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特許異議申立

2025-700384

油性化粧料

審判番号
2025-700384
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2020-149536
登録番号
7568452
請求日
2025年04月03日
審決日
2026年01月30日
公報発行日
2026年04月24日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】ポーラ化成工業株式会社
  • 【権利者代理人】弁理士法人秀和特許事務所
  • 【異議申立人】竹内 みどり
審判長/審判官
  • 審判長 冨永 保
  • 審判官 新留 豊
  • 審判官 野田 定文
分類
P1651.113-YAA(A61K) / P1651.121-YAA(A61K) / P1651.537-YAA(A61K) / P1651.851-YAA(A61K)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法120条の8第1項特許法135条
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第29条第1項第3号、特許法第120条の5第2項、特許法第120条の5第9項、特許法第29条第1項、特許法第36条第6項第1号、特許法第126条第5項、特許法第120条の5第4項、特許法第126条第6項、特許法第36条第6項、特許法第120条の8第1項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第7568452号発明「油性化粧料」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7568452号の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~11〕について訂正することを認める。 特許第7568452号の請求項1~10に係る特許を維持する。 特許第7568452号の請求項11に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第7568452号(以下「本件特許」という。)の請求項1~11に係る特許についての出願は、令和2年9月7日に出願され、令和6年10月7日に特許権の設定の登録がされ、同年同月16日に特許掲載公報が発行されたものである。 その後、その請求項1~11に係る特許について、令和7年4月3日に、特許異議申立人 竹内 みどり(以下「申立人」という。)により特許異議の申立てがされた。 その後の本件特許異議申立事件の主な手続の経緯は、次のとおりである。 令和7年 5月 9日 手続補正書(方式)の提出(申立人) 同年 6月23日付け 取消理由通知 同年 8月25日 訂正請求書及び意見書の提出(特許権者) 同年 9月 1日付け 訂正の請求があった旨の通知 同年10月27日付け 審尋(特許権者宛て) 同年12月25日 回答書の提出(特許権者) なお、上記訂正の請求があった旨の通知に対して、申立人からの応答はなかった。 第2 訂正の適否についての判断 1 請求の趣旨及び訂正の内容 令和7年8月25日提出の訂正請求書による訂正(以下「本件訂正」という。)の請求の趣旨は、「特許第7568452号の特許請求の範囲を、本訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~11について訂正することを求める。」というものであり、その内容は以下の訂正事項1及び2のとおりである(下線は訂正による変更箇所を示す。)。 (1) 訂正事項1 本件訂正前の請求項1に、 「油性化粧料」 と記載されているのを、 「ゲル状、クリーム状、または半固形状の油性化粧料」 と訂正する。 請求項1の記載を直接的又は間接的に引用する請求項2~10も同様に訂正する。 (2) 訂正事項2 特許請求の範囲の請求項11を削除する。 2 一群の請求項について 本件訂正前の請求項1~11において、請求項2~11は、請求項1の記載を直接的又は間接的に引用しているものであって、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。 したがって、本件訂正は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項〔1~11〕に対して請求されたものである。 3 訂正の適否 (1) 訂正事項1について 訂正事項1は、請求項1に記載の「油性化粧料」について、その性状を限定し、「ゲル状、クリーム状、または半固形状の油性化粧料」とするものである。 したがって、訂正事項1は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 本件特許の願書に添付した明細書及び特許請求の範囲(以下「本件特許明細書等」という。)の【0044】には、「油性化粧料」の「性状」に関し、 「油性化粧料の性状は、限定されず、液状、ゲル状、クリーム状、半固形状、固形状、スティック状、パウダー状等のいずれであってもよい。」 と記載されている。 そうすると、本件特許明細書等には、「ゲル状、クリーム状、または半固形状の油性化粧料」が記載されているといえるから、訂正事項1は、本件特許明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものとはいえず、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。 したがって、訂正事項1による訂正は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合するものである。 上記のとおり、訂正事項1は、本件特許明細書等に記載された事項の範囲内において、特許請求の範囲を減縮するものであり、発明の対象やカテゴリーを変更するものでもないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 したがって、訂正事項1による訂正は、特許法第120条の5第9項において準用する特許法第126条第6項の規定に適合するものである。 (2) 訂正事項2について 訂正事項2は、請求項11を削除するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。 請求項の削除は、本件特許明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではないことが明らかであるから、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであり、また、発明の対象やカテゴリーを変更するものでもないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。 (3) 独立特許要件について 訂正事項1及び2による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を訂正の目的とするものであるが、本件特許異議申立事件においては、本件訂正前の全ての請求項である請求項1~11に係る特許に対して特許異議の申立てがされているから、これらの請求項に対応する本件訂正後の請求項1~11に係る発明については、特許法第120条の5第9項において読み替えて準用する同法第126条第7項に規定する要件(いわゆる「独立特許要件」)は課されない。 4 小括 以上のとおり、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するから、訂正後の請求項〔1~11〕について訂正することを認める。 第3 訂正後の本件発明 本件訂正により訂正された特許請求の範囲の請求項1~11の記載は以下に示すとおりであり、請求項1~10に係る発明(以下、各請求項に係る発明を請求項の番号順に「本件発明1」等といい、「本件発明1~10」をまとめて「本件発明」ともいう。)は、訂正された特許請求の範囲の請求項1~10(以下、請求項の番号順に「本件請求項1」等という)に記載された事項により特定されるとおりのものである。 「【請求項1】 (A)化粧料全体に対して3.5~20質量%の部分架橋型オルガノポリシロキサン重合体、 (B)アミノ酸系油剤、および (C)化粧料全体に対して40~90質量%の液状油、 を含有する、ゲル状、クリーム状、または半固形状の油性化粧料。 【請求項2】 前記(A)部分架橋型オルガノポリシロキサン重合体が、(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー、および(ジメチコン/フェニルビニルジメチコン)クロスポリマーから選ばれる1種または2種以上である、請求項1に記載の油性化粧料。 【請求項3】 前記(B)アミノ酸系油剤が、ラウロイルグルタミン酸ジ(コレステリル/ベヘニル/オクチルドデシル)、ラウロイルグルタミン酸ジ(コレステリル/オクチルドデシル)、ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)、ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/ベヘニル/オクチルドデシル)、およびミリストイルメチル-β-アラニン(フィトステリル/デシルテトラデシル)から選ばれる1種または2種以上である、請求項1または2に記載の油性化粧料。 【請求項4】 前記(B)アミノ酸系油剤が、ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)である、請求項1~3のいずれか1項に記載の油性化粧料。 【請求項5】 さらに、(D)固形脂、および半固形脂から選ばれる1種または2種以上を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の油性化粧料。 【請求項6】 さらに、(E)粉体を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の油性化粧料。 【請求項7】 前記(A)部分架橋型オルガノポリシロキサン重合体の含有量が、化粧料全体に対して5~20質量%である、請求項1~6のいずれか1項に記載の油性化粧料。 【請求項8】 前記(B)アミノ酸系油剤の含有量が、化粧料全体に対して0.01~10質量%である、請求項1~7のいずれか1項に記載の油性化粧料。 【請求項9】 前記(D)固形脂、および半固形脂の含有量が、化粧料全体に対して0.1~30質量%である、請求項5~8のいずれか1項に記載の油性化粧料。 【請求項10】 前記(E)粉体の含有量が、化粧料全体に対して1~40質量%である、請求項6~9のいずれか1項に記載の油性化粧料。 【請求項11】 (削除)」 第4 特許異議申立理由及び取消理由の概要 1 特許異議申立理由の概要 申立人が特許異議申立書に記載した、本件訂正前の請求項1~11に係る特許についての特許異議の申立ての理由(以下「申立理由」という。)の概要及び特許異議申立書に証拠方法として添付した、甲第1号証~甲第10号証(以下、それぞれ番号順に「甲1」ともいう。)は、以下に示すとおりである。) (1) 申立理由1(特許法第29条第1項第3号:新規性) (1-1) 申立理由1-1 請求項1~6及び8~11に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明である、甲1に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当する。したがって、請求項1~6及び8~11に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものであるから、同法第113条第2号に該当する。 (1-2) 申立理由1-2 請求項1~6及び8~11に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明である、甲2に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当する。したがって、請求項1~6及び8~11に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものであるから、同法第113条第2号に該当する。 (2) 申立理由2(特許法第29条第2項:進歩性) (2-1) 申立理由2-1 請求項1~11に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明である、甲1に記載された発明に基いて、本件特許の出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1~11に係る特許は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。したがって、請求項1~11に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるから、同法第113条第2号に該当する。 (2-2) 申立理由2-2 請求項1~11に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明である、甲2に記載された発明に基いて、本件特許の出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1~11に係る特許は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。したがって、請求項1~11に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるから、同法第113条第2号に該当する。 (3) 申立理由3(特許法第36条第6項第1号:サポート要件) 請求項1~11に係る発明は、概要、以下のア及びイの点で、発明の詳細な説明に記載したものではないから、特許請求の範囲の記載は、特許法第36条第6項第1号の規定に適合しない。したがって、請求項1~11に係る特許は、特許法第36条第6項に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、同法第113条第4号に該当する。 ア 組成が共通しているとしても、化粧料の性状によって使用感が相違することは技術常識であるから、液状の化粧料の実施例のみをもって、あらゆる性状の化粧料においても、当業者は、本件発明の課題を解決できるとは認識できない。 イ (C)液状油について、液状であればあらゆる油剤が含まれ、その種類によって使用感が相違することは技術常識であり、また、連続相を形成する液状油の含有量について、本件発明1で規定する下限と実施例の下限とでは大きな差異があり、この差異が使用感に影響を及ぼすことが当然に予測されるから、当業者は、本件発明の全ての範囲において、本件発明の課題を解決できるとは認識できない。 (4) 甲号証一覧 甲第1号証:特開2019-182835号公報 甲第2号証:特開2013-209296号公報 甲第3号証:特開2019-85388号公報 甲第4号証:特開2020-40994号公報 甲第5号証:特開2019-202952号公報 甲第6号証:特開2019-34889号公報 甲第7号証:国際公開第2019/044590号 甲第8号証:特開2019-214520号公報 甲第9号証:特開2020-128357号公報 甲第10号証:田村健夫ら,香粧品科学-理論と実際,株式会社フレグランスジャーナル社,平成14年10月15日第4版第2刷,p.590-591 なお、甲第3号証~甲第9号証は、「KSG-15」の純分を示すための文献である。 2 取消理由の概要 本件訂正前の請求項1~11に係る特許に対して、当審合議体が令和7年6月23日付け取消理由通知書で特許権者に通知した取消理由の概要は、次のとおりである。 (1) 取消理由1-1(新規性) 請求項1、3~6及び8~11に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明である、甲1に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、請求項1、3~6及び8~11に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものであり、取り消すべきものである。 (2) 取消理由1-2(新規性) 請求項1、3~6及び8~11に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明である、甲2に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、請求項1、3~6及び8~11に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものであり、取り消すべきものである。 (3) 取消理由2-1(進歩性) 請求項1~11に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明である、甲1に記載された発明に基いて、本件特許の出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1~11に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、取り消すべきものである。 (4) 取消理由2-2(進歩性) 請求項1~11に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明である、甲2に記載された発明に基いて、本件特許の出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1~11に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、取り消すべきものである。 (5) 取消理由3(サポート要件) 請求項1~11に係る特許は、特許請求の範囲の記載が不備のため、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであり、取り消すべきものである。 取消理由3について具体的に指摘した事項の概要は次のとおりである。 「液体」、「液体-液体分散系」、「固体-固溶体分散系」及び「固体-固体分散系」といった性状の違いによって、「化粧品」の「展延性」は異なるという技術常識を踏まえると、種々の性状の油性化粧料を含む本件発明の全てにおいて、感触、延び広がり、均一性等の使用性に優れた油性化粧料が得られると当業者が認識できるとはいえず、また、実施例において、べたつきのなさ、のび広がり、均一性について具体的に評価されている「液体」である「オイル状美容液」の評価と同様の評価が、固体等の他の性状の油性化粧品においても得られると当業者が認識できるということもできない。 したがって、請求項1~11に係る発明は、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載又はその示唆により当業者が本件発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるとはいえず、また、その記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし本件発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるともいえない。 (6) 引用文献一覧 甲1:特開2019-182835号公報 甲2:特開2013-209296号公報 甲3:特開2019-85388号公報 甲4:特開2020-40994号公報 甲5:特開2019-202952号公報 甲10:田村健夫ら,香粧品科学-理論と実際,株式会社フレグランスジャーナル社,平成14年10月15日第4版第2刷,p.590-591 なお、甲1~5及び10は、それぞれ、申立人が提出した甲1~5及び10であり、甲3~5及び10は、市販品の技術的事項又は周知技術を示す文献である。 第5 当審合議体の判断 当審合議体は、上記取消理由で通知した理由及び申立人の申立て理由によっては、本件発明1~10に係る特許は取り消されるべきものではないと判断する。 その理由は次のとおりである。 1 取消理由について 1-1 各文献の記載事項(以下、下線は合議体が付したものであり、「・・・」は記載の省略を表す。) (1) 甲1の記載事項 (1a) 「【請求項1】 次の成分(A)及び成分(B)を含む油性組成物であり、 前記成分(A)が、成分(A-1)ポリウレタン及び成分(A-2)油剤を含むポリウレタンゲル組成物であり、 当該成分(A-1)は、 (i)(a)末端にイソシアネート基を持つ水添ポリブタジエンと(b)HO-R3-OH(式中、R3はエーテル結合を有していてもよい直鎖若しくは分岐のC2~C6アルキレン基を表す)で表されるグリコールとの反応によって得られるポリウレタン、又は、 (ii)(c)末端に水酸基を持つ水添ポリブタジエンと(d)ジイソシアネート化合物と(b)HO-R3-OH(式中R3はエーテル結合を有していてもよい直鎖若しくは分岐のC2~C6アルキレン基を表す)で表されるグリコールとの反応によって得られるポリウレタンであり、 前記成分(B)が、部分架橋型オルガノポリシロキサン重合物である、 油性組成物。」 (1b) 「【発明が解決しようとする課題】 【0005】 さらに、本発明者は、部分架橋型オルガノポリシロキサンの特性を活かした組成物について鋭意検討を行った。部分架橋型オルガノポリシロキサンと、油性組成物の原料としてよく用いられる成分(例えば、液状油剤、液状油剤と固形剤、又は液状油剤とゲル化剤)とを組み合わせた際に、得られた油性組成物が安定性に欠けることがあること、さらに、場合によっては伸びの軽さ又は塗布膜のツヤ感に欠けることがあることに本発明者は気づいた(比較例1~4参照)。 そこで、本技術は、安定性に優れ、塗布膜のツヤ感を損なうことなく、弾力感及び伸びの軽さに優れる油性組成物を提供することを主な目的とする。 ・・・ 【0011】 次に、本技術の好ましい実施形態について詳細に説明する。ただし、本技術は以下の好ましい実施形態に限定されず、本技術の範囲内で自由に変更することができるものである。尚、本明細書において百分率は特に断りのない限り質量による表示である。なお、本明細書においては、~を用いて数値範囲を表す際は、その範囲は両端の数値を含むものとする。 ・・・ 【0058】 本技術で用いる成分(B)部分架橋型オルガノポリシロキサン重合物の具体例としては、例えば、INCI名(International Nomenclature Cosmetic Ingredient labeling names)で表すと、(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー等の部分架橋型メチルポリシロキサン;(ジメチコン/フェニルジメチコン)クロスポリマー等の部分架橋型メチルフェニルポリシロキサン等が挙げられる。これらはシリコーン3次元架橋物である。・・・ 【0061】 本技術で用いる成分(B)部分架橋型オルガノポリシロキサン重合物は、公知の製造方法により製造されたものを使用することができ、また市販品を用いることもできる。市販品として、例えば、(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー(KSG15:純分5質量%(溶媒:デカメチルシクロペンタシロキサン):信越化学工業社製)、(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー(KSG16:純分20~30質量%(溶媒:ジメチルポリシロキサン):信越化学工業社製)、(PEG-15/ラウリルジメチコン)クロスポリマー(KSG310:純分25~35質量%(溶媒:流動パラフィン):信越化学工業社製)、又は(ジメチコン/ポリグリセリン-3)クロスポリマー(KSG710:純分20~30質量%(溶媒:ジメチルポリシロキサン):信越化工業社製)等が挙げられる。 ・・・ 【0063】 <1-3.本技術の油性組成物における成分(A)及び成分(B)の含有量又は使用量> 本技術の油性組成物中の成分(A)ポリウレタンゲル組成物含有量は、特に限定されないが、好ましくは5~90質量%、より好ましくは5~50質量%、さらに好ましくは5~45質量%、よりさらに好ましくは10~40質量%、より好ましくは10~30質量%である。 本技術の油性成分中の成分(B)部分架橋型オルガノポリシロキサン重合物含有量は、特に限定されないが、好ましくは0.1~40質量%、より好ましくは1~20質量%、さらに好ましくは1.5~10質量%、よりさらに好ましくは2~8質量%、より好ましくは3~6質量%である。」 (1c) 「【実施例】 【0079】 以下に実施例及び比較例等を挙げて本技術を更に詳細に説明する。なお、これらは本発明を何ら限定するものではない。 ・・・ 【0081】 [成分(A)のポリウレタンゲル組成物の製造実施例2] 3Lの三口フラスコに末端水酸基水素化ポリブタジエン899部(分子量2200)と、2-エチルヘキサン酸セチル2450部、ヘキサメチレンジイソシアネート128部を仕込み、均一に混合した。 60℃に制御しながらジブチル錫ジラウレート0.9部を投入し、3時間攪拌後、エチレングリコールを24部投入した。 投入終了後、80℃で10時間攪拌後、エタノールを18部添加して反応を完結させた。 得られたポリウレタンゲル中のポリウレタンの重量平均分子量は、GPC測定(ポリスチレン換算)にて50000であった。また、得られたゲル30部を、流動パラフィン70部と、85℃にて加熱溶解、30℃に冷却したゲルの荷重値は、荷重測定機(FUDOH社製)による、2cmφ球状アダプター、2cm/min、10mm針入の条件の場合、5Nであった。 ・・・ 【0092】 〔実施例1~9及び比較例1~4:油性組成物〕 表2に示す組成の油性組成物を、下記の製造方法により製造し、各試料について下記評価方法にて評価し、その結果も併せて表2に示した。なお、成分(A)ポリウレタンゲル組成物は、上述で製造した製造実施例2のポリウレタンゲル組成物を使用した。 実施例1~9の油性組成物は、成分(A)ポリウレタンゲル組成物及び成分(B)部分架橋型オルガノポリシロキサン重合物との相乗効果により、安定性により優れ、塗布膜のツヤ感を損なうことなく良好であり、弾力感及び伸びの軽さがより良好な油性組成物が得られた。これに対し比較例1~4の組成物は、特に安定性がよくなく、さらに膜のツヤ感に欠けるものであった。 また、本技術で用いる成分(A)ポリウレタンゲル組成物の使用量は、6~40質量%と幅広い範囲で、良好な油性組成物が得らた。油性組成物中の成分(A)の含有量を高くすることで油性組成物の安定性及び膜のツヤ感が向上する傾向がみられた。 また、本技術で用いる部分架橋型オルガノポリシロキサン重合物は部分架橋型メチルポリシロキサン、部分架橋型アルキル・ポリエーテル共変性シリコーン及び部分架橋型ポリグリセリン変性シリコーンといった様々な種類を用いた場合でも、良好な油性組成物が得られた。油性組成物中の成分(B)の含有量を高くすることで油性組成物の弾力性及び伸びの軽さが向上する傾向がみられた。 さらに、成分(A)/成分(B)が2~8の幅広い含有質量割合であっても、良好な油性組成物が得られた。また、成分(A-1)/成分(B)が、0.3~2.3の範囲で、良好な油性組成物が得られた。 【0093】 〔製造方法〕 No.1~8を混合し、100℃まで加温したのちに室温まで放冷する。 〔評価〕 安定性の評価方法:50℃に放置した際に分離、排液の有無と程度で評価 A:50℃1カ月で変化なし B:1カ月でわずかに排液が見られる C:2週間でわずかに排液が見られる D:2週間で明らかに排液あり E:製造直後から分離あり 【0094】 弾力感の評価方法:荷重測定器(FUDOH社製)を用いて2cmΦ球状アダプター、2cm/min、10mm針入の条件にて測定した。サンプルは一昼夜25℃に静置し、測定は室温(25℃)下で行った。 A:0.2N以上0.5N未満 B:0.1N以上0.2N未満、0.5N以上0.6N未満 C:0.1N未満、0.6N以上 【0095】 官能評価方法:化粧品評価専門パネル20名に前記実施例及び比較例の化粧料を使用してもらい、「伸びの軽さ」、「膜のツヤ感」について、各自が以下の基準に従って5段階評価し、化粧料毎に評点を付し、更に全パネルの評点の平均点を以下の判定基準に従って判定した。 <評価基準> (評価結果):(評点) 非常に良好:5点 良好 :4点 普通 :3点 やや不良 :2点 不良 :1点 <判定基準> (評点の平均点) :(判定) 4.5以上 :A 3.5以上4.5未満 :B 1.5以上3.5未満 :C 1.5未満 :D なお、点数が高いほど、良好である。 【0096】 【表2】 [図:0001434155000001.jpg] ・・・ 【0100】 実施例11:口紅(スティック状) 成分 (%) 1.製造実施例2のポリウレタンゲル組成物 15 2.(ジメチコン/ポリグリセリン-3)クロスポリマー※4 18 3.トリイソステアリン酸ポリグリセリル-2 残量 4.トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル 13 5.エチルヘキサン酸セチル 15 6.オクチルドデカノール 5 7.パラフィン(融点58℃) 9 8.(エチレン/プロピレン)コポリマー 4.5 9.マイクロクリスタリンワックス(融点83℃) 1.5 10.ラウロイルグルタミン酸 ジ(フィトステアリル/オクチルドデシル) 2 11.ジブチルヒドロキシトルエン 0.1 12.パラオキシ安息香酸メチル 0.1 13.シリル化処理無水ケイ酸 1 14.赤色202号 0.1 【0101】 (製造方法) A.成分(1)~(10)を100~110℃にて均一に溶解する。 B.Aに成分(11)~(14)を加え、均一に混合分散する。 C.Bを脱泡後、100℃に加熱してスティック状口紅容器に直接流し込み、室温に冷却後、口紅を得た。 【0102】 以上のようにして得られたスティック状口紅は、安定性が良く、弾力感があり、伸びも軽く、膜のツヤ感のすべて点で満足のいくものであった。」 (2) 甲2の記載事項 (2a) 「【請求項1】 次の成分(a)~(c); (a)非揮発性液状シリコーン油 (b)架橋型オルガノポリシロキサン (c)ワセリン、ダイマー酸エステル、アジピン酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ラウロイルグルタミン酸エステル、ジペタエリトリット脂肪酸エステルから選ばれる、25℃において半固形状の油剤2種以上 を配合することを特徴とする油性固形化粧料。」 (2b) 「【発明が解決しようとする課題】 【0004】 しかしながら、ペースト状油剤のもつべたつきが生じ、ツヤと化粧持ちは良いが、使用感の点で満足のいくものではなかった。よって、密着感があり軽く柔らかい使用感が両立し、化粧膜が均一な化粧料の実現には至っていないのが現状である。 【課題を解決するための手段】 【0005】 本発明者らは、上記課題に鑑み、鋭意研究を行った結果、成分(a)と(b)を配合することにより、半固形油の持つベタツキ感を低減することができ、(c)の半固形油を2種以上を配合することにより、更に軽く柔らかい使用感と密着感が両立し、塗布時に、肌や口唇のしわや凹凸を埋めて油性化粧料の均一な膜が形成され、化粧持ちに優れることを見出し、本発明を完成させるに至った。 ・・・ 【0008】 ・・・ 成分(a)の配合量としては、0.1~30質量%(以下、単に「%」と記す。)であると、軽く柔らかい使用感と膜の均一性が向上するため好ましく、さらに0.5~20%であると効果が更に向上するため好ましい。 【0009】 本発明に用いられる成分(b)成分の架橋型オルガノポリシロキサン重合物は、通常化粧料に汎用されているものであれば特に限定されず、部分架橋型オルガノポリシロキサン重合物、ポリメチルシルセスキオキサン、架橋型シリコーン・網状型シリコーン共重合体等をあげることができる。 【0010】 ・・・また、この部分架橋型オルガノポリシロキサン重合物は、成分(a)や他の油剤との混合物として市販されていることが多いが、その場合は、成分(b)は成分(a)で潤膨された状態にある。本発明では、この市販された状態のものも使用できる。市販品としては、架橋型メチルポリシロキサンとジメチルポリシロキサンの混合物として、KSG-6、KSG-15、KSG-16、架橋型メチルフェニルポリシロキサンとフェニルトリメチコンの混合物として、KSG-8、KSG-18、架橋型ポリエーテル変性シリコーンとジメチルポリシロキサンの混合物として、KSG-21、架橋型アルキル・ポリエーテル変性シリコーンと油剤の混合物として、KSG-31、KSG-32、KSG-33、KSG-34、架橋型アルキル変性シリコーンと油剤の混合物として、KSG-41、KSG-42、KSG-43、KSG-44(以上、信越化学工業社製)等が挙げられる。 ・・・ 【0013】 前記成分(b)の架橋型オルガノポリシロキサンが、INCI名称で、(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー、(ジメチコン/フェニルビニルジメチコン)クロスポリマー、(ジメチコン/ラウリルジメチコン)クロスポリマー、(ジメチコン/(PEG-10/15))クロスポリマー、(PEG-15/ラウリルジメチコン)クロスポリマー、(ジメチコン/ポリグリセリン-3)クロスポリマー、(ラウリルジメチコン/ポリグリセリン-3)クロスポリマー、ポリメチルシルセスキオキサン、(ビニルジメチコン/メチコンシルセスキオキサン)クロスポリマー、(ジフェニルジメチコン/ビニルジフェニルジメチコン/シルセスキオキサン)クロスポリマーから選ばれる1種又は2種以上であると、軽く柔らかい使用感が得られ、化粧膜の均一性および密着感の点で特に好ましい。 【0014】 成分(b)の架橋型オルガノポリシロキサンは、その1種又は2種以上用いることができる。 成分(b)の配合量としては、0.1~30%が、軽く柔らかい使用感が得られ、化粧膜の均一性および密着感の点で好ましく、更に0.5~20%であると効果が更に向上するため好ましい。尚、油剤で膨潤せしめて配合する場合は、固形分の量とする。」 (2c) 「【0044】 実施例16:油性アイライナー(固形状) (成分) (%) 1.シリコーン樹脂*22 5 2.デカメチルシクロペンタシロキサン 5 3.ジメチルポリシロキサン*9 5 4.トリ2―エチルヘキサン酸グリセリル 残量 5.パラフィンワックス*7 1.5 6.マイクロクリスタリンワックス 0.5 7.ラウロイルリシン粉末*23 6 8.ポリメチルシルセスキオキサン 2 9.(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマーと デカメチルシクロペンタシロキサンの混合物*24 23 10.(ビニルジメチコン/ラウリルジメチコン)クロスポリマーと トリ2-エチルヘキサン酸グリセリルの混合物*25 6 11.N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ (フィトステリル/オクチルドデシル) 1 12.ダイマージリノール酸(フィトステリル/ イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル) 1 13.酸化チタン 0.4 14.黒酸化鉄 15 *22:SILFORM FLEXIBLE RESIN(モメンティヴ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社製) *23:アミホープLL(板状、平均粒子径:長径12μm、短径10μm、厚さ0.4μm、味の素社製) *24:KSG-15(信越化学工業社製) *25:KSG-43(信越化学工業社製) (製造方法) A.成分(1)~(6)を100℃まで加熱し、均一溶解する。 B.Aに成分(7)~(14)を加え均一に分散する。 C.Bを100℃にて加熱溶解し、金皿に流し込み、冷却固化して油性アイライナーを得た。 本発明の油性アイライナーは、軽く柔らかい使用感、化粧膜の均一性、密着感、化粧持ちのよさのすべて点で満足のいくものであった。」 (3) 甲3の記載事項 (3a)「【0110】 上記で得られた有機基変性有機ケイ素樹脂について、D5(デカメチルシクロペンタシロキサン)溶解性、乳化性能について評価し、形状を記載した。結果を下記表に示す。 ・・・ 【0125】 ・・・ (注1)部分架橋型ジメチルポリシロキサン組成物;KSG-15〈架橋物:4~10%、D5:90~96%〉(信越化学工業(株)製)」 (3b)「【0137】 ・・・ (注2)アルキル変性・部分架橋型ジメチルポリシロキサン組成物;KSG-43<架橋物:25~35%、トリエチルヘキサノイン:65~75%>(信越化学工業(株)製)」 (4) 甲4の記載事項 (4a)「【0057】 ・・・ (注8)部分架橋型ジメチルポリシロキサン組成物(KSG-15〈架橋物:4~10%、デカメチルシクロペンタシロキサン:90~96%〉:信越化学工業社製)」 (4b)「【0068】 ・・・ (注12)アルキル変性・部分架橋型ジメチルポリシロキサン組成物(KSG-43〈架橋物:25~35%、トリエチルヘキサノイン:65~75%〉:信越化学工業社製)」 (5) 甲5の記載事項 (5a)「【0020】 メチルポリシロキサンクロスポリマーの膨潤物としては、9040シリコーンエラストマーブレンド(ジメチコンクロスポリマー、シクロペンタシロキサンの混合物で架橋物は12%)、9041シリコーンエラストマーブレンド(ジメチコンクロスポリマー、ジメチコン5mPa・sの混合物で架橋物は16%)、9045シリコーンエラストマーブレンド(ジメチコンクロスポリマー、シクロペンタシロキサンの混合物で架橋物は12.5%)、EL-8040IDシリコーンオーガニックブレンド(ジメチコンクロスポリマー、イソドデカンの混合物で架橋物は18%)(以上、東レ・ダウコーニング株式会社製)等のジメチコンクロスポリマーの膨潤物や、KSG-15((ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー、シクロペンタシロキサンの混合物で架橋物は4~10%)、KSG-16((ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー、ジメチコン6mPa・sの混合物で架橋物は20~30%)、KSG-1610((ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー、メチルトリメチコンの混合物で架橋物は15~20%)(以上、信越化学工業株式会社製)、CXG-1101((ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー、シクロペンタシロキサンの混合物で架橋物は12%、粘度550,000mPa・s、ヌシルテクノロジー社製)等のジメチコン/ビニルジメチコンクロスポリマーの膨潤物等が挙げられる。 ・・・ 【0022】 ビニルジメチコン/ラウリルジメチコンクロスポリマーの膨潤物としては、KSG-41A((ビニルジメチコン/ラウリルジメチコン)クロスポリマー、ミネラルオイルの混合物で架橋物は20~30%)、KSG-42A((ビニルジメチコン/ラウリルジメチコン)クロスポリマー、イソドデカンの混合物で架橋物は15~25%)、KSG-43((ビニルジメチコン/ラウリルジメチコン)クロスポリマー、トリエチルヘキサノインの混合物で架橋物は25~35%)、KSG-44((ビニルジメチコン/ラウリルジメチコン)クロスポリマー、スクワランの混合物で架橋物は25~35%)(以上、信越化学工業株式会社製)等が挙げられる。」 (6) 甲10の記載事項 (10a) 「1・1・1 延び(展延性)について この“延び”の問題は,製品の使用感において極めて重要なことではあるが,従来から感覚的なものが先行し,科学的な検討は遅れている。 展延性とは理論的には「一定量のものを拡げうる面積」のことをいうが,化粧品の場合には,皮膚面の性質が大きく影響し,さらに拡げるときの抵抗をも意味している。 この現象は,口紅,油性ファンデーション,クリーム,乳液,化粧水,おしろい類などすべての化粧品に重要な因子である。しかし化粧水は液体,クリーム・乳液類は液体-液体分散系,口紅や油性ファンデーションは,固体-固溶体分散系であり,またおしろい類は固体-固体分散系で,それぞれそれらの組成が異なるので,ただ単に“延び”といっても,レオロジー的性質はまったく別個のものと考えられる。」(590頁7~18行) 1-2 判断 (1) 取消理由1-1及び取消理由2-1について ア 甲1に記載された発明 甲1には、「安定性に優れ、塗布膜のツヤ感を損なうことなく、弾力感及び伸びの軽さに優れる油性組成物を提供する」ことを目的とすることが記載され(摘記(1b))、その請求項1に、 「次の成分(A)及び成分(B)を含む油性組成物であり、 前記成分(A)が、成分(A-1)ポリウレタン及び成分(A-2)油剤を含むポリウレタンゲル組成物であり、 当該成分(A-1)は、 (i)(a)末端にイソシアネート基を持つ水添ポリブタジエンと(b)HO-R3-OH(式中、R3はエーテル結合を有していてもよい直鎖若しくは分岐のC2~C6アルキレン基を表す)で表されるグリコールとの反応によって得られるポリウレタン、又は、 (ii)(c)末端に水酸基を持つ水添ポリブタジエンと(d)ジイソシアネート化合物と(b)HO-R3-OH(式中R3はエーテル結合を有していてもよい直鎖若しくは分岐のC2~C6アルキレン基を表す)で表されるグリコールとの反応によって得られるポリウレタンであり、 前記成分(B)が、部分架橋型オルガノポリシロキサン重合物である、 油性組成物。」 と記載され(摘記(1a))、実施例11(摘記(1c)、なお、摘記(1b)【0011】から、百分率は質量による表示であると認める。)として、具体的にスティック状の口紅を製造したことが記載されている。 そうすると、甲1には以下に示す発明(以下「甲1発明」という。)が記載されていると認める。 <甲1発明> 「成分が、製造実施例2のポリウレタンゲル組成物((A-1)ポリウレタン純分30質量%)15質量%、(ジメチコン/ポリグリセリン-3)クロスポリマー※4(KSG710(信越化学工業社製)純分25質量%)18質量%、トリイソステアリン酸ポリグリセリル-2 15.7質量%、トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル13質量%、エチルヘキサン酸セチル15質量%、オクチルドデカノール5質量%、パラフィン(融点58℃)9質量%、(エチレン/プロピレン)コポリマー4.5質量%、マイクロクリスタリンワックス(融点83℃)1.5質量%、ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステアリル/オクチルドデシル)2質量%、ジブチルヒドロキシトルエン0.1質量%、パラオキシ安息香酸メチル0.1質量%、シリル化処理無水ケイ酸1質量%、及び赤色202号0.1質量%からなる、スティック状口紅。」 ただし、「製造実施例2のポリウレタンゲル組成物」は、3Lの三口フラスコに末端水酸基水素化ポリブタジエン899部(分子量2200)と、2-エチルヘキサン酸セチル2450部、ヘキサメチレンジイソシアネート128部を仕込み、均一に混合し、60℃に制御しながらジブチル錫ジラウレート0.9部を投入し、3時間攪拌後、エチレングリコールを24部投入した後、80℃で10時間攪拌後、エタノールを18部添加して反応を完結させたもの(摘記(1c)、【0081】)であり、 また、「トリイソステアリン酸ポリグリセリル-2」の含有量は「残量」と記載されている(摘記(1c)、実施例11)から、100から他の成分総和を差し引く計算をして、15.7質量%とし、「(ジメチコン/ポリグリセリン-3)クロスポリマー※4」とは、表2に記載の「※4:KSG710(信越化学工業社製)純分25%」であるものと認めた。 イ 本件発明と甲1に記載された発明との対比・判断 (ア) 本件発明1について a 新規性について 本件発明1と甲1発明とを対比する。 甲1発明の「製造実施例2のポリウレタンゲル組成物((A-1)ポリウレタン純分30質量%)」は、溶媒である「2-エチルヘキサン酸セチル」を70質量%(≒2450/(899+2450+128+0.9+24+18)×100)含有し、甲1発明の「(ジメチコン/ポリグリセリン-3)クロスポリマー※4(KSG710(信越化学工業社製)純分25質量%)」は、摘記(1b)によれば、溶媒が「ジメチルポリシロキサン」であるから、甲1発明の「スティック状口紅」は、「製造実施例2のポリウレタンゲル組成物((A-1)ポリウレタン純分30質量%)」及び「(ジメチコン/ポリグリセリン-3)クロスポリマー※4(KSG710(信越化学工業社製)純分25質量%)」を由来として、「(A-1)ポリウレタン」4.5質量%(=15×0.3)、「2-エチルヘキサン酸セチル」10.5%(=15×0.7)、「(ジメチコン/ポリグリセリン-3)クロスポリマー」4.5質量%(=18×0.25)、及び「ジメチルポリシロキサン」13.5質量%(=18×0.75)を含むものといえる。 また、甲1発明の「(ジメチコン/ポリグリセリン-3)クロスポリマー※4(KSG710(信越化学工業社製)純分25質量%)」の固形分、及び「ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステアリル/オクチルドデシル)」は、それぞれ、本件発明1の「部分架橋型オルガノポリシロキサン重合体」、及び「アミノ酸系油剤」に相当し、甲1発明の「スティック状口紅」は、そもそも油性組成物(摘記(1a))であるから、「油性化粧料」といえる。 ここで、甲1発明の「(ジメチコン/ポリグリセリン-3)クロスポリマー※4(KSG710(信越化学工業社製)純分25質量%)」の固形分は、「スティック状口紅」に対して4.5質量%であるから、本件発明1における「部分架橋型オルガノポリシロキサン重合体」を「化粧料全体に対して3.5~20質量%」含有することに相当する。 さらに、甲1発明の「2-エチルヘキサン酸セチル」、「ジメチルポリシロキサン」、「トリイソステアリン酸ポリグリセリル-2」、「トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル」、「エチルヘキサン酸セチル」及び「オクチルドデカノール」は、いずれも本件発明1の「液状油」に相当し、甲1発明の「スティック状口紅」に対して72.7質量%含有するから、本件発明1における「化粧料全体に対して40~90質量%の液状油」を含有することに相当する。 そうすると、本件発明1と甲1発明は 「(A)化粧料全体に対して3.5~20質量%の部分架橋型オルガノポリシロキサン重合体、 (B)アミノ酸系油剤、および (C)化粧料全体に対して40~90質量%の液状油、 を含有する、油性化粧料。」 である点で一致し、以下の相違点1で相違する。 <相違点1> 「油性化粧料」について、本件発明1は、「ゲル状、クリーム状、または半固形状」であるのに対して、甲1発明は、「スティック状」である点。 相違点1について検討する。 甲1発明の「スティック状」は固形状であるから、本件発明1の「ゲル状、クリーム状、または半固形状」のいずれの性状とも異なるものである。 したがって、相違点1は実質的な相違点である。 よって、本件発明1は、甲1に記載された発明ではない。 b 進歩性について 甲1には、 「本技術の油性組成物を化粧料に適用することで、皮膚、口唇、睫毛、爪、毛髪等に使用される油性化粧料とすることができる。例えば、口紅、リップグロス、リップライナー等の口唇化粧料や、コンシーラー、アイカラー、白粉、チークカラー、アイブロウ、ファンデーション、マスカラ、アイライナー等のメイクアップ化粧料、クリーム、乳液、美容液、マッサージ化粧料、パック化粧料、ハンドクリーム、ボディローション、ボディクリーム、デオドラント、サンスクリーン、育毛剤、ヘアカラー、ヘアワックス、ヘアフォーム等とすることができる。」 と記載されているから(【0069】)、ゲル状、クリーム状又は半固形状の油性化粧料とすることが記載されているといえる。 ここで、甲1に記載された発明は、「安定性に優れ、塗布膜のツヤ感を損なうことなく、弾力感及び伸びの軽さに優れる油性組成物を提供すること」を課題とし(【0005】)、当該課題を「部分架橋型オルガノポリシロキサン重合物と、新規なポリウレタンゲル組成物とを併用」することによって解決したものであり、甲1発明のスティック状口紅は、製造実施例2の(ジメチコン/ポリグリセリン-3)クロスポリマー及びポリウレタンゲル組成物がそれぞれ上記部分架橋型オルガノポリシロキサン重合物及び新規なポリウレタンゲル組成物に対応する、必須の成分として配合されているといえる。 そして、甲1発明におけるその他の成分及び甲1発明における各成分の含有量について、甲1に、 「成分(A)ポリウレタンゲル組成物中の成分(A-1)ポリウレタンの含有量は、好ましくは1~35質量%であり、より好ましくは5~30質量%、さらに好ましくは10~30質量%である。 成分(A)ポリウレタンゲル組成物中の成分(A-2)油剤の含有量は、好ましくは65~99質量%であり、より好ましくは70~95質量%、さらに好ましくは70~90質量%である。」(【0043】)、 「本技術の油性組成物中の成分(A)ポリウレタンゲル組成物含有量は、特に限定されないが、好ましくは5~90質量%、より好ましくは5~50質量%、さらに好ましくは5~45質量%、よりさらに好ましくは10~40質量%、より好ましくは10~30質量%である。 本技術の油性成分中の成分(B)部分架橋型オルガノポリシロキサン重合物含有量は、特に限定されないが、好ましくは0.1~40質量%、より好ましくは1~20質量%、さらに好ましくは1.5~10質量%、よりさらに好ましくは2~8質量%、より好ましくは3~6質量%である。」(【0063】)、 「本技術において、前記成分(A)及び成分(B)に、溶媒を加えて本技術の油性組成物を製造してもよく、当該加える溶媒と前記成分(A)に使用される成分(A-1)油剤との合計量は、50~95質量%が好ましく、より好ましくは60~90質量%である。」(【0066】)、及び 「本技術の油性組成物を用いる場合、上述した成分(A)ポリウレタンゲル組成物及び成分(B)部分架橋型オルガノポリシロキサン重合物の成分に、又はこれらから得られた本技術の油性組成物に、任意成分を適宜用いることができる。当該任意成分として、揮発性成分、界面活性剤、油性成分、粉体、水性成分、水溶性高分子、紫外線吸収剤、保湿剤、褪色防止剤、酸化防止剤、消泡剤、美容成分、防腐剤、香料等、各種の効果を付与するために通常用いられる他の成分を適宜用いることができる。また、化粧料等を調製する際に使用する溶媒は特に限定されないが、例えば上述した油剤を使用することができる。 このとき使用する本技術の油性組成物の使用量又は含有量は、特に限定されないが、化粧料等中に、本技術の効果を良好に得る観点から、下限値として0.1質量%以上が好ましく、また上限値として90質量%以下が好ましく、当該範囲として、より好ましくは1~70質量%、より好ましくは1.5~50質量%である。」(【0068】) 等と記載されているから、かかる記載に基づいて、甲1発明の各成分及びその含有量を変更することは当業者が容易になし得た事項であるといえる。 しかし、スティック状口紅である甲1発明について、その性状を「ゲル状、クリーム状、または半固形状」に変更するには、その含有成分及び含有量を変更しなければならないところ、甲1には、油性化粧料の性状を「ゲル状、クリーム状、または半固形状」とした上で、甲1発明における、製造実施例2の(ジメチコン/ポリグリセリン-3)クロスポリマー及びポリウレタンゲル組成物以外の成分及び含有する各成分の含有量の全てについて、本件発明1で特定される範囲内のものとすることは、甲1に記載も示唆もされていない。 そうすると、甲1発明において、相違点1に係る本件発明1の構成を採用することは、当業者が容易になし得ることではない。 したがって、本件発明1は、甲1に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (イ) 本件発明3~6及び8~10について 本件発明3~6及び8~10は、本件発明1の発明特定事項を全て備え、本件発明1を更に限定するものであるから、上記(ア)で述べたのと同様の理由により、甲1に記載された発明ではなく、甲1に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (ウ) 本件発明2及び7について 本件発明2及び7は、本件発明1の発明特定事項を全て備え、本件発明1を更に限定するものであるから、上記(ア)bで述べたのと同様の理由により、甲1に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (2) 取消理由1-2及び取消理由2-2について ア 甲2に記載された発明 甲2の請求項1には、 「次の成分(a)~(c); (a)非揮発性液状シリコーン油 (b)架橋型オルガノポリシロキサン (c)ワセリン、ダイマー酸エステル、アジピン酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ラウロイルグルタミン酸エステル、ジペタエリトリット脂肪酸エステルから選ばれる、25℃において半固形状の油剤2種以上 を配合することを特徴とする油性固形化粧料。」 と記載され(摘記(2a))、実施例16(摘記(2c)、なお、摘記(2b)【0008】から、単に「%」との記載は「質量%」を意味するものと認める。)として、具体的に固形状の油性アイライナーを製造したことが記載されている。 そうすると、甲2には以下に示す発明(以下「甲2発明」という。)が記載されていると認める。 <甲2発明> 「シリコーン樹脂5質量%、デカメチルシクロペンタシロキサン5質量%、ジメチルポリシロキサン5質量%、トリ2―エチルヘキサン酸グリセリル28.6質量%、パラフィンワックス1.5質量%、マイクロクリスタリンワックス0.5質量%、ラウロイルリシン粉末6質量%、ポリメチルシルセスキオキサン2質量%、(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマーとデカメチルシクロペンタシロキサンの混合物(KSG-15(信越化学工業社製))23質量%、(ビニルジメチコン/ラウリルジメチコン)クロスポリマーとトリ2-エチルヘキサン酸グリセリルの混合物(KSG-43(信越化学工業社製))6質量%、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)1質量%、ダイマージリノール酸(フィトステリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル)1質量%、酸化チタン0.4質量%、及び黒酸化鉄15質量%からなる、固形状の油性アイライナー。」 ただし、「トリ2―エチルヘキサン酸グリセリル」の含有量は「残量」と記載されている(摘記(2c):実施例16)から、100から他の成分総和を差し引く計算をして、28.6質量%とした。 イ 本件発明と甲2に記載された発明との対比・判断 (ア) 本件発明1について a 新規性について 本件発明1と甲2発明とを対比する。 本件明細書【0013】及び【0015】には、甲2発明の「(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー」及び「(ビニルジメチコン/ラウリルジメチコン)クロスポリマー」が、「成分(A)の部分架橋型オルガノポリシロキサン重合体」である「シリコーン鎖をシリコーンで架橋したシリコーン架橋物」として記載されており、かつ、甲2発明の「KSG-15(信越化学工業社製)」及び「KSG-43(信越化学工業社製)」自体がいずれもそれらの市販品として記載されているものであるから、甲2発明の「(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー」及び「(ビニルジメチコン/ラウリルジメチコン)クロスポリマー」は、いずれも本件発明1の「部分架橋型オルガノポリシロキサン重合体」に相当する。また、甲2発明の「N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)」及び「油性アイライナー」は、それぞれ、本件発明1の「アミノ酸系油剤」及び「油性化粧料」に相当する。 また、甲2発明の「デカメチルシクロペンタシロキサン」、「ジメチルポリシロキサン」及び「トリ2―エチルヘキサン酸グリセリル」は、いずれも本件発明1の「液状油」に相当する。 ここで、「KSG-15」及び「KSG-43」について、甲3~甲5(摘記(3a)、(3b)、(4a)、(4b)及び(5a))には、「架橋物」が、それぞれ、「4~10%」及び「25~35%」であることが記載されている。 そうすると、甲2発明における「(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマーとデカメチルシクロペンタシロキサンの混合物(KSG-15(信越化学工業社製))23質量%」及び「(ビニルジメチコン/ラウリルジメチコン)クロスポリマーとトリ2-エチルヘキサン酸グリセリルの混合物(KSG-43(信越化学工業社製))6質量%」は、「(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー」を0.92~2.3質量%(=23×0.04~23×0.1)、「デカメチルシクロペンタシロキサン」を20.7~22.08質量%(=23×0.9~23×0.96)、「(ビニルジメチコン/ラウリルジメチコン)クロスポリマー」を1.5~2.1質量%(=6×0.25~6×0.35)、及び「トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル」を3.9~4.5質量%(=6×0.65~6×0.75)含むといえる。 よって、「部分架橋型オルガノポリシロキサン重合体」である「(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー」及び「(ビニルジメチコン/ラウリルジメチコン)クロスポリマー」の甲2発明における含有量の和は、2.42~4.4質量%(=0.92+1.5~2.3+2.1)である。また、甲2発明の「液状油」である「デカメチルシクロペンタシロキサン」、「ジメチルポリシロキサン」、「トリ2―エチルヘキサン酸グリセリル」、「デカメチルシクロペンタシロキサン」及び「トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル」の含有量の和は、63.2~65.18質量%(=5+5+28.6+20.7+3.9~5+5+28.6+22.08+4.5)であるから、本件発明1における「化粧料全体に対して40~90質量%の液状油」を含有することに相当する。 ゆえに、本件発明1と甲2発明とは、 「(A’)部分架橋型オルガノポリシロキサン重合体、 (B)アミノ酸系油剤、および (C)化粧料全体に対して40~90質量%の液状油、 を含有する、油性化粧料。」 である点で一致し、以下の相違点2及び相違点3で相違する。 <相違点2> 「油性化粧料」について、本件発明1は、「ゲル状、クリーム状、または半固形状」であるのに対して、甲2発明は、「固形状」である点。 <相違点3> 「部分架橋型オルガノポリシロキサン重合体」について、本件発明1は「化粧料全体に対して3.5~20質量%」「含有する」のに対して、甲2発明は「(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー」及び「(ビニルジメチコン/ラウリルジメチコン)クロスポリマー」の含有量の和が「2.42~4.4質量%」である点。 相違点2について検討する。 甲2発明は、油性アイライナーとして使用する固形状のものであるから、本件発明1における「ゲル状、クリーム状、または半固形状」のいずれの性状とも異なるものである。 したがって、相違点2は実質的な相違点である。 したがって、本件発明1は、相違点3について検討するまでもなく、甲2に記載された発明ではない。 b 進歩性について 甲2に記載された発明は「油性固形化粧料」についてのものであるところ(請求項1)、甲2には、実施例として、ヘアワックス(実施例19)が記載されているから、甲2には、ゲル状、クリーム状又は半固形状の油性化粧料とすることが記載されているといえる。 ここで、甲2に記載された発明は、「密着感があり軽く柔らかい使用感が両立し、化粧膜が均一な化粧料の実現には至っていないのが現状である」という課題(【0004】)を、「成分(a)と(b)を配合することにより、半固形油の持つベタツキ感を低減することができ、(c)の半固形油を2種以上を配合することにより」解決したものであり(【0005】)、甲2発明の固形状の油性アイライナーは、成分(a)としてジメチルポリシロキサンを、成分(b)として(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー及び(ビニルジメチコン/ラウリルジメチコン)クロスポリマーを、成分(c)としてN-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)及びダイマージリノール酸(フィトステリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル)が必須の成分として配合されているといえる。 そして、甲2発明におけるその他の成分及び甲2発明における各成分の含有量について、甲2に、 「成分(a)の配合量としては、0.1~30質量%(以下、単に「%」と記す。)であると、軽く柔らかい使用感と膜の均一性が向上するため好ましく、さらに0.5~20%であると効果が更に向上するため好ましい。」(【0008】)、 「成分(b)の配合量としては、0.1~30%が、軽く柔らかい使用感が得られ、化粧膜の均一性および密着感の点で好ましく、更に0.5~20%であると効果が更に向上するため好ましい。尚、油剤で膨潤せしめて配合する場合は、固形分の量とする。」(【0014】)、 「成分(c)の配合量としては、0.2~50%であると、軽く柔らかい使用感が得られ、化粧膜の均一性および密着感に優れ、化粧持ちが良い点で好ましく、更に1~25%であると効果が更に向上するため好ましい。」(【0022】) 「本発明の油性固形化粧料に、更に成分(d)のワックスを配合することにより化粧持ちと形状安定性が格段に向上する。 ・・・ 成分(d)の配合量としては、1~20%であると化粧持ちや形状安定性の点で好ましく、更に1~10%であると、軽く柔らかい使用感も向上するため好ましい。」(【0023】)、及び 「本発明の油性固形化粧料には、上記の(a)~(c)の必須成分に加え、本発明の効果を妨げない範囲で、油性成分、油ゲル化剤、粉体およびそれらの表面処理物、界面活性剤、水性成分、紫外線吸収剤、保湿剤、酸化防止剤、美容成分、防腐剤、色素、香料等、通常化粧料に配合される他の成分を配合することができる。」(【0025】) 等と記載されているから、かかる記載に基づいて、甲2発明の各成分及びその含有量を変更することは当業者が容易になし得た事項であるといえる。 しかし、固形状の油性アイライナーである甲2発明について、その性状を「ゲル状、クリーム状、または半固形状」に変更するには、その含有成分及び含有量を変更しなければならないところ、甲2には、油性化粧料の性状を「ゲル状、クリーム状、または半固形状」とした上で、甲2発明のジメチルポリシロキサン、(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー、(ビニルジメチコン/ラウリルジメチコン)クロスポリマー、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)及びダイマージリノール酸(フィトステリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル)以外の成分及び含有する各成分の含有量の全てについて、本件発明1で特定される範囲内のものとすることは、甲2に記載も示唆もされていない。 そうすると、甲2発明において、相違点2に係る本件発明1の構成を採用することは、当業者が容易になし得ることではない。 したがって、本件発明1は、甲2に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (イ) 本件発明3~6及び8~10について 本件発明3~6及び8~10は、本件発明1の発明特定事項を全て備え、本件発明1を更に限定するものであるから、上記(ア)で述べたのと同様の理由により、甲2に記載された発明ではなく、甲2に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (ウ) 本件発明2及び7について 本件発明2及び7は、本件発明1の発明特定事項を全て備え、本件発明1を更に限定するものであるから、上記(ア)bで述べたのと同様の理由により、甲2に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (3) 取消理由3について ア 本件発明の課題 本件発明が解決しようとする課題は、本件明細書【0005】を含む本件明細書全体の記載からみて、「感触、延び広がり、均一性等の使用性に優れた油性化粧料を提供すること」であると認める。 イ 本件明細書の記載 (ア) 本件明細書には、各成分の一般的な説明が記載されているところ、 「部分架橋型オルガノポリシロキサン重合体」について、 「【0011】 ≪成分(A)部分架橋型オルガノポリシロキサン重合体≫ 本発明の油性化粧料において、成分(A)として、部分架橋型オルガノポリシロキサン重合体を含む。本発明で用いられる部分架橋型オルガノポリシロキサン重合体は、化粧料等に通常使用されているものから適宜選択される1種または2種以上でよい。 【0012】 本発明の油性化粧料において、成分(A)の部分架橋型オルガノポリシロキサン重合体としては、シリコーン鎖をシリコーンで架橋したシリコーン架橋物を好ましく用いることができ、同シリコーン架橋物はシリコーン油等の油剤に膨潤することにより構造粘性を有する。成分(A)の部分架橋型オルガノポリシロキサン重合体としては、部分架橋型オルガノポリシロキサン重合体単独として化粧料に配合してもよく、部分架橋型オルガノポリシロキサン重合体を油剤に膨潤したものを化粧料に配合してもよい。 この場合の油剤としては、例えば液状シリコーン油、液状炭化水素油、液状エステル油、液状高級脂肪酸等が挙げられ、常温(25℃)で低粘度、例えば、1~100mPa・s程度の液状油分が挙げられる。 部分架橋型オルガノポリシロキサン重合体を油剤に膨潤させた膨潤物において、部分架橋型オルガノポリシロキサン重合体と油剤の混合比(質量比)は、5:95~40:60程度であり得る。 また、本発明で用いる部分架橋型オルガノポリシロキサン重合体(膨潤物)は、25℃における稠度が100~500であるものを用いることが安定性・使用感の観点から好ましい。上記稠度は、JIS K2220に準じて測定することができる。 【0013】 シリコーン鎖をシリコーンで架橋したシリコーン架橋物の具体例としては、例えば、(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー等の化粧品表示名称で知られているものが挙げられる。シリコーン鎖をシリコーンで架橋したシリコーン架橋物としては、シリコーン油等の油剤を含む膨潤物として市販されているものがあり、それらを使用することができる。例えば、KSG-15、16、17、18、19、016F(信越化学工業株式会社)等を使用することができる。 【0014】 シリコーン鎖をシリコーンで架橋したシリコーン架橋物の他の具体例としては、架橋部分にフェニル基を持つシリコーン架橋物(フェニル変性・部分架橋型ジメチルポリシロキサン)等が挙げられ、限定されないが、例えば、(ジメチコン/フェニルビニルジメチコン)クロスポリマー等の化粧品表示名称で知られているものが挙げられる。架橋部分にフェニル基を持つシリコーン架橋物としては、室温で液状の油剤を含む膨潤物として市販されているものがあり、それらを使用することができる。例えば、KSG-18A(信越化学工業株式会社)等を使用することができる。 【0015】 シリコーン鎖をシリコーンで架橋したシリコーン架橋物の他の具体例としては、主鎖にアルキル分岐を持つシリコーン架橋物(アルキル変性・部分架橋型ジメチルポリシロキサン、シリコーン・アルキル変性部分架橋型ジメチルポリシロキサン)等が挙げられ、限定されないが、例えば、(ビニルジメチコン/ラウリルジメチコン)クロスポリマー、(ラウリルポリジメチルシロキシエチルジメチコン/ビスビニルジメチコン)クロスポリマー等の化粧品表示名称で知られているものが挙げられる。主鎖にアルキル分岐を持つシリコーン架橋物としては、室温で液状の油剤を含む膨潤物として市販されているものがあり、それらを使用することができる。例えば、KSG-41A、42A、43、44、042Z、045Z、048Z(信越化学工業株式会社)等を使用することができる。 【0016】 部分架橋型オルガノポリシロキサン重合体として、(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー、および(ジメチコン/フェニルビニルジメチコン)クロスポリマーを好ましく用いることができる。 【0017】 本発明において、成分(A)の部分架橋型オルガノポリシロキサン重合体の含有量は、使用性の向上および配合の自由度の観点から、化粧料全体に対して、好ましくは3.5~20質量%であり、より好ましくは5~20質量%、さらに好ましくは12~18質量%である。」と記載され、 「アミノ酸系油剤」について、 「【0018】 ≪成分(B)アミノ酸系油剤≫ 本発明の油性化粧料において、成分(B)として、アミノ酸系油剤を含む。本発明で用いられるアミノ酸系油剤は、化粧料等に通常使用されているものから適宜選択される1種または2種以上でよい。 【0019】 アミノ酸系油剤として、好ましくは、アシルアミノ酸とアルコール類とのエステルであるアシルアミノ酸エステルが挙げられる。 アシルアミノ酸部分としては、特に限定されないが、N-アシルグルタミン酸またはN-アシルアラニンが好ましく、N-アシルグルタミン酸がさらに好ましい。これらのアミノ酸構造は光学活性体またはラセミ体のいずれであってもよい。 アシル基としては炭素数8~22の飽和または不飽和脂肪酸より誘導されるアシル基であることが望ましく、例えばラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、ミリスチン酸等の単一組成の脂肪酸由来のアシル基の他に、ヤシ油脂肪酸、牛脂脂肪酸、硬化牛脂脂肪酸等の天然より得られる混合脂肪酸あるいは合成により得られる脂肪酸(分枝脂肪酸を含む)のアシル基であってもよい。 【0020】 エステル部分を生成する基としては、特に限定されないが、ステロール、炭素数8~30の液状高級アルキル、もしくはアルケニルアルコール、炭素数12~38の固形状高級アルキルアルコール等が好ましく挙げられる。N-アシルアミノ酸エステルは、モノエステル体であってもジエステル体であっても構わないが、2つのエステル生成残基のうち少なくとも一方がステロール残基であるジエステル体であることが特に好ましい。ステロールとしては、動物由来のものであっても植物由来のものであってもよく、例えばコレステロール、フィトステロールまたはこれらの水添物等を挙げることができる。また、炭素数8~30の液状高級アルキル、もしくはアルケニルアルコールは、炭素数8~30の天然または合成脂肪族アルコールでかつ常温で液状を呈するものであり、例えば2-オクチルドデシルアルコール、2-デシルテトラデシルアルコール等の分枝アルコール、オレイルアルコール等の不飽和アルコール等が挙げられる。炭素数12~38の固形状高級アルキルアルコールは、炭素数12~38の飽和一価アルコールでかつ常温で固形状を呈するもので、例えばセチルアルコール、ベヘニルアルコール等が挙げられる。 【0021】 アシルアミノ酸エステルとして、具体的には、限定されないが、例えば、ラウロイルグルタミン酸ジ(コレステリル/ベヘニル/オクチルドデシル)、ラウロイルグルタミン酸ジ(コレステリル/オクチルドデシル)、ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)、ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/ベヘニル/オクチルドデシル)、およびミリストイルメチル-β-アラニン(フィトステリル/デシルテトラデシル)等が挙げられる。アミノ酸系油剤としては、市販されているものがあり、それらを使用することができる。例えば、エルデュウCL-301、CL-202、PS-203、PS-304、PS-306、APS-307(味の素株式会社)等を使用することができる。 【0022】 アミノ酸系油剤として、ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)を好ましく用いることができる。 【0023】 本発明において成分(B)のアミノ酸系油剤の含有量は、使用性の向上および配合の自由度の観点から、化粧料全体に対して、好ましくは0.01~10質量%であり、より好ましくは0.1~5質量%、さらに好ましくは0.1~1質量%である。」 と記載され、 「液状油」について、 「【0025】 ≪成分(C)液状油≫ 本発明の油性化粧料において、一態様として、成分(C)の液状油を含む。本発明に係る液状油とは、25℃において流動性を有する油剤をいい、極性油でも非極性油のいずれでもよい。ただし、成分(C)の液状油には、上記成分(B)のアミノ酸系油剤は含まれない。本発明で用いられる油剤は、化粧料等に通常使用されているものから適宜選択される1種または2種以上でよい。 【0026】 本発明の油性化粧料は、液状油をさらに含有することが好ましい。液状油を含有することで、化粧料の皮膚上で延びやすくなり、かつ皮膚へのおさまりが良好になり、使用感触がさらに向上する。 【0027】 かかる油剤としては、エステル油、シリコーン油、炭化水素油等が挙げられる。ただし、同シリコーン油には、上記成分(A)の部分架橋型オルガノポリシロキサン重合体は含まれない。 エステル油としては、限定されないが、例えば、ミリスチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸ミリスチル、オレイン酸デシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、酢酸ラノリン、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソセチル、12-ヒドロキシステアリル酸コレステリル、ジ-2-エチルヘキシル酸エチレングリコール、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、モノイソステアリン酸N-アルキルグリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ-2-ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリ-2-エチルヘキシル酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ-2-エチルヘキシル酸ペンタンエリスリトール、トリ-2-エチルヘキサン酸グリセリル、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、セチル2-エチルヘキサノエート、2-エチルヘキシルパルミテート、トリミリスチン酸グリセリン、トリ-2-ヘプチルウンデカン酸グリセライド、ヒマシ油脂肪酸メチルエステル、オレイン酸オイル、セトステアリルアルコール、アセトグリセライド、パルミチン酸2-ヘプチルウンデシル、アジピン酸ジイソブチル、N-ラウロイル-L-グルタミン酸-2-オクチルドデシルエステル、アジピン酸ジ-2-ヘプチルウンデシル、エチルラウレート、セバチン酸ジ-2-エチルヘキシル、ミリスチン酸2-ヘキシルデシル、パルミチン酸2-ヘキシルデシル、アジピン酸2-ヘキシルデシル、セバチン酸ジイソプロピル、コハク酸2-エチルヘキシル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル、クエン酸トリエチル、オクチルメトキシシンナメート、水添ポリ(C6-12オレフィン)等が挙げられる。 【0028】 シリコーン油としては、限定されないが、例えば、メチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ジメチルポリシロキサン(ジメチコン)、シクロペンタシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、カプリリルメチコン、ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン等が挙げられる。 【0029】 天然油として、限定されないが、例えば、アボカド油、ツバキ油、タートル油、マカデミアナッツ油、トウモロコシ油、ミンク油、オリーブ油、ナタネ油、卵黄油、ゴマ油、パーシック油、小麦胚芽油、サザンカ油、ヒマシ油、アマニ油、サフラワー油、綿実油、エノ油、大豆油、落花生油、茶実油、カヤ油、コメヌカ油、シナギリ油、日本キリ油、ホホバ油、胚芽油、トリグリセリン、トリオクタン酸グリセリン、トリイソパルミチン酸グリセリン等が挙げられる。 【0030】 炭化水素油としては、限定されないが、例えば、イソドデカン、イソヘキサデカン、トリエチルヘキサノイン、スクワラン、ミネラルオイル等が挙げられる。 【0031】 これらの液状油のうち、ジメチコン、トリエチルヘキサノイン、シクロペンタシロキサン、ジフェニルシロキシフェニルトリメチコンが好ましい。 【0032】 本発明において成分(C)の油剤の含有量は、化粧料の延びや使用感触等の使用性の向上および化粧料の安定性の観点から、化粧料全体に対して、好ましくは15~90質量%であり、より好ましくは30~80質量%、さらに好ましくは40~70質量%である。なお、成分(A)の部分架橋型オルガノポリシロキサン重合体源として、シリコーン油等の油剤を含む膨潤物を用いる場合には、上記成分(C)の油剤の含有量は、膨潤に用いられているシリコーン油等の油剤を含むものである。」 と記載されている。 (イ) さらに、本件明細書には、各成分を含む「油性化粧料」について、 【0044】に「油性化粧料の性状は、限定されず、液状、ゲル状、クリーム状、半固形状、固形状、スティック状、パウダー状等のいずれであってもよい。」と記載され、 【0010】に「本発明者らは、特定量の部分架橋型オルガノポリシロキサン重合体とアミノ酸系油剤とを配合することにより、べたつき等の感触を改善し、延び広がり、均一性等の使用性に優れた油性化粧料の創出に成功した。このような知見に基づき、本発明を完成した。」と記載され、 【0026】に「本発明の油性化粧料は、液状油をさらに含有することが好ましい。液状油を含有することで、化粧料の皮膚上で延びやすくなり、かつ皮膚へのおさまりが良好になり、使用感触がさらに向上する。」 と記載されている。 (ウ) また、具体的な実施例として、以下のとおり記載されている。 「【0046】 表1に示す処方の各成分を均一に混合し、油性化粧料(オイル状美容液を得た。得られた油性化粧料について、以下のように特性評価を行った。 【0047】 【表1】 [図:0001434155000002.jpg] 【0048】 1.感触改善 調製した各試料を女性専門家パネル(N=10)に使用してもらい、塗布時の感触(べたつきのなさ)を評価した。 ◎:10人中9人以上が「べたつきがない」と回答した。 ○:10人中7人以上が「べたつきがない」と回答した。 △:10人中5人以上が「べたつきがない」と回答した。 ×:10人中4人以下が「べたつきがない」と回答した。 【0049】 2.延び広がり 調製した各試料を女性専門家パネル(N=10)に使用してもらい、塗布時の延び広がりを評価した。 ◎:10人中9人以上が「延び広がりがよい」と回答した。 ○:10人中7人以上が「延び広がりがよい」と回答した。 △:10人中5人以上が「延び広がりがよい」と回答した。 ×:10人中4人以下が「延び広がりがよい」と回答した。 【0050】 3.均一性 調製した各試料を女性専門家パネル(N=10)に使用してもらい、塗布後の均一性を評価した。 ◎:10人中9人以上が「均一性がよい」と回答した。 ○:10人中7人以上が「均一性がよい」と回答した。 △:10人中5人以上が「均一性がよい」と回答した。 ×:10人中4人以下が「均一性がよい」と回答した。 【0051】 成分(A)として部分架橋型オルガノポリシロキサン、および成分(B)としてラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)を含有する実施例1、2、4、9および10の油性化粧料は、感触改善、延び広がりおよび均一性に優れることが分かった。 成分(A)として部分架橋型オルガノポリシロキサン、および成分(B)としてラウロイルグルタミン酸ジ(オクチルドデシル/フィトステリル/ベヘニル)を含有する実施例3の油性化粧料は、感触改善、延び広がりおよび均一性に優れることが分かった。 成分(A)としてフェニル変性部分架橋型オルガノポリシロキサン、および成分(B)としてラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)を含有する実施例5、6、8の油性化粧料は、感触改善、延び広がりおよび均一性に優れることが分かった。 成分(A)としてフェニル変性部分架橋型オルガノポリシロキサン、および成分(B)としてラウロイルグルタミン酸ジ(オクチルドデシル/フィトステリル/ベヘニル)を含有する実施例7の油性化粧料は、感触改善、延び広がりおよび均一性に優れることが分かった。 一方、成分(A)を含まない比較例1の油性化粧料、および成分(A)の含有量が少ない比較例2の油性化粧料は、感触改善、延び広がりおよび/または均一性が不十分であった。」 ウ 判断 本件明細書には、本件発明の「部分架橋型オルガノポリシロキサン重合体」、「アミノ酸系油剤」及び「液状油」の各成分について、材料の例示とともに含有量の説明が記載され(上記イ(ア))、各成分を混合した「油性化粧料」の「性状」についても説明が記載され(上記イ(イ))、実施例として、本件発明の油性化粧料は「べたつきのなさ」、「延び広がり」及び「均一性」において優れることが具体的な評価結果(上記イ(ウ))とともに記載されている。 そうすると、当業者は、本件発明が上記課題を解決できると認識できるといえる。 ここで、本件発明が油性化粧料の性状を「ゲル状、クリーム状、または半固形状」と特定している点について、甲10に、「化粧品」の「延び(展延性)」に関し、「しかし化粧水は液体,クリーム・乳液類は液体-液体分散系,口紅や油性ファンデーションは,固体-固溶体分散系であり,またおしろい類は固体-固体分散系で,それぞれそれらの組成が異なるので,ただ単に“延び”といっても,レオロジー的性質はまったく別個のものと考えられる。」と記載されているとおり(590頁14~18行)、「液体」、「液体-液体分散系」、「固体-固溶体分散系」及び「固体-固体分散系」といった性状の違いによって、「化粧品」の「延び(展延性)」は異なることが技術常識であるといえる。 本件発明の油性化粧料は「(A)化粧料全体に対して3.5~20質量%の部分架橋型オルガノポリシロキサン重合体」及び「(B)アミノ酸系油剤」を含有するものであるところ、上記イで示したとおり、本件明細書には、「特定量の部分架橋型オルガノポリシロキサン重合体とアミノ酸系油剤とを配合することにより、べたつき等の感触を改善し、延び広がり、均一性等の使用性に優れた油性化粧料」としたことが記載され(【0010】)、さらに、「油性化粧料の性状は、限定されず、液状、ゲル状、クリーム状、半固形状、固形状、スティック状、パウダー状等のいずれであってもよい。」ことが記載され(【0044】:上記イ(イ))、実施例として、(A)成分を所定量及び(B)成分を含有する実施例1~3、5~7及び9の「オイル状美容液」が、べたつきのなさ、のび広がり及び均一性について優れるものである一方、(A)成分を所定量含有しない又は(B)成分を含有しない比較例1~3のオイル状美容液は、べたつきのなさ、のび広がり及び/又は均一性が不十分であることが記載されている(【0046】~【0051】:上記イ(ウ))。 そうすると、本件明細書の記載に基づいて、当業者は、所定量の部分架橋型オルガノポリシロキサン重合体とアミノ酸系油剤とを配合することを含む技術的事項を採用することによって、その性状によることなく、べたつきのなさ、のび広がり及び均一性に優れる油性化粧料が得られることを認識できるといえる。 そして、上記技術常識は、性状の違いによって、「化粧品」の「延び(展延性)」、すなわち、レオロジー的性質が異なるというものであるが、性状が異なる以上それは当然であり、本件発明の課題である、「感触、延び広がり、均一性等の使用性に優れた油性化粧料を提供すること」が解決できるとは、ゲル状、クリーム状又は半固形状のそれぞれの形状において延び広がり等の使用性に優れていればよいと解すべきであるから、性状の違いによってレオロジー的性質が異なることを理由に本件発明の課題が解決できないということはできない。 したがって、本件発明がゲル状、クリーム状又は半固形状のいずれであっても、上記課題を解決できることは、当業者が認識できるものといえる。 なお、当審合議体による令和7年10月27日付け審尋に対して、特許権者が令和7年12月25日に提出した回答書の記載によれば、本件明細書に記載の実施例1の組成を有する油性化粧料は、「ゲル状」である。 したがって、本件発明は、発明の詳細な説明に記載された発明で、かつ、発明の詳細な説明の記載又はその示唆により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるから、本件発明は、発明の詳細な説明に記載したものである。 (4) 小括 したがって、取消理由通知に記載した取消理由1-1、1-2、2-1、2-2、及び3によっては、本件請求項1~10に係る特許を取り消すことはできない。 2 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由(申立理由1のうち請求項2に対する理由及び申立理由3のうちイを根拠とする理由)について (1) 申立理由1(申立理由1-1及び1-2)のうち請求項2に対する理由について 本件発明2は、本件発明1の発明特定事項を全て備え、本件発明1を更に限定するものであるから、本件発明2は、上記1の1-2(1)イ(ア)a及び1の1-2(2)イ(ア)aで述べたのと同様の理由により、甲1に記載された発明ではなく、また、甲2に記載された発明ではない。 (2) 申立理由3のうちイを根拠とする理由(液状油の油剤の種類及び含有量)について 本件明細書には、「成分(C)液状油」について、一般的な説明が記載されているところ(上記1の1-2(3)イ(ア)の摘記:【0025】~【0032】)、本件発明における「液状油」は「25℃において流動性を有する油剤」であり、本件発明におけるその含有量である「40~90質量%」は「化粧料の延びや使用感触等の使用性の向上および化粧料の安定性の観点」から好ましい範囲であるといえる。 そして、申立人の主張するとおり、液状油の種類及び含有量によって使用感が異なることがあるとしても、本件明細書には、上記記載に加えて、上記1の1-2(3)で述べたとおりの本件発明の課題及びその解決手段についての記載、並びに、実施例及び比較例の記載があることに鑑みれば、当業者は、本件明細書の記載に基づいて、液状油の種類によることなく、所定量の部分架橋型オルガノポリシロキサン重合体とアミノ酸系油剤とを配合することを含む技術的事項を採用することによって、べたつきのなさ、のび広がり及び均一性に優れる油性化粧料が得られることを認識できるといえ、また、「化粧料の延びや使用感触等の使用性の向上および化粧料の安定性の観点」から、成分(C)の液状油の「好ましい」とされる含有量の範囲である「40~90質量%」の全範囲にわたって、べたつき等の上記性質に優れる油性化粧料が得られることを認識できるといえる。 したがって、本件発明は、液状油の種類及びその含有量の点でも、発明の詳細な説明に記載された発明で、かつ、発明の詳細な説明の記載又はその示唆により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものである。 (3) 小括 したがって、申立理由1及び3のイによっては、本件請求項1~10に係る特許を取り消すことはできない。 第6 むすび 以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載された特許異議申立理由及び証拠によっては、本件請求項1~10に係る特許を取り消すことはできない。 さらに、ほかに本件請求項1~10に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 また、請求項11は、本件訂正により削除され、請求項11に係る特許についての特許異議の申立ては、その対象が存在しないものとなったため、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。 よって、結論のとおり決定する。

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2025-700384

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