特許異議申立
2025-700273
毛髪化粧料
- 審判番号
- 2025-700273
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2019-137958
- 登録番号
- 7549447
- 請求日
- 2025年03月06日
- 審決日
- 2025年06月30日
- 公報発行日
- 2025年08月29日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】花王株式会社
- 【権利者代理人】弁理士法人アルガ特許事務所
- 【異議申立人】廣瀬 尚子
- 審判長/審判官
- 審判長 井上 典之
- 審判官 野田 定文
- 審判官 天野 皓己
- 分類
- P1652.112-Y (A61K) / P1652.113-Y (A61K) / P1652.121-Y (A61K)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第1項、特許法第29条第1項第2号、特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7549447号発明「毛髪化粧料」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7549447号の請求項1~14及び16に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7549447号(以下「本件特許」という。)の請求項1~18に係る特許についての出願は、令和元年7月26日(優先権主張 平成30年7月27日)の出願(特願2019-137958号。以下「本件特許出願」という。)であって、令和6年9月3日に特許権の設定登録がされ、同年同月11日にその特許掲載公報が発行されたものである。
その後、令和7年3月6日に、その請求項1~14及び16に係る特許に対し、特許異議申立人 廣瀬 尚子(以下「申立人」という。)より、特許異議の申立てがされ、同年5月16日及び同年6月4日に申立人より手続補正書(方式)が提出された。
第2 本件発明
本件特許の請求項1~14及び16に係る発明は、本件特許の願書に添付した特許請求の範囲の請求項1~14及び16(以下「本件請求項1」~「本件請求項14」及び「本件請求項16」という。)にそれぞれ記載された事項により特定される、次のとおりのものである(以下「本件発明1」~「本件発明14」及び「本件発明16」といい、まとめて「本件発明」ともいう。)。
なお、以下の摘記は、全て全角で表記する。本決定全体についても同様である(証拠方法の書誌事項及びURLを除く。)。
「【請求項1】
以下の成分(A)~(C)を含有し、成分(A)の含有量が0.01質量%以上5.00質量%以下、成分(B)の含有量が6.00質量%以上96.77質量%以下であり、pHが1以上5以下である毛髪化粧料(但し、水、エタノール、ハチミツ、γ-ドコサラクトン、ワサビノキ種子エキス、キウイエキス、アセロラ果実エキス、サトウキビエキス、ジラウロイルグルタミン酸リシンNa、ブチレングリコール(BG)、プロパンジオール、グリセリン、ジプロピレングリコール(DPG)、ダイズステロール、加水分解シルク、白金、ポリクオタリウム-10、セトリモニウムクロリド、ベヘントリモニウムクロリド、ステアリルトリモニウムクロリド、カプリルヒドロキサム酸、ポリクオタニウム-6、セテス-20、PEG-50水添ヒマシ油、炭酸水素Na、ポリシリコーン-29、ジメチコン、フェノキシエタノール及び香料を含む場合を除く)。
(A)以下の化合物(a)~(d)の反応産物であるエポキシアミノシランコポリマー
(a)少なくとも二つのオキシラニル基を有するポリシロキサン
(b)少なくとも二つのオキシラニル基を有するポリエーテル
(c)アミノプロピルトリアルコキシシラン
(d)以下の第一級アミンから選択される化合物
・第一級アミン:メチルアミン、エチルアミン、プロピレンアミン、エタノールアミン、イソプロピルアミン、ブチルアミン、イソブチルアミン、ヘキシルアミン、ドデシルアミン、オレイルアミン、アニリン、アミノプロピルトリメチルシラン、アミノプロピルトリエチルシラン、アミノモルホリン、アミノプロピルジエチルアミン、ベンジルアミン、ナフチルアミン、3-アミノ-9-エチルカルバゾール、1-アミノヘプタフロロヘキサン、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8-ペンタデカフルオロ-1-オクタンアミン
(B)以下の(b1)~(b3)から選ばれる少なくとも1種からなるミセル形成阻害剤
(b1):ハンセンの溶解度パラメータの水素結合項が10.0MPa1/2以上15.8MPa1/2以下である有機化合物(ただし、(b3)に該当するものを除く)であって、低級アルカノール、芳香族アルコール、N-アルキルピロリドン及び非環状エステルからなる群より選ばれる少なくとも1種の有機化合物
(b2):エタノール及びジエタノールアミンから選ばれる化合物
(b3):グアニジニウム基を有するグアニジン塩又はアルギニン塩から選ばれる少なくとも1種の有機塩
(C)水
【請求項2】
成分(B)が、(b1):ハンセンの溶解度パラメータの水素結合項が10.0MPa1/2以上15.8MPa1/2以下である有機化合物(ただし、(b3)に該当するものを除く)であって、低級アルカノール、芳香族アルコール、N-アルキルピロリドン及び非環状エステルからなる群より選ばれる少なくとも1種の有機化合物である請求項1に記載の毛髪化粧料。
【請求項3】
成分(A)に対する成分(B)の質量比(B)/(A)が、1以上2000以下である請求項1又は2に記載の毛髪化粧料。
【請求項4】
化合物(a)が次の一般式(1)で表される化合物である、請求項1~3のいずれか1項に記載の毛髪化粧料。
【化1】
[図:0001425790000001.jpg]
〔式中、Rは末端にオキシラニル基を有する、ヘテロ酸素原子を含んでもよい炭素数1~6の炭化水素基を示し、xは1~1000の数を示す。〕
【請求項5】
化合物(b)が次の一般式(2)で表される化合物である、請求項1~4のいずれか1項に記載の毛髪化粧料。
【化2】
[図:0001425790000002.jpg]
〔式中、Rは前記と同じ意味を示し、yは1~100、zは0~100であってy+zが1~200となる数を示す。〕
【請求項6】
化合物(C)におけるアルコキシ基が炭素数1~6のものである、請求項1~5のいずれか1項に記載の毛髪化粧料。
【請求項7】
化合物(C)が、アミノプロピルトリメトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン、アミノプロピルトリプロポキシシラン、アミノプロピルトリイソプロポキシシラン、アミノプロピルトリブトキシシラン及びアミノプロピルトリtert-ブトキシシランから選ばれる少なくとも1種である、請求項1~6のいずれか1項に記載の毛髪化粧料。
【請求項8】
成分(A)がポリシリコーン-29である、請求項1~7のいずれか1項に記載の毛髪化粧料。
【請求項9】
(b1)が、フェノキシエタノール、ベンジルアルコール、2-フェニル-1-プロパノール、2-プロパノール、N-(2-ヒドロキシエチル)2-ピロリドン及び乳酸エチルから選ばれる少なくとも1種である、請求項1~8のいずれか1項に記載の毛髪化粧料。
【請求項10】
(b3)が、グアニジン塩酸塩、グアニジン硝酸塩、グアニジンリン酸塩、グアニジンチオシアン酸塩、グアニジン炭酸塩、グアニジン酢酸塩、グアニジン硫酸塩、グアニジンスルファミン酸塩、アミノグアニジン塩酸塩、アミノグアニジン硫酸塩、アルギニン塩酸塩、アルギニン硝酸塩、アルギニンリン酸塩、アルギニンチオシアン酸塩、アルギニン炭酸塩、アルギニン酢酸塩、アルギニン硫酸塩、アルギニンスルファミン酸塩、アルギニングルタミン酸塩、及びアルギニンアスパラギン酸塩から選ばれる少なくとも1種である請求項1~9のいずれか1項に記載の毛髪化粧料。
【請求項11】
成分(B)が、ベンジルアルコールとフェネチルアルコールとの組合せ、又はベンジルアルコールとエタノールとの組合せを含む、請求項1、3~10のいずれか1項に記載の毛髪化粧料。
【請求項12】
毛髪に適用後、洗い流さずに乾燥させるものである、請求項1~11のいずれか1項に記載の毛髪化粧料。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか1項に記載の毛髪化粧料を毛髪に適用後、洗い流さずに乾燥させる、毛髪化粧料の使用方法。
【請求項14】
毛髪に適用する毛髪化粧料の量が、毛髪の質量に対する浴比で0.001以上100以下である、請求項13に記載の毛髪化粧料の使用方法。」
「【請求項16】
以下の成分(A)~(C)を含有し、成分(A)の含有量が0.01質量%以上5.00質量%以下、成分(B)の含有量が6.00質量%以上96.77質量%以下であり、成分(A)に対する成分(B)の質量比(B)/(A)が1以上200以下であり、pHが1~5である毛髪化粧料(但し、水、エタノール、ハチミツ、γ-ドコサラクトン、ワサビノキ種子エキス、キウイエキス、アセロラ果実エキス、サトウキビエキス、ジラウロイルグルタミン酸リシンNa、ブチレングリコール(BG)、プロパンジオール、グリセリン、ジプロピレングリコール(DPG)、ダイズステロール、加水分解シルク、白金、ポリクオタリウム-10、セトリモニウムクロリド、ベヘントリモニウムクロリド、ステアリルトリモニウムクロリド、カプリルヒドロキサム酸、ポリクオタニウム-6、セテス-20、PEG-50水添ヒマシ油、炭酸水素Na、ポリシリコーン-29、ジメチコン、フェノキシエタノール及び香料を含む場合を除く)。
(A)ポリシリコーン-29
(B)エタノール
(C)水」
第3 申立理由の概要及び証拠
1 申立理由の概要
申立人は、令和7年5月16日及び同年6月4日にそれぞれ提出された手続補正書(方式)によって補正された特許異議申立書(以下「申立書」という。)において、下記2に示す甲第1号証~甲第17号証(以下、それぞれ番号順に「甲1」等という。)を証拠方法として添付して提出し、本件特許の請求項1~14及び16に係る特許を取り消すべきとの申し立てをしており、その理由(以下「申立理由」という。)の概要は、次に示すとおりである。
(1)申立理由1(新規性(公然実施))
本件請求項1~14及び16に係る発明は、本件特許出願の優先日前に日本国内又は外国において公然実施をされた発明であって、特許法第29条第1項第2号に該当するから、本件請求項1~14及び16に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。
ア 申立理由1-1
(申立書(4)具体的理由 ウ(ア)(イ)、エ-1(ア))
公知製品1(甲1及び甲2を参照)
イ 申立理由1-2
(申立書(4)具体的理由 ウ(ウ)(エ)、エ-1(イ))
公知製品2(甲3及び甲4を参照)
ウ 申立理由1-3
(申立書(4)具体的理由 ウ(オ)、エ-1(ウ))
公知製品3(甲5を参照)
エ 申立理由1-4
(申立書(4)具体的理由 ウ(キ)(ク)、エ-1(オ))
公知製品4(甲7及び甲8に加え、甲16を参照)
(2)申立理由2(新規性)
本件請求項1~14及び16に係る発明は、本件特許出願の優先日前に日本国内又は外国において頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、本件請求項1~14及び16に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。
ア 申立理由2-1-1
(申立書(4)具体的理由 エ-1(エ))
甲1を主引用例とした場合
イ 申立理由2-1-2
(申立書(4)具体的理由 エ-1(エ))
甲2を主引用例とした場合
ウ 申立理由2-2-3
(申立書(4)具体的理由 エ-1(エ))
甲3を主引用例とした場合
エ 申立理由2-2-4
(申立書(4)具体的理由 エ-1(エ))
甲4を主引用例とした場合
オ 申立理由2-3-5
(申立書(4)具体的理由 エ-1(エ))
甲5を主引用例とした場合
カ 申立理由2-4-7
(申立書(4)具体的理由 エ-1(オ))
甲7を主引用例とした場合
キ 申立理由2-4-8
(申立書(4)具体的理由 エ-1(オ))
甲8を主引用例とした場合
(3)申立理由3(進歩性)
本件請求項1~14及び16に係る発明は、本件特許出願の優先日前に日本国内又は外国において公然実施をされた発明あるいは本件特許出願の優先日前に日本国内又は外国において頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、本件特許出願の優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、本件請求項1~14及び16に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。
ア 申立理由3-1
(申立書(4)具体的理由 エ-1(エ))
公知製品1又は甲1あるいは甲2に記載された発明及び甲9~13に記載された技術的事項
イ 申立理由3-2
(申立書(4)具体的理由 エ-1(エ))
公知製品2又は甲3あるいは甲4に記載された発明及び甲9~13に記載された技術的事項
ウ 申立理由3-3
(申立書(4)具体的理由 エ-1(エ))
公知製品3又は甲5に記載された発明及び甲9~13に記載された技術的事項
エ 申立理由3-4
(申立書(4)具体的理由 エ-1(オ))
公知製品4又は甲7あるいは甲8に記載された発明
オ 申立理由3-5
(申立書(4)具体的理由 エ-1(キ)(ク))
甲14に記載された発明及び甲9~13に記載された技術的事項
カ 申立理由3-6
(申立書(4)具体的理由 エ-1(ケ))
甲6に記載された発明及び甲9~14及び16に記載された技術的事項
2 申立人が提出した証拠方法
甲1:ウェブサイト「THE CUT」の「The World's Most Influential Hairstylist Is Launching New Products」、[online]、インターネット<https://www.thecut.com/2018/01/the-ouai-launches-new-volume-spray-and-leave-in-conditioner.html>、2018年1月12日掲載
甲2:ウェブサイト「SEPHORA」の「OUAI Leave In Conditioner 140ml」、[online]、2023年5月12日掲載(ウェイバックマシン(URL:https://web.archive.org)を利用して、URLが「https://www.sephora.co.uk/p/OUAI-Leave-In-Conditioner-140ml」であるウェブページを検索し、2023年5月12日の箇所を選択して表示させたもの)
甲3:ウェブサイト「Askmewhats」の「Which Vitress Variant Should You Go For?」、[online]、インターネット<http://www.askmewhats.com/2017/12/which-vitress-variant-should-you-go-for.html>、2017年12月26日掲載
甲4:ウェブサイト「Snowrabbit」の「Vitress Hair Freshener: A Product Review」、[online]、インターネット<https://thebloggerrabbit.blogspot.com/2018/09/vitress-hair-freshener-product-review.html>、 2018年9月26日掲載
甲5:ウェブサイト「CABELEIRA EM PE」の「NOVIDADES NO POO E LOW POO: PRODUTOS LANCADOS EM 2018 - PARTE 5」、[online]、インターネット<https://www.cabeleiraempe.com.br/2018/03/novidades-no-poo-e-low-poo-produtos-lancados-em-2018-5-Bio-Extratus-Capicilin-Bothanico-Hair-Yamasterol-Lola-Kanechom-Salon-Line.html>、 2018年3月24日掲載
甲6:「Silsoft* CLX-E Conditioning Agent MARKETING BULLETIN」、[online]、インターネット<https://www.momentive.com/content/dam/momentive/global/docs/default-source/productdocuments/silsoft-clx-e-conditioning-agent/silsoft-clx-e-marketing-bulletin.pdf>、2017年
甲7:ウェブサイト「H.B.NEWS」の「朝の新習慣『CHIARO HAIRWATER』。フィヨーレコスメティクスが4月24日に発売」、[online]、インターネット<http://www.hbnews.ribiyo.co.jp/2018/04/06/fiole-3/>、2018年4月6日掲載
甲8:ウェブサイト「シャンプー解析ドットコム」の「解析結果 フィヨーレ(FIOLE) キアロ ヘアウォーター」、[online]、インターネット<https://www.ishampoo.jp/kaiseki/product/fiolefiolechiarohairwater>、掲載日不明
甲9:特開2007-63295号公報
甲10:特開2006-282614号公報
甲11:特開2010-248135号公報
甲12:特開2008-88163号公報
甲13:特開2011-21000号公報
甲14:特開2010-83892号公報
甲15:彦田毅ほか、「含エステル基界面活性剤の研究 エタノール-水混合溶液中でのミセル形成」、油化学、1974年、第23巻第3号、第180~183頁
甲16:「キアロヘアウォーター pH実測結果」
甲17:「シランカップリング剤 A Guide to Silane Solutions」、東レ・ダウコーニング株式会社、2008年10月
第4 当審合議体の判断
当審合議体は、本件請求項1~14及び16に係る特許は、上記第3に示した申立理由及び証拠によっては、取り消すことはできないと判断する。その理由は以下のとおりである。
なお、以下の証拠方法の記載事項の摘記において、日本語以外で記載されたものについては当審合議体における訳文で示し、下線は当審合議体が追記したものである。また、摘記における「・・・」は摘記の省略を示す。
1 甲号証の記載事項
(1)甲1の記載事項
摘記(1a)
「新しいもの 2018年1月12日
世界で最も影響力のあるヘアスタイリストが新製品を発売します。」
摘記(1b)
「さらに、Ouai(発音はウェイ)は2月に新しい洗い流さないコンディショナーミストを発売します。洗い流さないコンディショナーは熱保護機能があり、あらゆるタイプの髪を整えて絡まりを解消します。どちらの製品も、髪を乾燥して活気のない状態にする化学防腐剤、動物実験、塩化ナトリウムを含んでいません。ボリュームスプレーは今すぐ購入でき、セフォラで洗い流さないコンディショナーのOuai-tリストに登録できます。」
摘記(1c)
「
[図:0001425790000003.jpg]
[図:0001425790000004.jpg]
」
(2)甲2の記載事項
摘記(2a)
「ウェイ・リーブ・イン・コンディショナー 140mL」
摘記(2b)
「
[図:0001425790000005.jpg]
」
摘記(2c)
「成分
水、シクロペンタシロキサン、セテアリルアルコール、クオタニウム-91、香料、フェノキシエタノール、アダンソニア・ディギタータ種子油、アルガニアスピノサ核油、 月見草油、酢酸トコフェロール、加水分解紅藻エキス、タマリンドインディカエキス、パンテノール、セテアラミドエチルジエトニウムサクシノイル加水分解エンドウタンパク、アルギニン、アスパラギン酸、PCA、グリシン、アラニン、セリン、バリン、イソロイシン、プロリン、トレオニン、ヒアルロン酸ナトリウム、ヒスチジン、アブラナ科植物油共重合体、セトリモニウムクロリド、グリセリン、ジプロピレングリコール、ポリシリコーン-29、ベヘントリモニウムクロリド、ミリスチルミリスチン酸、シリコーンクオタニウム-16、ロイコノストック/ラディッシュ根発酵液、ブチレングリコール、ウンデセス-11、ブチルオクタノール、グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド、ウンデセス-5、3-O-エチルアスコルビン酸、PCAナトリウム、乳酸ナトリウム、フェニルアラニン、EFTA2ナトリウム、ソルビン酸カリウム、クエン酸、シトロネロール、ゲラニオール、α-イソメチルイオノン、シナミルアルコール、シトラール、リナロール、ヒドロキシシトロネラール、リモネン。」
(3)甲3の記載事項
摘記(3a)
「2017年12月26日(火)
どのVitressバリエーションを選択すべきでしょうか?」
摘記(3b)
「そこで、私は彼らの最新ラインを試す機会を与えられたので、もちろん、Vitressキューティクルコートクラシックも試し、その後、Vitressキューティクルコートヒートプロテクト、Vitressヘアフレッシュナー、Vitressヘアポリッシュストレングスニングを試してみました。」
摘記(3c)
「
[図:0001425790000006.jpg]
」
(4)甲4の記載事項
摘記(4a)
「2018年9月26日(水)
Vitressヘアフェレッシュナー:製品レビュー」
摘記(4b)
「
[図:0001425790000007.jpg]
」
摘記(4c)
「成分:(出典:製品ラベル)
変性アルコール、アクア、ブチレングリコール、香料、トレハロース、ベタイン、ジプロピレングリコール、ポリシリコーン-29、パンテノール、プロピレングリコール、C12-15 パレス12、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ペクチン、PVP、フェノキシエタノール、エチルヘキシルグリセリン、ポリビニルアルコール」
(5)甲5の記載事項
摘記(5a)
「2018年3月24日(土)
ノーシャンプーと低シャンプーのニュース
2018年に発売された製品・パート5」
摘記(5b)
「スムーズ、ライト、ルーズ - ローラ
あなたの髪はストレートですか、それとも縮毛矯正ですか?ローラはストレートヘアの問題について考え、髪をトリートメントして整えておくための一連の製品を発売しました。スムーズ、ライト、ルーズには、滑らかな効果をより長く維持するために、天然有効成分(シナモン、タマリンド、オリーブ)とシリコーンが配合されています。シリコーンは乳化しているので水に溶けます。」
摘記(5c)
「
[図:0001425790000008.jpg]
」
摘記(5d)
「スムーズ、ライト、ルーズ シャンプー組成物 - ローラコスメティック(低シャンプー):
水、ラウリルグルコシド、ラウレススルホコハク酸二ナトリウム、塩化ジココジモニウム(及び)イソプロピルアルコール、桂皮エキス(及び)アコーラスカラムス根エキス(及び)コミフォラミルラ樹脂エキス(及び)オリーブ果実油、水(及び)グリセリン(及び)Polymnia Sochifolia根エキス、タマリンド果実エキス、アカシアセネガルガムエキス、水(及び)亜麻仁種子エキス(及び)アルギン、PEG-120 ジオレイン酸メチルグルコース、グリセリン(植物由来)、ジプロピレングリコール(及び)ポリシリコーン-29、コカミドプロピルベタイン、ポリクオタニウム-7、乳酸ナトリウム、グア-ヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド、グルコン酸ナトリウム、クエン酸、フェノキシエタノール(及び)カプリリルグリコール、パルファム/フレグランス、α-イソメチルイオノン、シトロネロール、クマリン、ヘキシルシンナマル、グラニオール、リナロール。」
(6)甲6の記載事項
摘記(6a)
「Silsoft*CLX-E
コンディショニング剤」
(第1頁)
摘記(6b)
「典型的な物理特性
Silsoft CLX-E コンディショニング剤
・・・
シリコーン含量 % 15
・・・
pH範囲 4-6
・・・」(第1頁)
摘記(6c)
「トリートメント・プロトコル:
1.シャンプーした後、補修クリームをアンプルに取り、濡れた髪に塗布します。
2.製品を付けたまま髪を乾燥させます。
3.髪を軽くすすぎ、好みのスタイルに整えます。
・・・
成分 重量%
脱イオン水 100までの残部
乳酸 0.6
ベヘンアミドプロピル ジメチルアミン 2.2
セテアリルアルコール 4.4
ココナッツ油 5
Silsoft CLX-E コンディショニング剤 6.6
保存料 適量」(第4頁)
(7)甲7の記載事項
摘記(7a)
「2018年4月6日
朝の新習慣『CHIARO HAIRWATER』。フィヨーレコスメティクスが4月24日に発売」
摘記(7b)
「
[図:0001425790000009.jpg]
」
摘記(7c)
「◎キアロ ヘアウォーター(洗い流さないトリートメント)」
(8)甲8の記載事項
摘記(8a)
「解析結果
フィヨーレ(FIOLE) キアロ ヘアウォーター」
摘記(8b)
「
[図:0001425790000010.jpg]
」
摘記(8c)
「発売日
20180525」
摘記(8d)
「全成分
水、エタノール、ハチミツ、γ-ドコサラクトン、ワサビノキ種子エキス、キウイエキス、アセロラ果実エキス、サトウキビエキス、ジラウロイルグルタミン酸リシンNa、BGプロパンジオール、グリセリン、DPG、ダイズステロール、加水分解シルク、白金、ポリクオタニウム-10、セトリモニウムクロリド、ベヘントリモニウムクロリド、ステアリルトリモニウムクロリド、カプリルヒドロキサム酸、ポリクオタニウム-6、セテス-20、PEG-50水添ヒマシ油、炭酸水素Na、ポリシリコーン-29、ジメチコン、フェノキシエタノール、香料。」
(9)甲9の記載事項
摘記(9a)
「【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って本発明は、浮き毛やハネ毛のない、美しいまとめ髪を簡単に作ることのできる毛髪処理方法を提供することを目的とする。」
摘記(9b)
「【0092】
本発明で使用される毛髪処理剤は、毛髪の耐湿性を向上して、乾燥後のまとめ髪スタイルから浮き毛・ハネ毛が出るのを抑えて持続性を良くするという観点から、水で20重量倍に希釈したときの25℃におけるpHが、2.5~4.5であるのが好ましく、更にはpH2.5~4、特にpH3~4が好ましい。」
(10)甲10の記載事項
摘記(10a)
「【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明は、洗髪時の感触に優れ、ヘアカラーなどの傷みが蓄積して跳ねたりうねったりした毛先を本来の真っ直ぐな状態に回復させる効果に優れる毛髪洗浄剤を提供することを目的とする。」
摘記(10b)
「【0062】
本発明の毛髪洗浄剤は、毛先のうねりを改善せせる効果の観点より、毛髪に適用する際のpH(水で20重量倍希釈,25℃)が2以上6未満であるのが好ましく、更にはpH3~5、特にpH3.5~4.5であるのが好ましい。pH調整剤としては、成分(C)の有機酸のほか、無機酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、塩化アンモニウム等の塩基を用いてもよい。」
(11)甲11の記載事項
摘記(11a)
「【0028】
・・・
前記添加成分の中で、プロピレングリコール、エタノールの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記毛髪化粧料の低温安定性をより向上させる効果がある点で、前記毛髪化粧料中、0.1質量%~20.0質量%が好ましい。」
摘記(11b)
「【0031】
<用途・剤型>
前記毛髪化粧料の用途としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、整髪料が挙げられる。
前記毛髪化粧料の剤型としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ヘアウォーターなどが挙げられる。」
摘記(11c)
「【0033】
(実施例1~32、比較例1~16)
表1~9に示す組成に従い、全量が100質量%となるように、実施例1~32、及び、比較例1~16の毛髪化粧料を常法に準じて調製した。
なお、毛髪化粧料のpHは、グリコール酸を適量加え、約4.5に調整した。」
(12)甲12の記載事項
摘記(12a)
「【0038】
本発明の毛髪化粧料のpH(25℃)は、毛髪のpHに近く、連続使用しても毛髪を傷めないという点から、3~6が好ましい。なお、上記pHは化粧品原料基準一般試験法に準拠して測定した方法である。」
(13)甲13の記載事項
摘記(13a)
「【0002】
従来、毛髪の保護、感触の向上等を目的として、油性成分を含有させ、ヘアウォーターとした毛髪化粧料が知られている。この形態の毛髪化粧料は、べたつくことなく頭髪がしっとりまとまる、軽く自然な仕上がりになるという点で優れているため、数多くの提案がなされている。しかし、性能をより一層向上させるため油性成分を多量に含有させようとすると、多量の乳化剤を用いた乳液型の剤型となり、ヘアウォーターと比べると感触の悪化を引き起こす、また保存安定性を確保することが難しい等、問題が生じてしまい、配合できる油性成分の量には自ずと限界があった。」
摘記(13b)
「【0069】
[pH]
本発明の毛髪化粧料は、成分(B)のポリマー鎖の広がりを適度に押さえ、成分(A)と成分(B)とによる二次凝集物形成に寄与することで、振とう後の二層への分離速度を適度なものとする観点から25℃におけるpHが2~6.5に調整されることが好ましく、更にはpH2.5~5.5特にpH3~4.5に調整されるのが好ましい。pHを上記範囲内に調整するためには、前記有機カルボン酸のほか、塩酸、硫酸、リン酸等の無機酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ剤を用いることができる。」
(14)甲14の記載事項
摘記(14a)
「【請求項1】
ケラチン繊維を処置するための化粧料組成物であって、以下の各成分:
1、2又は3個のケイ素原子を含むシランから選択される、1種又はそれ以上の有機ケイ素含有化合物、ここで、該有機ケイ素含有化合物は、さらに1分子当たり、1種又はそれ以上の塩基性化学官能基及び1種又はそれ以上のヒドロキシル基又は加水分解性の基をも含み;
1種又はそれ以上の疎水性フィルム形成ポリマー;
1種又はそれ以上の顔料;及び
1種又はそれ以上の揮発性溶媒、
を含むことを特徴とする、前記化粧料組成物。」
摘記(14b)
「【請求項7】
前記有機ケイ素含有化合物が、3-アミノプロピル-トリエトキシシラン、3-アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン又は3-(2-アミノエチルアミノ)プロピルメチルジエトキシシランである、請求項1~6の何れか1項に記載の化粧料組成物。」
摘記(14c)
「【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、ケラチン繊維を処置するための、特に毛髪等のヒトのケラチン繊維を染色するための、化粧料組成物を開発し、またシャンプー堅牢性であり、外部の攻撃因子に対して抵抗性であり、一方同時に、該処置された毛髪が敏感化されているかどうかに拘らず、長期持続的様式で、良好な化粧学的特性(該毛髪にボディ、量感又は嵩を与える)を維持する、着色された被覆を与えることのできる、毛髪染色法を利用することに対する、実際の需要がある。」
摘記(14d)
「【0011】
さらに、上記前処理組成物が、水を含む場合、又は該組成物が、水の存在下で、例えば湿った毛髪に適用される場合、該有機ケイ素含有化合物は、加水分解され、次いで縮合されて、該オルガノシランの毛髪への接着を助長する、ハイブリッドポリマーを生成する可能性がある。」
摘記(14e)
「【0014】
本発明による該有機ケイ素含有化合物は、1、2又は3個のケイ素原子、好ましくは2個のケイ素原子を含むオルガノシランから選択される。これらは、1種又はそれ以上の塩基性化学官能基を含む必要がある。該塩基性化学官能基は、該ケイ素含有化合物に塩基性特性を与える任意の官能基であり得、また好ましくはアミン官能基、例えば第一、第二又は第三アミン官能基である。本発明による該ケイ素原子含有化合物の、該塩基性化学官能基は、場合により他の官能基、例えば他のアミン官能基、酸性官能基又はハロゲン官能基を含むことができる。
本発明で使用する該有機ケイ素含有化合物は、また1分子当たり、1種又はそれ以上の加水分解性の基又はヒドロキシル基をも含む。該加水分解性の基は、好ましくはアルコキシ基、アリールオキシ基、又はハロゲン原子である。これらは、また場合により酸性官能基等の他の化学官能基を含むことができる。
特定の一態様によれば、本発明で使用する該有機ケイ素含有化合物は、以下の一般式(I)で表される化合物から選択される:
【0015】
【化1】
[図:0001425790000011.jpg]
・・・
【0017】
本発明のもう一つの態様によれば、該直ちに使用できる化粧料組成物及び本発明に従って前処理として使用される該組成物に存在する、該有機ケイ素含有化合物は、以下の式(II)で表される化合物から選択される:
(R21O)x(R22)ySi-(B)p-[NR23-(B‘)p’]q-[NR‘23-(B‘’)p‘’]q‘-Si-(R’22)y‘(OR’21)x‘ (II)
・・・
上記式(II)の有機ケイ素含有化合物は、また単独で又は組合せとして、以下に列挙する特徴を持つことができる:
【0019】
・・・
例えば、該有機ケイ素含有化合物は、・・・ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]アミン、・・・
本発明のもう一つの態様によれば、該有機ケイ素含有化合物は、以下の一般式(III)で表される化合物から選択される:
【0020】
【化2】
[図:0001425790000012.jpg]
」
摘記(14f)
「【0118】
好ましくは、該化粧学的前処理用組成物の該化粧学的に許容される媒体は、水、エタノール又は水とエタノールとで生成される混合物で構成される。」
摘記(14g)
「【0134】
【表5】
[図:0001425790000013.jpg]
」
(15)甲15の記載事項
摘記(15a)
「これらの現象のうちで,cmc値が無添加のcmc値より低下したのは,添加されたアルコールがミセル中に貫入して,ミセル表面の電荷密度を下げて,界面活性剤の親水基相互の電気的反発を柔げることによるものといわれている1)。この場合,水溶液中に溶解しているアルコールの量は少量なため,混合溶媒として分散作用などはほとんど示さないものと思われる。更に添加アルコールの量を増すとcmc値が上昇するのは,溶媒中に溶解するアルコールの量が大きくなり,水-アルコール混合溶媒の性格が変化し,その結果界面活性剤を溶剤分散させる能力が大きくなるものといわれている4)。」(第181頁右欄下から9行~182頁左欄2行)
(16)甲16の記載事項
摘記(16a)
「
[図:0001425790000014.jpg]
」
(17)甲17の記載事項
摘記(17a)
「シランカップリング剤の縮合反応
シランカップリング剤は加水分解によってシラノール(Si-OH)を生成した後、シラノール同士が徐々に縮合してシロキサン結合 (Si-O-Si)となり、シランオリゴマーを形成します。この結合反応によってシランカップリング剤はシリコーンとしての性質が強くなりますが、一方でシラノール基数が減るために反応性が低下し水に溶け難くなります。縮合反応の速度はpHによって変化し、一般にはpHが3.5~4の場合に最も遅くなます(図5)。また、pHとは別に有機金属等の触媒の存在により反応が加速される場合があります。
これらの知見から一般的に安定な水溶液を得る場合には水溶液のpHを4付近に制御することが有効です。(アミノ基やエポキシ基を有するシランカップリング剤などの一部化合物では最適pH域が異なります。)」(第5頁)
2 申立理由についての判断
(1)申立理由1-1、申立理由2-1-1、申立理由2-1-2及び申立理由3-1について
ア 申立理由1-1について
2018年1月12日に掲載された甲1には、「2月に新しい洗い流さないコンディショナーミストを発売します」と記載され(摘記(1b))、当該製品とされる「ウェイ・リーブ・イン・コンディショナー」の名称が付された写真も記載されているものの(摘記(1c))、当該製品の発売日等についての記載はなく、当該製品が本件特許出願の優先日である2018年7月27日前に実際に発売されていたことを確認できるような記載はない。
また、2023年5月12日に掲載された甲2には、「ウェイ・リーブ・イン・コンディショナー 140mL」の名称とされる製品について記載され(摘記(2a)(2b))、その成分も記載されているが(摘記(2c))、当該製品が本件特許出願の優先日前に実際に発売されていたことを確認できるような記載はない。
そして、甲1に記載された製品と、甲2に記載された製品とは、「ウェイ・リーブ・イン・コンディショナー」という名称に共通する部分があり、外観の写真も類似するものの、両製品が、その成分を含めて同一のものであると認めるに足る根拠は見いだせない。
そうすると、甲1及び甲2の記載を参照して、甲1又は甲2に記載された製品が、本件特許出願の優先日前に公然実施をされた発明であるということはできない。
したがって、本件発明1~14及び16は、甲1及び甲2の記載を参照して、本件特許出願の優先日前に日本国内又は外国において公然実施をされた発明であるとはいえない。
イ 申立理由2-1-1及び2-1-2について
(ア)甲1に記載された発明及び本件発明との対比・判断
甲1には、「洗い流さないコンディショナーミスト」(摘記(1b))について)、「洗い流さないコンディショナーは熱保護機能があり、あらゆるタイプの髪を整えて絡まりを解消します」(摘記(1b))と記載されていることから、甲1には、次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されているといえる。
≪甲1発明≫
「髪を整えて絡まりを解消する、洗い流さないコンディショナーミスト。」
甲1発明は「髪を整えて絡まりを解消する、洗い流さないコンディショナーミスト」であるから、本件発明1の「毛髪化粧料」に相当するといえる。
そうすると、本件発明1と甲1発明とは、「毛髪化粧料。」である点で一致するが、甲1発明が本件発明1におけるその余の特定事項を備えていない点で相違する。
そして、本件発明1において規定される成分(A)~(C)及びそれらの含有量、また、「pHが1以上5以下である」と特定される点について、甲1には何らの記載もなく、これらは実質的な相違点であるから、本件発明1は甲1に記載された発明ではない。
本件発明1の発明特定事項を更に限定するものである本件発明2~12及び16、並びに、本件発明1~12の毛髪化粧料の使用方法に係る本件発明13~14も、同様の理由により、甲1に記載された発明ではない。
(イ)甲2に記載された発明について
上記アで述べたとおり、甲2は2023年5月12日に掲載されたものと認められるから、甲2に記載された発明は、本件特許出願の優先日前に日本国内又は外国において頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明とはいえない。
したがって、本件発明1~14及び16は、甲2を根拠に、本件特許出願の優先日前に日本国内又は外国において頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるとはいえない。
ウ 申立理由3-1について
(ア)主引用例について
上記アで述べたとおり、甲1又は甲2に記載された製品は、本件特許出願の優先日前に公然実施をされた発明ということはできず、上記イ(イ)で述べたとおり、甲2に記載された発明は、本件特許出願の優先日前に日本国内又は外国において頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明ともいえない。
そこで、以下、甲1を主引用例として検討する。
(イ)甲1発明と本件発明との対比・判断
上記イ(ア)において述べたとおり、本件発明1と甲1発明とは、「毛髪化粧料。」である点で一致するが、甲1発明が本件発明1におけるその余の特定事項を備えていない点で相違する。
そして、甲1には「洗い流さないコンディショナーミスト」について記載されるのみであって、その成分についても何らの記載もないところ、甲9~13の記載事項を参照しても、甲1発明において、本件発明1で規定される成分(A)~(C)を含有し、それぞれの含有量を本件発明1で規定される範囲とする動機付けがあるとはいえないから、pHの範囲について検討するまでもなく、本件発明1は当業者が容易に発明をすることができたものではない。
本件発明1の発明特定事項を更に限定するものである本件発明2~12及び16、並びに、本件発明1~12の毛髪化粧料の使用方法に係る本件発明13~14も、同様の理由により、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
エ 小括
以上のとおりであるから、申立理由1-1、申立理由2-1-1、申立理由2-1-2及び申立理由3-1のいずれも理由がない。
(2)申立理由1-2、申立理由2-2-3、申立理由2-2-4及び申立理由3-2について
ア 申立理由1-2について
2017年12月26日に掲載された甲3には、「私は彼らの最新ラインを試す機会を与えられたので、・・・Vitressヘアフレッシュナー、・・・を試してみました。」と記載され(摘記(3b))、当該製品を含む写真も記載されているものの(摘記(3c))、当該製品の発売日等の記載はなく、当該製品が本件特許出願の優先日である2018年7月27日前に実際に発売されていたことを確認できるような記載はない。
また、2018年9月26日に掲載された甲4には、「Vitressヘアフェレッシュナー」(摘記(4a)(4b))とされる製品の成分が記載されているが(摘記(4c))、当該製品が本件特許出願の優先日前に実際に発売されていたことを確認できるような記載はない。
そして、甲3に記載された製品と、甲4に記載された製品とは、「Vitressヘアフェレッシュナー」という名称が共通し、外観の写真も類似するものの、両製品が、その成分を含めて同一のものであると認めるに足る根拠は見いだせない。
そうすると、甲3及び甲4の記載を参照して、甲3又は甲4に記載された製品が本件特許出願の優先日前に公然実施をされた発明であるということはできない。
したがって、本件発明1~14及び16は、甲3及び甲4の記載を参照して、本件特許出願の優先日前に日本国内又は外国において公然実施をされた発明であるとはいえない。
イ 申立理由2-2-3及び2-2-4について
(ア)甲3に記載された発明及び本件発明との対比・判断
甲3には、摘記(3a)~摘記(3c)の記載からみて、次の発明(以下「甲3発明」という。)が記載されているといえる。
≪甲3発明≫
「ヘアフレッシュナー。」
甲3発明の「ヘアフレッシュナー」は、本件発明1の「毛髪化粧料」に相当する。
そうすると、本件発明1と甲3発明とは「毛髪化粧料。」である点で一致するが、甲3発明が本件発明1におけるその余の特定事項を備えていない点で相違する。
そして、本件発明1において規定される成分(A)~(C)及びそれらの含有量、また、「pHが1以上5以下である」と特定される点について、甲3には何らの記載もなく、これらは実質的な相違点であるから、本件発明1は甲3に記載された発明ではない。
本件発明1の発明特定事項を更に限定するものである本件発明2~12及び16、並びに、本件発明1~12の毛髪化粧料の使用方法に係る本件発明13~14も、同様の理由により、甲3に記載された発明ではない。
(イ)甲4に記載された発明及び本件発明との対比・判断
甲4には、摘記(4a)~摘記(4c)の記載からみて、次の発明(以下「甲4発明」という。)が記載されているといえる。
≪甲4発明≫
「変性アルコール、アクア、ブチレングリコール、香料、トレハロース、ベタイン、ジプロピレングリコール、ポリシリコーン-29、パンテノール、プロピレングリコール、C12-15 パレス12、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ペクチン、PVP、フェノキシエタノール、エチルヘキシルグリセリン、ポリビニルアルコールからなる、ヘアフェレッシュナー。」
しかしながら、甲4は2018年9月26日に掲載されたものと認められるところ、本件特許についての優先権主張の効果は認められるので、本件甲4に記載された発明は、本件特許出願の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された、又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明とはいえない。
したがって、本件発明1~14及び16は、甲4を根拠に、本件特許出願の優先日前に日本国内又は外国において頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるとはいえない。
ウ 申立理由3-2について
(ア)主引用例について
上記アで述べたとおり、甲3又は甲4に記載された製品は、本件特許出願の優先日前に公然実施をされた発明ということはできず、上記イ(イ)で述べたとおり、甲4に記載された発明が本件特許出願の優先日前に日本国内又は外国において頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明ともいえない。
そこで、以下、甲3を主引用例として検討する。
(イ)甲3発明と本件発明との対比・判断
上記イ(ア)において述べたとおり、本件発明1と甲3発明とは、「毛髪化粧料。」である点で一致するが、甲3発明が本件発明1におけるその余の特定事項を備えていない点で相違する。
そして、甲3には「Vitressヘアフレッシュナー」について記載されるのみであって、その成分についても何らの記載もないところ、甲9~13の記載事項を参照しても、甲3発明において、本件発明1で規定される成分(A)~(C)を含有し、それぞれの含有量を本件発明1で規定される範囲とする動機付けがあるとはいえないから、pHの範囲について検討するまでもなく、本件発明1は当業者が容易に発明をすることができたものではない。
本件発明1の発明特定事項を更に限定するものである本件発明2~12及び16、並びに、本件発明1~12の毛髪化粧料の使用方法に係る本件発明13~14も、同様の理由により、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
エ 小括
以上のとおりであるから、申立理由1-2、申立理由2-2-3、申立理由2-2-4及び申立理由3-2のいずれも理由がない。
(3)申立理由1-3、申立理由2-3-5及び申立理由3-3について
事案に鑑み、申立理由2-3-5及び申立理由3-3から先に検討する。
ア 申立理由2-3-5及び申立理由3-3について
(ア)甲5に記載された発明
2018年3月24日に掲載された甲5には、「ローラはストレートヘアの問題について考え、髪をトリートメントして整えておくための一連の製品を発売しました。」と記載され(摘記(5b)、「スムーズ、ライト、ルーズ シャンプー組成物」の組成についても記載されていることから(摘記(5d))、甲5には、次の発明(以下「甲5発明」という。)が記載されているといえる。
≪甲5発明≫
「水、ラウリルグルコシド、ラウレススルホコハク酸二ナトリウム、塩化ジココジモニウム及びイソプロピルアルコール、桂皮エキス及びアコーラスカラムス根エキス及びコミフォラミルラ樹脂エキス及びオリーブ果実油、水及びグリセリン及びPolymnia Sochifolia根エキス、タマリンド果実エキス、アカシアセネガルガムエキス、水及び亜麻仁種子エキス及びアルギン、PEG-120 ジオレイン酸メチルグルコース、グリセリン(植物由来)、ジプロピレングリコール及びポリシリコーン-29、コカミドプロピルベタイン、ポリクオタニウム-7、乳酸ナトリウム、グア-ヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド、グルコン酸ナトリウム、クエン酸、フェノキシエタノール及びカプリリルグリコール、パルファム/フレグランス、α―イソメチルイオノン、シトロネロール、クマリン、ヘキシルシンナマル、グラニオール、リナロールからなる、髪をトリートメントして整えておくためのシャンプー組成物。」
(イ)甲5発明と本件発明との対比
甲5発明における「イソプロピルアルコール」は、「2-プロパノール」と同義であるから、本件発明1における「成分(B)」(b1)に相当し、甲5発明における「フェノキシエタノール」についても、本件明細書の段落【0037】に記載されるとおり、本件発明1の「成分(B)」(b1)に相当する。
甲5発明における「水」は、本件発明1における「成分(C)」に相当する。
甲5発明における「ポリシリコーン-29」は、本件明細書の段落【0025】に記載されるとおり、本件発明1における「成分(A)」に相当する。
甲5発明における「髪をトリートメントして整えておくためのシャンプー組成物」は、本件発明1における「毛髪化粧料」に相当する。
そうすると、本件発明1と甲5発明との一致点及び相違点は以下のとおりである。
<一致点>
「以下の成分(A)~(C)を含有する毛髪化粧料(但し、水、エタノール、ハチミツ、γ-ドコサラクトン、ワサビノキ種子エキス、キウイエキス、アセロラ果実エキス、サトウキビエキス、ジラウロイルグルタミン酸リシンNa、ブチレングリコール(BG)、プロパンジオール、グリセリン、ジプロピレングリコール(DPG)、ダイズステロール、加水分解シルク、白金、ポリクオタリウム-10、セトリモニウムクロリド、ベヘントリモニウムクロリド、ステアリルトリモニウムクロリド、カプリルヒドロキサム酸、ポリクオタニウム-6、セテス-20、PEG-50水添ヒマシ油、炭酸水素Na、ポリシリコーン-29、ジメチコン、フェノキシエタノール及び香料を含む場合を除く)。
(A)以下の化合物(a)~(d)の反応産物であるエポキシアミノシランコポリマー
(a)少なくとも二つのオキシラニル基を有するポリシロキサン
(b)少なくとも二つのオキシラニル基を有するポリエーテル
(c)アミノプロピルトリアルコキシシラン
(d)以下の第一級アミンから選択される化合物
・第一級アミン:メチルアミン、エチルアミン、プロピレンアミン、エタノールアミン、イソプロピルアミン、ブチルアミン、イソブチルアミン、ヘキシルアミン、ドデシルアミン、オレイルアミン、アニリン、アミノプロピルトリメチルシラン、アミノプロピルトリエチルシラン、アミノモルホリン、アミノプロピルジエチルアミン、ベンジルアミン、ナフチルアミン、3-アミノ-9-エチルカルバゾール、1-アミノヘプタフロロヘキサン、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8-ペンタデカフルオロ-1-オクタンアミン
(B)以下の(b1)から選ばれる少なくとも1種からなるミセル形成阻害剤
(b1):ハンセンの溶解度パラメータの水素結合項が10.0MPa1/2以上15.8MPa1/2以下である有機化合物(ただし、(b3)に該当するものを除く)であって、低級アルカノール、芳香族アルコール、N-アルキルピロリドン及び非環状エステルからなる群より選ばれる少なくとも1種の有機化合物
(C)水」
<相違点>
本件発明1は、「成分(A)の含有量が0.01質量%以上5.00質量%以下、成分(B)の含有量が6.00質量%以上96.77質量%以下であり、pHが1以上5以下である」と特定されるのに対し、甲5発明は、各成分の含有量及びpHが不明である点。
(ウ)申立理由2-3-5についての判断
上記<相違点>は、組成物の成分の含有量の範囲についての相違であり、実質的な相違点であるから、本件発明1は甲5に記載された発明ではない。
本件発明1の発明特定事項を更に限定するものである本件発明2~12及び16、並びに、本件発明1~12の毛髪化粧料の使用方法に係る本件発明13~14も、同様の理由により、甲5に記載された発明ではない。
(エ)申立人の主張について
申立人は申立書((4)具体的理由 エ-1(ウ))において、化粧品等の含有量表記は、含有量の多い順に記載されるから、各成分の含有量範囲を満たす蓋然性が高い旨を主張するが、仮に、甲5における成分の記載が含有量の多い順であったとしても、成分(A)が0.01質量%以上5.00質量%以下、成分(B)が6.00質量%以上96.77質量%以下であると認めるに足る根拠は示されておらず、採用できない。
また、申立人は、「ポリシリコーン-29」のINCI名を有する市販品である「Silsoft CLX-E コンディショニング剤」のpH範囲が4~6であること(摘記(6b))、毛髪化粧料等の技術分野において、pHを3~5程度に調整することは広く行われていることから、pHが当該範囲内である蓋然性が高い旨も主張するが、「ポリシリコーン-29」以外の多数の成分を含有してなる甲5発明のpH値が1~5であると認めるに足る根拠は示されておらず、採用できない。
(オ)申立理由3-3についての判断
上記<相違点>について、甲5には、「スムーズ、ライト、ルーズ シャンプー組成物」という製品の成分が紹介されているに過ぎないところ、甲9~13の記載事項を参照しても、本件発明でいう成分(A)や成分(B)に着目して、その含有量を本件発明で規定される範囲とする動機付けがあるとはいえないから、pHの範囲について検討するまでもなく、本件発明1は当業者が容易に発明をすることができたものではない。
本件発明1の発明特定事項を更に限定するものである本件発明2~12及び16、並びに、本件発明1~12の毛髪化粧料の使用方法に係る本件発明13~14も、同様の理由により、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
イ 申立理由1-3について
2018年3月24日に掲載された甲5には、「2018年に発売された製品・パート5」の一部として、「ローラはストレートヘアの問題について考え、髪をトリートメントして整えておくための一連の製品を発売しました。」と記載され、「スムーズ、ライト、ルーズ シャンプー組成物」の組成についても記載されているもの(摘記(5a)~(5d))、当該製品の発売日等についての記載はなく、当該製品が、本件特許出願の優先日前に実際に発売されていたことを確認できるような記載はない。
仮に、甲5記載の製品が本件特許出願の優先日前に公然実施をされた発明といえるとしても、上記ア(ウ)で述べたとおり、本件発明との間には実質的な相違点があるから、本件発明1~14及び16は、甲5を参照して、本件特許出願の優先日前に日本国内又は外国において公然実施をされた発明であるとはいえない。
ウ 小括
以上のとおりであるから、申立理由1-3、申立理由2-3-5及び申立理由3-3のいずれも理由がない。
(4)申立理由1-4、申立理由2-4-7、申立理由2-4-8及び申立理由3-4について
ア 申立理由1-4について
(ア)公然実施をされた発明について
2018年4月6日に掲載された甲7には、フィヨーレコスメティクスが、4月24日に『CHIARO HAIRWATER』(洗い流さないトリートメントである、キアロ ヘアウォーター)を発売する旨が記載されており(摘記(7a)~(7c)、甲8には、フィヨーレ キアロ ヘアウォーターの発売日が「20180525」すなわち、2018年5月25日である旨が記載されている(摘記(8a)~(8d))。
そうすると、甲7及び甲8における上記製品の発売日は必ずしも一致しないものの、当該製品は、本件特許出願の優先日である2018年7月27日前に、実際に販売されたことが理解でき、公然実施をされた発明として、次の発明(以下「甲8発明」という。)を認定できる。
≪甲8発明≫
「水、エタノール、ハチミツ、γ-ドコサラクトン、ワサビノキ種子エキス、キウイエキス、アセロラ果実エキス、サトウキビエキス、ジラウロイルグルタミン酸リシンNa、BGプロパンジオール、グリセリン、DPG、ダイズステロール、加水分解シルク、白金、ポリクオタニウム-10、セトリモニウムクロリド、ベヘントリモニウムクロリド、ステアリルトリモニウムクロリド、カプリルヒドロキサム酸、ポリクオタニウム-6、セテス-20、PEG-50水添ヒマシ油、炭酸水素Na、ポリシリコーン-29、ジメチコン、フェノキシエタノールからなる、洗い流さないトリートメントであるヘアウォーター。」
(イ)甲8発明と本件発明との対比
甲8発明における「フェノキシエタノール」は、本件明細書の段落【0037】に記載されるとおり、本件発明1における「成分(B)」(b1)に相当し、甲8発明における「エタノール」は、本件発明1における「成分(B)」(b2)に相当する。
甲8発明における「水」は、本件発明1における「成分(C)」に相当する。
甲8発明における「ポリシリコーン-29」は、本件明細書の段落【0025】に記載されるとおり、本件発明1における「成分(A)」に相当する。
甲8発明における「洗い流さないトリートメントであるヘアウォーター」は本件発明1における「毛髪化粧料」に相当する。
甲8発明は、本件発明1において、「(但し、水、エタノール、・・・、フェノキシエタノール及び香料を含む場合を除く)」として除外される態様に相当する。
そうすると、本件発明1と甲8発明との一致点及び相違点は以下のとおりである。
<一致点>
「以下の成分(A)~(C)を含有する毛髪化粧料。
(A)以下の化合物(a)~(d)の反応産物であるエポキシアミノシランコポリマー
(a)少なくとも二つのオキシラニル基を有するポリシロキサン
(b)少なくとも二つのオキシラニル基を有するポリエーテル
(c)アミノプロピルトリアルコキシシラン
(d)以下の第一級アミンから選択される化合物
・第一級アミン:メチルアミン、エチルアミン、プロピレンアミン、エタノールアミン、イソプロピルアミン、ブチルアミン、イソブチルアミン、ヘキシルアミン、ドデシルアミン、オレイルアミン、アニリン、アミノプロピルトリメチルシラン、アミノプロピルトリエチルシラン、アミノモルホリン、アミノプロピルジエチルアミン、ベンジルアミン、ナフチルアミン、3-アミノ-9-エチルカルバゾール、1-アミノヘプタフロロヘキサン、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8-ペンタデカフルオロ-1-オクタンアミン
(B)以下の(b1)~(b2)から選ばれる少なくとも1種からなるミセル形成阻害剤
(b1):ハンセンの溶解度パラメータの水素結合項が10.0MPa1/2以上15.8MPa1/2以下である有機化合物(ただし、(b3)に該当するものを除く)であって、低級アルカノール、芳香族アルコール、N-アルキルピロリドン及び非環状エステルからなる群より選ばれる少なくとも1種の有機化合物
(b2):エタノール及びジエタノールアミンから選ばれる化合物
(C)水」
<相違点1>
本件発明1は、「成分(A)の含有量が0.01質量%以上5.00質量%以下、成分(B)の含有量が6.00質量%以上96.77質量%以下であり、pHが1以上5以下である」と特定されるのに対し、甲8発明は、各成分の含有量及びpHが不明である点。
<相違点2>
本件発明1は、「(但し、水、エタノール、ハチミツ、γ-ドコサラクトン、ワサビノキ種子エキス、キウイエキス、アセロラ果実エキス、サトウキビエキス、ジラウロイルグルタミン酸リシンNa、ブチレングリコール(BG)、プロパンジオール、グリセリン、ジプロピレングリコール(DPG)、ダイズステロール、加水分解シルク、白金、ポリクオタリウム-10、セトリモニウムクロリド、ベヘントリモニウムクロリド、ステアリルトリモニウムクロリド、カプリルヒドロキサム酸、ポリクオタニウム-6、セテス-20、PEG-50水添ヒマシ油、炭酸水素Na、ポリシリコーン-29、ジメチコン、フェノキシエタノール及び香料を含む場合を除く)」として特定される態様を除いているのに対して、甲8発明は当該除外される態様に相当するものである点。
(ウ)判断
上記<相違点1>及び<相違点2>は、組成物の成分及びそれらの含有量の範囲についての相違であり、実質的な相違点であるから、本件発明1は、甲7及び甲8を参照して、本件特許出願の優先日前に日本国内又は外国において公然実施をされた発明ではない。
本件発明1の発明特定事項を更に限定するものである本件発明2~12及び16、並びに、本件発明1~12の毛髪化粧料の使用方法に係る本件発明13~14も、同様の理由により、甲7及び甲8を参照して、本件特許出願の優先日前に日本国内又は外国において公然実施をされた発明ではない。
(エ)申立人の主張について
申立人は申立書((4)具体的理由 エ-1(オ))において、化粧品等の含有量表記は、含有量の多い順に記載されるから、各成分の含有量範囲を満たす蓋然性が高い旨を主張するが、仮に、甲8における成分の記載が含有量の多い順であったとしても、成分(A)が0.01質量%以上5.00質量%以下、成分(B)が6.00質量%以上96.77質量%以下であると認めるに足る根拠は示されておらず、採用できない。
また、申立人は、甲16によれば、甲8発明のpHは4.6である旨を主張するが、甲16には、申立人が入手した市販品を用いたとされるpH値の実測結果として、「キアロヘアウォーター pH実測結果」という標題と、pHが4.619であることを示す写真が記載されているのみであって、当該市販品の購入時期や保管方法等を含めた測定対象の詳細は不明であるから、甲16は、甲8発明のpHを示すものとして採用することはできない。
さらに、申立人は、甲7及び甲8の記載から認定できる発明を除くことができているとは言えないとも主張するが、公然実施をされた発明として認定できる発明は上記のとおりであるから、当該主張も採用できない。
イ 申立理由2-4-7、申立理由2-4-8及び申立理由3-4について
(ア)甲7に記載された発明との対比・判断
甲7には、摘記(7a)~摘記(7c)の記載からみて、次の発明(以下「甲7発明」という。)が記載されているといえる。
≪甲7発明≫
「キアロ ヘアウォーター(洗い流さないトリートメント)。」
甲7発明における「洗い流さないトリートメント」は、本件発明1における「毛髪化粧料」に相当する。
そうすると、本件発明1と甲7発明とは、「毛髪化粧料。」である点で一致するが、甲7発明が本件発明1におけるその余の特定事項を備えていない点で相違する。
そして、本件発明1において規定される成分(A)~(C)及びそれらの含有量、また、「pHが1以上5以下である」と特定される点について、甲7には何らの記載もなく、これらは実質的な相違点であるから、本件発明1は甲7に記載された発明ではない。
本件発明1の発明特定事項を更に限定するものである本件発明2~12及び16、並びに、本件発明1~12の毛髪化粧料の使用方法に係る本件発明13~14も、同様の理由により、甲7に記載された発明ではない。
(イ)甲8に記載された発明との対比・判断
甲8には、上記の甲8発明が記載されているといえる。
ここで、甲8の掲載日は不明であるが、仮に、本件特許出願の優先日前に掲載されたものであったとしても、上記ア(ウ)で述べたとおり、本件発明1と甲8発明とを対比すると、実質的な相違点が存在するから、本件発明1は甲8に記載された発明ではない。
本件発明1の発明特定事項を更に限定するものである本件発明2~12及び16、及び、本件発明1~12の毛髪化粧料の使用方法に係る本件発明13~14も、同様の理由により、甲8に記載された発明ではない。
(ウ)申立理由3-4について
上記<相違点1>について、甲7及び甲8には、「キアロ ヘアウォーター」という製品の成分が紹介されているにすぎないところ、本件発明における成分(A)や成分(B)に対応する成分に着目して、それらの含有量を本件発明において規定される範囲とする動機付けがあるとはいえないから、pHの範囲や<相違点2>について検討するまでもなく、本件発明1は当業者が容易に発明をすることができたものではない。
本件発明1の発明特定事項を更に限定するものである本件発明2~12及び16、並びに、本件発明1~12の毛髪化粧料の使用方法に係る本件発明13~14も、同様の理由により、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
ウ 小括
以上のとおりであるから、申立理由1-4、申立理由2-4-7、申立理由2-4-8及び申立理由3-4はいずれも理由がない。
(5)申立理由3-5について
ア 甲14に記載された発明
甲14には、ケラチン繊維を処置するための化粧料組成物であって、毛髪に適用するための組成物として、組成2bが記載されているから(摘記(14a)~(14g)、甲14には、次の発明(以下「甲14発明」という。)が記載されているといえる。
≪甲14発明≫
「ビス[3-トリエトキシシリルプロピル]アミン2.5g、エタノール65g、酢酸で最終pH5とし、水100gとするに要する量からなる、毛髪に適用するための化粧料組成物。」
イ 甲14発明と本件発明との対比
甲14発明における「水」は、本件発明1における「成分(C)」に相当する。
甲14発明における「ビス[3-トリエトキシシリルプロピル]アミン」は、有機ケイ素含有化合物であるから(摘記(14e)、本件発明1における「成分(A)」と、有機ケイ素含有化合物である限りにおいて一致する。
甲14発明における「エタノール」は、本件発明1における「成分(B)」(b2)に相当し、組成物100gに対して65g含むことは、本件発明1における「成分(B)の含有量が6.00質量%以上96.77質量%以下」の条件を満たすものである。
甲14発明における「最終pH5」は、本件発明1における「pHが1以上5以下」の条件を満たしている。
甲14発明における「毛髪に適用するための化粧料組成物」は、本件発明1における「毛髪化粧料」に相当する。
そうすると、本件発明1と甲14発明との一致点及び相違点は、以下のとおりである。
<一致点>
「以下の成分(B)~(C)を含有し、成分(B)の含有量が6.00質量%以上96.77質量%以下であり、pHが1以上5以下である毛髪化粧料(但し、水、エタノール、ハチミツ、γ-ドコサラクトン、ワサビノキ種子エキス、キウイエキス、アセロラ果実エキス、サトウキビエキス、ジラウロイルグルタミン酸リシンNa、ブチレングリコール(BG)、プロパンジオール、グリセリン、ジプロピレングリコール(DPG)、ダイズステロール、加水分解シルク、白金、ポリクオタリウム-10、セトリモニウムクロリド、ベヘントリモニウムクロリド、ステアリルトリモニウムクロリド、カプリルヒドロキサム酸、ポリクオタニウム-6、セテス-20、PEG-50水添ヒマシ油、炭酸水素Na、ポリシリコーン-29、ジメチコン、フェノキシエタノール及び香料を含む場合を除く)。
(B)以下の(b2)から選ばれる少なくとも1種からなるミセル形成阻害剤
(b2):エタノール及びジエタノールアミンから選ばれる化合物
(C)水」
<相違点>
本件発明1は、有機ケイ素含有化合物として、
「(A)以下の化合物(a)~(d)の反応産物であるエポキシアミノシランコポリマー
(a)少なくとも二つのオキシラニル基を有するポリシロキサン
(b)少なくとも二つのオキシラニル基を有するポリエーテル
(c)アミノプロピルトリアルコキシシラン
(d)以下の第一級アミンから選択される化合物
・第一級アミン:メチルアミン、エチルアミン、プロピレンアミン、エタノールアミン、イソプロピルアミン、ブチルアミン、イソブチルアミン、ヘキシルアミン、ドデシルアミン、オレイルアミン、アニリン、アミノプロピルトリメチルシラン、アミノプロピルトリエチルシラン、アミノモルホリン、アミノプロピルジエチルアミン、ベンジルアミン、ナフチルアミン、3-アミノ-9-エチルカルバゾール、1-アミノヘプタフロロヘキサン、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8-ペンタデカフルオロ-1-オクタンアミン」を含有し、「成分(A)の含有量が0.01質量%以上5.00質量%以下」と特定されるのに対し、甲14発明は、成分(A)を含有していない点。
ウ 判断
甲14には、具体的な有機ケイ素含有化合物として、一般式(I)~(III)で表される化合物が例示されているものの(摘記(14e)、上記成分(A)に相当する有機ケイ素含有化合物は記載されていない。
そして、甲9~13の記載事項を参照しても、甲14発明において、上記成分(A)を含有し、その含有量を本件発明で規定される範囲とする動機付けがあるとはいえないから、本件発明1は当業者が容易に発明をすることができたものではない。
本件発明1の発明特定事項を更に限定するものである本件発明2~12及び16、並びに、本件発明1~12の毛髪化粧料の使用方法に係る本件発明13~14も、同様の理由により、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
エ 申立人の主張について
申立人は、申立書(4)具体的理由 エ-1(キ)(ク)において、甲14記載の有機ケイ素含有化合物は、本件発明の成分(A)と架橋(縮合)する反応性基(シラノール基)及び反応機構(シラノール基同士の脱水縮合)が共通し、解決課題及び作用効果も共通する旨を主張するが、成分(A)は甲14に記載されておらず、甲14発明において採用する動機付けがあるともいえないことは上記のとおりであるから、当該主張は採用できない。
オ 小括
以上のとおりであるから、申立理由3-5は理由がない。
(6)申立理由3-6について
ア 甲6に記載された発明
甲6には、トリートメント・プロトコルとして、シャンプーした後、補修クリームをアンプルに取り、濡れた髪に塗布することが記載され、その成分についても記載されていることから(摘記(6c))、次の発明(以下「甲6発明」という。)が記載されているといえる。
≪甲6発明≫
「成分 重量%
脱イオン水 100までの残部
乳酸 0.6
ベヘンアミドプロピル ジメチルアミン 2.2
セテアリルアルコール 4.4
ココナッツ油 5
Silsoft CLX-E コンディショニング剤 6.6
保存料 適量
からなる、濡れた髪に塗布する補修クリーム。」
イ 甲6発明との対比
甲6発明における「脱イオン水」は、本件発明1における「成分(C)」に相当する。
甲6発明における「Silsoft CLX-E コンディショニング剤」は、本件明細書の段落【0025】に記載されるとおり、本件発明1における「成分(A)」に相当し、そのシリコーン含量は15%であるから(摘記(6b)、含有量は6.6×0.15=0.99重量%であり、本件発明1における「成分(A)の含有量が0.01質量%以上5.00質量%以下」の条件を満たしている。
甲6発明における「濡れた髪に塗布する補修クリーム」は、本件発明1における「毛髪化粧料」に相当する。
そうすると、本件発明1と甲6発明との一致点及び相違点は以下のとおりである。
<一致点>
「以下の成分(A)及び(C)を含有し、成分(A)の含有量が0.01質量%以上5.00質量%以下である、毛髪化粧料(但し、水、エタノール、ハチミツ、γ-ドコサラクトン、ワサビノキ種子エキス、キウイエキス、アセロラ果実エキス、サトウキビエキス、ジラウロイルグルタミン酸リシンNa、ブチレングリコール(BG)、プロパンジオール、グリセリン、ジプロピレングリコール(DPG)、ダイズステロール、加水分解シルク、白金、ポリクオタリウム-10、セトリモニウムクロリド、ベヘントリモニウムクロリド、ステアリルトリモニウムクロリド、カプリルヒドロキサム酸、ポリクオタニウム-6、セテス-20、PEG-50水添ヒマシ油、炭酸水素Na、ポリシリコーン-29、ジメチコン、フェノキシエタノール及び香料を含む場合を除く)。
(A)以下の化合物(a)~(d)の反応産物であるエポキシアミノシランコポリマー
(a)少なくとも二つのオキシラニル基を有するポリシロキサン
(b)少なくとも二つのオキシラニル基を有するポリエーテル
(c)アミノプロピルトリアルコキシシラン
(d)以下の第一級アミンから選択される化合物
・第一級アミン:メチルアミン、エチルアミン、プロピレンアミン、エタノールアミン、イソプロピルアミン、ブチルアミン、イソブチルアミン、ヘキシルアミン、ドデシルアミン、オレイルアミン、アニリン、アミノプロピルトリメチルシラン、アミノプロピルトリエチルシラン、アミノモルホリン、アミノプロピルジエチルアミン、ベンジルアミン、ナフチルアミン、3-アミノ-9-エチルカルバゾール、1-アミノヘプタフロロヘキサン、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8-ペンタデカフルオロ-1-オクタンアミン
(C)水」
<相違点>
本件発明1は
「(B)以下の(b1)~(b3)から選ばれる少なくとも1種からなるミセル形成阻害剤
(b1):ハンセンの溶解度パラメータの水素結合項が10.0MPa1/2以上15.8MPa1/2以下である有機化合物(ただし、(b3)に該当するものを除く)であって、低級アルカノール、芳香族アルコール、N-アルキルピロリドン及び非環状エステルからなる群より選ばれる少なくとも1種の有機化合物
(b2):エタノール及びジエタノールアミンから選ばれる化合物
(b3):グアニジニウム基を有するグアニジン塩又はアルギニン塩から選ばれる少なくとも1種の有機塩」を含有し、「成分(B)の含有量が6.00質量%以上96.77質量%以下」であり、「pHが1以上5以下である」と特定されるのに対し、甲6発明は、成分(B)を含有しておらず、pHが不明である点。
ウ 判断
甲6には、上記成分(A)に相当する「Silsoft CLX-E コンディショニング剤」の物理特性や性状について記載されているものの、上記成分(B)のミセル形成阻害剤に相当する成分と組み合せて用いることについての記載はなく、甲6において、「エポキシアミノシランコポリマーを含有する毛髪化粧料をミセル形成が抑制された状態とすることにより、毛髪に対し低浴比かつ短時間の施術を行うことで十分な疎水性付与と低摩擦化効果が得られ、しかも処理後の長期にわたりこれらの効果が持続される」という、本件発明の課題及び当該課題の解決手段(本件明細書の【0007】~【0010】)が記載されているともいえない。
そうすると、成分(B)に相当する化合物自体は毛髪化粧料の分野において周知の成分であり、「アルコールがミセル表面の電荷密度を下げ」る性質を有する(摘記(15a))としても、ミセル形成を抑制するという課題を甲6の記載から認識することはできないから、成分(B)のミセル形成阻害剤に相当する成分を、当該観点から本件発明1において規定される含有量で含有するものとすることについて、設計事項であるということはできない。
したがって、pHの範囲について検討するまでもなく、本件発明1は当業者が容易に発明をすることができたものではない。
本件発明1の発明特定事項を更に限定するものである本件発明2~12及び16、並びに、本件発明1~12の毛髪化粧料の使用方法に係る本件発明13~14も、同様の理由により、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
エ 申立人の主張について
申立人は、申立書((4)具体的理由 エ-1(ケ))において、ポリシリコーン-29のような成分と、エタノール等の成分(B)とを組合せて毛髪化粧料とすることは、当業者が適宜設計し得る事項であり、容易に想到し得る旨を主張するが、上記のとおりであるから、採用できない。
オ 小括
以上のとおりであるから、申立理由3-6には理由がない。
第5 むすび
以上のとおり、本件請求項1~14及び16に係る特許は、申立人による特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、取り消すことはできない。
また、ほかに本件請求項1~14及び16に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
審決本文(J-PlatPat)
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2025-700273