特許異議申立
2023-700146
インク容器を備えたインクカートリッジ及びその加工方法
- 審判番号
- 2023-700146
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2021-544447
- 登録番号
- 7122478
- 請求日
- 2023年02月09日
- 審決日
- 2024年11月01日
- 公報発行日
- 2025年07月25日
- 結論
- 請求成立(取消)
- 当事者
- 【権利者】北▲海▼▲績▼迅▲電▼子科技有限公司
- 【権利者代理人】弁理士法人R&C
- 【異議申立人】上杉 隆一
- 審判長/審判官
- 審判長 川俣 洋史
- 審判官 松田 直也
- 審判官 門 良成
- 分類
- P1651.113-ZDA(B41J) / P1651.121-ZDA(B41J) / P1651.832-ZDA(B41J) / P1651.841-ZDA(B41J)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 行政事件訴訟法46条特許法29条2項特許法113条2号特許法120条の8第1項特許法135条
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第2項、特許法第126条第6項、特許法第29条第2項、特許法第120条の5第4項、特許法第120条の5第7項、特許法第120条の8第1項、特許法第135条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7122478号発明「インク容器を備えたインクカートリッジ及びその加工方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7122478号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~8〕、〔9~14〕について訂正することを認める。
特許第7122478号の請求項2、4、10及び13に係る特許を維持する。
特許第7122478号の請求項3、5、6、7、8、11及び12に係る特許を取り消す。
特許第7122478号の請求項1、9及び14に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、2020年(令和2年)1月23日(優先権主張 2019年1月30日)を国際出願日とする出願であって、令和4年8月10日にその特許権の設定登録がされ、同年8月19日に特許掲載公報が発行された。その後、その特許について、令和5年2月9日に特許異議申立人上杉 隆一(以下、「申立人」という。)により特許異議の申立てがなされた。
本件特許異議申立て以後の経緯は、次のとおりである。
令和5年 5月23日 取消理由通知書(起案日)
令和5年 8月23日 訂正請求書・意見書の提出(特許権者)
令和5年 9月26日 通知書(訂正があった旨の通知)(起案日)
令和5年10月27日 意見書の提出(申立人)
令和5年12月26日 訂正拒絶理由通知書
令和6年 2月26日 手続補正書(方式)・意見書の提出(特許権者)
令和6年 4月 5日 取消理由値書(決定の予告)(起案日)
令和6年 7月 8日 訂正請求書・意見書の提出(特許権者)
令和6年 7月17日 手続指令補正書(方式)(起案日)
令和6年 7月25日 手続補正書(方式)の提出(特許権者)
令和6年 8月21日 通知書(訂正があった旨の通知)(起案日)
令和6年 9月25日 意見書の提出(申立人)
なお、令和5年8月23日付けの訂正の請求は、特許法第120条の5第7項の規定により、取り下げたものとみなされる。
第2 訂正請求について
1 訂正請求の趣旨
特許第7122478号の特許請求の範囲を、本訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~14について訂正することを求める。
なお、以下、補正後の本訂正請求書でする訂正を「本件訂正」という。
2 令和6年7月25日提出の手続補正書(方式)でする訂正請求の補正について
特許権者が、令和6年7月25日に手続補正書(方式)を提出してする補正は、令和6年7月17日付け手続指令補正書(方式)で指摘する不整合の記載を整合させるためのものであって、訂正請求書の要旨を変更するものではない。
よって、令和6年7月25日提出の手続補正書(方式)でする、訂正請求書の補正は、補正の要件を満たすものである。
3 訂正の内容
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1を削除する。
(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項2に、
「前記ステップS20では、前記カートリッジハウジングに繋がり穴を開設し、前記アウトサイド制御回路基板を前記元のインクカートリッジの前記当初制御回路基板に接続し、前記当初制御回路基板における接点が、前記アウトサイド制御回路基板における対応位置の外部接点の一部と、一対一に対応して繋がるようにすると共に、外部接点の残りの部分を、繋がり穴を介して、前記カートリッジハウジング内に進入させる、ことを特徴とする、請求項1に記載のインク容器を備えたインクカートリッジの加工方法。」
と記載されているのを、
「元のインクカートリッジから上部カバーを取り除き、カートリッジハウジングを取得するステップS10と、
アウトサイド制御回路基板を、前記元のインクカートリッジの当初制御回路基板に電気的に接続させ、前記当初制御回路基板における接点が前記アウトサイド制御回路基板に繋がるようにするステップS20と、
インク容器における対応の位置に、インサイド制御回路基板を設置するステップS30と、
前記インク容器を前記カートリッジハウジングに取り付け、前記インク容器の前記インサイド制御回路基板の内部接点を前記アウトサイド制御回路基板に電気的に接続させ、インク容器を備えたインクカートリッジを取得するステップS40と、を含み、
前記アウトサイド制御回路基板の第一チップ又は前記インサイド制御回路基板の第二チップには、前記インク容器についてその実際のインク量のデータ及び使用のプログラムが書き込まれ、
前記ステップS20では、前記カートリッジハウジングに繋がり穴を開設し、前記アウトサイド制御回路基板を前記元のインクカートリッジの前記当初制御回路基板に接続し、前記当初制御回路基板における接点が、前記アウトサイド制御回路基板における対応位置の外部接点の一部と、一対一に対応して繋がるようにすると共に、外部接点の残りの部分を、繋がり穴を介して、前記カートリッジハウジング内に進入させる、ことを特徴とする、インク容器を備えたインクカートリッジの加工方法。」
に訂正する(請求項2の記載を直接的又は間接的に引用する請求項5~8も同様に訂正する)。
なお、下線は、特許権者が付与した。この項において、以下同じ。
(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項3に、
「前記ステップS20では、
……
ことを特徴とする、請求項1に記載のインク容器を備えたインクカートリッジの加工方法。」
と記載されているのを、
「元のインクカートリッジから上部カバーを取り除き、カートリッジハウジングを取得するステップS10と、
アウトサイド制御回路基板を、前記元のインクカートリッジの当初制御回路基板に電気的に接続させ、前記当初制御回路基板における接点が前記アウトサイド制御回路基板に繋がるようにするステップS20と、
インク容器における対応の位置に、インサイド制御回路基板を設置するステップS30と、
前記インク容器を前記カートリッジハウジングに取り付け、前記インク容器の前記インサイド制御回路基板の内部接点を前記アウトサイド制御回路基板に電気的に接続させ、インク容器を備えたインクカートリッジを取得するステップS40と、を含み、
前記アウトサイド制御回路基板の第一チップ又は前記インサイド制御回路基板の第二チップには、前記インク容器についてその実際のインク量のデータ及び使用のプログラムが書き込まれ、
前記ステップS20では、
……
ことを特徴とする、インク容器を備えたインクカートリッジの加工方法。」
に訂正する(請求項3の記載を直接的又は間接的に引用する請求項5~8も同様に訂正する)。
(4)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項3に、
「前記ステップS20では、導電手段により前記アウトサイド制御回路基板と前記インサイド制御回路基板とを接続し、前記導電手段における二つの回路接続インターフェースが、それぞれ、前記アウトサイド制御回路基板における外部接点と前記インサイド制御回路基板における内部接点に接続されるようにする、ことを特徴とする、請求項1に記載のインク容器を備えたインクカートリッジの加工方法。」
と記載されているのを、
「前記ステップS20では、導電手段により前記アウトサイド制御回路基板と前記インサイド制御回路基板とを接続し、前記導電手段における二つの回路接続インターフェースが、それぞれ、前記アウトサイド制御回路基板における外部接点と前記インサイド制御回路基板における内部接点に接続されるようにし、
前記ステップS30では、前記インク容器における前記インクカートリッジの内部に進入させた前記導電手段の回路接続インターフェースと対応する位置に、前記インサイド制御回路基板を設置し、
前記ステップS40では、前記カートリッジハウジング内に、前記インク容器を取り付け、前記カートリッジハウジングのハウジング溝外に位置する回路接続インターフェースが前記アウトサイド制御回路基板に電気接続され、前記カートリッジハウジングの前記ハウジング溝内に位置する回路接続インターフェースが前記インサイド制御回路基板の前記内部接点に繋がり、インク容器を備えたインクカートリッジを取得する、ことを特徴とする、インク容器を備えたインクカートリッジの加工方法。」
に訂正する(請求項3の記載を直接的又は間接的に引用する請求項5~8も同様に訂正する)。
(5)訂正事項5
特許請求の範囲の請求項4に、
「前記ステップS20では、前記アウトサイド制御回路基板の外部接点の一部を前記当初制御回路基板に接続し、前記アウトサイド制御回路基板を前記カートリッジハウジングに沿って前記カートリッジハウジングに設置されるハウジング溝内に折り曲げ、前記アウトサイド制御回路基板における残りの外部接点の一部が前記ハウジング溝内に位置するようにする、ことを特徴とする、請求項1に記載のインク容器を備えたインクカートリッジの加工方法。」
と記載されているのを、
「元のインクカートリッジから上部カバーを取り除き、カートリッジハウジングを取得するステップS10と、
アウトサイド制御回路基板を、前記元のインクカートリッジの当初制御回路基板に電気的に接続させ、前記当初制御回路基板における接点が前記アウトサイド制御回路基板に繋がるようにするステップS20と、
インク容器における対応の位置に、インサイド制御回路基板を設置するステップS30と、
前記インク容器を前記カートリッジハウジングに取り付け、前記インク容器の前記インサイド制御回路基板の内部接点を前記アウトサイド制御回路基板に電気的に接続させ、インク容器を備えたインクカートリッジを取得するステップS40と、を含み、
前記アウトサイド制御回路基板の第一チップ又は前記インサイド制御回路基板の第二チップには、前記インク容器についてその実際のインク量のデータ及び使用のプログラムが書き込まれ、
前記ステップS20では、前記アウトサイド制御回路基板の外部接点の一部を前記当初制御回路基板に接続し、前記アウトサイド制御回路基板を前記カートリッジハウジングに沿って前記カートリッジハウジングに設置されるハウジング溝内に折り曲げ、前記アウトサイド制御回路基板における残りの外部接点の一部が前記ハウジング溝内に位置するようにする、ことを特徴とする、インク容器を備えたインクカートリッジの加工方法。」
に訂正する(請求項4の記載を直接的又は間接的に引用する請求項5~8も同様に訂正する)。
(6)訂正事項6
特許請求の範囲の請求項5に、
「請求項1から4のいずれか一項に記載のインク容器を備えたインクカートリッジの加工方法。」と記載されているのを、
「請求項2から4のいずれか一項に記載のインク容器を備えたインクカートリッジの加工方法。」に訂正する。
(7)訂正事項7
特許請求の範囲の請求項7に、
「請求項1から4のいずれか一項に記載のインク容器を備えたインクカートリッジの加工方法。」と記載されているのを、
「請求項2から4のいずれか一項に記載のインク容器を備えたインクカートリッジの加工方法。」に訂正する。
(8)訂正事項8
特許請求の範囲の請求項8に、
「請求項1から4のいずれか一項に記載のインク容器を備えたインクカートリッジの加工方法。」と記載されているのを、
「請求項2から4のいずれか一項に記載のインク容器を備えたインクカートリッジの加工方法。」に訂正する。
(9)訂正事項9
特許請求の範囲の請求項9を削除する。
(10)訂正事項10
特許請求の範囲の請求項10に、
「前記カートリッジハウジングには、繋がり穴が設けられ、前記アウトサイド制御回路基板における前記内部接点と対応する外部接点が前記繋がり穴を貫通して前記ハウジング溝内に進入し、前記インク容器が前記ハウジング溝内に置かれてから、前記ハウジング溝内に位置する前記外部接点が前記内部接点に繋がる、ことを特徴とする、請求項9に記載のインク容器を備えたインクカートリッジ。」
と記載されているのを、
「ハウジング溝が開設されており、当初制御回路基板が設けられる、カートリッジハウジングと、
第一チップが設置されており、前記当初制御回路基板と電気的に繋がるアウトサイド制御回路基板と、
インク容器及びインサイド制御回路基板であって、前記インサイド制御回路基板が前記インク容器に取り付けられ、前記インサイド制御回路基板には、第二チップが設けられ、前記インサイド制御回路基板には、内部接点が設けられる、前記インク容器及び前記インサイド制御回路基板と、を含み、
そのうち、前記インク容器が前記カートリッジハウジングに取り付けられた後、前記アウトサイド制御回路基板が前記内部接点に電気的に繋がり、
前記第一チップ又は前記第二チップ内には、前記インク容器について、その実際のインク量データ及び使用のプログラムが記憶されており、
前記カートリッジハウジングには、繋がり穴が設けられ、前記アウトサイド制御回路基板における前記内部接点と対応する外部接点が前記繋がり穴を貫通して前記ハウジング溝内に進入し、前記インク容器が前記ハウジング溝内に置かれてから、前記ハウジング溝内に位置する前記外部接点が前記内部接点に繋がる、ことを特徴とする、インク容器を備えたインクカートリッジ。」
に訂正する。
(11)訂正事項11
特許請求の範囲の請求項11に、
「前記アウトサイド制御回路基板と前記インサイド制御回路基板とは、
……
ことを特徴とする、請求項9に記載のインク容器を備えたインクカートリッジ。」
と記載されているのを、
「ハウジング溝が開設されており、当初制御回路基板が設けられる、カートリッジハウジングと、
第一チップが設置されており、前記当初制御回路基板と電気的に繋がるアウトサイド制御回路基板と、
インク容器及びインサイド制御回路基板であって、前記インサイド制御回路基板が前記インク容器に取り付けられ、前記インサイド制御回路基板には、第二チップが設けられ、前記インサイド制御回路基板には、内部接点が設けられる、前記インク容器及び前記インサイド制御回路基板と、を含み、
そのうち、前記インク容器が前記カートリッジハウジングに取り付けられた後、前記アウトサイド制御回路基板が前記内部接点に電気的に繋がり、
前記第一チップ又は前記第二チップ内には、前記インク容器について、その実際のインク量データ及び使用のプログラムが記憶されており、
前記アウトサイド制御回路基板と前記インサイド制御回路基板とは、
……
ことを特徴とする、インク容器を備えたインクカートリッジ。」
に訂正する(請求項11の記載を直接的に引用する請求項12も同様に訂正する)。
(12)訂正事項12
特許請求の範囲の請求項11に、
「前記アウトサイド制御回路基板と前記インサイド制御回路基板とは、導電手段を介して接続される、ことを特徴とする、請求項9に記載のインク容器を備えたインクカートリッジ。」
と記載されているのを、
「前記アウトサイド制御回路基板と前記インサイド制御回路基板とは、導電手段を介して接続され、前記導電手段は二つの回路接続インターフェースを有し、
前記導電手段における前記二つの回路接続インターフェースは、それぞれ、前記アウトサイド制御回路基板における外部接点に接続され、他の一端部をインクカートリッジの内部に進入させ、前記インク容器を前記ハウジング溝の内部に装着すると、前記インサイド制御回路基板における接点を、前記インクカートリッジの内部に進入される前記導電手段の一部の点に接続させる、ことを特徴とする、インク容器を備えたインクカートリッジ。」
に訂正する(請求項11の記載を直接的に引用する請求項12も同様に訂正する)。
(13)訂正事項13
特許請求の範囲の請求項13に、
「前記カートリッジハウジングの開口には、接続溝が開設されており、前記アウトサイド制御回路基板が接続溝に係合され、しかも、前記アウトサイド制御回路基板の外部接点の一部が前記当初制御回路基板に繋がり、残りの外部接点の一部が前記ハウジング溝内に位置し、前記インク容器が前記ハウジング溝内に置かれてから、前記内部接点が前記ハウジング溝内に位置する外部接点と繋がる、ことを特徴とする、請求項9に記載のインク容器を備えたインクカートリッジ。」
と記載されているのを、
「ハウジング溝が開設されており、当初制御回路基板が設けられる、カートリッジハウジングと、
第一チップが設置されており、前記当初制御回路基板と電気的に繋がるアウトサイド制御回路基板と、
インク容器及びインサイド制御回路基板であって、前記インサイド制御回路基板が前記インク容器に取り付けられ、前記インサイド制御回路基板には、第二チップが設けられ、前記インサイド制御回路基板には、内部接点が設けられる、前記インク容器及び前記インサイド制御回路基板と、を含み、
そのうち、前記インク容器が前記カートリッジハウジングに取り付けられた後、前記アウトサイド制御回路基板が前記内部接点に電気的に繋がり、
前記第一チップ又は前記第二チップ内には、前記インク容器について、その実際のインク量データ及び使用のプログラムが記憶されており、
前記カートリッジハウジングの開口には、接続溝が開設されており、前記アウトサイド制御回路基板が接続溝に係合され、しかも、前記アウトサイド制御回路基板の外部接点の一部が前記当初制御回路基板に繋がり、残りの外部接点の一部が前記ハウジング溝内に位置し、前記インク容器が前記ハウジング溝内に置かれてから、前記内部接点が前記ハウジング溝内に位置する外部接点と繋がる、ことを特徴とする、インク容器を備えたインクカートリッジ。」
に訂正する。
(14)訂正事項14
特許請求の範囲の請求項14を削除する。
4 訂正の適否についての当審の判断
(1)一群の請求項についての説明
訂正前の請求項1~8について、請求項2~8はそれぞれ請求項1を直接的に又は間接的に引用しているものであって、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。したがって、訂正前の請求項1~8に対応する訂正後の請求項1~8は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。
訂正前の請求項9~14について、請求項10~14はそれぞれ請求項9を直接的に又は間接的に引用しているものであって、訂正事項9によって記載が訂正される請求項9に連動して訂正されるものである。したがって、訂正前の請求項9~14に対応する訂正後の請求項9~14は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。
(2)一群の請求項1~8について
ア 訂正事項1について
(ア)訂正の目的について
訂正事項1は、訂正前の請求項1を削除するものである。
したがって、訂正事項1は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とする訂正である。
(イ)事実上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと
訂正事項1は、訂正前の請求項1を削除するも訂正である。
したがって、訂正事項1は、カテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。
(ウ)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(この項において、以下、「明細書等」という。)に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項1は、訂正前の請求項1を削除する訂正である。
したがって、訂正事項1は、明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。
(エ)特許出願の際に独立して特許を受けることができるか否か
特許法第120条の5第9項により読み替えて適用される同法126条第7項に規定する要件(いわゆる独立特許要件)については、本件特許の訂正前の全請求項である請求項1~14に係る特許が特許異議の申立ての対象とされているものであるから、訂正事項1による訂正後の請求項1に係る発明については課されない。
イ 訂正事項2、5について
事案に鑑み、訂正事項2、5をまとめて検討する。
(ア)訂正の目的について
訂正事項2、5は、それぞれ、訂正前の請求項1を削除する訂正に連動して、訂正前請求項2、4を独立形式の請求項とする訂正である。
したがって、訂正事項2、5は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」、又は、同第4号に掲げる「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とする訂正である。
(イ)事実上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと
訂正事項2、5は、それぞれ、訂正前の請求項1を削除する訂正に連動して、訂正前請求項2、4を独立形式の請求項とする訂正である。
したがって、訂正事項2、5は、カテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。
(ウ)明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項2、5は、それぞれ、訂正前の請求項1を削除する訂正に連動して、訂正前請求項2、4を独立形式の請求項とする訂正である。
したがって、訂正事項2、5は、明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。
(エ)特許出願の際に独立して特許を受けることができるか否か
特許法第120条の5第9項により読み替えて適用される同法126条第7項に規定する要件(いわゆる独立特許要件)について、訂正事項2、5は、「明瞭でない記載の釈明」、又は、「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものであるから、訂正事項2、5による訂正後の請求項2、4に係る発明については課されない。
ウ 訂正事項3、4について
訂正事項3、4は、訂正前の請求項3に対する訂正であるから、まとめて検討する。
(ア)訂正の目的について
訂正事項3は、訂正前の請求項1を削除する訂正に連動して、訂正前請求項3を独立形式の請求項とする訂正である。
また、訂正事項4は、訂正前の請求項3に対して、「前記ステップS30では、前記インク容器における前記インクカートリッジの内部に進入させた前記導電手段の回路接続インターフェースと対応する位置に、前記インサイド制御回路基板を設置し、
前記ステップS40では、前記カートリッジハウジング内に、前記インク容器を取り付け、前記カートリッジハウジングのハウジング溝外に位置する回路接続インターフェースが前記アウトサイド制御回路基板に電気接続され、前記カートリッジハウジングの前記ハウジング溝内に位置する回路接続インターフェースが前記インサイド制御回路基板の前記内部接点に繋がり、インク容器を備えたインクカートリッジを取得する」構成を付加することにより、ステップ30及びステップ40の処理を具体的に特定することで減縮するものである。
したがって、訂正事項3は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」、又は、同第4号に掲げる「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とする訂正である。
また、訂正事項4は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とする訂正である。
(イ)事実上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと
訂正事項3は、訂正前の請求項1を削除する訂正に連動して、訂正前請求項3を独立形式の請求項とする訂正である。
したがって、訂正事項3は、カテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。
訂正事項4は、上記(ア)のとおり、ステップ30、ステップ40の処理を具体的に特定するものであってカテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。
(ウ)明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項3は、それぞれ、訂正前の請求項1を削除する訂正に連動して、訂正前請求項3を独立形式の請求項とする訂正である。
訂正事項4によって追加されたステップ30、ステップ40の処理は、明細書等の段落【0036】の「導電手段7における二つの回路接続インターフェースは、それぞれ、アウトサイド制御回路基板3における外部接点に接続され、他の一端部をカートリッジの内部に進入させ、インク容器4をハウジング溝1aの内部に装着すると、インサイド制御回路基板5における接点を、カートリッジの内部に進入される導電手段7の一部の点に接続させる。」との記載、【0037】の「導電手段7における二つの回路接続インターフェースは、それぞれ、ハウジング溝1a外及びハウジング溝1a内に位置し、ハウジング溝1a外に位置する回路接続インターフェースがアウトサイド制御回路基板3に電気接続され、ハウジング溝1a内に位置する回路接続インターフェースが、インク容器4がハウジング溝1a内に取り付けられると、内部接点5aに繋がる」との記載から、明細書等に記載された事項の範囲内のものである。
したがって、訂正事項3、4は、明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。
(エ)特許出願の際に独立して特許を受けることができるか否か
特許法第120条の5第9項により読み替えて適用される同法126条第7項に規定する要件(いわゆる独立特許要件)については、本件特許の訂正前の全請求項である請求項1~14に係る特許が特許異議の申立ての対象とされているものであるから、訂正事項3、4による訂正後の請求項3に係る発明については課されない。
エ 訂正事項6~8について
事案に鑑み、訂正事項6~8をまとめて検討する。
(ア)訂正の目的について
訂正事項6~8は、それぞれ、訂正前の請求項1を削除する訂正に連動して、訂正前の請求項5、7、8が引用する請求項を減縮又は明確にする訂正である。
したがって、訂正事項6~8は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」、又は、同第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とする訂正である。
(イ)事実上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと
訂正事項6~8は、それぞれ、訂正前の請求項1を削除する訂正に連動して、訂正前の請求項5、7、8が引用する請求項を減縮又は明確するに訂正である。
したがって、訂正事項6~8は、カテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。
(ウ)明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項6~8は、それぞれ、訂正前の請求項1を削除する訂正に連動して、訂正前の請求項5、7、8が引用する請求項を減縮又は明確にする訂正である。
したがって、訂正事項6~8は、明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。
(エ)特許出願の際に独立して特許を受けることができるか否か
特許法第120条の5第9項により読み替えて適用される同法126条第7項に規定する要件(いわゆる独立特許要件)については、本件特許の訂正前の全請求項である請求項1~14に係る特許が特許異議の申立ての対象とされているものであるから、訂正事項6~8による訂正後の請求項5、7、8に係る発明については課されない。
(3)一群の請求項9~14について
ア 訂正事項9、14について
事案に鑑み、訂正事項9、14をまとめて検討する。
(ア)訂正の目的について
訂正事項9、14は、それぞれ、訂正前の請求項9、14を削除するものである。
したがって、訂正事項9、14は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とする訂正である。
(イ)事実上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと
訂正事項9、14は、それぞれ、訂正前の請求項9、14を削除するものである。
したがって、訂正事項9、14は、カテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。
(ウ)明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項9、14は、それぞれ、訂正前の請求項9、14を削除するものである。
したがって、訂正事項9、14は、明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。
(エ)特許出願の際に独立して特許を受けることができるか否か
特許法第120条の5第9項により読み替えて適用される同法126条第7項に規定する要件(いわゆる独立特許要件)については、本件特許の訂正前の全請求項である請求項1~14に係る特許が特許異議の申立ての対象とされているものであるから、訂正事項9、14による訂正後の請求項9、14に係る発明については課されない。
イ 訂正事項10、13について
事案に鑑み、訂正事項10、13をまとめて検討する。
(ア)訂正の目的について
訂正事項10、13は、それぞれ、訂正前の請求項9を削除する訂正に連動して、訂正前請求項10、13を独立形式の請求項とする訂正である。
したがって、訂正事項10、13は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」、又は、同第4号に掲げる「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とする訂正である。
(イ)事実上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと
訂正事項10、13は、それぞれ、訂正前の請求項9を削除する訂正に連動して、訂正前請求項10、13を独立形式の請求項とする訂正である。
したがって、訂正事項10、13は、カテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。
(ウ)明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項10、13は、それぞれ、訂正前の請求項9を削除する訂正に連動して、訂正前請求項10、13を独立形式の請求項とする訂正である。
したがって、訂正事項10、13、明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。
(エ)特許出願の際に独立して特許を受けることができるか否か
特許法第120条の5第9項により読み替えて適用される同法126条第7項に規定する要件(いわゆる独立特許要件)については、訂正事項10、13は、「明瞭でない記載の釈明」、又は、「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものであるから、訂正事項10、13による訂正後の請求項10、13に係る発明については課されない。
ウ 訂正事項11、12について
訂正事項11、12は、訂正前の請求項11に対する訂正であるから、まとめて検討する。
(ア)訂正の目的について
訂正事項11は、訂正前の請求項9を削除する訂正に連動して、訂正前請求項11を独立形式の請求項とする訂正である。
また、訂正事項12は、訂正前の請求項11の「前記アウトサイド制御回路基板と前記インサイド制御回路基板とは、導電手段を介して接続される、ことを特徴とする、請求項9に記載のインク容器を備えたインクカートリッジ。」を、本件訂正により、「前記アウトサイド制御回路基板と前記インサイド制御回路基板とは、導電手段を介して接続され、前記導電手段は二つの回路接続インターフェースを有し、/ 前記導電手段における前記二つの回路接続インターフェースは、それぞれ、前記アウトサイド制御回路基板における外部接点に接続され、他の一端部をインクカートリッジの内部に進入させ、前記インク容器を前記ハウジング溝の内部に装着すると、前記インサイド制御回路基板における接点を、前記インクカートリッジの内部に進入される前記導電手段の一部の点に接続させる、ことを特徴とする、インク容器を備えたインクカートリッジ。」(スラッシュ“/”は改行)とすることで、「導電手段」に関する構成を具体的に特定することで減縮するものである。
したがって、訂正事項11は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明、又は、同第4号に掲げる「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とする訂正である。
また、訂正事項12は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とする訂正である。
(イ)事実上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと
訂正事項11は、訂正前の請求項9を削除する訂正に連動して、訂正前請求項11を独立形式の請求項とする訂正である。
したがって、訂正事項11は、カテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。
訂正事項12は、上記(ア)のとおり、導電手段に関する構成を具体的に特定するものであってカテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。
(ウ)明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項11は、それぞれ、訂正前の請求項9を削除する訂正に連動して、訂正前請求項11を独立形式の請求項とする訂正である。
訂正事項12によって追加された導電手段に関する構成は、明細書等の段落【0036】の「導電手段7における二つの回路接続インターフェースは、それぞれ、アウトサイド制御回路基板3における外部接点に接続され、他の一端部をカートリッジの内部に進入させ、インク容器4をハウジング溝1aの内部に装着すると、インサイド制御回路基板5における接点を、カートリッジの内部に進入される導電手段7の一部の点に接続させる。」との記載、【0037】の「導電手段7における二つの回路接続インターフェースは、それぞれ、ハウジング溝1a外及びハウジング溝1a内に位置し、ハウジング溝1a外に位置する回路接続インターフェースがアウトサイド制御回路基板3に電気接続され、ハウジング溝1a内に位置する回路接続インターフェースが、インク容器4がハウジング溝1a内に取り付けられると、内部接点5aに繋がる」との記載から、明細書等に記載された事項の範囲内のものである。
したがって、訂正事項11、12は、明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。
(エ)特許出願の際に独立して特許を受けることができるか否か
特許法第120条の5第9項により読み替えて適用される同法126条第7項に規定する要件(いわゆる独立特許要件)については、本件特許の訂正前の全請求項である請求項1~14に係る特許が特許異議の申立ての対象とされているものであるから、訂正事項11、12による訂正後の請求項11に係る発明については課されない。
5 訂正についてのまとめ
以上のとおりであるから、本件訂正は、訂正要件を満たすものである。
第3 訂正後の特許請求の範囲
上記「第2」のとおり、訂正請求による特許請求の範囲の訂正は認められることから、訂正後の特許請求の範囲は、訂正請求書に添付した、次の特許請求の範囲のとおりのものである(以下、「請求項1」~「請求項14」に係る発明を、それぞれ、「本件訂正発明1」~「本件訂正発明14」という。なお、下線は訂正箇所。特許権者が付与した。)。
「【請求項1】削除
【請求項2】
元のインクカートリッジから上部カバーを取り除き、カートリッジハウジングを取得するステップS10と、
アウトサイド制御回路基板を、前記元のインクカートリッジの当初制御回路基板に電気的に接続させ、前記当初制御回路基板における接点が前記アウトサイド制御回路基板に繋がるようにするステップS20と、
インク容器における対応の位置に、インサイド制御回路基板を設置するステップS30と、
前記インク容器を前記カートリッジハウジングに取り付け、前記インク容器の前記インサイド制御回路基板の内部接点を前記アウトサイド制御回路基板に電気的に接続させ、インク容器を備えたインクカートリッジを取得するステップS40と、を含み、
前記アウトサイド制御回路基板の第一チップ又は前記インサイド制御回路基板の第二チップには、前記インク容器についてその実際のインク量のデータ及び使用のプログラムが書き込まれ、
前記ステップS20では、前記カートリッジハウジングに繋がり穴を開設し、前記アウトサイド制御回路基板を前記元のインクカートリッジの前記当初制御回路基板に接続し、前記当初制御回路基板における接点が、前記アウトサイド制御回路基板における対応位置の外部接点の一部と、一対一に対応して繋がるようにすると共に、外部接点の残りの部分を、繋がり穴を介して、前記カートリッジハウジング内に進入させる、ことを特徴とする、インク容器を備えたインクカートリッジの加工方法。
【請求項3】
元のインクカートリッジから上部カバーを取り除き、カートリッジハウジングを取得するステップS10と、
アウトサイド制御回路基板を、前記元のインクカートリッジの当初制御回路基板に電気的に接続させ、前記当初制御回路基板における接点が前記アウトサイド制御回路基板に繋がるようにするステップS20と、
インク容器における対応の位置に、インサイド制御回路基板を設置するステップS30と、
前記インク容器を前記カートリッジハウジングに取り付け、前記インク容器の前記インサイド制御回路基板の内部接点を前記アウトサイド制御回路基板に電気的に接続させ、インク容器を備えたインクカートリッジを取得するステップS40と、を含み、
前記アウトサイド制御回路基板の第一チップ又は前記インサイド制御回路基板の第二チップには、前記インク容器についてその実際のインク量のデータ及び使用のプログラムが書き込まれ、
前記ステップS20では、導電手段により前記アウトサイド制御回路基板と前記インサイド制御回路基板とを接続し、前記導電手段における二つの回路接続インターフェースが、それぞれ、前記アウトサイド制御回路基板における外部接点と前記インサイド制御回路基板における内部接点に接続されるようにし、
前記ステップS30では、前記インク容器における前記インクカートリッジの内部に進入させた前記導電手段の回路接続インターフェースと対応する位置に、前記インサイド制御回路基板を設置し、
前記ステップS40では、前記カートリッジハウジング内に、前記インク容器を取り付け、前記カートリッジハウジングのハウジング溝外に位置する回路接続インターフェースが前記アウトサイド制御回路基板に電気接続され、前記カートリッジハウジングの前記ハウジング溝内に位置する回路接続インターフェースが前記インサイド制御回路基板の前記内部接点に繋がり、インク容器を備えたインクカートリッジを取得する、ことを特徴とする、インク容器を備えたインクカートリッジの加工方法。
【請求項4】
元のインクカートリッジから上部カバーを取り除き、カートリッジハウジングを取得するステップS10と、
アウトサイド制御回路基板を、前記元のインクカートリッジの当初制御回路基板に電気的に接続させ、前記当初制御回路基板における接点が前記アウトサイド制御回路基板に繋がるようにするステップS20と、
インク容器における対応の位置に、インサイド制御回路基板を設置するステップS30と、
前記インク容器を前記カートリッジハウジングに取り付け、前記インク容器の前記インサイド制御回路基板の内部接点を前記アウトサイド制御回路基板に電気的に接続させ、インク容器を備えたインクカートリッジを取得するステップS40と、を含み、
前記アウトサイド制御回路基板の第一チップ又は前記インサイド制御回路基板の第二チップには、前記インク容器についてその実際のインク量のデータ及び使用のプログラムが書き込まれ、
前記ステップS20では、前記アウトサイド制御回路基板の外部接点の一部を前記当初制御回路基板に接続し、前記アウトサイド制御回路基板を前記カートリッジハウジングに沿って前記カートリッジハウジングに設置されるハウジング溝内に折り曲げ、前記アウトサイド制御回路基板における残りの外部接点の一部が前記ハウジング溝内に位置するようにする、ことを特徴とする、インク容器を備えたインクカートリッジの加工方法。
【請求項5】
前記ステップS10では、前記元のインクカートリッジから前記上部カバーを取り除いた場合に、前記元のインクカートリッジのインナーキャビティにおける仕切り部を切削し、スポンジを取り出し、前記元のインクカートリッジのインナーキャビティ内のインクを洗浄する、ことを特徴とする、請求項2から4のいずれか一項に記載のインク容器を備えたインクカートリッジの加工方法。
【請求項6】
前記ステップS40の後に、取り出された前記スポンジを洗浄し、前記スポンジを前記インク容器に装着するステップS41をさらに含む、ことを特徴とする、請求項5に記載のインク容器を備えたインクカートリッジの加工方法。
【請求項7】
前記ステップS20では、前記当初制御回路基板における接点と前記アウトサイド制御回路基板における対応位置の外部接点の一部とを、一対一に対応するように、溶接することにより、両者が繋がるようにする、ことを特徴とする、請求項2から4のいずれか一項に記載のインク容器を備えたインクカートリッジの加工方法。
【請求項8】
前記ステップS30では、前記インサイド制御回路基板の内部接点を前記インサイド制御回路基板における前記インク容器から離れる端面に設置する、ことを特徴とする、請求項2から4のいずれか一項に記載のインク容器を備えたインクカートリッジの加工方法。
【請求項9】削除
【請求項10】
ハウジング溝が開設されており、当初制御回路基板が設けられる、カートリッジハウジングと、
第一チップが設置されており、前記当初制御回路基板と電気的に繋がるアウトサイド制御回路基板と、
インク容器及びインサイド制御回路基板であって、前記インサイド制御回路基板が前記インク容器に取り付けられ、前記インサイド制御回路基板には、第二チップが設けられ、前記インサイド制御回路基板には、内部接点が設けられる、前記インク容器及び前記インサイド制御回路基板と、を含み、
そのうち、前記インク容器が前記カートリッジハウジングに取り付けられた後、前記アウトサイド制御回路基板が前記内部接点に電気的に繋がり、
前記第一チップ又は前記第二チップ内には、前記インク容器について、その実際のインク量データ及び使用のプログラムが記憶されており、
前記カートリッジハウジングには、繋がり穴が設けられ、前記アウトサイド制御回路基板における前記内部接点と対応する外部接点が前記繋がり穴を貫通して前記ハウジング溝内に進入し、前記インク容器が前記ハウジング溝内に置かれてから、前記ハウジング溝内に位置する前記外部接点が前記内部接点に繋がる、ことを特徴とする、インク容器を備えたインクカートリッジ。
【請求項11】
ハウジング溝が開設されており、当初制御回路基板が設けられる、カートリッジハウジングと、
第一チップが設置されており、前記当初制御回路基板と電気的に繋がるアウトサイド制御回路基板と、
インク容器及びインサイド制御回路基板であって、前記インサイド制御回路基板が前記インク容器に取り付けられ、前記インサイド制御回路基板には、第二チップが設けられ、前記インサイド制御回路基板には、内部接点が設けられる、前記インク容器及び前記インサイド制御回路基板と、を含み、
そのうち、前記インク容器が前記カートリッジハウジングに取り付けられた後、前記アウトサイド制御回路基板が前記内部接点に電気的に繋がり、
前記第一チップ又は前記第二チップ内には、前記インク容器について、その実際のインク量データ及び使用のプログラムが記憶されており、
前記アウトサイド制御回路基板と前記インサイド制御回路基板とは、導電手段を介して接続され、前記導電手段は二つの回路接続インターフェースを有し、
前記導電手段における前記二つの回路接続インターフェースは、それぞれ、前記アウトサイド制御回路基板における外部接点に接続され、他の一端部をインクカートリッジの内部に進入させ、前記インク容器を前記ハウジング溝の内部に装着すると、前記インサイド制御回路基板における接点を、前記インクカートリッジの内部に進入される前記導電手段の一部の点に接続させる、ことを特徴とする、インク容器を備えたインクカートリッジ。
【請求項12】
前記導電手段には、二つの回路接続インターフェースが設置されており、前記導電手段における二つの回路接続インターフェースは、それぞれ、前記アウトサイド制御回路基板における外部接点と前記インサイド制御回路基板における内部接点に接続される、ことを特徴とする、請求項11に記載のインク容器を備えたインクカートリッジ。
【請求項13】
ハウジング溝が開設されており、当初制御回路基板が設けられる、カートリッジハウジングと、
第一チップが設置されており、前記当初制御回路基板と電気的に繋がるアウトサイド制御回路基板と、
インク容器及びインサイド制御回路基板であって、前記インサイド制御回路基板が前記インク容器に取り付けられ、前記インサイド制御回路基板には、第二チップが設けられ、前記インサイド制御回路基板には、内部接点が設けられる、前記インク容器及び前記インサイド制御回路基板と、を含み、
そのうち、前記インク容器が前記カートリッジハウジングに取り付けられた後、前記アウトサイド制御回路基板が前記内部接点に電気的に繋がり、
前記第一チップ又は前記第二チップ内には、前記インク容器について、その実際のインク量データ及び使用のプログラムが記憶されており、
前記カートリッジハウジングの開口には、接続溝が開設されており、前記アウトサイド制御回路基板が接続溝に係合され、しかも、前記アウトサイド制御回路基板の外部接点の一部が前記当初制御回路基板に繋がり、残りの外部接点の一部が前記ハウジング溝内に位置し、前記インク容器が前記ハウジング溝内に置かれてから、前記内部接点が前記ハウジング溝内に位置する外部接点と繋がる、ことを特徴とする、インク容器を備えたインクカートリッジ。
【請求項14】削除」
第4 令和6年4月5日付け取消理由通知書(決定の予告)における取消理由の概要
1 適用条文等
下記の請求項1、5、6、7、8、9及び12に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の引用文献1(甲第1号証)、引用文献2(甲第2号証)、引用文献3(甲第5号証)に記載された発明に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、下記の請求項に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
記 (引用文献等については引用文献等一覧参照)
<引用文献等一覧>
引用文献1:中国特許出願公開公報第109605941号明細書(本件特許の優先日後・国際出願日前2019(平成31年)年4月12日公開、甲第1号証)
引用文献2:中国特許出願公開公報第110406265号(本件特許の優先日後・国際出願日前2019年(令和元年)11月5日公開、甲第2号証)
引用文献3:特許第6115041号(本件特許の優先日前平成29年4月19日公開、甲第5号証)
2 本件訂正前後の請求項の関係について
本件訂正発明3は、本件訂正前の請求項3を、訂正事項3のとおり独立形式にし、さらに、訂正事項4のとおり、本件訂正前の請求項3の構成を減縮したものである。
また、本件訂正発明3について、令和5年8月23日提出の訂正請求書で訂正した請求項1との関係でみると、当該請求項1の
「 元のインクカートリッジから上部カバーを取り除き、カートリッジハウジングを取得するステップS10と、
アウトサイド制御回路基板を、前記元のインクカートリッジの当初制御回路基板に電気的に接続させ、前記当初制御回路基板における接点が前記アウトサイド制御回路基板に繋がるようにするステップS20と、
インク容器における対応の位置に、インサイド制御回路基板を設置するステップS30と、
前記インク容器を前記カートリッジハウジングに取り付け、前記インク容器の前記インサイド制御回路基板の内部接点を前記アウトサイド制御回路基板に電気的に接続させ、インク容器を備えたインクカートリッジを取得するステップS40と、を含み、
前記アウトサイド制御回路基板の第一チップ又は前記インサイド制御回路基板の第二チップには、前記インク容器についてその実際のインク量のデータ及び使用のプログラムが書き込まれ、
前記ステップS20では、前記カートリッジハウジングに繋がり穴を開設し、前記アウトサイド制御回路基板を前記元のインクカートリッジの前記当初制御回路基板に接続し、前記当初制御回路基板における接点が、前記アウトサイド制御回路基板における対応位置の外部接点の一部と、一対一に対応して繋がるようにすると共に、外部接点の残りの部分を、繋がり穴を介して、前記カートリッジハウジング内に進入させる、
または
前記ステップS20では、導電手段により前記アウトサイド制御回路基板と前記インサイド制御回路基板とを接続し、前記導電手段における二つの回路接続インターフェースが、それぞれ、前記アウトサイド制御回路基板における外部接点と前記インサイド制御回路基板における内部接点に接続されるようにする、
ことを特徴とする、インク容器を備えたインクカートリッジの加工方法。」
の下線部の箇所(本件訂正前の請求項1と請求項3を組み合わせたもの)に対して、
「前記ステップS30では、前記インク容器における前記インクカートリッジの内部に進入させた前記導電手段の回路接続インターフェースと対応する位置に、前記インサイド制御回路基板を設置し、
前記ステップS40では、前記カートリッジハウジング内に、前記インク容器を取り付け、前記カートリッジハウジングのハウジング溝外に位置する回路接続インターフェースが前記アウトサイド制御回路基板に電気接続され、前記カートリッジハウジングの前記ハウジング溝内に位置する回路接続インターフェースが前記インサイド制御回路基板の前記内部接点に繋がり、インク容器を備えたインクカートリッジを取得する」との限定を加えたものが、本件訂正発明3に対応する。
同様に、本件訂正発明11は、本件訂正前の請求項11を、訂正事項11のとおり独立形式にし、さらに、訂正事項12のとおり、本件訂正前の請求項11の構成を減縮したものである。
第5 優先権・引用文献について
1 優先権について
(1)本件特許の国際出願に係る国際出願日における特許請求の範囲、明細書及び図面の翻訳文(以下、「本件明細書等」という。)について
本件明細書等には次の記載がある。
「【0006】
本発明が提供する技術的手段は、以下の通りである。
・・・(途中省略)・・・アウトサイド制御回路基板を前記当初カートリッジの当初制御回路基板に電気接続させ、当初制御回路基板における接点がアウトサイド制御回路基板に繋がるようにするステップS20と、・・・(以下、省略)」
「【0009】
好ましくは、前記ステップS20では、導電手段により、前記アウトサイド制御回路基板とインサイド制御回路基板とを接続し、前記導電手段における二つの回路接続インターフェースが、それぞれ、前記アウトサイド回路基板における外部接点とインサイド制御回路基板における内部接点に接続されるようにする。」
「【0017】
・・・(途中省略)・・・ハウジング溝が開設されており、当初制御回路基板が設けられるカートリッジハウジングと、第一チップが設置されており、前記当初制御回路基板と電気的に繋がるアウトサイド制御回路基板と、ライナー及びインサイド制御回路基板であって、前記インサイド制御回路基板が前記ライナーに取り付けられ、前記インサイド制御回路基板には第二チップが設けられ、前記インサイド制御回路基板には、内部接点が設けられるライナー及びインサイド制御回路基板と、を含み、そのうち、前記ライナーが前記カートリッジハウジングの後ろに置かれ、前記アウトサイド制御回路基板が前記内部接点に電気的に繋がり、・・・(以下省略)」
「【0021】
好ましくは、前記アウトサイド制御回路基板と前記インサイド制御回路基板とは、前記導電手段を介して接続される。
【0022】
ライナーをハウジング溝内に取り付けると、アウトサイド制御回路基板とインサイド制御回路基板とを、導電手段を介して接続し、アウトサイド制御回路基板とインサイド制御回路基板とが繋がり、導電手段にそれぞれ、二つの回路接続インターフェースを有する。この技術的手段では、導電手段がU型の構成とされてもよい。そうすると、前記導電手段におけるU型両側は、それぞれ、ハウジング溝内及びハウジング溝外に位置しており、ハウジング溝外に位置する導電手段のU型の一側が当初制御回路基板に接続され、ハウジング溝内に位置する導電手段のU型一側がインサイド制御回路基板に接続されることにより、電気的繋がりが実現される。
【0023】
それと同時に、導電手段は、前記ハウジング溝の外壁を貫通して、前記導電手段における二つの回路接続インターフェースがそれぞれ、ハウジング溝内及びハウジング溝外に位置し、しかも、ハウジング溝外に位置する回路接続インターフェースが当初制御回路基板における接点に対応し、ハウジング溝内に位置する回路接続インターフェースがインサイド制御回路基板における内部接点に対応するようにすることにより、導電手段により接続されてから電気的繋がりが実現される。
【0024】
好ましくは、前記導電手段には二つの回路接続インターフェースが設置されており、前記導電手段における二つの回路接続インターフェースが、それぞれ、アウトサイド制御回路基板の外部接点及びインサイド制御回路基板の内部接点に接続される。
【0025】
好ましくは、前記カートリッジハウジングの開口には、接続溝が開設されており、前記アウトサイド制御回路基板が接続溝に係合され、前記外部接点の一部が当初制御回路基板に繋がり、残りの外部接点の一部が前記ハウジング溝内に位置することにより、前記ライナーが前記ハウジング溝内に置かれてから、前記内部接点が前記ハウジング溝内に位置する外部接点に繋がる。
【0026】
ハウジング溝の溝口に接続溝を開設することにより、アウトサイド制御回路基板を接続溝内に係合し、アウトサイド制御回路基板における外部接点の一部がハウジング溝外に位置し、当初制御回路基板と一対一に対応し、ハウジング溝内に位置する外部接点が内部接点と一対一に対応するようにし、ライナー取り付け口内部接点をハウジング溝内の外部接点に繋げることができる。
【0027】
好ましくは、前記アウトサイド制御回路基板における外部接点の一部が当初制御回路基板における接点に接続され、前記アウトサイド制御回路基板が前記ハウジング溝に沿って、前記ハウジング溝内に折り曲げられ、残りの外部接点の一部が前記ハウジング溝内に位置し、使前記ライナーが前記ハウジング溝内に取り付けられる場合に、前記ハウジング溝内に位置する外部接点が内部接点と繋がる。
【0028】
アウトサイド制御回路基板を、折り曲げ可能な回路基板として設置することにより、アウトサイド制御回路基板における外部接点の一部が当初制御回路基板に接続され、アウトサイド制御回路基板がハウジング溝の溝に折り曲げられ、ハウジング溝内に進入し、ハウジング溝内に位置する残りの外部接点の一部が内部接点位置と対応する。そして、ライナーが取り付けられた場合に、ハウジング溝内に位置する外部接点が内部接点と繋がる。」
「【0031】
以下に、明確に理解しやすい形態により、図面を参照しながら、好ましい実施の形態、ライナーカートリッジ及びその加工方法の上記特性、技術的特徴、利点及びその実現の形態を詳しく説明していく。
・・・(途中省略)・・・
【図13】本発明の一つの実施の形態の構成の模式図。
【図14】本発明のもう一つの実施の形態の構成の模式図。
【図15】図14に両者が取り付けられた構成の模式図。
【図16】図15における他の視点から見た構成の模式図。
【図17】ライナーを図14に取り付けた構成の模式図。」
「【0034】
(途中省略)
ステップS20では、アウトサイド制御回路基板3を当初カートリッジの当初制御回路基板2に電気接続させ、当初制御回路基板2における接点がアウトサイド制御回路基板3と繋がるようにする。
(以下省略)」
「【0036】
図13に示されるように、本発明のもう一つの実施例において、ステップS20では、導電手段7を介して、アウトサイド制御回路基板3とインサイド制御回路基板5とを接続し、導電手段7における二つの回路接続インターフェースが、それぞれ、アウトサイド回路基板における外部接点3aとインサイド制御回路基板5における内部接点5aとに接続されるようにする。具体に実施する場合には、導電手段7における二つの回路接続インターフェースは、それぞれ、アウトサイド制御回路基板3における外部接点に接続され、他の一端部をカートリッジの内部に進入させ、ライナー4をハウジング溝1aの内部に装着すると、インサイド制御回路基板5における接点を、カートリッジの内部に進入される導電手段7の一部の点に接続させる。導電手段7は、U型の構成とされてもよい。そうすると、導電手段7におけるU型の両側に、それぞれ、回路接続インターフェースを設け、二つの回路接続インターフェースが、それぞれ、当初制御回路基板2及びインサイド制御回路基板5と対応しており、ハウジング溝1a外に位置する回路接続インターフェースをアウトサイド制御回路基板3に電気接続し、ハウジング溝1a内に位置する回路接続インターフェースを、インサイド制御回路基板5における内部接点5aに電気接続し、U型の導電手段7におけるU型の底部をハウジング溝1aの溝に係合する。
【0037】
具体に実施する場合には、導電手段7は、カートリッジハウジング1を貫通してもよい。そうすると、導電手段7における二つの回路接続インターフェースは、それぞれ、ハウジング溝1a外及びハウジング溝1a内に位置し、ハウジング溝1a外に位置する回路接続インターフェースがアウトサイド制御回路基板3に電気接続され、ハウジング溝1a内に位置する回路接続インターフェースが、ライナー4がハウジング溝1a内に取り付けられると、内部接点5aに繋がる(図示せず)。本実施例では、説明するべきところは、導電手段7の形状及び載置の位置について限定されておらず、本実施例において、導電手段7がアウトサイド制御回路基板3及びインサイド制御回路基板5を電気接続して、両者の繋がりを実現可能なものであればよい。
【0038】
図14~17に示されるように、本発明の他の一つ実施例において、ステップS20では、アウトサイド制御回路基板3の外部接点3aの一部を、当初制御回路基板2に接続し、アウトサイド制御回路基板3を、カートリッジハウジング1に沿って、ハウジング溝1a内に折り曲げ、アウトサイド制御回路基板3における残りの外部接点3aの一部がハウジング溝1a内に位置するようにしてもよい。
【0039】
具体に実施する場合には、アウトサイド制御回路基板3における外部接点3aを、当初制御回路基板2接続接点に接続してから、アウトサイド制御回路基板3をハウジング溝1aに折り返し、アウトサイド制御回路基板3における他の外部接点3aの一部がハウジング溝1a内に位置し、内部接点5aと一対一に対応し、ライナー4を取り付けた場合に内部接点5aがアウトサイド制御回路基板3におけるハウジング溝1a内に位置する外部接点3aと繋がるようにする。本実施例では、同様に、アウトサイド制御回路基板3を如何して折り曲げるかについて限定されていない。また、本実施例では、アウトサイド制御回路基板3は、フレキシブルな回路基板であり、しかも、アウトサイド制御回路基板3に第一チップが設置されている。本実施例では、アウトサイド制御回路基板について、その具体的な載置及び折り曲げの形状が具体的に限定されておらず、折り曲げられたアウトサイド制御回路基板3は、ライナー4を取り付けた場合に、ハウジング溝1aに位置する外部接点3aが内部接点5aと繋がればよい。」
「【0043】
カートリッジハウジング1については、カートリッジハウジング1にはハウジング溝1aが開設されており、カートリッジハウジング1には当初制御回路基板2がもうけられ、アウトサイド制御回路基板3には、第一チップが設置されており、アウトサイド制御回路基板3は、当初制御回路基板2と電気的に繋がり、インサイド制御回路基板5がライナー4に取り付けられ、インサイド制御回路基板5には第二チップが設けられ、インサイド制御回路基板5には内部接点が設けられ、そのうち、ライナー4がカートリッジハウジング1に置かれてから、アウトサイド制御回路基板3が内部接点と電気的に繋がる。第一チップ又は第二チップには、ライナー4についてその実際のインク量データ及び使用のプログラムが記憶されている。」
「【0050】
再度、図13を参照すると、本発明の他の一つ実施例では、アウトサイド制御回路基板3がインサイド制御回路基板5を介して導電手段7に接続される。具体に実施する場合に、導電手段7には、二つの回路接続インターフェースが設けられ、導電手段7における二つの回路接続インターフェースは、それぞれ、アウトサイド制御回路基板3の外部接点3a及びインサイド制御回路基板5の内部接点5aに接続され、ライナー4がハウジング溝1a内に取り付けられると、アウトサイド制御回路基板3とインサイド制御回路基板5とを導電手段7を介して接続することにより、アウトサイド制御回路基板3がインサイド制御回路基板5と繋がるようにする。導電手段7は、それぞれ複数の回路接続インターフェースが設けられる、本技術的手段では、導電手段7がU型の構成とされてもよい。そうすると、導電手段7におけるU型の両側が、それぞれ、ハウジング溝1a内及びハウジング溝1a外に位置し、ハウジング溝1a外に位置する導電手段7のU型一側が当初制御回路基板2に接続され、ハウジング溝1a内に位置する導電手段7のU型一側がインサイド制御回路基板5に接続されることから、電気的繋がりが実現される。
【0051】
それと同時に、導電手段7は、ハウジング溝1aの外壁を貫通してもよい。そうすると、導電手段7における二つの回路接続インターフェースは、それぞれ、ハウジング溝1a内及びハウジング溝1a外に位置し、ハウジング溝1a外に位置する回路接続インターフェースが当初制御回路基板2における接点に対応し、ハウジング溝1a内に位置する回路接続インターフェースがインサイド制御回路基板5における内部接点5aに対応し、導電手段7をして接続すると電気的繋がりが実現される。説明するべきところは、本実施例に、導電手段7についてその具体的な形状が限定されておらず、導電手段7についてその具体的な載置位置が限定されていない。本実施例では、導電手段7が置かれると、ライナー4が置かれる場合に、内部接点5aがアウトサイド制御回路基板3におけるハウジング溝1a内に位置する外部接点3aと繋がればよい(図示せず)。
【0052】
本発明のもう一つの実施例では、カートリッジハウジング1の開口には接続溝が開設され、アウトサイド制御回路基板3が接続溝に係合され、しかも、外部接点3aの一部が当初制御回路基板2に繋がり、残りの外部接点3aの一部がハウジング溝1aに位置し、ライナー4がハウジング溝1a内に置かれてから、内部接点5aがハウジング溝1a内に位置する外部接点3aに繋がる。具体に実施する場合に、ハウジング溝1aの溝口に接続溝を開設することにより、アウトサイド制御回路基板3を接続溝内に係合し、アウトサイド制御回路基板3における外部接点3aの一部がハウジング溝1a外に位置し、しかも、当初制御回路基板2と一対一に対応し、ハウジング溝1a内に位置する外部接点3aが内部接点5aと一対一に対応し、ライナー4の取り付け口の内部接点5aがハウジング溝1a内に位置する外部接点3aと繋がる(図示せず)。
【0053】
再度、図14~17に示されるように、本発明のもう一つの実施例では、アウトサイド制御回路基板3における外部接点3aの一部が当初制御回路基板2における接点に接続され、しかも、アウトサイド制御回路基板3がハウジング溝1aに沿って、ハウジング溝1a内に折り曲げられ、残りの外部接点3aの一部がハウジング溝1aに位置することにより、ライナー4がハウジング溝1a内に取り付けられる場合に、ハウジング溝1aに位置する外部接点3aが内部接点5aに繋がる。具体に実施する場合に、アウトサイド制御回路基板3を折り曲げ可能な回路基板として設置し、アウトサイド制御回路基板3における外部接点3aの一部が当初制御回路基板2に接続され、アウトサイド制御回路基板3がハウジング溝1aの溝に折り曲げられ、ハウジング溝1a内に進入し、しかも、ハウジング溝1a内に位置する残りの外部接点3aの一部が内部接点5a位置と対応することにより、ライナー4が取り付けられた場合に、ハウジング溝1a内に位置する外部接点3aが内部接点5aと繋がることができる。」
「【0056】
本願の明細書は、上記に説明した実施の形態に限定されておらず、本願の明細書において、アウトサイド制御回路基板3がインサイド制御回路基板5に繋がればよく、繋がりの形態について、本願の明細書に、重複する説明を省略する。」
「
[図:0001424538000001.jpg]
」(【図13】)
「
[図:0001424538000002.jpg]
」(【図14】)
「
[図:0001424538000003.jpg]
」(【図15】)
「
[図:0001424538000004.jpg]
」(【図16】)
「
[図:0001424538000005.jpg]
」(【図17】)
(2)優先権についての当審の判断
上記(1)の事項は、本件特許の優先基礎出願(引用文献1(甲第1号証)参照)に記載されておらず、国際出願時に新たに追加されたものである。
すなわち、本件明細書等の「導電手段」(本件訂正発明3、11)、「接続溝」(本件訂正発明13)、アウトサイド制御回路基板を「折り曲げ」ること(本件訂正発明4)、及び、【図13】~【図17】は、優先基礎出願には記載されておらず、国際出願時に新たに追加されたものである。
このため、本件訂正発明3、4、11、13について、優先権の主張を認めることはできない。さらに、訂正後の請求項3、4又は11を直接的又は間接的に引用する訂正後の請求項5~8及び12についても、優先権の主張を認めることはできない。
よって、本件訂正発明3~8、11~13については、国際出願日である2020年(令和2年)1月23日に基づいて、新規性・進歩性の判断を行う。
2 引用文献について
(1)引用文献1について
ア 引用文献1に記載されている事項、引用文献1に記載された発明
引用文献1に記載されている事項
引用文献1には、次の事項が記載されている。
「
[図:0001424538000006.jpg]
[図:0001424538000007.jpg]
[図:0001424538000008.jpg]
(当審訳、下線は当審で付与した。以下同じ。)
[0043] 図1~図12に示されるように、実施例1は、ライナーカートリッジの加工方法についての具体的な実施の形態を開示しており、従来技術における廃棄されたカートリッジ(つまり、当初カートリッジ)を加工してライナーカートリッジを取得するライナーカートリッジ加工方法であり以下のステップからなる:
[0044] 図1~図3に示されるように、ステップS10では、当初カートリッジから上部カバーを取り除き、カートリッジハウジング1を取得する。
[0045] 図4~図7に示されるように、ステップS20では、カートリッジハウジング1の前面1bには、繋がり穴1cを開設し、アウトサイド制御回路基板3を、当初カートリッジの当初制御回路基板2に接続し、アウトサイド制御回路基板3に第一チップを開設する。実際の操作では、当初制御回路基板2における接点を、アウトサイド制御回路基板3における対応位置の外部接点3aの一部に、一対一に対応するように溶接することにより、当初制御回路基板2における接点を、アウトサイド制御回路基板3における外部接点3aと繋げ、残りの部分の外部接点3aを、繋がり穴1cを介して、カートリッジハウジング1内に進入させる。
[0046] 図8~図9に示されるように、ステップS30では、ライナー4における繋がり穴1cと対応する位置に、インサイド制御回路基板5を設置し、つまり、ライナーの前面4a、インサイド制御回路基板5には、内部接点5a及び第二チップを設ける。具体的には、インサイド制御回路基板5の内部接点5aを、インサイド制御回路基板5におけるライナー4から離れる端面に設置することにより、インサイド制御回路基板5における内部接点5aを、カートリッジハウジング1内に進入する外部接点3aに簡便に繋げることができる。
[0047] 図10~図12に示されるように、ステップS40では、ライナー4を、カートリッジハウジング1内に取り付け、ライナー4の前面カバー6をカートリッジハウジング1の開口に係合することにより、インサイド制御回路基板5の内部接点5aを、カートリッジハウジング1内に進入する外部接点3aと、一対一に対応するように繋げ、ライナーカートリッジを取得する。つまり、内部接点5aと外部接点3aとが互いに接触することにより、オンということが実現され、インサイド制御回路基板5における回路を、アウトサイド制御回路基板3における回路に接続する。
[0048] アウトサイド制御回路基板3の第一チップ又はインサイド制御回路基板5の第二チップには、ライナー4についてその実際のインク量データ及び使用のプログラムが書き込まれていることから、ライナーカートリッジがプリンター内に置かれると、プリンターの接点がアウトサイド制御回路基板3に繋がり、プリンターは、アウトサイド制御回路基板3を介してインサイド制御回路基板5に接続され、ライナーカートリッジの印刷インクの噴出機能が図れ、しかも、プリンターは、記憶されている実際のインク量データを読み取り、現在におけるライナー4内のインク量を取得することができる。ただし、第一チッと第二チップとには、それぞれ、一部のデータを書き込むことにより、第一チップが第二チップと繋がると協力して作動することになる。
[0049] さらに好ましくは、ステップS10では、当初カートリッジから上部カバーを取り除いた場合に、当初カートリッジのインナーキャビティにおける仕切り部を切削し、スポンジを取り出して、当初カートリッジのインナーキャビティ内のインクを洗浄し、当初カートリッジのインナーキャビティの仕切り部を切削し切れた場合に、滑らかな内壁となるハウジング溝1aを取得し、カートリッジハウジング1におけるライナー4を載置可能な体積を増やし、ライナー4の体積を増やし、得られたライナーカートリッジのインク蓄積最大量を大きくすることができる。それと同時に、次に、ライナーカートリッジにライナー4を交換することにより、インクが手に粘着されてしまうことを避けるように、当初カートリッジ内のインクを洗浄する。
[0050] 当初カートリッジ内のスポンジをリサイクするためには、ステップS40からステップ50の間に、取り出されたスポンジを洗浄し、スポンジをライナー4に装着しリサイクするステップS41をさらに含む。スポンジへのリサイクは、カートリッジを再度利用するプロセスにおけるスポンジの使用量を削減し、ライナーカートリッジを再生するコストを節約することができる。」
「
[図:0001424538000009.jpg]
[図:0001424538000010.jpg]
[図:0001424538000011.jpg]
(当審訳)
[0052] 図1~図12に示されるように、実施例2は、ライナーカートリッジについての具体的な実施の形態を開示しており、実施例1における対応するライナーカートリッジの加工方法により加工して得られるものであり、具体的に、カートリッジハウジング1、アウトサイド制御回路基板3、インサイド制御回路基板5及びインクを蓄積するライナー4を含む。
[0053] 図1~図4に示されるように、カートリッジハウジング1にはハウジング溝1aが設けられ、カートリッジハウジングの前面1bには当初制御回路基板2が設けられ、カートリッジハウジングの前面1bには、繋がり穴1cがさらに設けられ、本実施例では、図4に示されるように、繋がり穴1cが四角形の穴とされ、当初制御回路基板2の左側に設置される。」
[0054] 図4~図7に示されるように、アウトサイド制御回路基板3には、データを処理し、データを記憶するための第一チップが設けられ、アウトサイド制御回路基板3には、若干の外部接点3aがさらに設けられ、若干の外部接点3aを第一部分及び第二部分とすると、第一部分の外部接点3aが当初制御回路基板2における接点と、溶接の形態により一対一に対応して繋がり、アウトサイド制御回路基板3と当初制御回路基板2とのオンが実現され、第二部分の外部接点3aが繋がり穴1cを介してハウジング溝1a内に進入し、第一部分の外部接点3aがプリンターの接点に接触するように、アウトサイド制御回路基板3を貫通することにより、プリンターが円滑にアウトサイド制御回路基板3と繋がることができる。
[0055] もちろん、繋がり穴1cが、円形状、方形状や三角形などでもよく、第二部分の外部接点3aが当該繋がり穴1cを介してハウジング溝1a内に進入することが保証されればよく、繋がり穴1cは、当初制御回路基板2の右側や上側などに設置されてもよく、ここで省略する。
[0056] ライナー4は、ハウジング溝1a内に設置され、図8~図9に示されるように、ライナーの前面4aにはインサイド制御回路基板5が設けられ、当該インサイド制御回路基板5には、データを処理しデータを記憶するための第二チップが設けられ、インサイド制御回路基板5におけるライナー4から離れる端面には、若干の内部接点5aがさらに設けられ、内部接点5aが第二部分の外部接点3aと一対一に対応して繋がることにより、アウトサイド制御回路基板3とインサイド制御回路基板5とのオンが実現され、アウトサイド制御回路基板3がインサイド制御回路基板5とオンにされるという場合にのみ、プリンターは、ライナーカートリッジがインクを噴出し、又は、ライナー4内の実際のインク量データを読み取るように制御することができる。
[0057] 第一チップには、予め、ライナー4についてその実際のインク量データ及び使用のプログラムが書き込まれていることから、ライナーカートリッジをプリンター内に取り付けると、プリンターは、第一チップにより、ライナー4についてその実際のインク量データを取得することができ、従来技術における、廃棄されたカートリッジにインクを再度充填するとインク量を表示できないという問題を克服することができる。
[0058] 図10~図12に示されるように、ライナー4の前面カバー6は、ハウジング溝1aの開口に係合され、ハウジング溝1aを外部から分離する。
[0059] 勿論、第一チップと第二チップとには、例えば、インクの色やライナー4における各チャンバーに受容され対応するインクの色などの其他データ又はプログラムが書き込まれてもよく、第一チップと第二チップを一つの集積チップとして使用され、実際の事情に応じて設置されてもよい。」
イ 引用文献1から把握できる事項
上記アから、引用文献1には、次の事項が記載されているといえる。
(ア)[0043]~[0046]の記載から、引用文献1には、「以下のステップからなる、廃棄されたカートリッジ(つまり、当初カートリッジ)を加工してライナーカートリッジを取得するライナーカートリッジ加工方法であって」、「当初カートリッジから上部カバーを取り除き、カートリッジハウジング1を取得するステップS10」、「カートリッジハウジング1の前面1bには、繋がり穴1cを開設し、アウトサイド制御回路基板3を、当初カートリッジの当初制御回路基板2に接続し、当初制御回路基板2における接点を、アウトサイド制御回路基板3における対応位置の外部接点3aの一部に、一対一に対応するように溶接することにより、当初制御回路基板2における接点を、アウトサイド制御回路基板3における外部接点3aと繋げ、残りの部分の外部接点3aを、繋がり穴1cを介して、カートリッジハウジング1内に進入させるステップS20」、「ライナー4における繋がり穴1cと対応する位置に、内部接点5a及び第二チップがもうけられたインサイド制御回路基板5を設置することであって、インサイド制御回路基板5の内部接点5aを、インサイド制御回路基板5におけるライナー4から離れる端面に設置することにより、インサイド制御回路基板5における内部接点5aを、カートリッジハウジング1内に進入する外部接点3aに簡便に繋げることができるようにするステップ30」を含むことが記載されているといえる。
(イ)[0047]の記載から、引用文献1には、「ライナー4を、カートリッジハウジング1内に取り付け、ライナー4の前面カバー6をカートリッジハウジング1の開口に係合することにより、インサイド制御回路基板5の内部接点5aを、カートリッジハウジング1内に進入する外部接点3aと、一対一に対応するように繋げることで、ライナーカートリッジを取得することであって、内部接点5aと外部接点3aとが互いに接触することにより、オンということが実現され、インサイド制御回路基板5における回路を、アウトサイド制御回路基板3における回路に接続するステップ40」が記載されているといえる。
(ウ)[0049]には、「ステップS10では、当初カートリッジから上部カバーを取り除いた場合に、当初カートリッジのインナーキャビティにおける仕切り部を切削し、スポンジを取り出して、当初カートリッジのインナーキャビティ内のインクを洗浄」することが記載されている。
(エ)[0050]の記載から、引用文献1には、「ステップS40の後に、取り出されたスポンジを洗浄し、スポンジをライナー4に装着しリサイクするステップS41をさらに含」むことが記載されているといえる。
(オ)[0048]の記載から、引用文献1には、「アウトサイド制御回路基板3の第一チップ又はインサイド制御回路基板5の第二チップには、ライナー4内のインク量についてその実際のインク量データ及び使用のプログラムが書き込まれている」ことが記載されているといえる。
(カ)[0043]の「廃棄されたカートリッジ(つまり、当初カートリッジ)を加工してライナーカートリッジを取得するライナーカートリッジ加工方法であり以下のステップからなる」との記載から、引用文献1には、上記ア~エのステップを実行する「ライナーカートリッジ加工方法」が記載されているといえる。
(キ)[0053]の記載から、引用文献1には、「ハウジング溝1aが設けられ、当初制御回路基板2が設けられるカートリッジハウジング1」が記載されているといえる。
(ク)[0054]の記載から、引用文献1には、「データを記憶するための第一チップ及び第一部分及び第二部分がある外部接点3aが設けられ、第一部分の外部接点3aが、当初制御回路基板2における接点と、溶接の形態により一対一に対応して繋がるアウトサイド制御回路基板3」が記載されているといえる。
(ケ)[0046]、[0056]の記載から、引用文献1には、「ハウジング溝1a内に設置されるライナー4にはインサイド制御回路基板5及び内部接点5aが設けられ」ること、「インサイド制御回路基板5には、内部接点5a及びデータを処理しデータを記憶するための第二チップが設けられ」ること、「内部接点5aが第二部分の外部接点3aと一対一に対応して繋が」ることが記載されているといえる。
また、[0056]の「アウトサイド制御回路基板3とインサイド制御回路基板5とのオンが実現され、アウトサイド制御回路基板3がインサイド制御回路基板5とオンにされるという場合にのみ、プリンターは、ライナーカートリッジがインクを噴出」との記載から、ライナーカートリッジがインクを噴出するためには、アウトサイド制御回路基板3とインサイド制御回路基板5とが電気的に繋がっている必要があることは明らかであるため、引用文献1には、「ライナー4がカートリッジハウジング1に取り付けられた後、アウトサイド制御回路基板が内部接点5aに電気的に繋が」ることが記載されているといえる。
(コ)[0048]、[0057]、[0059]の記載から、引用文献1には、「第一チップと第二チップとには、インクの色やライナー4における各チャンバーに受容され対応するインクの色などのデータ、又は、その実際のインク量データ及び使用のプログラムが書き込まれてもよ」いことが記載されている。
(サ)上記アの記載から、引用文献1には、上記(キ)~(コ)を構成要素に含む、「ライナーカートリッジ」が記載されているといえる。
ウ 引用文献1に記載された発明
上記イ(ア)~(カ)から、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明1A」という。)が記載されているといえる。
「 以下のステップからなる、廃棄されたカートリッジ(つまり、当初カートリッジ)を加工してライナーカートリッジを取得するライナーカートリッジ加工方法であって、
当初カートリッジから上部カバーを取り除き、カートリッジハウジング1を取得するステップS10と、
カートリッジハウジング1の前面1bには、繋がり穴1cを開設し、アウトサイド制御回路基板3を、当初カートリッジの当初制御回路基板2に接続し、当初制御回路基板2における接点を、アウトサイド制御回路基板3における対応位置の外部接点3aの一部に、一対一に対応するように溶接することにより、当初制御回路基板2における接点を、アウトサイド制御回路基板3における外部接点3aと繋げ、残りの部分の外部接点3aを、繋がり穴1cを介して、カートリッジハウジング1内に進入させるステップS20と、
ライナー4における繋がり穴1cと対応する位置に、内部接点5a及び第二チップがもうけられたインサイド制御回路基板5を設置することであって、インサイド制御回路基板5の内部接点5aを、インサイド制御回路基板5におけるライナー4から離れる端面に設置することにより、インサイド制御回路基板5における内部接点5aを、カートリッジハウジング1内に進入する外部接点3aに簡便に繋げることができるようにするステップ30と、
ライナー4を、カートリッジハウジング1内に取り付け、ライナー4の前面カバー6をカートリッジハウジング1の開口に係合することにより、インサイド制御回路基板5の内部接点5aを、カートリッジハウジング1内に進入する外部接点3aと、一対一に対応するように繋げることで、ライナーカートリッジを取得することであって、内部接点5aと外部接点3aとが互いに接触することにより、オンということが実現され、インサイド制御回路基板5における回路を、アウトサイド制御回路基板3における回路に接続するステップ40と、を含み、
ステップS10では、当初カートリッジから上部カバーを取り除いた場合に、当初カートリッジのインナーキャビティにおける仕切り部を切削し、スポンジを取り出して、当初カートリッジのインナーキャビティ内のインクを洗浄し、
ステップS40の後に、取り出されたスポンジを洗浄し、スポンジをライナー4に装着しリサイクするステップS41をさらに含み、
アウトサイド制御回路基板3の第一チップ又はインサイド制御回路基板5の第二チップには、ライナー4内のインク量についてその実際のインク量データ及び使用のプログラムが書き込まれている、
ライナーカートリッジ加工方法。」
また、上記イ(キ)~(サ)から、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明1B」という。)が記載されているといえる。
「 ハウジング溝1aが設けられ、当初制御回路基板2が設けられるカートリッジハウジング1であって、
データを記憶するための第一チップ及び第一部分及び第二部分がある外部接点3aが設けられ、第一部分の外部接点3aが、当初制御回路基板2における接点と、溶接の形態により一対一に対応して繋がるアウトサイド制御回路基板3を含み、
ハウジング溝1a内に設置されるライナー4にはインサイド制御回路基板5及び内部接点5aが設けられ、
インサイド制御回路基板5には、内部接点5a及びデータを処理しデータを記憶するための第二チップが設けられ、
ライナー4がカートリッジハウジング1に取り付けられた後、アウトサイド制御回路基板が内部接点5aに電気的に繋がり、
第一チップと第二チップとには、インクの色やライナー4における各チャンバーに受容され対応するインクの色などのデータ、又は、その実際のインク量データ及び使用のプログラムが書き込まれてもよい、
ライナーカートリッジ。」
(2)引用文献2について
ア 引用文献2に記載されている事項
引用文献2には、次の事項が記載されている。
「
[図:0001424538000012.jpg]
(当審訳)
背景技術
[0003] 画像形成装置(例えば、プリンタ)は、例えば、トナーカートリッジ、インクカートリッジなど、印刷材料を提供するための印刷消耗品を有する。従来技術において、インクジェットカートリッジは、一体的に設けられたカートリッジ本体、カートリッジ収容チャンバ、及びノズル回路を備える。ここで、ノズル回路には、カートリッジ収容チャンバのインク量情報が記録されている。一旦、カートリッジ収容チャンバにおけるインクが切れたら、インク量情報が切れ状態と書き込まれ、たとえ、インク満タンの新品のカートリッジ収容チャンバをカートリッジ本体に装着したとしても、インク量の消耗請求をリアルタイムに記録することができず、印刷品質に影響を及ぼす虞がある。しかし、この際のインクジェットカートリッジのノズル回路がまだ使えるため、元のカートリッジを破壊しない前提で、カートリッジの各チップ間の接続関係及びデータ処理ロジックを処理することができ、製造の流れを簡単化させ、ノズル回路の再利用のコストを低減させ、インクジェットカートリッジの再利用を効率化させる技術が必要となる。」
「
[図:0001424538000013.jpg]
(当審訳)
[0025] 図1は本願の実施例に係るインクジェットカートリッジの構造の模式図であり、図2は本願の実施例に係るインクジェットカートリッジの電気接続関係の模式図である。図1及び図2に示すように、インクジェットカートリッジ10は、カートリッジ本体11、第1の回路基板12、インク収容チャンバ13、及び第2の回路基板15を備える。ここで、第1の回路基板12はカートリッジ本体11に接続されており、第1の回路基板12には、互いに電気接続された第1のインターフェース回路121及びノズル回路122が設けられている。第2の回路基板15はカートリッジ本体11に接続されており、第2の回路基板15には、第2のインターフェース回路151、第3のインターフェース回路152及び転送回路154が設けられている。ここで、第2のインターフェース回路151及び第1のインターフェース回路121はカートリッジ本体11の同じ側に設けられ、且つ第2のインターフェース回路151及び第1のインターフェース回路121が電気接続されている。転送回路154は、第2のインターフェース回路151及び第3のインターフェース回路152間の信号伝送を処理することができる。カートリッジ本体11は収容部を有し、該収容部内にインク収容チャンバ13が着脱可能、又は交換可能に装着される。」
「
[図:0001424538000014.jpg]
[図:0001424538000015.jpg]
(当審訳)
[0028] 図1及び図2に示すように、ノズル回路122は、第1のインターフェース回路121に電気接続されており、第1のインターフェース回路121を介して画像形成装置30と通信接続することが可能である。具体的には、ノズル回路122は、第1のインターフェース回路121を介して画像形成装置30から送信されたインクジェット制御信号を受信することにより、インク収容チャンバ13におけるインクを規則的に噴射するように制御して、画像形成媒体に画像を形成することができる。なお、カートリッジ本体11がノズル回路122と連通したインク通路を有し、インク収容チャンバ13に該インク通路と連通したインク出口が設けられており、インク収容チャンバ13がカートリッジ本体11に装着された場合に、インク収容チャンバ13におけるインクがインク出口を通してカートリッジ本体11のインク通路に入って、ノズル回路122へ流れる。
[0029] 本実施例において、図2に示すように、交換可能なインク収容チャンバ13には、互いに電気接続された第1の記憶回路142及び第4のインターフェース回路141が設けられている。第1の記憶回路142には、少なくともインク収容チャンバ13のインク量情報が記憶されている。該インク量情報は、通常、インク収容チャンバ13におけるインクの状態(例えば、インクの消耗程度など)を反映するものである。勿論、第1の記憶回路142には、インク収容チャンバ13に関する、インク収容チャンバの交換に伴って変化する可能性がある他の情報が記憶されてもよい。第4のインターフェース回路141及び第1の記憶回路142は同一の回路基板(例えば、第3回路基板14)に設けられてもよい。
[0030] ここで、図2に示すように、第3のインターフェース回路152及び第4のインターフェース回路141のインターフェースは、一体的に溶接されてもよく、接着又は他の着脱可能な形態で接続されてもよい。
[0031] 図2に示すように、第2の回路基板15における転送回路154は、第1のインターフェース回路121に電気接続されている。例えば、第2の回路基板15は、第2のインターフェース回路151を介して第1のインターフェース回路121と電気接続することができる。いくつかの実施例では、第2のインターフェース回路151は第2の回路基板15の第1のインターフェース回路121を覆う箇所に設けられており、第1のインターフェース回路121に直接に電気接触するように接続されている。
[0032] 一方、図2に示すように、プリンタが第1の記憶回路142におけるインク状態情報にアクセスすることを可能にさせるために、第4のインターフェース回路141は第3のインターフェース回路152に電気接続されてもよい。交換可能なインク収容チャンバ13がカートリッジ本体11に装着されると、第1の記憶回路142は第3のインターフェース回路152を介して転送回路154と電気接続を行う。このように、画像形成装置30は、転送回路154を介して第1の記憶回路142にアクセスし、第1の記憶回路142におけるインク量情報について読取り操作又は書込み操作を行うことができる。」
「
[図:0001424538000016.jpg]
(当審訳)
[0049] 本発明のいくつかの実施例では、第2の回路基板15/25には、さらに第2の記憶回路(図示しない)が設けられている。ここで、第2の記憶回路には、少なくとも一部のカートリッジデータが記憶されている。カートリッジデータは、インクジェットカートリッジ10/20の基本情報を示し、インクジェットカートリッジ10/20の製造日、ノズルの種類、型番、色、暗号化方式、ハードウェアのパラメータ情報などのデータを含んでもよい。転送回路154/254は、第2のインターフェース回路151/251からの全部の信号を処理して、そのうちの一部又は全部の信号を第2の記憶回路に伝送する。具体的に、転送回路154/254は、データアクセス信号を処理して第2の記憶回路に伝送して、画像形成装置30の第2の記憶回路のデータへのアクセスを実現させる。
」
「
[図:0001424538000017.jpg]
(当審訳)
[0067] 他の例として、図8に示すように、第2の回路基板15は、可撓性基板であるため、収容部の特定の側壁aに沿って湾曲するように設けられている。該特定の側壁aとは、第1の回路基板12(又は第1のインターフェース回路121)が設けられた側壁を指す。具体的には、第2の回路基板15は、湾曲してU字状構造になり、該U字状構造では、底部と、該底部の対向する2つの側辺とそれぞれに繋いだ2つの側部U1及びU2とを有し、側部U1は前記特定の側壁aの収容部の外に向く面に接触し、側部U2は前記特定の側壁aの収容部の内に向く面に接触する。U字状板の両端はそれぞれに側部U1及び側部U2に位置する。これにより、U1はU1領域、U2はU2領域とも呼ばれる。この場合、該U字状構造では、自体の形状によって、収容部の特定の側壁aを乗り越えて、特定の側壁aの異なる側におけるインターフェース回路を接続することができるため、特定の側壁aに穴又は開口を設ける必要はない。ここで、第3のインターフェース回路152は、側部U2においてU字状構造の外側に向く面(即ち、前記特定の側壁aとは反対する面)に設けられてもよい。ここで、U字状構造の底部領域には、第2のインターフェース回路151と第3のインターフェース回路152の一部とを接続するための導線が複数設けられている。」
「
[図:0001424538000018.jpg]
(当審訳)
[図:0001424538000019.jpg]
【図2】」
「
[図:0001424538000020.jpg]
」
イ 引用文献2に記載された発明
上記アから、引用文献2には、次の発明(以下、「引用発明2」という。)が記載されているといえる。
「 カートリッジ本体11、第1の回路基板12、インク収容チャンバ13、及び第2の回路基板15を備えるインクジェットカートリッジ10であって([0025])、
カートリッジ本体11は収容部を有し、該収容部内にインク収容チャンバ13が着脱可能、又は交換可能に装着され([0025])、
第1の回路基板12は、カートリッジ本体11に接続されており、第1の回路基板12には、互いに電気接続された第1のインターフェース回路121及びノズル回路122が設けられており([0025])、
第2の回路基板15には、第2のインターフェース回路151、第3のインターフェース回路152及び転送回路154が設けられており([0025])、
第2のインターフェース回路151及び第1のインターフェース回路121が電気接続され([0025])、
転送回路154は、第2のインターフェース回路151及び第3のインターフェース回路152間の信号伝送を処理することができ([0025])、
カートリッジ本体11は収容部を有し、該収容部内にインク収容チャンバ13が着脱可能、又は交換可能に装着され([0025])、
交換可能なインク収容チャンバ13には、互いに電気接続された第1の記憶回路142及び第4のインターフェース回路141が設けられ([0029])、
第4のインターフェース回路141及び第1の記憶回路142は同一の回路基板(例えば、第3回路基板14)に設けられてもよく([0029])、
第1の記憶回路142には、少なくともインク収容チャンバ13のインク量情報が記憶されており、該インク量情報は、通常、インク収容チャンバ13におけるインクの状態(例えば、インクの消耗程度など)を反映するものであり([0029])、
第2のインターフェース回路151は第2の回路基板15の第1のインターフェース回路121を覆う箇所に設けられており、第1のインターフェース回路121に直接に電気接触するように接続され([0031])、
プリンタが第1の記憶回路142におけるインク状態情報にアクセスすることを可能にさせるために、第4のインターフェース回路141は第3のインターフェース回路152に電気接続されてもよく([0032])、
交換可能なインク収容チャンバ13がカートリッジ本体11に装着されると、第1の記憶回路142は第3のインターフェース回路152を介して転送回路154と電気接続を行い([0032])、
第2の回路基板15には、さらに第2の記憶回路が設けられ、第2の記憶回路には、少なくとも一部のカートリッジデータが記憶され、カートリッジデータは、インクジェットカートリッジ10の基本情報を示し、インクジェットカートリッジ10の製造日、ノズルの種類、型番、色、暗号化方式、ハードウェアのパラメータ情報などのデータを含んでもよく([0049])、
転送回路154は、第2のインターフェース回路151からの全部の信号を処理して、そのうちの一部又は全部の信号を第2の記憶回路に伝送し([0049])、
他の例として、
第2の回路基板15は、収容部の特定の側壁aに沿って湾曲するように設けられ、湾曲してU字状構造になり、該U字状構造では、底部と、該底部の対向する2つの側辺とそれぞれに繋いだ2つの側部U1及びU2とを有し、側部U1は前記特定の側壁aの収容部の外に向く面に接触し、側部U2は前記特定の側壁aの収容部の内に向く面に接触し([0049]、[図8])、
第3のインターフェース回路152は、側部U2においてU字状構造の外側に向く面(即ち、前記特定の側壁aとは反対する面)に設けられてもよい([0049]、[図8])、
インクジェットカートリッジ10。」
(3)引用文献3について
ア 引用文献3に記載されている事項
引用文献3には、次の事項が記載されている。
「【0020】
図2,3に示されるように、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110へ装着されるときに挿入向き56前側となる本体31の壁が前壁40であり、挿入向き56後側となる本体31の壁が後壁41である。前壁40と後壁41とは、挿入及び取出方向50において対向している。前壁40及び後壁41は、挿入及び取出方向50に延びる左右一対の側壁37,38、側壁37,38と前壁40及び後壁41とを接続し、かつ前壁40の上端から後壁41の上端に渡って挿入及び取出方向50に沿って拡がる上壁39、及び前壁40の下端から後壁41の下端に渡って挿入及び取出方向50に渡って拡がる下壁42、の4つの壁によりそれぞれ区画されている。なお、挿入及び取出方向50は奥行き方向53と平行である。」
「【0029】
図3,5に示されるように、本体31の前壁40の上側には、IC基板74が設けられている。IC基板74は、残量検知部33の上方に位置する。本体31の前壁40における残量検知部33の上方とは、換言すると、前壁40における、残量検知部33に対するインク供給部34が配置された側と反対側である。さらに換言すると、IC基板74は、前壁40においてインク供給部34よりも上壁39側に配置されている。IC基板74は、アダプタ90を介してカートリッジ装着部110の接点106(図6参照)と電気的に導通する。」
「【0031】
HOT電極、GND電極及びシグナル電極の各電極75はICと電気的に接続されている。電極75は、それぞれが高さ方向(上下方向)52に沿って延出されており、幅方向51に離間されて配置されている。各電極75は、薄板形状のIC基板74において前壁40に沿って挿入向き56側を向く面に電気的にアクセス可能に露出されている。つまり、各電極75は、本体31の前方から取出向き55へアクセス可能に露出されている。図7に示されるように、装着姿勢において、カートリッジ装着部110にアダプタ90及びインクカートリッジ30が装着されると、アダプタ90を介してIC基板74が接点106と電気的に導通された状態となる。電極75が電気的インターフェースに相当する。」
「【0038】
アダプタ90の前壁91において、高さ方向52の上側には、奥行き方向53へ貫通する開口99が形成されている。開口99は、アダプタ90に設けられたフレキシブルプリント配線板(FPC)89が挿通されるものである。したがって、開口99は、FPC89と対応する寸法及び形状に形成されている。
【0039】
図2~5に示されるように、FPC89は、薄い帯形状であって可撓性を有する配線板であり、その両端側に設けられた電気的にアクセス可能な領域87,88同士を導通するものである。FPC89の一端側に設けられた領域87は、アダプタ90の上壁92の外表面側に露出されている。領域87は、インクカートリッジ30に設けられたIC基板74の各電極75に対応して、電気的に独立した3つが形成されている。各領域87が、第1接点に相当する。各領域87が設けられている上壁92の外表面に沿って拡がる面が第1仮想面に相当する。
【0040】
FPC89の一端側の各領域87と、他端側の各領域88とは、それぞれ配線85によって電気的に導通されている。配線85は、FPC89の長手方向に沿って延出されている。したがって、アダプタ90の上壁92の外表面において、各配線85は、奥行き方向53に沿って直線上に延びている。各配線85は、幅方向51に間隔を空けて配置されている。幅方向51における各配線85の配置は、各領域87に対してオフセットされている。すなわち、幅方向51において、各配線85と各領域87とは同じ位置に配置されていない。換言すると、各配線85と各領域87とは奥行き方向53に延びる直線上に並んで配置されていない。」
「【0042】
図4に示されるように、前壁91の内面には、開口98へ向かってドーム形状に膨出する膨出部86が設けられている。膨出部86は、弾性を備えており、IC基板74の各電極75にそれぞれ対応して3箇所に設けられている。FPC89の他端側の各領域88は、各膨出部86を覆うように位置する。これにより、各領域88は、前壁91の内面より開口98へ膨出している。各領域88が第2接点に相当する。各領域88が設けられている前壁91の内面に沿って拡がる面が第2仮想面に相当する。したがって、第1仮想面と第2仮想面とは直交する関係にある。また、上壁92の外表面と前壁91の内面とは対向していない。」
「【0050】
各接点106は、電気回路を介して演算装置に電気的に接続されている。演算装置は、例えばCPU,ROM,RAMなどからなるものであり、プリンタ10の制御部として構成されていてもよい。FPC89を介して接点106と電極75のうちHOT電極とが電気的に導通されることによって、電圧VcがHOT電極に印加される。FPC89を介して接点106と電極75のうちGND電極とが電気的に導通されることにより、GND電極がアースされる。FPC89を介して接点106と電極75のうちHOT電極及びGND電極とが導通されることによって、ICに電力が供給される。FPC89を介して接点106と電極75のうちシグナル電極とが電気的に導通されることにより、ICに格納されたデータにアクセス可能となる。電気回路からの出力は演算装置に入力される。接点106が第3接点に相当する。」
「
[図:0001424538000021.jpg]
」(【図3】)
「
[図:0001424538000022.jpg]
」(【図4】)
「
[図:0001424538000023.jpg]
」(【図7】)
イ 引用文献3に記載された技術的事項
上記アから、引用文献3には、次の技術的事項(以下、「引用文献3技術的事項」という。)が記載されているといえる。
「 インクカートリッジ30の本体31前壁40の上側には、IC基板74が設けられ、
IC基板74は、アダプタ90を介してカートリッジ装着部110の接点106と電気的に導通するものであって、
カートリッジ装着部110にアダプタ90及びインクカートリッジ30が装着されると、アダプタ90を介してIC基板74が接点106と電気的に導通された状態となり、
アダプタ90の前壁91において、高さ方向52の上側には、奥行き方向53へ貫通する開口99が形成されており、開口99は、アダプタ90に設けられたフレキシブルプリント配線板(FPC)89が挿通されるものであって、
領域87は、インクカートリッジ30に設けられたIC基板74の各電極75に対応して、電気的に独立した3つが形成され、各領域87が第1接点に相当し、各領域88が第2接点に相当し、
FPC89の一端側の各領域87と、他端側の各領域88とは、それぞれ配線85によって電気的に導通され、
各接点106は、電気回路を介して演算装置に電気的に接続されていること。」
第6 取消理由についての当審の判断
1 引用文献1(甲1)を主引用文献とする進歩性の判断
(1)本件訂正発明3について
ア 対比
本件訂正発明3と、引用発明1Aとを対比する。
(ア)本件訂正発明3の「元のインクカートリッジから上部カバーを取り除き、カートリッジハウジングを取得するステップS10引用発明1Aの「当初カートリッジから上部カバーを取り除き、カートリッジハウジング1を取得するステップS10」について
引用発明1Aの「当初カートリッジ」は、加工対象の廃棄されたカートリッジであることから、本件訂正発明3の「元のインクカートリッジ」に相当し、引用発明1Aの「上部カバー」は、本件訂正発明3の「上部カバー」に相当し、引用発明1Aの「当初カートリッジから上部カバーを取り除」くことは、本件訂正発明3の「元のインクカートリッジから上部カバーを取り除」くことに相当し、引用発明1Aの「カートリッジハウジング1」は、本件訂正発明3の「カートリッジハウジング」に相当し、引用発明1Aの「カートリッジハウジング1を取得する」ことは、本件訂正発明3の「カートリッジハウジングを取得する」ことに相当する。
そうすると、引用発明1Aの「当初カートリッジから上部カバーを取り除き、カートリッジハウジング1を取得するステップS10」は、本件訂正発明3の「元のインクカートリッジから上部カバーを取り除き、カートリッジハウジングを取得するステップS10」に相当する。
(イ)本件訂正発明3の「アウトサイド制御回路基板を、前記元のインクカートリッジの当初制御回路基板に電気的に接続させ、前記当初制御回路基板における接点が前記アウトサイド制御回路基板に繋がるようにするステップS20」について
引用発明1Aの「カートリッジハウジング1の前面1bには、繋がり穴1cを開設し、アウトサイド制御回路基板3を、当初カートリッジの当初制御回路基板2に接続し、当初制御回路基板2における接点を、アウトサイド制御回路基板3における対応位置の外部接点3aの一部に、一対一に対応するように溶接することにより、当初制御回路基板2における接点を、アウトサイド制御回路基板3における外部接点3aと繋げ、残りの部分の外部接点3aを、繋がり穴1cを介して、カートリッジハウジング1内に進入させるステップS20」について、引用発明1Aの「アウトサイド制御回路基板3」は、本件訂正発明3の「アウトサイド制御回路基板」に相当し、引用発明1Aの「当初制御回路基板2」は、本件訂正発明3の「当初制御回路基板」に相当し、引用発明1Aの「アウトサイド制御回路基板3を、当初カートリッジの当初制御回路基板2に接続」することは、これにより、電気的に接続されることは明らかであるから、本件訂正発明3の「アウトサイド制御回路基板を、前記元のインクカートリッジの当初制御回路基板に電気的に接続」することに相当し、引用発明1Aの「当初制御回路基板2における接点を、アウトサイド制御回路基板3における外部接点3aと繋げ」ることは、本件訂正発明3の「前記当初制御回路基板における接点が前記アウトサイド制御回路基板に繋がるようにする」ことに相当する。
そうすると、引用発明1Aの「カートリッジハウジング1の前面1bには、繋がり穴1cを開設し、アウトサイド制御回路基板3を、当初カートリッジの当初制御回路基板2に接続し、当初制御回路基板2における接点を、アウトサイド制御回路基板3における対応位置の外部接点3aの一部に、一対一に対応するように溶接することにより、当初制御回路基板2における接点を、アウトサイド制御回路基板3における外部接点3aと繋げ、残りの部分の外部接点3aを、繋がり穴1cを介して、カートリッジハウジング1内に進入させるステップS20」は、本件訂正発明3の「アウトサイド制御回路基板を、前記元のインクカートリッジの当初制御回路基板に電気的に接続させ、前記当初制御回路基板における接点が前記アウトサイド制御回路基板に繋がるようにするステップS20」に相当する。
(ウ)本件訂正発明3の「ンク容器における対応の位置に、インサイド制御回路基板を設置するステップS30」について
引用発明1Aの「ライナー4における繋がり穴1cと対応する位置に、内部接点5a及び第二チップが設けられたインサイド制御回路基板5を設置することであって、インサイド制御回路基板5の内部接点5aを、インサイド制御回路基板5におけるライナー4から離れる端面に設置することにより、インサイド制御回路基板5における内部接点5aを、カートリッジハウジング1内に進入する外部接点3aに簡便に繋げることができるようにするステップ30」について、引用発明1Aの「ライナー4」は、「アウトサイド制御回路基板3の第一チップ又はインサイド制御回路基板5の第二チップには、ライナー4内のインク量についてその実際のインク量データ及び使用のプログラムが書き込まれている」ことから、本件訂正発明3の「インク容器」に相当し、引用発明1Aの「ライナー4における繋がり穴1cと対応する位置」は、本件訂正発明3の「インク容器における対応の位置」に相当する。
そうすると、引用発明1Aの「ライナー4における繋がり穴1cと対応する位置に、内部接点5a及び第二チップが設けられたインサイド制御回路基板5を設置することであって、インサイド制御回路基板5の内部接点5aを、インサイド制御回路基板5におけるライナー4から離れる端面に設置することにより、インサイド制御回路基板5における内部接点5aを、カートリッジハウジング1内に進入する外部接点3aに簡便に繋げることができるようにするステップ30」は、本件訂正発明3の「インク容器における対応の位置に、インサイド制御回路基板を設置するステップS30」に相当する。
(エ)本件訂正発明3の「前記インク容器を前記カートリッジハウジングに取り付け、前記インク容器の前記インサイド制御回路基板の内部接点を前記アウトサイド制御回路基板に電気的に接続させ、インク容器を備えたインクカートリッジを取得するステップS40」について
引用発明1Aの「ライナー4を、カートリッジハウジング1内に取り付け、ライナー4の前面カバー6をカートリッジハウジング1の開口に係合することにより、インサイド制御回路基板5の内部接点5aを、カートリッジハウジング1内に進入する外部接点3aと、一対一に対応するように繋げることで、ライナーカートリッジを取得することであって、内部接点5aと外部接点3aとが互いに接触することにより、オンということが実現され、インサイド制御回路基板5における回路を、アウトサイド制御回路基板3における回路に接続するステップ40」について、引用発明1Aの「ライナー4を、カートリッジハウジング1内に取り付け」ることは、本件訂正発明3の「前記インク容器を前記カートリッジハウジングに取り付け」ることに相当し、引用発明1Aの「インサイド制御回路基板5の内部接点5aを、カートリッジハウジング1内に進入する外部接点3aと、一対一に対応するように繋げる」ことは、これにより、電気的に接続されることは明らかであるから、本件訂正発明3の「前記インク容器の前記インサイド制御回路基板の内部接点を前記アウトサイド制御回路基板に電気的に接続させ」ることに相当し、引用発明1Aの「ライナーカートリッジ」は、ライナー4を、カートリッジハウジング1内に取り付けられている点で、本件訂正発明3の「インク容器を備えたインクカートリッジ」に相当する。
そうすると、引用発明1Aの「ライナー4を、カートリッジハウジング1内に取り付け、ライナー4の前面カバー6をカートリッジハウジング1の開口に係合することにより、インサイド制御回路基板5の内部接点5aを、カートリッジハウジング1内に進入する外部接点3aと、一対一に対応するように繋げることで、ライナーカートリッジを取得することであって、内部接点5aと外部接点3aとが互いに接触することにより、オンということが実現され、インサイド制御回路基板5における回路を、アウトサイド制御回路基板3における回路に接続するステップ40」は、本件訂正発明3の「前記インク容器を前記カートリッジハウジングに取り付け、前記インク容器の前記インサイド制御回路基板の内部接点を前記アウトサイド制御回路基板に電気的に接続させ、インク容器を備えたインクカートリッジを取得するステップS40」に相当する。
(オ)本件訂正発明3の「前記アウトサイド制御回路基板の第一チップ又は前記インサイド制御回路基板の第二チップには、前記インク容器についてその実際のインク量のデータ及び使用のプログラムが書き込まれ」について
引用発明1Aの「アウトサイド制御回路基板3の第一チップ又はインサイド制御回路基板5の第二チップには、ライナー4内のインク量についてその実際のインク量データ及び使用のプログラムが書き込まれている」について、引用発明1Aの「アウトサイド制御回路基板3の第一チップ」、及び、「インサイド制御回路基板5の第二チップ」は、それぞれ、本件訂正発明3の「前記アウトサイド制御回路基板の第一チップ」、及び、「前記インサイド制御回路基板の第二チップ」に相当し、引用発明1Aの「ライナー4内のインク量についてその実際のインク量データ及び使用のプログラム」は、本件訂正発明3の「前記インク容器についてその実際のインク量のデータ及び使用のプログラム」に相当する。
そうすると、引用発明1Aの「アウトサイド制御回路基板3の第一チップ又はインサイド制御回路基板5の第二チップには、ライナー4内のインク量についてその実際のインク量データ及び使用のプログラムが書き込まれている」ことは、本件訂正発明3の「前記アウトサイド制御回路基板の第一チップ又は前記インサイド制御回路基板の第二チップには、前記インク容器についてその実際のインク量のデータ及び使用のプログラムが書き込まれる」ことに相当する。
(カ)本件訂正発明3の「前記ステップS20では、導電手段により前記アウトサイド制御回路基板と前記インサイド制御回路基板とを接続し、前記導電手段における二つの回路接続インターフェースが、それぞれ、前記アウトサイド制御回路基板における外部接点と前記インサイド制御回路基板における内部接点に接続されるようにし」、「前記ステップS30では、前記インク容器における前記インクカートリッジの内部に進入させた前記導電手段の回路接続インターフェースと対応する位置に、前記インサイド制御回路基板を設置し」について
引用発明1Aは、「導電手段」に対応する構成を含まない点で、本件訂正発明3の「前記ステップS20では、導電手段により前記アウトサイド制御回路基板と前記インサイド制御回路基板とを接続し、前記導電手段における二つの回路接続インターフェースが、それぞれ、前記アウトサイド制御回路基板における外部接点と前記インサイド制御回路基板における内部接点に接続されるようにし」、「前記ステップS30では、前記インク容器における前記インクカートリッジの内部に進入させた前記導電手段の回路接続インターフェースと対応する位置に、前記インサイド制御回路基板を設置し」と相違する。
(キ)本件訂正発明3の「前記ステップS40では、前記カートリッジハウジング内に、前記インク容器を取り付け、前記カートリッジハウジングのハウジング溝外に位置する回路接続インターフェースが前記アウトサイド制御回路基板に電気接続され、前記カートリッジハウジングの前記ハウジング溝内に位置する回路接続インターフェースが前記インサイド制御回路基板の前記内部接点に繋がり、インク容器を備えたインクカートリッジを取得する」について
引用発明1Aは、「導電手段」及び「導電手段」のハウジング溝外又は溝内に位置する「回路接続インターフェース」に対応する構成を含まない点で、本件訂正発明3の「前記ステップS40では、前記カートリッジハウジング内に、前記インク容器を取り付け、前記カートリッジハウジングのハウジング溝外に位置する回路接続インターフェースが前記アウトサイド制御回路基板に電気接続され、前記カートリッジハウジングの前記ハウジング溝内に位置する回路接続インターフェースが前記インサイド制御回路基板の前記内部接点に繋がり、インク容器を備えたインクカートリッジを取得する」と相違する。
(ク)本件訂正発明3の「インク容器を備えたインクカートリッジの加工方法」について
引用発明1Aの「ライナーカートリッジ加工方法」は、上記(ア)~(オ)の発明特定事項を含むことから、本件訂正発明3の「インク容器を備えたインクカートリッジの加工方法」に相当する。
(ケ)一致点及び相違点
そうすると、本件訂正発明3と引用発明1Aとの一致点及び相違点は次のとおりである。
<一致点>
「 元のインクカートリッジから上部カバーを取り除き、カートリッジハウジングを取得するステップS10と、
アウトサイド制御回路基板を、前記元のインクカートリッジの当初制御回路基板に電気的に接続させ、前記当初制御回路基板における接点が前記アウトサイド制御回路基板に繋がるようにするステップS20と、
インク容器における対応の位置に、インサイド制御回路基板を設置するステップS30と、
前記インク容器を前記カートリッジハウジングに取り付け、前記インク容器の前記インサイド制御回路基板の内部接点を前記アウトサイド制御回路基板に電気的に接続させ、インク容器を備えたインクカートリッジを取得するステップS40と、を含み、
前記アウトサイド制御回路基板の第一チップ又は前記インサイド制御回路基板の第二チップには、前記インク容器についてその実際のインク量のデータ及び使用のプログラムが書き込まれる
インク容器を備えたインクカートリッジの加工方法。」
<相違点>
(相違点3A-1)
本件訂正発明3は、「前記ステップS20では、導電手段により前記アウトサイド制御回路基板と前記インサイド制御回路基板とを接続し、前記導電手段における二つの回路接続インターフェースが、それぞれ、前記アウトサイド制御回路基板における外部接点と前記インサイド制御回路基板における内部接点に接続されるようにする」ものであるのに対し、引用発明1Aは、「繋がり穴」によって接続する構成であって、「導電手段」によるものではない点。
(相違点3A-2)
本件訂正発明3は、「前記ステップS30では、前記インク容器における前記インクカートリッジの内部に進入させた前記導電手段の回路接続インターフェースと対応する位置に、前記インサイド制御回路基板を設置し」、前記ステップS40では、前記カートリッジハウジング内に、前記インク容器を取り付け、前記カートリッジハウジングのハウジング溝外に位置する回路接続インターフェースが前記アウトサイド制御回路基板に電気接続され、前記カートリッジハウジングの前記ハウジング溝内に位置する回路接続インターフェースが前記インサイド制御回路基板の前記内部接点に繋がり、インク容器を備えたインクカートリッジを取得する」のに対し、引用発明1Aでは、ステップ30及びステップ40が、そのような構成になっているか定かではない点。
イ 相違点の判断
(ア)相違点3A-1、相違点3A-2について
事案に鑑み、相違点3A-1、3A-2をまとめて判断する。
引用文献3には、上記「第5」の2(3)イのとおりの引用文献3技術的事項が記載されており、引用文献3技術的事項の「配線85」は、本件訂正発明3の「導電手段」に相当するものである。
そして、引用発明1Aは、「カートリッジハウジング1の前面1bには、繋がり穴1cを開設し、アウトサイド制御回路基板3を、当初カートリッジの当初制御回路基板2に接続し、当初制御回路基板2における接点を、アウトサイド制御回路基板3における対応位置の外部接点3aの一部に、一対一に対応するように溶接することにより、当初制御回路基板2における接点を、アウトサイド制御回路基板3における外部接点3aと繋げ、残りの部分の外部接点3aを、繋がり穴1cを介して、カートリッジハウジング1内に進入させる」ことで、「アウトサイド制御回路基板3」と「インサイド制御回路基板」とを電気的に接続可能とするものであることから、引用発明1Aにおいて、「アウトサイド制御回路基板3」と「インサイド制御回路基板」との電気的接続のため、引用文献3技術的事項を適用して、上記相違点3A-1の構成とすることに技術的困難性はなく、阻害要因もない。
また、絶縁体を介して配置される2つの導電体を電気的に接続する場合、絶縁体を迂回して配線等を設けることや、絶縁体に穴を設けた穴を介して直接又は配線等を設けることで、電気的に接続するようにすることは技術常識である。そのため、引用発明1Aにおける「繋がり穴」を介することに代えて引用文献3技術的事項のように、配線85により迂回する形で、「アウトサイド制御回路基板3」と「インサイド制御回路基板」とを電気的接続することは設計的事項にすぎないから、技術常識の観点からも、引用発明1Aに引用文献3技術的事項を適用して、上記相違点3A-1の構成とすることは、当業者が容易に想到することができたものである。
このように、引用発明1Aにおいて、「繋がり穴」を介することに代えて引用文献3技術的事項のように、配線85により迂回する形で、「アウトサイド制御回路基板3」と「インサイド制御回路基板」とを電気的接続する構成としたときに、上記相違点3A-2の構成となることは明らかであるから、上記相違点3A-2の構成とすることは、当業者が容易に想到することができたものである。
(イ)効果について
引用発明1A及び引用文献3技術的事項に基づいて、上記相違点3A-1、相違点3A-2の構成とすることは、当業者が容易に想到することができたものである。
また、上記相違点3A-1、相違点3A-2の構成とすることにより奏する効果は、当業者が予測し得る範囲内の事項である。
ウ 小括
以上のとおりであるから、本件訂正発明3は、引用発明1A及び引用文献3技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
(2)本件訂正発明3を直接引用する本件訂正発明5について
引用発明1Aの「ステップS10では、当初カートリッジから上部カバーを取り除いた場合に、当初カートリッジのインナーキャビティにおける仕切り部を切削し、スポンジを取り出して、当初カートリッジのインナーキャビティ内のインクを洗浄」することは、本件訂正発明5の「前記ステップS10では、前記元のインクカートリッジから前記上部カバーを取り除いた場合に、前記元のインクカートリッジのインナーキャビティにおける仕切り部を切削し、スポンジを取り出し、前記元のインクカートリッジのインナーキャビティ内のインクを洗浄する」ことに相当する。
よって、本件訂正発明3を直接引用する本件訂正発明5は、引用発明1A及び引用文献3技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
(3)本件訂正発明3を直接引用する本件訂正発明5を引用する本件訂正発明6について
引用発明1Aの「ステップS40の後に、取り出されたスポンジを洗浄し、スポンジをライナー4に装着しリサイクするステップS41をさらに含」むことは、本件訂正発明6の「前記ステップS40の後に、取り出された前記スポンジを洗浄し、前記スポンジを前記インク容器に装着するステップS41をさらに含」むことに相当する。
よって、本件訂正発明3を直接引用する本件訂正発明5を引用する請求項6に係る発明は、引用発明1A及び引用文献3技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
(4)本件訂正発明3を直接引用する本件訂正発明7について
引用発明1Aの「カートリッジハウジング1の前面1bには、繋がり穴1cを開設し、当初制御回路基板2における接点を、アウトサイド制御回路基板3における対応位置の外部接点3aの一部に、一対一に対応するように溶接することにより、当初制御回路基板2における接点を、アウトサイド制御回路基板3における外部接点3aと繋げ、残りの部分の外部接点3aを、繋がり穴1cを介して、カートリッジハウジング1内に進入させるステップS20」における「当初制御回路基板2における接点を、アウトサイド制御回路基板3における対応位置の外部接点3aの一部に、一対一に対応するように溶接すること」は、本件訂正発明7の「「前記ステップS20では、前記当初制御回路基板における接点と前記アウトサイド制御回路基板における対応位置の外部接点の一部とを、一対一に対応するように、溶接することにより、両者が繋がるようにする」ことに相当する。
よって、本件訂正発明3を直接引用する本件訂正発明7は、引用発明1A及び引用文献3技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
(5)本件訂正発明3を直接引用する本件訂正発明8について
引用発明1Aの「ライナー4における繋がり穴1cと対応する位置に、内部接点5a及び第二チップがもうけられたインサイド制御回路基板5を設置することであって、インサイド制御回路基板5の内部接点5aを、インサイド制御回路基板5におけるライナー4から離れる端面に設置することにより、インサイド制御回路基板5における内部接点5aを、カートリッジハウジング1内に進入する外部接点3aに簡便に繋げることができるようにするステップ30」における「インサイド制御回路基板5の内部接点5aを、インサイド制御回路基板5におけるライナー4から離れる端面に設置すること」は、本件訂正発明8の「前記ステップS30では、前記インサイド制御回路基板の内部接点を前記インサイド制御回路基板における前記インク容器から離れる端面に設置する」ことに相当する。
よって、本件訂正発明3を直接引用する本件訂正発明8は、引用発明1A及び引用文献3技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
(6)本件訂正発明11について
ア 対比
本件訂正発明11と、引用発明1Bとを対比する。
(ア)本件訂正発明11の「ハウジング溝が開設されており、当初制御回路基板が設けられる、カートリッジハウジングと」について
引用発明1Bの「ハウジング溝1aが設けられ、当初制御回路基板2が設けられるカートリッジハウジング1」について、引用発明1Bの「ハウジング溝1a」は、本件訂正発明11の「ハウジング溝」に相当し、引用発明1Bの「当初制御回路基板2」は、本件訂正発明11の「当初制御回路基板」に相当し、引用発明1Bの「カートリッジハウジング1」は、「ハウジング溝1aが設けられ、当初制御回路基板2が設けられ」ることから、本件訂正発明11の「ハウジング溝が開設されており、当初制御回路基板が設けられる、カートリッジハウジング」に相当する。
(イ)本件訂正発明11の「第一チップが設置されており、前記当初制御回路基板と電気的に繋がるアウトサイド制御回路基板と」について
引用発明1Bの「データを記憶するための第一チップ及び第一部分及び第二部分がある外部接点3aが設けられ、第一部分の外部接点3aが、当初制御回路基板2における接点と、溶接の形態により一対一に対応して繋がるアウトサイド制御回路基板3」について、引用発明1Bの「データを記憶するための第一チップ」は、本件訂正発明11の「第一チップ」に相当する。
そうすると、引用発明1Bの「データを記憶するための第一チップ及び第一部分及び第二部分がある外部接点3aが設けられ、第一部分の外部接点3aが、当初制御回路基板2における接点と、溶接の形態により一対一に対応して繋がるアウトサイド制御回路基板3」は、本件訂正発明11の「第一チップが設置されており、前記当初制御回路基板と電気的に繋がるアウトサイド制御回路基板」に相当する。
(ウ)本件訂正発明11の「インク容器及びインサイド制御回路基板であって、前記インサイド制御回路基板が前記インク容器に取り付けられ、前記インサイド制御回路基板には、第二チップが設けられ、前記インサイド制御回路基板には、内部接点が設けられる、前記インク容器及び前記インサイド制御回路基板と」について
引用発明1Bの「ハウジング溝1a内に設置されるライナー4にはインサイド制御回路基板5及び内部接点5aが設けられ」ること、及び、「インサイド制御回路基板5には、内部接点5a及びデータを処理しデータを記憶するための第二チップが設けられ」ることについて、引用発明1Bの「ライナー4」は、「第一チップと第二チップとには、インクの色やライナー4における各チャンバーに受容され対応するインクの色などの其他データ又は使用のプログラムが書き込まれてもよい」ことから、本件訂正発明11の「インク容器」に相当し、引用発明1Bの「データを処理しデータを記憶するための第二チップ」は、本件訂正発明11の「第二チップ」に相当し、引用発明1Bの「インサイド制御回路基板2」は、「ライナー4」に「設けられ」、「データを処理しデータを記憶するための第二チップ」が設けられることから、本件訂正発明11の「インサイド制御回路基板」に相当し、引用発明1Bの「ライナー4にはインサイド制御回路基板5」「が設けられ」ることは、本件訂正発明11の「前記インサイド制御回路基板が前記インク容器に取り付けられ」ることに相当し、引用発明1Bの「内部接点5a」は、本件訂正発明11の「内部接点」に相当し、引用発明1Bの「インサイド制御回路基板5には、内部接点5a」「が設けられ」ることは、本件訂正発明11の「前記インサイド制御回路基板には、内部接点が設けられる」ことに相当する。
そうすると、引用発明1Bの「ハウジング溝1a内に設置されるライナー4にはインサイド制御回路基板5及び内部接点5aが設けられ」ること、及び「インサイド制御回路基板5には、内部接点5a及びデータを処理しデータを記憶するための第二チップが設けられ」ることは、本件訂正発明11の「インク容器及びインサイド制御回路基板であって、前記インサイド制御回路基板が前記インク容器に取り付けられ、前記インサイド制御回路基板には、第二チップが設けられ、前記インサイド制御回路基板には、内部接点が設けられる、前記インク容器及び前記インサイド制御回路基板」に相当する。
(エ)本件訂正発明11の「そのうち、前記インク容器が前記カートリッジハウジングに取り付けられた後、前記アウトサイド制御回路基板が前記内部接点に電気的に繋がり」について
引用発明1Bの「ライナー4がカートリッジハウジング1に取り付けられた後、アウトサイド制御回路基板が内部接点5aに電気的に繋が」ることは、本件訂正発明11の「そのうち、前記インク容器が前記カートリッジハウジングに取り付けられた後、前記アウトサイド制御回路基板が前記内部接点に電気的に繋が」ることに相当する。
(オ)本件訂正発明11の「前記第一チップ又は前記第二チップ内には、前記インク容器について、その実際のインク量データ及び使用のプログラムが記憶されており」について
引用発明1Bの「第一チップと第二チップとには、インクの色やライナー4における各チャンバーに受容され対応するインクの色などのデータ、又は、その実際のインク量データ及び使用のプログラムが書き込まれてもよい」ことについて、引用発明1Bの「その実際のインク量データ」及び「使用のプログラム」は、それぞれ、本件訂正発明11の「その実際のインク量データ」及び「使用のプログラム」に相当する。
そうすると、引用発明1Bの「第一チップと第二チップとには、インクの色やライナー4における各チャンバーに受容され対応するインクの色などのデータ、又は、その実際のインク量データ及び使用のプログラムが書き込まれてもよい」ことは、本件訂正発明11の「前記第一チップ又は前記第二チップ内には、前記インク容器について、その実際のインク量データ及び使用のプログラムが記憶されて」いることに相当する。
(カ)本件訂正発明11の「前記アウトサイド制御回路基板と前記インサイド制御回路基板とは、導電手段を介して接続され、前記導電手段は二つの回路接続インターフェースを有し」、「前前記導電手段における前記二つの回路接続インターフェースは、それぞれ、前記アウトサイド制御回路基板における外部接点に接続され、他の一端部をインクカートリッジの内部に進入させ、前記インク容器を前記ハウジング溝の内部に装着すると、前記インサイド制御回路基板における接点を、前記インクカートリッジの内部に進入される前記導電手段の一部の点に接続させる」について
引用発明1Bは、「導電手段」に対応する構成を含まない点で、本件訂正発明11の「前記アウトサイド制御回路基板と前記インサイド制御回路基板とは、導電手段を介して接続され、前記導電手段は二つの回路接続インターフェースを有し」、「前前記導電手段における前記二つの回路接続インターフェースは、それぞれ、前記アウトサイド制御回路基板における外部接点に接続され、他の一端部をインクカートリッジの内部に進入させ、前記インク容器を前記ハウジング溝の内部に装着すると、前記インサイド制御回路基板における接点を、前記インクカートリッジの内部に進入される前記導電手段の一部の点に接続させる」と相違する。
(キ)本件訂正発明11の「インク容器を備えたインクカートリッジ」について
引用発明1Bの「ライナーカートリッジ」は、上記(ア)~(オ)の発明特定事項を有することから、本件訂正発明11の「インク容器を備えたインクカートリッジ」に相当する。
(ク)一致点及び相違点
そうすると、本件訂正発明11と引用発明1Bとの一致点及び相違点は、次のとおりである。
<一致点>
「 ハウジング溝が開設されており、当初制御回路基板が設けられる、カートリッジハウジングと、
第一チップが設置されており、前記当初制御回路基板と電気的に繋がるアウトサイド制御回路基板と、
インク容器及びインサイド制御回路基板であって、前記インサイド制御回路基板が前記インク容器に取り付けられ、前記インサイド制御回路基板には、第二チップが設けられ、前記インサイド制御回路基板には、内部接点が設けられる、前記インク容器及び前記インサイド制御回路基板と、を含み、
そのうち、前記インク容器が前記カートリッジハウジングに取り付けられた後、前記アウトサイド制御回路基板が前記内部接点に電気的に繋がり、
前記第一チップ又は前記第二チップ内には、前記インク容器について、その実際のインク量データ及び使用のプログラムが記憶されている
インク容器を備えたインクカートリッジ。」
<相違点>
(相違点11A-1)
本件訂正発明11は、「前記アウトサイド制御回路基板と前記インサイド制御回路基板とは、導電手段を介して接続される」ものであるのに対し、引用発明1Bは、そのような構成を有していない点。
(相違点11A-2)
本件訂正発明11は、「前記導電手段は二つの回路接続インターフェースを有し」、「前記導電手段における前記二つの回路接続インターフェースは、それぞれ、前記アウトサイド制御回路基板における外部接点に接続され、他の一端部をインクカートリッジの内部に進入させ、前記インク容器を前記ハウジング溝の内部に装着すると、前記インサイド制御回路基板における接点を、前記インクカートリッジの内部に進入される前記導電手段の一部の点に接続させる」のに対し、引用発明1Bは、そのような構成になっているか定かではない点。
イ 相違点の判断
(ア)相違点11A-1、相違点11A-2について
事案に鑑み、相違点11A-1、11A-2をまとめて判断する。
引用文献3には、上記「第5」の2(3)イのとおりの引用文献3技術的事項が記載されており、引用文献3技術的事項の「配線85」は、本件訂正発明11の「導電手段」に相当するものである。
そして、引用発明1Bは、「ハウジング溝1a内に設置されるライナー4にはインサイド制御回路基板5及び内部接点5aが設けられ」、「ライナー4がカートリッジハウジング1に取り付けられた後、アウトサイド制御回路基板が内部接点5aに電気的に繋が」ることから、引用発明1Bにおいて、「アウトサイド制御回路基板3」と「インサイド制御回路基板5」との電気的接続のため、引用文献3技術的事項を適用して、上記相違点9Aの構成とすることに技術的困難性はなく、阻害要因もない。
また、絶縁体を介して配置される2つの導電体を電気的に接続する場合、絶縁体を迂回して配線等を設けることや、絶縁体に穴を設けた穴を介して直接又は配線等を設けることで、電気的に接続するようにすることは技術常識である。そのため、引用発明1Aにおける「繋がり穴」を介することに代えて引用文献3技術的事項のように、配線85により迂回する形で、「アウトサイド制御回路基板3」と「インサイド制御回路基板」との電気的接続することは設計的事項にすぎないから、技術常識の観点からも、引用発明1Bに引用文献3技術的事項を適用して、上記相違点11A-1の構成とすることは、当業者が容易に想到することができたものである。
このように、引用発明1Aにおいて、「繋がり穴」を介することに代えて引用文献3技術的事項のように、配線85により迂回する形で、「アウトサイド制御回路基板3」と「インサイド制御回路基板」とを電気的接続する構成としたときに、上記相違点11A-2の構成となることは明らかであるから、上記相違点3A-2の構成とすることは、当業者が容易に想到することができたものである。
(イ)効果について
また、上記相違点11A-1、11A-2の構成とすることにより奏する効果は、当業者が予測し得る範囲内の事項である。
ウ 小括
以上のとおりであるから、本件訂正発明11は、引用発明1B及び引用文献3技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
(7)本件訂正発明11を直接引用する本件訂正発明12について
上記引用文献3には上記「第5」の2(3)イのとおりの引用文献3技術的事項が記載されており、引用文献3技術的事項のFPC89の「一端側の各領域87」と、「他端側の各領域88」は、それぞれ、本件訂正発明12の「二つの回路接続インターフェース」に相当するものである。
そうすると、本件訂正発明11を引用する本件訂正発明12は、引用発明1B及び引用文献3技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
(8)特許権者の主張について
ア 主張の概要
(主張1)
「 まず、発明1Aはインクカートリッジの再利用を課題とする一方(引用文献1、[0004]~[0005])、引用文献3に開示された発明はインクカートリッジを取り付ける際のプリンターの摩耗を抑制することを課題とする(引用文献3、[0007]~[0009])。両発明の課題が共通しないため、引用発明1Aを出発点とする場合に引用文献3の技術的事項を参照する動機付けが生じない。」
(主張2)
「 上記のように、引用発明1Aは、カートリッジハウジング1の内部空間にある接点(インク容器4のインサイド制御回路基板5)と、カートリッジハウジング1の外部空間にある接点(元のインクカートリッジの当初制御回路基板2)と、を電気接続するため、アウトサイド制御回路基板3を用いるものである。引用文献3に開示された発明は、アダプタ90の内部空間にある接点(インクカートリッジのIC基板74)と、アダプタ90の外部空間にある接点(プリンター側の接点106)と、を電気接続するために、FPC89を用いるものである。引用文献1および引用文献3はいずれも、一つの電気接続手段を用いて、内部空間にある接点と外部空間にある接点とを直接電気接続する発明を開示している。
引用文献1と3に開示されている技術的思想は、接点と接点を電気接続するために一つの電気接続手段を用いることであり、2つの直列した電気接続手段を用いることに関する記載も示唆もない。そのため、接点と接点を電気接続するために2つの電気接続手段を用いる動機付けが生じない。仮に引用文献3の技術的事項を引用発明1Aに適用したとしても、容易に想到できる発明はアウトサイド制御回路基板5に替わってFPC89を用いるものであり、アウトサイド制御回路基板5に加えてFPC89を用いるものではない。」(令和6年7月8日提出の意見書3~4頁)
イ 主張の検討
主張1、主張2をまとめて検討する。
上記(1)イ(ア)、上記(6)イ(ア)で検討したとおり、絶縁体を介して配置される2つの導電体を電気的に接続する場合、絶縁体を迂回して配線等を設けることや、絶縁体に穴を設けた穴を介して直接又は配線等を設けることで、電気的に接続するようにすることは技術常識である。請求人の主張するように動機付けはないとはいえず、引用発明1Aにおける「繋がり穴」を介することに代えて引用文献3技術的事項のように、配線85により迂回する形で、「アウトサイド制御回路基板3」と「インサイド制御回路基板」との電気的接続することは設計的事項にすぎないから、技術常識の観点からも、引用発明1A又は1Bに引用文献3技術的事項を適用して、上記相違点3A-1又は11A-1の構成とすることは、当業者が容易に想到することができたものである。
よって、特許権者の上記主張1に理由はない。
このとき、「繋がり穴」を介することに代えて引用文献3技術的事項のように、配線85により迂回する形で、「アウトサイド制御回路基板3」と「インサイド制御回路基板」とを電気的接続する構成としたときに、上記相違点3A-2又は11A-2の構成となることは明らかであり、上記のような技術常識を勘案すると、「アウトサイド制御回路基板3」と「インサイド制御回路基板」とを電気的に直接接続する構成としようとする動機があるとまではいないから、当業者であれば、上述したとおり「配線85」を用いようとするものである。
よって、特許権者の上記主張2にも理由はない。
2 引用文献2を主引用文献とする進歩性の判断
(1)本件訂正発明11について
ア 対比
本件訂正発明11と、引用発明2とを対比する。
(ア)本件訂正発明11の「ハウジング溝が開設されており、当初制御回路基板が設けられる、カートリッジハウジングと」について
引用発明2の「カートリッジ本体11は収容部を有し、該収容部内にインク収容チャンバ13が着脱可能、又は交換可能に装着され」ること、「第1の回路基板12は、カートリッジ本体11に接続されており、第1の回路基板12には、互いに電気接続された第1のインターフェース回路121及びノズル回路122が設けられて」いることについて、引用発明2の「収容部」は、本件訂正発明11の「ハウジング溝」に相当し、引用発明2の「第1の回路基板12」は、本件訂正発明11の「当初制御回路」に相当し、引用発明2の「第1の回路基板12は、カートリッジ本体11に接続され」ることは、カートリッジ本体11が、ノズル回路122が設けられている第1の回路基板12を有していることを意味することは明らかであるから、引用発明2の「収容部を有し、該収容部内にインク収容チャンバ13が着脱可能、又は交換可能に装着され」、「第1の回路基板12」が「接続され」る「カートリッジ本体11」は、本件訂正発明11の「ハウジング溝が開設されており、当初制御回路基板が設けられる、カートリッジハウジング」に相当する。
(イ)本件訂正発明11の「第一チップが設置されており、前記当初制御回路基板と電気的に繋がるアウトサイド制御回路基板と」について
引用発明2の「第2の回路基板15には、第2のインターフェース回路151、第3のインターフェース回路152及び転送回路154が設けられて」いること、「第2のインターフェース回路151は第2の回路基板15の第1のインターフェース回路121を覆う箇所に設けられており、第1のインターフェース回路121に直接に電気接触するように接続され」ること、「第2の回路基板15には、さらに第2の記憶回路が設けられ、第2の記憶回路には、少なくとも一部のカートリッジデータが記憶され、カートリッジデータは、インクジェットカートリッジ10の基本情報を示し、インクジェットカートリッジ10の製造日、ノズルの種類、型番、色、暗号化方式、ハードウェアのパラメータ情報などのデータを含んでもよ」いことについて、引用発明2の「第2の記憶回路」は、本件訂正発明11の「第一チップ」に相当し、引用発明2の「第2のインターフェース回路151は第2の回路基板15の第1のインターフェース回路121を覆う箇所に設けられており、第1のインターフェース回路121に直接に電気接触するように接続され」ことは、第1の回路基板12と第2の回路基板15が電気的に接続されることを意味することは明らかであるから、引用発明2の「第2のインターフェース回路151、第3のインターフェース回路152及び転送回路154が設けられて」おり、「第2のインターフェース回路151は第2の回路基板15の第1のインターフェース回路121を覆う箇所に設けられており、第1のインターフェース回路121に直接に電気接触するように接続され」る「第2の回路基板15」は、本件訂正発明11の「第一チップが設置されており、前記当初制御回路基板と電気的に繋がるアウトサイド制御回路基板」に相当する。
(ウ)本件訂正発明11の「インク容器及びインサイド制御回路基板であって、前記インサイド制御回路基板が前記インク容器に取り付けられ、前記インサイド制御回路基板には、第二チップが設けられ、前記インサイド制御回路基板には、内部接点が設けられる、前記インク容器及び前記インサイド制御回路基板と」について
引用発明2の「交換可能なインク収容チャンバ13には、互いに電気接続された第1の記憶回路142及び第4のインターフェース回路141が設けられ」、「第4のインターフェース回路141及び第1の記憶回路142は同一の回路基板(例えば、第3回路基板14)に設けられてもよ」いことについて、引用発明2の「交換可能なインク収容チャンバ13」は、本件訂正発明11の「インク容器」に相当し、引用発明2の「第4のインターフェース回路141」及び「第1の記憶回路142」は、それぞれ、本件訂正発明11の「内部接点」、「第二チップ」に相当し、引用発明2の「第4のインターフェース回路141及び第1の記憶回路142」を設ける「第3回路基板14」は、「第1の記憶回路142」が設けられることから、本件訂正発明11の「第二チップが設けられ」、「内部接点が設けられる」「インサイド制御回路基板」に相当し、引用発明2の「交換可能なインク収容チャンバ13には、互いに電気接続された第1の記憶回路142及び第4のインターフェース回路141が設けられ」ることは、交換可能なインク収容チャンバ13には、第3回路基板14が設けられることに他ならないから、本件訂正発明11の「前記インサイド制御回路基板が前記インク容器に取り付けられ」ることに相当する。
そうすると、引用発明2の「交換可能なインク収容チャンバ13」に設けられた「第3回路基板14」は、本件訂正発明11の「インク容器及びインサイド制御回路基板であって、前記インサイド制御回路基板が前記インク容器に取り付けられ、前記インサイド制御回路基板には、第二チップが設けられ、前記インサイド制御回路基板には、内部接点が設けられる、前記インク容器及び前記インサイド制御回路基板」に相当する。
(エ)本件訂正発明11の「そのうち、前記インク容器が前記カートリッジハウジングに取り付けられた後、前記アウトサイド制御回路基板が前記内部接点に電気的に繋がり」について
引用発明2の「プリンタが第1の記憶回路142におけるインク状態情報にアクセスすることを可能にさせるために、第4のインターフェース回路141は第3のインターフェース回路152に電気接続されてもよく」、「交換可能なインク収容チャンバ13がカートリッジ本体11に装着されると、第1の記憶回路142は第3のインターフェース回路152を介して転送回路154と電気接続を行」うことについて、引用発明2の「交換可能なインク収容チャンバ13がカートリッジ本体11に装着されると」は、本件訂正発明11の「前記インク容器が前記カートリッジハウジングに取り付けられた後」に相当し、引用発明2の「プリンタが第1の記憶回路142におけるインク状態情報にアクセスすることを可能にさせるために」は、交換可能なインク収容チャンバ13がカートリッジ本体11に装着されていることは明らかであるから、引用発明2の「プリンタが第1の記憶回路142におけるインク状態情報にアクセスすることを可能にさせるために、第4のインターフェース回路141は第3のインターフェース回路152に電気接続されてもよく」、「交換可能なインク収容チャンバ13がカートリッジ本体11に装着されると、第1の記憶回路142は第3のインターフェース回路152を介して転送回路154と電気接続を行」うことは、本件訂正発明11の「そのうち、前記インク容器が前記カートリッジハウジングに取り付けられた後、前記アウトサイド制御回路基板が前記内部接点に電気的に繋が」ることに相当する。
(オ)本件訂正発明11の「前記第一チップ又は前記第二チップ内には、前記インク容器について、その実際のインク量データ及び使用のプログラムが記憶されており」について
引用発明2の「第1の記憶回路142には、少なくともインク収容チャンバ13のインク量情報が記憶されており、該インク量情報は、通常、インク収容チャンバ13におけるインクの状態(例えば、インクの消耗程度など)を反映するもの」であることについて、引用発明2の「インク収容チャンバ13のインク量情報」は、本件訂正発明11の「前記インク容器について、その実際のインク量データ」に相当する。
そうすると、引用発明2の「第1の記憶回路142には、少なくともインク収容チャンバ13のインク量情報が記憶されており、該インク量情報は、通常、インク収容チャンバ13におけるインクの状態(例えば、インクの消耗程度など)を反映するもの」であることは、本件訂正発明11の「前記第二チップ内には、前記インク容器について、その実際のインク量データ」「が記憶されている」ことに相当する。
(カ)本件訂正発明11の「前記アウトサイド制御回路基板と前記インサイド制御回路基板とは、導電手段を介して接続され、前記導電手段は二つの回路接続インターフェースを有し」、「前前記導電手段における前記二つの回路接続インターフェースは、それぞれ、前記アウトサイド制御回路基板における外部接点に接続され、他の一端部をインクカートリッジの内部に進入させ、前記インク容器を前記ハウジング溝の内部に装着すると、前記インサイド制御回路基板における接点を、前記インクカートリッジの内部に進入される前記導電手段の一部の点に接続させる」について
引用発明2は、「導電手段」に対応する構成を含まない点で、本件訂正発明11の「前記アウトサイド制御回路基板と前記インサイド制御回路基板とは、導電手段を介して接続され、前記導電手段は二つの回路接続インターフェースを有し」、「前前記導電手段における前記二つの回路接続インターフェースは、それぞれ、前記アウトサイド制御回路基板における外部接点に接続され、他の一端部をインクカートリッジの内部に進入させ、前記インク容器を前記ハウジング溝の内部に装着すると、前記インサイド制御回路基板における接点を、前記インクカートリッジの内部に進入される前記導電手段の一部の点に接続させる」と相違する。
(キ)本件訂正発明11の「インク容器を備えたインクカートリッジ」について
引用発明2の「カートリッジ本体11、第1の回路基板12、インク収容チャンバ13、及び第2の回路基板15を備えるインクジェットカートリッジ10」は、上記(ア)~(オ)の発明特定事項を有する点で、後述する相違点は別にして、本件訂正発明11の「インク容器を備えたインクカートリッジ」に相当する。
(ク)一致点及び相違点
上記(ア)~(キ)のとおりであるから、本件訂正発明11と引用発明2とは、次の点で、一致又は相違する。
<一致点>
ハウジング溝が開設されており、当初制御回路基板が設けられる、カートリッジハウジングと、
第一チップが設置されており、前記当初制御回路基板と電気的に繋がるアウトサイド制御回路基板と、
インク容器及びインサイド制御回路基板であって、前記インサイド制御回路基板が前記インク容器に取り付けられ、前記インサイド制御回路基板には、第二チップが設けられ、前記インサイド制御回路基板には、内部接点が設けられる、前記インク容器及び前記インサイド制御回路基板と、を含み、
そのうち、前記インク容器が前記カートリッジハウジングに取り付けられた後、前記アウトサイド制御回路基板が前記内部接点に電気的に繋がり、
前記第二チップ内には、前記インク容器について、その実際のインク量データが記憶されている、インク容器を備えたインクカートリッジ。
<相違点>
(相違点11B-1)
本件訂正発明11は、第二チップ内には、インク容器について、「使用のプログラム」が記憶されているのに対して、引用発明2は、第1の記憶回路142内に、そのようなプログラムは記憶されていない点。
(相違点11B-2)
本件訂正発明11は、「前記アウトサイド制御回路基板と前記インサイド制御回路基板とは、導電手段を介して接続される」のに対して、引用発明2は、そのような構成を有しているか定かではない点。
(相違点11B-3)
本件訂正発明11は、「前記導電手段は二つの回路接続インターフェースを有し」、「前記導電手段における前記二つの回路接続インターフェースは、それぞれ、前記アウトサイド制御回路基板における外部接点に接続され、他の一端部をインクカートリッジの内部に進入させ、前記インク容器を前記ハウジング溝の内部に装着すると、前記インサイド制御回路基板における接点を、前記インクカートリッジの内部に進入される前記導電手段の一部の点に接続させる」のに対し、引用発明2は、そのような構成になっているか定かではない点。
イ 相違点の判断
事案に鑑み、相違点11B-2、相違点11B-3から検討をする。
引用発明2は、「交換可能なインク収容チャンバ13には、互いに電気接続された第1の記憶回路142及び第4のインターフェース回路141が設けられ」、「交換可能なインク収容チャンバ13がカートリッジ本体11に装着されると、第1の記憶回路142は第3のインターフェース回路152を介して転送回路154と電気接続を行」うものである。そして、引用文献2の図2及び図8を参照すると、引用発明2において、「交換可能なインク収容チャンバ13がカートリッジ本体11に装着されると、第1の記憶回路142は第3のインターフェース回路152を介して転送回路154と電気接続を行」うとは、交換可能なインク収容チャンバ13がカートリッジ本体11に装着されると、第4のインターフェース回路141と第3のインターフェース回路152とが直接電気的に接続するものである。
そうすると、引用発明2において、「第1の記憶回路142」と「転送回路154」とは、交換可能なインク収容チャンバ13がカートリッジ本体11に装着されれば、既に直接電気的に接続されている構造になっているところ、さらに両者を(重複して)電気的に接続させるために「導電手段」を設けようとする動機付けはなく、導電手段を設けてこれらを電気的に接続する構成とすることには阻害要因がある。
さらに、上記のとおりであるから、引用文献3技術的事項を適用することもできない。
よって、引用発明2に基づいて、上記相違点11B-2、相違点11B-3の構成とすることは、当業者が容易に想到することができたとはいえない。
よって、本件訂正発明11は、相違点11B-1を検討するまでもなく、引用発明2に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(2)本件訂正発明11を直接引用する本件訂正発明12について
本件訂正発明11を直接引用する本件訂正発明12は、本件訂正発明11の「前記導電手段は二つの回路接続インターフェースを有し」、「前記導電手段における前記二つの回路接続インターフェースは、それぞれ、前記アウトサイド制御回路基板における外部接点に接続され、他の一端部をインクカートリッジの内部に進入させ、前記インク容器を前記ハウジング溝の内部に装着すると、前記インサイド制御回路基板における接点を、前記インクカートリッジの内部に進入される前記導電手段の一部の点に接続させる」との構成を有しており、引用発明2と相違するものである。そして、当該相違点の判断は、上記(1)イのとおりである。
よって、本件訂正発明11を直接引用する本件訂正発明12は、引用発明2に基づいて、当業者が容易に想到することができたものではない。
第7 採用しなかった申立理由について
申立人がする上記「第6」以外の主張は、次のとおりである。なお、本件訂正により、請求項1、9、14は削除されたので、後述の「第9」のとおり、請求項1、9、14に対する申立理由の対象が存在しない。なお、理由番号は、当審で付与した。また、本件訂正後の請求項に対応する発明は、本件訂正発明として読み替えた。
1 優先権について
パリ優先権を主張して行った本件特許発明の出願をその優先権の基礎となる出願(甲第1号証)と比較した結果、本件特許発明が優先権の基礎となる出願に含まれていなかった構成部分を含むため、本件特許発明の請求項4、13の優先権は否認されるべきである。
2 理由について
(1)理由A
本件訂正発明4、13は、甲第1号証及び甲第2号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件訂正発明4、13に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
(2)理由B
本件訂正発明4、13は、甲第2証及び甲第3号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件訂正発明4、13に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
(3)理由C
本件訂正発明2、4、10、13は、甲第4証に記載された発明並びに甲第3号証及び甲第5号証に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件訂正発明2、4、10、13に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
(4)理由D
本件訂正発明2、4、10、13は、甲第4証に記載された発明並びに甲第3号証、甲第5号証及び甲第6号証に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件訂正発明2、4、10、13に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
(5)理由E
本件訂正発明2、4、10、13は、甲第5証に記載された発明並びに甲第3号証及び甲第4号証に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件訂正発明2、4、10、13に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
(6)理由F
本件訂正発明2、4、10、13は、甲第6証に記載された発明並びに甲第3号証及び甲第4号証に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件訂正発明2、4、10、13に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
3 証拠方法
甲第1号証:中国特許出願公開公報第109605941号(引用文献1)
甲第2号証:中国特許出願公開公報第110406265号(引用文献2)
甲第3号証:中国特許登録公報第101152795号(本件特許の優先日前である2010年(平成22年)11月10日公開)
甲第4号証:米国特許登録公報第9421783号(本件特許の優先日前である2016年(平成28年)8月23日公開)
甲第5号証:特許第6115041号公報(引用文献3)
甲第6号証:特開2004-358912号公報(本件特許の平成16年12月24日公開)
なお、甲第1号証~甲第6号証を、以下、それぞれ、「甲1」~「甲6」という。
第8 採用しなかった申立理由に対する当審の判断
1 甲号証に記載された事項、甲号証に記載された発明について
(1)甲1(引用文献1)について
甲1には、上記「第5」の2(1)ウのとおりの「引用発明1A」及び「引用発明1B」が記載されている。
(2)甲2(引用文献2)について
甲2には、上記「第5」の2(2)ウのとおりの「引用発明2」が記載されている。
(3)甲3について
ア 甲3に記載された事項
甲3には、次の事項が記載されている。
「
[図:0001424538000024.jpg]
[図:0001424538000025.jpg]
(当審訳)
[0031] 図1、図2、図3に示すように、このようなインクカートリッジを回収する時に、まずナイフなどのエ具でインクカートリッジの蓋3を開け、インク収容室2内のスポンジを取り出す。その後、静電気接着剤をプリントヘッド5のノズル上に貼り付け、且つプリントヘッドのノズルの外面全体をカバーし、大気、液体などの外部環境から隔離された状態にする。その後、インク収容室2と未使用室1を分離するインクカートリッジ内の仕切板を、旋盤またはフライス盤で削り除き、インク収容室2と未使用室1を1つの室にする。その後、収容室2に向かうインク輸送管路6のポート上のフィルタ601及びプリントヘッド5のノズル上の静電気接着剤を除去する。その後、得られたインクカートリッジ本体及びインクカートリッジの蓋3を、それぞれ温度40~80℃の市販洗浄液又は脱イオン水に1~2時間浸漬する。その後、インクカートリッジ本体及びインクカートリッジ蓋3を周波数1000~2000Hzの超音波で1~2時間洗浄した後、インクカートリッジ内部のインク収容室及びインク収容室に連通するインク輸送管路6を脱イオン水で洗浄し、プリントヘッド5を吸引する。最終的には、新しいフィルタもしくは脱イオン水で洗浄されたフィルタを、収容室2に向かうインク輸送管路6のポートに、市販の接着剤で接着するか、或いは溶接で取り付け、その後、得られた収容室の形状にフィットした新しいスポンジまたは脱イオン水で洗浄されたスポンジを当該収容室に装着し、インクカートリッジ蓋を取り付け戻すことによって、新品のインクカートリッジと近い性能を有する再生品が得られる。この再生品は、インクが充填された後、印刷作業に使用できる。同方法により回収されたインクカートリッジの再生品は、合格率が55%以上にも達する。」
イ 甲3に記載された技術的事項
上記アから、甲3には、次の技術的事項(以下、「甲3技術的事項」という。)が記載されているといえる。
「 インクカートリッジの蓋3を開け、インク収容室2内のスポンジを取り出し
プリントヘッドのノズルの外面全体をカバーし、
インク収容室2と未使用室1を分離するインクカートリッジ内の仕切板を、旋盤またはフライス盤で削り除き、インク収容室2と未使用室1を1つの室にし、
得られたインクカートリッジ本体及びインクカートリッジの蓋3を洗浄し、
インクカートリッジ内部のインク収容室及びインク収容室に連通するインク輸送管路6を洗浄し、プリントヘッド5を吸引し、
新しいフィルタもしくは洗浄されたフィルタを、収容室2に向かうインク輸送管路6のポートに接着するか、取り付け、
新しいスポンジまたは洗浄されたスポンジを当該収容室に装着し、インクカートリッジ蓋を取り付け戻すことによって、新品のインクカートリッジと近い性能を有する再生品を得る方法。」
(4)甲4について
ア 甲4に記載された事項
甲4には、次の事項が記載されている。
(ア)「 FIG. 1 illustrates an exemplary print cartridge 70, such as an ink jet print head cartridge. The print cartridge 70 includes a first circuit in the form of a cartridge electrical circuit 80. The cartridge electrical circuit 80 acts as an electronic interface between a printer controller associated with a printing device (not shown) and the print cartridge 70. The cartridge electrical circuit 80 includes a plurality of cartridge contacts 82 that electrically communicate with a plurality of printer contacts (not shown) when the cartridge 70 is installed in a printer. The cartridge contacts 82 and printer contacts allow the printer to electrically communicate with the cartridge electrical circuit 80 to perform operational checks, print functions, and the like.
(当審訳)
図1は、インクジェットプリントヘッドカートリッジのような例示的なプリントカートリッジ70を図示する。プリントカートリッジ70は、カートリッジ電気回路80の形態の第1の回路を含む。カートリッジ電気回路80は、印刷装置(図示せず)に関連するプリンタコントローラとプリントカートリッジ70との間の電子インターフェースとして機能する。カートリッジ電気回路80は、カートリッジ70がプリンタに装着されたときに、複数のプリンタ接点(図示せず)と電気的に通信する複数のカートリッジ接点82を含む。カートリッジ接点82とプリンタ接点により、プリンタはカートリッジ電気回路80と電気的に通信して、動作チェックや印刷機能などを実行することができる。」(5欄59行~6欄4行)
(イ)「 The silicon die and/or the cartridge electrical circuit 80 may include cartridge memory.
(当審訳)
シリコンダイ及び/又はカートリッジ電気回路80は、カートリッジメモリを含むことができる。」(6欄15~16行)
(ウ)「 In the illustrated embodiment, the electronic patch 10 includes a second circuit in the form of a replacement or patch circuit 20 configured to fit over a portion of the cartridge electrical circuit 80 on the used print cartridge 70. The patch circuit 20 includes a substrate 30, which in the illustrated construction comprises a flexible substrate, but which may also be or include a printed circuit board (PCB) substrate, or other suitable circuit substrate. The illustrated patch circuit 20 also includes a plurality of lead lines 40, a plurality of contact pads 50 and an integrated control chip 60. The patch circuit 20 and/or the integrated control chip 60 may include patch memory, which may be in the form of replacement or second embedded memory arrays.
(当審訳)
図示された実施形態では、電子パッチ10は、使用済みプリントカートリッジ70上のカートリッジ電気回路80の一部を覆うように適合するように構成された交換回路またはパッチ回路20の形態の第2の回路を含む。パッチ回路20は、基板30を含み、この基板は、図示の構造では可撓性基板からなるが、プリント回路基板(PCB)基板、または他の適切な回路基板であってもよいし、これを含んでもよい。図示されたパッチ回路20はまた、複数のリード線40と、複数のコンタクトパッド50と、集積制御チップ60とを含む。パッチ回路20および/または集積制御チップ60は、交換用または第2の埋め込みメモリアレイの形態であるパッチメモリを含んでもよい。」(6欄下から5行~7欄8行)
(エ)「 The integrated control chip 60 may be any suitable electronic control device, such as a microcontroller, an application specific integrated circuit (ASIC) or a field programmable gate array (FPGA), for example. The integrated control chip 60 includes or communicates with the patch memory and may provide electrical signals to the printer corresponding to printing parameters such as ink levels, for example. The patch memory may be configured similarly to the cartridge memory, and may be provided with “one shot” electrical devices associated with each memory location (e.g., electrical fuse or FET), such that any of the replacement memory locations can be burned or damaged in a similar manner as the first embedded memory array locations of the print cartridge 70.
(当審訳)
集積制御チップ60は、例えば、マイクロコントローラ、特定用途向け集積回路(ASIC)又はフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)などの任意の適切な電子制御デバイスであってもよい。集積制御チップ60は、パッチメモリを含み、またはパッチメモリと通信し、例えばインクレベルなどの印刷パラメータに対応する電気信号をプリンタに提供してもよい。パッチメモリは、カートリッジメモリと同様に構成され、各メモリ位置に関連する「ワンショット」電気デバイス(例えば、電気ヒューズ又はFET)を備え、交換用メモリ位置のいずれかが、プリントカートリッジ70の第1の埋め込みメモリアレイ位置と同様の方法で焼失又は損傷することができるようにしても良い。」(7欄30~42行)
(オ)「 In the illustrated embodiment, the patch circuit 20 is positioned over a portion of the cartridge electrical circuit 80 such that some or all of the contact pads 50 are in contact with contact pads of the underlying cartridge electrical circuit 80.
(当審訳)
図示の実施形態では、パッチ回路20は、接触パッド50の一部または全部が下層のカートリッジ電気回路80の接触パッドと接触するように、カートリッジ電気回路80の一部の上に配置される。」(7欄59~62行)
(カ)「 Some contact pads 50 may be aligned with underlying contact pads of the cartridge electrical circuit 80 that are associated with the burned or damaged memory locations of the used print cartridge 70.
(当審訳)
いくつかの接触パッド50は、使用済みプリントカートリッジ70の焼けた又は損傷したメモリ位置に関連するカートリッジ電気回路80の下層の接触パッドと整列させることができる。」(8欄18~21行)
(キ)「The integrated control chip 60 is positioned in the portion of the patch circuit 20 that is positioned on top of the used print cartridge 70.
(当審訳)
集積制御チップ60は、パッチ回路20のうち、使用済みプリントカートリッジ70の上部に位置する部分に配置される。」(8欄47~49行)
「In other embodiments, the contact pads 50 of the electronic patch 10 may include solder material on the side that mates to the corresponding contact pads on the used print cartridge 70, thereby allowing the contact pads 50 to be soldered to the contact pads on the used print cartridge 70. Other suitable attaching techniques may include overmolding, adhesive tape, ultrasonic welding, and the like, without limitation.
(当審訳)
他の実施形態では、電子パッチ10のコンタクトパッド50は、使用済みプリントカートリッジ70上の対応するコンタクトパッドに嵌合する側にはんだ材料を含み、それによってコンタクトパッド50を使用済みプリントカートリッジ70上のコンタクトパッドにはんだ付けできるようにしてもよい。他の適切な取り付け技術は、限定されないが、オーバーモールディング、粘着テープ、超音波溶接などを含むことができる。」(8欄65行~9欄5行)
(ク)「 A used or depleted print cartridge 70 may be refurbished into print cartridge 90 for reuse in a printer. The refurbishing process may include cleaning the used print cartridge 70 and refilling the used print cartridge 70 with the appropriate printing ink. The refurbishing process may also include positioning and attaching an electronic patch 10, 110, 210, 410 over a portion of the cartridge electrical circuit 80 on the used print cartridge 70, so that the contact pads 50 and solder locations 430 on the replacement circuit 20, 120, 220, 446 are in electrical contact with the appropriate corresponding contact pads 82 of the cartridge electrical circuit 80. The refurbishing process may further include positioning and attaching an identification label 95 on the used print cartridge 70. The refurbishing process may also include testing the refurbished print cartridge 90 for proper operation. The refurbishing process may further include resetting or storing at least one of the production date, the ink container size, the age of the ink, the regional settings, the cartridge identification number and the ink levels.
(当審訳)
使用済み又は枯渇したプリントカートリッジ70は、プリンタでの再使用のためにプリントカートリッジ90に改修することができる。改装プロセスは、使用済みプリントカートリッジ70を洗浄し、使用済みプリントカートリッジ70に適切な印刷インクを再充填することを含むことができる。また、改装工程は、交換回路20、120、220、446の接触パッド50及び半田位置430がカートリッジ電気回路80の適切な対応する接触パッド82と電気的に接触するように、電子パッチ10、110、210、410を使用済みプリントカートリッジ70上のカートリッジ電気回路80の一部の上に位置付け、貼り付けることも含むことがある。改装プロセスは、使用済みプリントカートリッジ70に識別ラベル95を位置決めして貼り付けることをさらに含むことができる。改修プロセスは、改修済みプリントカートリッジ90が適切に動作するかどうかをテストすることも含むことができる。改装プロセスは、製造日、インク容器のサイズ、インクの年数、地域設定、カートリッジ識別番号、及びインクレベルの少なくとも1つをリセット又は記憶することをさらに含むことができる。」(12欄28~46行)
(ケ)「Here the electronic patch 10, 110, 210, 410 provides for re-using the used print cartridge 70 without having to reprogram or reset the original memory arrays, but instead provides the same override signals as for a single shot memory array.
(当審訳)
ここで、電子パッチ10、110、210、410は、元のメモリアレイを再プログラムまたはリセットすることなく、使用済みプリントカートリッジ70を再利用することを提供するが、代わりに、単発メモリアレイの場合と同じオーバーライド信号を提供する。」(12欄51~55行)
イ 甲4から把握できる事項
上記アから、甲4には、次の事項が記載されているといえる。
(ア)上記ア(ウ)から、甲4には、「集積制御チップ60を含むパッチ回路20の形態の第2の回路を含む電子パッチ10を、使用済みプリントカートリッジ70上のカートリッジ電気回路80の一部を覆」うことが記載されているといえる。
(イ)上記ア(ア)、(イ)から、甲4には、「使用済みプリントカートリッジ70は、プリンタに装着されたときに、複数のプリンタ接点と電気的に通信する複数のカートリッジ接点82、カートリッジメモリを含むカートリッジ電気回路80の形態の第1の回路を含」むことが記載されているといえる。
(ウ)上記ア(オ)には、「パッチ回路20は、接触パッド50の一部または全部が下層のカートリッジ電気回路80の接触パッドと接触するように、カートリッジ電気回路80の一部の上に配置され」ることが記載されている。
(エ)上記ア(カ)から、甲4には、「いくつかの接触パッド50は、使用済みプリントカートリッジ70のメモリ位置に関連するカートリッジ電気回路80の下層の接触パッドと整列させ」ることが記載されているといえる。
(オ)上記ア(エ)、(キ)から、甲4には「集積制御チップ60は、パッチメモリを含み、パッチ回路20のうち、使用済みプリントカートリッジ70の上部に位置する部分に配置され」ることが記載されている。
(カ)上記ア(キ)には、「電子パッチ10のコンタクトパッド50は、使用済みプリントカートリッジ70上の対応するコンタクトパッドに嵌合する側にはんだ材料を含み、それによってコンタクトパッド50を使用済みプリントカートリッジ70上のコンタクトパッドにはんだ付けできるようにしてもよ」いことが記載されている。
(キ)上記ア(ク)には、「交換回路20の接触パッド50及び半田位置430がカートリッジ電気回路80の適切な対応する接触パッド82と電気的に接触するように、電子パッチ10を使用済みプリントカートリッジ70上のカートリッジ電気回路80の一部の上に位置付け、貼り付け」ることが記載されている。
(ク)上記ア(ケ)から、甲4には、「電子パッチ10によって、元のメモリアレイを再プログラムまたはリセットすることなく、使用済みプリントカートリッジ70を再利用することを提供する方法」及び「電子パッチ10によって、元のメモリアレイを再プログラムまたはリセットすることなく、再利用される使用済みプリントカートリッジ70」が記載されているといえる。
ウ 甲4に記載された発明
上記イから、甲4には、次の2つの発明(以下、それぞれ、「甲4発明A」、「甲4発明B」という。)が記載されているといえる。
(甲4発明A)
「 集積制御チップ60を含むパッチ回路20の形態の第2の回路を含む電子パッチ10を、使用済みプリントカートリッジ70上のカートリッジ電気回路80の一部を覆い、
使用済みプリントカートリッジ70は、プリンタに装着されたときに、複数のプリンタ接点と電気的に通信する複数のカートリッジ接点82、カートリッジメモリを含むカートリッジ電気回路80の形態の第1の回路を含み
パッチ回路20は、接触パッド50の一部または全部が下層のカートリッジ電気回路80の接触パッドと接触するように、カートリッジ電気回路80の一部の上に配置され、
いくつかの接触パッド50は、使用済みプリントカートリッジ70のメモリ位置に関連するカートリッジ電気回路80の下層の接触パッドと整列させ、
集積制御チップ60は、パッチメモリを含み、パッチ回路20のうち、使用済みプリントカートリッジ70の上部に位置する部分に配置され、
電子パッチ10のコンタクトパッド50は、使用済みプリントカートリッジ70上の対応するコンタクトパッドに嵌合する側にはんだ材料を含み、それによってコンタクトパッド50を使用済みプリントカートリッジ70上のコンタクトパッドにはんだ付けできるようにしてもよく、
交換回路20の接触パッド50及び半田位置430がカートリッジ電気回路80の適切な対応する接触パッド82と電気的に接触するように、電子パッチ10を使用済みプリントカートリッジ70上のカートリッジ電気回路80の一部の上に位置付け、貼り付け、
電子パッチ10によって、元のメモリアレイを再プログラムまたはリセットすることなく、使用済みプリントカートリッジ70を再利用することを提供する
方法。」
(甲4発明B)
「 集積制御チップ60を含むパッチ回路20の形態の第2の回路を含む電子パッチ10を、使用済みプリントカートリッジ70上のカートリッジ電気回路80の一部を覆い、
使用済みプリントカートリッジ70は、プリンタに装着されたときに、複数のプリンタ接点と電気的に通信する複数のカートリッジ接点82、カートリッジメモリを含むカートリッジ電気回路80の形態の第1の回路を含み
パッチ回路20は、接触パッド50の一部または全部が下層のカートリッジ電気回路80の接触パッドと接触するように、カートリッジ電気回路80の一部の上に配置され、
いくつかの接触パッド50は、使用済みプリントカートリッジ70のメモリ位置に関連するカートリッジ電気回路80の下層の接触パッドと整列させ、
集積制御チップ60は、パッチメモリを含み、パッチ回路20のうち、使用済みプリントカートリッジ70の上部に位置する部分に配置され、
電子パッチ10のコンタクトパッド50は、使用済みプリントカートリッジ70上の対応するコンタクトパッドに嵌合する側にはんだ材料を含み、それによってコンタクトパッド50を使用済みプリントカートリッジ70上のコンタクトパッドにはんだ付けできるようにしてもよく、
交換回路20の接触パッド50及び半田位置430がカートリッジ電気回路80の適切な対応する接触パッド82と電気的に接触するように、電子パッチ10を使用済みプリントカートリッジ70上のカートリッジ電気回路80の一部の上に位置付け、貼り付け、
電子パッチ10によって、元のメモリアレイを再プログラムまたはリセットすることなく、再利用される使用済みプリントカートリッジ70。」
(5)甲5(引用文献3)について
甲5には、上記「第5」の2(3)イから、のとおりの「引用発明3技術的事項」が記載されている。なお、以下、「引用発明3技術的事項」を「甲5技術的事項」という。
(6)甲6について
ア 甲6に記載された事項
甲6には、次の事項が記載されている。
「【0016】
ヘッドカートリッジ101は、上方及び正面上方が開放され、正面壁、背面壁、2つの側面壁、底面壁から構成され、熱可塑性樹脂(本実施例においては変性PPO)製の筐体101aと、筐体底面壁に固定された、ブラックインクを吐出する液体吐出口面を有するブラックチップ111とカラーインクを吐出する吐出口面を有するカラーチップ112と、筐体背面壁に固定された、プリンタ本体から制御信号を伝達するための電気接続端子を有する回路基板としてのPWB(Print Wire Board)基板113と、及び筐体背面壁から底面壁にわたって、前記ブラックチップ111及びカラーチップ112と前記PWB基板113を電気的に接続するためのTABシート114とを備えている。PWB基板113は、ヘッドカートリッジ101を構成する筐体101aの背面壁に対し、位置決めピン126で図1(a)の平面方向の位置決めを行い、又、カシメ部125で紙面(すなわち、筐体背面壁)に垂直方向の位置決め及び固定を行う。尚、PWB基板113の固定手段としてのカシメ部は、ヘッドカートリッジ101の筐体に一体に成形された熱可塑性樹脂製のカシメピンを熱で溶融変形させて得られた形状をなしている。PWB基板113表面上には、外部との接点であるPWBパッド123が40個配されている。PWB基板は、ガラスエポキシを構造材として、両面に配線パターンを配している。PWB基板113裏面には、ヘッドカートリッジ101とブラックインクタンク及びカラーインクタンクを電気的に接続するための電気接触端子として、ブラックインクタンク用コネクタ121及びカラーインクタンク用コネクタ122が配されている(図1(a)の薄線)。
【0017】
図3及び図4は、それぞれ、本発明の実施形態におけるヘッドカートリッジ101の正面図及び正面側斜視図である。ヘッドカートリッジ101には、ブラックインクタンク及びカラーインクタンクを装着可能な開口凹部が、カートリッジ筐体101a内に仕切壁を介して2箇所形成されている。2つの開口凹部はいずれも、インクタンクの装着又は取り外しのために、筐体上方及びこれに続く筐体正面壁上部が開口している(図4参照)。それぞれの開口凹部の中には、ブラックチップ111及びカラーチップ112にインクを供給するためのインク供給管が配されている。また、開口凹部内にはヘッドカートリッジとブラックインクタンク及びカラーインクタンクを電気的に接続するための電気接触端子として、PWB基板113裏面に形成されているブラックインクタンク用コネクタ121及びカラーインクタンク用コネクタ122が臨んでいる。ブラックタンク用コネクタ121及びカラーインクタンク用コネクタ122は、それぞれ、図5に示されるように、バネ接点128と該バネ接点128を支持する支持部材であるハウジング119を備えており、該ハウジング119は、PWB基板113の表面側に形成されているPWBパッド123に該略対応する裏面側に実装されている。開口凹部を構成するヘッドカートリッジ101の筐体101aの背面壁の一部には、図3、5に示されるように所定位置に穴109が形成されており、したがって、PWB基板113がカシメ部125を介してヘッドカートリッジ101に取り付けられた時、穴109内にハウジング119が位置するとともに、バネ接点128が開口凹部内に向かって突出する構成をとる。なお、図5には、さらに、バネ接点128が押され、変位したときの軌跡が示されている。
【0018】
図6は、本発明の実施形態におけるカラーインクタンク202の斜視図である。カラーインクタンク202は、内部にインクを保持するためのインク吸収体(不図示)を有し、カラーインクタンク202がヘッドカートリッジ101へ装着されたとき、ヘッドカートリッジ101のインク供給管と係合し、インクを導出するためのインク供給口206を有する。尚、本カラーインクタンク202は、イエロー、シアン、マゼンタの3色からなり、インク供給口206は、それぞれの色に対応し、3箇所配されている。又、カラーインクタンク202の背面には、記憶素子211と記憶素子と電気的に接合されているコンタクトパッド215が配されている。記憶素子211は、カラーインクタンク202内のインク残量を記憶素子211に記憶させることにより、たとえ使用中のインクタンクを着脱された場合でもインク残量レベルを正確に読み取ることが可能である。ブラックインクタンクについても基本的な構成は同じであり、ブラックインク単色が保持されていることから、インク供給口は1箇所となる。」
「【0020】
図9は、本発明の実施形態におけるヘッドカートリッジ101へのブラックインクタンク201及びカラーインクタンク202の装着状態を示す斜視図である。装着状態においては、ブラックインクタンク201及びカラーインクタンク202それぞれに配された記憶素子211に接続されたコンタクトパッド215がヘッドカートリッジ101に配されたブラックインクタンク用コネクタ121とカラーインクタンク用コネクタ122に配されたバネ接点128、128と接触し導通する。ブラックタンク用コネクタ121及びカラーインクタンク用コネクタ122は、PWB基板113の回路と接続されており、PWBパッド123と電気的に接続されている。」
イ 甲6から把握できる事項
上記アから、甲6には、次の事項が記載されているといえる。
(ア)上記【0016】、【0017】から、甲6には、「プリンタ本体から制御信号を伝達するために、ヘッドカートリッジ101とブラックインクタンク及びカラーインクタンクを電気的に接続するための電気接触端子(ブラックインクタンク用コネクタ121及びカラーインクタンク用コネクタ122)を有する回路基板としてのPWB(Print Wire Board)基板113を備えるヘッドカートリッジ101」が記載されているといえる。
(イ)上記【0017】には、「ヘッドカートリッジ101には、ブラックインクタンク及びカラーインクタンクを装着可能な開口凹部が、カートリッジ筐体101a内に仕切壁を介して2箇所形成され」ていることが記載されている。
(ウ)上記【0018】から、甲6には、「ブラックインクタンク201及びカラーインクタンク202には、記憶素子211と記憶素子と電気的に接合されているコンタクトパッド215が配されており、記憶素子211には、カラーインクタンク202内のインク残量を記憶素子211が記憶され」ていることが記載されているといえる。
(エ)上記【0017】、【0020】から、甲6には、「装着状態においては、ブラックインクタンク201及びカラーンクタンク202それぞれに配された記憶素子211に接続されたコンタクトパッド215がヘッドカートリッジ101に配されたブラックインクタンク用コネクタ121とカラーインクタンク用コネクタ122に導通する」ことが記載されているといえる。
ウ 甲6に記載された発明
上記イから、甲6には、次の発明(以下、「甲6発明」という。)が記載されているといえる。
「 プリンタ本体から制御信号を伝達するために、ヘッドカートリッジ101とブラックインクタンク及びカラーインクタンクを電気的に接続するための電気接触端子(ブラックインクタンク用コネクタ121及びカラーインクタンク用コネクタ122)を有する回路基板としてのPWB(Print Wire Board)基板113を備えるヘッドカートリッジ101であって、
ヘッドカートリッジ101には、ブラックインクタンク及びカラーインクタンクを装着可能な開口凹部が、カートリッジ筐体101a内に仕切壁を介して2箇所形成され、
ブラックインクタンク201及びカラーインクタンク202には、記憶素子211と記憶素子と電気的に接合されているコンタクトパッド215が配されており、記憶素子211には、カラーインクタンク202内のインク残量を記憶素子211が記憶され、
装着状態においては、ブラックインクタンク201及びカラーンクタンク202それぞれに配された記憶素子211に接続されたコンタクトパッド215がヘッドカートリッジ101に配されたブラックインクタンク用コネクタ121とカラーインクタンク用コネクタ122に導通する、
ヘッドカートリッジ101。」
以下、事案に鑑み、本件訂正発明の単位で検討を行う。
2 本件訂正発明2について
(1)対比
事案に鑑み、本件訂正発明2と甲4発明Aとを対比する。
ア 本件訂正発明2の「元のインクカートリッジから上部カバーを取り除き、カートリッジハウジングを取得するステップS10」について
甲4発明Aは「使用済みプリントカートリッジ70は、プリンタに装着され」ることから、甲4発明Aの「プリントカートリッジ70」の筐体は、本件訂正発明2の「カートリッジハウジング」に相当する。
そうすると、甲4発明Aの「プリントカートリッジ70」について、「集積制御チップ60を含むパッチ回路20の形態の第2の回路を含む電子パッチ10を、使用済みプリントカートリッジ70上のカートリッジ電気回路80の一部を覆」うための準備をすることは、本件訂正発明2の「カートリッジハウジングを取得するステップS10」に相当する。
イ 本件訂正発明2の「アウトサイド制御回路基板を、前記元のインクカートリッジの当初制御回路基板に電気的に接続させ、前記当初制御回路基板における接点が前記アウトサイド制御回路基板に繋がるようにするステップS20」について
甲4発明Aにおける、「使用済みプリントカートリッジ70上のカートリッジ電気回路80」について、「使用済みプリントカートリッジ70は、プリンタに装着されたときに、複数のプリンタ接点と電気的に通信する複数のカートリッジ接点82、カートリッジメモリを含むカートリッジ電気回路80の形態の第1の回路を含」むことから、「カートリッジ電気回路80」が設けられる基板は、本件訂正発明2の「当初制御回路基板」に相当する。
そして、甲4発明Aの「集積制御チップ60を含むパッチ回路20の形態の第2の回路を含む電子パッチ10」は、「使用済みプリントカートリッジ70上のカートリッジ電気回路80の一部を覆」うことから、本件訂正発明2の「アウトサイド制御回路基板」に相当する。
そうすると、甲4発明Aの「集積制御チップ60を含むパッチ回路20の形態の第2の回路を含む電子パッチ10を、使用済みプリントカートリッジ70上のカートリッジ電気回路80の一部を覆」うことは、電子パッチ10とカートリッジ電気回路80とを電気的に接続するものであるから、本件訂正発明2の「アウトサイド制御回路基板を、前記元のインクカートリッジの当初制御回路基板に電気的に接続させ、前記当初制御回路基板における接点が前記アウトサイド制御回路基板に繋がるようにするステップS20」に相当する。
ウ 本件訂正発明2の「インク容器における対応の位置に、インサイド制御回路基板を設置するステップS30」、「前記インク容器を前記カートリッジハウジングに取り付け、前記インク容器の前記インサイド制御回路基板の内部接点を前記アウトサイド制御回路基板に電気的に接続させ、インク容器を備えたインクカートリッジを取得するステップS40」について
甲4発明Aは、「インク容器」、「インサイド制御回路基板」に対応する構成を含まない点で、本件訂正発明2の「インク容器における対応の位置に、インサイド制御回路基板を設置するステップS30」、「前記インク容器を前記カートリッジハウジングに取り付け、前記インク容器の前記インサイド制御回路基板の内部接点を前記アウトサイド制御回路基板に電気的に接続させ、インク容器を備えたインクカートリッジを取得するステップS40」と相違する。
エ 本件訂正発明2の「前記アウトサイド制御回路基板の第一チップ又は前記インサイド制御回路基板の第二チップには、前記インク容器についてその実際のインク量のデータ及び使用のプログラムが書き込まれ」について
甲4発明Aは、「インク量のデータ及び使用のプログラムが書き込まれ」ることに対応する構成を含まない点で、本件訂正発明2の「前記アウトサイド制御回路基板の第一チップ又は前記インサイド制御回路基板の第二チップには、前記インク容器についてその実際のインク量のデータ及び使用のプログラムが書き込まれ」と相違する。
オ 本件訂正発明2の「前記ステップS20では、前記カートリッジハウジングに繋がり穴を開設し、前記アウトサイド制御回路基板を前記元のインクカートリッジの前記当初制御回路基板に接続し、前記当初制御回路基板における接点が、前記アウトサイド制御回路基板における対応位置の外部接点の一部と、一対一に対応して繋がるようにすると共に、外部接点の残りの部分を、繋がり穴を介して、前記カートリッジハウジング内に進入させる」について
甲4発明Aの「集積制御チップ60を含むパッチ回路20の形態の第2の回路を含む電子パッチ10を、使用済みプリントカートリッジ70上のカートリッジ電気回路80の一部を覆」うことは、「カートリッジハウジングに繋がり穴を開設」するものではないものの、本件訂正発明2の「前記ステップS20では」、「前記アウトサイド制御回路基板を前記元のインクカートリッジの前記当初制御回路基板に接続」することに相当する。
カ 本件訂正発明2「インク容器を備えたインクカートリッジの加工方法」について
甲4発明Aは、「使用済みプリントカートリッジ70を再利用することを提供する」方法であって、上記ア、イ、オのとおりの機能を有することから、後述する相違点は別にして、本件訂正発明2の「インクカートリッジの加工方法」に相当する。
キ 一致点及び相違点
上記ア~カのとおりであるから、本件訂正発明2と甲4発明Aとの一致点及び相違点は、次のとおりである。
<一致点>
カートリッジハウジングを取得するステップS10と、
アウトサイド制御回路基板を、前記元のインクカートリッジの当初制御回路基板に電気的に接続させ、前記当初制御回路基板における接点が前記アウトサイド制御回路基板に繋がるようにするステップS20とを含み、
前記ステップS20では、前記アウトサイド制御回路基板を前記元のインクカートリッジの前記当初制御回路基板に接続する
インクカートリッジの加工方法。
<相違点>
(相違点2-1)
本件訂正発明2は、ステップ10において、「元のインクカートリッジから上部カバーを取り除」くのに対して、甲4発明Aは、そのような構成になっていない点。
(相違点2-2)
本件訂正発明2は、「インク容器における対応の位置に、インサイド制御回路基板を設置するステップS30」を含むのに対して、甲4発明Aは、そのような構成になっていない点。
(相違点2-3)
本件訂正発明2は、「前記インク容器を前記カートリッジハウジングに取り付け、前記インク容器の前記インサイド制御回路基板の内部接点を前記アウトサイド制御回路基板に電気的に接続させ、インク容器を備えたインクカートリッジを取得するステップS40」を含むのに対して、甲4発明Aは、そのような構成になっていない点。
(相違点2-4)
本件訂正発明2は、「前記アウトサイド制御回路基板の第一チップ又は前記インサイド制御回路基板の第二チップには、前記インク容器についてその実際のインク量のデータ及び使用のプログラムが書き込まれ」るのに対して、甲4発明Aは、そのような構成になっているか定かではない点。
(相違点2-5)
本件訂正発明2は、ステップ20において、「前記カートリッジハウジングに繋がり穴を開設し」、「前記当初制御回路基板における接点が、前記アウトサイド制御回路基板における対応位置の外部接点の一部と、一対一に対応して繋がるようにすると共に、外部接点の残りの部分を、繋がり穴を介して、前記カートリッジハウジング内に進入させる」のに対して、甲4発明Aは、「前記カートリッジハウジングに繋がり穴を開設」するものではなく、このため、「外部接点の残りの部分を、繋がり穴を介して、前記カートリッジハウジング内に進入させる」ものでなく、さらに、「「前記当初制御回路基板における接点が、前記アウトサイド制御回路基板における対応位置の外部接点の一部と、一対一に対応して繋がるようにする」か定かではない点。
(2)相違点の判断
ア 相違点2-5について
事案に鑑み、相違点2-5から検討をする。
甲4発明Aのプリントカートリッジ70は、その内部にインク容器を収納する構成になっているか定かではなく、そのため、インサイド制御回路基板を備えているか不明である。そうすると、甲4発明Aにおいて、アウト再度制御回路基板とインサイド制御回路基板とを電気的に接続するために、「前記カートリッジハウジングに繋がり穴を開設」する構成としようとする動機付けはないため、甲4発明Aに基づいて、上記相違点2-5の構成にすることは、当業者が容易に想到することができたものではない。
さらに、甲3技術的事項、甲5技術的事項、甲6発明は、「前記カートリッジハウジングに繋がり穴を開設」するものではなく、このため、「外部接点の残りの部分を、繋がり穴を介して、前記カートリッジハウジング内に進入させる」ものではない。
このため、甲4発明Aに甲3技術的事項、甲5技術的事項、甲6発明を適用しても、上記相違点2-5の構成には至らない。
イ 効果について
本件訂正発明2は、上記相違点2-5の構成を有することで、本件特許明細書の段落【0030】に記載された特有の効果を奏するものである。
(3)申立人の主張について
ア 主張の概要
「甲第5号証には、「アダプタ90の前壁91において、高さ方向52の上側には、奥行き方向53へ貫通する開口99が形成されている。開口99は、アダプタ90に設けられたフレキシブルプリント配線板(FPC)89が挿通されるものである」、「インクカートリッジ30に設けられたIC基板74の各電極75は、FPC89の各領域88にそれぞれ当接して電気的に導通される」と記載されている(本件特許発明の「前記カートリッジハウジングには、繋がり穴が設けられ、前記アウトサイド制御回路基板における前記内部接点と対応する外部接点が前記繋がり穴を貫通して前記ハウジング溝内に進入し、前記インク容器が前記ハウジング溝内に置かれてから、前記ハウジング溝内に位置する前記外部接点が前記内部接点に繋がる」ことに相当する)。
甲第6号証には、「PWB基板113がカシメ部125を介してヘッドカートリッジ101に取り付けられた時、穴109内にハウジング119が位置するとともに、バネ接点128が開ロ凹部内に向かって突出する構成をとる」、「ブラックインクタンク201及びカラーイングタンク202それぞれに配された記憶素子211に接続されたコンタクトパッド215がヘッドカートリッジ101に配されたブラックインクタンク用コネクタ121とカラーインクタンク用コネクタ122に配されたバネ接点128、128と接触し導通する」と記載されている(本件特許発明の「前記カートリッジハウジングには、繋がり穴が設けられ、前記アウトサイド制御回路基板における前記内部接点と対応する外部接点が前記繋がり穴を貫通して前記ハウジング溝内に進入し、前記インク容器が前記ハウジング溝内に置かれてから、前記ハウジング溝内に位置する前記外部接点が前記内部接点に繋がる」ことに相当する)。」(申立書58~59頁)
「2F:
前記ステップS20では、前記カートリッジハウジングに繋がり穴を開設し、
・・・
令和5年2月9日付けの特許異議申立書に記載された通り、上記発明特定事項2Aは当分野の技術常識であり、例えば甲第3号証に開示されており、上記発明特定事項2B、2E、2Gは甲第4号証に開示されており、上記発明特定事項2C、2D、2F、2Hは甲第5号証(又は甲第6号証)に開示されている。」(令和6年9月25日提出の意見書2~3頁)
イ 主張の検討
申立人が主張する甲5の「開口99」は、「アダプタ90」に形成されるものであって、「プリントカートリッジ70」に設けられるものではない。
甲6の「ヘッドカートリッジ101」は、記録ヘッドと一体でキャリッジに対して着脱可能なもの(甲6【0002】参照)であって、このようなヘッドカートリッジ101に対してインクタンクが着脱可能なものである。そのため、甲6の「ヘッドカートリッジ101」は本件訂正発明2の「インクカートリッジ」に対応するものではない。そして、甲6の「穴109」は、「ヘッドカートリッジ101」に設けられることから、本件訂正発明2の「繋がり穴」に対応するものでないことは明らかである。
よって、申立人の上記主張に理由はない。
(4)小括
以上のとおりであるから、相違点2-1~2-4について検討をするまでもなく、本件訂正発明2は、甲4発明Aに基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
また、甲3~甲6には、上記相違点2-5に関する構成が開示されていないことから、本件訂正発明2は、甲3、甲5,甲6に記載された発明を主引用発明としても、当業者が容易に発明をすることができたものではない(本件訂正発明2についての理由C~理由F)。
3 本件訂正発明4について
本件訂正発明4は、上記「第5」のとおりであるから、優先権の主張は認められない。
(1)本件訂正発明2と本件訂正発明4との関係について
本件訂正発明2と本件訂正発明4とは、
「 元のインクカートリッジから上部カバーを取り除き、カートリッジハウジングを取得するステップS10と、
アウトサイド制御回路基板を、前記元のインクカートリッジの当初制御回路基板に電気的に接続させ、前記当初制御回路基板における接点が前記アウトサイド制御回路基板に繋がるようにするステップS20と、
インク容器における対応の位置に、インサイド制御回路基板を設置するステップS30と、
前記インク容器を前記カートリッジハウジングに取り付け、前記インク容器の前記インサイド制御回路基板の内部接点を前記アウトサイド制御回路基板に電気的に接続させ、インク容器を備えたインクカートリッジを取得するステップS40と、を含み、
前記アウトサイド制御回路基板の第一チップ又は前記インサイド制御回路基板の第二チップには、前記インク容器についてその実際のインク量のデータ及び使用のプログラムが書き込まれ」た「ことを特徴とする、インク容器を備えたインクカートリッジの加工方法」
との点で、同一の構成を有し、
本件訂正発明2は、
「前記ステップS20では、前記カートリッジハウジングに繋がり穴を開設し、前記アウトサイド制御回路基板を前記元のインクカートリッジの前記当初制御回路基板に接続し、前記当初制御回路基板における接点が、前記アウトサイド制御回路基板における対応位置の外部接点の一部と、一対一に対応して繋がるようにすると共に、外部接点の残りの部分を、繋がり穴を介して、前記カートリッジハウジング内に進入させる」
との構成を有するのに対し、
本件訂正発明4は、
「前記ステップS20では、前記アウトサイド制御回路基板の外部接点の一部を前記当初制御回路基板に接続し、前記アウトサイド制御回路基板を前記カートリッジハウジングに沿って前記カートリッジハウジングに設置されるハウジング溝内に折り曲げ、前記アウトサイド制御回路基板における残りの外部接点の一部が前記ハウジング溝内に位置するようにする、ことを特徴とする」
との構成を有する点で、構成が異なる。
(2)対比
事案に鑑み、本件訂正発明4と甲4発明Aとを対比する。
ア 上記(1)で示した、本件訂正発明4の、本件訂正発明2と同一の構成について、その対比は、上記2(1)ア~エ、カのとおりである。
イ 本件訂正発明4の「前記ステップS20では、前記アウトサイド制御回路基板の外部接点の一部を前記当初制御回路基板に接続し、前記アウトサイド制御回路基板を前記カートリッジハウジングに沿って前記カートリッジハウジングに設置されるハウジング溝内に折り曲げ、前記アウトサイド制御回路基板における残りの外部接点の一部が前記ハウジング溝内に位置するようにする」について
甲4発明Aの「集積制御チップ60を含むパッチ回路20の形態の第2の回路を含む電子パッチ10を、使用済みプリントカートリッジ70上のカートリッジ電気回路80の一部を覆」うことは、「前記アウトサイド制御回路基板を前記カートリッジハウジングに沿って前記カートリッジハウジングに設置されるハウジング溝内に折り曲げ、前記アウトサイド制御回路基板における残りの外部接点の一部が前記ハウジング溝内に位置する」ものではないものの、本件訂正発明4の「前記ステップS20では、前記アウトサイド制御回路基板の外部接点の一部を前記当初制御回路基板に接続」することに相当する。
ウ 一致点及び相違点
上記ア、イのとおりであるから、本件訂正発明4と甲4発明Aとの一致点及び相違点は、次のとおりである。
<一致点>
カートリッジハウジングを取得するステップS10と、
アウトサイド制御回路基板を、前記元のインクカートリッジの当初制御回路基板に電気的に接続させ、前記当初制御回路基板における接点が前記アウトサイド制御回路基板に繋がるようにするステップS20とを含み、
前記ステップS20では、前記アウトサイド制御回路基板の外部接点の一部を前記当初制御回路基板に接続する
インクカートリッジの加工方法。
<相違点>
(相違点4-1)
本件訂正発明4は、ステップ10において、「元のインクカートリッジから上部カバーを取り除」くのに対して、甲4発明Aは、そのような構成になっていない点。
(相違点4-2)
本件訂正発明4は、「インク容器における対応の位置に、インサイド制御回路基板を設置するステップS30」を含むのに対して、甲4発明Aは、そのような構成になっていない点。
(相違点4-3)
本件訂正発明4は、「前記インク容器を前記カートリッジハウジングに取り付け、前記インク容器の前記インサイド制御回路基板の内部接点を前記アウトサイド制御回路基板に電気的に接続させ、インク容器を備えたインクカートリッジを取得するステップS40」を含むのに対して、甲4発明Aは、そのような構成になっていない点。
(相違点4-4)
本件訂正発明4は、「前記アウトサイド制御回路基板の第一チップ又は前記インサイド制御回路基板の第二チップには、前記インク容器についてその実際のインク量のデータ及び使用のプログラムが書き込まれ」るのに対して、甲4発明Aは、そのような構成になっているか定かではない点。
(相違点4-5)
本件訂正発明4は、ステップ20において、「前記アウトサイド制御回路基板を前記カートリッジハウジングに沿って前記カートリッジハウジングに設置されるハウジング溝内に折り曲げ」、「前記アウトサイド制御回路基板における残りの外部接点の一部が前記ハウジング溝内に位置する」のに対して、甲4発明Aは、「前記アウトサイド制御回路基板を前記カートリッジハウジングに沿って前記カートリッジハウジングに設置されるハウジング溝内に折り曲げ」るものではなく、「前記アウトサイド制御回路基板における残りの外部接点の一部が前記ハウジング溝内に位置する」か定かではない点。
(2)相違点の判断
ア 相違点4-5について
事案に鑑み、相違点4-5から検討をする。
甲4発明Aのプリントカートリッジ70は、その内部にインク容器を収納する構成になっているか定かではなく、そのため、インサイド制御回路基板を備えているか不明である。そうすると、甲4発明Aにおいて、アウト再度制御回路基板とインサイド制御回路基板とを電気的に接続するために、「前記アウトサイド制御回路基板を前記カートリッジハウジングに沿って前記カートリッジハウジングに設置されるハウジング溝内に折り曲げ」る構成としようとする動機付けはないため、甲4発明Aに基づいて、上記相違点4-5の構成にすることは、当業者が容易に想到することができたものではない。
さらに、甲1発明A、甲2発明、甲3技術的事項、甲5技術的事項、甲6発明は、「前記アウトサイド制御回路基板を前記カートリッジハウジングに沿って前記カートリッジハウジングに設置されるハウジング溝内に折り曲げ」るものではない。
このため、甲4発明Aに甲1発明A、甲2発明、甲3技術的事項、甲5技術的事項、甲6発明を適用しても、上記相違点4-5の構成には至らない。
イ 効果について
本件訂正発明4は、上記相違点4-5の構成を有することで、本件特許明細書の段落【0030】に記載された特有の効果を奏するものである。
(3)申立人の主張について
ア 主張の概要
「このように、甲第2号証には、本件訂正発明の「ハウジング溝内に折り曲げたアウトサイド制御回路基板」に相当する「第2の回路基板15」が開示されており、甲第5号証には、本件訂正発明の「ハウジング溝内に折り曲げたアウトサイド制御回路基板」に相当する「FPC89」が開示されている。」(令和6年9月25日提出の意見書6~7頁)
イ 主張の検討
本件訂正発明4は「インクカートリッジの加工方法」の発明である。これに対して、甲2には、インクカートリッジの形状・構造に関する記載はあるものの、インクカートリッジの加工方法に関する記載はないため、甲2に記載された発明を「インクカートリッジの加工方法」の発明として認定することはできず、主引用発明とすることはできない。
よって、申立人の上記主張は失当である。
(4)小括
以上のとおりであるから、相違点4-1~4-4について検討をするまでもなく、本件訂正発明4は、甲4発明Aに基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
また、甲1~甲6には、上記相違点4-5に関する構成が開示されていないことから、本件訂正発明4は、甲1~甲3、甲5,甲6に記載されたいずれかの発明を主引用発明としても、当業者が容易に発明をすることができたものではない(本件訂正発明4についての理由A~理由F)。
4 本件訂正発明10について
本件訂正発明10は、上記「第5」のとおりであるから、優先権の主張は認められる(なお、甲1、甲2は優先日後公知)。
(1)対比
事案に鑑み、本件訂正発明10と甲4発明Bとを対比する。
ア 本件訂正発明10の「ハウジング溝が開設されており、当初制御回路基板が設けられる、カートリッジハウジング」について
甲4発明Bにおける、「使用済みプリントカートリッジ70上のカートリッジ電気回路80」について、「使用済みプリントカートリッジ70は、プリンタに装着されたときに、複数のプリンタ接点と電気的に通信する複数のカートリッジ接点82、カートリッジメモリを含むカートリッジ電気回路80の形態の第1の回路を含」むことから、甲4発明Bの「カートリッジ電気回路80」が設けられる基板は、本件訂正発明10の「当初制御回路基板」に相当し、甲4発明Bは、「「集積制御チップ60を含むパッチ回路20の形態の第2の回路を含む電子パッチ10」は、「使用済みプリントカートリッジ70上のカートリッジ電気回路80の一部を覆」うことから、甲4発明Bの「プリントカートリッジ70」の筐体は、本件訂正発明10の「当初制御回路基板が設けられる、カートリッジハウジング」に相当する。
イ 本件訂正発明10の「第一チップが設置されており、前記当初制御回路基板と電気的に繋がるアウトサイド制御回路基板」について
甲4発明Bにおいて、「集積制御チップ60を含むパッチ回路20の形態の第2の回路を含む電子パッチ10」は、「使用済みプリントカートリッジ70上のカートリッジ電気回路80の一部を覆」うものである。
そうすると、甲4発明Bの「集積制御チップ60」は、本件訂正発明10の「第一チップ」に相当し、甲4発明Bの「電子パッチ10」は、本件訂正発明10の「第一チップが設置されており、前記当初制御回路基板と電気的に繋がるアウトサイド制御回路基板」に相当する。
ウ 本件訂正発明10の「インク容器及びインサイド制御回路基板であって、前記インサイド制御回路基板が前記インク容器に取り付けられ、前記インサイド制御回路基板には、第二チップが設けられ、前記インサイド制御回路基板には、内部接点が設けられる、前記インク容器及び前記インサイド制御回路基板」、「そのうち、前記インク容器が前記カートリッジハウジングに取り付けられた後、前記アウトサイド制御回路基板が前記内部接点に電気的に繋がり」について
甲4発明Bは、「インク容器」、「インサイド制御回路基板」に対応する構成を含まない点で、本件訂正発明10の「インク容器及びインサイド制御回路基板であって、前記インサイド制御回路基板が前記インク容器に取り付けられ、前記インサイド制御回路基板には、第二チップが設けられ、前記インサイド制御回路基板には、内部接点が設けられる、前記インク容器及び前記インサイド制御回路基板」と相違する。
エ 本件訂正発明10の「前記第一チップ又は前記第二チップ内には、前インク容器について、その実際のインク量データ及び使用のプログラムが記憶されており」について
甲4発明Bは、「インク量のデータ及び使用のプログラムが書き込まれ」ることに対応する構成を含まない点で、本件訂正発明10の「前記第一チップ又は前記第二チップ内には、前インク容器について、その実際のインク量データ及び使用のプログラムが記憶されており」と相違する。
オ 本件訂正発明10の「前記カートリッジハウジングには、繋がり穴が設けられ、前記アウトサイド制御回路基板における前記内部接点と対応する外部接点が前記繋がり穴を貫通して前記ハウジング溝内に進入し、前記インク容器が前記ハウジング溝内に置かれてから、前記ハウジング溝内に位置する前記外部接点が前記内部接点に繋がる」について
甲4発明Bは、「カートリッジハウジングに繋がり穴を開設」するものではない点で、本件訂正発明10の「前記カートリッジハウジングには、繋がり穴が設けられ、前記アウトサイド制御回路基板における前記内部接点と対応する外部接点が前記繋がり穴を貫通して前記ハウジング溝内に進入し、前記インク容器が前記ハウジング溝内に置かれてから、前記ハウジング溝内に位置する前記外部接点が前記内部接点に繋がる」と相違する。
カ 本件訂正発明10の「インク容器を備えたインクカートリッジ」について
甲4発明Bの、「使用済みプリントカートリッジ70」は、上記ア、イ、オのとおりの構成を有することから、後述する相違点は別にして、本件訂正発明10の「インクカートリッジ」に相当する。
キ 一致点及び相違点
上記ア~カのとおりであるから、本件訂正発明10と甲4発明Bとの一致点及び相違点は、次のとおりである。
<一致点>
当初制御回路基板が設けられる、カートリッジハウジングと、
第一チップが設置されており、前記当初制御回路基板と電気的に繋がるアウトサイド制御回路基板とを含む
インクカートリッジ。
<相違点>
(相違点10-1)
本件訂正発明10は、カートリッジハウジングについて、「ハウジング溝が開設されて」いるのに対して、甲4発明Bは、そのような構成になっていない点。
(相違点10-2)
本件訂正発明10は、「インク容器及びインサイド制御回路基板であって、前記インサイド制御回路基板が前記インク容器に取り付けられ、前記インサイド制御回路基板には、第二チップが設けられ、前記インサイド制御回路基板には、内部接点が設けられる、前記インク容器及び前記インサイド制御回路基板」を含むのに対して、甲4発明Bは、そのような構成になっていない点。
(相違点10-3)
本件訂正発明10は、「そのうち、前記インク容器が前記カートリッジハウジングに取り付けられた後、前記アウトサイド制御回路基板が前記内部接点に電気的に繋が」るのに対して、甲4発明Bは、そのような構成になっていない点。
(相違点10-4)
本件訂正発明10は、「前記第一チップ又は前記第二チップ内には、前インク容器について、その実際のインク量データ及び使用のプログラムが記憶されて」いるのに対して、甲4発明Bは、そのような構成になっていない点。
(相違点10-5)
本件訂正発明10は、「前記カートリッジハウジングには、繋がり穴が設けられ、前記アウトサイド制御回路基板における前記内部接点と対応する外部接点が前記繋がり穴を貫通して前記ハウジング溝内に進入し、前記インク容器が前記ハウジング溝内に置かれてから、前記ハウジング溝内に位置する前記外部接点が前記内部接点に繋がる」のに対して、甲4発明Bは、そのような構成になっていない点。
(2)相違点の判断
ア 相違点10-5について
事案に鑑み、相違点10-5から検討をする。
甲4発明Bのプリントカートリッジ70は、その内部にインク容器を収納する構成になっているか定かではなく、そのため、インサイド制御回路基板を備えているか不明である。そうすると、甲4発明Bにおいて、アウト再度制御回路基板とインサイド制御回路基板とを電気的に接続するために、「前記カートリッジハウジングに繋がり穴を開設」する構成としようとする動機付けはないため、甲4発明Bに基づいて、上記相違点10-5の構成にすることは、当業者が容易に想到することができたものではない。
さらに、甲3技術的事項、甲5技術的事項、甲6発明は、「前記カートリッジハウジングに繋がり穴を開設」するものではなく、このため、「外部接点の残りの部分を、繋がり穴を介して、前記カートリッジハウジング内に進入させる」ものではない。
このため、甲4発明Aに甲3技術的事項、甲5技術的事項、甲6発明を適用しても、上記相違点10-5の構成には至らない。
イ 効果について
本件訂正発明2は、上記相違点10-5の構成を有することで、本件特許明細書の段落【0030】に記載された特有の効果を奏するものである。
(3)申立人の主張について
申立人は、実質的に本件訂正発明2でする主張(上記2(3)ア)と同じ主張をする。しかしながら、その主張については、上記2(3)イのとおりであるから、申立人の上記主張に理由はない。
(4)小括
以上のとおりであるから、相違点10-1~10-4について検討をするまでもなく、本件訂正発明10は、甲4発明Bに基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
また、甲3~甲6には、上記相違点10-5に関する構成が開示されていないことから、本件訂正発明2は、甲3、甲5,甲6に記載された発明を主引用発明としても、当業者が容易に発明をすることができたものではない(本件訂正発明10についての理由C~理由F)。
5 本件訂正発明13について
本件訂正発明13は、上記「第5」のとおりであるから、優先権の主張は認められない。
(1)本件訂正発明10と本件訂正発明13との関係について
本件訂正発明10と本件訂正発明13とは、
「 ハウジング溝が開設されており、当初制御回路基板が設けられる、カートリッジハウジングと、
第一チップが設置されており、前記当初制御回路基板と電気的に繋がるアウトサイド制御回路基板と、
インク容器及びインサイド制御回路基板であって、前記インサイド制御回路基板が前記インク容器に取り付けられ、前記インサイド制御回路基板には、第二チップが設けられ、前記インサイド制御回路基板には、内部接点が設けられる、前記インク容器及び前記インサイド制御回路基板と、を含み、
そのうち、前記インク容器が前記カートリッジハウジングに取り付けられた後、前記アウトサイド制御回路基板が前記内部接点に電気的に繋がり、
前記第一チップ又は前記第二チップ内には、前記インク容器について、その実際のインク量データ及び使用のプログラムが記憶されており、」
との点で、同一の構成を有し、
本件訂正発明10は、
「 前記カートリッジハウジングには、繋がり穴が設けられ、前記アウトサイド制御回路基板における前記内部接点と対応する外部接点が前記繋がり穴を貫通して前記ハウジング溝内に進入し、前記インク容器が前記ハウジング溝内に置かれてから、前記ハウジング溝内に位置する前記外部接点が前記内部接点に繋がる、」
との構成を有するのに対し、
本件訂正発明13は、
「 前記カートリッジハウジングの開口には、接続溝が開設されており、前記アウトサイド制御回路基板が接続溝に係合され、しかも、前記アウトサイド制御回路基板の外部接点の一部が前記当初制御回路基板に繋がり、残りの外部接点の一部が前記ハウジング溝内に位置し、前記インク容器が前記ハウジング溝内に置かれてから、前記内部接点が前記ハウジング溝内に位置する外部接点と繋がる、」
との構成を有する点で、構成が異なる。
(2)対比
事案に鑑み、本件訂正発明13と甲4発明Bとを対比する。
ア 上記(1)で示した、本件訂正発明13の、本件訂正発明10と同一の構成について、その対比は、上記2(1)ア~エ、カのとおりである。
イ 本件訂正発明13の「前記カートリッジハウジングの開口には、接続溝が開設されており、前記アウトサイド制御回路基板が接続溝に係合され、しかも、前記アウトサイド制御回路基板の外部接点の一部が前記当初制御回路基板に繋がり、残りの外部接点の一部が前記ハウジング溝内に位置し、前記インク容器が前記ハウジング溝内に置かれてから、前記内部接点が前記ハウジング溝内に位置する外部接点と繋がる」について
甲4発明Bは、「接続溝が開設されており、前記アウトサイド制御回路基板が接続溝に係合され」るものではない点で、本件訂正発明13の「前記カートリッジハウジングの開口には、接続溝が開設されており、前記アウトサイド制御回路基板が接続溝に係合され、しかも、前記アウトサイド制御回路基板の外部接点の一部が前記当初制御回路基板に繋がり、残りの外部接点の一部が前記ハウジング溝内に位置し、前記インク容器が前記ハウジング溝内に置かれてから、前記内部接点が前記ハウジング溝内に位置する外部接点と繋がる」と相違する。
ウ 一致点及び相違点
上記ア、イのとおりであるから、本件訂正発明10と甲4発明Bとの一致点及び相違点は、次のとおりである。
<一致点>
当初制御回路基板が設けられる、カートリッジハウジングと、
第一チップが設置されており、前記当初制御回路基板と電気的に繋がるアウトサイド制御回路基板とを含む
インクカートリッジ。
<相違点>
(相違点13-1)
本件訂正発明10は、カートリッジハウジングについて、「ハウジング溝が開設されて」いるのに対して、甲4発明Bは、そのような構成になっていない点。
(相違点13-2)
本件訂正発明10は、「インク容器及びインサイド制御回路基板であって、前記インサイド制御回路基板が前記インク容器に取り付けられ、前記インサイド制御回路基板には、第二チップが設けられ、前記インサイド制御回路基板には、内部接点が設けられる、前記インク容器及び前記インサイド制御回路基板」を含むのに対して、甲4発明Bは、そのような構成になっていない点。
(相違点13-3)
本件訂正発明10は、「そのうち、前記インク容器が前記カートリッジハウジングに取り付けられた後、前記アウトサイド制御回路基板が前記内部接点に電気的に繋が」るのに対して、甲4発明Bは、そのような構成になっていない点。
(相違点13-4)
本件訂正発明10は、「前記第一チップ又は前記第二チップ内には、前インク容器について、その実際のインク量データ及び使用のプログラムが記憶されて」いるのに対して、甲4発明Bは、そのような構成になっていない点。
(相違点13-5)
本件訂正発明10は、「前記カートリッジハウジングの開口には、接続溝が開設されており、前記アウトサイド制御回路基板が接続溝に係合され、しかも、前記アウトサイド制御回路基板の外部接点の一部が前記当初制御回路基板に繋がり、残りの外部接点の一部が前記ハウジング溝内に位置し、前記インク容器が前記ハウジング溝内に置かれてから、前記内部接点が前記ハウジング溝内に位置する外部接点と繋がる」のに対して、甲4発明Bは、そのような構成になっていない点。
(2)相違点の判断
ア 相違点13-5について
事案に鑑み、相違点13-5から検討をする。
甲4発明Bのプリントカートリッジ70は、その内部にインク容器を収納する構成になっているか定かではなく、そのため、インサイド制御回路基板を備えているか不明である。そうすると、甲4発明Bにおいて、アウト再度制御回路基板とインサイド制御回路基板とを電気的に接続するために、「接続溝が開設されており、前記アウトサイド制御回路基板が接続溝に係合され」る構成としようとする動機付けはないため、甲4発明Bに基づいて、上記相違点13-5の構成にすることは、当業者が容易に想到することができたものではない。
さらに、甲3技術的事項、甲5技術的事項、甲6発明は、「接続溝が開設されており、前記アウトサイド制御回路基板が接続溝に係合され」るものではない。
このため、甲4発明Aに甲発明1B、甲2発明、甲3技術的事項、甲5技術的事項、甲6発明を適用しても、上記相違点13-5の構成には至らない。
イ 効果について
本件訂正発明13は、上記相違点13-5の構成を有することで、本件特許明細書の段落【0030】に記載された特有の効果を奏するものである。
(3)申立人の主張について
ア 主張の概要
「13F:
前記カートリッジハウジングの開口には、接続溝が開設されており、前記アウトサイド制御回路基板が接続溝に係合され、しかも、前記アウトサイド制御回路基板の外部接点の一部が前記当初制御回路基板に繋がり、残りの外部接点の一部が前記ハウジング溝内に位置し、前記インク容器が前記ハウジング溝内に置かれてから、前記内部接点が前記ハウジング溝内に位置する外部接点と繋がる、・・・
・・・
上記発明特定事項13Fについて、甲第5号証には、以下の記載がある。
【0038】
アダプタ90の前壁91において、高さ方向52の上側には、奥行き方向53へ貫通する開口99が形成されている。開口99は、アダプタ90に設けられたフレキシブルプリント配線板(FPC)89が挿通されるものである。したがって、開口99は、FPC89と対応する寸法及び形状に形成されている。
このように、甲第5号証には、回路基板89が係合される接続溝99がカートリッジハウジング90に開設されていることが開示されている。
・・・
上記発明特定事項13Fについて、甲第5号証には、前述した通り、回路基板(89)が係合される接続溝(99)がカートリッジハウジング(90)に開設されていることが開示されている。」(令和6年9月25日提出の意見書15~17頁)
イ 主張の検討
申立人が主張する甲5の「開口99」は、「アダプタ90」に形成されるものであって、「プリントカートリッジ70」に設けられるものではない。
よって、申立人の上記主張は前提において誤っており、失当である。
(4)小括
以上のとおりであるから、相違点13-1~13-4について検討をするまでもなく、本件訂正発明13は、甲4発明Bに基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
また、甲1~甲6には、上記相違点13-5に関する構成が開示されていないことから、本件訂正発明13は、甲1~甲3、甲5,甲6に記載されたいずれかの発明を主引用発明としても、当業者が容易に発明をすることができたものではない(本件訂正発明13についての理由A~理由F)。
第9 むすび
以上のとおりであるから、本件特許請求の範囲を、本件訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~14について訂正することを認める。
本件訂正後の請求項2、4、10、13に係る特許は、取消理由通知で通知した理由によって、取り消すことはできず、特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっても取り消すことはできない。
他方、請求項3、5~8に係る発明は、引用発明1A及び引用文献3技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、請求項11、12に係る発明は、引用発明1B及び引用文献3技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
よって、請求項3、5~8、11、12に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当するから、取り消されるべきものである。
さらに、本件訂正前請求項1、9及び14は、上記のとおり削除された。これにより、申立人による特許異議の申立てについて、請求項1、9及び14に係る申立ては、申立ての対象が存在しないものとなったため、特許法第120条の8第1項で準用する特許法第135条の規定により却下すべきものである。
よって、上記の結論のとおり決定する。
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2023-700146