特許異議申立
2024-701060
ウエハ載置台
- 審判番号
- 2024-701060
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2023-514948
- 登録番号
- 7478905
- 請求日
- 2024年10月30日
- 審決日
- 2025年08月06日
- 公報発行日
- 2025年11月28日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】日本碍子株式会社
- 【権利者代理人】弁理士法人アイテック国際特許事務所
- 【異議申立人】小澤 一三
- 審判長/審判官
- 審判長 小宮 慎司
- 審判官 梶尾 誠哉
- 審判官 中野 浩昌
- 分類
- P1652.113-YAA(H01L) / P1652.121-YAA(H01L)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第120条の5第9項、特許法第29条、特許法第120条の5第2項、特許法第120条の5第4項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7478905号発明「ウエハ載置台」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7478905号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1、〔2~5〕について訂正することを認める。
特許第7478905号の請求項1に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7478905号(以下「本件特許」という。)の請求項1~5に係る特許についての出願は、令和4年8月10日を国際出願日とする出願であって、令和6年4月24日にその特許権の設定登録がされ、同年5月7日に特許掲載公報が発行された。
本件特許についての特許異議申立人 小澤一三(以下「異議申立人」という。)による特許異議の申立ての経緯の概略は、次のとおりである。
令和6年10月30日 :特許異議の申立て(請求項1)
7年 2月12日付け:取消理由通知
同年 4月14日 :特許権者による意見書の提出、訂正請求
同年 5月12日付け:訂正請求に係る請求書に対する手続補正指令書(方式)
同年 5月23日 :手続補正書(方式)
同年 7月 2日 :異議申立人による意見書の提出
第2 訂正の適否についての判断
1 訂正の内容
令和7年4月14日の訂正請求(以下「本件訂正請求」という。)は、本件特許の特許請求の範囲を訂正請求書に添付した特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~5について訂正することを求めるものであり、訂正の内容は、以下の訂正事項1及び2のとおりである(各訂正事項中の下線は、訂正箇所を示す。)。
また、本件訂正請求のうち、訂正事項1及び2に係る訂正前の請求項1~5について、訂正前の請求項2~5はそれぞれ直接的又は間接的に請求項1を引用しているから、訂正前の請求項1~5に対応する訂正後の請求項1~5は、特許法120条の5第4項に規定する一群の請求項である。
そして、特許権者は、訂正後の請求項2~5について、当該請求項についての訂正が認められる場合には、一群の請求項の他の請求項(請求項1)とは別途訂正することを求めている。
(1) 訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に「前記ジャンパ層のそれぞれにおける前記内部ビアと前記給電ビアとの中心間距離は50mm以上である、ウエハ載置台。」と記載されているのを、「前記ジャンパ層のそれぞれにおける前記内部ビアと前記給電ビアとの中心間距離は50mm以上であり、前記抵抗発熱体の他端は、前記抵抗発熱体とは別の層に前記ジャンパ層とは別に設けられた平面形状の他のジャンパ層に接続される、ウエハ載置台。」に訂正する。
(2) 訂正事項2
特許請求の範囲の請求項2に「前記ジャンパ層のそれぞれにおいて前記内部ビアと前記給電ビアとの間には前記内部ビアと前記給電ビアとの最短ルートを遮る高抵抗領域が設けられている、請求項1に記載のウエハ載置台。」と記載されているのを、「ウエハ載置面を有するセラミック基材と、前記セラミック基材に埋設された抵抗発熱体と、前記抵抗発熱体とは別の層に設けられた平面形状のジャンパ層と、前記ジャンパ層と前記抵抗発熱体の一端とを接続する内部ビアと、前記ジャンパ層に接続された給電ビアと、を備え、前記抵抗発熱体は、前記ウエハ載置面と平行な面に設けられた複数のゾーンのそれぞれに対応して設けられ、前記ジャンパ層は、前記抵抗発熱体のそれぞれに対応して形成され、前記ジャンパ層のそれぞれにおける前記内部ビアと前記給電ビアとの中心間距離は50mm以上であり、前記ジャンパ層のそれぞれにおいて前記内部ビアと前記給電ビアとの間には前記内部ビアと前記給電ビアとの最短ルートを遮る高抵抗領域が設けられている、ウエハ載置台。」に訂正する。
(請求項2の記載を引用する請求項3~5も同様に訂正する。)
2 訂正の適否についての判断
(1) 訂正事項1(請求項1に係る訂正)について
ア 訂正の目的
訂正事項1は、訂正前の請求項1の「抵抗発熱体」について、「前記抵抗発熱体の他端は、前記抵抗発熱体とは別の層に前記ジャンパ層とは別に設けられた平面形状の他のジャンパ層に接続される」と限定するものであるから、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正であるか
訂正事項1は、「抵抗発熱体」について、「前記抵抗発熱体の他端は、前記抵抗発熱体とは別の層に前記ジャンパ層とは別に設けられた平面形状の他のジャンパ層に接続される」と限定するものであって、カテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法120条の5第9項で準用する同法126条6項に適合する。
ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であるか
願書に添付した明細書(以下「願書に添付した特許請求の範囲又は図面」を含め、「本件明細書等」という。)の【0017】には、「ヒータ電極30は、第3セラミック層23の上面に設けられている。」、【0018】には、「上方ジャンパ層40は、平面形状であり、第2セラミック層22の上面に設けられている。・・・上方ジャンパ層40は、対応するヒータ電極30の外周端32と導電性の内部ビア42を介して接続されている。」、【0019】には、「下方ジャンパ層50は、平面形状であり、第1セラミック層21の上面に設けられている。・・・下方ジャンパ層50は、対応するヒータ電極30の中心端34と導電性の内部ビア54を介して接続されている。」と記載されている。
また、本件明細書等における「第3セラミック層23の上面に設けられている」「ヒータ電極30」は、請求項1の「抵抗発熱体」のことであり、本件明細書等における「第2セラミック層22の上面に設けられている」「上方ジャンパ層40」と「第1セラミック層21の上面に設けられている」「下方ジャンパ層50」は、いずれも請求項1の「ジャンパ層」のことである。
そして、「上方ジャンパ層40」が接続されている「ヒータ電極の外周端32」が請求項1の「抵抗発熱体の一端」であれば、「下方ジャンパ層50」が接続されている「ヒータ電極30の中心端34」は請求項1の「抵抗発熱体の他端」であり、逆に、「上方ジャンパ層40」が接続されている「ヒータ電極の外周端32」が請求項1の「抵抗発熱体の他端」であれば、「下方ジャンパ層50」が接続されている「ヒータ電極30の中心端34」は請求項1の「抵抗発熱体の一端」である。
そうすると、訂正事項1において、「前記抵抗発熱体の他端は、前記抵抗発熱体とは別の層に前記ジャンパ層とは別に設けられた平面形状の他のジャンパ層に接続される」とする訂正は、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではなく、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてする訂正である。
したがって、訂正事項1は、特許法第120条の5第9項で準用する同法126条5項に適合する。
エ 特許出願の際に独立して特許を受けることができるか
本件においては、訂正前の請求項1について特許異議の申立てがされているので、訂正前の請求項1に係る訂正事項1に関して、特許法120条の5第9項で読み替えて準用する同法126条7項の独立特許要件は課されない。
(2) 訂正事項2(請求項2~5に係る訂正)について
ア 訂正の目的
訂正事項2は、訂正前の請求項2が請求項1を引用する記載であるところ、訂正前の請求項1の記載を請求項2の記載に明示的に記載するように訂正するものであるから、訂正事項2は、特許法120条の5第2項ただし書4号に掲げる他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものに該当する。
イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正であるか
訂正事項2は、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものであって、カテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法120条の5第9項で準用する同法126条6項に適合する。
ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であるか
訂正事項2は、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとするものであるから、訂正事項2に係る訂正は、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではなく、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてする訂正である。
したがって、訂正事項2は、願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内の訂正であるから、特許法120条の5第9項で準用する同法126条5項に適合する。
エ 特許出願の際に独立して特許を受けることができるか
訂正事項2は、特許法120条の5第2項ただし書4号に規定する「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とする訂正であって、同1号又は2号に掲げる事項を目的とする訂正ではないから、請求項2に係る訂正事項2に関して、特許法120条の5第9項で読み替えて準用する同法126条7項の独立特許要件は課されない。
3 小括
以上のとおり、本件訂正請求による訂正は適法にされたものであるから、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~5について訂正することを認める。
なお、訂正後の請求項2に係る訂正事項2は、引用関係の解消を目的とする訂正であって、その訂正は認められるものである。そして、特許権者から、訂正後の請求項2~5について訂正が認められる場合には、請求項1とは別の訂正単位として扱われることの求めがあったことから、訂正後の請求項1、〔2-5〕について訂正することを認める。
第3 訂正後の本件発明
本件訂正請求により訂正された請求項1~5に係る発明のうち、特許異議の申立ての対象となる請求項1に係る発明(以下「本件発明1」という。)は、訂正請求書に添付された特許請求の範囲の請求項1に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。なお、下線は、訂正箇所を示す。
「 ウエハ載置面を有するセラミック基材と、
前記セラミック基材に埋設された抵抗発熱体と、
前記抵抗発熱体とは別の層に設けられた平面形状のジャンパ層と、
前記ジャンパ層と前記抵抗発熱体の一端とを接続する内部ビアと、
前記ジャンパ層に接続された給電ビアと、
を備え、
前記抵抗発熱体は、前記ウエハ載置面と平行な面に設けられた複数のゾーンのそれぞれに対応して設けられ、
前記ジャンパ層は、前記抵抗発熱体のそれぞれに対応して形成され、
前記ジャンパ層のそれぞれにおける前記内部ビアと前記給電ビアとの中心間距離は50mm以上であり、
前記抵抗発熱体の他端は、前記抵抗発熱体とは別の層に前記ジャンパ層とは別に設けられた平面形状の他のジャンパ層に接続される、
ウエハ載置台。」
第4 取消理由通知に記載した取消理由について
1 取消理由の概要
訂正前の請求項1に係る特許に対して、令和7年2月12日付けで特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。
(新規性)本件特許の請求項1に係る発明は、本件特許出願前に日本国内において頒布された、異議申立人が提出した以下の甲第1号証(以下「甲1」という。)に記載された発明であって、特許法29条1項3号に該当するから、請求項1に係る特許は、特許法29条1項の規定に違反してされたものである。
(進歩性)本件特許の請求項1に係る発明は、本件特許出願前に日本国内において頒布された、甲1に記載された発明に基づいて、あるいは、甲1に記載された発明及び異議申立人が提出した以下の甲第2号証(以下「甲2」という。)に記載された事項に基づいて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1に係る特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものである。
甲1:国際公開第2018/179891号
甲2:特開2015-18704号公報
2 甲号証の記載、甲1発明等
(1) 甲1の記載、甲1発明
ア 甲1の記載
(ア) 甲1には、次の事項が記載されている(下線は当審において加筆した。以下同じ。)。
「図面の簡単な説明
[0006]・・・図4Aは、第2実施形態のウエハ保持体の更に他の代替例の模式的な縦断面図である。図4Bは、図4Aのセラミック基部をA3-A3及びB3-B3で切断したときの矢視図である。・・・」
「発明を実施するための形態
[0007] ・・・
[0008] そこで、RF電極や抵抗発熱体等の端子部、及びそれらに接続される給電線を上記筒状支持部の内側に収納すると共に、該筒状支持部の両端部をそれぞれセラミック基部の下面及びチャンバーの床面に気密シールすることが一般的に行われている。かかる構造により上記端子部が腐食により破損するのを防ぐことができるが、セラミック基部の下面のうち筒状支持部が取り付けられる中央部に端子部を配置することが必要になる。その結果、セラミック基部内においてウエハ載置面に平行な面内にほぼ全面に亘って敷き詰められているRF電極や抵抗発熱体等に対して中央部の端子部から給電するので、当該端子部とRF電極や抵抗発熱体等との接続部に過度の電気的な負荷がかかりやすくなり、セラミック基部の当該接続部において局所的な過熱が生じてウエハ載置面の均熱性が低下したり、セラミック基部自体が破損したりすることがあった。」
「[0014] 次に、図1A、図1Bを参照しながら第1実施形態のウエハ保持体について説明する。図1Aに示す第1実施形態のウエハ保持体10は、半導体ウエハに対してプラズマCVDなどのプラズマ雰囲気下での薄膜処理が行われる図示しないチャンバー内に搭載されるものである。ウエハ保持体10は、ウエハ載置面11aを上面に備えた円板形状のセラミック基部11と、セラミック基部11をセラミック基部11の下面中央部から支持する円筒形状の筒状支持部12とを有する。・・・」
「[0018] 引出部15の中央部には金属製の1個の電極端子部17が接続されている。電極端子部17の先端部は、セラミック基部11の下面中央部において突出している。つまり電極端子部17の一部はセラミック基部11の下面側から突出している。これにより、電極端子部17及び電極端子部17に接続される給電線(図示せず)を筒状支持部12の内側に収容することができる。・・・」
「[0026] あるいは図4A、図4Bに示す第2実施形態の他の代替例のように、ウエハ載置面をその中心を通る直線で2分割した2ゾーンに2組の同形状の導電部材をそれぞれ埋設した構造でもよい。すなわち、図4Aに示すセラミック基部221の内部には、RF電極としての2組の導電部材223A、223Bが埋没されている。
[0027] 1組目の導電部材223Aは、ウエハ載置面221aに対して平行な回路部224Aと、該ウエハ載置面221aに対して平行で且つ回路部224Aとはセラミック基部板221(当審注:「セラミック基部板221」は、上記[00026]に記載の「セラミック基部221」の誤記であるといえるから、以下、「セラミック基部221」と表記する。)の厚み方向に離間する引出部225Aと、これら回路部224Aと引出部225Aとを互いに電気的に接続する2個の接続部226Aとで構成されている。つまり、セラミック基部221は、ウエハ載置面221aと反対の方向に回路部224Aと離間して設けられた引出部225Aを有している。2組目の導電部材223Bも上記1組目と同様にウエハ載置面221aに対して平行な回路部224Bと、該ウエハ載置面221aに対して平行で且つ回路部224Bとはセラミック基部221の厚み方向に離間する引出部225Bと、これら回路部224Bと引出部225Bとを互いに電気的に接続する2個の接続部226Bとで構成されている。つまり、セラミック基部221は、ウエハ載置面221aと反対の方向に回路部224Bと離間して設けられた引出部225Bを有している。
[0028] 図4Aのセラミック基部221をA3-A3及びB3-B3でそれぞれ切断したときの矢視図を示す図4Bから分かるように、ウエハ載置面221aに最も近い同じ層内に埋設されている回路部224Aと224Bは、セラミック基部221の中心部を通る直線で2分割した半円形状パターンを有している。また、セラミック基部221の下面側に近い同じ層内に埋設されている引出部225Aと225Bも、上記と同様に2分割した半円形状パターンを有している。回路部224Aと引出部225Aは、それらの外周部に位置する2個の接続部226Aで互いに電気的に接続されている。回路部224Bと引出部225Bも同様に2個の接続部226Bを介して互いに電気的に接続されている。・・・」
「[0036] 上記の第1~第3の実施形態では、いずれも回路部がRF電極であるとして説明を行った。しかし、本開示はこれに限定されるものではなく、回路部が抵抗発熱体であってもよい。また、導電部材が2組以上の場合は、それらのうちの1組がRF電極であり、残りが抵抗発熱体でもよい。例えば図8には、第2実施形態の2ゾーン構造において、セラミック基部421のウエハ載置面に最も近い同じ層内に回路部424A、424Bとして2個の発熱抵抗体が埋設されている例が示されている。
[0037] すなわち、セラミック基部421の内部には、ウエハ載置面をその中心を通る直線で2分割した略半円形状パターンの2ゾーンのそれぞれに、同心円状の湾曲部と直線部とが一筆書き状に連結した形状の回路パターンを有する回路部424A、424Bが埋設されている。そして、これら回路部はセラミック基部421の厚み方向に離間する半円形状パターンを有する引出部425A、425Bにそれぞれ接続部426A、426Bを介して電気的に接続している。つまり、セラミック基部421は、ウエハ載置面と反対の方向に回路部424A、424Bと離間して設けられた引出部425A、425Bを有している。引出部425A、425Bの各々は、図示しない電極端子部に電気的に接続しており、その先端部がセラミック基部421の下面中央部で突出している。尚、引出部425A、425Bにおいてウエハ載置面の中心部に対応する部分は、各抵抗発熱体の1対の電極のうちの一方に干渉しないように半円状に切り欠かれている。」
「実施例
[0039] ・・・得られた焼結体を、直径330mm、厚み8mmの円板状に加工した。このときの表面粗さはRaで0.8μm、平面度は50μmであった。
・・・
[0042] このようにして作製したセラミック基部11の下面側に、両端部にフランジ部を有する内径60mm、高さ150mm、肉厚2mmのAlN製の筒状支持部12の一端部をネジで接合した。・・・」
「[0044] 10、20、30 ウエハ保持体
・・・
12、22、32、222 筒状支持部
・・・
17、27A、27B、37B、227A、227B 電極端子部
37A 第2電極端子部」
「[図4A]
[図:0001429012000001.jpg]
[図4B]
[図:0001429012000002.jpg]
」
「[図8]
[図:0001429012000003.jpg]
」
(イ) 上記[0006]の「図4Aは、第2実施形態のウエハ保持体の更に他の代替例の模式的な縦断面図である。図4Bは、図4Aのセラミック基部をA3-A3及びB3-B3で切断したときの矢視図である。」との記載、第2の実施例の他の代替例に関する上記[0026]及び[0027]の「セラミック基部221」、「ウエハ載置面221a」との記載、上記[0044]の「222 筒状支持部」との記載を参酌すると、上記[図4A]及び[図4B]には、ウエハ保持体が、ウエハ載置面221aを上面に備えた円板形状のセラミック基部221と、セラミック基部221をセラミック基部221の下面中央部から支持する筒状支持部222とを有することが看取できる。
(ウ) 上記[0026]によれば、セラミック基部221は、ウエハ載置面をその中心を通る直線で2分割した2ゾーンに、2組の同形状の導電部材をそれぞれ埋設した構造でもよく、セラミック基部221の内部には、2組の導電部材223A及び223Bが埋没されている。
また、上記[0027]によれば、導電部材223A及び223Bは、それぞれ、回路部224A及び224B、引出部225A及び225B、接続部226A及び226Bとで構成されている。
(エ) 上記[0027]及び[0028]によれば、セラミック基部221には、ウエハ載置面221aに最も近い同じ層内に、ウエハ載置面221aに対して平行な回路部224A及び224Bが埋設され、セラミック基部221の下面側に近い同じ層内に、ウエハ載置面221aに対して平行な引出部225A及び225Bが埋設されている。
また、上記[0028]によれば、回路部224A及び224Bは、セラミック基部221の中心部を通る直線で2分割した半円形状パターンを有し、引出部225A及び225Bも、同様に2分割した半円形状パターンを有している。
さらに、上記[0028]によれば、回路部224A及び引出部225Aは、それらの外周部に位置する2個の接続部226Aで互いに電気的に接続され、回路部224B及び引出部225Bも同様に2個の接続部226Bを介して互いに電気的に接続されている。
(オ) 上記[0044]の「222 筒状支持部」、「227A、227B 電極端子部」との記載を参酌すると、上記[図4A]には、筒状支持部222の内側に、電極端子部227A及び227Bが収容されていることが看取できる。
また、第1の実施形態のウエハ保持体に関する上記[0018]の「引出部15の中央部には金属製の1個の電極端子部17が接続されている。電極端子部17の先端部は、セラミック基部11の下面中央部において突出している。つまり電極端子部17の一部はセラミック基部11の下面側から突出している。これにより、電極端子部17及び電極端子部17に接続される給電線(図示せず)を筒状支持部12の内側に収容することができる。」との記載によれば、第2実施形態のウエハ保持体の更に他の代替例においても、電極端子部227A及び227Bは、引出部15225A及び225Bと給電線に接続されるものであるといえる。
(カ) 上記[0036]によれば、回路部は、抵抗発熱体であってもよい。
また、上記[0036]及び[0037]によれば、回路部が抵抗発熱体の場合、セラミック基部421の内部には、ウエハ載置面をその中心を通る直線で2分割した略半円形状パターンの2ゾーンのそれぞれに、同心円状の湾曲部と直線部とが一筆書き状に連結した形状の回路パターンを有する回路部(抵抗発熱体)424A、424Bが埋設され、これら抵抗発熱体はセラミック基部421の厚み方向に離間する半円形状パターンを有する引出部425A、425Bにそれぞれ接続部426A、426Bを介して電気的に接続され、引出部425A、425Bの各々は、電極端子部に電気的に接続しており、その先端部がセラミック基部421の下面中央部で突出している。
(キ) 実施例の記載である上記[0039]~[0042]によれば、セラミック基部11は、直径330mmの円板状であるといえるから、第2実施形態のウエハ保持体の更に他の代替例におけるセラミック基部221も、直径330mmの円板状であるといえる。
また、上記[0042]によれば、筒状支持部12は、内径60mm、肉厚2mmであるから、第2実施形態のウエハ保持体の更に他の代替例における筒状支持部222も、内径60mm、肉厚2mmであるといえる。
イ 甲1発明
上記アによれば、甲1には、次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されている。
[甲1発明]
「 ウエハ載置面221aを上面に備えた円板形状のセラミック基部221と、セラミック基部221をセラミック基部221の下面中央部から支持する円筒形状の筒状支持部222とを有するウエハ保持体10において、
セラミック基部221は、
ウエハ載置面をその中心を通る直線で2分割した2ゾーンに、2組の同形状の導電部材をそれぞれ埋設した構造であって、セラミック基部221の内部には、2組の導電部材223A及び223Bが埋没されており、
導電部材223A及び223Bは、それぞれ、回路部224A及び224B、引出部225A及び225B、接続部226A及び226Bとで構成され、
ウエハ載置面221aに最も近い同じ層内に、ウエハ載置面221aに対して平行な回路部224A及び224Bが埋設され、セラミック基部221の下面側に近い同じ層内に、ウエハ載置面221aに対して平行な引出部225A及び225Bが埋設されており、
回路部224A及び224Bは、セラミック基部221の中心部を通る直線で2分割した半円形状パターンを有し、引出部225A及び225Bも、同様に2分割した半円形状パターンを有しており、
回路部224A及び引出部225Aは、それらの外周部に位置する2個の接続部226Aで互いに電気的に接続され、回路部224B及び引出部225Bも同様に2個の接続部226Bを介して互いに電気的に接続されており、
筒状支持部222の内側に、引出部225A及び225Bと給電線に接続される電極端子部227A及び227Bが収容されており、
セラミック基部221に埋設された回路部224A及び224Bは、抵抗発熱体であってもよく、
回路部が抵抗発熱体の場合、セラミック基部421の内部には、ウエハ載置面をその中心を通る直線で2分割した略半円形状パターンの2ゾーンのそれぞれに、同心円状の湾曲部と直線部とが一筆書き状に連結した形状の回路パターンを有する抵抗発熱体424A、424Bが埋設され、これら抵抗発熱体はセラミック基部421の厚み方向に離間する半円形状パターンを有する引出部425A、425Bにそれぞれ接続部426A、426Bを介して電気的に接続され、引出部425A、425Bの各々は、電極端子部に電気的に接続しており、その先端部がセラミック基部421の下面中央部で突出しており、
セラミック基部221は、直径330mmの円板状であり、筒状支持部222は、内径60mm、肉厚2mmである、
ウエハ保持体10。」
(2) 甲2の記載、甲2記載事項
ア 甲2の記載
甲2には、次の事項が記載されている。
「【0013】
セラミックヒータ10は、セラミック基体12と、内周側抵抗発熱体20と、外周側抵抗発熱体24とを備えている。
【0014】
セラミック基体12は、セラミック(例えばアルミナセラミックや窒化アルミセラミック)で作製された円盤状の部材である。このセラミック基体12の上面は、ウエハを載置するウエハ載置面12aであり、セラミック基体12の下面は、冷却板40(図3参照)と接合する冷却板接合面12bである。」
「【0016】
外周側抵抗発熱体24は、セラミック基体12の外周側の領域16に埋設されている。ここで、外周側の領域16は、図1中、内周ラインLinよりも外側で外周ラインLoutよりも内側の環状領域のことをいう。この外周側抵抗発熱体24は、一端24aから他端24bまでを一筆書きの要領で外周側の領域16の全域に行き渡るように、且つ、内周側抵抗発熱体20と同一の平面P1上に配線されている。また、外周側抵抗発熱体24の一端24aと他端24bは、それぞれセラミック基体12の厚み方向に延びる一対の接続端子26a,26bが接続されている。一対の外周側給電端子28a,28bは、内周側の領域14の中央付近にてセラミック基体12の厚み方向に沿う形状に設けられ、下端がセラミック基体12の冷却板接合面12bから外部へ露出している。第1及び第2の導電面30a,30bは、内周側抵抗発熱体20とオーバーラップするように、内周側及び外周側抵抗発熱体20,24が形成された平面P1とは別の平面P2にそれぞれ独立して埋設されている。平面P2は、平面P1とウエハ載置面12aとの間に位置している。そして、外周側抵抗発熱体24の一端24aは、接続端子26a及び第1の導電面30aを介して外周側給電端子28aに接続され、外周側抵抗発熱体24の他端24bは、接続端子26b及び第2の導電面30bを介して外周側給電端子28bに接続されている。このため、一対の外周側給電端子28a,28bへ電力を供給すると、外周側抵抗発熱体24に電流が流れて外周側抵抗発熱体24が発熱する。」
「【0029】
実施例として、アルミナセラミック製のセラミック基体12に、WCとアルミナとの混合物からなる内周側抵抗発熱体20、外周側抵抗発熱体24、各給電端子22a,22b,28a,28b、各接続端子26a,26b、各導電面30a,30bを埋設したセラミックヒータ10を作製した。セラミック基体12のサイズは、直径300mm、厚さ5mmとした。また、内周側の領域14は、セラミック基体12と同じ中心を持つ直径240mmの円形領域とし、外周側の領域16は、セラミック基体12と同じ中心を持つ直径296mmの円と直径240mmの円に囲まれた環状領域とした。冷却板40として、アルミニウム製のプレートを使用した。冷却板40のサイズは、直径320mm、厚さ18mmとした。接着層42として、厚さ0.3mmの絶縁性のシリコーン樹脂層を使用した。」
「【図1】
[図:0001429012000004.jpg]
【図2】
[図:0001429012000005.jpg]
」
イ 甲2記載事項
上記アによれば、甲2には、次の技術事項(以下「甲2記載事項」という。)が記載されている。
[甲2記載事項]
「セラミック基体12と、内周側抵抗発熱体20と、外周側抵抗発熱体24とを備えるセラミックヒータ10において、
セラミック基体12の上面は、ウエハを載置するウエハ載置面12aであり、
外周側抵抗発熱体24は、セラミック基体12の外周側の領域16に埋設され、
外周側抵抗発熱体24の一端24aと他端24bは、それぞれセラミック基体12の厚み方向に延びる一対の接続端子26a,26bが接続され、
一対の外周側給電端子28a,28bは、内周側の領域14の中央付近にてセラミック基体12の厚み方向に沿う形状に設けられ、
外周側抵抗発熱体24の一端24aは、接続端子26a及び第1の導電面30aを介して外周側給電端子28aに接続され、外周側抵抗発熱体24の他端24bは、接続端子26b及び第2の導電面30bを介して外周側給電端子28bに接続され、
セラミック基体12のサイズは、直径300mmであり、内周側の領域14は、セラミック基体12と同じ中心を持つ直径240mmの円形領域とし、外周側の領域16は、セラミック基体12と同じ中心を持つ直径296mmの円と直径240mmの円に囲まれた環状領域である、
セラミックヒータ10。」
3 対比
本件発明1と、甲1発明とを対比する。
(1) 甲1発明の「ウエハ保持体10」は、「ウエハ載置面221aを上面に備えた円板形状のセラミック基部221」を有するから、本件発明1の「ウエハ載置台」に相当する。
(2) 甲1発明の「ウエハ載置面221a」及び「セラミック基部221」は、それぞれ、本件発明1の「ウエハ載置面」及び「セラミック基材」に相当する。
(3) 甲1発明では、「回路部が抵抗発熱体の場合、セラミック基部421の内部には、ウエハ載置面をその中心を通る直線で2分割した略半円形状パターンの2ゾーンのそれぞれに、同心円状の湾曲部と直線部とが一筆書き状に連結した形状の回路パターンを有する抵抗発熱体424A、424Bが埋設」されているから、甲1発明は、「セラミック基部421」に埋設された「抵抗発熱体424A、424B」を備えている。
そうすると、本件発明1と甲1発明とは、「前記セラミック基材に埋設された抵抗発熱体」を備える点で一致する。
(4) 本件明細書の【0022】~【0027】のウエハ載置台10の製造例における、【0023】の「その後、そのセラミックグリーンシートGSの上面に下方ジャンパ層50と同じパターンとなるように導電ペーストを印刷して下方ジャンパ前駆体150を形成し、第1シート121を得る」との記載、【0027】の「そして、第1~第4シート121~124をこの順に下から積層して積層体110とする(図8C参照)。この積層体110を焼成することにより、ウエハ載置台10を得る。」との記載、及び、【0029】の「ここで、本実施形態の構成要素と本発明の構成要素との対応関係を明らかにする。本実施形態のセラミック基材20が本発明のセラミック基材に相当し、ヒータ電極30がヒータ電極に相当する。また、上方ジャンパ層40がジャンパ層に相当し・・・」との記載によれば、本件発明の「ジャンパ層」は、印刷された導電ペーストを焼成して形成されたものであるから、導電層であるといえる。
一方、甲1発明において、「セラミック基部421の内部」には、「抵抗発熱体424A、424Bが埋設され、これら抵抗発熱体はセラミック基部421の厚み方向に離間する半円形状パターンを有する引出部425A、425Bにそれぞれ接続部426A、426Bを介して電気的に接続」されているところ、甲1発明の「引出部425A、425B」は、「抵抗発熱体424A、424B」と「セラミック基部421の厚み方向に離間」しているから、「抵抗発熱体424A、424B」が埋設された層とは別の層に設けられている。
そして、甲1発明の「引出部425A、425B」は、「半円形状パターン」を有しているから平面形状であるといえ、また、「抵抗発熱体」と「電気的に接続」されているから、導電層であるといえる。
そうすると、甲1発明の「引出部425A、425B」は、「抵抗発熱体424A、424B」が埋設された層とは別の層に設けられた平面形状の導電層であるといえるから、本件発明1の「前記抵抗発熱体とは別の層に設けられた平面形状のジャンパ層」に相当する。
(5)ア 甲1発明において、「抵抗発熱体424A、424B」は、「ウエハ載置面をその中心を通る直線で2分割した略半円形状パターンの2ゾーンのそれぞれに、同心円状の湾曲部と直線部とが一筆書き状に連結した形状の回路パターンを有する」から、平面視したときの回路パターンの形状は不明であるが、「一筆書き状に連結した形状」、すなわち、線状ではあるといえ、「抵抗発熱体424A、424B」は、始点である「一端」と終点である「他端」を有しているということができる。
そして、甲1発明では、「接続部426A、426B」を介して「引出部425A、425B」と「抵抗発熱体424A、424B」が「電気的に接続」されるものであるから、甲1発明の「接続部426A、426B」は、「引出部425A、425B」と、「抵抗発熱体424A、424B」の(一筆書き状に連結した形状の回路パターンの始点である)「一端」とを接続するものである。
また、甲1発明の「接続部426A、426B」は、「セラミック基部421の内部」に存在するから、「内部ビア」といえるものである。
そうすると、甲1発明の「接続部426A、426B」は、本件発明1の「前記ジャンパ層と前記抵抗発熱体の一端とを接続する内部ビア」に相当する。
イ なお、甲1の[0036]~[0037]で説明されている図8に関し、明細書の記載との整合性について検討する。
甲1の図8の左図をみると、「抵抗発熱体424A」及び「抵抗発熱体424B」は、セラミック基部421の外側の環状のゾーンに埋設されている一本の線状のものであると考えられるが、「抵抗発熱体424A」と「抵抗発熱体424B」がどこで分離しているのかは理解することができない。
これに対し、甲1の[0037]には、「すなわち、セラミック基部421の内部には、ウエハ載置面をその中心を通る直線で2分割した略半円形状パターンの2ゾーンのそれぞれに、同心円状の湾曲部と直線部とが一筆書き状に連結した形状の回路パターンを有する回路部424A、424Bが埋設されている。」と記載されており、「回路部424A、424B」(抵抗発熱体424A、424B)は、2分割した略半円形状パターンの2ゾーンのそれぞれに埋設された二本の線状のものであることが理解できる。
そうすると、甲1の図8の左図は、甲1の[0036]~[0037]の記載や、甲1発明で認定した「ウエハ載置面をその中心を通る直線で2分割した略半円形状パターンの2ゾーンのそれぞれに、同心円状の湾曲部と直線部とが一筆書き状に連結した形状の回路パターンを有する抵抗発熱体424A、424B」と整合していない。
しかしながら、甲1の[0036]~[0037]の記載と、図8の左図とが整合しなかったとしても、甲1発明の認定の根拠となる[0037]に、「ウエハ載置面をその中心を通る直線で2分割した略半円形状パターンの2ゾーンのそれぞれに」、「抵抗発熱体424A、424B」が埋設されると明記されている以上、甲1発明の認定が誤っているということにはならない。
したがって、甲1の[0036]~[0037]の記載と、図8の左図の整合性の有無は、上記アの認定に影響を及ぼすものではない。
(6) 甲1発明では、「回路部が抵抗発熱体の場合」、「引出部425A、425Bの各々は、電極端子部に電気的に接続」されているところ、「電極端子部227A及び227B」は、「給電線に接続される」ものであるから、「回路部が抵抗発熱体の場合」の電極端子部も、同様に「給電線に接続される」ものであるといえる。
そして、「給電線に接続される」電極端子部は、給電を行うビアといえるから、甲1発明は、「引出部425A、425B」に接続された給電ビアを備えているということができる。
そうすると、甲1発明の「回路部が抵抗発熱体の場合」の「電極端子部」は、本件発明1の「前記ジャンパ層に接続された給電ビア」に相当する。
(7) 甲1発明において、「回路部224A及び224B」は、「ウエハ載置面221aに最も近い同じ層内に、ウエハ載置面221aに対して平行」に「埋設」されるものであるところ、「回路部が抵抗発熱体の場合」である「抵抗発熱体424A、424B」も、「回路部224A及び224B」と同様に、「ウエハ載置面221aに対して平行」に「埋設」されるものであるといえる。
また、甲1発明は、「回路部が抵抗発熱体の場合、セラミック基部421の内部には、ウエハ載置面をその中心を通る直線で2分割した略半円形状パターンの2ゾーンのそれぞれに、同心円状の湾曲部と直線部とが一筆書き状に連結した形状の回路パターンを有する抵抗発熱体424A、424Bが埋設」されるものであるから、甲1発明は、「ウエハ載置面をその中心を通る直線で2分割した略半円形状パターンの2ゾーンのそれぞれに」、「抵抗発熱体424A、424Bが埋設」されている、すなわち、「抵抗発熱体424A、424B」が、複数のゾーンのそれぞれに対応して設けられている。
そうすると、本件発明1と甲1発明は、「前記抵抗発熱体は、前記ウエハ載置面と平行な面に設けられた複数のゾーンのそれぞれに対応して設けられ」ていることで一致する。
(8) 甲1発明は、「回路部が抵抗発熱体の場合、セラミック基部421の内部には、ウエハ載置面をその中心を通る直線で2分割した略半円形状パターンの2ゾーンのそれぞれに、同心円状の湾曲部と直線部とが一筆書き状に連結した形状の回路パターンを有する抵抗発熱体424A、424Bが埋設され、これら抵抗発熱体はセラミック基部421の厚み方向に離間する半円形状パターンを有する引出部425A、425Bにそれぞれ接続部426A、426Bを介して電気的に接続され」ているから、「引出部425A、425B」は、「抵抗発熱体424A、424B」のそれぞれに対応して形成されているといえる。
そうすると、本件発明1と甲1発明は、「前記ジャンパ層は、前記抵抗発熱体のそれぞれに対応して形成され」ていることで一致する。
以上によれば、本件発明1と甲1発明とは、次の一致点及び相違点を有する。
[一致点]
ウエハ載置面を有するセラミック基材と、
前記セラミック基材に埋設された抵抗発熱体と、
前記抵抗発熱体とは別の層に設けられた平面形状のジャンパ層と、
前記ジャンパ層と前記抵抗発熱体の一端とを接続する内部ビアと、
前記ジャンパ層に接続された給電ビアと、
を備え、
前記抵抗発熱体は、前記ウエハ載置面と平行な面に設けられた複数のゾーンのそれぞれに対応して設けられ、
前記ジャンパ層は、前記抵抗発熱体のそれぞれに対応して形成される、
ウエハ載置台。
[相違点]
[相違点1]
本件発明1は、「ジャンパ層のそれぞれにおける前記内部ビアと前記給電ビアとの中心間距離は50mm以上」であるという構成を有するのに対し、甲1発明は、そのような構成を有しない点。
[相違点2]
本件発明1は、「前記抵抗発熱体の他端は、前記抵抗発熱体とは別の層に前記ジャンパ層とは別に設けられた平面形状の他のジャンパ層に接続される」という構成を有するのに対し、甲1発明は、そのような構成を有しない点。
4 判断
(1) 新規性
上記3のとおり、本件発明1と甲1発明とは、相違点を有する。
そして、後記(2)のとおり、当該相違点は、実質的な相違点である。
したがって、本件発明1は、甲1発明であるとはいえない。
(2) 進歩性
まず、相違点1について検討する。
ア 甲1発明の「接続部426A、426B」(内部ビア)は、「引出部425A、425B」(ジャンパ層)のどの部分に接続されているのか、具体的に特定するものではなく、甲1の[0036]~[0037]をみても、接続する位置について何ら記載はないから、甲1発明の「接続部426A、426B」が「引出部425A、425B」のどの位置に配置されているのか理解することはできない。
また、上記3(5)イのとおり、甲1の図8をみても、「抵抗発熱体424A」及び「抵抗発熱体424B」は、セラミック基部421の外側の環状のゾーンに埋設されている一本の線状のものであるため、甲1発明の「ウエハ載置面をその中心を通る直線で2分割した略半円形状パターン」に埋設された「抵抗発熱体424A、424B」に対応する「引出部425A、425B」は開示されていないし、図8は甲1発明を実施するための具体的な寸法を記載した設計図でもないから、甲1の図8を参酌しても、甲1発明の「接続部426A、426B」が「引出部425A、425B」のどの位置に配置されているのか理解することはできない。
そして、甲1発明の「電極端子部」(給電ビア)についてみても、甲1発明では、「電極端子部」が「引出部425A、425B」のどの部分で接続されているのか、具体的に特定するものではなく、「電極端子部」自体の位置についても、「セラミック基部221の下面中央部から支持する円筒形状の筒状支持部222」に収容されていると認定できるにとどまり、「筒状支持部222」内の具体的な位置まで理解することはできない。
そうすると、甲1発明の「引出部425A、425B」(ジャンパ層)において、「接続部426A、426B」(内部ビア)と「電極端子部」(給電ビア)は、それぞれどの位置に配置されているのか正確な位置は不明であるから、甲1に接した当業者であっても、甲1発明において、「ジャンパ層のそれぞれにおける前記内部ビアと前記給電ビアとの中心間距離」が、具体的にどの間の距離になるのか理解することはできず、その距離が「50mm以上」であるとはいえないし、「50mm以上」にしようとする動機付けもない。
一方、本件発明1は、相違点1の構成を採用することによって、本件明細書等の【0020】に記載されているように、「セラミック基材の表面温度が収束し安定」するという顕著な効果を奏するものであるから、相違点1に係る構成は、適宜決定し得る設計的事項であるとはいえない。
イ また、上記3(5)アのとおり、甲1発明の「抵抗発熱体424A、424B」の平面視したときの回路パターンの形状は不明であり、上記アのとおり、甲1発明の「接続部426A、426B」や「電極端子部」の具体的な位置も理解することができない。
そうすると、仮に甲2記載事項(上記2(2)イ)によって、「外周側給電端子28b」と「接続端子26b」の中心間距離が50mm以上であることが上記相違点1の構成であるといえたとしても、甲1発明のどこにその構成を適用することができるのか、当業者であっても理解することはできないから、甲1発明において、甲2記載事項を適用する動機付けはない。
ウ したがって、甲1発明において、相違点1の構成を採用することは、当業者であっても容易に想到し得るものではなく、甲2記載事項を含めて検討しても、当業者が容易に想到し得るものであるとはいえないから、本件発明1は、相違点2について検討するまでもなく、甲1発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
5 小括
以上のとおり、本件発明1は、特許法29条1項及び同条2項の規定に違反してされたものであるとはいえない。
したがって、本件発明1に係る特許は、取り消されるべきものではない。
第5 異議申立人の主張について
1 異議申立人は、令和7年7月2日付け意見書とともに、甲3~甲5を提出し、本件発明1は、新規性及び進歩性を有しない旨主張する。
しかしながら、甲3~甲5は、相違点2に係る構成について提出されたものであって、その内容をみても、上記相違点1に係る構成は記載されていない。
そして、本件発明1が新規性及び進歩性を有することは、上記第4のとおりである。
したがって、異議申立人の主張は採用できない。
2 なお、異議申立人は、上記意見書において、甲6を提出し、請求項2に係る発明は、進歩性を有しない旨主張する。
そこで検討するに、上記第2の2(2)アのとおり、請求項2に係る訂正は、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものであるから、訂正後の請求項2に係る発明は、訂正前の請求項2に係る発明と同じである。
そして、本件特許異議申立ては、訂正前の請求項1のみを対象とするものであって、訂正前の請求項2を対象とするものではないから、異議申立人の主張は、本件特許異議申立ての成否を左右するものではない。
したがって、異議申立人の主張は採用できない。
第6 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件特許の請求項1に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件特許の請求項1に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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2024-701060