特許異議申立
2025-700042
印画物製造システム及び印画物製造方法
- 審判番号
- 2025-700042
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2020-156434
- 登録番号
- 7508966
- 請求日
- 2024年12月27日
- 審決日
- 2026年03月13日
- 公報発行日
- 2026年08月28日
- 結論
- 請求成立(取消)
- 当事者
- 【権利者】大日本印刷株式会社
- 【権利者代理人】重野 剛
- 【異議申立人】田中 理紗
- 審判長/審判官
- 審判長 川俣 洋史
- 審判官 濱本 禎広
- 審判官 殿川 雅也
- 分類
- P1651.121-ZAA(B41J)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第2項、特許法第126条、特許法第29条、特許法第120条の5第7項、特許法第120条の5第4項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7508966号発明「印画物製造システム及び印画物製造方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7508966号の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~3〕、4、5について訂正することを認める。
特許第7508966号の請求項1~5に係る特許を取り消す。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7508966号(以下「本件特許」という。)の請求項1~5に係る特許についての出願は、令和2年9月17日の出願であって、令和6年6月24日にその特許権の設定登録がされ、同年7月2日に特許掲載公報が発行された。
本件特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。
令和6年12月27日 : 特許異議申立人田中理紗による請求項1~5に係る特許に対する特許異議の申立て
令和7年 4月18日付け: 取消理由通知書
同年 6月16日 : 意見書及び訂正請求書の提出(特許権者)
同年 7月29日 : 意見書の提出(特許異議申立人)
同年10月10日付け: 取消理由通知書(決定の予告)
同年11月27日 : 意見書及び訂正請求書の提出(特許権者)
令和8年 1月 7日 : 意見書の提出(特許異議申立人)
以下、令和7年11月27日に提出された訂正請求書を「本件訂正請求書」といい、本件訂正請求書による訂正を「本件訂正」という。
なお、本件訂正により、令和7年6月16日に提出された訂正請求書による訂正の請求は、取り下げられたものとみなされる(特許法120条の5第7項)。
第2 本件訂正について
1 本件訂正の請求の趣旨
本件訂正の請求の趣旨は、本件特許の特許請求の範囲を、本件訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~5について訂正することを求める、というものである。
2 本件訂正の内容
特許権者は、次の(1)に示す本件訂正前の特許請求の範囲の請求項1~5を、次の(2)に示す本件訂正後の特許請求の範囲の請求項1~5に訂正することを請求する。下線は訂正箇所を示す。
(1) 本件訂正前
「【請求項1】
白色カード基材及び透明カード基材を収納する収納部を有し、前記収納部から搬出された前記白色カード基材又は前記透明カード基材に対し、受容層に画像を形成してから前記受容層を転写するか、又は受容層を転写してから前記受容層に画像を形成するカードプリント装置と、
ユーザ端末から、画像データ及びカード基材の種類を示す情報を含むカード作製情報を受信し、前記カード作製情報を、前記カード作製情報を識別する識別情報と対応付けて保存するサーバ装置と、
を備え、
前記カードプリント装置は、前記識別情報を取得すると、取得した前記識別情報を前記サーバ装置へ送信し、前記サーバ装置から前記識別情報に対応する前記カード作製情報を取得し、前記カード作製情報で示される種類のカード基材を前記収納部から搬出し、前記カード作製情報に含まれる前記画像データに基づいて前記受容層に画像を形成し、前記カード作製情報で示されるカード基材の種類が透明カード基材である場合、前記透明カード基材に対し白色層を転写する、印画物製造システム。
【請求項2】
前記カード作製情報は、画像の背面側に透明カード基材が位置するか、又は透明カード基材を透して画像を見るかが規定されており、
画像の背面側に透明カード基材が位置すると規定されている場合、前記カードプリント装置は、前記透明カード基材と前記受容層との間に前記白色層を転写し、
透明カード基材を透して画像を見ると規定されている場合、前記カードプリント装置は、前記透明カード基材上に前記受容層を転写し、前記受容層上に前記白色層を転写する、請求項1に記載の印画物製造システム。
【請求項3】
前記サーバ装置は、前記ユーザ端末から前記カード作製情報を受信すると、前記識別情報を生成し、生成した前記識別情報をコード情報に変換して前記ユーザ端末へ送信し、
前記カードプリント装置は、前記ユーザ端末の表示部に表示された前記コード情報を読み取って、前記識別情報を取得する、請求項1又は2に記載の印画物製造システム。
【請求項4】
サーバ装置が、ユーザ端末から、画像データ及びカード基材の種類を示す情報を含むカード作製情報を受信し、前記カード作製情報を、前記カード作製情報を識別する識別情報と対応付けて保存し、
白色カード基材及び透明カード基材を収納する収納部を有するカードプリント装置が、前記識別情報を取得して前記サーバ装置へ送信し、前記サーバ装置から前記識別情報に対応する前記カード作製情報を取得し、前記カード作製情報で示される種類のカード基材を前記収納部から搬出し、前記収納部から搬出されたカード基材に対し、受容層に画像を形成してから前記受容層を転写するか、又は受容層を転写してから前記受容層に画像を形成する印画物製造方法であって、
前記カードプリント装置は、前記カード作製情報に含まれる前記画像データに基づいて前記受容層に画像を形成し、前記カード作製情報で示されるカード基材の種類が透明カード基材である場合、前記透明カード基材に対し白色層を転写する、印画物製造方法。
【請求項5】
制御端末から、画像データを含むと共に、画像の背面側に透明カード基材が位置するか、又は透明カード基材を透して画像を見るかが規定されたカード作製情報を受信するサーバ装置と、
透明カード基材を収納し、前記サーバ装置から前記カード作製情報を受信し、前記カード作製情報に含まれる前記画像データに基づく画像を受容層に形成してから前記受容層を前記透明カード基材に転写するか、又は前記透明カード基材に受容層を転写してから前記受容層に前記画像データに基づく画像を形成するカードプリント装置と、
を備え、
前記カードプリント装置は、
前記カード作製情報に、画像の背面側に透明カード基材が位置すると規定されている場合、前記透明カード基材と前記受容層との間に白色層を転写し、
前記カード作製情報に、透明カード基材を透して画像を見ると規定されている場合、前記透明カード基材上に前記受容層を転写し、前記受容層上に白色層を転写する、印画物製造システム。」
(2) 本件訂正後
「【請求項1】
白色カード基材及び透明カード基材を収納する収納部を有し、前記収納部から搬出された前記白色カード基材又は前記透明カード基材に対し、受容層に画像を形成してから前記受容層を転写するか、又は受容層を転写してから前記受容層に画像を形成するカードプリント装置と、
ユーザ端末から、画像データ、カード基材の種類を示す情報、画像から人物領域の抽出を行うか否かの情報及びカード基材に画像をプリントする領域と余白部分がある場合に余白部分に入れるデザインとに関するレイアウト情報を含むカード作製情報を受信し、前記カード作製情報を、前記カード作製情報を識別する識別情報と対応付けて保存し、前記カード作製情報において画像から人物領域の抽出を行うことが規定されている場合、前記画像データから人物領域の抽出を行い、抽出した人物領域を前記カード作製情報の画像データに置き換えるサーバ装置と、
を備え、
前記カードプリント装置は、前記識別情報を取得すると、取得した前記識別情報を前記サーバ装置へ送信し、前記サーバ装置から前記識別情報に対応する前記カード作製情報を取得し、前記カード作製情報で示される種類のカード基材を前記収納部から搬出し、前記カード作製情報に含まれる前記画像データ及び前記レイアウト情報に基づいて前記受容層に画像を形成し、前記カード作製情報で示されるカード基材の種類が透明カード基材である場合、前記透明カード基材に対し白色層を転写する、印画物製造システム。
【請求項2】
前記カード作製情報は、画像の背面側に透明カード基材が位置するか、又は透明カード基材を透して画像を見るかが規定されており、
画像の背面側に透明カード基材が位置すると規定されている場合、前記カードプリント装置は、前記透明カード基材と前記受容層との間に前記白色層を転写し、
透明カード基材を透して画像を見ると規定されている場合、前記カードプリント装置は、前記透明カード基材上に前記受容層を転写し、前記受容層上に前記白色層を転写する、請求項1に記載の印画物製造システム。
【請求項3】
前記サーバ装置は、前記ユーザ端末から前記カード作製情報を受信すると、前記識別情報を生成し、生成した前記識別情報をコード情報に変換して前記ユーザ端末へ送信し、
前記カードプリント装置は、前記ユーザ端末の表示部に表示された前記コード情報を読み取って、前記識別情報を取得する、請求項1又は2に記載の印画物製造システム。
【請求項4】
サーバ装置が、ユーザ端末から、画像データ、カード基材の種類を示す情報、画像から人物領域の抽出を行うか否かの情報及びカード基材に画像をプリントする領域と余白部分がある場合に余白部分に入れるデザインとに関するレイアウト情報を含むカード作製情報を受信し、前記カード作製情報を、前記カード作製情報を識別する識別情報と対応付けて保存し、前記カード作製情報において画像から人物領域の抽出を行うことが規定されている場合、前記画像データから人物領域の抽出を行い、抽出した人物領域を前記カード作製情報の画像データに置き換え、
白色カード基材及び透明カード基材を収納する収納部を有するカードプリント装置が、前記識別情報を取得して前記サーバ装置へ送信し、前記サーバ装置から前記識別情報に対応する前記カード作製情報を取得し、前記カード作製情報で示される種類のカード基材を前記収納部から搬出し、前記収納部から搬出されたカード基材に対し、受容層に画像を形成してから前記受容層を転写するか、又は受容層を転写してから前記受容層に画像を形成する印画物製造方法であって、
前記カードプリント装置は、前記カード作製情報に含まれる前記画像データ及び前記レイアウト情報に基づいて前記受容層に画像を形成し、前記カード作製情報で示されるカード基材の種類が透明カード基材である場合、前記透明カード基材に対し白色層を転写する、印画物製造方法。
【請求項5】
制御端末から、画像データ、画像から人物領域の抽出を行うか否かの情報及び透明カード基材に画像をプリントする領域と余白部分がある場合に余白部分に入れるデザインとに関するレイアウト情報を含むと共に、画像の背面側に透明カード基材が位置するか、又は透明カード基材を透して画像を見るかが規定されたカード作製情報を受信し、前記カード作製情報において画像から人物領域の抽出を行うことが規定されている場合、前記画像データから人物領域の抽出を行い、抽出した人物領域を前記カード作製情報の画像データに置き換えるサーバ装置と、
透明カード基材を収納し、前記サーバ装置から前記カード作製情報を受信し、前記カード作製情報に含まれる前記画像データ及び前記レイアウト情報に基づく画像を受容層に形成してから前記受容層を前記透明カード基材に転写するか、又は前記透明カード基材に受容層を転写してから前記受容層に前記画像データ及び前記レイアウト情報に基づく画像を形成するカードプリント装置と、
を備え、
前記カードプリント装置は、
前記カード作製情報に、画像の背面側に透明カード基材が位置すると規定されている場合、前記透明カード基材と前記受容層との間に白色層を転写し、
前記カード作製情報に、透明カード基材を透して画像を見ると規定されている場合、前記透明カード基材上に前記受容層を転写し、前記受容層上に白色層を転写する、印画物製造システム。」
3 訂正事項
本件訂正の内容を訂正される記載のある請求項ごとに整理すると、本件訂正は、以下の(1)~(3)に示すとおり、一群の請求項〔1~3〕についての訂正事項である訂正事項1~3と、請求項4についての訂正事項である訂正事項4~6と、請求項5についての訂正事項である訂正事項7~9とからなる。
なお、一群の請求項の認定については、後記(4)において示したとおりである。
(1) 一群の請求項〔1~3〕に係る訂正事項(訂正事項1~3)
ア 訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に
「ユーザ端末から、画像データ及びカード基材の種類を示す情報を含むカード作製情報を受信し」
と記載されているのを、
「ユーザ端末から、画像データ、カード基材の種類を示す情報、画像から人物領域の抽出を行うか否かの情報及びカード基材に画像をプリントする領域と余白部分がある場合に余白部分に入れるデザインとに関するレイアウト情報を含むカード作製情報を受信し」
と訂正する。請求項1の記載を直接又は間接的に引用する請求項2及び3も同様に訂正する。
イ 訂正事項2
特許請求の範囲の請求項1に
「前記カード作製情報を、・・・保存するサーバ装置」
と記載されているのを、
「前記カード作製情報を、・・・保存し、前記カード作製情報において画像から人物領域の抽出を行うことが規定されている場合、前記画像データから人物領域の抽出を行い、抽出した人物領域を前記カード作製情報の画像データに置き換えるサーバ装置」
と訂正する。請求項1の記載を直接又は間接的に引用する請求項2及び3も同様に訂正する。
ウ 訂正事項3
特許請求の範囲の請求項1に
「前記カード作製情報に含まれる前記画像データに基づいて前記受容層に画像を形成し」
と記載されているのを、
「前記カード作製情報に含まれる前記画像データ及び前記レイアウト情報に基づいて前記受容層に画像を形成し」
と訂正する。請求項1の記載を直接又は間接的に引用する請求項2及び3も同様に訂正する。
(2) 請求項4に係る訂正事項(訂正事項4~6)
ア 訂正事項4
特許請求の範囲の請求項4に
「ユーザ端末から、画像データ及びカード基材の種類を示す情報を含むカード作製情報を受信し」
と記載されているのを、
「ユーザ端末から、画像データ、カード基材の種類を示す情報、画像から人物領域の抽出を行うか否かの情報及びカード基材に画像をプリントする領域と余白部分がある場合に余白部分に入れるデザインとに関するレイアウト情報を含むカード作製情報を受信し」
と訂正する。
イ 訂正事項5
特許請求の範囲の請求項4に
「前記カード作製情報を、・・・保存し、」
と記載されているのを、
「前記カード作製情報を、・・・保存し、前記カード作製情報において画像から人物領域の抽出を行うことが規定されている場合、前記画像データから人物領域の抽出を行い、抽出した人物領域を前記カード作製情報の画像データに置き換え、」
と訂正する。
ウ 訂正事項6
特許請求の範囲の請求項4に
「前記カード作製情報に含まれる前記画像データに基づいて前記受容層に画像を形成し」
と記載されているのを、
「前記カード作製情報に含まれる前記画像データ及び前記レイアウト情報に基づいて前記受容層に画像を形成し」
と訂正する。
(3) 請求項5に係る訂正事項(訂正事項7~9)
ア 訂正事項7
特許請求の範囲の請求項5に
「画像データを含む・・・カード作製情報」
と記載されているのを、
「画像データ、画像から人物領域の抽出を行うか否かの情報及び透明カード基材に画像をプリントする領域と余白部分がある場合に余白部分に入れるデザインとに関するレイアウト情報を含む・・・カード作製情報」
と訂正する。
イ 訂正事項8
特許請求の範囲の請求項5に
「カード作製情報を受信するサーバ装置」
と記載されているのを、
「カード作製情報を受信し、前記カード作製情報において画像から人物領域の抽出を行うことが規定されている場合、前記画像データから人物領域の抽出を行い、抽出した人物領域を前記カード作製情報の画像データに置き換えるサーバ装置」
と訂正する。
ウ 訂正事項9
特許請求の範囲の請求項5に
「前記カード作製情報に含まれる前記画像データに基づく画像を受容層に形成してから前記受容層を前記透明カード基材に転写するか、又は前記透明カード基材に受容層を転写してから前記受容層に前記画像データに基づく画像を形成するカードプリント装置」
と記載されているのを、
「前記カード作製情報に含まれる前記画像データ及び前記レイアウト情報に基づく画像を受容層に形成してから前記受容層を前記透明カード基材に転写するか、又は前記透明カード基材に受容層を転写してから前記受容層に前記画像データ及び前記レイアウト情報に基づく画像を形成するカードプリント装置」
と訂正する。
(4) 一群の請求項について
本件訂正前の請求項1~3は、請求項2及び3がそれぞれ訂正事項1~3によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるから、本件訂正前の請求項1~3に対応する本件訂正後の請求項1~3は、特許法120条の5第4項に規定する一群の請求項である。
第3 本件訂正の適否についての当審の判断
1 一群の請求項〔1~3〕に係る訂正事項について
(1) 訂正事項1
ア 訂正の目的について
訂正事項1は、本件訂正前の請求項1の「画像データ及びカード基材の種類を示す情報を含むカード作製情報」について、「画像から人物領域の抽出を行うか否かの情報及びカード基材に画像をプリントする領域と余白部分がある場合に余白部分に入れるデザインとに関するレイアウト情報」も含まれるとして、「カード作製情報」に係る構成を限定するものであるから、訂正事項1の訂正は、特許法120条の5第2項ただし書き1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当する。
イ 新規事項の追加の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否について
訂正事項1の訂正は、願書に添付した明細書の段落【0013】、【0017】~【0020】の記載に基づくものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「本件特許明細書等」という。)に記載した事項の範囲内においてされたものであり、特許法120条の5第9項において準用する同法126条5項の規定に適合する。
また、訂正事項1の訂正は、「カード作製情報」に係る構成を限定するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法120条の5第9項において準用する同法126条6項の規定に適合する。
(2) 訂正事項2
ア 訂正の目的について
訂正事項2は、本件訂正前の請求項1の「サーバ装置」が、「画像データ」「を含むカード作製情報」を「保存する」構成について、当該構成に加えて、「前記カード作製情報において画像から人物領域の抽出を行うことが規定されている場合、前記画像データから人物領域の抽出を行い、抽出した人物領域を前記カード作製情報の画像データに置き換える」構成を付加限定するものであるから、訂正事項2の訂正は、特許法120条の5第2項ただし書き1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当する。
イ 新規事項の追加の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否について
訂正事項2の訂正は、願書に添付した明細書の段落【0020】の記載に基づくものであるから、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてされたものであり、特許法120条の5第9項において準用する同法126条5項の規定に適合する。
また、訂正事項2の訂正は、「抽出した人物領域を前記カード作製情報の画像データに置き換える」構成を付加限定するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法120条の5第9項において準用する同法126条6項の規定に適合する。
(3) 訂正事項3
ア 訂正の目的について
訂正事項3は、本件訂正前の請求項1において、「受容層」の「画像」が「前記カード作製情報に含まれる前記画像データに基づいて」形成されていたものを、「前記画像データ及び前記レイアウト情報」に基づいて形成するものに限定するものであるから、訂正事項3の訂正は、特許法120条の5第2項ただし書き1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当する。
イ 新規事項の追加の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否について
訂正事項3の訂正は、願書に添付した明細書の段落【0023】の記載に基づくものであるから、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてされたものであり、特許法120条の5第9項において準用する同法126条5項の規定に適合する。
また、訂正事項3の訂正は、「受容層」の「画像」が、「前記画像データ及び前記レイアウト情報」に基づいて形成するものに限定するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法120条の5第9項において準用する同法126条6項の規定に適合する。
(4) 特許出願の際に独立して特許を受けることができることについて
本件特許異議の申立てにおいては、本件訂正前の請求項1~3について特許異議申立てがされているので、一群の請求項である本件訂正後における請求項1~3に記載されている事項により特定される発明について、特許法120条の5第9項で読み替えて準用する特許法126条7項に規定する独立特許要件は課されない。
2 請求項4に係る訂正事項について
(1) 訂正事項4
ア 訂正の目的について
訂正事項4は、本件訂正前の請求項4の「画像データ及びカード基材の種類を示す情報を含むカード作製情報」について、「画像から人物領域の抽出を行うか否かの情報及びカード基材に画像をプリントする領域と余白部分がある場合に余白部分に入れるデザインとに関するレイアウト情報」も含まれるとして、「カード作製情報」に係る構成を限定するものであるから、訂正事項4の訂正は、特許法120条の5第2項ただし書き1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当する。
イ 新規事項の追加の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否について
訂正事項4の訂正は、願書に添付した明細書の段落【0013】、【0017】~【0020】の記載に基づくものであるから、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてされたものであり、特許法120条の5第9項において準用する同法126条5項の規定に適合する。
また、訂正事項4の訂正は、「カード作製情報」に係る構成を限定するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法120条の5第9項において準用する同法126条6項の規定に適合する。
(2) 訂正事項5
ア 訂正の目的について
訂正事項5は、本件訂正前の請求項4の「サーバ装置」が、「画像データ」「を含む」「カード作製情報を」「保存[する]」構成について、当該構成に加えて、「前記カード作製情報において画像から人物領域の抽出を行うことが規定されている場合、前記画像データから人物領域の抽出を行い、抽出した人物領域を前記カード作製情報の画像データに置き換える」構成を付加限定するものであるから、訂正事項5の訂正は、特許法120条の5第2項ただし書き1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当する。
イ 新規事項の追加の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否について
訂正事項5の訂正は、願書に添付した明細書の段落【0020】の記載に基づくものであるから、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてされたものであり、特許法120条の5第9項において準用する同法126条5項の規定に適合する。
また、訂正事項5の訂正は、「抽出した人物領域を前記カード作製情報の画像データに置き換える」構成を付加限定するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法120条の5第9項において準用する同法126条6項の規定に適合する。
(3) 訂正事項6
ア 訂正の目的について
訂正事項6は、本件訂正前の請求項4において、「受容層」の「画像」が「前記カード作製情報に含まれる前記画像データに基づいて」形成されていたものを、「前記画像データ及び前記レイアウト情報」に基づいて形成するものに限定するものであるから、訂正事項6の訂正は、特許法120条の5第2項ただし書き1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当する。
イ 新規事項の追加の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否について
訂正事項6の訂正は、願書に添付した明細書の段落【0023】の記載に基づくものであるから、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてされたものであり、特許法120条の5第9項において準用する同法126条5項の規定に適合する。
また、訂正事項6の訂正は、「受容層」の「画像」が、「前記画像データ及び前記レイアウト情報」に基づいて形成するものに限定するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法120条の5第9項において準用する同法126条6項の規定に適合する。
(4) 特許出願の際に独立して特許を受けることができることについて
本件特許異議の申立てにおいては、本件訂正前の請求項4について特許異議申立てがされているので、本件訂正後における請求項4に記載されている事項により特定される発明について、特許法120条の5第9項で読み替えて準用する特許法126条7項に規定する独立特許要件は課されない。
3 請求項5に係る訂正事項について
(1) 訂正事項7
ア 訂正の目的について
訂正事項7は、本件訂正前の請求項5の「画像データ」「を含むカード作製情報」について、「画像から人物領域の抽出を行うか否かの情報及び透明カード基材に画像をプリントする領域と余白部分がある場合に余白部分に入れるデザインとに関するレイアウト情報」も含まれるとして、「カード作製情報」に係る構成を限定するものであるから、訂正事項7の訂正は、特許法120条の5第2項ただし書き1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当する。
イ 新規事項の追加の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否について
訂正事項7の訂正は、願書に添付した明細書の段落【0013】、【0017】~【0020】、【0084】の記載に基づくものであるから、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてされたものであり、特許法120条の5第9項において準用する同法126条5項の規定に適合する。
また、訂正事項7の訂正は、「カード作製情報」に係る構成を限定するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法120条の5第9項において準用する同法126条6項の規定に適合する。
(2) 訂正事項8
ア 訂正の目的について
訂正事項8は、本件訂正前の請求項5の「サーバ装置」が、「画像データ」「を含むカード作製情報を受信する」構成について、当該構成に加えて、「前記カード作製情報において画像から人物領域の抽出を行うことが規定されている場合、前記画像データから人物領域の抽出を行い、抽出した人物領域を前記カード作製情報の画像データに置き換える」構成を付加限定するものであるから、訂正事項8の訂正は、特許法120条の5第2項ただし書き1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当する。
イ 新規事項の追加の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否について
訂正事項8の訂正は、願書に添付した明細書の段落【0020】の記載に基づくものであるから、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてされたものであり、特許法120条の5第9項において準用する同法126条5項の規定に適合する。
また、訂正事項8の訂正は、「抽出した人物領域を前記カード作製情報の画像データに置き換える」構成を付加限定するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法120条の5第9項において準用する同法126条6項の規定に適合する。
(3) 訂正事項9
ア 訂正の目的について
訂正事項9は、本件訂正前の請求項5において、「受容層に形成[する]」「画像」が、「前記カード作製情報に含まれる前記画像データに基づく画像」とされていたものを、「前記画像データ及び前記レイアウト情報に基づく画像」に限定するものであるから、訂正事項9の訂正は、特許法120条の5第2項ただし書き1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当する。
イ 新規事項の追加の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否について
訂正事項9の訂正は、願書に添付した明細書の段落【0023】、【0084】の記載に基づくものであるから、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてされたものであり、特許法120条の5第9項において準用する同法126条5項の規定に適合する。
また、訂正事項9の訂正は、「受容層に形成[する]」「画像」を、「前記画像データ及び前記レイアウト情報に基づく画像」に限定するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法120条の5第9項において準用する同法126条6項の規定に適合する。
(4) 特許出願の際に独立して特許を受けることができることについて
本件特許異議の申立てにおいては、本件訂正前の請求項5について特許異議申立てがされているので、本件訂正後における請求項5に記載されている事項により特定される発明について、特許法120条の5第9項で読み替えて準用する特許法126条7項に規定する独立特許要件は課されない。
4 本件訂正の適否についての当審の判断のまとめ
前記1~3において検討した訂正要件についての当審の判断をまとめると、本件訂正は、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法126条5項及び6項の規定に適合するから、本件訂正は適法なものである。
よって、前記結論のとおり、本件訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~3〕、4、5について訂正することを認める。
第4 取消理由(決定の予告)の概要
本件特許について、当審において令和7年10月10日付けで、特許権者に通知した取消理由(決定の予告)の概要は、次のとおりである。
(進歩性の欠如) 本件特許の請求項1~5に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において発行された下記文献に記載された発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1~5に係る特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものである。
記
(各文献一覧)
甲第1号証 :Datacard CR500 Instant Issuance System, User's Guide, pp.3-11,21-30、 Entrust Datacard Corp.、 2018年01月
甲第2号証 :Datacard CR500 Instant Issuance System, Installation and Administrator's Guide, pp.13,75-78、 Entrust Datacard Corp.、 2018年01月
甲第3号証 :DATACARD CARDWIZARD ISSUANCE SOFTWARE for instant and central issuance of parmanent cards, CARDWIZARD、 DataCard corp.、 2013年
甲第4号証 :INTERNATIONAL STANDARD ISO/IEC 7810, Identification cards-Physical characteristics、 ISO/IEC、 2003年
甲第5号証 :透明ICカードのご紹介、 Kenbisha Co.,Ltd.、 2015年11月19日、
https://www.kenbisha-iccard.com/blog/ic_1/, [online], 2024年12月23日検索
甲第6号証 :特開2008-188866号公報
甲第7号証 :特開2012-91459号公報
甲第8号証 :~『ネットプリントサービス basic(ベーシック)』~ セブン-イレブン1万店のネットワークを活用した個人向けプリントサービス開始、 セブン-イレブンジャパン 富士ゼロックス、 2003年11月04日
甲第9号証 :Webブラウザからファイルをアップロードしてコンビニのマルチコピー機で簡単に印刷 会員登録や専用アプリのインストール不要で 『ネットワークプリント』が利用できる新サービス開始、 シャープ、 2019年12月06日
甲第10号証 :コンテンツのデパート! こんぷりん 購入方法[セブン-イレブン]、 BeMap Inc.、 2015年、
https://gallery.conprin.com/howto/sej.html, [online], 2024年12月23日検索
甲第11号証 :特開2001-121768号公報
甲第12号証 :特開2001-158119号公報
甲第13号証 :特開平11-58927号公報
甲第14号証 :「やじうまWatch 人物写真をアップすると自動的に背景を切り抜いてくれるサービス登場。API公開も予定」、[online]、[令和7年7月18日検索]、インターネット<URL:https://internet.watch.impress.co.jp/docs/yajiuma/1159078.html>
甲第15号証 :「画像から人物を切り抜き簡単AI任せの無料ソフト」、[online]、[令和7年7月18日検索]、インターネット<URL:https://www.nikkei.com/article/DGXMZO58385260T20C20A4000000/>
甲第16号証 :「【AI】自動で5秒!無料の人物切り抜きサービスの使い方と検証【Remove Image Background】」、[online]、[令和7年7月18日検索]、インターネット<URL:https://inovativeworks.com/rib_verification/>
甲第17号証 :「楽しい・可愛い!最新プリントシール機『MiXme.(ミックスミー)』2020年2月より設置開始」、[online]、[令和7年7月18日検索]、インターネット<URL:https://www.furyu.jp/news/2019/12/mixme>
以下、特許異議申立人が提出した甲第1~17号証を、単に「甲1」~「甲17」という。
第5 当審の判断
1 本件訂正発明
前記第3で説示したとおり、本件訂正は認められるから、本件特許の請求項1~5に係る発明(以下、請求項の番号に従って「本件訂正発明1」などという。また、これらを総称して「本件訂正発明」という。)は、本件訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲の請求項1~5に記載された事項により特定される、次のとおりのものと認める。(なお、請求項1に付した符号1A~1C及び1X、請求項4に付した符号4A~4C及び4X、請求項5に付した符号5A~5C及び5Xは、分説のために当審において付した。以下、符号1A等を付した事項を「構成1A」等という。)
「【請求項1】
1A 白色カード基材及び透明カード基材を収納する収納部を有し、前記収納部から搬出された前記白色カード基材又は前記透明カード基材に対し、受容層に画像を形成してから前記受容層を転写するか、又は受容層を転写してから前記受容層に画像を形成するカードプリント装置と、
1B ユーザ端末から、画像データ、カード基材の種類を示す情報、画像から人物領域の抽出を行うか否かの情報及びカード基材に画像をプリントする領域と余白部分がある場合に余白部分に入れるデザインとに関するレイアウト情報を含むカード作製情報を受信し、前記カード作製情報を、前記カード作製情報を識別する識別情報と対応付けて保存し、前記カード作製情報において画像から人物領域の抽出を行うことが規定されている場合、前記画像データから人物領域の抽出を行い、抽出した人物領域を前記カード作製情報の画像データに置き換えるサーバ装置と、
を備え、
1C 前記カードプリント装置は、前記識別情報を取得すると、取得した前記識別情報を前記サーバ装置へ送信し、前記サーバ装置から前記識別情報に対応する前記カード作製情報を取得し、前記カード作製情報で示される種類のカード基材を前記収納部から搬出し、前記カード作製情報に含まれる前記画像データ及び前記レイアウト情報に基づいて前記受容層に画像を形成し、前記カード作製情報で示されるカード基材の種類が透明カード基材である場合、前記透明カード基材に対し白色層を転写する、
1X 印画物製造システム。
【請求項2】
前記カード作製情報は、画像の背面側に透明カード基材が位置するか、又は透明カード基材を透して画像を見るかが規定されており、
画像の背面側に透明カード基材が位置すると規定されている場合、前記カードプリント装置は、前記透明カード基材と前記受容層との間に前記白色層を転写し、
透明カード基材を透して画像を見ると規定されている場合、前記カードプリント装置は、前記透明カード基材上に前記受容層を転写し、前記受容層上に前記白色層を転写する、請求項1に記載の印画物製造システム。
【請求項3】
前記サーバ装置は、前記ユーザ端末から前記カード作製情報を受信すると、前記識別情報を生成し、生成した前記識別情報をコード情報に変換して前記ユーザ端末へ送信し、
前記カードプリント装置は、前記ユーザ端末の表示部に表示された前記コード情報を読み取って、前記識別情報を取得する、請求項1又は2に記載の印画物製造システム。
【請求項4】
4A サーバ装置が、ユーザ端末から、画像データ、カード基材の種類を示す情報、画像から人物領域の抽出を行うか否かの情報及びカード基材に画像をプリントする領域と余白部分がある場合に余白部分に入れるデザインとに関するレイアウト情報を含むカード作製情報を受信し、前記カード作製情報を、前記カード作製情報を識別する識別情報と対応付けて保存し、前記カード作製情報において画像から人物領域の抽出を行うことが規定されている場合、前記画像データから人物領域の抽出を行い、抽出した人物領域を前記カード作製情報の画像データに置き換え、
4B 白色カード基材及び透明カード基材を収納する収納部を有するカードプリント装置が、前記識別情報を取得して前記サーバ装置へ送信し、前記サーバ装置から前記識別情報に対応する前記カード作製情報を取得し、前記カード作製情報で示される種類のカード基材を前記収納部から搬出し、前記収納部から搬出されたカード基材に対し、受容層に画像を形成してから前記受容層を転写するか、又は受容層を転写してから前記受容層に画像を形成する印画物製造方法であって、
4C 前記カードプリント装置は、前記カード作製情報に含まれる前記画像データ及び前記レイアウト情報に基づいて前記受容層に画像を形成し、前記カード作製情報で示されるカード基材の種類が透明カード基材である場合、前記透明カード基材に対し白色層を転写する、
4X 印画物製造方法。
【請求項5】
5A 制御端末から、画像データ、画像から人物領域の抽出を行うか否かの情報及び透明カード基材に画像をプリントする領域と余白部分がある場合に余白部分に入れるデザインとに関するレイアウト情報を含むと共に、画像の背面側に透明カード基材が位置するか、又は透明カード基材を透して画像を見るかが規定されたカード作製情報を受信し、前記カード作製情報において画像から人物領域の抽出を行うことが規定されている場合、前記画像データから人物領域の抽出を行い、抽出した人物領域を前記カード作製情報の画像データに置き換えるサーバ装置と、
5B 透明カード基材を収納し、前記サーバ装置から前記カード作製情報を受信し、前記カード作製情報に含まれる前記画像データ及び前記レイアウト情報に基づく画像を受容層に形成してから前記受容層を前記透明カード基材に転写するか、又は前記透明カード基材に受容層を転写してから前記受容層に前記画像データ及び前記レイアウト情報に基づく画像を形成するカードプリント装置と、
を備え、
5C 前記カードプリント装置は、
前記カード作製情報に、画像の背面側に透明カード基材が位置すると規定されている場合、前記透明カード基材と前記受容層との間に白色層を転写し、
前記カード作製情報に、透明カード基材を透して画像を見ると規定されている場合、前記透明カード基材上に前記受容層を転写し、前記受容層上に白色層を転写する、
5X 印画物製造システム。」
2 各文献に記載された事項及び甲1発明等の認定
(1) 甲1に記載された事項と甲1発明の認定
ア 甲1に記載された事項
甲1(Datacard CR500 Instant Issuance System, User's Guide, pp.3-11,21-30、 Entrust Datacard Corp.、 2018年01月)には、以下の事項が記載されている。なお、日本語訳は特許異議申立人による抄訳を基本的に用いたものであり、下線は当審において付したものである。以下同様である。
(ア) 3頁1~8行
「Chapter 2: About the Printer
This chapter provides an introduction to the CR500 instant issuance system and its components.
About the Card Printer
The Datacard CR500 card printer uses retransfer printing technology to produce high-quality, edge-to-edge printing on a variety of PVC and non-PVC card surfaces.
The retransfer printing process uses two types of ribbon: a color ink ribbon and a retransfer film.
The color ink ribbon is YMCK-I (yellow, magenta, cyan, black, and inhibitor panel). The printer uses these colors to print images on the retransfer film. A heated roller then transfers the image onto a card. The inhibitor panel on the ribbon removes retransfer material in areas of the card that have a magnetic stripe, signature panel, hologram, or smart card chip. The inhibitor panel also is called peel-off, and the ink ribbon can be identified as either YMCK-I or YMCK-PO.
The CR500 printer can print on one or both sides of the card. Magnetic stripe capability is standard, and the printer can be equipped with optional contact and contactless smart card capabilities.
The printer includes a multi-hopper that can be loaded with three different card types, and an exception card slide for printing single cards. When a card job is sent to the printer it specifies the location from which to pick the card, then moves the card through the printer.」
(第2章:プリンタについて
この章では、CR500即時発行システムとそのコンポーネントについて説明します。
カードプリンタについて
Datacard CR500カードプリンタは、再転写印刷技術を使用して、様々なPVC及び非PVCカードの表面に高品質の端から端までの印刷を行います。
再転写印刷プロセスでは、カラーインクリボンと再転写フィルムの2種類のリボンを使用します。カラーインクリボンはYMCK-I(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックとインヒビターパネル)です。プリンタはこれらの色を使って再転写フィルムに画像を印刷します。その後、加熱ローラーが画像をカードに転写します。リボン上のインヒビターパネルは、磁気ストライプ、署名パネル、ホログラム、スマート・カード・チップのあるカードの領域で再転写材料を除去する。インヒビターパネルはピールオフとも呼ばれ、インクリボンはYMCK-I又はYMCK-POとして識別できます。
CR500プリンタは、カードの片面又は両面に印刷できます。磁気ストライプ機能が標準装備されており、オプションで接触型及び非接触型スマートカード機能を装備することができます。
プリンタには、3種類のカードをセットできるマルチホッパーと、シングルカード印刷用の例外カードスライドが搭載されています。カードジョブがプリンタに送られると、プリンタはカードをピックする場所を指定し、プリンタを通してカードを移動させます。)
(イ) 9頁1~22行
「The Print Unit Front Panel
The print unit front panel is visible only when the security enclosure door is open. The LCD display has two lines of text, indicators for key functions, and symbols for connection type and lock status.
Three keys, located below the LCD display, are used to navigate the print unit menu system and to perform various printer functions.
In most cases, you use the printer touch screen (located on the security enclosure) or Printer Manager to view and control printer settings. However, at times, you must use the print unit front panel, as described in this manual.
[図:0001438267000001.jpg]
(中略)
Connection Indicates whether the printer is connected through a network.
(後略)」
(印刷ユニット前面パネル
印刷ユニット前面パネルは、セキュリティ・エンクロージャのドアが開いているときのみ見ることができます。LCDディスプレイには、二行のテキスト、キー機能のインジケータ、及び接続タイプとロックステータスのシンボルが表示されます。
LCDディスプレイの下にある三つのキーは、印刷ユニットメニューシステムをナビゲートし、様々なプリンタ機能を実行するために使用されます。ほとんどの場合、プリンタのタッチスクリーン(セキュリティ・エンクロージャにある)又はプリンタマネージャを使用してプリンタ設定を表示及び制御します。ただし、本マニュアルで説明するように、印刷ユニット前面パネルを使用しなければならない場合もあります。
(中略)
接続 プリンタがネットワーク経由で接続されているかどうかを示します。
(後略))
(ウ) 10頁8~22行
「CardWizard
The CR500 card printer uses Datacard CardWizard Instant Issuance software to create and print cards.
The CardWizard software is a centralized application that processes card data and obtains the needed authorization from the financial system that manages customer accounts.
CardWizard software performs the following functions:
・ Prepares card data
・ Links to financial software, so cards issued are linked with customer accounts
・ Manages security, including locking and unlocking the printer's security enclosure
Refer to “Print Cards from CardWizard” on page 29 for instructions about using CardWizard software to send cards to the printer. Refer to your CardWizard documentation for complete information about how to set up card designs and use the CardWizard software.」
(カードウィザード
CR500カードプリンタは、Datacard CardWizard Instant Issuanceソフトウェアを使用してカードを作成及び印刷します。
CardWizardソフトウェアは、カード・データを処理し、顧客口座を管理する金融システムから必要な承認を取得する集中型アプリケーションです。
CardWizardソフトウェアは、以下の機能を実行します:
・ カード・データの準備
・ 金融ソフトウェアにリンクし、発行されたカードが顧客口座にリンクされるようにする。
・ プリンタのセキュリティ・エンクロージャのロック及びロック解除を含むセキュリティ管理
CardWizardソフトウェアを使用してプリンタにカードを送信する手順については、29頁の『CardWizardからのカード印刷』を参照してください。カードデザインのセットアップ方法及びCardWizardソフトウェアの使用方法に関する完全な情報については、CardWizardのマニュアルを参照してください。)
(エ) 11頁1~8行
「Printer Manager
Printer Manager is a web-based interface that displays information about the card printer and allows you to manage printer settings. You access Printer Manager through your PC's web browser, using the card printer's IP address.
System administrators and service providers can use Printer Manager to fine-tune card appearance, set advanced options, and troubleshoot printing problems.
Refer to the printer's Installation and Administrator's Guide for information about how to access and use Printer Manager.」
(プリンタマネージャ
プリンタマネージャは、カードプリンタに関する情報を表示し、プリンタの設定を管理できるWebベースのインターフェースです。カードプリンタのIPアドレスを使用して、PCのWebブラウザからプリンタマネージャにアクセスします。
システム管理者やサービスプロバイダは、プリンタマネージャを使用して、カードの外観の微調整、高度なオプションの設定、印刷に関する問題のトラブルシューティングを行うことができます。
プリンタマネージャへのアクセス方法と使用方法については、プリンタの『Installation and Administrator's Guide』を参照してください。)
(オ) 21頁1~4行
「Load Cards
Load only ID-1 cards of 0.030 inch (0.75 mm) thickness into the multi-hopper. Card hopper 1 holds up to 70 cards; card hoppers 2 and 3 hold up to 50 cards each. (Refer to the printer's Installation and Administrator's Guide for card specifications.)」
(カードの装填
厚さ0.75mmのID-1カードのみをマルチホッパーに装填してください。カードホッパー1には最大70枚、カードホッパー2と3にはそれぞれ最大50枚のカードが収納できます。(カードの仕様については、プリンタの『Installation and Administrator's Guide』 を参照してください)。)
(カ) 29頁1~16行
「Print Cards
Print cards after you install the printer and specify printer settings, load and initialize supplies, and set up your card design.
Tips for Printing Cards
・ Do not open the printer during the printing operation.
・ The print unit can enter power saver mode. If power saver mode is enabled, sending a card or using the touch screen restores the printer to the Ready state.
It can take several minutes for the CR500 retransfer roller to heat up after inactivity.
・ Handle cards by the edges to preserve print quality. Do not touch the print surface with your hands. Wear the gloves provided.
・ When printing a test card from the touch screen, always place the card in the exception card slot. (Refer to “Print a Test Card” on page 42.)
・ Do not power off, unplug, or disconnect the printer during the printing process.
・ The card type in each hopper must be identified to the CardWizard software. The software tells the printer to pick a card from the hopper in which the required type of card is loaded. If the specified hopper is empty, the printer displays an error. Load cards to continue.」
(カードの印刷
プリンタを設置し、プリンタ設定を指定し、消耗品をセットして初期化し、カードデザインを設定したら、カードを印刷します。
カード印刷のヒント
・ 印刷中はプリンタを開けないでください。
・ 印刷ユニットはパワーセーブモードに入ることができます。パワーセーブモードが有効な場合、カードを送信するかタッチスクリーンを使用すると、プリンタは準備完了の状態に戻ります。
CR500の再転写ローラーが非アクティブ状態から温まるまで、数分かかることがあります。
・ 印刷品質を保つため、カードは端を持って扱ってください。印刷面に手で触れないでください。付属の手袋を着用してください。
・ タッチスクリーンからテストカードを印刷する場合は、必ずカードを例外カードスロットにセットしてください。(42ページの「テストカードを印刷する」を参照してください)。
・ 印刷中にプリンタの電源を切ったり、プラグを抜いたり、接続を解除したりしないでください。
・ 各ホッパー内のカードタイプを、CardWizardソフトウェアに識別させる必要があります。ソフトウェアは、必要な種類のカードが装填されているホッパーからカードを選択するようプリンタに指示します。指定されたホッパーが空の場合、プリンタはエラーを表示します。続行するにはカードを装填してください。)
(キ) 29頁25行~30頁2行
「Print Cards from CardWizard
1. Follow the instructions in CardWizard to select a card design, and enter and save the data for the card.
2. Send the card to the printer. CardWizard performs verification, prepares the card data for printing, and sends it to the printer.
3. The printer touch screen changes from Ready to Busy. The printer processes the card and places the printed card in the concealed output stacker.」
(CardWizardからのカード印刷
1.CardWizardの指示にしたがってカードデザインを選択し、カードのデータを入力して保存します。
2.カードをプリンタに送ります。CardWizardが検証を実行し、カードのデータを印刷用に準備し、プリンタに送ります。
3. プリンタのタッチスクリーンが『準備完了』から『ビジー』に変わります。プリンタはカードを処理し、印刷されたカードを隠された出力スタッカーに置きます。)
イ 甲1から読み取れる認定事項
(ア) 前記ア(キ)には、CardWizardが検証を実行し、カードのデータを印刷用に準備し、プリンタに送ることが記載されているところ、前記ア(ウ)のとおり、CardWizardはソフトウェアであることを踏まえると、PCから、プリンタにカードのデータを送っていることが読み取れる。
(イ) 前記(ア)を踏まえると、前記ア(ア)~(ウ)及び(キ)の記載から、次のa及びbの構成が読み取れる。
a 「Datacard CR500カードプリンタと、PCとから構成される、CardWizardソフトウェアがインストールされたCR500即時発行システムであって、
前記カードプリンタと前記PCは、ネットワーク経由で接続され、前記カードプリンタは、CardWizardソフトウェアを使用してカードを作成及び印刷すること。」
b 「Datacard CR500カードプリンタと、PCとから構成される、CardWizardソフトウェアがインストールされたCR500即時発行システムを用いたカードの作成方法であって、
前記カードプリンタと前記PCは、ネットワーク経由で接続され、前記カードプリンタは、CardWizardソフトウェアを使用してカードを作成及び印刷すること。」
ウ 甲1発明1の認定
前記アの記載事項及び前記イ(ア)の認定事項を総合すると、甲1には、次の発明(以下「甲1発明1」という。)が記載されているものと認められる。
<甲1発明1>
「Datacard CR500カードプリンタと、PCとから構成される、CardWizardソフトウェアがインストールされたCR500即時発行システムであって、(前記イ(イ)aの認定事項)
前記カードプリンタと前記PCは、ネットワーク経由で接続され、前記カードプリンタは、前記ソフトウェアを使用してカードを作成及び印刷し、(前記イ(ア)の認定事項)
前記カードプリンタには、3種類のID-1カードをセットできるマルチホッパーが搭載されており、(3頁1~8行、21頁1~4行)
前記カードプリンタは、再転写印刷技術を使用して、様々なPVC及び非PVCカードの表面に高品質の端から端までの印刷を行い、再転写印刷プロセスでは、カラーインクリボンと再転写フィルムの2種類のリボンを使用し、カラーインクリボンはYMCK-I(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックとインヒビターパネル)であり、プリンタはこれらの色を使って再転写フィルムに画像を印刷した後、加熱ローラーが画像をカードに転写し、(3頁1~8行)
各ホッパー内のカードタイプを、前記ソフトウェアに識別させ、前記ソフトウェアは、必要な種類のカードが装填されているホッパーからカードを選択するようプリンタに指示し、(29頁1~16行)
前記ソフトウェアの指示にしたがってカードデザインを選択し、カードのデータを入力して保存し、前記ソフトウェアが検証を実行し、カードのデータを印刷用に準備し、プリンタに送り、プリンタはカードを処理し、印刷されたカードを隠された出力スタッカーに置く、(29頁25行~30頁2行)
CR500即時発行システム。」
エ 甲1発明2の認定
前記アの記載事項及び前記イ(イ)の認定事項を総合すると、甲1には、次の発明(以下「甲1発明2」という。)が記載されているものと認められる。
<甲1発明2>
「Datacard CR500カードプリンタと、PCとから構成される、CardWizardソフトウェアがインストールされたCR500即時発行システムを用いたカードの作成方法であって、(前記イ(イ)bの認定事項)
前記カードプリンタと前記PCは、ネットワーク経由で接続され、前記カードプリンタは、前記ソフトウェアを使用してカードを作成及び印刷し、(前記イ(イ)の認定事項)
前記カードプリンタには、3種類のID-1カードをセットできるマルチホッパーが搭載されており、(3頁1~8行、21頁1~4行)
前記カードプリンタは、再転写印刷技術を使用して、様々なPVC及び非PVCカードの表面に高品質の端から端までの印刷を行い、再転写印刷プロセスでは、カラーインクリボンと再転写フィルムの2種類のリボンを使用し、カラーインクリボンはYMCK-I(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックとインヒビターパネル)であり、プリンタはこれらの色を使って再転写フィルムに画像を印刷した後、加熱ローラーが画像をカードに転写し、(3頁1~8行)
各ホッパー内のカードタイプを、前記ソフトウェアに識別させ、前記ソフトウェアは、必要な種類のカードが装填されているホッパーからカードを選択するようプリンタに指示し、(29頁1~16行)
前記ソフトウェアの指示にしたがってカードデザインを選択し、カードのデータを入力して保存し、前記ソフトウェアが検証を実行し、カードのデータを印刷用に準備し、プリンタに送り、プリンタはカードを処理し、印刷されたカードを隠された出力スタッカーに置く、(29頁25行~30頁2行)
CR500即時発行システムを用いたカードの作成方法。」
(2) 甲2に記載された事項と甲2技術事項の認定
ア 甲2に記載された事項
甲2(Datacard CR500 Instant Issuance System, Installation and Administrator's Guide, pp.13,75-78、 Entrust Datacard Corp.、 2018年01月)には、以下の事項が記載されている。
(ア) 13頁7~11行
「Network Connection
You must be able to connect the back of the printer to your network using an Ethernet cable. Make sure that the installation location has an available network port for the printer.
The workstations for printer users must have access to the printer over the network and must have network permission to the printer.」
(ネットワーク接続
イーサネットケーブルを使用してプリンタの背面をネットワークに接続できる必要があります。設置場所にプリンタ用の利用可能なネットワークポートがあることを確認してください。
プリンタユーザのワークステーションは、ネットワーク経由でプリンタにアクセスでき、プリンタに対するネットワークアクセス許可を持っている必要があります。)
(イ) 76頁7~8行
「Retransfer Film
The following retransfer film (Intermediate Transfer Media, or InTM) is available:」
(再転写フィルム
以下の再転写フィルム(中間転写媒体、又はInTM)をご用意しております。)
(ウ) 77頁1~11行
「Cards
This section describes the specifications and quality guidelines for card stock to use with the CR500 printer. For best results, use high-quality card stock that meets the specifications and recommendations described in this section.
Card production success depends on the card manufacturer and card construction. Cards are available that meet the requirements listed in this section, but they might not perform as you expect.
Use cards that conform to the following specifications:
・ ISO/IEC 7810 Type ID-1
・ ISO/IEC 7811-2 Magnetic stripe (optional)
・ ISO/IEC 7816 Smart card (optional)」
(カード
このセクションでは、CR500プリンタで使用するカード用紙の仕様と品質ガイドラインについて説明します。最良の結果を得るには、このセクションに記載されている仕様と推奨事項を満たす高品質のカード用ストックを使用してください。
カード製造の成功は、カード製造業者とカードの構造に依存します。このセクションに記載されている要件を満たすカードも入手可能ですが、期待通りの性能が得られない場合があります。
以下の仕様に準拠したカードを使用してください:
・ ISO/IEC 7810 タイプID-1
・ ISO/IEC 7811-2 磁気ストライプ(オプション)
・ ISO/IEC 7816 スマートカード(オプション))
(エ) 77頁16~17行
「Card Size
Use ID-1 (CR-80) size cards with the following nominal dimensions:」
(カードサイズ
以下の公称寸法のID-1(CR-80)サイズのカードを使用してください:)
(オ) 77頁18~24行
「Card Material
For best results, use cards made from one of the following materials:
・ PVC
・ PET
・ PET-G
・ Polycarbonates
・ ABS」
(カードの材質
最良の結果を得るためには、以下のいずれかの素材で作られたカードを使用してください:
・ PVC
・ PET
・ PET-G
・ ポリカーボネート
・ ABS)
イ 甲2技術事項の認定
前記アの記載事項を総合すると、甲2には、次の技術事項(以下「甲2技術事項」という。)が記載されているものと認められる。
<甲2技術事項>
「CR500即時発行システムにおいて、再転写フィルムが中間転写媒体であり、印刷対象となるカードが、ISO/IEC 7810 タイプID-1のカードであること。」
(3) 甲3に記載された事項と甲3技術事項の認定
ア 甲3に記載された事項
甲3(DATACARD CARDWIZARD ISSUANCE SOFTWARE for instant and central issuance of parmanent cards, CARDWIZARD、 DataCard corp.、 2013年)には、以下の事項が記載されている。
(ア) 2枚目1~4行
「CARDWIZARD SOFTWARE ISSUANCE FLEXIBILITY
CardWizard software is designed to support your evolving issuance needs, whenever and wherever your business demand ― whether it’s new accounts, emergency card replacement, low-volume re-issuance or PIN services. CardWizard software is designed to support a variety of issuance workflows empowering you to compete in an instant access world where cardholders expect exceptional service and convenience.」
(CardWizardソフトウェア発行の柔軟性
CardWizardソフトウェアは、新規口座開設、緊急カード交換、少量再発行、PINサービスなど、お客様のビジネスニーズに応じていつでもどこでも進化する発行ニーズをサポートするように設計されています。CardWizardソフトウェアは、様々な発行ワークフローをサポートするように設計されており、カード所有者が卓越したサービスと利便性を期待する即時アクセスの世界で競争できるようにします。)
(イ) 2枚目左上欄1~3行
「CardWizard software offers five primary workflow options to fit your program needs.」
(CardWizardソフトウェアは、プログラムのニーズに合わせて5つの主要なワークフローオプションを提供します。)
(ウ) 2枚目左上欄4~15行
「Instant Issuance Using CardWizard iClient Interface
With this option, issuers query the card management system (CMS) via the CardWizard iClient user interface, receive cardholder information and process the card issuance request. During implementation, Datacard Group performs the integration to the issuer’s CMS.」
(CardWizard iClientインターフェースを使用した即時発行
このオプションを使用すると、発行者はCardWizard iClientユーザインターフェースを介してカード管理システム(CMS)に照会し、カード会員情報を受け取り、カード発行請求を処理します。導入の際には、Datacard Groupが発行者のCMSへの統合を行います。)
「
[図:0001438267000002.jpg]
」
(エ) 3枚目左下欄1~5行
「Supported issuance Systems
・ Embossing/Direct-to-card Printing
- Datacard CE870TM instant issuance system
・ Retransfer Printing
- Datacard CR500TM instant issuance system」
(対応発行システム
・エンボス/カード直接印刷
-Datacard CE870即時発行システム
・再転写印刷
-Datacard CR500即時発行システム)
イ 甲3から読み取れる認定事項
前記ア(ウ)の図面から、次の事項が読み取れる。
「カード発行会社所在地のカード請求により、「1a.カード会員情報の照会」が、カード発行データセンター内のWizardサーバを介してカード管理システム(CMS)に送信し、CMSからの「1b.カード会員情報の送信」を受信し、「2a.PIN及び画像の選択と、カード請求」をWizardサーバに送信し、Wizardサーバが「2b.カード符号化、エンボス及び印刷」を、「カード配送」として、Datacard即時発行システムに送信し、「カードが発行されて、カード所有者は、すぐに使用でき有効化された金融カードを持って帰ります。」となるワークフローオプション。」
ウ 甲3技術事項の認定
前記アの記載事項及び前記イの認定事項を総合すると、甲3には、次の技術事項(以下「甲3技術事項」という。)が記載されているものと認められる。
<甲3技術事項>
「PCから、「2a.PIN及び画像の選択と、カード請求」をWizardサーバに送信し、Wizardサーバが「2b.カード符号化、エンボス及び印刷」を、「カード配送」として、Datacard CR500即時発行システムに送信して、カードを発行すること。」
(4) 甲4及び甲5に記載された事項と周知技術Aの認定
ア 甲4に記載された事項
甲4(INTERNATIONAL STANDARD ISO/IEC 7810, Identification cards-Physical characteristics、 ISO/IEC、 2003年)には、以下の事項が記載されている。
(5頁24~36行)
「8.10 Opacity, ID-1 size card
All machine readable cards shall have an optical transmission density greater than 1,3 for the range of 450 nm to 950 nm, and greater than 1,1 for the range of 950 nm to 1000 nm on all card areas except for area c and area d as shown in Figure 2. Area c and area d as shown in Figure 2 may be optically transparent and do not have a specified optical transmission density.
NOTE 1 This characteristic is required for applications in which the presence of a card is detected by its attenuation of light transmitted between a source and a sensor.
NOTE 2 There will be no opacity requirements for the range of 450 nm to 850 nm at the next revision of ISO/IEC 7810. Until that time, it is possible that a limited number of terminals may not be able to detect cards having lower than specified opacity in the 450 nm to 850 nm frequency range.
NOTE 3 Cards with area d transparent that are inserted with an incorrect orientation may not be detected in some terminals.
NOTE 4 The specified areas for opacity of machine readable cards has changed since the last edition of ISO/IEC 7810.」
「
[図:0001438267000003.jpg]
」
(8.10 不透過度、ID-1サイズカード
すべての機械可読カードは、図2に示す領域cと領域dを除くすべてのカード領域において、450nmから950nmの範囲で1.3を超える光透過濃度を有し、950nmから1000nmの範囲で1.1を超える光透過濃度を有すること。図2に示す領域cと領域dは光学的に透明であってもよいし、所定の光透過濃度を有しない。
注1 この特性は、光源とセンサーの間を透過する光の減衰によってカードの存在を検出する用途に必要である。
注2 ISO/IEC 7810の次回の改訂では、450nmから850nmの範囲に対する不透過度の要求はない。その時まで、450nmから850nmの波長の範囲において、限られた数の端末が、規定より低い不透過度を持つカードを検出できない可能性がある。
注3 誤った向きで挿入された領域dが透明なカードは、一部の端末では検出できない可能性がある。
注4 機械可読カードの不透過度の規定領域は、ISO/IEC 7810の最終版から変更されている。)
イ 甲5に記載された事項
甲5(透明ICカードのご紹介、 Kenbisha Co.,Ltd.、 2015年11月19日、
https://www.kenbisha-iccard.com/blog/ic_1/, [online], 2024年12月23日検索)には、以下の事項が記載されている。
「ICカード.comでは、透明ICカード(Mifare系)も対応いたします。
最近では、ICカードも一般的になってきており、さまざまな場所で良く見かけるようになりました。
カード発行コストやシステム運用面でもお手頃となり、かざすだけのスマートさもあって普及する環境が整ってきたせいかもしれません。
ICカード.comでは、一般的なICカードは既にたくさんお手伝いさせて頂いております。
最近お問合せの中でお受けするのが、透明ICカードが作れないか・・・といった相談です。」
「確かに透明ICカードはやはり希少性(レア感)が強いのが魅力かと思います。
高級機能を備えた感を出すメンバーズカードやVIPカード発行をご希望での検討や、他一般カードとの差別化をデザイン面と機能面の両方で図る特別カードを発行したい場合での検討で弊社にご相談いただいているかと思います。」
ウ 周知技術Aの認定
甲4及び甲5に例示されているように、次の事項は当業者にとって周知技術であると認められる(以下「周知技術A」という。)。
<周知技術A>
「ID-1カードやICカードに透明なカードが含まれていること。」
(5) 甲6及び甲7に記載された事項と周知技術Bの認定
ア 甲6に記載された事項
甲6(特開2008-188866号公報)には、以下の事項が記載されている。
「【0001】
本発明は、中間転写記録媒体に関し、さらに詳しくは、個人情報などの痕跡が残るインクリボンを使用せず、中間転写記録媒体へ画像を印画する際には画像が滲まず、乾燥が早く、該中間転写記録媒体を用いて被転写体に画像を転写形成する際には、多種の被転写体へ接着性よく転写でき、しかも、箔切れがよく効率よく転写できる中間転写記録媒体、及び画像形成方法に関するものである。」
「【0004】
(背景技術)従来、金券類、カード類、及び各種証明書類などのは、資格証明や一定の経済的価値や効果を持つため、不正に偽造、変造、不正使用することが絶えない。
これらを防止するため各種の偽造防止手段が施されている。光輝性、特にホログラム、回折格子などの微細なレリーフ形状を有する転写箔は、特異な装飾像や立体像を表現できる意匠性と、これらホログラムや回折格子は高度な製造技術を要し、容易に製造できないことから、偽造防止としてセキュリティー性の向上に利用されている。また、金券類やカード類には、中間転写記録媒体を用いて、画像を形成し、ホログラムと共に画像をも転写箔することも求められており、ホログラム付きの中間転写記録媒体が好ましい。該中間転写記録媒体の受容層へ、昇華又は熱転写インクリボンから一次転写し、該中間転写記録媒体から最終的な被転写体への二次転写する2段階の転写を行うことで、偽造防止とセキュリティー性を両立させることができる。・・・。」
イ 甲7に記載された事項
甲7(特開2012-91459号公報)には、以下の事項が記載されている。
「【0001】
本発明は、中間転写媒体に関し、特には、転写前の基材や受容層との密着性が高く、転写時に剥離層を用いることなく基材から容易に剥離することができ、且つ転写後の印画物に高光沢感と、耐可塑剤性を付与することができる保護層を備える中間転写媒体に関する。」
「【0006】
上記の熱転写受像シートの用途の多様化に伴い、任意の対象物に熱転写画像を形成する要求が高まっている。通常は、熱転写画像を形成する対象物として、基材上に受容層を設けた専用の熱転写受像シートを用いているが、この場合には、基材等に制約が生ずることとなる。このような状況下、特許文献1に示される受容層が基材上に剥離可能に設けられた中間転写媒体が提案されている。この中間転写媒体によれば、染料層を有する熱転写シートを用いて、受容層に染料を転写して画像を形成し、その後に中間転写媒体を加熱して、受容層を任意の被転写体上に転写することができ、被転写体に制約を受けることがなく熱転写画像の形成が可能となる。」
ウ 周知技術Bの認定
甲6及び甲7に例示されているように、次の事項は当業者にとって周知技術であると認められる(以下「周知技術B」という。)。
<周知技術B>
「中間転写媒体が受容層を有すること。」
(6) 甲8~10に記載された事項と周知技術Cの認定
ア 甲8に記載された事項
甲8(~『ネットプリントサービス basic(ベーシック)』~ セブン-イレブン1万店のネットワークを活用した個人向けプリントサービス開始、 セブン-イレブンジャパン 富士ゼロックス、 2003年11月04日)には、以下の事項が記載されている。
(1頁1~13行)
「株式会社セブン-イレブン・ジャパン (東京都港区、代表取締役社長 最高執行責任者<COO>: 山口俊郎)と富士ゼロックス株式会社(東京都港区、代表取締役社長: 有馬利男)は、パソコンで作成した文書やデジカメで撮った画像などの電子ファイルを、事前にインターネット上の専用ウェブサイトに登録しておくことにより、全国のセブン-イレブンに設置しているマルチコピー機を利用して、手軽にプリントアウトすることができる個人向けの「ネットプリントサービスbasic (ベーシック)」を11月5日から開始いたします。
「ネットプリントサービスbasic (ベーシック)」は、お客様がネットプリントウェブサイト(http://www.printing.ne.jp/)にユーザー登録していただくことによって利用が可能となります。お客様はユーザー登録後、専用ウェブサイトに電子ファイルを登録した時に付番されたプリント予約番号(8桁)をメモに取り、セブン-イレブン店頭のマルチコピー機のメニューから「ネットプリント」を選択し、画面に従いプリント予約番号を入力することで、登録したファイルの印刷が可能となります。」
イ 甲9に記載された事項
甲9(Webブラウザからファイルをアップロードしてコンビニのマルチコピー機で簡単に印刷 会員登録や専用アプリのインストール不要で 『ネットワークプリント』が利用できる新サービス開始、 シャープ、 2019年12月06日)には、以下の事項が記載されている。
「シャープは、コンビニエンスストアに設置されている当社製マルチコピー機向け「ネットワークプリント」サービスにおいて、初めてのご利用でも会員登録や専用アプリのインストールが不要で、簡単に書類や写真を印刷できるサービスを本日より開始します。
Webブラウザから印刷したいファイルをアップロードするとユーザー番号が発行され、その番号をコンビニ店舗のマルチコピー機に入力するだけで簡単に印刷できます。1つのユーザー番号に24ファイルまで登録することができるので、複数のファイルも一度の番号入力で印刷が可能です。
パソコンで作成した確定申告書や、 自治体のホームページ上の各種申請フォーマットを印刷したり、スマートフォンに保存された写真を印刷して家族や友達と共有したりするなど、幅広い用途でお使いいただけます。さらに、印刷用ファイルを登録したユーザー番号をSNSに投稿して自分のイラスト作品を配布するといった、ネットワークプリントを活用した新たな楽しみ方も提案してまいります。」
ウ 甲10に記載された事項
甲10(コンテンツのデパート! こんぷりん 購入方法[セブン-イレブン]、 BeMap Inc.、 2015年、 https://gallery.conprin.com/howto/sej.html, [online], 2024年12月23日検索)には、以下の事項が記載されている。
「QRコードをかざして購入
1 QRコードを入手
当サイトで購入したい商品を確認します。
購入したい商品を見つけたら、商品詳細ページにある「QRコードを表示」ボタンを選択タッチするとQRコードを確認できます。
(※販売期間も忘れずに確認し、販売期間内に購入してください。)
2 コンビニ店頭へ
お近くのセブン‐イレブンへ向かいます。
店内のマルチコピー機を探します。
3 マルチコピー機にQRコードをかざし、購入・プリント
3-1.マルチコピー機のQRコード読み取り装置に、QRコードを表示したスマートフォンをかざします。
※QRコードを読み取らない場合は、タッチパネルで「QRコードを読み取る」ボタンを押してからかざしてください。
※スマートフォンの画面が回転してしまうと、QRコードが読み取れない場合があります。画面が回転しないように設定してから、QRコードをかざしてください。
3-2.注意事項が表示されるので、ご確認いただき「確認」ボタンを押します。
3-3.内容を確認の上、「これで決定」をタッチしてください。
※カラーモード、用紙サイズ、プリント料金は、各コンテンツによって異なります。
3-4.「コインでお支払い」か「nanacoでお支払い」を選んで支払い、「プリントスタート」を押すとプリントが始まります。
「コインでお支払い」は、マルチコピー機付属のコインキットへ現金(硬貨)を投入します。
「nanacoでお支払い」は、電子マネー(nanaco)によるお支払いになります。
3-5.ガイドにしたがって画面を進み、商品をプリントします。」
エ 周知技術Cの認定
甲8~甲10に例示されているように、次の事項は当業者にとって周知技術であると認められる(以下「周知技術C」という。)。
<周知技術C>
「Webブラウザから印刷したいファイルを、事前にアップロードしておき、その時発行された識別番号を、マルチコピー機に入力することで印刷を行うこと。」
(7) 甲11~甲13に記載された事項と周知技術D及びEの認定
ア 甲11に記載された事項
甲11(特開2001-121768号公報)には、以下の事項が記載されている。
「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱転写型プリンタなどの熱転写型記録装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の熱転写型記録装置は、図3に示すように、色材を転写するための色材形成層と複数色の色材層と保護層とが面順次に塗布されたインクシート1と、未使用のインクシート1を巻いてあるインク供給ロール2と、使用後のインクシート1を巻き取るインク巻き取りロール3と、温度検出用のサーミスタ5が搭載されているサーマルヘッド4と、透明なプラスチックカード6と、矢印A及び矢印Bの方向へ往復運動が可能でありプラスチックカード6を搭載するステージ7と、表面に画像形成を受ける未記録のプラスチックカード6を収納するカードカートリッジ8と、画像形成を受けるプラスチックカード6をステージ7に搬送する搬送ローラ対9と、画像形成済みのプラスチックカード6を排出する排出ローラ対12などで構成されている。なお、インクシート1とインク供給ロール2とインク巻き取りロール3とは、インクカートリッジ(図示せず)に一体的に収容されている。
【0003】以上のように構成された熱転写型記録装置の記録動作について説明する。この熱転写型記録装置本体がパーソナルコンピュータ等(図示せず)から印刷指令を受領すると、カードカートリッジ8より1枚のプラスチックカード6が引き出され、搬送ローラ対9によりステージ7上に導かれ、ステージ7上の所定の位置でカード固定手段10により固定される。このときの本装置内の温度をサーミスタ5にて検出する。サーミスタ5の出力は、図4に示すように、プリンタ制御回路22に入力される。プリンタ制御回路22は、パーソナルコンピュータ等からの画像信号とサーミスタ5の出力に応じて、サーマルヘッド4の発熱体(図示せず)の発熱量を指示する。発熱量制御手段23は、プリンタ制御回路22の指示に基づいて、サーマルヘッド4の発熱体の発熱量を制御する。
【0004】次に、ステージ7が印刷開始位置に移動した後に、サーマルヘッド4が下降しインクシート1を介してプラスチックカード6をプラテン11に圧着する。次に、ステージ7が矢印A方向に所定の速度で移動しながら、サーマルヘッド4の上に設けられている発熱体(図示せず)が発熱することで、インクシート1の上の色材形成層をプラスチックカード6に転写する。
【0005】プラスチックカード6への色材形成層の転写完了後、サーマルヘッド4は待機位置に上昇しインクシート1の第1の色材部分の頭出しが行われ、同時にステージ7は印刷開始位置に戻る。そして再度サーマルヘッド4によりインクシート1を介してプラスチックカード6を圧着し、インクシート1とプラスチックカード6とを密着させて搬送しながらサーマルヘッド4の発熱体を選択的に発熱させて、インクシート1の第1の色材をプラスチックカード6に転写する。
【0006】プラスチックカード6への第1の色材の転写完了後、サーマルヘッド4は待機位置に上昇しインクシート1の第2の色材部分の頭出しが行われ、同時にステージ7は印刷開始位置に戻り、前記の第1の色材と同様な動作を行い第2の色材のプラスチックカード6への転写が行われる。プラスチックカード6への第2の色材の転写完了後、前記と同様な動作によって全色材の転写が行われプラスチックカード7の上に所望の画像が形成される。
【0007】プラスチックカード6への全色材の転写完了後、サーマルヘッド4は待機位置に上昇しインクシート1の白色の保護層部分の頭出しが行われ、同時にステージ7は印刷開始位置に戻る。次にサーマルヘッド4によりインクシート1を介してプラスチックカード6を圧着し、サーマルヘッド4の発熱体を発熱させ、白色の保護層がプラスチックカード7に転写される。」
イ 甲12に記載された事項
甲12(特開2001-158119号公報)には、以下の事項が記載されている。
「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱溶融性又は昇華性のインクを用いた熱転写印刷装置に係り、特に、保存性の良い記録紙に印刷することができると共に極めて高画質な多階調記録が可能な熱転写印刷装置に関するものである。」
「【0003】そこで、本願出願人は、このような問題を解決するため、インクを一度多孔性層を持つ搬送フィルムに転写した後、このインクが転写された搬送フィルムを多孔性層ごと記録紙に定着させるようにした溶融型熱転写印刷装置を提案した(特開平6-198930号公報)。この従来の熱転写印刷装置によれば、記録紙の表面の平滑性によらず普通紙にも印刷することができる。
【0004】また、本願出願人は、インクフィルム側に不透明な白色層を設け、透明な記録媒体にインクを印刷して画像を形成した後、白色層を転写し、透明な記録媒体を介して画像を観視する熱転写印刷を提案している。この印刷によれば、画像は観視側からは透明な記録媒体を介しているから、擦過性に強く保存性も良い。」
ウ 甲13に記載された事項
甲13(特開平11-58927号公報)には、以下の事項が記載されている。
「【0046】以上のように、制御部4の撮影画像領域検出手段で検出した撮影画像の領域内に白色の不透明インクを転写し、その転写した白色の不透明インク上に重ねて、制御部4の撮影画像色分離手段でシアン、マゼンダおよびイエローに色分離した画像色に応じて撮影画像をそれぞれ、画像転写手段11で順次転写するため、簡単な構成で、撮影画像が転写された透明記録紙片25を暗い色の上に貼ったとしても、転写画像の下地の白色インクで転写画像部分が遮光されて下地の暗い色の影響を受けることなく、はっきり見ることができる転写画像を得ることができてシール仕上がりが綺麗で高級感もある。したがって、携帯電話やバッグなどの持ち物に貼って他人の持ち物と区別するために用いることもできて、いわゆる従来のプリントシールと比べてもかっこいい。」
「【0048】(実施形態2)上記実施形態1では、透明記録紙5b上の撮影画像領域内に不透明な白色インクを転写し、その転写した不透明塗料上に撮影画像を転写する場合について説明したが、本実施形態2では、その逆に、透明記録紙5b上に撮影画像を転写し、その転写したの撮影画像の領域内に白色系不透明としての白色インクを転写する所謂バックプリントの場合である。」
エ 周知技術Dの認定
甲11~甲13に例示されているように、次の事項は当業者にとって周知技術であると認められる(以下「周知技術D」という。)。
<周知技術D>
「透明な記録媒体にインクを印刷して画像を形成した後、白色層を転写し、透明な記録媒体を介して画像を観視すること。」
オ 周知技術Eの認定
甲13に例示されているように、次の事項は当業者にとって周知技術であると認められる(以下「周知技術E」という。)。
<周知技術E>
「透明記録紙上の撮影画像領域内に不透明な白色インクを転写し、その転写した不透明塗料上に撮影画像を転写すること。」
(8) 甲14~甲17に記載された事項と周知技術F及びGの認定
ア 甲14に記載された事項
甲第14(「やじうまWatch 人物写真をアップすると自動的に背景を切り抜いてくれるサービス登場。API公開も予定」、[online]、[令和7年7月18日検索]、インターネット<URL:https://internet.watch.impress.co.jp/docs/yajiuma/1159078.html>)には、以下の事項が記載されている。
「人物写真をアップすると自動的に背景を切り抜き、透過PNG画像として出力するウェブサービスが登場して話題になっている。
「remove.bg」と名付けられたこのサービスは、人物写真の切り抜きに特化した画像加工サービスで、手持ちの写真をアップロードするか、あるいは写真のURLを指定することで、全自動で背景を切り取り、透過PNGとして出力してくれる。いわゆる抜きは不得意なようだが、髪の毛など複雑なディティールも高い精度で切り抜けることが特徴。対象は人物のみだが、キャラクターのイラストなどでも一定の効果を発揮するようだ。一昨日ローンチされたばかりのサービスだが関心は高く、SNSを通じて世界各国で話題となっているようだ。APIについても公開の予定があるようなので、気になる人はメーリングリストに登録しておくとよさそうだ。」
イ 甲15に記載された事項
甲15(「画像から人物を切り抜き簡単AI任せの無料ソフト」、[online]、[令和7年7月18日検索]、インターネット<URL:https://www.nikkei.com/article/DGXMZO58385260T20C20A4000000/>)には、以下の事項が記載されている。
「画像から人物だけを切り抜き、はがきなどに貼り付けたりSNSのアイコンに使ったりすることがある。そんなときはフリーソフトの「エーアイビージーイレーサー」を活用したい。画像内に写っている人物を人工知能(AI)が自動判別し、背景だけを自動で削除できる。
このソフトの魅力は、難しい画像編集のスキルを一切必要とせず、「AIまかせ」にするだけで誰でも切り抜けること。利用者は画像をソフトに登録して実行ボタンを押すだけだ。
AIによって自動的に背景が削除され、人物のみが残った画像が完成する。切り抜きにかかる時間はわずか数秒と待たされない。海外製のソフトでメニューはすべて英語だが、操作で迷うことはないので安心だ[注1]。」
ウ 甲16に記載された事項
甲16(「【AI】自動で5秒!無料の人物切り抜きサービスの使い方と検証【Remove Image Background】」、[online]、[令和7年7月18日検索]、インターネット<URL:https://inovativeworks.com/rib_verification/>)には、以下の事項が記載されている。
「Twitterで話題になった、アップロードするだけでAIが自動的に、しかも5秒で写真の中の人物を切り出してくれるサービス「Remove Image Background」知っていますか?」
「クリエイティブな仕事において、人物切り抜きのシーンは結構あります。
もしこれが実用的なら、かなり革命的なサービスじゃないですか?
そこで、どの程度できるのかを検証することにしました。」
「使い方は非常に簡単で、サイトに行き、写真を選んでアップロードするか、URLを打ち込むだけであとは勝手に切り抜いてくれます。」
エ 甲17に記載された事項
甲17(「楽しい・可愛い!最新プリントシール機『MiXme.(ミックスミー)』2020年2月より設置開始」、[online]、[令和7年7月18日検索]、インターネット<URL:https://www.furyu.jp/news/2019/12/mixme>)には、以下の事項が記載されている。
「『MiXme.』はデザインに合わせて撮影する“合成撮影”で、まるでフォトスポットで撮ったような体験や仕上がりを楽しめるのが最大の特徴です。「合成プリ」を叶える背景として、大きなコスメに座ったり、可愛くラッピングされていたり、思わず“どうやって撮ったの?”と聞きたくなるようなデザインを種類豊富に展開。また正面カメラに加え、「天井カメラ」を撮影ブース頭上に新搭載しました。上方向から広くとらえた撮影で人物を“ちょこん”とした小さいサイズで写し、本当にオブジェと一緒に撮っているようなリアルな合成を実現。背景や2台のカメラに合わせてポーズを変えながら和気あいあいと撮影する、これまでとは一味違う楽しさをお届けいたします。」
「なお、撮影した人物の位置やサイズは、撮影後タッチペンを使って簡単に調整することが可能です。」
オ 周知技術Fの認定
甲14~甲16に例示されているように、次の事項は当業者にとって周知技術であると認められる(以下「周知技術F」という。)。
<周知技術F>
「人物を含む画像から人物のみを抽出する画像処理を行うこと。」
カ 周知技術Gの認定
甲17に例示されているように、次の事項は当業者にとって周知技術であると認められる(以下「周知技術G」という。)。
<周知技術G>
「人物画像と背景を合成する画像処理を行う場合に、人物画像の位置とサイズを調整すること。」
(9) 甲18~甲20に記載された事項と技術常識の認定
ア 甲18に記載された事項
特許異議申立人が、令和8年1月7日に意見書に添付して提出した甲第18号証(特開2012-162069号公報、以下単に「甲18」という。)には、以下の事項が記載されている。
「【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタ装置、及びその制御方法に関し、特に詳しくは、インクリボンを用いて印刷を行うプリンタ装置とその制御方法に関する。」
「【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、IDカード,身分証明用カードなどの識別情報の印刷にインクリボンを用いたプリンタ装置が利用されることがある。例えば、顔写真とともに、氏名、識別番号、住所、年齢等の文字情報が、識別情報として、カードに印刷される。すなわち、顔写真等の識別情報がカード固有の情報として印刷される。また、識別情報の印刷には、カードに直接印刷する直接印刷方式や、再転写フィルムに印刷する再転写印刷方式がある。再転写フィルムを用いた再転写印刷方式では、識別情報を、再転写フィルムに印刷する。これにより、再転写フィルムに識別情報の画像が形成される。そして、再転写フィルムをカードに圧着することにより、再転写フィルムに形成された画像がカードに再転写される。」
「【0007】
この識別情報の印刷について、図8を用いて説明する。図8は、識別情報の印刷処理を説明するための図である。図8において、カード800には、顔が印刷されたカラー印刷領域801と、文字が印刷されたモノクロ印刷領域802がある。カラー印刷領域801の印刷には、イエロー(Y)、マジェンタ(M)、シアン(C)のインクが用いられ、モノクロ印刷領域の印刷には、黒(K)のインクが用いられる。従って、インクリボン900には、イエローのYパネル901と、マジェンタのMパネル902と、シアンのCパネル903と、黒のKパネル904がこの順番で繰り返し設けられている。」
「
[図:0001438267000004.jpg]
」
イ 甲19に記載された事項
特許異議申立人が、令和8年1月7日に意見書に添付して提出した甲第19号証(特開2003-220737号公報、以下単に「甲19」という。)には、以下の事項が記載されている。
「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、カード等の記録媒体に画像・文字などの各種情報を印刷するための印刷方法及び印刷システムであって、特に、印刷方式を切り換えて上記各種情報を記録媒体の表面に全面印刷することができる印刷方法及び印刷システムに関するものである。」
「【0055】ステップ312では、SDRAM19Bに格納した画像データの拡大処理を実行する。図10(A)に示すように、IDカード等に使用されるカードとして最も一般的なカードサイズは、サーマルヘッド20に対する主走査方向となるカードCの縦方向(短手方向)は54mmであり、サーマルヘッド20に対する副走査方向(ライン方向)となるカードCの横方向(長手方向)は85.6mmである。従って、一般的なIDカードの縦横比は、1(縦):1.585(横)となる。また、図10(B)は、例えばIDカードとして印刷発行される際の各種データのレイアウト構成を概略的に示している。IDカードを社員証として使用する場合、例えば、社員本人の顔写真とともに、会社のロゴ、□や○で表される社員の個人情報(会社名、所属部署名、社員番号、個人氏名など)が印刷され、必要に応じて線などの紋様とともに、縁部分には背景画が配置されることもある。上述したように、最近では、これらの各種情報がパソコンPC側で任意にレイアウトされてカードの全面に対して印刷されたIDカードとして各種用途に応じて用いられている。」
「
[図:0001438267000005.jpg]
」
ウ 甲20に記載された事項
(ア) 特許異議申立人が、令和8年1月7日に意見書に添付して提出した甲第20号証(「透明カードの社員証について~1枚から印刷OK~」、[online]、[令和7年12月17日検索]、インターネット<URL:https://www.japan-card.jp/newcards/post-3863/>、以下単に「甲20」という。)には、以下の事項が記載されている。
「今回は、1枚から印刷可能な「透明カードの社員証」をご紹介します。“インクジェット印刷”をすることで、少ロットから対応することができます。」
「透明カードは、他にはない雰囲気の社員証で、会社の個性をアピールできることが強みです。しかし、イラストレーターなどのデータでは透明部分が表現できないため、作成にあたっていくつか注意点があります。」
「
[図:0001438267000006.jpg]
」
(イ) 前記(ア)から、カードには、社員の顔写真以外に、「社員証」、「社員番号」、「所属」、「氏名」、「入射月日」、「会社名」とともに、青い帯状の線や会社のロゴ等が顔写真の余白部分に印刷されていることが読み取れる。
エ 技術常識の認定
甲18~甲20に例示されているように、次の事項は当業者にとって技術常識であると認められる。
<技術常識>
「カードに、画像を印刷するとともに、当該画像を印刷した領域の余白部分にデザインを印刷すること。」
3 当審の判断(甲1に基づく進歩性欠如)
(1) 本件訂正発明1について
ア 対比分析
本件訂正発明1と甲1発明1を対比する。
(ア) 構成1Xについて
a 甲1発明1の「CR500即時発行システム」は、「再転写印刷技術を使用して、様々なPVC及び非PVCカードの表面に高品質の端から端までの印刷を行[う]」「Datacard CR500カードプリンタ」から構成される「システム」である。
b 前記aを踏まえると、甲1発明1の「カード」及び「CR500即時発行システム」は、それぞれ本件訂正発明1の「印画物」及び「印画物製造システム」に相当する。
c したがって、本件訂正発明1と甲1発明1は、「印画物製造システム」の発明である点において一致する。
(イ) 構成1Aについて
a 甲1発明1の「3種類のID-1カードをセットできるマルチホッパー」と本件訂正発明1の「白色カード基材及び透明カード基材を収納する収納部」は、「複数のカード基材を収納する収納部」という点において共通する。
b(a) 甲1発明1の「プリンタ」は、「CardWizardソフトウェア」から「必要な種類のカードが装填されているホッパーからカードを選択するよう」「指示[される]」ものである。
(b) 前記(a)を踏まえると、甲1発明1の「3種類のID-1カードをセットできるマルチホッパー」から「選択」された「カード」と、本件訂正発明1の「前記収納部から搬出された前記白色カード基材又は前記透明カード基材」は、「前記収納部から搬出された前記複数のカード基材のいずれかのカード基材」という点において共通する。
c 甲1発明1の「再転写印刷プロセスでは、カラーインクリボンと再転写フィルムの2種類のリボンを使用し」、「再転写フィルムに画像を印刷した後、加熱ローラーが画像をカードに転写[する]」ことと、本件訂正発明1の「受容層に画像を形成してから前記受容層を転写するか、又は受容層を転写してから前記受容層に画像を形成する」ことは、「転写媒体に画像を形成してから転写する」という点において共通する。
d 甲1発明1の「Datacard CR500カードプリンタ」は、本件訂正発明1の「カードプリント装置」に相当する。
e したがって、本件訂正発明1と甲1発明1は、「複数のカード基材を収納する収納部を有し、前記収納部から搬出された前記複数のカード基材のいずれかのカード基材に対し、転写媒体に画像を形成してから転写するカードプリント装置」を備える点において共通する。
f 一方、本件訂正発明1と甲1発明1は、構成1Aに関して、次の(a)及び(b)に示す点において相違する。
(a) 「収納部」に収納された「複数のカード基材」が、
本件訂正発明1においては、
「白色カード基材及び透明カード基材」であり、「前記収納部から搬出された前記白色カード基材又は前記透明カード基材に対し」、画像が転写されるのに対して、
甲1発明1においては、
3種類のID-1カードであり、これらのID-1カードから選択されたいずれかのカードに画像が転写されるものであるが、その3種類のID-1カードに、白色カード基材と透明カード基材が含まれているのか不明な点。
(b) 「カード基材に対し」、「転写媒体に画像を形成してから転写する」ことについて、
本件訂正発明1においては、
「受容層に画像を形成してから前記受容層を転写するか、又は受容層を転写してから前記受容層に画像を形成する」のに対して、
甲1発明1においては、
再転写フィルムに画像を印刷した後、加熱ローラーが画像をカードに転写するものではあるが、再転写フィルムが受容層を有しているのか不明な点。
(ウ) 構成1Bについて
本件訂正発明1と甲1発明1は、構成1Bに関して、次に示す点において相違する。
本件訂正発明1においては、
「ユーザ端末から、画像データ、及びカード基材の種類を示す情報、画像から人物領域の抽出を行うか否かの情報及びカード基材に画像をプリントする領域と余白部分がある場合に余白部分に入れるデザインとに関するレイアウト情報を含むカード作製情報を受信し、前記カード作製情報を、前記カード作製情報を識別する識別情報と対応付けて保存し、前記カード作製情報において画像から人物領域の抽出を行うことが規定されている場合、前記画像データから人物領域の抽出を行い、抽出した人物領域を前記カード作製情報の画像データに置き換えるサーバ装置」を備えているのに対して、
甲1発明1においては、
PCから、ネットワーク経由で、印刷対象となるカードタイプと、カードデザインを含むデータをプリンタに送っているものの、サーバ装置を備えているのか不明な点。
(エ) 構成1Cについて
a(a) 甲1発明1においては、「各ホッパー内のカードタイプを、前記ソフトウェアに識別させ、前記ソフトウェアは、必要な種類のカードが装填されているホッパーからカードを選択するようプリンタに指示し」、「前記ソフトウェアの指示にしたがってカードデザインを選択し」、「カードのデータを印刷用に準備し、プリンタに送り、プリンタはカードを処理し、印刷[する]」ものである。
(b) 前記(a)を踏まえると、甲1発明1の「カードプリンタ」は、印刷対象となるカードタイプとカードデザインを受け取っているものと認められるところ、この「印刷対象となるカードタイプ」、「カードデザイン」及び「印刷対象となるカードタイプとカードデザイン」は、それぞれ本件訂正発明1の「カード作製情報で示される種類のカード基材」、「カード作製情報に含まれる前記画像データ」及び「カード作製情報」に相当する。
b 前記aを踏まえると、甲1発明1の「カードプリンタ」と本件訂正発明1の「カードプリント装置」は、「カード作製情報を取得し、前記カード作製情報で示される種類のカード基材を前記収納部から搬出し、前記カード作製情報に含まれる前記画像データに基づいて画像を形成する」点において共通する。
c したがって、本件訂正発明1と甲1発明1は、「前記カードプリント装置は、カード作製情報を取得し、前記カード作製情報で示される種類のカード基材を前記収納部から搬出し、前記カード作製情報に含まれる前記画像データに基づいて画像を形成する」点において共通する。
d 一方、本件訂正発明1と甲1発明1は、構成1Cに関して、次の(a)~(c)に示す点において相違する。
(a) 「カードプリント装置」が、「カード作製情報を取得[する]」ことについて、
本件訂正発明1においては、
「カードプリント装置」が、「識別情報を取得すると、取得した前記識別情報を前記サーバ装置へ送信し、前記サーバ装置から前記識別情報に対応する前記カード作製情報を取得し[ている]」のに対して、
甲1発明1においては、
カードプリンタは、PCから、ネットワーク経由で、印刷対象となるカードタイプと、カードデザインを含むデータを取得しているものの、サーバ装置を備えているのか不明であり、サーバ装置を介して前記データを取得しているのか不明な点。
(b) 「前記カード作製情報に含まれる前記画像データに基づいて画像を形成し[ている]」ことについて、
本件訂正発明1においては、
「画像データ」及び「レイアウト情報」に基づいて「受容層」に画像が形成されるのに対して、
甲1発明1においては、
再転写フィルムが受容層を有しており、この受容層にカード作製情報に含まれる画像データ及び前記レイアウト情報に基づいて画像が形成されているか不明な点。
(c) 本件訂正発明1においては、
「前記カード作製情報で示されるカード基材の種類が透明カード基材である場合、前記透明カード基材に対し白色層を転写する」のに対して、
甲1発明1においては、
そのような構成を備えていない点。
イ 一致点及び相違点
前記アの対比分析の検討結果を総合すると、本件訂正発明1と甲1発明1の一致点及び相違点は、それぞれ次に示すとおりである。
(ア) 一致点
1A’ 複数のカード基材を収納する収納部を有し、前記収納部から搬出された前記複数のカード基材のいずれかのカード基材に対し、転写媒体に画像を形成してから転写するカードプリント装置と、を備え、
1C’ 前記カードプリント装置は、カード作製情報を取得し、前記カード作製情報で示される種類のカード基材を前記収納部から搬出し、前記カード作製情報に含まれる前記画像データに基づいて画像を形成する、
1X 印画物製造システム、である点。
(イ) 相違点
a 相違点1(構成1A、1C)
「収納部」に収納された「複数のカード基材」が、
本件訂正発明1においては、
「白色カード基材及び透明カード基材」であり、「前記収納部から搬出された前記白色カード基材又は前記透明カード基材に対し」、画像が転写され、
「前記カード作製情報で示されるカード基材の種類が透明カード基材である場合、前記透明カード基材に対し白色層を転写する」のに対して、
甲1発明1においては、
3種類のID-1カードであり、これらのID-1カードから選択されたいずれかのカードに画像が転写されるものであるが、その3種類のID-1カードに、白色カード基材と透明カード基材が含まれているのか不明な点。
b 相違点2(構成1A、1C)
「カード基材に対し」、「前記カード作製情報に含まれる前記画像データに基づいて」「転写媒体に画像を形成してから転写する」ことについて、
本件訂正発明1においては、
「画像データ」及び「レイアウト情報」に基づいて「受容層」に画像が形成され、「受容層に画像を形成してから前記受容層を転写するか、又は受容層を転写してから前記受容層に画像を形成する」のに対して、
甲1発明1においては、
再転写フィルムに画像を印刷した後、加熱ローラーが画像をカードに転写するものではあるが、再転写フィルムが受容層を有しており、この受容層にカード作製情報に含まれる画像データ及び前記レイアウト情報に基づいて画像が形成されているか不明な点。
c 相違点3(構成1B、1C)
本件訂正発明1においては、
「ユーザ端末から、画像データ、カード基材の種類を示す情報、画像から人物領域の抽出を行うか否かの情報及びカード基材に画像をプリントする領域と余白部分がある場合に余白部分に入れるデザインとに関するレイアウト情報を含むカード作製情報を受信し、前記カード作製情報を、前記カード作製情報を識別する識別情報と対応付けて保存し、前記カード作製情報において画像から人物領域の抽出を行うことが規定されている場合、前記画像データから人物領域の抽出を行い、抽出した人物領域を前記カード作製情報の画像データに置き換えるサーバ装置」を備えており、
「カードプリント装置」が、「識別情報を取得すると、取得した前記識別情報を前記サーバ装置へ送信し、前記サーバ装置から前記識別情報に対応する前記カード作製情報を取得し[ている]」のに対して、
甲1発明1においては、
カードプリンタは、PCから、ネットワーク経由で、印刷対象となるカードタイプと、カードデザインを含むデータを取得しているものの、サーバ装置を備えているのか不明であり、サーバ装置を介して前記データを取得しているのか不明な点。
ウ 当審の判断
(ア) 相違点1についての判断
前記相違点1について検討する。
a(a) 前記2(2)イにおいて甲2技術事項として示したとおり、甲2には、次の技術事項が記載されている。
「CR500即時発行システムにおいて、再転写フィルムが中間転写媒体であり、印刷対象となるカードが、ISO/IEC 7810 タイプID-1のカードであること。」
(b) また、前記2(4)ウにおいて周知技術Aとして示したとおり、次の事項は、本件特許出願前に周知である。
「ID-1カードやICカードに透明なカードが含まれていること。」
(c) さらに、前記2(7)エ及びオにおいて周知技術D及びEとして示したとおり、次の事項は、本件特許出願前に周知である。
「透明な記録媒体にインクを印刷して画像を形成した後、白色層を転写し、透明な記録媒体を介して画像を観視すること。」
「透明記録紙上の撮影画像領域内に不透明な白色インクを転写し、その転写した不透明塗料上に撮影画像を転写すること。」
b ここで、白色のカードは例示するまでもなく周知であり、透明のカードも前記a(b)に示したとおり周知であるから、甲1発明1において、3種類のID-1カードに白色カード基材を備えたカード及び透明カード基材を備えたカードが含まれるようにすることは、当業者が適宜なし得る設計事項にすぎない。
c そして、甲1発明1において、印刷対象が透明カードである場合に、前記周知技術D及び周知技術Eを適用して、透明カード基材に対し白色層を転写することは、当業者が容易に想到し得たことである。
(イ) 相違点2についての判断
前記相違点2について検討する。
a(a) 前記2(2)イにおいて甲2技術事項として示したとおり、甲2には、次の技術事項が記載されている。
「CR500即時発行システムにおいて、再転写フィルムが中間転写媒体であり、印刷対象となるカードが、ISO/IEC 7810 タイプID-1のカードであること。」
(b) また、前記2(5)ウにおいて周知技術Bとして示したとおり、次の事項は、本件特許出願前に周知である。
「中間転写媒体が受容層を有すること。」
(c) さらに、前記2(7)オにおいて周知技術Eとして示したとおり、次の事項は、本件特許出願前に周知である。
「透明記録紙上の撮影画像領域内に不透明な白色インクを転写し、その転写した不透明塗料上に撮影画像を転写すること。」
b 前記a(a)~(c)を踏まえると、甲1発明1において、再転写フィルムとして、受容層を有する中間転写媒体を採用し、前記受容層に画像を形成してから転写する、又は、前記受容層を転写してから画像を形成することは、当業者が容易に想到し得たことである。
c また、カードに形成する画像の一部に人物画像を含ませることは普通に行われているところ、その場合、前記2(8)カにおいて周知技術Gとして示したとおり、人物画像と背景を合成する画像処理を行う際に、人物画像の位置とサイズを調整すること自体は周知であるから、甲1発明1においてID-1カードに転写する画像が人物画像である場合に、前記周知技術Gを適用して、そのために必要な、人物画像の位置を調整するためのレイアウト情報を含ませ、それに基づいて画像を形成することに格別の困難性があるものではない。
(ウ) 相違点3についての判断
前記相違点3について検討する。
a(a) 前記2(3)ウにおいて甲3技術事項として示したとおり、甲3には、次の技術事項が記載されている。
「PCから、「2a.PIN及び画像の選択と、カード請求」をWizardサーバに送信し、Wizardサーバが「2b.カード符号化、エンボス及び印刷」を、「カード配送」として、Datacard CR500即時発行システムに送信して、カードを発行すること。」
(b) また、前記2(6)エにおいて周知技術Cとして示したとおり、次の事項は、本件特許出願前に周知である。
「Webブラウザから印刷したいファイルを、事前にアップロードしておき、その時発行された識別番号を、マルチコピー機に入力することで印刷を行うこと。」
b(a) 甲1発明1は、PCからカードプリンタに、ネットワーク経由で、印刷対象となるカードタイプと、カードデザインを含むデータを送信しているところ、甲3技術事項を適用して、Wizardサーバを介して当該データを送信するようにすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
(b) その際、前記2(8)オ及びカにおいて周知技術F、周知技術Gとして示したとおり、人物を含む画像から人物のみを抽出する画像処理を行うことや、人物画像と背景を合成する画像処理を行う場合に、人物画像の位置とサイズを調整することは周知であり、また前記2(9)エにおいて示したとおり、カードの画像を印刷した領域以外の余白部分にデザインを印刷することは技術常識であるから、甲1発明1において、人物画像の位置調整や、余白部分がある場合に余白部分にデザインを印刷するためのレイアウト情報を有するようにするとともに、Wizardサーバに人物領域の抽出を行わせて画像データを置き換える機能をもたせるようにすることに格別の困難性があるものではない。
c また、カードのデータ送信を、前記周知技術Cに倣って、一旦、カードの情報をサーバに登録して識別番号を発行し、プリンタから当該識別番号を用いてカードの情報を取得するようにすることにも、格別の困難性は認められない。
(エ) 小括
前記(ア)~(ウ)を総合的に勘案しても、甲1発明1において、前記相違点1から相違点3に係る本件訂正発明1の構成を備えるようにすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
そして、本件訂正発明1によって奏される効果は、当業者が予測困難であり、格別顕著なものは、認めることができない。
したがって、本件訂正発明1は、甲1発明1、甲2技術事項、甲3技術事項、周知技術A~G及び技術常識に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
(2) 本件訂正発明2について
甲1発明1においては、印刷対象となるカードタイプを選択しているところ、透明カードを選択した際に、前記周知技術D及び周知技術Eのいずれの印刷を行うかも併せて選択するようにすること、すなわち、「前記カード作製情報は、画像の背面側に透明カード基材が位置するか、又は透明カード基材を透して画像を見るかが規定され[る]」ようにすることは、当然に配慮されるべきことにすぎない。
(3) 本件訂正発明3について
前記「(1) 本件訂正発明1について」のウ(ウ)に示したとおり、甲1発明1において、カードのデータ送信を、前記周知技術Cに倣って、一旦、カードの情報をサーバに登録して識別番号を発行し、プリンタから当該識別番号を用いてカードの情報を取得するようにすることに、格別の困難性は認められない。
(4) 本件訂正発明4について
ア 対比分析
本件訂正発明4と甲1発明2を対比する。
(ア) 構成4Xについて
a 甲1発明2の「CR500即時発行システムを用いたカードの作成方法」は、「再転写印刷技術を使用して、様々なPVC及び非PVCカードの表面に高品質の端から端までの印刷を行[う]」「カードの作成方法」である。
b 前記aを踏まえると、甲1発明2の「カード」及び「CR500即時発行システムを用いたカードの作成方法」は、それぞれ本件訂正発明4の「印画物」及び「印画物製造方法」に相当する。
c したがって、本件訂正発明4と甲1発明2は、「印画物製造方法」の発明である点において一致する。
(イ) 構成4Aについて
本件訂正発明4と甲1発明2は、構成4Aに関して、次に示す点において相違する。
本件訂正発明4においては、
「サーバ装置が、ユーザ端末から、画像データ、カード基材の種類を示す情報、画像から人物領域の抽出を行うか否かの情報及びカード基材に画像をプリントする領域と余白部分がある場合に余白部分に入れるデザインとに関するレイアウト情報を含むカード作製情報を受信し、前記カード作製情報を、前記カード作製情報を識別する識別情報と対応付けて保存し、前記カード作製情報において画像から人物領域の抽出を行うことが規定されている場合、前記画像データから人物領域の抽出を行い、抽出した人物領域を前記カード作製情報の画像データに置き換え[ている]」のに対して、
甲1発明2においては、
サーバ装置を備えているのか不明な点。
(ウ) 構成4Bについて
a 甲1発明2の「3種類のID-1カードをセットできるマルチホッパーが搭載されて[いる]」「カードプリンタ」と本件訂正発明4の「白色カード基材及び透明カード基材を収納する収納部を有するカードプリント装置」は、「複数のカード基材を収納する収納部を有するカードプリント装置」という点において共通する。
b(a) 甲1発明2においては、「各ホッパー内のカードタイプを、前記ソフトウェアに識別させ、前記ソフトウェアは、必要な種類のカードが装填されているホッパーからカードを選択するようプリンタに指示し」、「前記ソフトウェアの指示にしたがってカードデザインを選択し」、「カードのデータを印刷用に準備し、プリンタに送り、プリンタはカードを処理し、印刷[する]」ものである。
(b) 前記(a)を踏まえると、甲1発明2の「カードプリンタ」は、印刷対象となるカードタイプとカードデザインを受け取っているものと認められるところ、この「印刷対象となるカードタイプ」及び「印刷対象となるカードタイプとカードデザイン」は、それぞれ本件訂正発明4の「カード作製情報で示される種類のカード基材」及び「カード作製情報」に相当する。
c 甲1発明2の「再転写印刷プロセスでは、カラーインクリボンと再転写フィルムの2種類のリボンを使用し」、「再転写フィルムに画像を印刷した後、加熱ローラーが画像をカードに転写[する]」ことと、本件訂正発明4の「受容層に画像を形成してから前記受容層を転写するか、又は受容層を転写してから前記受容層に画像を形成する」ことは、「転写媒体に画像を形成してから転写する」という点において共通する。
d 前記b及びcを踏まえると、本件訂正発明4と甲1発明2は、「カードブリント装置」が、「カード作製情報を取得し、前記カード作製情報で示される種類のカード基材を前記収納部から搬出し、前記収納部から搬出されたカード基材に対し、転写媒体に画像を形成してから転写する」点において共通する。
e したがって、前記a~d及び前記(ア)を踏まえると、本件訂正発明4と甲1発明2は、「複数のカード基材を収納する収納部を有するカードプリント装置が、カード作製情報を取得し、前記カード作製情報で示される種類のカード基材を前記収納部から搬出し、前記収納部から搬出されたカード基材に対し、転写媒体に画像を形成してから転写する印画物製造方法」である点において共通する。
f 一方、本件訂正発明4と甲1発明2は、構成4Bに関して、次の(a)~(c)に示す点において相違する。
(a) 「収納部」に収納された「複数のカード基材」が、
本件訂正発明4においては、
「白色カード基材及び透明カード基材」であるのに対して、
甲1発明2においては、
3種類のID-1カードであるが、その3種類のID-1カードに、白色カード基材及び透明カード基材が含まれているのか不明な点。
(b) 「カードプリント装置」が、「カード作製情報を取得[する]」ことについて、
本件訂正発明4においては、
「カードプリント装置」が、「識別情報を取得して前記サーバ装置へ送信し、前記サーバ装置から前記識別情報に対応する前記カード作製情報を取得し[ている]」のに対して、
甲1発明2においては、
カードプリンタは、PCから、ネットワーク経由で、印刷対象となるカードタイプと、カードデザインを含むデータを取得しているものの、サーバ装置を備えているのか不明であり、サーバ装置を介して前記データを取得しているのか不明な点。
(c) 「カード基材に対し」、「転写媒体に画像を形成してから転写する」ことについて、
本件訂正発明4においては、
「受容層に画像を形成してから前記受容層を転写するか、又は受容層を転写してから前記受容層に画像を形成する」のに対して、
甲1発明2においては、
再転写フィルムに画像を印刷した後、加熱ローラーが画像をカードに転写するものではあるが、再転写フィルムが受容層を有しているのか不明な点。
(エ) 構成4Cについて
a 前記(ウ)b(a)及び(b)を踏まえると、甲1発明2の「カードプリンタ」は、印刷対象となるカードタイプと、カードデザインを含む、カードを作成するためのデータを受け取っているものと認められるところ、この「カードデザイン」及び「カードを作成するためのデータ」は、それぞれ本件訂正発明4の「前記カード作製情報に含まれる前記画像データ」及び「カード作製情報」に相当する。
b 前記aを踏まえると、甲1発明2の「カードプリンタ」と本件訂正発明4の「カードプリント装置」は、「前記カード作製情報に含まれる前記画像データに基づいて画像を形成[する]」点において共通する。
c したがって、本件訂正発明4と甲1発明2は、「前記カードプリント装置は、前記カード作製情報に含まれる前記画像データに基づいて画像を形成[する]」点において共通する。
d 一方、本件訂正発明4と甲1発明2は、構成4Cに関して、次の(a)及び(b)に示す点において相違する。
(a) 「前記カード作製情報に含まれる前記画像データに基づいて画像を形成し[ている]」ことについて、
本件訂正発明4においては、
「画像データ」及び「レイアウト情報」に基づいて「受容層」に画像が形成されるのに対して、
甲1発明2においては、
再転写フィルムが受容層を有しており、この受容層にカード作製情報に含まれる画像データ及び前記レイアウト情報に基づいて画像が形成されているか不明な点。
(b) 本件訂正発明4においては、
「前記カード作製情報で示されるカード基材の種類が透明カード基材である場合、前記透明カード基材に対し白色層を転写する」のに対して、
甲1発明2においては、
そのような構成を備えていない点。
イ 一致点及び相違点
前記アの対比分析の検討結果を総合すると、本件訂正発明4と甲1発明2の一致点及び相違点は、それぞれ次に示すとおりである。
(ア) 一致点
4B’ 複数のカード基材を収納する収納部を有するカードプリント装置が、カード作製情報を取得し、前記カード作製情報で示される種類のカード基材を前記収納部から搬出し、前記収納部から搬出されたカード基材に対し、転写媒体に画像を形成してから転写する印画物製造方法であって、
4C’ 前記カードプリント装置は、前記カード作製情報に含まれる前記画像データに基づいて画像を形成する、
4X 印画物製造方法、である点。
(イ) 相違点
a 相違点4(構成4B、4C)
「収納部」に収納された「複数のカード基材」が、
本件訂正発明4においては、
「白色カード基材及び透明カード基材」であり、「前記カード作製情報で示されるカード基材の種類が透明カード基材である場合、前記透明カード基材に対し白色層を転写する」のに対して、
甲1発明2においては、
3種類のID-1カードであるが、その3種類のID-1カードに、白色カード基材及び透明カード基材が含まれているのか不明な点。
b 相違点5(構成4B、4C)
「カード基材に対し」、「前記カード作製情報に含まれる前記画像データに基づいて」「転写媒体に画像を形成してから転写する」ことについて、
本件訂正発明4においては、
「画像データ」及び「レイアウト情報」に基づいて「受容層」に画像が形成され、「受容層に画像を形成してから前記受容層を転写するか、又は受容層を転写してから前記受容層に画像を形成する」のに対して、
甲1発明2においては、
再転写フィルムに画像を印刷した後、加熱ローラーが画像をカードに転写するものではあるが、再転写フィルムが受容層を有しており、この受容層にカード作製情報に含まれる画像データ及び前記レイアウト情報に基づいて画像が形成されているか不明な点。
c 相違点6(構成4A、4B)
本件訂正発明4においては、
「サーバ装置が、ユーザ端末から、画像データ、カード基材の種類を示す情報、画像から人物領域の抽出を行うか否かの情報及びカード基材に画像をプリントする領域と余白部分がある場合に余白部分に入れるデザインとに関するレイアウト情報を含むカード作製情報を受信し、前記カード作製情報を、前記カード作製情報を識別する識別情報と対応付けて保存し、前記カード作製情報において画像から人物領域の抽出を行うことが規定されている場合、前記画像データから人物領域の抽出を行い、抽出した人物領域を前記カード作製情報の画像データに置き換え」、
「カードプリント装置」が、「識別情報を取得して前記サーバ装置へ送信し、前記サーバ装置から前記識別情報に対応する前記カード作製情報を取得し[ている]」のに対して、
甲1発明2においては、
カードプリンタは、PCから、ネットワーク経由で、印刷対象となるカードタイプと、カードデザインを含むデータを取得しているものの、サーバ装置を備えているのか不明であり、サーバ装置を介して前記データを取得しているのか不明な点。
ウ 当審の判断
(ア) 相違点4についての判断
a 前記「(1) 本件訂正発明1について」のウ(ア)及び(イ)に示した理由と同じ理由により、甲1発明2において、3種類のID-1カードに白色カード基材及び透明カード基材を備えたカードが含まれるようにするとともに、再転写フィルムとして、受容層を有する中間転写媒体を採用し、前記受容層に画像を形成してから転写する、又は、前記受容層を転写してから画像を形成することは、当業者が容易に想到し得たことである。
b そして、甲1発明2において、印刷対象が透明カードである場合に、前記周知技術D及び周知技術Eを適用して、透明カード基材に対し白色層を転写することは、当業者が容易に想到し得たことである。
(イ) 相違点5についての判断
a 前記「(1) 本件訂正発明1について」のウ(イ)に示した理由と同じ理由により、甲1発明2において、再転写フィルムとして、受容層を有する中間転写媒体を採用し、前記受容層に画像を形成してから転写する、又は、前記受容層を転写してから画像を形成することは、当業者が容易に想到し得たことである。
b また、ID-1カードに転写する画像が人物画像である場合に、前記周知技術Gを適用して、人物画像の位置を調整するためのレイアウト情報を有することに格別の困難性があるものではない。
(ウ) 相違点6についての判断
a 前記「(1) 本件訂正発明1について」のウ(ウ)に示した理由と同じ理由により、甲1発明2に甲3技術事項を適用して、Wizardサーバを介して当該データを送信するようにすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
b その際、前記2(8)オ及びカにおいて周知技術F及び周知技術Gとして示したとおり、人物を含む画像から人物のみを抽出する画像処理を行うことや、人物画像と背景を合成する画像処理を行う場合に、人物画像の位置とサイズを調整することは周知であり、また前記2(9)エにおいて示したとおり、カードの画像を印刷した領域以外の余白部分にデザインを印刷することは技術常識であるから、甲1発明2において、人物画像の位置調整や、余白部分がある場合に余白部分にデザインを印刷するためのレイアウト情報を有するようにするとともに、Wizardサーバに人物領域の抽出を行わせて画像データを置き換える機能をもたせるようにすることに格別の困難性があるものではない。
c また、カードのデータ送信を、前記周知技術Cに倣って、一旦、カードの情報をサーバに登録して識別番号を発行し、プリンタから当該識別番号を用いてカードの情報を取得するようにすることにも、格別の困難性は認められない。
(エ) 小括
前記(ア)~(ウ)を総合的に勘案しても、甲1発明2において、前記相違点4から相違点6に係る本件訂正発明4の構成を備えるようにすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
そして、本件訂正発明4によって奏される効果は、当業者が予測困難であり、格別顕著なものは、認めることができない。
したがって、本件訂正発明4は、甲1発明2、甲2技術事項、甲3技術事項、周知技術A~G及び技術常識に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
(5) 本件訂正発明5について
ア 対比分析
本件訂正発明5と甲1発明1を対比する。
(ア) 構成5Xについて
a 甲1発明1の「CR500即時発行システム」は、「再転写印刷技術を使用して、様々なPVC及び非PVCカードの表面に高品質の端から端までの印刷を行[う]」「Datacard CR500カードプリンタ」から構成される「システム」である。
b 前記aを踏まえると、甲1発明1の「カード」及び「CR500即時発行システム」は、それぞれ本件訂正発明5の「印画物」及び「印画物製造システム」に相当する。
c したがって、本件訂正発明5と甲1発明1は、「印画物製造システム」の発明である点において一致する。
(イ) 構成5Aについて
本件訂正発明5と甲1発明1は、構成5Aに関して、次に示す点において相違する。
本件訂正発明5においては、
「制御端末から、画像データ、画像から人物領域の抽出を行うか否かの情報及び透明カード基材に画像をプリントする領域と余白部分がある場合に余白部分に入れるデザインとに関するレイアウト情報を含むと共に、画像の背面側に透明カード基材が位置するか、又は透明カード基材を透して画像を見るかが規定されたカード作製情報を受信し、前記カード作製情報において画像から人物領域の抽出を行うことが規定されている場合、前記画像データから人物領域の抽出を行い、抽出した人物領域を前記カード作製情報の画像データに置き換えるサーバ装置」を備えているのに対して、
甲1発明1においては、
PCから、ネットワーク経由で、印刷対象となるカードタイプと、カードデザインを含むデータをプリンタに送っているものの、サーバ装置を備えているのか不明な点。
(ウ) 構成5Bについて
a 甲1発明1の「3種類のID-1カードをセットできるマルチホッパーが搭載されて[いる]」「カードプリンタ」と本件訂正発明5の「透明カード基材を収納[する]」「カードプリント装置」は、「カード基材を収納[する]」「カードプリント装置」という点において共通する。
b 前記(1)ア(エ)の検討を踏まえると、甲1発明1の「カードプリンタ」と本件訂正発明5の「カードプリント装置」は、「前記カード作製情報を取得する」点において共通する。
c 前記(1)ア(イ)及び(エ)の検討を踏まえると、甲1発明1の「カードプリンタ」と本件訂正発明5の「カードプリント装置」は、「カード作製情報に含まれる前記画像データに基づく画像を転写媒体に形成してから前記カード基材に転写する」点において共通する。
d したがって、本件訂正発明5と甲1発明1は、「カード基材を収納し、カード作製情報を受信し、前記カード作製情報に含まれる前記画像データに基づく画像を転写媒体に形成してから前記カード基材に転写するカードプリント装置」を備える点において共通する。
e 一方、本件訂正発明5と甲1発明1は、構成5Bに関して、次の(a)~(c)に示す点において相違する。
(a) 「カードプリント装置」が収納する「カード基材」が、
本件訂正発明5においては、
「透明カード基材」であるのに対して、
甲1発明1においては、
3種類のID-1カードであるが、その3種類のID-1カードに、透明カード基材が含まれているのか不明な点。
(b) 「カードプリント装置」が受信する「カード作製情報」について、
本件訂正発明5においては、
「サーバ装置から」受信しているのに対して、
甲1発明1においては、
サーバ装置を備えているか不明であり、前記サーバ装置を介して受信しているのか不明な点。
(c) 「カード作製情報に含まれる前記画像データに基づく画像を転写媒体に形成してから前記カード基材に転写する」ことについて、
本件訂正発明5においては、
「画像を受容層に形成してから前記受容層を前記透明カード基材に転写するか、又は前記透明カード基材に受容層を転写してから前記受容層に前記画像データに基づく画像を形成する」ものであり、前記受容層に形成される画像が、「画像データ」及び「レイアウト情報」に基づくものであるのに対して、
甲1発明1においては、
再転写フィルムに画像を印刷した後、加熱ローラーが画像をカードに転写するものではあるが、再転写フィルムが受容層を有しており、この受容層にカード作製情報に含まれる画像データ及び前記レイアウト情報に基づいて画像が形成されているか不明な点。
(エ) 構成5Cについて
本件訂正発明5と甲1発明1は、構成5Cに関して、次に示す点において相違する。
本件訂正発明5においては、
「前記カードプリント装置は、前記カード作製情報に、画像の背面側に透明カード基材が位置すると規定されている場合、前記透明カード基材と前記受容層との間に白色層を転写し、前記カード作製情報に、透明カード基材を透して画像を見ると規定されている場合、前記透明カード基材上に前記受容層を転写し、前記受容層上に白色層を転写する」のに対して、
甲1発明1においては、
マルチホッパーにセットされる3種類のID-1カードに、透明カード基材が含まれているか不明であり、カードプリンタが受信する、印刷対象となるカードタイプに透明カードが含まれているか不明な点。
イ 一致点及び相違点
前記アの対比分析の検討結果を総合すると、本件訂正発明5と甲1発明1の一致点及び相違点は、それぞれ次に示すとおりである。
(ア) 一致点
5B’ カード基材を収納し、カード作製情報を取得し、前記カード作製情報に含まれる前記画像データに基づく画像を転写媒体に形成してから前記カード基材に転写するカードプリント装置と、
を備える、
5X 印画物製造システム、である点。
(イ) 相違点
a 相違点7(構成5C)
「カードプリント装置」が収納する「カード基材」が、
本件訂正発明5においては、
「透明カード基材」であり、「前記カードプリント装置は、前記カード作製情報に、画像の背面側に透明カード基材が位置すると規定されている場合、前記透明カード基材と前記受容層との間に白色層を転写し、前記カード作製情報に、透明カード基材を透して画像を見ると規定されている場合、前記透明カード基材上に前記受容層を転写し、前記受容層上に白色層を転写する」のに対して、
甲1発明1においては、
3種類のID-1カードであるが、その3種類のID-1カードに、透明カード基材が含まれているのか不明であり、カードプリンタが受信する、印刷対象となるカードタイプに透明カードが含まれているか不明な点。
b 相違点8(構成5B)
「カード作製情報に含まれる前記画像データに基づく画像を転写媒体に形成してから前記カード基材に転写する」ことについて、
本件訂正発明5においては、
「画像を受容層に形成してから前記受容層を前記透明カード基材に転写するか、又は前記透明カード基材に受容層を転写してから前記受容層に前記画像データに基づく画像を形成する」ものであり、前記受容層に形成される画像が、「画像データ」及び「レイアウト情報」に基づくものであるのに対して、
甲1発明1においては、
再転写フィルムに画像を印刷した後、加熱ローラーが画像をカードに転写するものではあるが、再転写フィルムが受容層を有しており、この受容層にカード作製情報に含まれる画像データ及び前記レイアウト情報に基づいて画像が形成されているか不明な点。
c 相違点9(構成5A、5B)
本件訂正発明5においては、
「制御端末から、画像データ、画像から人物領域の抽出を行うか否かの情報及び透明カード基材に画像をプリントする領域と余白部分がある場合に余白部分に入れるデザインとに関するレイアウト情報を含むと共に、画像の背面側に透明カード基材が位置するか、又は透明カード基材を透して画像を見るかが規定されたカード作製情報を受信し、前記カード作製情報において画像から人物領域の抽出を行うことが規定されている場合、前記画像データから人物領域の抽出を行い、抽出した人物領域を前記カード作製情報の画像データに置き換えるサーバ装置」を備え、
「カードプリント装置」は、「前記サーバ装置から前記カード作製情報を受信し[ている]」のに対して、
甲1発明1においては、
PCから、ネットワーク経由で、印刷対象となるカードタイプと、カードデザインを含むデータをプリンタに送信しているものの、サーバ装置を備えているか不明であり、前記サーバ装置を介して送信しているのか不明な点。
ウ 当審の判断
(ア) 相違点7についての判断
前記「(1) 本件訂正発明1について」のウ(ア)及び(イ)に示した理由と同じ理由により、甲1発明1において、3種類のID-1カードに透明カード基材を備えたカードが含まれるようにするとともに、再転写フィルムとして、受容層を有する中間転写媒体を採用し、前記受容層に画像を形成してから転写する、又は、前記受容層を転写してから画像を形成すること、及び、透明カードに対し白色層を転写することは、当業者が容易に想到し得たことである
(イ) 相違点8についての判断
a 前記「(1) 本件訂正発明1について」のウ(イ)に示したとおり、甲1発明1において、再転写フィルムとして、受容層を有する中間転写媒体を採用し、前記受容層に画像を形成してから転写する、又は、前記受容層を転写してから画像を形成することは、当業者が容易に想到し得たことである。
b また、甲1発明1においてID-1カードに転写する画像が人物画像である場合に、前記周知技術Gを適用して、人物画像の位置を調整するためのレイアウト情報を有することに格別の困難性があるものではない。
(ウ) 相違点9についての判断
a 前記「(1) 本件訂正発明1について」のウ(ウ)に示したとおり、甲1発明1において、甲3技術事項を適用して、Wizardサーバを介して当該データを送信するようにすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
b その際、前記2(8)オ及びカにおいて周知技術F及び周知技術Gとして示したとおり、人物を含む画像から人物のみを抽出する画像処理を行うことや、人物画像と背景を合成する画像処理を行う場合に、人物画像の位置とサイズを調整することは周知であり、また前記2(9)エにおいて示したとおり、カードの画像を印刷した領域以外の余白部分にデザインを印刷することは技術常識であるから、甲1発明1において、人物画像の位置調整や、余白部分がある場合に余白部分にデザインを印刷するためのレイアウト情報を有するとともに、Wizardサーバに人物領域の抽出を行わせて画像データを置き換える機能をもたせるようにすることに格別の困難性があるものではない。
c そして、前記「(2) 本件訂正発明2について」に示したとおり、甲1発明1において、透明カードを選択した際に、周知技術D及び周知技術Eのいずれの印刷を行うかも併せて選択するようにすること、すなわち、「前記カード作製情報は、画像の背面側に透明カード基材が位置するか、又は透明カード基材を透して画像を見るかが規定され[る]」ようにすることは、当然に配慮されるべきことにすぎない。
(エ) 小括
前記(ア)~(ウ)を総合的に勘案しても、甲1発明1において、前記相違点7から相違点9に係る本件訂正発明5の構成を備えるようにすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
そして、本件訂正発明5によって奏される効果は、当業者が予測困難であり、格別顕著なものは、認めることができない。
したがって、本件訂正発明5は、甲1発明1、甲2技術事項、甲3技術事項、周知技術A~G及び技術常識に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
4 むすび
以上のとおり、本件訂正発明1~3、5は、甲1発明1、甲2技術事項、甲3技術事項、周知技術A~G及び技術常識に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件訂正発明1~3、5に係る特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものであり、同法113条2号に該当し、取り消されるべきものである。
また、本件訂正発明4は、甲1発明2、甲2技術事項、甲3技術事項、周知技術A~G及び技術常識に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件訂正発明4に係る特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものであり、同法113条2号に該当し、取り消されるべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
審決本文(J-PlatPat)
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2025-700042