watertight bag. [0033] As the robot 100 moves back and forth across the floor of an area or room, the towel 115 mops the floor. During use, the towel is transferred between the feed reel 116 and the take-up reel 117 at a controlled rate. Tests indicate that one square foot of towel can clean approximately 25 square feet of floor. The computer assembly 102 can advance the towel a specific amount based on the amount of floor that is cleaned. Alternatively, the robot 100 could include a sensor, such as a camera, to determine when the active cleaning area of the towel is dirty. One embodiment uses one motor 111 on the take-up reel 117 and assumes there is sufficient friction on the feed reel 116 to prevent it from inadvertently unwinding in use. Alternate embodiments can include drive motors on both rollers and/or clutches or friction brakes to ensure tension on the towel.」 (当審訳 [0032] シェル内のブラケット109に取り付けられた左駆動輪及び駆動モータアセンプリ107並びに右駆動輪及び駆動モータアセンブリ108は、ロボット100を推進する。バッテリ106はシステムに電力を供給する。理想的には、バッテリ106は、コンピュータ、センサ及びモータに十分な電圧を提供する。そうでない場合、システムは1つ以上の変圧器を必要とすることがある。一実施形態では、再充電可能なバッテリが利用され、ロボットが充電間で効果的に清掃するために1時間以上の電力を提供するようなサイズにされる。NiCad、リチウムイオン、鉛酸、および他の電池技術をうまく使用することができる。モッピングシステムは、底部プラスチックシェル110に取り付けられる。これは、供給ロール、リール又はローラ116及び巻き取りロール117上に組み立てられた予め湿らせたウェプ又はタオル115を含む。タオル組立体全体は、シートが一方のロールから他方のロールに巻かれるスクロールと同様の態様で構成される。両ローラ116,117の端部は、下部シェル110上の嵌合機構119にスナップする細部を有する。巻取りロールの一端は、タオル駆動モータ111に取り付けられたギア112に噛合するギア118を有する。タオル115がロボット100内の所定の位置にあるとき、洗浄領域は、固体の取り付けプレートであってもよい取り付けプレート113に接着された非吸収性緩衝パッド114を通過する。タオル115が適切な圧力で床に押し付けられることを確実にするために、一つ以上の重り105をロボットシステムに加えることができる。一実施形態では、独立気泡フォームは耐久性があり、水を吸収しないので、パッドに利用される。しかしながら、ウレタンおよびネオプレンのような自己スキニング型オープンセル発泡体は、防水バッグに封入された他のスポンジ型材料と同様に許容される。 [0033] ロボット100がエリアまたは部屋の床を横切って前後に移動すると、タオル115が床を拭き取る。使用中、タオルは制御された速度で供給リール116と巻取りリール117との間で移送される。テストによると、タオル1平方フィートで約25平方フィートの床を清拭できる。コンピュータアセンブリ102は、清拭される床の量に基づいて、タオルを所定量前進させることができる。あるいは、ロボット100は、タオルの能動清拭領城が汚れていることを判定するために、カメラなどのセンサを設けることができる。一実施形態では、巻取りリール117に1つのモータ111を使用し、供給リール116には使用中に不用意に送り出すことを防ぐ十分な摩擦を設ける。別の実施形態では、タオルの張力を確保するために、2つのローラに駆動モータおよび/またはクラッチまたは摩擦プレーキを設けることができる。 [0034] 一実施形態では、タオル115は、ロボットにスナップ留めされ、全長が使用されたときに除去される使い捨てアセンプリとして具現化される。1つの実施形態では、ペーパータオルまたはハンドワイプ(商標)に類似したペーパベースのタオルが使用されるが、布タオルが代替である。あるいは、使い捨てでない布タオルを取り外し、使用の間に洗浄することができる。素材にかかわらず、タオルはあらかじめ湿らせておく。混合物に石鹸または他の洗浄剤を加えると、洗浄特性が向上する。同様に、タオルをワックスで事前に湿らせて、床をモップではなくワックスで湿らせることもできる。 (エ)「[0037] As shown in FIG. 3, the use of the non-absorbent pad 121 (which is similar to the pad 114) offers several improvements to previous cleaning devices. It provides a relatively large cleaning surface and ensures constant pressure when the towel 122 (which is similar to towel 115) is pressed against a surface or floor 120. The towel is transported from a feed roller 123 to a take-up roller 124 In one embodiment, the pad 121, the towel 122, the feed roller 123, the take-up roller 124, and drive wheels 125 (only one wheel is shown) are configured in a robot housing 126 as shown. In another embodiment, the position of the feed roller and the take-up roller may be interchanged. Since the pad is soft and compliant in one embodiment, it conforms to irregularities in the floor, such as grout lines 127 in tile flooring. This feature improves the cleaning ability of the robot mopping system.」 (当審訳 [0037] 図3に示すように、非吸収性パッド121(パッド114に類似している)の使用は、従来のクリーニング装置にいくつかの改良を提供する。これは、比較的大きな洗浄面を提供し、タオル122(タオル115に類似している)が表面または床120に押し付けられるときに一定の圧力を確実にする。タオルは、供給ローラ123から巻取りローラ124に搬送される。一実施形態では、パッド121、タオル122、供給ローラ123、巻取りローラ124、及び駆動輪125(一輪のみ図示)は、図示のようにロボットハウジング126内に構成されている。他の実施形態では、給送ローラと巻取ローラの位置を入れ替えてもよい。一実施形態では、パッドは柔らかく柔軟であるので、タイル床材のグラウトライン127のような床の不規則性に適合する。これにより、ロボットのモッピングシステムの清掃能力が向上する。) (オ)甲1には、Figure2、3として、次の図が記載されている。 [図:0001398245000002.jpg] イ 甲1の記載事項からわかること 甲1の記載事項から、次のことがわかる。 (ア)上記ア(ア)及びア(イ)の記載から、自律ロボットモップ100は、床を移動するものであることがわかる。上記ア(イ)、ア(ウ)及び(オ)に示すFigure2の記載から、自律ロボットモップ100は、プラスチックシェル101及び底部プラスチックシェル110を備えていることがわかり、さらに、上記ア(ウ)には、この底部プラスチックシェル110に取り付けられるモッピングシステムにタオル115が含まれることが記載されているから、タオル115は、自律ロボットモップ100に取り付けられるといえる。また、上記ア(ウ)には、タオル115は、床を拭き取ることも記載されている。 (イ)上記ア(ウ)には、供給ロール116及び巻き取りロール117とタオル115は、シートが一方のロールから他方のロールに巻かれるスクロールと同様の態様で構成されることが記載され、これは、上記ア(オ)に示すFigure3の構成と同様のものであるから、これらの記載より、供給ロール116は、タオル115が巻かれるとともに該タオル115の一端を保持し、巻き取りロール117は、供給ロール116から供給されたタオル115を巻き取るとともに該タオル115の他端を保持していることがわかる。 上記ア(ウ)には、タオル115がロボット100内の所定の位置にあるとき、非吸収性緩衝パッド114を通過し、タオル115が適切な圧力で床に押し付けられることが記載され、この所定の位置は、上記ア(オ)に示すFigure2及びFigure3の記載からみて、供給ロール116と巻き取りロール117の間である。これらのことから、非吸収性緩衝パッド114が供給ロール116と巻き取りロール117の間のタオル115を床に押し付けていることがわかる。 上記ア(ウ)には、巻き取りロール117の一端は、タオル駆動モータ111に取り付けられたギア112に噛合するギア118を有することが記載されているから、タオル駆動モータ111により巻き取りロール117は、回転させられて、巻き取りロール117にタオル115が巻き取られることがわかる。そして、巻き取りロール117にタオル115が巻き取られることにより、タオル115の床に押し付けられている部分は、床に押し付けられない位置へ移動するから、タオル駆動モータ117は、巻き取りロール117を回転させて床に押し付けられているタオル115の部分を該床に押し付けられない位置へ移動させている。また、このとき、タオル駆動モータ117は、床上に至る前の前記タオル115の床に押し付けられていない部分を床に押し付けられる位置へ移動させてもいるといえる。 そして、上記ア(ウ)及びア(イ)の記載より、供給ロール116及び巻き取りロール117は、底部プラスチックシェル110に取り付けられるモッピングシステムに含まれることがわかり、また、上記ア(ウ)の記載より、この底部プラスチックシェル110は、プラスチックシェル101と併せて、供給ロール116及び巻き取りロール117に加え、左駆動輪と右駆動輪及び左駆動輪の左駆動モータアセンブリ107と右駆動輪の右駆動モータアセンブリ108、非吸収性緩衝パッド114、タオル駆動モータ111、カスタムコンピュータアセンブリ102も有していることがわかる。 (ウ)上記ア(ウ)の記載より、タオル115が床を拭き取ると、タオルは制御された速度で供給リール116と巻取りリール117との間で移送されるものであって、コンピュータアセンブリ102は、清拭される床の量に基づいて、タオルを所定量前進させることがわかる。また、上記ア(イ)及びア(ウ)の記載より、コンピュータアセンブリ102は、プラスチックシェル101及び底部プラスチックシェル110が移動すると、清拭される床の量に基づいて、タオル115を所定量前進させるように、左駆動モータアセンブリ107及び右駆動モータアセンブリ108の制御とタオル駆動モータ111の制御を行うといえる。 ウ 甲1に記載された発明 上記ア及びイより、甲1には、次の発明(以下、「甲1発明1」という。)が記載されていると認められる。 ・甲1発明1 「床を移動し、取り付けられるタオル115が前記床を拭き取る自律ロボットモップ100であって、 プラスチックシェル101及び底部プラスチックシェル110を備え、該プラスチックシェル101及び底部プラスチックシェル110は、 前記床を走行する左駆動輪及び右駆動輪と、 前記タオル115が巻かれるとともに該タオル115の一端を保持する供給ロール116と、 前記供給ロール116から供給された前記タオル115を巻き取るとともに該タオル115の他端を保持する巻き取りロール117と、 前記供給ロール116と前記巻き取りロール117の間の前記タオル115を床に押し付けている非吸収性緩衝パッド114と、 前記左駆動輪及び前記右駆動輪をそれぞれ駆動する左駆動モータアセンブリ107及び右駆動モータアセンブリ108と、 前記巻き取りロール117を回転させて前記床に押し付けられている前記タオル115の部分を該床に押し付けられない位置へ移動させるタオル駆動モータ111と、 カスタムコンピュータアセンブリ102と、を有し、 該カスタムコンピュータアセンブリ102は、前記プラスチックシェル101及び底部プラスチックシェル110が移動すると、清拭される前記床の量に基づいて、前記タオル115を所定量前進させるように、前記左駆動モータアセンブリ107及び前記右駆動モータアセンブリ108の制御と前記タオル駆動モータ111の制御を行う、自律ロボットモップ100。」 また、同様に、上記ア及びイより、甲1には、次の発明(以下、「甲1発明2」という。)も記載されていると認められる。 ・甲1発明2 「床を移動し、取り付けられるタオル115が前記床を拭き取る自律ロボットモップ100であって、 プラスチックシェル101及び底部プラスチックシェル110を備え、該プラスチックシェル101及び底部プラスチックシェル110は、 前記床を走行する左駆動輪及び右駆動輪と、 前記タオル115が巻かれるとともに該タオル115の一端を保持する供給ロール116と、 前記供給ロール116から供給された前記タオル115を巻き取るとともに該タオル115の他端を保持する巻き取りロール117と、 前記供給ロール116と前記巻き取りロール117の間の前記タオル115を床に押し付けている非吸収性緩衝パッド114と、 前記左駆動輪及び前記右駆動輪をそれぞれ駆動する左駆動モータアセンブリ107及び右駆動モータアセンブリ108と、 前記巻き取りロール117を回転させて前記床に押し付けられる前の前記タオル115の床に押し付けられていない部分を前記床に押し付けられる位置へ移動させるタオル駆動モータ111と、 カスタムコンピュータアセンブリ102と、を有し、 該カスタムコンピュータアセンブリ102は、前記プラスチックシェル101及び底部プラスチックシェル110が移動すると、清拭される前記床の量に基づいて、前記タオル115を所定量前進させるように、前記左駆動モータアセンブリ107及び前記右駆動モータアセンブリ108の制御と前記タオル駆動モータ111の制御を行う、自律ロボットモップ100。」 (2)甲2について 甲2には、次の事項が記載されている。 ア 「According to a first aspect of the invention, a cleaning device incorporates a cleaning section and a drive section, wherein the drive section is operable to drive the cleaning device over a surf ace to be cleaned, and wherein the cleaning section is operable to drive a cleaning element of the cleaning section relative to a body of the cleaning device and to drive the cleaning element to a surface engaging position for a cleaning operation. The cleaning section may be operable to move the cleaning element from a supply section to a take-up section via the surface engaging position. The cleaning element is preferably in contact with the surface to be cleaned when in the surface engaging position.」(甲2 第1ページ23行ないし第2ページ5行) (当審訳 本発明の第1の態様によれば、洗浄装置は、洗浄セクションおよび駆動セクションを組み込んでおり、駆動セクションは、洗浄される表面上で洗浄デバイスを駆動するように動作可能であり、洗浄セクションは、洗浄を駆動するように動作可能であり、洗浄装置の本体に対する洗浄セクションの要素、および洗浄操作のために洗浄要素を表面係合位置に駆動するための要素である。 洗浄セクションは、表面係合位置を介して、洗浄要素を供給セクションから巻き取りセクションに移動させるように動作可能であり得る。洗浄要素は、好ましくは、表面係合位置にあるときに、洗浄される表面と接触している。) イ 「The take-up section may be powered, preferably by a motor, which may be a motor also adapted to power the drive section. The take-up section is preferably adapted to be rotated at a much lower speed than the drive section, which may be a factor of approximately at least 3000 times slower.」(甲2 3ページ8行ないし同ページ13行) (当審訳 巻き取りセクションは、好ましくはモータによって駆動されてもよく、これは、駆動セクションに動力を供給するように適合されたモータであってもよい。巻き取りセクションは、好ましくは、駆動セクションよりもはるかに低速で回転するように適合されることが好ましく、これは、少なくとも約3000倍遅くなる可能性がある。) (3) 甲3について 甲3には、次の事項が記載されている。 ア 「【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、トンネル内の壁面に奥行方向に沿って所定間隔をおいて設置されている多数の照明器を無人で自動清掃するための装置に関するものである。」 イ 「【0012】また、上記ブラシ洗浄装置Bの側方に配設された仕上装置Dは、順次繰り出される拭取り布Cによって該ブラシ洗浄装置Bにより洗浄された部分を拭き取るための装置であって、図4、図6及び図8に示されるように、前記ロボット本体10の前面に2本の拭取りロール32a,32bが、その軸心を前記回転ブラシ26の軸心と直交させて、清掃ロボットRの走行方向Pに沿って所定間隔をおいて配設され、該2本の拭取りロール32a,32bと、ロボット本体10の内部に配設された巻取ロール33及び巻出ロール34との4本の各ロールの間に拭取り布Cを巻き掛けた構成となっている。2本の拭取りロール32の間には、給水パイプ35が配設され、該給水パイプ35には、拭取り布Cの対向面に長手方向に沿って小さな穴があけられ、かつ内部に通水されている。そして、前記拭取り布Cは、給水パイプ35の背面側に巻き掛けられており、左側の拭取りロール32aに適度の湿りを与える。」 ウ 「【0016】そして、この清掃ロボットRが照明器Lの直前に達すると、センサーなどの適宜の手段によりこれが検知され、制御用モータM1の起動により、フレームFに対してロボット本体10が所定位置まで前進する(図2参照)。この清掃ロボットRが照明器Lの前面に達した状態では、前記圧縮バネ23の復元力によって、ロボット本体10の前面に装着された各回転ブラシ26及び拭取り布Cは、該照明器Lの前面に弾力的に接触する。この状態において、シャワーパイプ25の噴射口25aから洗浄水が噴射されて、照明器Lの前面に吹き付けられ、引き続いて、各回転ブラシ26の回転によって照明器Lの前面が水を含んだ状態で汚れを浮き上がらせ、その後に、各拭取りロール32a,32bに巻き掛けられている拭取り布Cにより照明器Lの前面が擦られて拭き取られる。各拭取りロール32a,32bの間に配設された給水パイプ35からしみ出る水により拭取り布C’が湿らされて、この拭取り布C’により照明器Lの前面が拭き取られ、次に乾いた拭取り布Cにて順次拭き取ることにより仕上効果が高められる。なお、回転ブラシ26の洗浄では落とされない固形物は、該回転ブラシ26の直後に設けられた固形物除去板37によって除去することもできる。」 エ 甲3には、図4及び図8として、次の図が記載されている。 [図:0001398245000003.jpg] 4 本件発明1ないし5及び9の取消理由3(新規性)及び取消理由4(進歩性)について (1)本件発明1と甲1発明1との対比 本件発明1と甲1発明1とを対比すると、甲1発明1の「床を移動し」は本件発明1の「被処理面上を自走し」に相当し、以下同様に、「移動し」は「自走し」に、「取り付けられる」は「装着される」に、「タオル115」は「シート」に、「床」は「被処理面」に、「拭き取る」は「拭き処理する」に、「自律ロボットモップ100」は「表面処理装置」に、それぞれ相当する。したがって、甲1発明1の「床を移動し、取り付けられるタオル115が前記床を拭き取る自律ロボットモップ100であって」は、本件発明1の「被処理面上を自走し、装着されるシートが前記被処理面を拭き処理する表面処理装置であって」に相当する。 甲1発明1の「プラスチックシェル101及び底部プラスチックシェル110」は本件発明1の「本体部」に相当する。 甲1発明1の「床を走行する」は本件発明1の「被処理面上を走行する」に相当し、甲1発明1の「左駆動輪及び右駆動輪」は本件発明1の「車輪」に相当する。したがって、甲1発明1の「前記床を走行する左駆動輪及び右駆動輪」は、本件発明1の「前記被処理面上を走行する車輪」に相当する。 甲1発明1の「供給ロール116」は本件発明1の「第1保持部材」に相当する。したがって、甲1発明1の「前記タオル115が巻かれるとともに該タオル115の一端を保持する供給ロール116」は、本件発明1の「前記シートが巻かれるとともに該シートの一端を保持する第1保持部材」に相当する。 甲1発明1の「供給された」は本件発明1の「送出される」に相当し、以下同様に「巻き取る」は「巻かれて回収する」に、「巻き取りロール117」は「第2保持部材」に、それぞれ相当する。したがって、甲1発明1の「前記供給ロール116から供給された前記タオル115を巻き取るとともに該タオル115の他端を保持する巻き取りロール117」は、本件発明1の「前記第1保持部材から送出される前記シートが巻かれて回収するとともに該シートの他端を保持する第2保持部材」に相当する。 甲1発明1の「被吸収性緩衝パッド114」は本件発明1の「シート接触体」に相当する。また、甲1発明1において、非吸収性緩衝バッド114が「前記タオル115を床に押し付けている」ことは、被吸収性緩衝パッド114がタオル115の一面に接触して、該タオル115の他面を床に押し付けているといえるから、甲1発明1の「前記タオル115を床に押し付けている」ことは、本件発明1の「前記シートの一面に接触して該シートの他面を前記被処理面に接触させる」ことに相当する。したがって、甲1発明1の「前記供給ロール116と前記巻き取りロール117の間の前記タオル115を床に押し付けている非吸収性緩衝パッド114」と本件発明1の「前記第1保持部材と前記第2保持部材の間の前記シートの一面に接触して該シートの他面を前記被処理面に接触させるローラからなるシート接触体」とは、「前記第1保持部材と前記第2保持部材の間の前記シートの一面に接触して該シートの他面を前記被処理面に接触させるシート接触体」である限りで一致する。 甲1発明1の「前記左駆動輪及び前記右駆動輪をそれぞれ駆動する」は本件発明1の「前記車輪を回転させる」に相当し、甲1発明1の「左駆動モータアセンブリ107及び右駆動モータアセンブリ108」は本件発明1の「車輪用モータ」に相当する。したがって、甲1発明1の「前記左駆動輪及び前記右駆動輪をそれぞれ駆動する左駆動モータアセンブリ107及び右駆動モータアセンブリ108」は、本件発明1の「前記車輪を回転させる車輪用モータ」に相当する。 甲1発明1の「前記床に押し付けられている前記タオル115の部分」は本件発明1の「前記被処理面に接触している前記シートの接触部分」に相当し、以下同様に、「該床に押し付けられない位置」は「該被処理面に非接触になる位置」に、「タオル駆動モータ111」は「シート移動用モータ」にそれぞれ相当する。したがって、甲1発明1の「前記巻き取りロール117を回転させて前記床に押し付けられている前記タオル115の部分を該床に押し付けられない位置へ移動させるタオル駆動モータ111」は、本件発明1の「前記第2保持部材を回転させて前記被処理面に接触している前記シートの接触部分を該被処理面に非接触になる位置へ移動させるシート移動用モータ」に相当する。 甲1発明1の「カスタムコンピュータアセンブリ102」は本件発明1の「制御部」に相当する。 甲1発明1の「前記左駆動モータアセンブリ107及び前記右駆動モータアセンブリ108の制御」は、本件発明1の「前記車輪用モータの駆動の制御」に相当し、甲1発明1の「前記タオル駆動モータ111の制御」は、本件発明1の「前記シート移動用モータの駆動の制御」に相当する。 そうすると、本件発明1と甲1発明1とは次の一致点1で一致し、相違点1及び2の点で相違する。 ・一致点1 被処理面上を自走し、装着されるシートが前記被処理面を拭き処理する表面処理装置であって、 本体部を備え、該本体部は、 前記被処理面上を走行する車輪と、 前記シートが巻かれるとともに該シートの一端を保持する第1保持部材と、 前記第1保持部材から送出される前記シートが巻かれて回収するとともに該シートの他端を保持する第2保持部材と、 前記第1保持部材と前記第2保持部材の間の前記シートの一面に接触して該シートの他面を前記被処理面に接触させるシート接触体と、 前記車輪を回転させる車輪用モータと、 前記第2保持部材を回転させて前記被処理面に接触している前記シートの接触部分を該被処理面に非接触になる位置へ移動させるシート移動用モータと、 制御部と、を有し、 該制御部は、前記車輪用モータの駆動の制御と前記シート移動用モータの駆動の制御を行う、表面処理装置。 ・相違点1 シート接触体が、本件発明1では「ローラからなる」のに対し、甲1発明1では、非吸収性緩衝パッド114がローラからなるものとはされていない点。 ・相違点2 制御部が車輪用モータの駆動の制御とシート移動用モータの駆動の制御を行うことについて、本件発明1では、「前記本体部が前進移動する間に前記シートの移動と停止を繰り返させ、該本体部が前進移動状態から停止状態へと切り替わった後も、前記本体部が該前進移動状態の間に移動を開始した前記シートの移動を継続させると共に、前記シートが移動を完了して停止状態となるまでは前記本体部の前記停止状態を維持するように」制御を行うのに対し、甲1発明1では、「前記プラスチックシェル101及び底部プラスチックシェル110が移動すると、清拭される前記床の量に基づいて、前記タオル115を所定量前進させるように」制御を行う点。 (2)相違点についての判断 事案に鑑み、上記相違点2から検討する。 本件発明1は、「前記本体部が前進移動する間に前記シートの移動と停止を繰り返させ」るように制御を行うことに加え、「該本体部が前進移動状態から停止状態へと切り替わった後も、前記本体部が該前進移動状態の間に移動を開始した前記シートの移動を継続させると共に、前記シートが移動を完了して停止状態となるまでは前記本体部の前記停止状態を維持するように」制御を行うものである。これに対し、甲1には、プラスチックシェル101及び底部プラスチックシェル110が前進から停止へ切り替わった後のタオル115の前進と停止については記載も示唆もされておらず、相違点2は、実質的な相違点である。 よって、相違点1を検討するまでもなく、本件発明1は、甲1に記載された発明であるとはいえない。 次に、相違点2について容易想到であるか否か検討すると、上記のように甲1には、プラスチックシェル101及び底部プラスチックシェル110が前進から停止へ切り替わった場合のタオル115の前進と停止については記載も示唆もなく、また、ほかに、当該事項が、本件特許の優先日に公知または周知であったとする証拠もみあたらない。そして、本件発明1は、このように制御を行うことにより、「所定量の塵埃を捕捉している使用済みシート部分の未使用シート部分への置き換えを十分に行う」(本件特許明細書の【0038】)とともに、「長尺シート23の移動が完了する前に例えば後進移動を開始すると、塵埃を床面55上に残したままになる恐れが生じる」(本件特許明細書の【0038】)ところ、このような恐れが生じないようにするという甲1に記載された事項からは、得られない効果を奏するものである。 そうすると、当業者といえども、甲1発明1において、相違点2に係る本件発明1の発明特定事項を容易に想到し得たものとはいえず、相違点1を検討するまでもなく、本件発明1は、甲1発明1に基いて当業者が容易になし得たものとはいえない。 (3)本件発明2と甲1発明2との対比及び相違点についての判断 本件発明2と甲1発明2とを対比すると、本件発明1と甲1発明1との対比(上記(2))と同様に対比することができ、加えて、甲1発明2の「前記床に押し付けられる前の前記タオル115の床に押し付けられていない部分」は、本件発明2の「前記被処理面上に至る前の前記シートの前記被処理面に接触していない未接触部分」に相当し、甲2発明2の「前記床に押し付けられる位置」は、本件発明2の「前記被処理面に接触する位置」に相当する。したがって、甲1発明2の「前記巻き取りロール117を回転させて前記床に押し付けられる前の前記タオル115の床に押し付けられていない部分を前記床に押し付けられる位置へ移動させるタオル駆動モータ111」は、本件発明2の「前記第2保持部材を回転させて前記被処理面上に至る前の前記シートの前記被処理面に接触していない未接触部分を前記被処理面に接触する位置へ移動させるシート移動用モータ」に相当する。 そうすると、本件発明2と甲1発明2とは次の一致点2で一致し、相違点3及び4の点で相違する。 ・一致点2 被処理面上を自走し、装着されるシートが前記被処理面を拭き処理する表面処理装置であって、 本体部を備え、該本体部は、 前記被処理面上を走行する車輪と、 前記シートが巻かれるとともに該シートの一端を保持する第1保持部材と、 前記第1保持部材から送出される前記シートが巻かれて回収するとともに該シートの他端を保持する第2保持部材と、 前記第1保持部材と前記第2保持部材の間の前記シートの一面に接触して該シートの他面を前記被処理面に接触させるシート接触体と、 前記車輪を回転させる車輪用モータと、 前記第2保持部材を回転させて前記被処理面上に至る前の前記シートの前記被処理面に接触していない未接触部分を前記被処理面に接触する位置へ移動させるシート移動用モータと、 制御部と、を有し、 該制御部は、前記車輪用モータの駆動の制御と前記シート移動用モータの駆動の制御とを行う、ことを特徴とする表面処理装置。 ・相違点3 シート接触体が、本件発明2では「ローラからなる」のに対し、甲1発明2では、非吸収性緩衝パッド114がローラからなることが特定されていない点。 ・相違点4 制御部が車輪用モータの駆動の制御とシート移動用モータの駆動の制御を行うことについて、本件発明2では、「前記本体部が前進移動する間に前記シートの移動と停止を繰り返させ、該本体部が前進移動状態から停止状態へと切り替わった後も、前記本体部が該前進移動状態の間に移動を開始した前記シートの移動を継続させると共に、前記シートが移動を完了して停止状態となるまでは前記本体部の前記停止状態を維持するように」制御を行うのに対し、甲1発明2では、「前記プラスチックシェル101及び底部プラスチックシェル110が移動すると、清拭される前記床の量に基づいて、前記タオル115を所定量前進させるように」制御を行う点。 そして、この相違点4は、本件発明1と甲1発明1との相違点である相違点2と同様の相違点であり、相違点2が実質的な相違点であるのと同様の理由により、相違点4も実質的な相違点である。 よって、本件発明2は、甲1に記載された発明であるとはいえない。 さらに、甲1発明1において、相違点2に係る本件発明1の発明特定事項を得ることが当業者にとって容易でないとの同様に、甲1発明2において、相違点4に係る本件発明2の発明特定事項を得ることも当業者にとって容易になし得たものといえない。 そうすると、相違点3を検討するまでもなく、本件発明2は、甲1発明2に基いて当業者が容易になし得たものとはいえない。 (4)請求項3ないし5及び9の新規性及び進歩性について 請求項3ないし5は、請求項1または2の記載を引用する形式で記載され、これにより特定される本件発明3ないし5は、本件発明1または2の発明特定事項を全て具備し、これをさらに限定したものである。 そうすると、本件発明3ないし5は、少なくとも上記相違点2で甲1発明1と相違し、また、少なくとも上記相違点4で甲1発明2と相違する。 よって、本件発明3ないし5は、甲1に記載された発明であるとはいえない。また、上記(2)及び(3)に示すように上記相違点2及び4は、それぞれ甲1発明1及び甲1発明2において、当業者が容易になし得たものではないから、本件発明3ないし5は、甲1発明1又は甲1発明2に基づいて当業者が容易になし得たものとはいえない。 また、請求項9は、請求項1または2の記載を直接又は間接的に引用する形式で記載され、これにより特定される本件発明9は、本件発明1または2の表面処理装置に装着されることが特定されている。そして、本件発明1または2の表面処理装置が甲1に記載された発明であるとはいえないから、これに装着されるシートもまた、甲1に記載された発明であるとはいえず、本件発明1または2の表面処理装置が甲1に記載された発明に基づいて当業者が容易になし得たものといえないから、これに装着されるシートもまた、甲1に記載された発明に基いて当業者が容易になし得たものとはいえない。 よって、本件発明1ないし9は、甲1に記載された発明であるとはいえず、また甲1に記載された発明に基いて当業者が容易になし得たものともいえなないから、本件請求項1ないし9に係る特許を取消理由3及び取消理由4によって、取り消すことはできない。 5 本件発明6ないし8の取消理由4(進歩性)について 請求項6ないし8は、請求項1または2の記載を引用する形式で記載され、これにより特定される本件発明6ないし8は、本件発明1または2の発明特定事項を全て具備し、これをさらに限定したものである。 そうすると、本件発明6ないし8は、少なくとも上記相違点2で甲1発明1と相違し、相違点4で甲1発明2と相違する。 そして、この相違点2及び相違点4について容易想到であるか否か検討すると、本件異議申立ての進歩性についての証拠として提出された甲2((1)イ参照)及び甲3((1)ウ参照)をみても、「該本体部が前進移動状態から停止状態へと切り替わった後も、前記本体部が該前進移動状態の間に移動を開始した前記シートの移動を継続させると共に、前記シートが移動を完了して停止状態となるまでは前記本体部の前記停止状態を維持するように」制御を行うことは記載も示唆もされておらず、ほかに、本件特許の優先日に公知または周知であったとする証拠もみあたらない。 そうすると、甲1発明1及び甲1発明2において、相違点2及び相違点4に係る本件発明1の発明特定事項である「該本体部が前進移動状態から停止状態へと切り替わった後も、前記本体部が該前進移動状態の間に移動を開始した前記シートの移動を継続させると共に、前記シートが移動を完了して停止状態となるまでは前記本体部の前記停止状態を維持するように」制御を行うようにすることが当業者にとって、容易であるとはいえない。 したがって、相違点1及び3について検討するまでもなく、本件発明6ないし8は、甲1に記載された発明、甲2及び甲3に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明することができたものとはいえない。 よって、取消理由4により、本件発明6ないし8を取り消すことはできない。 第6 取消理由の対象としなかった異議申立て理由について 1 新規性について 本件異議申立ては、本件発明6及び7は、甲1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものであるという理由を含むものである。 これに対し、本件発明6及び7は、本件発明1または2の発明特定事項を全て具備し、これをさらに限定したものである。 そうすると、本件発明6及び7は、少なくとも上記相違点2で甲1発明1と相違し、また、少なくとも上記相違点4で甲1発明2と相違する。 よって、本件発明6及び7は、甲1に記載された発明であるとはいえないから、取消理由3によって、取り消すことはできない。 3 申立人の意見について 申立人は、特許異議申立書において、本件訂正前の請求項1ないし9に係る発明に対して、新規性(特許法第29条第1項)及び進歩性(特許法第29条第2項)を理由とする特許異議申立ての理由を主張するが、本件訂正がされた本件発明1ないし9がこれらの理由を有していないのは、上記第5に示すとおりであるから、申立人の主張は採用することができない。 第7 結論 以上のとおりであるから、取消理由通知書に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件請求項1ないし9に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に本件請求項1ないし9に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2022-700272

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