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特許異議申立

2025-700080

高レベルの塩化物塩を有する石膏からの石膏ボードおよびそれに関連する有孔シートおよび方法

審判番号
2025-700080
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2021-506551
登録番号
7520808
請求日
2025年01月17日
審決日
2025年09月25日
公報発行日
2025年10月31日
結論
維持
当事者
  • 【権利者】ユナイテッド・ステイツ・ジプサム・カンパニー
  • 【権利者代理人】木村 満
  • 【権利者代理人】森川 泰司
  • 【権利者代理人】桜田 圭
  • 【異議申立人】金澤 毅
審判長/審判官
  • 審判長 有家 秀郎
  • 審判官 立澤 正樹
  • 審判官 藤脇 沙絵
分類
P1651.113-Y (E04C) / P1651.121-Y (E04C) / P1651.537-Y (E04C)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第29条第1項第3号、特許法第36条第6項第1号、特許法第36条第6項第2号、特許法第36条
データ出所
審決公報(XML)

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特許第7520808号発明「高レベルの塩化物塩を有する石膏からの石膏ボードおよびそれに関連する有孔シートおよび方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7520808号の請求項1~12に係る特許を維持する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第7520808号(以下、「本件特許」という。)の請求項1~12に係る特許についての出願は、2019年(令和元年)8月12日を国際出願日とする外国語特許出願(パリ条約による優先権主張 2018年8月14日 米国 及び2019年5月2日 米国)であって、令和6年7月12日にその特許権の設定登録がされ、同月23日に特許掲載公報が発行された。 その後、令和7年1月17日に、特許異議申立人 金澤 毅(以下、「申立人」という。)により、請求項1~12に係る特許に対して、特許異議の申立てがされた。 第2 本件発明 本件特許の請求項1~12の特許に係る発明(以下、請求項番号により「本件発明1」等といい、まとめて「本件発明」という。)は、その特許請求の範囲の請求項1~12に記載された事項により特定される次のとおりのものである。 「【請求項1】 石膏ボードであって、 凝結石膏を含むボードコア層、 外面および内面を有し、前記内面が前記ボードコア層の第1の面に接触する前側紙カバーシート、および 外面および内面を有し、前記内面が前記ボードコア層の第2の面に接触する有孔の後側紙カバーシートを含み、 前記ボードコア層は、前記前側紙カバーシートと前記後側紙カバーシートとの間に配置されており、前記後側紙カバーシートは、これを貫通した複数の孔を含み、前記前側紙カバーシートは、複数の孔を含まず、 前記ボードコア層は、前記前側紙カバーシートと前記後側紙カバーシートとの間における水およびスタッコを含む水性スラリーの凝結から生じ、前記スタッコは硫酸カルシウム半水和物を含み、前記水性スラリーは、 乾燥ベースにおける少なくとも80重量パーセントの前記硫酸カルシウム半水和物、 1,000,000重量部の前記硫酸カルシウム半水和物あたり500重量部~1500重量部の塩化物アニオン、および 0.7:1~1.2:1の、前記水と前記硫酸カルシウム半水和物との重量比における前記水を含み、 前記後側紙カバーシートは、5孔/in2~50孔/in2の範囲の孔被覆密度を有する、石膏ボード。 【請求項2】 前記水性スラリーは、乾燥ベースにおける少なくとも90重量パーセントの前記硫酸カルシウム半水和物を含み、 各孔は、最大横方向寸法において、0.01インチ~0.02インチのサイズの範囲の開口部を規定する、請求項1記載の石膏ボード。 【請求項3】 各孔は、最大横方向寸法において、0.005インチ~0.1インチのサイズの範囲の開口部を規定する、請求項1記載の石膏ボード。 【請求項4】 前記後側紙カバーシートは、12孔/in2~25孔/in2の範囲の孔被覆密度を有する、請求項2記載の石膏ボード。 【請求項5】 前記凝結石膏は、1つ以上の塩化物塩を含む合成石膏から形成されており、前記塩化物塩は、前記塩化物アニオンの少なくとも一部を提供する、請求項1記載の石膏ボード。 【請求項6】 前記水性スラリーが、1,000,000重量部の前記硫酸カルシウム半水和物あたり600重量部~800重量部の前記塩化物アニオンを有する、請求項1記載の石膏ボード。 【請求項7】 請求項1記載の石膏ボードを製作する方法であって、 水およびスタッコの混合物を含む水性スラリーを調製することであって、前記スタッコは硫酸カルシウム半水和物を含み、前記水性スラリーは、乾燥ベースにおける少なくとも80質量パーセントの前記硫酸カルシウム半水和物、1,000,000重量部の前記硫酸カルシウム半水和物あたり500重量部~1500重量部の塩化物アニオン、および0.7:1~1.2:1の、前記水と前記硫酸カルシウム半水和物との重量比における前記水の混合物を含む、前記水性スラリーを調製することと、 前側紙カバーシートと後側紙カバーシートとの間に水性スラリーを配置することであって、前記前側紙カバーシートと前記後側紙カバーシートはそれぞれ内面および外面を有し、前記後側紙カバーシートは、貫通した複数の孔を含み、前記水性スラリーは、前記前側紙カバーシートおよび前記後側紙カバーシートの内面に接触し、前記後側紙カバーシートは、5孔/in2~50孔/in2の範囲の孔被覆密度を有する、前記水性スラリーを配置することと、 ボードコア層を形成するために前記前側紙カバーシートと前記後側紙カバーシートとの間の前記水性スラリー内の前記硫酸カルシウム半水和物を凝結させ、これにより、前記ボードコア層を含むパネルを形成することと、 前記パネルを乾燥させ、切断して、前記石膏ボードを形成することと、を含む、方法。 【請求項8】 壁板穿孔装置によって前記後側紙カバーシートに複数の孔を導入することをさらに含む、請求項7記載の方法。 【請求項9】 前記後側紙カバーシート用の紙がローラーから供給され、前記後側紙カバーシートが前記水性スラリーと接触する前に前記後側紙カバーシートに複数の孔が存在する、請求項7記載の方法。 【請求項10】 壁フレーミングと請求項1記載の少なくとも1つの石膏ボードとを含み、 前記後側紙カバーシートが前記壁フレーミングと接触し且つ前記前側紙カバーシートの前記外面が前記壁フレーミングとは反対側を向くように前記少なくとも1つの石膏ボードが前記壁フレーミングに取り付けられている、壁システム。 【請求項11】 前記水性スラリーは、乾燥ベースにおける少なくとも90重量パーセントの前記硫酸カルシウム半水和物を含み、各孔は、最大横方向寸法において、0.01インチ~0.02インチのサイズの範囲の開口部を規定し、前記後側紙カバーシートは、15孔/in2~20孔/in2の範囲の孔被覆密度を有する、請求項1記載の石膏ボード。 【請求項12】 前記水性スラリーは、乾燥ベースにおける少なくとも90重量パーセントの前記硫酸カルシウム半水和物を含み、孔は、前記後側紙カバーシートの表面の0.5~5%である、請求項11記載の石膏ボード。」 第3 証拠方法及び特許異議申立理由の概要 1 証拠方法 申立人が提示する証拠は、次のとおりである。 甲第1号証:国際公開第2018/049093号 甲第2号証:特表2001-504795号公報 甲第3号証:国際公開第2011/052048号 甲第4号証:特開2004-84221号公報 以下、各甲号証の番号に従って「甲1」などということがある。 2 特許異議申立理由の概要 申立人が特許異議申立書(以下、「申立書」という。)において主張する申立理由の概要は、次のとおりのものと認められる。 (1)新規性欠如 本件発明1~8、11、12は、甲第1号証に記載の発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当し、本件発明1~8、11、12に係る特許は、同条同項の規定に違反してされたものであるから、同法第113条第2号の規定により取り消されるべきものである。 (2)進歩性欠如 本件発明1~8、11、12は、甲第1号証に記載の発明に、甲第2号証~甲第3号証に示される周知技術を適用して、当業者が容易に発明をすることができたものであり、本件発明1~8、11、12に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるから、同法第113条第2号の規定により取り消されるべきものである。 本件発明9、10は、甲第1号証に記載の発明に、甲第2号証~甲第4号証に示される周知技術を適用して、当業者が容易に発明をすることができたものであり、本件発明9、10に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるから、同法第113条第2号の規定により取り消されるべきものである。 (3)サポート要件違反 本件発明1~12は、発明の詳細な説明の記載及び出願時の技術常識に照らして、当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものでなく、本件発明1~12に係る特許は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、同法第113条第4号に該当し、取り消されるべきものである。 (4)明確性要件違反 本件発明12は、明確でなく、本件発明12に係る特許は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、同法第113条第4号に該当し、取り消されるべきものである。 第4 当審の判断 1 甲号証について (1)甲1 ア 甲1の記載事項 甲1には、次の記載がある。なお、翻訳文(以下「当審訳」という。)は当審合議体が作成したものである。(下線は、当審合議体が付した。以下、同様。) (ア)「[0002] In many types of cementitious articles, set gypsum (calcium sulfate dihydrate) is often a major constituent. For example, set gypsum is a major component of end products created by use of traditional plasters (e.g., plaster-surfaced internal building walls), and also in faced gypsum board employed in typical drywall construction of interior walls and ceilings of buildings. In addition, set gypsum is the major component of gypsum/cellulose fiber composite boards and products, as described in U.S. Patent No. 5,320,677, for example. Typically, such gypsum-containing cementitious products are made by preparing a mixture of calcined gypsum (calcium sulfate alpha or beta hemihydrate and/or calcium sulfate anhydrite), water, and other components, as appropriate to form cementitious slurry. The cementitious slurry and desired additives are often blended in a continuous mixer, as described in U.S. Patent No. 3,359,146, for example.」 (当審訳: [0002] 多くの種類のセメント質物品では、凝結石膏(硫酸カルシウム二水和物)は、多くの場合主要構成成分である。例えば、凝結石膏は、伝統的なプラスター(例えば、プラスター表面の内部建物壁)、また建物内装壁および天井の典型的な乾式壁建築に使用される表面を有する石膏ボードの使用によって作成される最終製品の主要成分である。加えて、凝結石膏は、例えば、米国特許第5,320,677号に記載されるように、石膏/セルロース繊維複合板および製品の主要成分である。典型的には、かかる石膏含有セメント質製品は、セメント質スラリーを成形するのに適切な、焼き石膏(硫酸カルシウムアルファまたはベータ半水和物および/もしくは無水硫酸カルシウム)、水、ならびに他の成分の混合物を調製することによって作製される。セメント質スラリーおよび所望の添加剤は、例えば、米国特許第3,359,146号に記載されるように、多くの場合、連続混合器中で混ぜられる。) (イ)「[0033] In the illustrated embodiment, the wet end system 34 is configured as a gypsum wallboard wet end system. The wet end system 34 can include any suitable equipment adapted to mix and/or assemble the constituent materials forming the gypsum board 25. In the illustrated embodiment, the wet end system 34 includes a cementitious slurry mixing and dispensing system 72 adapted to produce a core slurry that forms the core layer 30 and a concentrated slurry that forms the concentrated layer 31 of the gypsum board 25 (see also, FIG. 9). In embodiments, the core slurry 30 includes at least water and calcined gypsum (commonly referred to as "stucco"). In embodiments, the core slurry 30 comprises a foamed gypsum slurry that includes, water, stucco, and an aqueous foam. In embodiments, the concentrated slurry 31 includes at least water, stucco, and an enhancing additive. The enhancing additive is present in a more concentrated amount (by weight percentage) in the concentrated slurry 31 than what is present in the core slurry 30. In embodiments, the core slurry 30 and the concentrated slurry 31 can be formed in any suitable manner. [0034] A first roll 74 of cover sheet material is configured to be selectively dispensed such that the first cover sheet 27 is dispensed from the first roll 74 upstream of the slurry mixing and dispensing system 72 and conveyed upon a forming table extending between the slurry mixer and dispensing system 72 and the forming station 35. A second roll 75 of cover sheet material is configured to be selectively dispensed such that the second cover sheet 28 is dispensed from the second roll 75 at a position between the slurry mixing and dispensing system 72 and the forming station 35 over the first cover sheet 27 and the concentrated layer 31 and the core layer 30 dispensed from the slurry mixing and dispensing system 72. Gypsum board products are typically formed "face down" such that the first cover sheet 27 dispensed from the first roll 74 traveling over the forming table serves as the "face" cover sheet 27 of the finished gypsum board 25.」 (当審訳: [0033] 図示の実施形態では、ウェットエンドシステム34は、石膏壁ボードウェットエンドシステムとして構成されている。ウェットエンドシステム34には、石膏ボード25を形成する構成材料を混合および/または組み立てるように適合された任意の適切な機器を含めることができる。図示の実施形態では、ウェットエンドシステム34には、石膏ボード25のコア層30を形成するコアスラリーと濃縮層31を形成する濃縮スラリーを生成するように適合されたセメント質スラリー混合分注システム72が含まれている(図9も参照)。実施形態では、コアスラリー30は、少なくとも水および焼き石膏(一般的に「スタッコ」と呼ばれる)を含む。実施形態では、コアスラリー30は、水、スタッコ、および水性発泡体を含む発泡石膏スラリーを含む。実施形態では、濃縮スラリー31は、少なくとも水、スタッコ、および強化添加剤を含む。強化添加剤は、コアスラリー30中に存在するものよりも濃縮スラリー31中の方が(重量パーセントで)より濃縮された量で存在する。実施形態では、コアスラリー30および濃縮スラリー31は、任意の適切な方法で形成できる。 [0034] カバーシート材料の第1のロール74は、第1のカバーシート27が第1のロール74からスラリー混合分注システム72の上流側で分配され、スラリー混合分注システム72と成形ステーション35との間に延在する成形テーブル上で運搬されるように、選択的に分配されるように構成されている。カバーシート材料の第2のロール75は、第2のカバーシート28が、スラリー混合分注システム72と成形ステーション35との間のポジションで、第2のロール75から、第1のカバーシート27と、スラリー混合分注システム72から分注された濃縮層31およびコア層30の上に分配されるように、選択的に分配されるように構成されている。石膏ボード製品は、典型的には、成形テーブル上を進行する第1のロール74から分配された第1のカバーシート27が完成した石膏ボード25の「正面」カバーシート27として機能するように「正面下向き」で形成される。) (ウ)「[0094] Referring to FIG. 1 , the cover sheet perforator system 40 is adapted to produce a series of perforation holes 125 in the second cover sheet 28 (see also, FIG. 9). In embodiments, the cover sheet perforator system 40 is adapted to perforate the second cover sheet 28 over a predetermined width of the second cover sheet 28 (measured along the cross-machine direction 51 ) as the gypsum board 25 moves past it along the machine direction 50 toward the cutting station 45. In embodiments, the cover sheet perforator system 40 can be configured to produce perforation holes 125 in a perforation hole pattern in the rear cover sheet 28 that facilitates the drying of excess water remaining in the gypsum board 25 in the kiln while helping to prevent the formation of steam within the board 25 (and/or to provide an outlet for any steam formed in the board 25) during the drying process. [0095] In embodiments, the cover sheet perforator system 40 can be configured to produce variable perforation hole patterns. For example, in embodiments, the cover sheet perforator system 40 can be configured to produce perforation hole patterns with different perforation hole densities (holes per unit area), opening areas (aggregated area of perforation holes per unit area), row pitches (distance between adjacent perforation holes in a row along the cross machine direction 51 ), and hole spacings (distance between a perforation hole in one row along the cross-machine direction 51 to nearest perforation hole in an adjacent row along the machine direction 50) and with different perforation hole bar distances (distance of web of cover sheet material extending between adjacent perforation holes).」 (当審訳: [0094] 図1を参照すると、カバーシート穿孔システム40は、第2のカバーシート28に一連の穿孔穴125を生成するように適合されている(図9も参照)。実施形態では、カバーシート穿孔システム40は、石膏ボード25が機械方向50に沿って切断ステーション45に向かって移動する際に、第2のカバーシート28の所定の幅(機械横断方向51に沿って測定)にわたって第2のカバーシート28を穿孔するように適合される。実施形態では、カバーシート穿孔システム40は、キルン内で石膏ボード25内に残存する余分な水分の乾燥を容易にするとともに、乾燥プロセス中にボード25内で蒸気が形成されるのを防ぐ(および/またはボード25内で形成されたあらゆる蒸気の出口を提供する)のに役立つ穿孔穴パターンで、後部カバーシート28に穿孔穴125を生成するように構成することができる。 [0095] 実施形態では、カバーシート穿孔システム40は、可変の穿孔穴パターンを生成するように構成することができる。例えば、実施形態では、カバーシート穿孔システム40は、異なる穿孔穴密度(単位面積当たりの孔)、開口面積(単位面積当たりの穿孔穴の総面積)、列ピッチ(機械横断方向51に沿った列内の隣接する穿孔穴間の距離)、および穴間隔(機械横断方向51に沿った1つの列内の穿孔穴から機械方向50に沿った隣接する列内の最も近い穿孔穴までの距離)、および異なる穿孔穴バー距離(隣接する穿孔穴の間に延びるカバーシート材料のウェブの距離)を有する穿孔穴パターンを生成するように構成することができる。) (エ)「[0098] For example, in embodiments, the perforation pins 175 can be arranged about and along the shaft 170 such that the perforator roller 150 produces rows 181, 182 of perforation holes 125 extending along the cross-machine direction 51 and in spaced relationship to each along the machine direction 50. In embodiments, adjacent rows 181, 182 of the perforation holes 125 can be staggered such that the perforation holes 125 of one row 181 are in corresponding offset relationship to the perforation holes 125 of each adjacent row 182 of perforation holes, as shown in FIG. 2. In one embodiment, the row pitch along the cross-machine direction 51 is one-half inch, the row spacing along the machine direction 50 is one-half inch, and adjacent rows 181, 182 are staggered with a one-quarter inch offset. In embodiments, the row pitch along the cross-machine direction 51 and the row spacing along the machine direction 50 can be varied. In other embodiments, the perforation holes 125 can be arranged in rows which have perforation holes 125 that are respectively aligned along the cross-machine direction 51 with the perforation holes 125 in adjacent rows.」 (当審訳: [0098] 例えば、実施形態では、穿孔ピン175は、穿孔ローラ150が機械横断方向51に沿って延び、機械方向50に沿ってそれぞれ間隔を置いた関係にある穿孔穴125の列181、182を生成するように、シャフト170の周りに、シャフト170に沿って配置することができる。実施形態では、穿孔穴125の隣接する列181、182は、図2に示すように、1つの列181の穿孔穴125が、隣接する各列182の穿孔穴125と対応するオフセット関係にあるように、ずらすことができる。1つの実施形態では、機械横断方向51に沿った列ピッチは1/2インチであり、機械方向50に沿った列間隔は1/2インチであり、隣接する列181、182は1/4インチのオフセットで互い違いに配置されている。実施形態では、機械横断方向51に沿った列ピッチおよび機械方向50に沿った列間隔は変化させることができる。他の実施形態では、穿孔穴125は、隣接する列の穿孔穴125と機械横断方向51に沿ってそれぞれ整列した穿孔穴125を有する列に配置することができる。) (オ)「[00104] It should be understood that, in embodiments, the perforation pins 175 can penetrate through the second cover sheet 28 and into the setting gypsum slurry of the gypsum board 25. In embodiments, the offset distance 200 is less than one half the diameter D of the perforator roller 150 such that the perforation pins 175 are in interfering relationship with the second cover sheet 28 of the gypsum board 25 to pierce the second cover sheet 28 as it passes by the perforator roller 150 along the machine direction 50.」 (当審訳: [00104] 実施形態では、穿孔ピン175が第2のカバーシート28を貫通し、石膏ボード25の凝結石膏スラリー内に貫通することができることを理解すべきである。実施形態では、オフセット距離200は、穿孔ローラ150の直径Dの1/2未満であり、その結果、穿孔ピン175は、機械方向50に沿って穿孔ローラ150を通過するときに第2のカバーシート28に穿設するように、石膏ボード25の第2のカバーシート28と干渉する関係にある。) (カ)「[00138] Referring to FIG. 9, an embodiment of a gypsum board 25 made according to principles of the present disclosure is shown. The gypsum board 25 includes a first cover sheet 27, a second cover sheet 28, and a gypsum core 29. The gypsum core 29 is interposed between the first and second cover sheets 27, 28. The gypsum core 29 includes a core layer 30 and a concentrated layer 31. The core layer 30 includes set gypsum formed from a core slurry comprising at least water and stucco. The concentrated layer 31 includes set gypsum formed from a concentrated slurry comprising at least water, stucco, and an enhancing additive. The enhancing additive is present in a more concentrated amount (by weight percentage) in the concentrated slurry than what is present in the core slurry. At least one of the cover sheets 27, 28 is perforated such that said cover sheet defines a plurality of perforation holes 125 therein. In the illustrated embodiment, the second cover sheet 28 is perforated. [00139] In embodiments, the core layer 30 is interposed between the second cover sheet 28 and the concentrated layer 31. In the illustrated embodiment, the core layer 30 is contiguous with the second cover sheet 28. In embodiments, a skim coat layer can be interposed between the second cover sheet 28 and the core layer 30 which is made from a slurry that is denser than the slurry from which the core layer 30 is made. ・・・ [00142] In embodiments, each edge layer 95 can be applied to the face cover sheet 27 of the gypsum board 25 such that the edge layer 95 extends from one face of the gypsum board 27 (in this case, the front face) and around the edge wall 105 of the gypsum board 25. In the illustrated embodiment, the edge layer 95 extends around the edge wall 105 such the edge layer 95 is in bonding relationship with at least a portion of the connecting flap 107 of the front cover sheet 27. ・・・ [00144] In embodiments, the gypsum board 25 includes the concentrated layer 31 which extends laterally between the edge layers 95. In the illustrated embodiment, the concentrated layer 31 is formed form the slurry having the second formulation along with the edge layers 95. The concentrated layer 31 is substantially contiguous with the edge layers 95. The concentrated layer 31 is in bonding relation to the face cover sheet 27 and to the core layer 30. The concentrated layer 31 extends in the cross-machine direction 51 substantially between the edge layers 95.」 (当審訳: [00138] 図9を参照すると、本開示の原理に従って作製された石膏ボード25の実施形態が示されている。石膏ボード25は、第1のカバーシート27、第2のカバーシート28、および石膏コア29を含む。石膏コア29は、第1のカバーシート27と第2のカバーシート28との間に介在する。石膏コア29は、コア層30と濃縮層31を含む。コア層30は、少なくとも水とスタッコを含むコアスラリーから形成された凝結石膏を含む。濃縮層31は、少なくとも水、スタッコ、および強化添加剤を含む濃縮スラリーから形成された凝結石膏を含む。強化添加剤は、コアスラリー中に存在するものよりも濃縮スラリー中の方が(重量パーセントで)より濃縮された量で存在する。カバーシート27、28のうちの少なくとも1つは、複数の穿孔穴125がその中に画定されるように穿孔されている。図示の実施形態では、第2のカバーシート28が穿孔されている。 [00139] 実施形態では、コア層30は、第2のカバーシート28と濃縮層31との間に介在する。図示の実施形態では、コア層30は、第2のカバーシート28と隣接している。実施形態では、スキムコート層を、第2のカバーシート28と、コア層30を作製したスラリーよりも密度が高いスラリーから作製されたコア層30との間に介在させることができる。 ・・・ [00142] 実施形態では、各縁部層95は、縁部層95が石膏ボードの一方の正面27(この場合は、前部正面)から石膏ボード25の縁部壁105の周りに延在するように、石膏ボード25の正面カバーシート27に塗布され得る。図示の実施形態では、縁部層95は、縁部層95が前部カバーシート27の接続フラップ107の少なくとも一部分と結合する関係にあるように、縁部壁105の周りに延在する。 ・・・ [00144] 実施形態では、石膏ボード25は、縁部層95の間で側方に延在する濃縮層31を含む。図示の実施形態では、濃縮層31は、縁部層95を伴って第2の配合物を有するスラリーから成形されている。濃縮層31は、縁部層95と実質的に隣接している。濃縮層31は、正面カバーシート27およびコア層30に対して結合している。濃縮層31は、実質的に縁部層95の間で機械横断方向51に延在する。) (キ)「CLAIMS ・・・ 10. A gypsum board comprising: a first cover sheet; a second cover sheet; and a core, the core interposed between the first cover sheet and the second cover sheet, the core including a core layer and a concentrated layer, the core layer including set gypsum formed from a core slurry comprising at least water and stucco, and the concentrated layer including set gypsum formed from a concentrated slurry comprising at least water, stucco, and an enhancing additive, the enhancing additive present in a more concentrated amount by weight percentage in the concentrated slurry than in the core slurry; wherein the second cover sheet defines a series of perforation holes therein.」 (当審訳: 請求の範囲 ・・・ 10. 石膏ボードであって、 第1のカバーシートと、 第2のカバーシートと、 コアを含み、コアは第1のカバーシートと第2のカバーシートの間に介在し、コアはコア層と濃縮層を含み、コア層は、少なくとも水とスタッコを含むコアスラリーから形成された凝結石膏を含み、濃縮層は、少なくとも水、スタッコ、および強化添加剤を含む濃縮スラリーから形成された凝結石膏を含み、強化添加剤は、コアスラリー中よりも濃縮スラリー中により濃縮された重量パーセント量で存在し、 第2のカバーシートは、その中に一連の穿孔穴を画定する。) (ク)「 [図:0001427981000001.jpg] 」 (当審訳: 図9) イ 認定事項 (ア)[0002]に示されるように、「焼き石膏」は「硫酸カルシウムアルファまたはベータ半水和物および/もしくは無水硫酸カルシウム」であるとともに、[0033]に示されるように、「焼き石膏」は「一般的に「スタッコ」と呼ばれる」から、スタッコは、硫酸カルシウムアルファまたはベータ半水和物を含み得ることが認められる。 (イ)第1のカバーシート27が完成した石膏ボード25の「正面」カバーシート27として機能すること([0034])、また、第1のカバーシート27は「前部カバーシート27」([00142])とも称され、第2のカバーシート28は「後部カバーシート28」([0094])とも称されることから、第1のカバーシート27は石膏ボード25の前部に配置されるカバーシートであり、第2のカバーシート28は石膏ボード25の後部に配置されるカバーシートであることが認められる。 (ウ)[00138]の「カバーシート27、28のうちの少なくとも1つは、複数の穿孔穴125がその中に画定されるように穿孔されている。図示の実施形態では、第2のカバーシート28が穿孔されている。」との記載、及び、図9より、第2のカバーシート28が穿孔され、第1のカバーシート27は穿孔されていないことが認められる。 ウ 甲1発明 上記ア及びイより、甲1には、次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。 <甲1発明> 石膏ボード25であって、 第1のカバーシート27、第2のカバーシート28、および石膏コア29を含み、石膏コア29は、第1のカバーシート27と第2のカバーシート28との間に介在し、石膏コア29は、コア層30と濃縮層31を含み、コア層30は、少なくとも水とスタッコを含むコアスラリーから形成された凝結石膏を含み、濃縮層31は、少なくとも水、スタッコ、および強化添加剤を含む濃縮スラリーから形成された凝結石膏を含み、第2のカバーシート28が穿孔されており、([00138]) 第1のカバーシート27は穿孔されておらず、(上記イ(ウ)) コア層30は、第2のカバーシート28と隣接しており、([00139]) 濃縮層31は、正面カバーシート27に対して結合しており、([00144]) 第1のカバーシート27は石膏ボード25の前部に配置されるカバーシートであり、第2のカバーシート28は石膏ボード25の後部に配置されるカバーシートであり、(上記イ(イ)) スタッコは、硫酸カルシウムアルファまたはベータ半水和物を含み得、(上記イ(ア)) カバーシート穿孔システム40は、第2のカバーシート28に一連の穿孔穴125を生成し、キルン内で石膏ボード25内に残存する余分な水分の乾燥を容易にするとともに、乾燥プロセス中にボード25内で蒸気が形成されるのを防ぐ(および/またはボード25内で形成されたあらゆる蒸気の出口を提供する)のに役立つ穿孔穴パターンで、後部カバーシート28に穿孔穴125を生成するように構成することができ、([0094]) カバーシート穿孔システム40は、異なる穿孔穴密度(単位面積当たりの孔)を有する穿孔穴パターンを生成するように構成することができ、([0095]) 穿孔穴125の隣接する列181、182は、1つの列181の穿孔穴125が、隣接する各列182の穿孔穴125と対応するオフセット関係にあるように、ずらすことができ、1つの実施形態では、機械横断方向51に沿った列ピッチは1/2インチであり、機械方向50に沿った列間隔は1/2インチであり、隣接する列181、182は1/4インチのオフセットで互い違いに配置されており、([0098]) 穿孔ピン175が第2のカバーシート28を貫通し、石膏ボード25の凝結石膏スラリー内に貫通することができる、([00104]) 石膏ボード25。 (2)甲2 ア 甲2の記載事項 甲2には、次の記載がある。 (ア)13頁4行~19行 「(技術分野) 本発明は固化された石膏を含む製品、例えば石膏ボード、補強石膏複合ボード、プラスタ、加工可能な材料、接合処理材および音響タイルを作成する方法およびその配合物、並びに製品を製造する方法および配合物に関する。更に詳細には本発明は1以上の改良材を用いて永久変形(例えば、垂れ下がり抵抗)に対する抗力を増加した石膏を含む固化製品に関する。本発明の好ましい実施態様によれは、改良材の存在下で焼成石膏を水和し、この水和により得られ強度、永久変形(例えば、垂れ下がり抵抗)に対する抗力が増加され、また寸法安定性(例えば固化石膏の乾燥中の非収縮)の良好な固化石膏を用いた製品を製造する方法が提供される。また改良材により石膏を含む固化製品の作成時の他の特性が改善される利点が得られる。本発明の別の実施態様によれば、固化石膏が1以上の改良材で処理され、同じでなければ石膏を含む製品において強度が増加される永久変形(例えば垂れ下がり抵抗)に対する抗力が増加され、寸法安定性が高められ、他の特性が向上され利点がある。本発明の一実施態様によれは、本発明の石膏を含む硬化製品には比較的高い濃度の塩化物が含まれ、一般に石膏を含む製品にこのような高い塩化物濃度により悪影響を受けるがそのような悪影響が避けられる。」 (イ)17頁9行~26行 「一方一部の改良材(例えばトリメタフォスフェート・ナトリウム(以下“STMP”とも呼ぶ)、6~27の反復硫酸塩ユニットを有するヘキサメタフォスペート・ナトリウム(以下“SHMP”とも呼ぶ)および1000~3000の反復硫酸塩ユニットを有するポリフォスフェート・アンモニウム(以下“APP”とも呼ぶ)の塩類またはそのアニオン部)を用いると、垂れ下かり抵抗が大きく増加する等の好ましい利点が得られる。またAPPを用いることにより、例えSTMP濃度の僅か1/4加えられても、STMPによる抗力と等しい垂れ下がり抵抗が与えられる。 本発明の好ましい実施態様によれは、これはトリメタフォスフェート・イオンを焼成石膏および水の混合液に加え、石膏を含む硬化製品を作成することにより実現される(ここで使用する用語「焼成石膏」とはアルファ硫酸カルシウム半水和物、ベータ硫酸カルシウム半水和物、水溶性の硫酸カルシウム硬石膏あるいはこれらの一部若しくは全ての混合液であり、用語「固化石膏」および「水和石膏」とは硫酸カルシウム二水和物を指す)。混合液内の水が硫酸カルシウムと自由に反応して固化石膏を形成すると、固化石膏は予期しないことだがトリメタフォスフェート・イオンを含まない混合液から形成した固化石膏に比べて強度が上昇し、永久変形(例えは、垂れ下がり抵抗)に対する抗力が増加され、寸法安定性が向上された。これら特性の改良点のメカニズム自体は判明していない。」 (ウ)18頁13行~17行 「本発明の好ましい実施態様による方法は、紙あるいは他の材料からなるカバーシートとカバーシート間配置され固化石膏からなるコアとを備えた石膏ボードを製造する方法である。このボードは焼成石膏、水およびトリメタフォスフェート・イオンの流動可能な混合液(スラリ)を作成し、カバーシート間に混合液を流し込み、その後硬化し乾燥することにより作成される。」 (エ)29頁13行~17行 「以下の実験例は本発明の好ましい実施態様を更に氏名本発明の範囲外の方法および配合物と比較するために提供される。特に指定しないときは、配合物および方法での材料濃度が焼成石膏の重量に対する重量%で与えられる。略語「STMP」はトリメタフォスフェート・ナトリウムを、略語「TMP」はトリメタフォスフェートを示す。」 (オ)37頁3行~38頁22行 「 実験例5 生産ラインによる石膏ボードの寸法安定性 および永久変形に対する抗力 紙が張られた発泡石膏ボードを工業的石膏ボード製造設備として代表的な全規模生産ラインで作成した。ボードは各種の濃度のトリメタフォスフェート・イオンで作成し、寸法安定性および永久変形に対する抗力について対照ボードと比較した。ボードの一部の製造時に、トリメタフォスフェート・イオンを含ませること以外、ボードを従来の石膏ボード製造法および成分を代表する方法および成分利用して作成した。(採用した焼成石膏の重量に対し比較的狭い範囲で表している)この成分および近似の重量パーセントを表4に示される。 表4 石膏ボード生産成分 [図:0001427981000002.jpg] ・・・ ボードはミキサ内に成分を連続的に導入し混合して水性スラリ(発泡剤は分離した発泡装置内に水泡を発生させるために使用され、水泡はミキサを介しスラリ内に導入した)を作成し、移動ベルト上の紙カバーシート(表面が紙)上にスラリを流し、その上に別の紙カバーシート(裏面)を置いて厚さ1/2インチのボードを形成し、硫酸カルシウム半水和物を水和して硫酸カルシウム二水和物を形成することによりスラリを正確な切断に十分な固さを持たせたとき、移動ボードを厚さ約12×4フィート1/2インチの個別のボードに切断し、個々のボードを加熱したマルチデッキキルン内で乾燥することにより、幅4フィートの連続生産ラインで製造した。」 (カ)46頁13行~48頁8行 「 実験例10 高塩類材料の処理 本発明の他の実施例は硫酸カルシウム材と高い濃度の(即ち混合液内の硫酸カルシウム材の重量に対し少なくとも0.015重量%で)塩化物およびその塩類を含む水との混合液から作成された石膏を含む硬化製品を提供する。塩化物イオン或いはその塩類は硫酸カルシウム材自体内の、あるいは混合液内に使用される水(例えば海水やブラインを含む内層面水)内の不純物であり、これは本発明以前ではブリスタ、紙接着不良、端部焼け、永久変形に対する低抗力、低強度および低い寸法安定性のような付属問題のため、石膏を含む硬化製品を安定化するためには使用されて来なかった。 ・・・ 表11はボードのトリメタフォスフェート・イオンおよび高塩化物塩類(スタッコ内に0.08~0.16重量%の塩化ナトリウム)のPFC1000スターチを用いた点を点を除き、実験例5に沿って上述した場合と同様の方法で作成し処理したことを示している。表11に示されるように、この処理の結果、塩化ナトリウムなしの比較ボードと比し、釘抜き強度(実験例4と同一の方法でASTMC473-95に従い測定した)が増加し、同様の接着性能(実験例8と同一の方法で測定された)が得られた。更にトリメタフォスフェート・イオン処理により、最大0.3%塩類添加剤で加湿したが垂れ下がりが著しく改良された。」 イ 認定事項 (ア)上記ア(オ)の表4より、実験例5において採用した焼成石膏の重量に対する成分および近似の重量パーセントは、ベータ硫酸カルシウム半水和物100重量%、水94-98重量%、硬化促進剤1.1-1.6重量%、スターチ0.5-0.7重量%、分散剤0.20-0.22重量%、紙繊維0.5-0.7重量%、硬化遅延材0.07-0.09重量%、発泡剤0.02-0.03重量%、トリメタフォスフェート・ナトリウム(STMP)0-0.16%、再焼成抑止剤0.13-0.14%であることが見て取れる。 (イ)上記ア(イ)に示される「特に指定しないときは、配合物および方法での材料濃度が焼成石膏の重量に対する重量%で与えられる。」との記載を考慮すると、上記ア(カ)の表11で用いた0.08~0.16重量%の塩化ナトリウムにおける重量%は、焼成石膏の重量に対する重量%であると理解できる。 ウ 甲2記載の技術的事項 上記ア及びイより、甲2には、次の技術的事項(以下「甲2記載の技術的事項」という。)が記載されていると認められる。 <甲2記載の技術的事項> 改良材を用いて永久変形に対する抗力を増加した石膏を含む固化製品に関し、高い塩化物濃度による悪影響が避けられる、石膏を含む固化製品において、(上記ア(ア)) 改良材(トリメタフォスフェート・ナトリウム(以下“STMP”とも呼ぶ)の塩類またはそのアニオン部)を用いると、垂れ下かり抵抗が大きく増加する等の好ましい利点が得られ、これはトリメタフォスフェート・イオンを焼成石膏および水の混合液に加え、石膏を含む硬化製品を作成することにより実現され、(上記ア(イ)) 紙からなるカバーシートとカバーシート間配置され固化石膏からなるコアとを備えた石膏ボードを製造し、このボードは焼成石膏、水およびトリメタフォスフェート・イオンの流動可能な混合液(スラリ)を作成し、カバーシート間に混合液を流し込み、その後硬化し乾燥することにより作成され、(上記ア(ウ)) 実験例5では、紙が張られた発泡石膏ボードを、各種の濃度のトリメタフォスフェート・イオンで作成し、ミキサ内に成分を連続的に導入し混合して水性スラリを作成し、(上記ア(オ)) 採用した焼成石膏の重量に対する成分および近似の重量パーセントは、ベータ硫酸カルシウム半水和物100重量%、水94-98重量%、硬化促進剤1.1-1.6重量%、スターチ0.5-0.7重量%、分散剤0.20-0.22重量%、紙繊維0.5-0.7重量%、硬化遅延材0.07-0.09重量%、発泡剤0.02-0.03重量%、トリメタフォスフェート・ナトリウム(STMP)0-0.16%、再焼成抑止剤0.13-0.14%であり(上記イ(ア)) 塩化物イオン或いはその塩類は硫酸カルシウム材自体内の、あるいは混合液内に使用される水(例えば海水やブラインを含む内層面水)内の不純物であり、これはブリスタ、紙接着不良、端部焼け、永久変形に対する低抗力、低強度および低い寸法安定性のような付属問題のため、石膏を含む硬化製品を安定化するためには使用されて来なかったものであるところ、 実験例10では、硫酸カルシウム材と高い濃度の(即ち混合液内の硫酸カルシウム材の重量に対し少なくとも0.015重量%で)塩化物およびその塩類を含む水との混合液から作成された石膏を含む硬化製品を提供し、 表11では、ボードのトリメタフォスフェート・イオンおよび高塩化物塩類(スタッコ内に0.08~0.16重量%の塩化ナトリウム)のPFC1000スターチを用いた点を除き、実験例5と同様の方法で作成し処理されており、(上記ア(カ)) 表11で用いた0.08~0.16重量%の塩化ナトリウムにおける重量%は、焼成石膏の重量に対する重量%であること。(上記イ(イ)) (3)甲3 ア 甲3の記載事項 甲3には、次の記載がある。 (ア)「[0008] 本発明に係る石膏ボードは、石膏を焼成した焼石膏(半水石膏)100質量部当たりセメントを0.2~5.0質量部の割合で用い、また各種の混和材や薬品類を必要に応じ適宜に用いて、これらを水と混合することによりスラリーを調製し、かかるスラリーを型枠、例えば型枠を兼ねる表面用原紙と裏面用原紙との間に装填して硬化したものである。」 (イ)「[0012] 本発明に係る石膏ボードには、前記したような従来の石膏ボードと比べて、撓みの発生を充分に防止することができ、しかも圧縮強度、硬化時間、pH等に問題を生じることがないという効果があり、また吸湿によって表面用原紙や裏面用原紙が剥がれ易くなるのを防止することができるという効果もある。かかる効果の発現は、スラリーの調製に用いる焼石膏として、不純物に相当する水可溶性の塩類の含有量が高い石膏を焼成したものを用いた場合に顕著である。主に、原料の石膏として用いる前記したような化学石膏の種類や量及びそのときの性状等に起因して、原料の石膏中における不純物に相当する水可溶性の塩類の含有量が高くなると、そのような石膏を焼成した焼石膏を用いてスラリーを調製し、硬化した石膏ボードは、撓み易くなり、特に高湿度下において吸湿により撓み易くなるが、スラリーの調製にかかる焼石膏を用いた場合であっても、所定量のセメントを併用する本発明によれば、そのような撓みの発生を充分に防止することができるのである。 [0013] 具体的に、前記のような本発明による効果の発現は、スラリーの調製に用いる焼石膏が、水可溶性のカリウム塩、ナトリウム塩及びマグネシウム塩の合計含有量がそれらの酸化物(K2O、Na2O及びMgO)換算で500mg/kg以上の石膏、例えば500~2500mg/kgの石膏を原料として用いる場合に顕著であり、なかでも水可溶性のカリウム塩、ナトリウム塩及びマグネシウム塩の合計含有量がそれらの酸化物換算で600mg/kg以上のもの、例えば600~2500mg/kgのものである場合に特に顕著である。 発明の効果 [0014] 本発明によると、不純物に相当する水可溶性の塩類の含有量が高い石膏を原料として用いた場合であっても、得られる石膏ボードに撓みが発生するのを充分に防止することができ、しかも圧縮強度、硬化時間及びpH等に問題を生じることがない。」 (ウ)「[0017] 試験区分1 比較例1 水可溶性のカリウム塩、ナトリウム塩及びマグネシウム塩の合計含有量がそれらの酸化物換算で632mg/kg(以下、単に水可溶性塩類含有量632mg/kgという)の排煙脱硫石膏を焼成し、焼石膏(半水石膏)とした。この焼石膏200質量部に水を170質量部の割合で混合してスラリーを調製した。このスラリーを型枠に装填し、硬化させた後、脱型して、40℃で恒量になるまで乾燥し、12.5mm×900mm×1820mmの石膏ボードを得た。この石膏ボードから12.5mm×150mm×650mmの試験片を切り出し、この試験片を、40℃×90%RHの条件下にスパン600mmで2点支持し、所定時間経過毎に、試験片に発生したスパン中央の撓みを測定器(ミツトヨ社製のデジマチックインジケータ、商品名)で測定した。結果を表1にまとめて示した。 ・・・ [0020] 比較例8~11及び実施例1~7 焼石膏200質量部に代えて、焼石膏に表1記載の添加量となる量の普通ポルトランドセメントを混合したもの200質量部を用いたこと以外は比較例1と同様にして、スラリーを調製し、石膏ボードを得た後、試験片を切り出して、撓みを測定した。結果を表1にまとめて示した。 [0021] [表1] [図:0001427981000003.jpg] [0022] 表1において、 添加量:焼石膏100質量部当たりの添加剤の質量部」 (エ)「請求の範囲 [請求項1] 型枠に石膏含有のスラリーを装填し、硬化して成る石膏ボードにおいて、石膏を焼成した焼石膏100質量部当たりセメントを0.2~5.0質量部の割合で用いたスラリーを硬化して成ることを特徴とする石膏ボード。 ・・・ [請求項3] 石膏が、水可溶性のカリウム塩、ナトリウム塩及びマグネシウム塩の合計含有量がそれらの酸化物換算で500mg/kg以上のものである請求項1又は2記載の石膏ボード。」 イ 甲3記載の技術的事項 上記アより、甲3には、次の技術的事項(以下「甲3記載の技術的事項」という。)が記載されていると認められる。 <甲3記載の技術的事項> 石膏を焼成した焼石膏(半水石膏)100質量部当たりセメントを0.2~5.0質量部の割合で用い、水と混合することによりスラリーを調製し、かかるスラリーを表面用原紙と裏面用原紙との間に装填して硬化した石膏ボードにおいて、([0008]) 原料の石膏中における不純物に相当する水可溶性の塩類の含有量が高くなると、そのような石膏を焼成した焼石膏を用いてスラリーを調製し、硬化した石膏ボードは、撓み易くなるが、所定量のセメントを併用する本発明によれば、そのような撓みの発生を充分に防止することができ、([0012]) 前記のような効果の発現は、スラリーの調製に用いる焼石膏が、水可溶性のカリウム塩、ナトリウム塩及びマグネシウム塩の合計含有量がそれらの酸化物(K2O、Na2O及びMgO)換算で500mg/kg以上の石膏、例えば500~2500mg/kgの石膏を原料として用いる場合に顕著であり、([0013]) 比較例1では、水可溶性のカリウム塩、ナトリウム塩及びマグネシウム塩の合計含有量がそれらの酸化物換算で632mg/kgの排煙脱硫石膏を焼成し、焼石膏(半水石膏)とし、この焼石膏200質量部に水を170質量部の割合で混合してスラリーを調製し、([0017]) 実施例1~7では、焼石膏200質量部に代えて、焼石膏に普通ポルトランドセメントを混合したもの200質量部を用いたこと以外は比較例1と同様にして、スラリーを調製したこと。([0021]) (4)甲4 ア 甲4の記載事項 甲4には、次の記載がある。 「【請求項1】 アングル状を呈し、四角枠を構成するように枠組みされる上下、左右のランナと、 前記上、下ランナ間に立設した状態で所定間隔をおいて並設される複数本のスタッドと、 これらのスタッドを内設するように前記四角枠の表、裏面に張り付けられる一対の石膏ボードと、 前記四角枠内であって石膏ボード間に介在される断熱材とを備えてなり、 前記スタッドは、前記上、下ランナによる溝部の溝幅よりも小さい外形寸法をもち、該溝部内に千鳥状に配列されるとともに、 一方の石膏ボードは、この石膏ボード寄りに配列されているスタッドにビス止めされ、 他方の石膏ボードは、この石膏ボード寄りに配列され、前記一方の石膏ボードがビス止めされていないスタッドにビス止めされていることを特徴とする間仕切り壁構造。」 イ 甲4記載の技術的事項 上記アより、甲4には、次の技術的事項(以下「甲4記載の技術的事項」という。)が記載されていると認められる。 <甲4記載の技術的事項> アングル状を呈し、四角枠を構成するように枠組みされる上下、左右のランナと、 前記上、下ランナ間に立設した状態で所定間隔をおいて並設される複数本のスタッドと、 これらのスタッドを内設するように前記四角枠の表、裏面に張り付けられる一対の石膏ボードと、を備えてなる間仕切り壁構造。 2 特許法第29条第1項第3号(新規性欠如)及び特許法第29条第2項(進歩性欠如)について (1)本件発明1について ア 対比 本件発明1と甲1発明とを対比する。 (ア)甲1発明の「石膏ボード25」は、本件発明1の「石膏ボード」に相当する。 (イ)甲1発明の「凝結石膏」は、本件発明1の「凝結石膏」に相当する。 そして、甲1発明の「石膏コア29」は、「コア層30と濃縮層31を含み」、「コア層30は」「凝結石膏を含み」、「濃縮層31は」「凝結石膏を含」むから、「石膏コア29」は、凝結石膏を含むといえる。したがって、甲1発明の「石膏コア29」は、本件発明1の「凝結石膏を含むボードコア層」に相当する。 (ウ)甲1発明の「第1のカバーシート27」は、「石膏ボード25の前部に配置されるカバーシート」であるから、甲1発明の「第1のカバーシート27」と、本件発明1の「前側紙カバーシート」とは、前側のカバーシートである点で共通する。 (エ)甲1発明の「第1のカバーシート27」が、「石膏コア29」側の内面と、「石膏コア29」と反対側の外面とを有することは明らかである。そして、甲1発明の「石膏コア29」が含む「濃縮層31」は、「正面カバーシート27に対して結合して」おり、「正面カバーシート27」は「第1のカバーシート27」を指していることは明らかであるから、「第1のカバーシート27」の内面が、「石膏コア29」の第1カバーシート27側の面に接触するといえる。「石膏コア29」の第1カバーシート27側の面は、本件発明1の「第1の面」に相当する。 上記(イ)、(ウ)を踏まえると、甲1発明の「第1のカバーシート27」が、外面及び内面を有し、「第1のカバーシート27」の内面が、「石膏コア29」の第1カバーシート27側の面に接触することと、本件発明1の「前側紙カバーシート」が、「外面及び内面を有し、前記内面が前記ボードコア層の第1の面に接触する」こととは、前側のカバーシートが、外面および内面を有し、内面がボードコア層の第1の面に接触する点で共通する。 (オ)甲1発明の「第2のカバーシート28」は、「石膏ボード25の後部に配置されるカバーシート」であるから、甲1発明の「第2のカバーシート28」と、本件発明1の「後側紙カバーシート」とは、後側のカバーシートである点で共通する。 (カ)甲1発明の「第2のカバーシート28」が、「石膏コア29」側の内面と、「石膏コア29」と反対側の外面とを有することは明らかである。そして、甲1発明の「石膏コア29」が含む「コア層30」は、「第2のカバーシート28と隣接して」いるから、「第2のカバーシート28」の内面が、「石膏コア29」の第2のカバーシート28側の面に接触するといえる。「石膏コア29」の第2カバーシート28側の面は、本件発明1の「第2の面」に相当する。 上記(イ)、(オ)を踏まえると、甲1発明の「第2のカバーシート28」が、外面及び内面を有し、「第2のカバーシート28」の内面が、「石膏コア29」の第2のカバーシート28側の面に接触し、「第2のカバーシート28」に「一連の穿孔穴125」が穿孔されていることと、本件発明1の「後側紙カバーシート」が、「外面及び内面を有し、前記内面が前記ボードコア層の第2の面に接触」し、「有孔」であることとは、後側のカバーシートが、外面および内面を有し、内面がボードコア層の第2の面に接触し、有孔である点で共通する。 (キ)上記(イ)、(ウ)、(オ)を踏まえると、甲1発明の「石膏コア29」が「第1のカバーシート27と第2のカバーシート28との間に介在」することと、本件発明1の「ボードコア層」が「前記前側紙カバーシートと前記後側紙カバーシートとの間に配置されて」いることとは、ボードコア層が、前側のカバーシートと後側のカバーシートとの間に配置されている点で共通する。 (ク)甲1発明では、「穿孔ピン175が第2のカバーシート28を貫通」することから、「一連の穿孔穴125」は、「第2のカバーシート28」を貫通しているといえる。 上記(オ)を踏まえると、甲1発明の「第2のカバーシート28」が、「第2のカバーシート28」を貫通した「一連の穿孔穴125」を有することと、本件発明1の「後側紙カバーシート」が、「これを貫通した複数の孔を含」むこととは、後側のカバーシートが、これを貫通した複数の孔を含む点で共通する。 (ケ)上記(ウ)を踏まえると、甲1発明の「第1のカバーシート27」が「穿孔されて」いないことと、本件発明1の「前側紙カバーシート」が「複数の孔を含ま」ないこととは、前側のカバーシートが複数の孔を含まない点で、共通する。 (コ)甲1発明の「水とスタッコを含むコアスラリー」及び「水、スタッコ、および強化添加剤を含む濃縮スラリー」は、本件発明1の「水およびスタッコを含む水性スラリー」に相当する。また、甲1発明の「コア層30は、少なくとも水とスタッコを含むコアスラリーから形成された凝結石膏を含み、濃縮層31は、少なくとも水、スタッコ、および強化添加剤を含む濃縮スラリーから形成された凝結石膏を含」むから、「コア層30」及び「濃縮層31」が、「コアスラリー」及び「濃縮スラリー」の凝結から生じることは明らかである。そして、甲1発明の「石膏コア29」は、「第1のカバーシート27と第2のカバーシート28との間に介在し」、「コア層30と濃縮層31を含」むから、「石膏コア29」は、「第1のカバーシート27と第2のカバーシート28との間」で、「コアスラリー」及び「濃縮スラリー」の凝結から生じるといえる。 よって、上記(イ)、(ウ)、(オ)を踏まえると、甲1発明において、「石膏コア29」が「第1のカバーシート27と第2のカバーシート28との間に介在し」、「コア層30と濃縮層31を含み、コア層30は、少なくとも水とスタッコを含むコアスラリーから形成された凝結石膏を含み、濃縮層31は、少なくとも水、スタッコ、および強化添加剤を含む濃縮スラリーから形成された凝結石膏を含」むことと、本件発明1において、「前記ボードコア層は、前記前側紙カバーシートと前記後側紙カバーシートとの間における水およびスタッコを含む水性スラリーの凝結から生じ」ることとは、ボードコア層が、前側のカバーシートと後側のカバーシートとの間における水およびスタッコを含む水性スラリーの凝結から生じる点で、共通する。 (サ)甲1発明の「硫酸カルシウムアルファまたはベータ半水和物」は、本件発明1の「硫酸カルシウム半水和物」に相当する。 (シ)上記(ア)~(サ)を踏まえると、本件発明1と甲1発明とは、次の一致点において一致する。 <一致点> 石膏ボードであって、 凝結石膏を含むボードコア層、 外面および内面を有し、前記内面が前記ボードコア層の第1の面に接触する前側のカバーシート、および 外面および内面を有し、前記内面が前記ボードコア層の第2の面に接触する有孔の後側のカバーシートを含み、 前記ボードコア層は、前記前側のカバーシートと前記後側のカバーシートとの間に配置されており、前記後側のカバーシートは、これを貫通した複数の孔を含み、前記前側のカバーシートは、複数の孔を含まず、 前記ボードコア層は、前記前側のカバーシートと前記後側のカバーシートとの間における水およびスタッコを含む水性スラリーの凝結から生じ、前記スタッコは硫酸カルシウム半水和物を含む、石膏ボード。 (ス)そして、本件発明1と甲1発明とは、次の相違点において相違する。 <相違点1> 前側のカバーシート及び後側のカバーシートが、本件発明1においては、「前側紙カバーシート」及び「後側紙カバーシート」であるのに対し、甲1発明においては、「第1のカバーシート27」及び「第2のカバーシート28」が紙カバーシートであるか否かが特定されていない点。 <相違点2> 水性スラリーが、本件発明1においては、「乾燥ベースにおける少なくとも80重量パーセントの前記硫酸カルシウム半水和物、1,000,000重量部の前記硫酸カルシウム半水和物あたり500重量部~1500重量部の塩化物アニオン、および0.7:1~1.2:1の、前記水と前記硫酸カルシウム半水和物との重量比における前記水を含」むのに対し、甲1発明では、そのように特定されていない点。 <相違点3> 後側のカバーシートが、本件発明1では「5孔/in2~50孔/in2の範囲の孔被覆密度を有する」のに対し、甲1発明では、そのように特定されていない点。 イ 新規性に関する判断 相違点2に係る本件発明1の構成は、甲1に開示されておらず、また、本件発明1は、相違点2に係る構成を有するとともに、後側紙カバーシートが、これを貫通した複数の孔を含むことで、高濃度の塩化物塩が存在する場合の、ボードコア層とカバーシートとの間の接着が改善するという効果を奏するから(本件明細書の【0001】、【0014】~【0015】等参照)、相違点2は実質的な相違点である。 したがって、相違点1、3について検討するまでもなく、本件発明1は甲1に記載された発明ではない。 ウ 進歩性に関する判断 事案に鑑みて、相違点2から検討する。 (ア)相違点2について a 上記1(2)ウに示した甲2記載の技術的事項の「ベータ硫酸カルシウム半水和物」、「水性スラリ」は、本件発明1の「硫酸カルシウム半水和物」、「水性スラリー」に相当する。また、甲2の「実験例10」において、「塩化物およびその塩類」または「塩化ナトリウム」を用いた「水性スラリ」が、塩化物アニオンを含むことは明らかである。 乾燥ベースにおける硫酸カルシウム半水和物の比率について、甲2記載の技術的事項に示される実験例5では、ベータ硫酸カルシウム半水和物が100重量%、他の成分のうち水以外を合計すると最大で3.64重量%であるから、ベータ硫酸カルシウム半水和物は、100/103.64で、最低でも乾燥ベースで96.5パーセント程度含まれているといえる。そして、実験例10では、トリメタフォスフェート・イオンおよび高塩化物塩類(スタッコ内に0.08~0.16重量%の塩化ナトリウム)のPFC1000スターチを用いた点を除き実験例5と同様であるから、実験例5と比較して、ベータ硫酸カルシウム半水和物以外の成分が若干増加した程度であり、ベータ硫酸カルシウム半水和物は、相違点2に係る本件発明1の構成と同様に、乾燥ベースで80パーセント以上含まれている蓋然性が高い。 また、塩化物アニオンの濃度について、甲2記載の技術的事項に示された「混合液内の硫酸カルシウム材の重量に対し少なくとも0.015重量%」の「塩化物」は、1,000,000重量部の硫酸カルシウム半水和物あたり150重量部以上の塩化物アニオンと換算でき、相違点2に係る本件発明1の数値範囲を含むところ、そのうち「表11で用いた」具体例の場合の「焼成石膏の重量に対」し「0.08~0.16重量%の塩化ナトリウム」は、塩化ナトリウムの分子量が約58.5、塩素の分子量が約35.5であることから、1,000,000重量部の硫酸カルシウム半水和物あたり約485~約971重量部の塩化物アニオンと換算でき、数値範囲の大部分が、相違点2に係る本件発明1の数値範囲と重複する。 また、水と硫酸カルシウム半水和物の重量比について、甲2記載の技術的事項に示される「ベータ硫酸カルシウム半水和物100重量%」、「水94-98重量%」より、0.94:1~0:96:1と認められ、相違点2に係る本件発明1の数値範囲に含まれる。 そうすると、甲2記載の技術的事項は、高い濃度の塩化物およびその塩類を含む水を用いた実験例10の表11で用いた具体例に着目すると、相違点2に係る本件発明1の構成を含む、または相違点2に係る本件発明1の構成と一部重複する構成を開示しているといえる。 しかしながら、甲2記載の技術的事項は、永久変形に対する抗力を増加する改良材としてトリメタフォスフェート・イオンを用いる固化製品について、硫酸カルシウム材自体内の、あるいは混合液内に使用される水(例えば海水やブラインを含む内層面水)内の不純物として塩化物イオン或いはその塩類を含むものが使用できることを示すものである。 そうすると、甲2記載の技術的事項は、改良材を用いず、また塩化物について特定のない甲1発明において、塩化ナトリウムを含む各成分の成分比を甲2の実験例10及び表11の成分比とすることを、示唆するものではない。 また、甲2記載の技術的事項に示される実験例10及び表11の塩化ナトリウム濃度は、トリメタフォスフェート・イオンを用いて問題を改善することを前提として、その効果を示すために設定されたものと解されるから、この塩化ナトリウム濃度が、甲1発明のような石膏ボードを形成する際に用いる硫酸カルシウム材または水が有する一般的な塩化ナトリウム濃度であるとも認められない。 したがって、甲2記載の技術的事項は、甲1発明において、相違点2に係る本件発明1の構成とすることを示唆するものではない。 b 上記1(3)イに示した甲3記載の技術的事項の「焼石膏(半水石膏)」、「スラリー」は、本件発明1の「硫酸カルシウム半水和物」、「水性スラリー」に相当する。 甲3記載の技術的事項は、スラリーの調製に用いる焼石膏について、水可溶性のカリウム塩、ナトリウム塩及びマグネシウム塩の合計含有量がそれらの酸化物(K2O、Na2O及びMgO)換算で500mg/kg以上の石膏、例えば500~2500mg/kgの石膏を原料として用いることを示しているから、塩の含有量が高めのスラリーを用いるものといえる。 しかしながら、甲3記載の技術的事項は、カリウム塩、ナトリウム塩及びマグネシウム塩が塩化物塩ではないから、相違点2に係る本件発明1の構成のように、スラリーが塩化物アニオンを含むことを特定するものではない。 仮に、上記の塩が塩化物塩であるとしても、甲3記載の技術的事項は、焼石膏に所定量のセメントを混合して用いることを前提として、その効果が顕著に発現する塩含有量を示すものであって、甲1発明のスラリーにおける塩化物アニオンの濃度を示唆するものとはいえない。 したがって、甲3記載の技術的事項は、甲1発明において、相違点2に係る本件発明1の構成とすることを示唆するものではない。 c 上記a、bを踏まえると、甲2記載の技術的事項及び甲3記載の技術的事項は、多量の塩を含む石膏を石膏ボードに用いることを示唆しているものの、塩化物アニオンの濃度についての周知技術や技術常識を示すものと解することはできず、甲1発明の水性スラリーにおける塩化物アニオンの濃度を示唆しているとはいえない。 また、他に、相違点2に係る本件発明1の構成が出願時の技術常識であると解するべき事情もない。 d 甲4には、上記1(4)イに示した技術的事項が記載されているが、水性スラリーの成分を示すものではない。 したがって、甲4記載の技術的事項は、甲1発明において、相違点2に係る本件発明1の構成とすることを示唆するものではない。 e 上記a~dより、甲1発明において、相違点2に係る本件発明1の構成とすることは、甲2~4記載の技術的事項を考慮しても、当業者が容易に想到し得たことではない。 そのため、その他の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は、甲1発明及び甲2~甲4に記載される事項に基づいて、当業者が容易に発明できたものではない。 エ 申立人の主張について (ア)申立人の主張 申立人は、申立書において、上記相違点2に関し、次の主張をしている。 「・構成要件(C)について ・・・ しかしながら、例えば甲第2号証の甲2-2には、乾燥ベースにおいて、硫酸カルシウム半水和物の含有割合を少なくとも98重量%程度とした例が開示されている。・・・ また、甲第3号証の甲3-4、甲3-5には、乾燥ベースにおいて、硫酸カルシウム半水和物の含有割合を100重量%程度とした例も開示されている。 従って、石膏ボードを製造する際の石膏スラリーにおいて、乾燥ベースにおける硫酸カルシウム半水和物の含有割合を80重量パーセント以上とすることは、本件特許の優先日前、既に周知慣用の技術であり、甲第1号証においても乾燥ベースにおける硫酸カルシウム半水和物の含有割合は80重量パーセント以上であるといえる。また、仮に相違していたとしても、上記周知慣用の技術に基づいて、甲第1号証に記載された発明において、乾燥ベースにおける硫酸カルシウム半水和物の含有割合は80重量パーセント以上とすることは、当業者であれば容易に想到し得たことである。 ・構成要件(D)、構成要件(E)について ・・・ しかしながら、例えば甲第2号証の甲2-1には、硫酸カルシウム材の重量に対して少なくとも0.015重量%の割合で塩化物およびその塩類を含む水との混合液から作成された石膏を含む硬化製品が開示されている。また、甲2-2には、3.0Kgのベータ硫酸カルシウム半水和物に対して、3リットルの水道水を添加して石膏スラリーを調製したこと、すなわち水と硫酸カルシウム半水和物との重量比が1:1の例も開示されている。 また、甲第3号証の甲3-1、甲3-2、甲3-3、甲3-4には、石膏ボード製造用の石膏スラリーに用いる焼石膏として、水可溶性のカリウム塩、ナトリウム塩及びマグネシウム塩の合計含有量がそれらの酸化物(K2O、Na2O及びMgO)換算で500mg/kg以上の石膏、例えば500~2500mg/kgの石膏を用いることが開示されている。また、甲3-4、甲3-5には、焼石膏200質量部に水を170質量部の割合で混合してスラリーを調製すること、すなわち、水と硫酸カルシウム半水和物との重量比が0.85:1の例も開示されている。 従って、石膏ボードを製造する際の石膏スラリーについて、1,000,000重量部の前記硫酸カルシウム半水和物あたり500重量部~1500重量部の塩化物アニオン、および0.7:1~1.2:1の、水と硫酸カルシウム半水和物との重量比における水を含む構成とすることは、本件特許の優先日前、既に周知慣用の技術であり、甲第1号証においても石膏スラリーについて、塩化物アニオンの含有割合や、水の含有割合は構成要件(D)、構成要件(E)を充足するものといえる。また、仮に相違していたとしても、上記周知慣用の技術に基づいて、甲1号証に記載された発明において、石膏スラリーについて、塩化物アニオンの含有割合や、水の含有割合を本件特許発明と同じ範囲とすることは、当業者であれば容易に想到し得たことである。」(28頁11行~30頁3行) (イ)上記(ア)の主張に対する検討 上記ウに示したとおり、甲2及び甲3は、多量の塩を含む石膏を石膏ボードに用いることを示唆しているものの、甲3は塩化物アニオンについて記載されたものでなく、甲2も、塩化物について特定のない甲1において、相違点2に係る本件発明1の構成とすることが技術常識であることを示したり、相違点2に係る本件発明1の構成とすることを示唆するものではない。 そして、本件発明1は、水性スラリーが、乾燥ベースにおける少なくとも60重量パーセントの硫酸カルシウム半水和物、1,000,000重量部の硫酸カルシウム半水和物あたり約500ppm~約3000ppmの塩化物アニオン、および0.7:1~1.2:1の、水と硫酸カルシウム半水和物との重量比における水を含み、後側紙カバーシートが、これを貫通した複数の孔を含むことで、高濃度の塩化物塩が存在する場合の、ボードコア層とカバーシートとの間の接着が改善するという、甲1~甲4に開示されていない効果を奏すると理解できるから(本件明細書の【0001】、【0014】~【0015】等参照)、相違点2に係る本件発明1の構成は、当業者が適宜設定し得たものともいえない。 よって申立人の主張は採用できない。 オ 小括 以上のとおりであるから、本件発明1は、甲1に記載された発明ではなく、甲1発明及びその他の証拠に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (2)本件発明2~12について 本件発明2~12は、本件発明1の構成をすべて含み、さらに減縮したものであるから、上記(1)と同様の理由により、甲1に記載された発明ではなく、甲1発明及びその他の証拠に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 3 特許法第36条第6項第1号(サポート要件)について (1)申立人の具体的主張 申立人は、申立書において、サポート要件違反に関し、概略次の主張をしている。 本件特許発明の課題は、「発明は、かなりの量の外来塩、特に塩化物塩、より具体的にはNaCl、KCl、MgCl2および/またはCaCl2が存在する場合でさえ、ボードコア層と、1つ以上のカバーシート、特に後側紙カバーシートとの間に著しい接着を有する石膏ボード」([0014])を提供することにあると解される。 これに対して、本件特許発明1は、所定の組成の水性スラリーから形成されたボードコア層がカバーシート間に配置され、後側紙カバーシートに所定の密度で孔が設けられていれば、その孔のサイズや、カバーシートの材質等によりあらゆる場合をも包含する。 しかしながら、本件特許明細書には、塩化物塩等の外来塩を含有する水性スラリーを用いて石膏ボードを製造する場合に、後側紙カバーシートに孔を設けることと、ボードコア層と、後側紙カバーシートとの間に著しい接着を有する石膏ボードが得られることとの関係性については具体的に説明されていない。また、本件特許の優先日前の技術常識とも認められない。 本件特許明細書には実施例が開示されているものの、カバーシートとして所定の紙を用いた場合に、孔の直径が0.01~0.02インチ、隣接する孔の間の距離が1/4インチの例が開示されているのみである。 そうすると、上記実施例と大きくかけ離れた孔のサイズ、孔間の距離、紙の材質の場合に、本件特許発明の課題を解決できるのかは明らかではない。 そうすると、孔の直径や、隣接する孔の間の距離、紙の材質についてあらゆる場合をも包含する本件特許発明1は、本件明細書や、本件特許の優先日前の技術常識に照らしても、発明の課題が解決できることを当業者が認識できるように記載された範囲を超えており、本件特許発明1はサポート要件を充足しない。(46頁11行~48頁1行) (2)判断基準 特許請求の範囲の記載がサポート要件に適合するか否かは、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを対比し、特許請求の範囲に記載された発明が、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載又はその示唆により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲内のものであるか否か、また、その記載や示唆がなくとも、当業者が出願時の技術常識に照らし、当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否かを検討して判断すべきものである。 (3)本件明細書の記載 本件特許の願書に添付された明細書(以下、「本件明細書」という。)の発明の詳細な説明には、次の記載がある(下線は、当審において付した。) ア 「【技術分野】 【0001】 本発明は、合成石膏、および高塩化物塩濃度を有する他の石膏源から形成された石膏ボードに関する。本発明はまた、有孔後側カバーシートを備えない石膏ボードと比較して、後側カバーシートへのボードコア層(石膏コア)の接着を改善するために少なくとも有孔後側カバーシートを備える石膏ボードを調製する方法、および石膏ボードを使用するための壁システムを提供する。」 イ 「【0012】 ・・・低品質の合成石膏は、発電所やその他の代替源から入手できるが、この代替源からの石膏はしばしば、かなり高い濃度の外来塩、特にマグネシウムまたはナトリウム塩、特に塩化マグネシウムおよび塩化ナトリウムを含む。少量の塩化カリウムおよび塩化カルシウムも、代替源からの合成石膏に存在する場合がある。外来塩は、ボードコアと、カバーシート、特に後側紙カバーシートとの間の接着力を低下させる傾向があるため、問題となる可能性がある。」 ウ 「【0014】 本発明は、かなりの量の外来塩、特に塩化物塩、より具体的にはNaCl、KCL、MgCl2および/またはCaCl2が存在する場合でさえ、ボードコア層と、1つ以上のカバーシート、特に後側紙カバーシートとの間に著しい接着を有する石膏ボードに関する。塩含有石膏源、特に低品質の合成石膏から石膏ボードを製造するための方法が提供される。ボードコア層と後側カバーシートとの間の改善された接着は、後側カバーシート、特に後側紙カバーシートに複数の孔を導入することによって実現される場合がある。」 エ 「【0030】 驚くべきことに、石膏ボードの後側カバーシートの孔は、大量の外来塩を含むボードコア層への接着を改善する場合がある。・・・ 【0031】 理論またはメカニズムに拘束されることなく、後側カバーシートにおける孔は、ボードコア層から放出された塩化物塩の外方への移動のための導管を提供すると考えられ、さもないと、塩化物塩は、ボードコア層とカバーシートとの間の界面において有害に凝集する。代わりに、孔が存在する場合、塩化物イオンおよびその対イオン(すなわち、Na+、K+、Mg2+および/またはCa2+)は、少なくとも部分的に功を通って移動し、潜在的に石膏ボード環境から出る場合がある。あるいは、塩は、後側カバーシートの外面における孔内または孔のすぐ外側に析出する場合がある。孔の外側における塩析出により、紙とコアとの間の「正味の塩」が減少し、したがって、界面に存在する塩が少なくなり、紙対コアの良好な結合が生じる。いずれの場合も、ボードコア層とカバーシートの間の向上した接着が生じる場合がある。 【0032】 石膏ボードの後側カバーシートが本明細書に記載の形式で穿孔されている場合、石膏ボードは、同じであるが、カバーシートの孔を有さない石膏ボードと比較して、ボードコア層とカバーシートとの間の改善された接着から利益を得る場合がある。したがって、本発明は、ボードコア層にかなりの量の外来塩を含む石膏ボード、およびかなりの量の外来塩を含む石膏源を使用してそのような石膏ボードを製造するための方法を提供する。したがって、複数の孔を備える石膏ボードのカバーシートのうちの少なくとも一方、特に後側カバーシートの孔は、過剰な外来塩、特に塩化物塩を含有する低品質石膏源が、石膏ボードを形成する際に使用されることを許容する場合がある。そうでなければ、そのような石膏源は、ボードコア層とカバーシートとの間に十分な接着力を有する石膏ボードを形成するのに不適切である場合がある。有利には、本発明はこの問題に対処する。」 (4)判断 ア 解決しようとする課題 上記(3)ア~ウに示した本件明細書の記載より、本件明細書において解決しようとする課題は、高濃度の塩化物塩が存在する場合の、ボードコア層とカバーシートとの間の接着を改善することであると認められる。 イ 上記(3)エに示した本件明細書の記載より、後側カバーシートが孔を有することにより、塩化物イオンおよびその対イオンが孔を通って外方へ移動し、また、孔内または孔の外側に塩が析出することで紙とコアとの間の界面に存在する塩が少なくなり、ボードコア層とカバーシートの間の接着が向上することが、理解される。 そうすると、本件発明1は、「後側紙カバーシート」が、「これを貫通した複数の孔を含」むことにより、ボードコア層とカバーシートとの間の接着を改善するという課題を解決するものであると、本件明細書の記載から合理的に理解されるものである。 したがって、本件発明1は、特許法36条6項1号に規定するサポート要件を満たすものである。 (5)小括 以上のとおりであるから、本件発明1は、発明の詳細な説明に記載された発明である。本件発明1を引用する本件発明2~12も、発明の詳細な説明に記載された発明である。 4 特許法第36条第6項第2号(明確性要件)について (1)申立人の具体的主張 申立人は、申立書において、明確性要件違反に関し、概略次の主張をしている。 本件発明12の「孔は、前記後側紙カバーシートの表面の0.5~5%である」という規定は、後側紙カバーシートの表面に対する、孔の何らかの割合を規定しているものと解されるが、孔の「個数」、「面積」等のいずれの割合を意味しているのかが明らかではない。 本件特許明細書においても、「通常、孔は、後側カバーシートの表面の0.1~10%、より通常は0.5~5%である。」([0087])のように記載されているに過ぎず、その割合が意味するところは明らかではない。 そうすると、「孔は、前記後側紙カバーシートの表面の0.5~5%である」との規定は、何の割合を意味しているのかが明らかではなく、不明確である。(48頁8行~20行) (2)判断基準 特許を受けようとする発明が明確であるかは、特許請求の範囲の記載だけではなく、願書に添付した明細書の記載及び図面を考慮し、また、当業者の出願時における技術常識を基礎として、特許請求の範囲の記載が、第三者の利益が不当に害されるほどに不明確であるか否かという観点から判断されるべきである。 (3)判断 「後側紙カバーシートの表面」は所定の面積を有し、その一部の面積を「孔」が占めることは明らかであるから、本件発明12の「孔は、前記後側紙カバーシートの表面の0.5~5%である」という記載は、「後側紙カバーシートの表面」の面積に対する、「孔」の面積の割合を示していると解され、個数等の、面積以外の割合を指すと解釈すべき事情は見当たらない。 したがって、本件発明12の上記記載が、第三者の利益が不当に害されるほどに不明確であるとはいえない。 (4)小括 以上のとおりであるから、本件発明12は明確である。 第5 むすび 以上のとおりであるから、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、本件特許の請求項1~12に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に本件特許の請求項1~12に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2025-700080

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