特許異議申立
2025-700121
静電チャック部材及び静電チャック装置
- 審判番号
- 2025-700121
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2022-206683
- 登録番号
- 7529008
- 請求日
- 2025年01月27日
- 審決日
- 2025年05月14日
- 公報発行日
- 2025年06月27日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】住友大阪セメント株式会社
- 【権利者代理人】西澤 和純
- 【権利者代理人】佐藤 彰雄
- 【権利者代理人】萩原 綾夏
- 【異議申立人】金 海松
- 審判長/審判官
- 審判長 梶尾 誠哉
- 審判官 棚田 一也
- 審判官 緑川 隆
- 分類
- P1651.113-Y (H01L) / P1651.121-Y (H01L)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7529008号発明「静電チャック部材及び静電チャック装置」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7529008号の請求項1~7に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7529008号の請求項1~7に係る特許(以下、「本件特許」という。)についての出願は、令和4年12月23日に出願され、令和6年7月29日にその特許権の設定登録がされ、同年8月6日に特許掲載公報が発行された特許出願である。その後、本件特許に対し、令和7年1月27日に特許異議申立人金海松(以下、「申立人」という。)により特許異議の申立てがされた。
第2 本件発明
本件特許の請求項1~7に係る発明(以下、「本件発明1~7」という。)は、それぞれ、願書に添付した特許請求の範囲の請求項1~7に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】
一主面が板状試料を載置する載置面である基体と、
前記載置面とは反対側又は前記基体の内部に設けられた静電吸着用電極と、を有し、
前記基体において前記載置面と連続する側周面には、前記載置面の周縁部において周方向に設けられた凸曲面である第1曲面と、
前記第1曲面とは異なる高さ位置において前記周方向に設けられた第2曲面と、を少なくとも有し、
前記基体は、前記載置面の周縁部に沿って設けられた環状突起部を有し、
前記静電吸着用電極の外縁は、平面視において前記環状突起部と重なり、
前記環状突起部の外周側には、前記第1曲面の少なくとも一部が設けられ、
前記環状突起部の内周側には、内周の周方向に設けられた凸曲面である第3曲面を有する静電チャック部材。
【請求項2】
前記外縁は、平面視において前記環状突起部の幅方向中央よりも外周側に位置し、
前記第1曲面の曲率半径は、前記第3曲面の曲率半径よりも大きい請求項1に記載の静電チャック部材。
【請求項3】
前記第1曲面は、前記環状突起部から、前記基体における前記環状突起部の下方の部分にまたがって設けられている請求項2に記載の静電チャック部材。
【請求項4】
下記式(A1)及び(A2)を満たす請求項1に記載の静電チャック部材。
[静電吸着用電極の厚さ]≦[第1曲面の曲率半径] …(A1)
[静電吸着用電極の厚さ]≦[第3曲面の曲率半径] …(A2)
【請求項5】
前記外縁から前記側周面までの距離は、前記静電吸着用電極の上面から前記載置面までの距離以上である請求項1に記載の静電チャック部材。
【請求項6】
前記外縁から前記側周面までの距離は、前記静電吸着用電極の上面から前記載置面までの距離以上である請求項1に記載の静電チャック部材。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載の静電チャック部材と、
前記静電チャック部材を冷却し前記静電チャック部材の温度を調整するベース部材と、を有する静電チャック装置。」
第3 特許異議の申立ての理由の概要
申立人は、証拠として甲第1号証~甲第6号証(以下、「甲1」~「甲6」という。)を提出し、以下の理由により、請求項1~7に係る特許を取り消すべきものである旨主張している。なお、甲1及び甲2は、主たる引用例(主引用例)であり、甲3~甲6は、従たる引用例である。
1 申立理由1(新規性)
本件発明1、7は、甲1又は2に記載された発明であり、また、本件発明4は、甲2に記載された発明であって、本件発明1、4及び7は、特許法第29条第1項第3号に該当するから、請求項1、4及び7に係る特許は、同法同条同項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当する。
2 申立理由2(進歩性)
本件発明1~7は、甲1又は甲2に記載された発明と、甲1~6に記載された事項とに基づき、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1~7に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当する。
<証拠方法>
甲1:特開2022-164067号公報
甲2:特開2022-146203号公報
甲3:特開平5-217951号公報
甲4:特開2002-170824号公報
甲5:特開2022-136872号公報
甲6:特開2022-55304号公報
第4 当審の判断
1 甲1~6の記載、甲1発明
(1)甲1について
ア 甲1には、以下の記載がある(下線は、当審において付加した。)。
「【0003】
このようなステージとして、例えば、ベースプレートに搭載された静電チャックにより、吸着対象物である基板を吸着保持する基板固定装置が提案されている。基板の処理が終了した後、基板は、吸着面に対して垂直方向に昇降可能なリフトピンにより、静電チャックから垂直方向に持ち上げられて取り外される。」
「【0013】
・・・(中略)・・・基板固定装置1は、静電チャック30の吸着面30aに、吸着対象物である基板100(例えば、半導体ウェハ等)を静電気により吸着保持する装置である。」
「【0032】
図5は、基板固定装置についてより具体的に説明する図であり、図5(a)は断面図、図5(b)は平面図である。図5に示すように、基板固定装置1は、主要な構成要素として、ベースプレート10と、接着層20と、静電チャック30とを有している。
・・・(中略)・・・
【0036】
静電チャック30は、接着層20を介して、ベースプレート10の一方の面に搭載されている。接着層20は、例えば、シリコーン系接着剤である。接着層20の厚さは、例えば、0.01~1.0mm程度である。接着層20は、ベースプレート10と静電チャック30を接着すると共に、セラミックス製の静電チャック30とアルミニウム製のベースプレート10との熱膨張率の差から生じるストレスを低減させる効果を有する。なお、ベースプレート10に対して静電チャック30をネジにより固定してもよい。
【0037】
静電チャック30は、主要な構成要素として、基体31と、静電電極32とを有している。静電チャック30の平面形状は、基板の形状に応じて決定されるが、例えば、円形である。静電チャック30の吸着対象物である基板の直径は、例えば、8、12、又は18インチである。静電チャック30は、ジョンセン・ラーベック型静電チャック又はクーロン型静電チャックである。
【0038】
なお、平面視とは対象物を基体31の吸着面30aの法線方向から視ることを指し、平面形状とは対象物を基体31の吸着面30aの法線方向から視た形状を指すものとする。
【0039】
基体31は誘電体であり、基体31としては、例えば、酸化アルミニウム(Al2O3)や窒化アルミニウム(AlN)等のセラミックスを用いる。基体31の厚さは、例えば、0.5~10mm程度、基体31の比誘電率(1kHz)は、例えば、9~10程度である。
【0040】
静電電極32は、薄膜電極であり、基体31に内蔵されている。静電電極32は、基板固定装置1の外部に設けられた電源に接続され、電源から所定の電圧が印加されると、基板との間に静電気による吸着力を発生させる。これにより、静電チャック30の基体31の吸着面30a上に基板を吸着保持できる。吸着保持力は、静電電極32に印加される電圧が高いほど強くなる。静電電極32は、単極形状でも、双極形状でも構わない。静電電極32の材料としては、例えば、タングステン、モリブデン等を用いる。
【0041】
基体31の内部に、基板固定装置1の外部から電圧を印加することで発熱し、基体31の吸着面30aが所定の温度となるように加熱する発熱体を設けてもよい。
【0042】
基体31の上面の周縁部には、例えば、平面視リング状の環状突起部31aが設けられている。環状突起部31aの平面視内側には、円柱形状等の多数の柱状突起部31bが平面視水玉模様状に点在するように設けられている。環状突起部31aと柱状突起部31bの上面の高さh1は同一であり、高さh1は、例えば、10~30μmとすることができる。柱状突起部31bの上面の直径φ1は、例えば、1.0~2.0mmとすることができる。環状突起部31aの上面と柱状突起部31bの上面は、吸着対象物が吸着保持される吸着面30aを構成する。
【0043】
静電チャック30及びベースプレート10の内部には、静電チャック30に吸着保持される基板を冷却するガスを供給するガス流路12が設けられている。ガス流路12は、ベースプレート10、接着層20、及び基体31の内部に形成された孔である。ガス流路12の個数は、必要に応じて適宜決定できるが、例えば、10個~100個程度である。ガス流路12には、例えば、基板固定装置1の外部から不活性ガスが導入される。不活性ガスとしては、例えば、ヘリウムガスやアルゴンガス等を用いることができる。」
「【0047】
基板100と吸着面30aとの摺動に伴いパーティクルを発生しやすい部分は、吸着面30aの周縁部であるため、吸着面30aの周縁部に位置する環状突起部31aではエッジ角度を鈍角にすることが好ましく、滑らかな曲面にすることがより好ましい。例えば、図6に示すように、吸着面30aを構成する環状突起部31aの上面(基板100と接する側の面)の角部は、断面視R状であることが好ましい。
【0048】
具体的には、静電チャック30の環状突起部31aは、その上面と側面との交差によって規定されるエッジ部に約0.01mm以上のアール(R)が付与されていることが好ましい。Rが0.01mmを下回ると、エッジ部にシャープさが増加する結果、パーティクルの発生する度合いが増加し、デチャック特性も低下する。このような特性の変化は、Rが付与された部分の大きさにも依存する。本発明者の知見によると、環状突起部31aにおいて、Rをもった部分は、環状突起部31aの高さh1の約1/4以上を占めていることが好ましい。この部分が1/4を下回ると、Rの働きが十分とならず、したがって、パーティクルの発生する度合いが増加し、デチャック特性も低下する。」
「
[図:0001423532000001.jpg]
[図:0001423532000002.jpg]
」
イ 上記アによれば、以下のことがいえる。
(ア)段落0037には、「静電チャック30は」「基体31と、静電電極32とを有している。」と記載され、段落0042には、「基体31の上面の周縁部には」「平面視リング状の環状突起部31aが設けられている。」と記載され、図5より、静電電極32の外縁は、環状突起部31aと重なることが見て取れる。
(イ)段落0048には、「環状突起部31aは、その上面と側面との交差によって規定されるエッジ部に約0.01mm以上のアール(R)が付与されていることが好ましい。」と記載され、図6より、環状突起部31aは、その上面と、内周側及び外周側の側面との交差によって規定されるエッジ部にアール(R)が付与されることが見て取れる。
(ウ)上記ア並びに上記(ア)及び(イ)によれば、甲1には、次の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されている。なお、括弧内は、引用段落等を示す。
<甲1発明>
「静電チャック30であって、基体31と、静電電極32とを有し、
平面形状が円形であり、(段落0037)
基体31は誘電体であり、(段落0039)
静電電極32は、薄膜電極であり、基体31に内蔵され、電源から所定の電圧が印加され、吸着対象物である基板としての半導体ウェハとの間に静電気による吸着力を発生させることにより、基体31の吸着面30a上に半導体ウェハを吸着保持するものであり、(段落0013、段落0040)
基体31の上面の周縁部には、平面視リング状の環状突起部31aが設けられ、静電電極32の外縁は、環状突起部31aと重なり、
環状突起部31aの平面視内側には、円柱形状等の多数の柱状突起部31bが平面視水玉模様状に点在するように設けられ、
環状突起部31aと柱状突起部31bの上面の高さh1は同一であり、高さh1は、10~30μmとすることができ、柱状突起部31bの上面の直径φ1は、1.0~2.0mmとすることができ、環状突起部31aの上面と柱状突起部31bの上面は、半導体ウェハが吸着保持される吸着面30aを構成し、(段落0013、段落0042、(ア))
静電チャック30の内部には、吸着保持される半導体ウェハを冷却するガスを供給するガス流路12が設けられ、(段落0013、段落0043)
環状突起部31aは、その上面と、内周側及び外周側の側面との交差によって規定されるエッジ部に約0.01mm以上のアール(R)が付与されている、(段落0048、(イ))
静電チャック30。」
(2)甲2について
甲2には、以下の記載がある。
「【0015】
処理容器10内には、基板としてのウェハWを載置させる基板載置台20が設けられている。基板載置台20は、基台21と、基台21の上部に設けられ載置部22を有している。載置部22は、誘電体、例えばセラミックからなり、後述のように静電チャックとしての機能を有し、載置部22に支持されたウェハWを吸着する。ウェハWは、例えばシリコンウェハである。」
「【0018】
載置部22は、導電膜からなるシート状の静電吸着用の電極40を、誘電体である誘電層部41内に設けた構成を有している。かかる構成を有する載置部22は、誘電体中に片極のみが形成された、いわゆる単極型の静電チャックとしての機能を有している。電極40には、直流電源43がスイッチ44を介して接続されている。そして直流電源43から電極40に直流電圧を印加することにより、静電気力、すなわちクーロン力でウェハWを載置部22の上面に吸着保持することができる。載置部22は、接着層Nにより基台21に接着されている。」
「【0023】
基台21の内部には冷媒管50が設けられている。この冷媒管50には、配管51、52を介して、チラーユニット53から所定温度の冷媒、例えば冷水が循環供給される。」
「【0031】
載置部22の上面の周辺部には、ウェハWの周辺部を支持する第2の支持部120が設けられている。本実施の形態では、第2の支持部120は、全体として平面視で円環形状を有し、さらに図4に示したように、載置部22の周縁部を境とする外側部120aと内側部120bとを有している。第2の支持部120は、外側部120aの下側に下方に延出する環状の垂下部120cを有している。したがって、外側部120aの垂直方向の厚さは内側部120bの垂直方向の厚さよりも厚い。そして載置部22の外周側面の一部(外周側面の上部)は、外側部120aから続く垂下部120cによって覆われている。」
「【図7】
[図:0001423532000003.jpg]
」
(3)甲3について
甲3は、以下の記載がある。
「【0017】また、サセプタの載置面の湾曲した周縁部に重なるように、静電チャックシートの周縁部をも湾曲面に形成することで、静電チャックシートの絶縁フィルムによる絶縁耐圧効果により、サセプタに対する電界集中を一層弱めることができるとともに、静電チャックシート自体への電界集中をなくして焼損・絶縁破壊を効果的に防止することができる。」
「【0019】
【実施例】以下、図1~図7を参照して本発明の実施例を説明する。図1~図3は本発明の一実施例による枚葉式プラズマエッチング装置の構成を示す図であって、図1は装置全体の構成を示す略断面図、図2は要部の分解斜視図、図3は要部の拡大部分断面図である。
【0020】この実施例のエッチング装置において、反応容器10の底面中央部に容器10と一体的に円筒型でかつ導電性の外支持枠11aが形成され、この外支持枠11aの内側に円筒型でかつ絶縁性の内支持枠11bが嵌め込まれる。内支持枠11bの内側には円柱形のサセプタ支持台12が配設され、このサセプタ支持台12の上にサセプタ14がボルト15によって取付される。サセプタ14およびサセプタ支持台12のいずれもアルミニウム等の導電性金属からなる。サセプタ支持台12の内部には冷却ジャケット12aが形成されており、導入管16を通って冷却ジャケット12a内に供給された冷却液は排出管18を通って装置外部へ排出される。」
「【0022】サセプタ14のウエハ載置面には静電チャックシート20が冠着され、この静電チャックシート20の上に半導体ウエハ22が載置される。サセプタ14の載置面および静電チャックシート20の径は、半導体ウエハ22の径よりも小さな径に選ばれている。静電チャックシート20は、図3に明示されるように、2枚の高分子フィルム20a,20bの間に銅箔等の導電膜20cを封入したものであって、その周縁部20dはウエハ載置面の周縁部14cに重なるように曲率半径の大きな湾曲面に形成されている。この静電チャックシート20にも、図2に示されるように、冷却ガスたとえばO2 を半導体ウエハ22の裏面に供給するための貫通孔20eが形成されている。」
「【図3】
[図:0001423532000004.jpg]
」
(4)甲4について
甲4には、以下の記載がある。
「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半導体ウエハ等に対してマイクロ波により生じたプラズマを作用させて処理を施す際に使用されるプラズマ処理装置に関する。」
「【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記平面アンテナ部材16から放射されたマイクロ波の多くはこの下方の絶縁板8を透過して処理容器4へ導入されることになるが、一部のマイクロ波はこの絶縁板8内を半径方向へ伝播することになり、この現象を回避することは困難である。この場合、上記絶縁板8の周辺部を保持する支持枠部材10は、接地されてグランド電位になっていることから、絶縁板8内には、その外周端を節(ノード)とする定在波30(図5中に模式的に示す)が半径方向に沿って発生することになる。このため、絶縁板8の外周端よりも半径方向内方へ僅かな距離だけ内側に位置する部分には高電圧が発生し、この高電圧部分と上記支持棚部12との間で局部的に異常放電32が発生し、これによって支持棚部12の材料であるアルミニウム母材が削られてしまい、アルミニウム母材中に含まれる他の金属により半導体ウエハWが金属汚染されたり、或いはパーティクルの発生原因にもなっていた。特に、上記した異常放電32は、支持棚部12の内周側の上側角部P1や下側角部P2のように直角や鈍角のようにある角度でもって曲がっている部分に電界の集中が生ずることから、これらの角部P1、P2において集中的に生ずる、といった問題があった。本発明は、以上のような問題点に着目し、これを有効に解決すべく創案されたものである。本発明の目的は、絶縁板とこれを支持する支持枠部材との間の異常放電の発生を抑制することができるプラズマ処理装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】請求項1に係る発明は、天井部が開口されて内部が真空引き可能になされた処理容器と、前記開口の周縁部に沿って設けられると共に前記処理容器の中心方向へ突出されたリング状の支持棚部を有する支持枠部材と、前記支持棚部にその周縁部を支持させて前記開口を気密に覆うように設けた絶縁板と、被処理体を載置するために前記処理容器内に設けられた載置台と、前記絶縁板の上方に設けられて複数のマイクロ波放射孔からプラズマ発生用のマイクロ波を前記絶縁板を透過させて前記処理容器内へ導入する平面アンテナ部材と、前記処理容器内へ所定のガスを導入するガス供給手段とを有するプラズマ処理装置において、前記支持棚部の内周側の角部は、曲面状に成形されていることを特徴とするプラズマ処理装置である。これにより、絶縁板を支持する支持棚部における角部は曲面状になされているので、この部分における電界の集中は緩和されることになり、結果的に、この角部に集中放電が発生することを抑制することが可能となる。」
「【図4】
[図:0001423532000005.jpg]
【図5】
[図:0001423532000006.jpg]
」
(5)甲5について
甲5には、以下の記載がある。
「【請求項1】
基台と、
前記基台の上に配置され、絶縁材料で形成された基板支持層と、
前記基板支持層内に配置され、平面視で円形状の本体部分と前記本体部分から放射状に突出する複数の突出部分とを有する静電内部電極層と、を備える、
基板支持器。」
「【0016】
基板支持部(基板支持器ともいう。)11は、本体部111及びリングアセンブリ112を含む。本体部111は、基板(ウェハ)Wを支持するための中央領域(基板支持面)111aと、リングアセンブリ112を支持するための環状領域(リング支持面)111bとを有する。本体部111の環状領域111bは、平面視で本体部111の中央領域111aを囲んでいる。基板Wは、本体部111の中央領域111a上に配置され、リングアセンブリ112は、本体部111の中央領域111a上の基板Wを囲むように本体部111の環状領域111b上に配置される。一実施形態において、本体部111は、基台50(図4で後述)及び静電チャック60(図4で後述)を含む。基台50は、導電性部材を含む。基台50の導電性部材は下部電極として機能する。静電チャック60は、基台50の上に配置される。静電チャック60の上面は、基板支持面111aを有する。リングアセンブリ112は、1又は複数の環状部材を含む。1又は複数の環状部材のうち少なくとも1つはエッジリングである。また、図示は省略するが、基板支持部11は、静電チャック60、リングアセンブリ112及び基板Wのうち少なくとも1つをターゲット温度に調節するように構成される温調モジュールを含んでもよい。温調モジュールは、ヒータ、伝熱媒体、流路、又はこれらの組み合わせを含んでもよい。流路には、ブラインやガスのような伝熱流体が流れる。また、基板支持部11は、基板Wの裏面と基板支持面111aとの間に伝熱ガスを供給するように構成された伝熱ガス供給部を含んでもよい。」
「【0023】
次に、基板支持部11の本体部111について、図3から図5を用いて更に説明する。図3は、基板支持部11の本体部111の静電チャック60内の静電電極層62の形状を示す平面図の一例である。図4は、基板支持部11の本体部111のA-A断面図の一例である。図5は、基板支持部11の本体部111のB-B断面図の一例である。なお、図3は、静電チャック60を基板Wの載置面の方向から平面視した際の、静電電極層62の形状を示す図である。」
「【図4】
[図:0001423532000007.jpg]
」
(6)甲6について
甲6には、以下の記載がある。
「【0044】
図1、図2(a)、及び図2(b)に表したように、実施形態に係る静電チャック10は、セラミック誘電体基板100と、ヒータ部200と、べースプレート300と、を備える。」
「【0048】
セラミック誘電体基板100の内部には、電極層111が設けられている。電極層111は、第1主面101と、第2主面102と、の間に介設されている。すなわち、電極層111は、セラミック誘電体基板100の中に挿入されるように形成されている。電極層111は、セラミック誘電体基板100に一体焼結されている。」
「【0051】
電極層111は、第1主面101及び第2主面102に沿って設けられている。電極層111は、処理対象物Wを吸着保持するための吸着電極である。電極層111は、単極型でも双極型でもよい。また、電極層111は、三極型やその他の多極型であってもよい。電極層111の数や電極層111の配置は、適宜選択される。」
「【図2】
[図:0001423532000008.jpg]
」
2 甲1を主引用例とした場合の申立理由1及び2について
(1)本件発明1について
ア 対比
本件発明1と甲1発明とを対比する。
(ア)本件発明1の「板状試料」は、本件明細書の【0002】によれば、「シリコンウエハ等の板状試料」と記載されている。そして、甲1発明の「半導体ウェハ」はシリコンウエハであることが一般的である。そうすると、甲1発明の「半導体ウェハ」は、本件発明1の「板状試料」に相当する。
甲1発明において、「基体31の上面の周縁部には」「環状突起部31aが設けられ」、「環状突起部31aの平面視内側には」「多数の柱状突起部31bが」「設けられ」、「環状突起部31aの上面と柱状突起部31bの上面は、半導体ウェハが吸着保持される吸着面30aを構成」することは、上面が半導体ウェハを保持する面である基体31を有することであるから、当該構成は、本件発明1の「一主面が板状試料を載置する載置面である基体」「を有」することに相当する。
(イ)甲1発明において、「静電電極32」が「基体31に内蔵され」、「吸着対象物である基板としての半導体ウェハとの間に静電気による吸着力を発生させる」構成は、基体31に内蔵された吸着力を発生させる静電電極32を有することであるから、当該構成は、本件発明1の「前記基体の内部に設けられた静電吸着用電極」「を有」することに相当する。
(ウ)甲1発明において、「基体31の上面の周縁部には、平面視リング状の環状突起部31aが設けられ」る構成は、本件発明1の「前記基体は、前記載置面の周縁部に沿って設けられた環状突起部を有」することに相当する。そして、甲1発明の「環状突起部31aは、その上面と、内周側及び外周側の側面との交差によって規定されるエッジ部に約0.01mm以上のアール(R)が付与されている」構成は、本件発明1の、「前記基体において前記載置面と連続する側周面には、前記載置面の周縁部において周方向に設けられた凸曲面である第1曲面」「を少なくとも有し」、「前記環状突起部の外周側には、前記第1曲面の少なくとも一部が設けられ」、「前記環状突起部の内周側には、内周の周方向に設けられた凸曲面である第3曲面を有する」ことに相当する。
(エ)甲1発明において、「静電電極32の外縁は、環状突起部31aと重な」る構成は、本件発明1の「前記静電吸着用電極の外縁は、平面視において前記環状突起部と重な」ることに相当する。
(オ)甲1発明の「静電チャック30」は、本件発明1の「静電チャック部材」に相当する。
(カ)上記(ア)~(オ)によれば、本件発明1と甲1発明とは、以下の点で一致し、また、相違する。
<一致点>
「一主面が板状試料を載置する載置面である基体と、
前記基体の内部に設けられた静電吸着用電極と、を有し、
前記基体において前記載置面と連続する側周面には、前記載置面の周縁部において周方向に設けられた凸曲面である第1曲面と、を少なくとも有し、
前記基体は、前記載置面の周縁部に沿って設けられた環状突起部を有し、
前記静電吸着用電極の外縁は、平面視において前記環状突起部と重なり、
前記環状突起部の外周側には、前記第1曲面の少なくとも一部が設けられ、
前記環状突起部の内周側には、内周の周方向に設けられた凸曲面である第3曲面を有する静電チャック部材。」
<相違点>
本件発明1は、「前記基体において前記載置面と連続する側周面には」、「前記載置面の周縁部において周方向に設けられた凸曲面である第1曲面」と、「前記第1曲面とは異なる高さ位置において前記周方向に設けられた第2曲面」と「を少なくとも有」するのに対し、甲1発明は、基体31の外周面の「アール(R)が付与されている」「エッジ部」に、本件発明1の「第1曲面」を有するといえるものの、それとは異なる高さ位置において、前記周方向に設けられた「第2曲面」を有さない点。
イ 相違点についての検討
(ア)申立理由1(新規性)
本件発明1では、「第1曲面」と「第2曲面」は、異なる高さに位置しているから、ある位置によって、明確に区別されるものであるところ、甲1発明では、「第2曲面」の位置が「第1曲面」に対してどのような位置にあるのか、両者を区別する境界は不明である。
したがって、甲1発明は、本件発明1であるとはいえない。
また、本件明細書の記載をみても、段落0120には、「回転砥石を用いて載置面10xの周縁部を研削することで、容易に第1曲面CS1及び第2曲面CS2を有する静電チャック部材10を形成することができる。」と記載されているように、相違点に係る本件発明1の「第2曲面」は、所定の工程により形成される構造であるから、実質的に相違する構成である。
よって、甲1発明は、実質的に本件発明1であるともいえない。
(イ)申立理由2(進歩性)
甲2~甲6の記載は、上記1(2)~(6)のとおりであるところ、甲2~甲6のいずれにも、相違点に係る構成は記載されていない。
よって、甲2~甲6に記載された事項を甲1発明に適用したとしても、本件発明1の構成には至らない。
(ウ)申立人の主張について
a 申立人は、特許異議申立書の第29頁第13行~第30頁第2行において、甲1の図6に基づく下記の参考図1を示し、基体31は、環状突起部31aの外周側に、凸曲面である「第1曲面Pc1」と、第1曲面Pc1とは異なる高さ位置において周方向に設けられた「第2曲面Pc2」とを有する旨主張している。
「
[図:0001423532000009.jpg]
」
b しかしながら、上記イ(ア)のとおり、本件発明1の「第1曲面」及び「第2曲面」は、「第1」及び「第2」が付されることにより明確に区別されるものであり、異なる高さに位置する別の曲面である。
そして、本件明細書の段落0081には、「第1実施形態」について「第1曲面CS1と第2曲面CS2との間は、載置面10xの方向からの視野に露出する傾斜面10aである。」と記載され、「第1曲面CS1」と「第2曲面CS2」とが「傾斜面10a」により区別されることが記載されている。また、本件明細書の段落0146にも、「凹曲面CS0は、本発明における「第2曲面」に該当する。」と記載され、さらに段落0154にも、「側周面40yは、上端に設けられた第1曲面CS1と、下端に設けられた凹曲面CS0とを有する。」と記載され、「第1曲面CS1」と第2曲面である「凹曲面CS0」とが側周面40yによって区別されることが記載されている。
一方、上記aの参考図1に示された「第1曲面Pc1」及び「第2曲面Pc2」は、単に連続した単一の曲面の一部であって、両者を区別する境界を一義的に定めることはできない。
したがって、申立人の主張する参考図1の内容について検討しても、甲1発明が相違点に係る構成を有しているとはいえない。
よって、上記aの申立人の主張を採用することはできない。
ウ 本件発明1についてのまとめ
上記イのとおりであるから、本件発明1は、甲1発明ではなく、また、甲1発明と甲2~6に記載された事項とに基づき、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(2)本件発明2~7について
請求項2~7の記載は、請求項1の記載を引用するものであるところ、本件発明2~7は、本件発明1の構成を全て備えるものである。したがって、本件発明2~7は、上記(1)アで挙げた相違点に係る本件発明1の構成を備えたものであるから、上記(1)イにおける検討と同様の理由により、甲1発明ではなく、また、甲1発明と甲2~6に記載された事項とに基づき、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(3)小括
よって、甲1を主引用例とした申立理由1及び2は、理由がない。
3 甲2を主引用例とした場合の申立理由1及び2について
(1)本件発明1について
上記1(2)のとおり、甲2には、上記2(1)アで挙げた相違点に係る本件発明1の構成は記載されていない。そうすると、上記2(1)イ(ア)における検討と同様の理由により、本件発明1と甲2に記載された発明(以下、「甲2発明」という。)とは、上記2(1)アで挙げた相違点と同様の点で実質的に相違する。
また、上記1(1)及び(3)~(6)のとおり、甲1、甲3~6のいずれにも、上記2(1)アで挙げた相違点に係る本件発明1の構成は記載されていないから、甲1、甲3~6に記載された事項を甲2発明に適用したとしても、本件発明1の構成には至らない。
よって、本件発明1は、甲2発明ではなく、また、甲2発明と甲1、甲3~6に記載された事項とに基づき、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(2)本件発明2~7について
上記2(2)における検討と同様の理由により、本件発明2~7は、甲2発明ではなく、また、甲2発明と甲1、甲3~6に記載された事項とに基づき、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(3)申立人の主張について
a 申立人は、特許異議申立書の第31頁下から3行~第32頁第10行において、甲2の図7に基づく下記の参考図2を示し、第2の支持部120の外周側について、第2の支持部120は、凸曲面である「第1曲面Pc1」と、第1曲面Pc1とは異なる高さ位置において周方向に設けられた「第2曲面Pc2」とを有する旨主張している。
「
[図:0001423532000010.jpg]
」
b しかしながら、上記2(1)イ(ア)及び(ウ)bのとおり、本件発明1の「第1曲面」及び「第2曲面」は、「第1」及び「第2」が付されることにより明確に区別されるものであり、異なる高さに位置する別の曲面である。
一方、上記aの参考図2に示された「第1曲面Pc1」及び「第2曲面Pc2」は、単に連続した単一の曲面の一部であって、両者を区別する境界を一義的に定めることはできない。
したがって、申立人の主張する参考図2の内容について検討しても、甲2発明が相違点に係る構成を有しているとはいえない。
よって、上記aの申立人の主張を採用することはできない。
(4)小括
よって、甲2を主引用例とした申立理由1及び2は、理由がない。
第5 むすび
以上のとおりであるから、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、請求項1~7に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に請求項1~7に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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2025-700121