特許異議申立
2025-700228
光源ユニットおよび光源ユニットを備えた照明装置
- 審判番号
- 2025-700228
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2020-168849
- 登録番号
- 7540279
- 請求日
- 2025年02月26日
- 審決日
- 2025年12月25日
- 公報発行日
- 2026年04月24日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】三菱電機株式会社
- 【権利者代理人】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
- 【権利者代理人】倉谷 泰孝
- 【権利者代理人】伊達 研郎
- 【権利者代理人】前田 美保
- 【権利者】三菱電機照明株式会社
- 【権利者代理人】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
- 【権利者代理人】倉谷 泰孝
- 【権利者代理人】伊達 研郎
- 【権利者代理人】前田 美保
- 【異議申立人】杉本 光史
- 審判長/審判官
- 審判長 草野 顕子
- 審判官 高橋 学
- 審判官 倉橋 紀夫
- 分類
- P1651.113-YAA(F21V) / P1651.121-YAA(F21V) / P1651.537-YAA(F21V)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法120条の8第1項特許法135条
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項、特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第2項、特許法第36条第6項第2号、特許法第36条第6項第1号、特許法第29条第1項、特許法第120条の5第4項、特許法第120条の8第1項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7540279号発明「光源ユニットおよび光源ユニットを備えた照明装置」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7540279号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~6〕について訂正することを認める。
特許第7540279号の請求項1~2及び4~6に係る特許を維持する。
特許第7540279号の請求項3に係る特許についての特許異議申立てを却下する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7540279号(以下「本件特許」という。)の請求項1~6に係る特許についての出願は、令和2年10月6日(優先権主張 令和2年1月31日)の出願であって、令和6年8月19日に特許権の設定登録がされ、令和6年8月27日に特許公報が発行されたものである。
本件特許異議の申立ての経緯は、概略次のとおりである。
令和 7年 2月26日 :特許異議申立人杉本光史(以下「申立人」
という。)による請求項1~6に係る特許
に対する特許異議の申立て
令和 7年 5月27日付け:取消理由通知書
令和 7年 7月22日提出:特許権者による意見書及び訂正請求書
令和 7年 9月 2日付け:手続補正指令書(方式)
令和 7年10月 3日提出:手続補正書(方式)
令和 7年10月20日付け:訂正請求があった旨の通知(特許法第12
0条の5第5項)
令和 7年11月19日提出:申立人による意見書(以下「申立人意見
書」という。)
第2 訂正の適否
1 訂正の内容
上記令和7年10月3日提出の手続補正書(方式)によって補正された令和7年7月22日提出の訂正請求書(以下「本件訂正請求書」という。)による訂正(以下「本件訂正」という。)の内容は、以下のとおりである。なお、下線は、訂正箇所を示すために当審で付したものである。
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に、
「前記連結部は、
前記一面から前記他面に向かう方向に突設した連結脚部と、
前記連結脚部と対向するように設けられ、前記連結脚部に対して離れる方向に移動する連結可動部を有し、」
と記載されているのを、
「前記連結部は、
前記一面から前記他面に向かう方向に突設した連結脚部と、
前記連結脚部と対向するように設けられ、前記連結脚部に対して前記長手方向において離れる方向に移動するように弾性変形する連結可動部を有し、」
と訂正する。
請求項1の記載を直接的又は間接的に引用する請求項2~6も同様に訂正する。
(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項3を削除する。
(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項4に、
「前記連結脚部は、弾性力を有し、前記連結可動部に対して離れるように移動する請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の光源ユニット。」
と記載されているのを、
「前記連結脚部は、弾性力を有し、前記連結可動部に対して離れるように移動する請求項1または2に記載の光源ユニット。」
と訂正する。
(4)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項6に、
「請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の光源ユニット」
と記載されているのを、
「請求項1、2、4、5のいずれか一項に記載の光源ユニット」
と訂正する。
(5)訂正事項5
明細書の【0007】に、
「前記連結脚部と対向するように設けられ、前記連結脚部に対して離れる方向に移動する連結可動部を有し」
と記載されているのを、
「前記連結脚部と対向するように設けられ、前記連結脚部に対して前記長手方向において離れる方向に移動するように弾性変形する連結可動部を有し」
と訂正する。
2 一群の請求項について
訂正前の請求項1~6について、請求項2~6は、それぞれ請求項1を直接的又は間接的に引用しているものであって、上記訂正事項1によって訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。
したがって、請求項1~6は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。
また、明細書の訂正に係る訂正事項5は、本件訂正前の請求項1に係る発明の課題解決手段が記載された【0007】を訂正するものであり、本件訂正前の請求項2~6は、いずれも請求項1を引用するものであるから、当該明細書の訂正に係る請求項1を含む一群の請求項の全てについて訂正するものである。
3 訂正の目的の適否、新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
(1)訂正事項1について
ア 訂正の目的について
訂正事項1は、請求項1に記載されている「連結可動部」を「前記連結脚部に対して前記長手方向において離れる方向に移動するように弾性変形する」ものと限定するものである。
したがって、訂正事項1は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
願書に添付した明細書には、以下の記載がある。なお、下線は、当審で付した。
「【0010】
実施の形態1.
・・・(中略)・・・
【0028】
連結部240は、連結本体部241と連結可動部242を分けて設けており、連結可動部242を本体底面部2411で固定している。よって、可動本体部2422は、可動爪部2423に短手方向Yから力が加わった際に、本体底面部2411側を軸として短手方向Yへ回転するように弾性変形することができる。
例えば、短手方向Yにおいて、可動本体部2422は、可動爪部2423に連結脚部2412から離れる方向へ力が加わると、可動本体部2422は可動爪部2423が連結脚部2412から離れる方向へ移動するよう弾性変形し、負荷が解除されると可動爪部2423が連結脚部2412に近づく方向へ移動するように復元する。」
「【0041】
実施の形態2.
次に、実施の形態2の光源ユニット300を説明する。
・・・(中略)・・・
【0053】
連結可動部312は、可動平面部3121と、第一爪部3122と、可動脚部3123と、可動固定部3124を備えている。連結可動部312は、長手方向Xへ可動できるように連結本体部311に保持されており、取付平面部122に引っ掛かるものである。連結本体部311は板状の金属を曲げて形成されている。」
「【0074】
なお、実施の形態1、実施の形態2は、適宜組み合わせることが可能である。例えば、光源ユニットが実施の形態1の連結部240と実施の形態2の連結部310を1つづつ備えているものでも良い。
また、実施の形態1および実施の形態2の一部を抽出して組み合わせることも可能である。更に、実施の形態1および実施の形態2に限らず、適宜変更することも可能である。」
訂正事項1は、以上の記載に基づくものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項において準用する第126条第5項の規定に適合する。
ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと
訂正事項1は、上記アのとおり特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないことは明らかであるから、特許法第120条の5第9項において準用する第126条第6項の規定に適合する。
(2)訂正事項2について
ア 訂正の目的について
訂正事項2は、特許請求の範囲の請求項3を削除するものである。
したがって、訂正事項2は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項2は、特許請求の範囲の請求項3を削除するものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項において準用する第126条第5項の規定に適合する。
ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと
訂正事項2は、特許請求の範囲の請求項3を削除するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないことは明らかであるから、特許法第120条の5第9項において準用する第126条第6項の規定に適合する。
(3)訂正事項3及び4について
ア 訂正の目的について
訂正事項3は、請求項4が請求項1から請求項3のいずれか一項を引用していたところ、請求項1または2を引用するものとする訂正である。
訂正事項4は、請求項6が請求項1から請求項5のいずれか一項を引用していたところ、請求項1、2、4、5のいずれか一項を引用するものとする訂正である。
したがって、訂正事項3及び4は、いずれも多数項を引用している請求項の引用請求項数を削減するものであり、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項3及び4は、いずれも多数項を引用している請求項の引用請求項数を削減するものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項において準用する第126条第5項の規定に適合する。
ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと
訂正事項3及び4は、いずれも多数項を引用している請求項の引用請求項数を削減するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないことは明らかであるから、特許法第120条の5第9項において準用する第126条第6項の規定に適合する。
(4)訂正事項5について
ア 訂正の目的について
訂正事項5は、訂正事項1による特許請求の範囲の請求項1の訂正に伴い、特許請求の範囲と整合させるために行う明細書の訂正であり、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
上記(1)イ同様に、訂正事項5は、願書に添付した明細書の記載に基づくものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項において準用する第126条第5項の規定に適合する。
ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと
訂正事項5は、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないことは明らかであるから、特許法第120条の5第9項において準用する第126条第6項の規定に適合する。
4 申立人意見書における申立人の主張
(1)申立人は、申立人意見書の3.2において、概略以下のように主張している。
「本件明細書には、実施の形態2の光源ユニット300の連結可動部312が、弾性変形可能であることの記載はない。」
「実施の形態1の光源ユニット200の連結可動部242は、フレームの短手方向Yに弾性変形するものであり、長手方向Xに弾性変形可能なものではない。
このように、本件明細書には、連結可動部が、フレームの長手方向に沿って弾性変形することは、記載されていない。
また、訂正事項1に関し、特許権者が段落0053と段落0028とを訂正の根拠として挙げていることについて、実施の形態1の光源ユニット200の連結可動部242の「弾性変形可能」との構成が、実施の形態2の光源ユニット300の連結可動部312に当然に適用される、とは言えない。」
(2)しかしながら、上記3(1)イに記載した願書に添付した明細書【0074】の記載事項によると、実施の形態1および実施の形態2の一部を抽出して組み合わせることが可能であるのだから、実施の形態1の光源ユニット200の連結可動部242の「弾性変形可能」との構成が、実施の形態2の光源ユニット300の連結可動部312に組み合わせることや、実施の形態1の光源ユニット200の連結部240を実施の形態2のように連結可動部242が長手方向Xへ可動できるように配置することは、願書に添付した明細書に記載した事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものであるとはいえない。
したがって、申立人の上記(1)の主張は、当を得たものではなく、採用できない。
5 小括
以上のとおり、本件訂正による訂正事項1~5は、特許法特許法第120条の5第2項ただし書第1号又は第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する第126条第5項及び第6項の規定に適合する。さらに、本件訂正による訂正事項1は、特許法第120条の5第4項の規定に適合し、本件訂正による訂正事項5は、同条第9項において準用する第126条第4項の規定に適合する。
したがって、本件訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~6〕について訂正することを認める。
第3 本件発明
上記第2のとおり、本件訂正は認められるから、本件特許の請求項1~6に係る発明(以下それぞれ「本件発明1」~「本件発明6」という。)は、本件訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1~6に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】
発光基板と、
板状であり、一面に前記発光基板が取り付けられる長尺のフレームと、
前記フレームの前記一面の反対側である他面、かつ前記フレームの長手方向における少なくとも一方の端部側に設けられた連結部と、
を備え、
前記連結部は、
前記一面から前記他面に向かう方向に突設した連結脚部と、
前記連結脚部と対向するように設けられ、前記連結脚部に対して前記長手方向において離れる方向に移動するように弾性変形する連結可動部を有し、
さらに、前記連結可動部は、照明器具の取付部に係合する爪部を有している光源ユニット。
【請求項2】
前記連結部は、前記連結可動部の前記連結脚部に対して反対側に連結制御部を有し、
前記連結制御部は、前記連結可動部の移動を制御する請求項1に記載の光源ユニット。
【請求項3】
(削除)
【請求項4】
前記連結脚部は、弾性力を有し、前記連結可動部に対して離れるように移動する請求項1または2に記載の光源ユニット。
【請求項5】
前記連結制御部は、弾性力を有し、前記連結可動部に対して離れるように弾性変形する請求項2に記載の光源ユニット。
【請求項6】
請求項1、2、4、5のいずれか一項に記載の光源ユニットと、
前記光源ユニットが収容されるように取り付けられる照明器具と、
を備え、
前記照明器具は、前記連結部が取り付けられる取付部を有し、
前記連結部は、前記取付部を挟持している照明装置。」
第4 取消理由の概要
当審が令和7年5月27日付けで通知した取消理由通知書に記載した取消理由の概要は、次のとおりである。
1 取消理由1(特許法第36条第6項第2号)
本件特許は、特許請求の範囲の記載が不備のため、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。
2 取消理由2(特許法第29条第1項第3号)
以下の請求項に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された以下の甲号証に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、以下の請求項に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである。
・請求項1、3及び4
甲第1号証(引用文献1)
・請求項1、3及び4
甲第2号証(引用文献2)
・請求項1、2及び4
甲第3号証(引用文献3)
3 取消理由3(特許法第29条第2項)
以下の請求項に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された以下の甲号証に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、本件特許の優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、以下の請求項に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
・請求項1、3及び4
甲第1号証(引用文献1)
・請求項6
甲第1号証及び甲第4号証(引用文献1及び4)
・請求項1、3及び4
甲第2号証(引用文献2)
・請求項6
甲第2号証及び甲第4号証(引用文献2及び4)
・請求項1、2及び4
甲第3号証(引用文献3)
・請求項6
甲第3号証及び甲第4号証(引用文献3及び4)
・請求項1、3、4及び6
甲第4号証及び甲第1号証~甲第3号証(引用文献4及び1~3)
4 甲号証一覧(以下甲第1号証~甲第8号証を、それぞれ「甲1」~「甲8」という。)
甲1:特開2015-35274号公報
甲2:特開2019-106257号公報
甲3:特開2019-24019号公報
甲4:施工説明書 取扱説明書 LEDベースライト ストレートタイ
プ (一般屋内用)品番NNF(NNFH)11500 NNF
(NNFH)11510、パナソニック株式会社
第5 取消理由1(特許法第36条第6項第2号)について
1 判断
本件訂正によって、本件発明1の「連結可動部」は、「前記連結脚部に対して前記長手方向において離れる方向に移動するように弾性変形する」ものと特定された。
これにより、本件発明1の連結可動部が、連結脚部に対して離れる方向にのみ移動し、近づく方向には移動しないものを含まないことが理解でき、連結可動部の爪部と照明器具の取付部との係合の態様も当業者であれば理解できる。
したがって、本件発明1は、明確である。
また、本件発明1を引用する本件発明2及び4~6も、同様に明確である。
2 申立人意見書における申立人の主張について
(1)申立人は、申立人意見書の3.4において、概略以下のように主張している。
「本件訂正発明1は、「前記連結部は、・・・前記連結脚部に対して前記長手方向において離れる方向に移動するように弾性変形する連結可動部を有」するものであり、「前記連結可動部は、照明器具の取付部に係合する爪部を有している」ものであるが、本件明細書には、「連結可動部が、連結脚部に対して長手方向において離れる方向に移動するように弾性変形する」ことと、「連結可動部の爪部が、照明器具の取付部に係合する」こととが、関連付けて記載されておらず、したがって、連結脚部に対して長手方向において離れる方向に移動するように弾性変形する連結可動部の、爪部が、どのようにして照明器具の取付部に係合するのか、発明の詳細な説明を参酌しても不明確である。」
(2)しかしながら、上記3(1)イに記載した願書に添付した明細書の【0074】の記載事項によると、実施の形態1および実施の形態2の一部を抽出して組み合わせることが可能であるのだから、実施の形態1の光源ユニット200の連結可動部242の「弾性変形可能」との構成が、実施の形態2の光源ユニット300の連結可動部312に組み合わせることや、実施の形態1の光源ユニット200の連結部240を実施の形態2のように連結可動部242が長手方向Xへ可動できるように配置することは、当業者であれば当然理解でき、それによって結脚部に対して長手方向において離れる方向に移動するように弾性変形する連結可動部の、爪部が、どのようにして照明器具の取付部に係合するのか、当業者であれば当然理解できる。
したがって、申立人の上記(1)の主張は、当を得たものではなく、採用できない。
3 小括
以上により、本件特許の特許請求の範囲の記載は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件に適合するものであるから、上記取消理由1(特許法第36条第6項第2号)によっては、本件特許の請求項1~2及び4~6に係る特許を取り消すことはできない。
第6 取消理由2(特許法第29条第1項第3号)について
1 甲1
甲1(特に、【0009】~【0010】、【0015】~【0017】、【0021】~【0022】、【0027】、【0029】、【0039】~【0047】、【0049】~【0051】、【0055】、【0059】、【0063】~【0064】、【0091】、【0095】~【0096】、【0102】~【0104】、図1~7、9参照。)には、以下の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されている
「光源26が設けられた基板25と、
表面31aで前記基板25を支持する長尺の板である第1部分31を有する支持体21と、
前記支持体21の前記第1部分31の裏面31b側から取り付けられ、かつ前記支持体21の長手方向に並べて3つ取り付けられる保持部材23と、
を備え、
前記保持部材23は、
前記保持部材23の幅方向の一端に、前記表面31aに対して垂直な方向に設けられる第1把持部51と、
前記保持部材23の幅方向の他端に設けられ、板バネ状である第2把持部52を有し、
さらに、前記第2把持部52は、器具本体12の取付部材61に係合する第2爪部52bを有している光源モジュール14。」
2 甲2
甲2(特に、【0001】、【0009】~【0020】、図1~7、9参照。)には、以下の発明(以下「甲2発明」という。)が記載されている
「複数のLED32が実装された基板33と、
長手方向に延びる板状の部材であり、一側面に前記基板33が取り付けられるフレーム34と、
前記フレーム34の他側面、かつ前記フレーム34の長手方向における両端部側に取り付けられた取付ばね31と、
を備え、
前記取付ばね31は、外側に付勢され、
基端部41の両端に接続され、内側に折り曲げられた一対の第1の折り曲げ部42、第2の折り曲げ部43、突出部50及び先端部60を有し、
さらに、前記第1の折り曲げ部42、第2の折り曲げ部43、突出部50及び先端部60は、器具本体20の開口部20aに係合する突出部50を有している光源ユニット30。」
3 甲3
甲3(特に、【0001】、【0010】~【0021】、【0025】、【0028】、図1~13参照。)には、以下の発明(以下「甲3発明」という。)が記載されている
「複数のLED21が実装されている基板212を有するLEDユニット210と、
長尺形状の平板状であり、一方の面221aにLEDユニット210が取り付けられる保持部220と、
前記保持部220の他方の面221b、かつ前記保持部220の長手方向における両端側に配設されるバネ部250、バネ保持部260及びスライド爪部400と、
を備え、
前記バネ部250、バネ保持部260及びスライド爪部400は、
垂直方向に突設したバネ部250、バネ保持部260と、
前記バネ部250、バネ保持部260とほぼ対向して配置され、前記バネ部250、バネ保持部260に対して離れる方向に移動する爪部410を有し、
さらに、前記爪部410は、器具本体部100の引掛孔130に引っ掛ける爪先端部414を有している光源部200。」
4 甲1発明に基づく対比・判断
(1)本件発明1について
本件発明1と甲1発明とを対比すると、後者の「光源26が設けられた基板25」は前者の「発光基板」に相当し、以下同様に、「表面31aで前記基板25を支持する長尺の板である第1部分31を有する支持体21」は「板状であり、一面に前記発光基板が取り付けられる長尺のフレーム」に、「前記支持体21の前記第1部分31の裏面31b側から取り付けられ、かつ前記支持体21の長手方向に並べて3つ取り付けられる保持部材23」は「前記フレームの前記一面の反対側である他面、かつ前記フレームの長手方向における少なくとも一方の端部側に設けられた連結部」に、それぞれ相当する。
また、後者の「前記保持部材23の幅方向の一端に、前記表面31aに対して垂直な方向に設けられる第1把持部51」は、「垂直な方向に設けられる」態様が表面31aから裏面31bに向かう方向に突設している態様であることが明らかであるから、前者の「前記一面から前記他面に向かう方向に突設した連結脚部」に、相当する。
そして、後者の「前記保持部材23の幅方向の他端に設けられ、板バネ状である第2把持部52」は、第1把持部51が幅方向の一端に設けられているから、第2把持部52が第1把持部51と対向するように設けられていることが明らかであり、さらに、第2把持部52が板バネ状であることから弾性変形によって第1把持部51に対して離れる方向に移動することも明らかであるので、前者の「前記連結脚部と対向するように設けられ、前記連結脚部に対して前記長手方向において離れる方向に移動するように弾性変形する連結可動部」と、「前記連結脚部と対向するように設けられ、前記連結脚部に対して離れる方向に移動するように弾性変形する連結可動部」という限りにおいて一致する。
さらに、後者の「前記第2把持部52は、器具本体12の取付部材61に係合する第2爪部52bを有している」態様は前者の「前記連結可動部は、照明器具の取付部に係合する爪部を有している」態様に相当し、同様に「光源モジュール14」は「光源ユニット」に相当する。
したがって、両者は、
「発光基板と、
板状であり、一面に前記発光基板が取り付けられる長尺のフレームと、
前記フレームの前記一面の反対側である他面、かつ前記フレームの長手方向における少なくとも一方の端部側に設けられた連結部と、
を備え、
前記連結部は、
前記一面から前記他面に向かう方向に突設した連結脚部と、
前記連結脚部と対向するように設けられ、前記連結脚部に対して離れる方向に移動するように弾性変形する連結可動部を有し、
さらに、前記連結可動部は、照明器具の取付部に係合する爪部を有している光源ユニット。」
という点で一致し、以下の点で相違する。
[相違点1]
連結可動部に関し、本件発明1は、「前記連結脚部に対して前記長手方向において離れる方向に移動するように弾性変形する」のに対し、甲1発明は、移動するように弾性変形する方向が長手方向において離れる方向でない点。
上記相違点1は、実質的な相違点である。
したがって、本件発明1は、甲1発明ではない。
(2)本件発明4について
本件発明4は、本件発明1を引用するものであり、本件発明1の全ての発明特定事項を全て含んだ上で、新たに発明特定事項を追加したものであるから、相違点1に係る本件発明1の発明特定事項を含むものである。
そして、上記(1)に示したとおり、相違点1は実質的な相違点であるから、本件発明4は、甲1発明ではない。
5 甲2発明に基づく対比・判断
(1)本件発明1について
本件発明1と甲2発明とを対比すると、後者の「複数のLED32が実装された基板33」は前者の「発光基板」に相当し、以下同様に、「長手方向に延びる板状の部材であり、一側面に前記基板33が取り付けられるフレーム34」は「板状であり、一面に前記発光基板が取り付けられる長尺のフレーム」に、「前記フレーム34の他側面、かつ前記フレームの長手方向における両端部側に取り付けられた取付ばね31」は「前記フレームの前記一面の反対側である他面、かつ前記フレームの長手方向における少なくとも一方の端部側に設けられた連結部」に、それぞれ相当する。
また、後者の「内側に折り曲げられた一対の第1の折り曲げ部42、第2の折り曲げ部43、突出部50及び先端部60」の一方は、「内側に折り曲げられた」態様が一側面から他側面に向かう方向に突設している態様であることが明らかであるから、前者の「前記一面から前記他面に向かう方向に突設した連結脚部」に相当する。
そして、後者の「内側に折り曲げられた一対の第1の折り曲げ部42、第2の折り曲げ部43、突出部50及び先端部60」の他方は、前記一方と対向するように設けられていることが明らかであり、さらに、前記他方が「外側に付勢され」る「取付ばね31」の一部であることから弾性変形によって前記一方に対して離れる方向に移動することも明らかであるので、前者の「前記連結脚部と対向するように設けられ、前記連結脚部に対して前記長手方向において離れる方向に移動するように弾性変形する連結可動部」と、「前記連結脚部と対向するように設けられ、前記連結脚部に対して離れる方向に移動するように弾性変形する連結可動部」という限りにおいて一致する。
さらに、後者の「前記第1の折り曲げ部42、第2の折り曲げ部43、突出部50及び先端部60は、器具本体20の開口部20aに係合する突出部50を有している」態様は前者の「前記連結可動部は、照明器具の取付部に係合する爪部を有している」態様に相当し、同様に「光源ユニット30」は「光源ユニット」に相当する。
したがって、両者は、
「発光基板と、
板状であり、一面に前記発光基板が取り付けられる長尺のフレームと、
前記フレームの前記一面の反対側である他面、かつ前記フレームの長手方向における少なくとも一方の端部側に設けられた連結部と、
を備え、
前記連結部は、
前記一面から前記他面に向かう方向に突設した連結脚部と、
前記連結脚部と対向するように設けられ、前記連結脚部に対して離れる方向に移動するように弾性変形する連結可動部を有し、
さらに、前記連結可動部は、照明器具の取付部に係合する爪部を有している光源ユニット。」
という点で一致し、以下の点で相違する。
[相違点2]
連結可動部に関し、本件発明1は、「前記連結脚部に対して前記長手方向において離れる方向に移動するように弾性変形する」のに対し、甲2発明は、移動するように弾性変形する方向が長手方向において離れる方向でない点。
上記相違点2は、実質的な相違点である。
したがって、本件発明1は、甲2発明ではない。
(2)本件発明4について
本件発明4は、本件発明1を引用するものであり、本件発明1の全ての発明特定事項を全て含んだ上で、新たに発明特定事項を追加したものであるから、相違点2に係る本件発明1の発明特定事項を含むものである。
そして、上記(1)に示したとおり、相違点2は実質的な相違点であるから、本件発明4は、甲2発明ではない。
6 甲3発明に基づく対比・判断
(1)本件発明1について
本件発明1と甲3発明とを対比すると、後者の「複数のLED21が実装されている基板212を有するLEDユニット210」は前者の「発光基板」に相当し、以下同様に、「長尺形状の平板状であり、一方の面221aにLEDユニット210が取り付けられる保持部220」は「板状であり、一面に前記発光基板が取り付けられる長尺のフレーム」に、「前記保持部220の他方の面221b、かつ前記保持部220の長手方向における両端側に配設されるバネ部250、バネ保持部260及びスライド爪部400」は「前記フレームの前記一面の反対側である他面、かつ前記フレームの長手方向における少なくとも一方の端部側に設けられた連結部」に、それぞれ相当する。
また、後者の「垂直方向に突設したバネ部250、バネ保持部260」は、「垂直方向に突設した」態様が一方の面221aから他方の面221bに向かう方向に突設している態様であることが明らかであるから、前者の「前記一面から前記他面に向かう方向に突設した連結脚部」に、相当する。
そして、後者の「前記バネ部250、バネ保持部260とほぼ対向して配置され、前記バネ部250、バネ保持部260に対して離れる方向に移動する爪部410」は、前者の「前記連結脚部と対向するように設けられ、前記連結脚部に対して前記長手方向において離れる方向に移動するように弾性変形する連結可動部」と、「前記連結脚部と対向するように設けられ、前記連結脚部に対して離れる方向に移動する連結可動部」という限りにおいて一致する。
さらに、後者の「前記爪部410は、器具本体部100の引掛孔130に引っ掛ける爪先端部414を有している」態様は前者の「前記連結可動部は、照明器具の取付部に係合する爪部を有している」態様に相当し、同様に「光源部200」は「光源ユニット」に相当する。
したがって、両者は、
「発光基板と、
板状であり、一面に前記発光基板が取り付けられる長尺のフレームと、
前記フレームの前記一面の反対側である他面、かつ前記フレームの長手方向における少なくとも一方の端部側に設けられた連結部と、
を備え、
前記連結部は、
前記一面から前記他面に向かう方向に突設した連結脚部と、
前記連結脚部と対向するように設けられ、前記連結脚部に対して離れる方向に移動する連結可動部を有し、
さらに、前記連結可動部は、照明器具の取付部に係合する爪部を有している光源ユニット。」
という点で一致し、以下の点で相違する。
[相違点3]
連結可動部に関し、本件発明1は、「前記連結脚部に対して前記長手方向において離れる方向に移動するように弾性変形する」のに対し、甲3発明は、移動するように方向が長手方向において離れる方向でなく、弾性変形するものではない点。
上記相違点3は、実質的な相違点である。
したがって、本件発明1は、甲3発明ではない。
(2)本件発明2及び4について
本件発明2及び4は、いずれも本件発明1を引用するものであり、本件発明1の全ての発明特定事項を全て含んだ上で、新たに発明特定事項を追加したものであるから、相違点3に係る本件発明1の発明特定事項を含むものである。
そして、上記(1)に示したとおり、相違点3は実質的な相違点であるから、本件発明2及び4は、甲3発明ではない。
7 小括
したがって、本件発明1~2及び4は、特許法第29条第1項第3号に該当せず、本件特許の請求項1~2及び4に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものではないから、上記取消理由2(特許法第29条第1項第3号)によっては、本件特許の請求項1~2及び4に係る特許を取り消すことはできない。
第7 取消理由3(特許法第29条第2項)について
1 甲4
甲4(特に、1頁1行、2頁右欄参照。)は、「LEDベースライト ストレートタイプ (一般屋内用)品番NNF(NNFH)11500 NNF(NNFH)11510」の施工説明書、取扱説明書であるところ、甲第7号証である平成23年4月現在の「施設・屋外・店舗照明 総合力タログ 2011-2013(抜粋)」に「NNF11500」、「NNF11
510」が掲載されていることから、平成23年4月には「NNF11500」、「NNF11510」が日本国内で販売されており、それに伴い引用文献4も日本国内において頒布されていたと認められる。
そして、甲4(特に、1頁~2頁参照。)には、以下の発明(以下、「甲4発明」という。)が記載されている。
「天井に設置される本体2に取り付けられる反射板を備えた長尺のLEDユニットであって、
前記LEDユニットの天井側の面、かつ前記LEDユニットの長手方向における少なくとも一方の端部側に設けられたバネを備え、
前記バネは、
天井に向かう方向に突設された一対の部分を有し、
前記一対の部分は短手方向に対向して設けられ、互いに離れる方向に移動可能であり、
さらに、前記一対の部分は、前記本体2の取付金具4に取り付けられる部分を有しているLEDユニット。」
2 甲8
申立人意見書とともに提出された甲8(特に、【0012】~【0014】、【0017】~【0018】、【0025】、【0029】、【0033】~【0034】、図7、10参照。)には、以下の技術(以下「甲8技術」という。)が記載されている。
「ユニット本体50の長手方向において撓む第2取付金具57を有し、
前記第2取付金具57は、器具本体1の第2引掛部112に引っ掛かる第2引掛片573を有している光源ユニット5。」
3 甲1発明に基づく対比・判断
(1)本件発明1について
本件発明1と甲1発明とを対比すると、上記第6の4(1)のとおりであり、両者は、相違点1で相違し、その余の点で一致する。
相違点1について、以下検討する。
甲1発明の第2把持部52は、保持部材23の幅方向の他端に設けられる板バネ状のものである。また、甲1の【0021】~【0024】、【0036】、【0041】、【0044】の記載事項及び図4~6の図示内容によると、甲1発明の第2把持部52に設けられている第2ストッパ部54が、支持体21の長手方向に延びる側端31qに設けられた第3部分33の第2被係合部32bに係合する。さらに、甲1発明の第2把持部52は、本体部40の幅方向の他端に設けられる第2係合部44と支持体21の第3部分33とを把持するものである。
それである以上、甲8技術を採用して、第2把持部52を第1把持部51に対して長手方向に弾性変形させる理由はなく、むしろ阻害要因があるといえる。
したがって、甲1発明に甲8技術を採用して、相違点1に係る本件発明1の発明特定事項とすることが、当業者にとって容易に想到し得るとする理由は、見いだせない。
以上より、本件発明1は、甲1発明及び甲8技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。
(2)本件発明4について
本件発明4は、本件発明1を引用するものであり、本件発明1の全ての発明特定事項を全て含んだ上で、新たに発明特定事項を追加したものであるから、相違点1に係る本件発明1の発明特定事項を含むものであり、上記(1)に示した理由と同様の理由により、本件発明4は、甲1発明及び甲8技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。
(3)本件発明6について
本件発明6は、本件発明1を引用するものであり、本件発明1の全ての発明特定事項を全て含んだ上で、新たに発明特定事項を追加したものであるから、相違点1に係る本件発明1の発明特定事項を含むものである。
そして、甲4には、相違点1に係る本件発明1の発明特定事項に係る記載はない。
したがって、上記(1)に示した理由と同様の理由により、本件発明6は、甲1発明、甲8技術及び甲4に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。
4 甲2発明に基づく対比・判断
(1)本件発明1について
本件発明1と甲2発明とを対比すると、上記第6の5(1)のとおりであり、両者は、相違点2で相違し、その余の点で一致する。
相違点2について、以下検討する。
甲2の【0010】の記載事項及び図1~4の図示内容から、甲2発明の器具本体20の開口部20aは、器具本体20の両側面に形成されており、甲2発明の突出部50は、そのような器具本体20の両側面に形成された開口部20aに係合するものである。
それである以上、甲2発明の第1の折り曲げ部42、第2の折り曲げ部43、突出部50及び先端部60は、フレーム34の短手方向に弾性変形すべきものであり、甲2発明に甲8技術を採用して、内側に折り曲げられた一対の第1の折り曲げ部42、第2の折り曲げ部43、突出部50及び先端部60の他方を一方に対して長手方向に弾性変形させる理由はなく、むしろ阻害要因があるといえる。
したがって、甲2発明に甲8技術を採用して、相違点2に係る本件発明1の発明特定事項とすることが、当業者にとって容易に想到し得るとする理由は、見いだせない。
以上より、本件発明1は、甲2発明及び甲8技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。
(2)本件発明4について
本件発明4は、本件発明1を引用するものであり、本件発明1の全ての発明特定事項を全て含んだ上で、新たに発明特定事項を追加したものであるから、相違点2に係る本件発明1の発明特定事項を含むものであり、上記(1)に示した理由と同様の理由により、本件発明4は、甲2発明及び甲8技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。
(3)本件発明6について
本件発明6は、本件発明1を引用するものであり、本件発明1の全ての発明特定事項を全て含んだ上で、新たに発明特定事項を追加したものであるから、相違点2に係る本件発明1の発明特定事項を含むものである。
そして、甲4には、相違点2に係る本件発明1の発明特定事項に係る記載はない。
したがって、上記(1)に示した理由と同様の理由により、本件発明6は、甲2発明、甲8技術及び甲4に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。
5 甲3発明に基づく対比・判断
(1)本件発明1について
本件発明1と甲3発明とを対比すると、上記第6の6(1)のとおりであり、両者は、相違点3で相違し、その余の点で一致する。
相違点3について、以下検討する。
甲3の【0011】~【0012】の記載事項及び図2、4、6の図示内容から、甲3発明の器具本体部100の引掛孔130は、器具本体部100の凹部111の側壁部113-1に設けられており、甲3発明の爪部410は、そのような器具本体部100の凹部111の側壁部113-1に設けられた引掛孔130に引っ掛けるものである。
それである以上、甲3発明の爪部410は、保持部220の短手方向に移動すべきものであり、甲3発明に甲8技術を採用して、爪部410をバネ部250、バネ保持部260に対して長手方向に移動させる理由はなく、むしろ阻害要因があるといえる。
さらにいうと、甲3の【0017】の記載事項から、スライド爪部400の一部である爪部410は、スライドして移動するものであり、これに甲8技術を採用して弾性変形させる理由もない、
したがって、甲3発明に甲8技術を採用して、相違点3に係る本件発明1の発明特定事項とすることが、当業者にとって容易に想到し得るとする理由は、見いだせない。
以上より、本件発明1は、甲3発明及び甲8技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。
(2)本件発明2及び4について
本件発明2及び4は、本件発明1を引用するものであり、本件発明1の全ての発明特定事項を全て含んだ上で、新たに発明特定事項を追加したものであるから、相違点3に係る本件発明1の発明特定事項を含むものであり、上記(1)に示した理由と同様の理由により、本件発明2及び4は、甲3発明及び甲8技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。
(3)本件発明6について
本件発明6は、本件発明1を引用するものであり、本件発明1の全ての発明特定事項を全て含んだ上で、新たに発明特定事項を追加したものであるから、相違点3に係る本件発明1の発明特定事項を含むものである。
そして、甲4には、相違点3に係る本件発明1の発明特定事項に係る記載はない。
したがって、上記(1)に示した理由と同様の理由により、本件発明6は、甲3発明、甲8技術及び甲4に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。
6 甲4発明に基づく対比・判断
(1)本件発明1について
本件発明1と甲4発明とを対比すると、後者の「天井に設置される本体2に取り付けられる反射板を備えた長尺のLEDユニットであって、前記LEDユニットの天井側の面、かつ前記LEDユニットの長手方向における少なくとも一方の端部側に設けられたバネを備え」という態様と前者の「発光基板と、板状であり、一面に前記発光基板が取り付けられる長尺のフレームと、前記フレームの前記一面の反対側である他面、かつ前記フレームの長手方向における少なくとも一方の端部側に設けられた連結部と、を備え」という態様とは、「発光体と、板状であり、一面に前記発光体が取り付けられる長尺の部材と、前記部材の前記一面の反対側である他面、かつ前記部材の長手方向における少なくとも一方の端部側に設けられた連結部と、を備え」という態様に限り一致し、後者の「バネ」は前者の「連結部」に相当し、後者の「天井に向かう方向に突設された一対の部分」の一方は、「天井に向かう方向に突設された」態様が一面から他面に向かう方向に突設している態様であることが明らかであるから、前者の「前記一面から前記他面に向かう方向に突設した連結脚部」に相当する。
そして、後者の「天井に向かう方向に突設された一対の部分」の他方は、前記一方と対向するように設けられていることが明らかであり、さらに、「バネ」の一部であることから弾性変形によって前記一方に対して離れる方向に移動することも明らかであるから、前者の「前記連結脚部と対向するように設けられ、前記連結脚部に対して前記長手方向において離れる方向に移動するように弾性変形する連結可動部」と、「前記連結脚部と対向するように設けられ、前記連結脚部に対して離れる方向に移動するように弾性変形する連結可動部」という限りにおいて一致する。
さらに、後者の「前記一対の部分は、前記本体2の取付金具4に取り付けられる部分を有している」態様は前者の「前記連結可動部は、照明器具の取付部に係合する爪部を有している」態様に相当し、同様に「LEDユニット」は「光源ユニット」に相当する。
したがって、両者は、
「発光体と、
板状であり、一面に前記発光体が取り付けられる長尺の部材と、
前記部材の前記一面の反対側である他面、かつ前記部材の長手方向における少なくとも一方の端部側に設けられた連結部と、
を備え、
前記連結部は、
前記一面から前記他面に向かう方向に突設した連結脚部と、
前記連結脚部と対向するように設けられ、前記連結脚部に対して離れる方向に移動するように弾性変形する連結可動部を有し、
さらに、前記連結可動部は、照明器具の取付部に係合する爪部を有している光源ユニット。」
という点で一致し、以下の点で相違する。
[相違点4]
光源ユニットに関し、本件発明1は、「発光基板と、板状であり、一面に前記発光基板が取り付けられる長尺のフレームと」を備え、連結部が前記フレームに設けられているのに対し、甲4発明は、そのように構成されているか不明な点。
[相違点5]
連結可動部に関し、本件発明1は、「前記連結脚部に対して前記長手方向において離れる方向に移動するように弾性変形する」のに対し、甲4発明は、互いに離れる方向が長手方向において離れる方向でない点。
事案に鑑み、まず相違点5について検討する。
甲4は、「品番NNF(NNFH)11500 NNF(NNFH)11510」である「LEDベースライト ストレートタイプ」の「施工説明書 取扱説明書」である。すると、公然に実施されている「品番NNF(NNFH)11500 NNF(NNFH)11510」である「LEDベースライト ストレートタイプ」において、バネの互いに離れる方向が長手方向において離れる方向でないことにより、何らかの不都合が生じるか直ちには把握できないし、既に成立している「品番NNF(NNFH)11500 NNF(NNFH)11510」である「LEDベースライト ストレートタイプ」から、あえてバネの互いに離れる方向を変更しようとする動機付けがあるとはいえない。
したがって、甲4発明に甲8技術を採用して、相違点5に係る本件発明1の発明特定事項とすることが、当業者にとって容易に想到し得るとする理由は、見いだせない。
また、甲1~3には、相違点5に係る本件発明1の発明特定事項が記載されていない。
以上より、相違点4について検討するまでもなく、本件発明1は、甲4発明、甲8技術及び甲1~3に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。
(2)本件発明4及び6について
本件発明4及び6は、本件発明1を引用するものであり、本件発明1の全ての発明特定事項を全て含んだ上で、新たに発明特定事項を追加したものであるから、相違点5に係る本件発明1の発明特定事項を含むものであり、上記(1)に示した理由と同様の理由により、本件発明4及び6は、甲4発明、甲8技術及び甲1~3に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。
7 申立人意見書における申立人の主張
(1)申立人は、申立人意見書の3.5において、概略以下のように主張している。
「連結脚部に対してフレームの長手方向において離れる方向に移動するように弾性変形する連結可動部は、周知技術である(本件特許出願の令和6年3月25日付の拒絶理由通知書で、引用文献2として引用されている特開2016-213128号(甲第8号証)の、一対の前壁部554に対してユニット本体50の長手方向において離れる方向に移動するように弾性変形する第2取付金具57を参照)。
したがって、引用発明1-1、引用発明2-1及び引用発明3-1のいずれか、又は、引用発明4-1と取消理由通知書に記載の「周知技術1」との組み合わせにおいて、上記周知技術を適用し、本件訂正発明1とすることは、当業者が容易になし得たことである。」
(2)しかしながら、甲1発明~甲4発明のいずれかに甲8技術が採用できない理由は、上記3(1)、4(1)、5(1)、6(1)にそれぞれ記載したとおりである。
したがって、申立人の上記(1)の主張は、当を得たものではなく、採用できない。
8 小括
以上のとおり、本件特許の請求項1~2、4及び6に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反にしてされたものではなく、上記取消理由3(特許法第29条第2項)によっては、本件特許の請求項1~2、4及び6に係る特許を取り消すことはできない。
第8 取消理由通知書において採用しなかった特許異議申立理由について
1 取消理由通知書において採用しなかった特許異議申立理由の概要
(1)理由1(特許法第36条第6項第1号)
本件特許は、特許請求の範囲の記載が不備のため、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。
(2)理由2(特許法第29条第1項第3号)
以下の請求項に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された以下の甲号証に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、以下の請求項に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである。
・請求項2及び5
甲1
(3)理由3(特許法第29条第2項)
以下の請求項に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された以下の甲号証に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、本件特許の優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、以下の請求項に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
・請求項2及び5
甲1
・請求項6
甲1、甲4及び甲5
・請求項6
甲2、甲4及び甲5
・請求項6
甲3、甲4及び甲5
・請求項6
甲4、甲5及び甲1~甲3
2 上記理由1(特許法第36条第6項第1号)について
(1)異議申立理由の概要
申立人は、特許異議申立書の51頁~53頁において、概略以下のように主張している。
「請求項1の規定では、本件特許発明1は、連結脚部と連結可動部を一体に設ける構成も含み得る。
しかし、本件明細書及び本件図面には、「連結脚部と連結可動部を一体に設ける」構成は記載されていない。」
「請求項1の規定では、本件特許発明1は、連結脚部と連結可動部とが短手方向において同じ側に配置される構成や、或いは、連結部が連結脚部と連結可動部との組を一対備えており、一対の組のうちの一方が短手方向の一方側に配置され他方が短手方向の他方側に配置される構成・・・(中略)も、含み得る。
を一帯に設ける構成も含み得る。
しかし、本件明細書及び本件図面には、上記のような構成は記載されていない。」
(2)判断
一般的に特許請求の範囲の記載は、請求項に係る発明の範囲まで、出願時の技術常識に照らして、発明の詳細な説明に開示された内容を拡張ないし一般化できるところ、本件発明1に係る申立人の主張は、出願時の技術常識に照らして、発明の詳細な説明に開示された内容を拡張ないし一般化できないとまではいえない。
(3)申立人意見書における主張について
また、申立人は、申立人意見書の3.3において、概略以下のように主張している。
「本件明細書には、「前記連結脚部に対して前記長手方向において離れる方向に移動するように弾性変形する連結可動部」が記載されているとはいえない。」
しかしながら、第2の4(2)及び第5の2(2)で説示したとおり、本件特許の明細書、すなわち発明の詳細な説明には、「前記連結脚部に対して前記長手方向において離れる方向に移動するように弾性変形する連結可動部」が実質的に記載されている。
(4)小括
以上により、本件特許の特許請求の範囲の記載は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件に適合するものであるから、上記理由1(特許法第36条第6項第1号)によっては、本件特許の請求項1~2及び4~6に係る特許を取り消すことはできない。
2 上記理由2(特許法第29条第1項第3号)について
上記第6の4(1)で説示したとおり、本件発明1と甲1発明とを対比すると、相違点1で相違するところ、本件発明2及び5は、本件発明1を引用するものであり、本件発明1の全ての発明特定事項を全て含んだ上で、新たに発明特定事項を追加したものであるから、相違点1に係る本件発明1の発明特定事項を含むものである。
そして、上記6の4(1)に示したとおり、相違点1は実質的な相違点であるから、本件発明2及び5は、甲1発明ではない。
したがって、本件発明2及び5は、特許法第29条第1項第3号に該当せず、本件特許の請求項2及び5に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものではないから、上記理由2(特許法第29条第1項第3号)によっては、本件特許の請求項2及び5に係る特許を取り消すことはできない。
3 上記理由3(特許法第29条第2項)について
(1)甲1発明に基づく判断
本件発明2、5及び6は、本件発明1を引用するものであり、本件発明1の全ての発明特定事項を全て含んだ上で、新たに発明特定事項を追加したものであるから、相違点1に係る本件発明1の発明特定事項を含むものである。
そして、甲5には、相違点1に係る本件発明1の発明特定事項に係る記載はない。
したがって、上記第7の3(1)に示した理由と同様の理由により、本件発明2、5及び6は、甲1発明、甲8技術並びに甲4及び5に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。
(2)甲2発明に基づく判断
本件発明6は、本件発明1を引用するものであり、本件発明1の全ての発明特定事項を全て含んだ上で、新たに発明特定事項を追加したものであるから、相違点2に係る本件発明1の発明特定事項を含むものである。
そして、甲5には、相違点2に係る本件発明1の発明特定事項に係る記載はない。
したがって、上記第7の4(1)に示した理由と同様の理由により、本件発明6は、甲2発明、甲8技術並びに甲4及び5に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。
(3)甲3発明に基づく判断
本件発明6は、本件発明1を引用するものであり、本件発明1の全ての発明特定事項を全て含んだ上で、新たに発明特定事項を追加したものであるから、相違点3に係る本件発明1の発明特定事項を含むものである。
そして、甲5には、相違点3に係る本件発明1の発明特定事項に係る記載はない。
したがって、上記第7の5(1)に示した理由と同様の理由により、本件発明6は、甲3発明、甲8技術並びに甲4及び5に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。
(4)甲4発明に基づく判断
本件発明6は、本件発明1を引用するものであり、本件発明1の全ての発明特定事項を全て含んだ上で、新たに発明特定事項を追加したものであるから、相違点4に係る本件発明1の発明特定事項を含むものである。
そして、甲5には、相違点3に係る本件発明1の発明特定事項に係る記載はない。
したがって、上記第7の6(1)に示した理由と同様の理由により、本件発明6は、甲4発明、甲8技術並びに甲1~5に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。
(5)小括
以上のとおり、本件特許の請求項2、5及び6に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反にしてされたものではなく、上記理由3(特許法第29条第2項)によっては、本件特許の請求項2、5及び6に係る特許を取り消すことはできない。
第9 むすび
以上のとおり、取消理由通知書に記載した取消理由1~3及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由1~3によっては、本件特許の請求項1~2及び4~6に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件特許の請求項1~2及び4~6に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
そして、本件特許の請求項3に係る特許は、訂正により削除された。これにより、申立人による特許異議申立てのうち、請求項3に係る申立ては、申立ての対象が存在しないものとなったため、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。
よって、結論のとおり決定する。
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2025-700228