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特許異議申立

2025-700391

メタンガス生成装置及びメタンガス生成方法

審判番号
2025-700391
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2018-170680
登録番号
7563871
請求日
2025年04月07日
審決日
2025年09月09日
公報発行日
2025年10月31日
結論
維持
当事者
  • 【権利者】カナデビア株式会社
  • 【権利者代理人】平川 明
  • 【権利者代理人】関根 武彦
  • 【権利者代理人】今堀 克彦
  • 【異議申立人】田中 理紗
審判長/審判官
  • 審判長 齋藤 恵
  • 審判官 松元 麻紀子
  • 審判官 井上 典之
分類
P1651.121-Y (C07C) / P1651.537-Y (C07C)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第36条第6項第1号、特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第7563871号発明「メタンガス生成装置及びメタンガス生成方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7563871号の請求項1~5に係る特許を維持する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第7563871号(以下「本件特許」という。)に係る出願(特願2018-170680号)は、平成30年9月12日に出願され、令和6年9月30日に特許権の設定の登録がされ(請求項の数:5)、同年10月8日に特許掲載公報が発行された。 その後、令和7年4月7日に特許異議申立人 田中 理紗(以下「申立人」という。)により、本件特許の請求項1~5に係る特許に対して、特許異議の申立てがされた。 第2 本件発明 本件特許の請求項1~5に係る発明は、本件特許の願書に添付した特許請求の範囲の請求項1~5(以下「本件請求項1」等ということがある。)に記載された事項により特定される次のとおりのものである。以下、これらの発明を、請求項の番号順に「本件発明1」等といい、総称して「本件発明」ということがある。なお、「A:」等の記号を用いた本件発明の構成要件の分説は、申立人によるものを採用した。 「【請求項1】 A: メタネーション反応によってメタンガスを生成するメタンガス生成装置であって、 B: 二酸化炭素と水素とを含む反応物を発熱反応させ、メタンガスと水蒸気とを含む生成物であって前記反応物よりも温度の高く、未反応の反応物を含む第1の生成物を生成させる第1の反応部と、 C: 前記第1の反応部へ送られる前記反応物と前記第1の反応部から流出した前記第1の生成物とを熱交換させることにより、前記第1の反応部へ送られる前記反応物を予熱し、前記第1の反応部から流出した前記第1の生成物を冷却する、複数個直列に接続される熱交換器と、 D: 前記第1の生成物における前記未反応の反応物をさらに発熱反応させ、前記第1の生成物と比較してメタンガスの純度がより高い生成物である第2の生成物を生成させる第2の反応部と、 E: 前記第2の反応部へ送られる前記第1の生成物と前記第2の反応部から流出した前記第2の生成物とを熱交換させることにより、前記第2の反応部へ送られる前記第1の生成物を予熱し、前記第2の反応部から流出した前記第2の生成物を冷却する、追加熱交換器と、を備え、 F: 前記複数個直列に接続される熱交換器は、前記第1の反応部へ送られる前記反応物と前記第1の反応部から流出した前記第1の生成物の水蒸気とを熱交換させることにより、前記第1の反応部から流出した前記第1の生成物の水蒸気を凝縮可能な伝熱交換面積を有する、 G: メタンガス生成装置。 【請求項2】 H: 前記複数個直列に接続される熱交換器の夫々と前記追加熱交換器は、シェルアンドチューブ型熱交換器であり、 I: 前記反応物は、前記複数個直列に接続される熱交換器の夫々である前記シェルアンドチューブ型熱交換器のシェル部分を通過し、 J: 前記未反応の反応物を含む前記第1の生成物は、前記複数個直列に接続される熱交換器の夫々である前記シェルアンドチューブ型熱交換器のチューブ部分、及び、前記追加熱交換器である前記シェルアンドチューブ型熱交換器のシェル部分を通過し、 K: 前記第2の生成物は、前記追加熱交換器である前記シェルアンドチューブ型熱交換器のチューブ部分を通過する、 L: 請求項1に記載のメタンガス生成装置。 【請求項3】 M: 前記複数個直列に接続される熱交換器の夫々において凝縮させられた水分を排水する排水手段をさらに備える、 N: 請求項1または2に記載のメタンガス生成装置。 【請求項4】 O: 前記複数個直列に接続される熱交換器の合計の伝熱交換面は、水蒸気を水へと凝縮させる面積を有する、 P: 請求項1から3のいずれか一項に記載のメタンガス生成装置。 【請求項5】 Q: メタネーション反応によってメタンガスを生成するメタンガス生成方法であって、 R: 二酸化炭素と水素とを含む反応物を発熱反応させ、メタンガスと水蒸気とを含む生成物であって前記反応物よりも温度の高く、未反応の反応物を含む第1の生成物を生成させる第1の反応工程と、 S: 前記第1の反応工程へ送られる前記反応物と前記第1の反応工程において生成された前記第1の生成物とを熱交換させることにより、前記第1の反応工程へ送られる前記反応物を予熱し、前記第1の反応工程において生成された前記第1の生成物を冷却する第1の熱交換工程と、 T: 前記第1の生成物における前記未反応の反応物をさらに発熱反応させ、前記第1の生成物と比較してメタンガスの純度がより高い生成物である第2の生成物を生成させる第2の反応工程と、 U: 前記第2の反応工程へ送られる前記第1の生成物と前記第2の反応工程から流出した前記第2の生成物とを熱交換させることにより、前記第2の反応工程へ送られる前記第1の生成物を予熱し、前記第2の反応工程から流出した前記第2の生成物を冷却する、第2の熱交換工程と、を含み、 V: 前記第1の熱交換工程において、前記第1の反応工程へ送られる前記反応物と前記第1の反応工程において生成された前記第1の生成物の水蒸気とを熱交換させることにより、前記第1の反応工程において生成された前記第1の生成物の水蒸気を凝縮可能である、 W: メタンガス生成方法。」 第3 申立理由の概要及び証拠 申立人は、特許異議申立書(以下「申立書」という。)において、本件請求項1~5に係る特許を取り消すべき理由として、下記1に概要を示す(1)及び(2)の申立ての理由(以下「申立理由1」等という。)を主張するとともに、証拠方法として、下記2に示す甲第1~4号証(以下「甲1」などと略記することがある。)を提出している。 1 申立理由の概要 (1) 申立理由1(進歩性欠如) 本件発明1~5は、本件特許出願前に日本国内において頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲1に記載された発明、及び、本件特許出願前に日本国内において頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲2~4に記載された周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件請求項1~5に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。 (2) 申立理由2(サポート要件違反) 本件請求項1~2、4~5に係る特許は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、同法第113条第4号に該当し、取り消されるべきものである。 2 申立人が提出した証拠(証拠方法) 甲第1号証 中国特許出願公開第106565395号明細書 (2017年4月19日発行) 甲第2号証 尾花英朗著、『熱交換器設計ハンドブック』、工学図書株式 会社、昭和49年1月25日、59~61頁 甲第3号証 特開2016-61548号公報 甲第4号証 実願昭60-25531号(実開昭61-144374号)の マイクロフィルム 第4 当審の判断 当審合議体は、本件請求項1~5に係る特許は、上記第3に示した申立ての理由及び証拠によっては、取り消すことはできないものと判断する。その理由の詳細は以下のとおりである。 1 申立理由2(サポート要件違反)について 事案に鑑み、申立理由2から先に検討する。 なお、本件請求項3に係る特許については、申立理由2の対象とされていないが、本件請求項1~2、4~5に係る特許に対する申立理由2の判断に必要な範囲で言及する。 (1) サポート要件の判断の前提 特許請求の範囲の記載が、特許法第36条第6項第1号に規定する要件(いわゆる「サポート要件」)に適合するか否かは、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを対比し、特許請求の範囲に記載された発明が、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載又はその示唆により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否か、また、その記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否かを検討して判断すべきものである。 (2) 特許請求の範囲の記載 本件請求項1~5の記載は、上記第2に摘記したとおりである。 (3) 発明の詳細な説明の記載 本件特許の願書に添付した明細書(以下「本件明細書」という。)には、発明の詳細な説明として、以下の摘記事項を含む事項が記載されている(本件特許の願書に添付した図面の一部も併せて摘記する。)。なお、摘記中の下線は当審合議体が付したものであり、「・・・」は摘記の省略を示す。 ・摘記a 「【背景技術】 【0002】 地球温暖化の抑制のために、温室効果ガスである二酸化炭素を削減する取り組みが行われている。また、例えば、特許文献1-2では、二酸化炭素と水素とを反応させ、メタンガスを生成させるメタネーション反応に関する技術が開示されている。 ・・・ 【発明が解決しようとする課題】 【0004】 メタンガスを生成する場合、メタンガスの生成効率を向上させるためにメタネーション反応を促進させることが考えられる。メタネーション反応を促進させるためには反応物を予熱することが望ましい。しかしながら、反応物を予熱するためには、エネルギーを当然要することとなり、かえって温室効果ガスの削減効果が低下する虞が考えられる。 【0005】 また、メタネーション反応は、副生成物として水を生成する反応であるため、生成したメタンガスを有効に利用するためには副生成物である水分を、冷却などにより凝縮させ除去することが望ましいと考えられる。つまり、メタネーション反応によってメタンガスを生成する場合、メタンガスを冷却させるためのエネルギーも必要である。 【0006】 すなわち、メタネーション反応によってメタンガスを生成する場合、反応物の予熱やメタンガスの冷却を行うことが望ましいと考えられるが、そのためにはエネルギーが必要であり、温室効果ガスの削減効果が低下する虞が考えられる。また、反応物の予熱やメタンガスの冷却のための装置も必要であり、生成装置全体が大型化する虞も考えられる。 【0007】 そこで、本願は、メタンガスを効率良く生成するコンパクトなメタンガス生成装置及びメタンガス生成方法を提供することを課題とする。」 ・摘記b 「【課題を解決するための手段】 【0008】 上記課題を解決するため、本発明は、メタネーション反応をする反応物と、メタネーション反応により生成されるメタンガスとを熱交換させることとした。 【0009】 詳細には、本発明は、メタネーション反応によってメタンガスを生成するメタンガス生成装置であって、二酸化炭素と水素とを含む反応物を発熱反応させ、メタンガスと水蒸気とを含む生成物であって反応物よりも温度の高い生成物を生成させる反応部と、反応部へ送られる反応物と反応部から流出した生成物とを熱交換させることにより、反応部へ送られる反応物を予熱し、反応部から流出した生成物を冷却する熱交換器と、を備える、メタンガス生成装置である。 【0010】 このようなメタンガス生成装置であれば、メタネーション反応前の反応物は予熱される。よって、メタネーション反応は、促進される。 【0011】 また、生成物が冷却されることにより、生成物に含まれる水蒸気が凝縮されて分離される場合、生成物の飽和蒸気圧は低下する。すなわち、生成物の取り扱いは容易となる。 【0012】 また、生成物には、未反応の反応物が含まれる場合がある。そして、メタネーション反応は、可逆反応である。つまり、生成物に未反応の反応物が含まれる場合、生成物は、未反応の反応物と化学平衡状態の関係にある。ここで、生成物が冷却されることにより水蒸気が凝縮され、凝縮水が生成物から分離させられる場合、当該化学平衡状態が変化し、未反応の反応物から新たにメタンガスと水蒸気が生成される。すなわち、上記のようなメタンガス生成装置であれば、生成されるメタンガスの純度は高まることとなる。 【0013】 また、反応物と生成物とを熱交換させることにより、反応物の予熱とメタンガスの冷却は実現される。つまり、反応物の予熱、及びメタンガスの冷却を夫々別々に行っていないため、反応物の予熱、及びメタンガスの冷却に必要なエネルギーは節減される。よって、温室効果ガスの削減効果の低下は抑制され、メタンガスの生成効率は向上する。 ・・・ 【0016】 また、上記のようなメタンガス生成装置であれば、反応物の予熱及び生成物の冷却は、1つの熱交換器において行うことが可能である。この場合、反応物の予熱と生成物の冷却とを別々の熱交換器において行う場合と比べてメタンガス生成装置をコンパクトにすることができる。」 ・摘記c 「【0017】 ところで、熱交換器は、シェルアンドチューブ型熱交換器であり、反応物は、シェルアンドチューブ型熱交換器のシェル部分を通過し、生成物は、シェルアンドチューブ型熱交換器のチューブ部分を通過してもよい。 ・・・ 【0019】 ところで、熱交換器は、反応部へ送られる反応物と反応部から流出した生成物の水蒸気とを熱交換させることにより、反応部から流出した生成物の水蒸気を凝縮可能な伝熱交換面積を有してもよい。 【0020】 上記のようなメタンガス生成装置であれば、水蒸気の少なくとも一部は、水へと凝縮させられる。よって、水蒸気は、容易にメタンガスから分離させられる。・・・。つまり、生成物に未反応の反応物が含まれる場合、生成物は、未反応の反応物と化学平衡状態の関係にある。ここで、凝縮水が生成物から分離させられる場合、当該化学平衡状態が変化し、未反応の反応物から新たにメタンガスと水蒸気が生成される。すなわち、上記のようなメタンガス生成装置であれば、生成されるメタンガスの純度は高まることとなる。 【0021】 また、発生した凝縮水が排水される場合、生成物全体の熱容量は、低下することとなる。よって、メタンガスの冷却効率は向上する。よって、メタンガス生成装置をコンパクトにすることができる。 【0022】 ところで、熱交換器は、複数個直列に接続されてもよい。 ・・・ 【0024】 また、複数個直列に接続される熱交換器の夫々において凝縮させられた水分を排水する排水手段をさらに備えてもよい。 ・・・ 【0028】 また、複数個直列に接続される熱交換器の合計の伝熱交換面は、水蒸気を水へと凝縮させる面積を有してもよい。」 ・摘記d 「【0031】 また、本発明は、方法の側面から捉えることもできる。すなわち、例えば、メタネーション反応によってメタンガスを生成するメタンガス生成方法であって、二酸化炭素と水素とを含む反応物を発熱反応させ、メタンガスと水蒸気とを含む生成物であって反応物よりも温度の高い生成物を生成させる反応工程と、反応工程へ送られる反応物と反応工程において生成された生成物とを熱交換させることにより、反応工程へ送られる反応物を予熱し、反応工程において生成された生成物を冷却する熱交換工程と、を含む、メタンガス生成方法であってもよい。」 ・摘記e 「【発明の効果】 【0032】 上記のメタンガス生成装置及びメタンガス生成方法であれば、メタンガスを効率良く生成するコンパクトな装置を実現できる。」 ・摘記f 「【発明を実施するための形態】 【0034】 ・・・。以下に示す実施形態は、本発明の実施形態の一例であり、本発明の技術的範囲を以下の態様に限定するものではない。 【0035】 <装置構成> 図1は、本発明の実施形態にかかるメタンガス生成装置100の概要の一例を示している。図1に示されるメタンガス生成装置100は、気体状態の二酸化炭素ガスと水素ガスとを含む反応物の発熱反応によって、メタンガスと水蒸気とを含む生成物を生成させる。このような化学反応は、メタネーション反応と呼ばれる。また、上記の化学反応は可逆反応でもある。上記の化学反応式は、以下のように表される。 【0036】 4H2+CO2⇔CH4+2H2O (1) 【0037】 メタンガス生成装置100は、反応塔1A、1Bを備える。反応塔1Aと反応塔1Bとは、直列に接続される。また、反応塔1A、1Bは、夫々、反応器2A、2Bを備える。反応器2A、2Bの内部では、式(1)のメタネーション反応が行われる。ここで、反応器2A、2Bは、本発明の「反応部」の一例である。また、反応器2A、2Bには、メタネーション反応を促進させる触媒が充填されている。・・・。 【0038】 また、メタンガス生成装置100は、熱交換器3A、3Bを備える。熱交換器3A、3Bは、直列に設けられる。熱交換器3A、3Bは、反応塔1Aと連結される。ここで、熱交換器3A、3Bは、夫々本発明の「熱交換器」の一例であって、本発明の「複数個直列に接続される熱交換器」の一例でもある。また、熱交換器は2つに限らず何個でも直列に設けられてもよい。 【図1】 [図:0001427996000001.jpg] 」 ・摘記g 「【0039】 熱交換器3A、3Bの種類は、例えばシェルアンドチューブ型熱交換器である。・・・。もちろん、シェルアンドチューブ型以外の方式の熱交換器を使用してもよい。図2は、熱交換器3Aの概要の一例を示している。熱交換器3Aは、図2に示されるように、シェル部分の入口から出口へ向かって、互い違いに配置された内壁30を備える(熱交換器3Bも同様)。また、図2に示されるように、熱交換器3Aでは、反応器2Aへ送られる反応物がシェル部分を通過することとなる。また、熱交換器3Aのチューブ部分は、反応器2Aにおいて式(1)のメタネーション反応により生成された生成物(以下、第1の生成物という)であって、熱交換器3Bのチューブ部分を通過した第1の生成物が通過することとなる。ここで、第1の生成物には、メタンガス、水蒸気、及び未反応の反応物が含まれる。また、第1の生成物は、本発明の「生成物」の一例である。 【0040】 また、熱交換器3Bのシェル部分は、熱交換器3Aのシェル部分を通過し、反応器2Aへ送られる反応物が通過することとなる。また、熱交換器3Bのチューブ部分は、反応器2Aから流出した第1の生成物が通過することとなる。また、熱交換器3A、3Bの伝熱交換面積の合計は、第1の生成物に含まれる水蒸気を水へと凝縮させる値である。 【0041】 また、メタンガス生成装置100は、熱交換器3A、3Bのチューブ部分において、第1の生成物に含まれる水蒸気が凝縮して凝縮水が発生した場合に、発生した凝縮水を貯える凝縮水タンク4A、4Bを備える。・・・。また、メタンガス生成装置100は、熱交換器3Aのチューブ部分の出口の底部と、凝縮水タンク4Aとの間に、フロートタイプの排水弁5Aを備える。・・・。また、メタンガス生成装置100は、熱交換器3Bのチューブ部分の出口の底部と、凝縮水タンク4Bとの間に、フロートタイプの排水弁5Bを備える。ここで、凝縮水タンク4A、4B及び排水弁5A、5Bは、本発明の「排水手段」の一例である。 【図2】 [図:0001427996000002.jpg] 」 ・摘記h 「【0043】 また、メタンガス生成装置100は、熱交換器3Aと反応塔1Bとの間に熱交換器3Cを備える。熱交換器3Cは、例えばシェルアンドチューブ型熱交換器であり、・・・、熱交換器3Cでは、シェル部分に、熱交換器3Aのチューブ部分から流出した第1の生成物が流入する。そして、当該第1の生成物は、反応器2Bへ送られる。また、熱交換器3Cのチューブ部分には、反応器2Bにおいて第1の生成物に含まれる未反応の反応物が式(1)のメタネーション反応することにより生成された生成物(以下、第2の生成物という)が流入する。ここで、第2の生成物には、第1の生成物と、反応器2Bにおいて第1の生成物に含まれる未反応の反応物のメタネーション反応によって生成された生成物と、第1の生成物に含まれ、反応器2Bにおいて反応しなかった未反応の反応物と、を含む。・・・。」 ・摘記i 「【0052】 また、メタンガス生成装置100の反応塔1A、1Bは、反応器2A、2Bを囲むようにジャケット17A、17Bを夫々備える。・・・。ジャケット17A、17Bに熱媒油が流入することにより、反応器2A、2B内の物質と熱媒油とが熱交換させられ、反応器2A、2B内の物質の温度の変動は抑制される。・・・ ・・・ 【0059】 <生成フロー例> 次に、メタンガス生成装置100の動作によりメタンガスが生成されるフローの一例を説明する。・・・。ここで、ジャケット17A、17Bに流入する熱媒油の所望の温度とは、式(1)のメタネーション反応が進行することのできる温度のことであり、例えば200℃程度である。・・・。 【0060】 図3は、・・・、メタンガス生成装置100によりメタンガスが生成されるフローチャートの一例を示している。 【0061】 (ステップS101) ステップS101では、二酸化炭素ガスと水素ガスとを含む反応物が、熱交換器3Aのシェル部分に流入させられる。・・・。このように混合撹拌した反応物は、熱交換器3Aのシェル部分から流出し、熱交換器3Bのシェル部分へ流入する。そして上記の反応物は、同様にさらに混合撹拌し、反応器2Aへ流入する。 【0062】 (ステップS102) ステップS102では、反応器2Aにおいて、流入した反応物のメタネーション反応が進行する。メタネーション反応の進行により、生成物としてメタンガスが生成される。また、副生成物として水蒸気が生成される。・・・ 【0063】 また、メタネーション反応により生じた熱の一部は、メタンガスと水蒸気を含む生成物と、未反応の反応物とを含む第1の生成物にも吸収される。すなわち、第1の生成物の温度は、反応器2Aへ流入する反応物の温度よりも高い状態となっている。そして、それら第1の生成物は、メタネーション反応により生じた圧力によって反応器2Aから流出し、熱交換器3Bのチューブ部分へ流入する。 【0064】 (ステップS103) ・・・。熱交換器3Bのチューブ部分に流入した第1の生成物と、熱交換器3Bのシェル部分に流入した反応器2Aへ送られる前の反応物とが熱交換する。ここで、第1の生成物の温度は、反応器2Aへ送られる前の反応物の温度よりも高い状態となっている。よって、熱交換器3Bのシェル部分において、反応器2Aへ送られる前の反応物は、混合撹拌されつつも予熱されることとなる。 【0065】 一方、熱交換器3Bのチューブ部分を流れる第1の生成物は反応物と熱交換することにより冷却させられる。そして、第1の生成物に含まれる水蒸気が冷却させられて凝縮水が発生する場合、発生した凝縮水は熱交換器3Bのチューブ部分の出口の底部に溜まる。そして、熱交換器3Bのチューブ部分の出口の底部に溜まった凝縮水は、排水弁5Bが開けられることにより、凝縮水タンク4Bへ流入する。・・・。また、熱交換器3Bのチューブ部分を流れる第1の生成物は、冷却後に熱交換器3Aのチューブ部分へ流入する。 【0066】 (ステップS104) ステップS105では、・・・、熱交換器3Aにおいて、第1の生成物と、反応器2Aへ送られる前の反応物であって熱交換器3Bへ送られる前の反応物とが熱交換する。熱交換器3Aにおいて第1の生成物は、さらに冷却される。ここで、熱交換器3A、3Bの伝熱交換面積の合計は、チューブ部分を通過する生成物に含まれる水蒸気を水へと凝縮させる値である。・・・。そして、発生した凝縮水は熱交換器3Aのチューブ部分の出口の底部に溜まる。そして、熱交換器3Aのチューブ部分の出口の底部に溜まった凝縮水は、排水弁5Aが開けられることにより、凝縮水タンク4Aへ流入する。・・・。また、熱交換器3Aのシェル部分を通過する反応物は、反応物よりも温度の高い第1の生成物と熱交換するため、熱交換器3Bへ送られる前においても予熱されることとなる。 【0067】 (ステップS105) ステップS105では、熱交換器3Aのチューブ部分において冷却させられた第1の生成物が、熱交換器3Cのシェル部分へ流入する。・・・。その後、熱交換器3Cのシェル部分において混合撹拌された第1の生成物は、反応器2Bへ送られる。 【0068】 ここで、熱交換器3A、3Bの伝熱交換面積の合計は、チューブ部分を通過する生成物に含まれる水蒸気を水へと凝縮させる値であるため、熱交換器3A又は3Bにおいて水蒸気の一部は、凝縮水として分離させられている。・・・ 【0069】 (ステップS106) ステップS106では、反応器2Bへ流入した第1の生成物に含まれる未反応の反応物から、メタネーション反応によりメタンガスがさらに生成される。・・・ 【0070】 また、反応器2Bでは、生成物として新たにメタンガスが生成され、副生成物として水蒸気もさらに生成されることとなる。すなわち、反応器2Bには、第1の生成物と、反応器2Bにおいて新たに生成された生成物とを含む第2の生成物が存在することとなる。第2の生成物の温度は、発熱反応であるメタネーション反応により生じた熱の少なくとも一部を吸収し、反応器2Bへ流入する反応物(第1の生成物)の温度よりも高い状態となっている。そして、それら第2の生成物は、メタネーション反応により生じた圧力によって反応器2Bから流出し、熱交換器3Cのチューブ部分へ送られる。 ・・・ 【0072】 (ステップS107) ステップS107では、第1の生成物よりも温度の高い第2の生成物が熱交換器3Cのチューブ部分へ流入する。一方で、熱交換器3Cのシェル部分には、反応器2Bへ流入する前の第1の生成物が流入している。・・・。熱交換器3Cにおいて、第1の生成物と第2の生成物とが熱交換することにより、第1の生成物が予熱され、第2の生成物が冷却されることとなる。 【0073】 (ステップS108) ステップS108では、熱交換器3Cにおいて冷却された第2の生成物は、熱交換器3Dのシェル部分へ送られる。熱交換器3Dにおいては、第2の生成物は、チューブ部分を流れる冷却水によって、さらに冷却される。・・・。そして、熱交換器3Dのシェル部分の底部に溜まった凝縮水は、排水弁5Cが開けられることにより、凝縮水タンク4Cへ流入する。・・・。 【0074】 また、熱交換器3Dのシェル部分において冷却された第2の生成物には、・・・、水蒸気がほぼ含まれていない。また、第2の生成物に残存する未反応の反応物は、反応器2Bにおけるメタネーション反応によって、ほぼ無くなっている。よって、熱交換器3Dのシェル部分から流出したメタンガスは、製品ガスとして系外へ供給され得る。・・・ 【図3】 [図:0001427996000003.jpg] 」 ・摘記j「【0075】 <作用・効果> ・・・、熱交換器3A、3Bにおいて、反応器2Aに流入するメタネーション反応前の反応物は予熱される。また、熱交換器3Cにおいて、反応器2Bに流入する第1の生成物は予熱される。よって、反応器2A、2Bにおいてメタネーション反応は、促進される。 【0076】 また、反応器2Aにおいて生成されたメタンガスは、熱交換器3A、3Bにおいて冷却され、反応器2Bにおいて生成されたメタンガスは、熱交換器3C、3Dにおいて冷却される。そして、熱交換器3A、3B、3C、3Dにおいてメタンガスに含まれる水蒸気が凝縮されて排水される場合、メタンガスの飽和蒸気圧は低下する。すなわち、メタンガスの取り扱いは容易となる。 【0077】 また、熱交換器3A、3Bでは、反応器2Aにおいてメタネーション反応が行われる前の反応物と、メタネーション反応により生成されるメタンガスを含む第1の生成物とが熱交換することにより、反応物の予熱と第1の生成物の冷却が実現されている。また、熱交換器3Cでは、反応器2Bにおいてメタネーション反応が行われる前の反応物(第1の生成物に含まれる未反応の反応物)と、メタネーション反応により生成されるメタンガスを含む第2の生成物とが熱交換することにより、反応物の予熱と第2の生成物の冷却が実現されている。・・・。よって、上記のようなメタンガス生成装置100であれば、反応物の予熱、及びメタンガスの冷却のためのエネルギーを節減することができる。・・・。また、上記のようなメタンガス生成装置100であれば、反応物の予熱と生成物の冷却とを別々に行う場合に比べてメタンガス生成装置をコンパクトにすることができる。 ・・・ 【0082】 また、反応器2Aから流出した第1の生成物は、反応器2A内の圧力を受けて、夫々熱交換器3A、3Bのチューブ部分を通過し、反応器2Bから流出した第2の生成物は、反応器2B内の圧力を受けて、熱交換器3Cのチューブ部分を通過する。すなわち、第1の生成物及び第2の生成物が熱交換器3A、3B、3Cを通過するためのポンプや圧縮機などの圧送手段を新たに設けずに済む。すなわち、・・・、圧送に要する動力を節減でき、省エネルギー化は実現される。 【0083】 また、上記のようなメタンガス生成装置100であれば、熱交換器3A、3Bの伝熱交換面積の合計は、チューブ部分を通過する第1の生成物に含まれる水蒸気を水へと凝縮させる値である。よって、熱交換器3A、3Bにおいて、生成物に含まれる水蒸気の少なくとも一部は、水へと凝縮させられる。つまり、水蒸気は、容易にメタンガスから分離される。よって、メタンガスの純度を容易に高めることができる。 【0084】 ・・・、熱交換器3A、3Bを通過し、反応器2Bへ送られた第1の生成物は、それに含まれる未反応物の反応物がメタネーション反応することとなる。つまり、第1の生成物に含まれる未反応の反応物からメタンガスが再度生成されることとなる。すなわち、第1の生成物に含まれる未反応の反応物の割合が減り、第1の生成物に含まれるメタンガスの割合が増える。すなわち、上記のようなメタンガス生成装置100であれば、生成されるメタンガスの純度は高まることとなる。」 ・摘記k 「【0089】 <変形例1> 上記のメタンガス生成装置100では、熱交換器3A、3Bにおいて凝縮水が発生する場合、発生した凝縮水は、熱交換器3A、3Bから排水されている。しかし、熱交換器3A、3Bにおいて凝縮水が発生した場合であっても、発生した凝縮水は熱交換器3A、3Bから排水されなくともよい。メタンガス生成装置100Aは、熱交換器3A、3Bのチューブ部分の出口の底部と連通する凝縮水タンク4A、4B及び排水弁5A、5Bを備えていない点でメタンガス生成装置100と構成が異なる。」 【0090】 ここで、メタンガス生成装置100Aのように、凝縮水の排水手段を備えず、熱交換器を2台直列に並べる場合の反応物と生成物との熱交換効率について検証を行った。図4は、熱交換器を2つ直列に並べた場合(以下、(A)という)の、反応物の流量あたりの伝熱交換面積に対する、熱交換器から流出する反応物の温度と熱交換器へ流入する反応物の温度との差が例示されている。また、図4には、熱交換器を1つ設けた場合(以下、(B)という)の、反応物の流量あたりの伝熱交換面積に対する、熱交換器から流出する反応物の温度と熱交換器へ流入する反応物の温度との差も例示されている。 【0091】 また、図5は、(A)の構成の概要、及び(B)の構成の概要の一例を示している。図5に示されるように、(A)は、メタンガス生成装置100Aに設けられる熱交換器3A、3B、及び反応塔1Aから形成される。・・・ 【0092】 また、図4に示される、反応物の流量あたりの伝熱交換面積は、熱交換器3Aの伝熱交換面積と熱交換器3Bの伝熱交換面積との和である。また、図4に示される、熱交換器に流出入する反応物の温度差は、熱交換器3Bのシェル部分から流出する反応物の温度(T1A)から、熱交換器3Aのシェル部分へ流入する反応物の温度(T2A)を差し引いた値である。 【0093】 一方、(B)は、1つの熱交換器3Eおよび反応塔1Aから形成される。そして、熱交換器3Eのシェル部分にメタネーション反応前の反応物が流入する。そして、熱交換器3Eのチューブ部分にメタネーション反応後の生成物が流入する。また、図4に示される、反応物の流量あたりの伝熱交換面積は、熱交換器3Eの伝熱交換面積のことである。また、図4に示される、熱交換器に流出入する反応物の温度差は、熱交換器3Eのシェル部分から流出する反応物の温度(T1B)から、熱交換器3Eのシェル部分へ流入する前の反応物の温度(T2B)を差し引いた値である。 【0094】 図4に示されるように、(A)の場合は、反応物の流量あたりの熱交換器の伝熱交換面積に関わらず、(B)の場合よりも熱交換器に流出入する反応物の温度差は大きい結果となっている。すなわち、熱交換器を2台直列に並べる構成は、熱交換器が1台設けられる構成よりも熱交換効率が向上することが確認された。また、熱交換器を2台直列に並べる構成は、凝縮水を排水する排水手段を備えていなくとも熱交換効率が向上することが確認された。換言すれば、(A)の場合は、熱交換器を小型化し、熱交換器の熱交換面積を縮小した場合であっても、(B)の場合と同等の、反応物の予熱効果や生成物の冷却効果を得ることができると言える。よって、(A)の場合は、装置全体をコンパクトにすることができる。図4、図5の検証結果から、メタンガス生成装置100Aは、熱交換器3A、3Bを小型化することにより、熱交換器が1台の構成の場合よりもメタンガス生成装置全体をコンパクトにすることができると言える。さらに、メタンガス生成装置100Aは、装置全体をコンパクトにしつつも、熱交換器が1台の構成の場合と同等の熱交換効率を実現することができると言える。 【図4】 [図:0001427996000004.jpg] 【図5】 [図:0001427996000005.jpg] 」 ・摘記l 「【0107】 また、上記のようなメタンガス生成装置では、反応塔が2つ設けられているが、反応塔の個数は何個でもよい。・・・」 (4) 本件発明の課題 本件請求項1~5の記載、及び、上記(3)に摘記した本件明細書の発明の詳細な説明(特に、摘記a【0002】~【0007】)の記載によれば、従来、二酸化炭素と水素を反応させメタンガスを生成させるメタネーション反応においては、反応を促進するための反応物の予熱にも、副生成物である水分を凝縮して除去するためのメタンガスの冷却にも、エネルギーが必要であるため、温室効果ガスの削減効果が低下する虞があり、反応物の予熱及びメタンガスの冷却のための装置も必要であるため、生成装置全体が大型化する虞もあったところ、本件発明1~5が解決しようとする課題は、いずれも共通して、 「メタンガスを効率良く生成するコンパクトなメタンガス生成装置及びメタンガス生成方法を提供すること」 であると認められる。 (5) 課題を解決するための手段 上記(3)に摘記した本件明細書の発明の詳細な説明の記載事項について、上記(4)で認定した本件発明の課題の解決に関係する事項を、本件発明の構成要件も考慮して検討すると、次のことが認められる。 ア 反応物と生成物との熱交換 摘記b~dには、「課題を解決するための手段」についての説明が記載されており、上記の課題を解決するために、メタネーション反応をする反応物と、メタネーション反応により生成されるメタンガスとを、熱交換させることとした旨が記載されている(摘記b【0008】)。 詳細には、メタネーション反応によってメタンガスを生成するメタンガス生成装置において、二酸化炭素と水素を含む反応物を発熱反応させ、メタンガスと水蒸気を含み、反応物よりも温度の高い生成物を生成させる、反応部と、反応部へ送られる反応物と反応部から流出した生成物とを熱交換させることにより、反応部へ送られる反応物を予熱し、反応部から流出した生成物を冷却する熱交換器と、を備えるメタンガス生成装置としたことが記載され(摘記b【0009】)、反応物が予熱されることにより、メタネーション反応が促進され(摘記b【0010】)、また、生成物が冷却されることにより、生成物に含まれる水蒸気が凝縮されて分離される場合には、生成物の飽和蒸気圧が低下し、生成物の取り扱いが容易となること(摘記b【0011】)、が記載されている。 また、可逆反応であるメタネーション反応においては、未反応の反応物を含む生成物は、反応物と化学平衡状態の関係にあり、生成物の冷却によって水蒸気が凝縮され、凝縮水が生成物から分離される場合には、化学平衡状態が変化し、未反応の反応物から新たにメタンガスと水蒸気が生成され、生成されるメタンガスの純度が高まり(摘記b【0012】)、反応物と生成物との熱交換により、反応物の予熱とメタンガスの冷却が実現され、これらを夫々別々に行わないため、反応物の予熱とメタンガスの冷却に必要なエネルギーが節減され、温室効果ガスの削減効果の低下は抑制され、メタンガスの生成効率が向上すること(摘記b【0013】)、反応物の予熱と生成物の冷却を1つの熱交換器で行うことが可能であるから、メタンガス生成装置をコンパクトにすることができること(摘記b【0016】)、が記載されている。 そして、摘記d【0031】には、上記メタンガス生成装置を方法の側面から捉えた、「反応部」における工程に対応する「反応工程」と、「熱交換器」における工程に対応する「熱交換工程」と、を含む、「メタンガス生成方法」についての説明も記載されている。 イ 反応物と生成物との熱交換による課題の解決 上記アに示した本件明細書の発明の詳細な説明の記載によれば、メタネーション反応によってメタンガスを生成するメタンガス生成装置及びメタンガス生成方法において、反応物(二酸化炭素及び水素)と、生成物(メタンガス及び水蒸気)とを、熱交換させる、という手段を採用することにより、反応物の予熱と生成物の冷却を夫々別々に行う場合に必要なエネルギーが節減され、メタンガスの生成効率を向上させるとともに、反応物の予熱と反応物の冷却を1つの熱交換器で行うコンパクトなメタンガス生成装置とすることが可能となり、上記(4)で認定した本件発明の課題を解決できること(摘記e【0032】)、を当業者は理解し得るといえる。 (6) 本件発明1について ア 構成要件A~Gが発明の詳細な説明に記載されていること 上記(3)に摘記した本件明細書の発明の詳細な説明の記載事項において、「メタネーション反応によってメタンガスを生成するメタンガス生成装置」の説明が記載されており、当該装置は、 「二酸化炭素と水素とを含む反応物を発熱反応させ、メタンガスと水蒸気とを含む生成物であって反応物よりも温度の高い生成物を生成させる反応部」 と、 「反応部へ送られる反応物と反応部から流出した生成物とを熱交換させることにより、反応部へ送られる反応物を予熱し、反応部から流出した生成物を冷却する熱交換器」 と、を備えることが記載されており(摘記b【0009】、摘記f【0035】)、実施形態の一例として図1に概要が示された「メタンガス生成装置100」について、概略、次の(ア)~(カ)の事項が記載されている。 (ア) メタネーション反応と呼ばれる、二酸化炭素ガスと水素ガスとを含む反応物の発熱反応により、メタンガスと水蒸気とを含む生成物を生成させるものであり、直列に接続された反応塔1A及び1Bは、それぞれが「反応部」の一例である反応器2A及び2Bを備えており、それら内部でメタネーション反応が行われること(摘記f【0035】~【0037】) (イ) 「複数個直列に接続される熱交換器」の一例である、直列に設けられた熱交換器3A及び3Bを備えていること(摘記f【0038】) (ウ) 熱交換器3A及び3Bの種類は、例えばシェルアンドチューブ型熱交換器であり、熱交換器3Aのシェル部分を、反応器2Aへ送られる反応物が通過し、熱交換器3Aのチューブ部分を、反応器2Aにおいて生成されて熱交換器3Bのチューブ部分を通過した生成物(第1の生成物)が通過し、この第1の生成物には、メタンガス、水蒸気及び未反応の反応物が含まれていること(摘記g【0039】) (エ) 熱交換器3Bのシェル部分を、熱交換器3Aのシェル部分を通過した後に反応器2Aへ送られる反応物が通過し、熱交換器3Bのチューブ部分を、反応器2Aから流出した第1の生成物が通過し、熱交換器3A及び3Bの伝熱交換面積の合計は、第1の生成物に含まれる水蒸気を水へと凝縮させる値であること(摘記g【0040】) (オ) さらに、熱交換器3Aと反応塔1Bとの間に備えられた熱交換器3Cは、例えばシェルアンドチューブ型熱交換器であり、熱交換器3Cのシェル部分に、熱交換器3Aのチューブ部分から流出した第1の生成物が流入し、当該第1の生成物は反応器2Bへ送られ、熱交換器3Cのチューブ部分に、反応器2Bにおいて第1の生成物に含まれる未反応の反応物がメタネーション反応することにより生成された生成物(第2の生成物)が流入し、この第2の生成物には、第1の生成物、反応器2Bにおいて第1の生成物に含まれていた未反応の反応物のメタネーション反応によって生成された生成物、及び、反応器2Bにおいて反応しなかった未反応の反応物、が含まれること(摘記h【0043】) (カ) 熱交換器3A及び3Bを通過し、反応器2Bへ送られた、第1の生成物に含まれる未反応物の反応物から、メタネーション反応により、メタンガスが再度生成され、第1の生成物に含まれる未反応の反応物の割合が減り、第1の生成物に含まれるメタンガスの割合が増え、生成されるメタンガスの純度が高まること(摘記j【0084】)、すなわち、反応器2Bで生成される第2の生成物は、第1の生成物と比較してメタンガスの純度がより高い生成物であること 上記の発明の詳細な説明に記載された「メタンガス生成装置100」における「反応器2A」、「反応器2B」、「熱交換器3A及び3B」及び「熱交換器3C」は、本件発明1の「メタンガス生成装置」における「第1の反応器」、「第2の反応器」、「複数個直列に接続される熱交換器」及び「追加熱交換器」に、それぞれ対応するものといえるから、当該「メタンガス生成装置100」は、本件発明1の「メタンガス生成装置」の構成要件A~Gを全て備えたものであると認められる。 イ 本件発明1が課題を解決できると認識できる範囲のものであること 上記(5)イで説示したとおり、本件明細書の発明の詳細な説明の記載によれば、メタネーション反応によってメタンガスを生成するメタンガス生成装置において、反応物(二酸化炭素及び水素)と、生成物(メタンガス及び水蒸気)とを、熱交換させ、反応物を予熱し、生成物を冷却する、という手段を採用することによって、上記(4)で認定した本件発明の課題を解決できると、当業者は理解し得るといえる。 そうすると、本件発明1の「メタンガス生成装置」は、構成要件Cの「複数個直列に接続される熱交換器」において、「第1の反応部へ送られる反応物(二酸化炭素と水素とを含む)」と、「第1の反応部から流出した第1の生成物(メタンガスと水蒸気とを含む)」とを、「熱交換」させることにより、第1の反応部へ送られる反応物を予熱し、第1の反応部から流出した第1の生成物を冷却するものであるから、上記(4)で認定した本件発明の課題を解決できると、当業者が認識できる範囲のものである。 ウ 小括 したがって、本件発明1は、発明の詳細な説明に記載された発明で、本件明細書の発明の詳細な説明の記載又はその示唆により、当業者がその課題を解決できると認識できる範囲のものであるから、本件請求項1の記載は、特許を受けようとする発明が発明の詳細な説明に記載したものであり、特許法第36条第6項第1号に規定する要件に適合するものである。 (7) 本件発明2について 本件発明2は、本件発明1の「メタンガス生成装置」において(構成要件L)、 ・複数個直列に接続される熱交換器の夫々と追加熱交換器が、シェルアンドチューブ型熱交換器であること(構成要件H)、 ・反応物が、複数個直列に接続される熱交換器の夫々であるシェルアンドチューブ型熱交換器のシェル部分を通過すること(構成要件I) ・未反応の反応物を含む第1の生成物が、複数個直列に接続される熱交換器の夫々であるシェルアンドチューブ型熱交換器のチューブ部分、及び、追加熱交換器であるシェルアンドチューブ型熱交換器のシェル部分を通過すること(構成要件J) ・第2の生成物が、追加熱交換器であるシェルアンドチューブ型熱交換器のチューブ部分を通過すること(構成要件K)、 を特定したものである。 上記(6)アにて認定した事項(特に、(ウ)~(オ))によれば、本件明細書の発明の詳細な説明に記載された「メタンガス生成装置100」は、本件発明2の「メタンガス生成装置」の構成要件H~Lも全て備えたものであると認められる。 そして、上記(6)イで述べたのと同様の理由により、本件発明2は、発明の詳細な説明に記載された発明で、本件明細書の発明の詳細な説明の記載又はその示唆により、当業者がその課題を解決できると認識できる範囲のものであるから、本件請求項2の記載は、特許を受けようとする発明が発明の詳細な説明に記載したものであり、特許法第36条第6項第1号に規定する要件に適合するものである。 (8) 本件発明4について 本件発明4は、本件発明1~3のいずれかの「メタンガス生成装置」において(構成要件P)、 ・複数個直列に接続される熱交換器の合計の伝熱交換面が、水蒸気を水へと凝縮させる面積を有すること(構成要件O)、 を特定したものである。 上記(6)アにて認定した事項(特に、(エ))によれば、本件明細書の発明の詳細な説明に記載された「メタンガス生成装置100」は、本件発明4の「メタンガス生成装置」の構成要件Oも備えたものであると認められる。 そして、上記(6)イで述べたのと同様の理由により、本件発明4は、発明の詳細な説明に記載された発明で、本件明細書の発明の詳細な説明の記載又はその示唆により、当業者がその課題を解決できると認識できる範囲のものであるから、本件請求項4の記載は、特許を受けようとする発明が発明の詳細な説明に記載したものであり、特許法第36条第6項第1号に規定する要件に適合するものである。 (9) 本件発明5について 本件発明5の「メタンガス生成方法」は、本件発明1の「メタンガス生成装置」を、方法の側面から特定したものといえ、本件発明5における「第1の反応工程」、「第2反応工程」及び「第2の熱交換工程」は、本件発明1の「メタンガス生成装置」における「第1の反応器」、「第2の反応器」及び「追加熱交換器」で行われる工程に、それぞれ対応するものであり、本件発明5における「第1の熱交換工程」は、「複数個直列に接続」に対応する構成の特定はされていないものの、本件発明1の「複数個直列に接続される熱交換器」で行われる工程に対応するものであり、本件発明5の「メタンガス生成方法」における構成要件Q~Wは、本件発明1の「メタンガス生成装置」における構成要件A~Gに、それぞれ順に対応するものといえる。 そうすると、上記(6)アにて認定した事項によれば、本件明細書の発明の詳細な説明に記載された「メタンガス生成装置100」のそれぞれの構成要素における工程は、本件発明5の「メタンガス生成方法」における各工程に対応するものといえるから、当該「メタンガス生成装置100」によるメタンガス生成方法は、本件発明5の「メタンガス生成方法」の構成要件Q~Wを全て備えたものであると認められる。 そして、上記(6)イで述べたのと同様の理由により、本件発明5は、発明の詳細な説明に記載された発明で、本件明細書の発明の詳細な説明の記載又はその示唆により、当業者がその課題を解決できると認識できる範囲のものであるから、本件請求項5の記載は、特許を受けようとする発明が発明の詳細な説明に記載したものであり、特許法第36条第6項第1号に規定する要件に適合するものである。 (10) 申立人の主張について 申立人は、本件発明1~2、4~5は、本件発明3で特定される「凝縮させられた水分を排水する排水手段」を備えていないため、凝縮された水蒸気が熱交換器内に溜まり、熱交換器として機能しない場合も含むことになるから、発明の詳細な説明において「発明の課題が解決できることを当業者が認識できるように記載された範囲」を超えている旨を主張している(申立書の22~23頁)。 しかしながら、上記(5)イで説示したとおり、本件明細書の発明の詳細な説明の記載によれば、メタネーション反応によってメタンガスを生成するメタンガス生成装置において、反応物(二酸化炭素及び水素)と、生成物(メタン及び水蒸気)とを、熱交換させ、反応物を予熱し、生成物を冷却する、という手段を採用することにより、上記(4)で認定した本件発明の課題を解決できると、当業者は理解し得るといえるところ、本件明細書の発明の詳細な説明においては、例えば、 ・「生成物が冷却されることにより、生成物に含まれる水蒸気が凝縮されて分離される場合、・・・。」(摘記b【0011】)、 ・「生成物が冷却されることにより水蒸気が凝縮され、凝縮水が生成物から分離させられる場合、・・・。」(摘記b【0012】)、 ・「よって、水蒸気は、容易にメタンガスから分離させられる。」(摘記c【0020】) と記載されているように、生成物の冷却により水蒸気が凝縮され分離されることは説明されているが、分離された凝縮水を排水することは必須とされているわけではなく、例えば、 ・「また、発生した凝縮水が排水される場合、生成物全体の熱容量は、低下することとなる。」(摘記c【0020】)、 ・「また、複数個直列に接続される熱交換器の夫々において凝縮させられた水分を排水する排水手段をさらに備えてもよい。」(摘記c【0024】) と記載されているように、凝縮水の排水については、任意の付加的な事項とされている。 さらに、本件明細書の発明の詳細な説明(摘記k)には、メタンガス生成装置100について、「熱交換器3A、3Bにおいて凝縮水が発生した場合であっても、発生した凝縮水は熱交換器3A、3Bから排水されなくともよい。」と記載され(【0089】)、「変形例1」とされる「メタンガス生成装置100A」では、「熱交換器3A、3Bのチューブ部分の出口の底部と連通する凝縮水タンク4A、4B及び排水弁5A、5Bを備えていない」とされており(【0089】)、凝縮水の排水手段を備えない場合の反応物と生成物との熱交換効率について検証を行った試験結果も具体的に記載されている(【0090】~【0094】)。 そうすると、本件発明1~2、4~5については、熱交換器が「凝縮させられた水分を排水する排水手段」を備えていなくても、凝縮された水蒸気が熱交換器内に溜まり、熱交換器として機能しないとはいえず、発明の詳細な説明において発明の課題が解決できることを当業者が認識できるように記載された範囲を超えているとはいえない。 したがって、申立人の上記主張は採用できない。 (11) 申立理由2(サポート要件違反)についてのまとめ 以上のとおり、本件発明1~2、4~5は、発明の詳細な説明に記載された発明で、本件明細書の発明の詳細な説明の記載又はその示唆により、当業者がそれらの発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるから、本件請求項1~2、4~5の記載は、特許を受けようとする発明が発明の詳細な説明に記載したものである。 よって、本件請求項1~2、4~5に係る特許は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものとはいえず、同法第113条第4号に該当しないから、申立理由2によって取り消されるべきものではない。 2 申立理由1(進歩性欠如)について (1) 甲号証の記載事項 上記第3の2に列記した申立人が提出した甲1~4について、申立理由1の判断に必要な範囲で記載事項を以下に摘記する。なお、下線は当審合議体が付したものであり、「・・・」は摘記の省略を示す。 ア 甲1の記載事項 甲1には、以下の事項が記載されている(原文は中国語で記載されているため、当審合議体による訳文にて摘記する。)。 ・摘記1a 「技術分野 [0001] 本発明は、化学工業方法及び装置に関し、より具体的にはメタネーション方法に関する。」 ・摘記1b 「図1 [図:0001427996000006.jpg] 」 ・摘記1c 「権利要求書 1.メタネーション方法であって、その特徴は、原料を1#メタン反応器(R1)に送って1次メタン化反応を行い、得られた1次反応生成物に第2原料ガスを補充した後、順次、2#メタン反応器(R2)に送って2次メタン化反応を行い、3#メタン反応器(R3)に送って3次メタン化反応を行うもので; 3次メタン化反応生成物を第1回気液分離し、得られた気相を4#メタン反応器(R4)に送って4次メタン化反応を行い、4次メタン化反応生成物の熱量を回収した後に、第2回気液分離し、液相を分離した後に、天然ガスを得るものであり; 原料は第1原料ガスと水蒸気を含み、第1原料ガスと第2原料ガスの組成は同じであり、CO2、CO及びH2を含み; 1#メタン反応器の入口原料における各成分の比率(H2O+CO2)/(CO+H2)=0.7~1.3であり; 第1原料ガスと入口原料ガスの体積比を0.2~1:1に制御し; 1#メタン反応器及び2#メタン反応器の入口反応温度を250~320℃に、出口温度を500~700℃に制御し; 3#メタン反応器と4#メタン反応器の入口温度を240~280℃に、出口温度を250~450℃に制御する。 2.原料ガスが、熱交換後に第1原料ガスと第2原料ガスとに分離され、第1原料ガスが飽和温水塔(T1)に送られ、水蒸気が第1原料ガスに添加されて原料が得られることを特徴とする、請求項1に記載のメタネーション方法。 3.第1回気液分離が、直列に接続された第1気液分離器(D1)と第2気液分離器(D2)を備え、第1気液分離器(D1)と第2気液分離器(D2)の間に少なくとも1つの熱交換器が直列に接続されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載のメタネーション方法。」 ・摘記1d 「背景技術 [0002] 現在、商業運転又は長期パイロット運転を実現している、合成ガスからメタンを生成する主な方法には、・・・メタネーション技術、・・・メタネーション技術(TREMPTM)及び・・・メタネーション技術(CRG)の3つがある。これら3つの技術は、いずれも方法が主メタネーションと精製メタネーションの2つの部分に分割される。主メタネーション反応における過熱を抑制するために、いずれの技術も循環ガス圧縮機を使用している。循環ガス圧縮機は、反応後の合成ガスを、循環ループを介して入口に戻すことにより、原料ガス中のCO濃度を低減し、反応温度を制御する。循環ガス圧縮機の設置は、エネルギー消費量、床面積及び装置の運転コストを増加させる。また、温度制御手段は複雑で、複数の装置が、高温・高圧などの極端な運転条件下で運転される。運転条件及び供給成分の変動は、反応中の過熱を容易に引き起こす可能性がある。」 ・摘記1e 「発明内容 [0003] 本発明が解決しようとする技術問題は、既存技術の現状に対して、循環圧縮機を使用せずに反応温度を正確に制御できるメタネーション方法を提供することである。これにより、投資及び占有面積を節約し、エネルギー消費を削減し、装置の長期間安定運転を実現することを目的とする。」 ・摘記1f 「[0004] 本発明が上記技術的問題を解決するために採用した技術手段は、次のとおりであり:メタネーション方法であって、その特徴は、原料を1#メタン反応器に送って1次メタン化反応を行い、得られた1次反応生成物に第2原料ガスを補充した後、順次、2#メタン反応器に送って2次メタン化反応を行い、3#メタン反応器に送って3次メタン化反応を行うもので; [0005] 3次メタン化反応生成物を第1回気液分離し、得られた気相を4#メタン反応器(R4)に送って4次メタン化反応を行い、4次メタン化反応生成物の熱量を回収した後に、第2回気液分離し、液相を分離した後に、天然ガスを得るものであり; [0006] 原料は第1原料ガスと水蒸気を含み、第1原料ガスと第2原料ガスの組成は同じであり、CO2、CO及びH2を含み; [0007] 1#メタン反応器の入口の原料における各成分の比率(H2O+CO2)/(CO+H2)=0.7~1.3であり; [0008] 第1原料ガスと入口原料ガスの体積比を0.2~1:1に制御し; [0009] 1#メタン反応器及び2#メタン反応器の入口反応温度を250~320℃に、出口温度を500~700℃に制御し; [0010] 3#メタン反応器及び4#メタン反応器の入口温度を240~280℃に、出口温度を250~450℃に制御する。 [0011] 好ましくは、原料ガスが、熱交換後に第1原料ガスと第2原料ガスとに分離され、第1原料ガスが飽和温水塔T1に送られ、水蒸気が第1原料ガスに添加されて原料が得られる。 [0012] 改良として、第1回気液分離が、直列に接続された第1気液分離器D1と第2気液分離器D2を備え、第1気液分離器D1と第2気液分離器D2の間に少なくとも1つの熱交換器が直列に接続されている。」 ・摘記1g 「[0013] 既存技術と比較して、本発明が提供するメタネーション方法は、循環圧縮機を使用せずに、各メタン反応器内の反応温度を効果的に制御し、反応の過温を完全に回避し、設備投資を削減し、占有面積を減少させ、エネルギー回収率を向上させ、プロセスフロー及びシステム制御を簡素化し、省エネ効果が良く、経済的利益が良好である。」 ・摘記1h 「図面の説明 [0014] 図1は本発明の実施例の概略図である。 具体的な実施方式 [0015] 以下、添付の図面の実施例を参照して、本発明をさらに詳細に説明する。 [0016] 図1に示すように、このメタネーション方法は次のとおりである: [0017] 脱硫後の新鮮な原料ガスは、温度が30℃、圧力が3.17MpaG、COの含有量が17.14%、H2の含有量が56.87%、CO2の含有量が25.55%、流量が30648kmol/hで; これが順次、第9熱交換器E9及び第6熱交換器E6に送られ、255℃まで熱交換された後に、体積比65:35の第1原料ガスと第2原料ガスに分割される。 [0018] そのうちの第1原料ガスは、飽和熱水塔の底部に入り、そこで加湿されて水蒸気が補充され; 飽和熱水塔の頂部から出てくる原料中の(H2O+CO2)/(CO+H2)=1.12(体積比)である。 [0019] 飽和熱水塔の塔底液の一部は、1#ポンプP1で抽出されて、第1気液分離器D1からの高温プロセス凝縮液と混合され、第8熱交換器E8で230℃まで熱交換された後に、塔頂から飽和熱水塔に戻される。 [0020] 飽和加湿後の原料は、第3熱交換器E3を経由して、300℃まで熱交換された後に、1#メタン反応器R1に送られ、1#メタン反応器R1の出口で、温度650℃の1次反応生成物が得られる。 [0021] 1次反応生成物は、順次、第1熱交換器E1、第2熱交換器E2、第3熱交換器E3に送られて熱交換され、第2原料ガスと混合されて、第4熱交換器E4で310℃まで熱交換された後、2#メタン反応器R2で2#メタン化反応を行い、2#メタン反応器R2の出口で、温度590℃の2次反応生成物が得られる。 [0022] 2次反応生成物は、順次、第5熱交換器E5及び第6熱交換器E6に送られ、熱量が回収され、250℃まで熱交換された後、3#メタン反応器R3に送られ、3次メタン化反応を行い、温度400℃の3次反応生成物が得られ、これを第4熱交換器E4に送って熱交換した後に、2つの流れに分割する; 第1の流れと第2の流れの体積比は78:22である。 [0023] そのうちの第2の流れは、第7熱交換器E7で超高圧ボイラー水を加熱し、第1の流れは、第8熱交換器E8でプロセス凝縮液を加熱し、熱量を回収した後に、温度を160℃に下げ、ともに第1気液分離器D1に送られて気液分離が行われる; 分離された凝縮液は、2#ポンプP2で抽出され、飽和熱水塔の塔底液と並流した後、第8熱交換器E8に送られ; 分離された気相は、順次、第9熱交換器E9、第10熱交換器E10、第11熱交換器E11に送られて熱交換された後、第2気液分離器D2に送られる。 [0024] 分離された気相は、第12熱交換器E12に送られて250℃まで熱交換された後、第4メタン反応器R4で4次メタン化反応が行われ、得られた4次反応生成物は、第12熱交換器E12に送られ、気相と熱交換された後に送出され、第13熱交換器E13を経由して熱量が回収された後に、第3気液分離器D3に送られて液相が分離され、天然ガスが得られる。」 イ 甲2の記載事項 甲2には、次の事項が記載されている。 ・摘記2a 「 [図:0001427996000007.jpg] 」 (59頁) ・摘記2b 「 [図:0001427996000008.jpg] [図:0001427996000009.jpg] 」 (61頁) ウ 甲3の記載事項 甲3には、以下の事項が記載されている。 ・摘記3a 「【0010】 本発明によって提供される液化天然ガス気化システムは、液化天然ガスを液体熱媒で加熱して気化させる気化器と、上記気化器において気化した天然ガスを燃料としてアスファルト用骨材を加熱乾燥させる乾燥炉と、上記乾燥炉から排出される排ガスを上記液体熱媒の加熱に用いるための熱交換器と、上記熱交換器と上記気化器との間で上記液体熱媒を循環させるための熱媒ラインと、を備えている。 ・・・ 【0013】 好ましくは、上記熱交換器は、容器状の胴体と、上記胴体の内部に設けられる伝熱管と、を備え、上記胴体の下部には、上記排ガス中の水蒸気の凝縮水を排出するためのドレンラインが設けられている。」 ・摘記3b 「【0035】 胴体41は、流体収熔室415、416および流体収容室417を有する。また、胴体41の適所には、熱媒ライン63、64、排ガスライン71、73、およびドレンライン74が接続されている。 ・・・ 【0037】 流体収容室416は、仕切板412と胴体41の下部とによって囲われた領域であり、各伝熱管42の下端と連通している。また、胴体41の下端には排ガスライン72およびドレンライン74が接続されている。排ガスライン72およびドレンライン74の各々の端部は、流体収容室416に通じている。・・・」 ・摘記3c 「【0043】 伝熱管42を通過する排ガスは、当該排ガス中に含まれる水分が凝縮し、その凝縮水は胴体41の下部のドレンラン74から外部に排出される。排ガスの露点が80℃である場合、排ガス中の水蒸気の一部が凝縮し、このとき放出される凝縮熱が液体熱媒との熱交換に費やされ、排ガスライン73に排出されるガスの温度は例えば約79℃になる。・・・。 ・・・ 【0045】 本実施形態においては、熱交換器4の伝熱管42の内部に乾燥炉3からの排ガスを導入し、伝熱管42の外側(流体収容室417)に液体熱媒を流して排熱回収を行う。具体的には80℃の排ガスを35℃の液体熱媒で冷却すると、排ガスの露点が80℃であれば凝縮熱を液体熱媒に与えながら、ドレン水をドレンライン74から放出する。・・・」 ・摘記3d 「【図3】 [図:0001427996000010.jpg] 」 エ 甲4の記載事項 甲4には、以下の事項が記載されている。 ・摘記4a 「 考案が解決しようとする問題点 この考案は、気体通路の中間室下流の下部に、ドレンパイプを有するタンクを通じて内燃機関の吸気口に接続する管路を設けることにより、熱交換器内に滞留する凝縮水を除去できる熱交換器を提供するものである。」 (5頁1~6行;合議体注:項目名の下線は原文のとおり。) ・摘記4b 「第1図に示される通り、この考案の熱交換器には、中間室18の下流の下部特に出口19の収縮室19bと中間室18との連結部21aに排水管22が接続される。排水管22は、内部ハウジング11か ら熱交換室12、外部ハウジング10を通り、タンク23の上部に接続される。タンク23は、下部にドレンパイプ24が設けられると共に、内部に仕切板25が固定される。仕切板25は、タンク23のほぼ中央でその内壁上部に固着され、仕切板25の下方には通路26が形成される。タンク23の内部は、仕切板25によって排水管22に連絡する消音室27と、供給管28に連絡する分離室29とに分割される。供給管28は、エアクリーナ30を通じて内燃機関31の吸気口(図示せず)に接続される。」 (5頁12行~6頁6行) ・摘記4c 「この考案による熱交換器の作動時には、熱交換器内の気体通路16は、高温排気ガスのため、大気圧に対し高圧に維持される。しかしこの高圧は、内燃機関の回転に封応して脈動する振動圧力として表われる。一方、供給管28は、内燃機関31の吸気口に接続されるため大気圧に対し低圧となる。このような状況の下で、150℃~200℃の高温排気ガスが熱交換器内を通過すると、その内壁に凝縮水が付着し、この凝縮水は、触煤体20の下流で気体通路16の下方へ流れ、排気ガスと共に排水管22内に流入する。排水管22内の凝縮水は、・・・、タンク23内に流入し高速度で緋気ガスと共に仕切壁25に衝突する。タンク23は、外部に対し密閉されており、小径のドレンパイプ24のみ外気に開放しているので、排気ガスの脈動音及び仕切壁25ヘの衝突音は、充分に減衰される。消音室27に流入した排気ガスは、通路26、分離室29及び供給管28を通り、エアクリーナ30を通じて内燃機関31の吸気口に送られ、排気ガス浄化のため再燃焼される。」 (6頁7行~7頁7行) ・摘記4d 「 [図:0001427996000011.jpg] 」 (第1図) (2) 甲1に記載された発明 甲1には、反応時の過熱を抑制するために循環ガス圧縮機を用いる従来のメタネーション方法において、エネルギー消費量、床面積、装置運転コストの増加、温度制御手段の複雑さ等の問題があったところ(摘記1d)、循環圧縮機を使用せずに反応温度を正確に制御できる、投資及び占有面積を節約して、エネルギー消費を削減し、装置の長期間安定運転を実現するメタネーション方法について記載されており(摘記1a及び1e)、当該課題を解決する手段として、権利要求書の1項~3項のメタネーション方法が記載され(摘記1c、1f~1g)、当該方法の具体例としての図1を概略図とする実施例に基づいた詳細な説明が記載されている(摘記1b及び1h)。 甲1に記載された実施例のメタネーション方法を、本件発明の構成要件に照らして整理すると、甲1には、次のメタネーション方法の発明(以下「甲1方法発明」という。)が記載されていると認められ、当該方法の発明に対応する次のメタネーション装置の発明(以下「甲1装置発明」という。)も記載されていると認められる。なお、「q:」等の記号を用いた構成要件の分説については、申立人によるものを一部採用した。 ≪甲1方法発明≫ 「q: メタネーション方法であって、 r: 第9熱交換器E9及び第6熱交換器E6により30℃から255℃まで順次加熱したCO2とCOとH2とを含む原料ガスを分割した第1原料ガスに、飽和熱水塔T1で飽和加湿させて水蒸気を補充し、第3熱交換器E3で300℃まで加熱した原料((H2O+CO2)/(CO+H2)=1.12(体積比))を、1#メタン反応器R1において1次メタン化反応させて、650℃の1次メタン化反応生成物を得る、1次メタン化反応工程と、 s: 前記1次メタン化反応工程へ送られる前記原料と、前記1次メタン化反応工程で得られた前記650℃の1次メタン化反応生成物であって、第1熱交換器E1及び第2熱交換器E2で順次熱交換された、前記1次メタン化反応生成物とを、第3熱交換器E3で熱交換させることにより、前記1次メタン化反応工程へ送られる前記原料を300℃まで加熱し、前記1次メタン化工程で得られた前記650℃の1次メタン化反応生成物を、第1熱交換器E1及び第2熱交換器E2で順次熱交換した後に冷却する、第3熱交換器E3での熱交換工程と、 t1: 前記第3熱交換器E3での熱交換工程の後に、前記255℃まで加熱した原料ガスを分割した第2原料ガスと混合され、第4熱交換器E4で310℃まで加熱された、前記1次メタン化反応生成物を、2#メタン反応器R2において2次メタン化反応させて、590℃の2次メタン化反応生成物を得る、2次メタン化反応工程と、 t2: 前記590℃の2次メタン化反応生成物を、第5熱交換器E5及び第6熱交換器E6で250℃まで冷却し、3#メタン反応器R3において3次メタン化反応させて、400℃の3次メタン化反応生成物を得る、3次メタン化反応工程と、 u: 前記2次メタン化反応工程へ送られる、前記255℃の第2原料ガスと混合された、前記第3熱交換器E3で熱交換工程を経た前記1次メタン化反応生成物と、前記3次メタン化反応工程で得られた前記400℃の3次メタン化反応生成物とを、熱交換させることにより、前記2次メタン化反応工程へ送られる、前記255℃の第2原料ガスと混合された、前記第3熱交換器E3での熱交換工程を経た前記1次メタン化反応生成物を310℃まで加熱し、前記3次メタン化反応生成物を冷却する、第4熱交換器E4での熱交換工程と、 x: 前記第4熱交換器E4での熱交換工程の後に、前記3次メタン化反応生成物を、第1気液分離器D1に送って気液分離し、分離された気相を、順次、第9熱交換器E9、第10熱交換器E10及び第11熱交換器E11に送り、熱交換した後、第2気液分離器D2に送って気液分離する、第1回気液分離工程と、 y: 前記第1回気相分離工程で分離された気相を、第12熱交換器E12に送り、250℃まで加熱した後に、4#メタン反応器R4において4次メタン化反応させて、4次メタン化反応生成物を得る、4次メタン化反応工程と、 z: 前記4次メタン化反応工程で得られた前記4次メタン化反応生成物を、第12熱交換器E12に送って冷却し、第13熱交換器E13で熱量を回収した後、第3気液分離器D3に送って液相を分離し、天然ガスを得る、第2回気液分離工程と、を含む、 w: メタネーション方法。」 ≪甲1装置発明≫ 「a: メタネーション装置であって、 b1: CO2とCOとH2とを含む30℃の原料ガスを、255℃まで、順次加熱する、第9熱交換器E9及び第6熱交換器E6と、 b2: 前記255℃まで加熱された原料ガスを分割した第1原料ガスを飽和加湿させて水蒸気を補充し、(H2O+CO2)/(CO+H2)=1.12(体積比)の原料とする、飽和熱水塔T1と、 b3: 300℃まで加熱された、前記水蒸気を補充された原料を、1次メタン化反応させて、650℃の1次メタン化反応生成物を得る、1#メタン反応器R1と、 c1: 前記1#メタン反応器R1で得られた、前記650℃の1次メタン化反応生成物を、順次熱交換する、第1熱交換器E1及び第2熱交換器E2と、 c2: 前記1#メタン反応器R1へ送られる前記原料と、前記第1熱交換器及び前記第2熱交換器で順次熱交換された前記1次メタン化反応生成物とを、熱交換させることにより、前記1#メタン反応器R1へ送られる前記原料を300℃まで加熱し、前記1#メタン反応器R1で得られた前記650℃の1次メタン化反応生成物を、第1熱交換器E1及び第2熱交換器E2で順次熱交換した後に冷却する、第3熱交換器E3と、 d1: 前記第3熱交換器E3での加熱の後に、前記255℃まで加熱された原料ガスを分割した第2原料ガスと混合され、310℃まで加熱された前記第1反応生成物を、2次メタン化反応させて、590℃の2次メタン化反応生成物を得る、2#メタン反応器R2と、 d2: 前記590℃の2次メタン化反応生成物を、250℃まで、順次冷却する、第5熱交換器及び第6熱交換器と、 d3: 前記250℃まで順次冷却された2次メタン化反応生成物を、3次メタン化反応させて、400℃の3次メタン化反応生成物を得る、3#メタン反応器R3と、 e: 前記2#メタン反応器R2へ送られる、前記255℃の第2原料ガスと混合された、前記第3熱交換器E3で冷却された前記1次メタン化反応生成物と、前記3次メタン化反応工程で得られた前記400℃の3次メタン化反応生成物とを、熱交換させることにより、前記2次メタン化反応工程へ送られる、前記255℃の第2原料ガスと混合された、前記第3熱交換器E3で冷却された前記1次メタン化反応生成物を、310℃まで加熱し、前記3次メタン化反応生成物を冷却する、第4熱交換器E4と、 h1: 前記第4熱交換器E4での冷却の後に、前記3次メタン化反応生成物を、気液分離する、第1気液分離器D1と、 h2: 前記第1気液分離器D1で分離された気相を、順次熱交換する、第9熱交換器E9、第10熱交換器E10及び第11熱交換器E11と、 h3: 前記第9熱交換器E9、前記第10熱交換器E10及び第11熱交換器E11で順次熱交換された前記気相を、気液分離する、第2気液分離器D2と、 i: 250℃まで加熱された、前記第2気液分離器D2で分離された気相を、4次メタン化反応させて、4次メタン化反応生成物を得る、4#メタン反応器R4と、 j1: 前記4#メタン反応器R4へ送られる、前記第2気液分離器D2で分離された気相と、前記4#メタン反応器R4で得られた前記4次メタン化反応生成物とを、熱交換させることにより、前記4#メタン反応器R4へ送られる前記気相を250℃まで加熱し、前記4#メタン反応器R4で得られた前記4次メタン化反応生成物を冷却する、第12熱交換器E12と、 j2: 第12熱交換器E12で冷却された前記4次メタン化反応生成物の熱量を回収する、第13熱交換器E13と、 k: 前記第13熱交換器E13で熱量を回収された、前記4次メタン化反応生成物から、液相を分離し、天然ガスを得る、第3気液分離器D3と、を備える、 g: メタネーション装置。」 (3) 本件発明5について 事案に鑑み、まず本件発明5から検討する。 ア 本件発明5と甲1方法発明との対比 本件発明5と甲1方法発明とを対比する。 (ア) 甲1には、合成ガスからメタンを生成する方法としてメタネーション技術が記載されており(摘記1d)、本件明細書にも、背景技術として、二酸化炭素と水素とを反応させ、メタンガスを生成させる、メタネーション反応の説明が記載されているから(摘記a【0002】)、甲1方法発明における構成要件q及び同構成要件wの「メタネーション方法」は、本件発明5における構成要件Qの「メタネーション反応によってメタンガスを生成するメタンガス生成方法」及び同構成要件Wの「メタンガス生成方法」に相当する。 (イ) 本件発明5の構成要件Rにおいて、「反応物」は、「二酸化炭素」と「水素」以外の成分を含むことを排除していないし、各成分の組成比も特定されておらず、反応の前に行われる処理の有無や内容も特定されていないから、甲1方法発明の構成要件rにおける「第9熱交換器E9及び第6熱交換器E6により30℃から255℃まで順次加熱したCO2とCOとH2とを含む原料ガスを分割した第1原料ガスを、飽和熱水塔T1で飽和加湿させて水蒸気を補充し、第3熱交換器E3で300℃まで加熱した原料((H2O+CO2)/(CO+H2)=1.12(体積比))」は、本件発明5の構成要件Rにおける「二酸化炭素と水素とを含む反応物」に相当する。 そして、メタネーション反応が発熱反応であり可逆反応あることは明らかであって、甲1方法発明の構成要件rにおける「1次メタン化反応」では、「300℃」まで加熱された上記「原料」から、それよりも温度の高い「650℃」の「1次メタン化反応生成物」が得られており、当該生成物には、原料中の未反応の成分も含まれていると解されるから、甲1方法発明の構成要件rの「1次メタン化反応工程」は、本件発明5の構成要件Rの「第1の反応工程」に相当する。 (ウ) 本件発明5の構成要件Sにおいて、「前記第1の反応工程へ送られる前記反応物」及び「前記第1の反応工程において生成された前記第1の生成物」は、いずれも「第1の熱交換工程」の前に行われる処理の有無や内容が特定されていないから、甲1方法発明の構成要件sにおける「前記1次メタン化反応工程へ送られる前記原料」及び「前記1次メタン化反応工程で得られた前記650℃の1次メタン化反応生成物であって、第1熱交換器E1及び第2熱交換器E2で順次熱交換された、前記1次メタン化反応生成物」は、それぞれ、本件発明5の構成要件Sにおける「前記第1の反応工程へ送られる前記反応物」及び「前記第1の反応工程において生成された前記第1の生成物」に相当する。 そして、甲1方法発明の構成要件sにおいて、「第3熱交換器E3」での「熱交換」により、「前記1次メタン化反応工程へ送られる前記原料」は、「300℃」まで加熱されるから、「予熱」されているといえ、「前記1次メタン化反応工程で得られた前記650℃の1次メタン化反応生成物であって、第1熱交換器及び第2熱交換器で順次熱交換された、前記1次メタン化反応生成物」は、「冷却」されている。 そうすると、甲1方法発明の構成要件sの「第3熱交換器E3での熱交換工程」は、本件発明5の構成要件Sの「第1の熱交換工程」に相当する。 (エ) 本件明細書には、「反応塔の個数は何個でもよい」と記載されていることから(摘記l【0107】)、本件発明5における「第2の反応工程」は、2以上の反応塔(反応部)での連続した反応工程も包含するといえるので、上記(ア)~(ウ)で説示したことも踏まえると、甲1方法発明の構成要件t1における「前記第3熱交換器E3での熱交換工程の後に、前記255℃まで加熱した原料ガスを分割した第2原料ガスと混合され、第4熱交換器E4で310℃まで加熱された、前記1次メタン化反応生成物」、及び、同構成要件t2における「前記590℃の2次メタン化反応生成物」には、いずれも本件発明5の構成要件Tにおける「前記第1の生成物における前記未反応の反応物」に相当する成分が含まれていると解され、甲1方法発明の構成要件t1における「590℃の2次メタン化反応生成物」及び同構成要件t2における「400℃の3次メタン化反応生成物」は、「1次メタン化反応生成物」と比較してメタンガスの純度がより高い組成物であるか不明である点を除いて、いずれも本件発明5の構成要件Tにおける「第2の生成物」に相当し、甲1方法発明の構成要件t1の「2次メタン化反応工程」及び同構成要件t2の「2次メタン化反応工程」は、いずれも本件発明5の構成要件Tの「第2の反応工程」に相当する。 (オ) 上記(ア)~(エ)で説示したことも踏まえると、甲1方法発明の構成要件uにおける「前記2次メタン化反応工程へ送られる、前記255℃の第2原料ガスと混合された、前記第3熱交換器E3で熱交換工程を経た前記1次メタン化反応生成物」及び「前記3次メタン化反応工程で得られた前記400℃の3次メタン化反応生成物」は、それぞれ、本件発明5の構成要件Uにおける「前記第2の反応工程へ送られる前記第1の生成物」及び「前記第2の反応工程から流出した前記第2の生成物」に相当する。 そして、甲1方法発明の構成要件uにおいて、「第4熱交換器E4」での「熱交換」により、「前記2次メタン化反応工程」へ送られる「前記1次メタン化反応生成物」は、「310℃」まで加熱されるから、「予熱」されているといえ、「前記3次メタン化反応工程で得られた前記400℃の3次メタン化反応生成物」は、「冷却」されている。 そうすると、甲1方法発明の構成要件uの「第4熱交換器E4での熱交換工程」は、本件発明5の構成要件Uの「第2の熱交換工程」に相当する。 (カ) 本件発明5においては、特定されている工程以外の工程を含むことは特に排除されていないから、甲1方法発明が、構成要件x~zの各工程を含んでいることのみでは、両者の間の相違点とならない。 (キ) そうすると、本件発明5と甲1方法発明の間には、次の一致点及び相違点があるものと認められる。 <一致点> 「Q: メタネーション反応によってメタンガスを生成するメタンガス生成方法であって、 R: 二酸化炭素と水素とを含む反応物を発熱反応させ、メタンガスと水蒸気とを含む生成物であって前記反応物よりも温度の高く、未反応の反応物を含む第1の生成物を生成させる第1の反応工程と、 S: 前記第1の反応工程へ送られる前記反応物と前記第1の反応工程において生成された前記第1の生成物とを熱交換させることにより、前記第1の反応工程へ送られる前記反応物を予熱し、前記第1の反応工程において生成された前記第1の生成物を冷却する第1の熱交換工程と、 T’: 前記第1の生成物における前記未反応の反応物をさらに発熱反応させ、第2の生成物を生成させる第2の反応工程と、 U: 前記第2の反応工程へ送られる前記第1の生成物と前記第2の反応工程から流出した前記第2の生成物とを熱交換させることにより、前記第2の反応工程へ送られる前記第1の生成物を予熱し、前記第2の反応工程から流出した前記第2の生成物を冷却する、第2の熱交換工程と、を含む、 W: メタンガス生成方法。」 <相違点1> 本件発明5では、構成要件Vとして、 「前記第1の熱交換工程において、前記第1の反応工程へ送られる前記反応物と前記第1の反応工程において生成された前記第1の生成物の水蒸気とを熱交換させることにより、前記第1の反応工程において生成された前記第1の生成物の水蒸気を凝縮可能である」 ことを特定しているのに対して、甲1方法発明では、そのような特定をしておらず、本件発明5における構成要件Uの「第2の熱交換工程」で冷却された「第2の生成物」に相当する、甲1方法発明における構成要件uの「第4熱交換器E4での熱交換工程」で冷却された「3次メタン化反応生成物」について、構成要件xにおける「第1気液分離器D1」及び「第2気液分離器D2」での気液分離を行った後に、構成要件yの「4次メタン化反応工程」を経て、構成要件zにおける「第3気液分離器D3」での気液分離を行う、としている点。 <相違点2> 本件発明5では、構成要件Tにおいて、「第2の反応工程」で生成される「第2の生成物」が「第1の生成物」と比較して「メタンガスの純度がより高い生成物」であることを特定しているのに対して、甲1方法発明では、構成要件t1における「590℃の2次メタン化反応生成物」及び構成要件t2における「400℃の3次メタン化反応生成物」は、「1次メタン化反応生成物」と比較して「メタンガスの純度がより高い組成物」であるか不明である点。 イ 相違点についての判断 相違点1について検討する。 甲1は、循環圧縮機を使用せずに反応温度を正確に制御できる、投資及び占有面積を節約して、エネルギー消費を削減し、装置の長期間安定運転を実現するメタネーション方法の提供を課題とするものであり(摘記1a及び1e)、甲1方法発明は、当該課題を解決する手段の一部として、構成要件xにおける「第1気液分離器D1」及び「第2気液分離器D2」での「第1回気液分離工程」、並びに、構成要件zにおける「第3気液分離器D3」での「第2回気液分離工程」を採用したものであると認められる。 そして、上記のとおり、甲1は循環圧縮機を使用せずに反応温度を正確に制御できることを課題の一部とするもので、甲1方法発明においては、複数のメタン化反応工程及び複数の熱交換工程のそれぞれにおいて、正確な温度の制御が行われており、構成要件sの「第3熱交換器E3での熱交換工程」においては、既に255℃まで加熱された「第1原料ガス」を飽和加湿させた「原料ガス」が、さらに300℃まで加熱され、当該「原料ガス」によって、「1次メタン化反応工程」で得られた「650℃の1次メタン化反応生成物」であり「第1熱交換器E1及び第2熱交換器E2で順次熱交換」された後の「1次メタン化反応生成物」が冷却されているところ、当該「1次メタン化反応生成物」の「水蒸気」を「凝縮可能」とするまでの構成に変更した場合には、「第3熱交換器E3での熱交換工程」における温度の制御のみならず、その前後の複数の工程における温度の制御にも影響が生じてしまうものと推定される。 そうすると、凝縮水を含む液相を分離する気液分離器D1~D3を用いた気液分離工程が既に存在している、甲1方法発明において、構成要件sの「第3熱交換器E3での熱交換工程」について、敢えて、上記の「1次メタン化反応生成物」の「水蒸気」を「凝縮可能」とするという構成、すなわち、相違点1に係る構成、を当業者が採用することの動機付けがあるとはいえない。 また、甲2~甲4の記載事項を含めた本件特許の出願時の技術常識を考慮しても、甲1方法発明において、相違点1に係る構成を敢えて採用する根拠は見いだせない ウ 小括 したがって、相違点2について検討するまでもなく、本件発明5は、甲1に記載された発明、甲1~甲4に記載された技術的事項、及び、本件特許の出願時の技術常識に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 (4) 本件発明1について ア 本件発明1と甲1装置発明との対比 上記1(9)で説示したとおり、本件発明5の「メタンガス生成方法」は、本件発明1の「メタンガス生成装置」を、方法の側面から特定したものといえ、本件発明5における「第1の反応工程」、「第2反応工程」及び「第2の熱交換工程」は、本件発明1の「メタンガス生成装置」における「第1の反応器」、「第2の反応器」及び「追加熱交換器」で行われる工程に、それぞれ対応しており、本件発明5における「第1の熱交換工程」は、「複数個直列に接続」に対応する構成の特定はされていないが、本件発明1の「複数個直列に接続される熱交換器」で行われる工程に対応しており、本件発明5の「メタンガス生成方法」における構成要件Q~Wは、本件発明1の「メタンガス生成装置」における構成要件A~Gに、それぞれ順に対応するものといえる。 一方、上記(2)で説示したように、甲1装置発明は、甲1方法発明に対応するものである。 そこで、上記(3)アの本件発明5と甲1方法発明との対比結果も踏まえて本件発明1と甲1装置発明とを対比すると、両者の間には、次の一致点及び相違点があるものと認められる。 <一致点> 「A: メタネーション反応によってメタンガスを生成するメタンガス生成装置であって、 B: 二酸化炭素と水素とを含む反応物を発熱反応させ、メタンガスと水蒸気とを含む生成物であって前記反応物よりも温度の高く、未反応の反応物を含む第1の生成物を生成させる第1の反応部と、 C: 前記第1の反応部へ送られる前記反応物と前記第1の反応部から流出した前記第1の生成物とを熱交換させることにより、前記第1の反応部へ送られる前記反応物を予熱し、前記第1の反応部から流出した前記第1の生成物を冷却する、複数個直列に接続される熱交換器と、 D’: 前記第1の生成物における前記未反応の反応物をさらに発熱反応させ、第2の生成物を生成させる第2の反応部と、 E: 前記第2の反応部へ送られる前記第1の生成物と前記第2の反応部から流出した前記第2の生成物とを熱交換させることにより、前記第2の反応部へ送られる前記第1の生成物を予熱し、前記第2の反応部から流出した前記第2の生成物を冷却する、追加熱交換器と、を備える、 G: メタンガス生成装置。」 <相違点3> 本件発明1では、構成要件Fとして、 「前記複数個直列に接続される熱交換器は、前記第1の反応部へ送られる前記反応物と前記第1の反応部から流出した前記第1の生成物の水蒸気とを熱交換させることにより、前記第1の反応部から流出した前記第1の生成物の水蒸気を凝縮可能な伝熱交換面積を有する」 ことを特定しているのに対して、甲1装置発明では、そのような特定をしておらず、本件発明1における構成要件Eの「追加熱交換器」により冷却された「第2の生成物」に相当する、甲1装置発明における構成要件eの「第4熱交換器E4」により冷却された「3次メタン化反応生成物」について、構成要件h1及びh3における「第1気液分離器D1」及び「第2気液分離器D2」での気液分離を行い、かつ、構成要件kにおける「4次メタン化反応生成物」の「第3気液分離器D3」での気液分離を行う、としている点。 <相違点4> 本件発明1では、構成要件Dにおいて、「第2の反応工程」で生成される「第2の生成物」が「第1の生成物」と比較して「メタンガスの純度がより高い生成物」であることを特定しているのに対して、甲1装置発明では、構成要件d1における「590℃の2次メタン化反応生成物」及び同構成要件d3における「400℃の3次メタン化反応生成物」は、「1次メタン化反応生成物」と比較して「メタンガスの純度がより高い組成物」であるか不明である点。 <相違点5> 本件発明1では、構成要件Cにおいて「熱交換器」が「複数個直列に接続される」ことを特定しているのに対し、甲1装置発明では、そのような特定をしていない点。 イ 相違点についての判断 相違点3について検討する。 相違点3は、本件発明1において、上記(3)アで認定した本件発明5と甲1方法発明との相違点1に係る工程を行うために設けられた構成に対応するものであるから、上記(3)イで述べたのと同様の理由により、甲1装置発明において、相違点3に係る構成を採用することは、当業者にとって動機付けがあるとはいえず、甲2~甲4の記載事項を含めた本件特許の出願時の技術常識を考慮しても、甲1装置発明において、相違点3に係る構成を敢えて採用する根拠は見いだせない。 ウ 小括 したがって、相違点4~5について検討するまでもなく、本件発明1は、甲1に記載された発明、甲1~甲4に記載された技術的事項、及び、本件特許の出願時の技術常識に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 (5) 本件発明2~4について 本件発明2~4の「メタンガス生成装置」は、本件発明1の「メタンガス生成装置」の構成を、さらに限定したものであるから、上記(3)で説示したのと同様の理由により、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 (6) 申立人の主張について 申立人は、申立書の17頁の「ウ 相違点2について」の項目において、上記(3)ア及び(4)アで認定した相違点1及び3に相当する、本件発明1と甲1に記載された発明(甲1発明1)との間の相違点2について、次のように主張している。 「熱交換器において,凝縮水を排水する排水管を設けることは技術常識である。ここで,甲1発明1では,凝縮水を排水するために別途第一気液分離器D1を設けている。そうすると,甲1発明1の目的は,設備投資を削減し,占有面積を減少させることであるから,甲1発明1の熱交換器に技術常識を適用して凝縮水を排水する排水管を設けることに格別の困難性は存在しない。そして,熱交換器に凝縮水を排水する排水管を設けるということは,すなわち,熱交換器が水蒸気を凝縮可能な伝熱交換面積を有することであるから,甲1発明1において相違点2からなる構成とすることは,当業者であれば容易に想到し得たことである。」 しかし、甲1方法発明及び甲1装置発明において、それぞれ相違点1及び相違点3に係る構成を採用することは、甲2~甲4の記載事項を含めた本件特許の出願時の技術常識を考慮しても、当業者にとって動機付けがあるとはいえず、当該構成を敢えて採用する根拠を見いだせないことは、上記(3)~(5)で詳述したとおりであるから、申立人の上記主張は採用できない。 (7) 申立理由1(進歩性欠如)についてのまとめ 以上のとおり、本件発明1~5は、甲1に記載された発明、甲1~甲4に記載された技術的事項、及び、本件特許の出願時の技術常識に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 よって、本件請求項1~5に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものとはいえず、同法第113条第2号に該当しないから、申立理由1によって取り消されるべきものではない。 第5 むすび 以上のとおりであるから、申立人による特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、本件請求項1~5に係る特許を取り消すことはできない。 また、そのほかに本件請求項1~5に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2025-700391

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