特許異議申立
2024-700053
光学コリメータ
- 審判番号
- 2024-700053
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2021-502430
- 登録番号
- 7315650
- 請求日
- 2024年01月24日
- 審決日
- 2025年12月22日
- 公報発行日
- 2026年04月24日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】レッドレンザー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト
- 【権利者代理人】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
- 【権利者代理人】森田 拓
- 【権利者代理人】前川 純一
- 【権利者代理人】永島 秀郎
- 【権利者代理人】二宮 浩康
- 【権利者代理人】上島 類
- 【権利者代理人】田中 拓人
- 【異議申立人】六條 直樹
- 審判長/審判官
- 審判長 草野 顕子
- 審判官 藤崎 詔夫
- 審判官 高橋 学
- 分類
- P1651.113-YAA(F21V) / P1651.121-YAA(F21V) / P1651.536-YAA(F21V) / P1651.537-YAA(F21V)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法120条の8第1項特許法135条
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第29条第1項、特許法第36条第6項第2号、特許法第120条の5第2項、特許法第36条第4項第1号、特許法第29条第1項第3号、特許法第29条の2、特許法第120条の5第4項、特許法第120条の5第7項、特許法第120条の8第1項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7315650号発明「光学コリメータ」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7315650号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~11〕について訂正することを認める。
特許第7315650号の請求項1、4~10に係る特許を維持する。
特許第7315650号の請求項2、3、11に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7315650号(以下「本件特許」という。)の請求項1~11に係る特許についての出願は、2019年(令和元年)6月18日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2018年8月1日、ドイツ(DE))を国際出願日とする出願であって、令和5年7月18日にその特許権の設定登録がされ、同年7月26日に特許掲載公報が発行された。
本件特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。
令和6年1月24日 :特許異議申立人六條直樹(以下「申立人」という。)による請求項1~11に係る特許に対する特許異議の申立て
同年 4月15日付け:取消理由通知書
同年 7月 3日 :特許権者による意見書及び訂正請求書の提出
同年 8月19日付け:訂正拒絶理由通知書
同年10月10日 :申立人による意見書の提出
同年11月25日付け:取消理由通知書(決定の予告)
令和7年 2月20日 :特許権者による意見書及び訂正請求書の提出
同年 4月 3日 :申立人による意見書の提出
同年 5月27日付け:取消理由通知書(決定の予告)
同年 8月22日 :特許権者による意見書及び訂正請求書の提出
同年10月 1日 :申立人による意見書の提出
第2 訂正の適否
1 訂正の内容
令和7年8月22日提出の訂正請求書による訂正(以下、「本件訂正」という。)の内容は、以下のとおりである。なお、下線は訂正箇所を示す。
なお、令和6年7月3日提出の訂正請求及び令和7年2月20日提出の訂正請求は、特許法第120条の5第7項の規定により取り下げられたものとみなす。
(1)訂正事項1
ア 特許請求の範囲の請求項1を、
「光学密度の変化を有する光境界面をそれぞれ形成する光入射面(3、6)および/または光出射面(4、8)および/または反射面(7)として構成されている複数の光学面を用いて、光を集束するコリメータであって、
前記コリメータは、
後方の光入射面(3)および前方の光出射面(4)を有する集光レンズ(2)と、
光入射面(6)、前記反射面(7)としてのTIR反射器面、および光出射面(8)を有する反射器部分(5)と
を、備えたTIRコリメータ(1)として構成されており、
前記反射器部分(5)は、前記TIRコリメータ(1)が、前記集光レンズ(2)の前記光入射面(3)と、前記反射器部分(5)の前記光入射面(6)とによって画定されている後方の空所(9)を有する、ように中央の前記集光レンズ(2)を取り囲んでおり、
前記集光レンズ(2)の前記光入射面(3)に、複数の凹形マイクロレンズ(11)のみが構成されており、
前記コリメータは、可変の光学的設計を有する前記複数の凹型マイクロレンズ(11)の配置を有し、そのために前記複数の凹型マイクロレンズ(11)が種々異なる曲率半径および異なる平均直径を有する、
コリメータ。」
に訂正する(請求項1の記載を直接的又は間接的に引用する請求項2~11も同様に訂正する。)。(以下「訂正事項1-1」という。)
また、訂正事項1-1にともない、次のとおり、訂正する。
イ 特許請求の範囲の請求項5の「凹形マイクロレンズ(11)」との記載を「前記複数の凹形マイクロレンズ(11)」に訂正する(以下「訂正事項1-2」という。)。
ウ 特許請求の範囲の請求項6の「前記集光レンズ(2)の前記光入射面(3)に凹形マイクロレンズ(11)が、かつ前記TIR反射器面(7)に凸形マイクロレンズ(12)が形成されている、」との記載を「前記TIR反射器面に凸形マイクロレンズ(12)が形成されている、」に訂正する(以下「訂正事項1-3」という。)。
エ 特許請求の範囲の請求項7の「前記凹形マイクロレンズ(11)」との記載を「前記複数の凹形マイクロレンズ(11)」に訂正する(以下「訂正事項1-4」という。)。
オ 特許請求の範囲の請求項8の「前記凹形マイクロレンズ(11)」および「球面状のマイクロレンズ(11)」との記載を「前記複数の凹形マイクロレンズ(11)」および「球面状の前記複数の凹形マイクロレンズ(11)」に訂正する(以下「訂正事項1-5」という。)。
カ 特許請求の範囲の請求項9の「前記凹形マイクロレンズ(11)」との記載を「前記複数の凹形マイクロレンズ(11)」に訂正する(以下「訂正事項1-6」という。)。
キ 特許請求の範囲の請求項10の「前記コリメータの前記光入射面および/または前記反射面において前記凹形マイクロレンズ(11)が」との記載を「前記コリメータの前記光入射面において前記複数の凹形マイクロレンズ(11)が」に訂正する(以下「訂正事項1-7」という。)。
(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項2、3、及び11を削除する。
(3)訂正事項3
特許請求項範囲において、削除された訂正前の請求項2および3を引用していた訂正前の請求項4~10について、請求項2および3の引用を取り除き、以下のように訂正する。
ア 請求項4の「請求項2または3記載のコリメータ。」を「請求項1記載のコリメータ。」に訂正する(以下「訂正事項3-1」という。)。
イ 請求項5の「請求項3または4記載のコリメータ。」を「請求項1または4記載のコリメータ。」に訂正する(以下「訂正事項3-2」という。)。
ウ 請求項7の「請求項1から6までのいずれか1項記載のコリメータ。」を「請求項1および4から6までのいずれか1項記載のコリメータ。」に訂正する(以下「訂正事項3-3」という。)。
エ 請求項8の「請求項1から7までのいずれか1項記載のコリメータ。」を「請求項1および4から7までのいずれか1項記載のコリメータ。」に訂正する(以下「訂正事項3-4」という。)。
オ 請求項9の「請求項1から8までのいずれか1項記載のコリメータ。」を「請求項1および4から8までのいずれか1項記載のコリメータ。」に訂正する(以下「訂正事項3-5」という。)。
カ 請求項10の「請求項1から9までのいずれか1項記載のコリメータ。」を「請求項1および4から9までのいずれか1項記載のコリメータ。」に訂正する(以下「訂正事項3-6」という。)。
2 訂正の目的の適否、新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否
(1)訂正事項1について
ア 訂正の目的
訂正事項1のうち、訂正事項1-1は、本件訂正前の請求項1における「コリメータ」が備える「集光レンズ」及び「反射器部分」の構成を具体的に特定するものである。
よって、訂正事項1-1は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
また、訂正事項1-2、1-4~1-6における本件訂正前の請求項5、7~9の「前記凹形マイクロレンズ」との記載を「前記複数の凹形マイクロレンズ」とする訂正、及び訂正事項1-5における本件訂正前の請求項8の「球面状のマイクロレンズ」との記載を「球面状の前記複数の凹形マイクロレンズ」とする訂正は、訂正事項1-1によって訂正された請求項1の「複数の凹形マイクロレンズ」との記載との整合を図るものである。
よって、訂正事項1-2、1-4~1-6は、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
そして、訂正事項1-3は、本件訂正前の請求項6の記載から「前記集光レンズ(2)の前記光入射面(3)に凹形マイクロレンズ(11)が、かつ」との記載を削除することによって、訂正事項1-1によって訂正された請求項1の「前記集光レンズ(2)の前記光入射面(3)に、複数の凹形マイクロレンズ(11)」「が構成され」るとの記載との整合を図るものである。
よって、訂正事項1-3は、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
また、訂正事項1-7における本件訂正前の請求項10の記載から「および/または前記反射面」との記載を削除する訂正は、これによって、訂正事項1-1によって訂正された請求項1の「前記集光レンズ(2)の前記光入射面(3)に、複数の凹形マイクロレンズ(11)」「が構成され」るとの記載との整合を図るものである。
そして、訂正事項1-7における本件訂正前の請求項10の「前記凹形マイクロレンズ(11)」との記載を「前記複数の凹形マイクロレンズ」とする訂正は、訂正事項1-1によって訂正された請求項1の「複数の凹形マイクロレンズ」との記載との整合を図るものである。
よって、訂正事項1-7は、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
以上から、訂正事項1は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮、及び同項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
イ 新規事項の有無
訂正事項1は、本件訂正前の請求項2、3、11の記載並びに願書に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「明細書等」という。)の段落【0008】~【0010】、【0012】、【0013】、【0016】、【0026】、【図2a】、及び【図4b】の記載に基づくものである。
したがって、訂正事項1は、明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではなく、明細書等に記載された事項の範囲内においてするものである。
ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項1は、特許請求の範囲の減縮及び明瞭でない記載の釈明を目的とするものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではない。
(2)訂正事項2について
ア 訂正の目的
訂正事項2は、本件訂正前の請求項2、3、及び11を削除するというものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 新規事項の有無
訂正事項2は、本件訂正前の請求項2、3、及び11を削除するというものであるから、明細書等に記載された事項の範囲内においてするものである。
ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項2は、特許請求の範囲の減縮を行うものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではない。
(3)訂正事項3について
ア 訂正の目的
訂正事項3のうち、訂正事項3-1は、訂正事項2で削除された請求項2、3の引用という明瞭でない記載の釈明を目的とするもの、又は本件補正前の請求項2を引用する請求項4を選択肢からなくす限定をするものなので、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
訂正事項3-2は、訂正事項2で削除された請求項3の引用という明瞭でない記載の釈明を目的とするもの、又は本件補正前の請求項2を引用する請求項4を引用する請求項5を選択肢からなくす限定をするものなので、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
訂正事項3-3~3-6は、訂正事項2で削除された請求項2、3の引用という明瞭でない記載の釈明を目的とするもの、又は引用先の請求項の選択肢を限定するものなので、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
以上から、訂正事項3は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮、及び同項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
イ 新規事項の有無
訂正事項3は、訂正事項2で削除された請求項2、3を引用先の請求項の記載から削除するものであるので、明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではなく、明細書等に記載された事項の範囲内においてするものである。
ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項3は、明瞭でない記載の釈明、及び特許請求の範囲の減縮を目的とするのであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
3 一群の請求項
本件訂正前の請求項1~11について、請求項2~11は請求項1を引用しているものであって、訂正事項1によって訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。
したがって、本件訂正前の請求項1~11に対応する訂正後の請求項1~11は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。
4 小括
上記のとおり、訂正事項1~3に係る本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。さらに、訂正事項1に係る本件訂正は、特許法第120条の5第4項の規定に適合する。
したがって、特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~11〕について訂正することを認める。
第3 本件訂正後の発明
前記「第2」で説示したように本件訂正は認められるから、本件訂正後の請求項1~11に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1」などという。)は、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1~11に記載された事項により特定される以下のとおりのものである。
「【請求項1】
光学密度の変化を有する光境界面をそれぞれ形成する光入射面(3、6)および/または光出射面(4、8)および/または反射面(7)として構成されている複数の光学面を用いて、光を集束するコリメータであって、
前記コリメータは、
後方の光入射面(3)および前方の光出射面(4)を有する集光レンズ(2)と、
光入射面(6)、前記反射面(7)としてのTIR反射器面、および光出射面(8)を有する反射器部分(5)と
を、備えたTIRコリメータ(1)として構成されており、
前記反射器部分(5)は、前記TIRコリメータ(1)が、前記集光レンズ(2)の前記光入射面(3)と、前記反射器部分(5)の前記光入射面(6)とによって画定されている後方の空所(9)を有する、ように中央の前記集光レンズ(2)を取り囲んでおり、
前記集光レンズ(2)の前記光入射面(3)に、複数の凹形マイクロレンズ(11)のみが構成されており、
前記コリメータは、可変の光学的設計を有する前記複数の凹型マイクロレンズ(11)の配置を有し、そのために前記複数の凹型マイクロレンズ(11)が種々異なる曲率半径および異なる平均直径を有する、
コリメータ。
【請求項2】
(削除)
【請求項3】
(削除)
【請求項4】
前記集光レンズ(2)の前記光出射面(4)および/または前記反射器部分(5)の前記光出射面(8)に、さらなる凹形マイクロレンズが形成されていることを特徴とする、請求項1記載のコリメータ。
【請求項5】
前記複数の凹形マイクロレンズ(11)のない少なくとも1つの光学面に凸形マイクロレンズ(12)が形成されている、請求項1または4記載のコリメータ。
【請求項6】
前記TIR反射器面に凸形マイクロレンズ(12)が形成されている、請求項5記載のコリメータ。
【請求項7】
前記複数の凹形マイクロレンズ(11)は、実質的に円形に構成されているか、または多角形の境界を有し、かつ好適には0.4mm~3mmの平均直径Dを有する、請求項1および4から6までのいずれか1項記載のコリメータ。
【請求項8】
前記複数の凹形マイクロレンズ(11)は、球面状または非球面状に構成されており、球面状の前記複数の凹形マイクロレンズ(11)は、好適には0.3mm~100mmの曲率半径Rを有する、請求項1および4から7までのいずれか1項記載のコリメータ。
【請求項9】
前記複数の凹形マイクロレンズ(11)は、0.05mm~1mmの深さTを有する、請求項1および4から8までのいずれか1項記載のコリメータ。
【請求項10】
前記コリメータの前記光入射面において前記複数の凹形マイクロレンズ(11)が、均等または不均等に配置されている、請求項1および4から9までのいずれか1項記載のコリメータ。
【請求項11】
(削除)」
第4 取消理由通知書(決定の予告)で通知した取消理由について
当審において、令和7年5月27日付けの取消理由通知書(決定の予告)で特許権者に通知した取消理由通知(決定の予告)は、次の取消理由を含むものである。
(明確性要件)本件特許は、特許請求の範囲の記載が以下の点で不備のため、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。
記
請求項1及び4~11
令和7年2月20日提出の訂正請求書による訂正後の特許請求の範囲において、以下の点が明確でない。
請求項1に記載された、「凹形マイクロレンズ」と「マイクロレンズ」の異同が不明である。
また、請求項4に記載された「さらなる凹形マイクロレンズ」、請求項5に記載された「凹形マイクロレンズ」及び「凸形マイクロレンズ」、請求項6に記載された「凸形マイクロレンズ」、並びに請求項7~10に記載された「前記凹形マイクロレンズ」のそれぞれと、請求項1の「マイクロレンズ」の、異同が不明である。
そして、請求項11の記載における「非球面状のマイクロレンズ」と請求項1の「凹形マイクロレンズ」及び「マイクロレンズ」の異同が不明であり、また、請求項11の記載における「非球面状のマイクロレンズ」と、請求項4に記載された「さらなる凹形マイクロレンズ」、請求項5に記載された「凹形マイクロレンズ」及び「凸形マイクロレンズ」、請求項6に記載された「凸形マイクロレンズ」、並びに請求項7~10に記載された「前記凹形マイクロレンズ」のそれぞれの異同が不明である。
第5 当審の判断
1 明確性要件
請求項1において、「複数の凹形マイクロレンズ」が「前記光入射面(3)」に「構成され」、この「前記光入射面(3)」に「構成され」た「複数の凹形マイクロレンズ」が「可変の光学的設計を有」し、「そのために」「種々異なる曲率半径及び異なる平均直径を有する」ことは明確である。
そして、請求項4~10の関係において、請求項4における「凹形マイクロレンズ」と請求項1の「複数の凹形マイクロレンズ(11)」が異なるものであり、請求項5及び7~10における「前記複数の凹形マイクロレンズ(11)」並びに請求項8における「球面状の前記複数の凹形マイクロレンズ(11)」と請求項1の「複数の凹形マイクロレンズ(11)」が同じものであることが明確である。
また、本件訂正によって、請求項11は削除されている。
2 小括
以上のとおり、本件発明1及び4~10は明確であるから、本件特許の特許請求の範囲は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしている。
したがって、取消理由(明確性要件)によって、本件特許の請求項1及び4~10に係る特許を取り消すことはできない。
第6 取消理由(決定の予告)において採用しなかった異議申立理由について
申立人は、特許異議申立書において、次の甲号証を提出し、以下の特許異議申立理由(以下「申立理由」という。)を主張している。
1 甲号証一覧
甲第1号証 :米国特許第8231250号明細書
甲第2号証 :米国特許出願公開第2004/0095550号明細書
甲第3号証 :米国特許出願公開第2013/0058103号明細書
甲第4号証 :特許第4635741号公報
甲第5号証 :特表2016-534513号公報
甲第6号証 :米国特許出願公開第2012/0033441号明細書
甲第7号証 :特開2012-173522号公報
甲第8号証 :特許第6198748号公報
甲第9号証 :特開2011-95660号公報
甲第10号証:米国特許第7708446号明細書
甲第11号証:国際公開第2014/104106号
甲第12号証:米国特許出願公開第2017/0123218号明細書
甲第13号証:特願2017-106827号(特開2018-205349号公報)
以下、「甲第○号証」を「甲○」、「甲第○号証」に記載された発明を「甲○発明」という。
2 申立理由の概要
(1)請求項1~11に係る発明に関する明確性要件[特許法第36条第6項第2号(同法第113条第4号)]
(2)請求項7、9、及び10に係る発明に関する実施可能要件[特許法第36条第4項第1号(同法第113条第4号)]
(3)請求項1に係る特許の新規性について(甲1を主たる証拠とした場合。)[特許法第29条第1項第3号(同法第113条第2号)]。
(4)請求項1~11に係る特許の進歩性について(甲1を主たる証拠とした場合。)[特許法第29条第2項(同法第113条第2号)]。
(5)請求項1に係る特許の新規性について(甲2を主たる証拠とした場合。)[特許法第29条第1項第3号(同法第113条第2号)]。
(6)請求項1及び7~11に係る特許の進歩性について(甲2を主たる証拠とした場合。)[特許法第29条第2項(同法第113条第2号)]。
(7)請求項1~11に係る特許の進歩性について(甲3を主たる証拠とした場合。)[特許法第29条第2項(同法第113条第2号)]。
(8)請求項1~11に係る特許の進歩性について(甲4を主たる証拠とした場合。)[特許法第29条第2項(同法第113条第2号)]。
(9)請求項1~3及び10に係る特許の拡大先願(甲13を主たる証拠とした場合)[特許法第29条の2(同法第113条第2号)]。
3 申立理由の検討
(1)申立理由(1)について
ア 申立理由(1)の概要
本件特許は、特許請求の範囲の記載が以下の(ア)~(カ)の点で不備のため、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであり、同法第113条第4号に該当し、取り消されるべきものである。
(ア)請求項1の「光入射面(3、6)および/または光出射面(4、8)および/または反射面(7)として構成されている複数の光学面」との記載が明確でない。
(イ)請求項6は、請求項3を引用するものであるが、請求項6と請求項3の記載には、矛盾があり、請求項6の記載は明確でない。
(ウ)請求項10は、請求項6を引用するものであるが、請求項10と請求項6の記載には、矛盾があり、請求項10の記載は明確でない。
(エ)請求項7は、平均直径を得るための直径の測定位置及び測定のサンプル数が明確でない。
(オ)請求項9は、深さの測定位置をどのようにするかを定義しておらず、明確でない。
(カ)請求項10は、均等と不均等の区分の基準が定義されておらず、明確でない。
イ 申立理由(1)の検討
(ア)請求項1には、「前記コリメータは、後方の光入射面(3)および前方の光出射面(4)を有する集光レンズ(2)と、光入射面(6)、前記反射面(7)としてのTIR反射器面、および光出射面(8)を有する反射器部分(5)とを、備えたTIRコリメータ(1)として構成されており」との記載があり、当該記載から、「コリメータ」が「光入射面(3、6)」、「光出射面(4、8)」、及び「反射面(7)」からなる「複数の光学面」を有することが明確である。
したがって、請求項1の記載は明確であり、この点について、本件発明1及び本件発明1を引用する本件発明4~10は、明確である。
(イ)請求項6は、請求項1及び4を間接的に引用するものであるところ、請求項6の記載から、「コリメータ」が「有する」「反射面(7)としてのTIR反射器面」に対して「凸形マイクロレンズ(12)が形成されている」ことが明確に把握でき、請求項1の記載から、「集光レンズ(2)」の「光入射面(3)」に「複数の凹型マイクロレンズ(11)」「が構成され」ることが明確に把握できるので、請求項1及び4と請求項6の間に矛盾は認められない。
したがって、請求項6の記載は明確であり、この点について、本件発明6及び本件発明6を引用する本件発明7~10は、明確である。
(ウ)請求項10は、請求項6を直接的又は間接的に引用するものであるところ、請求項6の記載からは、「コリメータ」が「有する」「反射面(7)としてのTIR反射器面」に対して「凸形マイクロレンズ(12)が形成されている」ことが明確に把握でき、請求項10の記載からは、「コリメータの光入射面において前記複数の凹形マイクロレンズ(11)が、」「配置されている」ことが、明確に把握できるので、請求項6と請求項10の間に矛盾は認められない。
したがって、請求項10の記載は明確であり、本件発明10は、明確である。
(エ)請求項7の記載において、多角形の直径の測定をどのように測定したとしても(例えば、内接円又は外接円を用いた測定など。)、その結果得られる平均直径の範囲が請求項7に記載された「平均直径D」の範囲であることが明確に把握できる。
したがって、請求項7の記載は明確であり、この点について、本件発明7及び本件発明7を引用する本件発明8~10は、明確である。
(オ)一般に、凹部の深さは、凹部の最深部の深さを意味することは明らかであり、そうすると、請求項9の記載は明確である。
したがって、請求項9の記載は明確であり、この点について、本件発明9及び本件発明9を引用する本件発明10は、明確である。
(カ)均等と不均等の区分の基準が明確でないとしても、請求項10には、「複数の凹形マイクロレンズ(11)が、均等」「に配置されている」こと、及び「複数の凹形マイクロレンズ(11)が、」「不均等に配置されている」ことの双方が含まれることは明らかなので、請求項10の記載は明確である。
したがって、本件発明10は、明確である。
ウ 小括
以上から、本件特許の特許請求の範囲の記載は、明確であり、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしている。
したがって、申立理由(1)によって、本件特許の請求項1及び4~10に係る特許を取り消すことはできない。
(2)申立理由(2)について
ア 申立理由(2)の概要
本件特許は、明細書の記載が以下の(ア)~(ウ)の点で不備のため、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。
(ア)発明の詳細な説明には、平均直径を算出するための、直径の測定位置、及び直径のサンプル数をどのようにするかについて説明していない。
したがって、本件特許の発明の詳細な説明は、本件発明7について当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものではない。
(イ)発明の詳細な説明には、凹形マイクロレンズの深さの測定に関し、その測定位置をどのようにするかについて説明していない。
したがって、本件特許の発明の詳細な説明は、本件発明9について当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものではない。
(ウ)発明の詳細な説明には、凹形マイクロレンズの均等又は不均等の配列に関し、どのように均等と不均等を区分するのかを特定していない。
したがって、本件特許の発明の詳細な説明は、本件発明10について当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものではない。
イ 申立理由(2)の検討
(ア)凹形マイクロレンズの平均直径を求めるに際して、凹形マイクロレンズが実質的に円形であれば、その直径の測定は可能であり、また、凹形マイクロレンズが多角形であれば、その内接円や外接円などを利用した直径の測定は、周知技術であると認められる。
そして、本件特許の明細書の段落【0017】には、コリメータは射出成形法で作成され、マイクロレンズの作成には、対応する凸形構造体を用いることが記載されているところ、当該凸形構造体の凸部の外径の計測によっても、凹形マイクロレンズの平均直径が得られるものと認められる。
また、平均直径を得るためのサンプル数は、平均直径に求める精度に応じて当業者が任意に決定し得る事項であることも技術常識であると認められる。
そうすると、本件特許の発明の詳細な説明において、直径の測定位置、及び直径のサンプル数について具体的な特定がないとしても、前述のような本件特許の明細書の記載や技術常識を踏まえれば、当業者は、本件発明7における「平均直径D」を有する「凹形マイクロレンズ」を備えた「コリメータ」を作ることができるものと認められる。
(イ)一般に、凹部の深さは、凹部の最深部の深さを意味することは明らかである。そして、本件特許の明細書の段落【0017】には、コリメータは射出成形法で作成され、マイクロレンズの作成には、対応する凸形構造体を用いることが記載されているところ、当該凸形構造体の凸部の長さを調整することで、所望の凹部の深さが得られることは明らかである。
そうすると、本件特許の発明の詳細な説明において、深さの測定位置について具体的な特定がないとしても、当業者は、本件発明9における「深さT」を有する「凹形マイクロレンズ」を備えた「コリメータ」を作ることができるものと認められる。
(ウ)均等と不均等の区分の基準が明確でないとしても、本件発明10には、「複数の凹形マイクロレンズ(11)が、均等」「に配置されている」もの、及び「複数の凹形マイクロレンズ(11)が、」「不均等に配置されている」ものの双方が含まれることは明らかであると認められる。
そして、本件特許の明細書の段落【0017】には、コリメータは射出成形法で作成され、マイクロレンズの作成には、対応する凸形構造体を用いることが記載されているところ、当該凸形構造体における凸形の分布を均一な分布とするか、粗密な分布とするかによって、「凹形マイクロレンズ」の「均等」又は「不均等」の配置構造が得られることは明らかである。
そうすると、本件特許の発明の詳細な説明において、均等と不均等の区分の基準の特定がないとしても、当業者は、本件発明10における「凹形マイクロレンズ」の「均等」又は「不均等」の配置を有する「コリメータ」を作ることができるものと認められる。
ウ 小括
以上から、本件特許の発明の詳細な説明の記載は、本件発明7、9、及び10を当業者が実施をできる程度に明確かつ十分に記載したものであり、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしている。
したがって、申立理由(2)によって、本件特許の請求項7、9、及び10に係る特許を取り消すことはできない。
(3)申立理由(3)及び(4)について
ア 申立理由(3)の概要
本件発明1は、甲1発明であり、特許法第29条第1項3号に該当するので、請求項1に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
イ 申立理由(4)の概要
本件発明1~11は、甲1発明、甲5、7、及び9に記載された事項、第1の周知技術(甲6、7、10)、並びに第2の周知技術(甲3、8)に基いて、当業者が容易に発明することができたものであるから、請求項1~11に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
ウ 申立理由(3)及び(4)の検討
(ア)甲1の認定事項
甲1の第4欄12行~第8欄10行、及びFIG.5~8の記載から、甲1について、以下のことが認められる。
a 光コリメーション装置は、内側コリメーションレンズ54及びTIRリフレクタ55を備える。
b 内側コリメーションレンズ54は、光エミッタ57を封止する一次光抽出レンズ53の周囲にあり、TIRリフレクタ55は、内側コリメーションレンズ54の周囲にある。
c TIRリフレクタ55は、マイクロ小型レンズ56がある上面を有する。
d 内側コリメーションレンズ54は、第1のマイクロ小型レンズアレイ58を含む上面と、一次光抽出レンズ53の周囲を囲み、内側コリメーションレンズ54を出る前に光を分散させるための、鋭いピラミッド形状のレンズである単層マイクロリッジ72を含む壁を有する。
e 内側コリメーションレンズ54及びTIRリフレクタ55は、位相を分散又は再分配してコリメーションを提供するマイクロリッジ59を組み込む。
(イ)甲1発明
前記(ア)から、甲1には、以下の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。
「内側コリメーションレンズ54及びTIRリフレクタ55を備える光コリメーション装置であって(前記(ア)a)、
前記内側コリメーションレンズ54は、光エミッタ57を封止する一次光抽出レンズ53の周囲にあり、前記TIRリフレクタ55は、前記内側コリメーションレンズ54の周囲にあり(前記(ア)b)、
前記TIRリフレクタ55は、マイクロ小型レンズ56がある上面を有し(前記(ア)c)、
前記内側コリメーションレンズ54は、第1のマイクロ小型レンズアレイ58を含む上面と、前記一次光抽出レンズ53の周囲を囲み、内側コリメーションレンズ54を出る前に光を分散させるための、鋭いピラミッド形状のレンズである単層マイクロリッジ72を含む壁を有し(前記(ア)d)、
前記内側コリメーションレンズ54及び前記TIRリフレクタ55は、位相を分散又は再分配してコリメーションを提供するマイクロリッジ59を組み込む(前記(ア)e)、
光コリメーション装置。」
(ウ)本件発明1について(申立理由(3)及び(4))
a 本件発明1と甲1発明の対比
本件発明1と甲1発明を対比する。
(a)後者の「前記内側コリメーションレンズ54」が「有」する「前記一次光抽出レンズ53の周囲を囲」む「壁」は、前者の「光入射面(3)」に相当し、後者の「前記内側コリメーションレンズ54」が「有」する「第1のマイクロ小型レンズアレイ58を含む上面」は前者の「光出射面(4)」に相当する。
また、後者の「TIRリフレクタ55」が「有」する「マイクロ小型レンズ56がある上面」は、前者の「光出射面(8)」に相当する。
そして、「前記内側コリメーションレンズ54の周囲にあ」る「前記TIRリフレクタ55」は、「前記内側コリメーションレンズ54」から出射した光が入射する入射面及び入射した光を反射する反射面を有することは明らかである。
また、後者の「コリメーション装置」は、光源からの光を平行光線束とするものなので、光源からの光を平行光線となるように集束するものであるといえる。
そうすると、後者の「内側コリメーションレンズ54及びTIRリフレクタ55を備える光コリメーション装置」は、前者の「光学密度の変化を有する光境界面をそれぞれ形成する光入射面(3、6)および/または光出射面(4、8)および/または反射面(7)として構成されている複数の光学面を用いて、光を集束するコリメータ」に相当する。
(b)後者の「光エミッタ57を封止する一次光抽出レンズ53の周囲にあり、」「第1のマイクロ小型レンズアレイ58を含む上面と、前記一次光抽出レンズ53の周囲を囲」む「壁を有し、」「位相を分散又は再分配してコリメーションを提供するマイクロリッジ59を組み込む」「前記内側コリメーションレンズ54」は、「上面」と「一次光抽出レンズ53」が互いに「前記内側コリメーションレンズ54」の反対側に位置するので、前記(a)も踏まえると、前者の「後方の光入射面(3)および前方の光出射面(4)を有する集光レンズ(2)」とは、「後方の光入射面(3)および前方の光出射面(4)を有するレンズ」との点で共通する。
(c)前記(a)から、「一次光抽出レンズ53の周囲にあ」る「前記内側コリメーションレンズ54の周囲にあ」る「前記TIRリフレクタ55」は、光入射面、TIR反射器面、及び光出射面を有した反射器であるといえるので、前者の「光入射面(6)、前記反射面(7)としてのTIR反射器面、および光出射面(8)を有する反射器部分(5)」に相当する。
(d)前記(b)及び(c)から、後者の「内側コリメーションレンズ54及びTIRリフレクタ55を備える光コリメーション装置」と、前者の「集光レンズ(2)と、」「反射器部分(5)とを、備えたTIRコリメータ(1)」は、「レンズと、」「反射器部分(5)とを、備えたTIRコリメータ」との点で共通する。
(e)後者の「前記内側コリメーションレンズ54は、光エミッタ57を封止する一次光抽出レンズ53の周囲にあり、前記TIRリフレクタ55は、前記内側コリメーションレンズ54の周囲にあり、前記内側コリメーションレンズ54は、」「前記一次光抽出レンズ53の周囲を囲」む「壁を有」することにおいて、「内側コリメーションレンズ54」の「前記一次光抽出レンズ53の周囲を囲」む「壁」で「一次光抽出レンズ53」が位置する空所を形成していることは明らかである。
そうすると、前記(a)及び(b)も踏まえると、後者の「前記内側コリメーションレンズ54は、光エミッタ57を封止する一次光抽出レンズ53の周囲にあり、前記TIRリフレクタ55は、前記内側コリメーションレンズ54の周囲にあり、前記内側コリメーションレンズ54は、」「前記一次光抽出レンズ53の周囲を囲」む「壁を有」することと、前者の「前記反射器部分(5)は、前記TIRコリメータ(1)が、前記集光レンズ(2)の前記光入射面(3)と、前記反射器部分(5)の前記光入射面(6)とによって画定されている後方の空所(9)を有する、ように中央の前記集光レンズ(2)を取り囲んで」いることとは、「前記反射器部分は、後方の空所を画定する入射面(3)を有する中央のレンズを取り囲んで」いることで共通する。
(f)後者の「前記内側コリメーションレンズ54は、一次光抽出レンズ53の周囲を囲み、内側コリメーションレンズ54を出る前に光を分散させるための、鋭いピラミッド形状のレンズである単層マイクロリッジ72を含む壁を有」することと、前者の「前記集光レンズ(2)の前記光入射面(3)に、複数の凹形マイクロレンズ(11)のみが構成されて」いることは、「前記レンズの前記光入射面に、複数のマイクロレンズが構成されて」いることで共通する。
そうすると、本件発明1と甲1発明は、
「光学密度の変化を有する光境界面をそれぞれ形成する光入射面(3、6)および/または光出射面(4、8)および/または反射面(7)として構成されている複数の光学面を用いて、光を集束するコリメータであって、
前記コリメータは、
後方の光入射面(3)および前方の光出射面(4)を有するレンズ(2)と、
光入射面(6)、前記反射面(7)としてのTIR反射器面、および光出射面(8)を有する反射器部分(5)と
を、備えたTIRコリメータとして構成されており、
前記反射器部分は、後方の空所を画定する入射面(3)を有する中央のレンズを取り囲んでおり、
前記レンズの前記光入射面に、複数のマイクロレンズが構成されている
コリメータ。」
との点で一致し、以下の点で相違する。
[相違点1-1]
レンズに関して、本件発明1は、後方の光入射面(3)および前方の光出射面(4)を有する「集光レンズ(2)」であるのに対して、甲1発明は、内側コリメーションレンズ54が「集光レンズ」であるのかが定かでない点。
[相違点1-2]
空所に関して、本件発明1は、「前記集光レンズ(2)」の前記光入射面(3)と、「前記反射器部分(5)の前記光入射面(6)と」によって画定される後方の空所であるのに対して、甲1発明は、「内側コリメーションレンズ54が一次光抽出レンズ53の周囲を囲み、」「TIRリフレクタ55は、内側コリメーションレンズ54の周囲にあ」るので、「内側コリメーションレンズ54」の入射面だけで「一次光抽出レンズ53」が位置する後方の空所が画定される点。
[相違点1-3]
マイクロレンズに関して、本件発明1は、「集光レンズ(2)」の光入射面(3)に、複数の「凹形」マイクロレンズ(11)「のみが構成されており、」「可変の光学的設計を有する前記複数の凹型マイクロレンズ(11)の配置を有し、そのために前記複数の凹型マイクロレンズ(11)が種々異なる曲率半径および異なる平均直径を有する」のに対して、甲1発明は、内側コリメーションレンズ54の一次光抽出レンズ53の周囲を囲む壁が「鋭いピラミッド形状のレンズである単層マイクロリッジ72を含む」点。
b 相違点についての検討
事案に鑑み、相違点1-2について検討する。
相違点1-2は、実質的な相違点であるので、本件発明1は、甲1発明ではない。
そして、甲5、甲7、及び甲9には、反射器と中央のレンズを有するレンズにおいて、反射器部分の入射面と中央のレンズの入射面とで光源が配置される空所を画定することが示され(例えば、甲5の図2、甲7の図4(a)、甲9の図4)、また、申立人が異議申立書で主張する第2の周知技術の根拠である甲3及び甲8には、TIRコリメータにおいて、反射器部分の入射面と中央の集光レンズの入射面とで光源が配置される空所を画定することが示されている(例えば、甲3のFIG.8、甲8の図3b)。
しかしながら、甲1には、一次光抽出レンズ53が位置する空所を内側コリメーションレンズ54の入射面とTIRリフレクタ55の入射面によって画定することについては、記載も示唆もない。
そして、甲1は、内側コリメーションレンズ54に組み込まれたマイクロリッジ59を通過した光を、TIRリフレクタ55に組み込まれたマイクロリッジ59によって、更に、位相の分散又は再分配を行い、その後に、TIRリフレクタ55の反射面で反射させて、光エミッタ57からの光をコリメートするものであるので、内側コリメーションレンズ54の入射面とTIRリフレクタ55の入射面によって、一次光抽出レンズ53が位置する空所を画定するように構成させることに、動機は認められない。
なお、申立人が異議申立書で主張する第1の周知技術の根拠である甲6及び甲10には、相違点1-2における空所に関連する記載は認められず、また、申立人が提出した他の証拠についても同様である。
そうすると、甲1発明において、甲3、甲5~甲10に記載された事項に基いて、相違点1-2に係る本件発明1の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得たことであるとは認められない。
したがって、相違点1-1及び1-3について検討するまでもなく、本件発明1は、甲1発明、並びに甲5、7、及び9に記載された事項、第1の周知技術(甲6、7、10)、及び第2の周知技術(甲3、8)に基いて、当業者が容易に発明することができたものではない。
(エ)本件発明4~10について(申立理由(4))
本件発明4~10は、本件発明1の構成を全て含み、さらに限定を付加したものである。
そうすると、前記(ウ)bと同様の理由により、本件発明4~10は、甲1発明、甲5、7、及び9に記載された事項、第1の周知技術(甲6、7、10)、並びに第2の周知技術(甲3、8)に基いて、当業者が容易に発明することができたものではない。
エ 小括
以上から、本件発明1は、甲1発明ではなく、特許法第29条第1項3号に該当せず、請求項1に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものではない。
したがって、申立理由(3)によって、本件特許の請求項1に係る特許を、取り消すことはできない。
また、本件発明1及び4~10は、甲1発明、甲5、7、及び9に記載された事項、第1の周知技術(甲6、7、10)、並びに第2の周知技術(甲3、8)に基いて、当業者が容易に発明することができたものではないから、請求項1及び4~10に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものではない。
したがって、申立理由(4)によって、本件特許の請求項1及び4~10に係る特許を、取り消すことはできない。
(4)申立理由(5)及び(6)について
ア 申立理由(5)の概要
本件発明1は、甲2発明であり、特許法第29条第1項3号に該当するので、請求項1に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
イ 申立理由(6)の概要
本件発明1及び7~11は、甲2発明、甲5、7、及び10~12に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明することができたものであるから、請求項1及び7~11に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
ウ 申立理由(5)及び(6)の検討
(ア)甲2発明
甲2の発明を実施するための形態(特に、段落[0022]、[0023]、図1、2参照。)から、甲2には、次の発明が記載されていると認められる(以下「甲2発明」という。)。なお、括弧内には、主な参照箇所を示した。以下同様。
「光入射面及び光出射面を用いて、光線を、あるビーム幅の平行光線のビームにコリメートする第2のマイクロレンズアレイ22であって、(段落[0022]、[0023]、図1、2)
光入射面に構成されている10~300ミクロンの直径を有する複数の凹レンズ221のみを有する、(段落[0022]、図1)第2のマイクロレンズアレイ22。」
(イ)本件発明1について(申立理由(5)及び(6))
a 本件発明1と甲2発明の対比
本件発明1と甲2発明を対比する。
(a)後者の「光入射面及び光出射面」は、光線をコリメートするレンズがその光境界面において光学密度の変化を有することは技術常識であることを踏まえれば、前者の「光学密度の変化を有する光境界面をそれぞれ形成する光入射面(3、6)および/または光出射面(4、8)および/または反射面(7)として構成されている複数の光学面」に相当する。
そして、後者の「光線を、あるビーム幅の平行光線のビームにコリメートする」構成は、前者の「光を集束する」構成に相当する。
そうすると、後者の「光入射面及び光出射面を用いて、光線を、あるビーム幅の平行光線のビームにコリメートする第2のマイクロレンズアレイ22」は、前者の「光学密度の変化を有する光境界面をそれぞれ形成する光入射面(3、6)および/または光出射面(4、8)および/または反射面(7)として構成されている複数の光学面を用いて、光を集束するコリメータ」に相当する。
(b)前記(a)から、後者の「第2のマイクロレンズアレイ22」が「光入射面に構成されている10~300ミクロンの直径を有する複数の凹レンズ221のみを有する」ことと、前者の「前記コリメータは、後方の光入射面(3)および前方の光出射面(4)を有する集光レンズ(2)と、光入射面(6)、前記反射面(7)としてのTIR反射器面、および光出射面(8)を有する反射器部分(5)とを、備えたTIRコリメータ(1)として構成されており、前記反射器部分(5)は、前記TIRコリメータ(1)が、前記集光レンズ(2)の前記光入射面(3)と、前記反射器部分(5)の前記光入射面(6)とによって画定されている後方の空所(9)を有する、ように中央の前記集光レンズ(2)を取り囲んでおり、前記集光レンズ(2)の前記光入射面(3)に、複数の凹形マイクロレンズ(11)のみが構成されて」いることは、「前記コリメータは、後方の光入射面を備え、前記光入射面に複数の凹形マイクロレンズ(11)のみが構成されて」いることで共通する。
そうすると、本件発明1と甲2発明とは、
「光学密度の変化を有する光境界面をそれぞれ形成する光入射面(3、6)および/または光出射面(4、8)および/または反射面(7)として構成されている複数の光学面を用いて、光を集束するコリメータであって、
前記コリメータは、後方の光入射面を備え、
前記光入射面に複数の凹形マイクロレンズ(11)のみが構成されている、
コリメータ。」
との点で一致し、以下の点で相違する。
[相違点2-1]
本件発明1は、コリメータが、後方の光入射面(3)「および前方の光出射面(4)を有する集光レンズ(2)と、光入射面(6)、前記反射面(7)としてのTIR反射器面、および光出射面(8)を有する反射器部分(5)とを、備えたTIRコリメータ(1)として構成されており、前記反射器部分(5)は、前記TIRコリメータ(1)が、前記集光レンズ(2)の前記光入射面(3)と、前記反射器部分(5)の前記光入射面(6)とによって画定されている後方の空所(9)を有する、ように中央の前記集光レンズ(2)を取り囲んでおり、前記集光レンズ(2)の」前記光入射面(3)に、複数の凹形マイクロレンズ(11)のみが構成されているのに対して、甲2発明は、第2のマイクロレンズアレイ22がかかる「TIRコリメータ」ではない点。
[相違点2-2]
本件発明1は、コリメータが、「可変の光学的設計を有する前記複数の凹型マイクロレンズ(11)の配置を有し、そのために前記複数の凹型マイクロレンズ(11)が種々異なる曲率半径および異なる平均直径を有する」のに対して、甲2発明は、複数の凹レンズ221の「配置」、「曲率半径」、及び「平均直径」について、かかる特定がされていない点。
b 相違点についての検討
相違点2-1は、実質的な相違点であるので、本件発明1は、甲2発明ではない。
また、甲2には、第2のマイクロレンズアレイ22を後方の光入射面および前方の光出射面を有する集光レンズと、光入射面、反射面としてのTIR反射器面、および光出射面を有する反射器部分とを、備えたTIRコリメータとして構成することについての記載も示唆もなく、ましてや、TIRコリメータにおける集光レンズの光入射面と、反射器部分の光入射面とで、光源が配置される空所を画定することについての記載も示唆もない。
そして、申立人が提出した他のいずれの証拠にも、甲2のような偏光装置における凹レンズを備えるマイクロレンズアレイを相違点2-2に係る本件発明1のTIRコリメータとして構成することを示すような記載も示唆もない。
そうすると、甲2発明において、相違点2-1に係る本件発明1の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得たことではない。
したがって、相違点2-2について検討するまでもなく、本件発明1は、甲2発明、甲5、7、及び10~12に記載された事項に基いて当業者が容易に発明することができたものではない。
(ウ)本件発明7~10(申立理由(6))について
本件発明7~10は、本件発明1の構成を全て含み、さらに限定を付加したものである。
そうすると、本件発明7~10は、前記(イ)bと同様の理由により、甲2発明、甲5、7、及び10~12に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
エ 小括
以上のとおり、本件発明1は、甲2発明ではなく、特許法第29条第1項第3号に該当せず、請求項1に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものではない。
したがって、申立理由(5)によって、本件特許の請求項1に係る特許を取り消すことはできない。
また、本件特許1及び7~10は、甲2発明、甲5、7、及び10~12に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではなく、請求項1及び7~10に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものではない。
したがって、申立理由(6)によって、本件特許の請求項1及び7~10に係る特許を取り消すことはできない。
(5)申立理由(7)について
ア 申立理由(7)の概要
本件発明1~11は、甲3発明、甲1、5、7、及び9に記載された事項、並びに第1の周知技術(甲6、7、10)に基いて、当業者が容易に発明することができたものであるから、請求項1~11に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
イ 申立理由(7)の検討
(ア)甲3の認定事項
甲3の[0047]~[0049]及びFIG.8~FIG.10の記載から、甲3について、以下のことが認められる。
a 二次光学レンズは、中央領域のレンズと外側の反射器部分を備え、配光は、コリメート光束である。
b 中央領域のレンズは、頂部に凸状非球面を呈する出射面24aを有する。
c 外側の反射器部分は、出射面24bと、全反射面23を有する。
d 中央領域のレンズの底部に凹部が配置され、凹部の頂部22はマイクロレンズアレイからなり、凹部の側面21は円筒面を呈し、頂部22は、中央領域のレンズの入射面であり、側面21は、外側の反射器部分の入射面である。
e 外側の反射器部分は、中央領域のレンズを取り囲んでいる。
(イ)甲3発明
前記(ア)から、甲3には以下の発明(以下「甲3発明」という。)が記載されていると認められる。
「中央領域のレンズと外側の反射器部分を備え、配光は、コリメート光束である二次光学レンズであって(前記(ア)a)、
前記中央領域のレンズは、頂部に凸状非球面を呈する出射面24aを有し(前記(ア)b)、
前記外側の反射器部分は、出射面24bと、全反射面23を有し(前記(ア)c)、
前記中央領域のレンズの底部に凹部が配置され、前記凹部の頂部22はマイクロレンズアレイからなり、前記凹部の側面21は円筒面を呈し、前記頂部22は中央領域のレンズの入射面であり、前記側面21は反射器部分の入射面であり(前記(ア)d)、
前記外側の反射器部分は、前記中央領域のレンズを取り囲んでいる(前記(ア)e)、
二次光学レンズ」
(ウ)本件発明1について
a 本件発明1と甲3発明の対比
本件発明1と甲3発明を対比する。
(a)後者の「前記中央領域のレンズの入射面であ」る「頂部22」は、前者の「光入射面(3)」に相当し、以下同様に、後者の「前記中央領域のレンズ」が「有」する「出射面24a」は、前者の「光出射面(4)」に、後者の「前記外側の反射器部分の入射面である」「側面21」は、前者の「光入射面(6)」に、後者の「出射面24b」が前者の「出射面(8)」に、後者の「全反射面23」が前者の「反射面(7)」に、それぞれ相当する。
そして、「配光は、コリメート光束である二次光学レンズ」は、後者の光源からの光を平行光線束とするものなので、光源からの光を平行光線となるように集束するものであるといえる。
そうすると、後者の「中央領域のレンズと外側の反射器部分を備え、配光は、コリメート光束である二次光学レンズ」は、前者の「光学密度の変化を有する光境界面をそれぞれ形成する光入射面(3、6)および/または光出射面(4、8)および/または反射面(7)として構成されている複数の光学面を用いて、光を集束するコリメータ」に相当する。
(b)後者の「頂部に凸状非球面を呈する出射面24aを有し、」「底部に凹部が配置され、凹部の頂部22」が「入射面であ」る「前記中央領域のレンズ」は、前者の「後方の光入射面(3)および前方の光出射面(4)を有する集光レンズ(2)」に相当する。
(c)後者の「出射面24bと、全反射面23を有」し、「凹部の側面21」が「入射面」である「前記外側の反射器部分」は、「全反射面23」がTIR反射面であるので、前者の「光入射面(6)、前記反射面(7)としてのTIR反射器面、および光出射面(8)を有する反射器部分(5)」に相当する。
(d)前記(b)及び(c)から、後者の「中央領域のレンズと外側の反射器部分を備え」た「二次光学レンズ」は、前者の「集光レンズ(2)と、」「反射器部分(5)とを、備えたTIRコリメータ(1)」に相当する。
(e)後者の「前記中央領域のレンズの底部に凹部が配置され、前記凹部の頂部22はマイクロレンズアレイからなり、前記凹部の側面21は円筒面を呈し、前記頂部22は中央領域のレンズの入射面であり、前記側面21は反射器部分の入射面であり、前記外側の反射器部分は、前記中央領域のレンズを取り囲んでいる」ことは、「前記中央領域のレンズ」の「入射面」と「前記外側の反射器部分の入射面」が、「凹部」を画定しているといえるので、前者の「前記反射器部分(5)は、前記TIRコリメータ(1)が、前記集光レンズ(2)の前記光入射面(3)と、前記反射器部分(5)の前記光入射面(6)とによって画定されている後方の空所(9)を有する、ように中央の前記集光レンズ(2)を取り囲んで」いることに相当する。
(f)後者の「前記凹部の頂部22はマイクロレンズアレイからな」ることと、前者の「前記集光レンズ(2)の前記光入射面(3)に、複数の凹形マイクロレンズ(11)のみが構成されており、前記コリメータは、可変の光学的設計を有する前記複数の凹型マイクロレンズ(11)の配置を有し、そのために前記複数の凹型マイクロレンズ(11)が種々異なる曲率半径および異なる平均直径を有する」ることは、「前記集光レンズ(2)の前記光入射面(3)に、複数のマイクロレンズが構成され」ることで共通する。
そうすると、本件発明1と甲3発明は、
「光学密度の変化を有する光境界面をそれぞれ形成する光入射面(3、6)および/または光出射面(4、8)および/または反射面(7)として構成されている複数の光学面を用いて、光を集束するコリメータであって、
前記コリメータは、
後方の光入射面(3)および前方の光出射面(4)を有する集光レンズ(2)と、
光入射面(6)、前記反射面(7)としてのTIR反射器面、および光出射面(8)を有する反射器部分(5)と
を、備えたTIRコリメータ(1)として構成されており、
前記反射器部分(5)は、前記TIRコリメータ(1)が、前記集光レンズ(2)の前記光入射面(3)と、前記反射器部分(5)の前記光入射面(6)とによって画定されている後方の空所(9)を有する、ように中央の前記集光レンズ(2)を取り囲んでおり、
前記集光レンズ(2)の前記光入射面(3)に、複数のマイクロレンズが構成されている、
コリメータ。」
との点で一致し、以下の点で相違する。
[相違点3-1]
マイクロレンズに関して、本件発明1は、集光レンズ(2)の光入射面(3)に、複数の「凹形マイクロレンズ(11)のみ」が構成されており、「コリメータは、可変の光学的設計を有する前記複数の凹型マイクロレンズ(11)の配置を有し、そのために前記複数の凹型マイクロレンズ(11)が種々異なる曲率半径および異なる平均直径を有する」のに対して、甲3発明は、頂部22のマイクロレンズアレイにかかる特定がされていない点。
b 相違点についての検討
相違点3-1について検討するに、甲3には、頂部22のマイクロレンズアレイに関して、これを種々異なる曲率半径および異なる平均直径を有する凹形のマイクロレンズのみとして構成することについて、記載も示唆もされていない。
そして、甲1、甲5~7、9、及び10のいずれにも、TIRコリメータの集光レンズの入射面に種々異なる曲率半径および異なる平均直径を有する凹形のマイクロレンズのみを設けることについての記載も示唆もない。
また、申立人が提出した他の証拠についても同様である。
そうすると、甲3発明において、甲1、甲5~甲7、甲9、及び甲10に記載された事項に基づいて、相違点3-1に係る本件発明1の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得たことであるとは認められない。
したがって、本件発明1は、甲3発明、甲1、5、7、及び9に記載された事項、並びに第1の周知技術(甲6、7、10)に基いて、当業者が容易に発明することができたものではない。
なお、申立人は、令和7年10月1日提出の意見書において、新たに甲14(特開2018-109670号公報)を添付し、甲14には、光の均質拡散機能を備えたマイクロレンズ型の光学体であって、複数の凹レンズのみから構成された単レンズ群を有し、各凹レンズの開口径の平均値及び曲率半径は、単レンズ群全体でばらつき、各凹レンズの配置位置がばらついている光学体を開示している旨、及び本件発明1は、甲3発明及びに対して甲14に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明することができた旨を主張する。
しかしながら、甲14は、単レンズ群が設けられた拡散板に関する文献であり、かかる単レンズ群を、甲3発明のようなTIRコリメータの集光レンズの入射面に対して設けることを開示又は示唆するものではない。
したがって、申立人の主張を採用することはできない。
(エ)本件発明4~10について
本件発明4~10は、本件発明1の構成を全て含み、さらに限定を付加したものである。
そうすると、前記(ウ)bと同様の理由により、本件発明4~10は、甲3発明、並びに甲1、5、7、及び9に記載された事項、並びに第1の周知技術(甲6、7、10)に基いて、当業者が容易に発明することができたものではない。
ウ 小括
以上から、本件発明1及び4~10は、甲3発明、甲1、5、7、及び9に記載された事項、並びに第1の周知技術(甲6、7、10)に基いて、当業者が容易に発明することができたものではないから、請求項1及び4~10に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものではない。
したがって、申立理由(5)によって、本件特許の請求項1及び4~10に係る特許を取り消すことはできない。
(6)申立理由(8)について
ア 申立理由(8)の概要
本件発明1~11は、甲4発明、甲5、7、及び9に記載された事項に基いて当業者が容易に発明することができたものであるから、請求項1~11に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
イ 申立理由(8)の検討
(ア)甲4の認定事項
甲4の段落【0004】、【0015】、【0017】~【0019】、図1、及び図2から、甲4について以下のことが認められる。
a ハイブリッドレンズ3は、第1の入射面31と、第2の入射面32と、第2の入射面32より内部に入射した光を反射する反射面33と、前記第1の入射面31より内部に入射した光、及び、第2の入射面32より内部に入射し、且つ、前記反射面33で反射した光を出射する出射面34とを有する。
b ハイブリッドレンズ3は、白色LED2から出射される光を狭角に集光する。
c 第1の入射面31は、白色LED2側に凸になるように形成された略球面を有して、白色LED2から入射された光を出射面34に向けて屈折させる。
d 第1の入射面31は、白色LED2の発光面2aの正面に対向して凹部30の底面に位置し、第2の入射面32は、白色LED2の発光面2aの斜め前方に対向して凹部30の側面に位置し、凹部30が白色LED2の発光面2aの前方を取り囲む。
e 第2の入射面32は、白色LED2から入射された光を反射面33に向けて屈折させ、反射面33は、第2の入射面32の凹部30の開口側の端部35から出射面34の端部に至る曲面を有しており、第2の入射面32から反射面33に入射された光を略全反射できるように形成されている。
(イ)甲4発明
前記(ア)から、甲4には、以下の発明(以下「甲4発明」という。)が記載されていると認められる。
「第1の入射面31と、第2の入射面32と、前記第2の入射面32より内部に入射した光を反射する反射面33と、前記第1の入射面31より内部に入射した光、及び、前記第2の入射面32より内部に入射し、且つ、前記反射面33で反射された光を出射する出射面34とを有するハイブリッドレンズ3であって(前記(ア)a)、
前記ハイブリッドレンズ3は、白色LED2から出射される光を狭角に集光し(前記(ア)b)、
前記第1の入射面31は、前記白色LED2側に凸になるように形成された略球面を有して、白色LED2から入射された光を出射面34に向けて屈折させ(前記(ア)c)、
前記第1の入射面31は、前記白色LED2の発光面2aの正面に対向して凹部30の底面に位置し、前記第2の入射面32は、前記白色LED2の発光面2aの斜め前方に対向して前記凹部30の側面に位置し、前記凹部30が白色LED2の発光面2aの前方を取り囲み(前記(ア)d)、
前記第2の入射面32は、前記白色LED2から入射された光を前記反射面33に向けて屈折させ、前記反射面33は、前記第2の入射面32の前記凹部30の開口側の端部35から前記出射面34の端部に至る曲面を有しており、前記第2の入射面32から前記反射面33に入射された光を略全反射できるように形成されている(前記(ア)e)、
ハイブリッドレンズ3」
(ウ)本件発明1について
a 本件発明1と甲4発明の対比
本件発明1と甲4発明とを対比する。
(a)後者の「第1の入射面」及び「第2の入射面32」が前者の「光入射面(3、6)」に相当し、以下同様に、後者の「出射面34」が前者の「光出射面(4、8)」に、後者の「反射面33」が前者の「反射面(7)」に、後者の「白色LED2から出射される光を狭角に集光」する「前記ハイブリッドレンズ3」が前者の「光を集束するコリメータ」に、それぞれ相当する。
そうすると、後者の「第1の入射面31と、前記第2の入射面32と、前記第2の入射面32より内部に入射した光を反射する反射面33と、前記第1の入射面31より内部に入射した光、及び、前記第2の入射面32より内部に入射し、且つ、前記反射面33で反射された光を出射する出射面34とを有するハイブリッドレンズ3であって、」「白色LED2から出射される光を狭角に集光」する「前記ハイブリッドレンズ3」は、前者の「光学密度の変化を有する光境界面をそれぞれ形成する光入射面(3、6)および/または光出射面(4、8)および/または反射面(7)として構成されている複数の光学面を用いて、光を集束するコリメータ」に相当する。
(b)後者の「白色LED2側に凸になるように形成された略球面を有」する「前記第1の入射面31」及び「前記第1の入射面31より内部に入射した光」「を出射する出射面34」からなる部分は、前者の「後方の光入射面(3)および前方の光出射面(4)を有する集光レンズ(2)」に相当する。
(c)後者の「前記第2の入射面32は、前記白色LED2から入射された光を前記反射面33に向けて屈折させ、前記反射面33は、前記第2の入射面32の前記凹部30の開口側の端部35から前記出射面34の端部に至る曲面を有しており、前記第2の入射面32から前記反射面33に入射された光を略全反射できるように形成されている」ことは、前者の「光入射面(6)、前記反射面(7)としてのTIR反射器面、および光出射面(8)を有する反射器部分(5)」「を備え」ることに相当する。
(d)前記(b)及び(c)から、後者の「ハイブリッドレンズ3」は、前者の「TIRコリメータ(1)」に相当する。
(e)後者の「前記第1の入射面31」が「前記白色LED2の発光面2aの正面に対向して」「底面に位置し」、「前記第2の入射面32」が「前記白色LED2の発光面2aの斜め前方に対向して」「側面に位置」し、「白色LED2の発光面2aの前方を取り囲」む「凹部30」は、「凹部30」が「前記第1の入射面31」と「前記第2の入射面32」によって画定されているといえるので、前記(c)も踏まえると、前者の「前記集光レンズ(2)の前記光入射面(3)と、前記反射器部分(5)の前記光入射面(6)とによって画定されている後方の空所(9)」に相当する。
(f)後者の「前記第1の入射面31は、前記白色LED2の発光面2aの正面に対向して凹部30の底面に位置し、前記第2の入射面32は、前記白色LED2の発光面2aの斜め前方に対向して前記凹部30の側面に位置し、前記凹部30が白色LED2の発光面2aの前方を取り囲み、」「前記反射面33は、前記第2の入射面32の前記凹部30の開口側の端部35から前記出射面34の端部に至る曲面を有して」いることは、前記(c)及び(e)から、前者の「前記反射器部分(5)は、前記TIRコリメータ(1)が、前記集光レンズ(2)の前記光入射面(3)と、前記反射器部分(5)の前記光入射面(6)とによって画定されている後方の空所(9)を有する、ように中央の前記集光レンズ(2)を取り囲んで」いることに相当する。
そうすると、本件発明1と甲4発明は、
「光学密度の変化を有する光境界面をそれぞれ形成する光入射面(3、6)および/または光出射面(4、8)および/または反射面(7)として構成されている複数の光学面を用いて、光を集束するコリメータであって、
前記コリメータは、
後方の光入射面(3)および前方の光出射面(4)を有する集光レンズ(2)と、
光入射面(6)、前記反射面(7)としてのTIR反射器面、および光出射面(8)を有する反射器部分(5)と
を、備えたTIRコリメータ(1)として構成されており、
前記反射器部分(5)は、前記TIRコリメータ(1)が、前記集光レンズ(2)の前記光入射面(3)と、前記反射器部分(5)の前記光入射面(6)とによって画定されている後方の空所(9)を有する、ように中央の前記集光レンズ(2)を取り囲んでいる、
コリメータ。」
との点で一致し、以下の点で相違する。
[相違点4-1]
本件発明1は、「前記集光レンズ(2)の前記光入射面(3)に、複数の凹形マイクロレンズ(11)のみが構成されており、前記コリメータは、可変の光学的設計を有する前記複数の凹型マイクロレンズ(11)の配置を有し、そのために前記複数の凹型マイクロレンズ(11)が種々異なる曲率半径および異なる平均直径を有する」のに対して、甲4発明は、かかる「複数の凹形マイクロレンズ(11)」についての特定がない点。
b 相違点についての検討
相違点4-1について検討するに、甲4には、第1の入射面31に対して、種々異なる曲率半径および異なる平均直径を有する凹形のマイクロレンズのみを設けることについての記載も示唆もない。
そして、甲5、7、及び9のいずれにも、TIRコリメータの集光レンズの入射面に対して、種々異なる曲率半径および異なる平均直径を有する凹形のマイクロレンズのみを設けることについての記載も示唆もない。
また、申立人が提出した他の証拠についても同様である。
そうすると、甲4発明において、甲5、7、及び9に記載された事項に基づいて、相違点4-1に係る本件発明1の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得たことであるとは認められない。
したがって、本件発明1は、甲4発明、及び甲5、7、及び9に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明することができたものではない。
(エ)本件発明4~10について
本件発明4~10は、本件発明1の構成を全て含み、さらに限定を付加したものである。
そうすると、前記(ウ)bと同様の理由により、本件発明4~10は、甲4発明、甲5、7、及び9に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明することができたものではない。
ウ 小括
以上から、本件発明1及び4~10は、甲4発明、甲5、7、及び9に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明することができたものではないから、請求項1及び4~10に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものではない。
したがって、申立理由(6)によって、本件特許の請求項1及び4~10に係る特許を取り消すことはできない。
(7)申立理由(9)について
ア 申立理由(9)の概要
本件発明1~3及び10は、本件特許出願の日前の特許出願であって、本件特許出願後に出願公開がされた甲13の特許出願に記載された甲13発明と同一であり、しかも、本件特許出願の発明者が本件特許出願前の甲13の特許出願に係る上記の発明をした者と同一ではなく、また本件特許出願の時において、その出願人が甲13の特許出願の出願人と同一でもないから、本件特許の請求項1~3及び10に係る特許は、特許法第29条の2の規定に違反してされたものである。
イ 申立理由(9)の検討
(ア)甲13の認定事項
甲13について、段落【0135】の「本変形例におけるレンズ100Aは、・・・第1光入射面101aの全面に複数の凹部122を形成したレンズ100Cに対しても光の損失を抑制できる。この点について、図20、図21及び図22を用いて説明する。」(下線は当審が付与。)との記載、及び、段落【0139】の「また、図21に示すように、第1光入射面101aに複数の凹部122のみが形成された比較例4のレンズ100Cでは、・・・」(下線は当審が付与。)との記載から、図21等に示される比較例4と、段落【0117】~【0142】、図15~17、19、図22に示される変形例とは、比較例4の第1光入射面101aに複数の凸部121がなく複数の凹部122のみが形成されていること以外は、同様の構成であると理解される。
また、段落【0013】~【0116】、図1~14で示される実施の形態と上記変形例とは、両者の違いとして詳述されていない点は同様の構成であると理解される。
(イ) 甲13発明
甲13の出願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「当初明細書等」という。)における実施の形態、変形例及び比較例4(特に、段落【0024】、【0033】、【0035】、【0056】、【0112】、【0118】~【0121】、【0139】、図3~6、16、21参照。)、及び前記(ア)から、甲13の出願の当初明細書等には、比較例4に係る次の発明が記載されていると認められる(以下「甲13発明」という。)。
「第1光入射面101a、第2光入射面101b、光出射側の面及び光反射面102を用いて、入射する光を集光するレンズ100Cであって(前記(ア)、段落【0033】、【0035】、【0118】、【0119】、【0121】、【0139】、図16、21)、
レンズ100Cは、
第1光入射面101a及び光出射側の面を有し、入射した光に対して集光作用を与えるレンズ部110Aと(前記(ア)、段落【0119】~【0121】、図16、21)、
第2光入射面101b、第2光入射面101bから突出部130に入射した光を全反射する光反射面102及び光出射側の面を有する、環状の突出部130及びレンズ100Cの光出射側の周縁部と(前記(ア)、段落【0035】、【0056】、【0119】、図16、21)
を、備えたレンズ100Cとして構成されており(前記(ア)、【0139】、図16、21)、
突出部130及びフランジ部140は、レンズ100Cが、レンズ部110Aの第1光入射面101aと、突出部130の第2光入射面101bとによって画定されている円柱凹部131を有する、ように中央のレンズ部110Aを取り囲んでおり(前記(ア)、段落【0024】、図3~5、16、21)、
複数の凹部122のみが、レンズ部110Aの第1光入射面101aに形成されており(段落【0139】、図21)、
周方向に配列された複数の凹部122は、異なるピッチでランダムに配列されている(前記(ア)、段落【0112】、図6)」
(ウ)本件発明1について
a 本件発明1と甲13発明の対比
本件発明1と甲13発明とを対比する。
(a)後者の「第1光入射面101a、第2光入射面101b、光出射側の面及び光反射面102」は、入射する光を集光するレンズがその光境界面において光学密度の変化を有することは技術常識であることを踏まえれば、前者の「光学密度の変化を有する光境界面をそれぞれ形成する光入射面(3、6)および/または光出射面(4、8)および/または反射面(7)として構成されている複数の光学面」に相当する。
そして、後者の「入射する光を集光する」構成は、前者の「光を集束する」構成に相当する。
そうすると、後者の「第1光入射面101a、第2光入射面101b、光出射側の面及び光反射面102を用いて、入射する光を集光するレンズ100C」は、前者の「光学密度の変化を有する光境界面をそれぞれ形成する光入射面(3、6)および/または光出射面(4、8)および/または反射面(7)として構成されている複数の光学面を用いて、光を集束するコリメータ」に相当する。
(b)後者の「第1光入射面101a」は、前者の「後方の光入射面(3)」に相当し、同様に、「光出射側の面」は「前方の光出射面(4)」に相当する。
そして、後者の「入射した光に対して集光作用を与えるレンズ部110A」は、前者の「集光レンズ(2)」に相当する。
そうすると、後者の「第1光入射面101a及び光出射側の面を有し、入射した光に対して集光作用を与えるレンズ部110A」は、前者の「後方の光入射面(3)および前方の光出射面(4)を有する集光レンズ(2)」に相当する。
(c)後者の「第2光入射面101b」は、前者の「光入射面(6)」に相当し、同様に、後者の「第2光入射面101bから突出部130に入射した光を全反射する光反射面102」は、前者の「前記反射面(7)としてのTIR反射器面」に、相当する。
また、後者の「レンズ100Cの光出射側の周縁部」が有する「光出射側の面」は、前者の「光出射面(8)」に相当する。
そして、後者の「環状の突出部130及びレンズ100の光出射側の周縁部」は、前者の「反射器部分(5)」に相当する。
そうすると、後者の「第2光入射面101b、第2光入射面101bから突出部130に入射した光を全反射する光反射面102及び光出射側の面を有する、環状の突出部130及びレンズ100の光出射側の周縁部」は、前者の「光入射面(6)、前記反射面(7)としてのTIR反射器面、および光出射面(8)を有する反射器部分(5)」に相当する。
(d)前記(b)及び(c)の相当関係も踏まえれば、後者の「レンズ100C」は、前者の「TIRコリメータ(1)」に相当する。
(e)後者の「レンズ部110Aの第1光入射面101aと、突出部130の第2光入射面101bとによって画定されている円柱凹部131」は、前者の「前記集光レンズ(2)の前記光入射面(3)と、前記反射器部分(5)の前記光入射面(6)とによって画定されている後方の空所(9)」に相当する。
そうすると、後者の「突出部130及びフランジ部140は、レンズ100Cが、レンズ部110Aの第1光入射面101aと、突出部130の第2光入射面101bとによって画定されている円柱凹部131を有する、ように中央のレンズ部110Aを取り囲んで」いることは、前者の「前記反射器部分(5)は、前記TIRコリメータ(1)が、前記集光レンズ(2)の前記光入射面(3)と、前記反射器部分(5)の前記光入射面(6)とによって画定されている後方の空所(9)を有する、ように中央の前記集光レンズ(2)を取り囲んで」いることに相当する。
(f)後者の「レンズ部110Aの第1光入射面101a」は、前者の「前記集光レンズ(2)の前記光入射面(3)」に相当する。
そして、後者の「レンズ部110Aの第1光入射面101aに形成されて」いる「複数の凹部122」は、甲13の図1に示されるようなダウンライトに用いられるものであるとともに、甲13の図4に示されるように第1光入射面101aに多数設けられるものであることを踏まえれば、マイクロレンズといえるものである。
そうすると、後者の「複数の凹部122のみが、レンズ部110Aの第1光入射面101aに形成されて」いることは、前者の「前記集光レンズ(2)の前記光入射面(3)に、複数の凹形マイクロレンズ(11)のみが構成されて」いることに相当する。
(g)後者の「周方向に配列された複数の凹部122は、異なるピッチでランダムに配列されている」構成について、甲13の図6においてランダムに配置された個々の凹部122の輪郭が種々異なっていることを踏まえれば、後者の「複数の凹部122」は光学的設計が種々異なるものと認められる。
そうすると、後者の「周方向に配列された複数の凹部122は、異なるピッチでランダムに配列されている」ことは、前者の「可変の光学的設計を有する前記複数の凹型マイクロレンズ(11)の配置を有し、そのために前記複数の凹型マイクロレンズ(11)が種々異なる曲率半径および異なる平均直径を有する可変の光学的設計を有する前記複数の凹型マイクロレンズ(11)の配置を有」することと、「可変の光学的設計を有する前記複数の凹型マイクロレンズ(11)の配置を有」することで共通する。
そうすると、本件発明1と甲13発明は、
「光学密度の変化を有する光境界面をそれぞれ形成する光入射面(3、6)および/または光出射面(4、8)および/または反射面(7)として構成されている複数の光学面を用いて、光を集束するコリメータであって、
前記コリメータは、
後方の光入射面(3)および前方の光出射面(4)を有する集光レンズ(2)と、
光入射面(6)、前記反射面(7)としてのTIR反射器面、および光出射面(8)を有する反射器部分(5)と
を、備えたTIRコリメータ(1)として構成されており、
前記反射器部分(5)は、前記TIRコリメータ(1)が、前記集光レンズ(2)の前記光入射面(3)と、前記反射器部分(5)の前記光入射面(6)とによって画定されている後方の空所(9)を有する、ように中央の前記集光レンズ(2)を取り囲んでおり、
前記集光レンズ(2)の前記光入射面(3)に、複数の凹形マイクロレンズ(11)のみが構成されており、
前記コリメータは、可変の光学的設計を有する前記複数の凹型マイクロレンズ(11)の配置を有する、
コリメータ。」
で一致し、以下の点で相違する。
[相違点13-1]
可変の光学的可変の光学的設計を有する複数の凹型マイクロレンズ(11)の配置に関して、本件発明1は、複数の凹型マイクロレンズ(11)が「種々異なる曲率半径および異なる平均直径を有する」のに対して、甲13発明は、「周方向に配列された」複数の凹部122が「異なるピッチでランダムに配列されている」点。
b 相違点についての検討
甲13には、複数の凹部122が種々異なる曲率半径および異なる平均直径を有するように構成することについては、記載も示唆もされていない。
そして、申立人が提出した他の証拠において、集光レンズの光入射面において、複数の凹形マイクロレンズを異なるピッチでランダムに配列するように設けることと、複数の凹形マイクロレンズを種々異なる曲率半径および異なる平均直径を有するように構成することの相違が、周知技術、慣用技術の付加、削除、転換等であって、新たな効果を奏するものではなく、課題解決のための具体化手段における微差であることを示す証拠はない。
したがって、本件発明1と甲13発明が実質同一であるとは認められない。
(エ)本件発明10について
本件発明10は、本件発明1の構成を全て含み、さらに限定を付加したものである。
そうすると、前記(ウ)bと同様の理由により、本件発明10と甲13発明は、実質同一ではない。
ウ 小括
本件発明1及び10は、甲13発明と同一ではないから、請求項1及び10に係る特許は、特許法第29条の2の規定に違反してされたものではない。
したがって、申立理由(9)によって、請求項1及10に係る特許を取り消すことはできない。
第7 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知(決定の予告)に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載された特許異議申立理由によっては、本件特許の請求項1及び4~10に係る特許を取り消すことはできない。
そして、他に本件特許の請求項1及び4~10に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
また、請求項2、3、及び11に係る特許に対する特許異議の申立ては、本件訂正により請求項2、3、及び11が削除されたことにより、特許異議の申立ての対象が存在しないものとなったため、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。
よって、結論のとおり決定する。
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2024-700053