特許異議申立
2023-701337
洗濯機
- 審判番号
- 2023-701337
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2022-166327
- 登録番号
- 7313741
- 請求日
- 2023年12月19日
- 審決日
- 2024年11月15日
- 公報発行日
- 2025年02月28日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】アイリスオーヤマ株式会社
- 【権利者代理人】原田 淳司
- 【異議申立人】藤江 桂子
- 審判長/審判官
- 審判長 柿崎 拓
- 審判官 関口 哲生
- 審判官 永冨 宏之
- 分類
- P1652.16 -YAA(D06F)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第2項、特許法第29条の2、特許法第120条の5第5項、特許法第120条の5第7項、特許法第126条第7項、特許法第120条の5第4項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7313741号発明「洗濯機」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7313741号の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~6〕について訂正することを認める。
特許第7313741号の請求項1、5~6に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7313741号の請求項1~6に係る特許(以下、「本件特許」という。)についての出願は、令和3年12月28日に出願された特願2021-214251号の一部を、令和4年10月17日に分割して新たな特許出願とし、令和5年7月14日にその特許権の設定登録がされ、令和5年7月25日に特許掲載公報が発行された。本件特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。
令和5年12月19日 :特許異議申立人藤江桂子(以下、「申立人」という。)による請求項1、5~6に係る特許に対する特許異議の申立て
令和6年 3月29日付け:取消理由通知書
令和6年 5月15日 :特許権者による意見書及び訂正請求書の提出
令和6年 5月31日付け:訂正請求があった旨の通知書(特許法第120条の5第5項)
令和6年 6月21日 :申立人による意見書の提出
令和6年 7月22日付け:取消理由通知書(決定の予告)
令和6年 9月19日 :特許権者による意見書及び訂正請求書の提出
以下、令和6年9月19日付け訂正請求書に係る訂正を「本件訂正」という。なお、令和6年5月15日付け訂正請求書は取り下げられたものとみなす(特許法第120条の5第7項)
第2 本件訂正の適否
1 本件訂正の内容
本件訂正の請求による訂正の内容は、以下のとおりである(下線は、訂正箇所を示す。)。
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に
「洗濯槽への給水路を形成する給水路形成体と、
前記給水路形成体により形成される給水路に液剤を吐出口から自動投入する液剤自動投入ユニットと
を備え、
前記給水路は、下方に向かって流れる水路を含み、前記液剤自動投入ユニットは前記水路に対して液剤を投入し、
前記液剤自動投入ユニットは、前記洗濯槽に投入する液剤を貯留する液剤タンクを有するとともに、シリンダとピストンとモータとを有する液剤自動投入手段を前記液剤タンクの後側に有し、
前記液剤タンクとして、少なくとも第1液剤用の第1液剤タンクと第2液剤用の第2液剤タンクとが左右方向に並んでおり、
前記液剤自動投入手段として、前記第1液剤を投入する第1液剤自動投入手段と、前記第2液剤を投入する第2液剤自動投入手段とが前記左右方向に並んで設けられ、
前記液剤自動投入ユニットは、前記液剤タンクから吐出された液剤を水とともに当該液剤自動投入ユニットから流出させるための下流側水路形成部を前記左右方向に延びるように有し、
前記下流側水路形成部は、上流側から下流側に向かうにしたがって、底部分が下方に下がるように傾斜する水路であって、前記第1液剤自動投入手段により吐出された前記第1液剤と前記第2液剤自動投入手段により吐出された前記第2液剤とが合流する流路を含む
洗濯機。」と記載されているのを
「洗濯槽を収容する筐体であって、液剤タンクを出し入れするための開閉可能な上扉を天壁部に備える筐体を備えるドラム式の洗濯機であって、
前記洗濯槽への給水路を形成する給水路形成体と、
前記給水路形成体により形成される給水路に液剤を吐出口から自動投入する液剤自動投入ユニットと
を備え、
前記給水路は、下方に向かって流れる水路を含み、前記液剤自動投入ユニットは前記水路に対して液剤を投入し、
前記液剤自動投入ユニットは、前記洗濯槽に投入する液剤を貯留する前記液剤タンクを有するとともに、シリンダとピストンとモータとを有する液剤自動投入手段を前記液剤タンクの後側に有し、
前記液剤タンクとして、少なくとも第1液剤用の第1液剤タンクと第2液剤用の第2液剤タンクとが左右方向に並んでおり、
前記液剤自動投入手段として、前記第1液剤を投入する第1液剤自動投入手段と、前記第2液剤を投入する第2液剤自動投入手段とが前記左右方向に並んで設けられ、
前記液剤自動投入ユニットは、前記液剤タンクから吐出された液剤を水とともに当該液剤自動投入ユニットから流出させるための下流側水路形成部を前記左右方向に延びるように有し、
前記下流側水路形成部は、上流側から下流側に向かうにしたがって、底部分が下方に下がるように傾斜する水路であって、前記第1液剤自動投入手段により吐出された前記第1液剤と前記第2液剤自動投入手段により吐出された前記第2液剤とが合流する流路を含み、
前記液剤タンク内には、前記液剤タンクの底側を構成する底壁部と、前記液剤タンクの前後方向の後側を構成する後壁部とに跨るようフィルタを備え、
前記液剤タンクは、前記底壁部または前記後壁部において突出する突出部内に設けられた接続部であって前記液剤自動投入手段と接続するための接続部と、タンク本体と、前記タンク本体の上部の開口を覆う蓋体とを備え、
前記蓋体は、前記タンク本体の前記前後方向の前側に開口部を有するとともに、前記開口部を開閉可能な扉体を有し、
前記フィルタは、前記接続部を覆うよう配され、前記タンク本体の前記前後方向の中央よりも後側に存在する、
洗濯機。」に訂正する(請求項1の記載を引用する請求項5、6も同様に訂正する)。
(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項2に
「前記洗濯槽に洗剤を投入する洗剤投入ユニットと、
前記液剤自動投入ユニットと前記洗剤投入ユニットとを接続する接続体とを備える、
請求項1に記載の洗濯機。」と記載されているのを、
「洗濯槽への給水路を形成する給水路形成体と、
前記給水路形成体により形成される給水路に液剤を吐出口から自動投入する液剤自動投入ユニットと
を備え、
前記給水路は、下方に向かって流れる水路を含み、前記液剤自動投入ユニットは前記水路に対して液剤を投入し、
前記液剤自動投入ユニットは、前記洗濯槽に投入する液剤を貯留する液剤タンクを有するとともに、シリンダとピストンとモータとを有する液剤自動投入手段を前記液剤タンクの後側に有し、
前記液剤タンクとして、少なくとも第1液剤用の第1液剤タンクと第2液剤用の第2液剤タンクとが左右方向に並んでおり、
前記液剤自動投入手段として、前記第1液剤を投入する第1液剤自動投入手段と、前記第2液剤を投入する第2液剤自動投入手段とが前記左右方向に並んで設けられ、
前記液剤自動投入ユニットは、前記液剤タンクから吐出された液剤を水とともに当該液剤自動投入ユニットから流出させるための下流側水路形成部を前記左右方向に延びるように有し、
前記下流側水路形成部は、上流側から下流側に向かうにしたがって、底部分が下方に下がるように傾斜する水路であって、前記第1液剤自動投入手段により吐出された前記第1液剤と前記第2液剤自動投入手段により吐出された前記第2液剤とが合流する流路を含み、
前記洗濯槽に洗剤を投入する洗剤投入ユニットと、
前記液剤自動投入ユニットと前記洗剤投入ユニットとを接続する接続体とを備える、
洗濯機。」に訂正する(請求項2の記載を引用する請求項3~6も同様に訂正する)。
2 本件訂正の目的の適否、新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項1について
ア 訂正の目的
訂正事項1は、本件訂正前の請求項1に記載された「洗濯機」について、「洗濯槽を収容する筐体であって、液剤タンクを出し入れするための開閉可能な上扉を天壁部に備える筐体を備えるドラム式の洗濯機であって、」という限定を付加するものであり、また、「液剤タンク」について、「前記液剤タンク内には、前記液剤タンクの底側を構成する底壁部と、前記液剤タンクの前後方向の後側を構成する後壁部とに跨るようフィルタを備え、前記液剤タンクは、前記底壁部または前記後壁部において突出する突出部内に設けられた接続部であって前記液剤自動投入手段と接続するための接続部と、タンク本体と、前記タンク本体の上部の開口を覆う蓋体とを備え、前記蓋体は、前記タンク本体の前記前後方向の前側に開口部を有するとともに、前記開口部を開閉可能な扉体を有し、前記フィルタは、前記接続部を覆うよう配され、前記タンク本体の前記前後方向の中央よりも後側に存在する、」という限定を付加するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げられる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 新規事項の有無
(ア)「洗濯槽を収容する筐体であって、液剤タンクを出し入れするための開閉可能な上扉を天壁部に備える筐体を備えるドラム式の洗濯機」について
願書に添付した明細書の段落0008に「・・・洗濯機Xは、図1~ 図4に示すように、筐体10に、洗濯水等を貯留するための洗濯槽11と、・・・を有する。・・・」と、また、段落0034に「・・・。なお、筐体10は、図1に示すように、液剤タンク51を出し入れするための開口を開閉可能とする上扉10bを天壁部10aに備える。・・・」と記載されている。
(イ)「前記液剤タンク内には、前記液剤タンクの底側を構成する底壁部と、前記液剤タンクの前後方向の後側を構成する後壁部とに跨るようフィルタを備え」について
願書に添付した明細書の段落0020に「・・・液剤タンク51は、タンク本体511内にフィルタ515を備える。これにより、タンク内のごみ等が液剤自動投入手段53側に流れるのを防止できる。」と、また、段落0033に「・・・。フィルタ515は、図9の(a)に示すように、開閉手段512を覆うように設けられている。具体的には、拡大図に示すように、底壁部511aと後壁部511sとに跨るように設けられている。・・・」と記載されている。
(ウ)「前記液剤タンクは、前記底壁部または前記後壁部において突出する突出部内に設けられた接続部であって前記液剤自動投入手段と接続するための接続部と、タンク本体と、前記タンク本体の上部の開口を覆う蓋体とを備え」について
願書に添付した明細書の段落0020に「・・・。ここでのタンク本体511は箱状をしており、液剤タンク51は、タンク本体511の上部の開口を覆う蓋体513を備える。・・・」と、段落0021に「・・・。タンク本体511は、底壁部511aから下方に突出する突出部511bを有している。突出部511bは、タンク本体511の後部分、つまり、液剤自動投入手段53側に設けられている。突出部511bは、その後端に円形状の開口が形成できるように、筒軸が前後方向に延伸する円筒状に突出する。突出部511bの内部は、内部に収容された開閉手段512(図9参照)の後側部分にシリンダ531の接続部531eが挿入され、シリンダ531と接続(嵌合)する接続部(嵌合部)511d(図9の(a)の拡大図参照)となる。・・・」と、段落0035に「・・・液剤自動投入手段53は、図10や図11に示すように、液剤用の吸引口と吐出口とを有するシリンダ531と、シリンダ531内に配されたピストン532と、ピストン532をシリンダ531内で往復運動させるモータ533とを備え、ピストン532の往復運動により液剤の吸引と吐出を行う。・・・」と、段落0077に「(5)液剤タンク51は、下方に突出する突出部511b内に接続部511dを有していたが、例えば、後壁部から後方に突出する突出部に接続部を設けてもよい。」と記載されている。
(エ)「前記蓋体は、前記タンク本体の前記前後方向の前側に開口部を有するとともに、前記開口部を開閉可能な扉体を有し」について
願書に添付した明細書の段落0029に「・・・蓋体513は、図8に示すように、蓋本体513aと扉体516と取手517とを備える。蓋本体513aは、板状をし、前部に開口部513bを有し、前後方向の中央から後方に亘る部分に取手517収容用の凹部513cを有している。・・・」と、また、段落0075に「・・・液剤タンク51は、蓋体513に開口部513bを開閉可能とする扉体516を有していた・・・」と記載されている。
(オ)「前記フィルタは、前記接続部を覆うよう配され、前記タンク本体の前記前後方向の中央よりも後側に存在する」について
願書に添付した明細書の段落0076に「・・・液剤タンク51は、突出部511bの接続部511dを覆うようにフィルタ515を備えている・・・」と、また、段落0021に「・・・突出部511bは、タンク本体511の後部分、つまり、液剤自動投入手段53側に設けられている。・・・」と、また、段落0029に「・・・。蓋本体513aは、板状をし、前部に開口部513bを有し、前後方向の中央から後方に亘る部分に取手517収容用の凹部513cを有している。」と記載されている。
また、図8(a)及び図9(b)の記載から、フィルタ515は、「前後方向の中央から後方に亘る部分」に設けられた取手517の後側に存在することが看取され、すなわち、フィルタ515はタンク本体511の前後方向の中央よりも後側に存在するといえる。
以上によれば、訂正事項1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「本件特許明細書等」という。)に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。
ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
さらに、訂正事項1は、発明特定事項を直列的に付加するものであって、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。
(2)訂正事項2について
訂正事項2は、訂正前の請求項2が、請求項1を引用するものであったのを、独立請求項としたものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書き第4号に掲げる他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものである。
また、訂正事項2は、訂正前の請求項2を独立請求項としたものであるから、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。
さらに、訂正事項2は、訂正前の請求項2を独立請求項としたものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。
3 独立特許要件について
訂正事項1により訂正された請求項1、5~6はいずれも特許異議の申立てがなされているので、訂正後における特許請求の範囲の請求項1、5~6に記載されている事項により特定される発明に関して、特許法第120条の5第9項において読み替えて準用する同法第126条第7項に規定される要件は課されない。
また、訂正事項2により訂正された請求項2~4は、特許異議の申立てがされていない請求項であるが、訂正事項2は、上記(2)のとおり、特許法第120条の5第2項ただし書き第4号に掲げる他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものであるから、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項に規定される要件は課されない。
4 一群の請求項について
訂正事項1及び2に係る訂正前の請求項1~6について、請求項2~6は、それぞれ請求項1を直接又は間接的に引用しているものであって、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものであるから、訂正前の請求項1~6に対応する訂正後の請求項1~6は、一群の請求項であって、本件訂正は、一群の請求項に請求されたものであるから、特許法第120条の5第4項の規定に適合する。
5 まとめ
上記のとおり、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び第4号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第4項、並びに同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
なお、本件において、本件訂正の請求に係る請求項1~6は、特許法第120条の5第9項において読み替えて準用する同法第126条第7項の独立特許要件は課されない。
したがって、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、本件訂正後の請求項〔1~6〕について訂正することを認める。
第3 本件特許発明
本件訂正により訂正された請求項1~6に係る発明(以下、請求項順に「本件発明1」~「本件発明6」という。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1~6に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。
「【請求項1】
洗濯槽を収容する筐体であって、液剤タンクを出し入れするための開閉可能な上扉を天壁部に備える筐体を備えるドラム式の洗濯機であって、
前記洗濯槽への給水路を形成する給水路形成体と、
前記給水路形成体により形成される給水路に液剤を吐出口から自動投入する液剤自動投入ユニットと
を備え、
前記給水路は、下方に向かって流れる水路を含み、前記液剤自動投入ユニットは前記水路に対して液剤を投入し、
前記液剤自動投入ユニットは、前記洗濯槽に投入する液剤を貯留する前記液剤タンクを有するとともに、シリンダとピストンとモータとを有する液剤自動投入手段を前記液剤タンクの後側に有し、
前記液剤タンクとして、少なくとも第1液剤用の第1液剤タンクと第2液剤用の第2液剤タンクとが左右方向に並んでおり、
前記液剤自動投入手段として、前記第1液剤を投入する第1液剤自動投入手段と、前記第2液剤を投入する第2液剤自動投入手段とが前記左右方向に並んで設けられ、
前記液剤自動投入ユニットは、前記液剤タンクから吐出された液剤を水とともに当該液剤自動投入ユニットから流出させるための下流側水路形成部を前記左右方向に延びるように有し、
前記下流側水路形成部は、上流側から下流側に向かうにしたがって、底部分が下方に下がるように傾斜する水路であって、前記第1液剤自動投入手段により吐出された前記第1液剤と前記第2液剤自動投入手段により吐出された前記第2液剤とが合流する流路を含み、
前記液剤タンク内には、前記液剤タンクの底側を構成する底壁部と、前記液剤タンクの前後方向の後側を構成する後壁部とに跨るようフィルタを備え、
前記液剤タンクは、前記底壁部または前記後壁部において突出する突出部内に設けられた接続部であって前記液剤自動投入手段と接続するための接続部と、タンク本体と、前記タンク本体の上部の開口を覆う蓋体とを備え、
前記蓋体は、前記タンク本体の前記前後方向の前側に開口部を有するとともに、前記開口部を開閉可能な扉体を有し、
前記フィルタは、前記接続部を覆うよう配され、前記タンク本体の前記前後方向の中央よりも後側に存在する、
洗濯機。
【請求項2】
洗濯槽への給水路を形成する給水路形成体と、
前記給水路形成体により形成される給水路に液剤を吐出口から自動投入する液剤自動投入ユニットと
を備え、
前記給水路は、下方に向かって流れる水路を含み、前記液剤自動投入ユニットは前記水路に対して液剤を投入し、
前記液剤自動投入ユニットは、前記洗濯槽に投入する液剤を貯留する液剤タンクを有するとともに、シリンダとピストンとモータとを有する液剤自動投入手段を前記液剤タンクの後側に有し、
前記液剤タンクとして、少なくとも第1液剤用の第1液剤タンクと第2液剤用の第2液剤タンクとが左右方向に並んでおり、
前記液剤自動投入手段として、前記第1液剤を投入する第1液剤自動投入手段と、前記第2液剤を投入する第2液剤自動投入手段とが前記左右方向に並んで設けられ、
前記液剤自動投入ユニットは、前記液剤タンクから吐出された液剤を水とともに当該液剤自動投入ユニットから流出させるための下流側水路形成部を前記左右方向に延びるように有し、
前記下流側水路形成部は、上流側から下流側に向かうにしたがって、底部分が下方に下がるように傾斜する水路であって、前記第1液剤自動投入手段により吐出された前記第1液剤と前記第2液剤自動投入手段により吐出された前記第2液剤とが合流する流路を含み、
前記洗濯槽に洗剤を投入する洗剤投入ユニットと、
前記液剤自動投入ユニットと前記洗剤投入ユニットとを接続する接続体とを備える、
洗濯機。
【請求項3】
前記接続体は、前記洗剤投入ユニットの後側に配されている、
請求項2に記載の洗濯機。
【請求項4】
前記給水路は、
前記液剤自動投入ユニットと前記洗剤投入ユニットを経由して前記洗濯槽に流入する液剤側給水路と、
前記液剤自動投入ユニットを経由せずに前記洗剤投入ユニットを経由して前記洗濯槽に流入する洗剤側給水路とを含み、
前記液剤側給水路は前記液剤自動投入ユニットを経由した後に前記洗剤側給水路に合流する、
請求項2又は3記載の洗濯機。
【請求項5】
前記第1液剤と前記第2液剤との吐出のタイミングは、個別に設定可能に構成されている、
請求項1~4の何れか1項に記載の洗濯機。
【請求項6】
前記第1液剤自動投入手段のモータと前記第2液剤自動投入手段のモータとが個別に駆動可能に構成されている、
請求項1~5の何れか1項に記載の洗濯機。」
第4 特許異議申立理由と取消理由の概要
申立人が主張する特許異議申立理由及び当審が令和6年7月22日付けで特許権者に通知した取消理由(決定の予告)の要旨は、次のとおりである。
1.特許異議申立理由
(拡大先願)本件特許の請求項1、5~6に係る発明は、その出願の日前の特許出願であって、その出願後に特許掲載公報の発行がされた甲第1号証の特許出願の願書に最初に添付された明細書又は図面に記載された発明と同一であり、しかも、この出願の発明者がその出願前の特許出願に係る上記の発明をした者と同一ではなく、またこの出願の時において、その出願人が上記特許出願の出願人と同一でもないので、特許法第29条の2の規定に違反してされたものであるため、同法第113条第2号により取り消されるべきである。
(証拠方法)
甲第1号証:特願2021-140177号(特許第7209311号公報)
甲第2号証:特開2020-192099号公報
甲第3号証:特開2021-10416号公報
甲第4号証:特開2020-185088号公報
2.当審が令和6年7月22日付けで特許権者に通知した取消理由(決定の予告)
(拡大先願)本件特許の請求項1、5~6に係る発明は、その出願の日前の特許出願であって、その出願後に特許掲載公報の発行がされた下記の特許出願の願書に最初に添付された明細書又は図面に記載された発明と同一であり、しかも、この出願の発明者がその出願前の特許出願に係る上記の発明をした者と同一ではなく、またこの出願の時において、その出願人が上記特許出願の出願人と同一でもないので、特許法第29条の2の規定により特許を受けることができない。
記
先願:特願2021-140177号(特許第7209311号公報(甲第1号証))
第5 当審の判断
1 証拠の記載
(1)先願(特願2021-140177号(特許第7209311号公報、甲第1号証))の明細書等に記載された事項等
ア 上記取消理由において示した先願の明細書等には、以下の事項が記載されている(下線は当審が付した。以下同様。)。
(ア)【技術分野】
【0001】
本開示は、洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には液剤自動投入装置を搭載する洗濯機が開示されている。
【0003】
特許文献1に記載された洗濯機は、2つのタンク、即ち、洗剤タンク及び柔軟剤タンクが装着される収容ケースを含む液剤自動投入装置を備える。」
(イ)「【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の洗濯機において、液剤の自動投入に関する構成の機能向上といった点で未だ改善の余地がある。
【0006】
したがって、本開示の目的は、上記課題を解決することにあって、液剤の自動投入に関する構成の機能向上を実現した洗濯機を提供することにある。」
(ウ)「【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様の洗濯機は、筐体内に弾性支持された外槽と、外槽に供給される液剤を収容する第1タンクと、外槽に供給される液剤を収容し、第1タンクに並んで配置される第2タンクと、第1タンクに形成された第1接続部に接続される第1自動液剤投入装置と、第2タンクに形成された第2接続部に接続される第2自動液剤投入装置と、を備え、第2タンクの深さは、外槽の外周に沿って、第1タンクの深さより大きく、第2接続部の深さは、第1接続部の深さより大きい。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、液剤の自動投入に関する構成の機能向上を実現した洗濯機を提供することができる。」
(エ)「【0011】
[全体構成]
図1は、本開示に係る実施形態の洗濯機1を示す模式断面図である。図2は洗濯機1の模式正面図である。本実施形態の洗濯機1は、液剤の自動投入機能を有する洗濯乾燥機である。本明細書にて、液剤とは、衣類等の洗濯物15を洗浄するために用いられる液剤であり、洗剤、柔軟剤、中性洗剤等を含む。
【0012】
図1に示すよう、洗濯機1は、筐体2と、外槽3と、内槽4と、駆動部5と、自動投入ユニット6と、接続流路8と、給水口10と、排水弁11と、制御部(図示せず)と、を備える。」
(オ)「【0018】
<自動投入ユニット>
自動投入ユニット6は、所定量の液剤を、液剤を貯蔵するタンクから、外槽3に自動で投入するためのユニットである。自動投入ユニット6は、液剤を手動で投入しない場合に、洗い工程やすすぎ工程等の際に、例えば、洗濯物15の量や種類に応じて、適切な種類の液剤を適切な量において、外槽3に投入する。自動投入ユニット6は、液剤を外槽3に供給するために、接続流路8を介して外槽3に接続される。
【0019】
自動投入ユニット6は、ケース61と、タンク62A、62B、62C(タンク62B、62C図示せず)と、液剤投入装置63A、63B、63C(液剤投入装置63B、63C図示せず)と、液剤吐出流路64と、手動投入部65と、給水電磁弁66を備える。
【0020】
図2に示すように自動投入ユニット6は、筐体2の内部において、外槽3の斜め上方に設けられる。ケース61の底面55は、外槽3の筒部34の外周に沿った形状を有する。底面55は、外側K1に向かって下方に傾斜される。さらに、図1に示すように、底面55は、後側M2に向かって下方に傾斜される。自動投入ユニット6の上部は、筐体2の上面に設けられた開閉可能なカバー60に面する。
【0021】
<接続流路>
接続流路8は、自動投入ユニット6から外槽3へ液剤を流すための流路である。接続流路8は、自動投入ユニット6の液剤出口81から外槽3の開口33まで下方に延びる。
【0022】
<給水口>
給水口10は、自動投入ユニット6を介して外槽3に水を供給するホースを接続するための接続口である。給水口10は、筐体2の上部に設けられる。」
(カ)「【0029】
<タンク>
ケース61には、3つのタンク62A、62B、62Cが幅方向Kに並んで配置された状態で収容される。タンク62A、62B、62Cは、洗い工程及びすすぎ工程で使用する液剤を貯蔵する容器である。タンク62A、62B、62Cは、略直方体の形状を有し、略直方体の長手方向は前後方向Mと平行である。
【0030】
タンク62A、62B、62Cは、ケース61から取り外し可能である。ケース61から手動投入部65を取り出した状態においては、ケース61の前側M1に空いたスペースが形成される。そのため、タンク62A、62B、62Cを前側M1に引いて液剤投入装置63A、63B、63C(図6)から取り外し、上方に取り出すことができる。
【0031】
<液剤投入装置>
図6に示すように、液剤投入装置63A、63B、63Cは、タンク62A、62B、62Cから既定量の液剤を吸い出して、液剤吐出流路64に吐出する装置である。液剤投入装置63A、63B、63Cは、ケース61の背面57を介して、それぞれのタンク62A、62B、62Cに接続される。タンク62Aには液剤投入装置63Aが接続され、タンク62Bには液剤投入装置63Bが接続され、タンク62Cには液剤投入装置63Cが接続される。液剤投入装置63A、63B、63Cは、幅方向Kに並んで配置される。」
(キ)「【0033】
<液剤吐出流路>
図6に示すように、液剤吐出流路64は、液剤及び水を、ケース61を介して外槽3に供給する流路部材である。液剤吐出流路64は、ケース61の背面57に設けられ、3つの液剤投入装置63A、63B、63Cに接続される。液剤吐出流路64は、外側K1に向かって下方に傾斜して延びる。液剤吐出流路64を流れる流体は、液剤吐出流路64の傾斜に応じて一方向に流れる。」
(ク)「【0035】
<給水電磁弁>
図4及び図5に示すように、給水電磁弁66は、3つの電磁弁によって構成され、それぞれの弁の開閉によって、給水先となる供給流路67(図5)の経路を変更する。水は、ケース61を介して外槽3に流入する。」
(ケ)「【0038】
ケース61の背面57には、タンク接続口77A、77B、77Cと、第1ケース接続口78と、第2ケース接続口79と、液剤出口81とが形成される。
【0039】
タンク接続口77A、77B、77Cは、ケース61に収容されたタンク62A、62B、62Cと、ケース61の外部に配置された液剤投入装置63A、63B、63Cとの接続のために設けられた開口である。
【0040】
また、第1ケース接続口78は、供給流路67から流れる水を液剤吐出流路64に流入させる開口である。第2ケース接続口79は、液剤吐出流路64からの水と、自動投入される液剤をケース61に流入させる開口である。液剤出口81は、第2ケース接続口79ケース61に流入した流体と、手動投入部65からの流体を、接続流路8を通じて外槽3に向かって排出する開口である。第1ケース接続口78は、第2ケース接続口79より高い位置に設けられる。」
(コ)「【0044】
3つのタンク62A、62B、62Cには、異なるまたは同一の液剤が収容されてもよい。液剤の種類及びタンク62A、62B、62Cの容積を考慮して、液剤の使用頻度が低いものから順に、タンク62A、62B、62Cに収容されてもよい。例えば、タンク62Aには中性洗剤が貯蔵され、タンク62Bには柔軟剤が貯蔵され、タンク62Cには洗剤が貯蔵される。」
(サ)「【0048】
タンク62A、62B、62Cの後側M2の面、即ち、短手方向を含む面は、接続部76A、76B、76Cを形成する。接続部76A、76B、76Cは、液剤投入装置63A、63B、63Cに接続される構造である。接続部76A、76B、76Cは、それぞれ、逆止弁(図示せず)と接続口とを備える。逆止弁は、液剤投入装置63A、63B、63Cが装着されると開放され、タンク62A、62B、62Cと液剤投入装置63A、63B、63Cとが連通する。接続口は、液剤が吸い出される開口であり、図7に示すタンク接続口77A、77B、77Cに面する。なお、接続部76A、76B、76Cは、他の構造をさらに備えてもよい。接続部76A、76B、76Cは、タンク62A、62B、62Cの最深部において形成される。よって、接続部76A、76B、76Cの深さL1、L2、L3は、外側K1に向かって増加する。」
(シ)「【0050】
図9及び図10に示すように、タンク62の接続部76の深さの変化に応じて、液剤投入装置63A、63B、63Cは、外側K1に向かって低くなる。液剤投入装置63の後述する液剤流入口91が、タンク62の短手方向を含む面に形成された接続部76に対向するように、液剤投入装置63A、63B、63Cは配置される。本実施形態では、液剤投入装置63A、63B、63Cは階段状に配置され、階段状における液剤投入装置63と、タンク62及び接続部76とは、深さ方向に等しいピッチを有する。このような構造によって、3つのタンク62において、接続部76から液剤投入装置63まで液剤が流れる距離を等しくすることが可能になる。そのため、接続部76と液剤投入装置63との間の経路において、後述のポンプ機構73を駆動させた際に生じる圧力損失のばらつきを小さくすることができる。したがって、液剤投入装置63による液剤の供給量のばらつきを抑制することができる。
【0051】
さらに、図9に示すように、タンク62は、本体87と蓋88とを備える。本体87の上部は開口しており、蓋88に覆われている。蓋88は、本体87に取り外し可能に保持される。前述のように、タンク62の上面は共通の形状を有しており、よって、本体87の上面は共通の形状を有する。また、蓋88を保持するための構造も共通である。そのため、それぞれのタンク62の蓋88を共通で形成することが可能であり、蓋88は交換可能である。より具体的には、任意のタンク62A、62B、62Cの蓋88は、他のタンク62A、62B、62Cにも取り付け可能である。一方で、蓋88に付される色、模様、文字等、その他タンク62の識別性を向上させる表示は、異なってもよい。蓋88は、タンク62の前側M1に、蓋88に対して開閉可能な小蓋88Aを有する。」
(ス)「【0053】
図11A及び図11Bに示すように、液剤投入装置63は、前後方向Mに沿ってタンク62の背面90に着脱可能に接続される。言い換えれば、タンク62と、タンク62に接続された液剤投入装置63は、それぞれ前後方向Mに沿って配置される。
【0054】
図11Aに示すように、液剤投入装置63は、動力部71と、減速機構72と、ポンプ機構73とを備える。動力部71は、回転軸V1の周りで回転する電子部品である。減速機構72は、動力部71の周囲に配置されており、動力部71より小さい回転速度で回転する出力軸V2(図12A)を備える機構である。出力軸V2は、回転軸V1と平行である。ポンプ機構73は、出力軸V2に接続され、タンク62からの液剤を吸い上げて吐出する容積型ポンプである。動力部71の回転軸V1が回転すると、減速機構72の出力軸V2が回転し、ポンプ機構73における後述するピストン83が上下運動する。」
(セ)「【0057】
動力部71及び減速機構72についてより詳細に説明する。図12Aに示すように、動力部71は、コイル71Aと、マグネット71Bと、コネクタ端子71Cとを有する。コネクタ端子71C管に電圧を印加すると、コイル71A内に電流が流れる。電流によって、コイル71Aは、周囲に磁界を生じる。マグネット71Bは、コイル71Aが生じる磁界を受けて、トルクが発生し、回転軸V1の周りで回転する。マグネット71Bの回転は、減速機構72に伝達される。
【0058】
減速機構72は、複数の減速ギア102によって構成される。1つの減速ギア102がマグネット71Bに係合しているため、マグネット71Bの回転は、減速ギア102を介して、出力軸V2に伝達される。一方で、出力軸V2の回転は、偏心カム89を介して、上下運動に変換され、ポンプ機構73に伝達される。
【0059】
減速機構72を設けることによって、汎用の動力部71を液剤投入装置63に適用することができ、自動投入ユニット6のコストを抑えることができる。
【0060】
また、動力部71と減速機構72とは、併せてモータ70と称してもよい。
【0061】
ポンプ機構73についてより詳細に説明する。図12Aに示すように、ポンプ機構73は、ピストン83と、シリンダ84と、入口流路85と、出口流路86とを有する。ピストン83は、減速機構72の出力軸V2に接続され、出力軸V2の回転に伴って上下方向に往復運動する部材である。シリンダ84は、ピストン83を収容し、液剤が吸い上げられる空間を形成する部材である。入口流路85は、液剤流入口91を通じて、タンク62から液剤を吸い上げるため、タンク62とシリンダ84の下端とを接続する流路である。液剤流入口91はタンク62の接続部76に挿入される。出口流路86は、シリンダ84内の液剤を液剤吐出流路64に排出するため、シリンダ84の下端と液剤吐出流路64とを接続する流路である。」
(ソ)「【0069】
ここで、水の流れについて、より詳細に説明する。水は、給水電磁弁66から、矢印X1~X3に示す経路に供給される。経路は、給水電磁弁66から、供給流路67及びケース61を介して、外槽3に到達する。
【0070】
図13Aに示すように、洗い工程において、洗剤の自動または手動投入を実行するために、給水電磁弁66の第1電磁弁(図示せず)が開放される。この状態において、水は、給水電磁弁66から、供給流路67において矢印X1及び矢印X2で示す経路に分岐して流れる。
【0071】
矢印X1に沿って流れる水は、タンク62の背面90の上方に形成される開口94からケース61に流入する。矢印X2に沿って流れる水は、手動投入部65付近に形成される開口95を通過して、手動投入部65に形成される水投入開口96から、手動投入された洗剤とともに、ケース61に向かって下方に流れる。
【0072】
図13Bに示すように、矢印X1に沿ってケース61に流入した水は、矢印X11及び矢印X12で示す2つの経路にさらに分岐する。矢印X11に沿って流れる水は、ケース61から第1ケース接続口78を介して液剤吐出流路64(図示せず)に流入する。水は、傾斜された液剤吐出流路64を重力に沿って流れて、第2ケース接続口79からケース61の投入流路82に流入する。矢印X12に沿って流れる水は、3つの液剤投入装置63の先端の下を順に通過するように、ケース61の内底面に沿って流れる。この流れによって、タンク62の脱着動作により、漏れ出てケース61の内底面に付着した液剤を洗い落とすことができる。矢印X12に沿って流れる水は、矢印X11に沿って流れる水と投入流路82にて合流する。矢印X2に沿ってケース61に流入した水は、接続流路8に向かって、投入流路82を流れる。矢印X2に沿って流れる水は、矢印X11、X12に沿って流れる水と投入流路82にて合流する。
【0073】
図13Cに示すように、投入流路82を流れる水は、液剤出口81から接続流路8(図13B)を通じて外槽3に流入する。
【0074】
また、図13Aに戻って、すすぎ工程において柔軟剤の手動投入を実行するために、給水電磁弁66の第2電磁弁(図示せず)が開放される。この状態において、水は、供給流路67において矢印X3で示す経路を流れる。矢印X3に沿って流れる水は、手動投入部65付近に形成される開口97を通過して、手動投入部65から、手動投入された柔軟剤とともにケース61に流入する。
【0075】
図13Bに示すように、矢印X3に沿ってケース61に流入した水は、ケース61に内底面B4を沿って、投入流路82に向かって流れる。内底面B4は、タンク62の直下に形成される内底面B1~B3の前側に形成され、内底面B1から内底面B3に向かう方向に沿って下方に傾斜される。傾斜によって、水は内底面B4を重力に沿って流れる。その後、水は、図13Cに示すように、液剤出口81から接続流路8(図13B)を通じて外槽3に流入する。」
(タ)「【0077】
図13Cに示すように、洗剤S1は、傾斜された液剤吐出流路64を重力に沿って流れる。洗剤S1は、液剤吐出流路64において、矢印X11に沿って流れる水と合流してもよい。洗剤S1は、第2ケース接続口79からケース61の投入流路82に流入し、投入流路82の傾斜によって液剤出口81に導かれ、接続流路8を介して外槽3に流入する。
【0078】
また、選択された運転コース、および/またはユーザの選択操作に基づいて、外槽3に投入される液剤が決定される。運転コースとしておしゃれ着洗いが選択されると、中性洗剤が外槽3に投入されてもよい。この場合、洗剤S1が収容されるタンク62Cの液剤投入装置63Cの代わりに、中性洗剤が収容されるタンク62Aの液剤投入装置63Aが駆動される。
【0079】
すすぎ工程における制御部の動作によって、柔軟剤S2が収容されるタンク62Bの液剤投入装置63Bが駆動される。
【0080】
洗い工程及びすすぎ工程を繰り返すと、タンク62に収容される液剤の量が減少する。洗濯機1の使用者は、タンク62に液剤を補充することができる。タンク62がケース61に配置された場合において、図9に示すように、小蓋88Aを開けて、液剤を補充することができる。一方で、タンク62をケース61から取り出した場合において、蓋88を取り外して、または小蓋88Aを開けて、液剤を補充することができる。」
(チ)「【0084】
[効果1]
実施の形態1に係る洗濯機1によれば、以下の効果を奏することができる。
【0085】
上述したように、本実施形態の洗濯機1は、外槽3と、少なくとも2つのタンク62と、少なくとも2つの液剤投入装置63(自動液剤投入装置)と、を備える。外槽3は、筐体2内に弾性支持される。少なくとも2つのタンク62は、外槽3に供給される液剤を収容し、幅方向K(第1方向)に沿って配置される。少なくとも2つの液剤投入装置63は、それぞれのタンク62に形成された接続部76に接続され、幅方向Kに沿って配置される。それぞれの液剤投入装置63は、動力部71と、動力部71と係合した減速機構72と、減速機構72の出力軸に接続されるポンプ機構73と、を有する。減速機構72の径方向R1は、幅方向Kと略直交する。
【0086】
このような構成によって、2つの液剤投入装置63を設けた構成において、液剤投入装置63の幅方向Kの寸法を抑えることが可能であるため、タンク62の間隔を小さくして配置することが可能になる。そのため、幅方向Kにおける自動投入ユニット6の省スペース化を実現できる。さらに、タンク62がそれぞれ個別の液剤投入装置63を有するため、タンク62が1つの液剤投入装置を共有する場合と比較して、タンク62と液剤投入装置63とを近づけた構成が可能になる。そのため、タンク62と液剤投入装置63との間の圧力損失を抑制し、液剤投入装置63による液剤投入の効率及び安定性を向上させることができる。したがって、自動投入ユニット6の機能を向上できる。」
(ツ)「【0089】
また、本実施形態の洗濯機1において、タンク62に形成された接続部76は、タンク62の背面90に形成される。
【0090】
このような構成によって、液剤投入装置63が、接続部76を形成するタンク62の背面90と対向するように配置される。ポンプ機構73を備える液剤投入装置63をタンク62の背面90の直後に配置することによって、それぞれのタンク62とポンプ機構73との距離を等しくした配置が可能になる。そのため、液剤投入装置63による圧力損失を抑制し、より高精度で既定量の液剤を投入できる。また、タンク62と液剤投入装置63の距離を短くすることにより、動力部71において必要なトルクを小さくできる。そのため、幅方向Kの寸法がより小さい動力部71を採用することができる。これによって、動力部71における幅方向Kの省スペース化及び低コスト化を実現できる。」
(テ)「【0134】
本開示の洗濯機は、液剤投入に関する構成の機能を向上させることができるため、家庭用の洗濯機、業務用の洗濯機、あるいは任意の種類の洗濯乾燥機(例えば家庭用のドラム式洗濯機)として有用である。」
(ト)「【図1】 【図2】
[図:0001419337000001.jpg]
【図6】 【図7】
[図:0001419337000002.jpg]
【図9】 【図10】
[図:0001419337000003.jpg]
【図11A】 【図11B】
[図:0001419337000004.jpg]
【図12A】 【図13C】
[図:0001419337000005.jpg]
」
(ナ)上記(オ)及び(ソ)並びに図1及び13Cの記載から、給水口10から外槽3へと水を供給する給水路が、供給流路67、ケース61、液剤吐出流路64、ケース61の投入流路82及び液剤出口81につながる接続流路8により形成されていることは、明らかである。
(ニ)図6、9及び10の記載から、液剤吐出流路64が幅方向Kに延びるように設けられていることは明らかである。
(ヌ)上記(セ)並びに図9~12Aの記載から、液剤吐出流路64が、液剤投入装置63Aにより吐出された液剤と液剤投入装置63Bにより吐出された液剤との合流する流路として設けられていることは、明らかである。
(ネ)上記(シ)及び(タ)並びに図9、11A及び11Bの記載から、蓋88には、小蓋88Aにより開閉する開口部が設けられていることは、明らかである。
イ 先願発明
上記ア(ア)~(ネ)の記載を総合して、本件発明の表現に倣って整理すると、先願の明細書等には、以下の発明(以下、「先願発明」という。)が記載されていると認められる。
(先願発明)
「外槽3を収容する筐体2であって、タンク62を出し入れするための開閉可能なカバー60を上面に備える筐体2を備えるドラム式の洗濯機1であって、
前記外槽3への給水路を形成する、供給流路67、ケース61、液剤吐出流路64、ケース61の投入流路82及び液剤出口81につながる接続流路8と、
前記供給流路67、ケース61、液剤吐出流路64、ケース61の投入流路82及び液剤出口81につながる接続流路8により形成される給水路に液剤を出口流路86から自動投入する、自動投入ユニット6と
を備え、
前記給水路は、液剤吐出流路64を含み、前記自動投入ユニット6は前記液剤吐出流路64に対して液剤を投入し、
前記自動投入ユニット6は、前記外槽3に投入する液剤を貯留する前記タンク62を有するとともに、シリンダ84とピストン83とモータ70とを有する液剤投入装置63を前記タンク62の背面90に有し、
前記タンク62として、少なくとも中性洗剤用のタンク62Aと柔軟剤用のタンク62Bとが幅方向Kに並んでおり、
前記液剤投入装置63として、前記中性洗剤を投入する液剤投入装置63Aと、前記柔軟剤を投入する液剤投入装置63Bとが前記幅方向Kに並んで設けられ、
前記自動投入ユニット6は、前記タンク62から吐出された液剤を水とともに当該自動投入ユニット6から流出させるための液剤吐出流路64を前記幅方向Kに延びるように有し、
前記液剤吐出流路64は、水が重力に沿って流れるように傾斜する水路であって、前記液剤投入装置63Aにより吐出された前記中性洗剤と前記液剤投入装置63Bにより吐出された前記柔軟剤とが合流する流路を含み、
前記タンク62は、前記タンク62の背面90において設けられた接続部76であって前記液剤投入装置63と接続するための接続部76と、本体87と、前記本体87の上部の開口を覆う蓋88とを備え、
前記蓋88は、前記本体87の前後方向Mの前側M1に開口部を有するとともに、前記開口部を開閉可能な小蓋88Aを有する、
洗濯機1。」
(2)甲第2号証について
ア 甲第2号証の記載
申立人が令和6年6月21日提出の意見書に添付して提出した甲第2号証(特開2020-192099号公報、以下「甲2」という。)には、以下の記載がある。
(ア)「【0001】
本発明は、衣類の洗濯を行う洗濯機に係る。」
(イ)「【0030】
<洗濯処理液自動投入手段詳細>
図5から図12を用いて、本実施例による洗濯処理液供給手段である洗濯処理液自動投入手段30について説明する。図5は本実施形態による洗濯処理液自動投入手段30の構成を示す斜視図、図6は洗濯処理液タンクの構成を示す斜視図、図7は洗濯処理液自動投入手段30の構成を示すB-B断面図、図8は洗濯処理液自動投入手段30のポンプ部の構成を示す斜視図、図9は図8のC-C断面図、図10はD-D断面図、図11は洗濯処理液自動投入手段の上面図であり、モータを正転して洗剤タンク32から洗剤を供給している状態、図12は洗濯処理液自動投入手段の上面図であり、モータを逆転して柔軟剤タンクから柔軟剤を供給している状態を示している。」
(ウ)「【0060】
<フィルタ構造>
本実施形態においては、タンク32、33の底面に近接した吸入口48の下端を拡大したフィルタ58を設けた構成としている。フィルタ58は例えば円板状であり、その上面には例えば0.5mm程度の幅のスリット59が複数設けられている。フィルタ58はタンク32、33のタンク底面46に近接して設けられているので、洗剤投入口25内の洗剤はスリットを通った後にフィルタ58の略中央部に設けられた吸入口48に至り、ギヤポンプ51によって吸引される。このような構成としたので、洗剤ないし柔軟剤に異物が混入した場合にはフィルタ58のスリット59により捕集されるので、異物が吸入口48から吸入管50を通ってギヤポンプ51に入り込むことが無いので、ギヤポンプ部に異物が詰まることを防止でき、信頼性の高い洗濯処理液自動投入手段30を提供できる。」
(エ)「【図6】
[図:0001419337000006.jpg]
【図7】
[図:0001419337000007.jpg]
【図8】
[図:0001419337000008.jpg]
」
(3)甲第3号証について
ア 甲第3号証の記載
申立人が令和6年6月21日提出の意見書に添付して提出した甲第3号証(特開2021-10416号公報、以下「甲3」という。)には、以下の記載がある。
(ア)「【0001】
本発明は、液体洗剤、液体仕上げ剤等の洗濯用の液剤を自動投入するための自動投入機構を備える洗濯機に関する。」
(イ)「【0034】
図3は、洗剤タンク100に詰まり防止部材300が装着される前の状態を示すタンクユニット61の斜視図である。図4は、洗剤タンク100に詰まり防止部材300が装着された状態を示すタンクユニット61の斜視断面図である。図5(a)および(b)は、それぞれ、洗剤タンク100の平面図および側面断面図である。図6(a)ないし(c)は、それぞれ、詰まり防止部材300の正面図、側面断面図および平面図である。なお、図4には、固化した液体洗剤が、模式的に一点鎖線の楕円で示されている。また、図5(b)には、供給パイプ200の一部が、一点鎖線により示されている。
【0035】
タンクユニット61は、洗剤タンク100と、供給パイプ200と、フィルタ一体型の詰まり防止部材300とにより構成される。洗剤タンク100は、本発明のタンクに相当する。」
(ウ)「【0040】
図3、図4、図6(a)、(b)および(c)を参照して、詰まり防止部材300は、たとえば樹脂材料により形成され、フィルタ部310と、フィルタ部310と一体化された詰まり防止部320とを含む。
【0041】
フィルタ部310は、ほぼ有底の円筒状に形成され、その周面の前部が上端部を残して後方に凹むことにより、前部に平坦な前面310aと前面310aと直交する平坦な段差面310bとが形成される。フィルタ部310の前面310aには、上部に、指を掛けるための取っ手孔311が形成される。フィルタ部310の周面は、上方に向かって僅かに拡がるテーパ形状を有し、その上端部では、液体洗剤を受けやすいように、拡がる角度が大きくなっている。
【0042】
フィルタ部310における、周面と底面との間の角部には、周方向に並ぶように複数の縦長スリット状の第1孔312が形成される。また、フィルタ部310の底面には、複数の円形の小さな第2孔313が形成される。
【0043】
詰まり防止部320は、フィルタ部310の底面から下方に延びる、断面が十字形状のリブ321と、リブ321の先端に形成された円板状の受部322とを含む。リブ321の先端部には、前後方向に貫通する左右2つの方形の流通口323が形成される。
【0044】
図3に示すように、詰まり防止部材300は、投入口101から洗剤タンク100内に挿入される。この際、詰まり防止部320は、フィルタ収容部103の開口部105を通されて、洗剤タンク100の内部に進入する。
【0045】
詰まり防止部材300が洗剤タンク100内に最後まで挿入されると、即ち、詰まり防止部材300の洗剤タンク100への装着が完了すると、図4に示すように、フィルタ部310がフィルタ収容部103に収容されるとともに、詰まり防止部320の先端部が排出口部107の流路107a、即ち第1流路108a内に入り込む。詰まり防止部320の受部322によって、第1流路108aの下端面が上から覆われる。排出口部107の第2流路109aへの入口の前方に詰まり防止部320の2つの流通口323が位置する。
【0046】
予め、ユーザによって、投入口101から洗剤タンク100内に液体洗剤が投入される。投入された液体洗剤は、フィルタ部310の第1孔312および第2孔313とフィルタ収容部103の孔104および開口部105を通って洗剤タンク100の内部に流れ込む。
【0047】
投入口101は、液体洗剤を投入しやすいよう、比較的大きな開口面積を有する。このため、液体洗剤の投入時などに、誤って、投入口101から洗剤タンク100内へ異物が侵入し得る。洗剤タンク100内へ侵入した異物は、フィルタ部310の第1孔312や第2孔313を通ることができず、フィルタ部310に捕獲される。」
(エ)「【図3】
[図:0001419337000009.jpg]
【図4】
[図:0001419337000010.jpg]
【図6】
[図:0001419337000011.jpg]
」
(4)甲第4号証について
ア 甲第4号証の記載
申立人が令和6年6月21日提出の意見書に添付して提出した甲第4号証(特開2020-185088号公報、以下「甲4」という。)には、以下の記載がある。
(ア)「【0001】
本開示は、洗濯機に関する。」
(イ)「【0031】
図7に示すように、タンク本体141は、樹脂等の透明材料により上面が開口する略箱体形状に形成されている。タンク本体141の前面は、上部枠体102と同色の化粧板142により覆われており、外観上の統一感をもたせている。また、化粧板142の中央部には開口143が形成され、タンク本体141の開口143から露出する部分を透明窓144としている。使用者は、蓋103を開けた状態で透明窓144からタンク本体141の内部を視認できる。なお、透明窓144及び化粧板142は、洗剤タンク140aがタンク収容部131に収容された状態で上部枠体102と面一に形成されている。
【0032】
透明窓144には目盛り表示145が刻印されており、使用者は目盛り表示145を見てタンク本体141に貯蔵された洗剤の残量を確認できる。目盛り表示145の間隔は、一度の洗濯運転において液面が下降したことを視認できる間隔となるように構成される。更に、本実施の形態における目盛り表示145は、一番下の目盛りを除き、一目盛りの容量が洗濯運転を二回実行した際に平均的に消費される洗剤量と対応するように形成されている。一番下の目盛りについては、後述する。」
(ウ)「【0036】
(液剤タンク側接続部とその周囲)
図9は、実施の形態1における洗濯機の液剤自動投入装置と液剤タンクとの接続を示す模式図、図10(a)は、同洗濯機の液剤タンクのフィルタの正面図、図10(b)は、同洗濯機の液剤タンクのフィルタの側面図である。
【0037】
図9に示すように、タンク本体141の背面には、タンク収容部131に配設されたタンク収容部側接続部132と接続する液剤タンク側接続部150が設けられている。液剤タンク側接続部150は、筒状であるとともに、鈍角である略逆L字形状となるように折れ曲がって形成されている。タンク本体141に取り付けられた状態において、筒部151はタンク本体141の背面から後方に突出し、吸入管部154はタンク本体141の内側面から内底面に延伸する。吸入管部154には、接続部パッキング153が取り付けられており、接続部パッキング153は、円形孔148と吸入管部154との間隙を密封する。
【0038】
筒部151は、タンク本体141の背面中央部よりも端側であって、底面より高い位置に位置する。筒部151は、吸入管部154との境界部分にフランジ158が形成されており、フランジ158においてタンク本体141の背面に螺結されている。筒部151は、液剤タンク側接続部150を挿入される際に、タンク収容部側接続部132と液剤タンク側接続部150との接続の位置決めを行う。筒部151の内部には逆止弁152が配設されている。逆止弁152は、通常時には閉塞しており、洗剤タンク140a内に収容される洗剤が外部へ漏れることを抑止する。逆止弁152は、タンク収容部側接続部132により前方へ押し込まれている時のみ開放し、洗剤タンク140a内に貯蔵されている洗剤が液剤自動投入装置130に吸引されることを可能にする。
【0039】
吸入管部154は、筒部151と連通するとともに、タンク本体141の内底面近傍に向けて傾斜して延伸している。吸入管部154は、タンク本体141に貯蔵された液剤の液位がタンク収容部側接続部132よりも下方である場合に、液剤を吸い上げるために設けられている。吸入管部154を設けることで、液剤自動投入装置130よりも下方にタンク本体141を設置することが可能となり、設計上の自由度が向上する。
【0040】
図9に示すように、タンク本体141の内底部には、吸入管部154を覆うようにフィルタ155が配設される。フィルタ155は、逆L字状に形成されており、タンク本体141内部の短手方向の内側面及び内底面に当接するように構成されている。」
(エ)「【0044】
図11に示すように、引出部161の内部には、前方から後方にかけて下方傾斜する第1の傾斜面166及び第2の傾斜面170が形成されている。第2の傾斜面170は、第1の傾斜面166の傾斜よりも緩やかになっている。前述の通り、第1の傾斜表面166aは、引出部把持部164の上面である第1の傾斜裏面166bの表側である。
【0045】
第2の傾斜面170の後方には、タンク本体141の内部に開口する液剤投入口171が配置されており、液剤投入口171はタンク本体141の内外を連通させる。また、第2の傾斜面170は、図13に示すように、上部(前方)から下部(後方)にかけて狭くなるように形成されており、流下する洗剤を整流する。
【0046】
液剤投入口171の後方に当たる位置には、引出部161の一部として、上下に形成された上限表示面172が形成されている。上限表示面172には、タンク本体141の内部に貯蔵する液剤の上限位置を示す上限表示172aを設けている。」
(オ)「【図7】
[図:0001419337000012.jpg]
【図9】
[図:0001419337000013.jpg]
【図10】
[図:0001419337000014.jpg]
【図11】
[図:0001419337000015.jpg]
」
2 本件発明1について
(1)対比
本件発明1と先願発明とを対比する。
先願発明の「外槽3」は本件発明1の「洗濯槽」に相当し、同様に、「筐体2」は「筐体」に、「タンク62」は「液剤タンク」に、「カバー60」は「上扉」に、「上面」は「天壁部」に、「洗濯機1」は「洗濯機」に、「供給流路67、ケース61、液剤吐出流路64、ケース61の投入流路82及び液剤出口81につながる接続流路8」は「給水路形成体」に、「出口流路86」は「吐出口」に、「自動投入ユニット6」は「液剤自動投入ユニット」に、「シリンダ84」は「シリンダ」に、「ピストン83」は「ピストン」に、「モータ70」は「モータ」に、「液剤投入装置63」は「液剤自動投入手段」に、「背面90」は「後側」又は「後壁部」に、「中性洗剤」は「第1液剤」に、「タンク62A」は「第1液剤タンク」に、「柔軟剤」は「第2液剤」に、「タンク62B」は「第2液剤タンク」に、「幅方向K」は「左右方向」に、「液剤投入装置63A」は「第1液剤自動投入手段」に、「液剤投入装置63B」は「第2液剤自動投入手段」に、「本体87」は「タンク本体」に、「蓋88」は「蓋体」に、「前後方向M」は「前後方向」に、「前側M1」は「前側」に、「小蓋88A」は「扉体」に、それぞれ相当する。
また、先願発明の「液剤吐出流路64」は、給水路の一部を形成し、また、傾斜して形成されて水を重力に沿って流すものであり(上記1(1)ア(ソ)、(ナ)を参照。)、更に、液剤が投入される流路であるから、本件発明1の「下方に向かって流れる水路」と、「下方に向かって流れる液剤投入水路」の点で共通する。
さらに、先願発明の「液剤吐出流路64」は、自動投入ユニット6を構成するもの(上記1(1)ア(オ)を参照。)でもあり、液剤を水と共に流出させる機能を有するものであるから、本件発明1の「下流側水路形成部」と、「液剤流出水路」の点で共通する。そして、先願発明の「液剤吐出流路64は、水が重力に沿って流れるように傾斜する水路」と、本件発明1の「下流側水路形成部は、上流側から下流側に向かうにしたがって、底部分が下方に下がるように傾斜する水路」とは、「液剤流出水路は、上流側から下流側に向かうにしたがって、底部分が下方に下がるように傾斜する水路」の点で共通する。
加えて、先願発明の「接続部76」は、図9、11A及び11Bの記載から、本体87から後側M2に突出して設けられていることが看取されることから、本件発明1の「突出する突出部内に設けられた接続部」に相当する。
以上によれば、本件発明1と先願発明とは、以下の一致点で一致し、以下の相違点1、2で相違する。
<一致点>
「洗濯槽を収容する筐体であって、液剤タンクを出し入れするための開閉可能な上扉を天壁部に備える筐体を備えるドラム式の洗濯機であって、
前記洗濯槽への給水路を形成する給水路形成体と、
前記給水路形成体により形成される給水路に液剤を吐出口から自動投入する液剤自動投入ユニットと
を備え、
前記給水路は、下方に向かって流れる液剤投入水路を含み、前記液剤自動投入ユニットは前記下方に向かって流れる液剤投入水路に対して液剤を投入し、
前記液剤自動投入ユニットは、前記洗濯槽に投入する液剤を貯留する前記液剤タンクを有するとともに、シリンダとピストンとモータとを有する液剤自動投入手段を前記液剤タンクの後側に有し、
前記液剤タンクとして、少なくとも第1液剤用の第1液剤タンクと第2液剤用の第2液剤タンクとが左右方向に並んでおり、
前記液剤自動投入手段として、前記第1液剤を投入する第1液剤自動投入手段と、前記第2液剤を投入する第2液剤自動投入手段とが前記左右方向に並んで設けられ、
前記液剤自動投入ユニットは、前記液剤タンクから吐出された液剤を水とともに当該液剤自動投入ユニットから流出させるための液剤流出水路を前記左右方向に延びるように有し、
前記液剤流出水路は、上流側から下流側に向かうにしたがって、底部分が下方に下がるように傾斜する水路であって、前記第1液剤自動投入手段により吐出された前記第1液剤と前記第2液剤自動投入手段により吐出された前記第2液剤とが合流する流路を含み、
前記液剤タンクは、後壁部において突出する突出部内に設けられた接続部であって前記液剤自動投入手段と接続するための接続部と、タンク本体と、前記タンク本体の上部の開口を覆う蓋体とを備え、
前記蓋体は、前記タンク本体の前後方向の前側に開口部を有するとともに、前記開口部を開閉可能な扉体を有する、
洗濯機。」
<相違点1>
下方に向かって流れる液剤投入水路及び液剤流出水路について、本件発明1は、下方に向かって流れる液剤投入水路は「下方に向かって流れる水路」であり、液剤流出水路は「下流側水路形成部」であるのに対し、
先願発明は、液剤吐出流路64が、下方に向かって流れる液剤投入水路であり、また、液剤流出水路でもある点。
<相違点2>
本件発明1は、「前記液剤タンク内には、前記液剤タンクの底側を構成する底壁部と、前記液剤タンクの前後方向の後側を構成する後壁部とに跨るようフィルタを備え、」「前記フィルタは、前記接続部を覆うよう配され、前記タンク本体の前記前後方向の中央よりも後側に存在する」のに対し、
先願発明は、タンク62内にフィルタを備えるか明らかでない点。
(2)判断
ア 相違点1について
本件明細書の段落0013及び図17で説明されるように、「下流側水路形成部555」も、給水路(下給水路602)を形成する構成であることが示されていることに鑑みると、本件発明1の「下流側水路形成部」は、液剤自動投入ユニットの部材である他、給水路形成体の給水路であることも含意されている。
そして、本件発明1の給水路に含まれる「下方に向かって流れる水路」という事項と、液剤自動投入ユニットが有する「下流側水路形成部」という事項について、両事項は同一流路(同一部分)であっても成立するものであり、必ずしも別に構成された流路(部分)であることを特定したものでもない。また、一つの流路(部分)に関し、機能別に異なる呼称を用いたとしても、構成として相違するものではない。
したがって、上記相違点1は、実質的な相違点ではない。
また、本件発明1の「下方に向かって流れる水路」と「下流側水路形成部」とが、別部材を意図したものであったとしても、機能として分かれたものを別部材として分割して構成することは、当業者が適宜なし得た事項にすぎないものであって、先願発明において、液剤吐出流路64を2つの機能に分割し別部材として構成することは、当業者が適宜なし得た設計事項にすぎず、本件発明1の上記相違点1に係る構成は、課題解決のための具体化手段における微差に過ぎない。
イ 相違点2について
甲2~甲4には、洗濯機の液剤タンク内に異物侵入防止のためにフィルタを備えるように構成することが示されている(例えば、上記1(2)~(4)を参照)ところ、甲2~甲3には、液剤タンク内でのフィルタの具体的配置を特定した、本件発明1の上記相違点2に係る「前記液剤タンク内には、前記液剤タンクの底側を構成する底壁部と、前記液剤タンクの前後方向の後側を構成する後壁部とに跨るようフィルタを備え、」「前記フィルタは、前記接続部を覆うよう配され、前記タンク本体の前記前後方向の中央よりも後側に存在する」という構成については何ら開示されていない。
また、甲4には、液剤タンク内に、液剤タンクの底側を構成する底壁部と、液剤タンクの前後方向の後側を構成する後壁部とに跨るようフィルタ155を備え、フィルタ155は、液剤タンク側接続部150を覆うよう配される構成は示されている(例えば、甲4の段落0037~0040(上記1(4)ア(ウ))及び図9を参照)ものの、フィルタをタンク本体の前後方向の中央よりも後側に存在するように設けることについては、示されていない。また、開口部とフィルタとの関係について、甲4には、後側にある液剤投入口171がフィルタ155の直上に配置された構造が示されており、フィルタを開口部よりも後側に配置することは示されていない。
そうすると、甲2~甲4に開示される技術を勘案しても、本件発明1の上記相違点2に係る構成は周知技術であるとはいえない。
そして、開口部を前側に配置することを前提とし、本件発明1の上記相違点2に係る構成とすることで、液剤タンクの蓋体の前側にある開口部から液剤が投入された際に、フィルタの直上から液剤が投入されることを避けることができ、そのため、投入された液剤がフィルタの上面で固化する等、フィルタの上面に対する不都合を防止できるといった効果も奏するものである。
そうすると、先願発明において、タンク62内にフィルタを設け、本件発明1の上記相違点2に係る構成とすることは、単なる周知技術の付加とはいえず、また、該構成によって新たな効果を奏するものでもあるから、課題解決のための具体化手段における微差とはいえず、上記相違点2は、実質的な相違点である。
ウ 以上によれば、上記相違点2は実質的な相違点であるから、本件発明1は、先願発明と同一でなく、実質同一でもない。
3 本件発明5、6について
本件発明1を直接又は間接的に引用する本件発明5、6は、本件発明1を特定するための事項を全て含み、本件発明1をさらに減縮したものである。
したがって、その余の事項を検討するまでもなく、上記本件発明1についての判断と同様の理由により、本件発明5、6は、先願発明と同一でなく、実質同一でもない。
第6 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知(決定の予告)に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件の請求項1、5~6に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件の請求項1、5~6に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
審決本文(J-PlatPat)
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2023-701337